JP6746851B2 - 地形分類システム、及び地形分類方法 - Google Patents
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(1)技術者によるばらつきを回避し、客観的な判断によって、特徴ある地形を分類することができる。その結果、客観的に地形変化線を抽出することができ、ひいては地すべり地形や崩壊地形の抽出漏れを防ぐことができる。
(2)人による作業を大幅に省略できることから、作業コストを低減することができるとともに、地すべり地形等をこれまでより迅速に抽出することができる。
図1は、本願発明の地形分類システム100を示すブロック図である。この図に示すように地形分類システム100は、条件設定手段110と特徴領域抽出手段120を含んで構成され、プリンタやディスプレイといった出力手段130を含むこともできる。条件設定手段110は、特徴ある地形領域(以下、「特徴領域」という。)を構成する単位区画(以下、「特徴単位区画」という。)を抽出するための条件(以下、「地形分類条件」という。)を設定するもので、この地形分類条件に基づいて特徴領域抽出手段120が特徴単位区画を抽出する。なお本願発明の地形分類システム100は、プログラムを実行するコンピュータを利用して構成するとよい。以下、条件設定手段110と特徴領域抽出手段120について詳しく説明する。
図2は、地形分類条件を設定するための主な処理(工程)を示すフロー図であり、図3は、条件設定手段110を示すブロック図である。なお、図2の中央の列には実施する処理(工程)を示しており、左列にはその処理(工程)に必要な入力情報を、右列にはその処理(工程)から生まれる出力情報を示している。以下、これらの図を参照しながら条件設定手段110について説明する。
図4は、地形モデルと単位区画を説明するモデル図である。この図に示すように地形モデルTMは、所定領域ARを平面分割した網目状のモデルであり、単位区画BLは平面分割された結果得られる小領域のことである。言い換えれば、地形モデルTMは多数の単位区画BLによって構成される。例えば、図4左側の破線領域は、24個の単位区画BLで構成されていることが分かる。なお、この図にも示すように、それぞれの単位区画BLには識別番号(図ではBL323〜BL824)が付与されることが多い。また地形モデルTMは、平面座標(あるいは緯度経度)が付与されており、通常は単位区画BLの格子点に平面座標等が付与されている。
ここでサンプル領域とは、地形(特に勾配の変化)に特徴がある領域であり、操作者(オペレータ)によって選定される。サンプル領域としては、例えば、緩傾斜地や急傾斜地が代表的に選定され、さらにこれらの特徴に加え規模(面積)に応じて細分化してもよい。なおサンプル領域は、特徴領域を抽出しようとする所定領域ARに対して1種類のみ抽出してもよいし、2種類以上を抽出してもよい。2種類以上のサンプル領域を抽出する場合、それぞれのサンプル領域に設定される注目線(後述する)の数だけ、地形分類条件が設定される。
サンプル領域SAに対して注目線が設定されると、その注目線上にある単位区画BLに対して平均傾斜量Iを求める。通常、注目線上には複数の単位区画BLがあり、これらの単位区画BLに対してそれぞれ平均傾斜量Iを求める。また、設定した注目線全てにかかる単位区画BLに対して平均傾斜量Iを求めるとよい。なお、注目線上の単位区画BLには、その注目線の一部を含む単位区画BLのほか、注目線からの所定距離以内にある単位区画BLを含むこともできる。
周辺傾斜量が得られると、平均傾斜量Iのほかに傾斜標準偏差σも算出する(Step105:図2)。この傾斜標準偏差σは、対象単位区画BLaに対して求められた複数(図6では24個)の周辺傾斜量の標準偏差として計算された値である。
平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σ(以下、これらを総称して「地形量」という。)は、図3に示す地形量算出手段115によって算出される。なお地形量は、設定された全ての注目線上にあるできるだけ多くの(全てでもよい)単位区画BLに対して繰り返し算出される(図2)。
サンプル領域内にある単位区画BLの地形量が得られると、傾斜標準偏差σを縦軸、平均傾斜量Iを横軸(あるいは、平均傾斜量Iを縦軸、傾斜標準偏差σを横軸)とする座標軸平面の上に、個々の単位区画BLの地形量を配置した散布図を作成する(Step106:図2)。いわば、平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σの組み合わせを座標として、2軸座標平面上にプロットしたものが散布図である。なお、この散布図は注目線ごとに作成することができる。図7は、図5に示すサンプル領域SAに対して設定された5つの注目線ごとに作成された散布図であり、(a)は注目線Line1における散布図、(b)は注目線Line2における散布図、(c)は注目線Line3における散布図、(d)は注目線Line4における散布図、(e)は注目線Line5における散布図である。散布図は、図3に示す散布図作成手段116によって作成される。
散布図が得られると、閾値関数が設定される(Step107:図2)。この閾値関数は、平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σを変数とする関数であり、散布図上に散布された点群(つまり、地形量)に基づいて設定される。したがって、平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σからなる座標軸平面の上に、閾値関数を描くと連続した直線又は曲線として表される。なお図7では、閾値関数が全て直線として表されている。この閾値関数は、例えば専門の技術者が散布図上の点群を概ね上下(あるいは左右)に2分するような境界線を定め、この境界線を閾値関数として設定することができる。
図8は、所定領域ARに対して特徴単位区画を抽出するための主な処理(工程)を示すフロー図であり、図9は、特徴領域抽出手段120を示すブロック図である。なお、図8の中央の列には実施する処理(工程)を示しており、左列にはその処理(工程)に必要な入力情報を、右列にはその処理(工程)から生まれる出力情報を示している。以下、これらの図を参照しながら特徴領域抽出手段120について説明する。
まず、地形モデル記憶手段111に記憶された地形モデルTMを、地形モデル読出し手段112によって読み出し(Step201:図8)、地形量(平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σ)を算出するための窓領域を設定する。なお、ここで設定する窓領域は、地形分類条件を設定する際の窓領域(図6の5×5)と同じとすることもできるし、異なる大きさの領域を設定することもできる。
次に、対象領域AR(地形モデルTM)を構成するそれぞれの単位区画BLに対して、順に所定の処理(工程)を繰り返し行う。はじめに、単位区画BLの平均傾斜量Iが、1次傾向面解析による傾斜量として算出される(Step202:図8)。この場合も条件設定手段110と同様、算出対象となる単位区画BLを「対象単位区画BLa」と、対象単位区画BLaの窓領域内にある単位区画BLを「周辺単位区画BLs」ということとする。既述のとおり平均傾斜量Iは、対象単位区画BLaと周辺単位区画BLsに基づいて求められた周辺傾斜量から得られ、また既述のとおりこの周辺傾斜量は、軸距離を用いて算出された成分傾斜量に基づいて求められる。
対象単位区画BLaの地形量が得られると、地形分類条件記憶手段118に記憶された地形分類条件が、図9に示す地形分類条件読出し手段122によって読み出される(Step204:図8)。そして、対象単位区画BLaの地形量と、読み出した地形分類条件(すなわち、閾値関数)を照らし合わせて、その対象単位区画BLaが特徴単位区画に該当するか否か選別する(Step205:図8)。具体的には、対象単位区画BLaの平均傾斜量Iと傾斜標準偏差σの組み合わせが、閾置関数よりあらかじめ定めた一方(上方又は下方)側にあれば、この対象単位区画BLaを特徴単位区画と判定する。この特徴単位区画の選別は、図9に示す特徴地形分類手段123によって行われる。
特徴地形分類手段123によって特徴単位区画が選別されると、複数の特徴単位区画が集合した領域が特徴領域として生成され(Step206:図8)、その特徴領域の境界線が遷緩線又は遷急線として抽出される(Step207:図8)。なお、特徴領域は図9に示す特徴領域生成手段124によって生成され、遷緩線又は遷急線は図9に示す地形変化線設定手段125によって抽出される。
110 (地形分類システムの)条件設定手段
111 (条件設定手段の)地形モデル記憶手段
112 (条件設定手段の)地形モデル読出し手段
113 (条件設定手段の)サンプル領域抽出手段
114 (条件設定手段の)注目線設定手段
115 (条件設定手段の)地形量算出手段
116 (条件設定手段の)散布図作成手段
117 (条件設定手段の)地形分類条件設定手段
118 (条件設定手段の)地形分類条件記憶手段
120 (地形分類システムの)特徴領域抽出手段
121 (特徴領域抽出手段の)地形量算出手段
122 (特徴領域抽出手段の)地形分類条件読出し手段
123 (特徴領域抽出手段の)特徴地形分類手段
124 (特徴領域抽出手段の)特徴領域生成手段
125 (特徴領域抽出手段の)地形変化線設定手段
130 (地形分類システムの)出力手段
AR 所定領域
BL 単位区画
SA サンプル領域
TM 地形データ
Claims (3)
- 地形モデルを用いて地形の種別を分類するシステムであって、
前記地形モデルは、所定領域を平面分割して得られる多数の単位区画と、該単位区画が具備する標高値と、を含んで構成され、
単位区画に対して、平均傾斜量と傾斜標準偏差を求める地形量算出手段と、
オペレータの操作により、前記所定領域のうち地形の特徴に着目してサンプル領域を抽出するサンプル領域抽出手段と、
オペレータの操作により、前記サンプル領域の境界と交差する注目線を設定する注目線設定手段と、
前記注目線上にある単位区画の前記平均傾斜量及び前記傾斜標準偏差を、平均傾斜量軸及び傾斜標準偏差軸からなる2軸平面に配置して散布図を作成する散布図作成手段と、
前記散布図に基づいて、前記平均傾斜量及び前記傾斜標準偏差を変数とする閾値関数を設定する地形分類条件設定手段と、
前記平均傾斜量及び前記傾斜標準偏差の組み合わせが前記閾値関数の上方又は下方となる単位区画を、特徴単位区画として分類する特徴地形分類手段と、
を備え、
前記平均傾斜量は、単位区画と該単位区画の周辺にある複数の単位区画によってそれぞれ算出される周辺傾斜量に基づいて求められ、
前記傾斜標準偏差は、複数の前記周辺傾斜量に基づいて求められる、
ことを特徴とする地形分類システム。 - 前記特徴地形分類手段によって分類された特徴単位区画が、複数集合した領域を特徴領域とし、該特徴領域の境界を遷緩線又は遷急線として設定する地形変化線設定手段を、
さらに備えたことを特徴とする請求項1記載の地形分類システム。 - 請求項1又は請求項2記載の地形分類システムを用いて地形の種別を分類する方法であって、
前記地形量算出手段が、単位区画に対して前記平均傾斜量と前記傾斜標準偏差を求める地形量算出工程と、
オペレータが前記サンプル領域抽出手段を操作することにより、前記サンプル領域を抽出するサンプル領域抽出工程と、
オペレータが前記注目線設定手段を操作することにより、前記注目線を設定する注目線設定工程と、
前記散布図作成手段が、前記散布図を作成する散布図作成工程と、
前記地形分類条件設定手段が、前記閾値関数を設定する地形分類条件設定工程と、
前記特徴地形分類手段が、前記平均傾斜量及び前記傾斜標準偏差の組み合わせが前記閾値関数の上方又は下方となる単位区画を、前記特徴単位区画として分類する特徴地形分類工程と、を備えた、
ことを特徴とする地形分類方法。
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JP2016040509A JP6746851B2 (ja) | 2016-03-02 | 2016-03-02 | 地形分類システム、及び地形分類方法 |
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