JP2017156251A - 地形変化点抽出システム、及び地形変化点抽出方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)技術者によるばらつきを回避し、客観的な判断によって地形変化点(地形変化線)を抽出することができる。その結果、地すべり地形や崩壊地形の抽出漏れを防ぐことができる。
(2)人による作業を大幅に省略できることから、作業コストを低減することができるとともに、地すべり地形等をこれまでより迅速に抽出することができる。
図1は、本願発明の地形変化点抽出システム100を示すブロック図である。この図に示すように地形変化点抽出システム100は、条件設定手段110と地形変化抽出手段120を含んで構成され、プリンタやディスプレイといった出力手段130を含むこともできる。条件設定手段110は、地形変化点を抽出するための条件(以下、「地形変化条件」という。)を設定するもので、この地形変化条件に基づいて地形変化抽出手段120が地形変化点を抽出する。なお本願発明の地形変化点抽出システム100は、プログラムを実行するコンピュータを利用して構成するとよい。以下、条件設定手段110と地形変化抽出手段120について詳しく説明する。
図2は、地形変化条件を設定するための主な処理(工程)を示すフロー図であり、図3は、条件設定手段110を示すブロック図である。なお、図2の中央の列には実施する処理(工程)を示しており、左列にはその処理(工程)に必要な入力情報を、右列にはその処理(工程)から生まれる出力情報を示している。以下、これらの図を参照しながら条件設定手段110について説明する。
図4は、地形モデルと単位区画を説明するモデル図である。この図に示すように地形モデルTMは、所定領域ARを平面分割した網目状のモデルであり、単位区画BLは平面分割された結果得られる小領域のことである。言い換えれば、地形モデルTMは多数の単位区画BLによって構成される。例えば、図4左側の破線領域は、24個の単位区画BLで構成されていることが分かる。なお、この図にも示すように、それぞれの単位区画BLには識別番号(図ではBL323〜BL824)が付与されることが多い。また地形モデルTMは、平面座標(あるいは緯度経度)が付与されており、通常は単位区画BLの格子点に平面座標等が付与されている。
ここでサンプル領域とは、地形(特に勾配の変化)に特徴がある領域であり、操作者(オペレータ)によって選定される。サンプル領域としては、例えば、急斜面から比較的緩やかな堆積斜面に変化する地形に着目したり、山頂緩斜面からさらに緩斜面に変化する地形に着目したり、緩斜面から急斜面に変化する崖状の地形に着目して選定することができる。さらに、これらの特徴に加え、規模(面積)に応じて細分化してもよい。なおサンプル領域は、地形の変化点を抽出しようとする所定領域ARに対して1種類のみ抽出してもよいし、2種類以上を抽出してもよい。2種類以上のサンプル領域を抽出する場合、地形変化条件はサンプル領域の数だけ設定される。
サンプル領域が抽出されると、そのサンプル領域内にある単位区画BLに対して平均傾斜量Iを求める。通常、サンプル領域内には複数の単位区画BLがあり、これらの単位区画BLに対してそれぞれ平均傾斜量Iを求める。平均傾斜量Iは、算出対象の単位区画BLの周辺にある複数の単位区画BLを用いて算出される。ここでは混乱を避けるため、平均傾斜量Iを求める対象となる単位区画BLを「対象単位区画BLa」と、対象単位区画BLaの周辺にある単位区画BLのうち平均傾斜量Iの算出に用いられる単位区画BLを「周辺単位区画BLs」ということとする。
周辺傾斜量が得られると、平均傾斜量Iのほかに傾斜標準偏差σも算出する(Step105:図2)。この傾斜標準偏差σは、対象単位区画BLaに対して求められた複数(図5では144個)の周辺傾斜量の標準偏差として計算された値である。
平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σ(以下、これらを総称して「地形量」という。)は、図3に示す地形量算出手段114によって算出される。なお地形量は、サンプル領域内にあるできるだけ多くの(全てでもよい)単位区画BLに対して繰り返し算出される(図2)。
サンプル領域内にある単位区画BLの地形量が得られると、平均傾斜量Iを縦軸、傾斜標準偏差σを横軸(あるいは、傾斜標準偏差σを縦軸、平均傾斜量Iを横軸)とする座標軸平面の上に、個々の単位区画BLの地形量を配置した散布図を作成する(Step106:図2)。いわば、平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σの組み合わせを座標として、2軸座標平面上にプロットしたものが散布図である。図6は、種々のサンプル領域に対して作成した散布図であり、(a)は急斜面から比較的緩やかな堆積斜面に変化する地形に着目して抽出したサンプル領域の場合、(b)は山頂緩斜面からさらに緩斜面に変化する地形に着目して抽出したサンプル領域の場合、(c)は緩斜面から急斜面に変化する崖状の中規模地形に着目して抽出したサンプル領域の場合、(d)は緩斜面から急斜面に変化する崖状の小規模地形に着目して抽出したサンプル領域の場合である。散布図は、図3に示す散布図作成手段115によって作成される。
散布図が得られると、閾値線が設定される(Step107:図2)。この閾値線は、平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σを変数とする関数であり、散布図上に散布された点群(つまり、地形量)に基づいて設定される。したがって、平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σからなる座標軸平面の上に、閾値線を描くと連続した直線又は曲線として表される。このとき、散布図上の点群の平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σの関係を代表する回帰線を求め、この回帰線をそのまま閾値線として設定することができる。あるいは技術者等によって、散布図上の点群を概ね上下に2分するような境界線を定め、この境界線を閾値線として設定することもできる。
図7は、所定領域AR(地形モデルTM)に対して地形変化点を抽出するための主な処理(工程)を示すフロー図であり、図8は、地形変化抽出手段120を示すブロック図である。なお、図7の中央の列には実施する処理(工程)を示しており、左列にはその処理(工程)に必要な入力情報を、右列にはその処理(工程)から生まれる出力情報を示している。以下、これらの図を参照しながら地形変化抽出手段120について説明する。
まず、地形モデル記憶手段111に記憶された地形モデルTMを、地形モデル読出し手段112によって読み出し(Step201:図7)、地形量(平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σ)を算出するための窓領域を設定する(Step202:図7)。なお、ここで設定する窓領域は、地形変化条件を設定する際の窓領域(図5の9×9)と同じとすることもできるし、異なる大きさの領域を設定することもできる。
次に、対象領域ARを構成するそれぞれの単位区画BLに対して、順に所定の処理(工程)を繰り返し行う。はじめに、単位区画BLの平均傾斜量Iが算出される(Step203:図7)。この場合も条件設定手段110と同様、算出対象となる単位区画BLを「対象単位区画BLa」と、対象単位区画BLaの窓領域内にある単位区画BLを「周辺単位区画BLs」ということとする。既述のとおり平均傾斜量Iは、周辺単位区画BLsに基づいて求められた周辺傾斜量から得られる。具体的には、数式(1)を用いて平均傾斜量Iを求めることができる。
対象単位区画BLaの地形量が得られると、地形変化条件記憶手段117に記憶された地形変化条件が、図8に示す地形変化条件読出し手段122によって読み出される(Step205:図7)。そして、対象単位区画BLaの地形量と、読み出した地形変化条件を照らし合わせて、その対象単位区画BLaが地形変化点に該当するか否か選別する(Step206:図7)。具体的には、対象単位区画BLaの平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σの組み合わせが、上限閾値線以下であって下限閾値線以上であれば(つまり、上限閾値線と下限閾値線の間にあれば)、この対象単位区画BLaを地形変化点と判定する。この地形変化点の選別は、図8に示す地形変化点選別手段123によって行われる。なお、地形変化が認められるのは直接的には単位区画BLであるが、地形変化線を形成する意味では「点」とする方が好適であることから、ここでは「地形変化単位区画」とはせず「地形変化点」とした。
地形変化点選別手段123で選別された点(単位区画BL)をそのまま地形変化点としてもよいが、地形変化点としての適正を判定した上で確定する方が好適である。地形変化点が地形変化線を構成することを考えれば、地形変化点が単独の点として存在することは考えにくく、また地形変化点が面的に集合して存在することも考えにくい。そこで、周辺の地形変化点の配置状況に応じて、地形変化点としての適正を判定するわけである(Step207:図7)。地形変化点としての適正判定は、図8に示す適正判定手段124によって行われる。
地形変化点Pcとして選別されると、図8に示す傾斜方向設定手段125によってその傾斜方向が算出され(Step208:図7)、緩急選別手段126によって遷急点あるいは遷緩点の選別が行われる(Step209:図7)。遷急線を生成するためには遷急点どうしを、遷緩線を生成するためには遷緩点どうしを繋ぐ必要があり、その地形変化点Pcが遷急点か遷緩点を選別するわけである。そして、その選別を行うためには、その地形変化点Pcが傾斜している方向が必要となる。
遷急点又は遷緩点が選別されると、図8に示す地形変化線生成手段127によって緩急線又は遷緩線が生成される(Step210:図7)。緩急線は、隣接する遷急点どうしが順に繋がれていくことで生成され、一方の遷緩線は、隣接する遷緩点どうしが順に繋がれていくことで生成される。
110 (地形変化点抽出システムの)条件設定手段
111 (条件設定手段の)地形モデル記憶手段
112 (条件設定手段の)地形モデル読出し手段
113 (条件設定手段の)サンプル領域抽出手段
114 (条件設定手段の)地形量算出手段
115 (条件設定手段の)散布図作成手段
116 (条件設定手段の)地形変化条件設定手段
117 (条件設定手段の)地形変化条件記憶手段
120 (地形変化点抽出システムの)地形変化抽出手段
121 (地形変化抽出手段の)地形量算出手段
122 (地形変化抽出手段の)地形変化条件読出し手段
123 (地形変化抽出手段の)地形変化点選別手段
124 (地形変化抽出手段の)適正判定手段
125 (地形変化抽出手段の)傾斜方向設定手段
126 (地形変化抽出手段の)緩急選別手段
127 (地形変化抽出手段の)地形変化線生成手段
130 (地形変化点抽出システムの)出力手段
AR 所定領域
BL 単位区画
TM 地形データ
Claims (6)
- 地形モデルを用いて地形の変化点を抽出するシステムであって、
前記地形モデルは、所定領域を平面分割して得られる多数の単位区画と、該単位区画が具備する標高値と、を含んで構成され、
単位区画に対して、平均傾斜量と傾斜標準偏差を求める地形量算出手段と、
オペレータの操作により、前記所定領域のうち地形の特徴に着目してサンプル領域を抽出するサンプル領域抽出手段と、
前記サンプル領域内にある単位区画の前記平均傾斜量及び前記傾斜標準偏差を、平均傾斜量軸及び傾斜標準偏差軸からなる2軸平面に配置して散布図を作成する散布図作成手段と、
前記散布図に基づいて、閾値線を設定するとともに、該閾値線を基準として上限閾値線及び下限閾値線を設定する地形変化条件設定手段と、
前記平均傾斜量及び前記傾斜標準偏差の組み合わせが前記上限閾値線と前記下限閾値線の間となる単位区画を、地形変化点として選別する地形変化点選別手段と、
を備え、
前記平均傾斜量は、単位区画の周辺にある複数の単位区画の組み合わせによって算出される複数の周辺傾斜量に基づいて求められ、
前記傾斜標準偏差は、複数の前記周辺傾斜量に基づいて求められる、
ことを特徴とする地形変化点抽出システム。 - 前記地形変化条件設定手段は、前記散布図に配置された前記平均傾斜量と前記傾斜標準偏差の関係を代表する回帰線を求め、該回帰線を前記閾値線として設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の地形変化点抽出システム。 - 複数の前記地形変化点を繋ぐことで地形変化線を生成する地形変化線生成手段を、
さらに備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の地形変化点抽出システム。 - 前記地形変化点選別手段によって選別された前記地形変化点に対して、地形変化点としての適正を判定する適正判定手段を、さらに備え、
前記適正判定手段は、適正判定する地形変化点を注目地形変化点として認識するとともに、該注目地形変化点の周辺にある複数の単位区画のうち、地形変化点として選別された単位区画の数に基づいて、該注目地形変化点の適正を判定する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地形変化点抽出システム。 - 前記地形変化点の傾斜方向を設定する傾斜方向設定手段と、
前記地形変化点に対して、遷緩点又は遷急点のいずれかに選別する緩急選別手段と、
をさらに備え、
前記傾斜方向設定手段は、傾斜方向を設定する地形変化点を注目地形変化点として認識するとともに、該注目地形変化点の周辺にある複数の単位区画のうち、最も標高値が小さい単位区画を傾斜方向点として抽出し、該傾斜方向点に向かう方向を該注目地形変化点の傾斜方向として設定し、
前記緩急選別手段は、前記注目地形変化点の前記平均傾斜量が前記傾斜方向点の前記平均傾斜量より大きいときに該注目地形変化点を遷緩点として選別し、前記注目地形変化点の前記平均傾斜量が前記傾斜方向点の前記平均傾斜量より小さいときに該注目地形変化点を遷急点として選別する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の地形変化点抽出システム。 - 地形モデルを用いて地形の変化点を抽出する方法であって、
前記地形モデルは、所定領域を平面分割して得られる多数の単位区画と、該単位区画が具備する標高値と、を含んで構成され、
単位区画に対して、平均傾斜量と傾斜標準偏差を求める地形量算出工程と、
前記所定領域のうち地形の特徴に着目したサンプル領域を、オペレータが抽出するサンプル領域抽出工程と、
前記サンプル領域内にある単位区画の前記平均傾斜量及び前記傾斜標準偏差を、平均傾斜量軸及び傾斜標準偏差軸からなる2軸平面に配置して散布図を作成する散布図作成工程と、
前記散布図に基づいて、閾値線を設定するとともに、該閾値線を基準として上限閾値線及び下限閾値線を設定する地形変化条件設定工程と、
前記平均傾斜量及び前記傾斜標準偏差の組み合わせが前記上限閾値線と前記下限閾値線の間となる単位区画を、地形変化点として選別する地形変化点選別工程と、
を備え、
前記平均傾斜量は、単位区画の周辺にある複数の単位区画の組み合わせによって算出される複数の周辺傾斜量に基づいて求められ、
前記傾斜標準偏差は、複数の前記周辺傾斜量に基づいて求められる、
ことを特徴とする地形変化点抽出方法。
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