1 実施の形態1
1.1 印刷システム
図1は、実施の形態1のプリンタを備える印刷システムを示すブロック図である。
図1に示される印刷システム1000は、ホストパーソナルコンピュータ(PC)1022およびプリンタ1024を備える。印刷システム1000がこれらの構成物以外の構成物を備えてもよい。
プリンタ1024は、ホストPC1022に通信可能に接続される。
1.2 プリンタ
プリンタ1024は、熱転写型のプリンタであり、印刷部1042および制御部1044を備える。
印刷部1042は、ペーパーロール1062、ペーパー1064、インクボビン1066、インクシート1068、インクボビン1070、ピンチローラー1072、グリップローラー1074、サーマルヘッド1076、プラテンローラー1078、カット機構1080、パルスモータ1082およびパルスモータ1084を備える。制御部1044は、画像データ生成部1102、サーマルヘッド制御部1104、インクシート駆動制御部1106、ペーパー駆動制御部1108および待機時間制御部1110を備える。画像データ生成部1102は、メモリ1122を備える。プリンタ1024がこれらの構成物以外の構成物を備えてもよい。
1.3 ホストPCとプリンタとの間の通信
印刷システム1000が画像を印刷する場合は、ホストPC1022およびプリンタ1024が互いに通信を行い、画像データを含むジョブがホストPC1022からプリンタ1024へ転送される。ジョブは、プリントジョブ等とも呼ばれ、印刷の処理の単位になる。
ホストPC1022は、プリンタドライバその他のプリンタ制御用のソフトウェアを実行しプリンタ制御用のソフトウェアにしたがって動作することにより、ジョブを生成する。ホストPC1022は、オペレーションシステムまたはアプリケーションを実行しオペレーションシステムまたはアプリケーションにしたがって動作することにより、プリンタ1024がジョブを受信できる状態であるか否かを示す情報をプリンタ1024から受信し、プリンタ1024がジョブを受信できる状態であることが当該情報により示されている場合は生成したジョブをプリンタ1024に送信する。ホストPC1022は、生成した複数個のジョブの各々についてこれらの処理を行うことにより、生成した複数個のジョブをプリンタ1024に順次に送信する。
プリンタ1024は、ジョブを受信できる状態であるか否かを示す情報をホストPC1022に送信する。当該情報においては、メモリ1122がジョブの受信に必要な空き容量を有する場合に、ジョブを受信できる状態であることが示される。プリンタ1024は、ジョブをホストPC1022から受信し、受信したジョブに含まれる画像データにより表現される画像をペーパー1064に印刷する。プリンタ1024は、複数個のジョブの各々についてこれらの処理を行うことにより、複数個のジョブについて順次に印刷を行う。プリンタ1024は、複数個のジョブを受信した場合は、ジョブを受信した順にジョブについて印刷を行う。
1.4 印刷部
印刷部1042においては、ペーパーロール1062に巻かれたペーパー1064がペーパーロール1062から引き出される。引き出されたペーパー1064は、ピンチローラー1072とグリップローラー1074とに挟まれる。挟まれたペーパー1064は、ピンチローラー1072およびグリップローラー1074の回転により搬送され、サーマルヘッド1076とプラテンローラー1078との間隙1142およびカット機構1080を通過させられる。ピンチローラー1072およびグリップローラー1074は、ペーパー1064を搬送する搬送機構を構成する。ピンチローラー1072およびグリップローラー1074からなる搬送機構が他の搬送機構に置き換えられてもよい。ペーパー1064が被転写体となりうる他の種類の記録媒体に置き換えられてもよい。
印刷部1042においては、インクボビン1066に巻かれたインクシート1068がインクボビン1066から引き出され、引き出されたインクシート1068が間隙1142を通過し、通過したインクシート1068がインクボビン1070に巻き取られる。インクボビン1066およびインクボビン1070は、それぞれパルスモータ1082およびパルスモータ1084により回転させられる。これにより、インクシート1068がインクボビン1066からインクボビン1070へ搬送され、インクボビン1070からインクボビン1066へ逆搬送される。インクボビン1066、インクボビン1070、パルスモータ1082およびパルスモータ1084は、インクシート1068を搬送する搬送機構を構成する。インクボビン1066、インクボビン1070、パルスモータ1082およびパルスモータ1084からなる搬送機構が他の搬送機構に置き換えられてもよい。インクシート1068には、インクが塗布されている。
印刷部1042においては、インクシート1068からペーパー1064へのインクの熱転写が行われる場合に、ペーパー1064およびインクシート1068が間隙1142において重ね合わされ、重ね合わされたペーパー1064およびインクシート1068がサーマルヘッド1076およびプラテンローラー1078に挟まれ、ペーパー1064およびインクシート1068が互いに圧接させられ、サーマルヘッド1076によりインクシート1068が加熱される。印刷部1042においては、ペーパー1064およびインクシート1068を搬送しながら当該熱転写を繰り返し行うことにより、入力された印刷用の画像データにより表現される画像がペーパー1064に印刷される。
印刷部1042においては、画像が印刷されたペーパー1064がカット機構1080によりカットされる。これにより、画像が印刷されたペーパー片からなる印刷物が得られる。得られた印刷物は、プリンタ1024から排出される。
1.5 制御部
画像データ生成部1102は、ホストPC1022からプリンタ1024へ転送されてきたジョブを受信し、受信したジョブに含まれる画像データをメモリ1122に一時保持させ、使用されるインクシート1068に適合する印刷用の画像データを一時保持された画像データから生成し、生成した印刷用の画像データを印刷部1042へ出力する。これにより、画像データ生成部1102は、受信したジョブから印刷用の画像データを生成し、生成した印刷用の画像データにより表現される画像を印刷部1042に印刷させる。画像データ生成部1102は、複数個の画像データがメモリ1122に一時保持されている場合は、画像データを受信した順に画像データを印刷用の画像データに変換する。
ジョブに含まれる画像データは、イエロー(Y)色成分、マゼンタ(M)色成分およびシアン(C)色成分からなるYMC画像データであり、印刷される画像を表現する。画像データが、Y成分、M成分およびC成分以外の複数個の色成分からなる画像データであってもよい。
サーマルヘッド制御部1104は、印刷が行われる場合においてペーパー1064およびインクシート1068が搬送されているときに、サーマルヘッド1076をプラテンローラー1078に近づける動作、サーマルヘッド1076をプラテンローラー1078から遠ざける動作等を制御する。
インクシート駆動制御部1106は、パルスモータ1082およびパルスモータ1084を制御することにより、インクボビン1066およびインクボビン1070の回転を制御し、インクボビン1066からのインクシート1068の引き出し、インクボビン1066へのインクシート1068の巻き取り、インクボビン1070へのインクシート1068の巻き取りおよびインクボビン1070からのインクシート1068の引き出しを制御し、インクシート1068の搬送および逆搬送を制御する。インクシート1068の逆搬送は、インクシート1068の巻き戻しのために行われる。
ペーパー制御部1044は、ピンチローラー1072、グリップローラー1074等を制御することにより、ペーパーロール1062からのペーパー1064の引き出しおよびペーパーロール1062へのペーパー1064の巻き取りを制御し、ペーパー1064の搬送および逆搬送を制御する。ペーパー1064の逆搬送は、ペーパー1064の巻き戻しのために行われる。ペーパー1064の巻き戻しは、ペーパー1064のカットが行われる場合等に必要になる。
待機時間制御部1110は、印刷部1042、画像データ生成部1102、サーマルヘッド制御部1104、インクシート駆動制御部1106およびペーパー駆動制御部1108を備える印刷機構1046がジョブについて印刷を行う場合に、画像の印刷を待機時間だけ待機するように印刷機構1046を制御する。
1.6 インクシート
図2の模式図は、実施の形態1のプリンタに備えられるインクシートを示す平面図である。
図2に示されるインクシート1068は、ウェブ状であり、インクシート1068が延在する方向に配列される複数個のインクシート面1162を有する。複数個のインクシート面1162の各々であるインクシート面1182は、大判サイズを有する1個の画面を印刷するために使用される。1個の画面は、大判サイズを有する1個の画像のみを含む場合もあるし、各々が大判サイズより小さい小判サイズを有するn個の画像を含む場合もある。nは、2以上である。図2は、各々が小判サイズを有するn個の画像を含む1個の画面が印刷される場合の使用状態を示す。
インクシート面1182は、Yインク領域1202、Cインク領域1204、Mインク領域1206およびオーバーコート(OP)層領域1208を有する。Yインク領域1202、Cインク領域1204、Mインク領域1206およびOP層領域1208は、この記載された順序で巻き取り側から引き出し側に向かってインクシート1068が延在する方向に配列される。Yインク領域1202、Cインク領域1204およびMインク領域1206には、それぞれY色成分、C色成分およびM色成分のインクが塗布される。OP層領域1208には、オーバーコート層が塗布される。
Yインク領域1202は、第1の領域1222、第2の領域1224、・・・、第nの領域1226を有する。第1の領域1222、第2の領域1224、・・・、第nの領域1226は、それぞれ、各々が小判サイズを有する第1の画像、第2の画像、・・・、第nの画像が印刷される場合にY色成分のインクの供給源になり、この記載された順序で引き出し側から巻き取り側に向かってインクシート1068が延在する方向に配列される。
Mインク領域1206も、第1の領域1242、第2の領域1244、・・・、第nの領域1246を有する。第1の領域1242、第2の領域1244、・・・、第nの領域1246は、それぞれ、第1の画像、第2の画像、・・・、第nの画像が印刷される場合にM色成分のインクの供給源になり、この記載された順序で引き出し側から巻き取り側に向かってインクシート1068が延在する方向に配列される。
Cインク領域1204も、第1の領域1262、第2の領域1264、・・・、第nの領域1266を有する。第1の領域1262、第2の領域1264、・・・、第nの領域1266は、それぞれ、第1の画像、第2の画像、・・・、第nの画像が印刷される場合にC色成分のインクの供給源になり、この記載された順序で引き出し側から巻き取り側に向かってインクシート1068が延在する方向に配列される。
OP層領域1208も、第1の領域1282、第2の領域1284、・・・、第nの領域1286を有する。第1の領域1282、第2の領域1284、・・・、第nの領域1286は、それぞれ、第1の画像、第2の画像、・・・、第nの画像が印刷される場合にOP層の供給源になり、この記載された順序で引き出し側から巻き取り側に向かってインクシート1068が延在する方向に配列される。
大判サイズは6×8インチサイズであり、小判サイズは6×4インチサイズであり、nは2である。しかし、大判サイズが6×8インチサイズ以外であってもよく、小判サイズが6×4インチサイズ以外であってもよく、nが3以上であってもよい。例えば、大判サイズが8×10インチサイズ、8×12インチサイズ等であってもよく、小判サイズが8×4インチサイズ、8×6インチサイズ等であってもよく、nが3であってもよい。
1.7 ジョブ内の画像の連結
画像データ生成部1102は、少なくとも1個のジョブを受信し、少なくとも1個のジョブに含まれる複数個の画像データを順次に受信する。受信する複数個の画像データの各々は、小判サイズを有する画像を表現する。
待機時間制御部1110は、画像データ生成部1102がジョブJobを受信し、ジョブJobが画像データJob_1およびJob_2を含み、画像データ生成部1102が画像データJob_1に続いて画像データJob_2を受信し、画像データJob_1の受信を終了してから画像データJob_2の受信を開始するまでの時間が待機時間Twaitより短い場合は、インクシート面1182を1回使用して画像Img_1およびImg_2を連結して印刷するジョブ内の画像の連結が行われるように印刷機構1046を制御する。画像データJob_1およびJob_2は、それぞれ画像Img_1およびImg_2を表現する。画像Img_1およびImg_2の各々は、小判サイズを有する。
ジョブ内の画像の連結が行われる場合は、インクシート1068が搬送され、インクシート面1182が間隙1142を通過している間に、間隙1142を通過しているインクシート面1182を使用して画像Img_1およびImg_2を含む1個の画面が印刷される。この場合は、インクシート面1182が間隙1142を通過した後にインクシート1068の巻き戻しが行われず、間隙1142を通過したインクシート面1182が間隙1142を再び通過することはなく、インクシート面1182が有する第1の領域1222,1242,1262および1282ならびに第2の領域1224,1244,1264および1284が使用される。巻き戻しが行われないことは、ダメージを受けたインクシート面1182を使用して印刷が行われることを抑制し、印刷の品位を向上させる。巻き戻しが行われないことは、巻き戻し、巻き戻しの後のプリンタに備えられる構成物の復帰等に要する待ち時間をなくし、印刷に要する時間を短くする。第1の領域1222,1242,1262および1282ならびに第2の領域1224,1244,1264および1284が使用されることは、インクシート1068の一部が無駄になることを抑制し、印刷のコストを低下させる。
画像Img_1およびImg_2の連結は、プリンタ1024において行われる。したがって、ホストPC1022は、画像データJob_1およびJob_2から大判サイズを有する画像を表現する画像データを生成する画像合成を行わない。
メモリ1122は、2個以上の画面を印刷するために必要な画像データを保持可能な容量を有する。このため、各々が2個の画像を含む2個以上の画面の印刷は、途切れることなく行われる。
画像Img_1およびImg_2を含む画面が印刷されたペーパー1064は、カット機構1080によりカットされる。これにより、画像Img_1が印刷された印刷物および画像Img_2が印刷された印刷物が得られる。画像Img_1が印刷された印刷物および画像Img_2が印刷された印刷物の各々は、小判サイズを有する。
待機時間制御部1110は、画像データJob_1の受信を終了してから画像データJob_2の受信を開始するまでの時間が待機時間Twaitより長い場合は、ジョブ内の画像の連結が行われないように印刷機構1046を制御する。
ジョブ内の画像の連結が行われない場合は、インクシート1068が搬送され、インクシート面1182である第1のインクシート面が間隙1142を通過している間に、間隙1142を通過している第1のインクシート面の第1の領域1222,1242,1262および1282を使用して画像Img_1のみを含む第1の画面が印刷される。
第1の画面の印刷において第1のインクシート面が大きなダメージを受けた場合は、インクシートがさらに搬送され、第1のインクシート面に続くインクシート面1182である第2のインクシート面が間隙1142を通過している間に、間隙1142を通過している第2のインクシート面の第2の領域1224,1244,1264および1284を使用して画像Img_2のみを含む第2の画面が印刷される。この場合は、第1のインクシート面が間隙1142を通過した後にインクシート1068の巻き戻しが行われず、間隙1142を通過した第1のインクシート面が間隙1142を再び通過することはないが、第1のインクシート面が有する第2の領域1224,1244,1264および1284が使用されずに破棄される。
第1の画面の印刷において第1のインクシート面が大きなダメージを受けていない場合は、インクシート1068の巻き戻しが行われ、第1のインクシート面が間隙1142を再び通過している間に、間隙1142を通過している第1のインクシート面の第2の領域1224,1244,1264および1284を使用して画像Img_2のみを含む第2の画面が印刷される。この場合は、第1のインクシート面が有する第1の領域1222,1242,1262および1282ならびに第2の領域1224,1244,1264および1284が使用されるが、第1のインクシート面が間隙1142を通過した後にインクシート1068の巻き戻しが行われ、間隙1142を通過した第1のインクシート面が間隙1142を再び通過する。
第1のインクシート面が大きなダメージを受けたか否かは、画像Img_1の濃度に基づいて判定される。画像Img_1の濃度が基準より濃い場合は、第1のインクシート面が大きなダメージを受けたと判定される。第1のインクシート面が大きなダメージを受けたか否かが他の方法により判定されてもよい。
待機時間Twaitは、ホストPC1022からプリンタ1024に画像データを転送するのに要する転送時間に基づいて決定され、当該転送時間が長くなるほど長くされる。望ましくは、待機時間Twaitは、ホストPC1022が標準的な状態である場合にプリンタ1024が印刷できるサイズを有する画像を表現する画像データをホストPC1022からプリンタ1024に転送するのに要する転送時間に基づいて決定される。標準的な状態とは、ホストPC1022が高負荷の処理を行っており転送時間が極端に長くなる状態等の特別な状態でないことを意味する。これにより、インクシート面1182を1回使用して画像Img_1およびImg_2を連結して印刷できる場合が多くなる。したがって、インクシートの種類を増やさずに、印刷の品位が低下することが抑制され、インクシート1068の一部が無駄になることが抑制され、印刷に要する時間が短くなり、印刷のコストが低下する。また、多数個の画像データを含むジョブについて印刷が行われる場合は、メモリ1122をバッファーとして利用することにより、各々が2個の画像を含む2個以上の画面が途切れなく印刷される。
待機時間Twaitは、概ね秒単位で決定されている。待機時間Twaitが秒単位で決定されている場合は、異常等により転送時間が長くなったときに、画像Img_1が印刷された印刷物がプリンタ1024から排出されるのを長時間にわたって待つ必要がなくなり、作業効率が向上する。ただし、待機時間Twaitが秒単位で決定されないことも許される。
小判サイズが6×4インチサイズである場合は、望ましくは待機時間Twaitは5秒程度に決定される。待機時間Twaitが5秒程度に決定された場合は、連続して受信される画像データJob_1およびJob_2によりそれぞれ表現される画像Img_1およびImg_2を連結して印刷できる場合が多くなる。
1.8 ジョブ間の画像の連結
図3は、実施の形態1のプリンタを備える印刷システムにおけるジョブの保持状態を示すブロック図である。図4は、実施の形態1のプリンタにおけるジョブの受信タイミングを示すタイムチャートである。図5は、実施の形態1のプリンタにおいてジョブ間の画像の連結が行われた場合に得られる印刷物を示す模式図である。図6は、実施の形態1のプリンタにおいてジョブ間の画像の連結が行われない場合に得られる印刷物を示す模式図である。
図3に示されるように、ホストPC1022に備えられるメモリ1302には、ホストPC1022により生成されたがプリンタ1024に送信されていない画像データJobB_1,JobB_2,JobB_3,JobB_4およびJobB_5が一時保持され、画像データ生成部1102に備えられるメモリ1122には、ホストPC1022から受信したが印刷が行われていない画像データJobA_n-5,JobA_n-4,JobA_n-3,JobA_n-2,JobA_n-1およびJobA_nが一時保持されている。画像データJobB_1,JobB_2,JobB_3,JobB_4およびJobB_5は、ジョブJobBに含まれる。画像データJobA_n-5,JobA_n-4,JobA_n-3,JobA_n-2,JobA_n-1およびJobA_nは、ジョブJobAに含まれる。
図3に示されるジョブの保持状態においては、ホストPC1022は、JobBに含まれる画像データJobB_1,JobB_2,JobB_3,JobB_4およびJobB_5を既に生成したが、ジョブJobBに含まれる残余の画像データをさらに生成している。図3に示されるジョブの保持状態においては、ジョブJobBの生成が完了していないため、ホストPC1022からプリンタ1024への画像データの転送が行われていない。
図3に示されるジョブの保持状態においては、プリンタ1024は、ジョブJobAに含まれる、6個の画像データJobA_n-5,JobA_n-4,JobA_n-3,JobA_n-2,JobA_n-1およびJobA_n以外のn−6個の画像データについて印刷中であり、残余の画像データJobA_n-5,JobA_n-4,JobA_n-3,JobA_n-2,JobA_n-1およびJobA_nを保持している。
画像データ生成部1102は、図4に示されるように、ジョブJobAに続いてジョブJobBを受信する。ジョブJobAが受信される場合は、ジョブJobAに含まれる画像データJobA_1,JobA_2,・・・,JobA_n-1,JobA_nが順次に受信される。ジョブJobBが受信される場合は、ジョブJobBに含まれる画像データJobB_1,JobB_2,・・・,JobB_n-1,JobB_nが順次に受信される。図3に示されるジョブの保持状態は、ジョブJobAにおいて最後に受信される画像データJobA_nの受信が終了した後であってジョブJobBにおいて最初に受信される画像データJobB_1の受信が開始される前のものである。画像データJobA_nおよびJobB_1は、それぞれ画像ImgA_nおよびImgB_1を表現する。画像ImgA_nおよびImgB_1の各々は、小判サイズを有する。
待機時間制御部1110は、画像データJobA_nの受信を時刻TAendに終了してから経過時間Tの計測を開始し、画像データJobA_nの受信を時刻TAendに終了してから画像データJobB_1の受信を時刻TBstartに開始するまでの時間TBstart-TAendが待機時間TwaitNextJobより短い場合は、インクシート面1182を1回使用して画像ImgA_nおよびImgB_1を連結して印刷するジョブ間の画像の連結が行われるように印刷機構1046を制御する。ジョブ間の画像の連結は、ジョブJobAに含まれる画像データJobA_1,JobA_2,・・・,JobA_n-1,JobA_nが奇数個の画像データである場合等のジョブ内の画像の連結からあぶれた画像データJobA_nが存在する場合に行われる。
ジョブ間の画像の連結が行われる場合は、インクシート1068が搬送され、インクシート面1182が間隙1142を通過している間に、間隙1142を通過しているインクシート面1182を使用して画像ImgA_nおよびImgB_1を含む1個の画面が印刷される。この場合は、インクシート面1182が間隙1142を通過した後にインクシート1068の巻き戻しが行われず、間隙1142を通過したインクシート面1182が間隙1142を再び通過することはなく、インクシート面1182が有する第1の領域1222,1242,1262および1282ならびに第2の領域1224,1244,1264および1284が使用される。巻き戻しが行われないことは、ダメージを受けたインクシート面1182を使用して印刷が行われることを抑制し、印刷の品位を向上させる。また、巻き戻しが行われないことは、巻き戻し、巻き戻しの後のプリンタ1024に備えられる構成物の復帰等に要する待ち時間をなくし、印刷に要する時間を短くする。第1の領域1222,1242,1262および1282ならびに第2の領域1224,1244,1264および1284が使用されることは、インクシート1068の一部が無駄になることを抑制し、印刷のコストを低下させる。
図5に示されるように、画像ImgA_nおよびImgB_1を含む画面が印刷されたペーパー1322は、カット機構1080によりカットされる。これにより、画像ImgA_nが印刷された印刷物1342および画像ImgB_1が印刷された印刷物1344が得られる。印刷物1342および1344の各々は、小判サイズを有する。
待機時間制御部1110は、経過時間Tが待機時間TwaitNextJobを超えた場合は、すなわち、時間TBstart-TAendが待機時間TwaitNextJobより長い場合は、ジョブ間の画像の連結が行われないように印刷機構1046を制御する。
ジョブ間の画像の連結が行われない場合は、インクシート1068が搬送され、インクシート面1182である第1のインクシート面が間隙1142を通過している間に、間隙1142を通過している第1のインクシート面の第1の領域1222,1242,1262および1282を使用して画像ImgA_nのみを含む第1の画面が印刷される。
第1の画面の印刷において第1のインクシート面が大きなダメージを受けた場合は、インクシート1068がさらに搬送され、第1のインクシート面に続くインクシート面1182である第2のインクシート面が間隙1142を通過している間に、間隙1142を通過している第2のインクシート面の第2の領域1224,1244,1264および1284を使用して画像ImgB_1のみを含む1個の画面が印刷される。この場合は、第1のインクシート面が間隙1142を通過した後にインクシート1068の巻き戻しが行われず、間隙1142を通過した第1のインクシート面が間隙1142を再び通過することはないが、第1のインクシート面が有する第2の領域1224,1244,1264および1284が使用されない。
第1の画面の印刷において第1のインクシート面が大きなダメージを受けていない場合は、インクシート1068の巻き戻しが行われ、第1のインクシート面が間隙1142を再び通過している間に、間隙1142を通過している第1のインクシート面の第2の領域1224,1244,1264および1284を使用して画像ImgB_1のみを含む第2の画面が印刷される。この場合は、第1のインクシート面が有する第1の領域1222,1242,1262および1282ならびに第2の領域1224,1244,1264および1284が使用されるが、第1のインクシート面が間隙1142を通過した後にインクシート1068の巻き戻しが行われ、間隙1142を通過した第1のインクシート面が間隙1142を再び通過する。
画像ImgA_nのみを含む画面が印刷されたペーパー1362からは、図6に示されるように、画像ImgA_nが印刷された印刷物1382が得られる。画像ImgB_1のみを含む画面が印刷されたペーパー1364からは、図6に示されるように、画像ImgB_1が印刷された印刷物1384が得られる。印刷物1382および1384の各々は、小判サイズを有する。
第1のインクシート面が大きなダメージを受けたか否かは、画像ImgA_nの濃度に基づいて判定される。画像ImgA_nの濃度が基準より濃い場合は、第1のインクシート面が大きなダメージを受けたと判定される。第1のインクシート面が大きなダメージを受けたか否かが他の方法により判定されてもよい。
待機時間TwaitNextJobは、ユーザーが先行するジョブを生成する作業を行ってから後続するジョブを生成する作業を行うまでに要する時間に基づいて決定され、当該時間が長くなるほど長くされる。これにより、ジョブ内の画像の連結からあぶれた画像データJobA_nが存在する状況において、インクシート面1182を1回使用して画像ImgA_nおよびImgB_1を連結して印刷できる場合が多くなる。したがって、インクシートの種類を増やさずに、印刷の品位が低下することが抑制され、インクシート1068の一部が無駄になることが抑制され、印刷に要する時間が短くなり、印刷のコストが低下する。
待機時間TwaitNextJobは、概ね分単位で決定されている。ただし、待機時間TwaitNextJobが分単位で決定されないことも許される。
待機時間TwaitNextJobは、待機時間Twaitと共通化されておらず、待機時間Twaitより長くなっている。待機時間TwaitNextJobが待機時間Twaitと共通化されてないのは、望ましい待機時間Twaitが印刷システム1000に依存しているのに対して、望ましい待機時間TwaitNextJobがユーザーに依存しているからである。待機時間TwaitNextJobが待機時間Twaitより長くなっているのは、画像データJob_1の受信が終了されてから画像データJob_2の受信が開始されるまでの時間は相対的に短いことが想定され、画像データJobA_nの受信が終了されてから画像データJobB_1の受信が開始されるまでの時間は相対的に長いことが想定されるからである。
2 実施の形態2
図7は、実施の形態2のプリンタを備える印刷システムを示すブロック図である。
図7に示される印刷システム2000は、ホストPC2022およびプリンタ2024を備える。プリンタ2024は、印刷部2042および制御部2044を備える。制御部2044は、画像データ生成部2062、サーマルヘッド制御部2064、インクシート駆動制御部2066、ペーパー駆動制御部2068および待機時間制御部2070を備える。
印刷システム2000に備えられる印刷部2042、画像データ生成部2062、サーマルヘッド制御部2064、インクシート駆動制御部2066およびペーパー駆動制御部2068は、それぞれ、印刷システム1000に備えられる印刷部1042、画像データ生成部1102、サーマルヘッド制御部1104、インクシート駆動制御部1106およびペーパー駆動制御部1108と同様のものである。
印刷システム1000と印刷システム2000との相違は、印刷システム1000においては待機時間TwaitおよびTwaitNextJobが固定されているのに対して、印刷システム2000においては待機時間TwaitおよびTwaitNextJobを変更可能である点にある。以下では、当該相違をもたらす印刷システム2000の構成について専ら説明する。
ホストPC2022は、プリンタ制御用のソフトウェアを実行しプリンタ制御用のソフトウェアにしたがって動作することにより、ユーザーによる待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定を受け付け、当該設定の内容を示す待機時間設定データを生成し、画像データおよび待機時間設定データを含むジョブをプリンタ2024に送信する。
複数個の画像データが送信される場合は、複数個の画像データの各々について待機時間Twaitの設定が行われる。2個以上の画像データについて共通する待機時間Twaitの設定が行われてもよい。共通する待機時間Twaitの設定が行われる2個以上の画像データは、ホストPC2022の状態、ジョブの生成作業の状態等に応じて、使い勝手が向上するように選択される。
複数個のジョブが送信される場合は、複数個のジョブの各々について待機時間TwaitNextJobの設定が行われる。2個以上のジョブについて共通する待機時間TwaitNextJobの設定が行われてもよい。共通する待機時間TwaitNextJobの設定が行われる2個以上のジョブは、ホストPC2022の状態、ジョブの生成作業の状態等に応じて、使い勝手が向上するように選択される。
待機時間制御部2070は、受信したジョブに含まれる待機時間設定データに基づいて、待機時間TwaitおよびTwaitNextJobを変更する。これにより、待機時間TwaitおよびTwaitNextJobがユーザーによる設定に応じて変更される。待機時間TwaitおよびTwaitNextJobが待機時間設定データ以外に基づいて変更されてもよい。例えば、プリンタ2024が待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定を受け付け、待機時間制御部2070が当該設定に基づいて待機時間TwaitおよびTwaitNextJobを変更してもよい。
待機時間Twaitの設定は、設定の目的およびホストPC2022の状態に応じて行われる。待機時間TwaitNextJobの設定は、設定の目的およびジョブの生成作業の状態に応じて行われる。
図8は、実施の形態2のプリンタを備える印刷システムにおける待機時間Twaitの設定例を示す。
図8に示される待機時間Twaitの設定例においては、設定の目的が画像を1個ずつ印刷することにある場合は、待機時間Twaitが0秒になるように待機時間Twaitの設定が行われる。これにより、先行する画像データの受信が行われた場合に、後続する画像データの受信を待つことなく先行する画像データにより表現される画像が印刷され、インクシート2082の巻き戻し等が行われる。すなわち、ジョブ内の画像の連結が行われず、画像が印刷されるごとにインクシート2082の巻き戻し等が行われる。
設定の目的がジョブ内の画像を連結して印刷することにあり画像データの転送速度が速い場合は、待機時間Twaitが5秒になるように待機時間Twaitの設定が行われる。これにより、先行する画像データの受信を終了してから5秒以内に後続する画像データの受信を開始できるような転送速度で画像データが転送される場合に、ジョブ内の画像の連結が行われる。
設定の目的がジョブ内の画像を連結して印刷することにあり画像データの転送速度が遅い場合は、待機時間Twaitが100秒になるように待機時間Twaitの設定が行われる。これにより、先行する画像データの受信を終了してから100秒以内に後続する画像データの受信を開始できるような転送速度で画像データが転送される場合に、ジョブ内の画像の連結が行われる。
画像データの転送速度は、ホストPC2022の状態によって変化する。ホストPC2022の仕様が標準的なものでありホストPCが高負荷の処理を行っていない場合は、画像データの転送速度が速くなる。ホストPC2022の仕様が標準的なものより低いものである場合またはホストPC2022が高負荷の処理を行っている場合は、画像データの転送速度が遅くなる。
より一般的には、設定の目的が画像を1個ずつ印刷することにある場合は、待機時間Twaitが相対的に短くなるように待機時間Twaitの設定が行われ、設定の目的がジョブ内の画像を連結して印刷することにある場合は、待機時間Twaitが相対的に長くなるように待機時間Twaitの設定が行われる。また、画像データの転送速度が速くなるほど、待機時間Twaitが短くなるように待機時間Twaitの設定が行われる。
図8に示される待機時間TwaitNextJobの設定例においては、設定の目的がジョブごとに区切って画像を印刷することにある場合は、待機時間TwaitNextJobが0秒になるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われる。これにより、先行するジョブに含まれる最後の画像データの受信が行われた場合に、後続するジョブに含まれる最初の画像データの受信を待つことなく先行するジョブに含まれる最後の画像データにより表現される画像が印刷され、インクシート2082の巻き戻し等が行われる。すなわち、ジョブ間の画像の連結が行われず、ジョブごとにインクシート2082の巻き戻し等が行われる。この場合は、先行するジョブに含まれる画像データにより表現される画像と後続するジョブに含まれる画像データにより表現される画像とが混じることなく印刷される。
設定の目的がジョブ間の画像を連結して印刷することにありジョブの生成作業が単純で時間がかからない場合は、待機時間TwaitNextJobが30秒になるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われる。これにより、先行するジョブに含まれる最後の画像データの受信を終了してから30秒以内に後続するジョブに含まれる最初の画像データの受信を開始できるような生成速度でジョブが生成される場合に、ジョブ間の画像の連結が行われる。
設定の目的がジョブ間の画像を連結して印刷することにありジョブの生成作業が複雑で時間がかかる場合は、待機時間TwaitNextJobが180秒になるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われる。これにより、先行するジョブに含まれる最後の画像データの受信を終了してから180秒以内に後続するジョブに含まれる最初の画像データの受信を開始できるような生成速度でジョブが生成される場合に、ジョブ間の画像の連結が行われる。ジョブの生成作業が複雑で時間がかかる場合には、編集作業が必要である場合等がある。
より一般的には、設定の目的がジョブごとに区切って画像を印刷することにある場合は、待機時間TwaitNextJobが相対的に短くなるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われ、設定の目的がジョブ間の画像を連結して印刷することにある場合は、待機時間TwaitNextJobが相対的に長くなるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われる。また、ジョブの生成作業が単純で時間がかからなくなるほど待機時間TwaitNextJobが短くなるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われる。
実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、印刷の品位が低下することが抑制され、インクシート2082の一部が無駄になることが抑制され、印刷に要する時間が短くなり、印刷のコストが低下する。加えて、実施の形態2においては、設定の目的、ホストPC2022の状態およびジョブの生成作業の状態に適合する印刷が行われ、印刷システムの使い勝手が向上する。
3 実施の形態3
図9は、実施の形態3のプリンタを備える印刷システムを示すブロック図である。
図9に示される印刷システム3000は、ホストPC3022およびプリンタ3024を備える。プリンタ3024は、印刷部3042および制御部3044を備える。制御部3044は、画像データ生成部3062、サーマルヘッド制御部3064、インクシート駆動制御部3066、ペーパー駆動制御部3068、待機時間制御部3070およびジョブ状態解析部3072を備える。
印刷システム3000に備えられる印刷部3042、画像データ生成部3062、サーマルヘッド制御部3064、インクシート駆動制御部3066およびペーパー駆動制御部3068は、それぞれ、印刷システム2000に備えられる印刷部2042、画像データ生成部2062、サーマルヘッド制御部2064、インクシート駆動制御部2066およびペーパー駆動制御部2068と同様のものである。
印刷システム2000と印刷システム3000との相違は、印刷システム2000においては、受信したジョブに含まれる待機時間設定データに基づいて待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定が行われるのに対して、印刷システム3000においては受信したジョブに待機時間設定データが含まれず受信したジョブの状態の解析結果に基づいて待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定が行われる点にある。以下では、当該相違をもたらす印刷システム3000の構成について専ら説明する。
ジョブ状態解析部3072は、受信したジョブの状態を解析することにより解析結果を取得し、取得した解析結果に基づいて待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定を行う。
待機時間制御部3070は、当該設定に基づいて待機時間TwaitおよびTwaitNextJobを変更する。
図10および11の各々は、実施の形態3のプリンタにおけるジョブの状態の解析および待機時間Twaitの設定のための処理を示すフローチャートである。
図10に示されるステップS301においては、ホストPC3022から送信されてくるジョブが受信される。
続くステップS302においては、受信したジョブに含まれる画像データの数、すなわち、印刷しなければならない画像の数がN個以上であるか否かが判定される。Nは、正の整数である。画像の数がN個以上である場合は、処理がステップS303へ進む。そうでない場合は、処理がステップS304へ進む。
ステップS303においては、待機時間Twaitが相対的に短くなるように待機時間Twaitの設定が行われ、ステップS304においては待機時間Twaitが相対的に長くなるように待機時間Twaitの設定が行われる。
これにより、印刷しなければならない画像が多い場合は、待機時間Twaitが相対的に短くなるように待機時間Twaitの設定が行われ、印刷の速度を速くすることが優先される。
一方、印刷しなければならない画像が少ない場合は、待機時間Twaitが相対的に長くなるように待機時間Twaitの設定が行われ、複数個の画像を連結して印刷し印刷のコストを低下させることが優先される。
待機時間Twaitの設定を行うアルゴリズムが変更されてもよい。例えば、印刷しなければならない画像の数が多くなるほど待機時間Twaitが短くなるように数式また数値テーブルを用いて印刷しなければならない画像の数から待機時間Twaitの設定値が算出されてもよい。
図11に示されるステップS311においては、ホストPC3022から送信されてくるジョブが受信される。
続くステップS312においては、受信したジョブに含まれる画像データの転送間隔が判定値Timage以上であるか否かが判定される。画像データの転送間隔が判定値Timage以上である場合は、処理がステップS313へ進む。そうでない場合は、処理がステップS314へ進む。
ステップS313においては、待機時間Twaitが相対的に長くなるように待機時間Twaitの設定が行われ、ステップS314においては待機時間Twaitが相対的に短くなるように待機時間Twaitの設定が行われる。
これにより、受信したジョブに含まれる画像データの転送間隔が短く転送速度が速い場合は、待機時間Twaitが相対的に短くなるように待機時間Twaitの設定が行われ、印刷の速度を速くすることが優先される。
一方、受信したジョブに含まれる画像データの転送間隔が長く転送速度が遅い場合は、待機時間Twaitが相対的に長くなるように待機時間Twaitの設定が行われ、印刷のコストを低下させることが優先される。これにより、複数の画像を連結して印刷できる場合が増え、印刷の品位が低下することが抑制され、インクシート3082の一部が無駄になることが抑制される。
待機時間Twaitの設定を行うアルゴリズムが変更されてもよい。例えば、画像データの転送間隔が長くなるほど待機時間Twaitが長くなるように数式また数値テーブルを用いて画像データの転送間隔から待機時間Twaitの設定値が算出されてもよい。
図12および13は、実施の形態3のプリンタにおけるジョブの状態の解析および待機時間TwaitNextJobの設定のための処理を示すフローチャートである。
図12に示されるステップS321においては、ホストPC3022から送信されてくるジョブが受信される。
続くステップS322においては、1時間あたりに転送されてくるジョブの数がN個以上であるか否かが判定される。Nは、正の整数である。1時間あたりに転送されてくるジョブの数がN個以上である場合は、処理がステップS323へ進む。そうでない場合は、処理がステップS324へ進む。
1時間あたりに転送されてくるジョブの数は、ジョブを生成する作業が長時間に渡って継続されておりジョブの転送が長時間にわたって継続されている場合は、現在の時刻の1時間前から現在の時刻までに転送されてきたジョブの数であり、ジョブを生成する作業が開始されてから間もなくジョブの転送が開始されてから間もない場合は、過去の作業履歴すなわち過去の転送履歴に基づくジョブの数等である。1時間あたりに転送されてくるジョブの数に代えて、1時間より長いまたは短い特定の時間あたりに転送されてくるジョブの数が使用されてもよい。特定の時間は、分単位、日単位、週単位等で決定され、ジョブの生成作業に適合するように決定される。
ステップS323においては、待機時間TwaitNextJobが相対的に短くなるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われ、ステップS324においては、待機時間TwaitNextJobが相対的に長くなるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われる。
これにより、1時間あたりに転送されてくるジョブの数が多く印刷しなければならない画像が多い場合は、待機時間TwaitNextJobが相対的に短くなるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われ、印刷の速度を速くすることが優先される。
一方、1時間あたりに転送されてくるジョブの数が少なく印刷しなければならない画像が少ない場合は、待機時間TwaitNextJobが相対的に長くなるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われ、複数個の画像を連結して印刷し印刷のコストを低下させることが優先される。
図13に示されるステップS331においては、ホストPC3022から送信されてくるジョブが受信される。
続くステップS332においては、ジョブの転送間隔が判定値Tjob以上であるか否かが判定される。ジョブの転送間隔が判定値Tjob以上である場合は、処理がステップS333へ進む。そうでない場合は、処理がステップS334へ進む。
ステップS333においては、待機時間TwaitNextJobが相対的に長くなるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われ、ステップS334においては待機時間TwaitNextJobが相対的に短くなるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われる。
これにより、ジョブの転送間隔が短く転送速度が速い場合は、待機時間TwaitNextJobが相対的に短くなるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われ、印刷の速度を速くすることが優先される。
一方、ジョブの転送間隔が長く転送速度が遅い場合は、待機時間TwaitNextJobが相対的に長くなるように待機時間TwaitNextJobの設定が行われ、印刷のコストを低下させることが優先される。これにより、複数の画像が連結して印刷される場合が増え、印刷の品位が低下することが抑制され、インクシート3082の一部が無駄になることが抑制される。
実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、印刷の品位が低下することが抑制され、インクシート3082の一部が無駄になることが抑制され、印刷に要する時間が短くなり、印刷のコストが低下する。加えて、実施の形態3においては、ユーザーに待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定を行わせることなく、ジョブの状態に応じた待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定が自動的に行われ、ジョブの状態に適合する印刷が行われ、印刷システムの使い勝手が向上する。
4 実施の形態4
図14は、実施の形態4のプリンタを備える印刷システムを示すブロック図である。
図14に示される印刷システム4000は、ホストPC4022およびプリンタ4024を備える。プリンタ4024は、印刷部4042および制御部4044を備える。制御部4044は、画像データ生成部4062、サーマルヘッド制御部4064、インクシート駆動制御部4066、ペーパー駆動制御部4068、待機時間制御部4070、ジョブ状態解析部4072およびジョブパターン登録部4074を備える。
印刷システム4000に備えられる印刷部4042、画像データ生成部4062、サーマルヘッド制御部4064、インクシート駆動制御部4066、ペーパー駆動制御部4068および待機時間制御部4070は、それぞれ、印刷システム3000に備えられる印刷部3042、画像データ生成部3062、サーマルヘッド制御部3064、インクシート駆動制御部3066、ペーパー駆動制御部3068および待機時間制御部3070と同様のものである。
印刷システム3000と印刷システム4000との相違は、印刷システム3000においては、受信したジョブの状態の解析結果に基づいて待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定が行われるのに対して、印刷システム4000においては、複数個のジョブパターンから選択されたジョブパターンおよび受信したジョブの状態の解析結果に基づいて待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定が行われる点にある。以下では、当該相違をもたらす印刷システム4000の構成について専ら説明する。
ジョブパターン登録部4074には、ジョブパターンA,B,CおよびDが登録される。ジョブパターンA,B,CおよびDは、ユーザーが過去に行った印刷を類型分けしたものである。ジョブパターンAは、各々が多数個の画像データを含む複数のジョブについて連続的に印刷が行われるジョブパターンである。ジョブパターンBは、各々が少数個の画像データを含む複数のジョブについて連続的に印刷が行われるジョブパターンである。ジョブパターンCは、各々が多数個の画像データを含む複数のジョブについて間欠的に印刷が行われるジョブパターンである。ジョブパターンDは、各々が少数個の画像データを含む複数のジョブについて間欠的に印刷が行われるジョブパターンである。したがって、ジョブパターンA,B,CおよびDは、ジョブに含まれる画像データの数および印刷の実行の連続性の2個の項目に関して互いに異なる。当該2個の項目が他の少なくとも1個の項目に置き換えられてもよい。4個のジョブパターンA,B,CおよびDが3個以下または5個以上のジョブパターンに置き換えられてもよい。
ジョブパターン登録部4074は、ジョブパターン設定データをホストPC4022から受信する。ジョブパターン設定データは、ジョブパターンA,B,CおよびDから選択されたジョブパターンを示す。したがって、ジョブパターン登録部4074は、ジョブパターン設定データをホストPC4022から受信することにより、選択されたジョブパターンを特定する。ジョブパターン設定データの受信以外により選択されたジョブパターンが特定されてもよい。例えば、プリンタ4024がジョブパターンの設定を受け付け、当該設定に基づいて選択されたジョブパターンが特定されてもよい。
ジョブ状態解析部4072は、選択されたジョブパターンおよび受信したジョブの状態を解析することにより取得される解析結果に基づいて、待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定を行う。受信したジョブの状態の解析については、実施の形態3と同様である。
ホストPC4022は、プリンタ制御用のソフトウェアを実行しプリンタ制御用のソフトウェアにしたがって動作することにより、ジョブパターンの設定を受け付け、ジョブパターンA,B,CおよびDから選択されたジョブパターンを示すジョブパターン設定データを生成し、画像データおよびジョブパターン設定データを含むジョブをプリンタ4024に送信する。
図15は、実施の形態4のプリンタを備える印刷システムにおける選択されたジョブパターンを特定するための処理を示すフローチャートである。
図15に示されるステップS401においては、作業が開始される。
続くステップS402においては、ホストPC4022がジョブパターンの設定を受け付ける。当該設定においてジョブパターンAが選択された場合は、ステップS403において、ジョブパターンAが選択されたことを示すジョブパターン設定データがホストPC4022からプリンタ4024へ送信される。当該設定においてジョブパターンBが選択された場合は、ステップS404において、ジョブパターンBが選択されたことを示すジョブパターン設定データがホストPC4022からプリンタ4024へ送信される。当該設定においてジョブパターンCが選択された場合は、ステップS405において、ジョブパターンCが選択されたことを示すジョブパターン設定データがホストPC4022からプリンタ4024へ送信される。当該設定においてジョブパターンDが選択された場合は、ステップS406において、ジョブパターンDが選択されたことを示すジョブパターン設定データがホストPC4022からプリンタ4024へ送信される。
実施の形態4においても、実施の形態1と同様に、印刷の品位が低下することが抑制され、インクシート4082の一部が無駄になることが抑制され、印刷に要する時間が短くなり、印刷のコストが低下する。加えて、実施の形態4においては、ユーザーに待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定を行わせることなく、ジョブの状態に応じた待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定が自動的に行われ、ジョブの状態に適合する印刷が行われ、印刷システムの使い勝手が向上する。選択されたジョブパターンが待機時間TwaitおよびTwaitNextJobの設定の基礎になることは、簡単な操作でジョブの状態により適合する印刷が行われるようにすることに寄与する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。