JP2017161389A - 塗装膜解析装置及び塗装膜解析方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、塗装膜のミクロな観察評価は行われておらず、塗装の深み、緻密さ、均一的な美しさをミクロな領域で客観的に評価するものはない。
上記(2)の構成によれば、断層画像取得部は、塗装膜のうち、光を散乱させる散乱体が分散されたベース層を含む断層画像を取得するので、画像生成部は、所定領域の所定深さにおける塗装膜(ベース層)の面画像を生成する。そして、画像解析部は、画像生成部で生成された所定深さにおける塗装膜(ベース層)の面画像をテクスチャ解析手法で解析するので、散乱体の分散度合い等、ベース層をミクロな領域で客観的な解析をすることができる。
上記(3)の構成によれば、画像解析部は、深さ方向に複数位置の面画像のうち、深さ方向に所定位置の面画像をテクスチャ解析手法で解析するので、所定位置を適正に設定することにより、画像解析部は、最も差が現れる面画像をテクスチャ解析手法で解析することができる。
上記(4)の構成によれば、画像解析部は、平均輝度が閾値を超える開始画像から深さ方向に平均輝度が閾値となる終了画像までの複数の面画像の平均画像を解析するので、画像解析部は、塗装膜(ベース層)における散乱体の分散傾向等、ベース層をミクロな領域で客観的な解析をすることができる。
上記(5)の構成によれば、画像解析部は、面画像の画素レベルの標準偏差を用いて解析する。これにより、画像解析部は、画素レベルで平均輝度のばらつきを客観的に評価することができる。
上記(6)の構成によれば、画像解析部は、面画像の同時生起行列の二次統計量を用いて解析する。これにより、画像解析部は、画素値の輝度変化の確率でテクスチャを分類することができる。
上記(7)の構成によれば、画像解析部は、面画像の複雑さを数値化したフラクタル次元を用いて解析する。これにより、画像解析部は、局所領域の特徴を利用してテクスチャの複雑さを評価することができる。
上記(8)の構成によれば、画像解析部は、面画像のフーリエスペクトルを用いて解析する。これにより、画像解析部は、P(r)が最大となるテクスチャサイズでテクスチャを評価することができる。
上記(9)の構成によれば、画像解析部は、面画像に含まれる情報量を用いて解析する。これにより、画像解析部は、散乱体のばらつきの数値化による評価をすることができる。
上記(10)の構成によれば、画像解析部は、面画像に含まれる画素パターンの情報量を用いて解析する。これにより、画像解析部は、散乱体のみの発生確率によりテクスチャを評価することができる。
上記(11)の構成によれば、断層画像取得部は、広帯域光源を用いて被検物の断層画像を取得するスペクトラルドメイン型の光干渉断層計で構成されるので、タイムドメイン型の光干渉断層計のような被検物の深さ方向の機械的走査が不要となり、その分だけ高速に断層画像を取得することができる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
本発明の実施形態に係る塗装膜解析装置1で解析する塗装膜PFは、例えば、自動車のボディの塗装膜であり、図3に示すように、板金Mの上に、電着(ED)層EL、プライマー層PL、ベース層BL、及びクリア層CLが積層されているものが対象とするが、これに限られるものではない。
本実施形態に係る断層画像取得部2は、広帯域光源を用いて被検物の断層画像を取得するスペクトラルドメイン型の光干渉断層計5(Spectral Domain Optical Coherence Tomography)(SD−OCT)で構成され、例えば、512×512、1024×1024、2048×2048、4096×4096、8192×8192等任意の分解能を有している。
尚、本実施形態に係る断層画像取得部2は、スペクトラルドメイン型の光干渉断層計5で構成されるが、これに限られるものではなく、タイムドメイン型の光干渉断層計(TD−OCT)、波長掃引型の光干渉断層計(Swept−Source Optical Coherence Tomography
(SS−OCT))、又はフルフィールド型の光干渉断層計(FF−OCT)等の光干渉断層計でも構成可能である。
図3に示すように、光干渉断層計5(OCT)は、マイケルソン干渉計を基本としており、光源51、ビームスプリッタ52、参照鏡53、及びディテクタ54を備えて構成される。光源51、ビームスプリッタ52、及び被検物Sは、一の経路上に配置され、ビームスプリッタ52、参照鏡53、及びディテクタ54は、ビームスプリッタ52で一の経路と直交する他の経路上に配置される。これにより、光源51から出射された光は、ビームスプリッタ52で被検物Sに向けて進む被検光と参照鏡53に向けて進む参照光とに分割される。そして、被検光は、被検物Sで散乱・反射され、再びビームスプリッタ52に戻され、参照光は、参照鏡53で反射され、再びビームスプリッタ52に戻される。このようにビームスプリッタ52に戻された被検光と参照光は、ディテクタ54で検出される。これにより、光源51に時間的にコヒーレンスな光(異なった時刻に光源から出射された光同士は極めて干渉しにくい性質を有する光)を採用すると、ビームスプリッタ52から被検物Sまでの距離LSとビームスプリッタ52から反射鏡までの距離LRとが略等しい時にのみ光が干渉する。したがって、参照鏡53を移動させながら、ディテクタ54で光の強度を計測すると光路長差に対する干渉信号(インターフェログラム)を得ることができる。そして、インターフェログラムの形状が被検物の奥行き方向の反射率分布や屈折率界面を示しており、反射鏡方向(軸方向)の走査により被検物の奥行き方向(深さ方向)の構造を得ることができる(タイムドメイン型の光干渉断層計)。
そして、本実施形態に係る断層画像取得部2は、塗装膜PFのうち、アルミフレークやマイカ片等の光を散乱させる散乱体が分散されたベース層BLを含む断層画像を取得する。尚、本実施形態に係る断層画像取得部2では、クリア層CLとベース層BLとを含む断層画像を取得するが、クリア層CLを除外して取得するものとしてもよい。
画像生成部3は、断層画像取得部2で取得された断層画像から所定領域の所定深さにおける塗装膜PFの面画像FLを生成するものであり、図3に示すように、所定深さにおける塗装膜PFの面画像FLは、深さ方向に複数位置の面画像FLから構成される。
本実施形態に係る画像生成部3は、塗装膜PFの深さ方向に512の面画像FL(フレーム)を生成する。
画像解析部4は、画像生成部3で生成された塗装膜PFの面画像FL(解析画像AFL)をテクスチャ解析手法で解析するものである。
解析画像AFLは、塗装膜PFの面画像FLであれば深さ方向に任意の位置の面画像FLを選択することができる。例えば、深さ方向に300フレーム目のように、深さ方向に所定の位置の面画像FLを解析画像AFLとしてもよい。
また、図5に示すように、平均輝度が閾値THを超える開始画像SFLから深さ方向に平均輝度が閾値THとなる終了画像EFLまでの複数の面画像FLを解析画像AFLとしてもよい。
尚、クリア層CLとベース層BLとの界面は、クリア層CLの平均輝度が最大となる画像(以下、「クリア層最大ピークフレームCFLMAX」という)を検出した後に検出する平均輝度が最小となる画像(以下「最小ピークフレームFLMIN」という)で特定される。
そして、クリア層CLとベース層BLの界面を検出した後(最小ピークフレームFLMINを検出した後)、平均輝度が閾値THを超える面画像FLを開始フレームSFLとする。
また、その後、平均輝度が最大となる画像(以下「ベース層最大ピークフレームBFLMAX」という)を検出した後に検出する平均輝度が閾値THとなる面画像FLを終了フレームEFLとする。
そして、開始フレームSFLから深さ方向に終了フレームEFLまでの平均画像を解析画像AFLとする。尚、平均画像は、開始フレームSFLから深さ方向に終了フレームEFLまでの平均輝度を表した面画像FLのことである。
標準偏差を用いるテクスチャ解析では、解析画像の画素レベルの標準偏差を用いる。ここでは、図6に示すように、画素値をI(y,x)とし、総画素数をNとすると、平均輝度AVEと標準偏差STDは、次式(数式1)で表される。
高次モーメントを用いるテクスチャ解析では、解析画像AFLの同時生起行列の二次統計量を用いる。また、高次元モーメントを用いるテクスチャ解析では、輝度値をd1,d2(0≦d1,d2≦255)、変位距離をr、変位角をθ、変位をδ(r,θ)とし、図7に示すように、全画素のパターンから変位δ(r、θ)、輝度変化をd1からd2の発生確率を同時正規確率Pδ(d1、d2)とする。エネルギー(二次統計量)Eは、次式(数式2)で表される。
フラクタル次元を用いるテクスチャ解析では、解析画像AFLの複雑さを数値化したフラクタル次元を用いる。また、フラクタル次元を用いるテクスチャ解析では、解析画像AFLを二値化し、サイズdの正方格子に分割し、白を含む格子を数える(図8(a)及び(b)参照)。サイズdのときの白を含む格子の数(カウント数)をN(d)とし、横軸をdとして縦軸をサイズdのときの白を含む格子の数とし、両対数グラフに記録(プロット)する(図8(c)参照)。そして、両対数グラフの一次直線を求めてその傾きaをフラクタル次元とする。
図9に示すように、周波数解析を用いるテクスチャ解析では、解析画像(元画像)のフーリエスペクトルを用いる。解析画像(元画像)のフーリエスペクトルFは次式(数式3)で表される。
エントロピーは、画像に含まれる情報量であり、発生確率の低い画素レベルが多いほど大きな値となる。したがって、図10(a)に示すように、エントロピーが大きな値の場合には、発生確率が低い画素レベルが多くなり(例えば、散乱体の配置ばらつきが大きい)、図10(b)に示すように、エントロピーが小さな値の場合には、発生確率が低い画素レベルが少なくなる(例えば、散乱体の配置ばらつきが小さい)。例えば、アルミフレークやマイカ片のばらつきの数値化を目的に採用される。エントロピーを用いるテクスチャ解析では、Piを画素レベルiの発生確率とすると、エントロピーIは、次式(数式6)で表される。
画素パターンエントロピーを用いるテクスチャ解析は、解析画像AFLに含まれる画素パターン(3×3画素)のエントロピーを評価するものであり、より具体的には、図11に示すように、注目画素の明るさが閾値を超えている領域の3×3の画素パターンの発生確率でエントロピーを算出する。画素パターンエントロピーを用いるテクスチャ解析では、エントロピーをI、画素パターンiの発生確率をPiとすると、エントロピーI次は次式(数式7)で表される。
図13に示すように、(a)標準偏差、(b)高次モーメント、(c)フラクタル次元、(d)周波数解析、(e)エントロピー及び(f)画素パターンエントロピーにおいて特徴量に差が観察されるものの、大きな差は認められなかった。しかしながら、シルバーメタリック塗装のサンプルが肉眼で観察したときにも塗装の深み、緻密さ、均一的な美しさに差が認められないことから、当然の結果と考えられる。
断層画像取得部2(光干渉計)によって三次元データが得られることにより、図16(a)に示す平面画像で検出された個々の散乱体SM(アルミフレークやマイカ片)について、図16(b)に示すように、塗装深さ方向の配置を理解することができる。したがって、アルミフレークやマイカ片等の散乱体SMの配置状態について、平均深さ、深さ方向の分布、傾斜角などを数値化して、二次元平面評価におけるパラメータと併せて外観評価指標として利用すれば、ミクロな領域でより詳細に評価することができる。
本発明の実施例では、画像生成部3において、断層画像取得部2で取得された断層画像から所定領域の三次元イメージ(図23(a)(b))を生成する。
そして、画像解析部4は、三次元イメージからアルミフレームやマイカ片等の散乱体のスライス画像(面画像FL)を生成する。
スライス画像の抽出にあたっては、塗装膜PFの深さ方向の所定位置(固定位置)のスライス画像を抽出する方法(方法1)、塗装膜PFの表面がフラットであることを鑑みて、表面位置(クリア層最大ピークフレーム)から所定深さ(固定深さ)のデータを抽出してスライス層を生成する方法(方法2)、三次元データから表面画像を維持するか、除去するかした後に、深さ方向に演算(演算1から6)を行って生成する方法(方法3)がある。
2 断層画像取得部
3 画像生成部
4 画像解析部
5 光干渉断層計
51 光源
52 ビームスプリッタ
53 参照鏡
54 ディテクタ
PF 塗装膜
CL クリア層
CFLMAX クリア層最大ピークフレーム
BL ベース層
BFLMAX ベース層最大ピークフレーム
EL 電着層(ED層)
PL プライマー層
FL 面画像
FLMIN 最小ピークフレーム
SFL 開始画像(開始フレーム)
EFL 終了画像(終了フレーム)
AFL 解析画像
M 板金
S 被検物
Claims (12)
- 面方向に所定領域の塗装膜の断層画像を取得する断層画像取得部と、
前記断層画像取得部で取得された断層画像から前記所定領域の所定深さにおける塗装膜の面画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部で生成された前記所定深さにおける塗装膜の面画像をテクスチャ解析手法で解析する画像解析部と
を備えることを特徴とする塗装膜解析装置。 - 前記断層画像取得部は、前記塗装膜のうち、光を散乱させる散乱体が分散されたベース層を含む断層画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の塗装膜解析装置。
- 前記所定深さにおける塗装膜の面画像は、深さ方向に複数位置の面画像から構成され、
前記画像解析部は、前記深さ方向に複数位置の面画像のうち、前記深さ方向に所定位置の面画像を解析することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗装膜解析装置。 - 前記所定深さにおける塗装膜の面画像は、平均輝度が閾値を超える開始画像から深さ方向に平均輝度が前記閾値となる終了画像までの複数の面画像であって、
前記画像解析部は、前記複数の面画像の平均画像を解析することを特徴とする請求項2に記載の塗装膜解析装置。 - 前記画像解析部は、前記面画像の画素レベルの標準偏差を用いて解析することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の塗装膜解析装置。
- 前記画像解析部は、前記面画像の同時生起行列の二次統計量を用いて解析することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の塗装膜解析装置。
- 前記画像解析部は、前記面画像の複雑さを数値化したフラクタル次元を用いて解析することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の塗装膜解析装置。
- 前記画像解析部は、前記面画像のフーリエスペクトルを用いて解析することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の塗装膜解析装置。
- 前記画像解析部は、前記面画像に含まれる情報量を用いて解析することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の塗装膜解析装置。
- 前記画像解析部は、前記面画像に含まれる画素パターンの情報量を用いて解析することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の塗装膜解析装置。
- 前記断層画像取得部は、広帯域光源を用いて被検物の断層画像を取得するスペクトラルドメイン型の光干渉断層計で構成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の塗装膜解析装置。
- 面方向に所定領域の塗装膜の断層画像を取得する断層画像取得ステップと、
前記断層画像取得ステップで取得された断層画像から前記所定領域の所定深さにおける塗装膜の面画像を生成する画像生成ステップと、
前記画像生成ステップで生成された前記所定深さにおける塗装膜の面画像をテクスチャ解析手法で解析する画像解析ステップと
を備えることを特徴とする塗装膜解析方法。
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