JP2017168660A - 描画位置補正データ作成方法およびテンプレート作製方法 - Google Patents

描画位置補正データ作成方法およびテンプレート作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インプリントによって所望位置にパターンを形成することができる描画位置補正データ作成方法を提供すること。【解決手段】実施形態の描画位置補正データ作成方法では、テンプレートパターンに関するパターン情報に基づいて、基板にかかる離型力が算出される。この離型力は、第1のテンプレートを用いたインプリントによって、前記基板から第2のテンプレートを形成する際に、前記基板にかかるものである。また、前記離型力に基づいて、離型時の前記基板の歪み量が算出される。さらに、前記歪み量に基づいて、前記第2のテンプレート上に形成されるパターンの位置ずれ量が算出される。そして、前記位置ずれ量に基づいて、前記第1のテンプレートの描画データを補正する補正データが作成される。【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、描画位置補正データ作成方法およびテンプレート作製方法に関する。
半導体装置の製造工程で用いられる技術の1つにインプリントリソグラフィがある。インプリントリソグラフィが行われる際には、転写用の凹凸パターンを有したテンプレートが作製される。そして、このテンプレートの凹凸パターンが基板上のレジストに押当てられる。その後、レジストを硬化させ、テンプレートが硬化したレジストから離型される。この離型の際には、レジストパターンに離型力がかかる。そして、この離型力が原因でレジストパターンに位置ずれが発生する場合がある。このため、所望の位置にパターンを形成することが困難であった。
特許第5289006号公報
本発明が解決しようとする課題は、インプリントによって所望位置にパターンを形成することができる描画位置補正データ作成方法およびテンプレート作製方法を提供することである。
実施形態によれば、描画位置補正データ作成方法が提供される。前記描画位置補正データ作成方法は、第1の算出ステップと、第2の算出ステップと、第3の算出ステップと、補正ステップと、を含んでいる。前記第1の算出ステップでは、テンプレートパターンに関するパターン情報に基づいて、基板にかかる離型力が算出される。この離型力は、第1のテンプレートを用いたインプリントによって、前記基板から第2のテンプレートを形成する際に、前記基板にかかるものである。前記第2の算出ステップでは、前記離型力に基づいて、離型時の前記基板の歪み量が算出される。前記第3の算出ステップでは、前記歪み量に基づいて、前記第2のテンプレート上に形成されるパターンの位置ずれ量が算出される。前記補正ステップでは、前記位置ずれ量に基づいて、前記第1のテンプレートの描画データを補正する補正データが作成される。
図1は、実施形態に係るテンプレート作製システムの構成を示す図である。 図2は、実施形態に係る補正データ作成装置の構成を示すブロック図である。 図3は、実施形態に係るレプリカテンプレート作製処理の処理手順を示すフローチャートである。 図4は、パターン周囲長と離型力との関係を説明するための図である。 図5は、離型力とレプリカテンプレート基板の歪みとの関係を説明するための図である。 図6は、テンプレートパターンのパターン被覆率を説明するための図である。 図7は、マスターテンプレートの断面形状を説明するための図である。 図8は、パターン被覆率とレジストパターンの位置ずれ方向との関係を説明するための図である。 図9は、インプリント装置の構成を示す図である。 図10は、インプリント工程の処理手順を説明するための図である。 図11は、補正データ作成装置のハードウェア構成を示す図である。
以下に添付図面を参照して、実施形態に係る描画位置補正データ作成方法およびテンプレート作製方法を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
(実施形態)
図1は、実施形態に係るテンプレート作製システムの構成を示す図である。テンプレート作製システムは、NIL(Nano Imprint Lithography)などのインプリントリソグラフィで用いられる、マスターテンプレートTxおよびレプリカテンプレートTyを作製するシステムである。
本実施形態では、レプリカテンプレートTyのパターンサイズやパターン周囲長などに基づいて、レプリカテンプレートTyが形成される際のレジストパターンの位置ずれ量が算出される。そして、算出された位置ずれ量に基づいて、マスターテンプレートTxの描画データを位置補正する描画位置補正データが生成される。この描画位置補正データを用いて、マスターテンプレートTxが作製され、マスターテンプレートTxを用いてレプリカテンプレートTyが作製される。
マスターテンプレートTxは、マスターテンプレート基板(インプリント用ブランクス)に、テンプレートパターンが形成されたものである。したがって、マスターテンプレート基板は、テンプレートパターンが形成される前の板状部材である。
また、レプリカテンプレートTyは、レプリカテンプレート基板(インプリント用ブランクス)に、テンプレートパターンが形成されたものである。したがって、レプリカテンプレート基板は、テンプレートパターンが形成される前の板状部材である。
マスターテンプレートTxは、電子ビーム(Electron Beam:EB)描画等によって形成されるテンプレートである。レプリカテンプレートTyは、マスターテンプレートTxを用いたインプリントリソグラフィが行われることによって形成されるコピーテンプレートである。したがって、マスターテンプレートTxは、親テンプレートであり、レプリカテンプレートTyは、子テンプレートである。
マスターテンプレートTxおよびレプリカテンプレートTyは、透明な石英基板等であるマスターテンプレート基板に凹凸パターンが掘り込まれることによって形成されている。レプリカテンプレートTyは、マスターテンプレートTxの凹凸パターンを逆転させたものである。マスターテンプレートTxにおいて凸部だった箇所は、レプリカテンプレートTyでは、凹部となる。一方、マスターテンプレートTxにおいて凹部だった箇所は、レプリカテンプレートTyでは、凸部となる。インプリント法を用いて回路パターンを大量生産する場合には、上述したレプリカテンプレートTyを大量に作製しておくことが望ましい。
本実施形態のテンプレート作製システム100は、マスターテンプレートTxを用いたインプリントリソグラフィによって、レプリカテンプレートTyを作製した場合の離型力を算出する。そして、算出した離型力に基づいて、マスターテンプレートTxが作製される。さらに、マスターテンプレートTxを用いたインプリントリソグラフィによって、レプリカテンプレートTyが作製される。
その後、レプリカテンプレートTyの凹凸パターンであるテンプレートパターンが所望の位置に形成されているか否かが判定される。テンプレートパターンが所望の位置に形成されていない場合には、位置ずれ量に基づいて、マスターテンプレートTxが再作製される。テンプレートパターンが所望の位置に形成されている場合には、レプリカテンプレートTyを用いて、基板(ウエハなど)上にインプリントリソグラフィが行われる。
テンプレート作製システム100は、補正データ作成装置10と、描画装置30と、インプリント装置40と、位置計測装置60とを有している。補正データ作成装置10は、マスターテンプレートTxの描画データ(描画パターン)を補正するための描画位置補正データを作成するコンピュータなどである。描画位置補正データは、描画データに設定されているパターン位置を補正するためのデータである。
補正データ作成装置10は、マスターテンプレートTxを用いたインプリントリソグラフィによってレプリカテンプレートTyを作製した場合の離型力を算出する。このとき、補正データ作成装置10は、レプリカテンプレートTyのパターン表面積などの情報に基づいて、離型力を算出する。さらに、補正データ作成装置10は、算出した離型力に基づいて、マスターテンプレートTxを用いたインプリント時におけるレプリカテンプレート基板の歪み量を算出する。そして、補正データ作成装置10は、レプリカテンプレートTyの歪み量に基づいて、マスターテンプレートTxの描画パターン位置を補正するための補正データ(描画位置補正データ)を作成する。補正データ作成装置10は、レプリカテンプレート基板に歪みが発生した場合であっても、所望の位置にレプリカテンプレートTyのテンプレートパターンを形成することができる描画位置補正データを作成する。
描画装置30は、マスターテンプレートTxの描画データに基づいて、マスターテンプレート基板にパターン描画を行う装置である。描画装置30は、電子ビーム描画によってマスターテンプレート基板上のレジストにパターン描画を行う。本実施形態の描画装置30は、補正データ作成装置10が作成した描画位置補正データに基づいて、描画パターンの位置補正を行なう。すなわち、描画装置30は、位置補正後の描画パターン(描画データ)を用いて、マスターテンプレート基板にパターン描画を行う。パターン描画されたマスターテンプレート基板は、現像やエッチングなどの処理を経て、マスターテンプレートTxとなる。
インプリント装置40は、テンプレートを用いてインプリントを行う装置である。インプリント装置40は、マスターテンプレートTxを用いたインプリントリソグラフィによって、レプリカテンプレート基板上にレジストパターンを形成する。レジストパターンが形成されたレプリカテンプレート基板は、エッチングなどの処理を経て、レプリカテンプレートTyとなる。
位置計測装置60は、レプリカテンプレートTyに形成されているテンプレートパターンの位置(以下、レプリカパターン位置R1という)を計測する。そして、位置計測装置60は、レプリカパターン位置R1の所望位置からの位置ずれ量(以下、位置差分という)を算出する。ここでの所望位置は、例えば、マスターテンプレートTxのパターン描画に用いたパターンデータ(設計データ)に基づいて設定されている。
なお、所望位置は、マスターテンプレートTxに実際に形成されたテンプレートパターンの位置に基づいて設定されてもよい。この場合、位置計測装置60は、マスターテンプレートTxに形成されているテンプレートパターンの位置(以下、マスターパターン位置M1という)を計測する。
また、所望位置は、レプリカテンプレートTyを用いてウエハ上に実際に形成された基板上パターンの位置に基づいて設定されてもよい。また、所望位置は、基板上パターンのパターンデータ(設計データ)に基づいて設定されてもよい。
位置計測装置60は、例えば、マスターパターン位置M1(計測結果)と、レプリカパターン位置R1(計測結果)とに基づいて、レプリカパターン位置R1の所望位置との位置差分を算出する。そして、位置計測装置60は、算出した位置差分に基づいて、位置差分が許容範囲内(基準値以下または基準値未満)であるか否かを判定する。
位置差分が許容範囲内であった場合、レプリカテンプレートTyを用いて、ウエハなどの基板へのインプリント処理が行われる。位置計測装置60が算出した位置差分は、補正データ作成装置10での描画位置補正データの作成処理にフィードバックされる。
つぎに、補正データ作成装置10の構成について説明する。図2は、実施形態に係る補正データ作成装置の構成を示すブロック図である。補正データ作成装置10は、入力部11と、記憶部12と、分割部(分割モジュール)13と、離型力算出部(離型力算出モジュール)14と、歪み量算出部(歪み量算出モジュール)15と、位置ずれ量算出部(位置ずれ量算出モジュール)16と、位置補正データ生成部(位置補正データ生成モジュール)17と、出力部18とを備えている。
入力部11へは、レプリカテンプレートTyの描画データが入力される。また、入力部11へは、レプリカテンプレートTyのパターンデータに関する情報(後述するパターン情報21)が入力される。また、入力部11へは、マスターテンプレートTxを用いてレプリカテンプレート基板にレジストパターンを形成する際のインプリント処理に関する情報(後述するインプリント条件22)が入力される。入力部11は、レプリカテンプレートTyの描画データを記憶部12に送る。また、入力部11は、パターン情報21およびインプリント条件22を記憶部12に送る。記憶部12は、レプリカテンプレートTyの描画データ、パターン情報21およびインプリント条件22を記憶するメモリなどである。
分割部13は、記憶部12からレプリカテンプレートTyの描画データを読み込む。分割部13は、レプリカテンプレートTyの描画データ(パターン領域)をメッシュ状などの所定領域に分割する。なお、分割部13は、レプリカテンプレートTyの描画データを正方形領域に分割してもよいし、正方形以外の形状領域に分割してもよい。分割部13は、分割後のメッシュ領域を、メッシュ領域毎に離型力算出部14に送る。
離型力算出部14は、記憶部12からパターン情報21を読み出す。離型力算出部14は、パターン情報21に基づいて、レプリカテンプレート基板での各メッシュ領域における離型力ΔPを試算する。離型力算出部14は、パターン情報21を用いた離型シミュレーションなどによって各離型力ΔPを試算する。離型力算出部14が算出する離型力ΔPは、マスターテンプレートTxをレプリカテンプレート基板上のレジストから離型する際にレプリカテンプレート基板にかかる離型力である。
パターン情報21は、レプリカテンプレートTyのパターンデータに関する情報である。なお、パターン情報21は、レプリカテンプレートTyの描画データに関する情報であってもよい。パターン情報21は、テンプレートパターンのパターン深さ(掘り込み深さ)、パターンサイズ、パターン周囲長の少なくとも1つの情報を含んでいる。なお、パターン情報21は、凹凸情報または構造情報(構造に関する情報)を含んでいてもよい。ここでの凹凸情報は、レプリカテンプレートTyのテンプレートパターンが凹パターンであるか凸パターンであるかの情報である。また、ここでの構造情報は、レプリカテンプレートTyの固さ、厚さ、材質、形状などの情報である。
また、パターン情報21には、マスターテンプレートTxに関する情報を含めてもよい。例えば、パターン情報21には、マスターテンプレートTxの構造情報を含めてもよい。この場合の構造情報は、マスターテンプレートTxの固さ、厚さ、材質、形状などの情報である。離型力算出部14は、算出したメッシュ領域毎の各離型力ΔPを歪み量算出部15に送る。
歪み量算出部15は、記憶部12からインプリント条件22を読み出す。歪み量算出部15は、インプリント条件22に基づいて、レプリカテンプレート基板の各メッシュ領域における歪み量ΔZを算出する。歪み量算出部15は、インプリント条件22を用いた離型シミュレーションなどによって歪み量ΔZを試算する。歪み量算出部15が算出する歪み量ΔZは、マスターテンプレートTxをレプリカテンプレート基板上のレジストから離型する際のレプリカテンプレート基板の歪み量である。
インプリント条件22は、レプリカテンプレート基板上のレジストの粘性(硬度)に関する情報およびレプリカテンプレートTyの構造情報の少なくとも1つを含んでいる。歪み量算出部15は、算出したメッシュ領域毎の各歪み量ΔZを位置ずれ量算出部16に送る。
位置ずれ量算出部16は、レプリカテンプレート基板上のレジストパターンの位置ずれ量を算出する。具体的には、位置ずれ量算出部16は、歪み量ΔZに基づいて、レジストパターンの所望位置からの位置ずれ量を算出する。これにより、位置ずれ量算出部16は、インプリントの離型の際に発生するレプリカテンプレート基板の歪み量ΔZに応じたレジストパターンの位置ずれ量を算出する。例えば、歪み量ΔZが大きいほど、レジストパターンの位置ずれ量は大きくなる。位置ずれ量算出部16は、メッシュ領域毎にレジストパターンの位置ずれ量を算出する。位置ずれ量算出部16は、算出した各位置ずれ量を位置補正データ生成部17に送る。
位置補正データ生成部17は、位置ずれ量算出部16から送られてきた位置ずれ量と、マスターテンプレートTxの描画データとを用いて、メッシュ領域毎に描画位置補正データを生成する。位置補正データ生成部17が生成する描画位置補正データは、マスターテンプレートTxの描画データを補正するためのデータである。位置補正データ生成部17は、生成した描画位置補正データを出力部18に送る。出力部18は、描画位置補正データを描画装置30などの外部装置に送る。
補正データ作成装置10の各構成要素の少なくとも一部は、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよい。例えば、分割部13は、分割回路であってもよい。また、離型力算出部14、歪み量算出部15、位置ずれ量算出部16、位置補正データ生成部17は、それぞれ離型力算出回路、歪み量算出回路、位置ずれ量算出回路、位置補正データ生成回路であってもよい。
つぎに、レプリカテンプレートTyの作製処理手順について説明する。図3は、実施形態に係るレプリカテンプレート作製処理の処理手順を示すフローチャートである。レプリカテンプレートTyが作製される際には、レプリカテンプレートTyの描画データが作成される。なお、レプリカテンプレートTyの描画データは、マスターテンプレートTxの描画データを反転させたものであってもよい。レプリカテンプレートTyの描画データは、描画装置30が、レプリカテンプレート基板上にテンプレートパターンを描画する場合に用いられるデータである。レプリカテンプレートTyの描画データは、レプリカテンプレートTyのパターンデータが描画用に補正されたものである。
補正データ作成装置10の入力部11へは、レプリカテンプレートTyの描画データが入力される。また、入力部11へは、レプリカテンプレートTyのパターンデータに関する情報として、パターン情報21が入力される。また、入力部11へは、インプリント処理に関する情報として、インプリント条件22が入力される。レプリカテンプレートTyの描画データ、パターン情報21およびインプリント条件22は、記憶部12で記憶される。
分割部13は、記憶部12からレプリカテンプレートTyの描画データを読み込む(ステップS10)。分割部13は、レプリカテンプレートTyの描画データをメッシュ状の領域に分割する(ステップS20)。分割部13は、分割後のメッシュ領域(メッシュ分割した描画データ)を、メッシュ領域毎に離型力算出部14に送る。
離型力算出部14は、記憶部12からパターン情報21を読み出す。離型力算出部14は、パターン情報21に基づいて、レプリカテンプレート基板での各メッシュ領域における離型力ΔPを試算する(ステップS30)。ここでの離型力ΔPは、マスターテンプレートTxをレプリカテンプレート基板上のレジストから離型する際にレプリカテンプレート基板にかかる離型力である。離型力算出部14は、算出した各離型力ΔPをメッシュ領域に対応付けして歪み量算出部15に送る。
歪み量算出部15は、記憶部12からインプリント条件22を読み出す。歪み量算出部15は、インプリント条件22に基づいて、レプリカテンプレート基板の各メッシュ領域における歪み量(基板歪み量)ΔZを算出する(ステップS40)。ここでの歪み量ΔZは、マスターテンプレートTxをレプリカテンプレート基板上のレジストから離型する際の、レプリカテンプレート基板の歪み量である。歪み量算出部15は、算出した各歪み量ΔZをメッシュ領域に対応付けして位置ずれ量算出部16に送る。
位置ずれ量算出部16は、レプリカテンプレート基板上のレジストパターンの位置ずれ量を算出する。具体的には、位置ずれ量算出部16は、歪み量ΔZに基づいて、レジストパターンの所望位置からの位置ずれ量を算出する。これにより、位置ずれ量算出部16は、インプリントの離型の際に発生するレプリカテンプレート基板の歪み量ΔZに応じたレジストパターンの位置ずれ量(基板歪み量に応じたパターン位置ずれ量)を算出する(ステップS50)。位置ずれ量算出部16は、メッシュ領域毎にレジストパターンの位置ずれ量を算出する。位置ずれ量算出部16は、算出した各位置ずれ量をメッシュ領域に対応付けして位置補正データ生成部17に送る。
位置補正データ生成部17は、位置ずれ量算出部16から送られてきた位置ずれ量と、マスターテンプレートTxの描画データとを用いて、メッシュ領域毎に描画位置補正データを生成する(ステップS60)。ここでの描画位置補正データは、マスターテンプレートTxの描画データを位置補正するためのデータである。換言すると、描画位置補正データは、レプリカテンプレート基板の離型時の歪みを相殺することができるデータである。このように、本実施形態では、パターン情報21およびインプリント条件22に基づいた、描画位置補正データが生成される。
位置補正データ生成部17は、生成した描画位置補正データをメッシュ領域に対応付けして出力部18に送る。出力部18は、各メッシュ領域に対応付けされた描画位置補正データを描画装置30に送る。
描画装置30は、マスターテンプレートTxの描画データと、描画位置補正データと、を用いて、マスターテンプレート基板上のレジストにパターン描画を行う(ステップS70)。パターン描画されたマスターテンプレート基板は、現像装置(デベロッパー)によって現像処理が行われ、エッチング装置(エッチャー)によってエッチング処理が行われる。これにより、マスターテンプレート基板上にテンプレートパターンが形成されて、マスターテンプレート基板がマスターテンプレートTxとなる。
マスターテンプレートTxが作製された後、位置計測装置60は、マスターテンプレートTxの位置を計測する(ステップS80)。具体的には、位置計測装置60は、マスターテンプレートTxに形成されているテンプレートパターンの位置であるマスターパターン位置M1を計測する。なお、位置計測装置60がマスターテンプレートTxの描画データに基づいて、位置差分を算出する場合、マスターパターン位置M1の計測は省略されてもよい。
また、インプリント装置40は、インプリント処理を行う(ステップS90)。具体的には、インプリント装置40は、マスターテンプレートTxを用いたインプリントリソグラフィによって、レプリカテンプレート基板上にレジストパターンを形成する。レジストパターンが形成されたレプリカテンプレート基板は、エッチング装置によってエッチング処理が行われる。これにより、レプリカテンプレート基板上にテンプレートパターンが形成されて、レプリカテンプレート基板がレプリカテンプレートTyとなる。
レプリカテンプレートTyが作製された後、位置計測装置60は、レプリカテンプレートTyの位置を計測する(ステップS100)。具体的には、位置計測装置60は、レプリカテンプレートTyに形成されているテンプレートパターンの位置であるレプリカパターン位置R1を計測する。
なお、位置計測装置60によるマスターパターン位置M1の計測処理と、インプリント装置40などを用いたレプリカテンプレートTyの作製処理とは、何れが先に行われてもよい。また、位置計測装置60によるレプリカパターン位置R1の計測処理と、マスターパターン位置M1の計測処理とは、何れが先に行われてもよい。
位置計測装置60は、レプリカパターン位置R1と所望位置との位置差分を算出する。位置計測装置60は、例えば、マスターパターン位置M1とレプリカパターン位置R1とを比較することによって、位置差分を算出する。位置計測装置60は、算出した位置差分が許容範囲内であるか否かを判定する。換言すると、位置計測装置60は、レプリカテンプレートTyのテンプレートパターンが所望通りの位置に形成されているか否かを判定する(ステップS110)。
レプリカテンプレートTyのテンプレートパターンが所望通りの位置に形成されていない場合(ステップS110、No)、レプリカパターン位置R1の位置差分は、補正データ作成装置10が用いる歪みモデルにフィードバックされる(ステップS120)。この場合、位置計測装置60が算出した位置差分は、補正データ作成装置10に送られる。この位置差分は、入力部11に入力され、記憶部12で記憶される。
歪みモデルは、レプリカテンプレート基板の歪み量ΔZに応じたパターン位置ずれ量を算出するモデルである。したがって、位置ずれ量算出部16が、記憶部12で記憶されている位置差分を用いて、次回以降の処理を実行する。具体的には、位置ずれ量算出部16は、レプリカテンプレート基板の歪み量ΔZに応じたパターン位置ずれ量を、位置差分を用いて算出する(ステップS50)。そして、位置補正データ生成部17は、描画位置補正データを生成する(ステップS60)。このように、レプリカパターン位置R1の位置差分は、補正データ作成装置10での描画位置補正データの生成処理にフィードバックされる。
位置差分を用いて描画位置補正データが生成された場合も、位置差分が算出される前の処理と同様に、ステップS70〜S110の処理が行われる。そして、レプリカテンプレートTyのテンプレートパターンが所望通りの位置に形成されていない場合(ステップS110、No)、ステップS120およびステップS50〜S110の処理が繰り返される。
このように、レプリカテンプレートTyのテンプレートパターンに対して所望の位置精度を得ることができない場合には、パターン位置ずれ量の算出に誤差があると考えられるため、計測結果に最も合うパラメータを用いて描画位置補正データが再作成される。
レプリカテンプレートTyのテンプレートパターンが所望通りの位置に形成されている場合(ステップS110、Yes)、このレプリカテンプレートTyを用いて、ウエハにインプリント処理が行われる。これにより、レプリカテンプレートTyに対応するレジストパターンがウエハ上に形成される。このように、位置ずれ量が許容範囲内であった場合、レプリカテンプレートTyを用いて、ウエハへのインプリント処理が行われる。このインプリント処理は、インプリント装置40を用いて行われてもよいし、他のインプリント装置を用いて行われてもよい。
ウエハ上のレジストパターンは、レプリカテンプレートTyのテンプレートパターンに応じた位置に形成されている。また、レプリカテンプレートTyのテンプレートパターンは、マスターテンプレートTxのテンプレートパターンの位置に応じた位置に形成されている。そして、マスターテンプレートTxのテンプレートパターンの位置は、パターン情報21およびインプリント条件22に基づいて補正されている。したがって、ウエハ上のレジストパターンは、パターン情報21およびインプリント条件22に応じた位置に形成されている。
ここで、パターン情報21の一例であるテンプレートパターンのパターン周囲長と、離型力ΔPとの関係について説明する。図4は、パターン周囲長と離型力との関係を説明するための図である。図4の(a)では、テンプレートパターンのパターン周囲長が短い場合の離型処理を示している。図4の(b)では、図4の(a)の場合よりも、テンプレートパターンのパターン周囲長が短い場合の離型処理を示している。
図4の(a)では、マスターテンプレートTxの一例として、パターン周囲長が短いマスターテンプレート51Mを示している。また、図4の(b)では、マスターテンプレートTxの一例として、パターン周囲長がマスターテンプレート51Mよりも長いマスターテンプレート52Mを示している。
マスターテンプレート51Mを用いたインプリント処理の際には、レプリカテンプレート基板50R上にレジスト70が配置される。そして、レジスト70に対して、マスターテンプレート51Mが押し当てられる。これにより、レジスト70がマスターテンプレート51Mのテンプレートパターンに充填される。そして、レジスト70に光照射などが行われ、これにより、テンプレートパターンに充填されているレジスト70が硬化する。この後、マスターテンプレート51Mが硬化したレジスト70から離型される。
また、マスターテンプレート52Mを用いたインプリント処理の際には、レプリカテンプレート基板50R上にレジスト70が配置される。そして、レジスト70に対して、マスターテンプレート52Mが押し当てられる。これにより、レジスト70がマスターテンプレート52Mのテンプレートパターンに充填される。そして、レジスト70に光照射などが行われ、これにより、テンプレートパターンに充填されているレジスト70が硬化する。この後、マスターテンプレート52Mが硬化したレジスト70から離型される。
マスターテンプレート51Mを用いたインプリントの離型処理の場合、マスターテンプレート51Mに形成されているテンプレートパターンの周囲長が短いので、レプリカテンプレート基板50Rにかかる離型力ΔPは小さいものとなる。
一方、マスターテンプレート52Mを用いたインプリントの離型処理の場合、マスターテンプレート52Mに形成されているテンプレートパターンの周囲長が長いので、レプリカテンプレート基板50Rにかかる離型力ΔPは大きいものとなる。
このように、レプリカテンプレート基板50Rにかかる離型力ΔPは、テンプレートパターンの周囲長に応じた大きさとなる。同様に、レプリカテンプレート基板50Rにかかる離型力ΔPは、テンプレートパターンの深さ、パターンサイズ、凹凸情報または構造情報などのパターン情報21に応じた大きさとなる。
マスターテンプレートTxには、テンプレート面内に種々の形状(パターン周囲長など)を有したテンプレートパターンが配置されている。したがって、レプリカテンプレート基板50Rにかかる離型力ΔPは、テンプレート面内で種々の大きさとなる。この結果、離型の際には、レプリカテンプレート基板50Rが面内で歪むこととなる。
図5は、離型力とレプリカテンプレート基板の歪みとの関係を説明するための図である。図5ではテンプレートパターンが種々のパターン周囲長を有している場合の離型処理を示している。
図5に示すマスターテンプレート53Mは、マスターテンプレートTxの一例である。マスターテンプレート53Mは、パターン周囲長が長いテンプレートパターン56と、パターン周囲長がテンプレートパターン56よりも短いテンプレートパターン57と、を有している。
このようなマスターテンプレート53Mを用いたインプリント処理では、マスターテンプレート53Mが、レプリカテンプレート基板50R上のレジスト70から離型される。この場合おいて、パターン周囲長が長いテンプレートパターン56の近傍では、レプリカテンプレート基板50Rにかかる離型力ΔPは大きいものとなる。一方、パターン周囲長が短いテンプレートパターン57の近傍では、レプリカテンプレート基板50Rにかかる離型力ΔPは小さいものとなる。
このように、インプリント法では、レジストパターン(テンプレートパターン)の周囲長などに応じて、インプリントプロセス時の離型力ΔPが局所的に異なる。このため、レプリカテンプレート基板50Rには、離型力ΔPに応じた微小な反りが生じる。その結果、レプリカテンプレート基板50Rの反り量に応じた量だけ転写パターン(レジストパターン)の位置がシフトする。転写パターンのシフト量は、レプリカテンプレート基板50Rの中心を原点とした場合、例えば、原点からの距離と離形力ΔPの差との積で表される。
本実施形態では、レプリカテンプレート基板50Rの反り量(歪み量ΔZ)が予め予測され、予測結果に基づいて、マスターテンプレートTxのパターン位置が補正されたうえでマスターテンプレートTxが作製される。これにより、マスターテンプレートTxを用いて所望のレプリカテンプレートTyを作製することが可能となる。
つぎに、パターン情報21と、レジストパターンの位置ずれ方向について説明する。ここでは、パターン情報21の一例であるテンプレートパターンのパターン被覆率(パターン密度)と、レジストパターンの位置ずれ方向との関係について説明する。
図6は、テンプレートパターンのパターン被覆率を説明するための図である。図6では、種々のパターン被覆率を有したマスターテンプレート54Mの上面図を示している。マスターテンプレートTxの一例であるマスターテンプレート54Mでは、パターン被覆率が大きな領域(密な領域)と、パターン被覆率が小さな領域(疎な領域)と、が混在している。図6では、パターン被覆率が最も小さな領域101と、2番目に小さな領域102と、3番目に小さな領域103と、パターン被覆率が最も大きな領域104と、をハッチングで区別して図示している。
図7は、マスターテンプレートの断面形状を説明するための図である。図7の(a)では、力がかかっていない状態のマスターテンプレートTxの断面形状を示している。また、図7の(b)では、離型時のマスターテンプレートTxの断面形状を示している。なお、図7の(b)では、レジスト70の図示を省略している。
図7の(a)に示すように、マスターテンプレートTxの一例であるマスターテンプレート55Mには、パターン被覆率が小さな領域(領域76)と、パターン被覆率が大きな領域(領域75)とがある。
図7の(b)に示すように、離型処理の際には、所定領域から順番にマスターテンプレート55Mがレジスト70から引き剥がされる。例えば、マスターテンプレート55Mは、外周部から中央部に向かって順番に剥がされ、最後に中央部がはがされる。この場合において、マスターテンプレート55Mは、反らされながらレジスト70から剥がされる。そして、テンプレートパターンの疎密分布に応じてレプリカテンプレート基板50Rも反る。
疎なテンプレートパターンが配置されている領域76は、レジスト70とマスターテンプレート55Mとの間の密着力が小さいので、離型力ΔPが小さい。一方、密なテンプレートパターンが配置されている領域75は、レジスト70とマスターテンプレート55Mとの間の密着力が大きいので、離型力ΔPが大きい。このように、離型力ΔPは、テンプレートパターンの疎密に応じた大きさとなる。
このため、離型の際には、レジスト70が、疎なテンプレートパターンが配置されている方向に位置ずれする。このように、レジスト70(レジストパターン)の位置はテンプレートパターン(レジストパターン)の疎密に応じて位置ずれする。
図8は、パターン被覆率とレジストパターンの位置ずれ方向との関係を説明するための図である。図8では、図6に示したマスターテンプレート54Mのテンプレートパターン領域81を示している。図8に示す矢印の方向は、レジスト70の位置ずれ方向を示している。また、図8に示す矢印の長さは、レジスト70の位置ずれ量を示している。したがって、短い矢印は、小さな位置ずれ量が発生していることを示し、長い矢印は、大きな位置ずれ量が発生していることを示している。
テンプレートパターン領域81内の領域84では、疎な領域101,102などの影響を受けて、レジスト70が疎の方向に位置ずれを起こす。ここでは、領域84において、レジスト70が広がる方向(マスターテンプレート54Mの外周側)に位置ずれを起こした場合を示している。テンプレートパターン領域81内の領域85は、疎な領域101が、密な領域である領域104と隣接した領域である。このため、領域85では、例えば、密な領域104などの影響を受けて、レジスト70が密の方向に位置ずれを起こす。ここでは、領域85において、レジスト70が縮まる方向(マスターテンプレート54Mの内周側)に位置ずれを起こした場合を示している。
本実施形態の補正データ作成装置10は、このようなレジスト70の位置ずれを解消するよう、パターン情報21およびインプリント条件22に基づいて描画位置補正データを生成している。したがって、レプリカテンプレート基板50R上にレジスト70を形成した際に、レジスト70の位置ずれ(位置誤差)を抑制することが可能となる。また、レプリカテンプレートTyを用いてウエハ上にレジスト70を形成した際に、レジスト70の位置ずれ(位置誤差)を抑制することが可能となる。
ここで、インプリント装置40の構成について説明する。図9は、インプリント装置の構成を示す図である。インプリント装置40は、レプリカテンプレート基板50Rなどの被転写基板(被加工基板)に、モールド基板であるマスターテンプレート(原版)Txのテンプレートパターン(回路パターンなど)を転写する装置である。
インプリント装置40は、UV光源41、原版ステージ42、基板チャック44、試料ステージ45、基準マーク46、アライメントセンサ47、液滴下装置48、ステージベース49を備えている。また、本実施形態のインプリント装置40は、コントローラ25を備えている。
試料ステージ45は、レプリカテンプレート基板50Rを載置するとともに、載置したレプリカテンプレート基板50Rと平行な平面内(水平面内)を移動する。試料ステージ45は、レプリカテンプレート基板50Rに転写材としてのレジスト70を滴下する際にはレプリカテンプレート基板50Rを液滴下装置48の下方側に移動させ、レプリカテンプレート基板50Rへの押印処理を行う際には、レプリカテンプレート基板50RをマスターテンプレートTxの下方側に移動させる。
また、試料ステージ45上には、基板チャック44が設けられている。基板チャック44は、レプリカテンプレート基板50Rを試料ステージ45上の所定位置に固定する。また、試料ステージ45上には、基準マーク46が設けられている。基準マーク46は、試料ステージ45の位置を検出するためのマークであり、レプリカテンプレート基板50Rを試料ステージ45上にロードする際の位置合わせに用いられる。
ステージベース49の底面側(レプリカテンプレート基板50R側)には、原版ステージ42が設けられている。原版ステージ42は、マスターテンプレートTxの裏面側(テンプレートパターンの形成されていない側の面)からマスターテンプレートTxを真空吸着などによって所定位置に固定する。
ステージベース49は、原版ステージ42によってマスターテンプレートTxを支持するとともに、マスターテンプレートTxのテンプレートパターンをレプリカテンプレート基板50R上のレジスト70に押し当てる。ステージベース49は、上下方向(鉛直方向)に移動することにより、マスターテンプレートTxのレジスト70への押し当てと、マスターテンプレートTxのレジスト70からの引き離し(離型)と、を行う。インプリントに用いるレジスト70は、例えば、光硬化性などの樹脂(光硬化剤)である。また、ステージベース49の上部には、アライメントセンサ47が設けられている。アライメントセンサ47は、レプリカテンプレート基板50Rの位置検出やマスターテンプレートTxの位置検出を行う。
液滴下装置48は、インクジェット方式によってレプリカテンプレート基板50R上にレジスト70を滴下する装置である。液滴下装置48が備えるインクジェットヘッド(図示せず)は、レジスト70の液滴を噴出する複数の微細孔を有している。
UV光源41は、UV光を照射する光源であり、ステージベース49の上方に設けられている。UV光源41は、マスターテンプレートTxがレジスト70に押し当てられた状態で、マスターテンプレートTx上からUV光を照射する。コントローラ25は、インプリント装置40の各構成要素に接続され、各構成要素を制御する。図7では、コントローラ25と、各構成要素との接続は図示省略している。
レプリカテンプレート基板50Rへのインプリントを行う際には、試料ステージ45に載せられたレプリカテンプレート基板50Rが液滴下装置48の直下まで移動させられる。そして、レプリカテンプレート基板50Rの所定位置にレジスト70が滴下される。
その後、試料ステージ45上のレプリカテンプレート基板50RがマスターテンプレートTxの直下に移動させられる。そして、マスターテンプレートTxがレプリカテンプレート基板50R上のレジスト70に押し当てられる。
インプリント装置40は、マスターテンプレートTxとレジスト70とを所定時間だけ接触させてテンプレートパターンにレジスト70を充填させる。この状態でUV光源41がUV光をレジスト70に照射してレジスト70を硬化させる。これにより、テンプレートパターンに対応する転写パターンがレプリカテンプレート基板50R上のレジスト70にパターニングされる。
なお、レプリカテンプレートTyを用いてウエハ上にレジストパターンを形成する際に用いられるインプリント装置もインプリント装置40と同様の構成を有している。この場合のインプリント装置は、レプリカテンプレートTyをウエハ上のレジスト70に押し当てる。これにより、ウエハ上にレジストパターンが形成される。
つぎに、インプリント工程の処理手順について説明する。図10は、インプリント工程の処理手順を説明するための図である。なお、レプリカテンプレートTyを用いたインプリント処理と、マスターテンプレートTxを用いたインプリント処理とは、同様の処理なので、ここではレプリカテンプレートTyを用いたインプリント処理について説明する。
図10では、インプリント工程におけるウエハWAやレプリカテンプレートTyなどの断面図を示している。図10の(a)に示すように、ウエハWAの上面にはレジスト70が滴下される。これにより、ウエハWAに滴下されたレジスト70の各液滴はウエハWA面内に広がる。
そして、レプリカテンプレートTyがレジスト70側に移動させられ、図10の(b)に示すように、レプリカテンプレートTyがレジスト70に押し当てられる。このように、石英基板等を掘り込んで作ったレプリカテンプレートTyをレジスト70に接触させると、毛細管現象によりレプリカテンプレートTyのテンプレートパターン内にレジスト70が流入する。
予め設定しておいた時間だけ、レジスト70をレプリカテンプレートTyに充填させた後、図10の(c)に示すように、UV光35が照射される。これにより、レジスト70が硬化する。そして、図10の(d)に示すように、レプリカテンプレートTyが、硬化したレジスト70から離型されることにより、テンプレートパターンを反転させたレジストパターンがウエハWA上に形成される。
なお、マスターテンプレートTxを用いたインプリント処理では、レプリカテンプレートTyの代わりにマスターテンプレートTxが用いられる。そして、ウエハWAの代わりにレプリカテンプレート基板50Rが用いられる。
テンプレート作製システム100によるレプリカテンプレートTyの作製は、例えばウエハプロセスのレイヤ毎に行われる。そして、位置補正されたレプリカテンプレートTyを用いて半導体装置(半導体集積回路)が製造される。具体的には、レプリカテンプレートTyのパターン周囲長などに基づいて、マスターテンプレートTx用の描画位置補正データが作成される。そして、描画位置補正データを用いてマスターテンプレートTxが作製され、このマスターテンプレートTxを用いてレプリカテンプレートTyが作製される。
さらに、ウエハWA上に被加工膜が形成され、被加工膜上にレジスト70が配置される。この後、レジスト70の配置されたウエハWAにレプリカテンプレートTyを用いたインプリント処理が行われ、これにより、ウエハWA上にレジストパターンが形成される。そして、レジストパターンをマスクとしてレジストパターンの下層側がエッチングされる。これにより、レプリカテンプレートTyのテンプレートパターンに対応する実パターンがウエハWA上に形成される。半導体装置を製造する際には、上述した描画位置補正データの作成処理、マスターテンプレートTxの作製処理、レプリカテンプレートTyの作製処理、ウエハWA上への被加工膜の形成処理、レプリカテンプレートTyを用いたインプリント処理、エッチング処理などがレイヤ毎に繰り返される。
つぎに、補正データ作成装置10のハードウェア構成について説明する。図11は、補正データ作成装置のハードウェア構成を示す図である。補正データ作成装置10は、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、表示部94、入力部95を有している。補正データ作成装置10では、これらのCPU91、ROM92、RAM93、表示部94、入力部95がバスラインを介して接続されている。
CPU91は、コンピュータプログラムである位置補正データ生成プログラム97を用いてパターンの判定を行う。位置補正データ生成プログラム97は、コンピュータで実行可能な、描画位置補正データを作成するための複数の命令を含むコンピュータ読取り可能かつ非遷移的な記録媒体(non-transitory computer readable recording medium)を有するコンピュータプログラムプロダクトである。位置補正データ生成プログラム97では、前記複数の命令が描画位置補正データを作成することをコンピュータに実行させる。
表示部94は、液晶モニタなどの表示装置であり、CPU91からの指示に基づいて、レプリカテンプレートTyの描画データ、離型力ΔP、歪み量ΔZ、位置ずれ量、描画位置補正データなどを表示する。入力部95は、マウスやキーボードを備えて構成され、使用者から外部入力される指示情報(描画位置補正データの作成に必要なパラメータ等)を入力する。入力部95へ入力された指示情報は、CPU91へ送られる。
位置補正データ生成プログラム97は、ROM92内に格納されており、バスラインを介してRAM93へロードされる。図11では、位置補正データ生成プログラム97がRAM93へロードされた状態を示している。
CPU91はRAM93内にロードされた位置補正データ生成プログラム97を実行する。具体的には、補正データ作成装置10では、使用者による入力部95からの指示入力に従って、CPU91がROM92内から位置補正データ生成プログラム97を読み出してRAM93内のプログラム格納領域に展開して各種処理を実行する。CPU91は、この各種処理に際して生じる各種データをRAM93内に形成されるデータ格納領域に一時的に記憶させておく。
補正データ作成装置10で実行される位置補正データ生成プログラム97は、分割部13、離型力算出部14、歪み量算出部15、位置ずれ量算出部16、位置補正データ生成部17を含むモジュール構成となっており、これらが主記憶装置上にロードされ、これらが主記憶装置上に生成される。なお、位置補正データ生成プログラム97が実行する処理のうちの何れかは他のプログラムによって実行されてもよい。例えば、分割部13の処理は他のプログラムによって実行されてもよい。
また、補正データ作成装置10は、circuitry(電気回路)を有していてもよい。この場合、circuitryが、分割部13、離型力算出部14、歪み量算出部15、位置ずれ量算出部16、位置補正データ生成部17として機能する。
なお、本実施形態では、パターン情報21およびインプリント条件22に基づいて描画位置補正データが生成される場合について説明したが、インプリント条件22を用いることなく、パターン情報21に基づいて描画位置補正データが生成されてもよい。
また、本実施形態では、離型力算出部14が、レプリカテンプレートTyの描画データを用いて離型力ΔPを算出したが、離型力算出部14は、マスターテンプレートTxの描画データを用いて離型力ΔPを算出してもよい。
また、パターン情報21は、補正データ作成装置10(離型力算出部14など)で算出されてもよい。また、本実施形態では、パターン周囲長などに基づいて、レジストパターンの位置ずれを補正したが、パターン周囲長などに基づいてレジストパターンの形状補正が行われてもよい。この場合、補正データ作成装置10は、パターン情報21およびインプリント条件22に基づいて、レジストパターンの形状補正データを生成する。そして、描画装置30が、形状補正データに基づいて、描画データ(描画パターン)の形状補正を行なう。
また、本実施形態では、レプリカテンプレートTyのテンプレートパターンが所望通りの位置に形成されていない場合に、位置差分のフィードバックが行われたが、テンプレートパターンが所望通りの位置に形成されている場合に、位置差分のフィードバックが行われてもよい。また、位置差分が所定値以下または所定値未満の場合に、位置差分のフィードバックが行われてもよい。
また、本実施形態では、UV光35を照射することによってレジスト70を硬化させたが、熱を与えることによってレジスト70を硬化させてもよい。この場合、レジスト70には、熱硬化性の樹脂(熱硬化剤)が用いられる。
このように実施形態では、マスターテンプレート(第1のテンプレート)Txを用いたインプリントによってレプリカテンプレート(第2のテンプレート)Tyを形成する際の離型力ΔPが、パターン情報21に基づいて算出される。また、離型力ΔPに基づいて、離型時のレプリカテンプレートTyの歪み量ΔZが算出される。また、歪み量ΔZに基づいて、レプリカテンプレートTy上に形成されるレジストパターンの位置ずれ量が算出される。そして、位置ずれ量に基づいて、マスターテンプレートTxの描画データが補正される。さらに、補正後の描画データを用いてマスターテンプレートTxが作製される。また、マスターテンプレートTxを用いたインプリント処理によってレプリカテンプレートTyが作製される。また、レプリカテンプレートTyを用いたインプリント処理によって基板上にパターンが形成される。
このように、パターン情報21に基づいて離型力ΔPが算出され、離型力ΔPに基づいて、マスターテンプレートTxが作製され、マスターテンプレートTxを用いてレプリカテンプレートTyが作製される。したがって、インプリントによって基板上の所望位置にパターンを形成することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…補正データ作成装置、13…分割部、14…離型力算出部、15…歪み量算出部、16…位置ずれ量算出部、17…位置補正データ生成部、21…パターン情報、22…インプリント条件、30…描画装置、35…UV光、40…インプリント装置、50R…レプリカテンプレート基板、51M〜55M…マスターテンプレート、56,57…テンプレートパターン、60…位置計測装置、70レジスト、100…テンプレート作製システム、Tx…マスターテンプレート、Ty…レプリカテンプレート、WA…ウエハ。

Claims (6)

  1. 第1のテンプレートを用いたインプリントによって基板から第2のテンプレートを形成する際に前記基板にかかる離型力を、テンプレートパターンに関するパターン情報に基づいて算出する第1の算出ステップと、
    前記離型力に基づいて、離型時の前記基板の歪み量を算出する第2の算出ステップと、
    前記歪み量に基づいて、前記第2のテンプレート上に形成されるパターンの位置ずれ量を算出する第3の算出ステップと、
    前記位置ずれ量に基づいて、前記第1のテンプレートの描画データを補正する補正データを作成する作成ステップと、
    を含むことを特徴とする描画位置補正データ作成方法。
  2. 前記パターン情報は、前記テンプレートパターンのパターン深さ、パターンサイズおよびパターン周囲長の少なくとも1つの情報を含んでいる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の描画位置補正データ作成方法。
  3. 前記第2の算出ステップでは、前記インプリントの際のインプリント条件を用いて、前記歪み量を算出する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の描画位置補正データ作成方法。
  4. 前記インプリント条件は、前記インプリントの際に前記第2のテンプレートに配置されるレジストの粘性に関する情報および前記第2のテンプレートの構造に関する情報の少なくとも1つを含んでいる、
    ことを特徴とする請求項3に記載の描画位置補正データ作成方法。
  5. 前記テンプレートパターンのパターン領域を複数の領域に分割する分割ステップをさらに含み、
    前記第1の算出ステップでは、前記離型力が前記分割後の領域に対して算出される、
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の描画位置補正データ作成方法。
  6. 第1のテンプレートを用いたインプリントによって基板から第2のテンプレートを形成する際に前記基板にかかる離型力を、テンプレートパターンに関するパターン情報に基づいて算出する第1の算出ステップと、
    前記離型力に基づいて、前記第1のテンプレートの描画データを補正する補正ステップと、
    補正された描画データを用いて、前記第1のテンプレートを作製する第1の作製ステップと、
    前記第1のテンプレートを用いたインプリントによって前記第2のテンプレートを作製する第2の作製ステップと、
    を含むテンプレート作製方法。
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