JP2017166648A - 伸縮自在シャフトの製造方法 - Google Patents
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Description
尚、前記インナシャフト9と前記第一のヨーク11との結合、或いは、前記アウタチューブ10と前記第二のヨーク13との結合は、溶接により行う事もできる。又、後述する実施の形態の構造の様に、インナシャフトを前側に、アウタチューブを後側に配置する構造を採用する事もできる。
このうちの雄軸は、軸方向一端部の外周面に雄スプライン部が形成されている。
前記コーティング層は、前記雄スプライン部の外周面を覆う状態で設けられている。
前記雌軸は、内周面に雌スプライン部が形成されている。
そして、前記雄スプライン部と前記雌スプライン部とを、前記コーティング層を介してスプライン係合させる事により、前記雄軸と前記雌軸とが、トルク伝達可能、且つ、全長を伸縮可能な状態に組み合わされている。
特に本発明の伸縮自在シャフトに於いては、前記雄軸は、該雄軸の軸方向一端部の外周面、及び、該雄軸の軸方向一端面に開口したスリットを有している。
そして、このスリットの内側に、弾性部材が設けられている。
そして、このスリットは冷却しながら前記コーティング層で覆われた前記雄軸に加工される。
本発明の実施の形態の1例に就いて、図1〜8を参照しつつ説明する。尚、本例は、本発明を、ステアリング装置を構成する中間シャフトに適用したものである。但し、本発明は、この様な中間シャフト以外にも、各種用途で使用される伸縮自在シャフトの構造に適用する事ができる。又、本例の中間シャフト4aを組み込んだステアリング装置の構造は、図11に示したステアリング装置と同様の構造を有している。但し、本例の中間シャフト4aは、図11に示したステアリング装置の構造に限らず、従来から知られている各種構造のステアリング装置に組み込む事ができる。以下、ステアリング装置の構造を簡単に説明した後、本例の中間シャフト4aの構造に就いて説明する。
このうちの小径筒部18は円筒状であり、前記アウタチューブ10aのうちの、軸方向他端部から軸方向中間部にかけての部分に設けられている。この様な小径筒部18の外周面は、軸方向の全長に亙り外径寸法が変化しない円筒面状である。又、この小径筒部18の内周面には、円周方向に関して交互に形成された軸方向に長い、複数ずつの凹部と凸部とから成る雌スプライン部22が、全長に亙り形成されている。
前記大径筒部20は円筒状であり、軸方向他端縁が、前記連続部19の軸方向一端縁に連続している。この様な大径筒部20の内径及び外径は、前記小径筒部18の内径及び外径よりも大きい。
本例の場合、前記ヨーク部21を、前記アウタチューブ10aに一体に設ける構造を採用しているが、アウタチューブとヨーク部とを別体に設けて溶接或は嵌合等により結合固定する構造を採用する事もできる。
このうちの基部50は、中央部に中心孔52が形成されている。この中心孔52の内周面には、円周方向に凹部と凸部とを交互に配置して成る凹凸部である雌セレーション53が形成されている。この様な基部50は、前記中心孔52の内側に前記小径部43を挿通すると共に、前記雌セレーション53と前記雄セレーション47とをセレーション係合させた状態で、前記段部44と前記外向鍔部46との間で挟持されている。
又、図1に示す組み立て状態に於いて、前記両腕部51、51の両円孔54、54の内側には、それぞれ有底円筒状の軸受カップ55、55が内嵌固定されている。これと共に、これら両軸受カップ55、55の内側に、それぞれ複数本のニードル56、56を介して、前記十字軸48を構成する4本の軸部57、57のうちの1対の軸部57、57の端部が回動自在に支持されている。
尚、本例の構造を実施する場合には、前記スリット35の幅方向両端は、前記スプライン形成部31(前記雄スプライン部38)の外周面のうち、径方向に関して反対となる任意の2箇所位置に開口させる事ができる。但し、例えば、前記スリット35の幅方向両端を、前記雄スプライン部38を構成する凹部36に開口させる構成を採用する事ができる。又、前記スリット35の幅方向両端を、前記雄スプライン部38を構成する凸部37に開口させる構成を採用する事もできる。更に、前記スリット35の幅方向両端のうちの一方の端部を、前記凹部36に開口させると共に、他方の端部を、前記凸部37に開口させる構成を採用する事もできる。以上の様な各種構成を採用する場合に、好ましくは、前記スリット35の幅方向両端を、前記凸部37の円周方向側面(トルクを伝達する面)に開口しない状態で形成する様にする。
この板ばね60は、金属製の板材から造られており、バネ本体61と、第一係合部62と、第二係合部63とから成る。
このうちのバネ本体61は、図4(a)に示す平面視が中央に通孔が設けられた矩形枠状であり、且つ、図4(b)に示す側面視が波形状の板状部材である。具体的には、前記バネ本体61は、長手方向(図4の左右方向)中間部に、高さ方向一側面(図4の上側面)が凸となる1対の第一弾性部64、64が形成されている。又、前記バネ本体61の長手方向(図4の左右方向)両端部には、それぞれ前記バネ本体61の高さ方向他側面(図4の下側面)が凸となる1対の第二弾性部65、65が形成されている。
前記第一係合部62は、長手方向一端縁から、高さ方向一方へ略直角に折れ曲がった状態で形成されている。
前記第二係合部63は、前記バネ本体61の内周側面のうち、長手方向他方側の内周側面から、長手方向一方向に延出すると共に、高さ方向他方側に折れ曲がった状態で形成されている。具体的には、前記第二係合部63は、長手方向一方側に向かうほど、このバネ本体61から高さ方向他方側に離れる状態で形成されている。
又、上述の状態で、前記第一係合部62の、長手方向他側面{図4(b)の左側面}は、前記インナシャフト9aの軸方向一端面と当接している。又、上述の状態で、前記第二係合部63の先端縁は、前記平坦面70bと係合している。この様にして、前記板ばね60の長手方向(前記インナシャフト9aの軸方向)の位置決めを図っている。即ち、この板ばね60は、前記インナシャフト9aと係合する事により、自身の長手方向(前記インナシャフト9aの軸方向)の位置決めを図る(軸方向両方への変位を規制する)為の係合部を有している。
即ち、本例の場合、前記インナシャフト9aに、前記スリット35を形成している。この為、前記雄スプライン部38が形成された部分のうちの前記スリット35が形成された部分の径方向の剛性を適度に小さくできる。従って、前記雄スプライン部38と前記雌スプライン部22との係合部の回転方向のがたつきを防止する為に、この係合部に締め代を持たせた場合でも、この締め代に対する摺動抵抗(摺動荷重)の変動を鈍感にでき、前記インナシャフト9aの、前記アウタチューブ10aに対する摺動を安定させる事ができる。
又、本例の場合、前記板ばね60により、前記雄スプライン部38のうちの前記スリット35により2分割された部分を、これら両部分が互いに離れる方向に弾性的に押圧している。この為、トルク伝達時の、前記雄スプライン部38と前記雌スプライン部22との間のガタを防止できる。
コーティング層の設けられていないインナシャフト9aの素材のうちの、軸方向一端部から軸方向中間部(前記連続部32に相当する部分よりも軸方向他端側に位置する部分)に、例えば、浸漬(ディッピング)、流動浸漬法、静電塗装法等により粗コーティング層を形成する。そしてこの粗コーティング層に、シェービング加工を施す事により前記コーティング層59を形成する。
この様なシェービング加工は、例えば、前記コーティング層59のうちの前記雄スプライン部38を覆う部分の外周面に沿う内周面形状を有する筒状のシェービング用金型(シェービングカッター)の内側に、前記インナシャフト9aのうちの前記粗コーティング層が形成された部分を挿通する事により、該粗コーティング層のうちの前記雄スプライン部38を覆う部分の径方向外端寄り部分を削り取る。
コーティング層が設けられシェービング加工が施された雄スプライン部に前記スリット35の加工を行う。スリットの加工の前に雄スプラインのシェービング加工を行うことで、シェービング加工時の荷重による雄スプライン部の内径側への撓みが抑えられ、加工後の雄スプラインの形状精度が高くなる。
スリットの加工は、冷却水をかけながら砥石を用いて切断する。切断加工の際には熱が発生するが、冷却しながら加工することで、この熱による雄スプライン部のコーティング層の変形を防止することができる。又、冷却しながら加工することで加工速度を上げることができる。
上述の方法で加工された雄スプラインは形状精度が高くなる。雄スプラインの形状精度が低いと、前記雄スプライン部38と前記雌スプライン部22との係合部に所望の摺動抵抗(摺動荷重)を得るために、前記スリット35の内側に前記板ばね60のばね定数が異なるものを製品毎に選別して組み込まなければならず、ばね定数が異なるものを組み込む場合では前記雄スプライン部38の径方向の剛性が変化してしまい、均一の製品を得ることが困難となる。しかし雄スプラインの形状精度が高くなると、前記板ばね60のばね定数が一定のものを製品毎に組み込むことで所望の摺動抵抗(摺動荷重)を得ることができ、製品毎に前記雄スプライン部38の径方向の剛性が異なることが無く均一の製品を得ることができる。
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図9を参照しつつ説明する。本例の場合、中間シャフトを構成するインナシャフト9bに形成したスリット35aの奥端部に、拡張部に相当する拡張凹部69が形成されている。具体的には、この拡張凹部69は、このスリット35aの厚さ方向に関する寸法L69が、このスリット35aの厚さ寸法L35aよりも大きい(L69>L35a)。又、前記拡張凹部69は、このスリット35aの奥端部の幅方向(図9の表裏方向)の全長に亘り形成されている。この様にして、前記インナシャフト9bのうちの前記拡張凹部69が形成された部分の剛性を低くしている。
更に、前記拡張凹部69と前記板ばね60aの第二係合部63aとを係合させている為、この板ばね60aの軸方向一方への変位を、より強力に規制できる。この他の部分の構造、及び、作用・効果は前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明の実施の形態の第3例〜第8例に就いて、図10を参照しつつ説明する。
先ず、図10(a)は、本発明の実施の形態の第3例を示す図である。本例の場合、スリット35bの、インナシャフト9cの中心軸に直交する仮想平面に関する断面形状を三俣状としている。即ち、前記スリット35bにより、前記インナシャフト9cの軸方向一端部から軸方向中間部にかけての部分を、円周方向に3分割している。又、本例の場合、前記スリット35bの径方向外端部を、それぞれ前記インナシャフト9cに形成された雄スプライン部38を構成する凹部36、36にのみ開口させている。この様な本例の場合、前記スリット35bの幅方向両端部を、凸部37の円周方向側面(トルクを伝達する面)に開口させていない。その他の部分の構造、及び、作用・効果は前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
又、本発明を実施する場合に、雄軸に形成するスリットの形状は、前述した実施の形態の1例の構造に限定されない。前記雄軸の軸方向一端部を、円周方向に3分割以上する様なスリットの構造とする事もできる。
本発明を実施する場合に、弾性部材の材質は、金属に限らず、ゴム等のエラストマー、合成樹脂等を採用できる。又、弾性部材は、前述した実施の形態の各例の様に、板ばね状に加工されたものだけでなく、例えば、前記スリットの形状に見合う形状(スリット内に配置された状態でこのスリットを満たす形状)を有する様な弾性部材を採用する事もできる。
又、本発明を実施する場合に、拡張部は、前述した実施の形態の第2例の拡張凹部69の様な凹部に限定されるものではない。例えば、スリットの厚さが、雄軸の軸方向一端から軸方向他端に向かうに従って、段階的に、或いは、連続的に(傾斜して)拡張する様な構造も含む。
2 ステアリングシャフト
3a、3b、3c、3d 自在継手
4、4a 中間シャフト
5 ステアリングギヤユニット
6 入力軸
7 タイロッド
8 雄スプライン部
9、9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h インナシャフト
10、10a アウタチューブ
11 第一のヨーク
12 雌スプライン部
13 第二のヨーク
14 十字軸
15 ヨーク
16 十字軸
17 ヨーク
18 小径筒部
19 連続部
20 大径筒部
21 ヨーク部
22 雌スプライン部
23 腕部
24 円孔
25 軸受カップ
26 ニードル
27 十字軸
28 軸部
29 ヨーク
30 腕部
31 スプライン形成部
32 連続部
33 小径軸部
34 ヨーク部
35、35a、35b、35c、35d、35e、35f、35g スリット
36 凹部
37、37a 凸部
38、38a 雄スプライン部
39 凹部
40 凸部
41 不完全スプライン部
42 大径部
43 小径部
44 段部
45 基準孔
46 外向鍔部
47 雄セレーション
48 十字軸
49 ヨーク
50 基部
51 腕部
52 中心孔
53 雌セレーション
54 円孔
55 軸受カップ
56 ニードル
57 軸部
58 腕部
59 コーティング層
60、60a板ばね
61 バネ本体
62 第一係合部
63、63a 第二係合部
64 第一弾性部
65 第二弾性部
66 板ばね
67 板ばね
68 板ばね
69 凹部
70a、70b 平坦面
Claims (1)
- 軸方向一端部の外周面に雄スプライン部が形成された雄軸と、
前記雄スプライン部の外周面を覆う状態で設けられたコーティング層と、
内周面に雌スプライン部が形成された雌軸とを備えており、
前記雄スプライン部と前記雌スプライン部とを、前記コーティング層を介してスプライン係合させる事により、前記雄軸と前記雌軸とがトルク伝達可能、且つ、全長を伸縮可能な状態に組み合わされている伸縮自在シャフトの製造方法であって、
前記雄軸は、該雄軸の軸方向一端部の外周面、及び、前記雄軸の軸方向一端面に開口したスリットを有しており、
このスリットの内側に、弾性部材が設けられており、
前記スリットは冷却しながら前記コーティング層で覆われた前記雄軸に加工される、
伸縮自在シャフトの製造方法。
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