JP2017169780A - 血液処理回路および血液処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】回収バッグ内からエアーを完全に除去することができ、しかも、血液処理の作業性に優れ、製造コストも低くできる血液処理回路および血液処理方法を提供する。【解決手段】血液処理回路1は、全血または血液成分を収容し、エアーが予め封入された収容バッグ2と、全血または血液成分から不要物を除去する血液処理フィルター3と、不要物が除去された全血または血液成分を回収する回収バッグ4と、収容バッグ2と血液処理フィルター3とを接続する上流側ライン5と、血液処理フィルター3と回収バッグとを接続する下流側ライン6と、からなる主回路30と、下流側ライン6の途中から分岐管7を介して分岐する分岐ライン8と、血液処理回路1の内部のエアーを収容するエアー収容部9と、下流側ライン6で分岐管7の下流側に設けられ、血液処理回路1を選択的に閉塞するクレンメ10と、を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、献血等で採血者から採取した血液を処理する血液処理回路および血液処理方法に関する。
従来、献血等で採血者から採取した血液を血液センター等で処理する際、採取血液中の不要物、主として白血球を除去することが行われている。そのため、採血等で用いられる血液処理回路には、白血球を濾過によって除去するための白血球除去フィルターが取り付けられている。その際、採取バッグを上にした状態で血液処理回路を懸架台に吊るして、自由落下条件で採取血液中の白血球を除去する。
このような手法においては、採取した血液の全てについて白血球の除去を行うことはできず、白血球除去フィルターで白血球が除去された処理済み採取血液が、白血球除去フィルター内、および、白血球除去フィルターと回収バッグとの間の回路中に残ってしまうという問題があった。
そこで、従来、白血球除去フィルター内と回路中に残った処理済み採取血液を全て回収するための回路構成が提案されるようになった。
特許文献1〜4には、回収バッグを押圧し、回収バッグ内のエアーをエアー移送用のバイパス回路を介して採取バッグへ排気し、その採取バッグに排気されたエアーを利用して、白血球除去フィルター内と回路中に残った処理済み採取血液を回収バッグへ回収する血液処理回路が提案されている。また、特許文献5には、エアー排出用ベントを通じて、回路内エアーを排気させた後、回収バッグに処理済み採取血液を回収する血液処理回路が提案されている。
特許文献1〜4には、回収バッグを押圧し、回収バッグ内のエアーをエアー移送用のバイパス回路を介して採取バッグへ排気し、その採取バッグに排気されたエアーを利用して、白血球除去フィルター内と回路中に残った処理済み採取血液を回収バッグへ回収する血液処理回路が提案されている。また、特許文献5には、エアー排出用ベントを通じて、回路内エアーを排気させた後、回収バッグに処理済み採取血液を回収する血液処理回路が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜4の血液処理回路では、バイパス回路が採取バッグ下流側の回路に接続される。そのため、採取血液のバイパス回路への進入を防止するためにバイパス回路出口側に高機能部材である逆止弁等を設ける必要があり、血液処理回路の製造コストが高くなるという問題がある。また、特許文献1〜4の血液処理回路では、回収バッグ内のエアーをバイパス回路で採取バッグに移送させ、そのエアーを利用して、フィルター内血液を回収する。このような回収作業では、作業に時間がかかるという問題があると共に、フィルター内に予め封入されたエアーが回収バッグ内に移送され、回収バッグ内からエアーを完全に除去できないという問題もある。さらに、特許文献1〜4の血液処理回路では、回収バッグを押圧し、バイパス回路を介して、上方の高い箇所に位置している採取バッグにエアーを移送する。そのため、高いバッグ内圧を必要とするため、作業者の力を要するという問題がある。
特許文献5の血液処理回路は、回路内エアーを排気するために高機能部材であるエアー排出用ベントが用いられているため、血液処理回路の製造コストが高くなるという問題がある。また、特許文献5の血液処理回路では、エアー排出用ベントがフィルター下流側に設けられているため、回収バッグ内に予め封入されているエアーと、フィルター下流側の回路内のエアーが回収バッグに移送される。そのため、回収バッグ内から完全にエアーを除去できないという問題がある。
また、特許文献5の血液処理回路では、エアー排出用ベントによるエアー排出手順が複雑であるため、手順を間違えやすく、回収バッグ内からエアーを完全に除去できないという問題がある。そして、回収バッグ内にエアーが残存すると、回収された処理済み採取血液から調製される血液製剤の品質が低下する。
そこで、本発明は、このような問題を解決すべく創案されたもので、その課題は、回収バッグ内からエアーを完全に除去することができ、しかも、血液処理作業性に優れ、製造コストも低くできる血液処理回路および血液処理方法を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明に係る血液処理回路は、全血または血液成分を収容し、エアーが予め封入された収容バッグと、前記収容バッグに収容された全血または血液成分から不要物を除去する血液処理フィルターと、前記血液処理フィルターによって不要物が除去された全血または血液成分を回収する回収バッグと、前記収容バッグと前記血液処理フィルターとを接続する上流側ラインと、前記血液処理フィルターと前記回収バッグとを接続する下流側ラインと、からなる主回路と、前記下流側ラインの途中から分岐管を介して前記主回路から分岐する分岐ラインと、前記分岐ラインの端部に設けられ、前記主回路の内部のエアーを収容するエアー収容部と、前記下流側ラインで前記分岐管の下流側に設けられ、前記血液処理回路を選択的に閉塞するクレンメと、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る血液処理回路は、さらに、前記分岐ラインの途中に設けられ、前記分岐ラインを選択的に閉塞するクレンメを有することが好ましい。また、本発明に係る血液処理回路は、前記収容バッグには、既定量のエアーが予め封入されており、前記エアー収容部が、既定量のエアーを収容するエアーバッグと、前記エアーバッグの端部に設けられ、前記エアーバッグに収容されたエアーの一部を外部に排出するエアーフィルターと、を有することが好ましい。さらに、本発明に係る血液処理回路は、前記エアー収容部が、前記収容バッグを上方位置として前記血液処理回路を懸架台に吊るした際に、前記血液処理フィルターと略同一高さであることが好ましい。
本発明に係る血液処理回路によれば、エアーが封入された収容バッグと、エアー収容部と、主回路を選択的に閉塞するクレンメと、を有することによって、主回路内に予め封入されたエアー、すなわち、収容バッグ内、上流側ライン内、血液処理フィルター内、下流側ライン内および回収バッグ内に予め封入されたエアーは、エアー収容部に移送、収容され、または、エアー収容部から外部に排気される。そのため、回収バッグ内からエアーが完全に排出される。なお、分岐管の下流側にクレンメを有することによって、クレンメを閉じる操作を行い、分岐管の下流側の下流側ラインへの流路を閉塞することができる。これにより、血液処理フィルター内に予め封入されたエアーをエアー収容部に移送できるため、血液処理フィルターでの全血または血液成分からの不要物除去処理が停滞することなく進行し、除去作業時間が短縮される。また、分岐ラインにクレンメを有することによって、分岐ラインを閉塞できるため、除去作業時間がさらに短縮される。
また、本発明に係る血液処理回路によれば、従来のようにエアーが移送されるバイパス回路が収容バッグ下流側に接続されることがなく、エアーが移送される分岐ラインが血液処理フィルター下流側に接続されるため、分岐ラインに除去処理前の全血または血液成分が侵入することがない。そのため、分岐ラインに高機能部材である逆止弁、または、下流側ラインに高機能部材であるエアー排出用ベントを設ける必要がないため、製造コストが低くなる。
また、本発明に係る血液処理回路によれば、エアー収納部が血液処理フィルターと略同じ高さであることによって、従来のように回収バッグ内のエアーを上方の高い箇所に位置している収容バッグに移送することがなく、回収バッグ内のエアーを比較的低い箇所に位置するエアー収容部に移送する。そのため、エアー移送の際に、回収バッグを高い圧力で押圧する必要がなくなると共に、視認性が良くなり、作業性が向上する。また、本発明に係る血液処理回路によれば、従来のように、血液処理フィルター内血液の回収に、回収バック内のエアーを用いず、予め収容バッグに封入されたエアーを用いるため、回収作業時間が短縮され、作業性が向上する。
本発明に係る血液処理方法は、前記の血液処理回路を用いて、全血または血液成分から不要物を除去する血液処理方法であって、前記収容バッグに収容された全血または血液成分の一部を前記血液処理フィルターで処理して、前記血液処理フィルターの内部のエアーを前記エアー収容部へ移送する第1工程と、前記収容バッグに収容された全血または血液成分の全部を前記血液処理フィルターで処理して、不要物が除去された全血または血液成分を前記回収バッグに回収する第2工程と、前記回収バッグを押圧して、前記回収バッグの内部のエアーを前記エアー収容部へ移送する第3工程と、前記第3工程において前記エアー収容部へエアーと共に移送された不要物が除去された全血または血液成分を、前記回収バッグに戻す第4工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る血液処理方法は、前記第1工程に先立って、前記回収バッグを押圧して、前記回収バッグの内部のエアーを前記エアー収容部に移送する第5工程をさらに含むことが好ましい。
本発明に係る血液処理方法によれば、前記血液処理回路を用いて、前記第1〜4工程、または、前記第1〜5工程を行うことによって、回収バッグ内からエアーを完全に除去することができ、しかも、血液処理の作業性に優れ、製造コストも低くなる。
本発明に係る血液処理回路および血液処理方法では、回収バッグ内からエアーを完全に除去することができ、しかも、血液処理の作業性に優れ、製造コストも低くできる。そのため、本発明に係る血液処理回路および血液処理方法では、バッグ内エアー残存に起因する血液製剤品質の低下を招くことがない。
本発明に係る血液処理回路1の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、血液処理回路1は、収容バッグ2と、血液処理フィルター3と、回収バッグ4と、上流側ライン5と、下流側ライン6と、からなる主回路30と、分岐ライン8と、エアー収容部9と、クレンメ10と、を有する。以下、各構成について説明する。なお、本発明において、収容バッグ2側を上流側、回収バッグ側を下流側とする。
図1に示すように、血液処理回路1は、収容バッグ2と、血液処理フィルター3と、回収バッグ4と、上流側ライン5と、下流側ライン6と、からなる主回路30と、分岐ライン8と、エアー収容部9と、クレンメ10と、を有する。以下、各構成について説明する。なお、本発明において、収容バッグ2側を上流側、回収バッグ側を下流側とする。
収容バッグ2は、ポリ塩化ビニル等の軟質樹脂製のシート材を重ね、その周縁を融着または接着し、袋状に構成されたものである。そして、収容バッグ2には、全血または血液成分が収容され、エアーが予め封入されている。既定量のエアーが予め封入されていることが好ましい。ここで、血液成分とは、例えば、濃厚赤血球液、濃厚血小板液等である。予め封入されるエアー量は、全血または血液成分の収容量によって適宜設定され、20〜30mLである。
また、収容バッグ2は、その端部に封止部材11を介して上流側ライン5が接続され、全血または血液成分を収容バッグ2内に採取するための軟質樹脂製の採液チューブ12が接続されている。ここで、封止部材11は、脆弱部を破断することによって流路が開通するように構成された硬質樹脂管である。
血液処理フィルター3は、全血または血液成分から不要物を除去するもので、不要物を除去する濾過材14と、濾過材14を収容する樹脂製のハウジング13と、を有する。ここで、不要物とは、例えば、白血球、血小板、ウイルス等である。濾過材14は、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な孔を有した通液性の多孔質体で構成され、多数の微細な孔で不要物を捕捉することによって、全血または血液成分から不要物を除去する。
また、血液処理フィルター3は、上流側で軟質樹脂製のコネクターチュ−ブ15によって上流側ライン5に接続され、下流側で軟質樹脂製のコネクターチューブ16を介して下流側ライン6に接続されている。なお、血液処理フィルター3は、フィルター製造工程において、その内部にエアーが封入された状態で製造される。そして、フィルター内エアー量は、上流側ライン5内のエアー量との合計量で、30〜80mLである。
また、血液処理フィルター3は、上流側で軟質樹脂製のコネクターチュ−ブ15によって上流側ライン5に接続され、下流側で軟質樹脂製のコネクターチューブ16を介して下流側ライン6に接続されている。なお、血液処理フィルター3は、フィルター製造工程において、その内部にエアーが封入された状態で製造される。そして、フィルター内エアー量は、上流側ライン5内のエアー量との合計量で、30〜80mLである。
回収バッグ4は、ポリ塩化ビニル等の軟質樹脂製のシート材を重ね、その周縁を融着または接着し、袋状に構成されたものである。そして、回収バッグ4には、血液処理フィルター3によって不要物が除去された全血または血液成分が収容、回収される。また、回収バッグ4は、その端部に下流側ライン6が接続され、回収された全血または血液成分を遠心分離することによって得られる血液成分を、図示しない他のバッグに移送するための軟質樹脂製の移送チューブ18が封止部材17を介して接続されている。ここで、封止部材17は、脆弱部を破断することによって流路が開通するように構成された硬質樹脂管である。なお、回収バッグ4は、滅菌時の熱ブロッキングを抑制するため、予め10mL前後のエアーが封入された状態で製造される。
上流側ライン5は、軟質樹脂製のチューブから構成され、上流側の端部は封止部材11を介して収容バッグ2に接続され、下流側の端部はコネクターチューブ15を介して血液処理フィルター3に接続されている。
下流側ライン6は、軟質樹脂製のチューブから構成され、上流側の端部はコネクターチューブ16を介して血液処理フィルター3に接続され、下流側の端部は回収バッグ4に接続されている。そして、下流側ライン6の途中には、分岐ライン8が接続された分岐管7が設けられている。
分岐ライン8は、軟質樹脂製のチューブから構成されている。そして、分岐ライン8の一端側は下流側ライン6の途中に設けられた分岐管7に接続し、他端側はエアー収容部9に接続している。なお、分岐管7は、血液処理回路1を収容バッグ2が上方に配置されるように懸架した際、分岐ライン8の他端側に接続されたエアー収容部9が血液処理フィルター3と略同一高さに配置されるように、下流側ライン6上で設置位置を予め調節することが好ましい。なお、エアー収容部9と血液処理フィルター3とが重なるような位置関係(高さ)が、作業者の視認性の観点から好ましい。
エアー収容部9は、分岐ライン8の端部に設けられ、主回路30の内部のエアー、具体的には収容バッグ2内、上流側ライン5内、血液処理フィルター3内、下流側ライン6内、回収バッグ4内に予め封入されたエアーを収容し、好ましくはその一部を血液処理回路1の外部に排出できるように構成される。
エアー収容部9は、既定量のエアーを収容するエアーバッグ19と、エアーバッグ19の端部に設けられ、エアーバッグ19に収容されたエアーの一部を排出するエアーフィルター20と、を有することが好ましい。また、エアー収容部9は、エアーフィルター20が軟質樹脂製の連結チューブ21を介してエアーバッグ19に接続されていることが好ましい。さらに、エアーフィルター20は、血液処理回路1を収容バッグ2が上方に配置されるように懸架した際に上方側となるエアーバッグ19の端部に設けられることが、エアー排出性の観点から好ましい。また、エアーフィルター20へと通じるエアーバッグ19の出口は、上方に配置されるのが、後述のエアーフィルター20のエアー排出性の観点から好ましい。
エアーバッグ19は、ポリ塩化ビニル等の軟質樹脂製のシート材を重ね、その周縁を融着または接着し、袋状に構成されたもので、少量のエアーのみが予め封入された、所謂、空バッグからなる。そして、エアーバッグ19の内容量は、血液処理回路1に予め封入された既定量のエアーを収納できれば特に限定されないが、20〜80mLが好ましい。
エアーフィルター20は、エアーバッグ19に収容されたエアーを排出できれば、従来公知のフィルターを用いることができる。エアーフィルター20は、疎水性フィルターおよび親水性フィルターのいずれでもよいが、血液が接触した際にもエアー排出性が維持できる疎水性フィルターが好ましい。
クレンメ10は、下流側ライン6で分岐管7の下流側に設けられ、血液処理回路1を選択的に閉塞するもので、軟質樹脂製のチューブ等の流路を閉塞する従来公知のクレンメが用いられる。そして、クレンメ10は、後記する血液処理方法の第1工程で、血液処理フィルター3内に予め封入されたエアーを移送する際に用いられる。さらに、図3に示すように、クレンメ10で分岐管7の下流側ライン6の流路を閉塞することによって、血液処理フィルター3内に予め封入されたエアーは、回収バッグ4ではなく、エアー収容部9に移送される。
本発明に係る血液処理回路1は、前記構成に加え、分岐ライン8の途中に設けられ、分岐ライン8を選択的に閉塞するクレンメ22を有することが好ましい。そして、クレンメ22を有することによって、後記する血液処理方法の第2工程で、収容バッグ2に収容された全血または血液成分を、血液処理フィルター3で処理して、回収バッグ4に回収する際に、処理された全血または血液成分が分岐ライン8に流入し難くなるため、処理の作業性が向上する。
本発明に係る血液処理回路1は、エアー収容部9が、収容バッグ2を上方位置として血液処理回路1を図示しない懸架台に吊るした際に、血液処理フィルター3と略同一高さに配置されることが好ましい。例えば、図2に示すように、表面に2つの溝が形成された板状体からなる連結具24を用い、この連結具24の溝に上流側ライン5および連結チューブ21を嵌合、固定することによって、血液処理回路1を懸架した際に、血液処理フィルター3とエアー収容部9とが略同一高さになる。
本発明に係る血液処理回路1は、前記構成に加え、上流側ライン5を選択的に閉塞するクレンメ23をさらに有してもよい。また、本発明に係る血液処理回路1は、特開2013−203659号公報に記載されているように、前記構成に加え、採液チューブ12に採血針、初流血バッグ等が接続されているものでもよい。さらに、本発明に係る血液処理回路1は、特開2013−203659号公報に記載されているように、前記構成に加え、移送チューブ18に保存バッグ、薬液バッグ等が接続されているものでもよい。
次に、本発明に係る血液処理方法について、図面を参照して説明する。
本発明に係る血液処理方法は、前記の血液処理回路を用いて、全血または血液成分から不要物を除去する血液処理方法であって、以下の第1〜5工程を含む。
第1〜5工程の各工程について図3〜8を参照して説明する。なお、血液処理回路の構成については、図1を参照する。
本発明に係る血液処理方法は、前記の血液処理回路を用いて、全血または血液成分から不要物を除去する血液処理方法であって、以下の第1〜5工程を含む。
第1〜5工程の各工程について図3〜8を参照して説明する。なお、血液処理回路の構成については、図1を参照する。
(第1工程)
図3に示す血液処理前の状態から、クレンメ10およびクレンメ23を閉じると共に、収容バッグ2の封止部材11を破断して上流側ライン5への流路を開通する。次に、図4に示すように、クレンメ23を開け、収容バッグ2に予め封入されていたエアーで、全血または血液成分(以下、血液と称す)の一部を血液処理フィルター3に押し出す。ここで、血液処理フィルター3は血液で充填され、その結果、血液処理フィルター3の内部のエアーが分岐ライン8を介してエアー収容部9へ移送する。
図3に示す血液処理前の状態から、クレンメ10およびクレンメ23を閉じると共に、収容バッグ2の封止部材11を破断して上流側ライン5への流路を開通する。次に、図4に示すように、クレンメ23を開け、収容バッグ2に予め封入されていたエアーで、全血または血液成分(以下、血液と称す)の一部を血液処理フィルター3に押し出す。ここで、血液処理フィルター3は血液で充填され、その結果、血液処理フィルター3の内部のエアーが分岐ライン8を介してエアー収容部9へ移送する。
(第2工程)
図4の状態から、図5に示すように、クレンメ22を閉じ、クレンメ10を開けることによって、収容バッグ2に収容された血液の全部を血液処理フィルター3で処理して、不要物が除去された血液を回収バッグ4に回収する。
図4の状態から、図5に示すように、クレンメ22を閉じ、クレンメ10を開けることによって、収容バッグ2に収容された血液の全部を血液処理フィルター3で処理して、不要物が除去された血液を回収バッグ4に回収する。
(第3工程)
図5の状態から、クレンメ22を開け、クレンメ23を閉じる。次に、図6に示すように、回収バッグ4を押圧して、回収バッグ4の内部のエアーを、下流側ライン6および分岐ライン8を介してエアー収容部9へ移送する。回収バッグ4の内部のエアーとしては、30〜80mlの予め回収バッグ内に封入されたエアーと、血液を血液処理フィルター3で処理した際に回収バッグ4に混入する10ml前後の下流側ライン6に予め封入されたエアーである。
図5の状態から、クレンメ22を開け、クレンメ23を閉じる。次に、図6に示すように、回収バッグ4を押圧して、回収バッグ4の内部のエアーを、下流側ライン6および分岐ライン8を介してエアー収容部9へ移送する。回収バッグ4の内部のエアーとしては、30〜80mlの予め回収バッグ内に封入されたエアーと、血液を血液処理フィルター3で処理した際に回収バッグ4に混入する10ml前後の下流側ライン6に予め封入されたエアーである。
(第4工程)
図6の状態から、図7に示すように、回収バッグ4の押圧を解除することによって、エアー収容部9へエアーと共に移送された不要物が除去された血液を、回収バッグ4に戻す。これによって、収容バッグ2に収容された血液の不要物除去、すなわち、血液処理が終了する。
図6の状態から、図7に示すように、回収バッグ4の押圧を解除することによって、エアー収容部9へエアーと共に移送された不要物が除去された血液を、回収バッグ4に戻す。これによって、収容バッグ2に収容された血液の不要物除去、すなわち、血液処理が終了する。
本発明に係る血液処理方法は、前記工程に加えて、以下の第5工程をさらに含むことが好ましい。
(第5工程)
前記第1工程に先立って、図2の状態から、図8に示すように、クレンメ23を閉じ、回収バッグ4を押圧して、回収バッグ4の内部のエアーを、下流側ライン6および分岐ライン8を介して、エアー収容部9に移送する。
(第5工程)
前記第1工程に先立って、図2の状態から、図8に示すように、クレンメ23を閉じ、回収バッグ4を押圧して、回収バッグ4の内部のエアーを、下流側ライン6および分岐ライン8を介して、エアー収容部9に移送する。
次に、血液製剤製造作業を行う際には、図示しないが、図7の状態の血液処理回路1を用い、クレンメ10の下流側の下流側ライン6を熱シールによって切断し、回収バッグ4を血液処理回路1から切り離す。次に、切り離された回収バッグ4に遠心分離処理を施し、回収バッグ4に回収された血液を各種の血液成分に分離する。次に、分離した血液成分から、図示しない保存バッグ、薬液バッグを用いて、従来公知の方法で各種の血液製剤を製造する。
1 血液処理回路
2 収容バッグ
3 血液処理フィルター
4 回収バッグ
5 上流側ライン
6 下流側ライン
7 分岐管
8 分岐ライン
9 エアー収容部
10 クレンメ
30 主回路
2 収容バッグ
3 血液処理フィルター
4 回収バッグ
5 上流側ライン
6 下流側ライン
7 分岐管
8 分岐ライン
9 エアー収容部
10 クレンメ
30 主回路
Claims (6)
- 全血または血液成分を収容し、エアーが予め封入された収容バッグと、前記収容バッグに収容された全血または血液成分から不要物を除去する血液処理フィルターと、前記血液処理フィルターによって不要物が除去された全血または血液成分を回収する回収バッグと、前記収容バッグと前記血液処理フィルターとを接続する上流側ラインと、前記血液処理フィルターと前記回収バッグとを接続する下流側ラインと、からなる主回路と、
前記下流側ラインの途中から分岐管を介して前記主回路から分岐する分岐ラインと、
前記分岐ラインの端部に設けられ、前記主回路の内部のエアーを収容するエアー収容部と、
前記下流側ラインで前記分岐管の下流側に設けられ、前記血液処理回路を選択的に閉塞するクレンメと、を有することを特徴とする血液処理回路。 - さらに、前記分岐ラインの途中に設けられ、前記分岐ラインを選択的に閉塞するクレンメを有することを特徴とする請求項1に記載の血液処理回路。
- 前記収容バッグには、既定量のエアーが予め封入されており、前記エアー収容部は、既定量のエアーを収容するエアーバッグと、前記エアーバッグの端部に設けられ、前記エアーバッグに収容されたエアーの一部を排出するエアーフィルターと、を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血液処理回路。
- 前記エアー収容部は、前記収容バッグを上方位置として前記血液処理回路を懸架台に吊るした際に、前記血液処理フィルターと略同一高さであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の血液処理回路。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の前記血液処理回路を用いて、全血または血液成分から不要物を除去する血液処理方法であって、
前記収容バッグに収容された全血または血液成分の一部を前記血液処理フィルターで処
理して、前記血液処理フィルターの内部のエアーを前記エアー収容部へ移送する第1工程と、
前記収容バッグに収容された全血または血液成分の全部を前記血液処理フィルターで処理して、不要物が除去された全血または血液成分を前記回収バッグに回収する第2工程と、
前記回収バッグを押圧して、前記回収バッグの内部のエアーを前記エアー収容部へ移送する第3工程と、
前記第3工程において前記エアー収容部へエアーと共に移送された不要物が除去された全血または血液成分を、前記回収バッグに戻す第4工程と、を含むことを特徴とする血液処理方法。 - 前記第1工程に先立って、前記回収バッグを押圧して、前記回収バッグの内部のエアーを前記エアー収容部に移送する第5工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の血液処理方法。
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2016
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