JP2017170588A - 基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、および転写用マスクの製造方法 - Google Patents

基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、および転写用マスクの製造方法 Download PDF

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【課題】局所加工を行った後の基板の主表面に対して行う研磨工程(「仕上げ研磨工程」)に適用可能で、新たな欠陥が発生することを抑制することが可能な研磨方法を実現させる。【解決手段】研磨パッドが設けられた上定盤および下定盤を備える研磨装置を用い、キャリア50は、内キャリア55と外キャリア51とからなり、前記上定盤および下定盤の間に1枚のみ配置され、前記内キャリアは、前記基板保持部50aを有し、前記基板保持部の中心O2と同心の円形状の外周を有し、前記外キャリアは、前記内キャリアを回動自在に保持する内キャリア保持部52を有し、基板保持部の中心からずれた位置を中心とする円形状の外周を有し、かつ前記外周にギアを備え、前記外キャリアの外周のギアは、サンギアおよびインターナルギアとそれぞれ噛み合っており、前記外キャリアは、前記下定盤側の面に凸部が複数設けられていることを特徴とする基板の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、および転写用マスクの製造方法に関する。
従来、マスクブランク用基板の製造において、インゴットから所定の形状に切り出された基板の主表面に対し、研削工程および研磨工程が行われる。基板の主表面を研磨する研磨工程では、特許文献1に開示されているような両面研磨装置を用いて基板の2つの主表面を同時に研磨するのが一般的である。基板の主表面の研磨工程では、多段階の研磨工程が行われ、2つの主表面が所定値以下の平坦度、表面粗さを有し、所定以上の大きさの表面欠陥(凸状欠陥または凹状欠陥)のないマスクブランク用基板が製造される。この基板の2つの主表面を研磨する多段階の研磨工程は、例えば、酸化セリウム等の研磨材を用いる研磨工程が行われた後、コロイダルシリカ等の研磨材を用いる研磨工程が行われる。
近年、マスクブランク用基板に対する主表面の平坦度の要求値が厳しく、特許文献2に開示されているような局所加工による平坦度制御工程を含む製造方法が用いられ始めている。この特許文献2に開示されている基板の製造方法は、主表面が研磨された基板を準備する準備工程と、その基板の主表面の表面形状を平坦度測定機で測定する凹凸形状測定工程と、その測定結果に基づいてその基板の主表面の凸部位に対して局所加工を施す平坦度制御工程と、局所加工後の基板の主表面に対して研磨を行う研磨工程とを有するものである。この局所加工後の研磨は、局所加工することによって生じる基板の主表面の表面荒れの改善や、反応生成物等の欠陥の除去を主たる目的に行われる。
一方、特許文献3に開示されているガラス基板の研磨装置も存在する。この研磨装置は、ガラス基板の一方の主表面を研磨する片面研磨装置に関するものである。ガラス基板の他方の主表面と端面を基板保持部材に固定し、基板保持部材を回転させながら回転する研磨定盤の研磨パッドに当接させることでガラス基板の一方の主表面を研磨するものである。
特開2004−249444号公報 特開2004−310067号公報 国際公開2013/065491号公報
特許文献1に開示されているように、両面研磨装置は、1枚のキャリアが複数の基板を保持することが可能な構造になっており、そのキャリアが定盤上に複数配置された構成を有している。このような構成を有することによって、両面研磨装置での1回の研磨工程の実行(1バッチ)で多数の基板の主表面を同時に研磨することが可能となっている。これによって、研磨工程での高いスループットが実現されている。しかし、1バッチで両面研磨する前の各基板の板厚を同一とすることが困難である。また、その両面研磨する前の基板の主表面形状も各基板間でのバラつきをなくすことは困難である。さらに、この両面研磨装置での研磨工程で両面研磨される全ての基板が定盤上で同じ軌道を動くようにすることも困難である。これらの事情などが影響することで、両面研磨装置で複数の基板を同時に研磨した場合、研磨後の各基板の板厚や主表面形状のバラつきが起こることは避け難い。
特許文献2に開示されているように、両面研磨工程が行われた後の基板の主表面に対して局所加工による形状修正工程を行うことで主表面の平坦度を大幅に高めることは可能である。しかし、局所加工を行った後の基板の主表面は表面荒れや欠陥が発生しているため、少なくともその主表面に対して研磨工程を行う必要がある。特許文献2の製造方法では、その研磨工程にフロートポリッシング法等によって基板の局所加工を行った側の主表面に対して片面研磨を行っている。この従来の片面研磨は、基板の研磨を行う側の主表面とは反対側の主表面を保持具等で保持した状態で行われる。しかし、基板の反対側の主表面を保持具で保持するときに、保持具の基板との接触面と基板の反対側の主表面との間に異物が入り込むことで、基板の反対側の主表面を異物が傷つけることで新たな凹状欠陥を生じさせてしまう恐れがある。さらに、その異物がコロイダルシリカの場合、基板の反対側の主表面に固着することで新たな凸状欠陥を生じさせてしまう恐れがあり、問題となっていた。
一方、上記の局所加工による形状修正工程に特許文献3に開示されている片面研磨装置を適用することも可能である。この特許文献3の片面研磨装置は、研磨パッドが貼り付けられた定盤が研磨パッドの表面が上方になる方向で配置された状態で自転し、その研磨パッドの表面に対して、基板の研磨する側の主表面を下側にした状態で当接させることで基板の主表面を片面研磨するようになっている。しかし、このような片面研磨装置は、研磨パッド上および内部に、研磨砥粒が硬化してできた固形物や基板を研磨したときに発生する加工片などの異物が滞留しやすく、その異物が基板の主表面に当接して新たな欠陥を発生させる恐れがあり、問題となっていた。また、この特許文献3に記載の片面研磨装置の場合も基板の裏側の主表面を基板保持部材で固定する必要があるため、裏側の主表面に新たな凹状欠陥や凸状欠陥を生じさせる恐れがあり、問題となっていた。
本発明者らは、局所加工を行った後の基板の主表面に対して行う研磨工程(以下、「仕上げ研磨工程」という)に適用可能な研磨方法であって、平坦度を悪化することなくその主表面の表面荒れの改善や欠陥の除去を行うことができ、さらにその基板の2つの主表面に新たな欠陥が発生することを抑制することが可能な研磨方法を実現させることを目的に、鋭意研究を行った。
従来のいずれの片面研磨装置も基板の研磨する側とは反対側の主表面を保持部材で保持する必要があり、それに起因する欠陥の発生を抑制することが困難である。この点を考慮すると、仕上げ研磨工程では、基板の2つの主表面が回転する上定盤および下定盤の各研磨パッドにそれぞれ当接しながら、キャリアで基板を保持する両面研磨装置の構成を適用することが好ましい。
次に、両面研磨装置の下定盤は、特許文献3の片面研磨装置の定盤の場合と同様、研磨パッド上および内部に、研磨砥粒が固化してできた固形物や基板を研磨したときに発生する加工片などの異物が滞留しやすい。この点を考慮すると、仕上げ研磨工程では、基板の局所加工を行った側の主表面を両面研磨装置の上定盤側で研磨することが好ましい。
次に、局所加工後の基板の主表面に対して行う研磨工程では、主表面の平坦度を悪化させないようにする必要があるため、研磨取り代が従来の両面研磨装置で基板の主表面に対して両面研磨するときの研磨取り代に比べて大幅に小さい。従来の両面研磨装置のように、一度に複数枚の基板に対して同時に両面研磨を行うのでは、基板間での仕上がりに差が生じやすい。この点を考慮すると、仕上げ研磨工程では、1回(1バッチ)で研磨する基板は1枚とし、定盤上には1枚のキャリアを配置し、その1枚のキャリアには1枚の基板のみ保持することが好ましい。
次に、その基板の中心がキャリアの回転軸と同心になるような状態でキャリアに保持されていると、基板の中心の位置にある主表面は定盤の中心から同一距離の円周の研磨パッドに当接し続ける状態になるため、好ましくない。この点を考慮すると、基板の中心とキャリアの回転軸の中心とはずれた位置関係にすることが好ましい。
次に、マスクブランク用基板は、矩形状の主表面を有するのが一般的である。キャリアの基板保持部をその基板の形状と同じにすると、キャリアに保持された基板は、キャリアの回転に伴い、キャリアの回転軸を中心に公転するが、基板の中心を軸として自転することができない。この点を考慮すると、キャリアを、基板保持部を有する内キャリアと内キャリアを回動自在に保持する内キャリア保持部を有する外キャリアとからなる構造とすることが好ましい。さらに、内キャリアは円形の外周形状とし、内キャリアの中心と矩形状の基板保持部(およびそれに保持される基板)の中心とを同心とし、外キャリアの回転軸と内キャリア保持部の中心とがずれた位置関係にすることが好ましい。
これらの対策によって、これらの対策をしない場合に比べ、平坦度の悪化をより抑制することができる。
以上の多方面からの検討の結果、本発明者らは、局所加工を行った基板の主表面に対して上記の全ての条件を満たすように研磨を行えば、基本的に、平坦度を悪化させることなくその主表面の表面荒れの改善や欠陥の除去を行うことができ、さらにその基板の2つの主表面に仕上げ研磨工程に起因する新たな欠陥が発生することを抑制することができるという考えに到達した。
具体的は、以下の(1)〜(8)の全ての条件を満たすような条件で研磨を行う基板の製造方法である。
(1)研磨パッドが設けられた上定盤および下定盤を備える研磨装置を用いる。
(2)上定盤および下定盤の間に矩形状の開口である基板保持部を有するキャリアに主表面が矩形状の基板を1枚配置し、基板の少なくとも上定盤側の主表面を研磨する。
(3)研磨装置は、上定盤および下定盤の回転軸と同心のサンギアとインターナルギアを備える。
(4)上定盤は、供給穴を備え、供給穴から上定盤側の研磨パッドへ研磨液が供給される。
(5)キャリアは、内キャリアと外キャリアとからなり、上定盤および下定盤の間に1枚のみ配置される。
(6)内キャリアは、基板保持部を有し、基板保持部の中心と同心の円形状の外周を有する。
(7)外キャリアは、内キャリアを回動自在に保持する内キャリア保持部を有し、基板保持部の中心からずれた位置を中心とする円形状の外周を有し、かつ前記外周にギアを備える。
(8)外キャリアの外周のギアは、サンギアおよびインターナルギアとそれぞれ噛み合っている。
ところで、前述したように、従来の両面研磨装置は、複数枚の基板を保持可能なキャリアを定盤上に複数個配置するようになっており、1バッチの研磨工程で数多くの基板を同時に両面研磨できるようになっている。しかし、多数の基板を同時に研磨する場合、定盤上に配置する基板同士の厚さや表面形状のバラつきが大きくなる傾向になることが避け難い。この点を考慮して従来の両面研磨装置は、上定盤と回転軸が完全には固定されておらず、ユニバーサルジョイントを介して接続されている(例えば、特開2014−24168号公報参照。)。これにより、研磨装置の稼働前の状態では、上定盤と下定盤の両研磨面(定盤面≒研磨パッド面)の平行度を高く調整していても、研磨装置で多数の基板を同時研磨しているときは、基板の厚さや表面形状のバラつきに対して、上定盤が追従できるようになっている。
一方、上記で到達した本発明に係る構成(1)〜(8)を有する研磨装置の場合、下定盤上に配置されるキャリアは1枚だけになる。このような構成の研磨装置の場合、従来の両面研磨装置のように上定盤とその回転軸とをユニバーサルジョイントを介して接続すると、基板を研磨しているときに上定盤と下定盤の両研磨面間の平行度が大きく悪化する場合がある。この点を考慮すると、キャリアが1枚の構成の研磨装置の場合、上定盤とその回転軸とは固定接続することが好ましいことを思いついた。しかし、上定盤とその回転軸とを固定接続した場合、基板によっては研磨中に研磨パッドの研磨液不足に起因して異音(鳴き)が発生し、問題となっていた。この現象が顕著になると、研磨後の基板の端面にキズが発生してしまっていた。
本発明者らは、この問題を解決すべく鋭意研究を行った。まず、この研磨中の異音は、下定盤側の研磨パッドの研磨液不足に起因することを突き止めた。また、下定盤側の研磨パッドの研磨液不足は、上定盤をその回転軸に対して固定接続していることに起因していることも突き止めた。基板の研磨に与える影響を小さくするために、キャリアは一定以上の剛性が必要になる。特に、研磨材にコロイダルシリカを用いる研磨工程では、キャリアの材料に金属を用いると、キャリアから溶解した金属成分が研磨液に影響して基板の主表面に研磨材が固着する等の問題が生じる。このため、キャリアは樹脂で形成され、剛性を確保するためにキャリアの厚さは、研磨対象物の基板の厚さよりは薄いができるだけ厚くする必要がある。研磨装置での基板の両面研磨時は、上定盤の荷重が掛かるため、上定盤と下定盤の両方の研磨パッドで沈み込みが発生するため、研磨パッドとキャリアが接触することは避け難い。従来の両面研磨装置の場合、上定盤とその回転軸がユニバーサルジョイントによって揺動可能に接続されており、このことが研磨パッドとキャリアとの接触の強さを弱める方向に機能していた。しかし、本発明の研磨装置の場合、上定盤と回転軸が固定接続されているため、研磨パッドとキャリアとの接触を弱めることができない。以上の事情によって、下定盤側の研磨パッドとキャリアの下面とが強く接触し、キャリアが下定盤側の研磨パッドから研磨液を掻き取る作用が従来よりも強くなり、下定盤側の研磨パッドの研磨液不足が発生しているものと思われる。
本発明者らは、この問題を解決すべくさらに研究を重ねた結果、外キャリアの下定盤側の面(研磨装置に設置した時に下定盤の研磨パッドと対向する側の面)に凸部を複数設けることを思いついた。また、外キャリアの下定盤側の面に形成する凸部は、外キャリアの外周に沿って同心円状に複数配置することも思いついた。
外キャリアに上記のような凸部を設けた研磨装置を用い上記全ての条件を満たすような条件で、基板の主表面を研磨してみたところ、異音の発生を抑えることができた。また、研磨後の基板の端面を確認したところ、新たなキズの発生もなかった。
以上のような検討の結果、本発明者らは、局所加工を行った基板の主表面に対して上記の全ての条件を満たすように研磨を行えば、平坦度を悪化させることが少なく、基板の主表面の表面荒れの改善や欠陥の除去を行うことができ、さらにその基板の2つの主表面に仕上げ研磨工程に起因する新たな欠陥および異音(鳴き)の発生に起因する新たな欠陥(特に、基板の端面にキズ)が発生することを抑制することができるという結論に至った。
具体的は、前述の(1)〜(8)の全ての条件に加え以下の全ての条件を満たすような条件で研磨を行う基板の製造方法である。
(9)上定盤は、上定盤を回転させる回転軸に固定されている。
(10)外キャリアは、前記下定盤側の面に凸部が複数設けられている。
本明細書において、「基板の製造方法」について説明した内容は、「マスクブランク用基板の製造方法」についてもそのまま適用される。
本明細書においては、「基板の製造方法」の箇所を、「マスクブランク用基板の製造方法」に置き換えた内容が全て含まれる。
本発明は、以下の構成を有する。
(構成1)
研磨パッドが設けられた上定盤および下定盤を備える研磨装置を用い、前記上定盤および下定盤の間に矩形状の開口である基板保持部を有するキャリアに主表面が矩形状の基板を1枚配置し、前記基板の少なくとも前記上定盤側の主表面を研磨する研磨工程を有する基板の製造方法であって、
前記研磨装置は、前記上定盤および前記下定盤の回転軸と同心のサンギアとインターナルギアを備え、
前記上定盤は、前記上定盤を回転させる回転軸に固定されており、
前記上定盤は、供給穴を備え、前記供給穴から前記上定盤側の研磨パッドへ研磨液が供給され、
前記キャリアは、内キャリアと外キャリアとからなり、前記上定盤および前記下定盤の間に1枚のみ配置され、
前記内キャリアは、前記基板保持部を有し、前記基板保持部の中心と同心の円形状の外周を有し、
前記外キャリアは、前記内キャリアを回動自在に保持する内キャリア保持部を有し、前記基板保持部の中心からずれた位置を中心とする円形状の外周を有し、かつ前記外周にギアを備え、
前記外キャリアの外周のギアは、前記サンギアおよび前記インターナルギアとそれぞれ噛み合っており、
前記外キャリアは、前記下定盤側の面に凸部が複数設けられていることを特徴とする基板の製造方法。
(構成2)
前記凸部は、前記下定盤側の面に前記外キャリアの外周に沿って設けられていることを特徴とする構成1記載の基板の製造方法。
(構成3)
前記凸部が設けられている部分における前記外キャリアの最大厚さは、前記基板の厚さよりも薄いことを特徴とする構成1または2に記載の基板の製造方法。
(構成4)
前記凸部が設けられていない部分における前記外キャリアの厚さは、前記基板の厚さの1/2以上であることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の基板の製造方法。
(構成5)
前記研磨液は、研磨材にコロイダルシリカを含むことを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の基板の製造方法。
(構成6)
前記コロイダルシリカは、平均粒子径D50が100nm未満であることを特徴とする構成5記載の基板の製造方法。
(構成7)
前記上定盤側の主表面は、前記基板を用いてマスクブランクを製造するときにパターン形成用薄膜が形成される側の主表面であることを特徴とする構成1から6のいずれかに記載の基板の製造方法。
(構成8)
前記研磨工程は、前記サンギアおよび前記インターナルギアが回転することにより、前記外キャリアが前記研磨装置の外から見た絶対位置で所定位置に留まりつつ、自らの中心を軸に定盤上で自転することで1枚の前記基板の少なくとも前記上定盤側の主表面を研磨することを特徴とする構成1から7のいずれかに記載の基板の製造方法。
(構成9)
構成1から8のいずれかに記載の基板の製造方法で製造した基板の前記上定盤側の主表面に、パターン形成用薄膜を形成する工程を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成10)
構成9記載のマスクブランクの製造方法で製造したマスクブランクを用いる転写用マスクの製造方法であって、
ドライエッチングによって前記パターン形成用薄膜に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
本発明によれば、局所加工を行った後の基板の主表面に対して行う研磨工程(「仕上げ研磨工程」)に適用可能な研磨方法であって、平坦度を悪化することなくその主表面の表面荒れの改善や欠陥の除去を行うことができ、さらにその基板の2つの主表面および基板の端面に新たな欠陥が発生することを抑制することが可能な研磨方法を実現させることができる。
本発明によれば、上記本発明に係る研磨方法を使用する基板の製造方法、およびマスクブランクの製造方法を提供できる。
本発明によれば、上記本発明に係る研磨方法の使用による基板の品質向上を通じて、マスクブランク用基板の品質向上、マスクブランクの品質向上および転写用マスクの品質向上を図ることができる。
遊星歯車方式の研磨装置の概略構成を示す断面図である。 サンギア、インターナルギアおよびキャリアの歯合関係を示す平面図である。 キャリアの概略構成を示す断面図である。 外キャリアの裏面図である。 図4のA−A線断面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[研磨装置]
本発明の基板の製造方法では、研磨パッドが設けられた上定盤および下定盤を備える研磨装置を用いる。
図1は、遊星歯車方式の研磨装置の断面図、図2は、サンギア、インターナルギアおよびキャリアの歯合関係を示す平面図である。
これらの図に示すように、研磨装置は、下定盤10、上定盤20、サンギア(太陽歯車)30、インターナルギア(内歯歯車)40、キャリア(遊星歯車)50、研磨液供給部60などで構成される。
下定盤10は、円環状の水平な上面を有する円盤部材であり、その上面には研磨パッド11が貼り付けられている。下定盤10の下面は、垂直軸A(研磨加工部の中心を通る垂直軸)を中心として回転可能な下部支持部材12に固定されている。下部支持部材12は、下定盤回転駆動部13と連係されており、その駆動に応じて、下定盤10および下部支持部材12が回転動作される。
なお、下定盤10は、回転不能に固定されていてもよい。
上定盤20は、円環状の水平な下面を有する円盤部材であり、下定盤10と対向する下面には、研磨パッド21が貼り付けられている。上定盤20の上面は、垂直軸Aを中心として回転可能な上部支持部材22に連結されている。上部支持部材22は、上定盤回転駆動部23に連係されており、その駆動に応じて、上定盤20および上部支持部材22が回転動作される。
また、上定盤20および上部支持部材22は、垂直軸Aに沿って昇降自在に支持されるとともに、図示しない連結具を介して上定盤昇降駆動部24の駆動に応じて昇降動作される。
サンギア30は、研磨加工部の中央位置に回転可能に設けられており、サンギア回転駆動部31の駆動に応じて、垂直軸Aを中心として回転動作される。
サンギア30は、側面部に歯列が一体形成された平歯車とすることができ、ピン歯車等とすることもできる。
なお、インターナルギア40を回転動作させる場合は、サンギア30を回転不能に固定してもよい。
インターナルギア40は、内周側に歯列を有するリング状の歯車であり、サンギア30の外方に同心円状に配置されている。
インターナルギア40は、垂直軸Aを中心として回転可能とし、インターナルギア回転駆動部(図示せず)の駆動に応じて、回転動作される。
また、インターナルギア40においても、平歯車のほか、ピン歯車等を用いてもよい。
なお、サンギア30を回転動作させる場合は、インターナルギア40を回転不能に固定してもよい。
キャリア(遊星歯車)50は、外周部に歯列を有する薄板状の円盤部材であり、被研磨加工物である基板Wを保持するための基板保持部(ワーク保持孔)50aが1個形成されている。
キャリア50の詳細については、後述する。
研磨加工部には、複数個のキャリア50が配置されるのが通常であるが、本発明ではキャリア50は1枚(1つ)だけ配置される。
キャリア50は、サンギア30およびインターナルギア40に噛み合い、サンギア30またはインターナルギア40の回転に応じて、サンギア30の周囲を公転しつつ自転可能に構成されている。
つまり、キャリア50に保持された基板Wを上定盤20および下定盤10の研磨パッド11および21で挟持し(互いに接触した状態を保ちつつ)、この状態でキャリア50を公転及び/又は自転させ研磨パッド11および21に対し基板を相対運動させることにより、基板Wの上下両面が研磨加工される。
このような研磨加工部では、通常、上定盤20および下定盤10の外径がインターナルギア40の内径よりも小さくなっており、サンギア30とインターナルギア40との間で、かつ上定盤20と下定盤10とに挟まれるドーナツ状の領域が実際の研磨領域となる。
研磨装置は、上定盤20および下定盤10の回転軸(垂直軸A)と同心のサンギア30とインターナルギア40を備える。
研磨液供給部60は、研磨液を貯溜する研磨液貯留部61と、この研磨液貯留部61に貯溜された研磨液を、上定盤20側の研磨パッド21に供給する研磨液供給路となる複数のチューブ62とを備える。
研磨液貯留部61は、水平面上において環状に形成されており、複数の支柱部材63を介して、上部支持部材22の上方位置に設けられている。
上部支持部材22、上定盤20および研磨パッド21には、互いに連通する貫通孔22a、20aおよび連通孔21aが複数形成されており、ここに各チューブ62の下端部が接続される。これにより、研磨液貯留部61に貯溜された研磨液が、チューブ62および貫通孔22a、20aおよび連通孔21aを介して、上定盤20側の研磨パッド21に供給される。
なお、図示は省略するが、上定盤20側の研磨パッド21に保持された研磨液は、下定盤10側の研磨パッド11に滴下し、これにより研磨領域に供給された研磨液は、所定の回収路を経由して、タンクに回収された後、ポンプおよびフィルタが介在する還元路を経由して、再び研磨液貯留部61に送る。
[基板の製造方法]
本発明に係る基板の製造方法は、上記のとおり、
研磨パッドが設けられた上定盤および下定盤を備える研磨装置を用い、前記上定盤および前記下定盤の間に矩形状の開口である基板保持部を有するキャリアに主表面が矩形状の基板を1枚配置し、前記基板の少なくとも前記上定盤側の主表面を研磨する研磨工程を有する基板の製造方法であって、
前記研磨装置は、前記上定盤および前記下定盤の回転軸と同心のサンギアとインターナルギアを備え、
前記上定盤は、前記上定盤を回転させる回転軸に固定されており、
前記上定盤は、研磨液の供給穴を備え、前記供給穴から前記上定盤側の研磨パッドへ研磨液が供給され、
前記キャリアは、内キャリアと外キャリアとからなり、前記上定盤および前記下定盤の間に1枚のみ配置され、
前記内キャリアは、前記基板保持部を有し、前記基板保持部の中心と同心の円形状の外周を有し、
前記外キャリアは、前記内キャリアを回動自在に保持する内キャリア保持部を有し、前記基板保持部の中心からずれた位置を中心とする円形状の外周を有し、かつ前記外周にギアを備え、
前記外キャリアの外周のギアは、前記サンギアおよび前記インターナルギアとそれぞれ噛み合っており、
前記外キャリアは、前記下定盤側の面に凸部が複数設けられていることを特徴とするものである(構成1)。
[キャリアが1枚、基板が1枚]
本発明においては、前記キャリアは、前記上定盤および前記下定盤の間に1枚のみ配置される。
例えば、図2に示すように、キャリア50は、上定盤(図示せず)および下定盤10の間に1枚のみ配置される。
また、本発明においては、矩形状の開口である基板保持部を有するキャリアに主表面が矩形状の基板Wを1枚だけ配置する。
例えば、図2に示すように、矩形状の開口である基板保持部50aを1つ有するキャリア50に主表面が矩形状の基板を1枚だけ配置する。なお、キャリア50に基板保持部を複数有するものを用い、1つの基板保持部にのみ基板を配置して基板を研磨する構成としてもよい。
上記2つの構成(キャリアが1枚、基板が1枚)により、一度に複数枚の基板に対して同時に両面研磨を行う場合に比べ、基板間での仕上がりに差が生じにくくなる。このことは、局所加工後の基板の主表面に対して行う研磨工程では、主表面の平坦度を悪化させないようにする必要があるため、研磨取り代が従来の両面研磨装置で基板の主表面に対して両面研磨するときの研磨取り代に比べて大幅に小さい場合において、特に有用(重要)となる。
[上定盤の回転軸固定]
本発明においては、前記上定盤は、前記上定盤を回転させる回転軸に固定されている。
例えば、図1に示すように、上定盤20を固定する上部支持部材22は、上定盤を回転させる回転軸25に固定されている。このとき、図1のA軸に対し上定盤20の研磨面が常に直交状態を保つように(上定盤20の研磨面が揺動せずに常に下定盤10の研磨面との間で同じ平行度を保つように)固定される。
上記構成(上定盤の回転軸固定)により、下定盤上に配置されるキャリアは1枚だけであっても、基板を研磨しているときに上定盤と下定盤の両研磨面間の平行度が常に一定(平行)に保たれる。これにより、上定盤とその回転軸がユニバーサルジョイントによって揺動可能に接続されている場合に比べ、平坦度を悪化させることが少なく、基板を研磨できる。
[外キャリア、内キャリア]
(1)本発明において、キャリア(遊星歯車)50は、外周部に歯列を有する薄板状の円盤部材であり、被研磨加工物である基板Wを保持するための基板保持部(ワーク保持孔)50aが1個(1つ)形成されている(図2参照)。
(2)本発明において、前記キャリアは、内キャリアと外キャリアとからなる。
例えば、図2および図3に示すように、キャリア50は、内キャリア55と外キャリア51とからなる。なお、図1では、キャリア50は、内キャリアと外キャリアを区別せずに描いている。
(3)本発明において、前記内キャリアは、前記基板保持部を有し、前記基板保持部の中心と同心の円形状の外周を有する。
例えば、図2に示すように、内キャリア55は、矩形状の開口である基板保持部(ワーク保持孔)50aを1つ有する。内キャリア55は、基板保持部50aの中心O2と同心の円形状の外周を有する。内キャリア55の中心はO2である。
図2に示すように、内キャリア55は、矩形状の開口である基板保持部(ワーク保持孔)50aの4つの辺に、ロボットハンド等による基板Wの脱着を容易にするため矩形の切欠部56を備える。
(4)本発明において、前記外キャリアは、前記内キャリアを回動自在に保持する内キャリア保持部を有し、前記基板保持部の中心からずれた位置を中心とする円形状の外周を有し、かつ前記外周にギアを備える。
例えば、図2に示すように、外キャリア51は、内キャリア55を回動自在に保持する内キャリア保持部(内キャリア保持孔)52を有する。外キャリア51は、円形状の外周を有し、その中心はO3である。内キャリア55の中心O2(基板保持部50aの中心O2)は、外キャリア51の中心O3からずれた位置にある。外キャリア51は、円形状の外周にギアを備える。外キャリア51の外周のギアは、サンギア30およびインターナルギア40とそれぞれ噛み合う。
(5)上記3つの構成により、内キャリアを有しない場合、内キャリアが回動自在でない場合、および、内キャリア55の中心O2(基板保持部50aの中心O2)が、外キャリア51の中心O3からずれた位置にない場合に比べ、平坦度を悪化することがより少なく、基板間での仕上がりに差がより生じにくくなる。
(6)本発明においては、外キャリア51および内キャリア55は、ともに同じ厚さの薄板状の円盤部材で構成し、外キャリア51に形成された円形の孔(内キャリア保持部52)に、内キャリアを挿入する態様(特別な保持具や、保持機構はない態様)とすることができる。
本発明においては、内キャリアの直径は、外キャリア51に形成された円形の孔(内キャリア保持部52)に挿入可能であって、内キャリアの回動がスムースで、内キャリアの回動の際に内キャリアのがたつきの生じない程度の隙間ができるように調整できる。
なお、キャリア50は、外キャリア51に形成された孔に、内キャリアの保持具をゆるく挿入して使用するダブルキャリア方式のものであってもよい。
[外キャリアの下定盤側の面の凸部]
本発明においては、前記外キャリアは、前記下定盤側の面に凸部が複数設けられている。
図4は、外キャリアの裏面図(外キャリアの下定盤側の面の平面図)、図5は図4のA−A線断面図である。
図4に示すように、外キャリア51は、外キャリアの下定盤側の面(外キャリアを研磨装置に設置した時に下定盤の研磨パッドと対向する側の面)に凸部53が複数設けられている。
上記構成により、上定盤とその回転軸が固定接続されている場合において、外キャリアの下定盤側の面に凸部が設けられていない態様と比べ、研磨パッドとキャリアとの接触を相対的に弱める作用が得られる。これにより、「下定盤側の研磨パッドとキャリアの下面との接触によって、キャリアが下定盤側の研磨パッドから研磨液を掻き取る作用」を相対的に弱める作用が得られ、下定盤側の研磨パッドの研磨液不足の発生を相対的に抑える作用が得られる。また、この凸部により、研磨液および研磨材を、下定盤側の研磨パッドに、効率よくにじませる作用が得られる。
外キャリアに上記のような凸部を設けた本実施形態の研磨装置で、基板の主表面を研磨すると、凸部を設けない場合に生じる異音の発生を抑えることができる。また、「凸部を設けない場合に、研磨後の基板の端面に生じる新たなキズ」の発生を抑えることができる。
本発明においては、前記凸部の個数は、3個以上、4個以上、または5個以上とすることができ、100個以下、50個以下、または40個以下とすることができる。
本発明においては、前記凸部は、前記下定盤側の面に前記外キャリアの外周に沿って設けられていることが好ましい(構成2)。
このように、外キャリアの下定盤側の面に形成する凸部を、外キャリアの外周に沿って複数配置する構成により、外キャリアの下定盤側の面の下定盤の研磨面との間の平行度が高い状態になりやすく、凸部の作用・効果が安定して得られやすい。
例えば、図4に示すように、外キャリア51の下定盤側の面に形成する凸部53は、外キャリアの中心O3と内キャリアの中心O2との間にある点O4を中心とする同心円状に複数配置されている。このとき、凸部53は、外キャリアの幅Eの中心部を通る同心円上に各凸部53の中心が位置するように配置されている。
なお、凸部53の数、サイズ、および配置は、外キャリアの幅Eと、凸部53との面積バランス、重量バランスを考慮して、構成することができる。例えば、外キャリアの幅Eの狭い箇所では、凸部53を多く配置することができる。
各凸部の平面視形状は、任意の形状とすることができる。例えば、図4に示すように、各凸部の平面視形状は円形とすることができる。各凸部のサイズ(直径)は、外キャリアの円周方向(回転方向)に沿って外キャリアの幅Eが増減するので、それに応じたサイズ(直径)にすることができる。隣接する各凸部の間隔は、隣接する各凸部の直径をFとすると、5F以下、3F以下、または2F以下とすることができ、0.1F以上、0.3F以上、または0.4F以上とすることができる。
凸部は任意の曲面で形成することができる。例えば、図5に示すように、凸部53は、曲率半径rの球面の一部の曲面で形成することができる。曲率半径rは、例えば、0.5mm以上、5mm以上、または10mm以上とすることができ、300mm以下、200mm以下、または100mm以下とすることができる。 凸部は、周知のエンボスの形態を利用することができる。
凸部の高さhは、例えば、0.1mm以上、0.3mm以上、または0.5mm以上とすることができ、3mm以下、2mm以下、または1mm以下とすることができる。
凸部の高さhは、凸部が設けられていない部分における外キャリアの厚さTの1/2以下、1/3以下、または1/4以下とすることができる。
凸部の高さhは、複数の凸部について、同じ高さとすることができ、異なる高さとすることもできる。
図4に示す態様においては、凸部53の高さは、全て同じ高さとしてある。
図4に示す態様においては、『図面下半分に示す13個の凸部のサイズ(直径)および曲率半径r』>『その上部に左右5個ずつある凸部のサイズ(直径)および曲率半径r』>『図面上部に示す4個の凸部のサイズ(直径)および曲率半径r』の順に曲率半径が小さくなっている。
本発明においては、前記凸部が設けられている部分における前記外キャリアの最大厚さは、前記基板の厚さよりも薄いことが好ましい(構成3)。
良好な研磨を行うためである。凸部が設けられている部分における外キャリアの最大厚さが、基板の厚さよりも厚い場合、外キャリアの上定盤20側の面が上定盤20の研磨パッド21と強く当接してしまい、鳴きが発生する新たな要因となってしまう。
本発明において、前記凸部が設けられていない部分における前記外キャリアの厚さは、前記基板の厚さの1/2以上であることが好ましい(構成4)。
外キャリアの剛性を確保するためである。
本発明において、内キャリアの厚さは、前記基板の厚さの1/2以上であることが好ましい。内キャリアの剛性を確保するためである。
外キャリアと内キャリアは、ともに薄板状の円盤部材で構成することができ、両者の厚さは、同じ厚さ、または、異なる厚さとすることができる。
外キャリアと内キャリアは、同じ材料、または、異なる材料で形成できる。外キャリアおよび内キャリアの材料としては、樹脂(例えば、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等)、金属などが挙げられる。
本発明において、被研磨加工物である基板Wの主表面の形状が矩形状であると得られる効果が大きく、正方形状であるとさらに大きな効果が得られる。また、被研磨加工物である基板Wの主表面の形状が矩形状または正方形状である場合、一辺の長さ(矩形状の場合、長辺側の一辺の長さ。)は、200mm以下であると好ましく、180mm以下であるとより好ましく、160mm以下であるとさらに好ましい。他方、被研磨加工物である基板Wにおける前記一辺の長さは、120mm以上であると好ましく、140mm以上であるとより好ましく、150mm以上であるとさらに好ましい。
本発明の基板の製造方法においては、本発明に係る基板の製造方法(本発明の研磨工程)を実施するに先立ち、研磨液が異なる複数段階の研磨工程(両面研磨)が行われることが好ましい。ここで、研磨液が異なるとは、例えば研磨液に含有される研磨砥粒の材質や粒径などが異なることを意味する。このような研磨砥粒の材質や粒径の違いによって研磨液の性状は異なり、基板の表面を研磨するときの研磨レートや主表面の品質等に影響する。
本発明の基板の製造方法は、ガラス基板の主表面を研磨する場合に好適である。本発明のように高平坦度で且つ欠陥を低減させたガラス基板の主表面に仕上げる場合には、研磨液が異なる複数段階の研磨工程でガラス基板の両面研磨を行い、その後本発明に係る基板の製造方法(本発明の研磨工程)を実施することにより、性状の異なる研磨液を用いて、段階的に(徐々に)ガラス基板の主表面を所望する表面形状精度や品質に作り込むことが好適である。
本発明の基板の製造方法は、マスクブランク用基板を製造する場合に特に好適である。両面研磨装置は、その構造上、上定盤側の研磨パッドに比べ、下定盤側の研磨パッドの方が、研磨液の浸み込みによる目詰まりや材質の劣化などの影響から研磨パッドの経時変化が早い。また、研磨屑や硬化した研磨材などの異物が下定盤側の方がたまりやすい。これらのことから、両面研磨装置を用いる複数段階の研磨工程を行い、その後本発明に係る基板の製造方法(本発明の研磨工程)を実施する際においては、これらの研磨工程を行った後のマスクブランク用基板から転写用マスクが製造されたときに転写パターンが形成される薄膜が設けられる側の主表面を上定盤側になるように配置し、研磨を行うことが好ましい。
本発明では、例えば、両面研磨を、第1研磨(粗研磨)工程、第2研磨(精密研磨)工程、第3研磨(超精密研磨)工程のような3段階の研磨工程で行うことができる。この場合、第1研磨(粗研磨)工程では研磨砥粒として例えば酸化セリウム、酸化ジルコニウム等を用いることができ、第2研磨(精密研磨)工程では研磨砥粒として酸化セリウム、酸化ジルコニウムあるいはシリカ(コロイダルシリカを含む)等を用いることができる。また、第3研磨(超精密研磨)工程では研磨砥粒としてシリカ(コロイダルシリカを含む)等を用いることができるが、特に平均粒径が小さく、化学的機械的研磨が可能なシリカ(コロイダルシリカを含む)を用いることが好ましい。
上記第1〜第3の研磨工程においては、基板の転写パターンが形成される側の主表面を上定盤側になるように配置し、研磨を行うことが好ましい。
また、本発明では、例えば、両面研磨を、第1研磨(粗研磨)工程、第2研磨(精密研磨)工程、第3研磨(超精密研磨)工程、第4研磨(最終精密研磨)工程のような4段階の研磨工程で行うことができる。この場合、第1研磨〜第3研磨工程では上記と同じ研磨砥粒を用いることができる。また、第4研磨(最終精密研磨)工程では研磨砥粒としてシリカ(コロイダルシリカを含む)等を用いることができるが、特に平均粒径が小さく(第3研磨(超精密研磨)工程で用いるシリカ(コロイダルシリカを含む)の平均粒径に対し、平均粒径が相対的に小さく)、化学的機械的研磨が可能なシリカ(コロイダルシリカを含む)を用いることが好ましい。
上記第1〜第4の研磨工程においては、基板の転写パターンが形成される側の主表面を上定盤側になるように配置し、研磨を行うことが好ましい。
本発明に係る基板の製造方法(本発明の研磨工程)は、上記3段階の研磨工程における第3研磨工程の代わりの工程として実施できる。また、本発明に係る基板の製造方法(本発明の研磨工程)は、上記4段階の研磨工程における第4研磨工程の代わりの工程として実施できる。
上記のとおり、特に高い平坦度が要求される場合においては、上記第3研磨工程または第4研磨工程を終えた基板(ガラス基板)に対して、さらに局所加工工程、および仕上げ研磨工程が行なわれる。局所加工工程では、まず、両面研磨を終えた基板の主表面の凹凸形状(平坦度)を測定する。基板の主表面の凹凸形状の測定には、通常、光学干渉計が使用される。光学干渉計には、たとえばフリンジ観察干渉計や位相シフト干渉計などがある。上記光学干渉計によって測定された凹凸形状の測定結果は、コンピュータなどの記録媒体に保存される。次に、コンピュータなどの演算処理手段によって、凹凸形状の測定結果と予め設定された所定の基準値(所望の平坦度)とが比較され、その差分が基板の主表面の所定領域(例えば縦5mm×横5mmの領域)ごとに算出される。すなわち、基板の主表面の凸部分の高さに応じて加工取り代が設定される。この差分(加工取り代)が、局所的な表面加工における各所定領域の必要除去量とされる。
次に、上記演算処理によって設定された加工取り代に応じた加工条件で、所定領域毎に凸部分を局所加工し、基板の主表面の平坦度を所定の基準値以下に制御する。局所的な表面加工法としては、鉄を含む磁性流体中に研磨砥粒を含有させた磁性研磨スラリーを用いて、ガラス基板表面に局所的に接触させるMRF(Magneto Rheological Finishing)加工法を用いることができる。MRF加工法以外にも、GCIB(ガスクラクターイオンビーム)やプラズマエッチングによる局所加工法を用いてもよい。
上記仕上げ研磨工程は、上述の局所加工工程において、基板の主表面に面荒れや加工変質層が生じた場合、これらの除去を目的として行うものである。この仕上げ研磨工程では、局所加工工程を行うことで平坦度を高めた後の基板の主表面の表面形状をできるだけ悪化させないような研磨方法が適用されることが好ましい。本発明に係る基板の製造方法(本発明の研磨方法)は、このような局所加工を行った後の基板の主表面に対して行う仕上げ研磨工程に特に好適に適用される。
本発明において、局所加工を行った後の基板の主表面に対して行う研磨工程(「仕上げ研磨工程」)で使用する研磨パッドは、硬さが相対的に軟らかいものであることが好ましい。例えば、仕上げ研磨工程で使用する研磨パッドは、上記3段階の研磨工程における第3研磨工程において使用される研磨パッド硬さ、上記4段階の研磨工程における第4研磨工程において使用される研磨パッド硬さ、局所加工において使用される研磨パッド硬さに比べ、硬さが相対的に軟らかいものであることが好ましい。
仕上げ研磨工程で使用する研磨パッドは、スウェードタイプ(不織布、PET等の基材上にポリウレタン等の発泡樹脂層が形成された構造。)が好ましい。
本発明において、研磨液は、研磨材にコロイダルシリカを含むことが好ましい(構成5)。
所定の研磨液を用いることにより、マスクブランク用基板において所定の表面形状を確実に得ることができる。そのため、構成5に係る研磨液は、局所加工を行った後の基板の主表面に対して行う研磨工程(「仕上げ研磨工程」)適する。
本発明において、前記コロイダルシリカは、平均粒子径D50(全粒子の積算値50%の粒子寸法)が100nm未満であることが好ましい(構成6)。
所定の研磨液を用いることにより、マスクブランク用基板において所定の表面形状をより確実に得ることができる。そのため、構成6に係る研磨液は、局所加工を行った後の基板の主表面に対して行う研磨工程(「仕上げ研磨工程」)特に適する。
本発明では、研磨において、ゾルゲル法により生成されたコロイダルシリカを使用できる。例えば、金属不純物が除去された高純度アルコキシシランを原料にゾルゲル法で合成することによって、高純度なコロイダルシリカが得られる。こうして得られたシリカは不純物が比較的少ないため、シリカの凝集体の生成を低減することができる。
ゾルゲル法により生成されたコロイダルシリカは、最後に行われる研磨工程、例えば、局所加工を行った後の基板の主表面に対して行う研磨工程(「仕上げ研磨工程」)、上記3段階の研磨工程における第3研磨工程、上記4段階の研磨工程における第4研磨工程において使用されることが好ましい。
本発明では、研磨において、水ガラス法により生成されたコロイダルシリカを使用できる。
研磨液に含有されるコロイダルシリカは、平均粒径が20〜500nm程度のものを使用するのが研磨効率の点からは好ましい。
研磨液の溶媒としては、コロイダルシリカがアルカリ雰囲気では単一分散で安定的であるため、例えばNaOH,KOH等の無機アルカリや、アミン等の有機アルカリなどを添加してアルカリ性に調整されていることが一般的には良いとされているが、酸性に調整されていてもよい。
研磨液中のシリカの含有量は、微小な突起やピットの発生率や研磨速度を考慮して決定され、50wt%以下が好ましく、さらに好ましくは、10〜40wt%が望ましい。
また、基板(ガラス基板)に供給する研磨液の温度は、25℃以下とすることが好ましい。研磨液の温度調整は、研磨機に研磨液を供給する間にチラーを介して研磨液の供給温度を制御したり、研磨機の定盤に冷却機構を設けて研磨液の供給温度を制御しても構わない。研磨液の温度は、好ましくは5℃以上20℃以下、さらに好ましくは、5℃以上15℃以下が望ましい。
本発明の基板の製造方法においては、前記上定盤側の主表面は、前記基板を用いてマスクブランクを製造するときにパターン形成用薄膜が形成される側の主表面であることが好ましい(構成7)。
本発明の基板の製造方法においては、基板の転写パターンが形成される側の主表面を上定盤側にセットして、基板の両面研磨および本発明による研磨を行うことが好ましい。
これにより、上定盤側の研磨パッドとの接触により研磨される基板の転写パターンが形成される側の主表面は、極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥(凹状欠陥、凸状欠陥)を低減でき、良好な表面の形状精度や品質に仕上がる。従って、良好な表面の形状精度や品質に仕上がった基板の転写パターンが形成される側の主表面上に上記転写パターンとなる薄膜を形成することができる。
通常、基板のノッチマークが形成されていない一方の主表面は、その上に転写パターンとなる薄膜が形成される。ノッチマークは、外形が四角形の基板における四角形のコーナー部の1つにおいて、一方の主表面とコーナー部を形成する2つの端面との3面を斜断面状に切り落として形成される。
なお、局所加工を基板の2つの主表面の両方とも行った場合は、その基板からマスクブランクを製造するときにパターン形成用の薄膜が成膜される側の主表面(ノッチマークが形成されていない主表面。)を、上定盤側の研磨パッドに当接するように基板を配置して、本発明に係る研磨を行うことが好ましい。
上記研磨によって、上記基板の転写パターンが形成される側の主表面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工される。例えば、露光光にKrFエキシマレーザー、あるいはArFエキシマレーザーが適用される転写用マスクに用いられるマスクブランク用基板の場合、その基板の転写パターンが形成される側の主表面の142mm×142mmの領域における平坦度が0.2μm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.1μm以下である。また、EUV露光光が適用される反射型マスクに用いられるマスクブランク用基板の場合、基板の転写パターンが形成される側の主表面の142mm×142mmの領域における平坦度が0.05μm以下であることが好ましい。また、上記反射型マスクに用いられるマスクブランク用基板の場合、転写パターンが形成される側とは反対側の主表面は、露光装置にセットする時に静電チャックされる面であるが、その反対側の主表面の142mm×142mmの領域における平坦度が0.05μm以下であることが好ましい。
また、このマスクブランク用基板における転写パターンが形成される側の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rq:root mean square)で0.25nm以下であることが好ましく、0.2nm以下であるとより好ましく、0.15nm以下であるとさらに好ましい。ここで、表面粗さRqとは、日本工業規格(JIS)B0601(2013)に定めるものである。なお、本発明において、上記表面粗さRqの下限値を特に制限する必要はなく、基板の表面が平滑であればあるほど本発明の作用効果が一層顕著に発揮される。
本発明の基板の製造方法において、基板としては、マスクブランク用基板、インプリントモールド用基板などが挙げられる。
上記マスクブランク用基板は、バイナリ型マスクブランクまたは位相シフト型マスクブランクに使用する場合、使用する露光波長に対して透明性を有するものであれば特に制限されず、合成石英基板、その他各種のガラス基板(例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等)が用いられる。この中でも合成石英基板は、ArFエキシマレーザー又はそれよりも短波長の領域で透明性が高いので、特に好ましく用いられる。
また、EUV露光用の場合、上記マスクブランク用基板としては、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましく用いられ、この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えば、SiO2−TiO2系ガラス、多成分系ガラスセラミックス等を用いることが出来る。
また、マスクブランク用基板の形状は、正方形、長方形等の矩形状のものを使用し、上述のArFエキシマレーザー露光用、EUV露光用のマスクブランク用ガラス基板の場合、6025基板(約152mm×約152mm、厚さ約6.35mm)を使用する。
インプリントモールド用基板としては、平坦度および平滑度に優れている点で、合成石英基板等のガラス基板が好ましく用いられる。ガラス基板の形状は、正方形、長方形等の矩形状のものや円形状のものなど特に制約されないが、通常、パターンドメディア製造用には円形状基板が、光学部品や半導体装置製造用には矩形状基板が用いられる。
[別の発明に係る基板の製造方法]
前述の(1)〜(9)の全ての条件を満たすような条件で研磨を行う基板の製造方法では、基板の主表面を研磨しているとき、研磨液は、上定盤に設けられた供給穴から上定盤側の研磨パッドに供給される。しかし、重力の影響で供給穴から供給された研磨液は上定盤側の研磨パッドの内部で保持できる量は限られる。また、上定盤側の研磨パッドに保持された研磨液は、研磨パッドがキャリアと当接したときや基板の主表面が当接したときに掻き取られて下定盤に滴下する。供給穴から研磨液が供給され続けているので、研磨パッドの内部における研磨液の保持量は回復していく。
しかし、その研磨液の回復量が不十分なまま再度キャリアや基板に当接するような条件で基板を研磨すると、上定盤の研磨液の保持量が不足した状態で基板の主表面を研磨することになり、基板の主表面の面内で研磨ムラが発生しやすい。また、そのような状況であると研磨材が硬化しやすく、それによる異物が研磨パッドと基板の主表面との間に噛み込んで新たな凹状欠陥を生じさせるおそれもある。このおそれを低減することを検討したところ、キャリアの平面視での絶対位置(その研磨装置の外から見たときにおけるキャリアの定盤の研磨パッド上での位置。)が常時ほぼ同じ位置になる条件で基板の主表面を研磨すればよいことを思いついた。
このような条件で基板の主表面を研磨してみたところ、上定盤の研磨液の保持量が充分な状態で基板の主表面を研磨することができ、主表面の面内で研磨ムラが発生しにくいことを装置内の観察(特にパッドの観察)および実際の研磨実験によって確認した。また、このような状況であると研磨材が硬化しにくく、研磨材の硬化に起因する異物が研磨パッドと基板の主表面との間に噛み込んで新たな凹状欠陥を生じさせる恐れも少ないことを装置内の観察(特にパッドの観察)および実際の研磨実験によって確認した。
以上の検討の結果、本発明者らは、局所加工を行った基板の主表面に対して上記の全ての条件を満たすように研磨を行えば、平坦度を悪化させることが少なく、基板の主表面の表面荒れの改善や欠陥の除去を行うことができ、さらにその基板の2つの主表面に仕上げ研磨工程を行ったときに研磨材の硬化に起因する新たな欠陥が発生することを抑制することができるという考えに至った。
具体的は、前述の(1)〜(9)の全ての条件に加え以下の(11)の条件を満たすような条件で研磨を行う基板の製造方法である。
(11)外キャリアは、基板の研磨時、外キャリアの中心を軸に回転するが、外キャリアの平面視の絶対位置が常時ほぼ同じ位置にある。(絶対位置とは、研磨装置の外から見たときにおける外キャリアの上定盤の研磨面上での位置をいう。)
すなわち、別の発明に係る基板の製造方法は、以下の構成を有する。
(構成1A)
研磨パッドが設けられた上定盤および下定盤を備える研磨装置を用い、前記上定盤および下定盤の間に矩形状の開口である基板保持部を有するキャリアに主表面が矩形状の基板を1枚配置し、前記基板の少なくとも前記上定盤側の主表面を研磨する研磨工程を有する基板の製造方法であって、
前記研磨装置は、前記上定盤および前記下定盤の回転軸と同心のサンギアとインターナルギアを備え、
前記上定盤は、前記上定盤を回転させる回転軸に固定されており、
前記上定盤は、供給穴を備え、前記供給穴から前記上定盤側の研磨パッドへ研磨液が供給され、
前記キャリアは、内キャリアと外キャリアとからなり、前記上定盤および前記下定盤の間に1枚のみ配置され、
前記内キャリアは、前記基板保持部を有し、前記基板保持部の中心と同心の円形状の外周を有し、
前記外キャリアは、前記内キャリアを回動自在に保持する内キャリア保持部を有し、前記基板保持部の中心からずれた位置を中心とする円形状の外周を有し、かつ前記外周にギアを備え、
前記外キャリアの外周のギアは、前記サンギアおよび前記インターナルギアとそれぞれ噛み合っており、
前記研磨工程は、前記サンギアおよび前記インターナルギアが回転することにより、前記外キャリアが前記研磨装置の外から見た絶対位置で所定位置に留まりつつ、自らの中心を軸に定盤上で自転することで1枚の前記基板の少なくとも前記上定盤側の主表面を研磨することを特徴とする基板の製造方法。
この上記構成1Aの基板の製造方法(別の発明に係る研磨方法)によれば、上定盤の研磨液の保持量が充分な状態で基板の主表面を研磨することができ、主表面の面内で研磨ムラが発生しにくい。また、このような状況であると研磨材が硬化しにくく、研磨材の硬化に起因する異物が研磨パッドと基板の主表面との間に噛み込んで新たな凹状欠陥を生じさせる恐れも少ない。上定盤の研磨液の保持量が充分な状態で基板の主表面を研磨することができ、主表面の面内で研磨ムラが発生しにくいため、外キャリアを公転運動させる場合に比べ、平坦度を悪化させることがより少なく、基板の主表面の表面荒れの改善や欠陥の除去を行うことができる。
基板の主表面を研磨する際、上定盤(下定盤)を常に同じ方向で回転させ続けると、研磨パッドの表面状態の悪化が比較的早く進んでしまう傾向がある。この悪化の進行を遅らせるためには、上定盤(下定盤)の回転方向を所定時間で逆転させることを行うことが好ましい。上記構成1Aのように、外キャリア(内キャリアに保持されている基板)が研磨装置の外から見た絶対位置で所定位置に留まる条件で研磨工程を行うと、上定盤(下定盤)がどちらの方向で回転しているときでも、研磨パッドの内部における研磨液の保持量の回復度合いを同じとすることができる。これにより、研磨工程時における基板の主表面の面内で研磨ムラが発生しにくくなる。
上記構成1Aの基板の製造方法においては、外キャリアの平面視での絶対位置(その研磨装置の外から見たときにおける外キャリアの定盤の研磨パッド上での位置。)が常時ほぼ同じ位置にあることが好ましい。
例えば、外キャリアが1回転の自転したときに、サンギアが進む歯数とインターナルギアが進む歯数との間での歯数の差が2以内(サンギアが歯数2だけ進みすぎる場合と、インターナルギアが歯数2だけ進みすぎる場合。)まで許容するように設定できる。具体的には、サンギアの歯数をZ、キャリアが1回転の自転をしたときのサンギアの回転数をN、インターナルギアの歯数をZ、キャリアが1回転の自転をしたときのサンギアの回転数Nとしたとき、以下の式(1)を満たす条件で前記サンギアおよびインターナルギアを回転させる。
−2≦Z・N−Z・N≦2 …式(1)
また、この生じる歯数の差を1以内まで許容する場合は、式(2)を満たす条件で前記サンギアおよびインターナルギアを回転させる。
−1≦Z・N−Z・N≦1 …式(2)
さらに、キャリアが所定位置に留まり続けることになる場合は、式(3)を満たす条件で前記サンギアおよびインターナルギアを回転させる。
・N−Z・N=0 …式(3)
なお、本発明においては、上記構成1Aで説明した作用効果が得られる範囲で、外キャリアの平面視での絶対位置は移動させてもよい。
この上記構成1Aの基板の製造方法は、局所加工を行った後の基板の主表面に対して行う研磨工程(「仕上げ研磨工程」)に適用することが好ましい。本発明では、局所加工を行った基板の主表面を、上定盤側の研磨パッドに当接するように基板を配置して、本発明に係る研磨を行うことが好ましい。
このほか、上記構成1Aの基板の製造方法(別の発明に係る研磨方法)に関する各事項については、本発明の基板の製造方法の場合と同様である。
上記構成1Aの基板の製造方法(別の発明に係る研磨方法)における構成は、本発明の基板の製造方法に適用することが可能である。具体的は、前述の(1)〜(11)の全ての条件を満たすような条件で研磨を行う基板の製造方法である。この場合、本発明の構成1に係る基板の製造方法の構成に加え、以下の構成8の構成を加えることになる。
すなわち、本発明の基板の製造方法において、前記研磨工程は、前記サンギアおよび前記インターナルギアが回転することにより、前記外キャリアが前記研磨装置の外から見た絶対位置で所定位置に留まりつつ、自らの中心を軸に定盤上で自転することで1枚の前記基板の少なくとも前記上定盤側の主表面を研磨することが好ましい(構成8)。
[マスクブランクの製造方法]
本発明は、上記構成の基板の製造方法で製造した基板の前記上定盤側の主表面に、パターン形成用薄膜を形成する工程を有するマスクブランクの製造方法についても提供する(構成9)。
本発明では、上記構成の基板の製造方法を使用してマスクブランクを作製することにより、マスクブランク用基板の品質向上により、マスクブランクの品質向上を図ることができる。
本発明により得られるマスクブランク用ガラス基板の主表面上に、遮光膜を形成することによりバイナリ型マスクブランクが得られる。また、上記マスクブランク用ガラス基板の主表面上に、位相シフト膜、あるいは位相シフト膜および遮光膜を形成することにより、位相シフト型マスクブランクが得られる。この場合の主表面とは、上述の本発明に係る研磨において、上定盤側にセットされた主表面である。
上記遮光膜は、単層でも複数層(例えば遮光層と反射防止層との積層構造)としてもよい。また、遮光膜を遮光層と反射防止層との積層構造とする場合、この遮光層を複数層からなる構造としてもよい。また、上記位相シフト膜についても、単層でも複数層としてもよい。
このようなマスクブランクとしては、例えば、クロム(Cr)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリ型マスクブランク、遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリ型マスクブランク、タンタル(Ta)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリ型マスクブランク、ケイ素(Si)を含有する材料、あるいは遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている位相シフト膜を備える位相シフト型マスクブランクなどが挙げられる。
上記クロム(Cr)を含有する材料としては、クロム単体、クロム系材料(CrO,CrN,CrC,CrON,CrCN,CrOC,CrOCN等)が挙げられる。
上記タンタル(Ta)を含有する材料としては、タンタル単体のほかに、タンタルと他の金属元素(例えば、Hf、Zr等)との化合物、タンタルにさらに窒素、酸素、炭素およびホウ素のうち少なくとも1つの元素を含む材料、具体的には、TaN、TaO,TaC,TaB,TaON,TaCN,TaBN,TaCO,TaBO,TaBC,TaCON,TaBON,TaBCN,TaBCONを含む材料などが挙げられる。
上記ケイ素(Si)を含有する材料としては、ケイ素に、さらに窒素、酸素および炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料、具体的には、ケイ素の窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物(酸化窒化物)、炭酸化物(炭化酸化物)、あるいは炭酸窒化物(炭化酸化窒化物)を含む材料が好適である。
また、上記遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料としては、遷移金属とケイ素を含有する材料のほかに、遷移金属およびケイ素に、さらに窒素、酸素および炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料が挙げられる。具体的には、遷移金属シリサイド、または遷移金属シリサイドの窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、炭酸化物、あるいは炭酸窒化物を含む材料が好適である。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、クロム、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、ニオブ等が適用可能である。この中でも特にモリブデンが好適である。
また、上記マスクブランク用ガラス基板の主表面上に、EUV光等の露光光を反射する多層反射膜と、露光光を吸収するパターン形成用の吸収体膜とを順に形成することにより、反射型マスクブランクが得られる。
上記多層反射膜は、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層させた多層膜であり、一般的には、重元素又はその化合物の薄膜と、軽元素又はその化合物の薄膜とが交互に40〜60周期程度積層された多層膜が用いられる。例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する多層反射膜としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜が好ましく用いられる。その他に、EUV光の領域で使用される多層反射膜として、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択すればよい。
上記吸収体膜は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、例えばタンタル(Ta)単体又はTaを主成分とする材料が好ましく用いられる。Taを主成分とする材料としては、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくとも何れかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、等が用いられる。
また、通常、上記吸収体膜のパターニング或いはパターン修正の際に多層反射膜を保護する目的で、多層反射膜と吸収体膜との間に保護膜やバッファ膜を設けることができる。
保護膜の材料としては、ケイ素のほか、ルテニウムや、ルテニウムにニオブ、ジルコニウム、ロジウムのうち1以上の元素を含有するルテニウム化合物が用いられ、バッファ膜の材料としては、主に前記のクロム系材料が用いられる。
なお、上記遮光膜等の薄膜を形成するための成膜方法は特に制約されない。例えばスパッタリング法、イオンビームデボジション(IBD)法、CVD法などが好ましく挙げられる。
[転写用マスクの製造方法]
本発明は、上記構成のマスクブランクの製造方法で製造したマスクブランクを用いる転写用マスクの製造方法であって、ドライエッチングによって前記パターン形成用薄膜に転写パターンを形成する工程を有する転写用マスクの製造方法についても提供する(構成10)。
本発明のマスクブランクを使用して転写用マスクを作製することにより、マスクブランク用基板の品質向上によるマスクブランクの品質向上を通じて、転写用マスクの品質向上を実現できる。
例えば、上述のバイナリ型マスクブランクにおける遮光膜をパターニングすることにより、遮光膜パターンを備えるバイナリ型マスクが得られる。また、上述のマスクブランク用ガラス基板の主表面に、位相シフト膜、あるいは位相シフト膜および遮光膜を備える構造の位相シフト型マスクブランクにおいても、転写パターンとなる位相シフト膜をパターニングすることにより、位相シフト型マスクが得られる。
また、上述の反射型マスクブランクにおける吸収体膜をパターニングすることにより、吸収体膜パターンを備える反射型マスクが得られる。
なお、マスクブランクにおける転写パターンとなる薄膜をパターニングする方法としては、精度の高いフォトリソグラフィ法が最も好適である。
[インプリントモールド]
本発明は、インプリントモールド用基板の製造方法、このインプリントモールド用基板を用いたマスクブランクの製造方法、このマスクブランクを用いたインプリントモールドの製造方法についても提供する。
この場合のマスクブランクは、インプリントモールド用基板の一方の主表面上に、ハードマスク膜を形成してなる構造のものである。このハードマスク膜は、ガラス基板等のインプリントモールド用基板をエッチング処理により掘り込む際のエッチングマスクとなる膜である。インプリントモールド用基板をエッチング処理により掘り込むことで、インプリントモールドが作製される。この場合のマスクブランクにおいては、前述の転写パターンとなる薄膜が、上記ハードマスク膜である。本発明は、例えば、半導体装置製造用インプリントモールド(マスターモールド)、BPM製造用インプリントモールド(マスターモールド)等の製造方法を提供する。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例は、マスクブランク用基板の製造方法の具体例である。本実施例は以下の工程からなる。
(1)第1研磨(粗研磨)工程
合成石英ガラス基板(約152mm×152mm×6.85mm)の端面を面取加工、および研削加工を終えたガラス基板を準備し、両面研磨装置に、転写パターンが形成される側の主表面が上定盤側になるように上記で準備したガラス基板を20枚セット(1キャリア当たりの基板の保持数が4枚、定盤上に同一構成のキャリアを5枚配置、よって1バッチの基板処理数は20枚。)し、以下の研磨条件により粗研磨を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:酸化セリウム(平均粒径2〜3μm)を含有する水溶液
研磨パッド:硬質ポリシャ(ウレタンパッド)
上記研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、ガラス基板を洗浄槽(純水)に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行った。
(2)第2研磨(精密研磨)工程
上記第1研磨(粗研磨)を終えた20枚のガラス基板を用意し、再び両面研磨装置に、転写パターンが形成される側の主表面が上定盤側になるように上記で用意したガラス基板を20枚セット(1キャリア当たりの基板の保持数が4枚、定盤上に同一構成のキャリアを5枚配置、よって1バッチの基板処理数は20枚。)し、以下の研磨条件により精密研磨を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:酸化セリウム(平均粒径1μm)を含有する水溶液
研磨パッド:基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート)上に緩衝層(研磨パッド全体の圧縮変形量を制御するための層)と、表面に開孔を有する発泡した樹脂からなるナップ層が形成された軟質ポリシャ(例えば、研磨パッドの圧縮変形量が40μm以上であり、ナップ層を形成する樹脂の100%モジュラスが14.5MPa以上である研磨パッド)
上記研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、洗浄槽(純水)に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行った。
(3)第3研磨(超精密研磨)工程
第2研磨を終えた20枚のガラス基板を用意し、再び両面研磨装置に、転写パターンが形成される側の主表面が上定盤側になるように上記で用意したガラス基板を20枚セット(1キャリア当たりの基板の保持数が4枚、定盤上に同一構成のキャリアを5枚配置、よって1バッチの基板処理数は20枚。)し、以下の研磨条件により超精密研磨を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:コロイダルシリカを含有するアルカリ性水溶液(pH10.2)
(コロイダルシリカ含有量50wt%)平均粒径:約100nm
研磨パッド:超軟質ポリシャ(スウェードタイプ)
上記研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、ガラス基板をアルカリ水溶液が入った洗浄槽に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行った。
(4)局所加工工程
第3研磨を終えたガラス基板の表裏面の表面形状(表面形態)を平坦度測定器(Corning Tropel社製 UltraFlat200M)で測定した。なお、表面形状(表面形態)の測定領域は、148mm×148mmとした。このガラス基板表面の表面形状の測定結果を、測定点毎にある基準面に対する高さ情報としてコンピュータに保存するとともに、マスクブランクス用ガラス基板に必要な表面平坦度の仕様50nmと比較し、その差分(必要除去量)をコンピュータで計算した。
次に、ガラス基板面内を加工スポット形状領域毎に、必要除去量に応じた局所加工条件を設定した。事前にダミー基板を用いて、実際の加工と同じようにダミー基板を、一定時間基板を移動させずにスポット加工し、その形状を上記表裏面の表面形状を測定する装置と同じ測定機にて測定し、単に時間当たりにおけるスポット加工体積を算出する。そして、スポットの情報とガラス基板の表面形状の情報より得られた必要除去量に従い、ガラス基板をラスタ走査する際の走査スピードを決定した。
設定した加工条件に従い、磁気流体による基板仕上げ装置を用いてMRF(磁気流動的流体)加工法により、ガラス基板の表裏面平坦度が上記の基準値以下となるように局所加工して表面形状を調整した。なお、研磨液は、酸化セリウムと鉄粉等を、水等の液体に混ぜたものを使用した。その後、ガラス基板を濃度約10%の塩酸水溶液が入った洗浄槽に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行った。
(5)仕上げ研磨工程(本発明による研磨工程)
局所加工を終えたガラス基板について、ガラス基板主表面の表面形状を維持しつつ、表面粗さを改善する条件で、上述した図1〜5に示す本発明に係る研磨装置を用いて仕上げ研磨を行った。この仕上げ研磨は、転写パターンが形成される側の主表面が上定盤側になるように1枚セット(定盤上に配置されるキャリアの枚数は1枚、1枚のキャリアに設置できる基板の数は1枚、よって1バッチの基板処理数は1枚。)し、以下の研磨条件により研磨を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:コロイダルシリカを含有するアルカリ性水溶液(pH10.2)(コロイダルシリカ含有量50wt%)平均粒径:約70nm
研磨パッド:超軟質ポリシャ(スウェートダイプ)
上記仕上げ研磨後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、ガラス基板をアルカリ水溶液が入った洗浄槽に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行い、マスクブランク用ガラス基板を得た。
上記仕上げ研磨工程中(合計20枚)に、異音の発生は確認されなかった。
上記仕上げ研磨工程を経て得られたガラス基板(合計20枚)の端面を目視検査したところ、端面に新たなキズの発生した基板は確認されなかった。
上記で得られたガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)の平坦度を平坦度測定器(Corning Tropel社製 UltraFlat200M)で測定した。なお、平坦度を取得(算出)する領域は、142mm×142mmとした。その結果、平坦度は全て50nm以下で非常に良好な結果が得られた。このように、本発明の研磨方法を適用することによって、平坦度を悪化することなくその主表面の表面荒れの改善や欠陥の除去を行うことができた。
また、上記で得られたガラス基板の主表面の欠陥(凹欠陥、凸欠陥)を欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS6640)で検査した。その結果、0.1μmサイズの凹欠陥発生率は、1.6%、0.1μmサイズの凸欠陥発生率は3.3%と非常に良好な結果が得られた。このように、本発明の研磨方法を適用することによって、基板の2つの主表面に新たな欠陥が発生することを抑制することができた。
さらに、得られたガラス基板の主表面の表面粗さは、全てRqで0.1nm以下と良好であった。
(比較例1)
比較例1では、実施例1において、(5)仕上げ研磨工程で外キャリアの下定盤側の面に凸部を形成しない以外は、実施例1と同様とした。
比較例1では、仕上げ研磨工程中(合計20枚)に、18枚の研磨中に異音の発生が確認された。
比較例1では、仕上げ研磨工程を経て得られたガラス基板(合計20枚)の端面を目視検査したところ、18枚の基板で端面に新たなキズの発生していることが確認された。
(実施例2)
実施例2では、実施例1において、(5)仕上げ研磨工程で、外キャリアが研磨装置の外から見た絶対位置で所定位置に留まりつつ、自らの中心を軸に定盤上で自転する条件とした以外は、実施例1と同様とした。
その結果、実施例2では、実施例1に比べ、上定盤の研磨液の保持量が充分な状態で基板の主表面を研磨することができ、主表面の面内で研磨ムラがより発生しにくいことを装置内の観察(特にパッドの観察)および実際の研磨実験によって確認した。また、このような状況であると研磨材が硬化しにくく、研磨材の硬化に起因する異物が研磨パッドと基板の主表面との間に噛み込んで新たな凹状欠陥を生じさせる恐れも少ないことを装置内の観察(特にパッドの観察)および実際の研磨実験によって確認した。
(比較例2)
比較例2では、実施例1において、(5)仕上げ研磨工程で、内キャリア55の中心O2(基板保持部50aの中心O2)が、外キャリア51の中心O3からずれた位置にない(即ちO2とO3を一致させる)こと以外は、実施例1と同様とした。
その結果、比較例3では、実施例1と同じレベルで、平坦度を悪化させることなく研磨を行うことは難しいことがわかった。
(比較例3)
比較例3では、実施例1において、(5)仕上げ研磨工程で、内キャリアを回動自在としないこと以外は、実施例1と同様とした。
その結果、比較例4では、実施例1と同じレベルで、平坦度を悪化させることなく研磨を行うことは難しいことがわかった。
(実施例3)
本実施例は、バイナリ型マスクブランクおよびバイナリ型マスクの製造方法の具体例である。
実施例1で得られた合成石英ガラス基板上に、以下のようにして下層(MoSiN)と上層(MoSiN)の積層構造からなる遮光膜を形成した。
具体的には、枚葉式スパッタ装置で、ターゲットにモリブデン(Mo)とケイ素(Si)の混合ターゲット(Mo:Si=13:87 原子%比)を用い、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気で反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、下層(MoSiN膜,膜組成比 Mo:9.9原子%,Si:66.1原子%,N:24.0原子%)を膜厚47nmで成膜した。
続いて、同じモリブデン(Mo)とケイ素(Si)の混合ターゲットターゲットを用い、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気で反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、上層(MoSiN膜,膜組成比 Mo:7.5原子%,Si:50.5原子%,N:42.0原子%)を膜厚13nmで成膜することにより、MoSiNからなる下層とMoSiNからなる上層の積層構造からなるArFエキシマレーザー(波長193nm)用遮光膜を形成した。なお、遮光膜の各層の元素分析は、ラザフォード後方散乱分析法を用いた。また、ArFエキシマレーザーに対する遮光膜の光学濃度は3.0以上であった。
次に、遮光膜の上面に、ハードマスク膜を形成した。具体的には、枚葉式スパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴンと窒素との混合ガス雰囲気で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、CrN膜(膜組成比 Cr:75.3原子%,N:24.7原子%)を膜厚5nmで成膜した。以上の手順により、バイナリ型マスクブランクを得た。
次に、このバイナリ型マスクブランクを用いて、バイナリ型マスクを作製した。
まず、バイナリ型マスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、上述のレジスト膜に対して電子線によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。
このレジストパターンをマスクとし、塩素系ガス(Cl)と酸素ガス(O)の混合ガスを用いたドライエッチングにより、ハードマスク膜にマスクパターン(ハードマスクパターン)を形成した。次に、マスクパターンが形成されたハードマスク膜をマスクとし、フッ素系ガス(SF)を用いたドライエッチングにより、遮光膜にマスクパターンを形成した。さらに、ハードマスク膜を塩素系ガス(Cl)と酸素ガス(O)の混合ガスを用いたドライエッチングで除去し、所定の洗浄を経て、バイナリ型マスクを得た
(実施例4)
本実施例は、EUV露光用マスクブランクおよびEUV露光用マスクの製造方法の具体例である。前述の実施例1と同様の方法で得られたEUV露光用マスクブランク用ガラス基板上に、イオンビームスパッタリング装置を用いて、Si膜(膜厚:4.2nm)とMo膜(膜厚:2.8nm)を一周期として、40周期積層して多層反射膜を形成し、多層反射膜付き基板を得た。
次に、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、上記多層反射膜上にRuNbからなるキャッピング層(膜厚:2.5nm)と、下層(TaBN膜,膜厚:56nm)と上層(TaBO膜,膜厚:14nm)の積層膜からなる吸収体膜を形成し、また、裏面にCrN導電膜(膜厚:20nm)を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
次に、このEUV反射型マスクブランクを用いて、EUV反射型マスクを作製した。 まず、EUV反射型マスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、上述のレジスト膜に対して電子線によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。
このレジストパターンをマスクとし、吸収体層をフッ素系ガス(CFガス)によりTaBO膜を、塩素系ガス(Clガス)によりTaBN膜をエッチング除去して、キャッピング層上に吸収体層パターンを形成した。
さらに、吸収体層パターン上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去し、EUV反射型マスクを得た。
10 下定盤
11 研磨パッド
20 上定盤
21 研磨パッド
30 太陽歯車
40 内歯歯車
50 キャリア
51 外キャリア
53 凸部
55 内キャリア
60 研磨液供給部

Claims (10)

  1. 研磨パッドが設けられた上定盤および下定盤を備える研磨装置を用い、前記上定盤および前記下定盤の間に矩形状の開口である基板保持部を有するキャリアに主表面が矩形状の基板を1枚配置し、前記基板の少なくとも前記上定盤側の主表面を研磨する研磨工程を有する基板の製造方法であって、
    前記研磨装置は、前記上定盤および前記下定盤の回転軸と同心のサンギアとインターナルギアを備え、
    前記上定盤は、前記上定盤を回転させる回転軸に固定されており、
    前記上定盤は、供給穴を備え、前記供給穴から前記上定盤側の研磨パッドへ研磨液が供給され、
    前記キャリアは、内キャリアと外キャリアとからなり、前記上定盤および前記下定盤の間に1枚のみ配置され、
    前記内キャリアは、前記基板保持部を有し、前記基板保持部の中心と同心の円形状の外周を有し、
    前記外キャリアは、前記内キャリアを回動自在に保持する内キャリア保持部を有し、前記基板保持部の中心からずれた位置を中心とする円形状の外周を有し、かつ前記外周にギアを備え、
    前記外キャリアの外周のギアは、前記サンギアおよび前記インターナルギアとそれぞれ噛み合っており、
    前記外キャリアは、前記下定盤側の面に凸部が複数設けられていることを特徴とする基板の製造方法。
  2. 前記凸部は、前記下定盤側の面に前記外キャリアの外周に沿って設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板の製造方法。
  3. 前記凸部が設けられている部分における前記外キャリアの最大厚さは、前記基板の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1または2に記載の基板の製造方法。
  4. 前記凸部が設けられていない部分における前記外キャリアの厚さは、前記基板の厚さの1/2以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の基板の製造方法。
  5. 前記研磨液は、研磨材にコロイダルシリカを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の基板の製造方法。
  6. 前記コロイダルシリカは、平均粒子径D50が100nm未満であることを特徴とする請求項5記載の基板の製造方法。
  7. 前記上定盤側の主表面は、前記基板を用いてマスクブランクを製造するときにパターン形成用薄膜が形成される側の主表面であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の基板の製造方法。
  8. 前記研磨工程は、前記サンギアおよび前記インターナルギアが回転することにより、前記外キャリアが前記研磨装置の外から見た絶対位置で所定位置に留まりつつ、自らの中心を軸に定盤上で自転することで1枚の前記基板の少なくとも前記上定盤側の主表面を研磨することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の基板の製造方法。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の基板の製造方法で製造した基板の前記上定盤側の主表面に、パターン形成用薄膜を形成する工程を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  10. 請求項9記載のマスクブランクの製造方法で製造したマスクブランクを用いる転写用マスクの製造方法であって、
    ドライエッチングによって前記パターン形成用薄膜に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
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