JP2017161541A - 表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金板の検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、缶ボディ用に用いるアルミニウム合金板を光学的に検査する場合の検査機の誤検出を防止することができる技術の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、質量%でSi:0.40%以下、Fe:0.30%以上0.60%以下、Cu:0.15以上0.50%以下、Mn:0.90以上1.20%以下、Mg:1.00以上1.70以下、Cr:0.05%以下、Zn:0.30%以下、Ti:0.15%以下を含有し、残部不可避不純物とアルミニウムの組成を有する缶ボディ用アルミニウム合金板の表面性状を検査する方法であって、分光測色計を用いて測定される表面の明度L*が72.5以上で、色差値ΔE*が0〜1.5の範囲のアルミニウム合金板を良品と判定することを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は色差などの表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金板の検査方法に関する。
アルミニウム缶の缶ボディには、JIS3004(AA3004)またはJIS3104合金などの、Al−Mn−Mg系合金硬質板が用いられている。同合金硬質板には、容器として使用するために必要な強度や耐食性、美麗な外観、優れた成形性などが要求される。
前記合金硬質板は、一般的なアルミニウム合金板と同様、溶解・鋳造・均質化処理・均熱処理・熱間圧延・冷間圧延・中間焼鈍等の工程を経て製造される。そして通常、缶ボディ各部の強度や成形性のバランスが最適な状態に調質されている。即ち、アルミニウム合金板を圧延途中に一旦再結晶させ、軟質状態とした後、圧下率50〜90%程度の冷間圧延を行い、主として加工硬化により適度な強度としている。
前記合金硬質板は、一般的なアルミニウム合金板と同様、溶解・鋳造・均質化処理・均熱処理・熱間圧延・冷間圧延・中間焼鈍等の工程を経て製造される。そして通常、缶ボディ各部の強度や成形性のバランスが最適な状態に調質されている。即ち、アルミニウム合金板を圧延途中に一旦再結晶させ、軟質状態とした後、圧下率50〜90%程度の冷間圧延を行い、主として加工硬化により適度な強度としている。
また、蓋(エンド)と胴(ボディ)からなる2ピース缶であるならば、アルミニウム缶のボディは、缶ボディ用アルミニウム合金板からブランク材を打ち抜いて大径のカップを成形する工程と、絞り(DRAWING)としごき(IRONING)を組み合わせたDI成形工程によりDI缶が形成される。そして、このDI缶開口部のトリミング工程と、潤滑剤およびクーラントを除去する洗浄工程と、外面の塗装・印刷工程及び焼付け工程と、内部コーティングおよび焼付け工程がなされ、DI缶開口部のネッキングおよびフランジング工程がなされて缶ボディが形成される。
アルミニウム缶のボディには塗装や印刷が施され、あるいは樹脂被覆がなされるので、塗装や印刷の鮮明さの問題、樹脂被覆の接着性などの課題を解決する目的で、従来、アルミニウム合金板の表面粗さを規定し、表面に被覆する樹脂の吸光度比を規定し、アルミニウム合金板の表面の反射率や色味を規定する技術が知られている(特許文献1参照)。
この技術においては、アルミニウム合金板の表面粗さを0.5μm以下に規定し、被覆樹脂における異なる特定波長における赤外線スペクトル吸光度比を0.9以下に設定し、アルミニウム合金板の外表面の明度L*値を60以上、L*a*b*表色系色度で示すc*=(a*2+b*2)1/2で定義される彩度C*を5よりも小さくすることで問題を解決している。
また、アルミニウム合金板から缶ボディを製造した後、照明を当ててCCDカメラで撮影した画像からの画像処理を行う検査工程において、誤検査を防止する目的で板面の反射率を制御する技術が知られている(特許文献2参照)。
この技術においては、Mn、Mg、Cu、Si、Fe、Znの含有量を規定したアルミニウム合金からなるアルミニウム合金板に対し、圧延方向に対し90゜方向の粗さ曲線の平均長さRSmを50〜150μmとし、圧延方向0゜の正反射率35〜50%、90゜方向の正反射率10〜25%、これら異なる方向の正反射率の比を3.2以下とすることで検査時の誤検査を防止している。
この技術においては、アルミニウム合金板の表面粗さを0.5μm以下に規定し、被覆樹脂における異なる特定波長における赤外線スペクトル吸光度比を0.9以下に設定し、アルミニウム合金板の外表面の明度L*値を60以上、L*a*b*表色系色度で示すc*=(a*2+b*2)1/2で定義される彩度C*を5よりも小さくすることで問題を解決している。
また、アルミニウム合金板から缶ボディを製造した後、照明を当ててCCDカメラで撮影した画像からの画像処理を行う検査工程において、誤検査を防止する目的で板面の反射率を制御する技術が知られている(特許文献2参照)。
この技術においては、Mn、Mg、Cu、Si、Fe、Znの含有量を規定したアルミニウム合金からなるアルミニウム合金板に対し、圧延方向に対し90゜方向の粗さ曲線の平均長さRSmを50〜150μmとし、圧延方向0゜の正反射率35〜50%、90゜方向の正反射率10〜25%、これら異なる方向の正反射率の比を3.2以下とすることで検査時の誤検査を防止している。
前述のアルミニウム合金板から種々の工程を経て製造された缶ボディは、検査工程においてその表面が光学的に検査されている。例えば、缶口側からフランジ部、缶内面、缶底を照明装置で照らし、CCDカメラ等の光学機器により撮影し、画像処理により汚れや異物付着、割れ、表面性状等の検査がなされている。また缶を成形する途中の各工程において検査機を導入して画像処理により合金板の表面を検査することもある。
アルミニウム缶のボディを撮影して異物等の検査を行うには、微小な異物や汚れなどの検査精度を上げるため、検査機の解像度の向上もなされているが、特に光沢を有する金属板表面の検査では異物や汚れなどが存在しないにも関わらず、検査機が誤検出して不良と判断、排出することがあった。
この誤検出の原因を調査したところ、アルミニウム合金板のような表面光沢の大きな金属板の検査では、照明光の反射の状態で部分的に輝度差や色差が大きくなり、異物や汚れ等の欠陥を生じていなくても、画像処理時の誤検出により欠陥品と判断してしまうことが判明した。このため本発明者は、光学的な検査機が上述の誤検出を生じないような表面状態のアルミニウム合金板の研究に鑑み、本願発明に到達した。
この誤検出の原因を調査したところ、アルミニウム合金板のような表面光沢の大きな金属板の検査では、照明光の反射の状態で部分的に輝度差や色差が大きくなり、異物や汚れ等の欠陥を生じていなくても、画像処理時の誤検出により欠陥品と判断してしまうことが判明した。このため本発明者は、光学的な検査機が上述の誤検出を生じないような表面状態のアルミニウム合金板の研究に鑑み、本願発明に到達した。
本発明は、加工後の缶ボディを光学的に検査する場合の検査機の誤検出を防止するための、缶ボディ用であるアルミニウム合金板の検査方法を提供することができる技術の提供を目的とする。
本発明の表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金板の検査方法は、質量%でSi:0.40%以下、Fe:0.30%以上0.60%以下、Cu:0.15以上0.50%以下、Mn:0.90以上1.20%以下、Mg:1.00以上1.70以下、Cr:0.05%以下、Zn:0.30%以下、Ti:0.15%以下を含有し、残部不可避不純物とアルミニウムの組成を有する缶ボディ用アルミニウム合金板の表面性状を検査する方法であって、前記アルミニウム合金板として、前記組成のアルミニウム合金溶湯から鋳塊を得た後、熱間圧延と冷間圧延と中間焼鈍により作製され、分光測色計を用いて測定される表面の明度L*が72.5以上で、色差値ΔE*が0〜1.5の範囲のアルミニウム合金板を良品と判定することを特徴とする。
本発明の表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金板の検査方法は、前記アルミニウム合金板として、熱間圧延の仕上板厚が2.0〜3.6mmの範囲、前記冷間圧延の仕上板厚が0.2〜0.27mmの範囲、熱間圧延後の総冷間圧延率が86.5〜94.4%の範囲とされたアルミニウム合金板を検査に用いることを特徴とする。
本発明の表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金材の検査方法は、前記アルミニウム合金板として、分光測色計を用いて測定される表面の明度L*が73.1〜74.36で、色差値ΔE*が0〜0.92の範囲のアルミニウム合金板を良品と判定することを特徴とする。
本発明によれば、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、Tiをそれぞれ特定量含有し、表面の明度L*が72.5以上で、コイル間の色差値ΔE*を0〜1.5の範囲とした缶ボディ用アルミニウム合金材を検査にて良品と判定し、缶ボディ加工に用いるので、検査工程において照明をあてて光学的に検査した場合、検査工程で欠陥の無い良品を誤検出することがなくなり、検査精度が向上する効果がある。
以下、本発明に係る表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板の検査方法について説明するが、初めに、缶ボディ用アルミニウム合金板の板厚と合金組成、表面特性について説明する。
本実施形態で用いる缶ボディ用アルミニウム合金板は目標とする板厚が0.20mm以上0.27mm以下であり、質量%で、Si:0.40%以下、Fe:0.30%以上0.60%以下、Cu:0.15以上0.50%以下、Mn:0.90以上1.20%以下、Mg:1.00以上1.70%以下、Cr:0.05%以下、Zn:0.30%以下、Ti:0.15%以下を含有し、残部不可避不純物とアルミニウムの組成を有するアルミニウム合金からなる。
また、本実施形態で用いる缶ボディ用アルミニウム合金板は、前記組成範囲のアルミニウム合金からなる鋳塊を、熱間圧延工程により仕上板厚2.0〜3.6mmのアルミニウム合金熱間圧延板を得、次いで冷間圧延工程により仕上板厚0.20〜0.27mmとし、熱間圧延後の総冷間圧延率を86.5〜94.4%の範囲として製造される。また、冷間圧延後に得られた本実施形態において良品と判定する缶ボディ用アルミニウム合金板は、分光測色計を用いて測定した表面の明度L*が72.5以上で、コイル間の色差値ΔE*が0〜1.5(0以上1.5以下)の範囲である。
本実施形態で用いる缶ボディ用アルミニウム合金板は目標とする板厚が0.20mm以上0.27mm以下であり、質量%で、Si:0.40%以下、Fe:0.30%以上0.60%以下、Cu:0.15以上0.50%以下、Mn:0.90以上1.20%以下、Mg:1.00以上1.70%以下、Cr:0.05%以下、Zn:0.30%以下、Ti:0.15%以下を含有し、残部不可避不純物とアルミニウムの組成を有するアルミニウム合金からなる。
また、本実施形態で用いる缶ボディ用アルミニウム合金板は、前記組成範囲のアルミニウム合金からなる鋳塊を、熱間圧延工程により仕上板厚2.0〜3.6mmのアルミニウム合金熱間圧延板を得、次いで冷間圧延工程により仕上板厚0.20〜0.27mmとし、熱間圧延後の総冷間圧延率を86.5〜94.4%の範囲として製造される。また、冷間圧延後に得られた本実施形態において良品と判定する缶ボディ用アルミニウム合金板は、分光測色計を用いて測定した表面の明度L*が72.5以上で、コイル間の色差値ΔE*が0〜1.5(0以上1.5以下)の範囲である。
[成分組成]
以下、本実施形態で用いる表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において限定する成分組成について説明する。なお、本明細書において記載する各元素の含有量は、特に規定しない限り質量%であり、また、特に規定しない限り範囲の記載は上限と下限を含むものとする。従って、例えば0.35〜0.55%との表記は0.35%以上0.55%以下を意味する。
以下、本実施形態で用いる表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において限定する成分組成について説明する。なお、本明細書において記載する各元素の含有量は、特に規定しない限り質量%であり、また、特に規定しない限り範囲の記載は上限と下限を含むものとする。従って、例えば0.35〜0.55%との表記は0.35%以上0.55%以下を意味する。
「Si」0.40%以下
Siは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、同時に含有されるMg等とともに化合物を形成し、析出硬化及び分散硬化作用で強度を向上させる他、Al−Mn−Fe系金属間化合物に含有されて、しごき成形時にダイスに対する焼き付きを防止する効果を有する。
Siの含有量が0.40%を越えると、強度が高くなりすぎ、缶ボディとして製缶した際に胴切れが生じ易くなり、加工性が劣化する。
また、Siの含有量が0.40%を越えると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が多くなり、さらに、Mg、Cu、Alとの金属間化合物が溶体化できなくなり、靭性が低下し、ピンホールが生じやすくなる。従って、Siの含有量は、0.40%以下の範囲内とすることが好ましいが、少なすぎると十分な強度が得られ難くなるので、0.2%〜0.40%の範囲がより好ましい。
Siは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、同時に含有されるMg等とともに化合物を形成し、析出硬化及び分散硬化作用で強度を向上させる他、Al−Mn−Fe系金属間化合物に含有されて、しごき成形時にダイスに対する焼き付きを防止する効果を有する。
Siの含有量が0.40%を越えると、強度が高くなりすぎ、缶ボディとして製缶した際に胴切れが生じ易くなり、加工性が劣化する。
また、Siの含有量が0.40%を越えると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が多くなり、さらに、Mg、Cu、Alとの金属間化合物が溶体化できなくなり、靭性が低下し、ピンホールが生じやすくなる。従って、Siの含有量は、0.40%以下の範囲内とすることが好ましいが、少なすぎると十分な強度が得られ難くなるので、0.2%〜0.40%の範囲がより好ましい。
「Fe」0.30〜0.60%
Feは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量を増加させ、結晶の微細化と、しごき成形加工時にダイスに対して焼き付きが生じるのを防止する効果を有する。
Feの含有量が0.30%未満であると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が少なくなりすぎ、しごき金型への焼き付が生じやすくなる。Feの含有量が0.60%を超えると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が多くなりすぎ、靭性低下によって加工性が劣化し、ピンホールが生じやすくなる。従って、Feの含有量は、0.30〜0.60%の範囲内とすることが好ましい。
Feは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量を増加させ、結晶の微細化と、しごき成形加工時にダイスに対して焼き付きが生じるのを防止する効果を有する。
Feの含有量が0.30%未満であると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が少なくなりすぎ、しごき金型への焼き付が生じやすくなる。Feの含有量が0.60%を超えると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が多くなりすぎ、靭性低下によって加工性が劣化し、ピンホールが生じやすくなる。従って、Feの含有量は、0.30〜0.60%の範囲内とすることが好ましい。
「Cu」0.15〜0.50%
Cuは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、Mg等と金属間化合物を形成し、固溶硬化、析出硬化及び分散硬化作用で強度を高める効果を有する。
Cuの含有量が0.15%未満であると、充分な強度向上効果が得られない。Cuの含有量が0.50%を越えると、サイドクラックが発生し易くなり、圧延性が低下するとともに、強度が高くなりすぎ、缶ボディとして製缶した際に胴切れが生じ易くなる。また、Mg、Si、Alとの金属間化合物が溶体化できなくなり、靭性低下によって加工性が劣化し、ピンホールが生じやすくなる。従って、Cuの含有量は、0.15〜0.50%の範囲内とすることが好ましい。
Cuは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、Mg等と金属間化合物を形成し、固溶硬化、析出硬化及び分散硬化作用で強度を高める効果を有する。
Cuの含有量が0.15%未満であると、充分な強度向上効果が得られない。Cuの含有量が0.50%を越えると、サイドクラックが発生し易くなり、圧延性が低下するとともに、強度が高くなりすぎ、缶ボディとして製缶した際に胴切れが生じ易くなる。また、Mg、Si、Alとの金属間化合物が溶体化できなくなり、靭性低下によって加工性が劣化し、ピンホールが生じやすくなる。従って、Cuの含有量は、0.15〜0.50%の範囲内とすることが好ましい。
「Mn」0.90〜1.20%
Mnは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、Al−Mn−Fe系金属間化合物を形成し、晶出相及び分散相となって分散硬化作用を発揮するとともに、しごき成形加工時にダイスに対して焼き付きが生じるのを防止する効果を有する。
Mnの含有量が0.90%未満であると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が少なくなりすぎて充分な硬化特性が得られず、しごき金型への焼き付が生じやすくなる。Mnの含有量が1.20%を越えると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が多くなりすぎ、靭性低下によって加工性が劣化し、ピンホールが生じやすくなる。従って、Mnの含有量は、0.90〜1.20%の範囲内とすることが好ましい。
Mnは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、Al−Mn−Fe系金属間化合物を形成し、晶出相及び分散相となって分散硬化作用を発揮するとともに、しごき成形加工時にダイスに対して焼き付きが生じるのを防止する効果を有する。
Mnの含有量が0.90%未満であると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が少なくなりすぎて充分な硬化特性が得られず、しごき金型への焼き付が生じやすくなる。Mnの含有量が1.20%を越えると、Al−Mn−Fe系金属間化合物の量が多くなりすぎ、靭性低下によって加工性が劣化し、ピンホールが生じやすくなる。従って、Mnの含有量は、0.90〜1.20%の範囲内とすることが好ましい。
「Mg」1.00〜1.70%
Mgは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、固溶体強化作用を有し、圧延加工時に加工硬化性を高めるとともに、SiやCuと共存することで分散硬化と析出硬化作用を発揮し、強度を向上させる。
Mgの含有量が1.00%未満であると、十分な強度が得られない。Mgの含有量が1.70%を超えると、サイドクラックが発生し易くなり、圧延性が低下するとともに、強度が高くなり過ぎて加工性が低下し、缶ボディとして製缶した際に胴切れやフランジ部の割れが生じ易くなる。従って、Mgの含有量は、1.00〜1.70%の範囲内とすることが好ましい。
Mgは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、固溶体強化作用を有し、圧延加工時に加工硬化性を高めるとともに、SiやCuと共存することで分散硬化と析出硬化作用を発揮し、強度を向上させる。
Mgの含有量が1.00%未満であると、十分な強度が得られない。Mgの含有量が1.70%を超えると、サイドクラックが発生し易くなり、圧延性が低下するとともに、強度が高くなり過ぎて加工性が低下し、缶ボディとして製缶した際に胴切れやフランジ部の割れが生じ易くなる。従って、Mgの含有量は、1.00〜1.70%の範囲内とすることが好ましい。
「Cr」0.05%以下
Crは、析出物の微細化と、しごき成形加工時にダイスに対する焼き付きを防止する効果を発揮する。Cr含有量が0.05%を超えると脆くなり、加工性が劣化する傾向となるので、Cr含有量は0.05%以下であることが好ましい。なお、上述の効果を得るためには、Crを0.001%以上含有することが好ましい。
「Zn及びTi」Zn:0.30%以下、Ti:0.15%以下
本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板は、質量%でZn:0.30%以下、Ti:0.15%以下を含有する成分組成とすることができる。
Znは、析出するMg、Si、Cuの金属間化合物を微細化する作用を有するが、Znを含む場合は、原料として使用済みアルミ缶(UBC)やリサイクル材料を有効利用できる。Zn含有量が0.30%を越えると、耐食性が劣化する傾向がある。
Tiは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、結晶粒を微細化し、加工性を改善する効果を有する。Tiの含有量が0.15%を越えると、金属間化合物が多くなり過ぎて靭性が低下し、ピンホールが生じやすくなる。従って、Tiの含有量は、0.15%以下とすることが好ましい。
また、本実施形態に用いるアルミニウム合金板においてその他の元素を不純物として0.05%以下含有していても差し支えない。
Crは、析出物の微細化と、しごき成形加工時にダイスに対する焼き付きを防止する効果を発揮する。Cr含有量が0.05%を超えると脆くなり、加工性が劣化する傾向となるので、Cr含有量は0.05%以下であることが好ましい。なお、上述の効果を得るためには、Crを0.001%以上含有することが好ましい。
「Zn及びTi」Zn:0.30%以下、Ti:0.15%以下
本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板は、質量%でZn:0.30%以下、Ti:0.15%以下を含有する成分組成とすることができる。
Znは、析出するMg、Si、Cuの金属間化合物を微細化する作用を有するが、Znを含む場合は、原料として使用済みアルミ缶(UBC)やリサイクル材料を有効利用できる。Zn含有量が0.30%を越えると、耐食性が劣化する傾向がある。
Tiは、本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板において、結晶粒を微細化し、加工性を改善する効果を有する。Tiの含有量が0.15%を越えると、金属間化合物が多くなり過ぎて靭性が低下し、ピンホールが生じやすくなる。従って、Tiの含有量は、0.15%以下とすることが好ましい。
また、本実施形態に用いるアルミニウム合金板においてその他の元素を不純物として0.05%以下含有していても差し支えない。
「アルミニウム合金板の製造方法」
本発明に係る缶ボディ用アルミニウム合金板は、この種のアルミニウム合金を製造する場合に適用される通常の溶解、鋳造、均質化処理、均熱処理、熱間圧延、冷間圧延を経て製造される。また冷間圧延のパス間に、300℃以上500℃以下の温度に1時間以上加熱する箱型焼鈍炉による焼鈍、または400℃以上、600℃以下の温度に1秒以上加熱する連続焼鈍炉による焼鈍を行うことが好ましい。またこの焼鈍は2回以上に分けて行ってもよい。
本発明に係る缶ボディ用アルミニウム合金板は、この種のアルミニウム合金を製造する場合に適用される通常の溶解、鋳造、均質化処理、均熱処理、熱間圧延、冷間圧延を経て製造される。また冷間圧延のパス間に、300℃以上500℃以下の温度に1時間以上加熱する箱型焼鈍炉による焼鈍、または400℃以上、600℃以下の温度に1秒以上加熱する連続焼鈍炉による焼鈍を行うことが好ましい。またこの焼鈍は2回以上に分けて行ってもよい。
「熱間圧延」
熱間圧延は、溶解、鋳造、均質化処理、均熱処理後、炉から取出したスラブを投入して熱間圧延を開始するが、圧延材が厚い間は、通常圧延機の前後に搬送テーブルが設置された1スタンドの可逆式熱間粗圧延機を用いて圧延を行い、圧延材の厚さがある程度薄くなると熱間仕上圧延機にて圧延を行う。なお熱間仕上圧延機は圧延機の前後に巻取り装置が設置された可逆式のシングルタイプと、3〜4組の圧延ロールを直列に並べた非可逆式のタンデムタイプがある。そして熱間仕上圧延後の板厚は2.0mm以上3.6mm以下であることが必要である。板厚が薄すぎる場合、板厚が大き過ぎる場合は、後述する冷間圧延において目的とする総冷間圧延率によって目的の最終板厚を実現できないという問題が生じる。
また熱間圧延板厚3.6mmを超える場合、熱間圧延最終パス後に巻き取った直後のコイル温度が高くなり熱間圧延直後および続く冷却過程において板表面の酸化が著しくなる。この酸化皮膜は熱間圧延に続く冷間圧延によって分断されていくが、熱間圧延板厚3.6mmを超える場合は最終的な板の表面を分光測色計を用いて測定した場合の明度L*値が72.5未満となる。この場合、後の検査工程において照明光をあてて工学的な検査を行った場合に暗く検出されて誤検出が増加する傾向があり、本願の目的を達成することが困難になる。
熱間圧延は、溶解、鋳造、均質化処理、均熱処理後、炉から取出したスラブを投入して熱間圧延を開始するが、圧延材が厚い間は、通常圧延機の前後に搬送テーブルが設置された1スタンドの可逆式熱間粗圧延機を用いて圧延を行い、圧延材の厚さがある程度薄くなると熱間仕上圧延機にて圧延を行う。なお熱間仕上圧延機は圧延機の前後に巻取り装置が設置された可逆式のシングルタイプと、3〜4組の圧延ロールを直列に並べた非可逆式のタンデムタイプがある。そして熱間仕上圧延後の板厚は2.0mm以上3.6mm以下であることが必要である。板厚が薄すぎる場合、板厚が大き過ぎる場合は、後述する冷間圧延において目的とする総冷間圧延率によって目的の最終板厚を実現できないという問題が生じる。
また熱間圧延板厚3.6mmを超える場合、熱間圧延最終パス後に巻き取った直後のコイル温度が高くなり熱間圧延直後および続く冷却過程において板表面の酸化が著しくなる。この酸化皮膜は熱間圧延に続く冷間圧延によって分断されていくが、熱間圧延板厚3.6mmを超える場合は最終的な板の表面を分光測色計を用いて測定した場合の明度L*値が72.5未満となる。この場合、後の検査工程において照明光をあてて工学的な検査を行った場合に暗く検出されて誤検出が増加する傾向があり、本願の目的を達成することが困難になる。
「冷間圧延」
熱間圧後冷却した後、圧下率86.5%以上94.4%以下の総冷間圧延率で冷間圧延を施す。本発明者の検討結果では、最終冷間圧延後の板厚を0.20mm以上0.27mm以下を得る場合、上述の熱間仕上圧延による板厚を2.0以上3.6mm以下の範囲とすることで、総冷間圧延率86.5%以上94.4%以下を得ることができる。この総冷間圧延率を86.5%以上94.4%以下の範囲とすることにより熱間圧延直後および続く冷却過程において表面に形成された酸化膜が分断される程度を一定の範囲内に収めることができる。このため最終的なアルミニウム合金板の表面を分光測色計を用いて測定した場合のコイル間の色差の値ΔE*を0〜1.5(0以上1.5以下)の範囲とすることが可能となる。アルミニウム合金板の冷間圧延の総冷間圧延率86.5%未満、94、4%超過の場合はコイル間の色差値ΔE*が0〜1.5(0以上1.5以下)の範囲よりも大きくなり、後の検査工程において照明光をあてて光学的な検査を行った場合の誤検出が増加する傾向があり、本願の目的を達成することが困難になる。
また総冷間圧延率86.5%未満の場合はL*値が72.5未満となり、同様に本題の目的を達成することが困難になる。
熱間圧後冷却した後、圧下率86.5%以上94.4%以下の総冷間圧延率で冷間圧延を施す。本発明者の検討結果では、最終冷間圧延後の板厚を0.20mm以上0.27mm以下を得る場合、上述の熱間仕上圧延による板厚を2.0以上3.6mm以下の範囲とすることで、総冷間圧延率86.5%以上94.4%以下を得ることができる。この総冷間圧延率を86.5%以上94.4%以下の範囲とすることにより熱間圧延直後および続く冷却過程において表面に形成された酸化膜が分断される程度を一定の範囲内に収めることができる。このため最終的なアルミニウム合金板の表面を分光測色計を用いて測定した場合のコイル間の色差の値ΔE*を0〜1.5(0以上1.5以下)の範囲とすることが可能となる。アルミニウム合金板の冷間圧延の総冷間圧延率86.5%未満、94、4%超過の場合はコイル間の色差値ΔE*が0〜1.5(0以上1.5以下)の範囲よりも大きくなり、後の検査工程において照明光をあてて光学的な検査を行った場合の誤検出が増加する傾向があり、本願の目的を達成することが困難になる。
また総冷間圧延率86.5%未満の場合はL*値が72.5未満となり、同様に本題の目的を達成することが困難になる。
「缶ボディ用アルミニウム合金板の板厚」
本実施形態により最終的に得られる表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板の板厚は、0.200mm以上0.270mm以下の範囲である。
板厚が0.200mm未満であると、製缶して缶ボディとした際の十分な耐圧強度が得られ難くなる。また、板厚が0.270mmを超えるようであると、缶ボディの底部の重量が重くなり、製造コストが上昇して経済的でなくなる。
本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板の板厚は、0.230mm以上0.270mm以下の範囲が更に好ましい。
本実施形態により最終的に得られる表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板の板厚は、0.200mm以上0.270mm以下の範囲である。
板厚が0.200mm未満であると、製缶して缶ボディとした際の十分な耐圧強度が得られ難くなる。また、板厚が0.270mmを超えるようであると、缶ボディの底部の重量が重くなり、製造コストが上昇して経済的でなくなる。
本実施形態の表面特性に優れる缶ボディ用アルミニウム合金板の板厚は、0.230mm以上0.270mm以下の範囲が更に好ましい。
以上説明した熱間圧延工程と冷間圧延工程に従い、前述の組成比のアルミニウム合金からなるアルミニウム合金板を製造することにより、分光測色計を用いて測定した表面の明度L*が72.5以上で、コイル間の色差値ΔE*が0〜1.5(0以上1.5以下)の範囲のアルミニウム合金板を得ることができる。
このように表面の明度L*が72.5以上でコイル間の色差値ΔE*が0〜1.5のアルミニウム合金板であるならば、明度が十分にありかつ色差が十分に小さいので、アルミニウム合金板の表面に照明光をあてて画像読み取りにより欠陥を検出する検査工程において検査機が誤検出を出すおそれが少なく、検査精度を向上できる。即ち、アルミニウム合金板表面の明度があり誤って表面の汚れや凹凸不良などと判別して誤検出してしまうことがなく、また、色差が小さいので、アルミニウム合金板の表面からの反射光に色差に起因する色ムラや不均一性に伴う色変化が少なく、反射光を画像解析した場合、傷や凹凸などの欠陥のない良品のアルミニウム合金板を不良品と判別してしまう誤検出が少なくなる。
このように表面の明度L*が72.5以上でコイル間の色差値ΔE*が0〜1.5のアルミニウム合金板であるならば、明度が十分にありかつ色差が十分に小さいので、アルミニウム合金板の表面に照明光をあてて画像読み取りにより欠陥を検出する検査工程において検査機が誤検出を出すおそれが少なく、検査精度を向上できる。即ち、アルミニウム合金板表面の明度があり誤って表面の汚れや凹凸不良などと判別して誤検出してしまうことがなく、また、色差が小さいので、アルミニウム合金板の表面からの反射光に色差に起因する色ムラや不均一性に伴う色変化が少なく、反射光を画像解析した場合、傷や凹凸などの欠陥のない良品のアルミニウム合金板を不良品と判別してしまう誤検出が少なくなる。
また、得られたアルミニウム合金板については、缶ボディに加工後、通常、塗装焼付けを行うので、200〜220℃で加熱処理した後の耐力として、230〜320N/mm2程度の耐力を有することが望ましい。
以下、実施例を示して、本発明に係る表面性状が良好な高強度缶ボディ用板材の製造方法について更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは無い。
Al−0.31%Si−0.44%Fe−0.39%Cu−0.99%Mn−1.35%Mg−0.02%Cr−0.14%Zn−0.04%Tiなる組成のアルミニウム合金を溶解し、脱ガスおよび溶湯ろ過後、半連続鋳造により厚さ600mm、幅1500mm、長さ4.5mのスラブに鋳造した。
次いで、スラブに565℃で均質化処理を施した後、熱間圧延により板厚3.20または3.19mmまで圧延し、その後、板厚0.70mmまで冷間圧延を行った。そして480℃〜590℃の温度範囲に1s〜60s加熱する連続焼鈍(IA−CAL)を施し、さらに0.252mmの最終板厚まで冷間圧延して表1の実施例1〜11の試料を得た。
熱間圧延仕上板厚と熱間圧延後の総冷間圧延率(%)、製缶後の洗浄・エッチング処理と同条件の前処理の実施有無、そして缶表面検査機での異常排出有無を測定し、以下の表1に記載し、得られたアルミニウム合金板の色彩特性結果を表2に記載する。なお、明度L*および色差値ΔE*について表1に併記する。
Al−0.31%Si−0.44%Fe−0.39%Cu−0.99%Mn−1.35%Mg−0.02%Cr−0.14%Zn−0.04%Tiなる組成のアルミニウム合金を溶解し、脱ガスおよび溶湯ろ過後、半連続鋳造により厚さ600mm、幅1500mm、長さ4.5mのスラブに鋳造した。
次いで、スラブに565℃で均質化処理を施した後、熱間圧延により板厚3.20または3.19mmまで圧延し、その後、板厚0.70mmまで冷間圧延を行った。そして480℃〜590℃の温度範囲に1s〜60s加熱する連続焼鈍(IA−CAL)を施し、さらに0.252mmの最終板厚まで冷間圧延して表1の実施例1〜11の試料を得た。
熱間圧延仕上板厚と熱間圧延後の総冷間圧延率(%)、製缶後の洗浄・エッチング処理と同条件の前処理の実施有無、そして缶表面検査機での異常排出有無を測定し、以下の表1に記載し、得られたアルミニウム合金板の色彩特性結果を表2に記載する。なお、明度L*および色差値ΔE*について表1に併記する。
色差値ΔE*は、ミノルタ株式会社製、分光測色計 CM−508dを用いて測定した。測定条件において第一光源:D65、視野10゜として測定している。なお、L*a*b*表色系はJIS Z 8729で規定されている表示方法であり、JIS Z 8730の色差表示方法に基づいている。色差値ΔE*は、米国標準局で定めるNBS単位として知られており、0〜0.5、0.5〜1.5、1.5〜3.0、3.0〜6.0、6.0〜12、12以上などのようにランク分けされている指標である。
色差値(ΔE*)はNBS単位(米国標準局)で以下の表3に示す通りランク分けされている。
色差値(ΔE*)はNBS単位(米国標準局)で以下の表3に示す通りランク分けされている。
表1、表2において前処理あり(化成処理)とは、洗浄で取りきれないものを除去し、製缶後の塗膜密着性を向上するためにリン酸ジルコニウム系の処理液にて化成処理した試料を示す。表1、表2の試料において化成処理を行う試料と行わない試料を併記したのは、化成処理によって表面の状態を変えたことが、表面のΔE*の値に影響を与えるか否か把握するためである。
「比較例」
比較例1〜3および5〜7はAl−0.29%Si−0.41%Fe−0.38%Cu−0.98%Mn−1.34%Mg−0.02%Cr−0.15%Zn−0.04%Tiなる組成のアルミニウム合金、比較例4はAl−0.29%Si−0.40%Fe−0.25%Cu−0.98%Mn−1.21%Mg−0.02%Cr−0.17%Zn−0.03%Tiなる組成のアルミニウム合金を溶解し、先の実施例と類似の構造工程を経てアルミニウム合金板を製造した。比較例1〜3および比較例5〜7の熱間圧延仕上板厚は5.43mm、熱間圧延後の総冷間圧延率は95.36%、比較例4の熱間圧延仕上板厚は2.60mm、熱間圧延後の総冷延率は84.62%である。
比較例1〜3および5〜7はAl−0.29%Si−0.41%Fe−0.38%Cu−0.98%Mn−1.34%Mg−0.02%Cr−0.15%Zn−0.04%Tiなる組成のアルミニウム合金、比較例4はAl−0.29%Si−0.40%Fe−0.25%Cu−0.98%Mn−1.21%Mg−0.02%Cr−0.17%Zn−0.03%Tiなる組成のアルミニウム合金を溶解し、先の実施例と類似の構造工程を経てアルミニウム合金板を製造した。比較例1〜3および比較例5〜7の熱間圧延仕上板厚は5.43mm、熱間圧延後の総冷間圧延率は95.36%、比較例4の熱間圧延仕上板厚は2.60mm、熱間圧延後の総冷延率は84.62%である。
表1に記載した缶表面検査機とは、例えば倉敷紡績株式会社製のLED照明と高精度CCDカメラを組み合わせて欠陥を高速度、高精度で検出するような専用検査システムであり、これにより缶表面の画像を解析し、欠陥を検出を行う。この際の異常排出とは、異物や汚れなどが存在しないにも関わらず、検査機が誤検出して集中発生的に缶を排出してしまうことを意味する。
表2に示すΔL*、Δa*、Δb*の値は、基準試料が示す各値を基準に算出した値である。
表2に示すΔL*、Δa*、Δb*の値は、基準試料が示す各値を基準に算出した値である。
表1、表2に示す結果から、熱間圧延仕上板厚が3.20または3.19mm、熱間圧延後の総冷間圧延率が92.13または92.10%である実施例1〜11の試料は、いずれの試料であっても明度L*は73.10〜74.36の範囲、色差ΔE*=0.10〜0.92の範囲となった。即ち、本発明で規定するL*72.5以上、ΔE*=0〜1.5の範囲に収まった。このため、缶表面検査機において異常排出は生じなかった。
これらに対し、熱間圧延仕上板厚が3.6mmを超えて熱間圧延後の総冷間圧延率が94.4%を超えている比較例1〜3および5〜7の試料、また、熱間圧延後の総冷間圧延率が86.5%を下回る比較例4の試料は、いずれもL*値が71.31〜72.45の範囲と72.5を下回り、ΔE*値が1.81〜2.61の範囲と1.5を超えており、欠陥の無いアルミニウム合金板を検査した場合であっても缶表面の検査機が誤検出して異常排出することが判明した。
また、化成処理を行って表面を清浄化した試料と、化成処理を施していない試料の比較では顕著な差異は認められなかった。従って、本実施例によるアルミニウム合金板によれば、表面を化成処理するか、しないかに関わらず、光学的検査機にて誤検査の生じ難い特徴を得ることができる。
また、化成処理を行って表面を清浄化した試料と、化成処理を施していない試料の比較では顕著な差異は認められなかった。従って、本実施例によるアルミニウム合金板によれば、表面を化成処理するか、しないかに関わらず、光学的検査機にて誤検査の生じ難い特徴を得ることができる。
Claims (3)
- 質量%でSi:0.40%以下、Fe:0.30%以上0.60%以下、Cu:0.15以上0.50%以下、Mn:0.90以上1.20%以下、Mg:1.00以上1.70以下、Cr:0.05%以下、Zn:0.30%以下、Ti:0.15%以下を含有し、残部不可避不純物とアルミニウムの組成を有する缶ボディ用アルミニウム合金板の表面性状を検査する方法であって、
前記アルミニウム合金板として、前記組成のアルミニウム合金溶湯から鋳塊を得た後、熱間圧延と冷間圧延と中間焼鈍により作製され、
分光測色計を用いて測定される表面の明度L*が72.5以上で、色差値ΔE*が0〜1.5の範囲のアルミニウム合金板を良品と判定することを特徴とする表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金板の検査方法。 - 前記アルミニウム合金板として、熱間圧延の仕上板厚が2.0〜3.6mmの範囲、前記冷間圧延の仕上板厚が0.2〜0.27mmの範囲、熱間圧延後の総冷間圧延率が86.5〜94.4%の範囲とされたアルミニウム合金板を検査に用いることを特徴とする請求項1に記載の表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金板の検査方法。
- 前記アルミニウム合金板として、分光測色計を用いて測定される表面の明度L*が73.1〜74.36で、色差値ΔE*が0〜0.92の範囲のアルミニウム合金板を良品と判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面特性に優れる飲料缶ボディ用アルミニウム合金板の検査方法。
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