JP2017168410A - 端子付き電線、その製造方法およびワイヤハーネス - Google Patents

端子付き電線、その製造方法およびワイヤハーネス Download PDF

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Abstract

【課題】比較的低コストで防水性、防食性および導電性を向上させることのできる端子付き電線、その製造方法およびワイヤハーネスを提供する。【解決手段】導体21及び導体を覆う電線被覆材22を有する電線20と、電線の導体に接続する圧着端子10と、導体と圧着端子との接続部に塗布される塗布剤とから構成され、塗布剤が、ポリアニリン系塗料Cで構成され、導体および圧着端子の少なくとも一方の接触側表面に、当該表面を構成する金属と、ポリアニリン系塗料に含有されるポリアニリンのアミン基(N−H)との化学結合により防水性または防食性を有する皮膜Fが形成される。【選択図】図1

Description

本発明は、端子付き電線、その製造方法およびワイヤハーネスに関する。
自動車等の車両には種々の電子機器が搭載され、これらの電子機器に電力を供給したり、各種信号を伝達するために端子付き電線を用いたワイヤハーネスが配索されている。
端子付き電線としては、アルミニウム等で構成される電線の末端の絶縁被覆を除去(皮剥き)して導体を露出させ、この導体を銅や銅合金等で構成される端子金具の前端部で加締めて固定したものが一般的である。
露出させた導体と端子金具とは、互いに押圧状態で密接される。
ここで、導体と端子金具とが異種金属で構成される場合には、接続部分に水や薬品が付着すると、導体や端子金具にガルバニック腐食(電解腐食)が発生し、端子付き電線やワイヤハーネスを劣化させてしまう。
そこで、接続部分に防水構造や防食構造を備える端子付き電線に関する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−151617号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術には、次のような不都合があった。
即ち、ベンゾトリアゾール系防錆剤等は絶縁物であるため、露出した端子断面にも塗布した場合には、電線との電気的接続が阻害されるという不都合があった。
また、端子金具と電線とを接合した後に紫外線硬化型樹脂等を塗布する場合には、硬化による収縮によって隙間を生じる虞があり、密封性に劣るという難点があった。
さらに、ベンゾトリアゾール系防錆剤等は、比較的粘度が低いため、液垂れしたり、膜厚の均一化が難しく、管理コストが嵩むという問題もあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、比較的低コストで防水性、防食性および導電性を向上させることのできる端子付き電線、その製造方法およびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る端子付き電線は、導体及び該導体を覆う電線被覆材を有する電線と、前記電線の導体に接続する圧着端子と、前記導体と前記圧着端子との接続部に塗布される塗布剤と、から構成され、前記塗布剤が、ポリアニリン系塗料で構成され、前記導体および前記圧着端子の少なくとも一方の接触側表面に、当該表面を構成する金属と、前記ポリアニリン系塗料に含有されるポリアニリンのアミン基(N−H)との化学結合により防水性または防食性を有する皮膜が形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明に係る端子付き電線は、請求項1に記載の発明において、前記導体と前記圧着端子は、同種の金属あるいは異種の金属で構成されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明に係る端子付き電線は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記ポリアニリン系塗料は、ポリアニリンまたは置換ポリアニリンを含み、前記皮膜は、前記ポリアニリン系塗料の酸化還元状態の一つであるエメラルジン塩基をプロトン化した導電性を有するエメラルジン塩で構成されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明に係る端子付き電線は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発明において、前記ポリアニリン系塗料は、Hをドープするドーパントの添加により、所定の色を呈していることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の端子付き電線。
請求項5に記載の発明に係る端子付き電線は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の発明において、前記塗布剤が塗布される前記圧着端子の接触側表面には、当該導体の端部表面を含むことを特徴とする。
請求項6に記載の発明に係る端子付き電線の製造方法は、電線の導体に圧着端子を接続する工程と、前記導体と前記圧着端子との接続部にポリアニリン系塗料から成る塗布剤を塗付する工程と、を有する端子付き電線の製造方法であって、前記塗布剤を塗付する工程は、前記電線の導体に前記圧着端子を接続する工程の前処理工程または後処理工程の少なくとも一方において実施されることを特徴とする。
請求項7に記載の発明に係るワイヤハーネスは、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の端子付き電線を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、比較的低コストで防水性、防食性および導電性を向上させることのできる端子付き電線、その製造方法およびワイヤハーネスを提供することができる。
実施の形態に係る端子付き電線の全体構成を示す斜視図である。 実施の形態に係る端子付き電線に用いる端子金具の製造工程を示す工程図である。 実施の形態に係る端子付き電線の組立工程を示す斜視図である。 実施の形態に係る端子付き電線の要部の断面を示す断面図である。 実施の形態に係る端子付き電線の後処理工程を示す斜視図である。 実施の形態に係る端子付き電線に用いるポリアニリンの化学構造を示す構造式である。 実施の形態に係る端子付き電線に用いるポリアニリンの導電化を示す構造式である。 実施の形態に係る端子付き電線における皮膜形成の概略構成を示す断面図(a)、(b)である。
[実施の形態]
図1〜図7を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(端子付き電線の構成例について)
図1は、実施の形態に係る端子付き電線Eの全体構成を示す斜視図である。
実施の形態に係る端子付き電線Eは、アルミニウムまたはアルミニウムを基材とした合金等で構成される導体21と、導体21を覆う電線被覆材22を有する電線20と、電線20の導体21に接続する圧着端子(金属端子)10と、導体21と圧着端子10との接続部に塗布されて形成される塗布剤の皮膜Fとから構成されている。
なお、塗布剤の皮膜Fは、導体21の端部周辺のみならず、導体21の露出部全体に形成されている(図4等参照)。
塗布剤は、ポリアニリン系塗料で構成され、導体21および圧着端子10の少なくとも一方の接触側表面に、当該表面を構成する金属(例えば、アルミニウム、銅、銅合金等)と、ポリアニリン系塗料に含有されるポリアニリンのアミン基(N−H)との化学結合により、防水性または防食性を有する皮膜Fが形成されている。
ポリアニリンの化学構造等の詳細については、後述する。
導体21と圧着端子10は、同種の金属(例えば、双方共にアルミニウム、銅、銅合金等)あるいは異種の金属(例えば、アルミニウム、銅、銅合金等の組み合わせ)で構成されている。
これにより、皮膜Fは、導体21と圧着端子10が同種の金属で構成される場合には、防水効果を発揮する。また、導体21と圧着端子10が異種の金属で構成される場合には、金属間の腐食電位の違いに基いて、よりひ(卑)な電位の金属の腐食が促進されるガルバニック腐食(電解腐食)を抑制する防食効果あるいは防錆効果を発揮する。
ポリアニリン系塗料としては、ポリアニリンまたは置換ポリアニリンを含み、皮膜Fは、ポリアニリン系塗料の酸化還元状態の一つであるエメラルジン塩基をプロトン化した導電性を有するエメラルジン塩で構成されるようにできる。
なお、エメラルジン塩基のプロトン化等の詳細については後述する。
このように皮膜Fが、導電性(例えば、0.01〜200S/cm)を有するエメラルジン塩で構成される場合には、圧着端子10の端部表面11a、12a、13aを含む表面全体にポリアニリン系塗料を塗布することができ、防水性あるいは防食性を向上させると共に、塗布工程を簡易化してコストの低廉化を図ることができる。
即ち、絶縁性の塗料を塗布して防食等を行う場合には、圧着端子10と電線20の導体21との電気的コンタクトを取るために、圧着端子10の接続側表面の少なくとも一部に、塗料を塗布しない領域を設ける必要があり、塗布工程が複雑化するなどしてコストが嵩むという不都合があったが、本実施の形態に係る端子付き電線Eによればこのような不都合を解消することができる。
このように、皮膜Fを導電性のエメラルジン塩で構成することで、腐食を防ぎつつ電線の導体21と圧着端子10との接続部の接触抵抗の電気的特性を向上させることができる。
また、ポリアニリン系塗料は、Hをドープするドーパントの添加により、所定の色(例えば、緑、黒、ダークパープル、黄、ダークブルー等)を呈する(図6の(A)〜(D)参照)ので、塗布面におけるポリアニリン系塗料の塗布状態や皮膜Fの形成状態の良否を色の有無や濃度で容易に確認することができ、より確実な防水性や防食性を確保することができる。
なお、前記ドーパントとしては、無機酸(塩酸、リン酸等)や有機酸(有機カルボン酸、有機スルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)、有機ホスホン酸等)などを挙げることができる。
(圧着端子について)
圧着端子10は、例えば、合金(母材)にメッキ(Snなど)が施された端子金具として構成される。
図2(a)に示すように、合金(母材)にメッキ(Snなど)が施された金属板50を端子形状に切断し、図2(b)に示すように、その部材の切断面(端面)の合金露出部11a等に前処理剤としてポリアニリン系塗料Cを噴霧器(スプレー装置)200によって塗布する前処理を施した端子金具10とすることができる。
なお、金属板50の表面に、予めポリアニリン系塗料Cを塗布して、表面全体に皮膜Fを形成するようにしてもよい。この場合には、端子形状に切断した各部材にポリアニリン系塗料Cを塗布する場合に比して作業効率を高めることができる。この場合にも図2(b)に示すように合金露出部11a等にポリアニリン系塗料Cを塗布することにより、防水性や防食性をより高めることができる。
圧着端子10に用いる合金(母材)としては、例えば銅および銅合金、またはSUS系、アルミ系の合金等を挙げることができる。
なお、図2(b)に例示する圧着端子10は、コネクタ等に接続される端子部11と、電線20の導体21を加締めて電気的に接合する接合部12と、電線20の電線被覆材22を加締めて固定する固定部13とを有している。
(ポリアニリン系塗料について)
まず、ポリアニリンは、原料のアニリン(C−NH)を多数結合させて作られた高分子化合物である。
ここで、図6に示す構造式を参照して、ポリアニリンの構造について簡単に説明する。
図6の(A)〜(D)に示すように、ポリアニリンは、酸化還元状態によって、4つの構造が存在する。
このうち、(B)に示すロイコエメラルジン(還元状態)、(C)に示すエメラルジン塩基(半分酸化状態)、(A)に示すペルニグラニン(酸化状態)は絶縁性である。
一方、(D)に示すエメラルジン塩(エメラルジン塩基をプロトン化した状態)のみが導電性を有する。
即ち、ポリアニリンが導電性を持つためには、(C)のエメラルジン塩基をプロトン化する必要がある。
エメラルジン塩基のプロトン化は、図7の(A)に示すように、例えば、触媒による化学重合、電気化学重合、各種ドーパントとの反応による方法或いはイオン加速器などによってプロトン(H)を注入することで行うことができる。
これにより、図7の(B)に示すような構造の導電性を有するエメラルジン塩を得ることができる。
皮膜Fを導電性を有するエメラルジン塩で構成する場合には、図2(b)に示すように、圧着端子10の端部表面11a、12a、13aを含む表面全体にポリアニリン系塗料Cを塗布することができ、防水性あるいは防食性を向上させると共に、塗布工程を簡易化してコストの低廉化を図ることができるなどのメリットがある。
ポリアニリン系塗料としては、ポリアニリンおよび置換ポリアニリンを挙げることができる。
置換ポリアニリンとしては、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(2−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−ジ置換アニリン)などが例示される。
置換基としては、−(C2n+1)(アルキル基)、−O(C2n+1)(アルコキシ基)、−S(C2n+1)(アルキルチオ基)、−(C2mN(R’)2(アミノアルキル基)、−O(C2m)N(R’)2(アミノアルコキシ基)、−(C2m)N(R’)COR''(アルキルカルポニルアミノアルキル基)などが例示される。
なお、上述の構造式において、n=1〜22、m≧1、R’=水素または炭素数22以下のアルキル基、R''=炭素数22以下のアルキル基である。
また、置換基は、アルキル部分に不飽和結合(C=C,C≡C)を含んでもよい。
さらに、オリゴマー(低分子量重合体)の形で使用してもよいし、あるいはポリマーとオリゴマーの混合物で使用してもよい。
また、上述のポリアニリン系は各種溶媒に溶解させた溶液や塩の状態であってもよい。
また、ポリアニリン系塗料に他の成分を添加するようにしてもよい。
(端子付き電線の製造方法)
図2〜図5を参照して、本実施の形態に係る端子付き電線Eの製造方法について説明する。
まず、図2(a)に示すような銅および銅合金、またはSUS系、アルミ系の合金等で構成される金属板(母材)50から図2(b)に示すような端子形状に切断した部材(端子金具)10を打ち抜き加工等によって切り出す。
次いで、図2(b)に示すように、端子形状に切断した部材(端子金具)10にポリアニリン系塗料Cを塗布して皮膜Fを形成する。
なお、ポリアニリン系塗料Cとして導電性を有するエメラルジン塩を用いる場合には、圧着端子10の端部表面11a、12a、13aを含む表面全体にポリアニリン系塗料を塗布することができる。これにより、防水性あるいは防食性を向上させると共に、塗布工程を簡易化してコストの低廉化を図ることができる。
また、前処理工程として金属板50の表面に予めポリアニリン系塗料Cを塗布して、表面全体に皮膜Fを形成するようにしてもよい。この場合には、端子形状に切断した各部材に個別にポリアニリン系塗料Cを塗布する場合に比して作業効率を高め、コストの低減を図ることができる。
次に、図3に示すように、端子形状に切断した部材を折曲げ加工して圧着端子10を形成する。そして、先端側の電線被覆材22を除去して導体21を露出させた電線20を圧着端子10に装着する。
この際に、ポリアニリン系塗料Cとして導電性を有するエメラルジン塩を用いる場合には、導体21を露出させた電線20に塗料Cを塗布することができる。これにより、電導性を確保しつつ防水性あるいは防食性を向上させることができる。
なお、図2(b)に示す塗布工程に代えて、或いは併せて、図3における塗布工程で圧着端子10の全体に導電性を有するエメラルジン塩を塗布するようにしてもよい。
次いで、電線20の導体21を圧着端子10の接合部12で加締め、電線20の電線被覆材22を圧着端子10の固定部13で加締めることにより、圧着端子10と電線20とを圧着する。
これにより、図1に示すような端子付き電線Eが作成される。
なお、上述のような圧着に代えて、超音波溶接や溶接などを用いた接合技術で圧着端子10と電線20と接続するようにしてもよい。
ここで、図4に示すように、導体21を構成する外周側の導線の表面と、圧着端子10の導体21の表面には、ポリアニリン系塗料Cから成る皮膜Fが形成されている。
この皮膜Fは、導体21を構成する外周側の導線の表面、或いは圧着端子10の導体21の表面を構成する金属(アルミニウム、銅、銅合金等)と、ポリアニリン系塗料Cに含有されるポリアニリンのアミン基(N−H)との化学結合により形成され、防水性または防食性を有している。
即ち、導体21と圧着端子10とが、同種の金属で構成されている場合には、接触部に電位差は生じないのでガルバニック腐食(電解腐食)は発生せず、皮膜Fは、この接触部への水分の侵入を防止あるいは抑制する防水効果を発揮する。
一方、導体21と圧着端子10とが、異種の金属で構成されている場合には、皮膜Fが無い場合には、接触部に電位差を生じガルバニック腐食(電解腐食)が発生してしまう。例えば、圧着端子10を銅で構成し、導体21をアルミニウムで構成した場合には、銅はアルミニウムよりも標準電極電位が高い貴な金属となるため、接触部への水分の付着や凝集により、導体21側に腐食を生じてしまう。しかし、本実施の形態に係る端子付き電線Eでは、導体21を構成する外周側の導線の表面と、圧着端子10の導体21の表面に、ポリアニリン系塗料Cから成る皮膜Fが形成されているので、ガルバニック腐食(電解腐食)の発生を有効に防止することができる。なお、ポリアニリン系塗料Cとして導電性を有するエメラルジン塩を用いた場合には、形成された皮膜Fも導電性を有するが、ガルバニック腐食の抑制効果に影響を与えないと推察される。
なお、図5に示すように、電線20の導体21を圧着端子10の接合部12で加締め、電線20の電線被覆材22を圧着端子10の固定部13で加締めることにより、圧着端子10と電線20とを圧着等した後に、後処理工程として、ポリアニリン系塗料Cを塗布して皮膜Fを形成するようにしてもよい。
また、ドーパントを使用したπ電子共役導電性のポリアニリン系塗料Cを用いる場合には、金属との密着性に優れるため、圧着端子10や導体21、圧着端子10と導体21の金属接触部のように複雑な形状や構造においても容易に皮膜Fを形成することができる。
また、ポリアニリン系塗料Cで形成される皮膜Fは、比較的薄い膜厚(例えば、0.1〜3μm)で防水効果あるいは防食効果を発揮するため、コネクタハウジングへの嵌合状態を阻害することがない。
また、ポリアニリン系塗料Cで形成される皮膜Fは、比較的柔軟で耐熱性(120℃)を有するため、端子付き電線Eを用いたワイヤハーネスの配索によって皮膜Fが剥離したり、車輌の熱によって皮膜Fが脆くなったりする事態を抑制することができる。
さらに、ポリアニリン系塗料Cで形成される皮膜Fは、自己修復性(自己成膜性)を有するため、皮膜がある程度破壊されたような場合でも自己修復が可能であり、耐久性やメンテナンス性を向上させることができる。
このように、ポリアニリン系塗料Cで形成される皮膜Fが、腐食の酸化剤となる溶存(酸素)を遮蔽、遮断するため腐食を防止したり、腐食の進行を遅延させることができる。
また、ポリアニリン系塗料Cを用いることにより、圧着端子10への前処理と金属接触部への後処理を選択して行うことができる。
また、ポリアニリン系塗料Cを塗布する工程を、前処理、後処理の両方で行うことも可能である。このように、ポリアニリン系塗料Cの塗布のタイミングを選択できるので、端子付き電線Eの製造につき、非連続処理を行うことが可能となる。
また、上述したようにポリアニリン系塗料Cの種類によっては、塗布液が所定色に呈色しているため、濃度を調整することにより、作業工程での塗布状態の確認が容易となるという利点もある。
さらに、ポリアニリン系塗料Cの皮膜Fは、塗膜下プライマ効果があるため、皮膜Fの上に他の皮膜を設けたり、塗装したりすることも可能である。
また、ポリアニリン系塗料Cに各種材料を添加したり、各種処理(熱処理や物理的操作等)を施すことで皮膜Fの特性を変えることもできる。
なお、ポリアニリンの基材であるアニリンは比較的安価であるため、製造コストの低減に資することもできる。
また、複数本の端子付き電線Eを束にしてワイヤハーネスを作製することにより、防水性、防食性を向上させたワイヤハーネスを提供することができる。
以上、本発明の端子付き電線を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
例えば、本実施の形態に係る端子付き電線Eでは、図8(a)に示すように、電線20の導体21に皮膜Fを形成する場合、アルミニウム(Al)300の表面に直接、皮膜Fを形成する場合を示したが、これに限定されず、例えば図8(b)に示すように、アルミニウム(Al)300の表面にアルミニウム(Al)と腐食電位が比較的近いインジウム層(In層)301や錫メッキを形成し、そのインジウム層等の表面に皮膜Fを形成するようにしてもよい。
C…ポリアニリン系塗料(塗布剤)
10…圧着端子(端子金具)
11…端子部
12…接合部
13…固定部
20…電線
21…導体
22…電線被覆材
50…金属板
E…電線
F…皮膜

Claims (7)

  1. 導体及び該導体を覆う電線被覆材を有する電線と、
    前記電線の導体に接続する圧着端子と、
    前記導体と前記圧着端子との接続部に塗布される塗布剤と、
    から構成され、
    前記塗布剤が、ポリアニリン系塗料で構成され、
    前記導体および前記圧着端子の少なくとも一方の接触側表面に、当該表面を構成する金属と、前記ポリアニリン系塗料に含有されるポリアニリンのアミン基(N−H)との化学結合により防水性または防食性を有する皮膜が形成されていることを特徴とする端子付き電線。
  2. 前記導体と前記圧着端子は、同種の金属あるいは異種の金属で構成されることを特徴とする請求項1に記載の端子付き電線。
  3. 前記ポリアニリン系塗料は、ポリアニリンまたは置換ポリアニリンを含み、
    前記皮膜は、前記ポリアニリン系塗料の酸化還元状態の一つであるエメラルジン塩基をプロトン化した導電性を有するエメラルジン塩で構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の端子付き電線。
  4. 前記ポリアニリン系塗料は、Hをドープするドーパントの添加により、所定の色を呈していることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の端子付き電線。
  5. 前記塗布剤が塗布される前記圧着端子の接触側表面には、当該導体の端部表面を含むことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の端子付き電線。
  6. 電線の導体に圧着端子を接続する工程と、
    前記導体と前記圧着端子との接続部にポリアニリン系塗料から成る塗布剤を塗付する工程と、
    を有する端子付き電線の製造方法であって、
    前記塗布剤を塗付する工程は、前記電線の導体に前記圧着端子を接続する工程の前処理工程または後処理工程の少なくとも一方において実施されることを特徴とする端子付き電線の製造方法。
  7. 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の端子付き電線を用いたことを特徴とするワイヤハーネス。
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