JP2017157835A - 積層配線部材、積層配線部材の製造方法、半導体素子及び電子機器 - Google Patents

積層配線部材、積層配線部材の製造方法、半導体素子及び電子機器 Download PDF

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【課題】高いアスペクト比を有する接続用導体を備える積層配線部材、及び当該積層配線部材の製造方法を提供する。【解決手段】対向する第1電極と第2電極と、前記第1電極と前記第2電極の間を電気的に接続する接続用導体とを含む積層配線部材であって、前記接続用導体の高さ及び前記第1電極に接する面の長軸長の比(接続用導体の高さ/接続用導体の第1電極に接する面の長軸長)が0.1以上5以下であり、前記接続用導体の前記第1電極に接する面の長軸長が100μm以下である積層配線部材。【選択図】図2

Description

本発明は、積層配線部材、積層配線部材の製造方法、半導体素子及び電子機器に関する。
近年、プラスチック基板上に低コストプロセスで複数の有機薄膜トランジスタ(有機TFT)を備えるトランジスタアレイを形成し、電子ペーパー、液晶ディスプレイ等のバックプレーンとして応用することが検討されている。この有機薄膜トランジスタの製造方法では、従来のシリコンTFTと差別化するために、真空プロセスや、フォトリソグラフィー技術を行うことなく、印刷プロセスのみで各構成要素をパターン形成することで低コスト化することが強く望まれている。
このような背景から、トランジスタアレイと配線パターン等との導体同士を電気的に接続するためのヴィアを、印刷法を用いて形成する方法が検討されている。例えば、基板上に設けられた配線パターンを覆う状態で、基板上に絶縁膜を形成した後、インクジェット法により絶縁膜を溶かす溶媒を配線パターン上の絶縁膜に向けて飛ばす工程と、乾燥工程とを繰り返すことで、これらの配線パターンに達するヴィアホールを形成し、このヴィアホールを導電材料で埋め込む方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、基板上の配線パターン上に設けられたヴィアポストに対して、ヴィアポスト位置にマスクを設けたスクリーン版で印刷する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2012−204658号公報 特開2006−295116号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、確実にヴィアホールを形成するために、絶縁膜の同一箇所に何度も溶媒を飛ばす工程を行うとともに、上記工程と乾燥工程を繰り返すため、時間を要するという問題がある。また、この方法により形成されるヴィアの径は、上記溶媒の体積及び吐出回数である程度の制御は可能であるものの、ヴィア径を精度よく制御することは難しいという問題がある。
また、特許文献2に記載された方法では、スクリーン版とヴィアポストの位置ずれが生じるという問題がある。
本発明は、高いアスペクト比を有する接続用導体を備える積層配線部材、及び当該積層配線部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の積層配線部材等が提供される。
1.対向する第1電極と第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極の間を電気的に接続する接続用導体とを含む積層配線部材であって、
前記接続用導体の高さ及び前記第1電極に接する面の長軸長の比(接続用導体の高さ/接続用導体の第1電極に接する面の長軸長)が0.1以上5以下であり、前記接続用導体の前記第1電極に接する面の長軸長が100μm以下である積層配線部材。
2.前記接続用導体を複数含む1に記載の積層配線部材。
3.前記接続用導体が、金、銀及び銅からなる群から選択される1以上の金属元素を含む1又は2に記載の積層配線部材。
4.前記接続用導体が、撥液剤を含む1〜3のいずれかに記載の積層配線部材。
5.前記撥液剤が、自己組織化単分子膜を形成するフッ素含有化合物である4に記載の積層配線部材。
6.前記撥液剤が、フッ素含有チオール化合物である4又は5に記載の積層配線部材。
7.前記撥液剤が、前記接続用導体の表面に露出している4〜6のいずれかに記載の積層配線部材。
8.前記接続用導体が、樹脂組成物からなる絶縁層を貫いて、前記第1電極と前記第2電極の間を電気的に接続する1〜7のいずれかに記載の積層配線部材。
9.前記絶縁層の樹脂組成物が、フッ素系樹脂組成物である8に記載の積層配線部材。
10.前記絶縁層の厚みが、1μm〜50μmであり、前記接続用導体の高さが、前記絶縁層の厚みの1倍を超え10倍以下である8又は9に記載の積層配線部材。
11.第1電極上に溶媒層を形成する工程と、
前記溶媒層に導体組成物インクの液滴を滴下し、前記第1電極上に前記導体組成物インクの凸型液滴を形成して、加熱することで、接続用導体を形成する工程を含み、
前記溶媒層を構成する溶媒が、前記導体組成物インクより2.5mN/m以上小さい表面張力を有する積層配線部材の製造方法。
12.前記溶媒層の厚みを、前記導体組成物インクの液滴の前記滴下時の直径の0.1倍〜2倍とする11に記載の積層配線部材の製造方法。
13.前記溶媒層を構成する溶媒が、水、アルコール系溶媒及びテトラデカンから選択される1種以上を含む11又は12に記載の積層配線部材の製造方法。
14.前記導体組成物インクの溶媒が、水、アルコール系溶媒及びテトラデカンから選択される1種以上を含む11〜13のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
15.前記溶媒層の溶媒と前記導体組成物インクの溶媒が互いに混和しない11〜14のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
16.前記導体組成物インクの液滴の滴下を、インクジェット法又はディスペンサ法を用いて行う11〜15のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
17.前記加熱の温度が、100〜200℃である11〜16のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
18.前記導体組成物インクが、金、銀及び銅からなる群から選択される1以上の金属の粒子を含む11〜17のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
19.前記導体組成物インクが、撥液剤を含む11〜18のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
20.前記撥液剤が、自己組織化単分子膜を形成するフッ素含有化合物である19に記載の積層配線部材の製造方法。
21.前記撥液剤が、フッ素含有チオール化合物である19又は20に記載の積層配線部材の製造方法。
22.前記接続用導体を形成した第1電極上に樹脂組成物の塗膜を形成し、硬化させて絶縁層を形成する工程であって、前記接続用導体の高さが前記絶縁層の厚みよりも大きくなるようにすることで、前記接続用導体が前記絶縁層から突出するように絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層から突出した接続用導体と電気的に接続するように、前記絶縁層上に第2電極を形成する工程を含む11〜21のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
23.前記樹脂組成物の粘度が、25℃において、5mPa・S以上500mPa・S以下である22に記載の積層配線部材の製造方法。
24.1〜10のいずれかに記載の積層配線部材を備える半導体素子であって、
前記第1電極が、ソース電極、ドレイン電極又は中間電極であり、前記第2電極が、ゲート電極、中間電極又は外部入出力電極である半導体素子。
25.1〜10のいずれかに記載の積層配線部材を備える電子機器。
26.携帯端末、自動車、ロボット、パソコン、プリンタ、カメラ、又はウェアラブルデバイスである25に記載の電子機器。
本発明によれば、高いアスペクト比を有する接続用導体を備える積層配線部材、及び当該積層配線部材の製造方法が提供できる。
本発明の積層配線部材の製造方法の一実施形態を示す図である 本実施形態における接続用導体形成工程を示す図である。 導体組成物インクの塗布位置について説明する図である。 本実施形態における接続用導体の縦断面形状について説明する図である。 本実施形態における接続用導体について説明する図である。 本実施形態における絶縁層について説明する図である。 本発明の積層配線部材の一実施形態を示す概略断面図である。 ボトムゲートボトムコンタクト型の半導体トランジスタを有する半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。 ボトムゲートトップコンタクト型の半導体トランジスタを有する半導体素子の他の実施形態を示す概略断面図である。 トップゲートボトムコンタクト型の半導体トランジスタを有する半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。 トップゲート型の半導体トランジスタを有する半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。
本発明は、高いアスペクト比を有する接続用導体を備える積層配線部材、当該積層配線部材の製造方法、半導体素子及び電子機器を提供するものである。
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、各図においては、本発明を理解しやすくするために適宜各構成の形状等を誇張して示している。
また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
<積層配線部材の製造方法>
本発明の積層配線部材の製造方法は、第1電極上に溶媒層を形成する工程と、溶媒層に導体組成物インクの液滴を滴下し、第1電極上に導体組成物インクの凸型液滴を形成して加熱する工程を含む。当該加熱により溶媒層及び導体組成物インクの凸型液滴中の溶媒を除去し、導体組成物インクの凸型液滴を、電気的に接続可能な接続用導体とすることができる。
ここで溶媒層は、導体組成物インクの表面張力より2.5mN/m以上小さい表面張力を有する溶媒からなり、これら工程により第1電極上に接続用導体を形成する。
図1は本発明の積層配線部材の製造方法の一実施形態を示す図である。
本実施形態において、図1(A)に示すように、基材21及び基材21上に形成された第1電極22を有する配線部材2を準備する。次に、図1(B)に示すように、第1電極22と導通する接続用導体3を形成する(接続用導体形成工程)。次に、図1(C)に示すように、接続用導体3が形成された配線部材2上に樹脂組成物の塗膜4Aを形成する。次に、樹脂組成物の塗膜4Aを硬化させることにより、図1(D)に示すように、接続用導体3がヴィアポストとして機能し、接続用導体3以外の部分に絶縁層4を形成する(絶縁層形成工程)。次に、図1(E)に示すように、ヴィアポストとして機能する接続用導体3と導通するように、絶縁層4上に第2電極6を形成する(第2電極形成工程)。以上により積層配線部材1を製造することができる。
本実施形態では、図1(B)に示す接続用導体形成工程において、別途に溶媒層を形成することにより高いアスペクト比を有する接続用導体を形成することができる。
[接続用導体形成工程]
図2は本実施形態における接続用導体形成工程を示す図である。
図2において、第1電極22上に形成された溶媒層50上に導体組成物インクの液滴60を滴下すると(図2(A))、溶媒層50中で導体組成物インクの液滴60の着弾速度が緩和され(図2(B))、第1電極22上に着弾する。着弾した第1電極22上のインク液滴は、インクが含む溶媒と溶媒層の溶媒との液液間の界面張力によって、水平方向への広がりが抑制され、第1電極22上に導体組成物インクの凸型液滴3Aが形成される(図2(C))。導体組成物インクの凸型液滴を形成後、加熱することで、溶媒層50とインク中の溶媒がそれぞれ除去され、第1電極22上にヴィアポストとして機能する接続用導体3が形成される(図2(D))。
尚、図2では本実施形態を説明するための便宜上、導体組成物インクの液滴60は1滴であるが、導体組成物インクの液滴60は、通常、第1電極22上にパターン状に複数滴下される。また、同一ヶ所に液滴が積層される場合もある。
本発明の積層配線部材の製造方法では、溶媒層を形成することによって、液液間の界面張力及び溶媒層の溶媒吸収によって、導体組成物インクの液滴1ショットで、高いアスペクト比を有する接続用導体を形成することができる。また、溶媒層の厚みを調整することによって、接続用導体の高さをコントロールすることもできる。
接続用導体が高いアスペクト比を有することで、第1電極上に絶縁層を形成する際に、絶縁層の上部に接続用導体を突出させることができるため、次に形成する第2電極と第1電極との接続が容易となる。
(溶媒層)
溶媒層を形成する溶媒は、導体組成物インクの表面張力より2.5mN/m以上小さい表面張力を有する溶媒である。従って、溶媒層の溶媒は導体組成物インクが含む溶媒によって適宜選択されるが、例えば25℃での導体組成物インクの表面張力が65mN/mであれば、62mN/m以下の表面張力を有する溶媒から選択される1種以上であると好ましい。溶媒層を形成する溶媒は、導体組成物インクの表面張力より3mN/m以上小さい表面張力を有する溶媒としてもよい。
尚、導体組成物インク及び溶媒層の溶媒の表面張力は、ペンダントドロップ法により確認できる。
溶媒層の溶媒と導体組成物インクが含む溶媒は、好ましくは互いに混和しない。ここで「混和」とは、任意の割合で混合することができることを意味する。
混和しない溶媒の組み合わせ(溶媒層の溶媒:導体組成物インクの溶媒)としては、(ヘキサン:水)、(テトラデカン:水)、(油:水)、(テトラデカン:アルコール類)等が挙げられる。
溶媒層の厚みは、導体組成物インクの液滴の直径の0.1〜2.0倍であると好ましく、例えば、導体組成物インクの液滴の直径が20μmであれば、溶媒層の厚みは2μm〜40μmの範囲である。
溶媒層の厚みが導体組成物インク液滴の直径の0.1倍未満の場合、得られる接続用導体のアスペクト比を所望とできないおそれがある。一方、溶媒層の厚みを大きくするほど背の高い接続用導体が得られるが、溶媒層の厚みが導体組成物インク液滴の直径の2.0倍超の場合、第1電極着弾前に導体組成物インク液滴が溶媒層中で流されて、所望の位置に接続用導体が形成できないおそれがある。
尚、導体組成物インクの液滴の直径は、塗布量を真球と仮定した場合に算出される直径である。
第1電極上の溶媒層の形成は、例えば、インクジェット、スクリーン印刷、ディスペンサー等により、例えば導体組成物インクの液滴の直径の2倍以上で、所望の厚みで印刷することで形成できる。例えば導体組成物インクの液滴の直径が20μmである場合、直径60μm程度の溶媒層の液だまりを形成すれば十分である。もちろんそれ以上の大きさでもよい。
(導体組成物インク)
導体組成物インクは、導電性材料及び溶媒を含む。また、形成される接続用導体に撥液性を付与させたい場合には、さらに撥液剤を含む。
導電性材料は、接続用導体3の導電性発現の起源となるものである。
導電性材料は、接続用導体3に所望の導電性を付与することができるものであり、具体的には金属粒子である。導電性材料は、金属粒子が溶媒中に分散したナノコロイドであってもよい。
金属粒子の金属種としては、銀、銅、水銀、スズ、インジウム、ニッケル、パラジウム、白金、及び金等が挙げられる。尚、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、上述の撥液剤との親和性の観点から、金、銀及び銅からなる群から選択される1以上がさらに好ましい。
金属粒子は、その平均粒子径が5nm以上1000nm以下であることが好ましい。また、直径50nm以下の金属ナノワイヤーを含んでもよい。金属粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定できる。具体的には、50個程度の粒子を含む視野において、全ての粒子の投影面積円相当径を測定し、その平均を算出する方法が挙げられる。
導電性材料の含有量は、導体組成物インク全量に対して、15質量%以上75質量%以下であることが好ましく、20質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。導電性材料の含有量が上記範囲内であれば、より効率よく接続用導体が形成できる。
撥液剤は、接続用導体3に撥液性を付与するものである。導体組成物インクが撥液剤を含むことにより、絶縁層形成工程において、配線部材2上に樹脂組成物を塗布した場合に、接続用導体3の表面において樹脂組成物を弾くことができ、接続用導体3を絶縁層上に露出することができる。これにより第2電極との導通が容易となる。
撥液剤としては、自己組織化単分子膜を形成するフッ素含有化合物が好ましく、自己組織化単分子膜を形成するフッ素含有チオール化合物がより好ましい。
自己組織化単分子膜とは、基板表面に吸着又は化学結合した分子間の相互作用により形成された単分子の層(膜)である。
自己組織化単分子膜を形成するフッ素含有チオール化合物は、導電性材料として金属粒子を用いた場合に、導電性を確保しつつ、金属粒子に撥液性をもたらすことができる。その結果、導体組成物インクで得られる接続用導体は導電性と撥液性を両立できる。
尚、撥液剤は、フッ素含有チオール化合物に限定されるものではなく、フッ素を含む組成物(フッ素含有化合物)であればよい。このようなフッ素含有化合物としては、例えば、フッ素含有ジスルフィド化合物が挙げられる。
自己組織化単分子膜を形成するフッ素含有チオール化合物としては、芳香環を有するフッ素含有チオール化合物、フッ化部を有するアルカンチオール等が挙げられる。これらの中でも、金属粒子の表面修飾性から、芳香環(好ましくは、ベンゼン環)を有する炭素数6〜20の範囲内のフッ素含有チオールからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物が好ましい。
芳香環を有する炭素数6〜20の範囲内のフッ素含有チオールとしては、具体的には、トリフルオロメチルベンゼンチオール(例えば、4−トリフルオロメチルベンゼンチオール、3−トリフルオロメチルベンゼンチオール)、ペンタフルオロベンゼンチオール、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンチオール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンチオール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メルカプト安息香酸メチルエステル、3,5−ビストリフルオロメチルベンゼンチオール、4−フルオロベンゼンチオール及び11−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルオキシ)−1−ウンデカンチオール等が挙げられる。
これらの中でも、撥液性の観点からトリフルオロメチルベンゼンチオール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンチオールが特に好ましい。
フッ素含有ジスルフィド化合物としては、芳香環を有するフッ素含有ジスルフィド化合物、フッ化部を持つ炭素鎖を有するジスルフィド化合物等が挙げられる。
芳香環を有するフッ素含有ジスルフィド化合物としては、上述のフッ素含有チオール化合物が二量化した化合物が挙げられ、撥液性の観点から、トリフルオロメチルベンゼンチオール又は2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンチオールが二量化した化合物が特に好ましい。
撥液剤の含有量は、導体組成物インク全量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
撥液剤の含有量が前記上限以下であれば、導体組成物インク中の導電性材料の分散性を阻害しない。また、撥液剤の含有量の下限は、導体組成物インクで得られる導電性凸部の撥液性の観点から、0.1質量%以上であることが好ましい。
溶媒は、導電性材料及び撥液剤を分散又は溶解させるものである。
導体組成物インクの溶媒は、例えば溶媒層を形成する溶媒が導体組成物インクより2.5mN/m以上小さい表面張力となるように選択する。導体組成物インクの溶媒としては、水、アルコール系溶媒(モノアルコール系溶媒、ジオール系溶媒、多価アルコール系溶媒等)、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、グライム系溶媒、ハロゲン系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、印刷性の観点から、アルコール系溶媒が好ましい。アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、シクロヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、1,3−プロパンジオール等が挙げられる。また、ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。また、炭化水素系溶媒であるテトラデカン及び水も好ましい。
溶媒の表面張力は、25℃において20mN/m以上65mN/m以下であることが好ましい。溶媒の表面張力が上記範囲内であれば、導体組成物インクを下地に十分に付着させることができる。尚、表面張力は、ペンダントドロップ法により測定できる。
尚、導体組成物インク全体の表面張力は、好ましくは25℃において25mN/m以上70mN/m以下である。
表面張力が25℃において20mN/m以上65mN/m以下のアルコール系溶媒としては、エチレングリコール、グリセリン、1,3−プロパンジオール等が挙げられる。これらの中でも、1,3−プロパンジオールが特に好ましい。
溶媒の含有量は、導体組成物インク全量に対して、25質量%以上85質量%以下であることが好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。溶媒の含有量が上記範囲内であれば、導体組成物インクを適正に塗布できる。
導体組成物インクの、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、又は99.9質量%以上が、導電性材料、溶媒及び撥液剤であってもよい。導体組成物インクは、本質的に導電性材料、溶媒及び撥液剤からなってもよい。この場合、不可避不純物を含んでもよい。導体組成物インクは、導電性材料、溶媒及び撥液剤のみからなってもよい。
また、導体組成物インクは、上述した各成分の他に、任意の成分を含んでいてもよい。各種任意成分としては、分散剤等が挙げられる。これらの任意成分は、導体組成物インク全量に対して、10質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
導体組成物インクは、導体組成物インクをガラス基板上にスピンコートにより成膜し、180℃で30分間加熱した固化膜の表面エネルギーが、20mN/mより大きく80mN/m以下であると好ましい。
尚、表面エネルギーは、各溶媒にて測定した接触角の値から、北崎、畑の拡張Fowkes式に基づく幾何学平均法による解析(北崎寧昭、畑敏雄ら、日本接着協会誌、第8巻(3)131−141頁(1972年))で求めた値を言う。
導体組成物インクをスピンコートし加熱した固化膜の表面エネルギーを調整する手段としては、撥液剤の種類や配合量を調整すること等が挙げられる。
固化膜の表面エネルギーが前記下限値よりも小さくなると、撥液剤の量が多くなり、導体組成物インク中の導電性材料が凝集し、インク状態を保持できなくなるおそれがある。また、固化膜の表面エネルギーが前記上限値よりも大きくなると、撥液性が低下し、絶縁層を開孔することができなくなるおそれがある。また、同様の観点から、固化膜の表面エネルギーは、22mN/m以上70mN/m以下であることがより好ましく、25mN/m以上60mN/m以下であることがさらに好ましく、30mN/m以上50mN/m以下であることが特に好ましい。
(導体組成物インクの滴下方法及び加熱方法)
本工程においては、上述した導体組成物インクの液滴50が第1電極22上にパターン状に滴下される。
ここで、「導体組成物インク液滴をパターン状に滴下する」とは、第1電極22上に所定の平面視形状を有するように導体組成物インクを滴下することをいい、第1電極22が形成された配線部材2上の全面に導体組成物インクを塗布する場合を含まないことをいう。
本工程においては、導体組成物インク液滴60を第1電極22上に滴下することができればよい。図3は、導体組成物インクの滴下位置について説明する説明図(第1電極22の上方から見た図)であり、図3(A)に示すように、溶媒層を形成した第1電極22上にのみ導体組成物インク液滴60を滴下して導体組成物インクの凸型液滴3Aを形成してもよく、図3(B)に示すように第1電極22上及びその近傍に導体組成物インクを滴下し、導体組成物インクの凸型液滴3Aを形成してもよい。この場合、導体組成物インクは、通常、第1電極22上に滴下され、かつ上記第1電極22に隣接する他の電極22aと導通しないように滴下される。本実施形態においては導体組成物インクを第1電極22上にのみ滴下することがより好ましい。第1電極22の表面の濡れ性及び導体組成物インクの物性を調整して接続用導体3の形状を調整しやすくなるからである。
導体組成物インクの滴下方法(塗布方法)としては、第1電極22上に所定のパターン状に導体組成物インクを塗布することができる方法であれば特に限定されず、例えば、インクジェット法、ディスペンサ法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、反転オフセット印刷法、凸版印刷法等が挙げられる。本実施形態においては、インクジェット法又はディスペンサ法を用いることが好ましい。導体組成物インクの液滴を第1電極22上に塗布することが容易であるためである。
導体組成物インク液滴の1滴の滴下量としては、0.5pL〜1nLが好ましく、1pL〜1nLとしてもよい。
また、導体組成物インクの液滴の滴数は特に制限はないが、例えば1〜15滴であり、5〜15滴としてもよい。滴数を多くすると、よりアスペクト比の高い接続用導体3とすることができる場合がある。
第1電極22上に塗布された導体組成物インク凸型液滴の加熱方法としては、導体組成物インクに含まれる溶媒及び溶媒層の溶媒を除去し、導体組成物インクの凸型液滴を固化、加熱することができれば特に限定されず、一般的な加熱方法を用いることができる。具体的には、ホットプレート等を用いて加熱することができる。
本工程においては、加熱前又は加熱中に超音波等を照射して撥液剤の移行を促進させる処理を行なってもよい。
また、本工程における加熱温度及び加熱時間については、導体組成物インクに含まれる溶媒、撥液剤等の種類に応じて適宜調整される。
本工程における加熱温度としては、導体組成物インクに含まれる溶媒及び溶媒層の溶媒を除去及び導体組成物インクを導電接続体化することが可能な温度であれば特に限定されないが、100℃以上220℃以下であることが好ましく、100℃以上200℃以下であることがより好ましく、120℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
加熱温度が高すぎる場合は、急激な突沸現象により導電性材料が劣化して所望の導電性を示すことが困難となる可能性があるからである。また、加熱温度が低すぎる場合は、導電率が低く、接続用導体化が困難となるおそれがある。
本工程における加熱時間としては、導体組成物インクに含まれる溶媒及び溶媒層の溶媒を除去、並びに導体組成物インクを導電接続体化することが可能な時間であれば特に限定されないが、10分間以上60分間以下であることが好ましい。
加熱時間が短すぎる場合は、導体電率が低く、接続用導体化が困難となるおそれがある。また、加熱時間が長すぎる場合は、生産性が低下する可能性があるからである。
(接続用導体)
本工程により形成される接続用導体3は、第1電極22上に形成されるものである。接続用導体3は、複数形成されていてもよい。また、接続用導体3は、ヴィアポストとして機能し、好ましくはさらに撥液性を有する。
接続用導体3は、好ましくは前記導電性材料及び前記撥液剤を含み、且つ表面エネルギーが20mN/mより大きく80mN/m以下である導電体である。また、導電体は、表面エネルギー及び導電性の観点から、表面に前記導電性材料及び/又は前記撥液剤が露出していることが好ましい。
「接続用導体が撥液性を有する」とは、接続用導体3の表面と水との接触角が、第1電極22の表面と水との接触角及び基材21の表面と水との接触角よりも大きいことをいう。
具体的には、接続用導体3の表面と水との接触角と、第1電極22の表面と水との接触角との差が、5°以上であることをいい、好ましくは20°以上であることをいう。両者の接触角の差が小さいと、接続用導体3が形成された配線部材2上に樹脂組成物を塗布した場合に濡れ性の差を利用して、樹脂組成物を弾くことが困難となる可能性があるからである。
上記接触角の差の上限値としては、接続用導体3の材料、第1電極22の材料等に応じて適宜決定され、特に限定されないが、例えば、100°程度である。
接続用導体3が撥液性を有する場合の当該撥液性は、後述する絶縁層形成工程において用いられる樹脂組成物を弾くことにより、接続用導体3がヴィアポストとして機能することができれば特に限定されない。接続用導体3の表面と水との接触角としては、90°以上であることが好ましく、100°以上120°以下であることがより好ましい。上記接触角が小さすぎると、接続用導体3上に塗布された樹脂組成物を弾くことが困難となり、ヴィアポストを形成することが困難となる可能性があるからである。
接続用導体3の平面視形状としては、ヴィアポストを形成することができれば特に限定されず、例えば、円形状、楕円形状、四角形状、多角形状等が挙げられる。なかでも、接続用導体3の平面視形状が、円形状、楕円形状であることが好ましい。
図4は、本実施形態における接続用導体3の縦断面形状について説明する説明図である。接続用導体3の縦断面形状とは、基材21に対して垂直方向の接続用導体3の断面形状をいう。
接続用導体3の縦断面形状としては、図4(A)に示すような半円形状、図4(B)に示すような半楕円形状、図示はしないが台形状、四角形状等の凸型形状が挙げられる。また、これらの形状は中央に平坦部又は窪みを有していてもよい。図4(C)は、半楕円形状の中央に平坦部を有する形状を示している。
接続用導体3の大きさとしては、接続用導体3を介して第1電極22及び後述する第2電極6を導通させることが可能なヴィアポストを形成することができれば特に限定されないが、例えば100μm以下であり、10μm以上100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。尚、下限は特に限定されないが、例えば5μmである。接続用導体3が大きすぎる場合は、本実施形態により製造される積層配線部材1の高精細化、高集積化が困難となるおそれがあるからである。また、接続用導体3が小さすぎる場合は、接続用導体3と後述する第2電極6とを良好に導通させることが困難となるおそれがあるからである。
ここで「接続用導体3の大きさ」とは、接続用導体3の第1電極に接する面の長軸長をいう。また、平面視形状が長方形、楕円形等の短辺及び長辺を有する形状の場合は長辺の幅をいう。また、平面視形状が多角形状の場合は、内接円の直径をいう。具体的に接続用導体3の大きさとは、図5においてuで示される距離をいう。
接続用導体3の高さとしては、後述する第2電極6と導通させることができる高さであって、(接続用導体3の高さ)/(接続用導体3の第1電極22に接する面の長軸長)=0.1〜5となる高さとする。接続用導体3の高さ及び第1電極22に接する面の長軸長の比が当該範囲にあることは、接続用導体3の凸型形状を表している。長軸長は、断面SEM(走査型電子顕微鏡)やTEMにより確認できる。
接続用導体3の高さが高すぎる場合は、接続用導体3自体を形成することが困難となる可能性や、接続用導体3に破損等を生じやすくなる可能性があり、また、本実施形態により製造される積層配線部材1の第2電極6側表面の平坦性を良好なものとすることが困難となる可能性があるからであり、接続用導体3の高さが低すぎる場合は、接続用導体3が所望の導電性及び撥液性を示すことが困難となる可能性があるからである。
尚、「接続用導体3の高さ」とは、接続用導体3の縦断面形状において基材と垂直方向の距離が最大となる部分の値をいい、後述する図6においてxで示される距離をいう。
接続用導体3のアスペクト比(高さ/大きさ)としては、ヴィアポストを形成することができれば、特に限定されないが、0.1以上5以下であることが好ましく、0.3以上5以下であることがより好ましく、0.3以上4.8以下であることがさらに好ましく、0.6以上4.5以下、又は1.0以上4.5以下としてもよい。
(第1電極)
第1電極22は基材21上に形成されており、第1電極22及び基材21とで配線部材2を形成する。
基材21は、第1電極22を支持するものである。また、基材21は、通常、耐熱性を有するものである。基材21の耐熱性としては、積層配線部材の製造工程における加熱に対して変形等を生じない程度であれば特に限定されない。
基材21としては所定の自己支持性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、本実施形態により製造される積層配線部材1の用途等に応じて任意の機能を有する基材21を用いることができる。
基材21としては、ガラス基材等の可撓性を有さないリジット基材、及び、プラスチック樹脂からなるフィルム等の可撓性を有するフレキシブル基材が挙げられる。プラスチック樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)及びポリエーテルイミド(PEI)等が挙げられる。
基材21は、単層であってもよく、積層体であってもよい。基材21が積層体である場合は、例えば、基材21上に形成された硬化性樹脂を含む平坦化層等を有していてもよい。また、基材21上に形成されたバリア層を有していてもよい。
基材21が透明性を有する場合、可視光領域における透過率は80%以上であることが好ましい。ここで、透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
第1電極22は基材21上に形成されていればよく、基材21上に直接形成されていてもよく、基材21上に他の層を介して形成されていてもよい。尚、以下の説明においては、配線部材2において第1電極22が形成された構成の表面を、絶縁層の形成面と称して説明する場合がある。
第1電極22は、通常、基材21上にパターン状に形成される。第1電極22の平面視形状としては、本実施形態の製造方法により製造される積層配線部材1の種類に応じて適宜選択することができる。第1電極22の平面視形状としては、例えば、ライン形状や電極パッドに用いられるパッド形状等が挙げられる。
第1電極22に用いられる材料としては、所望の導電性を有していれば特に限定されず、例えば、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、Cu、Mo−Ta合金、Ag合金、Cu合金、Al合金等の金属材料や、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の透明導電性無機材料等の導電性無機材料や、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸)等の導電性有機材料を用いることができる。
また、導電性微粒子を含む導電性ペーストを用いることもできる。導電性微粒子については、上述した導体組成物インクで用いる導電性微粒子を適宜選択して用いることができる。導電性ペーストに用いられる他の成分については、一般的なものと同様とすることができ、例えば上述した導体組成物インクで用いる溶媒、任意の成分等を適宜選択して用いることができる。
第1電極22の厚みとしては、所望の導電性を有することができれば特に限定されないが、例えば、30nm以上50000nm以下であることが好ましく、50nm以上35000nm以下であることがより好ましく、200nm以上35000nm以下としてもよい。
第1電極22の厚みが厚すぎると、第1電極22による段差が大きくなるため、絶縁層を良好に形成することが困難となる可能性があるからである。また、第1電極22の厚みが薄すぎると良好な導電性を示すことが困難となる可能性があるからである。
本実施形態において、「厚み」は、一般的な測定方法によって得られる厚みをいう。厚みの測定方法としては、例えば、触針で表面をなぞり凹凸を検出することによって厚みを算出する触針式の方法が挙げられる。尚、厚みとして、対象となる構成の複数箇所における厚み測定結果の平均値が用いられてもよい。
第1電極22の表面の濡れ性については、導体組成物インクをパターン状に塗布又は印刷することにより、所望の導電性凸部を形成することができれば特に限定されない。
第1電極22の表面の濡れ性としては、例えば、第1電極22の表面と水との接触角が、1°以上95°以下であることが好ましく、1°以上90°以下であることがより好ましく、20°以上90°以下であることが特に好ましい。
上記接触角が大きすぎると、後から形成する接続用導体3の撥液性と濡れ性差が形成できなくなるからである。また、上記接触角が小さすぎると導体組成物インクが濡れ広がりやすくなり、第1電極22に隣接する他の電極等に接続用導体3が形成されて導通不良が生じやすくなる可能性があるからである。
尚、「水との接触角」は、25℃における水との接触角をいう。
本実施形態における上記接触角は、例えば、測定対象上に1マイクロリットルの液体を滴下し、滴下した液滴の形状を側面より観測し、液滴と測定対象とのなす角を計測することにより測定することができる。本実施形態における接触角は、例えば、井元製作所製接触角測定装置を用いて測定することができる。
第1電極22の形成方法としては、一般的な電極の形成方法と同様とすることができる。具体的には、基材21上の全面に導電層を形成した後、フォトリソグラフィー法を用いて所定のパターンにエッチングする方法が挙げられる。また、基材21上の全面に導電層を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等のPVD法、CVD法等が挙げられる。
第1電極22の他の形成方法としては、導電性ペーストを用いた印刷方法により形成することができる。印刷法としては、例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、反転オフセット印刷法等が挙げることができる。
本実施形態においては、第1電極22の形成方法として、印刷法を用いた方法を採用することが好ましい。印刷法により形成された導電層は、蒸着法等により形成された導電層に比べて導電層の表面の濡れ性を調整しやすく、接続用導体3の形状を制御しやすいからである。
配線部材2は、上述した基材21及び第1電極22を有していれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。例えば、配線部材2は、基材21上に形成された配線部材用電極(図示なし)及び配線部材用電極(図示なし)を覆うように形成された配線部材用絶縁層(図示なし)を有していてもよい。この場合、第1電極22は、配線部材用絶縁層上に形成される。また、第1電極22と同一平面上に、第1電極22以外の他の電極が形成されていてもよい。
配線部材用電極及び第1電極22以外の他の電極の平面視形状については、本実施形態により製造される積層配線部材1の種類等に応じて適宜選択することができる。また、配線部材用電極及び第1電極22以外の他の電極の材料、厚み及び形成方法については、第1電極22と同様であるため、ここでの説明は省略する。
配線部材用絶縁層の材料としては、絶縁性を有していれば特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の有機材料や、SiO、SiN、Al等の無機材料が挙げられる。配線部材用絶縁層の材料は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。尚、配線部材用絶縁層の材料としては、後述する絶縁層形成工程で用いる樹脂組成物を用いることができる。
配線部材用絶縁層の厚みについては、本実施形態により製造される積層配線部材1の用途等に応じて適宜選択することができる。
配線部材用絶縁層の形成方法としては、後述する絶縁層4の形成方法を用いることができる。また、配線部材用絶縁層が無機材料である場合は、例えば、CVD法等を採用することができる。
本発明の積層配線部材の製造方法は、好ましくは接続用導体を形成し、硬化させて絶縁層を形成する工程であって、接続用導体の高さが絶縁層の厚みよりも大きくなるようにすることで、接続用導体が前記絶縁層から突出するように絶縁層を形成する工程(絶縁層形成工程)、及び絶縁層から突出した接続用導体と電気的に接続するように絶縁層上に第2電極を形成する工程(第2電極形成工程)を含む。
[絶縁層形成工程]
絶縁層形成工程において、図1(C)に示すように、接続用導体3が形成された配線部材2上に樹脂組成物の塗膜4Aを形成して、硬化させることにより、ヴィアポストとして機能する接続用導体3を有する絶縁層4を形成する(図1(D)参照)。
(樹脂組成物)
本工程に用いられる樹脂組成物は、樹脂を含有し、必要に応じて重合開始剤等のその他の成分を含有する。ここで「樹脂」とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む。
樹脂組成物が含む樹脂としては、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、並びにポリイミド等の熱重合性樹脂が挙げられる。尚、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
樹脂組成物が含む樹脂としては、熱硬化性樹脂であることが好ましい。熱硬化性樹脂を用いることにより、絶縁層4の絶縁性をより良好なものとすることができるからである。
本工程に用いられる樹脂組成物として、フッ素系樹脂組成物を用いてもよい。フッ素系樹脂組成物とは、樹脂としてフッ素系樹脂を含有し、必要に応じて重合開始剤等のその他の成分を含有する。
フッ素系樹脂組成物が含むフッ素系樹脂としては、フッ素が添加されたポリイミド、フッ素が添加されたポリパラキシレン、ポリスチレン、サイトップ(登録商標)、テフロン(登録商標)、テフロン(登録商標)AF、フルオロポリアリールエーテル等が挙げられる。また、代表的な例としては、サイトップ(旭硝子株式会社製)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
このようなフッ素系樹脂としては、なかでも、熱硬化性樹脂であることが好ましい。熱硬化性樹脂を用いることにより、絶縁層4の絶縁性をより良好なものとすることができるからである。
樹脂組成物は、通常、溶媒を含有する。樹脂組成物が含有する溶媒としては、接続用導体3の撥液性、絶縁層4が形成される下地の濡れ性、粘度等に応じて適宜選択することができ、一般的な樹脂組成物に用いられるものと同様とすることができる。
また、樹脂組成物がフッ素系樹脂組成物である場合には、通常、フッ素系溶媒を含有する。但し、フッ素系樹脂組成物をパッシベーション層として用いる場合には、下地の半導体層等の、溶剤への耐性が低い下地層に対して、ダメージを与えないフッ素系溶媒を選択するとよい。
樹脂組成物は、さらに必要に応じて、重合開始剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、密着性向上剤等を含有してもよい。
樹脂組成物の粘度としては、所定の塗布性を有し、接続用導体3の撥液性により弾くことが可能な程度であれば特に限定されない。具体的な樹脂組成物の粘度としては、25℃において、1.0mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上1000mPa・s以下であることがより好ましく、5mPa・s以上500mPa・s以下であることが特に好ましい。樹脂組成物の粘度が低すぎる場合は、樹脂組成物の塗膜4Aを形成することが困難となり、樹脂組成物の粘度が高すぎる場合は表面の濡れ性の差の効果を得ることが困難になる可能性があるからである。
尚、粘度の測定方法については、粘度を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、レオメーター、B型粘度計、キャピラリー式粘度計等の粘度測定装置を用いる方法が挙げられる。また、粘度の測定方法としては、デジタル粘度計(東機産業株式会社 TV−35)を用いることができる。
樹脂組成物の表面張力としては、所定の塗布性を有し、接続用導体3の撥液性によって弾くことが可能な程度であれば特に限定されない。具体的な樹脂組成物の表面張力としては、25℃において、5mN/m以上70mN/m以下であることが好ましく、10mN/m以上50mN/m以下であることがより好ましく、20mN/m以上50mN/m以下であることがさらに好ましい。樹脂組成物の表面張力が低すぎる場合、接続用導体3上の樹脂組成物を弾きにくくなる傾向にあり、樹脂組成物の表面張力が高すぎる場合は、絶縁層4を形成することが困難となる可能性があるからである。
尚、表面張力の測定方法については、表面張力を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、高精度表面張力計(協和界面科学社 DY−700)を用いて測定することができる。
(絶縁層の形成方法)
本工程において、絶縁層4は、上述した樹脂組成物を接続用導体3が形成された配線部材2上に塗布することにより形成される。
塗布方法としては、所望の厚みを有する絶縁層4を形成することができれば特に限定されず、一般的な塗布法を用いることができる。具体的には、スリットコート法、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、及びキャスト法等が挙げられる。本実施形態においては、なかでも、スピンコート法、及びスリットコート法を用いることが好ましい。絶縁層4の平坦性を良好なものとすることができるからである。
樹脂組成物の塗膜4Aの厚みは、ヴィアポストとして機能する接続用導体3を有する絶縁層4を形成することができれば特に限定されず、接続用導体3の高さよりも樹脂組成物の塗膜4Aの厚みが大きくてもよく、同等であってもよく、小さくてもよい。
また、接続用導体3の高さよりも樹脂組成物の塗膜4Aの厚みが厚い場合、塗膜4Aは接続用導体3を覆うように形成されていてもよい。樹脂組成物の粘度及び表面張力等を調整することにより、接続用導体3上に塗布された樹脂組成物を時間経過とともに弾くようにすることができる。
樹脂組成物の塗膜4Aの硬化方法としては、樹脂組成物の種類に応じて適宜選択され、一般的な硬化方法を適用できる。一般的な硬化方法を用いることができるため、ここでの説明は省略する。
(絶縁層)
絶縁層4は、第1電極22と後述する第2電極6とを絶縁するために形成されるものである。ヴィアポストとして機能する接続用導体3は絶縁層4を貫通し、接続用導体3の一部が、絶縁層4から突出している。
絶縁層4の厚みは、第1電極22及び後述する第2電極6を絶縁することができれば特に限定されない。
図6は、本実施形態における絶縁層4について説明する説明図であり、図6(A)及び図6(B)に示すように、接続用導体3の高さをxとし、第1電極22上における絶縁層4の厚みをyとした場合に、接続用導体3の高さxが、第1電極22上における絶縁層4の厚みyよりも大きくする。これにより、ヴィアポストとして機能する接続用導体3が第1電極22及び第2電極6を良好に導通させることができる。
「第1電極22上における絶縁層4の厚み」とは、第1電極22の表面からの絶縁層の厚さ方向の距離をいい、図6においてyで示される距離をいう。
接続用導体3の高さxは、第1電極22上における絶縁層4の厚みyに対して1倍を超え10倍以下であることが好ましい(1<x/y≦10)。x及びyの比率を上記範囲内とすることにより、接続用導体3及び後述する第2電極6をより導通させやすくすることができる。
第1電極22上における絶縁層4の厚みyとしては、半導体層等の下地層を保護する役割を有していれば、特に限定されず、本実施形態により製造される積層配線部材1の用途に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上50μm以下であることがより好ましい。また、0.5μm以上13μm以下としてもよい。絶縁層4の厚みが厚すぎると接続用導体3をヴィアポストとして機能させることが困難となるおそれがある。また、絶縁層4の厚みが薄すぎると十分な保護性を示すことが困難となるおそれがある。
また、本工程においては、少なくとも1層の絶縁層4を形成することができればよく、複数の絶縁層を形成してもよい。
[第2電極形成工程]
第2電極形成工程においては、図1(E)に示すように、ヴィアポストとして機能する接続用導体3と導通するように、絶縁層4上に第2電極6を形成する。この場合、絶縁層4から突出した接続用導体3の少なくとも一部と、第2電極6とが接触し、導通する。
第2電極6に用いられる材料としては、所望の導電性を有していれば特に限定されず、上述した第1電極22に用いられる材料から適宜選択することができる。
第2電極6は、通常、絶縁層4上にパターン状に形成される。第2電極6の平面視形状としては、本実施形態の製造方法により製造される積層配線部材1の種類に応じて適宜選択することができる。
第2電極6の形成方法については、上述した第1電極22の形成方法と同様とすることができる。第2電極6の厚みについては、接続用導体3及び第1電極22との間での導通を得ることができれば特に限定されない。但し、絶縁層4の厚みと接続用導体3の高さの差以下であると導通を得るのが困難となる場合がある。
第2電極6の厚みは、具体的には、30nm以上5000nm以下であることが好ましく、50nm以上4000nm以下であることがより好ましく、200nm以上2000nm以下であることが特に好ましい。
また、本工程においては、第2電極6の形成前に接続用導体3に親水化処理を行なってもよい。親水化処理としては、接続用導体3の導電性の低下を抑制することができ、接続用導体3の表面と水との接触角を小さくすることができれば特に限定されない。例えば、水素プラズマを用いた親水化処理等が挙げられる。
[その他の工程]
本実施形態の積層配線部材の製造方法は、さらに必要な構成を適宜選択して追加してもよい。例えば、上述した配線部材2を形成する工程等が挙げられる。
本発明の積層配線部材の製造方法は、ヴィアポストを介して2つの電極が導通する積層構造を有するデバイスの製造方法に適用できる。具体的には、例えば、半導体素子、タッチパネルセンサ、RF−ID(Radio Frequency Identification)、有機エレクトロルミネッセンス素子、フレキシブルプリント基板(FPC)等の製造方法に適用できる。
<積層配線部材>
本発明の積層配線部材は、対向する第1電極と第2電極と、第1電極と第2電極の間を電気的に接続する接続用導体を含み、接続用導体の高さ及び第1電極に接する面の長軸長の比(接続用導体の高さ/接続用導体の第1電極に接する面の長軸長)が0.1以上5以下であり、接続用導体の前記第1電極に接する面の長軸長が100μm以下である。
本発明の積層配線部材は、接続用導体が高いアスペクト比を有している積層配線部材であり、本発明の積層配線部材の製造方法により得られる。
図7は、本発明の積層配線部材の一実施形態を示す概略断面図である。
図7の積層配線部材100では、基材21及び第1電極22の積層体である配線部材の第1電極22上に接続用導体3が形成されており、当該接続用導体3は、第1電極22及び第2電極6を絶縁している絶縁層4を貫いて第2電極6と接続している。尚、接続用導体3は複数形成されていてもよい。
本実施形態の積層配線部材100の基材21、第1電極22、第2電極6、絶縁層4、接続用導体3の好ましい実施形態は、それぞれ積層配線部材の製造方法で説明したものと同じである。
本発明の積層配線部材を1単位として、その単位を繰り返し複数積層させて積層配線基板とすることができる。また、本発明の積層配線部材と、ビアランドを用いた接続部材を含む積層体を積層させて、積層配線基板を製造することもできる。
本発明の積層配線部材や積層配線基板を用いて半導体素子を製造することができる。図8、9、10、11は、それぞれ本発明の積層配線部材を用いた半導体素子の実施形態を示す概略断面図である。
図8は、ボトムゲートボトムコンタクト型の半導体トランジスタを有する半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。図8に示すように、半導体素子30では、基材31上にゲート電極32が形成され、ゲート電極32を覆うように、ゲート絶縁層33が形成されている。ゲート絶縁層33上に、ソース電極34及びドレイン電極35が形成され、ソース電極34及びドレイン電極35の間のチャネル領域に半導体層36が形成されている。
ドレイン電極35は本発明の第1電極に、外部入出力電極38は本発明の第2電極にそれぞれ対応し、これら電極に介在するパッシベーション層37(絶縁層)を貫いて接続用導体3で接続されている。
図9は、ボトムゲートトップコンタクト型の半導体トランジスタを有する半導体素子の他の実施形態を示す概略断面図である。図8とはパッシベーション層37(絶縁層)及び外部入出力電極38の間にさらに遮光層39を有し、接続用導体3がパッシベーション層37及び遮光層39を貫通してヴィアポストとして機能している点で異なる。
図10は、トップゲートボトムコンタクト型の半導体トランジスタを有する半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。図8と同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。この半導体素子30では、ドレイン電極35a(第1電極)と、中間電極35b(第2電極)は、介在するゲート絶縁層33(絶縁層)を貫いて接続用導体3aで接続されている。さらに、中間電極35b(第1電極)と、外部入出力電極38(第2電極)は、介在するパッシベーション層37(絶縁層)を貫いて接続用導体3bで接続されている。
図11は、トップゲート型の半導体トランジスタを有する半導体素子の一実施形態を示す概略断面図である。図10と同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。この半導体素子30では、ドレイン電極35a(第1電極)と、外部入出力電極38(第2電極)は、介在するゲート絶縁層33(絶縁層)とパッシベーション層37(絶縁層)を貫いて接続用導体3bで接続されている。
本発明の積層配線部材、積層配線基板及び半導体素子は、フレキシブルプリント配線板、携帯端末、自動車、ロボット、パソコン、プリンタ、カメラ等の電子機器等に好適に用いることができる。
実施例1
PEN基板上に、金電極(第1電極、厚み:100nm)を、L/S(ラインアンドスペース)=50μm/20μmの短冊状のパターンで成膜した。
当該金電極上において、インクジェット法により、テトラデカン(25℃における表面張力:26.1mN/m)を、ヴィアポストを形成したい部分に10pLずつ2滴滴下した。これにより、直径110μm、高さ52μmのテトラデカン溶媒層を形成した。
その後、Ag含有インク(銀ナノコロイド(平均粒子径:10nm)と、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンチオールと、溶媒(水と、エチレングリコールと、1,3−プロパンジオールと、グリセリンとの混合溶媒)とを、質量比39.4:1.5:59.1の割合で混ぜたもの。25℃における表面張力:30mN/m)をインクジェット法により10pL(液滴の直径:80μm)で1滴滴下した。次いで、180℃で15分間加熱したところ、第1電極に接する底面の長軸長が20μmで高さが8μmの山形形状(半円形状、凸型形状)のヴィアポスト(接続用導体)が得られた。(ヴィアポストの高さ)/(ヴィアポストの底面の長軸長)は0.4となった。
さらに、スリットコート法によってシリカ系のフィラーを含有する絶縁インク(25℃における粘度:50mPa・s)を印刷し、120℃で熱硬化して、層間絶縁膜(絶縁層)とした。層間絶縁膜の膜厚は4μmであり、ヴィアポストの高さは層間絶縁膜の膜厚の2倍であった。ヴィアポストが撥液性であり、層間絶縁膜より高さが高いためヴィアポストの上には層間絶縁膜は形成されなかった。
この後、層間絶縁膜とヴィアポストの上に、真空蒸着法で金電極(第2電極)を成膜し、積層配線部材を形成した。下部の金電極と上部の金電極の電気的接続を確認したところ、ヴィアポストによる導通を確認できた。また、断面TEMによる観察により、ヴィアポストの頂上部に層間絶縁膜が無く、金電極と接続していることが確認された。また、XPS(X線光電子分光分析)によるヴィアポストの分析では、フッ素原子及び硫黄原子がともに確認され、製造後168時間経過後観察したところ、Ag起因のマイグレーションは観察されず、隣接する短冊状のパターン間で導通は確認されなかった。
実施例2
テトラデカンの代わりにヘキサン(25℃における表面張力:18.4mN/m)を用い、ディスペンサーにより幅200μm、高さ40μmのヘキサン溶媒層を形成した他は、実施例1と同様にしてヴィアポストを形成した。形成したヴィアポストは、第1電極に接する底面の長軸長が21μmで高さが7.5μmの、山形形状(半円形状、凸型形状)であった。(ヴィアポストの高さ)/(ヴィアポストの底面の長軸長)は0.36となった。
また、スピンコーターによりフッ素系樹脂組成物(旭硝子株式会社製「サイトップ CTX 100AE」、25℃における粘度:25mPa・s)を成膜して、厚さ4μmの層間絶縁膜(絶縁層)を形成した。ヴィアポストが撥液性であり、層間絶縁膜より高さが高いため、ヴィアポストの上には層間絶縁膜は形成されなかった。
この後、実施例1と同様にして金電極(第2電極)を成膜し、積層配線部材を形成した。下部の金電極と上部の金電極の電気的接続を確認したところ、ヴィアポストによる導通を確認できた。また、断面TEMによる観察により、ヴィアポストの頂上部に層間絶縁膜が無く、金電極と接続していることが確認された。XPSによるヴィアポストの分析ではフッ素原子及び硫黄原子がともに確認され、製造後168時間経過後観察したところ、Ag起因のマイグレーションは観察されず、隣接する短冊状のパターン間で導通は確認されなかった。
実施例3
PEN基板上に、銅電極(第1電極、厚み:200nm)をL/S=50μm/20μmの短冊状のパターンで成膜した。
当該銅電極上において、スクリーン印刷によって、ヴィアポストを形成したい部分に直径140μm、高さ45μmのテトラデカン溶媒層を形成した。
その後、実施例1で用いたAg含有インクをインクジェット法により10pL(液滴の直径:80μm)ずつ7滴滴下した。次いで、120℃で15分加熱したところ、第1電極に接する底面の長軸長が20μmで高さが54μmの山形形状(半楕円形状、凸型形状)のヴィアポスト(接続用導体)が得られた。(ヴィアポストの高さ)/(ヴィアポストの底面の長軸長)は2.7となった。
さらに、スリットコート法によって、シリカ系のフィラーを含有する絶縁インク(25℃における粘度:72mPa・s)を印刷し、120℃で熱硬化して層間絶縁膜(絶縁層)とした。層間絶縁膜の膜厚は40μmであリ、ヴィアポストの高さは層間絶縁膜の膜厚の1.35倍であった。ヴィアポストが撥液性であり、層間絶縁膜より高さが高いため、ヴィアポストの上には層間絶縁膜は形成されなかった。
この後、層間絶縁膜とヴィアポストの上に真空蒸着法で銅電極(第2電極)を成膜して積層配線部材を形成した。下部の銅電極と上部の銅電極の電気的接続を確認したところ、ヴィアポストによる導通を確認できた。また、断面TEMによる観察により、ヴィアポストの頂上部に層間絶縁膜が無く、銅電極と接続していることが確認された。XPSによるヴィアポストの分析ではフッ素原子及び硫黄原子がともに確認され、製造後168時間経過後観察したところ、Ag起因のマイグレーションは観察されず、隣接する短冊状のパターン間で導通は確認されなかった。
実施例4
PEN基板上に、銅電極(第1電極、厚み:150nm)をL/S=30μm/20μmの短冊状のパターンで成膜した。
当該銅電極上において、スクリーン印刷によって、ヴィアポストを形成したい部分に直径50μm、高さ15μmのテトラデカン溶媒層を形成した。
その後、Ag含有インク(銀ナノコロイド(平均粒子径:10nm)と、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンチオールと、溶媒(水と、エチレングリコールと、1,3−プロパンジオールと、グリセリンとの混合溶媒)とを、質量比43:1.5:55.5の割合で混ぜたもの(25℃における表面張力:29mN/m)を、インクジェット法により1pL(液滴の直径:20μm)ずつ10滴滴下した。次いで、120℃で15分加熱したところ、第1電極に接する底面の長軸長が12μmで高さが51μmの山形形状(半楕円形状、凸型形状)のヴィアポスト(接続用導体)が得られた。(ヴィアポストの高さ)/(ヴィアポストの底面の長軸長)は4.25となった。
さらに、スクリーン印刷によって、シリカ系のフィラーを含有する絶縁インク(25℃における粘度:450mPa・s)を印刷し、120℃で熱硬化して層間絶縁膜(絶縁層)とした。層間絶縁膜の膜厚は30μmであリ、ヴィアポストの高さは層間絶縁膜の膜厚の1.7倍であった。ヴィアポストが撥液性であり、層間絶縁膜より高さが高いため、ヴィアポストの上には層間絶縁膜は形成されなかった。
この後、層間絶縁膜とピアポストの上に真空蒸着法で銅電極(第2電極、厚み:150nm)を成膜し積層配線部材を形成した。下部の銅電極と上部の銅電極の電気的接続を確認したところ、ヴィアポストによる導通を確認できた。また、断面TEMによる観察により、ヴィアポストの頂上部に層間絶縁膜が無く、銅電極と接続していることが確認された。XPSによるヴィアポストの分析ではフッ素原子及び硫黄原子がともに確認され、製造後168時間経過後観察したところ、Ag起因のマイグレーションは観察されず、隣接する短冊状のパターン間で導通は確認されなかった。
比較例1
溶媒層を形成しなかった他は実施例1と同様にしてヴィアポストを形成した。
形成したヴィアポストは、第1電極に接する底面の長軸長が40μmで高さが1.6μmの山形形状であった。(ヴィアポストの高さ)/(底面の直径)は0.04となった。また、実施例1と同様に厚さ4μmの層間絶縁膜を形成した結果、ヴィアポスト上が絶縁材料で塗れてしまい、導通しなかった。
比較例2
テトラデカンの代わりに水(25℃における表面張力76mN/m)で溶媒層を形成した他は実施例1と同様にしてヴィアポストの形成を試みたが、Ag含有インクが水に溶けてしまい、ヴィアポストを形成することができなかった。
1,100 積層配線部材
2 配線部材
21 基材
22 第1電極
3 接続性導体
3A 導体組成物インク凸型液滴
4 絶縁層
4A 樹脂組成物の塗膜
6 第2電極
30 半導体素子
31 基材
32 ゲート電極
33 ゲート絶縁層
34 ソース電極
35,35a ドレイン電極
35b 中間電極
36 半導体層
37 パッシベーション層
38 外部入出力電極
50 溶媒層
60 導体組成物インク液滴

Claims (26)

  1. 対向する第1電極と第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極の間を電気的に接続する接続用導体とを含む積層配線部材であって、
    前記接続用導体の高さ及び前記第1電極に接する面の長軸長の比(接続用導体の高さ/接続用導体の第1電極に接する面の長軸長)が0.1以上5以下であり、前記接続用導体の前記第1電極に接する面の長軸長が100μm以下である積層配線部材。
  2. 前記接続用導体を複数含む請求項1に記載の積層配線部材。
  3. 前記接続用導体が、金、銀及び銅からなる群から選択される1以上の金属元素を含む請求項1又は2に記載の積層配線部材。
  4. 前記接続用導体が、撥液剤を含む請求項1〜3のいずれかに記載の積層配線部材。
  5. 前記撥液剤が、自己組織化単分子膜を形成するフッ素含有化合物である請求項4に記載の積層配線部材。
  6. 前記撥液剤が、フッ素含有チオール化合物である請求項4又は5に記載の積層配線部材。
  7. 前記撥液剤が、前記接続用導体の表面に露出している請求項4〜6のいずれかに記載の積層配線部材。
  8. 前記接続用導体が、樹脂組成物からなる絶縁層を貫いて、前記第1電極と前記第2電極の間を電気的に接続する請求項1〜7のいずれかに記載の積層配線部材。
  9. 前記絶縁層の樹脂組成物が、フッ素系樹脂組成物である請求項8に記載の積層配線部材。
  10. 前記絶縁層の厚みが、1μm〜50μmであり、前記接続用導体の高さが、前記絶縁層の厚みの1倍を超え10倍以下である請求項8又は9に記載の積層配線部材。
  11. 第1電極上に溶媒層を形成する工程と、
    前記溶媒層に導体組成物インクの液滴を滴下し、前記第1電極上に前記導体組成物インクの凸型液滴を形成して、加熱することで、接続用導体を形成する工程を含み、
    前記溶媒層を構成する溶媒が、前記導体組成物インクより2.5mN/m以上小さい表面張力を有する積層配線部材の製造方法。
  12. 前記溶媒層の厚みを、前記導体組成物インクの液滴の前記滴下時の直径の0.1倍〜2倍とする請求項11に記載の積層配線部材の製造方法。
  13. 前記溶媒層を構成する溶媒が、水、アルコール系溶媒及びテトラデカンから選択される1種以上を含む請求項11又は12に記載の積層配線部材の製造方法。
  14. 前記導体組成物インクの溶媒が、水、アルコール系溶媒及びテトラデカンから選択される1種以上を含む請求項11〜13のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
  15. 前記溶媒層の溶媒と前記導体組成物インクの溶媒が互いに混和しない請求項11〜14のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
  16. 前記導体組成物インクの液滴の滴下を、インクジェット法又はディスペンサ法を用いて行う請求項11〜15のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
  17. 前記加熱の温度が、100〜200℃である請求項11〜16のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
  18. 前記導体組成物インクが、金、銀及び銅からなる群から選択される1以上の金属の粒子を含む請求項11〜17のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
  19. 前記導体組成物インクが、撥液剤を含む請求項11〜18のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
  20. 前記撥液剤が、自己組織化単分子膜を形成するフッ素含有化合物である請求項19に記載の積層配線部材の製造方法。
  21. 前記撥液剤が、フッ素含有チオール化合物である請求項19又は20に記載の積層配線部材の製造方法。
  22. 前記接続用導体を形成した第1電極上に樹脂組成物の塗膜を形成し、硬化させて絶縁層を形成する工程であって、前記接続用導体の高さが前記絶縁層の厚みよりも大きくなるようにすることで、前記接続用導体が前記絶縁層から突出するように絶縁層を形成する工程と、
    前記絶縁層から突出した接続用導体と電気的に接続するように、前記絶縁層上に第2電極を形成する工程を含む請求項11〜21のいずれかに記載の積層配線部材の製造方法。
  23. 前記樹脂組成物の粘度が、25℃において、5mPa・S以上500mPa・S以下である請求項22に記載の積層配線部材の製造方法。
  24. 請求項1〜10のいずれかに記載の積層配線部材を備える半導体素子であって、
    前記第1電極が、ソース電極、ドレイン電極又は中間電極であり、前記第2電極が、ゲート電極、中間電極又は外部入出力電極である半導体素子。
  25. 請求項1〜10のいずれかに記載の積層配線部材を備える電子機器。
  26. 携帯端末、自動車、ロボット、パソコン、プリンタ、カメラ、又はウェアラブルデバイスである請求項25に記載の電子機器。
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