JP2017159339A - 鋳造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような温度差を維持するための手段として、例えば特許文献1に記載されるように、加熱室と冷却室の間を区切る遮熱体が用いられている。
しかしながら、特許文献1に記載された技術では,断面の大きさが大きく異なる鋳造物に適用した場合、最大断面積に合せて遮熱体のサイズを選定しなければならない。さもなければ、鋳型表面と遮熱体の間に大きな隙間が生じることになり、遮熱体の効果が低下してしまう問題があった。
本発明の鋳造装置は、位置によって横断面積が異なる鋳型が、加熱室と冷却室の間を通過する際に、遮熱体の可撓部が鋳型の外径に合わせて撓むので、鋳型の壁面と遮熱体の間の隙間を最小に抑えることができ、加熱室と冷却室との間の遮熱を効果的に行うことができる。同時に、冷却室の冷却能力低下が抑制されるので、鋳物の温度勾配の向上が図られ、鋳物製品の強度を改善することができる。
また、遮熱が効果的になることで、加熱室から放出されるエネルギのうち、冷却室に放出される量を低減することができ、エネルギ効率が向上する副次効果も得られる。
そうすることで、第一遮熱体が備えた隣接する可撓片の間の隙間を、第二遮熱体の可撓片が補完して塞ぐので、遮熱体による遮熱効果を格段に向上させることができるようになる。
鋳造装置は、機械的強度が要求される、例えば、ガスタービン用の動翼、静翼等の部品を方向性凝固が適用される精密鋳造によって製造する。この鋳造装置は、特に、その加熱室と冷却室の間に備えられる遮熱体の効果を最大限に発揮することを目的としてなされたものである。
また図2は、鋳造装置1の内部に鋳型Mを収容した様子を示している。図2に示すように、冷却室5の内部には、鋳型Mを昇降させる駆動ロッド8と、駆動ロッド8の頂部に設けられ、鋳型Mを下方から支持するとともに冷却する冷却テーブル9が設けられている。
注湯室3は、注湯時に、図示を省略する注湯取鍋に溜められた溶融状態の合金Aを、注湯ノズル11を介して鋳型Mに注ぐ。注湯ノズル11は、注湯室3と加熱室4の境界をなす遮熱部6に支持されている。図示を省略する注湯取鍋は、真空室2を真空にする前に外部から注湯室3に導入され、その後、真空室2を真空に減圧してから、注湯取鍋から溶融状態の合金Aを注湯する。
遮熱部70については、冷却室5に係る説明の後に述べることにする。
加熱室4で溶融状態の合金Aを受け取った鋳型Mは冷却室5に移動するが、この鋳型Mが移動する向きを基準に上流と下流を定義する。
ガス供給ノズル22は、図示を省略するガス供給源から供給される冷却ガスCGを噴出させる機構を複数備えている。
ガス供給ノズル22は、鉛直方向については図1に示すように遮熱部70の直下に固定されて複数設けられるとともに、水平方向については鋳型Mを周囲から取り囲むように、水平方向に沿って設けられている。これにより、水平方向について、鋳型Mを均一に冷却できる。ガス供給ノズル22は、鋳型Mに対向する先端である吐出端221から冷却ガスCGを鋳型Mに向けて吹き付ける。ガス供給ノズル22から鋳型Mに向けて吹き付けられる冷却ガスCGは、合金Aの酸化を抑制するために、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性ガスを用いることが好ましい。また、冷却ガスCGの温度は、常温程度であれば十分であるが、特に凝固速度を速くしたいときには、常温よりも低い温度の冷却ガスCGを用いることができる。
放射冷却部25は、熱伝導率の高い銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などで形成された、例えばリング状の水冷ジャケット26の内部を冷却媒体、例えば冷却水CWが循環する構造を有している。放射冷却部25は、鋳型Mをその周囲から取り囲むことで、中空部分を通過する高温の鋳型Mが放射冷却される。
放射冷却部25は、ガス供給ノズル22のガス供給ノズル22の直下に隣接して設けられており、ガス供給ノズル22と放射冷却部25は、鉛直方向に直列に配列されている。
駆動ロッド8は、図1及び図2に示すように、冷却室5の底壁5Bを貫通して設けられ、冷却テーブル9を支持しながら図示を省略するアクチュエータにより、冷却室5の内部を昇降する。
鋳型Mは、真空室2の中央部に配置され、鋳型通路72と、鋳型通路74を通じて、加熱室4と冷却室5との間を上下方向に移動可能になっている。
このように、鋳型Mが鋳型通路74を通過する際に、鋳型Mの太さに応じて可撓片75(75A〜75H)の撓みが増減することによって、鋳型Mの周りの隙間を最小に抑えることができる。これによって、加熱室4と冷却室5の間の熱伝達を減らすことができるので、遮熱体73による遮熱が効果的に行われる。
次に、以上の構成を備える鋳造装置1における鋳造の動作を説明する。
<注湯ステップ>
図2に示すように、冷却テーブル9を介して鋳型Mを支持した状態で、駆動ロッド8を最も高い位置に移動させて、下端の一部を除いて鋳型Mを加熱室4の内部に配置する。そして、図示を省略する溶解炉で溶解された合金Aを、鋳型Mの上部開口MAより鋳型Mの内部に注湯する。
加熱室4は、合金Aの融点よりも高い温度に保持されているので、鋳型Mに注湯された溶融状態の合金Aが凝固することがない。一方で、鋳型Mへ注湯された合金Aの下端部は冷却テーブル9に接することで優先的に凝固され、薄い凝固部分である凝固界面が形成される。
必要な量の合金Aを注湯したならば、図3に示すように、駆動ロッド8を降下させることで、遮熱部70の鋳型通路72を通じて鋳型Mを冷却室5の内部へ緩やかな速度で移動させる。このときの鋳型Mの移動速度は、例えば1時間に数十センチ程度とされる。
鋳型Mを降下させながら、ガス供給ノズル22から鋳型Mに向けて冷却ガスCGを吹き付けるとともに、水冷ジャケット26に冷却水CWを循環させることで、冷却機構20は遮熱部70の直下において鋳型Mを冷却する。
本実施形態の鋳造装置1によれば、以下の効果を奏する。
鋳造装置1は、位置によって横断面積が異なる鋳型Mが、加熱室4と冷却室5の間の遮熱部70を通過する際に、遮熱体73の可撓部76が鋳型Mの外径に合わせて撓むので、鋳型Mの壁面と遮熱体73の間の隙間を最小に抑えることができ、加熱室4と冷却室5との間の遮熱を効果的に行うことができる。
また、遮熱が効果的に行われることによって、加熱ヒータ12から放出されるエネルギのうち、冷却ゾーンに無駄に放出される量を低減できるので、エネルギ効率が向上する効果も得られる。
例えば、遮熱体73は、図6(a)に示すように、支持部77をカーボンプレートのような耐熱性と高剛性を備えた材質(請求項3の剛性の高い部材にあたる)のもので構成することができる。これにより、可撓部76が自重で根元から先端にかけて撓むのを高剛性の支持部77が支えるので、遮熱体73の遮熱効果を有効に機能させることができる。
なお、可撓部76については、例えば、厚さ1〜30mmのカーボン素材のフェルト生地のような耐熱性と柔軟性を備えた材質で構成することができる。
スリットS(S1〜S8)が位相をずらして設けられることで、第一遮熱体73Aの可撓部76が鋳型Mの外径に合わせて撓んだとき、例えば、可撓片75Aと可撓片75Hが撓むことによって両者間のスリットS1の幅が広く開いたとしても、第二遮熱体73Bの可撓片75Hが、この広く開いたスリットS1の部分を補完して塞ぐことができる。これにより、遮熱体73(第一遮熱体73A,第二遮熱体73B)による遮熱効果を格段に向上させることができるようになる。
以上では、撓みが生じていない状態で、隣接する可撓片75と可撓片75の間がスリットS(S1〜S8)により隙間のない例を示している。しかし、仮に、隣接する可撓片75と可撓片75の間に所定の隙間が設けられているとしても、第一遮熱体73Aが備える隣接した可撓片同士の隙間を、第二遮熱体73Bの可撓片75が補完して塞ぐので、遮熱効果を同様に向上させることができる。
また、図7の例は、遮熱体73(第一遮熱体73A,第二遮熱体73B)が二層に積層されているが、更なる遮熱効果を期す場合には、三層、四層と積層数を増してもよく、そうすることで、さらに卓越した遮熱効果を得ることも可能である。
2 真空室
3 注湯室
4 加熱室
4A 内壁面
5 冷却室
5A 内壁面
5B 底壁
6 遮熱体
8 駆動ロッド
9 冷却テーブル
9A 下部開口
9B 底壁
11 注湯ノズル
12 加熱ヒータ
20 冷却機構
22 ガス供給ノズル
221 吐出端
25 放射冷却部
26 水冷ジャケット
70 遮熱体
71 基体
72 鋳型通路
73 遮熱体
73A 第一遮熱体
73B 第二遮熱体
74 鋳型通路
75A,75B,75C,75D,75E,75F,75G,75H 可撓片
76 可撓部
77 支持部
78 補強体
S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8 スリット
C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8 応力緩和構造
CG 冷却ガス
CW 冷却水
M 鋳型
MA 上部開口
MB 下部開口
Claims (7)
- 鋳型に溶融金属が注がれる加熱室と、
前記加熱室に隣接して設けられ、前記溶融金属が注がれた前記鋳型を移動させながら方向性凝固を行なう冷却室と、
前記加熱室と前記冷却室を区切り、前記鋳型が通る鋳型通路が空けられた遮熱体と、
を備える鋳造装置であって、
前記遮熱体は、
前記鋳型通路を周囲から取り囲み、それぞれが独立して撓むことができる複数の可撓片が周方向に並んで配置される可撓部と、
前記可撓部の外周において複数の前記可撓片と連なる支持部と、を備える、
ことを特徴とする鋳造装置。 - 前記遮熱体は、
前記支持部が、前記可撓部に比べて剛性が高い、
請求項1に記載の鋳造装置。 - 前記遮熱体は、
前記支持部が、前記可撓部に比べて剛性の高い部材で表裏からで挟まれる、
請求項1に記載の鋳造装置。 - 前記鋳型通路は、
前記鋳型の横断面形状を模した形状か、又は、円形をなす、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の鋳造装置。 - 互いに隣接する前記可撓片は、
スリットを介して、周方向に密に配列されている、
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の鋳造装置。 - 前記スリットと前記支持部との境界部に、
応力緩和構造が設けられる、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の鋳造装置。 - 前記遮熱体は、第一遮熱体と第二遮熱体の積層構造をなし、
前記第一遮熱体は、
前記鋳型通路を周囲から取り囲み、それぞれが独立して撓むことができる複数の第一可撓片が周方向に並んで設けられる第一可撓部と、
前記第一可撓部の外周において複数の前記第一可撓片と連なる第一支持部と、を備え、
前記第二遮熱体は、
前記鋳型通路を周囲から取り囲み、それぞれが独立して撓むことができる複数の第二可撓片が周方向に並んで設けられる第二可撓部と、
前記第二可撓部の外周において複数の前記第二可撓片と連なる第二支持部と、を備え、
前記第一遮熱体と前記第二遮熱体は、複数の前記第一可撓片と複数の第二可撓片の位相をずらして設けられる、
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の鋳造装置。
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