JP2017159648A - インクジェット記録方法、インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕
第一のノズル列と、該第一のノズル列に沿って配列された第二のノズル列とを有し、前記第一のノズル列と前記第二のノズル列の間の距離は15mm以上であり、前記第一のノズル列のノズル密度及び前記第二のノズル列のノズル密度はそれぞれ600dpi以上である、インクジェットヘッドを用い、
該インクジェットヘッドを、被記録媒体に対して、前記第一のノズル列及び前記第二のノズル列の列方向と交差する方向に相対的な位置を変化させながら、前記第一のノズル列及び前記第二のノズル列におけるノズルから、周波数12kHz以上でインク組成物を吐出する走査を行うことで、
該インク組成物を前記被記録媒体へ付着させる、
インクジェット記録方法。
〔2〕
前記被記録媒体に対する前記インクの付着量が、150mg/inch2以上である、前項〔1〕に記載のインクジェット記録方法。
〔3〕
前記インク組成物が、12質量%以上の固形分を含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載のインクジェット記録方法。
〔4〕
前記インク組成物が、色材、樹脂エマルジョン、及び水溶性溶剤を含む、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
〔5〕
前記インク組成物が、酸化チタンを含む白インク組成物である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
〔6〕
前記走査を複数回行うことで記録を行う、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
〔7〕
前記被記録媒体が、布帛である、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
〔8〕
前記被記録媒体が、被記録媒体の前記インクジェットヘッドに対向する側の反対側から、樹脂製の表面を有する被記録媒体支持部に支持されている、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
〔9〕
1ノズルから吐出する前記インク組成物の1回の吐出のインク量が、10ng以下である、前項〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
〔10〕
前記インクジェットヘッドは、前記第一のノズル列の前記第二のノズル列とは反対側、及び、前記第二のノズル列の前記第一のノズル列とは反対側の少なくとも一方に、前記インク組成物とは異なる他のインク組成物を吐出する他のノズル列を有する、前項〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
〔11〕
前項〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法で記録を行う、インクジェット記録装置。
本実施形態のインクジェット記録方法は、
第一のノズル列と、該第一のノズル列に沿って配列された第二のノズル列とを有し、第一のノズル列と第二のノズル列の間の距離L1は15mm以上であり、第一のノズル列のノズル密度L2及び第二のノズル列のノズル密度L2はそれぞれ600dpi以上である、インクジェットヘッドを用い、
該インクジェットヘッドを、被記録媒体に対して、第一のノズル列及び第二のノズル列の列方向と交差する方向に相対的な位置を変化させながら、第一のノズル列及び第二のノズル列から、周波数12kHz以上でインク組成物を吐出する走査を行なうことで、
該インク組成物を被記録媒体へ付着させる。
本実施形態のインクジェット記録方法は、第一のノズル列と、該第一のノズル列に沿って配列された第二のノズル列とを有し、第一のノズル列と第二のノズル列の間の距離L1は15mm以上であり、第一のノズル列及び第二のノズル列のノズル密度は600dpi以上である、インクジェットヘッドを用いる。図1は、第一ノズル列及び第二ノズル列の配列を説明するための模式図であり、各黒点がノズルのノズル開口の位置を示す。図1は、ヘッドのノズルプレートを被記録媒体側から見た図であり、左右方向が走査方向になる。
第一のノズル列と第二のノズル列の間の距離L1は15mm以上であり、18mm以上がより好ましく、19mm以上がさらに好ましい。上記範囲となるようにノズル列同士の間隔をあけることにより、又はそれらのノズル列の間にあるノズル列を使用しないことで距離L1を15mm以上とすることにより、ヘッドが有するノズルプレートへのインク組成物の付着汚れが生じにくく、クリーニング頻度が少なくなる。また、吐出安定性が良好になる傾向もある。また、第一のノズル列と第二のノズル列の間の距離L1は、100mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましく、25mm以下が特に好ましい。距離L1が上記範囲であることにより、ヘッドをより小型化することができる。
第一のノズル列及び第二のノズル列のノズル密度L2は、600dpi以上であり、720dpi以上が好ましく、1000dpi以上がさらに好ましい。ノズル密度L2が上記範囲であることにより、隠蔽性が向上する。また、第一のノズル列及び第二のノズル列のノズル密度は、2000dpi以下が好ましく、1500dpi以下がより好ましい。ノズル密度L2が上記範囲であることにより、ヘッドの製造コストがより低くなる傾向にある。
本実施形態のインクジェット記録方法では、上記ヘッドを、被記録媒体に対して、第一のノズル列及び第二のノズル列の列方向と交差する方向(以下、「主走査方向」ともいう。)、好ましくは直行する方向に、相対的な位置を変化させながら第一のノズル列及び第二のノズル列におけるノズルから、周波数12kHz以上でインク組成物を吐出する走査をおこなう。ヘッドは、被記録媒体に対して複数回(2回以上)の走査をすることで記録を行うシリアルプリンタとすることが好ましい。この場合、画像のドット形成密度を高くすることや画像全体のインク量を多くすることができ、白インク組成物を用いる場合においては、隠蔽性がより確保される傾向にあり、カラーインク組成物を用いる場合においては、より高精彩な画像が得られる傾向にある。一方、被記録媒体に対するヘッドの走査を1回行うことで記録を行うラインプリンタのような構成としてもよい。
本実施形態のインクジェット記録方法では、第一のノズル列及び第二のノズル列から、周波数12kHz以上でインク組成物を吐出する。吐出周波数は、12kHz以上であり、20kHz以上が好ましく、30kHz以上がより好ましく、40kHz以上がさらに好ましい。吐出周波数が上記範囲であることにより、印刷速度がより優れる傾向にある。なお、吐出周波数の上限は、特に限定されないが、150kHz以下が好ましく、100kHz以下がより好ましく、50kHz以下がさらに好ましい。吐出周波数が上記範囲であることにより、乾燥速度がより優れる傾向にある。上記吐出周波数は、後述する吐出機構により制御することができる。
インクジェット記録装置は、ヘッドを主走査方向に沿って移動させ、この移動に連動してヘッドのノズル開口からインク滴を吐出させることにより、被記録媒体上に画像を記録する。このインク滴の吐出は、例えば、ノズル開口に連通した圧力発生室を膨張及び収縮させることで行われる。
本実施形態のインクジェット記録方法では、吐出されたインク組成物を被記録媒体へ付着させ画像を形成する。付着させたあと、インク組成物が付着した被記録媒体を加熱処理する加熱工程をさらに含んでもよい。この加熱処理により、インク組成物に含まれ得る樹脂(ポリマー)を被記録媒体の表面に融着させ、かつ、水分を蒸発させることができる。その結果、耐擦性により優れる傾向にある。
被記録媒体に対するインク組成物の付着量は、50mg/inch2以上であることが好ましく、150mg/inch2以上であることがより好ましく、200mg/inch2以上であることがさらに好ましい。付着量が上記範囲であることにより、隠蔽性により優れる傾向にある。また、付着量は、400mg/inch2以下であることが好ましく、300mg/inch2以下であることがより好ましい。付着量が上記範囲であることにより、印刷速度、乾燥速度により優れる傾向にある。
「ドット形成密度」とは、吐き出される1つ1つのインク滴の被記録媒体上への形成密度をいい、被記録媒体の横方向(主走査方向、幅方向)×被記録媒体の縦方向(副走査方向、搬送方向)(各dpi)で表される。一方で、「記録解像度」とは、印刷データに基づいて階調の制御が可能な最小記録単位(画素)の密度をいう。ドット形成密度は記録解像度と同じ場合もあるが必ずしも同じではない。本実施形態におけるドット形成密度は、特に限定されないが、主走査方向、副走査方向とも、1440dpi以上8640dpi以下、さらに1440dpi以上2880dpi以下とすることができる。
被記録媒体は、被記録媒体の前記インクジェットヘッドに対抗する側の反対側から、樹脂製の表面を有する被記録媒体支持部に支持されていることが好ましい。被記録媒体支持部が樹脂製の表面であれば軽く、支持部搬送装置のモーターを強力なものとする必要がない。また、支持部が透明な樹脂製であれば被記録媒体を固定する際の位置決めの作業性がよくなる。また、被記録媒体支持部の表面が樹脂製の場合、支持部に被記録媒体をセットする際に被記録媒体との摩擦などにより静電気が発生しやすい。静電気が発生すると、ミストが発生しやすい。そのため、樹脂製の表面を有する被記録媒体支持部の場合、特に本発明を適用して問題を解決する必要性が大きい。
図3は本実施形態のインクジェット記録方法で記録を行うインクジェット記録装置(全体)の全体構成のブロック図の一例である。インクジェットプリンター1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、センサ群50、コントローラー60を有する。表示装置120を有するコンピュータ110から印刷信号PRTを受信したインクジェットプリンター1は、コントローラー60によって各ユニットを制御し被記録媒体に記録を行う。コントローラー60は、ユニット制御回路64、CPU62、メモリ63、インターフェース部61を有する。ヘッドユニット40は前述のヘッド、吐出機構を有し、記録の際の吐出周波数、インク量などは、コントローラー60によるヘッドユニット40の制御により行われる。キャリッジユニットはヘッドを主走査方向に沿って移動させる。搬送ユニットは被記録媒体を搬送方向へ搬送する。
本実施形態において、インク組成物としては特に限定されず、例えば、水系インク、非水系インク(溶剤系インク等)が挙げられる。インク組成物は、特に限定されないが、色材、樹脂エマルジョン、及び水溶性溶剤を含むことが好ましい。以下、上記インク組成物に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)について詳細に説明する。なお、第一のノズル列から吐出するインク組成物と第二のノズル列から吐出するインク組成物はお互いに同一組成(成分及びその含有量が同じ)であるインク組成物であっても、異なる組成であるインク組成物であってもよいが、2つのノズル列を用いて1つの画像(例えば白画像)の形成を行う場合は、少なくとも色材の種類を同じとするインク組成物を用いることが好ましく同一成分であるインクがより好ましい。
(1−1.白色顔料)
第一のノズル列と第二のノズル列から吐出されるインク組成物は、白色顔料を含むことが好ましい。白色顔料を含む白インク組成物は、白画像により色の濃い布帛を隠蔽して、白画像の上に記録するカラー画像の見栄えをよくするためにベタ画像として記録する。この際、印刷速度が遅くならないように全ノズルから比較的高い吐出周波数でインク組成物を吐出する。そうすると、エアカーテンが特に形成されやすく、ノズルプレートの付着汚れが増大し、吐出不良(不吐出や飛行曲がり)を起こすノズルが増え、ノズルのクリーニングの頻度を増やすことが必要である。そのため、白色インク組成物を構成する白色顔料の場合、特に本発明を適用して問題を解決する必要性が大きい。
本実施形態で用いるインク組成物には、以下に例示するその他の色材も特に限定されず用いることができる。カーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)が挙げられる。また、カーボンブラックの市販品として、例えば、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上全て商品名、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250(以上全て商品名、デグサ社(Degussa AG)製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700(以上全て商品名、コロンビアカーボン社(Columbian Carbon Japan Ltd)製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12(以上全て商品名、キャボット社(Cabot Corporation)製)等が挙げられる。無機顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、グリーンインクやオレンジインク等、上記以外の色のインクに用いられる顔料としては、従来公知のものが挙げられる。色材を含まないクリアインクとしてもよい。
上記の顔料は、インク組成物中で分散された状態として、即ち顔料分散体として存在するとよい。ここで、本明細書における顔料分散体は、顔料分散液、及び顔料のスラリー(低粘度水性分散体)を包含する意味である。
上記の自己分散型顔料は、分散剤なしに水性媒体中に分散又は溶解することが可能な顔料である。ここで「分散剤なしに水性媒体中に分散又は溶解する」とは、顔料を分散させるための分散剤を用いなくても、その表面の親水基により、水性媒体中に安定に存在している状態を言う。そのため、分散剤に起因する消泡性の低下による発泡がほとんど無く、吐出安定性に優れるインクが調製しやすい。また、分散剤に起因する大幅な粘度上昇が抑えられるため、顔料をより多く含有することが可能となり印字濃度を十分に高めることが可能になる等、取り扱いが容易である。
上記のポリマー分散型顔料は、ポリマー分散によって分散可能とした顔料である。ポリマー分散型顔料に用いられるポリマーとしては、以下に限定されないが、例えば、顔料の分散に用いられる分散ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、55℃以下であることが好ましく、50℃以下がより好ましい。当該Tgが55℃以下であると、インクの定着性を良好なものとすることができる。
また、インクの定着性、光沢性、及び色再現性に優れるため、上記ポリマー分散型顔料の中でもポリマーに被覆された顔料、即ちマイクロカプセル化顔料が好適に用いられる。
本実施形態で用いるインク組成物は、樹脂エマルジョンをさらに含むことが好ましい。当該樹脂エマルジョンは、インクの乾燥に伴い、樹脂同士と、樹脂及び顔料と、がそれぞれ互いに融着して顔料を被記録媒体に固着させるため、記録物の画像部分の耐擦性及び洗濯堅牢性を一層良好にすることができる。樹脂エマルジョンの中でもウレタン樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョンが好ましく、ウレタン樹脂エマルジョンがより好ましい。これにより、インクの定着性が優れたものとなるため、記録物の耐擦性及び洗濯堅牢性が共に優れたものとなる。
上記の数式中、EP1は滴定量(mL)、BL1はブランク値(0.0mL)、FA1は滴定液のファクター(1.00)、C1は濃度換算値(5.611mg/mL)(0.1mo1/L KOH 1mLの水酸化カリウム相当量)、K1は係数(1)、SIZEは試料採取量(g)をそれぞれ表す。
本実施形態で用いるインク組成物は、環状アミド化合物をさらに含むことが好ましい。当該環状アミド化合物は、乳酸エステル化合物の水への溶解性を良好にする機能を有する。そこで、インク組成物が上記の乳酸エステル化合物と共に環状アミド化合物も含むことにより、ウレタン樹脂(エマルジョン)の溶解力が一層強くなり、上述のような異物の析出を一層効果的に防止できるため、保存安定性、特に高温下での保存安定性が一層優れたものとなる。
本実施形態で用いるインク組成物は、水溶性溶剤を含むことができ、水を含むことが好ましい。当該水性溶媒としては、水及び水溶性有機溶剤が挙げられる。水としては、特に制限されることなく、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。水の含有量は、特に制限されることなく必要に応じて適宜決定すればよいが、インク組成物の粘度を好適な範囲に調整するため、インク組成物の総質量(100質量%)に対して20〜80質量%含まれているとよい。
なお、以下で説明する各種の添加剤(成分)は、重複を避けるため、上述した環状アミド化合物を含まないものとする。
本実施形態で用いるインク組成物は、その構成成分である水性溶媒が被記録媒体に浸透することを一層促進するため、浸透剤をさらに含有するとよい。上記水性溶媒が被記録媒体に素早く浸透することによって、画像の滲みが少ない記録物を得ることができる。
本実施形態で用いるインク組成物は、保湿剤(湿潤剤)をさらに含んでもよい。保湿剤としては、一般にインクジェットインクに用いられるものであれば特に制限されることなく使用可能である。好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上の沸点を有する高沸点の保湿剤を用いるとよい。沸点が上記範囲内である場合、インク組成物に良好な保水性及び湿潤性を付与することができる。
本実施形態で用いるインク組成物は、界面活性剤を含んでもよい。当該界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、及びポリシロキサン系界面活性剤のうち少なくともいずれかが好ましい。インク組成物がこれらの界面活性剤を含むことにより、被記録媒体に付着したインク組成物の乾燥性が一層良好となり、かつ、高速印刷が可能となる。
本実施形態で用いるインク組成物は、その保存安定性及びヘッドからの吐出安定性を良好に維持するため、目詰まり改善のため、又はインクの劣化を防止するため、保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などの、種々の添加剤を適宜添加することもできる。本実施形態で用いるインク組成物は、揮発性成分中、水を最も多く含む水系インク組成物とすることが、安全性の点で好ましい。
次に、本実施形態の被記録媒体について説明する。本実施形態の記録方法に用いられる被記録媒体は、特に限定されないが、例えば、布帛、紙である。布帛としては、以下に限定されないが、例えば、絹、綿、羊毛、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の天然繊維又は合成繊維が挙げられる。これらのうち、高温下でのインク組成物の定着に耐えられるため、綿が好ましい。
本実施形態のインクジェット記録装置は、上記インクジェット記録方法で記録を行うものであれば特に限定されず、上述の構成を有する他は、従来と同様の構成であってもよい。
下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔色材〕
・二酸化チタン(シーアイ化成社製 製品名:Nano tek slurry、酸化チタン固形分濃度15% 平均粒径250nm)
〔樹脂エマルジョン〕
・タケラックWS−6021(三井化学ポリウレタン社製製品名、固形分30%、ウレタン樹脂)
〔分散剤〕
・デモールNL(花王ケミカル社製製品名、固形分41%)
〔有機溶剤〕
・グリセリン
・トリエチレングリコール
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル
〔シリコン系界面活性剤〕
・BYK−348(BYK社製商品名)
下記の表1に示す組成(質量%)で混合し、十分に撹拌し、インク組成物1、2を得た。表1中、タケラックWS−6021と分散剤デモールNLは固形分以外の溶媒成分も含めた使用量であり、二酸化チタンは固形分の量であり、固形分(%)はインク中の固形分の量である。
被記録媒体としては、綿100%のTシャツ布帛(HANES社製のヘビーウェイト 黒色生地)と、普通紙(ゼロックスP)を用いた。
プリンターGS6000(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製)を改造したもの(以下、「GS6000改造機」という。)を用いた。改造部分は、以下のヘッドと、吐出機構と、被記録媒体支持部材質とを備えた点である。
布帛に対して、前記改造機を用いて、インクジェット法により、上記で調製したインク組成物1又は2を被記録媒体に付着させた。より具体的には、第一のノズル列及び第二のノズル列から、所定の吐出の周波数、所定のインク量でインク組成物を吐出し、インク組成物を被記録媒体へ付着させた。ドット形成密度は所定の値とし、記録媒体をA4サイズとし、ベタパターン画像を記録した。吐出の周波数、インク量及びドット形成密度は表2、3に示すとおりである。
〔インク付着量(mg/inch2)〕
インク付着量は、下記式に従い、ドット形成密度から求めた。なお「×2」としたのは第一のノズル列と第二のノズル列とでそれぞれ同様にインクを付着させているためである。つまり、記録媒体上における第一のノズル列によるドット形成位置と第二のノズル列によるドット形成位置及びインク付着量は全く同じであるとし、第一のノズル列によるドット形成と、第一のノズル列と第二のノズル列とを合わせた全体のドット形成とを比較した場合、ドット形成密度は同じであり、インク付着量は前者に対し後者を2倍とした。
インク付着量(mg/inch2)=インク滴のインク量(ng)×横方向のドット形成密度(dpi)×縦方向のドット形成密度(dpi)×2×10-6
前記改造機を用い、表1に示すインク組成物1又は2を用いて、約A4サイズの大きさにした綿100%のTシャツ布帛(HANES社製のヘビーウェイト 黒色生地)に20×20cmのベタ画像を印刷した。50枚印刷した後のノズルプレートの2本のノズル列の間のインクの汚れを目視で観察した。ノズルプレートへのインクの付着汚れの評価基準を以下に示す。なお、いずれの例も第一及び第二ノズル列の外側にはインクの汚れはほとんど見られなかった。
(評価基準)
◎:ノズルの汚れが見えない。
○:ノズル列間に若干のインクの付着が見えるがノズルの周囲のインクの付着は少ない。
△:ノズルの周囲にもインクの付着が見える。
×:ノズルプレートがほとんどインクで埋まっている。
前記改造機を用い、表1に示すインク組成物1又は2を用いて、ノズルプレートへのインク付着汚れ評価と同じ布帛へ同じ条件でベタ画像の印刷を行い、1枚印刷するごとに不吐出ノズルの有無のノズル検査を行った。全使用ノズル数に対する0.3%以上の個数のノズルが不吐出になった時点でクリーニングが必要と判断した。クリーニングが必要と判断した時点の印刷枚数に基づいて、クリーニング頻度を以下の評価基準で評価した。
(評価基準)
◎:81枚以上
○:51〜80枚
△:21〜50枚
×:20枚以下
ノズルプレートへのインクの付着汚れの評価における、1枚目の印刷物を評価した。具体的には、測色器(商品名「Gretag Macbeth Spectrolino」、X−RITE社製)によりL*値を測定し、得られたL*値に基づいて画像の隠蔽性を以下の評価基準で評価した。
(評価基準)
◎:90以上
○:80〜90未満
△:70〜80未満
×:70未満
前記改造機を用い、表1に示すインク組成物1又は2を用いて、約A4サイズの大きさにした綿100%のTシャツ布帛(HANES社製のヘビーウェイト 黒色生地)に20×20cmのベタ画像を印刷した。印刷速度は以下の評価基準で評価した。
(評価基準)
○:実施例1と同じ
×:実施例1と比べてパス数(主走査数)が2倍以上必要だった。
前記改造機を用い、表1に示すインク組成物を用いて、ノズルプレートへのインク付着汚れの評価と同じ方法で1枚の白ベタ画像を印刷した後、直ちに、図1のCノズルレーンを用いて、シアンインクを用いて白ベタ画像よりも内側に10×10cmのベタ画像(インク滴7ng、ドット密度4320×720dpi)を重ねて印刷した。白画像とカラー画像の境界の滲みを目視で観察した。シアンインクは白インク組成物2で二酸化チタンを含む代わりにシアン顔料ピグメントブルー15:3(クラリアント製)を4質量%含ませたものを調整して用いた。白ベタ画像とシアン画像の境界部を目視で観察した。
(評価基準)
○:滲みなし
×:滲みあり
比較例3、4は、ノズル密度が低いためノズル数(使用ノズル数)が少なく所定のインク付着量とするためにパス数を増やす必要が生じ、パス数が多いことはパス間の副走査も多くなり印刷速度低下への影響が大きい。なお、比較例3、4において、ノズル密度を360dpiとしながらノズル列の副走査方向の長さを2倍としてノズル数も2倍として、ノズル数を実施例1と同じにすることも考えられるが、この場合、ヘッドの副走査方向の長さが大きくなり記録装置の小型化の点で好ましくない。
比較例5、7は、吐出の周波数が低いがパス数は実施例1と同じとしたため、印刷速度は低下しなかったが、ドット形成密度が低くインク付着量が少なくなり、画像の隠蔽性が低下した。比較例6は、比較例7に比して、パス数を2倍にすることで、ドット形成密度とインク付着量を多くしたものだが、印刷速度が低下した。
なお、実施例3、比較例8は、記録媒体を普通紙としたものであるが、インク付着量が多いことにより記録媒体に変形が見られた。
Claims (11)
- 第一のノズル列と、該第一のノズル列に沿って配列された第二のノズル列とを有し、前記第一のノズル列と前記第二のノズル列の間の距離は15mm以上であり、前記第一のノズル列のノズル密度及び前記第二のノズル列のノズル密度はそれぞれ600dpi以上である、インクジェットヘッドを用い、
該インクジェットヘッドを、被記録媒体に対して、前記第一のノズル列及び前記第二のノズル列の列方向と交差する方向に相対的な位置を変化させながら、前記第一のノズル列及び前記第二のノズル列におけるノズルから、周波数12kHz以上でインク組成物を吐出する走査を行うことで、
該インク組成物を前記被記録媒体へ付着させる、
インクジェット記録方法。 - 前記被記録媒体に対する前記インクの付着量が、150mg/inch2以上である、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク組成物が、12質量%以上の固形分を含む、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク組成物が、色材、樹脂エマルジョン、及び水溶性溶剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク組成物が、酸化チタンを含む白インク組成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記走査を複数回行うことで記録を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記被記録媒体が、布帛である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記被記録媒体が、被記録媒体の前記インクジェットヘッドに対向する側の反対側から、樹脂製の表面を有する被記録媒体支持部に支持されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 1ノズルから吐出する前記インク組成物の1回の吐出のインク量が、10ng以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクジェットヘッドは、前記第一のノズル列の前記第二のノズル列とは反対側、及び、前記第二のノズル列の前記第一のノズル列とは反対側の少なくとも一方に、前記インク組成物とは異なる他のインク組成物を吐出する他のノズル列を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法で記録を行う、インクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017036026A JP6332500B2 (ja) | 2017-02-28 | 2017-02-28 | インクジェット記録方法、インクジェット記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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