JP2017170850A - ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法 Download PDF

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健二 高口
貫志朗 関口
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貫志朗 関口
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Abstract

【課題】 Tダイ法で必要とされる、鋼管を回転させながら管軸方向に移送する移送手段を設けることなく、優れた防食性能を有する被覆鋼管を製造する方法を提供すること。【解決手段】 ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法であって、下記工程;鋼管の外面に、エポキシプライマー層を形成する、エポキシプライマー層形成工程;得られたエポキシプライマー層の上に、ポリオレフィン接着剤組成物を塗装して、ポリオレフィン接着層を形成する、ポリオレフィン接着層形成工程;および、上記ポリオレフィン接着層と、1またはそれ以上のポリオレフィン成形物とを接触させ、次いで上記ポリオレフィン成形物を融着させることによって、ポリオレフィン層を形成する、ポリオレフィン層形成工程;を包含する、製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法に関する。本発明は詳しくは、鋼管の外面に、エポキシプライマー層、ポリオレフィン接着層、およびポリオレフィン層が順次積層された、ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法に関する。
一般に鋼材は、周囲の環境に対する防食手段を講ずることなく、大気中、地中、海水中に暴露されると腐食する。そのため、石油、ガス、上下水道、電線ケーブルなどの各種配管、さらには、鋼管杭、鋼矢板などの鋼管、そして、鋼管杭、鋼矢板などの土木用建材では、鋼材外面をポリエチレン類および/またはポリプロピレン類などで被覆したポリオレフィン被覆鋼材が用いられている。このようなポリオレフィン被覆鋼材は、高温接水環境、極低温環境、自然由来鉱油を含む油含有土壌などといった、国内外の様々な環境下で使用されるようになりつつある。
ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法として、例えば、特開2006−247887号公報(特許文献1)および特開2005−161612号公報(特許文献2)に記載されるような、いわゆるTダイ法が挙げられる。このTダイ法は、予熱された鋼管を回転させながら管軸方向(管長方向)に移送させ、そしてこの回転移送される予熱鋼管に対して、溶融されたポリオレフィンを、スクリュー式押出機およびTダイを用いて帯状に押し出し、帯状ポリオレフィンを螺旋状に巻き付けていく被覆方法である。Tダイ法によって、優れた防食性能を有する被覆鋼管を製造することができる。一方で、このようなTダイ法では、上記スクリュー式押出機の他、鋼管を回転させながら管軸方向(管長方向)に移送する移送手段が必要となる。このような押出および鋼管移送手段を設けることによって、鋼管被覆設備費用が高額となるという問題がある。
特開2006−247887号公報 特開2005−161612号公報
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、その目的とするところは、Tダイ法で必要とされる、溶融ポリオレフィン押出手段、そして、鋼管を回転させながら管軸方向に移送する移送手段などを設けることなく、優れた防食性能を有する被覆鋼管を製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法であって、下記工程、
鋼管の外面に、エポキシプライマー層を形成する、エポキシプライマー層形成工程、
得られたエポキシプライマー層の上に、ポリオレフィン接着剤組成物を塗装して、ポリオレフィン接着層を形成する、ポリオレフィン接着層形成工程、および、
上記ポリオレフィン接着層と、1またはそれ以上のポリオレフィン成形物とを接触させ、次いで上記ポリオレフィン成形物を融着させることによって、ポリオレフィン層を形成する、ポリオレフィン層形成工程、
を包含する、製造方法。
[2]
上記方法の1態様として、上記ポリオレフィン接着層と接触させる前のポリオレフィン成形物は、平板形状を有し、および、上記ポリオレフィン層形成工程において、上記ポリオレフィン成形物の両端面が対向する方向で、上記鋼管に貼り付けられる態様が挙げられる。
[3]
上記方法の1態様として、ポリオレフィン層形成工程において、上記鋼管の外面に沿った形状を有するポリオレフィン成形物を、2またはそれ以上用いて、ポリオレフィン層を形成する態様が挙げられる。
[4]
上記[3]の態様において、上記ポリオレフィン成形物は、上記鋼管の外面に対して対向して接触される曲線形状面を有し、上記曲線形状面の曲率半径と、上記鋼管の外面曲率半径とが略等価である態様が好ましい。
[5]
上記ポリオレフィン接着剤組成物が、粉体型接着剤組成物または溶剤型接着剤組成物であるのが好ましい。
[6]
上記ポリオレフィン接着剤組成物が、エチレンと、不飽和二重結合を有するカルボン酸、不飽和二重結合を有するカルボン酸の無水物、(メタ)アクリル酸アルキルおよび酢酸ビニルからなる群から選択される1種またはそれ以上のモノマーとの共重合物である変性ポリオレフィン樹脂を含む態様が好ましい。
[7]
上記エポキシプライマー層は、バインダーエポキシ樹脂および硬化剤を含むエポキシプライマー組成物を塗装して形成された層である態様が好ましい。
[8]
上記ポリオレフィン成形物の融着は、鋼管が50〜200℃に加熱された状態で行われる態様が好ましい。
[9]
上記ポリオレフィン成形物は、着色剤を含む態様が好ましい。
本発明の製造方法を用いることによって、Tダイ法で必要とされる、溶融ポリオレフィン押出手段、そして、鋼管を回転させながら管軸方向に移送する移送手段などを設けることなく、優れた防食性能を有する被覆鋼管を製造することができる。本発明の製造方法は、良好な防食性能を有するポリオレフィン被覆鋼管を、高額な鋼管被覆設備費用を伴うことなく、良好な生産性をもって製造することができるという利点がある。
本発明の製造方法におけるポリオレフィン層形成工程の1態様を示す、概略説明図である。 本発明の製造方法におけるポリオレフィン層形成工程の他の1態様を示す、概略説明図である。 従来技術であるTダイ法によって、鋼管をポリオレフィンで被覆する方法を示す概略説明図である。 被覆層の抵抗値を測定する装置を模式的に示す図である。
本発明は、ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法であって、下記工程、
鋼管の外面に、エポキシプライマー層を形成する、エポキシプライマー層形成工程、
得られたエポキシプライマー層の上に、ポリオレフィン接着剤組成物を塗装して、ポリオレフィン接着層を形成する、ポリオレフィン接着層形成工程、および、
前記ポリオレフィン接着層と、1またはそれ以上のポリオレフィン成形物とを接触させ、次いで前記ポリオレフィン成形物を融着させることによって、ポリオレフィン層を形成する、ポリオレフィン層形成工程、
を包含する製造方法に関する。以下、各工程における手順および各工程で用いられる材料などについて説明する。
鋼管
本発明は、鋼管の外面をポリオレフィンで被覆する方法に関する。鋼管は、鋼材で構成される。鋼材として、例えば、冷延鋼板、熱延鋼板、厚板鋼板、ダクタイル鋳鉄などが挙げられる。これらの鋼材の表面に、ステンレス鋼またはチタン、アルミニウム、ニッケル、銅、亜鉛などの金属あるいはそれらの合金を積層したクラッド鋼材、または、亜鉛、アルミニウム、亜鉛−アルミニウム合金またはアルミニウム−マグネシウム合金を溶射した溶射処理鋼材なども使用することができる。また、鋼材の表面にめっき処理を施しためっき鋼材なども使用することができる。鋼管として、上記鋼材によって構成される、電縫管、スパイラル鋼管、UOE鋼管、メッキ鋼管、ダクタイル鋳鉄管などが挙げられる。鋼材は一般に、ブラスト処理または脱脂・酸洗浄処理などの除錆処理を施して使用されるのが好ましい。
鋼管は、エポキシプライマー層を形成する前に、下地処理としてクロメート処理またはリン酸塩処理を行うのが好ましい。これらの処理を行うことによって、より優れた防食性が得られるためである。これらの下地処理に代えて、上記溶射処理などの表面処理を行ってもよい。溶射処理を行う場合は、事前に前処理(例えば、ショットブラスト処理、サンドブラスト処理など)を行っておくのがより好ましい。
エポキシプライマー層形成工程
エポキシプライマー層形成工程は、鋼管の外面に、エポキシプライマー層を形成する工程である。エポキシプライマー層は、例えば、バインダーエポキシ樹脂および硬化剤を含む、粉体エポキシプライマー組成物または溶剤エポキシプライマー組成物を用いて形成することができる。
バインダーエポキシ樹脂
バインダーエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂のうち1種を単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、エポキシ当量が400〜2,200g/eqの範囲であるものが好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、市販されているものを用いてもよい。市販されるビスフェノールA型エポキシ樹脂の具体的として、例えば、新日鉄住金化学社製のエポトートシリーズ(例えば、エポトートYD−014、エポトートYD−017、エポトートYD−904H、エポトートYD−907など)、
三菱化学社製のjERシリーズ(例えば、jER1003F、jER1004F、jER1005Fなど)、DIC社製のEPICLONシリーズ(例えば、EPICLON840、EPICLON850など)などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、エポキシ当量が800〜2,500g/eqの範囲であるものが好ましい。ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、市販されているものを用いてもよい。市販されるビスフェノールF型エポキシ樹脂の具体的として、例えば、新日鉄住金化学社製のエポトートシリーズ(例えば、エポトートYDF−2004H、エポトートYDF−2005RLなど)、三菱化学社製のjERシリーズ(例えば、jER4005P、jER4007Pなど)などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、エポキシ当量が195〜220g/eqの範囲であるものが好ましい。o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、市販されているものを用いてもよい。市販されるo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の具体例として、例えば、新日鉄住金化学社製のエポトートシリーズ(例えば、エポトートYDCN−701、エポトートYDCN−703、エポトートYDCN−704など)などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
バインダーエポキシ樹脂として、上記エポキシ樹脂に加えて、末端に複数のアクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂を用いることもできる。末端に複数のアクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂としては、例えば、上記エポキシ樹脂が有する末端のエポキシ基に、アクリレート基を導入した樹脂が挙げられる。上記エポキシアクリレート樹脂が有するアクリレート基の数は、2個であるのが好ましい。また、上記エポキシアクリレート樹脂の二重結合当量は、300〜700であるのが好ましく、400〜600であるのがより好ましい。
エポキシアクリレート樹脂は、市販されているものを用いてもよい。市販されるエポキシアクリレート樹脂の具体例として、例えば、リポキシVR−60およびリポキシVR−90(昭和電工社製)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
エポキシプライマー組成物が粉体エポキシプライマー組成物である場合は、バインダーエポキシ樹脂は、上記エポキシ樹脂から選択される1種またはそれ以上であって、そして上記エポキシ樹脂の軟化点が60〜120℃の範囲内であるのがより好ましい。
エポキシプライマー組成物が溶剤エポキシプライマー組成物である場合は、バインダーエポキシ樹脂は、上記エポキシ樹脂から選択される1種またはそれ以上と、上記エポキシアクリレート樹脂とを含むのが好ましい。バインダーエポキシ樹脂が上記エポキシアクリレート樹脂を含む場合において、上記エポキシ樹脂:エポキシアクリレート樹脂の質量比として、1:0.25〜1:0.5の範囲内となるのがより好ましい。
硬化剤
硬化剤として、フェノール性硬化剤、アミン硬化剤、チオール硬化剤、酸無水物硬化剤などが挙げられる。これらの硬化剤のうち1種を単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
フェノール性硬化剤として、例えば、下記一般式(A)(式中mは1〜4)で表させるフェノール性硬化剤が挙げられる。
Figure 2017170850
式中、mは、1〜4の整数を表す。上記一般式(A)で表される化合物としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールAとの反応により得られるものなどを挙げることができる。上記硬化剤はフェノール性水酸基当量が200〜800g/eqであるのが好ましい。
上記フェノール性硬化剤としては、市販されているものを用いてもよい。具体的には、例えば、jERキュア171N(フェノール性水酸基当量200〜286g/eq、軟化点約80℃、三菱化学社製)、jERキュア170(フェノール性水酸基当量286〜400g/eq、軟化点約90℃、三菱化学社製)などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アミン硬化剤として、例えば、脂肪族ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンなど);脂環族ポリアミン(例えば、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);芳香環を有する脂肪族ポリアミン(例えば、キシリレンジアミン、テトラメチルキシリレンジアミンなど);芳香族ポリアミン(例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トリレンジアミン、ベンジジン、フェニレンジアミンなど);および、上記ポリアミンと重合脂肪酸との反応によって得られるポリアミドアミン;などが挙げられる。アミン硬化剤として、市販されているものを用いてもよい。市販されるアミン硬化剤として、例えば、三菱化学社製のjERキュアシリーズ、エアープロダクツ社製のサンマイドシリーズ(各種アミンアダクト、ポリアミドアミン樹脂など)、T&K TOKA社製のトーマイドシリーズ(各種ポリアミドアミン)などが挙げられる。
酸無水物硬化剤として、例えば、脂環式酸無水物化合物、芳香族酸無水物化合物などが挙げられる。酸無水物硬化剤として、市販されているものを用いてもよい。市販される酸無水物硬化剤として、例えば、新日本理化社製のリカシッドなどが挙げられる。
チオール硬化剤として、例えば、ポリチオール化合物などが挙げられる。チオール硬化剤として、市販されているものを用いてもよい。市販されるチオール硬化剤として、例えば、昭和電工社製カレンズMTシリーズ、三菱化学社製のjERキュアシリーズなどが挙げられる。
上記硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。硬化剤の量は、用いるバインダーエポキシ樹脂および硬化剤の種類に応じて任意に選択することができる。例えば、バインダーエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤の反応基(活性水素当量)が0.5〜2.0当量となる量で用いることが好ましく、0.8〜1.5当量となる量で用いるのがより好ましい。
上記硬化剤に加えて、硬化促進剤を用いてもよい。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾリン系硬化促進剤などが挙げられる。イミダゾリン系硬化促進剤としては、特に限定されず、市販されているものを用いてもよい。市販されるイミダゾリン系硬化剤の具体例としては、例えば、2PZL(2−フェニルイミダゾリン、四国化成工業社製)、2E・4MZL(2−エチル−4−メチルイミダゾリン、四国化成工業社製)などを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。硬化促進剤を用いる場合は、上記硬化剤の量に対して0.1〜10.0質量%の範囲内で用いるのが好ましい。
エポキシプライマー組成物が粉体エポキシプライマー組成物である場合は、硬化剤として、フェノール性硬化剤を用いるのが好ましく、イミダゾリン系硬化促進剤を併用するのがより好ましい。
エポキシプライマー組成物が溶剤エポキシプライマー組成物である場合は、硬化剤として、アミン硬化剤、チオール硬化剤および酸無水物硬化剤のうち1種またはそれ以上を用いるのが好ましい。
エポキシプライマー組成物は、必要に応じたその他の成分を含んでもよい。その他の成分として、例えば、無機充てん材、防食顔料、着色顔料、体質顔料、染料、レベリング剤、造膜助剤、増粘剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など、当分野において公知の他の成分を添加することができる。上記エポキシプライマー組成物は、上記バインダーエポキシ樹脂および硬化剤以外の、他の樹脂成分を含んでもよい。他の樹脂成分として、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
エポキシプライマー組成物が粉体エポキシプライマー組成物である場合は、粉体塗料分野で通常用いられる調製方法によって調製することができる。得られた粉体エポキシプライマー組成物は、静電塗装法、流動浸漬法など粉体塗料分野で一般的に用いられる塗装方法を用いて塗装することができる。また、粉体塗装の被塗物である鋼管を予め加熱してから塗装してもよい。予め加熱する場合は、例えば、90〜250℃で1〜20分間加熱することができる。
エポキシプライマー組成物が溶剤エポキシプライマー組成物である場合は、溶剤塗料分野で通常用いられる調製方法によって調製することができる。溶剤エポキシプライマー組成物の調製において用いることができる溶剤(有機溶媒)として、例えば、炭化水素類(例えば、キシレンまたはトルエン)、アルコール類(例えば、メチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール)、エーテル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ケトン類(例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトン)、エステル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)またはそれらの混合物などが挙げられる。
溶剤エポキシプライマー組成物は、ハケ、ローラー、エアレススプレー、エアスプレーなどの、溶剤塗料分野において一般的に用いられる塗装方法を用いて塗装することができる。
エポキシプライマー組成物の塗装後に、塗装された鋼管を加熱し、エポキシプライマー組成物を硬化させるのが好ましい。加熱温度は、エポキシプライマー組成物中に含まれる成分および塗料形態、および被覆する鋼管の種類および大きさなどに依存して、適宜選択することができる。例えば、粉体エポキシプライマー組成物を用いる場合は、100〜250℃で1〜20分間加熱するのが好ましく、溶剤エポキシプライマー組成物を用いる場合は、80〜150℃で1〜20分間加熱するのが好ましい。
こうして形成されるエポキシプライマー層は、膜厚が10〜500μmであるのが好ましい。膜厚が上記範囲であることによって、十分な防食性および耐衝撃性が得られる利点がある。
ポリオレフィン接着層形成工程
ポリオレフィン接着層形成工程は、上記エポキシプライマー層形成工程で得られたエポキシプライマー層の上に、ポリオレフィン接着剤組成物を塗装して、ポリオレフィン接着層を形成する工程である。ポリオレフィン接着剤組成物は、変性ポリオレフィン樹脂を含むのがより好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂として、エチレンと、不飽和二重結合を有するカルボン酸、不飽和二重結合を有するカルボン酸の無水物、(メタ)アクリル酸アルキルおよび酢酸ビニルからなる群から選択される1種またはそれ以上のモノマーとの共重合物が挙げられる。
不飽和二重結合を有するカルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
不飽和二重結合を有するカルボン酸の無水物として、上記カルボン酸の無水物、例えば、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸の炭素数1〜6のアルキルエステルが挙げられる。
共重合物の調製に用いられる上記モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸無水物、マレイン酸無水物からなる群から選択される1種またはそれ以上を用いるのがより好ましい。なお、本明細書中において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸を示す。
ポリオレフィン接着剤組成物に含まれる樹脂成分として、エチレンと、上記モノマーとの共重合物である変性ポリオレフィン樹脂を用いることによって、上記エポキシプライマー層およびポリオレフィン層を良好に接着することができる。例えば、上記モノマーとしてカルボン酸基を含むモノマーを用いることによって、変性ポリオレフィン樹脂にカルボン酸基が導入される。変性ポリオレフィン樹脂がカルボン酸基を有することによって、カルボン酸基がエポキシプライマー層のエポキシ基と相互作用を生じることに基づく、エポキシプライマー層との接着性向上効果を付与することができる。この場合において、変性ポリオレフィン樹脂が有するオレフィン骨格が、ポリオレフィン層との構造類似による相溶性を発揮し、ポリオレフィン層との接着性向上効果が生じる。また、上記モノマーに(メタ)アクリル酸アルキルが含まれる場合は、変性ポリオレフィン樹脂に可撓性を付与することができる。
上記共重合物の具体例として、例えば、酸無水物変性ポリオレフィン樹脂(例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂)、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸メチルコポリマー、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびこれらのターポリマーなどが挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂として、市販品を用いてもよい。市販される変性ポリオレフィン樹脂として、例えば、住友精化社製のフローセンF0146(エチレン−無水マレイン酸の共重合体)、フローセンF0A523、F0A106およびQ0A208(エチレン−アクリル酸エチルの共重合体)、日本ポリエチレン社製のレクスパールETシリーズ(エチレン、無水マレイン酸およびアクリル酸メチルの共重合体)、レクスパールEAAシリーズ(エチレン−アクリル酸の共重合体)、レクスパールEEAシリーズ(エチレン−アクリル酸エチルの共重合体)、レクスパールEMAシリーズ(エチレン−アクリル酸メチルの共重合体)、ノバテックEVAシリーズ(エチレン−酢酸ビニルの共重合体)、三井化学社製のアドマーシリーズ(エチレン−無水マレイン酸の共重合体)などが挙げられる。
ポリオレフィン接着剤組成物として、例えば、粉体型接着剤組成物、溶剤型接着剤組成物などが挙げられる。
溶剤型ポリオレフィン接着剤組成物は、上記変性ポリオレフィン樹脂のうち1種またはそれ以上の樹脂、そして必要に応じた他の成分を、通常用いられる手段を用いて、溶剤中で混合することによって調製することができる。溶剤型ポリオレフィン接着剤の調製において用いることができる溶剤(有機溶媒)として、上記溶剤エポキシプライマー組成物の調製において列挙した有機溶媒などを用いることができる。
粉体型ポリオレフィン接着剤組成物は、上記変性ポリオレフィン樹脂のうち1種またはそれ以上の樹脂と、必要に応じた他の成分とを混合し、ヘンシェルミキサー、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機などを用いて溶融し、均一に混合した後、ペレットに成形し、そして得られたペレット成形物を、例えば10〜500μm、好ましくは30〜300μmの範囲の粒子径を有するように微粉砕することによって調製することができる。
粉体型ポリオレフィン接着剤組成物はまた、上記変性ポリオレフィン樹脂のうち1種またはそれ以上の樹脂をペレットに成形し、次いで微粉砕した粉体樹脂と、他の成分とを混合することによって調製することもできる。
上記接着剤組成物の調製において用いることができる、必要に応じた他の成分として、例えば、無機充てん材、防食顔料、着色顔料、体質顔料、染料、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など、および他の樹脂成分(例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、石油樹脂、天然ゴムなど)などが挙げられる。
本発明の製造方法においては、ポリオレフィン接着剤組成物を用いて、エポキシプライマー層の上にポリオレフィン接着層が形成される。すなわち本発明においては、ポリオレフィン接着層は、ポリオレフィン成形物側ではなく、鋼管に形成されたエポキシプライマー層に対して、つまり鋼管側に、形成される。ポリオレフィン接着層は、本質的にポリオレフィン構造を有しているため、例えばエポキシ樹脂などと比べて化学的により不活性である。そのため、ポリオレフィン被覆鋼管の外面において、ポリオレフィン樹脂層が存在しない隙間箇所がある場合において、ポリオレフィン接着層が最外層である場合と、エポキシ樹脂が最外層である場合とを比較した場合は、ポリオレフィン接着層が最外層である場合の方が、防食性が高くなる。
例えば上記特許文献1(特開2006−247887号公報)に記載されるようなTダイ法では、加熱溶融させたポリオレフィン樹脂層および接着層を、Tダイから共押出しして設けるのが一般的である。この方法においては、共押出しされたポリオレフィン樹脂相および接着層の1/3〜2/3程度を重ね合わせながら螺旋状に巻きつける必要があるが、この際にこの重ね合せ部に空気が残存してしまうことによる空隙部が螺旋状に形成されてしまうことがある。この空隙部は、エポキシプライマー層とポリオレフィン樹脂層および接着層とが接着していない部分となる。加熱溶融されたポリオレフィン樹脂層および接着層は、鋼管に巻き付けられた後、水で冷却して固化させる。その際に、冷却収縮により応力が生じ、ポリオレフィン接着層と密着したエポキシプライマー層には大きな応力がかかるが、接着していない部分には応力がかからない。その結果、この空隙部付近において、エポキシプライマー層に応力による歪みが生じ、エポキシプライマー層に割れが生じるおそれがある。このような割れが生じた場合、この割れから錆が生じるおそれがある。この割れを起点に錆が生じた場合は、最表層にポリオレフィン層が形成されている箇所であっても、鋼管外面側から腐食が進行してしまう。そのため、数十年にわたる長期間の使用を求められる鋼管において、防食性に優れたポリオレフィン層が設けてあるにもかかわらず、十分な防食性能が得られないおそれがある。
これに対して、本発明の製造方法では、鋼管側にポリオレフィン接着組成物を塗装するため、ポリオレフィン接着層は鋼管側に設けられることとなる。そのため、上記のような、エポキシプライマー層とポリオレフィン接着層とが密着していない箇所が発生することを回避することができる。また、本発明の製造方法では、ポリオレフィン層の融点より低い温度条件下において、ポリオレフィン層を形成することができるため、その後に冷却した場合であっても、ポリオレフィン層の収縮による応力を軽減することができ、エポキシプライマー層の割れの発生を抑制することができる。これにより、優れた防食性を得ることができるなどの利点がある。
本発明の製造方法において、ポリオレフィン接着剤組成物の塗装後に、塗装された鋼管を加熱して、ポリオレフィン接着層を形成するのが好ましい。加熱温度は、ポリオレフィン接着剤組成物中に含まれる成分および塗料形態、および被覆する鋼管の種類および大きさなどに依存して、適宜選択することができる。例えば、粉体型ポリオレフィン接着剤組成物を用いる場合は、80〜180℃で1〜20分間加熱するのが好ましく、溶剤型ポリオレフィン接着剤組成物を用いる場合は、90〜200℃で1〜20分間加熱するのが好ましい。また、粉体型ポリオレフィン接着剤組成物を用いる場合は、塗装前に鋼管を80〜180℃で1〜20分間加熱しておくことが、より好ましい。
ポリオレフィン接着剤組成物を用いて形成されるポリオレフィン接着層は、膜厚が50〜2,000μmの範囲内であるのが好ましく、100〜1,000μmの範囲内であるのがより好ましい。ポリオレフィン接着層の膜厚が上記範囲内であることによって、鋳造時または前処理時に被塗物である鋼管表面に生じた凹凸部を埋めることができ、防食性を向上させることができる。また、エポキシプライマー層とポリオレフィン層との強固な接着が可能となる。
ポリオレフィン層形成工程
ポリオレフィン層形成工程は、上記ポリオレフィン接着層形成工程で得られたポリオレフィン接着層に対して、1またはそれ以上のポリオレフィン成形物を接触させ、次いで、接触させたポリオレフィン成形物を融着させることによって、ポリオレフィン接着層の上にポリオレフィン層を形成する工程である。
本発明の製造方法における1態様として、ポリオレフィン接着層と接触させる前のポリオレフィン成形物は、平板形状を有する態様が挙げられる。この態様では、上記ポリオレフィン層形成工程において、平板形状のポリオレフィン成形物は、その両端面が対向する方向で、鋼管、すなわちポリオレフィン接着層の上に貼り付けられる。図1は、この製造方法の態様におけるポリオレフィン層形成工程を示す概略説明図である。
図1に概略的に示されるように、本発明の製造方法においては、平板形状のポリオレフィン成形物の両端面が、管軸(管長方向軸)上において、対向する方向で貼り付けられる。本発明の製造方法における1態様においては、平面形状のポリオレフィン成形物がこのように対向する方向で貼り付けられるため、鋼管を回転させながら管軸方向に移送する移送手段が不要となる。図3は、従来技術であるTダイ法によって、鋼管をポリオレフィンで被覆する方法を示す概略説明図である。図3に示されるように、Tダイ法は、予熱された鋼管を回転させながら管軸方向(管長方向)に移送させ、そしてこの回転移送される予熱鋼管に対して、溶融されたポリオレフィンを、スクリュー式押出機およびTダイを用いて帯状に押し出し、帯状ポリオレフィンを螺旋状に巻き付けていく、被覆方法である。これに対して、本発明の上記製造方法においては、ポリオレフィンを螺旋状に巻き付ける必要がないため、鋼管の管軸方向移送手段を設ける必要がない。これにより、高額な鋼管被覆設備費用を伴うことなく、良好な生産性をもって製造することができるという利点がある。
平板形状のポリオレフィン成形物を用いて被覆を行うこの態様では、ポリオレフィン成形物を予め成形するなどの特段の前処理を必要とすることなく、鋼管にポリオレフィン層を設けることができるなどの利点がある。
平板形状のポリオレフィン成形物として、例えば厚さ0.1〜30mmの範囲内である、シートまたはパネル形状のポリオレフィン成形物が挙げられる。なお本明細書における「平板形状のポリオレフィン成形物」は、厳密な意味での平板形状を意味するものではない。例えば、湾曲した形状(R形状)を有するポリオレフィン成形物であってもよい。
上記態様においては、平板形状のポリオレフィン成形物の厚さ方向の端面(断面)それぞれが対向する方向で、鋼管に貼り付けられる。この貼り付けにおいて、上記両端面は、重ね合わされた状態となってもよく、または両端面がつき合わせられた状態であって重ね合わせを含まない状態であってもよい。
例えば、上記両端面が重ね合わされた状態となるように成形物を貼り合わせた場合は、その後に、重ね合わせられた両端部の部分に対して、ローラーなどを用いて、重ね合わせられた部分を押圧することによって、継ぎ目が認識されない、平滑な表面を有する被覆鋼管を、特段の補修工程などを要することなく得ることができるといった利点がある。この態様においては、重ね合わせられた部分に空気が残存した場合であっても、鋼管の表面にはエポキシプライマー層が密着しており、かつ、その上にはポリオレフィン接着層が密着して形成されているため、優れた防食性を備えることができる。
また、両端面がつき合わせられた状態であって重ね合わせを含まない状態となるように貼り合わせた場合は、その後に、火炎溶射ガン、アーク溶射ガンまたはプラズマ溶射ガンなどを用いて、ポリオレフィン樹脂を溶射して、重ね合わせのない部分をポリエチレンで埋める方法で隙間を埋めてもよく、ヒートガンなどの熱源を用いてポリオレフィン溶接棒を溶かしながら溶接する方法で隙間を埋めてもよい。溶射または溶接に用いるポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン接着層の形成に用いた変性ポリエチレン樹脂が好ましい。
本発明の製造方法における他の1態様として、上記ポリオレフィン成形物が、上記鋼管の外面に沿った形状を有する態様が挙げられる。この態様においては、2またはそれ以上のポリオレフィン成形物を用いるのが好ましい。
上記態様においては、ポリオレフィン成形物のうち、少なくとも鋼管に貼り付けられる面が、上記鋼管の外面に沿った形状を有するように、ポリオレフィン成形物を予め成形する。具体的には、ポリオレフィン成形物は、上記鋼管の外面に対して対向して接触される曲線形状面(湾曲面)を有し、ここで、ポリオレフィン成形物の曲線形状面(湾曲面)の曲率半径と、鋼管の外面曲率半径とが略等価となるように、ポリオレフィン成形物の成形を行う。ポリオレフィン成形物の成形は、樹脂成形分野において通常用いられる手法によって成形することができる。例えば、上記平板状のポリオレフィン成形物を、任意の方法によって予め成形加工することによって調製することができる。図2は、この製造方法の態様におけるポリオレフィン層形成工程を示す概略説明図である。
なお、本明細書における「略等価」は、上記曲率半径の差異が20%未満である態様を意味する。具体的には、ポリオレフィン成形物の曲線形状面(湾曲面)の曲率半径R1および鋼管の外面曲率半径R2において、R1≧R2である場合、R1およびR2の差である△Rが、下記式
△R/R2 × 100 ≦ 20(%)
の条件を満たすこととなる態様を意味する。
この態様では、ポリオレフィン成形物に対して大きな熱履歴を供することなく、鋼管にポリオレフィン層を設けることができるなどの利点がある。これにより、表面外観に優れた被覆鋼管を製造することができるなどの利点がある。
ポリオレフィン層を形成するポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどの公知のポリオレフィン樹脂を用いることができる。上記ポリオレフィン樹脂として、硬度、防食性能および費用などの面から、高密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンを用いるのがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂の融点は、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンの場合は102〜137℃程、ポリプロピレンの場合は130〜170℃程、ポリブテンの場合は115〜135℃程、ポリメチルペンテンの場合は220〜240℃程であるのが好ましい。
ポリオレフィン層を形成するポリオレフィン樹脂として、市販品を用いてもよい。市販品として、例えば、日本ポリエチレン社製のノバテックLLシリーズ(直鎖状低密度ポリエチレン)およびノバテックHDシリーズ(高密度ポリエチレン)、旭化成ケミカルズ社製のサンテックHDシリーズ、プライムポリマー社製のハイゼックスシリーズ、東ソー社製のニポロンシリーズ、京葉ポリエチレン社製のKEIYOポリエチシリーズ、(いずれも高密度ポリエチレン)などが挙げられる。
ポリオレフィン層の厚さは、0.1〜30mmの範囲内であるのが好ましく、0.3〜10mmの範囲内であるのがより好ましく、0.5〜5mmの範囲内であるのがさらに好ましく、1〜5mmの範囲内であるのが特に好ましい。ポリオレフィン層の厚さは、ポリオレフィン樹脂の種類、ポリオレフィン成形物の形状および大きさに応じて、適宜選択することができる。
ポリオレフィン接着層とポリオレフィン成形物とを接触させて、ポリオレフィン成形物を貼り付けた後、ポリオレフィン成形物を、鋼管外面に対して略垂直となる方向から押し付けてもよい。この押し付けは、任意の形状および構造を有する押圧具を用いて行うことができる。この押し付けを行うことによって、ポリオレフィン成形物とポリオレフィン接着層との間に存在する空気を取り除くことができる。
上記工程における「ポリオレフィン成形物を融着させる」とは、ポリオレフィン成形物の少なくとも一部が軟化することによって、鋼管の外面に設けられたポリオレフィン接着剤などに対して貼り付けられる態様を意味する。例えば、上記他の1態様におけるような、ポリオレフィン成形物が鋼管の外面に沿った形状を有する場合において、ポリオレフィン成形物を融着させる段階では、ポリオレフィン成形物の変形を伴ってもよく、伴わなくてもよい。
ポリオレフィン成形物を融着させる温度条件は、ポリオレフィン接着層とポリオレフィン成形物を構成するポリオレフィン樹脂の軟化点や融点などに応じて適宜選択することができる。上記温度条件は、ポリオレフィン接着層の融点以上であり、かつ、ポリオレフィン成形物を構成するポリオレフィン樹脂の軟化点以上であって融点以下であることが好ましい。ポリオレフィン成形物を構成するポリオレフィン樹脂が高密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンである場合は、例えば、鋼管が50〜200℃に加熱された状態で行われるのが好ましく、90〜150℃に加熱された状態で行われるのがより好ましい。上記加熱は、ポリオレフィン接着層とポリエチレン成形物とを接触させる前に行われていてもよい。この態様としては、例えば、鋼管が予め加熱された状態である態様、または、ポリオレフィン接着層を設ける際に鋼管が加熱され、鋼管に余熱が残った状態である態様、などが挙げられる。また、上記加熱は、ポリオレフィン接着層とポリエチレン成形物とを接触させた後に、任意の手段により行われてもよい。
上記ポリオレフィン成形物は、必要に応じて、着色剤、無機充てん材、防食顔料、体質顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃材、帯電防止剤などを含んでもよい。着色剤として、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、黄色酸化鉄などの無機着色顔料;そして、種々の有機着色顔料、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;アゾレッド、アゾイエロー、アゾオレンジなどのアゾ系顔料;キナクリドンレッド、シンカシャレッド、シンカシャマゼンタなどのキナクリドン系顔料;ペリレンレッド、ペリレンマルーンなどのペリレン系顔料;カルバゾールバイオレット、アントラピリジン、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、インダスロンブルー、ジブロムアンザスロンレッド、アントラキノンレッド、ジケトピロロピロールなど、が挙げられる。上記ポリオレフィン成形物が着色剤を含むことによって、保管時または輸送時などにおいて必要とされる、鋼管の耐候性を向上させることができ、より好ましい。上記着色剤は、例えば、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、例えば0.05〜5質量部の範囲で用いることができる。
上記いずれかの方法によってポリオレフィン成形物を貼り付けた後、必要に応じて、上記ポリオレフィン層を構成する樹脂成分を用いて補修作業を行ってもよい。例えば、ポリオレフィン接着層などの最外層以外の層が露出している部分に対して、上記ポリオレフィン層を構成する樹脂成分(例えば、上記ポリオレフィン層を構成する樹脂成分から構成される、溶接ロッド、粉末状樹脂、樹脂ペレットなど)を、例えばホットガン、溶射ガンなどの熱機器を用いて、溶出させることによって補修する態様などが挙げられる。
上記製造方法によって、Tダイ法で必要とされる、溶融ポリオレフィン押出手段や、鋼管を回転させながら管軸方向に移送する移送手段を設けることなく、Tダイ法によって得られる被覆鋼管と同程度の防食性能を有するポリオレフィン被覆鋼管を製造することができる。本発明の製造方法は、良好な防食性能を有するポリオレフィン被覆鋼管を、高額な鋼管被覆設備費用を伴うことなく、良好な生産性をもって製造することができるという利点がある。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
実施例1
ダクタイル鋳鉄管の前処理
外径120mm、内径105mmのダクタイル鋳鉄管の外表面に、ショットブラスト処理を施したのち、亜鉛溶射処理を行った。内面にはモルタル処理を施した。
エポキシプライマー層形成工程
上記表面処理を施したダクタイル鋳鉄管の外表面に、溶剤エポキシプライマー組成物(ニッペプライマーNo.277;日本ペイント・インダストリアルコーティングス社製)を、乾燥膜厚が60μmとなるようにスプレー塗装し、次いで180℃で5分間加熱して、エポキシプライマー層を形成した。
ポリオレフィン接着層形成工程
上記エポキシプライマー層が形成されたダクタイル鋳鉄管表面を、鋳鉄管表面が130℃になるまで昇温炉で加熱し、そして、膜厚500μmとなるように、粉体型ポリオレフィン接着剤組成物(エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸メチル共重合体:レクスパールET530Hを含む)を静電塗装した。再度、昇温炉で130℃まで加熱し、ポリオレフィン接着層を形成した。
ポリオレフィン層形成工程
厚さ3mmのポリオレフィンシートを125℃に加熱し、ダクタイル鋳鉄管と同じ曲率半径である60mmを有する半円状の形態に予め加工して用いた。ポリオレフィンシートは、ポリエチレンとしてノバテックHD HE122R(日本ポリエチレン社製の高密度ポリエチレン)に、着色剤としてダイカラーマスターPE−M AZ90086(大日精化工業社製のカーボンブラックマスターバッチ;樹脂60質量部に対してカーボンブラックを40質量部含む)を、ポリエチレン:マスターバッチ=94:6で配合したものを用いた。
上記ポリエチレン接着層が形成されたダクタイル鋳鉄管を、鋳鉄管表面が130℃になるまで加熱した後、上記ポリオレフィン成形物(2つ)を、鋳鉄管表面に対して、図2に示すように両方向から押し付けて、ポリオレフィン接着層に対してポリオレフィン成形物を接触および融着させ、ポリオレフィン被覆鋼管を得た。ポリオレフィン成形物を接触させる際に、気泡が残らないように、ローラーでポリオレフィン成形物を押し付けながら、貼り付けを行った。
実施例2
実施例1のポリエチレン接着層の形成に用いた材料を、アクリル酸変性ポリエチレンであるレクスパールEAA A211M(日本ポリエチレン社製、エチレン−アクリル酸共重合体、MFR(メルトフローレート):7g/10min)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリオレフィン被覆鋼管を得た。
実施例3
実施例1のポリエチレン接着層の形成に用いた材料を、アクリル酸変性ポリエチレンであるレクスパールEAA A221S(日本ポリエチレン社製、エチレン−アクリル酸共重合体、MFR(メルトフローレート):25g/10min)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリオレフィン被覆鋼管を得た。
実施例4
実施例1のポリオレフィンシートを、予め形態加工することなく平板形状のまま用いた。
実施例1で用いたダクタイル鋳鉄管に対して、実施例1と同様の手順により、ダクタイル鋳鉄管の前処理、エポキシプライマー層形成およびポリオレフィン接着層形成を行った。
得られたポリオレフィン接着層を有するダクタイル鋳鉄管を、鋳鉄管表面が130℃になるまで加熱した後、上記平板形状のポリオレフィン成形物を、鋳鉄管表面に対して、図1に示すように押し付けて、ポリオレフィン接着層と、ポリオレフィンシートとを接触させて、ポリオレフィンシート(ポリオレフィン成形物)を貼り付けた。その後、ポリオレフィン成形物を、鋳鉄管外面に対して略垂直となる方向から、ローラーを用いて押し付けていき、鋳鉄管に沿った形状となるようにポリオレフィン成形物を変形させながら、貼り付けた。こうして、エポキシプライマー層、ポリオレフィン接着層およびポリオレフィン層を有するポリオレフィン被覆鋼管を得た。
比較例1
ポリオレフィン層を粉体塗装で作製したこと以外は、実施例1と同様の方法によって、ポリオレフィン被覆鋼管を製造した。
ポリオレフィン接着層が形成されたダクタイル鋳鉄管を、実施例1と同様の手順で得た。得られたポリオレフィン接着層が形成された鋳鉄管を、130℃に加熱して、ポリエチレン粉体であるフローセンF01029黒(住友精化社製、平均粒子径D50が170μmである直鎖状低密度ポリエチレン粉体)を、静電塗装機を用いて膜厚1mmとなるように塗装した。この塗装工程を3回繰り返して、膜厚3mmとなるまで塗装し、130℃に加熱してポリオレフィン層被覆鋼管を得た。
比較例1の方法によって形成された、ポリオレフィン層であるポリエチレン層は、被覆表面において、塗装時に巻き込まれた空気が原因の気泡が多数存在することが確認された。ポリエチレン層の断面を確認したところ、その断面にも多くの気泡がある事が確認された。
参考例
Tダイ式のポリオレフィン被覆ダクタイル鋳鉄管は大口径管であるため、Tダイ式を模した作製方法で試験片を作製した。
実施例1と同様にエポキシプライマー層を形成したダクタイル鋳鉄管を、予め90℃に加熱し、以下に示す方法で、ポリオレフィン接着層とポリオレフィン層を重ね合わせた二層一体シートを、二層共押し成型機で押し出し、エポキシプライマー層を形成した鋳鉄管表面に螺旋状に被覆した。この際に、二層一体シートの短手方向端部接着層を、鋳鉄管の菅軸方向(管長方向)に対し30度傾けて鋳鉄管表面に押し付け、かつ、鋳鉄管を回転させながら菅軸方向に移送するために、鋳鉄管を手動で回転させながら菅軸方向に移動させて、二層一体シートを鋳鉄管に巻き付けた。
上記二層一体シート(大きさ300mm×210mm、全体の厚さ3.7mm(ポリオレフィン接着層0.7mm、ポリオレフィン層3.0mm))を140℃で加熱溶融させ、短手方向端部接着層をダクタイル鋳鉄管に押し付けた後、シートの厚さが1mmになるまで引き延ばしながら、短手方向に140mm程度重なり合うように螺旋状に鋳鉄管に巻き付け、ポリオレフィン層の厚さが3mmであるポリオレフィン被覆鋼管を得た。上記二層一体シートを巻き付ける際、ローラーで二層一体シートを押しつけながら巻き付けを行った。
上記二層一体シートは、ポリオレフィン接着層を下層(エポキシプライマー層を形成したダクタイル鋳鉄管側)とし、ポリオレフィン接着層およびポリオレフィン層の形成には、実施例1と同じ材料を用いた。
上記実施例および比較例によって製造されたポリオレフィン被覆鋼管について、以下の評価を行った。評価結果を下記表に示す。
得られたポリオレフィン被覆鋼管の外面の外観評価
ポリオレフィン被覆鋼管の外面の外観を、下記の基準に従って目視評価した。
○:気泡などの欠陥なし
△:僅かに気泡などの欠陥が見られる
×:全面に気泡などの欠陥が見られる
密着性試験(ピール強度試験方法)
JIS G 3477の規定に準拠して試験を行った。
得られたポリオレフィン被覆鋼管を、パイプ切断機で長さ50mmに切断し、ポリオレフィン被覆層に、カッターナイフで鋼管素地に達するまで切り込み傷を円周方向に沿って10mm幅で入れた。被覆層の一部を剥離させて、この部分を治具つかみ部とし、剥離角90度、剥離速度10mm/分で被覆層を鋼管から剥がし、ピール強度を測定した。なお、測定機器は荷重測定器LTS−200N−S100(ミネベア社製)を使用し、環境温度25℃で実施した。
測定したピール強度が1kgf/cm以上である場合を「○」と評価し、1kgf/cm未満である場合を「×」と評価した。
硬度評価(押し込み深さ試験方法)
JIS G 3477の規定に準拠して試験を行った。
得られたポリオレフィン被覆鋼管に、端面が滑らかな直径1.8mm(断面積2.5mm)の金属ピンを押し当て、全体加重10N/mmで押込み深さを測定した。なお、押込みには、前記の形状に加工した金属ピンを取り付けたアルミ板に全体で2.5kgになる様に重りを乗せ、金属ピンがポリオレフィン層に押し付けられる様にガイド棒で支え、環境温度23±2℃で、24時間後に押込み深さを深さゲージで測定した。
測定した押し込み深さの値が3mm未満である場合を「○」と評価し、3mm以上である場合を「×」と評価した。
防食性評価(被覆層抵抗測定)
本発明において、得られたポリオレフィン被覆鋼管の防食性の評価として、鋼管外面に被覆したポリオレフィン被覆層(被覆層)の抵抗値として被覆層抵抗を測定した。
図4は、被覆層抵抗の測定装置を模式的に示す図である。被覆層抵抗測定法(高抵抗計法)によって、被覆層抵抗値(単位面積当たりのポリオレフィン被覆層の電気抵抗値)を測定し、ポリオレフィン被覆層が有する腐食電流の遮断機能、すなわち、ポリオレフィン被覆層の遮断性を評価することができる。なお、ポリオレフィン被覆層は、被覆層抵抗値が高いほど水などの極性分子を遮断することができ、防食性に優れることを意味する。
図4において、ポリオレフィン被覆層(21)を有する鋼管(22)を測定セル(23)に配置し、測定セル(23)内に試験液(塩水またはイオン交換水)(24)を充填する。測定セル(23)は白金電極(25)を備え、白金電極(25)および鋼管(22)は高抵抗計(28)と電気的に接続されている。また、測定セル(23)は、温度センサ(26)を備え、温度センサ(26)は温度計(27)と電気的に接続されている。温度計(27)および高抵抗計(28)は、電子計算機(29)と電気的に接続されている。
温度センサ(26)および温度計(27)から得られた温度情報に基づき、電子計算機(29)を介して、恒温槽またはヒーター(図4において簡略化のため省略)などの加熱手段を用いて測定セル(23)内の温度を30℃〜70℃の間で一定に維持する。電源(図4において簡略化のため省略)を用いて鋼管(22)と電極(25)との間に電圧を印加し、高抵抗計(28)からの電圧および電流に関する情報に基づいて、電子計算機(29)を用いてポリオレフィン被覆層の被覆層抵抗値を決定する。
上記実施例などにより得られたポリオレフィン被覆鋼管の被覆層抵抗の測定は、下記の通り行った。
図4に模式的に示す被覆層抵抗の測定装置を用いて被覆層抵抗を測定した。図4において、ポリオレフィン被覆層(21)を有する鋼管(22)は、得られたポリオレフィン被覆鋼管を7cm角に切り出した試験片に相当し、高抵抗計(28)は6517A ELECTROMETER/HIGH RESISTANCE METER(KEITHLEY社製)を用いた。
なお、測定セルは内径4cmのアクリル管であり、前記測定セルの底部は鋼管の曲率半径に合わせた加工を施した。また、ポリオレフィン被覆層と試験液の接触面積は12.56cmであり、試験液が漏れないように測定セルとポリオレフィン被覆層の間にはシリコン製のゴムリングを備えている。
測定条件は以下の通りである。
上記試験片を測定セルに設置し、その後、測定セルに試験液(0.1MのNaCl水溶液)を50mL注入した。測定セルを恒温槽(40℃)に配置し、セル内の液温を40℃で維持した。
試験片と電極との間に50Vの交流電圧(波高:±50V、波長:1分の矩形波パルス)を1分間印加し、被覆層抵抗値(10Ω・m)を測定した。5回測定後の平均値を被覆層抵抗値とした。
被覆層抵抗値が10Ω・mより大きい場合を「防食性○」、10Ω・mより小さい場合を「防食性×」と評価した。
Figure 2017170850
本発明の製造方法によって得られたポリオレフィン被覆鋼管は、いずれも、被覆表面(外面)の外観が良好であった。さらに、密着性、硬度および防食性も良好であった。
比較例1によって得られたポリエチレン被覆鋼管は、粉体塗装によるポリオレフィン層形成時において、空気が巻き込まれてしまい、表面上に気泡が散見された。また、得られたポリオレフィン層は、主として直鎖状低密度ポリエチレンで構成されるものであるため、押し込み深さの値が大きく、硬度が低いことが確認された。
参考例は、Tダイ式を模した作成方法によってポリオレフィン被覆鋼管を製造した例である。この参考例では、外観、密着性、硬度および防食性に優れた被覆鋼管を得ることができた。一方で、二層一体シートを螺旋状に被覆する際に、ダクタイル鋳鉄管を回転させながら管軸方向(管長方向)に移送するため、鋳鉄管を手動で回転させながら管軸方向に移動させる必要があった。
本発明の製造方法は、良好な防食性能を有するポリオレフィン被覆鋼管を、高額な鋼管被覆設備費用を伴うことなく、良好な生産性をもって製造することができるという産業上の利点がある。
1:エポキシプライマー層およびポリオレフィン接着層を有する鋼管、
3:ポリオレフィン成形物、
10:ポリオレフィン被覆鋼管、
21:ポリオレフィン被覆層、
22:鋼管、
23:測定セル、
24:塩水またはイオン交換水、
25:電極、
26:温度センサ、
27:温度計、
28:高抵抗計、
29:電子計算機。

Claims (9)

  1. ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法であって、下記工程、
    鋼管の外面に、エポキシプライマー層を形成する、エポキシプライマー層形成工程、
    得られたエポキシプライマー層の上に、ポリオレフィン接着剤組成物を塗装して、ポリオレフィン接着層を形成する、ポリオレフィン接着層形成工程、および、
    前記ポリオレフィン接着層と、1またはそれ以上のポリオレフィン成形物とを接触させ、次いで前記ポリオレフィン成形物を融着させることによって、ポリオレフィン層を形成する、ポリオレフィン層形成工程、
    を包含する、
    製造方法。
  2. 前記ポリオレフィン接着層と接触させる前のポリオレフィン成形物は、平板形状を有し、および、
    前記ポリオレフィン層形成工程において、前記ポリオレフィン成形物の両端面が対向する方向で、前記鋼管に貼り付けられる、
    請求項1記載の製造方法。
  3. 前記ポリオレフィン層形成工程において、前記鋼管の外面に沿った形状を有するポリオレフィン成形物を、2またはそれ以上用いて、ポリオレフィン層を形成する、請求項1記載の製造方法。
  4. 前記ポリオレフィン成形物は、前記鋼管の外面に対して対向して接触される曲線形状面を有し、前記曲線形状面の曲率半径と、前記鋼管の外面曲率半径とが略等価である、請求項3記載の製造方法。
  5. 前記ポリオレフィン接着剤組成物が、粉体型接着剤組成物または溶剤型接着剤組成物である、請求項1〜4いずれかに記載の製造方法。
  6. 前記ポリオレフィン接着剤組成物が、エチレンと、不飽和二重結合を有するカルボン酸、不飽和二重結合を有するカルボン酸の無水物、(メタ)アクリル酸アルキルおよび酢酸ビニルからなる群から選択される1種またはそれ以上のモノマーとの共重合物である変性ポリオレフィン樹脂を含む、請求項1〜5いずれかに記載の製造方法。
  7. 前記エポキシプライマー層は、バインダーエポキシ樹脂および硬化剤を含むエポキシプライマー組成物を塗装して形成された層である、請求項1〜6いずれかに記載の製造方法。
  8. 前記ポリオレフィン成形物の融着は、鋼管が50〜200℃に加熱された状態で行われる、請求項1〜7いずれかに記載の製造方法。
  9. 前記ポリオレフィン成形物は、着色剤を含む、請求項1〜8いずれかに記載の製造方法。
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