JP2017169600A - ドライアイ改善具 - Google Patents

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Abstract

【課題】効果的に涙液の分泌を促すことのできるドライアイ改善具を提供すること。【解決手段】本発明のドライアイ改善具50は、着用者の目を覆うドライアイ改善具50である。ドライアイ改善具50は、被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する発熱体と、当該発熱体を収容する収容体と、を備える水蒸気発生温熱具100を備え、水蒸気発生温熱具100が、冷感剤を、水蒸気発生温熱具100の質量全体に対して、0.02質量%以上1.0質量%以下含有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ドライアイ改善具に関する。
近年、パソコンなどの普及により、眼を酷使する場面が多くなり、ドライアイに罹患する人の数が増えている。
ドライアイは、一般に涙液の分泌量の低下等により角膜が乾燥することで発症する。このドライアイに関する具体的な症状としては、眼の疲れ、眼の痒み、眼のかすみ等が挙げられる。
ここで、かかるドライアイを改善するためのひとつのアプローチとして、たとえば、涙液の分泌量を増加させ、角膜や結膜に潤いを与える方法が考えられる。
これに関連し、近年、外温と涙液分泌の相関について、いくつか報告例がある。
たとえば、非特許文献1においては、温度が低下することで、冷感受容体が活性化し、涙液の分泌を促すことが示唆されている。また、非特許文献2においては、角膜のTRPM8冷感受容体が目の表面の潤いに寄与することが記載され、また、マウスを使った実験において、メントールが角膜のTRPM8冷感受容体に影響をもたらすとの結果が得られている。
Carlos Belmonte et al, IOVS,May 2011, Vol.52, No.6, 3888−3892 Andres Parra et al, NATURE MEDICINE, 2010, VOLUME16, NUMBER12, 1396−1399
本発明者らは、上記の報告例に基づき冷感剤を用いることで涙液の分泌を促進できるか検討を行った。しかしながら、その効果としては必ずしも十分なものではなく、より効果的に涙液の分泌を促すドライアイ改善具を開拓する余地があった。
このような点を鑑み、本発明は効果的に涙液の分泌を促すことのできるドライアイ改善具を提供することを課題とする。
先述の通り、冷感剤を用いるのみでは、涙液の分泌はドライアイを改善するのに十分な程度に促進することができなかった。しかしながら、本発明者らは、この冷感剤を用いるとともに、着用者に温感をもたらす構成を加えることで、効果的に涙液の分泌を促すことができることを新たに知見し、本発明に至ることができた。
すなわち、本発明は、
着用者の目を覆うドライアイ改善具であって、
当該ドライアイ改善具は、
被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する発熱体と、
当該発熱体を収容する収容体と、を備える水蒸気発生温熱具を備え、
前記水蒸気発生温熱具が、冷感剤を、前記水蒸気発生温熱具の質量全体に対して、0.02質量%以上1質量%以下含有することを特徴とする、ドライアイ改善具である。
本発明によれば、効果的に涙液の分泌を促すことのできるドライアイ改善具を提供することができる。
実施の形態に係るドライアイ改善具の平面図である。 実施の形態に係るドライアイ改善具の分解斜視図である。 実施の形態に係る水蒸気発生温熱具を模式的に示した平面図である。 実施の形態に係る水蒸気発生温熱具を模式的に示した断面図である。 実施の形態に係る水蒸気発生温熱具を模式的に示した断面図である。 実施の形態に係る水蒸気発生温熱具の変形例を模式的に示した断面図である。 実施の形態に係る水蒸気発生温熱具の表面温度と水蒸気発生量を測定する装置を示す模式図である。 実施例における試験例1の結果を示すグラフである。 実施例における試験例2の結果を示すグラフである。 実施例における試験例3の結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
[ドライアイ改善具]
まず、本実施形態に係るドライアイ改善具について説明をする。
本実施形態のドライアイ改善具は、以下に示されるものである。
着用者の目を覆うドライアイ改善具であって、
当該ドライアイ改善具は、
被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する発熱体と、
当該発熱体を収容する収容体と、を備える水蒸気発生温熱具を備え、
前記水蒸気発生温熱具が、冷感剤を、前記水蒸気発生温熱具の質量全体に対して、0.02質量%以上1質量%以下含有することを特徴とする、ドライアイ改善具。
本実施形態に係るドライアイ改善具の一例について、図1および図2に基づいて説明する。図1はドライアイ改善具の平面図、図2はドライアイ改善具の分解斜視図である。
これらの図で示されるドライアイ改善具50は、いわゆるアイマスクタイプのものであり、着用者の目や瞼を覆い、所定温度に加熱された水蒸気を目及びその周囲に付与するために用いられるものである。
ドライアイ改善具50は、図1に示すように、本体部51と、耳が挿入される孔54が形成された耳掛け部52とを有している。
本体部51は、長手方向Xとこれに直交する幅方向Yを有する横長の形状をしている。本体部51はたとえば略長円形をしている。耳掛け部52は一対で用いられ、各耳掛け部52は本体部51の長手方向(X方向)の各端部にそれぞれ取り付けられている。ドライアイ改善具50は、各耳掛け部52を着用者の耳に掛けて、本体部51で着用者の両目を覆うように装着される。この着用状態下、後述する水蒸気発生温熱具100から発生した蒸気温熱が着用者の目に施される。
図2には、ドライアイ改善具50の使用前の状態の分解斜視図が示されている。同図においては、耳掛け部52はドライアイ改善具50中最上部に配置されており、使用時には中央部を切り離して左右に開き、外方に向けて反転させて図1の状態とする。
ドライアイ改善具50は、さらに袋体53を備えている。
袋体53は、着用者の肌面に近い側に位置する袋体第1シート55と、着用者の肌面から遠い側に位置する袋体第2シート56とを有している。ここで、後述する水蒸気発生温熱具100を挟み込むように、これらの袋体第1シート55と袋体第2シート56とが設けられる。
袋体第1シート55と、袋体第2シート56のそれぞれの坪量は、内部が透けて見えてしまうことを防止する観点や、保温性、柔軟性、厚み等の観点から20g/m以上が好ましく、40g/m以上がより好ましい。また、袋体第1シート55および袋体第2シート56のそれぞれの坪量は、200g/m以下が好ましく、110g/m以下がより好ましい。
また、袋体第1シート55は発生した水蒸気を着用者に適用するため、袋体第2シート56は、水蒸気発生温熱具100に対して酸素を円滑に供給するために、ともに通気性を有することが好ましい。
具体的に、これらの袋体シートの通気度(JIS P8117、2009年改訂版、以下本明細書中の「通気度」について同じ)は、6,000秒/100mL以下であることが好ましく、1,000秒/100mL以下であることがより好ましく、500秒/100mL以下であることがさらに好ましく、0秒/100mLであることが最も好ましい。
袋体第1シート55及び袋体第2シート56は同形であり、略長円形をしている。そして、袋体第1シート55及び袋体第2シート56の外形が本体部51の外形をなしている。袋体第1シート55及び袋体第2シート56はそれらを重ね合わせ、それらの周縁部を少なくとも一部接合し、かつX方向の中央部をY方向に沿って接合することで、袋体53となる。袋体第1シート55及び袋体第2シート56を接合するためには、例えばホットメルト接着剤を用いることができる。なお、水蒸気発生温熱具100は接着剤やヒートシール等(図示略)により、袋体53に固定されていてもよい。
袋体第1シート55及び袋体第2シート56としては、たとえば、不織布をはじめとする繊維シートを使用できる。たとえば、ニードルパンチ不織布、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布から選択される1種又は2種以上を使用できる。
袋体53には、そのX方向に延びる2つの長辺の中央部の位置において、該長辺からY方向に沿って内方に切れ込んだ略V字形のノッチ部53A、53Bが形成されている。ノッチ部53A、53Bは、切れ込みの程度が異なっている。ノッチ部53Aは、ドライアイ改善具50を装着したときに、着用者の眉間又はその近傍に位置する。ノッチ部53Bは、ドライアイ改善具50を装着したときに、着用者の鼻梁に位置する。したがって、通常、ノッチ部53Aよりもノッチ部53Bの方が切れ込みの程度が大きくなっている。
ドライアイ改善具50における耳掛け部52は、その使用前の状態では、図2に示すように、袋体第1シート55上に配置されている。ドライアイ改善具50を使用するときには、耳掛け部52外方へ向けて反転させて、開いた状態にする。使用前の状態、すなわち左右の耳掛け部52が袋体第1シート55上に位置している状態においては、左右の耳掛け部52によって形成される輪郭は、袋体第1シート55の輪郭とほぼ同じになっている。なお、耳掛け部52は、袋体53と同様の材料を用いることができる。
[水蒸気発生温熱具]
続いて、ドライアイ改善具50に備えられる水蒸気発生温熱具100について説明する。
図3は、本実施形態の水蒸気発生温熱具100の一例を示す平面図である。また、図4は、図3のA−A断面図である。本実施形態の水蒸気発生温熱具100は、被酸化性金属、炭素成分及び水を含む発熱体10と、この発熱体10を収容する収容体20とを有する。
ここで、水蒸気発生温熱具100を構成する発熱体10について説明する。
この発熱体10は、被酸化性金属と、炭素成分と、水とを含む発熱組成物から形成されるものである。
具体的には、発熱体10は、被酸化性金属の酸化反応によって発熱して温熱効果を付与するものであり、JIS規格S4100に準拠した測定において、発熱温度30℃以上70℃以下の性能を有するものを使用することができる。また、発熱体10は含まれる水が加熱されることにより、水蒸気を発生するという作用を奏する。
被酸化性金属は、酸化反応熱を発する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属の粉末や繊維が挙げられる。なかでも、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉からなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
被酸化性金属は、酸化反応が効率的に行われるという観点から、粉末状にした場合の平均粒径が好ましくは10μm以上であり、より好ましくは15μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上である。同様の観点から、被酸化性金属の平均粒径は好ましくは200μm以下であり、より好ましくは180μm以下であり、さらに好ましくは150μm以下である。
なお、被酸化性金属の粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、篩による分級、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定することができるが、なかでもレーザー回折法により測定することが好ましい。
発熱体10中における被酸化性金属の含有量は、水蒸気発生温熱具100の表面温度を所望の温度に上昇させることができる観点から、坪量で表して、好ましくは100g/m以上であり、より好ましくは200g/m以上であり、さらに好ましくは300g/m以上である。また、同様の観点から、発熱体10中における被酸化性金属の含有量は、好ましくは3,000g/m以下であり、より好ましくは2,000g/m以下であり、さらに好ましくは1,500g/m以下である。
ここで、発熱体10中の被酸化性金属の含有量は、JIS P8128に準じる灰分試験や、熱重量測定器で求めることができる。他に外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。なかでも、熱重量測定器で求めることが好ましい。
炭素成分は、保水能、酸素供給能、及び、触媒能を有するものであり、たとえば、活性炭、カーボンブラック、アセチレンブラック、及び黒鉛からなる群から選ばれる1種又は2種以上の材料を用いることができる。なかでも、湿潤時に酸素を吸着しやすいことから、活性炭が好ましく用いられる。また、椰子殻炭、木粉炭、及びピート炭からなる群から選ばれる1種又は2種以上の微細な粉末状物又は小粒状物がより好ましく用いられる。水蒸気発生温熱具100の表面温度を所望の温度に上昇させやすくする観点から、木粉炭がさらに好ましい。
炭素成分は、被酸化性金属と均一に混合される観点から、平均粒径が好ましくは10μm以上であり、より好ましくは12μm以上であり、さらに好ましくは15μm以上である。また、同様の観点から、炭素成分の平均粒径は好ましくは200μm以下であり、より好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。
なお、炭素成分の平均粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定することができるが、なかでもレーザー回折法により測定することが好ましい。炭素成分は粉体状の形態のものを用いることが好ましいが、粉体状以外の形態のものを用いることもでき、たとえば、繊維状の形態のものを用いることもできる。
発熱体10中における炭素成分の含有量は、発熱体10への水分供給が十分に得られる観点から、被酸化性金属の含有量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上であり、さらに好ましくは6質量部以上である。また、発熱体10中における炭素成分の含有量は、発熱体10への酸素供給が十分に得られる観点から、被酸化性金属の含有量100質量部に対して、好ましくは40質量部以下であり、より好ましくは15質量部以下であり、さらに好ましくは12質量部以下である。
なお、発熱体10中における炭素成分の含有量は、坪量で表して、好ましくは10g/m以上であることが好ましく、より好ましくは20g/m以上であり、さらに好ましくは25g/m以上である。また、炭素成分の含有量は、坪量で表して、好ましくは400g/m以下であり、より好ましくは250g/m以下であり、さらに好ましくは120g/m以下である。
発熱体10中の水の含有量は、被酸化性金属の酸化反応を良好に進行させる観点から、被酸化性金属100質量部に対して、好ましくは20質量部以上であり、より好ましくは30質量部以上であり、さらに好ましくは40質量部以上である。発熱体10中の水の含有量は、最高到達温度を一定温度以上とする観点から、被酸化性金属100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは90質量部以下であり、さらに好ましくは80質量部以下である。発熱体10中の水は、被酸化性金属の酸化反応による発熱に伴う温度上昇により、その一部が水蒸気となる。
発熱体10中には、水分を保持し、被酸化性金属の酸化反応を効率よく進行させるため、吸水剤を含ませることができる。吸水剤として、吸水性を有するポリマーや、吸水性を有する粉体を用いることができる。
吸水性を有するポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持できる架橋構造を有する親水性のポリマーが挙げられ、吸水性を有する粉体としては、バーミキュライト、おがくず、シリカゲル、及びパルプ粉末からなる群から選ばれる1種又は2種以上の粉体が挙げられる。吸水剤を含ませる場合の含有量としては、発熱体10中の水100質量部に対して2質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
発熱体10は、さらに、反応促進剤を含むことができる。反応促進剤を含ませることで、被酸化性金属の酸化反応を持続させやすくすることができる。また、反応促進剤を用いることにより、酸化反応に伴い被酸化性金属に形成される酸化被膜を破壊して、酸化反応を促進することができる。反応促進剤には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩、及び塩化物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の材料が挙げられる。中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、第一塩化鉄、第二塩化鉄等の各種塩化物、及び硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の材料を用いることが好ましい。
発熱体10中の反応促進剤の含有量は、十分な発熱量を長時間持続させる点から、被酸化性金属の含有量100質量部に対して好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上であり、さらに好ましくは6質量部以上である。
また、同様の観点から、発熱体10中の反応促進剤の含有量は、好ましくは25質量部以下であり、好ましくは20質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以下である。
本実施形態においては発熱体10がシート状である態様を示したが、この発熱体10は、粉体状であってもよいし、シート状であってもよい。しかしながら、使用感に優れる点から、シート状であることが好ましい。シート状の発熱体10としては、発熱組成物を湿式抄造してなるもの、発熱組成物を紙等の基材で挟持してなるもの、発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるもの等が挙げられる。なかでも、発熱体10は、発熱組成物を湿式抄造してなるもの、発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるものであると、使用感に優れる点、容易に製造できる点から好ましい。
発熱体10が発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるものである場合、発熱組成物中に増粘剤、リン酸塩を含有させることが好ましい。
発熱組成物中に増粘剤を含有させると、水蒸気発生温熱具100の保管中おける発熱特性低下を抑制することができる。
発熱組成物中に含まれる増粘剤としては主として、水分を吸収して稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する物質を用いることができ、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩、アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガムなどの多糖類系増粘剤;デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系増粘剤;カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤;ステアリン酸塩などの金属石鹸系増粘剤;ベントナイトなどの鉱物系増粘剤等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上であり、より好ましくは0.08質量部以上であり、さらに好ましくは0.1質量部以上である。
また、増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは4.5質量部以下であり、さらに好ましくは4質量部以下である。
発熱組成物中にリン酸塩を含有させると、発熱組成物の流動性を上げる効果があるため、紙等の基材に塗布して発熱体を製造する場合に製造が容易となる点から好ましい。リン酸塩としては、第一リン酸カリウム塩、第二リン酸カリウム塩、第三リン酸カリウム塩の他、第一リン酸ナトリウム塩、第二リン酸ナトリウム塩、から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。リン酸塩の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、リン酸基として0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることが更に好ましく、また、2質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以下であることがより好ましく、1.1質量部以下であることが更に好ましい。
発熱体10は、たとえば、上記成分の混合物を紙等の基材に塗工することで作製することができる。塗工方法は、とくに限定されず、例えば、ダイコーティング、ロール塗布、スクリーン印刷、ロールグラビア、ナイフコーティング、カーテンコーター等などを用いることができる。
発熱体10の厚みは、好ましくは0.2mm以上であり、より好ましくは0.4mm以上であり、さらに好ましくは0.6mm以上である。また、発熱体10の厚みは、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは3mm以下であり、さらに好ましくは2mm以下である。
発熱体10の厚みを上記範囲とすることで、発熱効果を高めつつ、水蒸気発生温熱具100を使用しやすいサイズにすることができる。
なお、この発熱体10の厚みは平均厚みを示す。
発熱体10には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、界面活性剤、薬剤、凝集剤、着色剤、紙力増強剤、pHコントロール剤、嵩高剤等を含むこともできる。
つづいて、水蒸気発生温熱具100を構成する収容体20について説明する。
収容体20は、少なくとも一部が通気性であり、発熱体10を収容するものである。収容体20は、たとえば、図4に示すように2枚のシート(収容体第1シート201、収容体第2シート202)の周縁部203を貼り合せて構成することができるが、このようなシートとしては、通気性を有する部分として、通気性シート、不織布と通気性シートとをラミネートした積層シート、編み物地と通気性シートとをラミネートした積層シート等を用いることが好ましい。
なお、ここで収容体第1シート201は発熱体10よりも着用者の肌側に位置されるものであり、収容体第2シート202は発熱体10よりも着用者の肌から遠い側に位置されるものである。
通気性シートとしては、樹脂製の多孔質シートや通気穴を有する樹脂製のシートを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン酢酸ビニル共重合体の1種又は2種以上を使用することができる。その厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。樹脂製の多孔質シートとしては、具体的には、熱可塑性樹脂及び該樹脂と相溶性のない有機又は無機のフィラーの溶融混練物をフィルム状に成形し、一軸又は二軸延伸して得られたものであり、微細な多孔質構造になっているものや、通気穴を有する樹脂製のシートとしては非通気性シートや難通気性シートに針等で微細穴を設けたものや、あるいは前述の通気性シートに更に針等で微細穴を設けたものが好ましい。
なお、収容体20は、同種又は異種のシートを用い、周縁部203を熱融着、超音波接合、接着剤による接着等によってシールすることで構成してもよい。この場合、収容体20のシート(収容体第1シート201又は収容体第2シート202)は、その一部又は全部が通気性を有していると好ましく、その通気度は、好ましくは100秒/100mL以上であり、より好ましくは500秒/100mL以上であり、さらに好ましくは1,000秒/100mL以上であり、殊更に好ましくは1,500秒/100mL以上である。そして、好ましくは100,000秒/100mL以下であり、より好ましくは10,000秒/100mL以下であり、さらに好ましくは5,000秒/100mL以下であり、殊更に好ましくは3,500秒/100mL以下である。
また、本実施形態においては、たとえば、収容体第2シート202について、通気性を有しない非通気性シートを採用することができる。このようにすることで、効果的に発生した水蒸気を着用者に適用することができる。
通気性を有しない非通気性シートとしては、実質的に酸素を透過しないものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニリデン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフォン及びポリアミドの1種又は2種以上を使用することができる。その厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。
その他、図6のように、収容体20を、更に、使用感を高めるため風合いの良好なシート材料である不織布製の第二収容体40に収容した構成としてもよい。第二収容体40は、好ましくは坪量5g/m以上、より好ましくは10g/m以上のシートにより構成される。また、好ましくは200g/m以下、より好ましくは120g/m以下のシートの周縁部を貼り合せて構成させることができる。
これらのうち、軽量化等の観点から、坪量20g/m以上120g/m以下のシートであることが好ましい。このようなシートとしては、不織布、編み物地等が挙げられる。
不織布としては、1種又は2種以上の繊維を用いて、エアスルー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブローン法、カード法、熱融着法、水流交絡法、溶剤接着法により製造されたものを用いることができる。なかでも、風合いや、弾力性の観点から、伸縮性を有する不織布を用いることが好ましい。伸縮性を有する不織布としては、構成繊維として弾性繊維(例えば、ポリウレタン、ポリエステル)や立体捲縮性繊維を含む不織布が好ましく、例えばエアスルー不織布やスパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布等がより好ましい。
具体的な不織布の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、エチレンプロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリル等を含む合成繊維;セルロース、シルク、コットン、ウール等を含む天然繊維;あるいはそれらを複合した繊維の1種又は2種以上が挙げられる。
なお、本実施形態の水蒸気発生温熱具100は、酸素により酸化される被酸化性金属を有するため、通常、酸素遮断袋に封入されて保管される。
本実施形態のドライアイ改善具50は、その一部に冷感剤を含有することを特徴とする。より具体的には、ドライアイ改善具50に備えられる水蒸気発生温熱具100に冷感剤が含まれるものである。
この冷感剤としては、公知のものを採用することができるが、入手容易性や涙液の分泌を促進する観点から、l−メントール、dl−メントール、1,8−シネオール、乳酸メンチル、酢酸メンチル、コハク酸モノメンチル、3−(l−メントキシ)−1,2−プロパンジオール、N−エチル−3−p−メンタンカルボキサミドよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含むことが好ましい。
この冷感剤の含有量は、水蒸気発生温熱具100全体の質量に対して、0.02質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。
一方、冷感剤の含有量は、水蒸気発生温熱具100全体の質量に対して、1質量%以下であり、好ましくは0.8質量%以下であり、より好ましくは0.6質量%以下である。
冷感剤の含有量をこの数値以上とすることにより、安定的に涙液の分泌の促進を図ることができる。
この冷感剤を担持させる形態としては、例えば以下のような形態がある。
(1)冷感剤が発熱体10に含まれる形態
(2)収容体20の内部に、冷感剤が付されたシートが配置される形態
(3)収容体20を構成する収容体第1シート201および収容体第2シート202の少なくともいずれか一方に冷感剤が付される形態
(4)収容体20の外部に、冷感剤が付されたシートが配置される形態
ドライアイ改善具50の製造工程を簡略化する観点から、冷感剤を担持させる形態としては、収容体20の外部に、冷感剤が付されたシートが配置される形態が好ましい。
収容体20の外部に冷感剤が付されたシートを配置する場合、冷感剤が、水蒸気発生温熱具100の平面視における面積に対し、好ましくは0.15g/m以上担持されており、より好ましくは0.5g/m以上担持されており、さらに好ましくは0.8g/m以上担持されている。
また、収容体20の外部に冷感剤が付されたシートを配置する場合、冷感剤が、水蒸気発生温熱具100の平面視における面積に対し、好ましくは15g/m以下担持されており、より好ましくは10g/m以下担持されており、さらに好ましくは8g/m以下担持されている。
収容体20の外部に冷感剤が付されたシートを配置する場合、水蒸気発生温熱具100より発生する水蒸気を、目や目の周りの皮膚に効率よく供給できる観点から、着用者の肌から遠い側に位置する収容体第2シート202の側に配置することが好ましい。
ここで、冷感剤を担持させる形態として、収容体20の外部に、冷感剤が付されたシート212が配置された形態について、図5を用いて説明する。図5は、収容体20のシート面と直交する方向の断面図である。
収容体20は、シート212を備える。このシート212は、収容体第2シート202の外面に接着剤等で接着されているとよい。そして、本実施形態では、シート212と収容体第2シート202とは同じ大きさ形状であり、収容体第2シート202の外面全面を被覆している。ただし、シート212は収容体第2シート202よりも小さいものであっても大きいものであってもよいが、好ましくは発熱体10と同形である。
シート212には、冷感剤が担持されている。収容体20の外側に配置されるシート212に冷感剤を担持させることで、冷感剤を使用者に効率よく供給することができる。
シート212としては、冷感剤を担持できるものであればよく、紙、不織布、多孔質フィルム、織布のいずれかが挙げられる。
冷感剤は、シート212に滴下、スプレー、塗布、含浸等の手段で担持させることができる。
本実施形態の水蒸気発生温熱具100の表面最高到達温度は、着用者に適度なドライアイ改善効果を付与する観点から、JIS規格S4100に準拠した測定において、好ましくは35℃以上であり、より好ましくは40℃以上であり、さらに好ましくは45℃以上である。
また、水蒸気発生温熱具100の表面最高到達温度は、着用者に心地よい温感を与える観点から、JIS規格S4100に準拠した測定において、好ましくは70℃以下であり、より好ましくは65℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下である。
また、本実施形態の水蒸気発生温熱具100の水蒸気発生量は、着用者に適度な蒸気感を与える観点から、好ましくは20mg/10min以上であり、より好ましくは50mg/10min以上であり、さらに好ましくは70mg/10min以上であり、ことさらに好ましくは100mg/10min以上である。
また、本実施形態の水蒸気発生温熱具100の水蒸気発生量は、ドライアイ改善具50中の結露を抑止する観点から、好ましくは1,500mg/10min以下であり、より好ましくは800mg/10min以下であり、さらに好ましくは250mg/10min以下である。
ここで、水蒸気発生温熱具100の表面最高到達温度と水蒸気発生量は図7に示す装置30を用いて、次のように測定される数値である。図7に示す装置30は、アルミニウム製の測定室(容積4L)31、測定室31の下部に除湿空気(湿度2%未満、流量2.1L/分)を流入させる流入路32、測定室31の上部から空気を流出させる流出路33、流入路32に設けられた入口温湿度計34と入口流量計35、流出路33に設けられた出口温湿度計36と出口流量計37、測定室31内に設けられた温度計(サーミスタ)38からなっている。温度計38としては、温度分解能が0.01℃程度のものを使用する。
水蒸気発生温熱具100の表面温度の測定は、測定環境温度30℃(30±1℃)において水蒸気発生温熱具100を酸素遮断袋から取り出し、水蒸気発生温熱具100の肌側に位置する面、たとえば水蒸気が放出しやすい面を上にして測定室31に載置し、金属球(質量4.5g)をつけた温度計38をその上に載せて計測する。
また、この状態で下部より除湿空気を流し、入口温湿度計34と出口温湿度計36で計測される温度及び湿度から測定室31に空気が流入する前後の絶対湿度の差を求め、さらに入口流量計35と出口流量計37で計測される流量から水蒸気発生温熱具100が放出した水蒸気量を算出する。
なお、本明細書における表面最高到達温度とは、水蒸気発生温熱具100を酸素遮断袋から取り出した後、すなわち水蒸気発生後の水蒸気発生温熱具100表面の最高到達温度をいい、本明細書における水蒸気発生量とは、水蒸気発生温熱具100を酸素遮断袋から取り出した時点、すなわち水蒸気発生時点を起点とし、10分後までに測定された水蒸気量の総量をいう。
[使用方法]
本実施形態のドライアイ改善具50は、たとえば、ドライアイを罹患する者あるいはドライアイを罹患している疑いのある者に対して適用することができる。
具体的に、本実施形態のドライアイ改善具50は、たとえば、ドライアイを罹患する者あるいはドライアイを罹患している疑いのある者が、これを目に着用することで使用される。
なお、本明細書においては、ドライアイを罹患している者(ドライアイ患者)とは、以下に示す項目((1)〜(3))のスコアが、いずれも1点以上、かつ、スコアの合計が5点以上の場合の者を指すものとする。
(1) 自覚症状を有すること
ドライアイに関連した自覚症状を、長さ100mmのVisual Analog Scale(VAS)を用いて評価する。長さ100mmの横向きに描かれた直線の左端及び右端に、それぞれ、自覚症状の最小及び最大の程度を記載したスケールを、VASとして、対象者に呈示する。
自覚症状の程度は例えば、眼の乾燥感であれば、左端には「全く眼が乾いていない」、右端には「非常に眼が乾いている」等の文言を記載する。対象者は、自らが感じている症状の程度に、最も当てはまると感じる、スケール上の位置に、縦線を記入する。左端から、対象者に記入した縦線までの距離をmm単位にて測定し、測定値を、自覚症状のスコアとする。
具体的に、100mmのVASを用いた場合に、
・50mm以上である場合を「2点」、
・33mm以上50mm未満である場合を「1点」、
・33mm未満である場合を「0点」
としてスコア化する。
なお、VASの長さは、100mm以外としてもよい。その場合、左端からの距離をVASの長さで割った値に100を乗じた値に応じ、自覚症状のスコアを算出することができる。
(2) 涙液の安定性が低下していること
涙液の安定性を、フルオレセイン涙液層破壊時間(FBUT)または非侵襲性涙液層破壊時間(NIBUT)を用いて評価する。
具体的に、下記の条件で測定した涙液層破壊時間(FBUT)または非侵襲性涙液層破壊時間(NIBUT)について、
・3秒以下である場合を「2点」、
・3秒を超え、5秒以下である場合を「1点」、
・5秒を超える場合を「0点」
としてスコア化する。
フルオレセインを用いた涙液層破壊時間(Fluorescein Break Up Time;FBUT)の測定条件については以下の通りである。
すなわち、生理食塩水1滴をたらした、フルオレセイン試験紙(フローレス(登録商標)眼検査用試験紙)を、対象者の下眼瞼の結膜嚢に触れることで、フルオレセイン染色液を点眼する。あるいは、2〜5%に希釈したフルオレセイン染色液を、マイクロピペットを用いて2μL点眼する方法を用いてもよい。点眼後、数回、瞬目をさせてフルオレセインが眼表面に充分にいきわたるようにする。細隙灯顕微鏡を用い、コバルトブルーフィルター光を眼表面に照射し、フルオレセインの蛍光を観察する。観察光には、ブルーフリーフィルターを透過した光を用いてもよい。対象者に対し、自然に瞬目をするよう指示を与え、眼表面の蛍光が一様になっていることを確認した後、正面を見たまま瞬目を我慢するよう、対象者に指示を与える。最後の瞬目より、涙の膜が破れるあるいはドライスポットが出現するまでの時間を、ストップウォッチ等を用いて測定する。測定は3回続けて行い、3回の測定値の平均値を、フルオレセインを用いた涙液層破壊時間(FBUT)とする。
涙液層破壊時間(FBUT)のかわりに、フルオレセイン染色液を用いない、非侵襲性涙液層破壊時間(Non−Invasive Break Up Time;NIBUT)測定法を用いてもよい。非侵襲性涙液層破壊時間(NIBUT)は、同心円状あるいは格子状のパターンの光源を用いて、眼表面に前記パターンの像を照射し、涙液層に映る前記パターン像の変化を連続的に記録する装置を用い、瞬目を行ってから前記パターン像が崩れるまでの時間を測定することで得られる。
この測定に用いられる測定装置としては、OCULUS(登録商標) Keratograph(OCULUS Optikgeraete GmbH; Wetzlar, Germany)や、RT−7000−TSAS(トーメーコーポレーション;愛知県,日本)等がある。
(3) 涙液の貯留量が少ないこと
まぶたの内側に貯まっている涙液の貯留量(涙液メニスカス量)を、ストリップメニスコメトリ(たとえば、SMTube(登録商標):ホワイトメディカル;東京,日本)を用いて評価する。ストリップメニスコメトリは、毛細管現象を応用して、涙液メニスカス量を測定する医療機器である。涙液メニスカス量の測定には、まず、対象者に正面を見るよう指示を与え、耳側の球結膜と下眼瞼結膜の間にある涙液メニスカスに対し、なるべく結膜に触れない様、ストリップメニスコメトリを斜め上方からゆっくり近づける。ストリップメニスコメトリをメニスカスに5秒間浸漬し、涙液を採取する。採取後すぐに、ストリップメニスコメトリの目盛りを読んで、その値を涙液メニスカス量とする。
具体的に、この値が、
・3mm以下である場合を「2点」、
・3mmを超え、5mm以下である場合を「1点」、
・5mmを超える場合を「0点」
としてスコア化する。
なお、本実施形態のドライアイ改善具50は、上述のドライアイ患者を治療するのみならず、ドライアイの罹患の疑いがある者にも適用することができ、また、ドライアイを予防するために使用することもできる。
ここで、本実施形態のドライアイ改善具50の作用効果について説明する。
本実施形態のドライアイ改善具50は、水蒸気発生温熱具100中に特定量の冷感剤が含まれ、これにより涙液の分泌をいくらか促すことができるものと考えられる。
なお、従来、冷感剤を角膜等に作用させることで、涙液の分泌を促進しうるという報告はあったものの、実際のところ、冷感剤のみを用いた場合においては、その効果としては必ずしも十分なものではなかった。
これに対し、本実施形態のドライアイ改善具50においては、水蒸気発生温熱具100を備えており、さらに、着用者に温感を付与できることができる。
本発明者らは、このように冷感剤を用いると同時に、着用者に温感をもたらす構成を組み合わせることで、着用者の涙液の分泌を飛躍的に促すことができる旨、新たに知見した。
すなわち、これらの構成の奏する効果の相乗効果により、本実施形態のドライアイ改善具50は効果的に涙液の分泌を促すことができるものである。
以上、図面を参照ながら本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、上記実施形態では、収容体20の外側にシート212が配置され、このシート212に冷感剤が担持されていたが、これに限られるものではない。たとえば、発熱体10に冷感剤を含有させてもよい。さらには、収容体20を構成する収容体第1シート201および収容体第2シート202のいずれか一方、あるいは両方に冷感剤を担持してもよく、収容体20の内側に、冷感剤が担持されたシートを配置してもよい。
また、上記実施形態では、シート212を配置したのは、収容体第2シート202の外側であったが、収容体第1シート201の外側に冷感剤が担持されたシートを配置してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
[ドライアイ改善具の作製]
まず、以下の手順に従い、ドライアイ改善具を作製した。
<発熱体10の作製>
木材パルプ製の紙(20g/m、伊野紙(株)製)と吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、球状、平均粒子径300μm、50g/m、アクアリックCA、(株)日本触媒製)と木材パルプ製の紙(30g/m、伊野紙(株)製)を積層してなるポリマーシートを基材とし、上記基材の片面に、表1に示す各成分を混合したものをダイコーティング法にて、鉄量が372g/mとなるように塗工し、シート状塗工物を作製した。
上記シート状塗工物を50mm×50mmの大きさに裁断し、塗工面上に、食塩0.084g(局方塩化ナトリウム(大塚製薬(株)製))を均一に散布して、厚さ0.6mmの発熱体10を得た。
Figure 2017169600
<水蒸気発生温熱具100の作製>
以下の手順に従い、図5に示される形態の水蒸気発生温熱具100を作製した。
収容体第1シート201として、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿フィルム(通気度2,500秒/100ml)を用い、収容体第2シート202として、ポリエチレン製の非通気フィルムを用いた。収容体第2シート202の外側面には、シート212となる吸水紙(坪量35g/m)を予め接着剤でラミネートした。前述の発熱体10を、収容体第1シート201と収容体第2シート202との間に挟み込み、収容体第2シート202にラミネートした吸水紙が外方に向くように重ね、周縁部203においてフィルムどうしを接合し、水蒸気発生温熱具100を得た。
<冷感剤の保持>
エタノールを溶媒とし、1−メントール:7.7質量%、1,8−シネオール:16.0質量%となるよう溶解させた冷感剤溶液を調製し、上記で得られた水蒸気発生温熱具100の収容体第2シート202の外側にラミネートされたシート212に、上記冷感剤溶液39mgを塗布することで、冷感剤を保持させた。
このとき、水蒸気発生温熱具100の平面視における面積に対し、冷感剤を3.8g/mの割合で施しており、水蒸気発生温熱具100全体に対して0.3質量%の冷感剤を施した。
上記で得られた、冷感剤を含有する水蒸気発生温熱具100の水蒸気発生量を測定したところ、120mg/10minであった。
<ドライアイ改善具50の作製>
上記で得られた水蒸気発生温熱具100を用い、図1に示されるアイマスク形状のドライアイ改善具50を作製した。ここで、袋体第1シート55として、坪量80g/mのポリプロピレン不織布(ニードルパンチ法)を、袋体第2シート56として、坪量30g/mのポリエチレンテレフタレート不織布(エアスルー法)を用いた。
[冷感剤非含有温熱アイマスクの作製]
水蒸気発生温熱具を作製するにあたり、冷感剤を施さなかった以外は、上述のドライアイ改善具50と同様の方法で、アイマスクを得た。前述のアイマスクを作製する際に使用した、冷感剤を含有しない水蒸気発生温熱具の水蒸気発生量を測定したところ、120mg/10minであった。
[冷感剤含有アイマスクの作製]
前記冷感剤溶液39mgを50mm×50mmの寸法の吸水紙に塗布することで、冷感剤が3.8g/mの割合となるよう施した。
水蒸気発生温熱具100の代わりに、この冷感剤が施された吸水紙を、袋体第1シート55と袋体第2シート56とで収容した以外は上述のドライアイ改善具と同様の方法で、アイマスクを得た。
[試験例1:ドライアイ症状者を対象とした単回適用の効果]
先述のようにして得られた、ドライアイ改善具、冷感剤非含有温熱アイマスク、冷感剤含有アイマスクを用い、これらの奏する効果について検証した。
具体的に、ドライアイ症状を有する者20名を被験者とし、ドライアイ改善具、冷感剤非含有温熱アイマスク、または冷感剤含有アイマスクを10分間着用させ、涙液安定性と涙液貯留量について、着用前と着用後の変化を確認した。
結果は図8に示される通りである。
図8中、「MO」は「冷感剤含有アイマスク」、「HO」は「冷感剤非含有温熱アイマスク」、MHは「ドライアイ改善具」を示すものであり、それぞれのグラフの左側(白色)が着用前、右側(黒色)が着用後の涙液安定性と涙液貯留量の結果を示している。
なお、この涙液安定性と涙液貯留量の評価を行うにあたり、それぞれ、涙液層破壊時間(BUT;Break Up Time)の数値の平均値と、ストリップメニスコメトリ(Strip Meniscometry(SMTube(登録商標):ホワイトメディカル))を用いた際の目盛の平均値を用いた。
なお、涙液層破壊時間を測定するにあたっては、本願明細書に記載した「フルオレセインを用いた涙液層破壊時間(Fluorescein Break Up Time;FBUT)」の測定方法に準拠した。
[試験例2:ドライアイ症状者を対象とした連用の効果]
先述のようにして得られた、ドライアイ改善具を用い、このドライアイ改善具を連用した場合における効果について検証した。
この結果は図9に示される通りである。
具体的に、ドライアイ症状を有する者19名を被験者とし、ドライアイ改善具を10分間着用させ、涙液安定性と涙液貯留量について、着用前と着用後の変化を確認した。
図9の「pre」は着用前の評価結果、「Post 10min」は単回着用した後の評価結果である。
続いて、各ドライアイ症状を有する者について、一日二回ドライアイ改善具を着用してもらい、これを2週間継続させた。このドライアイ改善具の着用を2週間行った後、最終の着用日の翌日に再度、涙液安定性と涙液貯留量について評価を行った。
結果は図9の「Post 2Week」として示される通りであり、BUT(Break Up Time)の値、SM(Strip Meniscometry)の値とも、高水準を維持した。
さらに、このドライアイ改善具の着用を2週間行った後、一週間後に、再度、涙液安定性と涙液貯留量について評価を行った。
結果は図9の「Recovery」として示される通りであり、BUT(Break Up Time)の値、SM(Strip Meniscometry)の値とも、高水準を維持した。
この試験例2に関し、以下の表2に結果をまとめている。この表2に示すように、着用前、10分着用後、1日2回を2週間連用した後の各被験者について、前述したドライアイ改善具の使用方法に従いスコア化し、合計スコア(前述の(1)自覚症状を有すること、(2)涙液の安定性が低下していること、(3)涙液の貯留量が少ないこと、の合計スコア)を4点以下、5点、6点のいずれかに分けた。さらに、各々のスコアの被験者の割合を「ドライアイ改善率」として記載し、使用10分後にドライアイ症状者に該当しなくなった者の数に対する、2週間連用した後にドライアイ症状者に該当しなくなった者の数を「ドライアイ予防率」として記載した。
Figure 2017169600
以上のことから、本実施例で得られたドライアイ改善具により、単回の使用によりドライアイ改善効果が得られた。また、本実施例で得られたドライアイ改善具を連用することで、ドライアイが改善されることが期待され、しかもドライアイの改善効果が維持されることから、ドライアイ予防効果が期待される。
[試験例3:ドライアイ改善具連用時の自覚症状の変化]
試験例2と同時に、ドライアイの症状を有する者に対し、「眼の疲れ」、「眼の乾き」、「眼の不快感」、「眼のぼやけ」、「眼のゴロゴロ感」の自覚症状について、長さ100mmのVisual Analog Scale(VAS)を用いて評価した。
具体的に、長さ100mmの横向きに描かれた直線の左端及び右端に、それぞれ、自覚症状の最小及び最大の程度を記載したスケールを、VASとして、対象者に呈示し、各項目に応じ、対象者が、自らが感じている症状の程度に、最も当てはまると感じる、スケール上の位置に、縦線を記入し、自覚症状のスコアとした。
結果は図10に示した通りである。
本試験例の結果から、ドライアイの症状を有する者は、ドライアイ改善具の着用の結果、自覚症状として眼の疲れや乾き等が緩和されることが分かり、かつ、2週間の連用によりドライアイの自覚症状が抑制されていることが分かり、本発明のドライアイ改善具によりドライアイの予防効果が得られることが示された。
以上の各試験例から、本発明の構成を備えるドライアイ改善具は、単回着用、また連用された場合において、ドライアイの改善が見込まれた。
また、試験例1の結果から、単に着用者に温感を付与するだけ、あるいは、着用者に冷感剤を着用するだけでは、本発明ほどの顕著性が発揮できないことがわかった。
10 発熱体
20 収容体
30 装置
31 測定室
32 流入路
33 流出路
34 入口温湿度計
35 入口流量計
36 出口温湿度計
37 出口流量計
38 温度計
40 第二収容体
50 ドライアイ改善具
51 本体部
52 耳掛け部
53 袋体
53A、53B ノッチ部
54 孔
55 袋体第1シート
56 袋体第2シート
100 水蒸気発生温熱具
201 収容体第1シート
202 収容体第2シート
203 周縁部
212 シート

Claims (6)

  1. 着用者の目を覆うドライアイ改善具であって、
    当該ドライアイ改善具は、
    被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する発熱体と、
    当該発熱体を収容する収容体と、を備える水蒸気発生温熱具を備え、
    前記水蒸気発生温熱具が、冷感剤を、前記水蒸気発生温熱具の質量全体に対して、0.02質量%以上1質量%以下含有することを特徴とする、ドライアイ改善具。
  2. 前記冷感剤が、l−メントール、dl−メントール、1,8−シネオール、乳酸メンチル、酢酸メンチル、コハク酸モノメンチル、3−(l−メントキシ)−1,2−プロパンジオール、N−エチル−3−p−メンタンカルボキサミドよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含む、請求項1に記載のドライアイ改善具。
  3. 前記収容体は、前記発熱体よりも前記着用者の肌側に位置する第1シート及び前記発熱体よりも前記着用者の肌から遠い側に位置する第2シートを備える、請求項1または2に記載のドライアイ改善具。
  4. 前記冷感剤が、前記収容体の外部に配置されたシートに担持されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のドライアイ改善具。
  5. 前記冷感剤が、前記水蒸気発生温熱具の平面視における面積に対して、0.15g/m以上15g/m以下担持されていることを特徴とする、請求項4に記載のドライアイ改善具。
  6. 前記水蒸気発生温熱具の、表面最高到達温度が35℃以上70℃以下である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のドライアイ改善具。
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