JP2017168196A - 絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐屈曲性に優れ、低い電気抵抗を長期間に亘って維持することができる絶縁電線を提供する。【解決手段】絶縁電線1は、導体2と、導体2を被覆する絶縁体3とを有している。導体2は、金属素線21と、金属素線21の周囲に配置された多数の導電性繊維22とを有している。導電性繊維22は、樹脂線221と、樹脂線221の表面を覆う金属層222とを有している。絶縁電線1は、例えば自動車等の車両用として好適である。【選択図】図1
Description
本発明は、絶縁電線に関する。
絶縁電線は、導体と、導体の周囲に被覆された絶縁体とを有している。絶縁電線の導体は、電気抵抗の低い金属素線から構成されていることが多い(例えば、特許文献1)。近年では、導体の細径化を目的として、樹脂線と、樹脂線の表面を覆う金属層とを有する導電性繊維から構成された導体が用いられることがある(特許文献2)。
例えば自動車等の車両の分野においては、車両の走行中等に絶縁電線の屈曲が繰り返されることがある。しかし、金属素線から構成された導体は、屈曲回数が増加するにつれて導体を構成する金属素線にクラックや断線が発生しやすくなる。それ故、低い電気抵抗を長期間に亘って維持することが難しいという問題がある。
また、導電性繊維から構成された導体は、電気の流れない樹脂線が含まれているため、金属素線からなる導体と比べて電気抵抗が高くなる。
導電性繊維から構成された導体の電気抵抗を低くするためには、たとえば、金属層の厚みを厚くする方法が考えられる。しかし、金属層の厚みを厚くすると、絶縁電線が屈曲された際に、金属層にクラックが発生しやすくなり、ひいては電気抵抗の増大を招くおそれがある。従って、耐屈曲性の低下を回避する観点から、導電性繊維から構成された導体の電気抵抗を低減することには限界がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、耐屈曲性に優れ、低い電気抵抗を長期間に亘って維持することができる絶縁電線を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、導体と、該導体を被覆する絶縁体とを有する絶縁電線であって、
上記導体は、
金属素線と、
該金属素線の周囲に配置された多数の導電性繊維とを有しており、
該導電性繊維は、
樹脂線と、
該樹脂線の表面を覆う金属層とを有している、絶縁電線にある。
上記導体は、
金属素線と、
該金属素線の周囲に配置された多数の導電性繊維とを有しており、
該導電性繊維は、
樹脂線と、
該樹脂線の表面を覆う金属層とを有している、絶縁電線にある。
上記絶縁電線は、上記金属素線と、該金属素線の周囲に配置された多数の導電性繊維とを備えた上記導体を有している。そのため、上記導体が上記導電性繊維から構成されている場合に比べて、電気抵抗を低減することができる。
また、上記金属素線の周囲には、上記導電性繊維が配置されている。そのため、上記絶縁電線が屈曲された際に上記金属素線に加わる衝撃等を上記導電性繊維により緩和することができる。その結果、上記導体が上記金属素線から構成されている場合に比べて、耐屈曲性を向上させることができる。
以上のように、上記絶縁電線は、上記金属素線の周囲に上記導電性繊維が配置されていることにより、電気抵抗を低減しつつ、耐屈曲性を向上させることができる。その結果、上記絶縁電線は、長期間に亘って低い電気抵抗を維持することができる。
上記絶縁電線において、絶縁体としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン等の、絶縁電線用として公知の樹脂または樹脂組成物を採用することができる。
導体は、金属素線と、金属素線の周囲に配置された多数の導電性繊維とを有している。金属素線の本数は、1本であってもよく、2本以上であってもよい。また、上記金属素線としては、絶縁電線用の導体として公知の金属素線を採用することができる。例えば、金属素線としては、銅線、銅合金線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、鉄線及び鉄合金線などを採用することができる。金属素線の表面には、スズ、銅、ニッケル、金等の公知の金属めっき層が形成されていてもよい。
金属素線は、上記導体の中心に配置されていることが好ましい。この場合には、導電性繊維による衝撃等を緩和する効果をより高めることができる。また、この場合には、絶縁電線に引張力などの外力が加わった際に、導体に生じる応力を金属素線及び導電性繊維に分散させることができる。その結果、上記絶縁電線の機械的特性をより向上させることができる。
金属素線の周囲には、樹脂線と、樹脂線の表面を覆う金属層とを有する多数の導電性繊維が配置されている。
樹脂線としては、例えば、樹脂からなるモノフィラメントや、マルチフィラメントを採用することができる。樹脂線がマルチフィラメントである場合、金属層は、マルチフィラメントを構成する多数の単糸のうち最外周に配置されている単糸の表面に形成されていてもよいし、当該表面だけでなくその内側まで形成されていてもよい。
樹脂線の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリアリレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、パラ系アラミド及びメタ系アラミド等のポリアミド系樹脂等を採用することができる。また、樹脂線の太さは、例えば、200〜3200dtexとすることができる。なお、樹脂線の太さを示す単位「dtex」は、10000mあたりの樹脂線の質量(g)を意味する。
樹脂線の表面には金属層が形成されている。金属層の形成には、例えば、めっき、蒸着及びスパッタ等の、金属膜を形成する方法として公知の手法を用いることができる。また、金属層の材質としては、例えば、Au(金)、Ag(銀)、Pt(白金)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Sn(錫)及びNi(ニッケル)等の単体金属、若しくはこれらの単体金属を含む合金を採用することができる。
金属層の厚さは0.5〜3.0μmであることが好ましい。金属層の厚さを0.5μm以上とすることにより、絶縁電線の電気抵抗をより低減することができる。また、金属層の厚さを3.0μm以下とすることにより、絶縁電線の屈曲による金属層のクラックの発生をより効果的に抑制することができる。従って、金属層の厚さを上記特定の範囲とすることにより、絶縁電線の電気抵抗をより低減するとともに、耐屈曲性をより高くすることができる。
上記絶縁電線は、上記の構成を有する導体を備えていることにより、500mΩ/m以下の電気抵抗を容易に実現することができる。また、上記絶縁電線は、導体の断面積を0.5mm2以下とすることも容易である。上記絶縁電線における導体の断面積は、例えば、非接触式の寸法測定器を用いて測定した導体の直径から算出することができる。即ち、上記絶縁電線における導体の断面積は、導体の外接円の面積として算出することができる。
また、上記絶縁電線は、上述したように、耐屈曲性に優れ、低い電気抵抗を長期間に亘って維持することができる。それ故、上記絶縁電線は、自動車用として好適である。また、上記特定の範囲の電気抵抗及び導体の断面積を備えた絶縁電線は、自動車用として特に好適である。
(実施例)
上記絶縁電線の実施例について、図を用いて説明する。図1に示すように、絶縁電線1は、導体2と、導体2を被覆する絶縁体3とを有している。導体2は、金属素線21と、金属素線21の周囲に配置された多数の導電性繊維22とを有している。図2に示すように、導電性繊維22は、樹脂線221と、樹脂線221の表面を覆う金属層222とを有している。なお、図1においては、便宜上、個々の導電性繊維22の記載を省略した。
上記絶縁電線の実施例について、図を用いて説明する。図1に示すように、絶縁電線1は、導体2と、導体2を被覆する絶縁体3とを有している。導体2は、金属素線21と、金属素線21の周囲に配置された多数の導電性繊維22とを有している。図2に示すように、導電性繊維22は、樹脂線221と、樹脂線221の表面を覆う金属層222とを有している。なお、図1においては、便宜上、個々の導電性繊維22の記載を省略した。
図1に示すように、本例の導体2は、1本の金属素線21を有している。本例の金属素線21は、直径0.32mmの銅線である。また、金属素線21は、導体2の中心に配置されている。
金属素線21の周囲には、多数の導電性繊維22が配置されている。本例の導電性繊維22における樹脂線221は、太さ1600dtexのアラミド製モノフィラメントである。また、樹脂線221の表面は、銅からなる厚さ2μmの金属層222により覆われている。金属層222は、例えば、樹脂線221の表面に銅めっきを施すことにより形成することができる。
本例の絶縁電線1は、例えば、以下の方法により作成することができる。まず、金属素線21と、導電性繊維22とを準備し、金属素線21の周囲に導電性繊維22を配置する。このとき、金属素線21と導電性繊維22とを単に束ねることにより金属素線21の周囲に導電性繊維22を配置してもよいし、導電性繊維22を金属素線21の周囲に巻回してもよい。
また、図には示さないが、複数本の導電性繊維22からなる繊維束を予め準備し、この繊維束を金属素線21の周囲に配置することもできる。繊維束を構成する複数の導電性繊維22は、単に束ねられていてもよいし、互いに撚り合わされていてもよい。また、繊維束と金属素線21とは、単に束ねられていてもよいし、繊維束が金属素線21の周囲に巻回されていてもよい。
上述のようにして金属素線21の周囲に多数の導電性繊維22を配置することにより、導体2を作製することができる。そして、得られた導体2の周囲を絶縁体3で被覆することにより、絶縁電線1を得ることができる。
次に、本例の作用効果について説明する。絶縁電線1は、金属素線21と、金属素線21の周囲に配置された多数の導電性繊維22とを備えた導体2を有している。そのため、導体2が導電性繊維22から構成されている場合に比べて、電気抵抗を低減することができる。
また、金属素線21の周囲には、導電性繊維22が配置されている。そのため、絶縁電線1が屈曲された際に金属素線21に加わる衝撃等を導電性繊維22により緩和することができる。その結果、導体2が金属素線21から構成されている場合に比べて、耐屈曲性を向上させることができる。
また、本例の金属素線21は、導体2の中心に配置されている。これにより、導電性繊維22による衝撃等を緩和する効果をより高めることができるとともに、絶縁電線1に外力が加わった際に、導体2に生じる応力を金属素線21及び導電性繊維22に分散させることができる。その結果、絶縁電線1の機械的特性をより向上させることができる。
また、本例の金属層222の厚さは0.5〜3.0μmである。そのため、絶縁電線1の電気抵抗をより低減することができるとともに、絶縁電線1の屈曲による金属層222のクラックの発生をより効果的に抑制することができる。その結果、絶縁電線1の電気抵抗をより低減するとともに、耐屈曲性をより高くすることができる。
以上のように、絶縁電線1は、電気抵抗を低減しつつ、耐屈曲性を向上させることができる。その結果、絶縁電線1は、長期間に亘って低い電気抵抗を維持することができる。
(実験例)
本例は、導体2の構成を変更した場合の絶縁電線1の電気抵抗の測定及び耐屈曲性の評価を行った例である。本例においては、表1に示す構成を有する金属素線21と導電性繊維22とを組み合わせ、1本の金属素線21と、金属素線21の周囲に配置された多数の導電性繊維22とを備えた導体2を作製した。そして、これらの導体2をポリエチレンからなる絶縁体3で被覆することにより、絶縁電線1(試験体E1〜E3)を作製した。なお、試験体E1〜E3の金属素線21は、導体2の中心に配置されていた。
本例は、導体2の構成を変更した場合の絶縁電線1の電気抵抗の測定及び耐屈曲性の評価を行った例である。本例においては、表1に示す構成を有する金属素線21と導電性繊維22とを組み合わせ、1本の金属素線21と、金属素線21の周囲に配置された多数の導電性繊維22とを備えた導体2を作製した。そして、これらの導体2をポリエチレンからなる絶縁体3で被覆することにより、絶縁電線1(試験体E1〜E3)を作製した。なお、試験体E1〜E3の金属素線21は、導体2の中心に配置されていた。
また、本例においては、試験体E1〜E3との比較のために、試験体C1〜C3を作製した。試験体C1及びC2は、導電性繊維22から構成された導体を備えた絶縁電線の例である。また、試験体C3は、金属素線21から構成された導体を備えた絶縁電線の例である。
試験体E1〜E3及び試験体C1〜C3を用い、以下の方法により電気抵抗の測定及び耐屈曲性の評価を行った。
<電気抵抗測定>
直流抵抗測定器(横河メータ&インスツルメンツ株式会社製、精密級ダブルブリッジ)を用い、各試験体の長さ1mあたりの電気抵抗(Ω/m)を測定した。その結果を表1中の「電気抵抗」の欄に示す。
直流抵抗測定器(横河メータ&インスツルメンツ株式会社製、精密級ダブルブリッジ)を用い、各試験体の長さ1mあたりの電気抵抗(Ω/m)を測定した。その結果を表1中の「電気抵抗」の欄に示す。
<耐屈曲性評価>
各試験体から長さ300mmの試験片Sを採取し、この試験片Sを用いて以下のようにして屈曲試験を行った。
各試験体から長さ300mmの試験片Sを採取し、この試験片Sを用いて以下のようにして屈曲試験を行った。
まず、図3に示すように、試験片Sの一方の端部を回動アーム61に固定するとともに、他端に質量500gの錘62を取り付けた。この状態で、試験片Sの長手方向中間部を一対の円柱状部材63(63a、63b)で挟みこんだ。次いで、回動アーム61を回動させることにより、試験片Sの一端側が鉛直方向に対して90°となるまで一方の円柱状部材63aに沿って試験片Sを屈曲させた。その後、回動アーム61を逆方向に回動させ、試験片Sの一端側が鉛直方向に対して90°となるまで他方の円柱状部材63bに沿って試験片Sを屈曲させた後、回動アーム61を中立位置まで戻した。以上のサイクルを1回としてカウントし、1回/secの周期で試験片Sの屈曲を10000回繰り返した。
屈曲試験が完了した試験片Sの電気抵抗を上記と同様に測定した。そして、以下の式(1)により、屈曲試験前後での電気抵抗の増加率Rr(%)を算出した。
Rr=(Rf−Ri)/Ri×100 ・・・(1)
なお、上記式(1)において、Rfは屈曲試験後の電気抵抗(mΩ/m)、Riは初期の電気抵抗(mΩ/m)を示す記号である。
Rr=(Rf−Ri)/Ri×100 ・・・(1)
なお、上記式(1)において、Rfは屈曲試験後の電気抵抗(mΩ/m)、Riは初期の電気抵抗(mΩ/m)を示す記号である。
その結果、Rrが10%未満の場合は、表1中の「耐屈曲性」の欄に記号Aを、Rrが10%以上の場合には同欄に記号Bを記載した。また、導体が断線し、電気抵抗を測定できなかった場合には、同欄に記号Cを記載した。
表1に示したように、試験体E1〜E3は、金属素線21と、金属素線21の周囲に配置された多数の導電性繊維22とを備えた導体2を有している。そのため、試験体E1〜E3の電気抵抗Riは、導電性繊維22から構成された導体を有する試験体C1及びC2に比べて低くなった。
また、試験体E1〜E3は、試験体C1及びC2に比べて電気抵抗の増加率Rrが小さかった。これは、導電性繊維22の存在により金属素線21に加わる衝撃等が緩和された結果、金属素線21におけるクラック等の発生が抑制されたためと考えられる。一方、金属素線21から構成された導体を有する試験体C3は、屈曲試験後に導体2が断線し、電気抵抗の測定を行うことができなかった。
以上の結果から、金属素線21の周囲に導電性繊維22が配置されている絶縁電線1は、低い電気抵抗を有し、耐屈曲性に優れていることが理解できる。
なお、本発明に係る絶縁電線1は、実施例及び実験例に示した態様に限定されるものではなく、その趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。
1 絶縁電線
2 導体
21 金属素線
22 導電性繊維
221 導体線
222 金属層
3 絶縁体
2 導体
21 金属素線
22 導電性繊維
221 導体線
222 金属層
3 絶縁体
Claims (6)
- 導体と、該導体を被覆する絶縁体とを有する絶縁電線であって、
上記導体は、
金属素線と、
該金属素線の周囲に配置された多数の導電性繊維とを有しており、
該導電性繊維は、
樹脂線と、
該樹脂線の表面を覆う金属層とを有している、絶縁電線。 - 上記金属素線は、上記導体の中心に配置されている、請求項1に記載の絶縁電線。
- 上記樹脂線の太さは200〜3200dtexである、請求項1または2に記載の絶縁電線。
- 電気抵抗が500mΩ/m以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 上記導体の断面積が0.5mm2以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 自動車に用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016049501A JP2017168196A (ja) | 2016-03-14 | 2016-03-14 | 絶縁電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016049501A JP2017168196A (ja) | 2016-03-14 | 2016-03-14 | 絶縁電線 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017168196A true JP2017168196A (ja) | 2017-09-21 |
Family
ID=59909927
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016049501A Pending JP2017168196A (ja) | 2016-03-14 | 2016-03-14 | 絶縁電線 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2017168196A (ja) |
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2016
- 2016-03-14 JP JP2016049501A patent/JP2017168196A/ja active Pending
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