以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の図面では、同一の構成要素には同一の符号を付してある。同一の符号が付されている構成要素の名称および機能は同じである。したがって、同一の符号が付されている構成要素の一部についての詳細な説明を省略する場合がある。
<実施の形態1>
(構成)
図1は、実施の形態1に係る印刷装置100の印刷機構を主に示す図である。印刷機構は、印刷に関する機構である。印刷装置100は、昇華型の印刷装置(プリンタ)である。すなわち、印刷装置100は、熱転写方式の印刷装置である。印刷装置100は、詳細は後述するが、画像を用紙に印刷するための印刷処理Pを行う。
図2は、実施の形態1に係る印刷装置100の印刷動作の制御に関わるハードウェアブロック図である。なお、図2には、説明のために、印刷装置100に含まれない情報処理装置200が示される。また、図1および図2では、構成を分かり易くするために、本技術に対し、関連性の低い構成要素は、図示していない。当該構成要素は、例えば、電源部等である。
印刷装置100は、通信ケーブル等により、図2の情報処理装置200と通信可能に接続される。情報処理装置200は、印刷装置100を制御する装置である。情報処理装置200は、例えば、PC(Personal Computer)である。情報処理装置200は、ユーザによって操作される。
ユーザが、情報処理装置200に対し、印刷実行操作を行った場合、情報処理装置200は、印刷指示および画像データGdを含む印刷情報を、印刷装置100へ送信する。当該印刷実行操作は、印刷処理Pを印刷装置100に実行させるための操作である。また、当該印刷指示は、印刷処理Pを印刷装置100に実行させるための指示である。当該画像データGdは、用紙に印刷するための画像のデータである。以下においては、印刷情報を、「印刷ジョブ」ともいう。印刷ジョブは、印刷条件を示す印刷条件情報を含む。印刷条件は、例えば、印刷速度、印刷枚数、印刷サイズ、印刷の向き等である。印刷枚数とは、印刷を行う対象となる画像の数である。
以下においては、印刷装置100が、用紙に印刷するための画像を、「対象画像」ともいう。すなわち、画像データGdは、対象画像を示す。対象画像は、行列状に配置されるk個の画素から構成される。「k」は、2以上の整数である。k個の画素は、y行x列の行列を構成する。「y」および「x」の各々は、2以上の整数である。すなわち、対象画像は、y本の行と、x本のライン(列)とを有する。
「x」は、対象画像の水平(横)方向に並ぶ画素の数である。「y」は、対象画像の垂直(縦)方向に並ぶ画素の数である。「k」は、(x×y)の式で算出される値である。
各画素は、濃度を表現する画素値(階調値)により表現される。以下においては、画素の画素値を示すデータを、「画素データ」ともいう。また、以下においては、画素が表現可能な最も高い濃度を、「最高濃度」ともいう。最高濃度は、例えば、黒の濃度である。また、以下においては、画素が表現可能な最も低い濃度を、「最低濃度」ともいう。最低濃度は、例えば、白の濃度である。また、以下においては、最高濃度と最低濃度との中間の濃度を、「中間濃度」ともいう。中間濃度は、例えば、最高濃度の0.5倍の濃度である。
画素値は、一例として、8ビットの数値で表現される。すなわち、画素値は、0から255までの範囲内の数値で表現される。以下においては、最低濃度に対応する画素値を、「最低濃度値」ともいう。最低濃度値は、例えば、255である。また、以下においては、最高濃度に対応する画素値を、「最高濃度値」ともいう。最高濃度値は、例えば、0である。
例えば、画素データが0を示す場合、当該画素データに対応する画素の濃度は、最高濃度である。また、例えば、画素データが255を示す場合、当該画素データに対応する画素の濃度は、最低濃度である。なお、画素値は、8ビットで表現されることに限定されない。画素値は、例えば、10ビットで表現されてもよい。
以下においては、赤、緑および青の各々を、「原色」ともいう。また、以下においては、赤、緑および青を、それぞれ、「R」、「G」および「B」ともいう。また、以下においては、R成分の画像を、「R画像」ともいう。また、以下においては、G成分の画像を、「G画像」ともいう。また、以下においては、B成分の画像を、「B画像」ともいう。R画像、G画像およびB画像の各々は、原色画像である。
以下においては、原色画像であるR画像、G画像およびB画像の各々を、「対象原色画像」ともいう。また、以下においては、対象画像または原色画像を、「画像A」ともいう。当該原色画像は、印刷原色画像または対象原色画像である。また、以下においては、画像Aを構成する複数の画素が、それぞれ示す複数の濃度の平均を、「平均濃度」ともいう。本実施の形態では、画像データGdが示す対象画像は、R画像、G画像およびB画像で表現される。
以下においては、R画像を示すデータを、「R画像データ」ともいう。また、以下においては、G画像を示すデータを、「G画像データ」ともいう。また、以下においては、B画像を示すデータを、「B画像データ」ともいう。また、以下においては、R成分の画素を、「R画素」ともいう。例えば、R画像は、複数のR画素で表現される。また、以下においては、G成分の画素を、「G画素」ともいう。また、以下においては、B成分の画素を、「B画素」ともいう。
以下においては、R画素の画素値を示す画素データを、「R画素データ」ともいう。また、以下においては、G画素の画素値を示す画素データを、「G画素データ」ともいう。また、以下においては、B画素の画素値を示す画素データを、「B画素データ」ともいう。また、以下においては、R画素データ、G画素データおよびB画素データの各々を、「対象画素データ」ともいう。R画像データは、複数のR画素データを含む。G画像データは、複数のG画素データを含む。B画像データは、複数のB画素データを含む。
以下においては、Y画像を示すデータを、「Y画像データ」ともいう。また、以下においては、M画像を示すデータを、「M画像データ」ともいう。また、以下においては、C画像を示すデータを、「C画像データ」ともいう。また、以下においては、Y成分の画素を、「Y画素」ともいう。例えば、Y画像は、複数のY画素で表現される。また、以下においては、M成分の画素を、「M画素」ともいう。また、以下においては、C成分の画素を、「C画素」ともいう。
また、以下においては、Y画素の画素値を示す画素データを、「Y画素データ」ともいう。また、以下においては、M画素の画素値を示す画素データを、「M画素データ」ともいう。また、以下においては、C画素の画素値を示す画素データを、「C画素データ」ともいう。また、以下においては、Y画素データ、M画素データおよびC画素データの各々を、「印刷画素データ」ともいう。Y画像データは、複数のY画素データを含む。M画像データは、複数のM画素データを含む。C画像データは、複数のC画素データを含む。
図1を参照して、印刷装置100には、ロール紙18およびインクリボン19が装着されている。ロール紙18は、長尺状の用紙8がロール状に巻かれて構成される。インクリボン19は、長尺状のインクシート9により構成される。
図3は、インクシート9を説明するための図である。図3において、X方向およびY方向は、互いに直交する。以下においては、X方向と、当該X方向の反対の方向(−X方向)とを含む方向を「X軸方向」ともいう。また、以下においては、Y方向と、当該Y方向の反対の方向(−Y方向)とを含む方向を「Y軸方向」ともいう。また、以下においては、X軸方向およびY軸方向を含む平面を、「XY面」ともいう。
図3において、−X方向は、後述のインクロール9rに向かう方向である。また、図3において、X方向は、後述のインクロール9rmに向かう方向である。インクシート9の詳細な説明は後述する。
再び、図1を参照して、印刷装置100は、筐体Ch1と、サーマルヘッド2と、ヘッド温度センサSn3と、ヒートシンク4と、冷却ファン5と、用紙搬送部7と、リール10a,10bと、プラテンローラ6と、カッターCt1と、環境温度センサSn1とを備える。
筐体Ch1は、印刷装置100が備える各構成要素を収容する。筐体Ch1は、例えば、サーマルヘッド2と、ヒートシンク4と、冷却ファン5と、用紙搬送部7と、プラテンローラ6と、カッターCt1等を収容する。筐体Ch1の形状は、例えば、直方体である。以下においては、筐体Ch1の内部の温度を、「環境温度」ともいう。環境温度は、印刷装置100の内部の温度である。
サーマルヘッド2は、熱を発する機能を有する。具体的には、サーマルヘッド2は、熱を発する機能を有する発熱素子h1を含む。発熱素子h1は、例えば、発熱抵抗体である。以下の説明では、処理を分かりやすくするために、「サーマルヘッド2の発熱素子h1が発する熱」を、簡略して、「サーマルヘッド2が発する熱」ともいう。また、以下においては、サーマルヘッド2が発する熱を、「熱エネルギー」ともいう。
サーマルヘッド2には、ヘッド温度センサSn3が設けられている。以下においては、サーマルヘッド2の温度を、「ヘッド温度」ともいう。また、以下においては、サーマルヘッド2の外面のうち、発熱素子h1が存在する領域を、「発熱領域」ともいう。ヘッド温度は、例えば、サーマルヘッド2の外面のうち、発熱領域と異なる領域の温度である。すなわち、ヘッド温度は、サーマルヘッド2の外面の温度である。なお、ヘッド温度は、発熱素子h1が存在する発熱領域の温度であってもよい。
ヘッド温度センサSn3は、ヘッド温度を計測する機能を有するヘッド温度計測部である。ヘッド温度センサSn3は、例えば、サーマルヘッド2の外面のうち、発熱領域と異なる領域に設けられている。ヘッド温度センサSn3は、例えば、発熱素子h1の近傍に設けられている。ヘッド温度センサSn3は、例えば、サーミスタ等を利用して構成される。
サーマルヘッド2には、ヒートシンク4が取り付けられている。ヒートシンク4は、サーマルヘッド2を冷却するための冷却機構である。冷却ファン5は、ヒートシンク4の冷却を行う。具体的には、冷却ファン5は、ヒートシンク4に向かう風を発生させる。
用紙搬送部7は、用紙8を搬送する機能を有する。用紙搬送部7は、グリップローラ7aとピンチローラ7bとから構成される。グリップローラ7aは、図示しないステッピングモータにより、回転するように構成される。
用紙搬送部7は、グリップローラ7aとピンチローラ7bとにより用紙8を挟んだ状態で、当該グリップローラ7aを回転させることにより、当該用紙8を搬送するように構成される。用紙8が搬送される場合、ロール紙18から用紙8が引き出される。
インクシート9の一方側の端部がロール状に巻かれることにより、インクロール9rが構成される。インクロール9rは、リール10bに取り付けられる。インクシート9の他方側の端部がロール状に巻かれることにより、インクロール9rmが構成される。インクロール9rmは、リール10aに取り付けられる。インクロール9rは、インクシート9を供給するためのロールである。インクロール9rmは、インクシート9を巻き取るためのロールである。
リール10aは、インクロール9rmがインクシート9を巻き取るように回転する。インクロール9rは、インクロール9rmの回転に伴って回転する。リール10bは、インクロール9rからインクシート9が供給されるように、回転する。
プラテンローラ6は、サーマルヘッド2の一部と対向するように設けられる。プラテンローラ6は、当該プラテンローラ6とサーマルヘッド2とにより、インクシート9および用紙8を挟むことが可能なように、移動自在に構成される。プラテンローラ6は、用紙8およびインクシート9を介して、サーマルヘッド2に接触する。
以下においては、プラテンローラ6が、用紙8およびインクシート9を介して、サーマルヘッド2に接触している状況における、当該プラテンローラ6の状態を、「プラテン接触状態」ともいう。プラテン接触状態は、プラテンローラ6およびサーマルヘッド2により、用紙8およびインクシート9が挟まれている状態である。
プラテン接触状態において、サーマルヘッド2が、インクシート9を加熱することにより、インクシート9の染料(インク)が、用紙8に転写される。
カッターCt1は、用紙8の一部を切断する機能を有する。
環境温度センサSn1は、印刷装置100の内部の温度である環境温度を計測する機能を有する。環境温度センサSn1は、筐体Ch1の内部に設けられる。なお、環境温度センサSn1は、筐体Ch1の外部に設けられてもよい。
再び、図3を参照して、インクシート9には、インク領域R10が、当該インクシート9の長手方向(X軸方向)に沿って、周期的に配置されている。インク領域R10には、染料6y,6m,6cと保護材料6opとが設けられている。染料6y,6m,6cおよび保護材料6opの各々は、サーマルヘッド2により加熱されることにより、用紙8に転写される転写材料である。以下においては、サーマルヘッド2が転写材料に印加するための熱エネルギーを、「「印刷エネルギー」、印刷エネルギーEp」または「Ep」ともいう。
染料6y,6m,6cの各々は、用紙8に転写するための色を示す。染料6y,6m,6cは、それぞれ、イエロー、マゼンタおよびシアンの色を示す。以下においては、Yの染料、Mの染料、および、Cの染料の各々を、「色染料」ともいう。
保護材料6opは、用紙8に転写された色を保護するための材料(オーバーコート)である。具体的には、保護材料6opは、染料6y,6m,6cにより用紙8に形成された画像を保護するための材料である。以下においては、保護材料6opを、「OP材料」ともいう。また、以下においては、用紙8のうち、画像を印刷するための領域を、「印刷領域」ともいう。
また、インクシート9には、マークMk1が設けられている。マークMk1は、各転写材料(例えば、染料6y)に対応づけて設けられている。マークMk1は、各転写材料の位置を特定するためのマークである。
図2を参照して、印刷装置100は、さらに、通信部51と、メモリ52と、制御部53と、画像データ処理部54と、印刷用データ処理部55と、リール駆動部56,56mと、用紙センサSn8と、インクセンサSn9とを備える。
通信部51は、情報処理装置200と通信する機能を有する。通信部51は、情報処理装置200から、印刷ジョブを受信する。メモリ52は、例えば、揮発性メモリと不揮発性メモリとから構成される。揮発性メモリは、データを一時的に記憶するメモリである。揮発性メモリは、例えば、画像データGdを含む印刷ジョブ等を記憶する。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。当該不揮発性メモリには、制御プログラム、初期設定値等が記憶されている。不揮発性メモリは、例えば、フラッシュメモリである。
制御部53は、印刷装置100に含まれる各構成要素を制御する。制御部53は、メモリ52に記憶されている制御プログラムに従って、当該各構成要素を制御する。制御部53は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部53は、例えば、サーマルヘッド2を制御する。制御部53は、サーマルヘッド2(発熱素子h1)が熱エネルギー(印刷エネルギーEp)を発するように、サーマルヘッド2(発熱素子h1)を制御する。
画像データ処理部54は、必要に応じて、画像データ(印刷データ)に対し、各種の処理を行う。印刷用データ処理部55は、画像データを印刷用データに変換する機能を有する。印刷用データは、サーマルヘッド2の発熱制御を行うためのデータである。印刷用データは、対象画像(Y画像、M画像およびC画像)を、用紙8に印刷するためのデータである。印刷用データは、対象画像(Y画像、M画像およびC画像)のデータを含む。
リール駆動部56は、リール10b(インクロール9r)を回転させる機能を有する。リール駆動部56mは、リール10a(インクロール9rm)を回転させる機能を有する。
用紙センサSn8は、用紙8を検出する機能を有する。用紙センサSn8は、用紙8が搬送されるための経路の近傍の位置であって、かつ、当該用紙8を検出可能な位置に設けられる。
インクセンサSn9は、インクシート9に関する情報を検出する機能を有する。また、インクセンサSn9は、インクシート9におけるマークMk1(転写材料の位置)を検出する機能を有する。インクセンサSn9は、マークMk1を検出することにより、当該マークMk1に対応づけられた転写材料(例えば、染料6y)の位置を検出する。
次に、印刷処理Pについて説明する。印刷処理Pでは、単位印刷処理が行われる。単位印刷処理では、プラテン接触状態において、サーマルヘッド2がインクシート9の転写材料を加熱しながら、インクシート9および用紙8が同時に搬送される。これにより、1ライン毎に転写材料が用紙8の印刷領域に転写される。
印刷処理Pでは、上記の単位印刷処理が、転写材料である染料6y,6m,6cおよび保護材料6opの各々に対して、繰り返し行われる。これにより、染料6y,6m,6cおよび保護材料6opが、当該染料6y,6m,6cおよび保護材料6opの順で、用紙8の印刷領域に転写される。すなわち、Y画像、M画像、C画像およびOP画像が、当該Y画像、M画像、C画像およびOP画像の順で、用紙8の印刷領域に転写される。その結果、用紙8の印刷領域に画像が印刷されるとともに、当該画像が保護材料6opからなる保護層(OP画像)で保護される。
以下においては、用紙8の印刷領域に画像が印刷されたものを、「印刷物」ともいう。当該印刷物は、用紙8の一部である。カッターCt1は、用紙8から印刷物が切り離されるように、当該用紙8を切断する。これにより、印刷物が、印刷装置100の外部へ排出される。
以下においては、用紙8の印刷領域に印刷された画像を、「画像Gn」ともいう。また、以下においては、用紙8が搬送される方向を、「用紙搬送方向」ともいう。図3において、用紙搬送方向は、X方向および−X方向を含むX軸方向である。
印刷装置100が用紙8に画像を印刷するための方向には、主走査方向および副走査方向が存在する。副走査方向は、用紙搬送方向である。また、主走査方向は、副走査方向と直交する方向である。
以下においては、インクシート9において、染料6y,6m,6cおよび保護材料6opの各々が設けられている領域を、「領域Rt1」または「Rt1」ともいう(図3参照)。領域Rt1は、1回の印刷処理Pで生成可能な最大サイズの画像を印刷するために使用される、インクシート9の領域である領域Rt1のサイズは、画像Gnに相当する1画面のサイズに相当する。以下においては、領域Rt1のサイズを、「1画面サイズ」ともいう。
また、以下においては、副走査方向(X軸方向)における、領域Rt1の長さを、「長さL」または「L」ともいう。長さLは、予め決められている。そのため、インクシート9を使用する場合、画像Gnの副走査方向の長さの上限値は、長さLである。
印刷装置100は、サーマルヘッド2を使用して、対象画像としての複数の画像が隣接するように、当該複数の画像を用紙8に印刷する機能を有する。当該複数の画像の各々は、規定の順序で印刷される画像である。
本明細書において、「複数の画像が隣接する」とは、「複数の画像が互いに隣接する」ことを示す。例えば、「画像と別の画像とが隣接する」とは、「画像と別の画像とが互いに隣接する」ことを示す。
本実施の形態では、説明を分かりやすくするために、対象画像として、2枚の画像を使用した処理について説明する。以下においては、対象画像としての2枚の画像を、それぞれ、画像G1および画像G2ともいう。また、以下においては、画像G1を示す画像データGdを、「画像データGd1」ともいう。すなわち、画像データGd1は、画像G1の画像データである。また、以下においては、画像G2を示す画像データGdを、「画像データGd2」ともいう。すなわち、画像データGd2は、画像G2の画像データである。
また、以下においては、全ての対象画像のうち、j番目の対象画像を、「j番目対象画像」または「画像j」ともいう。「j」は、1以上の整数である。j番目対象画像とは、印刷装置100が、j番目に印刷するための対象画像である。例えば、1番目対象画像は、全ての対象画像のうち、1番目に印刷される対象画像である。
また、以下においては、全ての対象画像のうち、(j+1)番目の画像を、「(j+1)番目対象画像」または「画像(j+1)」ともいう。画像jおよび画像(j+1)の各々は、規定の順序で印刷される画像である。画像(j+1)は、画像jの次に印刷される画像である。
以下においては、画像Aが、印刷装置100により印刷されたと仮定した状況を、「仮定印刷状況」ともいう。また、以下においては、仮定印刷状況におけるヘッド温度を、「予測ヘッド温度」、「ヘッド温度Tha」または「Tha」ともいう。ヘッド温度Thaは、印刷装置100による、当該画像Aの印刷が終了したタイミングにおける、ヘッド温度である。
以下においては、印刷装置100において、印刷中の画像を、「印刷中画像」ともいう。また、以下においては、1番目対象画像の印刷が開始される直前におけるヘッド温度を、「ヘッド温度T0」または「T0」ともいう。
以下においては、印刷装置100が使用可能なインクシート9を使用して、当該印刷装置100が用紙8に印刷可能な対象画像の最大のサイズを、「最大印刷サイズSx」または「Sx」ともいう。また、以下においては、対象画像を構成する全ての画素の濃度が最高濃度である状況における当該対象画像を、「最高濃度対象画像」ともいう。当該最高濃度は、例えば、黒を示す濃度である。
また、以下においては、最大印刷サイズSxを有する最高濃度対象画像を用紙8に印刷するために必要な印刷エネルギーEpを、「基準印刷エネルギー」、「基準印刷エネルギーPmax」または、「Pmax」ともいう。また、以下においては、サーマルヘッド2が基準印刷エネルギーPmaxを発した直後のヘッド温度を、「最高ヘッド温度」ともいう。また、以下においては、サーマルヘッド2が基準印刷エネルギーPmaxを発する直前のヘッド温度を、「通常ヘッド温度」ともいう。
また、以下においては、最高ヘッド温度と通常ヘッド温度との差分を、「上昇温度ΔTmax」または「ΔTmax」ともいう。上昇温度ΔTmaxは、最高ヘッド温度から通常ヘッド温度を減算することにより得られる。上昇温度ΔTmaxは、予め、実験等により測定されている。当該実験は、例えば、最大印刷サイズSxを有する最高濃度対象画像を印刷する印刷処理Pの実施、ヘッド温度センサSn3が通常ヘッド温度および最高ヘッド温度を取得するための処理等である。上昇温度ΔTmaxは、メモリ52に記憶されている。
(動作)
次に、印刷装置100の動作について説明する。本技術の特徴は、画像データを考慮して、予測ヘッド温度としてのヘッド温度Thaを予測することである。また、本技術の特徴は、1画面サイズのインクシートを使用して複数の画像を印刷する場合、印刷中の画像に続けて次の画像を印刷する処理が実行可能であるか否かを、判定し、当該判定の結果に基づいて、当該処理を実行することである。
本実施の形態では、印刷装置100が、以下の印刷制御処理を行う。図4は、実施の形態1に係る印刷制御処理における、印刷装置100の動作を説明するための機能構成を示す図である。
メモリ52には、予測ヘッド温度としてのヘッド温度Thaを予測するための温度予測情報と、隣接印刷条件とが記憶されている。以下においては、予測ヘッド温度としてのヘッド温度Thaを予測する方法を、「温度予測方法」ともいう。温度予測方法では、例えば、演算式を使用して、ヘッド温度Thaが予測される。温度予測情報は、温度予測方法を示す。
印刷装置100は、受信部61と、ヘッド温度予測部62と、判定部63と、印刷制御部64と、印刷状態取得部65とを備える。ヘッド温度予測部62、判定部63、印刷制御部64および印刷状態取得部65の一部または全ては、メモリ52に記憶されている制御プログラムを、制御部53が実行することにより実現される。なお、ヘッド温度予測部62、判定部63、印刷制御部64および印刷状態取得部65の一部または全ては、電気回路等のハードウエアで構成されてもよい。
受信部61は、情報処理装置200から、情報、データ等を受信する。ヘッド温度予測部62は、ヘッド温度を予測する機能を有する。ヘッド温度予測部62は、詳細は後述するが、受信部61が受信した画像データと、ヘッド温度センサSn3が計測したヘッド温度とに基づいて、画像が印刷された状況におけるヘッド温度Thaを予測する。
以下においては、印刷に関する、印刷装置100の動作状態を、「印刷状態」ともいう。印刷状態には、「印刷中」、「待機状態」、「エラー発生」等が存在する。「印刷中」とは、印刷装置100が画像を印刷している状況における、当該印刷装置100の状態である。「待機状態」とは、印刷装置100が印刷を行っていない状況における、当該印刷装置100の状態である。
印刷状態取得部65は、印刷状態を、随時、確認している。印刷状態取得部65は、印刷状態を示す印刷状態情報を、判定部63へ送信する。判定部63は、詳細は後述するが、予測されたヘッド温度Thaと、印刷状態取得部65が取得した印刷状態とに基づいて、後述の隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かを判定する。
印刷制御部64は、印刷を行うための構成(例えば、サーマルヘッド2、リール駆動部56m等)を制御する。印刷制御部64は、例えば、制御部53である。印刷制御部64は、判定部63による判定結果に基づいて、印刷装置100が印刷を行うように、当該印刷装置100を制御する。
次に、印刷制御処理について詳細に説明する。図5は、実施の形態1に係る印刷制御処理のフローチャートである。図5では、印刷制御処理に含まれる、主要なステップのみを示している。印刷制御処理の一例を分かりやすくするために、以下の前提Pm1のもとで行われる印刷制御処理について説明する。
前提Pm1では、画像G1および画像G2が印刷される。また、前提Pm1では、画像G1は、画像jとしてのj番目対象画像である。また、画像G1は、1番目対象画像である。また、前提Pm1では、画像G2は、画像(j+1)としての(j+1)番目対象画像である。
また、前提Pm1では、対象画像としての画像G1,G2の各々を構成する複数の画素の各々は、R画素(R画素データ)、G画素(G画素データ)およびB画素(B画素データ)で表現される。R画素データ、G画素データおよびB画素データの各々は、0から255までの範囲内の数値を示す。
また、前提Pm1では、印刷装置100のヘッド温度予測部62は、画像G1を示す画像データGd1を含む印刷ジョブを、情報処理装置200から既に受信している。画像データGd1は、前述のR画像データ、前述のG画像データおよび前述のB画像データを含む。前述したように、例えば、R画像データは、複数のR画素データを含む。
また、前提Pm1では、画像データGd1を含む印刷ジョブは、メモリ52に記憶されている。また、前提Pm1では、印刷装置100が、画像G1に対応する印刷ジョブの受信に応じて、当該画像G1の印刷を開始している。そのため、前提Pm1では、印刷制御処理が開始されるタイミングにおける画像G1は、印刷中画像である。
前提Pm1では、後述の条件が満たされる場合、印刷装置100が、後述の隣接印刷処理を実行する。以下においては、用紙8に印刷されている画像を、「印刷画像」ともいう。また、以下においては、用紙8に印刷されていない画像を、「非印刷画像」ともいう。
隣接印刷処理は、印刷画像と非印刷画像とが隣接するように、当該非印刷画像を用紙8に印刷する処理である。前提Pm1における隣接印刷処理は、画像G1と画像G2とが隣接するように、当該画像G2を印刷する処理である。
また、前提Pm1では、画像G1または画像G2である対象画像が印刷される場合、R画像データ、G画像データおよびB画像データに対応する、Y画像、M画像およびC画像を使用して、当該対象画像が印刷される。
また、前提Pm1では、1番目対象画像である画像G1の印刷が開始される直前において、ヘッド温度センサSn3がヘッド温度T0を既に計測しており、かつ、当該ヘッド温度T0を、ヘッド温度予測部62へ通知する。
また、前提Pm1における、温度予測情報が示す温度予測方法は、以下の特徴C1を有する。特徴C1は、画像Aの平均濃度が最高濃度に近い程、予測されるヘッド温度Thaは高いという特徴である。
また、前提Pm1では、情報処理装置200は、画像G2を示す画像データGd2を含む印刷ジョブを、印刷装置100へ送信する。画像データGd2は、前述のR画像データ、G画像データおよびB画像データを含む。また、前提Pm1では、印刷状態取得部65は、印刷状態としての「印刷中」を示す印刷状態情報を、判定部63へ送信する。
図4および図5を参照して、前提Pm1における印刷制御処理では、まず、印刷装置100の受信部61が、印刷ジョブを受信し、当該印刷ジョブを、メモリ52に記憶させる(ステップS110)。
次に、情報取得処理が行われる(ステップS120)。前提Pm1における情報取得処理では、ヘッド温度予測部62が、印刷データとしての画像データGd1,Gd2、ヘッド温度T0、および、温度予測情報を取得する。
画像データGd1,Gd2は、メモリ52に記憶された印刷ジョブから取得される。ヘッド温度T0は、ヘッド温度センサSn3から取得される。ヘッド温度T0は、ヘッド温度センサSn3により計測された温度である。温度予測情報は、メモリ52から取得される。
前述したように、前提Pm1における、温度予測情報が示す温度予測方法は、画像Aの平均濃度が最高濃度に近い程、予測されるヘッド温度Thaが高いという特徴C1を有する。前提Pm1における温度予測方法では、一例として、予測演算式を使用して、予測ヘッド温度としてのヘッド温度Thaが予測される。そのため、前提Pm1における温度予測情報は、当該予測演算式を示す。予測演算式は、例えば、以下の式(1)、式(2)および式(3)である。式(1)は、以下のように表現される。
式(1)は、印刷エネルギーEpが高い程、算出されるヘッド温度Thaが高くなる式である。1番目対象画像に対応するヘッド温度Thaが予測される場合のみ、式(1)における「Th」には、計測されたヘッド温度T0が設定される。ヘッド温度Thaが複数回予測される場合、式(1)における「Th」には、式(1)により既に予測されたヘッド温度Thaが設定される。
式(1)における「ΔTmax」は、前述の上昇温度ΔTmaxである。また、「α」は、環境温度に関する後述の環境温度補正係数である。ここで、印刷装置100が使用される環境の温度の範囲が、5℃から45℃の範囲であると仮定する。また、ΔTmaxに対応する環境温度が45℃であると仮定する。この場合、「α」は、例えば、0から1までの範囲内の実数で表現される。
前提Pm1では、ヘッド温度Thaの予測において、環境温度を考慮しない。そのため、前提Pm1における「α」は、例えば、固定値(例えば、1)とする。
式(1)における「Ep」は、印刷エネルギーである。印刷エネルギーEpの値は、一例として、相対値として表現される。印刷エネルギーEpは、一例として、0から200までの範囲内の実数で表現される。印刷エネルギーEpは、以下の式(2)により表現される。
式(2)は、対象画像または対象原色画像の平均濃度が最高濃度に近い程、算出される印刷エネルギーEpが高くなる式である。式(2)における「Argb」は、印刷原色画像(Y画像、M画像およびC画像)の印刷速度に関する後述の速度補正係数である。前提Pm1では、ヘッド温度Thaの算出において、当該印刷速度を考慮しない。そのため、前提Pm1における「Argb」は、例えば、固定値(例えば、1.0)とする。
また、式(2)における「Dn」の「n」は、1からNまでの範囲内の数値が設定される。例えば、n=1である場合、「D1」は、対象画像における1番目の画素を示す。「N」は、前述の最大印刷サイズSxの画像を構成する画素の数である。本実施の形態では、対象画像のサイズは、最大印刷サイズSxであるとする。この場合、「N」は、対象画像を構成する画素の数に相当する「k」である。
式(2)における「Dn」は、対象画像を構成する複数の画素に対応するR,G,B画素データの和(合計値)である。対象画像に対応するR,G,B画素データの和は、対象画像に対応する、R画素和、G画素和およびB画素和の合計値である。
対象画像に対応するR画素和は、対象画像を構成する複数の画素に対応する複数のR画素データの和である。対象画像に対応するG画素和は、対象画像を構成する複数の画素に対応する複数のG画素データの和である。対象画像に対応するB画素和は、対象画像を構成する複数の画素に対応する複数のB画素データの和である。
また、式(2)における「Aop」は、前述のOP画像の印刷速度に関する後述の速度補正係数である。前提Pm1では、ヘッド温度Thaの算出において、当該印刷速度を考慮しない。そのため、前提Pm1における「Aop」は、例えば、固定値(例えば、0.5)とする。
また、式(2)における「Dopn」の「n」は、1からNまでの範囲内の数値が設定される。式(2)における「Dopn」は、OP画像を構成する複数の画素に対応するR,G,B画素データの和(合計値)である。OP画像に対応するR,G,B画素データの和は、OP画像に対応する、R画素和、G画素和およびB画素和の合計値である。OP画像に対応するR画素和は、OP画像を構成する複数の画素に対応する複数のR画素データの和である。OP画像に対応するG画素和は、OP画像を構成する複数の画素に対応する複数のG画素データの和である。OP画像に対応するB画素和は、OP画像を構成する複数の画素に対応する複数のB画素データの和である。
また、式(2)における「Pmax」は、前述の基準印刷エネルギーである。基準印刷エネルギーPmaxは、例えば、以下の式(3)により表現される。
式(3)における「Dn」の「n」は、1からNまでの範囲内の数値が設定される。「N」は、前述の最大印刷サイズSxの画像を構成する画素の数である。式(3)における「Dn」は、黒を示す画像(すなわち、前述の最高濃度対象画像)を構成する複数の画素に対応するR,G,B画素データの和(合計値)である。式(3)における「Dn」は、0である。すなわち、基準印刷エネルギーPmaxは、(255×3×N)の式で得られる値である。
前述の情報取得処理が終了すると、ヘッド温度予測処理が行われる(ステップS130)。ヘッド温度予測処理は、ヘッド温度Thaを予測する処理である。具体的には、ヘッド温度予測処理では、ヘッド温度予測部62が、温度予測情報が示す温度予測方法にしたがって、ヘッド温度Thaを予測する。
前提Pm1におけるヘッド温度予測処理では、ヘッド温度予測部62が、画像G1と画像G2とが隣接するように、当該画像G1および当該画像G2が印刷装置100により印刷されたと仮定した仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaを、計測されたヘッド温度T0と、画像データGd1,Gd2とに基づいて、予測する。すなわち、ヘッド温度予測部62が、画像G1および画像G2が印刷装置100により印刷されたと仮定した仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaを、画像データGd1,Gd2に基づいて、予測する。
具体的には、ヘッド温度予測部62は、まず、1番目対象画像である画像G1に対応するヘッド温度Thaを予測する。画像G1に対応するヘッド温度Thaとは、画像G1が印刷装置100により印刷されたと仮定した仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaである。
画像G1に対応するヘッド温度Thaは、計測されたヘッド温度T0と、画像データGd1に含まれる、R画像データ、G画像データおよびB画像データと、前提Pm1における温度予測情報が示す、予測演算式としての式(1)、式(2)および式(3)とにより算出される。前述したように、例えば、R画像データは、複数のR画素データを含む。
前提Pm1におけるヘッド温度予測処理では、ヘッド温度予測部62が、式(2)と、画像データGd1に含まれる、R画像データ、G画像データおよびB画像データとにより、画像G1に対応する印刷エネルギーEpを算出する。
そして、ヘッド温度予測部62は、算出した印刷エネルギーEpと、計測されたヘッド温度T0と、式(1)とにより、画像G1に対応するヘッド温度Thaを算出する。当該ヘッド温度Thaは、式(1)の「Th」に、ヘッド温度T0が設定されることにより、算出される。これにより、ヘッド温度予測部62は、算出したヘッド温度Thaを、画像G1に対応するヘッド温度Thaとして予測する。
次に、ヘッド温度予測部62は、画像G2に対応するヘッド温度Thaを予測する。画像G2に対応するヘッド温度Thaとは、画像G2が印刷装置100により印刷されたと仮定した仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaである。
画像G2に対応するヘッド温度Thaは、画像G1に対応するヘッド温度Thaと、画像データGd2に含まれる、R画像データ、G画像データおよびB画像データと、温度予測情報が示す、予測演算式としての式(1)、式(2)および式(3)とにより算出される。
前提Pm1におけるヘッド温度予測処理では、ヘッド温度予測部62が、式(2)と、画像データGd2に含まれる、R画像データ、G画像データおよびB画像データとにより、画像G2に対応する印刷エネルギーEpを算出する。
そして、ヘッド温度予測部62は、算出した印刷エネルギーEpと、画像G1に対応する、算出済みのヘッド温度Thaと、式(1)とにより、画像G2に対応するヘッド温度Thaを算出する。画像G2に対応するヘッド温度Thaは、式(1)の「Th」に、画像G1に対応する、算出済みのヘッド温度Thaが設定されることにより、算出される。
ヘッド温度予測部62は、算出した、画像G2に対応するヘッド温度Thaを、予測ヘッド温度として予測する。すなわち、前提Pm1におけるヘッド温度予測処理では、ヘッド温度予測部62が、画像G2に対応するヘッド温度Thaを予測する。
以下においては、ヘッド温度予測処理において最終的に予測されたヘッド温度Thaを、「最終予測ヘッド温度Tha」ともいう。前提Pm1における最終予測ヘッド温度Thaは、画像G2に対応するヘッド温度Thaである。
そして、ヘッド温度予測部62は、画像G2に対応するヘッド温度Thaである最終予測ヘッド温度Thaを、判定部63へ通知する。
なお、温度予測情報における予測演算式は、式(1)、式(2)および式(3)に限定されない。予測演算式は、例えば、画像Aの平均濃度が最高濃度に近い程、算出されるヘッド温度Thaが高いという特徴を有する別の式であってもよい。
また、温度予測方法は、対象画素データ(例えば、R画素データ)の代わりに、印刷画素データ(例えば、Y画素データ)を使用してヘッド温度Thaを予測する方法Md1であってもよい。方法Md1では、R画素データ、G画素データおよびB画素データが、それぞれ、Y画素データ、M画素データおよびC画素データに変換される。また、方法Md1では、以下の説明文D1,D2に従って、ヘッド温度Thaが予測される。
説明文D1は、式(2)の説明文における、「R」、「G」および「B」を、それぞれ、「Y」、「M」および「C」に置き換えた当該説明文である。説明文D2は、前提Pm1におけるヘッド温度予測処理の前述の説明文における、「R画素」、「G画素」および「B画素」を、それぞれ、「Y画素」、「M画素」および「C画素」に置き換えた当該説明文である。また、説明文D2は、さらに、前提Pm1におけるヘッド温度予測処理の前述の説明文における「R画像」、「G画像」および「B画像」を、それぞれ、「Y画像」、「M画像」および「C画像」に置き換えた当該説明文である。
方法Md1では、説明文D1,D2に従って、印刷画素データ(Y画素データ、M画素データおよびC画素データ)に基づいた印刷エネルギーEpが算出され、かつ、ヘッド温度Thaが算出される。ヘッド温度予測部62は、算出したヘッド温度Thaを、予測ヘッド温度として予測する。
また、画像G2に対応するヘッド温度Thaを算出する式(1)の「Th」は、印刷中の画像G1に対応する、予測ヘッド温度としてのヘッド温度Thaとしたが、これに限定されない。画像G2に対応するヘッド温度Thaを算出する式(1)の「Th」は、画像G1の印刷完了直後に計測されたヘッド温度T0とする構成としてもよい。当該構成では、画像G2に対応するヘッド温度Thaを、さらに正確に予測することができる。
また、温度予測方法は、例えば、参照テーブルT1,T2を使用した方法Md2であってもよい。方法Md2は、参照テーブルT1,T2を使用して、画像Aに対応するヘッド温度Thaを予測する方法である。方法Md2は、画像Aの平均濃度が最高濃度に近い程、特定される印刷エネルギーEpが高くなる方法である。また、方法Md2は、画像Aの平均濃度が最高濃度に近い程、予測されるヘッド温度Thaが高くなる方法である。
また、方法Md2は、画像Aが印刷装置100により印刷されたと仮定した仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaを、ヘッド温度予測部62が当該画像Aのデータに基づいて、予測する方法である。
参照テーブルT1は、画像Aの平均濃度と、画像Aの印刷に必要な印刷エネルギーEpとを対応づけて示す。参照テーブルT1では、異なる複数の平均濃度に、それぞれ、複数の印刷エネルギーEpが対応づけられている。参照テーブルT1における平均濃度が高い程、当該平均濃度に対応づけられる印刷エネルギーEpは高い。参照テーブルT1が示す、平均濃度および印刷エネルギーEpの各々の数は、例えば、50以上である。参照テーブルT1が示す、平均濃度および印刷エネルギーEpの各々の数が多い程、特定される印刷エネルギーEpの精度が高くなる。
参照テーブルT1における、複数の平均濃度、および、複数の印刷エネルギーEpは、例えば、実験等を繰り返し行うことにより、決定される。当該実験は、例えば、印刷処理Pにおいて印刷の対象となる画像Aの変更、画像Aの平均濃度の算出、印刷処理Pの実行、実行された印刷処理Pにおいてサーマルヘッド2が発した印刷エネルギーEpの特定等である。
また、参照テーブルT2では、異なる複数の印刷エネルギーEpに、それぞれ、複数の上昇温度が対応づけられている。上昇温度とは、サーマルヘッド2が印刷エネルギーEpを発した直後のヘッド温度から、サーマルヘッド2が当該印刷エネルギーEpを発する直前のヘッド温度を減算することにより得られる温度である。
参照テーブルT2における印刷エネルギーEpが高い程、当該印刷エネルギーEpに対応づけられる上昇温度は高い。参照テーブルT2が示す、印刷エネルギーEpおよび上昇温度の各々の数は、例えば、50以上である。参照テーブルT2が示す、印刷エネルギーEpおよび上昇温度の各々の数が多い程、予測される上昇温度(ヘッド温度Tha)の精度が高くなる。
参照テーブルT2における、複数の印刷エネルギーEp、および、複数の上昇温度は、例えば、実験等を繰り返し行うことにより、決定される。当該実験は、例えば、印刷処理Pにおいてサーマルヘッド2が発する印刷エネルギーEpの大きさの変更、ヘッド温度の計測、印刷処理Pの実行、上昇温度の算出等である。
方法Md2では、画像Aが原色画像である場合、3組の参照テーブルT1,T2が使用される。例えば、画像Aが対象原色画像である場合、R画像、G画像およびB画像の各々に対応する参照テーブルT1,T2が使用される。画像Aが印刷原色画像である場合、Y画像、M画像およびC画像の各々に対応する参照テーブルT1,T2が使用される。
方法Md2では、ヘッド温度センサSn3が、所定タイミングにおいて、ヘッド温度を計測する。所定タイミングは、タイミングAまたはタイミングBである。タイミングAは、印刷装置100が、画像Aの印刷を開始する直前のタイミングである。タイミングBは、方法Md2に従ったヘッド温度Thaを予測する処理が開始されるタイミングである。
また、方法Md2では、画像Aの平均濃度が算出される。次に、画像Aに対応する参照テーブルT1が示す複数の平均濃度のうち、算出された平均濃度に最も近い平均濃度が選択される。次に、選択された平均濃度に対応づけられた、当該参照テーブルT1が示す印刷エネルギーEpが特定される。
次に、画像Aに対応する参照テーブルT2が示す複数の印刷エネルギーEpのうち、特定された印刷エネルギーEpに最も近い印刷エネルギーEpが選択される。次に、選択された印刷エネルギーEpに対応づけられた、当該参照テーブルT2が示す上昇温度が特定される。
次に、ヘッド温度センサSn3により計測されたヘッド温度に、特定された上昇温度を加算して得られる温度が、画像Aに対応するヘッド温度Thaとして予測される。以上のようにして、方法Md2により、画像Aに対応するヘッド温度Thaが予測される。
前述のヘッド温度予測処理が終了すると、判定部63は、メモリ52に記憶されている隣接印刷条件を取得する(ステップS141)。隣接印刷条件は、印刷装置100が隣接印刷処理を実行可能であるか否かを、判定するための条件である。
ここで、サーマルヘッド2の規定温度における最大のヘッド温度を、「最大温度Thmax」または「Thmax」と定義する。サーマルヘッド2の規定温度とは、例えば、インクシートに関する不具合が発生しないための温度である。当該不具合は、例えば、印刷処理が行われた場合、インクシートにシワ等が発生するという不具合である。そのため、最大温度Thmaxは、インクシートに関する不具合が発生しないための、閾値としての温度である。
隣接印刷条件では、例えば、Tha≦Thmaxで表現される関係式が成立する場合、印刷装置100が隣接印刷処理を実行することが認められる。上記関係式の「Tha」は、最終予測ヘッド温度Thaである。また、隣接印刷条件では、例えば、Tha>Thmaxの関係式が成立する場合、印刷装置100が隣接印刷処理を実行することが認められない。
ステップS150では、判定部63が、最終予測ヘッド温度Thaおよび隣接印刷条件に基づいて、印刷装置100が隣接印刷処理を実行可能であるか否かを、判定する。最終予測ヘッド温度Thaが最大温度Thmax以下の場合、印刷装置100が隣接印刷処理を実行することが認められ、処理はステップS152へ移行する。一方、最終予測ヘッド温度Thaが最大温度Thmaxより大きい場合、印刷装置100が隣接印刷処理を実行することが認められず、処理はステップS174へ移行する。
前提Pm1では、最終予測ヘッド温度Thaが最大温度Thmax以下である。そのため、前提Pm1におけるステップS150の判定により、処理はステップS152へ移行する。
ステップS152では、判定部63が、印刷装置100の動作状態である印刷状態を、印刷状態取得部65に問い合わせる。これにより、判定部63は、印刷状態取得部65から、印刷装置100の最新の動作状態である印刷状態を示す印刷状態情報を受信する。前提Pm1では、判定部63は、印刷状態としての「印刷中」を示す印刷状態情報を受信する。
ステップS154では、判定部63が、印刷状態が「印刷中」であるか否かを判定する。具体的には、判定部63が、印刷状態取得部65から受信した印刷状態情報が「印刷中」を示すか否かを判定する。ステップS154においてYesの場合、判定部63は隣接印刷処理を印刷装置100に実行させると判定する。そして、処理はステップS171へ移行する。一方、ステップS154においてNoの場合、判定部63は、隣接印刷処理を印刷装置100に実行させないと判定する。そして、処理はステップS174へ移行する。
すなわち、ステップS154における判定結果に基づいて、判定部63が、隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かを判定する。判定部63により、隣接印刷処理を印刷装置100に実行させないと判定された場合、処理はステップS174へ移行し、印刷装置100は隣接印刷処理を実行しない。
前提Pm1では、印刷状態が「印刷中」であると判定されて、処理はステップS171へ移行する。ステップS150,S154が行われることにより、判定部63は、予測された最終予測ヘッド温度Thaと、印刷状態とに基づいて、隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かを判定する。
なお、印刷状態を考慮せずに、隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かが判定される構成としてもよい。当該構成では、ステップS150において、印刷装置100が隣接印刷処理を実行可能と判定された場合、ステップS152,S154の処理を行うことなく、ステップS171の処理が行われる。すなわち、当該構成では、ステップS150において、判定部63は、予測された最終予測ヘッド温度Thaに基づいて、隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かを判定する。
ステップS171では、印刷装置100が、判定部63の判定結果に従って、隣接印刷処理を実行する。この場合、印刷制御処理は当該隣接印刷処理を印刷装置100に実行させる。
前提Pm1における印刷制御処理では、前述の印刷処理Pにより画像G1が用紙8に印刷された後に、隣接印刷処理が行われる。前提Pm1における隣接印刷処理では、印刷装置100が、印刷制御部64の制御に従って、画像G1と画像G2とが隣接するように、当該画像G2を印刷する。画像G2は、例えば、前述の印刷処理Pにより、用紙8に印刷される。これにより、印刷制御処理が終了する。
前述のステップS150またはステップS154の判定結果により、ステップS174の処理が行われる場合がある。この場合、印刷制御処理は当該隣接印刷処理を印刷装置100に実行させない。
ステップS174では、通常印刷処理が実行される。通常印刷処理とは、1枚の画像を用紙8に印刷する処理である。前提Pm1における通常印刷処理では、印刷装置100が、印刷制御部64の制御に従って、例えば、画像G1を用紙8に印刷する。以上により、印刷制御処理が終了する。
以下においては、隣接印刷処理を含む、印刷に関する処理を、「隣接印刷制御処理」ともいう。隣接印刷制御処理は、本実施の形態に係る処理である。隣接印刷制御処理は、複数の画像を連続的に印刷する処理である。隣接印刷制御処理は、例えば、前提Pm1における印刷制御処理のうちの、印刷に関する処理を主に行う処理である。
また、以下においては、隣接印刷制御処理と比較の対象となる、比較例としての処理を、「通常印刷制御処理」ともいう。通常印刷制御処理は、複数の対象画像を印刷する場合、通常印刷処理を繰り返して行う処理である。複数の対象画像は、例えば、画像G1および画像G2である。
次に、通常印刷制御処理または隣接印刷制御処理における印刷装置100の動作について説明する。まず、画像G1および画像G2を印刷する通常印刷制御処理について説明する。画像G1は、j番目対象画像である。画像G2は、(j+1)番目対象画像である。
図21は、比較例としての通常印刷制御処理を説明するための図である。説明を分かりやすくするために、図21には、用紙8における位置P0,P1,P2と、サーマルヘッド2と、カッターCt1とが示される。
位置P0は、用紙8の先端である。以下においては、用紙8において、画像の印刷が開始される位置を、「印刷開始位置」ともいう。位置P1,P2の各々は、印刷開始位置である。用紙8のうち、位置P1と位置P0との間の領域は、1つの印刷領域に対応する。用紙8のうち、位置P2と位置P1との間の領域は、別の1つの印刷領域に対応する。
また、図21では、各ステップに対応する、用紙8の状態が示される。また、図21では、画像G1に関連する処理に対して、文字列「(X1)」が示される。また、図21では、画像G2に関連する処理に対して、文字列「(X2)」が示される。
以下においては、画像G1に対する印刷処理Pを、「印刷Pr(X1)」または「Pr(X1)」ともいう。また、以下においては、画像G2に対する印刷処理Pを、「印刷Pr(X2)」または「Pr(X2)」ともいう。
図21を参照して、ステップS510では、印刷装置100の状態は待機状態である。待機状態の印刷装置100は印刷を行っていない。このとき、用紙8の位置P0は、当該待機状態に対応する待機位置に存在する。
まず、通常印刷処理としての印刷Pr(X1)を行うための準備が行われる。具体的には、印刷装置100が、用紙8の位置P1(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS520)。
次に、印刷装置100が、通常印刷処理としての印刷Pr(X1)を行う(ステップS530)。これにより、用紙8に、画像G1を示す印刷物が形成される。印刷Pr(X1)が終了した後に、排紙処理(X1)が行われる(ステップS571)。
排紙処理(X1)では、印刷物を外部に排出するために、印刷装置100が、用紙8を搬送する。そして、用紙8から印刷物が切り離されるように、カッターCt1が、当該用紙8の位置P1を切断する。
次に、通常印刷処理としての印刷Pr(X2)を行うための準備が行われる。具体的には、印刷装置100が、用紙8の位置P2(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS551)。
次に、印刷装置100が、通常印刷処理としての印刷Pr(X2)を行う(ステップS560)。これにより、用紙8に、画像G2を示す印刷物が形成される。印刷Pr(X2)が終了した後に、排紙処理(X2)が行われる(ステップS572)。
排紙処理(X2)では、画像G2を示す印刷物を外部に排出するために、印刷装置100が、用紙8を搬送する。そして、用紙8から当該印刷物が切り離されるように、カッターCt1が、当該用紙8の位置P2を切断する。
次に、印刷装置100の状態を待機状態にするための処理が行われる。具体的には、用紙8の位置P2が、待機状態に対応する待機位置となるように、印刷装置100が、用紙8を搬送する(ステップS580)。以上により、通常印刷制御処理は終了する。
次に、画像G1および画像G2を、連続的に印刷する隣接印刷制御処理について説明する。隣接印刷制御処理に含まれる隣接印刷処理は、画像G1と画像G2とが隣接するように、当該画像G2を印刷する印刷Pr(X2)である。
図6は、実施の形態1に係る隣接印刷制御処理を説明するための図である。図6において、図21のステップ番号と同じステップ番号の処理は、図21に対して説明した処理と同様な処理が行われるので詳細な説明は繰り返さない。以下、通常印刷制御処理と異なる点を主に説明する。
図6を参照して、ステップS510では、印刷装置100の状態は待機状態である。このとき、用紙8の位置P0は、待機状態に対応する待機位置に存在する。
次に、印刷装置100が、用紙8の位置P1(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS520)。
次に、印刷装置100が、画像G1を用紙8に印刷する印刷Pr(X1)を行う(ステップS530)。これにより、用紙8に、画像G1を示す印刷物が形成される。
印刷Pr(X1)が終了した後に、隣接印刷処理としての印刷Pr(X2)を行うための準備が行われる。具体的には、印刷装置100が、用紙8の位置P2(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS552)。ステップS552の処理により、ロール紙18から、画像G2の印刷のために必要な長さの用紙8が引き出される。
次に、印刷装置100が、隣接印刷処理としての印刷Pr(X2)を行う(ステップS560)。これにより、用紙8に、画像G2を示す印刷物が形成される。
印刷Pr(X2)が終了した後に、排紙処理(X1)が行われる(ステップS571)。排紙処理(X1)では、画像G1を示す印刷物を外部に排出するために、印刷装置100が、用紙8を搬送する。そして、用紙8から当該印刷物が切り離されるように、カッターCt1が、当該用紙8の位置P1を切断する。
次に、排紙処理(X2)が行われる(ステップS572)。排紙処理(X2)では、画像G2を示す印刷物を外部に排出するために、印刷装置100が、用紙8を搬送する。そして、用紙8から当該印刷物が切り離されるように、カッターCt1が、当該用紙8の位置P2を切断する。
次に、印刷装置100の状態を待機状態にするための処理が行われる。具体的には、用紙8の位置P2が、待機状態に対応する待機位置となるように、印刷装置100が、用紙8を搬送する(ステップS580)。以上により、隣接印刷制御処理は終了する。
図6の隣接印刷制御処理では、画像G1の印刷の終了後に印刷物を排出せずに、すぐに、画像G2の印刷を開始する。そのため、隣接印刷制御処理では、用紙8の搬送距離を短くすることができる。したがって、隣接印刷制御処理による、画像G1,G2の印刷に要する印刷時間を、通常印刷制御処理による、画像G1,G2の印刷に要する印刷時間よりも短くすることができる。
なお、図6の隣接印刷制御処理では、印刷の対象となる2枚の対象画像を印刷する処理について説明したが、当該対象画像の数は2に限定されない。隣接印刷制御処理における対象画像の数は3以上であってもよい。ただし、印刷機構に関わる構造的なスペース等について制約がある場合、予め、隣接印刷制御処理における対象画像の数に上限を設定してもよい。
(まとめ)
以上説明したように、本実施の形態によれば、ヘッド温度予測部62は、サーマルヘッド2の温度であるヘッド温度を予測する機能を有する。ヘッド温度予測部62は、画像G1と画像G2とが隣接するように、当該画像G1および当該画像G2の一方または両方が印刷装置100により印刷されたと仮定した状況におけるヘッド温度を、当該画像G1および当該画像G2の一方または両方のデータである画像データに基づいて、予測する。判定部63は、予測されたヘッド温度に基づいて、画像G1と画像G2とが隣接するように、当該画像G2を印刷する隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かを判定する。隣接印刷処理を印刷装置100に実行させると判定された場合、当該印刷装置100は当該隣接印刷処理を実行する。
これにより、サーマルヘッドの温度を考慮して、印刷処理を実行することができる。
また、本実施の形態では、ヘッド温度予測部62が、画像データと、ヘッド温度センサSn3が計測したヘッド温度とに基づいて、仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaを予測する。判定部63は、予測されたヘッド温度Thaに基づいて、隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かを判定する。当該判定は、画像G1の印刷中に行われる。以下においては、サーマルヘッドを冷却するために必要な時間を、「冷却時間」ともいう。
具体的には、画像G1の印刷ジョブの受信後に印刷が開始され、当該画像G1の印刷中に、判定部63が、画像G2を印刷する隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かを判定する。判定部63は、画像G2に対応する、予測されたヘッド温度Thaが、規定温度である最大温度Thmax以下の場合のみ、隣接印刷処理を印刷装置100に実行させると判定する。
これにより、画像G2に対応するヘッド温度Thaが最大温度Thmax以下の場合のみ、画像G2を印刷する隣接印刷処理が実行される。そのため、サーマルヘッド2のヘッド温度が、規定温度である最大温度Thmaxより高い温度になることを防ぐことができる。したがって、多くの画像を連続的に印刷する処理を高速に行う状況においても、ヘッド温度が高い温度になったサーマルヘッド2の冷却時間を短縮することができる。その結果、画像の印刷時間を効率的に短縮することができる。
また、本実施の形態では、事前に、印刷としての隣接印刷処理を実行可能であるか否かが判定され、かつ、当該印刷が行われる前に、ロール紙18から、画像の印刷のために必要な長さの用紙8が引き出され、当該用紙8に画像が印刷される。これにより、印刷中における用紙切れ等が発生することを防止することができる。
また、本実施の形態では、温度予測方法は、対象画素データを印刷画素データに変換し、当該印刷画素データを使用してヘッド温度Thaを予測する前述の方法Md1であってもよい。また、方法Md1において、印刷原色画像としてのY画像、M画像およびC画像の各々に対応するヘッド温度Thaを予測してもよい。これにより、複数種類のヘッド温度Thaを予測することができる。
また、印刷装置100が複数の画像を合成し、当該複数の画像を示す合成画像を印刷する構成としてもよい。また、当該構成では、合成画像に対応する印刷エネルギーEpが算出される。合成画像に対応する印刷エネルギーEpは、以下の式(4)のように、複数の画像にそれぞれ対応する複数の印刷エネルギーの和で表現される。
式(4)において、合成画像に対応する印刷エネルギーEpは、一例として、0から200までの範囲内の実数で表現される。また、Ep1からEpnは、各画像に対応する印刷エネルギーを示す。Ep1からEpnは、一例として、0から200までの範囲内の実数で表現される。式(4)で得られる印刷エネルギーEpを使用することで、合成画像に対応するヘッド温度Thaを予測することができる。
以下においては、印刷を行うための処理と異なる処理を、「非印刷処理」ともいう。印刷を行うための処理は、例えば、印刷処理Pである。
また、本実施の形態では、印刷装置100が、複数の非印刷処理を実行するとしたがこれに限定されない。情報処理装置200が、当該複数の非印刷処理を実行してもよい。以下においては、印刷装置100が、複数の非印刷処理を実行する状況を、「非印刷処理実行状況」ともいう。
情報処理装置200が、当該複数の非印刷処理を実行することにより、以下の問題の発生を防ぐことができる。当該問題は、非印刷処理実行状況において、ヘッド温度の予測等のために多くの時間が費やされ、前の画像の印刷の終了から次の画像の印刷の開始までの間に不要な待ち時間が発生するという問題である。この問題が発生しないことにより、印刷装置100は、印刷を行うための処理を、効率的に、実行することが可能になる。
また、本実施の形態のヘッド温度予測処理では、ヘッド温度予測部62が、画像データに基づいて、仮定印刷状況における予測ヘッド温度としてのヘッド温度Thaを予測したが、これに限定されない。ヘッド温度Thaは、以下の変形構成Aにより予測されてもよい。変形構成Aは、ヘッド温度予測部62が、印刷装置100の環境温度と、画像データとに基づいて、仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaを予測する構成である。
次に、変形構成Aが適用された、図5の印刷制御処理について詳細に説明する。以下、変形構成Aが適用された印刷制御処理について、前述した、前提Pm1における印刷制御処理と異なる点を主に説明する。
ステップS120の情報取得処理では、ヘッド温度予測部62が、画像データ、ヘッド温度T0および温度予測情報の取得に加え、環境温度も取得する。
環境温度の取得は、以下のようにして行われる。まず、ヘッド温度予測部62が、最新の環境温度を環境温度センサSn1に要求する。環境温度センサSn1は、当該要求に応じて、最新の環境温度を計測し、当該最新の環境温度をヘッド温度予測部62へ通知する。これにより、ヘッド温度予測部62は、環境温度を取得する。
変形構成Aが適用された、ステップS130のヘッド温度予測処理では、ヘッド温度予測部62が、温度予測情報が示す温度予測方法にしたがって、ヘッド温度Thaを予測する。変形構成Aにおける温度予測方法は、前述の特徴C1、および、特徴C2を有する。特徴C2は、取得された環境温度が高い程、予測されるヘッド温度Thaは高いという特徴である。すなわち、特徴C2は、取得された環境温度が低い程、予測されるヘッド温度Thaは低いという特徴である。
具体的には、変形構成Aが適用されたヘッド温度予測処理では、ヘッド温度予測部62が、印刷装置100の環境温度と、画像データとに基づいて、仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaを予測する。
変形構成Aにおける温度予測方法では、一例として、予測演算式としての前述の式(1)、式(2)および式(3)を使用して、予測ヘッド温度としてのヘッド温度Thaが予測される。式(1)における、環境温度補正係数としての「α」は、例えば、0から1までの範囲内の実数で表現される。当該「α」には、取得された環境温度が高い程、大きい値が設定される。また、当該「α」には、取得された環境温度が低い程、小さい値が設定される。そのため、取得された環境温度が高い程、式(1)により得られるヘッド温度Thaは大きい。
予測演算式を使用した、画像G1に対応するヘッド温度Thaの予測方法、および、画像G2に対応するヘッド温度Thaの予測方法は、前述した予測方法と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。前述した予測方法とは、前提Pm1におけるヘッド温度予測処理としての、予測演算式を使用したヘッド温度Thaの予測方法である。
以上のように、変形構成Aでは、仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaが予測される。変形構成Aでは、印刷装置100の環境温度と、画像データとに基づいて、ヘッド温度Thaが予測されるため、当該ヘッド温度Thaを正確に予測することができる。
また、ヘッド温度Thaは、以下の変形構成Bにより予測されてもよい。変形構成Bは、ヘッド温度予測部62が、印刷条件と、画像データとに基づいて、仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaを予測する構成である。当該印刷条件は、例えば、隣接印刷処理において行われる印刷の条件である。当該印刷条件は、例えば、印刷速度である。印刷速度は、例えば、印刷原色画像(Y画像、M画像およびC画像)の印刷速度、および、OP画像の印刷速度である。
次に、変形構成Bが適用された、図5の印刷制御処理について詳細に説明する。以下、変形構成Bが適用された印刷制御処理について、前述した、前提Pm1における印刷制御処理と異なる点を主に説明する。
ステップS120の情報取得処理では、ヘッド温度予測部62が、画像データ、ヘッド温度T0および温度予測情報の取得に加え、印刷速度も取得する。印刷速度は、受信部61が受信した印刷ジョブであって、メモリ52に記憶された当該印刷ジョブに含まれる前述の印刷条件情報に示される。そのため、ヘッド温度予測部62は、印刷ジョブから、印刷速度を取得する。
変形構成Bが適用された、ステップS130のヘッド温度予測処理では、ヘッド温度予測部62が、温度予測情報が示す温度予測方法にしたがって、ヘッド温度Thaを予測する。変形構成Bにおける温度予測方法は、前述の特徴C1、および、特徴C3を有する。特徴C3は、取得された印刷速度を考慮したヘッド温度Thaを予測するという特徴である。
具体的には、変形構成Bが適用されたヘッド温度予測処理では、ヘッド温度予測部62が、取得された印刷条件である印刷速度と、画像データとに基づいて、仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaを予測する。
変形構成Bにおける温度予測方法では、一例として、予測演算式としての前述の式(1)、式(2)および式(3)を使用して、予測ヘッド温度としてのヘッド温度Thaが予測される。
ここで、取得された印刷速度は、印刷原色画像(例えば、Y画像)の印刷速度、および、OP画像の印刷速度であると仮定する。式(2)における、速度補正係数としての「Argb」には、印刷原色画像の印刷速度に基づいた値が設定される。
また、式(2)における、速度補正係数としての「Aop」には、OP画像の印刷速度に基づいた値が設定される。印刷原色画像の印刷速度を基準として、単純比率に基づいて、印刷原色画像の速度補正係数およびOP画像の速度補正係数は決定される。ここで、印刷原色画像の印刷速度は、1.0ms/lineであると仮定する。また、OP画像の印刷速度は、2.0ms/lineであると仮定する。この場合、例えば、「Argb」には「1.0」が設定され、「Aop」には「0.5」が設定される。
予測演算式を使用した、画像G1に対応するヘッド温度Thaの予測方法、および、画像G2に対応するヘッド温度Thaの予測方法は、前述した予測方法と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。前述した予測方法とは、前提Pm1におけるヘッド温度予測処理としての、予測演算式を使用したヘッド温度Thaの予測方法である。
以上のように、変形構成Bでは、仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaが予測される。変形構成Bでは、印刷条件である印刷速度と、画像データとに基づいて、ヘッド温度Thaが予測されるため、当該ヘッド温度Thaを正確に予測することができる。
ところで、印刷速度ごとのヘッド温度Thaを予め計測し、その計測結果により、式(2)の速度補正係数が設定されてもよい。また、印刷速度は、外部から提供される印刷ジョブから取得されなくてもよい。また、印刷速度は、例えば、印刷装置100において、予め設定された判定基準により決定されてもよい。また、印刷速度は、例えば、印刷装置100の内部の構成要素から取得されてもよい。
また、ヘッド温度Thaは、例えば、以下の変形構成Cにより予測されてもよい。変形構成Cは、ヘッド温度予測部62が、印刷装置100の環境温度と、印刷条件と、画像データと、計測されたヘッド温度とに基づいて、仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaを予測する構成である。変形構成Cは、変形構成Aと、変形構成Bとを組み合わせることにより実現される。変形構成Cでは、ヘッド温度Thaを、より正確に予測することができる。
ところで、従来の印刷装置では、熱転写の処理を高速化することにより、印刷時間の短縮が実現されている。しかしながら、この方法では、サーマルヘッドに蓄積される熱エネルギーが増大する。そのため、サーマルヘッドの温度が上昇する。特に、濃度の高い画像を印刷する印刷処理が繰り返し行われる場合、インクシートに、熱によるダメージが蓄積する。そのため、インクシートにおいて、熱収縮に伴うシワが発生する。
さらに、サーマルヘッドに蓄積される熱が増大した場合、インクシートが、用紙に対し熱融着する。すなわち、スティッキングが発生するという問題がある。
この問題を解決するために、以下の処理が考えられる。当該処理では、サーマルヘッドの温度が規定温度に到達した場合、印刷装置は、印刷処理の実行を停止することにより、サーマルヘッドを冷却する。そして、サーマルヘッドの温度が規定温度まで低下した場合、印刷装置は、印刷処理を再開する。
これにより、シワ、スティッキング等の発生が抑制される。そのため、印刷物が示す画像の品質を、規定の品質に保つことができる。しかしながら、この処理では、印刷処理の実行時間が、著しく長いという課題がある。
特に、1画面サイズのインクシートを使用して複数の画像を印刷する印刷装置の環境温度が高い状況において、濃度の高い画像を印刷する印刷処理が繰り返し行われる場合、以下の不具合が発生するという問題がある。当該不具合は、例えば、ヘッド温度が高い温度になったサーマルヘッドの冷却時間が長くなり、かつ、印刷時間が非常に長くなるという不具合である。
そこで、本実施の形態の印刷装置100は、上記の効果を奏するための構成を有する。そのため、本実施の形態の印刷装置100により、上記の問題を解決することができる。
<変形例1>
本変形例の構成は、実施の形態1に適用される。実施の形態1では、ヘッド温度予測部62が、予測ヘッド温度としてのヘッド温度Thaを予測する。判定部63は、予測されたヘッド温度Thaに基づいて、印刷装置100が隣接印刷処理を実行可能であるか否かを、判定する。印刷装置100が隣接印刷処理を実行可能な場合、印刷装置100が、画像G1の印刷と、画像G2の印刷とを連続して行った。
本変形例では、Y画像、M画像、C画像等の印刷原色画像の印刷方法に特徴がある。本変形例では、混在印刷を行うための処理が行われる。混在印刷とは、例えば、画像G1を表現する印刷原色画像(例えば、Y画像)の印刷と、画像G2を表現する別の印刷原色画像(例えば、M画像)の印刷とが混在して行われる処理である。
本変形例では、混在印刷に対応する隣接印刷処理が行われる。以下においては、混在印刷に対応する隣接印刷処理を、「混在隣接印刷処理」ともいう。本変形例における混在隣接印刷処理は、画像G1を表現する印刷原色画像と、画像G2を表現する別の印刷原色画像とが隣接するように、当該別の印刷原色画像を印刷する処理である。
(構成)
図7は、変形例1の構成を有する印刷装置100の動作を説明するための機能構成を示す図である。本変形例では、メモリ52に、混在印刷条件がさらに記憶されている。混在印刷条件は、印刷装置100が混在隣接印刷処理を実行可能であるか否かを、判定するための条件である。
本変形例では、ヘッド温度予測部62は、画像G1および画像G2の各々を表現する印刷原色画像としてのY画像、M画像およびC画像の各々に対応するヘッド温度Thaを予測する。
以下においては、前述の最低濃度から前述の中間濃度までの範囲に含まれる濃度を、「低濃度」ともいう。また、以下においては、画像の平均濃度が低濃度である当該画像を、「低濃度画像」ともいう。また、以下においては、前述の中間濃度より高い濃度を、「高濃度」ともいう。また、以下においては、画像の平均濃度が高濃度である当該画像を、「高濃度画像」ともいう。
また、以下においては、画像G1に対応するヘッド温度Thaを、「ヘッド温度Tha1」または「Tha1」ともいう。また、以下においては、画像G1を表現するY画像に対応するヘッド温度Thaを、「ヘッド温度Tha1y」または「Tha1y」ともいう。また、以下においては、画像G1を表現するM画像に対応するヘッド温度Thaを、「ヘッド温度Tha1m」または「Tha1m」ともいう。また、以下においては、画像G1を表現するC画像に対応するヘッド温度Thaを、「ヘッド温度Tha1c」または「Tha1c」ともいう。
また、以下においては、画像G2に対応するヘッド温度Thaを、「ヘッド温度Tha2」または、「Tha2」ともいう。また、以下においては、画像G2を表現するY画像に対応するヘッド温度Thaを、「ヘッド温度Tha2y」または「Tha2y」ともいう。また、以下においては、画像G2を表現するM画像に対応するヘッド温度Thaを、「ヘッド温度Tha2m」または「Tha2m」ともいう。また、以下においては、画像G2を表現するC画像に対応するヘッド温度Thaを、「ヘッド温度Tha2c」または「Tha2c」ともいう。
ヘッド温度Tha1y,Tha1m,Tha1c,Tha2y,Tha2m,Tha2cの各々は、印刷原色画像が、単独で、印刷装置100により印刷されたと仮定した仮定印刷状況におけるヘッド温度である。そのため、例えば、ヘッド温度Tha1yは、2枚の印刷原色画像が連続して印刷されたと仮定した仮定印刷状況におけるヘッド温度より、低い温度である。
ここで、画像G1が高濃度画像であり、画像G2が低濃度画像であると仮定する。この場合、画像G1および画像G2の各々に対応する、予測ヘッド温度としてのヘッド温度Thaは、例えば、図8の表Tb1のように示される。図8において、「(Y)」、「(M)」および「(C)」、は、それぞれ、Y画像、M画像およびC画像を示す。
また、本変形例では、判定部63が、混在印刷条件に基づいて、印刷装置100が混在隣接印刷処理を実行可能であるか否かを、判定する。混在印刷条件は、例えば、図9の表Tb2のように定義される。表Tb2は、混在印刷条件を示す。図9において、「(Y)」、「(M)」および「(C)」、は、それぞれ、Y画像、M画像およびC画像を示す。表Tb2には、Y画像、M画像およびC画像の各々に対応する条件が示される。
図9において、Y画像に対応する、条件「≧20」とは、例えば、Y画像に対応するヘッド温度Tha1yと、Y画像に対応するヘッド温度Tha2yとの差が20℃以上であるという条件である。なお、混在印刷条件は、図9の表Tb2が示す条件と異なる条件であってもよい。
また、本変形例では、前述した隣接印刷条件における「Tha≦Thmax」が満たされない場合、例えば、図10の表Tb3のように、画像G1または画像G2を表現する印刷原色画像の印刷の順番が変更される。
本変形例では、画像G1を表現する複数の印刷原色画像に対応する複数の印刷の間に、低濃度画像である画像G2を表現する印刷原色画像の印刷が行われる。これにより、ヘッド温度の上昇を抑えることができる。また、サーマルヘッド2の温度が、非常に高い温度になることを防止することができる。その結果、サーマルヘッド2を冷却するための処理を不要にすることができる。
各印刷原色画像の印刷の順番が変更されても、印刷物が示す画像の品質はほとんど変化しない。印刷制御部64は、判定部63による判定結果に基づいて、印刷装置100が印刷を行うように、当該印刷装置100を制御する。
(動作)
次に、変形例1における印刷装置100の動作について説明する。本変形例では、印刷装置100が、以下の印刷制御処理Aを行う。図11は、変形例1に係る印刷制御処理Aのフローチャートである。
図11では、印刷制御処理Aに含まれる、主要なステップのみを示している。印刷制御処理Aの一例を分かりやすくするために、以下の前提Pm2のもとで行われる印刷制御処理Aについて説明する。図11において、図5のステップ番号と同じステップ番号の処理は、実施の形態1で説明した処理と同様な処理が行われるので詳細な説明は繰り返さない。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
前提Pm2は、前述の前提Pm1と比較して、以下の点が異なる。前提Pm2におけるそれ以外の点は、前提Pm1と同様である。前提Pm1と同様な前提Pm2では、例えば、印刷装置100のヘッド温度予測部62は、画像G1を示す画像データGd1を含む印刷ジョブを、情報処理装置200から既に受信している。
前提Pm2では、印刷制御処理Aが開始された直後に、印刷装置100は、画像G1を表現するY画像の印刷を開始する。また、前提Pm2では、画像G2に対応するヘッド温度Thaは、最大温度Thmaxより大きい。また、前提Pm2では、メモリ52に、混在印刷条件として、図9の表Tb2が記憶されている。また、前提Pm2では、予測されるヘッド温度Tha1y,Tha1m,Tha1c,Tha2y,Tha2m,Tha2cは、図9の表Tb2が示す混在印刷条件を満たす温度である。すなわち、前提Pm2では、「Tha1y−Tha2y」、「Tha1m−Tha2m」および「Tha1c−Tha2c」の全てが、20℃以上である。
また、前提Pm2では、ヘッド温度の上昇を抑えるために、図10の表Tb3のように、各印刷原色画像の印刷の順番が変更される。また、前提Pm2では、画像G1が高濃度画像であり、画像G2が低濃度画像である。当該高濃度画像および当該低濃度画像は、図10の表Tb3のように、各印刷原色画像の印刷の順番が変更された場合、ヘッド温度の上昇を抑えることが可能な画像である。
図11を参照して、前提Pm2における印刷制御処理Aでは、実施の形態1と同様に、ステップS110,S120の処理が行われる。これにより、ヘッド温度予測部62が、印刷データとしての画像データGd1,Gd2、ヘッド温度T0、および、温度予測情報を取得する。
次に、ヘッド温度予測処理Aが行われる(ステップS130A)。ヘッド温度予測処理Aでは、まず、温度予測処理A1が行われる。温度予測処理A1では、ヘッド温度予測部62が、図5のステップS130と同様に、画像G2に対応するヘッド温度Thaを予測する。そして、ヘッド温度予測部62は、画像G2に対応するヘッド温度Thaである最終予測ヘッド温度Thaを、判定部63へ通知する。前提Pm2では、温度予測処理A1で通知された最終予測ヘッド温度Thaは、最大温度Thmaxより大きい。
次に、温度予測処理A2が行われる。温度予測処理A2では、ヘッド温度予測部62が、温度予測情報が示す温度予測方法にしたがって、画像G1および画像G2の各々を表現する、印刷原色画像としてのY画像、M画像およびC画像の各々に対応するヘッド温度Thaを予測する。
印刷原色画像に対応するヘッド温度Thaの予測に使用される温度予測方法は、例えば、前述の方法Md2である。なお、当該温度予測方法は、前述の方法Md1と同様な方法であってもよい。方法Md1と同様な方法とは、前述の方法Md1を、Y画像、M画像およびC画像の各々に対応するヘッド温度Thaを予測する方法に変更した方法である。
すなわち、温度予測処理A2では、ヘッド温度予測部62は、画像G1を表現する印刷原色画像が印刷装置100により印刷されたと仮定した仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaを予測する。また、ヘッド温度予測部62は、画像G2を表現する印刷原色画像が印刷装置100により印刷されたと仮定した仮定印刷状況におけるヘッド温度Thaを予測する。
前提Pm2における温度予測処理A2では、図8に示される各ヘッド温度Thaが予測される。前提Pm2では、予測されたヘッド温度Tha1y,Tha1m,Tha1c,Tha2y,Tha2m,Tha2cは、ヘッド温度センサSn3が、方法Md2における前述のタイミングBにおいてヘッド温度を計測することにより、予測された温度である。タイミングBは、例えば、画像G1を表現するY画像の印刷が開始されたタイミングである。
以下においては、ヘッド温度センサSn3が、タイミングBにおいて計測したヘッド温度を、「ヘッド温度Th0」または「Th0」ともいう。ヘッド温度Th0は、画像G1を表現するY画像の印刷が開始されたタイミングBにおけるヘッド温度である。ヘッド温度Tha1y,Tha1m,Tha1c,Tha2y,Tha2m,Tha2cの各々は、ヘッド温度Th0を基準として、予測された温度である。そのため、例えば、「Tha1y−Th0」の式で得られる温度は、サーマルヘッド2の上昇温度である。
また、前提Pm2では、予測されたヘッド温度Tha1y,Tha1m,Tha1c,Tha2y,Tha2m,Tha2cは、「Tha1y−Tha2y」、「Tha1m−Tha2m」および「Tha1c−Tha2c」の各々が20℃以上となる温度である。すなわち、前提Pm2では、予測されたヘッド温度Tha1y,Tha1m,Tha1c,Tha2y,Tha2m,Tha2cは、図9の表Tb2の混在印刷条件を満たす温度である。
また、ヘッド温度予測部62は、印刷原色画像に対応する、予測したヘッド温度を、判定部63へ通知する。予測したヘッド温度は、ヘッド温度Tha1y,Tha1m,Tha1c,Tha2y,Tha2m,Tha2cである。
次に、判定部63が、メモリ52に記憶されている隣接印刷条件を取得する。次に、判定処理A3が行われる。判定処理A3では、判定部63が、隣接印刷条件における、関係式Aとしての前述の関係式(Tha≦Thmax)が成立するか否かを判定する。関係式Aが成立する場合、このヘッド温度予測処理Aは終了して、処理はステップS142へ移行する。一方、関係式Aが満たされない場合、以下の順番変更処理A4が行われる。
前提Pm2では、画像G2に対応するヘッド温度Thaは、最大温度Thmaxより大きい。そのため、前提Pm2における判定処理A3では、関係式Aが成立しないため、順番変更処理A4が行われる。
順番変更処理A4では、判定部63が、ヘッド温度の上昇を、なるべく抑えるように、各印刷原色画像の印刷の順番を変更する。前提Pm2における順番変更処理A4では、画像G1を表現する複数の印刷原色画像に対応する複数の印刷の間に、低濃度画像である画像G2を表現する印刷原色画像の印刷が行われるように、各印刷原色画像の印刷の順番が変更される。前提Pm2における順番変更処理A4では、例えば、判定部63が、図10の表Tb3のように、各印刷原色画像の印刷の順番を変更する。
そして、判定部63は、各印刷原色画像の印刷の順番を、ヘッド温度予測部62へ通知する。前提Pm2では、図10の表Tb3を、ヘッド温度予測部62へ通知する。
次に、最終温度予測処理A5が行われる。最終温度予測処理A5では、ヘッド温度予測部62が、変更された印刷の順番に対応する最終予測ヘッド温度Thaを予測する。
前提Pm2における最終温度予測処理A5では、ヘッド温度予測部62は、図10の表Tb3に示される印刷の順番に対応する、最終予測ヘッド温度Thaを予測する。ヘッド温度予測部62は、例えば、「Tha1y+Tha1m+Tha1c+Tha2y+Tha2m+Tha2c−5×Th0」の式により得られた温度を、最終予測ヘッド温度Thaとして予測する。前提Pm2では、予測された当該最終予測ヘッド温度Thaは、最大温度Thmax以下である。ヘッド温度予測部62は、予測した最終予測ヘッド温度Thaを、判定部63に通知する。以上により、ヘッド温度予測処理Aが終了する。
ヘッド温度予測処理Aが終了すると、判定部63は、メモリ52に記憶されている混在印刷条件を取得する(ステップS142)。前提Pm2におけるステップS142では、混在印刷条件として、図9の表Tb2が取得される。
ステップS150では、判定部63が、最新の最終予測ヘッド温度Tha、および、隣接印刷条件に基づいて、印刷装置100が隣接印刷処理を実行可能であるか否かを、判定する。最終予測ヘッド温度Thaが最大温度Thmax以下の場合、印刷装置100が隣接印刷処理を実行することが認められ、処理はステップS152へ移行する。一方、最終予測ヘッド温度Thaが最大温度Thmaxより大きい場合、印刷装置100が隣接印刷処理を実行することが認められず、処理はステップS174へ移行する。
前提Pm2では、最新の最終予測ヘッド温度Thaが最大温度Thmax以下である。そのため、前提Pm2におけるステップS150の判定により、処理はステップS152へ移行する。
ステップS152では、実施の形態1と同様に、判定部63が、印刷装置100の動作状態である印刷状態を、印刷状態取得部65に問い合わせる。前提Pm2では、判定部63は、印刷状態としての「印刷中」を示す印刷状態情報を受信する。
ステップS154では、実施の形態1と同様に、判定部63が、印刷状態が「印刷中」であるか否かを判定する。ステップS154においてYesならば、処理はステップS156へ移行する。一方、ステップS154においてNoならば、処理はステップS174へ移行する。
ステップS156では、判定部63が、各ヘッド温度Thaに基づいて、隣接印刷処理である混在隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かを判定する。
前提Pm2におけるステップS156では、判定部63が、ヘッド温度Tha1y,Tha1m,Tha1c、および、ヘッド温度Tha2y,Tha2m,Tha2cに基づいて、隣接印刷処理である混在隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かを判定する。
具体的には、まず、判定部63が、予測ヘッド温度としての各ヘッド温度Thaと、混在印刷条件とに基づいて、印刷装置100が混在隣接印刷処理を実行可能であるか否かを、判定する。
混在印刷条件が満たされる場合、印刷装置100が混在隣接印刷処理を実行可能であると判定される。この場合、判定部63は、混在隣接印刷処理を印刷装置100に実行させると判定する。そして、処理はステップS172へ移行する。一方、混在印刷条件が満たされない場合、印刷装置100が混在隣接印刷処理を実行不能であると判定される。この場合、判定部63は、混在隣接印刷処理を印刷装置100に実行させないと判定する。そして、処理はステップS171へ移行する。
すなわち、ステップS156では、判定部63が、予測された各ヘッド温度Thaと、混在印刷条件とに基づいて、隣接印刷処理である混在隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かを判定する。
前提Pm2では、予測されたヘッド温度Tha1y,Tha1m,Tha1c,Tha2y,Tha2m,Tha2cは、図9の表Tb2の混在印刷条件を満たす。そのため、前提Pm2におけるステップS156では、判定部63は、混在隣接印刷処理を実行可能と判定し、かつ、混在隣接印刷処理を印刷装置100に実行させると判定する。そして、処理はステップS172へ移行する。
ステップS172では、印刷装置100が、判定部63の判定結果に従って、混在隣接印刷処理を実行する。前提Pm2における混在隣接印刷処理では、図10の表Tb3に従った処理が行われる。すなわち、前提Pm2における混在隣接印刷処理では、印刷装置100が、印刷制御部64の制御に従って、画像G1を表現する印刷原色画像(Y画像)と、画像G2を表現する別の印刷原色画像(M画像)とが隣接するように、当該別の印刷原色画像(M画像)を印刷する。
その後、図10の表Tb3に従って、各印刷原色画像の印刷が行われる。これにより、印刷制御処理Aが終了する。ステップS171,S174は、実施の形態1と同様に行われるので詳細な説明は省略する。以下においては、混在隣接印刷処理を含む、印刷に関する処理を、「混在印刷制御処理」ともいう。
次に、前提Pm2における混在印刷制御処理について説明する。図12および図13は、変形例1に係る混在印刷制御処理の一例を説明するための図である。なお、図12および図13における混在印刷制御処理では、説明を簡略化するために、OP画像の印刷の処理は省略している。図12および図13において、図6のステップ番号と同じステップ番号の処理は、図6に対して説明した処理と同様な処理が行われるので詳細な説明は繰り返さない。以下、図6の処理と異なる点を主に説明する。
図12を参照して、ステップS510、S520により、印刷装置100が、用紙8の頭出しを行う。次に、印刷装置100が、画像G1を表現するY画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X1)(Y)を行う(ステップS530Y)。この場合、画像G1は、印刷原色画像としてのY画像で表現される。
印刷Pr(X1)(Y)が終了した後に、混在隣接印刷処理として、画像G2を表現するM画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X2)(M)を行うための準備が行われる。具体的には、印刷装置100が、用紙8の位置P2(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS552M)。
次に、印刷装置100が、画像G2を表現するM画像を用紙8に印刷する混在隣接印刷処理としての印刷Pr(X2)(M)を行う(ステップS560M)。この場合、画像G2は、印刷原色画像としてのM画像で表現される。また、画像G1を表現するY画像と、画像G2を表現するM画像とが隣接する。
印刷Pr(X2)(M)が終了した後に、印刷装置100が、画像G1を表現するC画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X1)(C)を行う(ステップS530C)。
印刷Pr(X1)(C)が終了した後に、画像G2を表現するY画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X2)(Y)を行うための準備が行われる。具体的には、印刷装置100が、用紙8の位置P2(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS552Y)。
次に、印刷装置100が、画像G2を表現するY画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X2)(Y)を行う(ステップS560Y)。図13を参照して、印刷Pr(X2)(Y)が終了した後に、印刷装置100が、画像G1を表現するM画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X1)(M)を行う(ステップS530M)。これにより、用紙8に、画像G1を示す印刷物が形成される。
印刷Pr(X1)(M)が終了した後に、画像G2を表現するC画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X2)(C)を行うための準備が行われる。具体的には、印刷装置100が、用紙8の位置P2(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS552C)。
次に、印刷装置100が、画像G2を表現するC画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X2)(C)を行う(ステップS560C)。これにより、用紙8に、画像G2を示す印刷物が形成される。
印刷Pr(X2)(C)が終了した後に、排紙処理(X1)が行われる(ステップS571)。排紙処理(X1)では、画像G1を示す印刷物を外部に排出するために、印刷装置100が、用紙8を搬送する。そして、用紙8から当該印刷物が切り離されるように、カッターCt1が、当該用紙8の位置P1を切断する。
次に、排紙処理(X2)が行われる(ステップS572)。排紙処理(X2)では、画像G2を示す印刷物を外部に排出するために、印刷装置100が、用紙8を搬送する。そして、用紙8から当該印刷物が切り離されるように、カッターCt1が、当該用紙8の位置P2を切断する。
次に、印刷装置100の状態を待機状態にするための処理が行われる。具体的には、用紙8の位置P2が、待機状態に対応する待機位置となるように、印刷装置100が、用紙8を搬送する(ステップS580)。以上により、混在印刷制御処理は終了する。
(まとめ)
以上説明したように、本変形例によれば、画像G1を表現する複数の印刷原色画像に対応する複数の印刷の間に、低濃度画像である画像G2を表現する印刷原色画像の印刷が行われるように、各印刷原色画像の印刷の順番が変更される。これにより、ヘッド温度の上昇を抑えることができる。すなわち、サーマルヘッド2の温度が、非常に高い温度になることを防止することができる。また、本変形例の混在印刷制御処理が実行されることにより、効率的な印刷を実現することができる。
<変形例2>
本変形例の構成は、変形例1に適用される。実施の形態1では、ヘッド温度予測部62が、ヘッド温度Thaを予測する。判定部63は、予測されたヘッド温度Thaに基づいて、印刷装置100が隣接印刷処理を実行可能であるか否かを、判定する。また、変形例1では、画像G1を表現する印刷原色画像の印刷と、画像G2を表現する別の印刷原色画像の印刷とが混在して行われる混在印刷制御処理が行われる。
本変形例の印刷装置100は、混在印刷制御処理を実行する機能を有する。混在印刷制御処理は、例えば、変形例1で説明した混在印刷制御処理である。当該混在印刷制御処理は、画像G1を表現する印刷原色画像を印刷する処理と、画像G2を表現する別の印刷原色画像を印刷する処理とを含む処理である。
本変形例では、混在印刷制御処理が実行されている期間の途中に用紙8を切断する混在切断処理が行われる。前述したように、当該混在印刷制御処理は、前述の混在隣接印刷処理を含む。混在切断処理とは、例えば、画像G2の印刷の途中に、画像G1を示す印刷物を用紙8から切り離すための処理である。
(構成)
図14は、変形例2の構成を有する印刷装置100の動作を説明するための機能構成を示す図である。本変形例では、メモリ52に、混在切断条件がさらに記憶されている。混在切断条件は、用紙8における切断位置と、混在印刷制御処理における、用紙8の印刷開始位置とに基づいた最小隣接印刷数を示す。当該切断位置とは、用紙8のうち、カッターCt1が切断を行うための位置である。
最小隣接印刷数は、混在切断処理が行われる場合の、隣接して印刷可能な画像の最小数である。混在切断条件は、例えば、「印刷枚数>最小隣接印刷数」の関係式である。
本変形例では、最小隣接印刷数は、一例として2である。そのため、3枚以上の対象画像を使用した混在印刷制御処理が実行されている期間の途中に、混在切断処理が行われる。
通常、印刷原色画像(Y画像、M画像、C画像)、OP画像等のような、印刷の対象となる画像を切替える処理が行われる場合、用紙8の搬送が一時的に停止される必要がある。本変形例では、用紙8の搬送が一時的に停止される状況において、用紙8の印刷開始位置(例えば、位置P1)が、切断位置として使用されるように設定される。そのため、印刷の対象となる画像を切替える処理と、印刷物が形成された用紙8の切断を行うための処理とを、並列的に行うことが可能となる。
本変形例では、対象画像として、3枚の画像を使用した処理について説明する。対象画像としての3枚の画像は、前述の画像G1、前述の画像G2、および、画像G3である。以下においては、画像G3を示す画像データGdを、「画像データGd3」ともいう。すなわち、画像データGd3は、画像G3の画像データである。以下においては、混在切断処理を含む混在印刷制御処理を、「混在切断制御処理」ともいう。
(動作)
次に、変形例2における印刷装置100の動作について説明する。本変形例では、印刷装置100が、以下の印刷制御処理Bを行う。図15は、変形例2に係る印刷制御処理Bのフローチャートである。図15では、印刷制御処理Bに含まれる、主要なステップのみを示している。図15では、印刷制御処理Bの説明が複雑にならないように、一例として、「印刷中」の判定を行わない印刷制御処理Bを示す。
印刷制御処理Bの一例を分かりやすくするために、以下の前提Pm3のもとで行われる印刷制御処理Bについて説明する。図15において、図11のステップ番号と同じステップ番号の処理は、変形例1で説明した処理と同様な処理が行われるので詳細な説明は繰り返さない。以下、変形例1と異なる点を主に説明する。
また、図16、図17および図18は、変形例2に係る混在切断制御処理の一例を説明するための図である。図16、図17および図18における混在切断制御処理では、説明を簡略化するために、OP画像の印刷の処理は省略している。また、図16、図17および図18において、図12および図13のステップ番号と同じステップ番号の処理は、図12および図13に対して説明した処理と同様な処理が行われるので詳細な説明は繰り返さない。また、図16、図17および図18では、画像G3に関連する処理に対して、文字列「(X3)」が示される。以下においては、画像G3に対する印刷処理Pを、「印刷Pr(X3)」または「Pr(X3)」ともいう。
図16、図17および図18では、画像G1,G2,G3を印刷するために、印刷原色画像の印刷の順番が変更された状況における混在切断制御処理の一例を説明するための図である。各印刷原色画像の印刷の順番の変更は、画像G1,G2,G3の各々の印刷原色画像に対応するヘッド温度Thaに基づいて行われる。また、各印刷原色画像の印刷の順番の変更は、混在印刷条件が満たされるように行われる。
前提Pm3では、印刷ジョブは、印刷枚数を示す。当該印刷枚数は、3である。また、前提Pm3では、図16、図17および図18が示す、各印刷原色画像の印刷の順番となるように、当該各印刷原色画像の印刷の順番が変更される。前提Pm3における混在印刷条件は、図16、図17および図18が示す、各印刷原色画像の印刷の順番に対応する混在切断制御処理を実行可能な条件である。また、前提Pm3では、混在切断条件(印刷枚数>最小隣接印刷数)が満たされる。また、前提Pm3では、画像G1,G2,G3の各々を表現する、各印刷原色画像に対応する予測されたヘッド温度Thaは、混在印刷条件を満たす温度である。
図15を参照して、前提Pm3における印刷制御処理Bでは、変形例1と同様に、ステップS110の処理が行われる。これにより、印刷ジョブが、メモリ52に記憶される。
次に、情報取得処理Bが行われる(ステップS120B)。前提Pm3における情報取得処理Bでは、ヘッド温度予測部62が、印刷データとしての画像データGd1,Gd2,Gd3、ヘッド温度T0、温度予測情報、および、印刷枚数を取得する。
次に、ヘッド温度予測処理Aが行われる(ステップS130A)。ヘッド温度予測処理Aでは、画像G1,G2,G3を対象として、変形例1における、図11のヘッド温度予測処理Aと同様な処理が行われる。そのため、図15のヘッド温度予測処理Aの詳細な説明は省略する。前提Pm3では、例えば、画像G1,G2,G3の各々を表現する、各印刷原色画像に対応する予測されたヘッド温度Thaは、混在印刷条件を満たす温度である。また、例えば、判定部63が、図16、図17および図18のように、各印刷原色画像の印刷の順番を変更する。
次に、判定部63は、メモリ52に記憶されている混在印刷条件を取得する(ステップS142)。次に、判定部63は、メモリ52に記憶されている混在切断条件を取得する(ステップS143)。
ステップS150では、判定部63が、最終予測ヘッド温度Thaおよび隣接印刷条件に基づいて、印刷装置100が隣接印刷処理を実行可能であるか否かを、判定する。ステップS150の処理は、変形例1のステップS150の処理と同様である。前提Pm3では、印刷装置100が隣接印刷処理を実行可能と判定されて、処理はステップS156へ移行する。
ステップS156では、判定部63が、混在隣接印刷処理を印刷装置100に実行させるか否かを判定する。混在印刷条件が満たされる場合、印刷装置100が混在隣接印刷処理を実行可能であると判定される。そして、処理はステップS158へ移行する。一方、混在印刷条件が満たされない場合、印刷装置100が混在隣接印刷処理を実行不能であると判定される。そして、処理はステップS171へ移行する。前提Pm3では、混在印刷条件が満たされるとして、処理はステップS158へ移行する。
ステップS158では、判定部63が、混在切断条件に基づいて、混在印刷制御処理である混在切断制御処理が実行されている期間の途中に、印刷装置100が混在切断処理を実行可能であるか否かを、判定する。
具体的には、判定部63は、混在切断条件が満たされるか否かを判定する。混在切断条件が満たされる場合、印刷装置100は混在切断処理を実行可能であると判定される。そして、処理はステップS173へ移行する。一方、混在切断条件が満たされない場合、印刷装置100は混在切断処理を実行不能であると判定される。そして、処理はステップS172へ移行する。前提Pm3では、混在印刷条件が満たされる。そのため、処理はステップS173へ移行する。
ステップS173では、印刷装置100が、印刷制御部64の制御に従って、混在切断処理を実行する。具体的には、印刷装置100は、混在印刷制御処理である混在切断制御処理が実行されている期間の途中に、混在切断処理を実行する。混在切断処理は、切断条件Aが満たされた場合に実行される。当該切断条件Aは、用紙8を切断するための条件である。切断条件Aは、一例として、画像G1の印刷が終了したという条件である。
次に、図16、図17および図18を使用して、前提Pm3における混在切断制御処理について説明する。図16、図17および図18には、印刷開始位置としての位置P3がさらに示される。用紙8のうち、位置P3と位置P2との間の領域は、別の1つの印刷領域に対応する。
図16を参照して、ステップS510,S552により、印刷装置100が、用紙8の位置P2(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う。
次に、印刷装置100が、画像G2を表現するY画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X2)(Y)を行う(ステップS560Y)。次に、印刷装置100が、画像G1を表現するM画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X1)(M)を行う(ステップS530M)。
次に、印刷装置100が、用紙8の位置P2(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS552C)。次に、印刷装置100が、画像G2を表現するC画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X2)(C)を行う(ステップS560C)。次に、印刷装置100が、画像G1を表現するY画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X1)(Y)を行う(ステップS530Y)。
次に、印刷装置100が、用紙8の位置P3(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS553)。図17を参照して、次に、印刷装置100が、画像G3を表現するM画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X3)(M)を行う(ステップS563M)。
次に、印刷装置100が、用紙8の位置P1(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS520C)。次に、印刷装置100が、画像G1を表現するC画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X1)(C)を行う(ステップS530C)。これにより、画像G1の印刷が終了したという切断条件Aが満たされる。また、用紙8に、画像G1を示す印刷物が形成される。
次に、排紙処理(X1)が行われる(ステップS571)。排紙処理(X1)では、印刷物を外部に排出するために、印刷装置100が、用紙8を搬送する。また、排紙処理(X1)では、印刷装置100は、用紙8を切断する混在切断処理を行う。
混在切断処理は、例えば、画像G2の印刷の途中に、画像G1を示す印刷物を用紙8から切り離すための処理である。混在切断処理では、用紙8から、画像G1を示す印刷物が切り離されるように、印刷装置100のカッターCt1が、当該用紙8の位置P1を切断する。
次に、印刷装置100が、用紙8の位置P3(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS553Y)。次に、印刷装置100が、画像G3を表現するY画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X3)(Y)を行う(ステップS563Y)。図18を参照して、次に、印刷装置100が、画像G2を表現するM画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X2)(M)を行う(ステップS560M)。これにより、画像G2の印刷が終了し、用紙8に、画像G2を示す印刷物が形成される。
次に、排紙処理(X2)が行われる(ステップS572)。排紙処理(X2)では、画像G2を示す印刷物を外部に排出するために、印刷装置100が、用紙8を搬送する。そして、用紙8から当該印刷物が切り離されるように、カッターCt1が、当該用紙8の位置P2を切断する。
次に、印刷装置100が、用紙8の位置P3(印刷開始位置)が検出されるように、当該用紙8の頭出しを行う(ステップS553C)。次に、印刷装置100が、画像G3を表現するC画像を用紙8に印刷する印刷Pr(X3)(C)を行う(ステップS563C)。これにより、画像G3の印刷が終了し、用紙8に、画像G3を示す印刷物が形成される。
次に、排紙処理(X3)が行われる(ステップS573)。排紙処理(X3)では、画像G3を示す印刷物を外部に排出するために、印刷装置100が、用紙8を搬送する。そして、用紙8から当該印刷物が切り離されるように、カッターCt1が、当該用紙8の位置P3を切断する。
次に、用紙8の位置P3が、待機状態に対応する待機位置となるように、印刷装置100が、用紙8を搬送する(ステップS580)。以上により、前提Pm3における混在切断制御処理は終了する。上記の説明によれば、混在印刷制御処理である混在切断制御処理が実行されている期間の途中に前述の混在切断処理が行われる。
(まとめ)
以上説明したように、本変形例によれば、混在印刷制御処理である混在切断制御処理が実行されている期間の途中に、画像G1を示す印刷物を用紙8から切り離す混在切断処理が行われる。また、混在切断制御処理では、用紙8の搬送が一時的に停止される状況において、用紙8の印刷開始位置(例えば、位置P1)が、切断位置として使用されるように設定される。これにより、印刷の対象となる画像を切替える処理と、印刷物が形成された用紙8の切断を行うための処理とが、並列的に行われる。そのため、混在印刷制御処理である混在切断制御処理が実行されている期間の途中に排紙処理を行うことができ、かつ、当該混在切断制御処理の実行に必要な時間を短縮することができる。そのため、効率的な印刷を実現することができる。
(機能ブロック図)
図19は、印刷装置BL10の特徴的な機能構成を示すブロック図である。印刷装置BL10は、印刷装置100に相当する。つまり、図19は、印刷装置BL10の有する機能のうち、本技術に関わる主要な機能を示すブロック図である。
印刷装置BL10は、サーマルヘッドを使用して、複数の画像が隣接するように、当該複数の画像を印刷する機能を有する、熱転写方式の印刷装置である。印刷装置BL10は、機能的には、ヘッド温度予測部BL1を備える。ヘッド温度予測部BL1は、前記サーマルヘッドの温度であるヘッド温度を予測する機能を有する。ヘッド温度予測部BL1は、ヘッド温度予測部62に相当する。前記複数の画像は、j(1以上の整数)番目の画像である第1画像、および、(j+1)番目の画像である第2画像を含む。
ヘッド温度予測部BL1は、前記第1画像と前記第2画像とが隣接するように、当該第1画像および当該第2画像の一方または両方が印刷装置BL10により印刷されたと仮定した状況における前記ヘッド温度を、当該第1画像および当該第2画像の一方または両方のデータである画像データに基づいて、予測する。
印刷装置BL10は、機能的には、さらに、判定部BL2を備える。判定部BL2は、予測された前記ヘッド温度に基づいて、前記第1画像と前記第2画像とが隣接するように、当該第2画像を印刷する隣接印刷処理を印刷装置BL10に実行させるか否かを判定する。判定部BL2は、判定部63に相当する。
前記隣接印刷処理を印刷装置BL10に実行させると判定された場合、当該印刷装置BL10は当該隣接印刷処理を実行する。前記隣接印刷処理を印刷装置BL10に実行させないと判定された場合、前記印刷装置BL10は当該隣接印刷処理を実行しない。
(その他の変形例)
以上、本技術に係る印刷装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本技術は、当該実施の形態に限定されるものではない。本技術の主旨を逸脱しない範囲内で、当業者が思いつく変形を実施の形態に施したものも、本技術に含まれる。つまり、本技術は、その技術の範囲内において、実施の形態、各変形例を自由に組み合わせたり、実施の形態、各変形例を適宜、変形、省略することが可能である。
例えば、印刷装置100は、図で示される全ての構成要素を含まなくてもよい。すなわち、印刷装置100は、本技術の効果を実現できる最小限の構成要素のみを含めばよい。
また、印刷装置100に含まれる、ヘッド温度予測部62および判定部63の各々の機能は、処理回路により実現されてもよい。
当該処理回路は、前記第1画像と前記第2画像とが隣接するように、当該第1画像および当該第2画像の一方または両方が前記印刷装置により印刷されたと仮定した状況における前記ヘッド温度を、当該第1画像および当該第2画像の一方または両方のデータである画像データに基づいて、予測するための回路である。
また、当該処理回路は、予測された前記ヘッド温度に基づいて、前記第1画像と前記第2画像とが隣接するように、当該第2画像を印刷する隣接印刷処理を前記印刷装置に実行させるか否かを判定するための回路でもある。
処理回路は、専用のハードウエアであってよい。また、処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。当該プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等である。
以下においては、処理回路が専用のハードウエアである構成を、「構成Cs1」ともいう。また、以下においては、処理回路が、プロセッサである構成を、「構成Cs2」ともいう。また、以下においては、ヘッド温度予測部62および判定部63の各々の機能を、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現する構成を、「構成Cs3」ともいう。
構成Cs1では、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。ヘッド温度予測部62および判定部63の機能は、それぞれ、2つの処理回路で実現されてもよい。また、ヘッド温度予測部62および判定部63の全ての機能が、1つの処理回路で実現されてもよい。
なお、印刷装置100に含まれる各構成要素の全てまたは一部を、ハードウエアで示した構成は、例えば、以下のようになる。以下においては、印刷装置100に含まれる各構成要素の全てまたは一部を、ハードウエアで示した印刷装置を、「印刷装置hd10」ともいう。
図20は、印刷装置hd10のハードウエア構成図である。図20を参照して、印刷装置hd10は、プロセッサhd1と、メモリhd2とを備える。メモリhd2は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリである。また、メモリhd2は、例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。また、メモリhd2は、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
構成Cs2では、処理回路は、プロセッサhd1である。構成Cs2では、ヘッド温度予測部62および判定部63の各々の機能は、ソフトウエア、ファームウエア、またはソフトウエアとファームウエアとの組み合わせにより実現される。ソフトウエアまたはファームウエアは、プログラムとして記述され、メモリhd2に格納される。
また、構成Cs2では、処理回路(プロセッサhd1)が、メモリhd2に記憶されたプログラムを読み出して、当該プログラムを実行することにより、ヘッド温度予測部62および判定部63の各々の機能は実現される。すなわち、メモリhd2は、以下のプログラムを格納する。
当該プログラムは、前記第1画像と前記第2画像とが隣接するように、当該第1画像および当該第2画像の一方または両方が前記印刷装置により印刷されたと仮定した状況における前記ヘッド温度を、当該第1画像および当該第2画像の一方または両方のデータである画像データに基づいて、予測するステップを、処理回路(プロセッサhd1)に実行させるためのプログラムである。
また、当該プログラムは、予測された前記ヘッド温度に基づいて、前記第1画像と前記第2画像とが隣接するように、当該第2画像を印刷する隣接印刷処理を前記印刷装置に実行させるか否かを判定するステップを、処理回路(プロセッサhd1)に実行させるためのプログラムでもある。
また、当該プログラムは、ヘッド温度予測部62および判定部63の各々が行う処理の手順、当該処理を実行する方法等をコンピュータに実行させるものでもある。
構成Cs3では、ヘッド温度予測部62および判定部63の一部の機能は、専用のハードウエアで実現される。また、構成Cs3では、ヘッド温度予測部62および判定部63の別の一部の機能は、ソフトウエアまたはファームウエアで実現される。
例えば、ヘッド温度予測部62の機能は、処理回路がメモリに格納されたプログラムを読み出して実行することによって実現される。また、例えば、判定部63の機能は、専用のハードウエアとしての処理回路で実現される。
以上の構成Cs1、構成Cs2および構成Cs3のように、処理回路は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
また、本技術は、印刷装置100が備える特徴的な構成部の動作をステップとする印刷制御方法として実現してもよい。また、本技術は、そのような印刷制御方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現してもよい。また、本技術は、そのようなプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現されてもよい。また、当該プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して配信されてもよい。本技術に係る印刷制御方法は、例えば、図5、図11または図15の処理に相当する。
上記実施の形態および変形例で用いた全ての数値は、本技術を具体的に説明するための一例の数値である。すなわち、本技術は、上記実施の形態および変形例で用いた各数値に制限されない。
なお、実施の形態、各変形例を自由に組み合わせたり、実施の形態、各変形例を適宜、変形、省略することが可能である。
例えば、混在印刷条件は、図9の表Tb2が示す条件に限定されない。混在印刷条件は、2つの画像Aが隣接するように、当該2つの画像Aが印刷されたと仮定した仮定印刷状況における、当該2つの画像Aに対応する2つのヘッド温度Thaの差が、例えば、20℃以上であるという条件であってもよい。
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、本開示がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。