JP2017159322A - 薄肉鋳片製造設備、及び、薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents

薄肉鋳片製造設備、及び、薄肉鋳片の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017159322A
JP2017159322A JP2016045666A JP2016045666A JP2017159322A JP 2017159322 A JP2017159322 A JP 2017159322A JP 2016045666 A JP2016045666 A JP 2016045666A JP 2016045666 A JP2016045666 A JP 2016045666A JP 2017159322 A JP2017159322 A JP 2017159322A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin
thin cast
slab
pinch roll
roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016045666A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6617615B2 (ja
Inventor
白石 利幸
Toshiyuki Shiraishi
利幸 白石
大介 新國
Daisuke Niikuni
大介 新國
江藤 学
Manabu Eto
学 江藤
雅文 宮嵜
Masafumi Miyazaki
雅文 宮嵜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2016045666A priority Critical patent/JP6617615B2/ja
Publication of JP2017159322A publication Critical patent/JP2017159322A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6617615B2 publication Critical patent/JP6617615B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)
  • Metal Rolling (AREA)

Abstract

【課題】双ドラム式連続鋳造装置において製造される薄肉鋳片のフライングタッチ時期を早めることでオフゲージを減少させるとともに、薄肉鋳片のエッジアップ部やバリの影響を解消することが可能な薄肉鋳片製造設備を提供する。【解決手段】金属溶湯を連続的に注入し回転する一対の冷却ドラムにより前記金属溶湯を凝固させ薄肉鋳片Sを製造する双ドラム式連続鋳造装置と、薄肉鋳片Sを挟持する一対のロール90A、90Bを有するピンチロール装置と、ピンチロール装置の下流側に配置されたインラインミルと、を備えた薄肉鋳片製造設備において、ピンチロール装置の一対のロール90A、90Bには、薄肉鋳片Sの幅中央部を挟持するニップ部91と、薄肉鋳片Sの幅端部をせん断して除去するトリム部92と、が設けられている。【選択図】図4

Description

本発明は、双ドラム式連続鋳造装置及びピンチロールを備えた薄肉鋳片製造設備、及びこの薄肉鋳片製造設備を用いた薄肉鋳片の製造方法に関する。
薄肉鋳片を製造する場合、例えば特許文献1に示されるように、一対の連続鋳造用冷却ドラム(以下、冷却ドラムという。)を平行に配置し、対向する周面をそれぞれ上方から下方に回転させ、これら冷却ドラムの周面によって形成された湯溜まり部に金属溶湯を注入し、金属溶湯を冷却ドラムの周面上で冷却、凝固させて、薄肉鋳片を連続鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、ピンチロールと、インラインミルと、巻取装置を備えた薄肉鋳片製造設備が用いられている。
双ドラム式連続鋳造装置は、特許文献1に記載されるように、湯溜まり部に注入された金属溶湯を回転する冷却ドラムの周面で凝固、成長させて、薄肉鋳片として下方へ送り出す。
そして、冷却ドラムから送り出された薄肉鋳片は、ピンチロールによって水平方向へ送り出されて、下流のインラインミルによって所望の板厚に調整される。インラインミルによって所望の板厚に調整された薄肉鋳片は、インラインミルの下流に設置された巻取装置によってコイル状に巻き取るようになっている。
また、双ドラム式連続鋳造装置においては、図5(特許文献1の図7)に示されるように、薄肉鋳片の先端にダミーシートを接続して、薄肉鋳片を引き出して鋳造を開始するようになっている。
また、ダミーシートを先導するダミーバーは、薄肉鋳片に比べてかなり厚く形成されており、薄肉鋳片の先端とダミーシートとの接続部には、薄肉鋳片の板厚よりも厚い突起部が形成されている。
そして、インラインミルにおける圧延は、上述の突起部がインラインミルを通過した後に開始される。具体的には、鋳造を開始し、上記薄肉鋳片の先端が該インラインミルを通過後に該インラインミルのロールを回転させながらロールギャップを締め込み、圧延を開始する。この圧延方法はフライングタッチと呼ばれている。
双ドラム式連続鋳造装置は、鋳造開始前には、冷却ドラムは低温であることが一般的である。鋳造を開始すると、冷却ドラムは金属溶湯との接触により昇温する。また、冷却ドラムは、内面から冷却媒体(例えば、冷却水)によって一定温度以上にならないように冷却されている。冷却ドラムの温度が一定に到達して以降の期間を定常鋳造時といい、定常鋳造時の冷却ドラムの温度を定常温度という。
冷却ドラムのプロフィルは、鋳造を開始してから定常鋳造時に到達するまでに、経過時間とともに変化する(熱膨張する)。そのため、冷却ドラムの初期プロフィルは、定常鋳造時における薄肉鋳片の板プロフィル(板クラウン)が所望の板プロフィルとなるように冷却ドラムの幅中央部の方が冷却ドラムの両端部よりもドラム径が小さい凹クラウンに設定されている。
図6は、双ドラム式連続鋳造装置によって薄肉鋳片を製造する際の冷却ドラムのプロフィルと薄肉鋳片の板プロフィルの鋳造開始後の経過時間にともなう変化を示す概念図である。
鋳造開始時における冷却ドラムR101は、図6(A)に示すように、幅中央部がくぼんだ凹形のプロフィルに設定されている。その結果、冷却ドラムR101の間で、ハッチングで示すような幅中央部が凸形の板プロフィルを有する薄肉鋳片S101が鋳造される。
次に、鋳造を開始からしばらく時間が経過すると、冷却ドラムR101は、図6(B)に示すように、金属溶湯からの入熱によって幅中央部が膨張(拡径)して、鋳造開始時よりも小さな凹形のプロフィルであるR102に変化する。そのため、薄肉鋳片S102の板プロフィルは、鋳造開始時の薄肉鋳片S101よりもクラウン量が小さい凸形に変化する。
次いで、鋳造開始からさらに時間が経過して定常状態に到達した後は、冷却ドラムR102は、図6(C)に示すように、金属溶湯からの入熱によってさらに膨張(拡径)して、わずかな凹形のプロフィルであるR103に変化する。そのため、薄肉鋳片S103の板プロフィルは、薄肉鋳片S102よりもクラウン量がさらに小さい凸形である薄肉鋳片S103に変化する。
図6(A)から図6(C)に到達するまでの時間は、金属溶湯の組成(鋼種や溶融温度)、薄肉鋳片の厚さ、冷却ドラムの回転速度や冷却効率によって異なるが、概ね鋳造開始から約30秒程度である。
一方、薄肉鋳片の板プロフィルの変化には、冷却ドラムの熱膨張に起因する変化のほかに、鋳造開始から定常温度に到達するまでの冷却ドラムの冷却不均一による凝固シェルの成長変化がある。
一般に冷却ドラムでの冷却が強ければ凝固シェル厚さは厚くなり、薄肉鋳片の厚さは厚くなる。冷却ドラムの幅方向では、冷却ドラムの幅中央部よりも冷却ドラムの幅端部の方が冷却効率は高い。したがって、凝固シェルの厚さは幅中央部よりも幅端部の方が厚くなる。その結果、鋳造開始後の薄肉鋳片は、幅端部の板厚が幅中央部の板厚よりも厚くなる。この幅端部の板厚が厚い部分をエッジアップと呼ぶ。このエッジアップの量は鋳造開始時が最も大きく、鋳造開始後の経過時間とともに減少して、定常鋳造時にはほぼ解消する。
図7は、双ドラム式連続鋳造装置によって薄肉鋳片を製造する際において、冷却ドラムが定常温度に到達するまでの凝固シェルの成長変化に起因する薄肉鋳片の板プロフィルの変化を示す概念図である。なお、図7では、冷却ドラムのプロフィルの変化を省略して示している。
鋳造開始直後には、冷却ドラムの幅中央側よりも冷却ドラムの幅端部のほうが、熱が逃げやすいことから、金属溶湯は、薄肉鋳片の幅端部において大きく冷却されて、凝固シェルは、薄肉鋳片の幅中央部に比較して幅端部のほうが厚く形成される。
その結果、鋳造開始直後の薄肉鋳片S201の板プロフィルは、図7(A)に示すように、幅端部に大きなエッジアップが形成される。
鋳造開始後しばらく経過すると、冷却ドラムの幅中央部と冷却ドラムの幅端部の温度差が鋳造開始時よりも小さくなり、金属溶湯は、薄肉鋳片の幅端部における冷却が鋳造開始時よりも小さくなり、凝固シェルの幅中央部と幅端部における厚さの差は、鋳造開始時よりも小さくなる。
その結果、鋳造開始後しばらく経過した時点の薄肉鋳片S202の板プロフィルは、図7(B)に示すように、幅端部に鋳造開始直後の薄肉鋳片S201より小さなエッジアップが形成される。
鋳造開始からさらに時間が経過して定常状態に到達した後は、冷却ドラムの幅中央部と冷却ドラムの幅端部の温度差がさらに小さくなり、凝固シェルの幅中央部と幅端部における厚さの差はほとんどなくなる。
その結果、鋳造開始からさらに時間が経過して定常状態に到達した後の薄肉鋳片S203の板プロフィルは、図7(C)に示すように、エッジアップはほとんど解消されることとなる。
図7(A)から図7(C)に到達するまでの時間は、金属溶湯の組成(鋼種や溶融温度)、薄肉鋳片の厚さ、冷却ドラムの回転速度や冷却効率によって異なるが、図6の場合とほぼ同じであり、概ね鋳造開始から約30秒程度である。
以上のことから、鋳造開始から定常鋳造時に至るまでの薄肉鋳片S301は、冷却ドラムの熱膨張によるクラウン変化と、冷却ドラムの冷却不均一によるエッジアップ変化とを併せたものとなり、図8に示すように、鋳造開始直後は図8(A)のS301のように、鋳造開始後しばらく経過した時点では図8(B)のS302のように、定常状態では図8(C)のS303のような薄肉鋳片の板プロフィルとなる。
このような双ドラム式連続鋳造装置を備えた薄肉鋳片製造設備において、薄肉鋳片をインラインミルで圧延する場合に以下の問題があった。
双ドラム式連続鋳造装置で鋳造した薄肉鋳片をインラインミルで圧延する場合、薄肉鋳片の温度は、インラインミル入側において約1000℃であるので、板幅方向のメタルフロー(幅広がり)を生じさせてわずかな板クラウンを調整することが可能であるが、インラインミルは、図8(A)に示すような板プロフィルの薄肉鋳片に対応するほどのクラウン制御能力は備えていない。
また、インラインミルにおいて、図8(A)に示すような板プロフィルの薄肉鋳片をクラウン量が調整される程度の大きな力で圧延すると、幅中央部と幅端部は板厚が厚いことから、長手方向により大きな伸びを生じて、幅中央部における中伸びと幅端部における端伸びが極端に大きくなり、その結果、薄肉鋳片が破断し易くなるという現象が発生する。
インラインミルにおける板形状の中伸び起因の絞りによる板破断に対しては、インラインミルの張力を高くすることが有効である。しかしながら、インラインミルの張力を高くするためには、ピンチロールの押付力を高く取る必要があり、ピンチロールの押付力を高く取ると、図8(A)、図8(B)に示すような板厚が厚い部分を、圧延してしまう場合がある。
そして、板厚が厚い部分を圧延してしまうと、ピンチロールでの蛇行による板破断や激しい形状不良によりインラインミルでの絞りによる板破断を引き起こすことになる。板破断が生じると、残っている溶湯は直ちに廃棄処分されることになるので、多大な歩留まり低下を生じさせることとなる。
また、冷却ドラムと冷却ドラムの幅方向両側に配置されたサイド堰との間に、摩耗や設定誤差などによる隙間が生じると、図9に示すように、薄肉鋳片Sの端部にバリBが生じる場合がある。
薄肉鋳片の幅端部にバリがあるとピンチロールとインラインミル間でバリを起点として板破断が生じる場合や、ピンチロールやインラインミルでの蛇行誘発や蛇行制御時の蛇行量検出誤差や荷重検出誤差によるレベリング制御精度悪化による板破断を誘発する。さらに、ピンチロールやインラインミルにて脱落したバリが薄肉鋳片に巻き込まれて押込み疵を誘発したり、薄肉鋳片に食い込んだり、あるいはバックアップとワークロール間に巻き込まれてワークロールに押し込み疵を誘発して、これが薄肉鋳片に転写されて疵を誘発したりする。
さらに、インラインミルにおいてフライングタッチが開始されて薄肉鋳片が圧延開始され、インラインミルで所望の板厚となるまでの間の薄肉鋳片は、オフゲージ(板厚外れ)として後工程で切断されてスクラップとして処理されることが一般的である。
その結果、薄肉鋳片のオフゲージは、薄肉鋳片の歩留まりが低下して製造コストが増大する大きな原因となっている。
そこで、インラインミルにおけるフライングタッチをより早く開始して、薄肉鋳片を安定的かつ効率的に所望の板厚に圧延するには、インラインミルの入側及び出側で薄肉鋳片に張力を付与することが有効である。この張力は大きい方が蛇行防止や形状不良防止に効果的である。
このため、ピンチロールの押付力を大きくするとともに、ピンチロールの押付力を大きくしても蛇行や形状不良を発生させないことが求められている。また、バリを除去することも求められている。
蛇行を防止する手段として、例えば特許文献2(特開2003−39108号公報)には、薄肉鋳片の蛇行量を検出し、ピンチロールにおける左右のギャップ差を調整する方法が開示されている。
また、ピンチロールにおける左右の荷重を検出しピンチロールにおける左右の荷重差がなくなるようにピンチロールにおける左右のギャップ差を調整する方法やピンチロールの薄肉鋳片の幅端部に相当する部分のロール径を小さくし(例えばテーパー状に加工し)、該薄肉鋳片の凹部(定常鋳造時までの板端部板厚増大)の影響を少なくする(圧延されにくくする)方法などがある。
また、バリを除去する手段として、例えば特許文献3には、ツインドラム方式の連続鋳造によって薄肉鋳片の幅端部に生じる直立状の耳を切削又は平坦化することにより、その耳が圧延や巻き取りに悪影響を与えることを防止することが開示されている。具体的には、薄肉鋳片の搬送方向に斜行し、且つ該薄肉鋳片の平面に対して傾斜した軸をもつ回転バリ取り具を該薄肉鋳片の両側部に設けたバリ取り装置が提示されている。
また、特許文献4には、フライングタッチする前の状態でもバリによる巻き取り異常を防止するために、インラインミル下流にトリム装置を設けることが開示されている。
特開2000−343103号公報 特開2003−039108号公報 特開平01−133650号公報 特開平08−224639号公報
ここで、薄肉鋳片の蛇行量を検出し、ピンチロールにおける左右のギャップ差を調整する方法では、前提として薄肉鋳片の板幅が一定であることが必要である。しかしながら、実際はバリ(左右非対称)などがあり、蛇行なのかバリの影響なのかその判別ができず、蛇行制御の閾値としては大きく取る必要があり、高応答な蛇行制御ができないという問題がある。さらに、蛇行量そのものを測定する必要があり、したがって蛇行が発生してその蛇行量が検出器にて測定される間は蛇行制御されないので、高応答な蛇行制御ができないという問題がある。高応答な蛇行制御ができないと、上記板破断の原因となるので必ずしも十分ではなかった。
また、場合によっては、薄肉鋳片は蛇行していないがオフセンターが生じる場合や薄肉鋳片の両端で温度差が生じる。このような場合においては、ピンチロールにおける左右の荷重差がなくなりようにピンチロールにおける左右のギャップ差を調整する方法は実用的ではない。さらに、薄肉鋳片の幅端部に相当する部分のロール径を小さくした際に、薄肉鋳片は蛇行していないがオフセンターが生じた場合には、蛇行は助長されるという欠点があった。
また、特許文献3に開示されているバリ取り装置は、バリを除去することが可能であるが、新たに単独のバリ取り装置の設置が別に必要となり、製造コストの上昇を招くという問題がある。
特許文献4に開示されているトリムは、効果があるもののインラインミル下流なのでフライングタッチを早めると言う効果は期待できないし、また、バリの脱落による問題にも対処できない。さらに、新たに単独のバリ取り装置の設置が別に必要となり、製造コストの上昇を招くという問題がある。
本発明は、双ドラム式連続鋳造装置において製造される薄肉鋳片のフライングタッチ時期を早めることでオフゲージを減少させるとともに、薄肉鋳片に生成したバリの影響を解消することが可能な薄肉鋳片製造設備、及び、この薄肉鋳片製造設備を用いた薄肉鋳片の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る薄肉鋳片製造設備は、金属溶湯を連続的に注入し回転する一対の冷却ドラムにより前記金属溶湯を凝固させ薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置と、前記薄肉鋳片を挟持する一対のロールを有するピンチロール装置と、前記ピンチロール装置の下流側に配置されたインラインミルと、を備えた薄肉鋳片製造設備において、前記ピンチロール装置の前記一対のロールには、前記薄肉鋳片の幅中央部を挟持するニップ部と、前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去するトリム部と、が設けられていることを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片製造設備によれば、前記ピンチロール装置の前記一対のロールに、薄肉鋳片を挟持するニップ部と、前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去するトリム部と、が設けられているので、一対のロールが回転しながら薄肉鋳片を挟持して十分な張力を付与するとともに、前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去するため、エッジアップ部やバリを除去することができる。よって、ピンチロール装置の下流側に設けられたインラインミルにおいて早期のフライングタッチを行うことができる。
ここで、本発明の薄肉鋳片製造設備においては、前記一対のロールの一方のロールの周面には周方向に延在する凹溝が設けられ、前記一対のロールの他方のロールには大径部が設けられ、前記大径部の外周部が前記凹溝内に挿入される構成とされており、前記凹溝の底面と前記大径部の周面とで前記薄肉鋳片の幅中央部を挟持し、前記凹溝の側壁部と前記大径部の側面とで前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去する構成とされていてもよい。
この場合、前記凹溝の底面と前記大径部の周面とによってニップ部を構成し、前記凹溝の側壁部と前記大径部の側面とによってトリム部を構成することで、一対のロールの回転により、ニップ部が薄肉鋳片を挟持して張力を付与するとともに、トリム部が前記薄肉鋳片のエッジアップした領域やバリを除去することができる。
また、本発明の薄肉鋳片製造設備においては、前記一対のロールは、ロール本体と、このロール本体に着脱可能に配設されるスリーブと、を有し、前記トリム部は、前記一方のロールの前記スリーブと前記他方のロールの前記スリーブとによって前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去する構成としてもよい。
この場合、トリム部を構成するスリーブが摩耗や破損した場合に、このスリーブのみを交換することができるため、トリム部の薄肉鋳片の幅端部に対するせん断性能を維持し易い。また、トリム部を例えば超硬合金で構成することにより、せん断性を向上させることができる。さらに、トリム部のみを超硬合金等の高価な材料で構成することができ、一対のロールの使用コストを大幅に削減することができる。
さらに、本発明の薄肉鋳片製造設備においては、前記トリム部における前記スリーブの外径が、前記ニップ部における前記ロール本体の外径よりも小さくされていてもよい。
この場合、トリム部を構成するスリーブのみを超硬合金等の高価な材料で構成した場合でも、高価な材料の使用量を削減することができ、使用コストを大幅に削減することができる。
さらに、本発明の薄肉鋳片製造設備においては、前記スリーブは、径方向に積層された多層構造とされていてもよい。
この場合、トリム部を構成するスリーブにおいて、せん断加工に用いられる最外層のみを超硬合金等の高価な材料で構成することができ、さらに最外層のみを交換可能であることから、トリム部の薄肉鋳片の幅端部に対するせん断性能の維持が容易であり、またこのスリーブの使用コストを大幅に削減することができる。
本発明の薄肉鋳片の製造方法は、上述の薄肉鋳片製造設備を用いた薄肉鋳片の製造方法であって、前記ピンチロール装置の前記ニップ部によって前記薄肉鋳片の幅中央部を挟持して張力を付与するとともに、前記ピンチロール装置の前記トリム部によって前記薄肉鋳片の幅端部を除去し、前記ピンチロール装置の下流側に配置された前記インラインミルによって前記薄肉鋳片を圧延することを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片の製造方法によれば、薄肉鋳片を挟持して十分な張力を付与しながら、前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去することによるエッジアップ部やバリの除去を行うことができる。よって、ピンチロール装置の下流側に設けられたインラインミルにおいて早期のフライングタッチを行うことができる。
上述のように、本発明によれば、インラインミルの上流で薄肉鋳片のエッジアップ部やバリを除去できるとともに薄肉鋳片に対して十分な張力を付与できるので、より早いフライングタッチが可能となり、その結果オフゲージか減少し歩留りを向上させることができ、かつ、製造コストの低減を図ることが可能な薄肉鋳片製造設備、及び、この薄肉鋳片製造設備を用いた薄肉鋳片の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態である薄肉鋳片製造設備の概略構成を示す説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片製造設備に備えられた双ドラム式連続鋳造装置、ピンチロール、インラインミルを示す説明図である。 本発明の実施形態に係るピンチロール装置(第1ピンチロール装置)の概略構成を説明する図である。 本発明の実施形態に係るピンチロール装置における一対のロールの概略構成を説明する図である。 本発明の実施形態に係る双ドラム式連続鋳造設備により薄肉鋳片を製造する際の鋳造開始時の概要を説明する概念図である。 双ドラム式連続鋳造装置によって薄肉鋳片を製造する際の冷却ドラムのプロフィルと薄肉鋳片の板プロフィルの鋳造開始後の経過時間にともなう変化を示す概念図である。 双ドラム式連続鋳造装置によって薄肉鋳片を製造する際に、冷却ドラムが定常温度に到達するまでの温度変化によって生じる薄肉鋳片の板プロフィルの変化を示す概念図である。 双ドラム式連続鋳造装置によって薄肉鋳片を製造する際に、鋳造開始時における薄肉鋳片の板プロフィルを示す概念図である。 薄肉鋳片に発生したバリを示す写真である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態である薄肉鋳片製造設備の概略構成を説明する図であり、図2は、双ドラム式連続鋳造装置、第1ピンチロール装置、インラインミルの一例を説明する概略構成図である。また、図3、図4は、本実施形態に係る第1ピンチロール装置の概略構成を説明する図である。
薄肉鋳片製造設備1は、図1に示すように、例えば、タンディッシュ(貯蔵装置)Tと、双ドラム式連続鋳造装置10と、酸化防止装置20と、冷却装置30と、第1ピンチロール装置40と、インラインミル50と、第2ピンチロール装置60と、巻取装置70とを備えている。
また、双ドラム式連続鋳造装置10と第1ピンチロール装置40の間には送りロール81が配置されている。
また、第1ピンチロール装置40とインラインミル50の間にはテンションロール82が配置され、インラインミル50と第2ピンチロール装置60の間にはテンションロール83が配置されている。
また、第2ピンチロール装置60と巻取装置70の間にはデフレクタロール84が配置されている。
双ドラム式連続鋳造装置10は、図1、図2に示すように、例えば、一対の冷却ドラムR10と、一対の冷却ドラムR10の幅方向両側に配置されたサイド堰(不図示)とを備え、一対の冷却ドラムR10とサイド堰は、金属溶湯貯留部15を構成するようになっている。
一対の冷却ドラムR10は、第1冷却ドラムR11と第2冷却ドラムR12とを備え、製造する薄肉鋳片Sの板厚(内部品質)と対応させて、第1冷却ドラムR11と第2冷却ドラムR12の間隔を調整可能とされている。
また、第1冷却ドラムR11、第2冷却ドラムR12は、内部に冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能とされ、内部に冷却媒体を流通させることによって、冷却されるように構成されている。
この実施形態では、第1冷却ドラムR11、第2冷却ドラムR12は、例えば、外径800mm、ドラム胴長(幅)1500mmとされている。なお、一対の冷却ドラムR10の外径、ドラム胴長(幅)は、これに限定されないことはいうまでもない。
酸化防止装置20は、鋳造直後の薄肉鋳片Sの表面が酸化してスケールが発生するのを防止するものであり、酸化防止装置20内では、例えば、窒素ガスによって酸素量を調整するようになっている。酸化防止装置20は、鋳造する薄肉鋳片Sの種類(例えば、薄肉鋳片Sが鋼の場合は鋼種)等を考慮し、必要に応じて適用することが好ましい。
双ドラム式連続鋳造装置10の下流側では、圧下装置(不図示)によって送りロール81が薄肉鋳片Sを挟圧するとともに、一対の冷却ドラムR10と送りロール81の間における薄肉鋳片Sのループ長を計測しながら、このループ長が一定となるように回転数を制御して、薄肉鋳片Sに水平方向の搬送力を付与するようになっている。
なお、送りロール81は、例えば、ロール径200mm、ロール胴長(幅)2000mmの一対のロールにより構成されている。
冷却装置30は、例えば、多数のスプレーノズル(不図示)を備えていて、薄肉鋳片Sの種類等に応じて、スプレーノズルから薄肉鋳片Sの表面(上下面)に冷却水を噴出して薄肉鋳片Sを冷却するようになっている。
第1ピンチロール装置40は、図3に示すように、例えば、位置検出装置40A、40Bと、上ピンチロール90Aと、下ピンチロール90Bと、ハウジング41と、ロールチョック42A、42Bと、上圧延荷重検出装置43Aと、油圧圧下装置43Bと、電動圧下装置(パスライン調整手段)44と、を備えている。
上下ピンチロール90A、90Bは、内部に中空流路が形成されていて、冷却媒体(例えば、冷却水)が流通することにより冷却可能とされている。また、上下ピンチロール90A、90Bは、例えば、ロール径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとされている。
また、上下ピンチロール90A、90Bは、ハウジング41内にロールチョック42A、42Bを介して配置されていて、モータ(不図示)によって回転駆動されるようになっている。
また、第1ピンチロール装置40の入側と出側には、薄肉鋳片Sの位置を検出するための位置検出装置40A、40Bが設置されており、この信号をもとに第1ピンチロール装置40直下における薄肉鋳片Sの位置が演算される。
そして、本実施形態においては、図4に示すように、第1ピンチロール装置40の上下ピンチロール90A、90Bには、薄肉鋳片Sを挟持するニップ部91と、薄肉鋳片Sの幅端部をせん断して除去するトリム部92と、が設けられている。
図4(a)においては、下ピンチロール90Bには、ロール回転方向に延在する凹溝94が形成されており、上ピンチロール90Aには、凹溝94内に挿入される大径部95が設けられている。
下ピンチロール90Bの凹溝94の底面と上ピンチロール90Aの大径部95の周面とによって薄肉鋳片Sが挟持され、これらがニップ部91を構成している。また、下ピンチロールの凹溝94の各側壁部におけるの周縁(端縁)と、上ピンチロール90Aの大径部95のロール幅方向の周縁(端縁)とが、第1ピンチロール装置40の入側において薄肉鋳片Sの幅方向の両端近傍の部分を挟んでバリ等を含む幅端部をせん断、除去するトリム部92を構成している。
なお、トリム部92においては、薄肉鋳片Sの材質及び板厚に応じて凹溝94の側壁部と大径部95の側面との間のクリアランスを調整することが好ましい。これにより、せん断加工を安定して行うことができる。
ここで、薄肉鋳片Sは、バリを含むトリム片S1,S3と製品になる薄肉鋳片S2に分割される。なお、バリを含むトリム片S1、S3位置の上ピンチロール90Aと下ピンチロール90Bの間はトリム片S1、S3の板厚よりも大きな距離が確保されておりトリム片S1、S3に押付力が作用することはない。なお、図示していないが、第1ピンチロール装置40の下流には上記トリム片S1、S3を回収する回収装置が配備されている。
図4(b)においては、下ピンチロール90B及び上ピンチロール90Aの外形は図4(a)と同様とされている。ただし、下ピンチロール90B及び上ピンチロール90Aのうちトリム部92を構成する部分、すなわち、下ピンチロール90Bの凹溝94の側壁部及び上ピンチロール90Aの大径部95の端部が、ロール本体96に対して着脱可能に配置されたスリーブ97で構成されている。このように、トリム部92をスリーブ97で構成することにより、スリーブ97を例えば超硬合金で構成することで、せん断加工を安定して行うことができる。また、スリーブ97はロール本体96に対して着脱可能であるため、破損あるいはせん断性能が低下した場合には容易に交換することができ、これにより、トリム部92の薄肉鋳片の幅端部に対するせん断性能を安定的且つ容易に維持することが可能である。さらに、薄肉鋳片Sの材質及び板厚に応じて、スリーブ97の厚さを調整することにより、凹溝94の側壁部と大径部95の側面との間のクリアランスの調整を比較的容易に行うことができる。
図示していないがこれらのスリーブ97はネジで固定されている。なお、下ピンチロール90Bの端部のロール径が大きな部分もスリーブ構造とされており、ロール本体96に対して脱着可能とされている。
図4(c)においては、下ピンチロール90B及び上ピンチロール90Aの構造は、図4(b)と同様であるが、下ピンチロール90Bの凹溝94の側壁部及び上ピンチロール90Aの大径部95の端部に着脱可能に配設されたスリーブ97の外径が、図4(b)よりも小径とされている。これにより、消耗品であるスリーブ97の使用コストを低減することができる。また、図4(b)の場合と同様に、スリーブ97がロール本体96に対して着脱可能であり、破損あるいはせん断性能が低下した場合には容易に交換することができるため、トリム部92の薄肉鋳片の幅端部に対するせん断性能を安定的且つ容易に維持することができる。また、薄肉鋳片Sの材質及び板厚に応じて、スリーブ97の厚さを調整することにより、凹溝94の側壁部と大径部95の側面との間のクリアランスの調整を比較的容易に行うことができる。
図4(d)においては、下ピンチロール90B及び上ピンチロール90Aの構造は、図4(b)又は図4(c)と同様であるが、スリーブ97が径方向に積層された多層構造(本実施形態では、内周層98aと外周層97b)とされており、最外周層(外周層97b)のみが超硬合金で構成されたものとされている。これにより、消耗品であるスリーブ97の使用コストをさらに低減することができる。また、せん断性能が低下した場合には外周層97bのみを交換すればよいため、トリム部92の薄肉鋳片の幅端部に対するせん断性能の維持がさらに容易である。
このように、本実施形態である第1ピンチロール装置40においては、薄肉鋳片Sを挟持して張力を付与するとともに、薄肉鋳片Sの幅端部をせん断することによって、エッジアップした部分やバリを除去している。これにより、インラインミル50の入側には、エッジアップした部分やバリが除去された薄肉鋳片Sが供給されることになる。
インラインミル50は、薄肉鋳片Sを圧延して、薄肉鋳片Sを所望の板厚に薄くする装置であり、この実施形態では、6段圧延機とされている。
インラインミル50は、図1、図2に示すように、対向配置されたワークロール51A、51Bと、ワークロール51A、51Bの背後に配置された中間ロール52A、52Bと、中間ロール52A、52Bの背後に配置されたバックアップロール53A、53Bと、インラインミル制御装置(図示なし)と、板厚計55とを備えている。
インラインミル50は、下流に配置された板厚計(例えば、X線板厚)55によって薄肉鋳片Sの板厚を測定して、その測定結果に基づいて、薄肉鋳片Sが予め設定された板厚に形成されるようにロールギャップを調整する。
この実施形態では、例えば、ワークロール外径400mm、中間ロール外径450mm、バックアップロール外径1200mm、胴長(幅)はいずれも2000mmとされている。
第2ピンチロール装置60は、例えば、上下に対向配置された一対のロールと、ピンチロールを駆動するモータ(モータ)と、圧下装置(油圧)(不図示)を備えていて、圧下装置によってピンチロールを圧下させて、薄肉鋳片Sに、インラインミル50との間で張力を発生させるようになっている。
インラインミル50と第2ピンチロール装置60の間の張力は、テンションロール83により測定され、予め設定された張力となるように第2ピンチロール装置60の速度が制御されるようになっている。
なお、第2ピンチロール装置60のロールは、例えば、外径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとされている。
巻取装置70は、インラインミル50で圧延されて第2ピンチロール装置60から送り出された薄肉鋳片Sを、デフレクタロール84を介して受け取り、コイル状に巻き取るようになっている。
以下、薄肉鋳片製造設備1による薄肉鋳片の製造方法について説明する。
(1)まず、タンディッシュTが金属溶湯を一時的に貯蔵する。
(2)次に、タンディッシュTに貯蔵された金属溶湯を、タンディッシュ下部に形成されたノズルを介して、双ドラム式連続鋳造装置10の金属溶湯貯留部15に注入する。このとき、ノズルを制御して、金属溶湯貯留部15に貯留される金属溶湯の量を一定とする。
(3)次いで、一対の冷却ドラムR10を回転させながら、金属溶湯貯留部15に貯留された金属溶湯を一対の冷却ドラムR10の周面で凝固、成長させて、薄肉鋳片Sを鋳造する。
双ドラム式連続鋳造装置10において鋳造を開始する際は、例えば、図5に示すように、薄肉鋳片Sの先端となる部分にダミーシート11を接続する。このとき、ダミーシート11の進行方向先端側には薄肉鋳片Sに比べてかなり厚いダミーバー13が設けられ、薄肉鋳片Sとダミーシート11の接続部には、薄肉鋳片Sの板厚よりも厚い突起部12が形成される。
この実施形態では、薄肉鋳片Sの寸法は、例えば、板厚2mm、板幅1200mmとされ、一対の冷却ドラムR10の周速(鋳造速度)は、例えば、150m/minである。ただし、これに限定されない。
(4)一対の冷却ドラムR10で形成された薄肉鋳片Sは、必要に応じて、酸化防止装置20において、酸化防止処理をする。
(5)次いで、送りロール81によって、冷却ドラムR10と送りロール81の間における薄肉鋳片Sのループ長を一定に保ちながら、薄肉鋳片Sを下流側に搬送する。
(6)次に、必要に応じて、冷却装置30によって薄肉鋳片Sを冷却する。
(7)次いで、第1ピンチロール装置40によって、薄肉鋳片Sをインラインミル50に送る。この際、片側30mm、合計60mmのトリムが行われ、薄肉鋳片Sのエッジアップ部及びバリが取り除かれる。
(8)インラインミル50は、突起部12がインラインミル50を通過した後、薄肉鋳片Sの板プロフィルが所定の形状となる見込みの予め設定したタイミングでフライングタッチを開始する。この際、第1ピンチロール装置40とインラインミル50間の張力は目標値になるように各モータの周速度が制御される。
(9)インラインミル50は、薄肉鋳片Sを圧延して、所望の板厚に調整する。
(10)次に、第2ピンチロール装置60によって、薄肉鋳片Sにインラインミル50と第2ピンチロール装置60間をの張力を発生させながら、薄肉鋳片Sをインラインミル50から巻取装置70に送る。この際、インラインミル50と第2ピンチロール間の張力は目標値になるように第2ピンチロールの周速度が制御される。
(11)巻取装置70は、送られてきた薄肉鋳片Sを巻き取る。この際、第2ピンチロール装置60と巻取装置インラインミル50間の張力は目標値になるように巻き取り装置の50の各モータトルクが制御される。
以上、本実施形態によれば、インラインミル50の上流側に配設された第1ピンチロール装置40において、薄肉鋳片Sを挟持するニップ部91と、薄肉鋳片Sの幅端部をせん断して除去するトリム部92と、が設けられているので、薄肉鋳片Sを挟持して十分な張力を付与することができるとともに、薄肉鋳片Sの幅端部をせん断して除去することによって、エッジアップ部やバリを除去することができる。このように、第1ピンチロール装置40において薄肉鋳片Sに対して十分な張力を付与することにより、薄肉鋳片Sの蛇行や形状不良を効果的に防止することができる。また、トリム部92でエッジアップ部やバリを除去することにより、バリ等に起因する薄肉鋳片Sの蛇行誘発の防止、さらにバリ等に起因する板破断や、脱落したバリによるロールや薄肉鋳片Sの押し込み疵の発生等の形状不良を安定的に防止することができる。この結果、第1ピンチロール装置40の下流側に設けられたインラインミル50において早期のフライングタッチを行うことが可能となる。これにより、オフゲージが減少し歩留りを向上させることができ、かつ、製造コストの低減を図ることが可能となる。
なお、トリム部92で幅端部を除去することで、トリム部92を除去した分の歩留まりは低下するが、生産性の向上効果の方が大きいので、製造量は増大する。つまり、本実施形態においては、薄肉鋳片Sの幅端部のバリやエッジアップ部に起因する薄肉鋳片Sの板破断、あるいはバリ等によるロールや薄肉鋳片Sへの押し込み疵の発生防止により、結果的に歩留まり低下が抑止され得る(薄肉鋳片Sの製造途中において、薄肉鋳片Sに板破断や押し込み疵が生じるとそのチャージ分はすべてスクラップとなるためである。例えば、板幅1260mmで鋳造した薄肉鋳片Sの幅端部をトリム部92で除去して、除去後の薄板鋳片Sの板幅を1200mmとすると、端縁部除去により約5%の歩留まり低下となる。しかしながら、製造中の薄板鋳片Sに板破断等が生じるとチャージ分の薄板鋳片Sはすべて廃棄されるため、板破断等が頻発すると、結果として、トリム部92で端縁部除去して板破断を防止する場合に比べて歩留まりは大きく低下することとなる。)。
以上、本実施形態について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
この実施例は、図1と同様の構成を備えた薄肉鋳片製造設備において実施した。また、実施例で使用した薄肉鋳片は、鋼により形成された板厚2mm、板幅1260mmのものである。
鋳造開始からの冷却ドラムの加速レートは150m/min/30秒であり、定常鋳造状態の冷却ドラムの回転速度は150m/minである。
また、インラインミルでは圧下率30%の圧延が行われ、インラインミル出側の薄肉鋳片の板厚は1.4mmである。
従来例としては、上下のロールを円筒形状とした。そして、第1ピンチロール装置におけるピンチロールの押付力が一定(右7.5tf、左7.5f)になるように荷重制御を行った。
本発明例1は、第1ピンチロール装置において、図4(c)に示すように、ニップ部及びトリム部を設けた。そして、押付力が一定(右5tf、左5tf)になるように荷重制御した。
上ピンチロールの大径部全体の幅は1200mm、大径部のうちニップ部を構成する部分の外径が400mm、大径部の両端に設けられたスリーブの幅は10mm、スリーブの外径は380mmである。
下ピンチロールの凹溝の幅は1200mm、凹溝のうちニップ部を構成する底部の外径が300mm,凹溝の側壁を構成するスリーブの幅は10mm、スリーブの外径は380mmである。
また、薄肉鋳片のトリム代は合計で60mmである。
従来例では、バリとエッジアップの影響で早期にフライングタッチはできず安定したフライングタッチを可能とするには鋳造開始から28秒後にする必要があった。また、バリ(左右非対称)の影響で、蛇行制御が上手くいかない場合が発生し、10回に1回は板が破断した。さらに、押し込み疵も発生した。
これに対して、本発明例では、バリとエッジアップの影響を解消できたので、安定したフライングタッチを可能とする時間は鋳造開始から7秒後以降で短縮できた。また、蛇行制御も良好で板破断は発生しなかった。さらに、押し込み疵も発生しなかった。
以上のことから、本発明によれば、薄肉鋳片製造設備において、インラインミル上流側のピンチロールにおいて、薄肉鋳片の幅端部を除去することで、薄肉鋳片のエッジアップ部やバリを除去でき、インラインミルにおいて早期にフライングタッチを行うことが可能となる。これにより、押し込み疵のない薄肉鋳片を安定して製造でき、その結果製造コストを低減できることが明らかとなった。
この発明に係る薄肉鋳片製造設備及び薄肉鋳片の製造方法によれば、フライングタッチまでの時間を短縮することにより、オフゲージを減少して薄肉鋳片の歩留まりを向上することができるので、産業上利用可能である。
S 薄肉鋳片
1 薄肉鋳片製造設備
10 双ドラム式連続鋳造装置
40 第1ピンチロール装置(ピンチロール装置)
50 インラインミル
91 ニップ部
92 トリム部
94 凹溝
95 大径部
96 ロール本体
97 スリーブ

Claims (6)

  1. 金属溶湯を連続的に注入し回転する一対の冷却ドラムにより前記金属溶湯を凝固させ薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置と、前記薄肉鋳片を挟持する一対のロールを有するピンチロール装置と、前記ピンチロール装置の下流側に配置されたインラインミルと、を備えた薄肉鋳片製造設備において、
    前記ピンチロール装置の前記一対のロールには、前記薄肉鋳片の幅中央部を挟持するニップ部と、前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去するトリム部と、が設けられていることを特徴とする薄肉鋳片製造設備。
  2. 前記一対のロールの一方のロールの周面には周方向に延在する凹溝が設けられ、前記一対のロールの他方のロールには大径部が設けられ、前記大径部の外周部が前記凹溝内に挿入される構成とされており、
    前記凹溝の底面と前記大径部の周面とで前記薄肉鋳片の幅中央部を挟持し、前記凹溝の側壁部と前記大径部の側面とで前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去することを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片製造設備。
  3. 前記一対のロールは、ロール本体と、このロール本体に着脱可能に配設されるスリーブと、を有し、
    前記トリム部は、前記一方のロールの前記スリーブと前記他方のロールの前記スリーブとによって前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄肉鋳片製造設備。
  4. 前記トリム部における前記スリーブの外径が、前記ニップ部における前記ロール本体の外径よりも小さくされていることを特徴とする請求項3に記載の薄肉鋳片製造設備。
  5. 前記スリーブは、径方向に積層された多層構造とされていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の薄肉鋳片製造設備。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の薄肉鋳片製造設備を用いた薄肉鋳片の製造方法であって、
    前記ピンチロール装置の前記ニップ部によって前記薄肉鋳片の幅中央部を挟持して張力を付与するとともに、前記ピンチロール装置の前記トリム部によって前記薄肉鋳片の幅端部を除去し、
    前記ピンチロール装置の下流側に配置された前記インラインミルによって前記薄肉鋳片を圧延することを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
JP2016045666A 2016-03-09 2016-03-09 薄肉鋳片製造設備、及び、薄肉鋳片の製造方法 Active JP6617615B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016045666A JP6617615B2 (ja) 2016-03-09 2016-03-09 薄肉鋳片製造設備、及び、薄肉鋳片の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016045666A JP6617615B2 (ja) 2016-03-09 2016-03-09 薄肉鋳片製造設備、及び、薄肉鋳片の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017159322A true JP2017159322A (ja) 2017-09-14
JP6617615B2 JP6617615B2 (ja) 2019-12-11

Family

ID=59853278

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016045666A Active JP6617615B2 (ja) 2016-03-09 2016-03-09 薄肉鋳片製造設備、及び、薄肉鋳片の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6617615B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019181512A (ja) * 2018-04-10 2019-10-24 日本製鉄株式会社 制御システム、制御装置、制御方法、及び、プログラム
CN112108618A (zh) * 2019-06-20 2020-12-22 中冶宝钢技术服务有限公司 连铸坯缺陷熔除设备用脉冲式除毛刺装置及除毛刺工艺

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111745137B (zh) * 2020-06-02 2021-08-03 北京科技大学 一种与去毛刺机紧凑布置的铸坯冷却方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6127152A (ja) * 1984-07-16 1986-02-06 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ドラム式連続鋳造方法
JPS63115652A (ja) * 1986-11-04 1988-05-20 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 薄板連続鋳造機におけるはり除去装置
JPH03268846A (ja) * 1990-03-16 1991-11-29 Hitachi Zosen Corp 連続鋳造方法
JP2000263314A (ja) * 1999-03-12 2000-09-26 Hitachi Cable Ltd 金属条の面取圧延ロール及び金属条の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6127152A (ja) * 1984-07-16 1986-02-06 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ドラム式連続鋳造方法
JPS63115652A (ja) * 1986-11-04 1988-05-20 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 薄板連続鋳造機におけるはり除去装置
JPH03268846A (ja) * 1990-03-16 1991-11-29 Hitachi Zosen Corp 連続鋳造方法
JP2000263314A (ja) * 1999-03-12 2000-09-26 Hitachi Cable Ltd 金属条の面取圧延ロール及び金属条の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019181512A (ja) * 2018-04-10 2019-10-24 日本製鉄株式会社 制御システム、制御装置、制御方法、及び、プログラム
JP7003821B2 (ja) 2018-04-10 2022-01-21 日本製鉄株式会社 制御システム、制御装置、制御方法、及び、プログラム
CN112108618A (zh) * 2019-06-20 2020-12-22 中冶宝钢技术服务有限公司 连铸坯缺陷熔除设备用脉冲式除毛刺装置及除毛刺工艺
CN112108618B (zh) * 2019-06-20 2022-04-12 中冶宝钢技术服务有限公司 连铸坯缺陷熔除设备用脉冲式除毛刺装置及除毛刺工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP6617615B2 (ja) 2019-12-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2738934B2 (ja) 鋼帯を製造する方法及び装置
JP6764523B2 (ja) 連続運転モードで運転可能な生産設備と故障発生時の生産設備を運転するための方法
JP5674928B2 (ja) 圧延ラインおよびそれに関する方法
KR20110033873A (ko) 연속 주조부와 압연부 사이에서 연속성의 중단이 없이 금속 스트립 및 시트를 제조하기 위한 방법 및 시스템
JP6617615B2 (ja) 薄肉鋳片製造設備、及び、薄肉鋳片の製造方法
ITUD940051A1 (it) Procedimento per la produzione di nastro partendo da bramme sottili e relativo impianto
JP6569494B2 (ja) 薄肉鋳片製造設備、及びピンチロールのレベリング方法
TW201938286A (zh) 鑄片的製造方法及連續鑄造設備
JP6620657B2 (ja) 鋳造ストリップ製造設備、及び、鋳造ストリップの製造方法
JP6759959B2 (ja) 圧延前ピンチロール装置、及び圧延前ピンチロール方法
JP7040340B2 (ja) 連続鋳造設備及び圧延方法
JPH02247049A (ja) 薄肉鋳片の製造方法
JP6784222B2 (ja) 薄肉鋳片の製造方法
WO2020079783A1 (ja) 鋳片の製造方法
JP2009136908A (ja) 連続鋳造における鋳込終了後の鋳片の引抜方法
JPH10249408A (ja) ステンレス鋼板の製造装置
JP6696410B2 (ja) 圧延設備及び圧延方法
JP6977468B2 (ja) 連続鋳造設備及び圧延方法
JP6658252B2 (ja) 鋳造ストリップ製造設備、及び、鋳造ストリップの製造方法
JPH06179051A (ja) 薄板連続製造方法と装置
JP6787028B2 (ja) 双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置、及び薄肉鋳片の製造方法
JPS61199554A (ja) 連続鋳造方法及び装置
JPS63171255A (ja) 未凝固圧延方法
JP2695089B2 (ja) 金属薄帯の連続鋳造方法及び装置
JP3063533B2 (ja) 広幅薄鋳片の連続鋳造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181019

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190820

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190821

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190919

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191015

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191028

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6617615

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151