JP2017154793A - 包装用容器、並びに包装用容器の製造方法及び使用方法 - Google Patents

包装用容器、並びに包装用容器の製造方法及び使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所定の金属成分を含む印刷層且つ基材とは異なる異素材層を有する所望のラミネートフィルムが、基材又は各層に対して適した接着強度を有する包装用容器、並びに包装用容器の製造方法及び使用方法を提供すること。
【解決手段】包装用容器は、ポリスチレン発泡体からなり、底部と、この底部の外周から起立した側部と、この側部の上端から外方に向けて延出したフランジ部とを有する基材1と、この基材上に積層される積層フィルム2とを備え、この積層フィルムは、少なくともポリプロピレン系樹脂層21と、印刷層22と、ポリスチレン系樹脂層23とを有し、ドライラミネート法で積層され、この印刷層は、このポリプロピレン系樹脂層とポリスチレン系樹脂層との間に介在し、この印刷層には、粉体が含まれ、この印刷層の粉体含有量が、5mg/m以上であってもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばスーパーやコンビニエンスストアで販売される食品の包装用容器、包装用容器の製造方法及び使用方法に関し、さらに詳しくは、印刷層を有する積層フィルムを熱ラミネート法でシートに積層した包装用容器、並びに包装用容器の製造方法及び使用方法に関するものである。
従来から、例えばスーパーやコンビニエンスストアで販売される食品には、ポリスチレンペーパー(以下、「PSPシート」ともいう。)を所望の形状に成型してなる包装用容器(PSP容器)が広く使われていた。このような包装用容器の仕様で注視されていたのは、表面上の柄を含む意匠性、食品と接する部分の耐油性及びトレー回収に関する易リサイクル性だった。こうした特性は、PSPシートにラミネートフィルム(以下、「積層フィルム」ともいう。)を熱ラミネートすることにより付与することができる。
特に意匠性に関しては、配色した印刷層をラミネートフィルムに含めることにより、包装用容器内の食品に対する見た目の印象も良くし、需要者の購買意欲の向上効果が期待できる。しかしながら、これらの包装用容器は、成型された蓋材やラップ包装にて密閉する設計のため、ラミネート用フィルムと基材との接着(剥離)強度は重要視されていなかった。
一方、熱ラミネート法に対し、所定の色成分(実施例では、白や黄色)を含有する印刷層がもたらす熱接着の阻害を防止するために、基材(シート)に接着するための接着樹脂層と印刷層との間にアンカーリング層を設ける発想が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。アンカーリング層には、接着樹脂層や印刷層との接着力に優れた素材(例えば、ポリウレタン系樹脂)が採用されており、これにより印刷層を有するシートの印刷部分と無地部分との接着強度に問題はないとの結果が出ている。
特開2002−192659号公報
しかしながら、上述した発想では、配色のバリエーションとして、所定の金属(例えば、アルミニウム)成分を含む印刷層且つ基材(例えば、PSPシート)とは異なる異素材層(例えば、ポリプロピレン(PP))を有する積層フィルムをPSPシートに熱ラミネートすると、印刷層内に接着に関与しない粉体があることにより、PSPシートに対して接着樹脂層が十分な接着力を発揮できない。特に金属粉の場合は、熱が印刷層に対し水平方向に伝わってしまい印刷層に対し垂直方向に伝わる熱が不足し、接着強度の低下を招く恐れがある。
一方、近年の傾向として、成型された蓋材においては、製造コストが嵩むばかりでなく、密閉性に乏しいため、包装容器内の食品の保存期間の長期化には不向きと考えられている。さらに、ラップ包装においては、容器全体を覆って密閉性を確保するため、ラップ代が割高となる。そこで、従来の蓋材の問題の改善策として、例えば、容器本体の開口を塞ぐ薄状のトップシールの活用が注目されている。
しかしながら、商材の流通途中の振動や不測時の落下を想定すると、トップシールが容易に剥がれない強度で接着する必要がある。一方、トップシールの剥離強度を高め過ぎると、基材に接着しているラミネートフィルムごと剥がれてしまい、食品などの内容物がトップシール及びラミネートフィルムに包まれたままの状態(袋状)で剥がれてしまう現象(袋化現象)を誘発する恐れがある。すなわち、開封時にトップシールが蓋材とラミネートフィルムとの間から剥がれず、ラミネートフィルムと基材との間から剥がれてしまう。
このため、所定の金属成分を含む印刷層且つ基材とは異なる異素材層を有する積層フィルムを基材に熱ラミネートして成型した包装用容器に対し、蓋材としてトップシールを採用するには、積層フィルムの層構成や層の厚み等を検討する価値があることに発明者等は気づいた。
さらに、従来の包装用容器は、容器内に入り込む酸素等のガス透過を防止する構成になっていない。すなわち、ポリスチレン発泡体の基材の外側のみならず、成型された蓋材やラップ包装の外側からガスが容器内に透過してしまう。このため、容器内に存在する酸素ガスによる酸化により、食品の保存期間(賞味期限)が短くなってしまう。また、食品の保存期間(賞味期限)を延ばすために、容器内の空気の酸素を除くガス(例えば、窒素ガス、二酸化炭素ガス又はこれらの混合ガス等)に置換する試みがされているが、こうしたガスも容器の外へ透過してしまい十分な保存期間(賞味期限)とはならない。
近年の外販用食品について、廃棄量の削減、販売価格の値引きによる変動利益損の削減が課題となっているため、賞味期限の延長(保存期間の長期化)や包装に伴うコストの削減が必要とされている。この点に鑑みると、容器本体のみならず、蓋材の見直しも重要となる。
ここで、容器本体においては、ポリスチレン発泡体からなる基材に酸素等のガス透過を抑制するガスバリア層を有するラミネートフィルムを貼り付ける方法が有効となる。しかしながら、バリア層の追加によりラミネートフィルム全体の厚みが増すばかりでなく、基材に対するラミネートフィルムの剥離強度が低下する恐れがある。
また、成型された蓋材においては、製造コストが嵩むばかりでなく、密閉性に乏しいため、保存期間の長期化には不向きである。さらに、ラップ包装においては、容器全体を覆って密閉性を確保するため、ラップ代が割高となる。そこで、従来の蓋材の問題を解消するためには、容器本体の開口を塞ぐ薄状のトップシールの活用が好ましい。
そこで、本発明の第一の目的は、所定の金属成分を含む印刷層且つ基材とは異なる異素材層を有する所望のラミネートフィルムが、基材又は各層に対して適した接着強度を有する包装用容器、並びに包装用容器の製造方法及び使用方法を提供することにある。また、本発明の第二の目的は、ガスバリア層を有する積層フィルムの厚みが嵩まず、トップシール用蓋材の開封に支障がない接着強度を有する包装用容器、並びに包装用容器の製造方法及び使用方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明による包装用容器は、ポリスチレン発泡体からなり、底部と、上記底部の外周から起立した側部と、上記側部の上端から外方に向けて延出したフランジ部とを有する基材と、上記基材上に積層される積層フィルムとを備え、上記積層フィルムは、少なくともポリプロピレン系樹脂層と、印刷層と、ポリスチレン系樹脂層とを有し、ドライラミネート法で積層され、上記印刷層は、上記ポリプロピレン系樹脂層と上記ポリスチレン系樹脂層との間に介在し、上記印刷層には、粉体が含まれていることを特徴とする。
また、上記積層フィルムの厚みが40μm以上100μm未満であることが望ましい。
また、上記積層フィルムは、上記基材に遠い方から、上記ポリプロピレン系樹脂層と、上記印刷層と、ドライラミ接着層と、上記ポリスチレン系樹脂層とが、この順序で積層されていることが望ましい。
また、上記積層フィルムは、上記基材に遠い方から、上記ポリプロピレン系樹脂層と、ドライラミ接着層と、上記印刷層と、上記ポリスチレン系樹脂層とが、この順序で積層されていることが望ましい。
また、上記積層フィルムには、少なくとも1層以上のガスバリア層が含まれることが望ましい。
また、上記積層フィルムの最内層が、上記ポリプロピレン系樹脂若しくは上記ポリエチレン系樹脂、又は上記ポリプロピレン系樹脂及び上記ポリエチレン系樹脂の混合物であることが望ましい。
また、上記基材と上記積層フィルムを熱ラミネート法により接着した後、JISK6854に定められた規格にて剥離した際の剥離強度が1.5N/15mm以上であることが望ましい。
また、上記フランジ部の厚みは、上記底部又は上記側部の厚みより薄いことが望ましい。
また、上述した包装用容器の製造方法としては、上記基材及び上記積層フィルムの成型前の原反シートを加熱して2次発泡後シートを得る工程と、上記2次発泡後シートを両面真空成型により所望の成型シートを得る工程とを備え、上記両面真空成型の型内部が以下の条件を満たすことが望ましい。
上記フランジ部の型内クリアランス−2次発泡後シートの厚み=0
また、上述した包装用容器の別の製造方法としては、上記基材及び上記積層フィルムの成型前の原反シートを加熱して2次発泡後シートを得る工程と、上記2次発泡後シートを上記基材側から真空引きする片面真空成型により所望の成型シートを得る工程とを備え、上記片面真空成型の型内部が以下の条件を満たすことが望ましい。
上記フランジ部の型内クリアランス−2次発泡後シートの厚み>0
また、上述した包装用容器の使用方法としては、上記基材に食品を詰める工程と、上記食品の入った基材の上記フランジ部に蓋材を装着する工程と、上記フランジ部と上記蓋材とを接着して上記基材を密封する工程とを備えることが望ましい。
「積層フィルム」は、ドライラミネート法で積層したフィルム若しくは共押出法で積層したフィルム又はドライラミネート法で積層したフィルムと共押出法で積層したフィルムとをドライラミネート法で積層したフィルムでもよい。
なお、「積層フィルム」は、単に「ラミネートフィルム」としてもよい。
「ポリプロピレン系樹脂層」とは、基材に遠い方(最も内側)に位置し、例えば、ポリプロピレン(PP)、無延伸ポリプロピレン(CPP,Cast Polypropylene)又は二軸延伸ポリプロピレン(OPP,Oriented Polypropylene)で構成されているものでもよい。
「ポリスチレン系樹脂層」とは、基材に近い方(最も外側)に位置し、基材との接着性を有し、例えば、ポリスチレン(PS)、無延伸ポリスチレン(CPS,Cast PolyStyrene)又は二軸延伸ポリスチレン(OPS,Oriented Polystyrene)で構成されているものでもよい。
「印刷層」とは、粉体が含まれる層を指し、例えば、金属インキが印刷されて形成された金属粉を有する金属光沢層でもよい。上記金属粉としては、例えば、アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、青銅粉、亜鉛粉、これらの粉末の混合物、その他の金属や合金の粉末又は金属蒸着細片等の金属光沢成分として従来公知の様々な形態を有する金属粉でもよい。また、例えば、黄色や赤色等の着色剤と混合されて色調が調整された金属粉でもよい。さらに、無機粒子の表面に金属の膜が形成されたものであってもよい。さらに、無機粉体(例えば、ガラスフレーク、マイカ、セリサイト、タルク又はこれら2種類以上の混合物)でも良い。また、粉体含有量は、光沢を十分に発現させるために5mg/m以上が適しているが、印刷層が厚くなりすぎると、成型性の低下を招くため、5〜500mg/mが好ましく、より好ましくは10〜200mg/m、さらにより好ましくは20〜100mg/mが好ましい。
「ドライラミネート法」とは、一般的には、所定のフィルムの表面に所定の接着剤を塗布し、乾燥させた後、他のフィルムと圧着して貼り合わせる方法のことを示してもよい。
なお、「ドライラミネート法」で積層したフィルムを、単に「熱ラミネートフィルム」ともいう。
「ポリプロピレン系樹脂層とポリスチレン系樹脂層との間」には、ドライラミネート法で塗布したドライラミ接着層が介在していてもよく、「印刷層」は、ドライラミ接着層よりポリプロピレン系樹脂層側若しくはポリスチレン系樹脂層側の少なくともいずれか一方に介在していればよい。
「基材に遠い方」のうち、基材に最も遠い方は、包装用容器に収納した食品が触れる面を意味し、階層としては最内層と定義してもよい。一方、基材に最も近い方は、基材に接する面を意味し、階層としては最外層と定義してもよい。
「少なくとも1層以上のガスバリア層」とは、ガスバリア層が1層若しくは2層以上、又はガスバリア層及び他層が2層以上を意味してよい。
「ガスバリア層」とは、例えば、空気中の酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気といった食品の品質に影響をあたえる気体を、基材外側から透過するのを抑制するものを示してもよい。
積層フィルムとは、2つ以上の樹脂(例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等の熱可塑性樹脂層、ガスバリア層、接着層)をスリットから共に押し出して製造された積層フィルムを示してもよい。「接着層」に用いる樹脂として例えば、オレフィン系接着性樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エーテル系樹脂でもよい。
「原反シート」及び「2次発泡後シート」とは、上記積層フィルムが接着してある上記基材の成型前の状態を意味し、「成型シート」とは、上記2次発泡後シートの成型後の状態(上記基材)を意味してもよい。「型内クリアランス」とは、上記基材を成型する雄側の型と雌側の型とがかみあった状態時にできる空間を意味してもよい。
本発明によれば、基材に積層される積層フィルムは、ポリプロピレン系樹脂層と、印刷層と、ポリスチレン系樹脂層とがドライラミネート法で積層され、上記印刷層には粉体が含まれ、上記印刷層が上記ポリプロピレン系樹脂層と上記ポリスチレン系樹脂層との間に介在していることにより、上記印刷層に含まれる粉体の影響を受け易い接着剤層(例えば、コート剤)に代わり、上記ポリスチレン系樹脂層が上記基材に十分な接着強度で接着するため、トップシール用蓋材の開封時に上記積層フィルムが剥がれず袋化現象の発生を防ぐことができると共に、所望の色や模様からなる積層フィルムを形成することができる。
さらに、上記積層フィルムと所望のガス透過性を有する薄膜状のガスバリア層を共押出法にて積層したフィルムとをドライラミネート法で積層した積層フィルムであっても、全体として薄化が実現するため、1.5N/15mm以上の剥離強度を確保することができ、袋化現象のみならず積層間同士の剥離も発生しにくくすることができる。したがって、厚みが嵩まず、トップシール用蓋材の開封に支障が生じにくいラミネートフィルムの剥離強度を有する包装用容器を提供することができる。
さらに、上記包装用容器の使用方法として、トップシール用蓋材を上記フランジ部に接着して上記基材内を密閉することにより、短時間で簡単に食品を包装できる上、ラップ包装や成型された蓋の使用時よりも密閉性が高いため、食品の保存期間の長期化が実現する。
包装用容器の正面図である。 包装用容器の一部拡大断面図である。 包装用容器の一部拡大断面図である。 包装用容器の成型方法を説明する図である。 別の包装用容器の正面図である。 別の包装用容器の一部拡大断面図である。 別の包装用容器の成型方法を説明する図である。 実施例1a及び実施例2aの試験結果の説明を補足する図である。 実施例3a及び実施例4aの試験結果の説明を補足する図である。 実施例5a及び実施例6aの試験結果の説明を補足する図である。 実施例7a及び実施例8aの試験結果の説明を補足する図である。 包装用容器の剛性を評価する方法の概念図である。
以下、図1〜図3を参照しつつ、本発明の一実施形態における包装用容器の構造の概要を説明する。なお、図2及び図3は、図1のX−X部分における拡大端面図である。
図1に示すとおり、本発明の一実施形態における包装用容器は、ポリスチレン発泡体からなり、底部11と、この底部の外周から起立した側部12と、この側部の上端から外方に向けて延出したフランジ部13とを有する基材1と、この基材上に積層される積層フィルム2とを備え、この積層フィルムは、少なくともポリプロピレン系樹脂層21と、印刷層22と、ポリスチレン系樹脂層23とを有し、ドライラミネート法で積層され、この印刷層は、このポリプロピレン系樹脂層とポリスチレン系樹脂層との間に介在し、この印刷層には、粉体が含まれ、この印刷層の粉体含有量が、5mg/m以上であってもよい。
また、積層フィルム2の厚みが40μm以上100μm未満であってもよい。40μm未満では薄すぎ、100μm以上では厚すぎて積層フィルム2が剥離し易い。また、物流時の激しい振動や不測時の落下を想定すると、50μm以上70μm未満だとよりよい。
また、図2(a)に示すとおり、積層フィルム2は、基材1に遠い方(蓋材3側)から、ポリプロピレン系樹脂層21と、印刷層22と、ドライラミ接着層24と、ポリスチレン系樹脂層23とが、この順序で積層されてもよい。
また、図2(b)に示すとおり、積層フィルム2は、基材1に遠い方(蓋材3側)から、ポリプロピレン系樹脂層21と、ドライラミ接着層24と、印刷層22と、ポリスチレン系樹脂層23とが、この順序で積層されてもよい。
また、図3(a)に示すとおり、積層フィルム2には、少なくとも1層以上のガスバリア層25が含まれてもよい。
また、図2および図3に示すとおり、積層フィルム2の最内層が、ポリプロピレン系樹脂若しくはポリエチレン系樹脂、又はこのポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂の混合物であってもよい。
また、基材1と積層フィルム2を熱ラミネート法により接着した後、JISK6854に定められた規格にて剥離した際の剥離強度が1.5N/15mm以上であってもよく、又は2.0N/15mm以上でもよく、物流時の激しい振動や不測時の落下を想定すると上4.0N/15mm以上でもよい。
また、フランジ部13の厚みは、底部11又は側部12の厚みより薄くてもよい。これにより、フランジ部13と積層フィルム2間の剥離強度を保ちつつ、容器全体の機械的強度を高めることができる。
ここで、図1〜図4を参照しつつ、本発明の一実施形態における包装用容器の詳細について説明する。
図1に示す基材1には、ポリフェニレンエーテル(PPE)やメタクリル酸といった樹脂が含有されていてもよく、その含有量は30質量%未満であればよく、ポリスチレンが70質量%以上含有されていればよい。また、ポリスチレン発泡体(PSP)には、ポリスチレンが75質量%以上含有されることが好ましく、85質量%以上含有されることがさらによい。
基材1のうち、フランジ部13の表面は平坦で、側部12の上端と滑らかに連設していてもよい。積層フィルム2は、基材1の底部11及び側部12の内側並びにフランジ部13の外側(表面)に所定の接着剤を介して貼り付いていてもよい。
なお、基材1は、ポリスチレン発泡体のシート材(2次発泡後シート)を型で所定の形状に賦形したもので、その形状やサイズを問わない。底部11及び側部12は、例えば矩形状、円形状又は楕円形状でもよく、平坦状、凹凸形状又は湾曲した面でもよい。底部11上には、例えば仕切り、段差又は小山があってもよい。蓋材3は、フランジ部13の内側の端縁で形成された開口を密封できるものであればいずれでもよい。
図2に示す積層フィルム2は、溶剤で溶解した接着剤(後のドライラミ接着層24)をポリプロピレン系樹脂層21又はポリスチレン系樹脂層23に塗布(コート)して乾燥炉で乾燥後、ポリスチレン系樹脂層23又はポリプロピレン系樹脂層21並びに印刷層22と加熱ロールで加圧して貼り合わせるドライラミネート法を採用してもよい。
なお、積層する樹脂や素材の厚みに限定はない。
ポリプロピレン系樹脂層21(又は25a)は、トップシール用の蓋材3と熱圧着可能で、必要に応じて易開封性(イージーピール性)を有するもので、例えばポリプロピレン(PP、CPP、OPP)やポリエチレン(PE)が該当するが、これらを単独で使用する場合に限らず、複数の種類を併用する場合も含み、ポリプロピレン:ポリエチレンが90:10〜10:90であればよく、80:20〜20:80であってもよく、70:30〜30:70であってもよい。
なお、ポリスチレン(PS)は含まないほうが好ましく、その含有量は例えば1質量%以下であればよい。
印刷層22は、金色や銀色等の発光性を有する粉体を含有し、ポリプロピレン系樹脂層21、ポリスチレン系樹脂層23又はドライラミ接着層24との接着性を有するものが好ましい。印刷層22の粉体含有量は、光沢度合いを考慮して、5mg/m以上であってもよい。印刷層22の総面積中粉体を含有するインキが印刷されている面積の割合は、30〜100%が程よく、40〜90%が好ましく、50〜80%がより好ましく、この面積の割合は少なくともフランジ部に該当してもよい。さらに、印刷層22に含有される粉体の平均粒子径は、小さすぎると基材の色彩の影響を受け、大きすぎると明度が不適当なため、2〜50μmが程よく、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
ポリスチレン系樹脂層23は、ポリスチレン発泡体からなる基材1と同素材であるポリスチレン(PS、CPS、OPS)が該当するが、他の素材との混合物でもよい。
ドライラミ接着層24は、ポリプロピレン系樹脂層21、印刷層22及びポリスチレン系樹脂層23をそれぞれ接着させることができれば特に制限はないが、例えばオレフィン系接着性樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エーテル系樹脂であればよい。
ガスバリア層25は、図3(b)に示すとおり、ポリプロピレン系樹脂層23に対して外側(蓋材3側)から、ポリプロピレン系樹脂層25aと、接着性樹脂層25bと、ガスバリア層25cと、接着性樹脂層25dとが、この順序で積層されてもよい。
また、ガスバリア層25としては、例えば、酸素ガス、水蒸気ガス、二酸化炭素ガスといった気体の透過性が低ければ特に制限はないが、具体的には、JIS K 7126による酸素透過度が25μm厚みで1000ml/m・24hr・MPa(20℃で75%RH)以下の樹脂で、かつ共押出可能な樹脂であればよく、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド(PA)でもよい。
以下、図1〜図4を参照しつつ、本発明の一実施形態における包装用容器の製造方法について説明する。
本発明の一実施形態における包装用容器の製造方法は、基材1及び積層フィルム2の成型前の原反シートを加熱して2次発泡後シートを得る工程と、この2次発泡後シートを両面真空成型により所望の成型シートを得る工程とを備え、両面真空成型の型内部が以下の条件を満たすことが望ましい。
フランジ部の型内クリアランス−2次発泡後シートの厚み=0
さらに、この製造方法において、両面真空成型の型内部が下の条件を満たすのが望ましい。
側部・底部の型内クリアランス−2次発泡後シートの厚み>0
この構成によれば、フランジ部13の厚みは、底部11又は側部12の厚みより薄くすることができ、その結果、このフランジ部と共押出積層フィルム間の剥離強度を保ちつつ、容器全体の機械的強度を高めることができる。
また、上述した包装用容器の別の製造方法としては、基材1及び積層フィルム2の成型前の原反シートを加熱して2次発泡後シートを得る工程と、この2次発泡後シートを基材1側から真空引きする片面真空成型により所望の成型シートを得る工程とを備え、片面真空成型の型内部が以下の条件を満たすことが望ましい。
フランジ部の型内クリアランス−2次発泡後シートの厚み>0
ここで、容器本体Pは、基材1及びラミネートフィルム2の成型前に該当する原反シートを加熱して得た2次発泡後シートを、例えば図4(a)に示す型に挿入して真空成型することで得られる。型とは、基材1を構成する底部11、側部12及びフランジ部13に該当する空間(以下「型内クリアランス」という。)で、この型内クリアランスはそれぞれ所定の寸法を有する。
そして、図4(b)に示すように、型内クリアランスが、例えば底部3.0mm、側部3.0mm、フランジ部4.0mm、2次発泡後シート厚みが3.0mmの場合、以下の型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差の関係式が成立する。
フランジ部>0 側部・底部=0
すなわち、フランジ部の型内クリアランスが4.0mmに対し、2次発泡後シート厚みが3.0mmのため、成型前のフランジ部の型内クリアランスには1.0mmの樹脂が存在しない空間、すなわち余剰空間が生じる(フランジ部>0)。一方、側部・底部が3.0mmに対し、2次発泡後シート厚みが3.0mmのため、成型前の側部・底部の型内クリアランスには余剰空間が生じない(側部・底部=0)すなわち、型内クリアランスは樹脂で満たされている。
さらに、図4(c)に示すように、型に挿入した2次発泡後シートの真空成型に応じて、成型後の容器本体の寸法が異なる。すなわち、片面真空成型の場合、2次発泡後シートの下側(図1の基材1側)から真空状態で引き付けて素材を成型する。このため、成型シートの寸法に変化は生じない。一方、両面真空成型の場合、2次発泡後シートの上下両側から真空状態で引き付けて成型する。このため、成型シートのうち、フランジ部に該当する部分が上方向に発泡し、フランジ部の型内クリアランス4.0mmと同等の厚みとなる。
以下、図1を参照しつつ、本発明の一実施形態における包装用容器の使用方法について説明する。
また、本発明の一実施形態における包装用容器の使用方法は、基材1に食品を詰める工程と、この食品の入った基材のフランジ部13に蓋材3を装着する工程と、このフランジ部とこの蓋材とを接着してこの基材を密封する工程とを備えていてもよい。
トップシール用の蓋材3の層構成としては、例えば、非食品接触側から、ポリアミド(PA)、接着剤樹脂層、ガスバリア層、接着剤樹脂層、シーラント層(熱可塑性樹脂)でもよい。シーラント層は、必要に応じて易開封性を有するものを使用してもよい。接着剤樹脂層は、オレフィン系接着性樹脂でもよい。ガスバリア層は、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリアミド(PA)でもよい。
実施例その1
ここで、実施例及び比較例共通の積層フィルムの接着強度(剥離)試験の概要(試験規格、試験機、試験片、試験状況)について、参照等の便宜上、各図を用いて説明する。
≪試験規格≫
JIS K 6854−2に規定する剥離強度試験
≪試験機≫
富士インパルス社製シール剥離試験機
≪試験機設定≫
チャック間距離:25mm
剥離速度:200mm/min
≪試験片≫
図1に示す容器本体Pのうち、積層フィルム2が貼り付いた基材1のフランジ部13の一部(15mm幅)から側部12の一部にかけてカットする。このうち、カットしたフランジ部13の一部とは逆側のポリスチレン発泡体部分の幅方向に裏から亀裂を入れ、このフランジ部の一部側に向かって積層フィルム2を一部剥がすと共に、このフランジ部の一部とは逆側のポリスチレン発泡体部分をこの積層フィルムから剥がす。このようにして得られたものを試験片とする。
なお、フランジ部13が矩形状の場合、包装用容器の使用により基材1に貼り付けた積層フィルムが剥離しやすい四つ角の一部からカットする。試験片の原形である基材は、上述した方法で成型されたものである。
≪試験状況≫
試験機の一方のチャックに、試験片のフランジ部13の一部とは逆側のポリスチレン発泡体部分を、他方のチャックに、剥がした積層フィルム2をそれぞれ挟み込む。
その後、試験機の動作を開始すると、チャック間が自動的に拡がるにつれて積層フィルム2が引っ張られ、この積層フィルムがフランジ部13の一部のポリスチレン発泡体から剥離すると試験終了となる。
このように、基材から採取した試験片を用いて、積層フィルムの剥離強度試験(及び酸素バリア性評価)を行った。
まず、実施例1〜7の試験条件を以下に列挙する。
≪実施例1≫
基材 :ポリスチレンペーパー(PSPシート)
積層フィルムの製造方法:ドライラミネート法
積層フィルムの層構成 :(基材に向かって)ポリプロピレン(CPP)、印刷インキ(ink)、ドライラミ接着剤(ドライAdh、Adh:Adhesive)、ポリスチレン(CPS)
積層フィルムの厚み合計:45μm
≪実施例2≫
基材 :ポリスチレンペーパー(PSPシート)
積層フィルムの製造方法:ドライラミネート法
積層フィルムの層構成 :(基材に向かって)ポリプロピレン(CPP)、ドライラミ接着剤(ドライAdh)、印刷インキ(ink)、ポリスチレン(CPS)
積層フィルムの厚み合計:45μm
≪実施例3≫
基材 :ポリスチレンペーパー(PSPシート)
積層フィルムの製造方法:ドライラミネート法(共押出法で積層したフィルム含む)
積層フィルムの層構成 :(基材に向かって)ポリプロピレン(PP)、オレフィン系接着性樹脂(Adh)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、オレフィン系接着性樹脂(Adh)及びポリプロピレン(PP)(以上、共押出法部分)、ドライラミ接着剤(ドライAdh)、印刷インキ(ink)、ポリスチレン(CPS)
厚み合計:60μm
≪実施例4≫
基材 :ポリスチレンペーパー(PSPシート)
積層フィルムの製造方法:ドライラミネート法(共押出法で積層したフィルム含む)
積層フィルムの層構成 :(基材に向かって)ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の混合物、オレフィン系接着性樹脂(Adh)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、オレフィン系接着性樹脂(Adh)及びポリプロピレン(PP)(以上、共押出法部分)、ドライラミ接着剤(ドライAdh)、印刷インキ(ink)、ポリスチレン(CPS)
積層フィルムの厚み合計:60μm
≪実施例5≫
基材 :耐熱用ポリスチレンペーパー(耐熱PSPシート)
積層フィルムの製造方法:ドライラミネート法(共押出法で積層したフィルム含む)
積層フィルムの層構成 :(基材に向かって)ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の混合物、オレフィン系接着性樹脂(Adh)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、オレフィン系接着性樹脂(Adh)及びポリプロピレン(PP)(以上、共押出法部分)、ドライラミ接着剤(ドライAdh)、印刷インキ(ink)、ポリスチレン(CPS)
積層フィルムの厚み合計:60μm
≪実施例6≫
基材 :ポリスチレンペーパー(PSPシート)
積層フィルムの製造方法:ドライラミネート法(共押出法で積層したフィルム含む)
積層フィルムの層構成 :(基材に向かって)ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の混合物、オレフィン系接着性樹脂(Adh)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、オレフィン系接着性樹脂(Adh)及びポリプロピレン(PP)(以上、共押出法部分)、ドライラミ接着剤(ドライAdh)、印刷インキ(ink)、ポリスチレン(CPS)
積層フィルムの厚み合計:40μm
≪実施例7≫
基材 :耐熱用ポリスチレンペーパー(耐熱PSPシート)
積層フィルムの製造方法:ドライラミネート法(共押出法で積層したフィルム含む)
積層フィルムの層構成 :(基材に向かって)ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の混合物、オレフィン系接着性樹脂(Adh)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、オレフィン系接着性樹脂(Adh)及びポリプロピレン(PP)(以上、共押出法部分)、ドライラミ接着剤(ドライAdh)、印刷インキ(ink)、ポリスチレン(CPS)
積層フィルムの厚み合計:80μm
≪実施例1及び実施例2の試験条件の補足≫
実施例1と実施例2との差異点は、印刷インキ(ink)の積層位置である。すなわち、実施例1では、印刷インキ(ink)がポリプロピレン(CPP)側に位置し、この場合、ドライラミ接着剤(ドライAdh)はポリスチレン(CPS)側に塗布される。一方、実施例2では、印刷インキ(ink)がポリスチレン(CPS)側に位置し、この場合、ドライラミ接着剤(ドライAdh)はポリプロピレン(CPP)側に塗布される。
≪実施例3、実施例4及び実施例5の試験条件の補足≫
実施例3と実施例4及び実施例5との差異点は、最内層の素材である。すなわち、実施例3では、最内層にポリプロピレン(PP)が採用されている。一方、実施例4及び実施例5では、最内層にポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の混合物が採用されている。実施例5と実施例3及び実施例4との差異点は、基材である。すなわち、実施例5では、耐熱用のPSPシートが採用されている。一方、実施例3及び実施例4では、耐熱用ではないPSPシートが採用されている。
≪実施例6、実施例4及び実施例7の試験条件の補足≫
実施例6と実施例4と実施例7との差異点は、共押出法で積層したフィルムの厚みの違いに伴った積層フィルムの厚み合計である。すなわち、実施例6、実施例4及び実施例7の共押出法で積層したフィルムの厚みは、それぞれ20μm、40μm及び60μmであり、これに伴った積層フィルムの厚み合計は、それぞれ40μm、60μm及び80μmである。実施例7と実施例6及び実施例4との差異点は、基材である。すなわち、実施例7では、耐熱用のPSPシートが採用されている。一方、実施例6及び実施例4では、耐熱用ではないPSPシートが採用されている。
一方、比較例1〜4の試験条件を以下に列挙する。
≪比較例1≫
基材 :ポリスチレンペーパー(PSPシート)
積層フィルムの製造方法:共押出法
積層フィルムの層構成 :(基材に向かって)ポリプロピレン(CPP)、印刷インキ(ink)、コート剤
積層フィルムの厚み合計:25μm
≪比較例2≫
基材 :ポリスチレンペーパー(PSPシート)
積層フィルムの製造方法:共押出法
積層フィルムの層構成 :(基材に向かって)ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の混合物、オレフィン系接着性樹脂(Adh)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、オレフィン系接着性樹脂(Adh)及びポリプロピレン(PP)(以上、共押出法部分)、ドライラミ接着剤(ドライAdh)、印刷インキ(ink)、コート剤)
積層フィルムの厚み合計:40μm
≪比較例3≫
基材 :ポリスチレンペーパー(PSPシート)
積層フィルムの製造方法:ドライラミネート法(共押出法で積層したフィルム含む)
積層フィルムの層構成 :(基材に向かって)ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の混合物、オレフィン系接着性樹脂(Adh)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、オレフィン系接着性樹脂(Adh)及びポリプロピレン(PP)(以上、共押出法部分)、ドライラミ接着剤(ドライAdh)、印刷インキ(ink)、ポリスチレン(CPS))
積層フィルムの厚み合計:35μm
≪比較例4≫
基材 :ポリスチレンペーパー(PSPシート)
積層フィルムの製造方法:ドライラミネート法(共押出法で積層したフィルム含む)
積層フィルムの層構成 :(基材に向かって)ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)の混合物、オレフィン系接着性樹脂(Adh)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、オレフィン系接着性樹脂(Adh)及びポリプロピレン(PP)(以上、共押出法部分)、ドライラミ接着剤(ドライAdh)、印刷インキ(ink)、ポリスチレン(CPS))
積層フィルムの厚み合計:100μm
≪比較例1及び比較例2の試験条件の補足≫
比較例1と比較例2との差異点は、共押出法で積層したフィルムの有無及び積層フィルムの厚み合計である。すなわち、比較例1では、共押出法で積層したフィルムを含まず、積層フィルムの厚み合計が25μmである。一方、比較例2では、共押出法で積層したフィルムを含み、積層フィルムの厚み合計が40μmである。
≪比較例3及び比較例4の試験条件の補足≫
比較例3と比較例4との差異点は、共押出法で積層したフィルムの厚みの違いに伴った積層フィルムの厚み合計である。すなわち、比較例3及び比較例4の共押出法で積層したフィルムの厚みは、それぞれ15μm及び80μmであり、これに伴った積層フィルムの厚み合計は、それぞれ35μm及び100μmである。
≪試験結果≫
上述した接着強度試験の概要及び試験条件に基づいて行った実施例1〜7及び比較例1〜4の試験結果について説明する。
なお、「接着強度」とは、この試験により剥がれた箇所の強度を意味してもよく、「剥がれた箇所」とは、例えば、実施例1〜実施例7ではドライラミ接着剤(ドライAdh)と印刷インキ(ink)との間、比較例1及び比較例2では印刷インキ(ink)とコート剤との間、比較例3及び比較例4ではポリスチレンペーパー(PSPシート)と積層フィルムの最外層(ポリスチレン(CPS))との間としてもよい。また、接着強度の単位は、N/15mm(1kgf/15mm巾=9.8N/15mm)を用いる。また、実施例1〜7及び比較例1〜4の印刷インキには、粉体が5mg/m以上含まれている。
まず、実施例1〜5及び比較例1〜2の試験結果を表1に示す。
実施例1及び実施例2では、接着強度が4.0N/15mmであった。すなわち、接着強度は、印刷インキ(ink)の積層位置の影響を受けないため、印刷層を含むドライラミネート法により所望の積層フィルムをポリスチレンペーパー(PSPシート)に設けることができることを示している。
実施例3〜実施例5では、接着強度が4.0N/15mmであった。すなわち、接着強度は、共押出法により積層したフィルム及び耐熱用のポリスチレンペーパー(PSPシート)の影響を受けないため、印刷層を含むドライラミネート法により所望の積層フィルムをポリスチレンペーパー(PSPシート)に設けることができることを示している。
一方、比較例1及び比較例2では、接着強度が1.0N/15mm未満であった。これにより、接着強度は、フィルムの厚み、積層の有無に関わらず、コート剤の影響を主に受けるため、印刷層を含む場合、ポリスチレンペーパー(PSPシート)と所定以上の接着強度を設けるのは困難となることを示している。
次に、実施例6、実施例4、実施例7及び比較例3、比較例4の試験結果を表2に示す。
実施例6、実施例4及び実施例7では、酸素バリア性が良好且つ接着強度が4.0N/15mmであった。すなわち、接着強度は、共押出法により積層したフィルムの有無、このフィルムの厚み及び耐熱用のポリスチレンペーパー(PSPシート)の影響を受けないため、印刷層を含むドライラミネート法により所望の積層フィルムをポリスチレンペーパー(PSPシート)に設けることができることを示している。
一方、比較例3では、酸素バリア性が悪いものの、接着強度が4.0N/15mmであった。また、比較例4では、酸素バリア性が良好なものの、接着強度が1.0N/15mm未満であった。すなわち、共押出法により積層したフィルムが薄いと酸素の透過の影響を受け、厚いと接着強度の影響を受け、印刷層を含む場合、ポリスチレンペーパー(PSPシート)と所定の接着強度を設けるのは困難となることを示している。
詳細には、共押出法により積層したフィルムが厚すぎると、積層フィルムをPSPシートに熱ラミネートする時に熱量が不足する。すなわち、積層フィルムとPSPシートとを加熱したロールで圧着して接着強度を発現させるが、積層フィルムが所定以上の厚さになると熱伝導が不足する。
このように、本実施形態によれば、基材に積層される積層フィルム2は、ポリプロピレン系樹脂層21と、印刷層22と、ポリスチレン系樹脂層23とがドライラミネート法で積層され、この印刷層には、粉体が5mg/m以上含まれ、この印刷層は、このポリプロピレン系樹脂層とポリスチレン系樹脂層との間に介在していることにより、この印刷層に含まれる粉体(例えば、アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、青銅粉、亜鉛粉、その他の金属や合金の粉末、金属蒸着細片等の、金属光沢成分として従来公知の様々な形態を有する金属粉)の影響を受け易いコート剤に代わり、このポリスチレン系樹脂層がこの基材に十分な接着強度で接着するため、トップシール用蓋材の開封時にこの積層フィルムが剥がれず袋化現象の発生を防ぐことができると共に、所望の色や模様からなる積層フィルムを形成することができる。
また、実施例4及び実施例8にて、成形方法を加味した試験結果を表3に示す。
なお、実施例8の試験条件は、実施例4と同等である。また、実施例4及び実施例8で用いた試験片を採取した基材の成型方法では、以下の型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差の関係式及び成形条件が成立する。
実施例4:フランジ部=0,側部・底部=0、両面真空
実施例8:フランジ部>0,側部・底部=0、片面真空
実施例4では接着強度が4.0N/15mm、実施例8では接着強度が3.6N/15mmであった。さらに、どちらも印刷の見た目において問題はなく、良好であった。すなわち、上述した型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差の関係式及び成形条件に対して接着強度は影響を受けないため、印刷層を含むドライラミネート法により所望の積層フィルムをポリスチレンペーパー(PSPシート)に設けることができることを示している。
なお、粉体含有量の測定方法としては、まず、印刷層を含む積層フィルム又は包装用容器を細かく刻み、ビーカーへ入れ、その後、600℃に加熱されたマッフル炉(メーカー:ヤマト科学株式会社、型番:FP410)に入れ、残留した成分の重量を測定し、粉体含有量を測定する。実際に、実施例4の形態にて測定をしたところ、粉体含有量は72mg/mであり、残留物をX線分析装置(メーカー:日本電子株式会社、型番:JSX-2101)にて測定したところ、アルミニウム成分が検出された。
次に、図5〜図12を参照しつつ、本発明の一実施形態における別の包装用容器の構造及び製造方法を説明する。なお、図6は、図5のX−X部分における拡大断面図である。
なお、図1及ぶ図2で示した部品又は部位と同等のものは、参照を容易にする等のため、図5及び図6において一律100を加えた番号にしている。
本発明の一実施形態における別の包装用容器は、ポリスチレン発泡体からなり、底部111と、この底部の外周から起立した側部112と、この側部の上端から外方に向けて延出したフランジ部113とを有する基材101と、この基材上に積層され、ガスバリア層123を有する共押出積層フィルム102とを備え、接着されたこの基材とこの共押出積層フィルム間のJISK6854で規定される剥離強度が1.5N/15mm以上であり、又は2.0N/15mm以上であり、物流時の激しい振動や不測時の落下を想定すると上4.0N/15mm以上が望ましい。ここで、ポリスチレン発泡体にはポリフェニレンエーテル(PPE)やメタクリル酸といった樹脂が含有されていても良く、その含有量は30質量%未満であればよく、ポリスチレンが70質量%以上含有されていればよい。また、ポリスチレン発泡体には、ポリスチレンが75質量%以上含有されることが好ましく、85質量%以上含有されることがさらに好ましい。
また、剥離強度の低下を抑制するためには、共押出積層フィルム102の厚みが20μm以上60μm未満であり、物流時の激しい振動や不測時の落下を想定すると30μm以上50μm未満であることが望ましい。
また、共押出積層フィルム102は、基材101に対して外側から、第1の熱可塑性樹脂層121と、接着性樹脂層122と、ガスバリア層123と、接着性樹脂層122と、第2の熱可塑性樹脂層124とが、この順序で積層されている。
また、フランジ部113の厚みは、底部111又は側部112の厚みより薄くてもよい。こういった構成によれば、フランジ部113の基材と共押出積層フィルム間の剥離強度を保ちつつ、容器全体の機械的強度を高めることができる。
ここで、図5に示すフランジ部113の表面は平坦で、側部112の上端と滑らかに連設している。共押出積層フィルム102は、基材101の底部111及び側部112の内側並びにフランジ部113の外側(表面)に所定の接着剤を介して貼り付いている。
なお、基材101は、ポリスチレン発泡体のシート材(2次発泡後シート)を型で所定の形状に賦形したもので、その形状やサイズを問わない。底部111及び側部112は、例えば矩形状、円形状又は楕円形状でもよく、平坦状、凹凸形状又は湾曲した面でもよい。底部111上には、例えば仕切り、段差又は小山があってもよい。蓋材103は、フランジ部113の内側の端縁で形成された開口を密封できるものであればいずれでもよい。
また、図6に示す共押出積層フィルム102は、2つ以上の樹脂(例えば、第1の熱可塑性樹脂層121、接着性樹脂層122、ガスバリア層123、接着性樹脂層122、第2の熱可塑性樹脂層124)をスリットから共に押出す共押出法で製造されたものである。積層する樹脂や素材の厚みに限定はない。
ここで、第1の熱可塑性樹脂層121は、トップシール用蓋材103と熱圧着可能で、必要に応じて易開封性(イージーピール性)を有するもので、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)が該当するが、これらを単独で使用する場合に限らず、複数の種類を併用する場合も含み、ポリプロピレン:ポリエチレンが90:10〜10:90であればよく、80:20〜20:80であってもよく、70:30〜30:70であってもよい。なお、ポリスチレン(PS)は含まないほうが好ましく、その含有量は例えば1質量%以下であればよい。
ガスバリア層123は、例えば酸素ガス、水蒸気ガス、二酸化炭素ガスといった気体の透過性が低ければ特に制限はないが、具体的には、JIS K 7126による酸素透過度が25μm厚みで1000ml/m・24hr・MPa(20℃で75%RH)以下の樹脂で、かつ共押出が出来る樹脂であればよく、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド(PA)が該当する。
第2の熱可塑性樹脂層124は、ポリスチレン(PS)からなる基材101と接着させる所定の接着剤に接着するもので、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)が該当するが、これらを単独で使用する場合に限らず、複数の種類を併用する場合も含み、ポリプロピレン:ポリエチレンが90:10〜10:90であればよく、80:20〜20:80であってもよく、70:30〜30:70であってもよい。なお、ポリスチレン(PS)は含まないほうが好ましく、その含有量は例えば1質量%以下であればよい。
接着性樹脂層122は、第1の熱可塑性樹脂層121や第2の熱可塑性樹脂層124とガスバリア層123とを接着させることができれば特に制限はないが、例えばオレフィン系接着性樹脂であればよい。
また、本発明の一実施形態における別の包装用容器の製造方法は、基材101及び共押出積層フィルム102の成型前の原反シートを加熱して2次発泡後シートを得る工程と、この2次発泡後シートを両面真空成型により所望の成型シートを得る工程とを備え、この両面真空成型の型内部が下の条件を満たすのが望ましい。
フランジ部の型内クリアランス−2次発泡後シートの厚み=0
さらに、上記製造方法において、両面真空成型の型内部が下の条件を満たすのが望ましい。
側部・底部の型内クリアランス−2次発泡後シートの厚み>0
こういった構成によれば、フランジ部113の厚みは、底部111又は側部112の厚みより薄くすることができ、その結果、フランジ部の基材と共押出積層フィルム間の剥離強度を保ちつつ、容器全体の機械的強度を高めることができる。
また、本発明の一実施形態における別の包装用容器の別の製造方法は、基材101及び共押出積層フィルム102の成型前の原反シートを加熱して2次発泡後シートを得る工程と、この2次発泡後シートをこの基材側から真空引きする片面真空成型により所望の成型シートを得る工程とを備え、この片面真空成型の型内部が以下の条件を満たすのが望ましい。
フランジ部の型内クリアランス−2次発泡後シートの厚み>0
ここで、図5に示す容器本体100Pは、基材101及びラミネートフィルム102の成型前に該当する原反シートを加熱して得た2次発泡後シートを、例えば図7(a)に示す型に挿入して真空成型することで得られる。型とは、基材101を構成する底部111、側部112及びフランジ部113に該当する空間(以下「型内クリアランス」という。)で、この型内クリアランスはそれぞれ所定の寸法を有する。
そして、図7(b)に示すように、型内クリアランスが、例えば底部3.0mm、側部3.0mm、フランジ部4.0mm、2次発泡後シート厚みが3.0mmの場合、以下の型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差の関係式が成立する。
フランジ部>0 側部・底部=0
すなわち、フランジ部の型内クリアランスが4.0mmに対し、2次発泡後シート厚みが3.0mmのため、成型前のフランジ部の型内クリアランスには1.0mmの樹脂が存在しない空間、すなわち余剰空間が生じる(フランジ部>0)。一方、側部・底部が3.0mmに対し、2次発泡後シート厚みが3.0mmのため、成型前の側部・底部の型内クリアランスには余剰空間が生じない(側部・底部=0)すなわち、型内クリアランスは樹脂で満たされている。
さらに、図7(c)に示すように、型に挿入した2次発泡後シートの真空成型に応じて、成型後の容器本体の寸法が異なる。すなわち、片面真空成型の場合、2次発泡後シートの下側(図5の基材101側)から真空状態で引き付けて素材を成型する。このため、成型シートの寸法に変化は生じない。一方、両面真空成型の場合、2次発泡後シートの上下両側から真空状態で引き付けて成型する。このため、成型シートのうち、フランジ部に該当する部分が上方向に発泡し、フランジ部の型内クリアランス4.0mmと同等の厚みとなる。
また、本発明の一実施形態における別の包装用容器の使用方法は、基材101に食品を詰める工程と、この食品の入った基材のフランジ部113に蓋材103を装着する工程と、このフランジ部とこの蓋材とを接着してこの基材を密封する工程とを備えるのが望ましい。
トップシール用蓋材の層構成としては、例えば、非食品接触側から、ポリアミド(PA)、接着剤樹脂層、ガスバリア層、接着剤樹脂層、シーラント層(熱可塑性樹脂)が挙げられる。シーラント層は必要に応じて易開封性を有するものを使用しても良い。接着剤樹脂層はオレフィン系接着性樹脂である。ガスバリア層は例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド(PA)が挙げられる。
実施例その2
ここで、実施例及び比較例共通のラミネートフィルムの剥離強度試験の概要(試験規格、試験機、試験片、試験状況)を説明する。
≪試験規格≫
JIS K 6854−2に規定する剥離強度試験
≪試験機≫
富士インパルス社製シール剥離試験機
≪試験機設定≫
チャック間距離:25mm
剥離速度:200mm/min
≪試験片≫
図5に示す容器本体100Pのうち、ラミネートフィルム102が貼り付いた基材101のフランジ部113の一部(15mm幅)から側部112の一部にかけてカットする。このうち、カットしたフランジ部113の一部とは逆側のポリスチレン発泡体部分の幅方向に裏から亀裂を入れ、このフランジ部の一部側に向かってこのラミネートフィルムを一部剥がすと共に、このフランジ部の一部とは逆側のポリスチレン発泡体部分をラミネートフィルムから剥がす。このようにして得られたものを試験片とする。
なお、フランジ部113が矩形状の場合、包装用容器の使用により基材101に貼り付けたラミネートフィルムが剥離しやすい四つ角の一部からカットする。試験片の原形である基材は、上述した方法で成型されたものである。
≪試験状況≫
試験機の一方のチャックに、試験片のフランジ部113の一部とは逆側のポリスチレン発泡体部分を、他方のチャックに、剥がしたラミネートフィルム102をそれぞれ挟み込む。
その後、試験機の動作を開始すると、チャック間が自動的に拡がるにつれてラミネートフィルム102が引っ張られ、このラミネートフィルムがフランジ部113の一部のポリスチレン発泡体から剥離すると試験終了となる。
このように、成型方法が異なる基材から採取した試験片を用いて、ラミネートフィルムの剥離強度試験(及び容器本体の剛性や意匠性の評価)を行った。
ここで、実施例1a〜実施例8aの試験条件を以下に列挙する。
≪基材≫
素材:ポリスチレンペーパー(PSP)
≪ラミネートフィルム≫
製造方法:共押出法
厚み:40μm
層構成:(基材に向かって)ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)の混合物、オレフィン系接着性樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、オレフィン系接着性樹脂、ポリプロピレン(PP)、接着剤
一方、比較例1aの試験条件を以下に列挙する。
≪基材≫
素材:ポリスチレンペーパー(PSP)
≪ラミネートフィルム≫
製造方法:ドライラミネート法
厚み:40μm
層構成:(基材に向かって)ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)の混合物、ポリウレタン系接着性樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、接着剤
上述した剥離強度試験の概要及び試験条件に基づいて行った実施例1a〜8a及び比較例1aの試験結果を以下の表1aに示す。
以下に、実施例1a〜8a及び比較例1aの試験結果について、上述した基材の成型方法を踏まえて説明する。なお、剥離強度の単位は、N/15mm(1kgf/15mm巾=9.8N/15mm)を用いる。
実施例1a及び実施例2a
図8(a)に示すとおり、実施例1a及び実施例2aで用いた試験片を採取した基材の成型方法では、以下の型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差の関係式が成立する。
フランジ部>0 側部・底部=0
このとき、図8(b)及び図8(c)に示すとおり、ラミネートフィルム剥離強度は、実施例1a(片面真空成型時)で4.6N/15mm、実施例2a(両面真空成型時)で2.9N/15mmであった。
なお、基材の剛性(腰強度)は、実施例1a(片面真空成型時)及び実施例2a(両面真空成型時)どちらも4.8N、基材の意匠性は、実施例1a(片面真空成型時)で特段問題なし、実施例2a(両面真空成型時)で良好であった。ここで、基材の剛性は、島津製作所製「オートグラフAGS−500S」を用いてヘッドスピード50mm/minで図12に示す方法により測定した。また、意匠性はリブなどの形状がくっきり見えるものは「良好」、浮いて見えるものは「不良」として判断した。
実施例3a及び実施例4a
図9(a)に示すとおり、実施例3a及び実施例4aで用いた試験片を採取した基材の成型方法では、以下の型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差の関係式が成立する。
フランジ部>0 側部・底部>0
このとき、図9(b)及び図9(c)に示すとおり、ラミネートフィルム剥離強度は、実施例3a(片面真空成型時)で4.6N/15mm、実施例4a(両面真空成型時)で2.9N/15mmであった。
なお、基材の剛性は、実施例3a(片面真空成型時)で4.8N、実施例4a(両面真空成型時)で6.5N、基材の意匠性は、実施例3a(片面真空成型時)で不良、実施例4a(両面真空成型時)で良好であった。
実施例5a及び実施例6a
図10(a)に示すとおり、実施例5a及び実施例6aで用いた試験片を採取した基材の成型方法では、以下の型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差の関係式が成立する。
フランジ部=0 側部・底部=0
このとき、図10(b)及び図10(c)に示すとおり、ラミネートフィルム剥離強度は、実施例5a(片面真空成型時)及び実施例6a(両面真空成型時)どちらも4.9N/15mmであった。
なお、基材の剛性は、実施例5a(片面真空成型時)及び実施例6a(両面真空成型時)どちらも4.8N、基材の意匠性は、実施例5a(片面真空成型時)及び実施例6a(両面真空成型時)どちらも良好であった。
実施例7a及び実施例8a
図11(a)に示すとおり、実施例7a及び実施例8aで用いた試験片を採取した基材の成型方法では、以下の型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差の関係式が成立する。
フランジ部=0 側部・底部>0
このとき、図11(b)及び図11(c)に示すとおり、ラミネートフィルム剥離強度は、実施例7a(片面真空成型時)及び実施例8a(両面真空成型時)どちらも4.9N/15mmであった。
なお、基材の剛性は、実施例7a(片面真空成型時)で4.8N、実施例8a(両面真空成型時)で6.5N、基材の意匠性は、実施例7a(片面真空成型時)及び実施例8a(両面真空成型時)どちらも良好であった。
比較例1a
比較例1aで用いた試験片を採取した基材の成型方法では、以下の型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差の関係式が成立する。
フランジ部=0 側部・底部>0
このとき、ラミネートフィルム剥離強度は、両面真空成型時で1.3N/15mmであった。
なお、基材の剛性は、両面真空成型時で6.3N、基材の意匠性は、両面真空成型時で良好であった。
つぎに、実施例8a〜10aの試験結果を表2aに示す。
なお、実施例8aの試験結果(剥離強度)は、表1aに掲載したものと同等である。また、実施例9a及び実施例10aの試験条件のうち、ラミネートフィルムの厚みが、実施例9aで50μm、実施例10aで60μmであり、その他の試験条件及び基材の成型方法は上述した実施例8aと同等である。
実施例9a及び実施例10a
このとき、ラミネートフィルム剥離強度は、実施例9aで4.2N/15mm、実施例10aで2.1N/15mmであった。
つぎに、実施例8a、実施例11a及び比較例1aの試験結果を表3aに示す。
なお、実施例8a及び比較例1aの試験結果(剥離強度)は、表1aに掲載したものと同等である。また、実施例11aの試験条件のうち、ラミネートフィルムの層構成が、(基材に向かって)ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)の混合物、オレフィン系接着性樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、オレフィン系接着性樹脂、ポリエチレン(PE)であり、その他の試験条件及び基材の成型方法は上述した実施例8aと同等である。
実施例11a
このとき、ラミネートフィルム剥離強度は、実施例11aで4.6N/15mmであった。
このように、実施例1a〜実施例8a及び比較例1aの試験結果(表1a参照)から、共押出法で製造されたエチレン−ビニルアルコール共重合体(ガスバリア層)を有するラミネートフィルムの剥離強度が2.0N/15mm以上であると確認できた。
さらに、実施例8a〜実施例10aの試験結果(表2a参照)から、上述した剥離強度を確保するラミネートフィルムの厚みは、40μmから60μmであることが望ましいと確認できた。
さらに、実施例8a、実施例11a及び比較例1aの試験結果(表3a参照)から、上述した剥離強度を確保するラミネートフィルムの層構成は、基材に向かって、ポリプロピレン及びポリエチレンの混合物(第1の熱可塑性樹脂)、オレフィン系接着性樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(ガスバリア層)、オレフィン系接着性樹脂、ポリプロピレン(第2の熱可塑性樹脂)のみならず、第2の熱可塑性樹脂においては、ポリエチレンでもよいことが確認できた。
また、実施例8a(表1a参照)の試験結果から、試験片を採取した容器本体は、フランジ部の厚みが側部・底部の厚みより薄いこと、すなわち型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差が「フランジ部=0 側部・底部>0」の関係を満たす両面真空での成型シートからなる基材により、フランジ部分が発泡しない(できない)ことから、このフランジ部に貼り付いたラミネートフィルムの剥離強度が高水準(4.9N/15mm)を確保でき望ましいと確認できた。
また、フランジ部分の厚さが変わらない構造より、実施例6a及び実施例8a(表1a参照)の試験結果から、フランジ部の型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差が「フランジ部=0」の関係を満たす両面真空成型による成型シート、又は、実施例1a及び実施例3aの試験結果(表1a参照)から、フランジ部の型内クリアランスと2次発泡後シート厚みとの差が「フランジ部>0」の関係を満たす片面真空成型による成型シートからなる基材を用いることが望ましいと確認できた。
ここで、包装用容器の使用方法の一実施例を説明する。まず、製造工場や小売店にて、実施例1aと同様の容器に食品(例えば、肉類)を詰める。食品が容器に詰められた後、ガス置換を行う。蓋材の装着には、例えば大倉工業社製の「エコラップGLS−L」を用いて、この食品の入った容器のフランジ部に蓋材を装着する。蓋材が装着された後、シンワ機械社製の「SN−2S(N2N)」を用い熱圧着により、フランジ部と蓋材とを接着して密閉する。容器の外周に沿って蓋材をカットする。このように包装された食品の賞味期限を延長することができた。
したがって、基材とガスバリア層を有する共押出法で積層したラミネートフィルム間のJISK6854で規定される剥離強度が1.5N/15mm以上であることにより、袋化現象が発生しにくく易開封性(イージーピール性)の蓋材で密閉可能な上、酸素等のガス透過性が低い包装用容器を実現することができる。すなわち、基材を密閉する蓋材とラミネートフィルムとの接着部分の剥離強度より、基材とラミネートフィルムとの接着部分の剥離強度が高いため、袋化現象が発生せず容易に蓋材を開封することができる。さらに、所望のガス透過性を有する薄膜状のガスバリア層を共押出法にて積層フィルム化することで、ラミネートフィルム全体としても薄状のため、1.5N/15mm以上の剥離強度を確保することができ、袋化現象のみならず積層間同士の剥離も発生にしにくくすることができる。
さらに、トップシール用蓋材を基材のフランジ部に接着して密閉することにより、短時間で簡単に食品を包装できる上、ラップ包装や成型された蓋材の使用時よりも密閉性が高いため、食品の保存期間の長期化が実現する。
本発明における包装用容器は、例えば弁当、惣菜、生鮮品、肉類、野菜類を含む食品全般の外販に関する産業に利用可能である。
1 基材
11 底部
12 側部
13 フランジ部
2 積層フィルム

Claims (9)

  1. ポリスチレン発泡体からなり、底部と、当該底部の外周から起立した側部と、当該側部の上端から外方に向けて延出したフランジ部とを有する基材と、
    前記基材上に積層される積層フィルムとを備え、
    前記積層フィルムは、少なくともポリプロピレン系樹脂層と、印刷層と、ポリスチレン系樹脂層とを有し、ドライラミネート法で積層され、
    前記印刷層は、前記ポリプロピレン系樹脂層と前記ポリスチレン系樹脂層との間に介在し、
    前記印刷層には、粉体が含まれていることを特徴とする包装用容器。
  2. 前記積層フィルムの厚みが40μm以上100μm未満である
    ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
  3. 前記積層フィルムは、前記基材に遠い方から、前記ポリプロピレン系樹脂層と、前記印刷層と、ドライラミ接着層と、前記ポリスチレン系樹脂層とが、この順序で積層されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
  4. 前記積層フィルムは、前記基材に遠い方から、前記ポリプロピレン系樹脂層と、ドライラミ接着層と、前記印刷層と、前記ポリスチレン系樹脂層とが、この順序で積層されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
  5. 前記積層フィルムには、少なくとも1層以上のガスバリア層が含まれる
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装用容器。
  6. 前記基材と前記積層フィルムを熱ラミネート法により接着した後、JISK6854に定められた規格にて剥離した際の剥離強度が1.5N/15mm以上である
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装用容器。
  7. 前記基材及び前記積層フィルムの成型前の原反シートを加熱して2次発泡後シートを得る工程と、
    前記2次発泡後シートを両面真空成型により所望の成型シートを得る工程とを備え、
    前記両面真空成型の型内部が以下の条件を満たす
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の包装用容器の製造方法。
    前記フランジ部の型内クリアランス-前記2次発泡後シート厚み=0
  8. 前記基材及び前記積層フィルムの成型前の原反シートを加熱して2次発泡後シートを得る工程と、
    前記2次発泡後シートを前記基材側から真空引きする片面真空成型により所望の成型シートを得る工程とを備え、
    前記片面真空成型の型内部が以下の条件を満たす
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の包装用容器の製造方法。
    前記フランジ部の型内クリアランス−前記2次発泡後シートの厚み>0
  9. 前記基材に食品を詰める工程と、
    前記食品の入った基材の前記フランジ部に蓋材を装着する工程と、
    前記フランジ部と前記蓋材とを接着して前記基材を密封する工程とを備える
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の包装用容器又は請求項7若しくは請求項8に記載の包装用容器の製造方法で製造された包装用容器。
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