JP2017153600A - 剥離デバイス - Google Patents

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昭宏 ▲高▼橋
昭宏 ▲高▼橋
Akihiro Takahashi
達徳 藤井
Tatsunori Fujii
達徳 藤井
神野 誠
Makoto Jinno
誠 神野
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Abstract

【課題】血管をその周辺組織とともに採取する際の作業性に優れる剥離デバイスを提供する。【解決手段】剥離デバイス14Aは、撮像デバイス17が挿入可能な挿入ルーメン45を有する把持部44と、把持部44の先端部に設けられた剥離部材46とを備える。剥離部材46は、血管96に沿って生体内に挿入される際に生体内の組織を剥離する剥離部54と、血管96から分岐した分岐血管106を剥離部材46の先端から受け入れて基部52側へ案内する血管誘導路74とを有する。血管誘導路74は、挿入ルーメン45の中心軸と異なる位置に設けられている。【選択図】図3

Description

本発明は、生体内における脂肪等の組織を剥離する剥離デバイスに関する。
心臓における血管バイパス術(冠動脈バイパス術:CABG)を行う際のバイパス管として、内胸動脈、胃大網動脈、橈骨動脈に代表される動脈グラフトや、大伏在静脈に代表される静脈グラフトを用いることが広く知られている。また、現在では、動脈グラフト(特に内胸動脈)の方が静脈グラフトよりも長期的な開存率が高いという報告がなされている。
このように、静脈グラフトでは、長期的な開存率に劣るといわれている。しかし、近年、静脈グラフトをその周辺の組織(例えば、脂肪、結合組織、皮膚層と筋肉層との間の組織、皮膚層と骨間膜との間の組織、分岐血管等)に覆われた状態で採取し、組織に覆われたままの状態でバイパス管として使用することで、長期的な開存率が向上するとの報告もされてきている。
ところで、特許文献1には、生体内の血管を内視鏡的に採取することができるシステムが開示されている。
米国特許第7981127号明細書
しかしながら、特許文献1のシステムでは、まず、剥離デバイス(dissector3)により、血管とその周辺の組織(脂肪)とを剥離し、次に、切断デバイス(treatment sheeth2)により、生体内に露出させた分岐血管を止血及び切断する。このように、特許文献1のシステムは、血管をその周辺の組織とともに採取できるように構成されていない。また、このシステムは、生体内に露出した分岐血管を捕捉して止血及び切断を行う必要があり、血管採取の作業性が悪いという問題がある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、血管をその周辺組織とともに採取する際の作業性に優れる剥離デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る剥離デバイスは、撮像デバイスが挿入可能な挿入ルーメンを有し、ユーザによって把持可能に構成された把持部と、把持部の先端部に設けられた剥離部材と、を備え、剥離部材は、挿入ルーメンと連通する内腔を有する基部と、基部から先端方向に延出し、血管に沿って生体内に挿入される際に生体内の組織を剥離する剥離部と、血管から分岐した分岐血管を剥離部材の先端部から受け入れて基部側へ案内する血管誘導路と、を有し、血管誘導路は、挿入ルーメンの中心軸と異なる位置に設けられていることを特徴とする。
上記の構成を採用した本発明の剥離デバイスによれば、剥離部材に血管誘導路が設けられているため、剥離デバイスを血管に沿って挿入する際に、生体内の組織を剥離するとともに、組織中に埋もれた分岐血管を簡単に捕捉することができる。これにより、捕捉した分岐血管を、挿入ルーメンに挿入された撮像デバイスにより観察しながら、分岐血管の止血及び切断処理を簡単に行うことができる。また、血管誘導路が挿入ルーメンの中心軸と異なる位置に設けられているため、撮像デバイスにより血管誘導路に位置する分岐血管を観察しながら剥離デバイスの前方を視認することができる。さらに、血管誘導路を挿入ルーメンの中心軸上に設けた場合に比べて、撮像デバイスにより血管誘導路における分岐血管の位置(血管誘導路における分岐血管の移動過程)を容易に把握することができる。
上記の剥離デバイスにおいて、剥離部材は、剥離デバイスの長手方向に対して垂直な幅方向に剥離部に対して離間するように設けられた側部を有し、血管誘導路は、剥離部と側部との間に設けられていてもよい。
この構成によれば、簡易な構成で血管誘導路を挿入ルーメンの中心軸と異なる位置に設けることができる。
上記の剥離デバイスにおいて、側部は、分岐血管を血管誘導路に案内する案内部を有していてもよい。
この構成によれば、分岐血管を血管誘導路に効率的に導入させることができる。
上記の剥離デバイスにおいて、血管誘導路の基端は、基部の内腔の先端よりも基端側に位置していてもよい。
この構成によれば、撮像デバイスを基部の内腔の先端側に挿入することにより、血管誘導路の先端側に位置する分岐血管の視認性を向上させることができる。
上記の剥離デバイスにおいて、血管誘導路は、先端から基端方向に向かって幅が漸減していてもよい。
この構成によれば、ユーザは分岐血管を血管誘導路へと容易に誘導することができる。
上記の剥離デバイスにおいて、血管誘導路の基端部の幅は、血管誘導路の先端部の幅よりも狭くてもよい。
この構成によれば、血管誘導路により捕捉した分岐血管の周囲組織を少なくすることができるため、撮像デバイスによる分岐血管の視認性が向上し、分岐血管に対する止血及び切断処理をより簡単に行うことができる。
上記の剥離デバイスにおいて、剥離部は、剥離デバイスの長手方向に対して垂直な高さ方向の厚さが、基端方向に向かって厚くなってもよい。
この構成によれば、生体内の組織を効果的に剥離することができる。
上記の剥離デバイスにおいて、血管誘導路の基端部には、分岐血管の止血及び切断を行う処理部が設けられていてもよい。
この構成によれば、剥離デバイスの前進操作と処理部へのエネルギ出力動作を行うことにより、分岐血管の捕捉及び止血及び切断処理を簡便操作で遂行することができる。
上記の剥離デバイスにおいて、剥離部材は、血管に沿って生体内に挿入される際に血管を持ち上げる持ち上げ部を有し、持ち上げ部は、剥離デバイスの高さ方向の厚さが基部の厚さよりも薄くてもよい。
この構成によれば、血管に沿って剥離デバイスを挿入する際に持ち上げ部によって持ち上げられた血管が皮膚との間で過度に圧迫されることを抑えることができる。
上記の剥離デバイスにおいて、剥離部材は、分岐血管が通過可能なように血管誘導路の少なくとも一部を部分的に覆う屋根部を有していてもよい。
この構成によれば、分岐血管を血管誘導路により案内する際に、屋根部によって分岐血管の周囲組織を分離することができる。従って、血管誘導路の基端部への組織の入り込みが防止又は抑制される。これにより、撮像デバイスによる分岐血管の視認性が向上し、分岐血管に対する止血及び切断処理を一層効率的に行うことができる。
上記の剥離デバイスにおいて、側部は、剥離部の片側にのみ設けられていてもよい。
この構成によれば、側部を剥離部の両側に設けた場合と比較して剥離デバイスを血管に沿って生体内に挿入する際の抵抗を小さくすることができる。これにより、生体内において剥離デバイスを容易に押し進めることができる。
上記の剥離デバイスにおいて、側部は、剥離部の両側に一対設けられ、血管誘導路は、剥離部と各側部との間にそれぞれ設けられていてもよい。
この構成によれば、剥離部の両側に血管誘導路が設けられるため、分岐血管を効率的に捕捉することができる。
本発明の剥離デバイスによれば、血管をその周辺組織とともに採取する際に、組織中に埋もれた分岐血管を簡単に捕捉することができるとともに、分岐血管の止血及び切断処理を簡単に行うことができ、作業性に優れる。
剥離システムの斜視図である。 第1剥離デバイスの先端部の断面図である。 図3Aは第2剥離デバイスの先端部の一部断面平面図であり、図3Bは図3AのIIIB−IIIB線に沿った断面図である。 図4Aは第2剥離デバイスの先端部の横断面図であり、図4Bは第2剥離デバイスの先端部の底面図である。 第1剥離デバイスの生体内への挿入方法を説明する図である。 第1剥離デバイスを生体内で血管に沿って押し進める状態を説明する、血管の延在方向に沿った断面図である。 第1剥離デバイスを生体内で血管に沿って押し進める状態を説明する、血管に対して垂直方向の断面図である。 図8Aは第2剥離デバイスの生体内への挿入方法を説明する図であり、図8Bは図8Aの第2剥離デバイスを血管の周りに上下反転するように180°回転させた状態を説明する図である。 図9Aは第2剥離デバイスを生体内で血管に沿って押し進める状態を説明する、血管の延在方向に沿った断面図であり、図9Bは第2剥離デバイスをさらに前進させた状態の断面図である。 図10Aは第2剥離デバイスによる分岐血管の捕捉を説明する第1の図であり、図10Bは第2剥離デバイスによる分岐血管の捕捉を説明する第2の図であり、図10Cは第2剥離デバイスによる分岐血管の捕捉を説明する第3の図である。 図11Aは採取する血管の切断を説明する図であり、図11Bは脂肪付きの血管の生体内からの摘出を説明する図である。 第2剥離デバイスの第1の変形例を説明する、血管に対して垂直方向の断面図である。 図13Aは第2剥離デバイスの第2の変形例を示す斜視図であり、図13Bは第2剥離デバイスの第3の変形例を示す斜視図である。 別の構成に係る第2剥離デバイスの先端部の斜視図である。 図15Aは図14に示した第2剥離デバイスの先端部の一部断面平面図であり、図15Bは図15AのXVB−XVB線に沿った断面図であり、図15Cは図14に示した第2剥離デバイスの先端部の底面図である。 図16Aは図14に示した第2剥離デバイスの生体内への挿入方法を説明する図であり、図16Bは図16Aの第2剥離デバイスを血管の周りに上下反転するように180°回転させた状態を示す図である。 図14に示した第2剥離デバイスを生体内で血管に沿って押し進める状態を説明する、血管の延在方向に沿った断面図ある。 図18Aは図14に示した第2剥離デバイスによる分岐血管の捕捉を説明する第1の図であり、図18Bは図14に示した第2剥離デバイスによる分岐血管の捕捉を説明する第2の図である。
以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
[剥離システム10の全体構成]
図1に示す剥離システム10は、血管バイパス術(冠動脈バイパス術:CABG)を行う際のバイパス管として用いられる血管を採取するのに用いられるデバイスであり、血管を周囲の組織(脂肪、結合組織等)に覆われた状態で採取することができる。剥離システム10を用いて採取する血管としては、バイパス管として用いることのできる血管であれば特に限定されず、例えば、内胸動脈、胃大網動脈、橈骨動脈、伏在静脈(大伏在静脈、小伏在静脈)等が挙げられる。
採取する血管としてはこれらの中でも伏在静脈であることが好ましい。剥離システム10を用いることで、前述したように、血管を周囲の組織に覆われた状態で採取することが容易となるため、剥離システム10を用いて伏在静脈を採取し、それをバイパス管として用いることで、術後の長期的な開存率が高くなると考えられる。
剥離システム10は、2種類の剥離デバイス12、14Aを備える。以下、説明の便宜上、一方の剥離デバイス12を「第1剥離デバイス12」と呼び、他方の剥離デバイス14Aを「第2剥離デバイス14A」と呼ぶ。第1剥離デバイス12及び第2剥離デバイス14Aは、いずれも、伏在静脈等の血管に沿って生体内に挿入される長尺状のデバイスである。
[第1剥離デバイス12の構成]
第1剥離デバイス12は、ユーザ(手技者)によって把持可能に構成された把持部16と、把持部16の先端部に設けられた剥離部材18とを備える。図2に示すように、把持部16は、撮像デバイス17(例えば、内視鏡)を挿入可能な挿入ルーメン20を有する管状部材である。図示例の把持部16は、直線状に形成されている。把持部16の構成材料としては、例えば硬質樹脂、金属等が挙げられる。
挿入ルーメン20は、把持部16の長手方向に沿って延在するとともに、把持部16の先端面及び基端面にて開口する貫通孔である。撮像デバイス17の先端部には、例えば対物レンズ及び照明部が設けられている。
図1において、剥離部材18は、把持部16の先端部に固定された中空構造のベース部22と、ベース部22の幅方向両側からベース部22の厚さ方向一方側(図1で下方)に突出した一対のサイド部24とを有する。ベース部22は、横断面形状が上下方向に短く幅方向に長い扁平形状を有する。ベース部22の幅は、採取する血管96の外径よりも大きく設定されている。
図2において、ベース部22は、把持部16の先端部が固定された固定孔26と、固定孔26よりも先端側からベース部22の先端近傍まで延在する空洞28とを有する。空洞28は、挿入ルーメン20と連通している。
ベース部22の先端部には、組織を剥離する先端剥離部30が設けられている。組織を剥離しやすいように、先端剥離部30は先端方向に向かって細く形成されている。具体的には、先端剥離部30は、先端剥離部30の横断面形状の短軸方向の長さ及び長軸方向の長さが先端方向に向かって漸減するように形成されている。採取する血管96や分岐血管106(図6参照)を先端剥離部30で損傷しないように、先端剥離部30の先端31(頂部)は丸みを帯びた形状に形成されている。また、先端剥離部30は、それよりも基端側の基部から緩やかに反り上がるように湾曲している。
ベース部22は、透明性(光透過性)を有する材料(例えば、ガラス、透明樹脂等)により構成されている。そのため、挿入ルーメン20及び空洞28に撮像デバイス17を挿入することで、撮像デバイス17によって、ベース部22の前方及び周囲を撮像し、観察(視認)することができる。なお、ベース部22は、実質的に無色透明であるのが好ましいが、透明性を有していれば、着色されていてもよい。
一対のサイド部24は、ベース部22の下方両側において組織を剥離するための部分である。一対のサイド部24は、ベース部22の両側における基端寄りの部分に設けられている。このため、先端剥離部30を有するベース部22は、一対のサイド部24よりも先端方向に突出している。
図1において、サイド部24には、血管96から分岐した分岐血管106を受け入れ可能な溝部32と、溝部32の先端に連なるとともに溝部32へ分岐血管106を案内するガイド部34とが設けられている。溝部32は、剥離部材18の長手方向に沿って延在する直線状の溝であり、サイド部24の厚さ方向(ベース部22の幅方向)に貫通している。溝部32の幅(剥離部材18の高さ方向に沿った寸法)は溝部32の長さ方向に一定であってもよく、基端方向に向かって漸減してもよい。
図2において、溝部32には、分岐血管106を止血及び切断するための処理部36が設けられている。処理部36は、分岐血管106を止血する止血部38と、分岐血管106を切断する切断部40(刃部)とを有する。止血部38は、一対の電極39を有するバイポーラ構造となっている。一対の電極39は、溝部32の幅方向の両側に設けられている。このような一対の電極39間に高周波電圧を印加することで、溝部32に案内された分岐血管106を熱凝固して止血することができる。切断部40は、一対の電極39の先端よりも基端側に設けられている。これにより、熱凝固した分岐血管106を切断部40により切断することができる。
ガイド部34は、サイド部24の先端部において、溝部32側に向かって傾斜している。すなわち、ガイド部34は、基端方向に向かうに従ってベース部22側に近づくように傾斜している。このようなガイド部34により、採取する血管96に沿って剥離部材18を前進させる際に、分岐血管106を持ち上げて溝部32側へとスムーズに誘導することができる。
図1において、一対のサイド部24の各々は、ベース部22から延出した側壁部41と、ベース部22に対向して側壁部41から内側(剥離部材18の幅方向内側)に向かって張り出した一対の張出し部42とを有する。上述した溝部32及びガイド部34は、側壁部41に設けられている。
一対の張出し部42の突出端は、互いに対向している。一対の張出し部42の間には、分岐血管106の通過を許容できる程度の空間43が形成されている。この一対の張出し部42により、採取する血管96に沿って剥離部材18を前進させる際に、血管96を基準にベース部22とは反対側にある組織(空間43の部分を除く)を剥離することができる。
[第2剥離デバイス14Aの構成]
第2剥離デバイス14Aは、ユーザによって把持可能に構成された把持部44と、把持部44の先端部に設けられた剥離部材46とを備える。図3A及び図3Bに示すように、把持部44は、撮像デバイス17を挿入可能な挿入ルーメン45を有する管状部材である。図示例の把持部44は、直線状に形成されている。把持部44の構成材料としては、例えば硬質樹脂、金属等が挙げられる。挿入ルーメン45は、把持部44の長手方向に沿って延在するとともに、把持部44の先端面及び基端面にて開口する貫通孔である。
剥離部材46は、把持部44の軸線上に設けられた剥離部材本体48と、剥離部材本体48の幅方向片側に設けられた側部50とを備える。剥離部材本体48は、把持部44の先端部に固定された基部52と、基部52の先端から先端方向に延出した剥離部54とを有する。
基部52は、剥離部材46の長手方向に沿って延在する内腔56を有する中空状に形成されている。内腔56の先端は、剥離部54によって閉じられている。内腔56の基端は、基部52の基端面にて開口している。内腔56の径は把持部44の外径よりも大きい。内腔56の基端側領域に、把持部44の先端部が挿入され固定されている。内腔56において、把持部44よりも先端側には、撮像デバイス17の先端部が進入可能な空洞58が形成されている。
剥離部材46(特に、基部52及び剥離部54)は、透明性(光透過性)を有する。剥離部材46の構成材料としては、例えば、ガラス、透明樹脂等が挙げられる。このように基部52及び剥離部54が透明性を有するため、挿入ルーメン45に撮像デバイス17を挿入することで、撮像デバイス17によって、基部52及び剥離部54の前方及び周囲を撮像し、観察することができる。
剥離部材46は、実質的に無色透明であるのが好ましいが、透明性を有していれば、着色されていてもよい。剥離部材46は、全体が透明性を有している必要はなく、基部52及び剥離部54だけ(特に、観察窓として機能する剥離部54だけ)が、透明性を有していてもよい。また、剥離部材46では、剥離部54が他の部分の一体成形された部分である必要はなく、空洞58の先端開口が透明性を有する別の部材で閉じられていてもよい。
基部52の基端部は、円筒状に構成されている。基部52の基端部よりも先端側は、横断面輪郭形状が四角形状の底部60と、底部60から剥離部材46の高さ方向一方側(上方)に膨出した膨出部62とを有する(図4A参照)。膨出部62の横断面輪郭形状は、三角形状である。すなわち、基部52の基端部よりも先端側は、内腔56が位置する部位が剥離部材46の上方に膨出している。膨出部62の頂部は丸みを帯びている。なお、基部52の横断面輪郭形状は、楕円形状等の任意の形状を含んでいてもよい。
図1及び図3Bにおいて、剥離部54は、剥離部材46が血管96に沿って前進する際に組織(脂肪98等)を剥離する。血管96と剥離部材46との並び方向に組織を剥離しやすいように、剥離部54の厚さ(剥離部材46の高さ方向に沿った寸法)は、基端方向に向かって漸増している。具体的には、剥離部54は、基端方向に向かうに従って下方へと変位するように傾斜する第1傾斜面64を有する。
図1、図3A及び図4Bにおいて、側部50は、基部52の幅方向片側から剥離部材46の幅方向一方側に張り出した側方基部66と、側方基部66から先端方向に延出した側方延出部68と、側方延出部68に設けられた屋根部70と、側方延出部68から先端方向に延出した案内部72とを有している。側方基部66は、側方延出部68と基部52とを連結し、板状に形成されている。すなわち、側方基部66は、基部52の厚さよりも薄く形成され、基部52の底部60に設けられている。側方基部66の幅寸法は、先端方向に向かって漸増している(図3A及び図4B参照)。
図3A及び図4Aにおいて、側方延出部68(側部50)は、剥離部材46の幅方向に剥離部材本体48に対して離間するように設けられている。側方延出部68は、側方基部66の厚さよりも厚く、基部52の厚さよりも薄く形成されている。側方延出部68は、側方基部66の厚さ、基部52の厚さと略同等の厚さで形成されていてもよい。
図3A、図4A及び図4Bに示すように、側方延出部68と剥離部材本体48(剥離部54)との間には、分岐血管106を受け入れて基部52側へ案内する血管誘導路74が設けられている。すなわち、血管誘導路74は、挿入ルーメン45の中心軸(内腔56の中心軸)に対して剥離部材46の幅方向に異なる位置に設けられている。これにより、挿入ルーメン45に撮像デバイス17を挿入することにより、剥離部54(第2剥離デバイス14A)の前方と血管誘導路74に位置する分岐血管106とを同時に視認することができる。
血管誘導路74は、剥離部材46の厚さ方向に貫通している。従って、血管誘導路74は、剥離部材46の先端方向、上方及び下方に開口している。ここで、第2剥離デバイス14Aにおいて、上方とは膨出部62の膨出方向(図4Aの上方)をいい、下方とは膨出部62の膨出方向とは反対方向(図4Aの下方)をいう。
図3A及び図4Bにおいて、血管誘導路74は、血管誘導路74の先端側領域を構成する第1溝部78(導入部)と、血管誘導路74の基端側領域を構成する第2溝部80とを有する。第1溝部78は、基端方向に向かって幅が狭くなっている。第1溝部78の幅は、第2溝部80の幅よりも広い。第2溝部80は、第1溝部78と連通し、剥離部材46の長手方向に沿って延在する直線状の溝である。第2溝部80の基端は、基部52の内腔56の先端よりも基端側に位置している。
図1、図3A〜図4Bにおいて、屋根部70は、分岐血管106が通過可能なように血管誘導路74の少なくとも一部を部分的に覆うように構成されている。具体的には、屋根部70は、側方延出部68から第2溝部80の先端側を覆うように側方延出部68から剥離部材本体48側に延出した平面視で四角形状のブロック体である。屋根部70は、挿入ルーメン45の中心軸(内腔56の中心軸)に対して剥離部材46の幅方向に異なる位置に設けられている。図4Aに示すように、屋根部70は、剥離部材本体48の底部60に対して離間した状態で対向している。屋根部70のうち底部60に対向する第1面70aは、横断面が円弧状の湾曲面であって、屋根部70における剥離部材本体48側に臨む平面と第2溝部80に臨む平面との境界部分に設けられている。底部60のうち屋根部70に対向する第2面60aは、横断面が円弧状の湾曲面であって、底部60における側方延出部68側に臨む平面と上方(膨出部62側)に臨む平面との境界部分に設けられている。第1面70a及び第2面60aは、剥離部材46の幅方向に互いに離間した状態で対向している。つまり、第1面70aと第2面60aとの間には、分岐血管106が通過可能な空間82が形成されている。第1面70a及び第2面60aの間隔は、血管誘導路74の幅寸法(第2溝部80の幅寸法)よりも狭く設定されている。第1面70aは、第2面60aより厚さ方向の上方(膨出部62側)又は下方に位置してもよい。第1面70aが第2面60aよりも下方に位置する場合、屋根部70の頂部は、第2面60aよりも上方(膨出部62側)に位置する。
このような第1面70a及び第2面60aにより、分岐血管106を前記空間82に通す際に分岐血管106の周囲の脂肪98を分離する(削ぎ落とす)ことができる。この場合、第1面70a及び第2面60aのそれぞれが湾曲面であるため、分岐血管106の周囲の脂肪を効率的に分離することができる。上記空間82(第1面70a及び第2面60aの間隔)は、分岐血管106の外径と略同じか、分岐血管106の外径よりも小さいとよい。これにより、分岐血管106の周囲の脂肪98を一層効果的に分離することができる。なお、第1面70a及び第2面60aの少なくともいずれか一方は、平面であってもよい。すなわち、例えば、屋根部70における剥離部材本体48側に臨む平面を第1面70aとし、底部60における側方延出部68側に臨む平面を第2面60aとし、第1面70a及び第2面60aが互いに対向するように屋根部70を設けてもよい。
なお、分岐血管106と接触する際の力で屋根部70が剥離部材本体48から離間する方向に弾性変形可能に構成され、屋根部70と剥離部54とは初期状態で接触していてもよい。この場合、初期状態で屋根部70と剥離部材本体48との間には空間82が形成されないが、屋根部70が分岐血管106と接触した際には、屋根部70が弾性変形することで屋根部70と剥離部材本体48との間に空間82が形成されるため、分岐血管106は屋根部70と剥離部54との間を通過することができる。また、このような屋根部70は、側方延出部68ではなく剥離部材本体48に設けられていてもよい。この場合、屋根部70と側方延出部68との間に上記空間82と同様の空間82が形成されることとなる。
図1、図3A、図3B及び図4Bにおいて、案内部72は、分岐血管106を血管誘導路74に案内するものであって、側方延出部68の先端部から先端方向に向かって上方に湾曲するように延出している。具体的には、案内部72は、基端方向に向かうに従って下方へと変位するように傾斜する第2傾斜面84を有する。
剥離部材46の底面86に対する第2傾斜面84の傾斜角度は、剥離部材46の平坦な底面86に対する第1傾斜面64の傾斜角度と同一に設定されている。案内部72の先端は、剥離部54の先端よりも基端側に位置している。ただし、剥離部材46の長手方向において、案内部72の先端は、剥離部54の先端と同じ位置であってもよい。図3Bの例では、案内部72の厚さ方向の寸法(底面86と案内部72の先端との間の剥離部材46の厚さ方向に沿った寸法)は、剥離部54の厚さ方向の寸法よりも小さい。しかしながら、案内部72の厚さ方向の寸法は、剥離部54の厚さ方向の寸法と同一であってもよい。この場合、より広い範囲において、分岐血管106を血管誘導路74に案内することができるとともに脂肪98の剥離をより確実に行うことができる。なお、案内部72の厚さ方向の寸法は、剥離部54の厚さ方向の寸法よりも大きくてもよい。また、案内部72は剥離部54の先端にも配置されてもよい。
図3B〜図4Bに示すように、剥離部材46には、分岐血管106を止血及び切断するための処理部88が設けられている。処理部88は、分岐血管106を止血する止血部90と、分岐血管106を切断する切断部92(刃部)とを有する。止血部90は、一対の電極94を有するバイポーラ構造となっている。一対の電極94は、第2溝部80の幅方向の両側に設けられている。図示例において、一対の電極94は剥離部材46の底面86に取り付けられている。なお、一対の電極94は、剥離部材46に埋め込まれるように配置されてもよい。
このような一対の電極94間に高周波電圧を印加することにより、第2溝部80に案内された分岐血管106を焼灼(熱凝固)して止血することができる。切断部92は、第2溝部80の最奥部(基端部)に設けられているとともに、一対の電極94の先端よりも基端側に設けられている。これにより、焼灼した分岐血管106を切断部92により切断することができる。また、切断部92が電極の場合、切断部92と電極94の間に高周波電圧を印加することにより、第2溝部80に案内された分岐血管106を焼灼(熱凝固)して止血することができる。これらは、同時に印加してもよいし、スイッチによって切り替えて印加してもよい。
第2溝部80の幅は、第2溝部80の長さ方向に一定であってもよく、基端方向に向かって漸減してもよい。また、第2溝部80の幅は、分岐血管106の外径よりも小さいことが好ましい。これにより、第2溝部80内で分岐血管106を潰すことができるため、止血部90での焼灼を確実に行うことができる。
剥離部材46は、血管96に沿って第2剥離デバイス14Aを生体内に挿入して組織を剥離する際に、血管96を持ち上げる持ち上げ部95を有している。持ち上げ部95は、組織を剥離する際に血管96の下方に位置する部分である。持ち上げ部95の厚さ(剥離部材46の高さ方向に沿った寸法)は、基部52の厚さよりも薄い。これにより、持ち上げ部95によって持ち上げられた血管96が皮膚100との間で過度に圧迫されることを抑えることができる。
[血管採取方法]
次に、上記のように構成された剥離システム10を用いた血管採取方法について説明する。当該血管採取方法は、剥離システム10を用いて血管96を周囲の脂肪98(組織)に覆われた状態で剥離する剥離ステップ(第1ステップ)と、血管96を結紮した後に切断する切断ステップ(第2ステップ)と、血管96を周囲の脂肪98に覆われた状態で生体から摘出する摘出ステップ(第3ステップ)とを含む。なお、本例では、下肢にある伏在静脈を採取する場合を説明する。
剥離ステップでは、まず、採取する血管96の位置を確認し、その位置に基づいて例えば図5のように患者の皮膚100を切開する。皮膚100を切開したら、血管96が見えるまで(血管96又は伏在筋膜が露出するまで)脂肪98を剥離する。次に、撮像デバイス17を挿入した第1剥離デバイス12を用意する。なお、第1剥離デバイス12は、その構成要素として予め撮像デバイス17を備えていてもよい。
そして、撮像デバイス17で生体内を観察しながら、切開部102から第1剥離デバイス12を血管96に沿って挿入する。この場合、皮膚100と血管96との間に剥離部材18のベース部22が配置され、且つベース部22の厚さ方向がベース部22と血管96との並び方向と一致するように、第1剥離デバイス12を挿入する。
そして、生体内で第1剥離デバイス12を血管96に沿って、必要長さ(採取したい長さ)だけ押し進める。この際、第1剥離デバイス12は、図6のように、剥離部材18によって血管96の周囲の脂肪98を剥離しながら前進する。具体的には、ベース部22の先端剥離部30は、血管96の上方(皮膚100側)の脂肪98をベース部22の厚さ方向に剥離する。
図7のように、一対のサイド部24は、血管96の側方及び下方(筋膜104側)の脂肪98をサイド部24の厚さ方向に剥離する。すなわち、側壁部41は、血管96の側方の脂肪98を側壁部41の厚さ方向(ベース部22の幅方向)に剥離する。また、張出し部42は、血管96の下方(筋膜104側)の脂肪98(空間43の部分を除く)を張出し部42の厚さ方向に剥離する。
また、図6のように第1剥離デバイス12が生体内で血管96に沿って前進する際、第1剥離デバイス12は、血管96から分岐した分岐血管106をガイド部34によって溝部32へと案内するとともに、溝部32に設けられた処理部36(図2参照)によって分岐血管106の止血及び切断を行う。なお、剥離部材18と分岐血管106との接触時に、サイド部24の突起状の先端よりも下側に接触した分岐血管106については、一対の張出し部42の間の空間43に案内されるため、処理部36による止血及び切断は行われない。
第1剥離デバイス12を必要長さだけ前進させたら、図5に示した切開部102を介して、第1剥離デバイス12を生体内から抜去する。
次に、切開部102によって露出させた血管96の下側(筋膜104側)の脂肪98を剥離する。この場合、手技者の手で、あるいは適宜のデバイスを使って、脂肪98を剥離する。次に、撮像デバイス17を挿入した第2剥離デバイス14Aを切開部102から挿入する。なお、第2剥離デバイス14Aは、その構成要素として予め撮像デバイス17を備えていてもよい。
具体的には、図8Aのように、剥離部材46の底面86が血管96とは反対側に向くように第2剥離デバイス14Aを切開部102から挿入する。そして、図8Bのように血管96の周りに上下反転させながら180°回転させることにより、第2剥離デバイス14Aを血管96の下側の脂肪98内に配置する。
このとき、側部50が先行するように第2剥離デバイス14Aを回転させることにより、第1剥離デバイス12により形成された剥離箇所に第2剥離デバイス14Aを円滑に挿入することができる(回転抵抗を少なくすることができる)。この際、血管96の周囲の脂肪98を側部50によって持ち上げてもよい。これにより、第2剥離デバイス14Aを円滑に回転させることができる。ただし、剥離部材本体48が先行するように第2剥離デバイス14Aを回転させてもよい。この際、血管96の周囲の脂肪98を剥離部材本体48によって持ち上げてもよい。これにより、第2剥離デバイス14Aを円滑に回転させることができる。
このように第2剥離デバイス14Aを血管96の周りに上下反転させながら回転させる場合、まず、第1剥離デバイス12が生体内で移動して形成された剥離箇所に剥離部材本体48を挿入して血管96の周囲の脂肪98に接触させる。次に、剥離部材本体48を血管96の周囲の脂肪98に接触させながら回転させる。これにより、第2剥離デバイス14Aを回転させた際に、第1剥離デバイス12の一対の張出し部42の間で剥離されなかった脂肪98を容易に剥離することができる。なお、第2剥離デバイス14Aは、切開部102に挿入しながら回転させても構わない。また、第2剥離デバイス14Aを血管96の周りに回転させることなく側部50及び剥離部材本体48によって血管96の周囲の脂肪98を持ち上げながら血管96の下側の脂肪98内に直接的に挿入してもよい。
この状態で第2剥離デバイス14Aは、血管96の下方に血管誘導路74(側方基部66)が位置する。換言すれば、第2剥離デバイス14Aの持ち上げ部95が血管96の下方に位置する。すなわち、剥離部材本体48のうち内腔56が位置する部位(膨出部62の頂部)は、第1剥離デバイス12により形成された剥離箇所に位置する。また、挿入ルーメン45に挿入された撮像デバイス17によって第1剥離デバイス12によって形成された剥離箇所を容易に視認することができる。
そして、生体内の脂肪98内で第2剥離デバイス14Aを血管96に沿って、必要長さ(採取したい長さ)だけ押し進める。この際、第2剥離デバイス14Aは、図9Aのように、剥離部材46の剥離部54によって血管96の下方の脂肪98内で脂肪98を剥離部54の第1傾斜面64に沿って、脂肪98を押し広げながら剥離し、且つ血管96を持ち上げ部95によって持ち上げながら前進する。この場合、持ち上げ部95の厚さは基部52の厚さよりも薄いため、持ち上げ部95によって持ち上げられた血管96が皮膚100との間で過度に圧迫されることを抑えることができる。
具体的には、剥離部54は、血管96の下方の脂肪98を剥離部材46の厚さ方向(剥離部材46と血管96との並び方向)に第2剥離デバイス14Aより下方の脂肪98から剥離する。これにより、血管96の全周を囲むように剥離箇所が形成される。すなわち、血管96の周囲の全周範囲において脂肪98を剥離することができる。
また、第2剥離デバイス14Aが生体内で血管96に沿って前進する際、図9Bのように、第2剥離デバイス14Aは、血管96の下方の脂肪98を剥離部材46の厚さ方向(剥離部材46と血管96との並び方向)に第2剥離デバイス14Aより下方の脂肪98から剥離しながら、血管96が剥離部54によって、上方(皮膚100側)へ持ち上げるため、分岐血管106が伸ばされて、分岐血管106が脂肪98からむき出しにされる。そして、むき出しになった分岐血管106を案内部72によって血管誘導路74に導入し、血管誘導路74によって処理部88に案内する。そして、処理部88によって分岐血管106の止血及び切断を行う。
具体的には、図10Aのように、血管96から下方に分岐する分岐血管106を案内部72の第2傾斜面84に引っ掛けて血管誘導路74に導入する。このような案内部72によって、分岐血管106を血管誘導路74に効率的に誘導することができる。
そして、図10Bのように、血管誘導路74の第1溝部78によって分岐血管106を第2溝部80に引き寄せる。第2溝部80に導かれた分岐血管106は、屋根部70と剥離部材本体48との間の空間82にひねりながら入り込む。分岐血管106が第2溝部80の基端部に向かって空間82を移動することにより、分岐血管106に残存している脂肪98を屋根部70の第1面70a及び剥離部材本体48の第2面60aに接触させて剥離する。
続いて、図10Cのように、屋根部70を通過した分岐血管106は、ひねられた状態から直線状態に戻りながら処理部88へと案内される。処理部88へと案内された分岐血管106は、止血部90にて止血(焼灼)された後、切断部92によって切断される。処理部88へと案内された分岐血管106は、側方基部66の先端面に接触してもよい。
第2剥離デバイス14Aを必要長さだけ前進させたら、切開部102を介して、第2剥離デバイス14Aを生体内から抜去する。
以上により、血管96を周囲の脂肪98(組織)に覆われた状態で剥離する剥離ステップが完了する。
この場合、第2剥離デバイス14Aによれば、剥離部材46に血管誘導路74が設けられているため、ユーザは第2剥離デバイス14Aを血管96に沿って挿入する際に、生体内の組織(脂肪98)を剥離するとともに、組織中に埋もれた分岐血管106を簡単に捕捉することができる。これにより、ユーザは、捕捉した分岐血管106を、挿入ルーメン45に挿入された撮像デバイス17により観察しながら、分岐血管106の止血及び切断を簡単に行うことができる。
また、第2剥離デバイス14Aでは、血管誘導路74が挿入ルーメン45の中心軸とは異なる位置に設けられているため、撮像デバイス17により血管誘導路74に位置する分岐血管106を観察しながら第2剥離デバイス14Aの前方を視認することができる。さらに、血管誘導路74を挿入ルーメン45の中心軸上に設けた場合に比べて、撮像デバイス17により血管誘導路74における分岐血管106の位置(血管誘導路74における分岐血管106の移動過程)を容易に把握することができる。
第2剥離デバイス14Aによれば、血管誘導路74は、剥離部54と側部50(側方延出部68)との間に設けられているため、簡易な構成で血管誘導路74を挿入ルーメン45の中心軸と異なる位置に設けることができる。
第2剥離デバイス14Aによれば、血管誘導路74の基端が基部52の内腔56の先端よりも基端側に位置しているため、撮像デバイス17を基部52の内腔56(空洞58)の先端側に挿入することにより、血管誘導路74の先端側に位置する分岐血管106の視認性を向上させることができる。
第2剥離デバイス14Aによれば、血管誘導路74は、先端から基端方向に向かって幅が漸減している第1溝部78(導入部)を有するため、ユーザは分岐血管106を血管誘導路74へと容易に誘導することができる。
第2剥離デバイス14Aによれば、血管誘導路74の基端部(第2溝部80)の幅は、血管誘導路74の先端部(第1溝部78)の幅よりも狭いため、血管誘導路74により捕捉した分岐血管106の周囲組織を少なくすることができる。これにより、撮像デバイス17による分岐血管106の視認性が向上し、分岐血管106に対する止血及び切断処理をより簡単に行うことができる。
第2剥離デバイス14Aによれば、血管誘導路74の基端部には、分岐血管106の止血及び切断を行う処理部88が設けられている。この構成により、第2剥離デバイス14Aの前進操作と処理部88へのエネルギ出力動作を行うことにより、ユーザは分岐血管106の捕捉及び止血及び切断処理を簡便操作で遂行することができる。なお、処理部88は切断部92を設けていなくてもよい。この場合、ユーザは止血部90によって止血した分岐血管106を、第2剥離デバイス14Aとは別体の適宜の切断デバイスにより切断してもよい。
第2剥離デバイス14Aでは、剥離部54の厚さが基端方向に向かって大きくなっているため、生体内の組織を効果的に剥離することができる。
第2剥離デバイス14Aによれば、第2剥離デバイス14Aを血管96に沿って挿入する際に血管96を持ち上げる持ち上げ部95の厚さが基部52の厚さよりも薄いため、持ち上げ部95によって持ち上げられた血管96が皮膚100との間で過度に圧迫されることを抑えることができる。
第2剥離デバイス14Aでは、分岐血管106を血管誘導路74により案内する際に、屋根部70によって分岐血管106の周囲組織を分離することができる。従って、血管誘導路74の基端部への組織の入り込みが防止又は抑制される。これにより、撮像デバイス17による分岐血管106の視認性が向上し、分岐血管106に対する止血及び切断処理を一層効率的に行うことができる。
第2剥離デバイス14Aによれば、剥離部54の片側にのみ側部50を設けているので、剥離部54の両側に側部50を設けた場合と比較して、第2剥離デバイス14Aを血管96に沿って生体内に挿入する際の抵抗を小さくすることができる。これにより、生体内において第2剥離デバイス14Aを容易に押し進めることができる。
以上のように剥離ステップが完了したら、次に切断ステップを行う。切断ステップでは、図11Aのように、採取する血管96の長さ分だけ切開部102から離れた位置で皮膚100を切開して切開部108を形成し、その切開部108にて血管96を露出させる。そして、2つの切開部102、108を介して、血管96の採取部分の両端を結紮した後に、血管96を切断する。
切断ステップが完了したら、次に、摘出ステップを行う。摘出ステップでは、図11Bのように、切開部102又は切開部108を介して、脂肪98付きの血管96を生体外に取り出す。
以上のような剥離ステップ、切断ステップ及び摘出ステップによって、脂肪98付きの血管96を生体から採取することができる。このような方法では、スムーズ且つ低侵襲で血管96を採取することができる。加えて、血管96を切断せずに剥離ステップを行うことができるため、血管96になるべく長く血を通わせることができる。よって、虚血状態がより短く、損傷の少ない血管96を採取することができる。
また、脂肪98で覆われている血管96は、膨張や折れ曲がりによる血流の低下を抑えられ、また、内皮細胞、平滑筋、栄養血管(小血管網)等の損傷が低減され、血管壁の肥厚を抑えることもできる。従って、脂肪98に覆われた血管96をバイパス管として用いることで、優れた長期開存率を発揮することができる。特に、採取した脂肪98付きの血管96には、血管壁や脂肪98に栄養血管が残存しているため、バイパス後も、バイパス管としての血管96に栄養が供給され、上記効果の向上が図られると考えられる。
なお、上述した説明では、ユーザは第1剥離デバイス12と第2剥離デバイス14Aを使って脂肪98付きの血管96を採取したが、第1剥離デバイス12を使わずに、第2剥離デバイス14Aだけを使って脂肪98付きの血管96を採取してもよい。この場合、上述した第2剥離デバイス14Aの挿入及び前進操作を複数回行うことにより、血管96の周囲の全周において、脂肪98を剥離することができる。
第1剥離デバイス12及び第2剥離デバイス14Aを使用する順序は、上記説明とは逆であってもよい。すなわち、先に第2剥離デバイス14Aを生体内に挿入して血管96に沿って押し進め、次に、第2剥離デバイス14Aを生体内から抜去し、次に、第1剥離デバイス12を生体内に挿入して血管96に沿って押し進めてもよい。
2つ目の切開部108は、1つ目の切開部102と同時に形成してもよく、あるいは、1つ目のデバイス(第1剥離デバイス12、第2剥離デバイス14Aの順で使う場合には、第1剥離デバイス12)を生体内に挿入した後(2つ目のデバイスを生体内に挿入するまでの間)に形成してもよい。
剥離ステップでは、1つ目のデバイスを2つ目の切開部108から取り出してもよい。また、2つ目のデバイス(第1剥離デバイス12、第2剥離デバイス14Aの順で使う場合には、第2剥離デバイス14A)を2つ目の切開部108から挿入してもよい。
第2剥離デバイス14Aは、上述した構成に限定されない。図12に示すように、剥離部材本体48は、血管96の下方の脂肪98を剥離した際に、剥離された脂肪98の下面に接触する第1接触面91に対して略垂直に上方(皮膚100側)に延出した第2接触面93を有するように形成されていてもよい。この場合、第1接触面91及び第2接触面93の境界部と血管96の周囲の脂肪98との間に空間89を形成することができる。これにより、当該境界部に脂肪98が張り付くことを抑制することができるので、撮像デバイス17による分岐血管106の視認性を向上させることができる。
図13Aに示すように、剥離部材本体48には、長手方向に沿って貫通し、先端に向かって二酸化炭素等の流体を送るための2つの貫通孔(送気孔)97、99が形成されていてもよい。一方の貫通孔97は剥離部54の上部の先端面に開口しており、他方の貫通孔99は第1傾斜面64の下部外側(側部50とは反対側の部分)に開口している。なお、剥離部54に対する貫通孔97、99の開口位置は任意に設定可能である。この場合、脂肪98を剥離する際に、貫通孔97を介して先端方向に流体を送ることにより剥離部54の先端面及び第1傾斜面64に脂肪98が張り付くことを抑制することができる。これにより、撮像デバイス17による剥離部54の先端方向(前方)の視認性を向上させることができる。図13Aにおいて、貫通孔97、99の一方を省略してもよい。また、剥離部材本体48には、貫通孔97、99と同様の貫通孔をさらに1つ又は複数形成してもよい。
図13Bに示すように、剥離部材46には、第1溝部78の少なくとも一部を下方から覆うように設けられた一対のプレート部101、103が設けられていてもよい。プレート部101は剥離部材本体48から延出しており、プレート部103は側方延出部68から延出している。これらプレート部101、103の間には、分岐血管106が挿通可能な隙間105が形成されている。一対のプレート部101、103の離間間隔は、第2溝部80の溝幅と略同一に設定されている。各プレート部101、103の厚みは、側方延出部68の厚みよりも薄く形成されている。このような構成によれば、プレート部101、103によって、血管96の下方の脂肪98を剥離部材46の厚さ方向(剥離部材46と血管96との並び方向)に第2剥離デバイス14Aより下方の脂肪98から効率的に剥離することができる。
上述した剥離システム10及び血管採取方法において、第2剥離デバイス14Aに代えて、図14〜図18Bに示す剥離デバイス14B(以下、「第2剥離デバイス14B」と呼ぶ)が採用されてもよい。あるいは、第2剥離デバイス14Bだけを用いて、上述した剥離ステップを行ってもよい。なお、第2剥離デバイス14Bにおいて、第2剥離デバイス14Aと同様の構成要素には同じ参照符号を付し、重複した説明を省略する。
[第2剥離デバイス14B]
図14に示す第2剥離デバイス14Bは、伏在静脈等の血管96に沿って生体内に挿入される長尺状のデバイスである。第2剥離デバイス14Bは、ユーザによって把持可能に構成された把持部44と、把持部44の先端部に設けられた剥離部材110とを備える。第2剥離デバイス14Bの把持部44は、第2剥離デバイス14Aの把持部44と同様に構成されている。
剥離部材110は、把持部44の軸線上に設けられた剥離部材本体112と、剥離部材本体112の幅方向両側に設けられた一対の側部114とを備える。剥離部材本体112は、把持部44の先端に固定された基部116と、基部116の先端から先端方向に延出した剥離部118とを有する。
図15A及び図15Bにおいて、基部116は、剥離部材110の長手方向に沿って延在する内腔120を有する中空状に形成されている。具体的には、基部116は、円筒状に構成されている。なお、基部116の横断面輪郭形状は、楕円形、台形等の他の形状であってもよい。
基部116の内腔120の先端は、剥離部118によって閉じられている。内腔120の基端は、基部116の基端面にて開口している。内腔120の径は把持部44の外径よりも大きい。内腔120の基端側領域に、把持部44の先端部が挿入され固定されている。内腔120において、把持部44よりも先端側には、撮像デバイス17の先端部が進入可能な空洞122が形成されている。
剥離部材110(特に、基部116及び剥離部118)は、透明性(光透過性)を有する。剥離部材110の構成材料は、上述した剥離部材46の構成材料と同じものが挙げられる。このように基部116及び剥離部118が透明性を有するため、挿入ルーメン45に撮像デバイス17を挿入することで、撮像デバイス17によって、基部116及び剥離部118の前方及び周囲を撮像し、観察することができる。
剥離部材110は、実質的に無色透明であるのが好ましいが、透明性を有していれば、着色されていてもよい。剥離部材110は、全体が透明性を有している必要はなく、基部116及び剥離部118だけ(特に、観察窓として機能する剥離部118だけ)が、透明性を有していてもよい。また、剥離部材110では、剥離部118が他の部分の一体成形された部分である必要はなく、空洞122の先端開口が透明性を有する別の部材で閉じられていてもよい。
図14〜図15Bにおいて、剥離部118は、剥離部材110が血管96に沿って前進する際に組織(脂肪98等)を剥離するものであって、剥離部118の基端側を構成する第1剥離部124と、剥離部118の先端側を構成する第2剥離部126とを有する。血管96と剥離部材110との並び方向に組織を剥離しやすいように、第1剥離部124の厚さ(剥離部材110の高さ方向に沿った寸法)は、基端方向に向かって漸増している(図14及び図15B参照)。具体的には、第1剥離部124は、基端方向に向かうに従って上方へと変位するように傾斜する第1傾斜面128を有する。
第2剥離部126は、板状の突起であって、組織の剥離の起点となる。第2剥離部126は平面視で台形状に形成されており、第2剥離部126の幅寸法は先端方向に向かって漸減している。
各側部114は、基部116に設けられた側方基部130と、側方基部130から先端方向に延出した側方延出部132と、側方延出部132から先端方向に延出した案内部134とを有している。側方基部130は、基部116の下部から剥離部材110の幅方向片側に張り出した板状部136と、板状部136の張り出した端部から上方に延出した外壁部138とを含む。外壁部138の高さ寸法は、基部116の厚み(外径)と略同一である。
側方延出部132は、剥離部材110の幅方向に剥離部材本体112に対して離間するように外壁部138の先端から先端方向に延出している。具体的には、側方延出部132は、外壁部138から先端方向斜め下方に延在した後、先端方向に基部116の軸線方向に沿って直線状に延在している(図14参照)。側方延出部132の先端側には、剥離部材110の基端側の平坦な底面140(基部116の底面及び側方基部130の底面)と同一平面上に位置する平坦な側方底面142(第1部位)を有している。側方底面142は、第2剥離部126と同じ長手方向の位置において第2剥離部126の下面よりも下方(第2剥離部126の一方の側)に位置している(図15B参照)。ここで、第2剥離部126の下方(第2剥離部126の一方の側)とは、脂肪98を剥離する際に筋膜104が位置する側である。
図14、図15A及び図15Cにおいて、側方延出部132と剥離部118との間には、分岐血管106を受け入れて基部116側へ案内する血管誘導路144が設けられている。すなわち、血管誘導路144は、挿入ルーメン45の中心軸(内腔120の中心軸)に対して剥離部材110の幅方向に異なる位置に設けられている。これにより、挿入ルーメン45に撮像デバイス17を挿入することにより、剥離部118(第2剥離デバイス14A)の前方と血管誘導路144に位置する分岐血管106とを同時に視認することができる。
血管誘導路144は、剥離部材110の厚さ方向に貫通している。従って、血管誘導路144は、剥離部材110の先端方向、上方及び下方に開口している。ここで、第2剥離デバイス14Aにおいて、上方とは外壁部138の延出方向(図14の上方)をいい、下方とは外壁部138の延出方向とは反対方向(図14の下方)をいう。
図15A及び図15Cにおいて、血管誘導路144は、血管誘導路144の先端側領域を構成する第1溝部148(導入部)と、血管誘導路144の基端側領域を構成する第2溝部150とを有する。第1溝部148は、基端方向に向かって幅が狭くなっている。第1溝部148の幅は、第2溝部150の幅よりも広い。第2溝部150は、第1溝部148と連通し、剥離部材110の長手方向に沿って延在する直線状の溝である。第2溝部150の基端は、基部116の内腔120の先端よりも基端側に位置している(図15A参照)。
図14〜図15Cに示すように、案内部134は、分岐血管106を血管誘導路144に案内するものであって、側方延出部132の先端部から先端方向に向かって上方に湾曲するように延出している。案内部134は、基端方向に向かうに従って下方へと変位するように傾斜する第2傾斜面152(第2部位)を有する。換言すれば、第2傾斜面152は、側方底面142から先端方向に向かって上方に延在している。第2傾斜面152は、第2剥離部126と同じ高さ位置において第2剥離部126の先端よりも先端側に位置している(図15B参照)。案内部134の先端には、剥離部材110の長手方向に沿って突出した凸部154(第3部位)が設けられている。
この凸部154によって、第2傾斜面152に接触した分岐血管106が案内部134の先端側から外れることを抑えることができる。凸部154の先端は、丸みを帯びた形状に形成されている。これにより、凸部154によって第2剥離デバイス14Bによって剥離すべき部位以外の組織(筋膜104等の剥離周辺組織)に当たり剥離周辺組織が傷つくことを抑えることができる。凸部154は、第2剥離部126よりも先端側且つ上方(第2剥離部126の他方の側)に位置している。ここで、第2剥離部126の上方(第2剥離部126の他方の側)とは、脂肪98を剥離する際に血管96が位置する側である。
このように構成された側部114では、第2傾斜面152は、剥離部材110の高さ方向において側方底面142と凸部154との間に位置している。また、第2傾斜面152は、剥離部材110の長手方向において側方底面142よりも先端側且つ凸部154よりも基端側に位置している。
図15Cに示すように、剥離部材110には、分岐血管106を止血及び切断するための一対の処理部88が各血管誘導路144に対応して設けられている。各処理部88は、第2剥離デバイス14Aの処理部88と同様に構成されている。
図1に示した第1剥離デバイス12と、上記のように構成された第2剥離デバイス14Bとを用いた場合でも、剥離ステップ、切断ステップ及び摘出ステップを上記と同様に行うことにより、バイパス管として用いるための血管96を採取することができる。
第2剥離デバイス14Bを用いた剥離ステップでは、図16Aのように、剥離部材110の底面140が血管96とは反対側に向くように第2剥離デバイス14Bを切開部102から挿入する。そして、図16Bのように血管96の周りに上下反転させながら180°回転させることにより、第2剥離デバイス14Bを血管96の下側の脂肪98内に配置する。なお、第2剥離デバイス14Bは、切開部102に挿入しながら回転させても構わない。
第2剥離デバイス14Bでは、側方底面142が第2剥離部126と同じ長手方向の位置において第2剥離部126の下面よりも下方(底面140側)に位置するとともに第2傾斜面152が第2剥離部126と同じ高さ位置において第2剥離部126の先端よりも先端側に位置している。また、凸部154が第2剥離部126よりも先端側且つ上方に位置している。そのため、第2剥離デバイス14Bの生体内への挿入時に、第2剥離部126が剥離周辺組織に当たることを抑えることができる。
剥離部材110は、図17のように、生体内を血管96に沿って前進する際に、剥離部118によって血管96の下方の脂肪98を剥離部材110の厚さ方向(剥離部材110と血管96との並び方向)に剥離する。具体的には、第2剥離部126を起点に血管96の下方の脂肪98を剥離し、第1剥離部124の第1傾斜面128に沿って脂肪98を押し広げるとともに血管96を上方(皮膚100側)へ持ち上げる。
図18Aのように、脂肪98からむき出しにされた分岐血管106を案内部134に引っ掛けて血管誘導路144に導入する。このような案内部134によって、分岐血管106を血管誘導路144に効率的に誘導することができる。そして、血管誘導路144の第1溝部148によって分岐血管106を第2溝部150に引き寄せる。その後、図18Bのように、第2溝部150に導かれた分岐血管106を処理部88へと案内し、止血部90で止血(焼灼)した後、切断部92で切断する。
このように、第2剥離デバイス14Bによれば、剥離部材110に血管誘導路144が設けられているため、第2剥離デバイス14Bを血管96に沿って挿入する際に、第2剥離デバイス14Bは生体内の組織(脂肪98)を剥離するとともに、組織中に埋もれた分岐血管106を簡単に捕捉することができる。これにより、捕捉した分岐血管106を、挿入ルーメン45に挿入された撮像デバイス17により観察しながら、分岐血管106の止血及び切断を簡単に行うことができる。
また、第2剥離デバイス14Bでは、第2剥離部126が生体内の組織の剥離の起点となるため、組織を容易に剥離することができる。さらに、第2剥離デバイス14Bでは、側方底面142が剥離部材110の高さ方向において第2剥離部126よりも下方(第2剥離部126の一方の側)に位置し、第2傾斜面152が第2剥離部126と同じ高さ位置において第2剥離部126よりも先端側に位置している。そのため、第2剥離デバイス14Bの生体内への挿入時に、第2剥離部126が剥離周辺組織に当たり剥離周辺組織が傷つくことを抑えることができる。
第2剥離デバイス14Bでは、側方底面142が第2剥離部126と同じ長手方向の位置において第2剥離部126の下方に位置しているため、第2剥離デバイス14Bの生体内への挿入時に第2剥離部126が剥離周辺組織に当たることを一層抑えることができる。
第2剥離デバイス14Bでは、凸部154が第2剥離部126よりも上方に位置しているので、第2剥離デバイス14Bの生体内への挿入時に第2剥離部126が剥離周辺組織に当たることを効果的に抑えることができる。また、第2剥離部126は、先端方向に向かって徐々に幅狭に形成されているので、第2剥離部126により生体内の組織を一層容易に剥離することができる。
この第2剥離デバイス14Bでは、案内部134及び血管誘導路144を剥離部材本体112の幅方向両側に一つずつ設けているため、分岐血管106を効率的に捕捉することができる。また、例えば、2本の分岐血管106を各血管誘導路144で同時に捕捉することができる。さらに、各血管誘導路144に対応して一組の処理部88を設けているため、各処理部88によって各分岐血管106の止血及び切断を効率的に行うことができる。
その他、第2剥離デバイス14Bにおいて、第2剥離デバイス14Aと同様の構成を有する部分については、第2剥離デバイス14Aと同様の作用効果が得られる。
本発明に係る剥離デバイスは、上記の第2剥離デバイス14A、14Bの構成に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…剥離システム 12…第1剥離デバイス
14A、14B…第2剥離デバイス 16、44…把持部
17…撮像デバイス 18、46、110…剥離部材
45…挿入ルーメン 50、114…側部
52、116…基部 54、118…剥離部
56、120…内腔 66、130…側方基部
70…屋根部 72、134…案内部
74、144…血管誘導路 88…処理部
95…持ち上げ部 96…血管
106…分岐血管 124…第1剥離部
126…第2剥離部 142…側方底面
152…第2傾斜面 154…凸部

Claims (9)

  1. 撮像デバイスが挿入可能な挿入ルーメンを有し、ユーザによって把持可能に構成された把持部と、
    前記把持部の先端部に設けられた剥離部材と、を備え、
    前記剥離部材は、
    前記挿入ルーメンと連通する内腔を有する基部と、
    前記基部から先端方向に延出し、血管に沿って生体内に挿入される際に生体内の組織を剥離する剥離部と、
    前記血管から分岐した分岐血管を前記剥離部材の先端部から受け入れて前記基部側へ案内する血管誘導路と、を有し、
    前記血管誘導路は、前記挿入ルーメンの中心軸とは異なる位置に設けられている、
    ことを特徴とする剥離デバイス。
  2. 請求項1記載の剥離デバイスにおいて、
    前記剥離部材は、前記剥離デバイスの長手方向に対して垂直な幅方向に前記剥離部に対して離間するように設けられた側部を有し、
    前記血管誘導路は、前記剥離部と前記側部との間に設けられている、
    ことを特徴とする剥離デバイス。
  3. 請求項2記載の剥離デバイスにおいて、
    前記側部は、前記分岐血管を前記血管誘導路に案内する案内部を有する、
    ことを特徴とする剥離デバイス。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の剥離デバイスにおいて、
    前記血管誘導路の基端は、前記基部の内腔の先端よりも基端側に位置している、
    ことを特徴とする剥離デバイス。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の剥離デバイスにおいて、
    前記血管誘導路は、先端から基端方向に向かって幅が漸減している、
    ことを特徴とする剥離デバイス。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の剥離デバイスにおいて、
    前記血管誘導路の基端部の幅は、前記血管誘導路の先端部の幅よりも狭い、
    ことを特徴とする剥離デバイス。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の剥離デバイスにおいて、
    前記剥離部は、前記剥離デバイスの長手方向に対して垂直な高さ方向の厚さが、基端方向に向かって厚くなる、
    ことを特徴とする剥離デバイス。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の剥離デバイスにおいて、
    前記血管誘導路の基端部には、前記分岐血管の止血及び切断を行う処理部が設けられている、
    ことを特徴とする剥離デバイス。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の剥離デバイスにおいて、
    前記剥離部材は、前記分岐血管が通過可能なように前記血管誘導路の少なくとも一部を部分的に覆う屋根部を有する、
    ことを特徴とする剥離デバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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