JP2017159322A - 薄肉鋳片製造設備、及び、薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents
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そして、冷却ドラムから送り出された薄肉鋳片は、ピンチロールによって水平方向へ送り出されて、下流のインラインミルによって所望の板厚に調整される。インラインミルによって所望の板厚に調整された薄肉鋳片は、インラインミルの下流に設置された巻取装置によってコイル状に巻き取るようになっている。
また、ダミーシートを先導するダミーバーは、薄肉鋳片に比べてかなり厚く形成されており、薄肉鋳片の先端とダミーシートとの接続部には、薄肉鋳片の板厚よりも厚い突起部が形成されている。
図6は、双ドラム式連続鋳造装置によって薄肉鋳片を製造する際の冷却ドラムのプロフィルと薄肉鋳片の板プロフィルの鋳造開始後の経過時間にともなう変化を示す概念図である。
一般に冷却ドラムでの冷却が強ければ凝固シェル厚さは厚くなり、薄肉鋳片の厚さは厚くなる。冷却ドラムの幅方向では、冷却ドラムの幅中央部よりも冷却ドラムの幅端部の方が冷却効率は高い。したがって、凝固シェルの厚さは幅中央部よりも幅端部の方が厚くなる。その結果、鋳造開始後の薄肉鋳片は、幅端部の板厚が幅中央部の板厚よりも厚くなる。この幅端部の板厚が厚い部分をエッジアップと呼ぶ。このエッジアップの量は鋳造開始時が最も大きく、鋳造開始後の経過時間とともに減少して、定常鋳造時にはほぼ解消する。
その結果、鋳造開始直後の薄肉鋳片S201の板プロフィルは、図7(A)に示すように、幅端部に大きなエッジアップが形成される。
その結果、鋳造開始後しばらく経過した時点の薄肉鋳片S202の板プロフィルは、図7(B)に示すように、幅端部に鋳造開始直後の薄肉鋳片S201より小さなエッジアップが形成される。
その結果、鋳造開始からさらに時間が経過して定常状態に到達した後の薄肉鋳片S203の板プロフィルは、図7(C)に示すように、エッジアップはほとんど解消されることとなる。
双ドラム式連続鋳造装置で鋳造した薄肉鋳片をインラインミルで圧延する場合、薄肉鋳片の温度は、インラインミル入側において約1000℃であるので、板幅方向のメタルフロー(幅広がり)を生じさせてわずかな板クラウンを調整することが可能であるが、インラインミルは、図8(A)に示すような板プロフィルの薄肉鋳片に対応するほどのクラウン制御能力は備えていない。
薄肉鋳片の幅端部にバリがあるとピンチロールとインラインミル間でバリを起点として板破断が生じる場合や、ピンチロールやインラインミルでの蛇行誘発や蛇行制御時の蛇行量検出誤差や荷重検出誤差によるレベリング制御精度悪化による板破断を誘発する。さらに、ピンチロールやインラインミルにて脱落したバリが薄肉鋳片に巻き込まれて押込み疵を誘発したり、薄肉鋳片に食い込んだり、あるいはバックアップとワークロール間に巻き込まれてワークロールに押し込み疵を誘発して、これが薄肉鋳片に転写されて疵を誘発したりする。
その結果、薄肉鋳片のオフゲージは、薄肉鋳片の歩留まりが低下して製造コストが増大する大きな原因となっている。
このため、ピンチロールの押付力を大きくするとともに、ピンチロールの押付力を大きくしても蛇行や形状不良を発生させないことが求められている。また、バリを除去することも求められている。
また、ピンチロールにおける左右の荷重を検出しピンチロールにおける左右の荷重差がなくなるようにピンチロールにおける左右のギャップ差を調整する方法やピンチロールの薄肉鋳片の幅端部に相当する部分のロール径を小さくし(例えばテーパー状に加工し)、該薄肉鋳片の凹部(定常鋳造時までの板端部板厚増大)の影響を少なくする(圧延されにくくする)方法などがある。
また、特許文献4には、フライングタッチする前の状態でもバリによる巻き取り異常を防止するために、インラインミル下流にトリム装置を設けることが開示されている。
特許文献4に開示されているトリムは、効果があるもののインラインミル下流なのでフライングタッチを早めると言う効果は期待できないし、また、バリの脱落による問題にも対処できない。さらに、新たに単独のバリ取り装置の設置が別に必要となり、製造コストの上昇を招くという問題がある。
この場合、前記凹溝の底面と前記大径部の周面とによってニップ部を構成し、前記凹溝の側壁部と前記大径部の側面とによってトリム部を構成することで、一対のロールの回転により、ニップ部が薄肉鋳片を挟持して張力を付与するとともに、トリム部が前記薄肉鋳片のエッジアップした領域やバリを除去することができる。
この場合、トリム部を構成するスリーブが摩耗や破損した場合に、このスリーブのみを交換することができるため、トリム部の薄肉鋳片の幅端部に対するせん断性能を維持し易い。また、トリム部を例えば超硬合金で構成することにより、せん断性を向上させることができる。さらに、トリム部のみを超硬合金等の高価な材料で構成することができ、一対のロールの使用コストを大幅に削減することができる。
この場合、トリム部を構成するスリーブのみを超硬合金等の高価な材料で構成した場合でも、高価な材料の使用量を削減することができ、使用コストを大幅に削減することができる。
この場合、トリム部を構成するスリーブにおいて、せん断加工に用いられる最外層のみを超硬合金等の高価な材料で構成することができ、さらに最外層のみを交換可能であることから、トリム部の薄肉鋳片の幅端部に対するせん断性能の維持が容易であり、またこのスリーブの使用コストを大幅に削減することができる。
図1は、本実施形態である薄肉鋳片製造設備の概略構成を説明する図であり、図2は、双ドラム式連続鋳造装置、第1ピンチロール装置、インラインミルの一例を説明する概略構成図である。また、図3、図4は、本実施形態に係る第1ピンチロール装置の概略構成を説明する図である。
また、第1ピンチロール装置40とインラインミル50の間にはテンションロール82が配置され、インラインミル50と第2ピンチロール装置60の間にはテンションロール83が配置されている。
また、第2ピンチロール装置60と巻取装置70の間にはデフレクタロール84が配置されている。
また、第1冷却ドラムR11、第2冷却ドラムR12は、内部に冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能とされ、内部に冷却媒体を流通させることによって、冷却されるように構成されている。
この実施形態では、第1冷却ドラムR11、第2冷却ドラムR12は、例えば、外径800mm、ドラム胴長(幅)1500mmとされている。なお、一対の冷却ドラムR10の外径、ドラム胴長(幅)は、これに限定されないことはいうまでもない。
なお、送りロール81は、例えば、ロール径200mm、ロール胴長(幅)2000mmの一対のロールにより構成されている。
また、第1ピンチロール装置40の入側と出側には、薄肉鋳片Sの位置を検出するための位置検出装置40A、40Bが設置されており、この信号をもとに第1ピンチロール装置40直下における薄肉鋳片Sの位置が演算される。
下ピンチロール90Bの凹溝94の底面と上ピンチロール90Aの大径部95の周面とによって薄肉鋳片Sが挟持され、これらがニップ部91を構成している。また、下ピンチロールの凹溝94の各側壁部におけるの周縁(端縁)と、上ピンチロール90Aの大径部95のロール幅方向の周縁(端縁)とが、第1ピンチロール装置40の入側において薄肉鋳片Sの幅方向の両端近傍の部分を挟んでバリ等を含む幅端部をせん断、除去するトリム部92を構成している。
なお、トリム部92においては、薄肉鋳片Sの材質及び板厚に応じて凹溝94の側壁部と大径部95の側面との間のクリアランスを調整することが好ましい。これにより、せん断加工を安定して行うことができる。
図示していないがこれらのスリーブ97はネジで固定されている。なお、下ピンチロール90Bの端部のロール径が大きな部分もスリーブ構造とされており、ロール本体96に対して脱着可能とされている。
インラインミル50は、図1、図2に示すように、対向配置されたワークロール51A、51Bと、ワークロール51A、51Bの背後に配置された中間ロール52A、52Bと、中間ロール52A、52Bの背後に配置されたバックアップロール53A、53Bと、インラインミル制御装置(図示なし)と、板厚計55とを備えている。
この実施形態では、例えば、ワークロール外径400mm、中間ロール外径450mm、バックアップロール外径1200mm、胴長(幅)はいずれも2000mmとされている。
なお、第2ピンチロール装置60のロールは、例えば、外径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとされている。
(1)まず、タンディッシュTが金属溶湯を一時的に貯蔵する。
(2)次に、タンディッシュTに貯蔵された金属溶湯を、タンディッシュ下部に形成されたノズルを介して、双ドラム式連続鋳造装置10の金属溶湯貯留部15に注入する。このとき、ノズルを制御して、金属溶湯貯留部15に貯留される金属溶湯の量を一定とする。
(3)次いで、一対の冷却ドラムR10を回転させながら、金属溶湯貯留部15に貯留された金属溶湯を一対の冷却ドラムR10の周面で凝固、成長させて、薄肉鋳片Sを鋳造する。
双ドラム式連続鋳造装置10において鋳造を開始する際は、例えば、図5に示すように、薄肉鋳片Sの先端となる部分にダミーシート11を接続する。このとき、ダミーシート11の進行方向先端側には薄肉鋳片Sに比べてかなり厚いダミーバー13が設けられ、薄肉鋳片Sとダミーシート11の接続部には、薄肉鋳片Sの板厚よりも厚い突起部12が形成される。
この実施形態では、薄肉鋳片Sの寸法は、例えば、板厚2mm、板幅1200mmとされ、一対の冷却ドラムR10の周速(鋳造速度)は、例えば、150m/minである。ただし、これに限定されない。
(4)一対の冷却ドラムR10で形成された薄肉鋳片Sは、必要に応じて、酸化防止装置20において、酸化防止処理をする。
(5)次いで、送りロール81によって、冷却ドラムR10と送りロール81の間における薄肉鋳片Sのループ長を一定に保ちながら、薄肉鋳片Sを下流側に搬送する。
(6)次に、必要に応じて、冷却装置30によって薄肉鋳片Sを冷却する。
(7)次いで、第1ピンチロール装置40によって、薄肉鋳片Sをインラインミル50に送る。この際、片側30mm、合計60mmのトリムが行われ、薄肉鋳片Sのエッジアップ部及びバリが取り除かれる。
(8)インラインミル50は、突起部12がインラインミル50を通過した後、薄肉鋳片Sの板プロフィルが所定の形状となる見込みの予め設定したタイミングでフライングタッチを開始する。この際、第1ピンチロール装置40とインラインミル50間の張力は目標値になるように各モータの周速度が制御される。
(9)インラインミル50は、薄肉鋳片Sを圧延して、所望の板厚に調整する。
(10)次に、第2ピンチロール装置60によって、薄肉鋳片Sにインラインミル50と第2ピンチロール装置60間をの張力を発生させながら、薄肉鋳片Sをインラインミル50から巻取装置70に送る。この際、インラインミル50と第2ピンチロール間の張力は目標値になるように第2ピンチロールの周速度が制御される。
(11)巻取装置70は、送られてきた薄肉鋳片Sを巻き取る。この際、第2ピンチロール装置60と巻取装置インラインミル50間の張力は目標値になるように巻き取り装置の50の各モータトルクが制御される。
この実施例は、図1と同様の構成を備えた薄肉鋳片製造設備において実施した。また、実施例で使用した薄肉鋳片は、鋼により形成された板厚2mm、板幅1260mmのものである。
鋳造開始からの冷却ドラムの加速レートは150m/min/30秒であり、定常鋳造状態の冷却ドラムの回転速度は150m/minである。
また、インラインミルでは圧下率30%の圧延が行われ、インラインミル出側の薄肉鋳片の板厚は1.4mmである。
上ピンチロールの大径部全体の幅は1200mm、大径部のうちニップ部を構成する部分の外径が400mm、大径部の両端に設けられたスリーブの幅は10mm、スリーブの外径は380mmである。
下ピンチロールの凹溝の幅は1200mm、凹溝のうちニップ部を構成する底部の外径が300mm,凹溝の側壁を構成するスリーブの幅は10mm、スリーブの外径は380mmである。
また、薄肉鋳片のトリム代は合計で60mmである。
1 薄肉鋳片製造設備
10 双ドラム式連続鋳造装置
40 第1ピンチロール装置(ピンチロール装置)
50 インラインミル
91 ニップ部
92 トリム部
94 凹溝
95 大径部
96 ロール本体
97 スリーブ
Claims (6)
- 金属溶湯を連続的に注入し回転する一対の冷却ドラムにより前記金属溶湯を凝固させ薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置と、前記薄肉鋳片を挟持する一対のロールを有するピンチロール装置と、前記ピンチロール装置の下流側に配置されたインラインミルと、を備えた薄肉鋳片製造設備において、
前記ピンチロール装置の前記一対のロールには、前記薄肉鋳片の幅中央部を挟持するニップ部と、前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去するトリム部と、が設けられていることを特徴とする薄肉鋳片製造設備。 - 前記一対のロールの一方のロールの周面には周方向に延在する凹溝が設けられ、前記一対のロールの他方のロールには大径部が設けられ、前記大径部の外周部が前記凹溝内に挿入される構成とされており、
前記凹溝の底面と前記大径部の周面とで前記薄肉鋳片の幅中央部を挟持し、前記凹溝の側壁部と前記大径部の側面とで前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去することを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片製造設備。 - 前記一対のロールは、ロール本体と、このロール本体に着脱可能に配設されるスリーブと、を有し、
前記トリム部は、前記一方のロールの前記スリーブと前記他方のロールの前記スリーブとによって前記薄肉鋳片の幅端部をせん断して除去することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄肉鋳片製造設備。 - 前記トリム部における前記スリーブの外径が、前記ニップ部における前記ロール本体の外径よりも小さくされていることを特徴とする請求項3に記載の薄肉鋳片製造設備。
- 前記スリーブは、径方向に積層された多層構造とされていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の薄肉鋳片製造設備。
- 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の薄肉鋳片製造設備を用いた薄肉鋳片の製造方法であって、
前記ピンチロール装置の前記ニップ部によって前記薄肉鋳片の幅中央部を挟持して張力を付与するとともに、前記ピンチロール装置の前記トリム部によって前記薄肉鋳片の幅端部を除去し、
前記ピンチロール装置の下流側に配置された前記インラインミルによって前記薄肉鋳片を圧延することを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
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