JP2017161305A - 機械部品、ムーブメントおよび時計 - Google Patents

機械部品、ムーブメントおよび時計 Download PDF

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拓也 村住
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Abstract

【課題】圧入部品と被圧入部品との締結力を高めることができる機械部品、ムーブメントおよび時計を提供する。
【解決手段】軸部材20の被圧入面21および板状部材30の圧入面33のうち少なくともいずれか一方に、硬質粒子4の少なくとも一部を収容可能、かつ軸部材20の圧入方向Yの硬質粒子4の移動を規制可能である保持凹部22が形成されている。硬質粒子4のうち少なくとも一部は、保持凹部22に入り込んで被圧入面21および圧入面33に当接する。
【選択図】図2

Description

本発明は、機械部品、ムーブメントおよび時計に関する。
従来、コンタクトと対象物とを圧入により固定する構造が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に記載のコンタクトは、硬質粒子を含有する複合メッキ層を有する。複合メッキ層の表面は、硬質粒子による突起部を含む凹凸を有する。前記コンタクトは、複合メッキ層の表面凹凸によって圧入対象物に固定される。
特開2004−227800号公報
機械式時計などには、歯車などの板状部材が用いられている。板状部材は、圧入孔に軸部材が挿入されることにより軸部材に圧入固定され、軸部材を中心に回動可能となる。軸部材と板状部材との中心位置ずれを小さくするため、軸部材は、板状部材に対して十分な締め代を確保して設計される。
板状部材は非常に薄く、軸部材は細いため、軸部材と板状部材との接触面積は小さく、締結力は不足しやすい。締結力を高めるには締め代を大きくするのが有効であるが、締め代を大きくすると、板状部材の反り、破損が起こりやすくなる。そのため、締め代を大きくすることなく高い締結力を与えることができる機械部品が望まれている。
軸部材と板状部材との締結力を高める技術としては、前述の硬質粒子を含む複合メッキ層を有する構造が考えられる。
しかしながら、軸部材と板状部材との間にはほとんど隙間がないため、軸部材または板状部材に複合メッキ層を形成しても、複合メッキ層は、軸部材と板状部材との圧入の際に削げ落ちてしまう。そのため、この構造により締結力を高めるのは難しかった。
本発明の一態様は、圧入部品と被圧入部品との締結力を高めることができる機械部品、ムーブメントおよび時計を提供することを目的とする。
(1)本発明の一態様は、圧入部品と、前記圧入部品に固定される被圧入部品と、を備え、前記圧入部品は、直接または間接に前記被圧入部品の被圧入面に当接することによって前記被圧入部品に固定される圧入面を有し、前記圧入面と前記被圧入面のうち少なくともいずれか一方に、複合金属層が形成され、前記複合金属層は、基材金属と、複数の硬質粒子とを有し、前記硬質粒子は、前記圧入面および前記被圧入面に比べて硬度が高く、前記圧入面および前記被圧入面のうち少なくともいずれか一方に、前記硬質粒子の少なくとも一部を収容可能、かつ前記圧入部品の圧入方向の前記硬質粒子の移動を規制可能である保持凹部が形成され、前記硬質粒子のうち少なくとも一部は、前記保持凹部に入り込んで前記圧入面および前記被圧入面に当接している、機械部品を提供する。
この構成によれば、圧入面および被圧入面のうち少なくともいずれか一方に保持凹部が形成されているため、硬質粒子の一部が保持凹部に収容される。そのため、圧入部品によって圧入方向の力が加えられても硬質粒子が削り取られることがない。硬質粒子の一部は被圧入面および圧入面に当接するため、圧入部品と被圧入部品との締結力が高められる。
(2)本発明の一態様は、前記機械部品において、前記硬質粒子は、前記圧入面および前記被圧入面に食い込んで係止している機械部品を提供する。
この構成によれば、圧入部品と被圧入部品との締結力がさらに高められる。
(3)本発明の一態様は、前記機械部品において、前記被圧入部品は、軸部材であり、前記圧入部品は、前記軸部材が挿入される圧入孔を有し、前記圧入面は、前記圧入孔の内面の少なくとも一部である機械部品を提供する。
この構成によれば、軸部材と、軸部材に支持される回転部品に幅広く適用できる。
(4)本発明の一態様は、前記機械部品において、前記硬質粒子の平均粒径がdであるとき、前記保持凹部の平均深さDが0<D<dを満たす機械部品を提供する。
この構成によれば、保持凹部の平均深さDが硬質粒子の平均粒径dより小さいことにより、保持凹部内の硬質粒子の一部を圧入面(または被圧入面)に向けて突出させることができる。これによって、硬質粒子は圧入面(または被圧入面)に食い込んだ状態で係止しやすくなる。
(5)本発明の一態様は、前記機械部品において、前記硬質粒子の平均粒径がdであり、前記圧入部品の前記圧入方向の寸法がLであるとき、前記保持凹部における前記圧入方向の平均寸法Hがd<H<Lを満たす機械部品を提供する。
この構成によれば、「d<H」により、硬質粒子は保持凹部から外れにくくなる。「H<L」により、保持凹部は、圧入面(または被圧入面)に形成することができる。
(6)本発明の一態様は、前記機械部品を備えたムーブメントを提供する。
この構成によれば、前記機械部品を備えているため、信頼性に優れたムーブメントが得られる。
(7)本発明の一態様は、前記ムーブメントを備えた時計を提供する。
この構成によれば、前記機械部品を備えているため、信頼性に優れた時計が得られる。
本発明の一態様によれば、圧入面および被圧入面のうち少なくともいずれか一方に保持凹部が形成されているため、硬質粒子の一部が保持凹部に収容される。そのため、圧入部品によって圧入方向の力が加えられても硬質粒子が削り取られることがない。硬質粒子の一部は被圧入面および圧入面に当接するため、圧入部品と被圧入部品との締結力が高められる。
第1実施形態の時計用部品を示す断面図である。 図1の時計用部品の要部を示す断面図である。 図1の時計用部品の一例を示す平面図である。 図1の時計用部品を製造する工程を示す断面図である。 第1実施形態の時計用部品の変形例を示す断面図である。 第2実施形態の時計用部品を示す断面図である。 前図の時計用部品を製造する工程を示す断面図である。 第3実施形態の時計用部品を示す断面図である。 前図の時計用部品を製造する工程を示す断面図である。 実施形態の時計用部品の第1具体例を示す断面図である。 実施形態の時計用部品の第2具体例を示す断面図である。 コンプリートの平面図である。 ムーブメント表側の平面図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る時計用部品10(機械部品)について、図1〜図4を参照して説明する。
図1は時計用部品10を示す図であって、図3のI−I線に沿う断面図である。図2は時計用部品10の要部を示す断面図である。図3は時計用部品10の一例を示す平面図である。
図1〜図3に示すように、時計用部品10は、軸部材20(被圧入部品)と、軸部材20に固定される板状部材30(圧入部品)とを備えている。中心軸A1は軸部材20の中心軸である。
図1に示すように、板状部材30の中央には、軸部材20に圧入される圧入孔31が形成されている。圧入孔31は、板状部材30を厚さ方向に貫通して形成されている。
図3に示すように、板状部材30は、例えば、歯車である。板状部材30の外周縁には、径方向外方に向かって突出する複数の歯32が形成されている。歯32は、隣接する歯車(図示略)の歯と噛合可能である。
板状部材30である歯車は、例えば番車として使用できる。板状部材30は、歯車に限らず、がんぎ車、アンクル、てんわなどに適用してもよい。
図1に示すように、軸部材20は、板状部材30の圧入孔31に挿入された状態で、外周面(被圧入面21)が、圧入孔31の内周面の少なくとも一部(圧入面33)に直接または間接に当接する。図2では、被圧入面21と圧入面33とは、直接、当接している。なお、被圧入面21と圧入面33とは、複合金属材料1からなる層を介して間接的に当接していてもよい。
板状部材30は、被圧入面21に当接することによって軸部材20に固定されている。
なお、板状部材30を軸部材20に圧入する方向は、図1および図2に示すY方向である。Y方向は中心軸A1に沿う方向である。
図2に示すように、軸部材20の被圧入面21には保持凹部22が形成されている。保持凹部22には複合金属材料1が埋め込まれている。複合金属材料1は、母材となる基材金属2と、少なくとも一部が基材金属2に含まれる複数の硬質粒子4とを有し、保持凹部22内で複合金属層3を形成している。
基材金属2としては、例えば、Ni、Au、Ag、Pt、Ph、Cu、Sn、およびそれらの合金のうち1または2以上が使用できる。
硬質粒子4としては、例えば、Si、Al、W、Zr、これらのうち1または2以上を主成分とする化合物を使用できる。前記化合物としては、酸化物、窒化物、および炭化物などがある。硬質粒子4は、基材金属2より硬度が高いことが好ましい。
硬質粒子4は、被圧入面21(例えば保持凹部22の内面22a)および圧入面33に比べて硬度が高くされている。硬質粒子4の硬度の指標としては、例えば、ビッカース硬さ(例えばJIS Z2244−2009に準拠)がある。
硬質粒子4の平均粒径dは、例えば0.05μmを越え、10μm未満(好ましくは0.5〜5μm、さらに好ましくは1〜2μm)が好適である。平均粒径dは、例えばメジアン径(d50)であり、レーザー回折散乱法に基づく粒度分布測定装置によって測定することができる。
保持凹部22は、軸部材20の被圧入面21に旋盤で切り込みを入れることで形成することができる。保持凹部22は、ショットピーニングにより被圧入面21を塑性変形させることにより形成してもよい。
保持凹部22の平均深さDは例えば0.05〜5μmが好ましい。保持凹部22の圧入方向Yの平均寸法Hは例えば100〜300μmが好ましい。
平均深さDおよび平均寸法Hは、被圧入面21の圧入方向Y(中心軸A1方向)の断面の画像に基づく十分な数(例えば100以上)の保持凹部22についての測定値の平均値を採用することができる。画像は、例えば光学顕微鏡、電子顕微鏡その他の装置を用いて適切な範囲(例えば圧入方向Yの距離1mm)の被圧入面21を観察した画像である。なお、平均深さDは、最大粗さRz(JIS B0601−2001)で代用してもよい。
保持凹部22は、硬質粒子4の少なくとも一部が収容可能となるように形成されている。保持凹部22は、収容された硬質粒子4の圧入方向Yの移動を規制できるように形成されている。
保持凹部22の平均深さDは、「0<D<d」を満たすことが好ましい。保持凹部22の平均深さDが硬質粒子4の平均粒径dより小さいことにより、保持凹部22内の硬質粒子4の一部を圧入面33に向けて突出させることができる。これによって、硬質粒子4は圧入面33に食い込んだ状態で係止しやすくなる。
保持凹部22の平均深さDは、「d<2D」を満たすことが好ましい。硬質粒子4の平均粒径dが保持凹部22の平均深さDの2倍より小さいことにより、硬質粒子4は保持凹部22から外れにくくなる。
保持凹部22の圧入方向Yの平均寸法Hは、板状部材30の厚さ寸法をLとして(図1参照)、「d<H<L」を満たすことが好ましい。厚さ寸法Lは、詳しくは、圧入孔31の圧入面33における圧入方向Yの寸法である。「d<H」により、硬質粒子4は保持凹部22から外れにくくなる。「H<L」により、保持凹部22は、板状部材30の圧入面33に形成することができる。
図2に示すように、硬質粒子4は、少なくとも一部が保持凹部22に収容された状態で、被圧入面21(詳しくは保持凹部22の内面22a)、および板状部材30の圧入面33に当接する。
硬質粒子4は、内面22aおよび圧入面33に食い込んで係止していることが好ましい。すなわち、硬質粒子4は、その一部が、内面22aおよび圧入面33に形成された微細な凹部22b,33aに入り込んで係止していることが好ましい。
次に、時計用部品10の製造方法について図4(A)〜図4(C)を参照して説明する。
図4(A)に示すように、軸部材20の被圧入面21に複合金属層3を形成する。複合金属層3は、例えばめっき(電解または無電解めっき)によって形成することができる。
図4(B)、図4(C)に示すように、板状部材30を軸部材20に対して圧入方向Yに移動させて、軸部材20を圧入孔31に挿入させる。このとき、板状部材30により圧入方向Yの力が加えられることによって、保持凹部22内の硬質粒子4の一部は保持凹部22の内面22aと圧入面33とに当接する。硬質粒子4は内面22aと圧入面33とに押圧状態で接するのが好ましい。これによって、板状部材30と軸部材20との締結力が高められる。
硬質粒子4の一部は、内面22aおよび圧入面33に食い込んだ状態で係止することが好ましい。すなわち、硬質粒子4の一部は、板状部材30の圧入方向Yの力により内面22aおよび圧入面33に押し当てられることによって、内面22aおよび圧入面33に微細な凹部22b,33aを形成するとともに、凹部22b,33aに入り込んで係止することが好ましい。これによって、板状部材30と軸部材20との締結力がさらに高められる。
板状部材30の圧入方向Yへの移動により、複合金属層3の一部は削り取られる。
保持凹部22内の硬質粒子4には、板状部材30によって圧入方向Yの力が加えられるが、硬質粒子4は保持凹部22によって圧入方向Yの移動が規制されるため、保持凹部22内に留まる。
時計用部品10では、被圧入面21に保持凹部22が形成されているため、硬質粒子4の一部が保持凹部22に収容されることから、板状部材30によって圧入方向Yの力が加えられても硬質粒子4が削り取られることがない。
硬質粒子4の一部は被圧入面21(詳しくは保持凹部22の内面22a)および圧入孔31の圧入面33に当接するため、板状部材30と軸部材20との締結力が高められる。よって、時計用部品10の信頼性を高めることができる。
また、硬質粒子4の一部が内面22aおよび圧入面33に食い込んだ状態で係止すれば、板状部材30と軸部材20との締結力はいっそう高められる。
時計用部品10は、軸部材20と、軸部材に支持される板状部材30を有する。この構造は、軸部材と軸部材に支持される回転部品に幅広く適用できる。
(第1実施形態の変形例)
図5(A)および図5(B)は、時計用部品10の変形例となる時計用部品10Aおよびその製造方法を示す断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図5(B)に示す時計用部品10Aは、軸部材20の被圧入面21に、保持凹部22とは異なる形状の保持凹部22Aを有する点で、図2に示す時計用部品10と異なる。
保持凹部22Aは、内面22Aaが断面湾曲凹状(例えば半楕円形状)に形成されている。内面22Aaの深さは中心軸方向の位置により異なる。保持凹部22Aの圧入方向Yの寸法は、保持凹部22(図2参照)の圧入方向Yの寸法より大きく、複数の硬質粒子4を収容可能である。
図5(A)および図5(B)に示すように、板状部材30を軸部材20に対して圧入方向Yに移動させると、硬質粒子4の一部は内面22Aaと圧入面33の両方に当接し、板状部材30と軸部材20との締結力が高められる。硬質粒子4の一部が内面22Aaおよび圧入面33に食い込んだ状態となれば、板状部材30と軸部材20との締結力はさらに高められる。
時計用部品10Aでは、保持凹部22Aの深さが中心軸A1方向の位置により変わるため、内面22Aaの一部では深さが適切となって、硬質粒子4を内面22Aaと圧入面33の両方に確実に当接させることができる。また、硬質粒子4の一部を内面22Aaおよび圧入面33に食い込んだ状態で係止させることができる。よって、板状部材30と軸部材20との締結力を高めることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る時計用部品40について、図6および図7を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、時計用部品40は、保持凹部が被圧入面21には形成されておらず、保持凹部41が板状部材30の圧入面33に形成されている点で、図2に示す時計用部品10と異なる。
保持凹部41は、硬質粒子4の少なくとも一部を収容可能に形成されている。保持凹部41は、収容された硬質粒子4の圧入方向Yの移動を規制できる。保持凹部41の平均深さDおよび圧入方向Yの平均寸法Hは、第1実施形態の保持凹部22と同様としてよい。
硬質粒子4は、少なくとも一部が保持凹部41に収容された状態で、圧入面33(詳しくは保持凹部41の内面41a)、および軸部材20の被圧入面21に当接される。硬質粒子4は、内面41aおよび被圧入面21に食い込んで係止していることが好ましい。すなわち、硬質粒子4は、その一部が、内面41aおよび被圧入面21に形成された微細な凹部41b,21aに入り込んで係止していることが好ましい。
次に、時計用部品40の製造方法について図7(A)および図7(B)を参照して説明する。
図7(A)に示すように、板状部材30の圧入面33に複合金属層3を形成する。
図7(B)に示すように、板状部材30を軸部材20に対して圧入方向Yに移動させて、軸部材20を圧入孔31に挿入させる。
このとき、板状部材30によって圧入方向Yの力が加えられることによって、保持凹部41内の硬質粒子4の一部は保持凹部41の内面41aと被圧入面21とに当接する。これによって、板状部材30と軸部材20との締結力が高められる。硬質粒子4の一部は、内面41aおよび被圧入面21に食い込んだ状態で係止すると、板状部材30と軸部材20との締結力がさらに高められる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る時計用部品50について、図8および図9を参照して説明する。なお、第1実施形態または第2実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
時計用部品50は、被圧入面21と圧入面33に、それぞれ保持凹部51,52が形成されている点で、図2に示す時計用部品10と異なる。保持凹部51,52は、硬質粒子4の少なくとも一部を収容可能に形成されている。保持凹部51,52は、収容された硬質粒子4の圧入方向Yの移動を規制できる。
図8に示すように、硬質粒子4は、保持凹部51,52に収容された状態で、圧入面33(詳しくは保持凹部52の内面52a)、および被圧入面21(詳しくは保持凹部51の内面51a)に当接される。
硬質粒子4は、内面51a,52aに食い込んで係止していることが好ましい。すなわち、硬質粒子4は、その一部が、内面51a,52aに形成された微細な凹部51b,52bに入り込んで係止していることが好ましい。
次に、時計用部品50の製造方法について図9(A)および図9(B)を参照して説明する。
図9(A)に示すように、軸部材20の被圧入面21および板状部材30の圧入面33に複合金属層3を形成する。
図9(B)に示すように、板状部材30を軸部材20に対して圧入方向Yに移動させて、軸部材20を圧入孔31に挿入させる。
このとき、板状部材30によって圧入方向Yの力が加えられることによって、硬質粒子4の一部は保持凹部51の内面51aと保持凹部52の内面52aとに当接する。これによって、板状部材30と軸部材20との締結力が高められる。硬質粒子4の一部は、内面51a,52aに食い込んだ状態で係止すると、板状部材30と軸部材20との締結力がさらに高められる。
(第1〜第3実施形態の第1具体例)
図10は、第1〜第3実施形態の時計用部品10、10A、40、50を適用できる時計用部品の第1具体例を示す。
図10に示すように、時計用部品60は、軸部材61と、スリップ歯車62と備えている。軸部材61は第1〜第3実施形態における軸部材20(被圧入部品)に相当し、スリップ歯車62は板状部材30(圧入部品)に相当する。
スリップ歯車62は、略円環状の歯車本体63と、歯車本体63の開口部63aに形成された一対のばね部64,64とを有する。ばね部64,64の長さ方向の中央部には、略円弧状の湾曲部65,65が形成されている。湾曲部65,65の内側凹部65a,65aの内側の空間は、軸部材61が圧入される圧入孔66となっている。
スリップ歯車62は、ばね部64,64の曲げ弾性力によって、圧入孔66の内面である圧入面62aと、軸部材61の外面である被圧入面61aとの間に摩擦抵抗力が生じるため、軸部材61と一体に回転することができる。スリップ歯車62は、予め定められた値を越えるトルクが加えられると、軸部材61に対してスリップして回転する。
時計用部品60では、第1〜第3実施形態(図1〜図9参照)で示すように、軸部材61の被圧入面61aとスリップ歯車62の圧入面62aのうち少なくともいずれか一方に、硬質粒子が収容可能で、かつ軸部材61の圧入方向の硬質粒子の移動を規制可能な保持凹部が形成されている。被圧入面61aと圧入面62aのうち少なくともいずれか一方には、複合金属層が形成される。これによって、スリップ歯車62と軸部材61との間の保持力を高めることができる。
(第1〜第3実施形態の第2具体例)
図11は、第1〜第3実施形態の時計用部品10、10A、40、50を適用できる時計用部品の第2具体例を示す。
図11に示すように、時計用部品70は、軸部材71と、袴状部品72とを備えている。軸部材71は第1〜第3実施形態における軸部材20(被圧入部品)に相当し、袴状部品72は板状部材30(圧入部品)に相当する。
時計用部品70は、四番車の軸部材71と、軸部材71の端部73に支持される袴状部品72とを有する。袴状部品72には、秒針74が取り付けられている。袴状部品72には、軸部材71の端部73に圧入される圧入孔75が形成されている。図11において、符号76は分針を示し、符号77は時針を示す。
時計用部品70では、軸部材71の外面(被圧入面71a)と、袴状部品72の圧入孔75の内面(圧入面72a)のうち少なくともいずれか一方に、硬質粒子が収容可能で、かつ軸部材71の圧入方向の硬質粒子の移動を規制可能な保持凹部が形成されている。被圧入面71aと圧入面72aのうち少なくともいずれか一方には、複合金属層が形成される。これによって、軸部材71と袴状部品72との保持力を高めることが可能となる。
時計用部品70では、袴状部品72が取り付けられる部分である軸部材71の端部73は細径であるため、軸部材71と袴状部品72との間の摩擦力は小さくなりやすい。また、慣性モーメントが大きい秒針74が用いられる場合には、軸部材71に加えられるトルクが大きくなりやすい。
これに対し、時計用部品70では、前述の構造を有するため、軸部材71と袴状部品72との間の摩擦力などの不利な条件があるにもかかわらず、軸部材71と袴状部品72との間の保持力を高めることができる。
(時計)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースの風防のある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「文字板側」と称する。
地板の両側のうち、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。以下、図面を参照して、本発明に係るムーブメントおよび時計の一実施形態について説明する。なお、参照する図面では、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図12は、コンプリートの平面図である。
図12に示すように、時計200のコンプリート200aは、時に関する情報を示す目盛り201などをもつ文字板202と、時を示す時針203a、分を示す分針203bおよび秒を示す秒針203cを含む針203と、を備えている。
図13は、ムーブメント表側の平面図である。なお、図13では、図面を見やすくするため、ムーブメント100を構成する時計部品のうち一部の図示を省略している。
機械式時計のムーブメント100は、基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。この巻真110は、おしどり190、かんぬき192、かんぬきばね194および裏押さえ196を含む切換装置によって、軸線方向の位置が決められている。
そして巻真110を回転させると、つづみ車(不図示)の回転を介してきち車112が回転する。きち車112の回転により丸穴車114および角穴車116が順に回転し、香箱車120に収容されたぜんまい(不図示)が巻き上げられる。
香箱車120は、地板102と香箱受160との間で回転可能に支持されている。二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130は、地板102と輪列受162との間で回転可能に支持されている。
ぜんまいの復元力により香箱車120が回転すると、香箱車120の回転により二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130が順に回転する。これら香箱車120、二番車124、三番車126および四番車128は、表輪列を構成する。
二番車124が回転すると、その回転に基づいて筒かな(不図示)が同時に回転し、この筒かなに取り付けられた分針203b(図12参照)が「分」を表示するようになっている。
また、筒かなの回転に基づいて日の裏車(不図示)の回転を介して筒車(不図示)が回転し、この筒車に取り付けられた時針203a(図12参照)が「時」を表示するようになっている。
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、がんぎ車130、アンクル142およびてんわ82で構成されている。
がんぎ車130の外周には歯130aが形成されている。アンクル142は、地板102とアンクル受164との間で回転可能に支持されており、一対のつめ石142a,142bを備えている。アンクル142の一方のつめ石142aが、がんぎ車130の歯130aに係合した状態で、がんぎ車130は一時的に停止している。
てんわ82は、軸部材81を中心として一定周期で往復回転することにより、がんぎ車130の歯130aに、アンクル142の一方のつめ石142aおよび他方のつめ石142bを、交互に係合および解除させている。これにより、がんぎ車130を一定速度で脱進させている。
図12に示される機械式時計のムーブメント100において、てんわ82と軸部材81は、時計用部品80を構成する。時計用部品80は、第1〜第3実施形態の時計用部品10、10A、40、50を適用できる。
時計用部品80において、軸部材81は第1〜第3実施形態における軸部材20(被圧入部品)に相当し、てんわ82は板状部材30(圧入部品)に相当する。
時計用部品80では、第1〜第3実施形態(図1〜図9参照)で示すように、軸部材81の外面とてんわ82の内面のうち少なくともいずれか一方に、硬質粒子が収容可能で、かつ圧入方向の硬質粒子の移動を規制可能な保持凹部が形成されている。軸部材81の外面とてんわ82の内面のうち少なくともいずれか一方には、複合金属層が形成される。
これによって、軸部材81とてんわ82との締結力を高めることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。例えば、第1〜第3実施形態では、軸部材20が被圧入部品であり、板状部材30が圧入部品であるが、逆に、軸部材20が圧入部品であり、板状部材30が被圧入部品であってもよい。
3…複合金属層
4…硬質粒子
10,40,50,60,70,80…時計用部品(機械部品)
20,61,71,81…軸部材(被圧入部品)
21,61a,71a…被圧入面
22,41,51,52…保持凹部
30…板状部材(圧入部品)
31,66,75…圧入孔
33,62a,72a…圧入面
62…スリップ歯車(圧入部品)
72…袴状部品(圧入部品)
82…てんわ(圧入部品)

Claims (7)

  1. 圧入部品と、前記圧入部品に固定される被圧入部品と、を備え、
    前記圧入部品は、直接または間接に前記被圧入部品の被圧入面に当接することによって前記被圧入部品に固定される圧入面を有し、
    前記圧入面と前記被圧入面のうち少なくともいずれか一方に、複合金属層が形成され、
    前記複合金属層は、基材金属と、複数の硬質粒子とを有し、
    前記硬質粒子は、前記圧入面および前記被圧入面に比べて硬度が高く、
    前記圧入面および前記被圧入面のうち少なくともいずれか一方に、前記硬質粒子の少なくとも一部を収容可能、かつ前記圧入部品の圧入方向の前記硬質粒子の移動を規制可能である保持凹部が形成され、
    前記硬質粒子のうち少なくとも一部は、前記保持凹部に入り込んで前記圧入面および前記被圧入面に当接している、機械部品。
  2. 前記硬質粒子は、前記圧入面および前記被圧入面に食い込んで係止している、請求項1に記載の機械部品。
  3. 前記被圧入部品は、軸部材であり、
    前記圧入部品は、前記軸部材が挿入される圧入孔を有し、
    前記圧入面は、前記圧入孔の内面の少なくとも一部である、請求項1または2に記載の機械部品。
  4. 前記硬質粒子の平均粒径がdであるとき、前記保持凹部の平均深さDが、0<D<dを満たす、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の機械部品。
  5. 前記硬質粒子の平均粒径がdであり、前記圧入部品の前記圧入方向の寸法がLであるとき、
    前記保持凹部における前記圧入方向の平均寸法Hが、d<H<Lを満たす、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の機械部品。
  6. 請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の機械部品を備えた、ムーブメント。
  7. 請求項6に記載のムーブメントを備えた、時計。
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