JP2017167550A - 電子写真用部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】表層表面の滑り性およびトナー離型性の両特性を両立させることが可能な電子写真用部材を提供する。
【解決手段】電子写真用部材は、電子写真装置に用いられる。電子写真用部材は、表層1を有している。表層1は、表層1の骨格を形成するマトリックスポリマー11と、マトリックスポリマー11中に含有された表面改質剤12とを有している。表面改質剤12は、分子内に、シリコーン基121を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位とフッ素含有基122を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位とを含む共重合体より構成されている。
【選択図】図3
【解決手段】電子写真用部材は、電子写真装置に用いられる。電子写真用部材は、表層1を有している。表層1は、表層1の骨格を形成するマトリックスポリマー11と、マトリックスポリマー11中に含有された表面改質剤12とを有している。表面改質剤12は、分子内に、シリコーン基121を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位とフッ素含有基122を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位とを含む共重合体より構成されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、電子写真用部材に関する。
従来、電子写真方式の複写機やプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置が知られている。これら電子写真装置は、帯電させた感光体への画像データ露光による潜像形成、現像、転写媒体への転写、定着等の工程を経て画像形成を行う。そのため、装置内には、これら工程を実現するために各種の電子写真用部材が組み込まれている。
例えば、感光体表面を帯電させるためにロール状の帯電部材が組み込まれている。また、感光体表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて可視像とするためにロール状の現像部材が組み込まれている。また最近では、複数の感光体によって色別に形成した各トナー像をベルト表面に一次転写して各色のトナー像を重ね合わせ、これを用紙上に二次転写するため、ベルト状の中間転写部材が用いられている。
これら電子写真用部材は、装置内においてその機能を果たすため、通常、所定の相手部材と接触した状態で配置される。例えば、現像部材の表面には、摺擦によりトナーを荷電するためにブレード部材が接触していることが多い。また、帯電部材の表面には、用紙へのトナー像の定着後に表面に残存するトナーを除去するためにブレード部材が接触していることが多い。また、中間転写部材では、トナー像の転写後に表面に残存するトナーを除去するためにブレード部材を接触させることがある。このように各種の電子写真用部材は、トナー存在下において相手部材と接触させて用いることが多い。
従来、上記電子写真用部材では、部材表面に表層を設けることにより、相手部材との滑り性や、部材表面に接触したトナーが離れやすい性質、いわゆるトナー離型性などの機能を付与しようとする試みがなされている。
一般的に、相手部材との滑り性を向上させるためには、表層にシリコーン系の表面改質剤が添加されることが多い。また、トナー離型性を向上させるためには、表層にフッ素系の表面改質剤が添加されることが多い。
なお、電子写真用部材の表面改質に関する先行技術としては、例えば、特許文献1に、溶剤に溶解したフッ素ゴムに反応性シリコーンオイルおよび反応性フッ素オイルを配合した塗液を用いて、現像ロールの最外層を形成する技術が開示されている。
しかしながら、従来の一般的な技術は、以下の点で問題がある。すなわち、シリコーン系の表面改質剤を表層に添加すると、相手部材との滑り性を向上させることができるが、表層表面のトナー離型性(トナーが離れやすい性質)が著しく悪化する。一方、フッ素系の表面改質剤を表層に添加すると、トナー離型性を向上させることができるが、相手部材との滑り性が極端に悪くなる。さらに、シリコーン系の表面改質剤とフッ素系の表面改質剤の両方を表層に添加しても、表層表面の滑り性およびトナー離型性の両特性を両立させることが困難であるという問題がある。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、表層表面の滑り性およびトナー離型性の両特性を両立させることが可能な電子写真用部材を提供しようとして得られたものである。
シリコーン系の表面改質剤とフッ素系の表面改質剤との両方を表層に添加した場合、両表面改質剤は相溶性が悪いので互いに混じり難く、表層表面に出てくる表面改質剤に優先順位ができる。つまり、この場合は、表層表面に両表面改質剤を共存させることが難しく、いずれか一方の表面改質剤の効果のみしか得られない。場合によっては、各表面改質剤の効果をいずれも十分に得ることができないこともある。
これに対し、上記電子写真用部材は、表層の骨格を形成するマトリックスポリマー中に上記特定の重合単位を含む共重合体よりなる表面改質剤を含有している。そのため、上記電子写真用部材は、第1重合単位のシリコーン基と第2重合単位のフッ素含有基とを、表層表面に強制的に存在させることができる。それ故、上記電子写真用部材は、表層表面の滑り性およびトナー離型性の両特性を両立させることが可能となる。
上記電子写真用部材は、電子写真装置に用いられる部材である。電子写真装置としては、具体的には、帯電像を用いる電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリ、複合機、POD(Print On Demand)装置等の画像形成装置を例示することができる。
上記電子写真用部材は、トナー存在下において、電子写真装置に用いられる他の相手部材(例えば、上記電子写真用部材の周囲に配設されるブレード部材やロール部材等)を表層表面に接触させた状態で使用することができる。この場合は、表層表面の滑り性に優れるので、相手部材の摺動を安定させることができる。また、表層表面のトナー離型性に優れるので、表層表面にトナーが付着したままとなり難い。とりわけ、電子写真装置が画像形成装置である場合には、良好な画像形成を行いやすくなる利点がある。また、相手部材がブレード部材である場合には、ブレード部材がめくれる不具合も抑制しやすくなり、良好な画像形成を行う上で有利である。
上記電子写真用部材は、具体的には、上記電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる現像部材、帯電部材、または、転写部材とすることができる。現像部材、帯電部材、または、転写部材は、ブレード部材等の相手部材と接触して用いられることが多い。したがって、上記効果を十分に発揮させることができる。なお、転写部材としては、具体的には、感光体に担持されたトナー像を中間転写部材に一次転写した後、このトナー像を中間転写部材から用紙等の転写材へ二次転写するための上記中間転写部材を例示することができる。
ここで、上記電子写真用部材における表層は、表層の骨格を形成するマトリックスポリマーと、マトリックスポリマー中に含有された表面改質剤とを有している。
マトリックスポリマーは、表層の基本的な骨格を形づくるポリマー成分として重要な役割を果たす。マトリックスポリマーは、上記役割を果たすことができれば特に限定されるものではなく、各種の樹脂やゴム(ゴムにはエラストマーも含まれる、以下省略)を用いることができる。これらは1種または2種以上併用することができ、電子写真用部材の用途等に応じて最適な材料を選択することができる。
上記樹脂としては、例えば、各種の熱可塑性樹脂や、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合ポリマーなどを用いることができる。上記樹脂としては、具体的には、例えば、ウレタン樹脂、ウレタンシリコーン樹脂、ウレタンフッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリルシリコーン樹脂、(メタ)アクリルフッ素樹脂、フッ素樹脂、アセタール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、カーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、澱粉およびこれらの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび他のオレフィン系単量体との共重合樹脂等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等のスチレン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂およびこれらの誘導体または変性体、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリイソプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、およびこれらの誘導体、メラミン樹脂などを例示することができる。これらのうち、好ましくは、表層の柔軟性向上、耐摩耗性向上などの観点から、ウレタン樹脂、ウレタンシリコーン樹脂、ウレタンフッ素樹脂などを用いることができる。
また、上記ゴムとしては、具体的には、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(ECO、CO)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、天然ゴム(NR)、これらの変成体などを例示することができる。これらのうち、好ましくは、表層の柔軟性向上、耐摩耗性向上などの観点から、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム(U)、これらの変成体などを用いることができる。
一方、マトリックスポリマー中に含有された表面改質剤は、表層表面に存在して表層表面を改質し、表層表面に滑り性およびトナー離型性を付与する成分として重要な役割を果たす。表面改質剤は、分子内に、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位とフッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位とを含む共重合体より構成されている。なお、「フッ素含有基」とは、フッ素原子を含有する基をいい、−Fを含む。なお、本願において(メタ)アクリルは、アクリル、メタクリルの両方を包含する意味であり、同様に、(メタ)アクリレートは、アクリレート、メタクリレートの両方を包含する意味である(以下、省略する)。
上記表面改質剤は、1種または2種以上の第1重合単位、1種または2種以上の第2重合単位を含むことができる。また、表面改質剤は、1種または2種以上併用することができる。また、表面改質剤は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。好ましくは、表面改質剤は、ランダム共重合体であるとよい。この場合は、第1重合単位に基づくシリコーン基と第2重合単位に基づくフッ素含有基とを、表層表面にランダムに存在させやすくなる。そのため、この場合は、表層表面における滑り性およびトナー離型性のムラが生じ難くなる利点がある。また、表面改質剤は、例えば、直鎖状、分岐状等のポリマー構造とすることができる。
上記表面改質剤において、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートは、1種または2種以上のシリコーン基を有することができる。シリコーン基は、具体的には、例えば、ジメチルシロキサン単位の繰り返しから構成されるポリジメチルシロキサン骨格を含むことができる。この場合は、比較的簡易な分子構造のポリジメチルシロキサン骨格にてシリコーン基の分子量を大きくすることができるので、表層表面の滑り性を確保しやすくなる。
上記ポリジメチルシロキサン骨格は、表層表面の滑り性向上などの観点から、重量平均分子量が、好ましくは275以上、より好ましくは350以上、さらにより好ましくは420以上とすることができる。また、上記ポリジメチルシロキサン骨格は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)、表層形成用材料の溶媒への溶解性などの観点から、重量平均分子量が、好ましくは20000以下、より好ましくは15000以下、さらにより好ましくは12000以下とすることができる。なお、上記重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により測定することができる。
上記表面改質剤において、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートは、より具体的には、下記式1にて示される化合物とされ、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートは、より具体的には、下記式2にて示される化合物とされる。
上記式1中、R2は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)などの観点から、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基であるとよい。また、式1中、R3を構成しうるアルキル基(骨格)は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)などの観点から、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基、R4、R5を構成しうるアルキル基(骨格)は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)などの観点から、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基、Xは、アクリル酸またはアクリル酸変成体(アクリル酸に反応性の高い官能基を付加したもの等)に対しシラノール基を有するジメチルシロキサンまたはその他のジメチルシロキサン変成体(アクリル酸末端と反応性を持つように変性されたもの等)を付加させる(合成する)場合の反応性などの観点から、好ましくはウレタン結合、ウレア結合、アミド結合、エステル結合であるとよい。また、nは、合成時の反応性、滑り性などの観点から、好ましくは2〜270の整数、より好ましくは5〜160の整数であるとよい。
上記式1、式2にて示される化合物は、比較的準備が容易であるので、上記表面改質剤を比較的容易に合成することができる。そのため、この場合は、上記作用効果を奏する電子写真用部材を得やすくなる。
上記表面改質剤は、第1重合単位を0.01〜60mol%、第2重合単位を0.01〜60mol%含むことができる。これらの場合には、表層表面の滑り性およびトナー離型性の両立を確実なものとすることができる。また、表面改質剤の各重合単位の割合を上記範囲内で調節することにより、シリコーン基およびフッ素含有基の量を調節し、両特性のバランスを制御することができる。なお、第1重合単位、第2重合単位の割合は、第1重合単位、第2重合単位、さらに後述する他の重合単位を含む場合にはその重合単位を含めた合計の割合が100mol%となるように選択することができる。
第1重合単位の割合は、十分な滑り性を得る観点から、好ましくは0.05mol%以上、より好ましくは0.1mol%以上、さらに好ましくは0.3mol%以上とすることができる。また、第1重合単位の割合は、マトリックスポリマーや希釈溶媒への溶解性などの観点から、好ましくは50mol%以下、より好ましくは35mol%以下、さらに好ましくは10mol%以下とすることができる。一方、第2重合単位の割合は、十分なトナー離型性を得る観点から、好ましくは0.05mol%以上、より好ましくは0.1mol%以上、さらに好ましくは0.3mol%以上とすることができる。また、第2重合単位の割合は、マトリックスポリマーや希釈溶媒への溶解性などの観点から、好ましくは50mol%以下、より好ましくは45mol%以下、さらに好ましくは30mol%以下とすることができる。なお、上記重合単位の割合は、熱分解GC/MS分析、NMR分析などにより測定することができる。
上記表面改質剤は、第1重合単位、第2重合単位以外にも、他の(メタ)アクリレートに基づく重合単位を必要に応じて1種または2種以上含むことができる。
例えば、上記表面改質剤は、分子内に、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位および/または水酸基を有する(メタ)アクリレートに基づく第4重合単位をさらに含むことができる。なお、表面改質剤は、1種または2種以上の第3重合単位、1種または2種以上の第4重合単位を含むことができる。
この場合は、第3重合単位のアルキル基および/または第4重合単位の水酸基とにより、マトリックスポリマーと表面改質剤との相溶性を向上させることができる。そのため、この場合は、表層表面に比較的均一に表面改質剤を存在させやすくなり、表層表面における滑り性およびトナー離型性のムラが生じ難くなる利点がある。とりわけ、マトリックスポリマーがウレタン結合を含む場合は、上記効果が大きくなる。
上記表面改質剤において、アルキル基を有する(メタ)アクリレートは、1種または2種以上のアルキル基を有することができる。上記アルキル基としては、具体的には、例えば、マトリックスポリマーとの相溶性向上などの観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などを例示することができる。これらのうち、上記アルキル基は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)などの観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。
上記表面改質剤において、水酸基を有する(メタ)アクリレートは、具体的には、例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどを例示することができる。水酸基を有する(メタ)アクリレートは、より具体的には、例えば、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)、バインダーに対する相溶性などの観点から、下記式3にて示される化合物および/または下記式4にて示される化合物とすることができる。
上記式3中、R6を構成しうるアルキル基(骨格)は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)などの観点から、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基であるとよい。R6を構成しうるアリール基(骨格)は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)、バインダーに対する相溶性などの観点から、好ましくはフェニル基またはベンジル基であるとよい。R6を構成しうるアラルキル基(骨格)は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)、バインダーに対する相溶性などの観点から、好ましくはベンジル基またはフェネチル基であるとよい。
上記式4中、R7を構成しうるアルキル基(骨格)は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)などの観点から、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基であるとよい。R7を構成しうるアリール基(骨格)は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)、バインダーに対する相溶性などの観点から、好ましくはフェニル基またはベンジル基であるとよい。R7を構成しうるアラルキル基(骨格)は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)、バインダーに対する相溶性の観点から、好ましくはベンジル基またはフェネチル基であるとよい。
上記表面改質剤において、アルキル基を有する(メタ)アクリレートは、より具体的には、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸ブチルとすることができ、水酸基を有する(メタ)アクリレートは、より具体的には、メタクリル酸ヒドロキシエチルとすることができる。
この場合は、第1重合単位および第2重合単位とともに共重合させやすい上、マトリックスポリマーと表面改質剤との相溶性を向上させやすく、上記作用効果を得やすくなる。
上記表面改質剤は、第3重合単位を0〜95mol%、第4重合単位を0〜95mol%含むことができる。第3重合単位の割合は、マトリックスポリマーとの相溶性を確保しやすくなるなどの観点から、好ましくは10mol%以上、より好ましくは30mol%以上、さらに好ましくは50mol%以上とすることができる。また、第3重合単位の割合は、効果発現のための第1重合単位および第2重合単位の割合を確保するなどの観点から、好ましくは94mol%以下、より好ましくは93mol%以下、さらに好ましくは90mol%以下とすることができる。一方、第4重合単位の割合は、マトリックスポリマーとの相溶性を確保しやすくなるなどの観点から、好ましくは10mol%以上、より好ましくは30mol%以上、さらに好ましくは50mol%以上とすることができる。また、第4重合単位の割合は、効果発現のための第1重合単位および第2重合単位の割合を確保するなどの観点から、好ましくは94mol%以下、より好ましくは93mol%以下、さらに好ましくは90mol%以下とすることができる。
上記表面改質剤は、分子内に、シリコーン基およびフッ素含有基とは異なる官能基を有する(メタ)アクリレートに基づく第5重合単位をさらに含むことができる。
この場合は、滑り性およびトナー離型性以外にも、上記官能基に起因する機能を表層表面に付与することができ、表層表面の機能性を向上させることができる。シリコーン基およびフッ素含有基とは異なる官能基を有する(メタ)アクリレートは、1種または2種以上の官能基を含むことができる。また、この場合、表面改質剤は、1種または2種以上の第5重合単位を含むことができる。
上記官能基としては、具体的には、例えば、エステル基、エーテル基、アミド基、アミノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、フェニル基から選択される1種または2種以上とすることができる。
上記官能基のうち、例えば、アミド基、アミノ基は、表層表面に荷電性を付与することができる。そのため、この場合は、表層表面が、滑り性およびトナー離型性以外にも、負帯電トナーへのトナー荷電性を有することができる。また、上記官能基のうち、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基も、表層表面に荷電性を付与することができる。そのため、この場合は、表層表面が、正帯電トナーへのトナー荷電性を有することができる。また、上記官能基のうち、例えば、エーテル基、エステル基などは電気抵抗を下げる効果がある。
また、上記表面改質剤は、分子内に、第四級アンモニウム塩等のイオン導電剤が分子内に組み込まれた(メタ)アクリレートに基づく第6重合単位をさらに含むこともできる。この場合は、表層への荷電性の付与に有利である。
上記表面改質剤は、より具体的には、下記式5にて示される分子構造を有する化合物から選択される1種または2種以上から構成することができる。
上記式5中、R2は、合成時の反応性((メタ)アクリル基の反応性)などの観点から、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基であるとよい。また、上述した理由により、モル%でpは、0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.3以上とすることができる。モル%でpは、60以下、好ましくは50以下、より好ましくは35以下、さらに好ましくは10以下とすることができる。また、モル%でqは、0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.3以上とすることができる。モル%でqは、60以下、好ましくは50以下、より好ましくは45以下、さらに好ましくは30以下とすることができる。また、モル%でrは、0以上、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは50以上とすることができる。モル%でrは、95以下、好ましくは94以下、より好ましくは93以下、さらに好ましくは90以下とすることができる。また、モル%でsは、0以上、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは50以上とすることができる。モル%でsは、95以下、好ましくは94以下、より好ましくは93以下、さらに好ましくは90以下とすることができる。なお、上述したように、各重合単位の割合であるp、q、r、sは、合計で100モル%となるように選択される。また、nは好ましくは2〜270の整数、より好ましくは5〜160の整数であるとよい。
上記表層は、マトリックスポリマー100質量部に対し、表面改質剤を0.01〜40質量部含有することができる。この場合には、表層表面の滑り性およびトナー離型性の両立を確実なものとすることができる。また、表面改質剤の含有量を上記範囲内で調節することにより、両特性のバランスを制御することができる。
表面改質剤の含有量は、添加による十分な効果を得るなどの観点から、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上とすることができる。また、表面改質剤の含有量は、マトリックスポリマーとの相溶性、マトリックスポリマーからのブリード抑制、コストなどの観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは9質量部以下、さらにより好ましくは7質量部以下、さらにより一層好ましくは5質量部以下とすることができる。なお、表面改質剤の含有量は、溶剤による抽出後、抽出物を熱分解GC/MS分析、NMR分析して上記表面改質剤の構造を特定した後、材料全体を熱分解GC/MS分析することなどによって測定することができる。
上記表層は、マトリックスポリマー中に、他にも、導電剤を含有することができる。導電剤としては、具体的には、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系導電材料、チタン酸バリウム、c−TiO2、c−ZnO、c−SnO2(c−は導電性を意味する。)等の導電性の金属酸化物や金属ナノ粒子などといった電子導電剤、ポリアニリン、ポリピロールなどといった導電ポリマー、第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩、イオン液体などといったイオン導電剤などを例示することができる。
上記表層は、マトリックスポリマー中に、他にも、必要に応じて、反応触媒、フィラー(無機系、有機系)、カップリング剤、分散剤、レベリング剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、難燃剤、消泡剤、粗さ形成用粒子などの各種添加剤を含有することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
上記表層の厚みは、特に限定されるものではなく、耐摩耗性、柔軟性などを考慮して最適な厚みとすることができる。上記表層の厚みは、例えば、1〜100μm程度とすることができる。
実施例に係る電子写真用部材について、図面を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1に係る電子写真用部材の概略構成を図1〜図3を用いて説明する。図1、図2に示すように、電子写真用部材Rは、電子写真装置に用いられるものである。本例の電子写真用部材は、具体的には、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれるロール状の導電性部材であり、現像部材(現像ロール)または帯電部材(帯電ロール)として用いることができる。
実施例1に係る電子写真用部材の概略構成を図1〜図3を用いて説明する。図1、図2に示すように、電子写真用部材Rは、電子写真装置に用いられるものである。本例の電子写真用部材は、具体的には、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれるロール状の導電性部材であり、現像部材(現像ロール)または帯電部材(帯電ロール)として用いることができる。
電子写真用部材Rは、表層1を有している。本例の電子写真用部材Rは、具体的には、芯金よりなる軸体2と、軸体2の外周面に沿って形成された導電性を有するゴム弾性体よりなる弾性層3とをさらに有している。但し、軸体2の両端部は、弾性層3の両端面から突出した状態とされている。そして、この弾性層3の外周面に沿って表層1が形成されている。電子写真用部材Rは、現像部材として用いる場合には、例えば、摺擦によりトナーを帯電させたり一定厚みのトナーを形成したりするためのブレード部材を、表層1表面に接触させた状態で使用することができる。また、電子写真用部材Rは、帯電部材として用いる場合には、例えば、用紙へトナー像を定着させる定着工程の後に表面に残存するトナーを除去するためのブレード部材を、表層1表面に接触させた状態で使用することができる。
図3に模式的に示すように、表層1は、表層1の骨格を形成するマトリックスポリマー11と、マトリックスポリマー11中に含有された表面改質剤12とを有している。
マトリックスポリマー11は、具体的には、熱可塑性ポリウレタンと熱硬化性ポリウレタンとの混合ポリマーよりなる。表面改質剤12は、分子内に、シリコーン基121を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位とフッ素含有基122を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位とを含む直鎖状の共重合体より構成されている。表面改質剤12は、表層1表面に相対的に多く存在している。表面改質剤12は、100質量部のマトリックスポリマー11に対して0.01〜40質量部の範囲内で含有されている。なお、表層1には、導電性を付与するために電子導電剤が添加されている。
(実施例2)
実施例2に係る電子写真用部材の概略構成を図4、図5を用いて説明する。図4、図5に示すように、電子写真用部材Bは、電子写真装置に用いられるものである。本例の電子写真用部材Bは、具体的には、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる無端ベルト状の導電性部材であり、転写部材(中間転写ベルト)として用いることができる。
実施例2に係る電子写真用部材の概略構成を図4、図5を用いて説明する。図4、図5に示すように、電子写真用部材Bは、電子写真装置に用いられるものである。本例の電子写真用部材Bは、具体的には、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる無端ベルト状の導電性部材であり、転写部材(中間転写ベルト)として用いることができる。
電子写真用部材Bは、表層4を有している。本例の電子写真用部材Bは、具体的には、導電性を有する樹脂材料より形成された筒状の基層5をさらに有している。そして、この基層5の外周面に沿って表層4が形成されている。電子写真用部材Bは、例えば、用紙へトナー像を二次転写した後に表面に残存するトナーを除去するためのブレード部材を、表層5表面に接触させた状態で使用することができる。
表層4は、図示はしないが、実施例1の図3と同様に、マトリックスポリマー中に表面改質剤を含有している。
マトリックスポリマーは、具体的にはゴムを主成分とする。したがって、表層4はゴム弾性を有している。表面改質剤については、実施例1と同様の構成であるので説明を省略する。なお、表層4には、導電性を付与するためにイオン導電剤が添加されている。
以下、電子写真用部材としての現像ロール試料と、比較例の現像ロール試料とを作製し、評価を行った。その実験例について説明する。
(実験例)
<表面改質剤の準備>
表層のマトリックスポリマー中に含有させる各表面改質剤を以下のようにして準備した。
(実験例)
<表面改質剤の準備>
表層のマトリックスポリマー中に含有させる各表面改質剤を以下のようにして準備した。
・表面改質剤A
100mLの反応フラスコに、アクリレート変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、「X−22−174DX」)1.66g(0.36mmol)と、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(ダイキン工業(株)製、「R−1620」)5.61g(13mmol)と、メタクリル酸メチル(純正化学工業(株)製)7.37g(73.64mmol)と、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(東京化成工業(株)製)1.69g(13mmol)と、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)(和光純薬工業(株)製、「VE−73」)1.24g(4mmol)と、メチルエチルケトン(MEK)14.38gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
なお、上記アクリレート変性シリコーンオイルは、上記式1にて示される化合物であり、式1中、R1およびR2はいずれもメチル基である。また、シリコーン基は、ジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるポリジメチルシロキサン骨格を含んでおり、その重量平均分子量は、4200である。
次いで、MEK26.64gを仕込み、固形分で30%の表面改質剤Aを含有する溶液を得た。
上記表面改質剤Aは、分子内に、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位と、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位と、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位と、水酸基を有する(メタ)アクリレートに基づく第4重合単位とを含む直鎖状の共重合体である。より具体的には、上記表面改質剤Aは、式5にて示される分子構造の化合物(第1重合単位におけるR1はH、R2はメチル基、第2重合単位におけるR1はH、第3重合単位におけるR1およびR2はいずれもメチル基、第4重合単位におけるR1はメチル基、モル%でp=0.4、q=13、r=73.6、s=13)である。
100mLの反応フラスコに、アクリレート変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、「X−22−174DX」)1.66g(0.36mmol)と、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(ダイキン工業(株)製、「R−1620」)5.61g(13mmol)と、メタクリル酸メチル(純正化学工業(株)製)7.37g(73.64mmol)と、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(東京化成工業(株)製)1.69g(13mmol)と、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)(和光純薬工業(株)製、「VE−73」)1.24g(4mmol)と、メチルエチルケトン(MEK)14.38gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
なお、上記アクリレート変性シリコーンオイルは、上記式1にて示される化合物であり、式1中、R1およびR2はいずれもメチル基である。また、シリコーン基は、ジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるポリジメチルシロキサン骨格を含んでおり、その重量平均分子量は、4200である。
次いで、MEK26.64gを仕込み、固形分で30%の表面改質剤Aを含有する溶液を得た。
上記表面改質剤Aは、分子内に、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位と、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位と、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位と、水酸基を有する(メタ)アクリレートに基づく第4重合単位とを含む直鎖状の共重合体である。より具体的には、上記表面改質剤Aは、式5にて示される分子構造の化合物(第1重合単位におけるR1はH、R2はメチル基、第2重合単位におけるR1はH、第3重合単位におけるR1およびR2はいずれもメチル基、第4重合単位におけるR1はメチル基、モル%でp=0.4、q=13、r=73.6、s=13)である。
・表面改質剤B
100mLの反応フラスコに、上記アクリレート変性シリコーンオイル1.66g(0.36mmol)と、上記2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(ダイキン工業(株)製、「R−1620」)5.61g(13mmol)と、メタクリル酸ブチル(東京化成工業(株)製)9.44g(73.64mmol)と、上記メタクリル酸2−ヒドロキシエチル1.69g(13mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)1.24g(4mmol)と、メチルエチルケトン(MEK)16.07gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、MEK29.76gを仕込み、固形分で30%の表面改質剤Bを含有する溶液を得た。
上記表面改質剤Bは、分子内に、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位と、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位と、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位と、水酸基を有する(メタ)アクリレートに基づく第4重合単位とを含む直鎖状の共重合体であり、上記表面改質剤Aとは第3重合単位の種類が異なっている。より具体的には、上記表面改質剤Bは、式5にて示される分子構造の化合物(第1重合単位におけるR1はH、R2はメチル基、第2重合単位におけるR1はH、第3重合単位におけるR1はメチル基、R2はブチル基、第4重合単位におけるR1はメチル基、モル%でp=0.4、q=13、r=73.6、s=13)である。
100mLの反応フラスコに、上記アクリレート変性シリコーンオイル1.66g(0.36mmol)と、上記2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(ダイキン工業(株)製、「R−1620」)5.61g(13mmol)と、メタクリル酸ブチル(東京化成工業(株)製)9.44g(73.64mmol)と、上記メタクリル酸2−ヒドロキシエチル1.69g(13mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)1.24g(4mmol)と、メチルエチルケトン(MEK)16.07gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、MEK29.76gを仕込み、固形分で30%の表面改質剤Bを含有する溶液を得た。
上記表面改質剤Bは、分子内に、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位と、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位と、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位と、水酸基を有する(メタ)アクリレートに基づく第4重合単位とを含む直鎖状の共重合体であり、上記表面改質剤Aとは第3重合単位の種類が異なっている。より具体的には、上記表面改質剤Bは、式5にて示される分子構造の化合物(第1重合単位におけるR1はH、R2はメチル基、第2重合単位におけるR1はH、第3重合単位におけるR1はメチル基、R2はブチル基、第4重合単位におけるR1はメチル基、モル%でp=0.4、q=13、r=73.6、s=13)である。
・表面改質剤C
100mLの反応フラスコに、上記アクリレート変性シリコーンオイル1.66g(0.36mmol)と、上記2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(ダイキン工業(株)製、「R−1620」)5.61g(13mmol)と、上記メタクリル酸メチル8.67g(86.64mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)1.24g(4mmol)と、メチルエチルケトン(MEK)14.06gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、MEK26.04gを仕込み、固形分で30%の表面改質剤Cを含有する溶液を得た。
上記表面改質剤Cは、分子内に、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位と、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位と、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位とを含む直鎖状の共重合体であり、上記表面改質剤Aとは第4重合単位を有していない点で異なっている。より具体的には、上記表面改質剤Cは、式5にて示される分子構造の化合物(第1重合単位におけるR1はH、R2はメチル基、第2重合単位におけるR1はH、第3重合単位におけるR1およびR2はいずれもメチル基、モル%でp=0.4、q=13、r=86.6、s=0)である。
100mLの反応フラスコに、上記アクリレート変性シリコーンオイル1.66g(0.36mmol)と、上記2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(ダイキン工業(株)製、「R−1620」)5.61g(13mmol)と、上記メタクリル酸メチル8.67g(86.64mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)1.24g(4mmol)と、メチルエチルケトン(MEK)14.06gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、MEK26.04gを仕込み、固形分で30%の表面改質剤Cを含有する溶液を得た。
上記表面改質剤Cは、分子内に、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位と、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位と、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位とを含む直鎖状の共重合体であり、上記表面改質剤Aとは第4重合単位を有していない点で異なっている。より具体的には、上記表面改質剤Cは、式5にて示される分子構造の化合物(第1重合単位におけるR1はH、R2はメチル基、第2重合単位におけるR1はH、第3重合単位におけるR1およびR2はいずれもメチル基、モル%でp=0.4、q=13、r=86.6、s=0)である。
・表面改質剤D
100mLの反応フラスコに、上記アクリレート変性シリコーンオイル1.66g(0.36mmol)と、上記メタクリル酸メチル9.97g(99.64mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)1.24g(4mmol)と、メチルエチルケトン(MEK)10.53gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、MEK19.5gを仕込み、固形分で30%の表面改質剤Dを含有する溶液を得た。上記表面改質剤Dは、分子内に、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位と、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位とを含む直鎖状の共重合体であり、分子内にフッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位を含んでいない。
100mLの反応フラスコに、上記アクリレート変性シリコーンオイル1.66g(0.36mmol)と、上記メタクリル酸メチル9.97g(99.64mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)1.24g(4mmol)と、メチルエチルケトン(MEK)10.53gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、MEK19.5gを仕込み、固形分で30%の表面改質剤Dを含有する溶液を得た。上記表面改質剤Dは、分子内に、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位と、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位とを含む直鎖状の共重合体であり、分子内にフッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位を含んでいない。
・表面改質剤E
100mLの反応フラスコに、上記2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(ダイキン工業(株)製、「R−1620」)5.61g(13mmol)と、上記メタクリル酸メチル8.71g(87mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)1.24g(4mmol)と、メチルエチルケトン(MEK)12.73gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、MEK23.58gを仕込み、固形分で30%の表面改質剤Eを含有する溶液を得た。上記表面改質剤Eは、分子内に、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位と、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位とを含む直鎖状の共重合体であり、分子内にシリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位を含んでいない。
100mLの反応フラスコに、上記2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(ダイキン工業(株)製、「R−1620」)5.61g(13mmol)と、上記メタクリル酸メチル8.71g(87mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)1.24g(4mmol)と、メチルエチルケトン(MEK)12.73gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、MEK23.58gを仕込み、固形分で30%の表面改質剤Eを含有する溶液を得た。上記表面改質剤Eは、分子内に、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位と、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位とを含む直鎖状の共重合体であり、分子内にシリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位を含んでいない。
<表層形成用材料の調製>
後述の表2に示すように、熱可塑性ポリウレタン(日本ポリウレタン工業(株)製、「ニッポラン5199」)10質量部と、ポリエーテルジオール(3官能ポリプロピレングリコール)((株)ADEKA製、「アデカポリエーテルP−1000」)60質量部と、ポリイソシアネート(HDI型ブロックイソシアヌレート)(日本ポリウレタン工業(株)製、「コロネートL」)30質量部と、電子導電剤(カーボンブラック)(ライオン(株)製、「ケッチェンEC300J」)3質量部と、表2に示す所定の種類かつ所定の配合量の各表面改質剤とを、濃度20質量%となるようにMEKに溶解し、三本ロールを用いて十分に混合、分散させた。これにより、現像ロール試料1〜8の作製に用いる各表層形成用材料を調製した。
後述の表2に示すように、熱可塑性ポリウレタン(日本ポリウレタン工業(株)製、「ニッポラン5199」)10質量部と、ポリエーテルジオール(3官能ポリプロピレングリコール)((株)ADEKA製、「アデカポリエーテルP−1000」)60質量部と、ポリイソシアネート(HDI型ブロックイソシアヌレート)(日本ポリウレタン工業(株)製、「コロネートL」)30質量部と、電子導電剤(カーボンブラック)(ライオン(株)製、「ケッチェンEC300J」)3質量部と、表2に示す所定の種類かつ所定の配合量の各表面改質剤とを、濃度20質量%となるようにMEKに溶解し、三本ロールを用いて十分に混合、分散させた。これにより、現像ロール試料1〜8の作製に用いる各表層形成用材料を調製した。
また、上記試料1〜8の作製に用いる各表層形成用材料の調製において、熱可塑性ポリウレタン10質量部およびポリエーテルジオール60質量部に代えて、アクリル酸エステルポリマー(根上工業(株)製、「パラクロンAS−3000E」、OH価:8.5KOHmg/g、重量平均分子量Mw=65000)を用いた以外は同様にして、現像ロール試料9の作製に用いる表層形成用材料を調製した。
また、上記試料1〜8の作製に用いる各表層形成用材料の調製において、熱可塑性ポリウレタン10質量部およびポリエーテルジオール60質量部に代えて、反応性NBR(両末端にカルボキシル基を有するNBR)(PTIジャパン製、「CTBN1300×31」、反応基当量1750g/mol、重量平均分子量Mw=3500)を用いた以外は同様にして、現像ロール試料10の作製に用いる表層形成用材料を調製した。
<現像ロール試料の作製>
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「X−34−264A/B、混合質量比A/B=1/1」)をスタティックミキサーにて混合することにより、弾性層形成用材料を調製した。
導電性シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「X−34−264A/B、混合質量比A/B=1/1」)をスタティックミキサーにて混合することにより、弾性層形成用材料を調製した。
軸体として、直径6mmの中実円柱状の鉄棒を準備し、外周面に接着剤を塗布した。この軸体をロール成形用金型の中空空間にセットした後、上記調製した弾性層形成用材料を中空空間内に注入し、190℃で30分間加熱して硬化させ、脱型した。これにより、軸体の外周面に沿って導電性シリコーンゴムよりなるロール状の弾性層(厚み3mm)を形成した。
次いで、上記弾性層の外周面に、ロールコート法により、上記調製した各表層形成用材料を塗工した後、120℃で60分間加熱して硬化させ、表層(厚み15μm)を形成した。これにより、上記弾性層の外周面に沿って表層を有し、かつ、表層は、表層の骨格を形成する熱可塑性ポリウレタンと熱硬化性ポリウレタンとの混合ポリマーまたはアクリル酸エステルポリマーまたは架橋NBR中に、表2に示す各表面改質剤を含有する二層構造の現像ロール試料1〜10を作製した。
−滑り性−
静・動摩擦係数測定器(協和界面科学(株)製、「Triboster500」)のステージ上に固定した現像ロール試料の表面(つまり、表層表面)に、接触子(直径3mmの鋼球製)による垂直荷重W50gを加え、この状態でステージを移動速度7.5mm/秒で水平方向に1cm移動させた。これにより現像ロール試料と接触子との間に生じた摩擦力Fから、現像ロール試料の表層表面における初期の動摩擦係数μk(F/W)を算出した。
上記動摩擦係数μkが1.5以下であった場合を、表層表面の滑り性に優れるとして「A」とした。上記動摩擦係数μkが1.5以上2未満であった場合を、表層表面の滑り性が良好であるとして「B」とした。上記動摩擦係数μkが2超であった場合を、表層表面の摩擦力が大きく、滑り性に劣るとして「C」とした。
静・動摩擦係数測定器(協和界面科学(株)製、「Triboster500」)のステージ上に固定した現像ロール試料の表面(つまり、表層表面)に、接触子(直径3mmの鋼球製)による垂直荷重W50gを加え、この状態でステージを移動速度7.5mm/秒で水平方向に1cm移動させた。これにより現像ロール試料と接触子との間に生じた摩擦力Fから、現像ロール試料の表層表面における初期の動摩擦係数μk(F/W)を算出した。
上記動摩擦係数μkが1.5以下であった場合を、表層表面の滑り性に優れるとして「A」とした。上記動摩擦係数μkが1.5以上2未満であった場合を、表層表面の滑り性が良好であるとして「B」とした。上記動摩擦係数μkが2超であった場合を、表層表面の摩擦力が大きく、滑り性に劣るとして「C」とした。
−トナー離型性−
上記調製した各表層形成用材料を、上記表層形成時と同じ条件で加熱、硬化させ、シート状の各試験片(厚み15μm)を作製した。次いで、電子写真方式を採用するデジタルフルカラー複合機(富士ゼロックス(株)製、「DocuCentre−IV C2260」)のカートリッジのトナーを、各試験片の表面に定量散布した。次いで、このトナーを散布した各試験片を遠心分離機にセットし、12000Gを付加した後のトナーの残存量を画像処理にて評価した。画像中のトナーの残存面積が3割未満であった場合をトナー離型性に優れるとして「A」、画像中のトナーの残存面積が3割以上5割未満であった場合をトナー離型性を有するとして「B」、画像中のトナーの残存面積が5割超であった場合をトナー離型性を有さないとして「C」とした。
上記調製した各表層形成用材料を、上記表層形成時と同じ条件で加熱、硬化させ、シート状の各試験片(厚み15μm)を作製した。次いで、電子写真方式を採用するデジタルフルカラー複合機(富士ゼロックス(株)製、「DocuCentre−IV C2260」)のカートリッジのトナーを、各試験片の表面に定量散布した。次いで、このトナーを散布した各試験片を遠心分離機にセットし、12000Gを付加した後のトナーの残存量を画像処理にて評価した。画像中のトナーの残存面積が3割未満であった場合をトナー離型性に優れるとして「A」、画像中のトナーの残存面積が3割以上5割未満であった場合をトナー離型性を有するとして「B」、画像中のトナーの残存面積が5割超であった場合をトナー離型性を有さないとして「C」とした。
表2によれば、以下のことがわかる。
すなわち、試料4の現像ロールは、分子内に、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位を含んでいるが、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位を含まないシリコーン系の表面改質剤Dを用いている。そのため、表層表面に付着したトナーが離れ難く、トナー離型性に劣っている。
すなわち、試料4の現像ロールは、分子内に、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位を含んでいるが、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位を含まないシリコーン系の表面改質剤Dを用いている。そのため、表層表面に付着したトナーが離れ難く、トナー離型性に劣っている。
試料5の現像ロールは、分子内に、フッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位を含んでいるが、シリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位を含まないフッ素系の表面改質剤Eを用いている。そのため、表層表面の動摩擦係数が極めて大きく、表層表面の滑り性に劣っている。
試料6〜8の現像ロールは、上記シリコーン系の表面改質剤Dと上記フッ素系の表面改質剤Eとを組み合わせてマトリックスポリマー中に含有させた例である。しかしながら、これらの結果から、両表面改質剤を組み合わせてみても、各表面改質剤の効果を十分に発揮することができず、表層表面の滑り性およびトナー離型性の両特性を両立させることは難しいことがわかる。これは、シリコーン系の表面改質剤とフッ素系の表面改質剤とを表層に添加した場合、両表面改質剤は相溶性が悪いので互いに混じり難いことが原因であると考えられる。また、仮に、何らかの制御因子を制御することにより表層表面に両表面改質剤を共存させることができたとしても、基本的に両表面改質剤は混じり難いもの同士であるため、いずれか一方または両方の表面改質剤の大きな塊ができ、特性にムラなどを生じやすいと考えられる。
これらに対し、試料1〜試料3の現像ロールは、いずれも、表層のマトリックスポリマー中に、分子内にシリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位とフッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位とを含む共重合体よりなる表面改質剤A、B、Cのいずれかを少なくとも含有している。
そのため、試料1〜試料3の現像ロールは、表層表面の滑り性およびトナー離型性の両特性を両立させることができた。これは、表層の骨格を形成するマトリックスポリマー中に含有させた表面改質剤が、分子内にシリコーン基を有する(メタ)アクリレートに基づく第1重合単位とフッ素含有基を有する(メタ)アクリレートに基づく第2重合単位とを両方含んでいるので、この第1重合単位のシリコーン基と第2重合単位のフッ素含有基とを、表層表面に強制的に存在させることができたためである。また、マトリックスポリマーに対して表面改質剤の添加量が比較的少なくても上記効果が得られることがわかる。
また、試料9、試料10の現像ロールは、試料1の現像ロールと比較して、表層を構成するマトリックスポリマーが異なる例である。この場合も、試料1の現像ロールと同様の効果が得られることがわかる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
R、B 電子写真用部材
1 表層
11 マトリックスポリマー
12 表面改質剤
121 シリコーン基
122 フッ素含有基
2 軸体
3 弾性層
4 表層
5 基層
1 表層
11 マトリックスポリマー
12 表面改質剤
121 シリコーン基
122 フッ素含有基
2 軸体
3 弾性層
4 表層
5 基層
Claims (6)
- 請求項1に記載の電子写真用部材において、
上記表面改質剤は、分子内に、アルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく第3重合単位および/または水酸基を有する(メタ)アクリレートに基づく第4重合単位をさらに含むことを特徴とする電子写真用部材。 - 請求項2に記載の電子写真用部材において、
上記アルキル基を有する(メタ)アクリレートは、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸ブチルであり、
上記水酸基を有する(メタ)アクリレートは、メタクリル酸ヒドロキシエチルであることを特徴とする電子写真用部材。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用部材において、
上記表面改質剤は、分子内に、上記シリコーン基および上記フッ素含有基とは異なる官能基を有する(メタ)アクリレートに基づく第5重合単位をさらに含むことを特徴とする電子写真用部材。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用部材は、
電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる現像部材、帯電部材、または、転写部材であることを特徴とする電子写真用部材。
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