JP2003199747A - 内視鏡的血管採取用処置シース - Google Patents

内視鏡的血管採取用処置シース

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JP2003199747A
JP2003199747A JP2001401938A JP2001401938A JP2003199747A JP 2003199747 A JP2003199747 A JP 2003199747A JP 2001401938 A JP2001401938 A JP 2001401938A JP 2001401938 A JP2001401938 A JP 2001401938A JP 2003199747 A JP2003199747 A JP 2003199747A
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retainer
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Hidemoto Kasahara
秀元 笠原
Takahiro Ogasaka
高宏 小賀坂
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Olympus Corp
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】血管と側枝の切断位置との距離を十分に確保で
き、側枝を結紮する際の結び代を十分に確保できるとと
もに、側枝を切断する際の操作性を向上できる内視鏡的
血管採取用処置シースを提供することにある。 【解決手段】皮切部より腔内に挿入可能なシース本体1
0に、少なくとも硬性鏡4、血管保持手段としての血管
保持子21及び血管切断手段としてのバイポーラカッタ
ー18を挿通し、前記腔内の採取対象血管を採取する内
視鏡的血管採取用処置シースであって、前記シース本体
10に挿通された前記硬性鏡4を挟んで前記血管保持子
21とバイポーラカッター18を略対称的に配置したこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば内視鏡的
に大伏在静脈等の皮下血管を採取する内視鏡的血管採取
用処置シースに関する。
【0002】
【従来の技術】内視鏡的に大伏在静脈等の皮下血管を牽
引して採取する際に使用されるカニューレ及び外科方法
は、例えば、PCT/US99/31242や特開20
00−37389号公報で知られている。前記カニュー
レは、内部に器具挿通路を有する真っ直ぐな管状体で、
その近位端に操作部が設けられている。カニューレの器
具挿通路には操作部側から牽引子、硬性鏡及び切開鉗子
が挿脱自在に挿通されている。牽引子はその遠位端にカ
ニューレの先端部から突出してカニューレの軸方向に対
して角度のあるループ部を有している。
【0003】前記カニューレを用いて内視鏡的に大伏在
静脈等の皮下血管を採取する際には次の外科方法を採用
している。すなわち、図23に示す、100は下肢を示
し、大腿部の鼠頸部A上部から足首Bに亘る大伏在静脈
等の採取対象血管(以下、血管という)Cの全長に亘っ
て採取する場合、血管Cの直上で、例えば、鼠頸部A上
方又は膝D、足首Bの何れか一ヶ所にメス等によって皮
切部E1又はE2又はE3を設ける。
【0004】そして、各皮切部E1又はE2又はE3の
部位にてダイセクター等により血管Cを露出させる。さ
らに各皮切部E1又はE2又はE3より肉眼で観察可能
な距離について血管Cの直上組織を同様のダイセクター
等で剥離する。
【0005】図24は図23のX−X線に沿う断面図で
あり、101は表皮、102は皮下組織、103は血管
上結合組織であり、この血管上結合組織103の下部に
前記血管Cが存在する。まず、ダイセクターとしてカニ
ューレ先端にコニカルチップの付いた状態のカニューレ
を用い血管Cとその周囲組織とを剥離して腔Gを形成す
る。ここでは膝Dの皮切部E2と鼠頸部Aに向かって伸
びている血管Cの採取について述べる。カニューレ先端
からコニカルチップを取り除き、皮切部E2から腔Gの
内部に前記カニューレを挿入し、硬性鏡によって観察し
ながら膝Dの皮切部E1に向かって血管Cの上方に沿わ
せるようにして挿入する。
【0006】カニューレを腔Gに挿入する過程で、カニ
ューレの近位端の操作部を操作して牽引子を進退操作し
ながら、その遠位端のループ部で血管Cを保持して皮下
組織102と血管上結合組織103とから剥離させ、血
管Cの途中から分岐された複数本の側枝Fを切開鉗子に
よって切断する。この操作を繰り返すことにより、皮切
部E2から鼠頸部Aまでの間の血管Cを採取している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したP
CT/US99/31242や特開2000−3738
9号公報のものは、カニューレの器具挿通路に牽引子、
硬性鏡及び切開鉗子が挿脱自在に挿通された構造である
が、カニューレの軸心部に牽引子が配置され、硬性鏡及
び切開鉗子はカニューレの外周部に偏心した位置に配置
されている。
【0008】従って、カニューレを狭い腔内に押し進め
る際に、カニューレの外周部が腔内組織に接触するた
め、カニューレの外周部に偏心して配置されている硬性
鏡の対物レンズ面に粘膜、血液、皮下脂肪等が付着し易
く、硬性鏡の視野を妨げるという問題がある。また、採取
した血管を心臓のバイパスとして使用する際には、血管
Cの途中から分岐された側枝Fの全てを糸等によって結
紮するため、糸の結び代を確保するために長い側枝Fが
必要である。さらに、側枝Fを切断する際には本管とし
ての血管Cに傷を付けないための安全代を確保する必要
がある。しかし、前述したPCT/US99/3124
2や特開2000−37389号公報のように、カニュ
ーレの軸心部に牽引子が配置されていると、血管Cを切
開鉗子から離すために、牽引子の先端部を湾曲した構造
にする必要がある。牽引子の湾曲した先端部にループ部
が設けられていると、カニューレを進退させる際に、ル
ープ部で血管Cを引っ掛けてしまう虞があり、さらに、
カニューレの軸心から牽引子が伸びてくると、内視鏡視
野内に大きく入るため、内視鏡視野を妨げるという問題
がある。この発明は前記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、大伏在静脈等の血管を内
視鏡観察下で採取する際に、血管と側枝の切断位置との
距離を十分に確保でき、また内視鏡の視野が確保でき、操
作性に優れた内視鏡的血管採取用処置シースを提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は前記目的を達
成するために、請求項1は、皮切部より腔内に挿入可能
なシース本体に、少なくとも内視鏡、血管保持手段及び
血管切断手段を挿通し、前記腔内の採取対象血管を採取
する内視鏡的血管採取用処置シースであって、前記シー
ス本体に挿通された前記内視鏡を挟んで前記血管保持手
段と血管切断手段とを略対称的に配置したことを特徴と
する。請求項2は、請求項1の内視鏡は、前記シース本
体の軸心部に配置され、前記血管保持手段と血管切断手
段が、前記シース本体の外周部に偏心して配置されてい
ることを特徴とする。
【0010】前記構成によれば、シース本体に内視鏡を
挟んで血管保持手段と血管切断手段とを略対称的に配置
することにより、血管保持手段と血管切断手段との間の
距離を最大限に大きく取れるため、血管と側枝の切断位
置との距離を十分に確保できる。また、内視鏡をシース
本体の軸心部に配置することにより、腔内組織から最も
離れた位置に対物レンズ面が位置し、粘膜、血液、皮下脂
肪が対物レンズ面に付着し難く、内視鏡の視野を確保で
きる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。
【0012】図1は内視鏡的血管採取手術に使用する内
視鏡的血管採取装置を示し、これはトロッカー1と、処
置シース2と、拡張手段としてのダイセクター3及び内
視鏡としての硬性鏡4とから構成されている。
【0013】トロッカー1は、合成樹脂材料等によって
一体成形されており、略円板状のフランジ5には円筒状
の案内管6が斜めに貫通して設けられている。案内管6
の表面には挿入時の滑りを良くするための潤滑コーティ
ングが施されている。この案内管6の先端部6aは鋭角
にカットされており、先端部6aの端面はフランジ5と
略平行に形成されている。さらに、案内管6の基端部に
は送気口金8が一体に設けられている。
【0014】次に、処置シース2について説明すると、
図2及び図3に示すように構成されている。シース本体
10は合成樹脂材料等からなる真っ直ぐな円筒状で、表
面には挿入時の滑りを良くするための潤滑コーティング
が施されている。このシース本体10の近位端には把持
部を構成する円筒状の操作部カバー11が嵌着され、遠
位端には先端カバー12が嵌着されている。
【0015】シース本体10の軸心部には内視鏡チャン
ネル13が全長に亘って設けられている。内視鏡チャン
ネル13の近位端は操作部カバー11を貫通して手元側
に突出しており、遠位端にはシース本体10の前端面か
ら突出するフランジ部13aが設けられている。シース
本体10の内部で、内視鏡チャンネル13を挟んで上部
側に偏心した部位には第1の処置具チャンネル14が設
けられ、下部側に偏心した部位には第2の処置具チャン
ネル15が設けられている。従って、第1の処置具チャ
ンネル14と第2の処置具チャンネル15は内視鏡チャ
ンネル13を挟んで対称的に最も離れた位置に配置され
ている。
【0016】第1の処置具チャンネル14の近位端は操
作部カバー11の内部の第1のスライド操作部16に開
口しており、第2の処置具チャンネル15の近位端は操
作部カバー11の内部の第2のスライド操作部17に開
口している。第1の処置具チャンネル14には後述する
血管切断手段としてのバイポーラカッター18が軸方向
に進退自在に挿通され、この近位端には第1のスライド
操作部16の長孔16aの範囲内で軸方向にスライド自
在な処置具操作部19が設けられている。また、バイポ
ーラカッター18にはバイポーラケーブル20が接続さ
れ、このバイポーラケーブル20は長孔16aから外部
に導出されている。
【0017】第2の処置具チャンネル15には後述する
血管保持手段としての血管保持子21が軸方向に進退自
在に挿通され、この近位端には第2のスライド操作部1
7の長孔17aの範囲内で軸方向にスライド自在な保持
子操作部22が設けられている。
【0018】さらに、シース本体10の内部で、内視鏡
チャンネル13の一側部には軸方向に貫通穴23が設け
られている。この貫通穴23には後述するワイパー24
のワイパーロッド25が周方向に回転自在に挿通されて
いる。ワイパーロッド25の遠位端は略L字状に折曲さ
れ、その先端部にはワイパーゴム26が設けられてい
る。
【0019】ワイパーロッド25の近位端は操作部カバ
ー11の内部の回動操作部27まで延長し、操作部カバ
ー11の内壁に回転自在に支持されている。ワイパーロ
ッド25の近位端にはワイパー操作部28が固定され、
このワイパー操作部28は操作部カバー11の周方向の
長孔27aの範囲内で回動自在である。また、操作部カ
バー11の手元側には内視鏡チャンネル13に固定した
状態で内視鏡保持部30が設けられている。内視鏡保持
部30は前記硬性鏡4の接眼部31を収納するに十分な
内腔を有しており、周壁32の一部(上部)には接眼部
31に設けられたライトガイド口金33が挿入係合され
る切欠部34が設けられている。
【0020】従って、硬性鏡4の挿入部35を内視鏡チ
ャンネル13に挿入し、ライトガイド口金33を切欠部
34に挿入係合して接眼部31を内視鏡保持部30に保
持すると、処置シース2に対する硬性鏡4の回り止めが
なされ、硬性鏡4の上下の姿勢が設定されるようになっ
ている。次に、前記ダイセクター3について説明する
と、真っ直ぐな円筒状の挿入筒部36の軸心部には硬性
鏡4の挿入部35が挿通される挿通路37が設けられて
いる。挿入筒部36の表面には挿入時の滑りを良くする
ための潤滑コーティングが施されている。この挿入筒部
36の遠位端には透明な合成樹脂材料によって円錐筒状
に形成された剥離部材38が固定されている。挿入筒部
36の近位端には内視鏡保持部39が設けられ、硬性鏡
4の接眼部31を保持するようになっている。次に、前
記バイポーラカッター18について説明すると、図4及
び図5に示すように構成されている。すなわち、カッタ
ー本体40は合成樹脂材料等の透明な絶縁部材からな
り、シース本体10の円弧状の内周面に沿うように帯状
板体の横断面を円弧状に湾曲した形状で、遠位端にはV
字状にカットしたV溝41が設けられている。
【0021】V溝41の底部における上部には体側電極
42が固定され、下部にはカット電極43が固定されて
いる。体側電極42及びカット電極43にはそれぞれリ
ード線44、45が接続されており、これらリード線4
4,45はカッター本体40の上面及び下面に沿って配
線され、前記バイポーラケーブル20に接続されてい
る。さらに、リード線44、45は絶縁皮膜46,47
によって覆われ、絶縁されている。
【0022】次に、前記血管保持子21について説明す
ると、図6に示すように構成されている。血管保持子2
1は合成樹脂材料等によって平面視で、略三角形状に形
成され、上面は平坦面48に、下面は円弧凹面49に形
成されている。そして、血管保持子21の後端一側部に
偏った位置に操作ロッド50が連結され、操作ロッド5
0は前記第2の処置具チャンネル15に進退自在に挿通
されている。
【0023】血管保持子21の先端部の組織を剥離する
剥離部51は鋭角で、左右対称的に第1のテーパ面52
a,52bが形成されている。さらに、剥離部51の上
下面には先端に向かって上下面が狭幅となるように斜面
53a,53bが形成されている。血管保持子21の操
作ロッド50との結合部と反対側の第1のテーパ面52
aの裾部は円弧状の第2のテーパ面54に形成され、こ
の第2のテーパ面54は血管保持子21の平坦面からな
る後端の血管を引っ掛ける引っ掛け部55に連続してい
る。 図7(a)(b)は処置シース2の内視鏡チャンネル1
3に対して硬性鏡4の挿入部35を装填した状態を示
し、処置シース2の先端部からバイポーラカッター18
及び血管保持子21を突出している。バイポーラケーブ
ル20は高周波発生装置56に接続され、ライトガイド
口金33はライトガイドケーブル57が接続されてい
る。 次に、前述のように構成された血管採取装置を用いて下
肢の大腿部の鼠頸部から足首に亘る大伏在静脈等の採取
対象血管(以下、血管という)の全長に亘って採取する
場合について説明する。 図8は下肢60を示し、61は血管である。まず、膝6
2と鼠頸部63との間の血管61を採取する際には、血
管61の直上で膝62の一ヶ所にメス等によって皮切部
64を設ける。
【0024】皮切部64にてダイセクター等により血管
61露出させる。さらに、皮切部64より肉眼で観察可
能な距離について血管61の真上組織を同様のダイセク
ター等で剥離する。 次に、図9に示すように、剥離部材38を通した状況は
硬性鏡4の接眼部31に接続されたTVカメラヘッド7
4を介してTVカメラ75によって撮像され、モニター
76にモニター画像として表示される。血管61に沿っ
て剥離部材38を挿入し、少し挿入したところで、トロ
ッカー1の案内管6を鼠頸部63に向かって斜め(血管
61と略平行)に挿入し、先端部6aを下向きにする
と、フランジ5の下面の粘着層9が表皮65に接着固定
される。この状態で、送気口金8に送気ポンプ66と接
続されている送気チューブ67を接続する。
【0025】挿入筒部36の外周面は気密リング7と密
着していることから、案内管6及び腔内69の内部は気
密状態となり、かつ案内管6と挿入筒部36との間には
送気通路68が確保される。
【0026】また、硬性鏡4のライトガイド口金33は
ライトガイドケーブル57により光源装置78に接続さ
れている。従って、硬性鏡4の先端部から照明光を照射
して腔内69を照明することができる。送気ポンプ66
を駆動すると、送気チューブ67、送気口金8及び送気
通路68を介して腔内69に送気され、腔内69が拡張
される。 ここで、腔内69には表皮65の下層の皮下組織70、
血管上結合組織71及び血管上結合組織71の下部には
血管61が存在し、血管61には複数本の側枝72が分
岐しており、側枝72の他端部は血管上結合組織71に
結合されている。また、血管上結合組織71には皮下脂
肪73が付着している。 次に、前記モニター画像を確認すると、術者は、モニタ
ー76によって血管61や側枝72を鮮明に観察でき
る。
【0027】従って、ダイセクター3の挿入に際して
は、モニター76によって腔内69を観察しながら血管
61、側枝72に損傷を与えないように血管上結合組織
71と血管61、側枝72とを剥離部材38によって剥
離しながら少し押し込み、また少し戻すという操作によ
り徐々に進める。このとき、ダイセクター3を上下・左
右に振ってもトロッカー1は表皮65に粘着層9によっ
て固定されているため、トロッカー1が表皮65から外
れることはない。そして、ダイセクター3を膝62から
鼠頸部63に向かって血管61に沿って貫通させる。
【0028】ダイセクター3によって剥離手技が完了す
ると、ダイセクター3をトロッカー1から抜き取り、図
11に示すように、トロッカー1の案内管6に硬性鏡4
を挿入した状態の処置シース2を挿入する。 処置シース2の操作部カバー11を術者が片手で把持し
たまま、例えば親指で保持子操作部22を前進させる
と、血管保持子21がシース本体10の先端カバー12
から突出する。また、操作部カバー11を把持した片手
の人差し指でカッター操作部19を前進させると、先端
カバー12からバイポーラカッター18が突出する。す
なわち、術者は操作部カバー11を片手で把持したま
ま、血管保持子21を進退させたり、バイポーラカッタ
ー18を進退させることができる。 従って、図12に示すように、腔内69の血管上結合組織
70に皮下脂肪73が大量に存在した場合にはバイポー
ラカッター18を突出させた状態で、処置シース2を押
し進めて腔内69を押し広げることができる。このと
き、血管保持子21は、その下面が円弧凹面49に形成
されているため、血管61の上面を滑らせて前進させる
ことができ、血管61に損傷を与えることがない。 また、図13に示すように、皮下脂肪73に側枝72が
埋まっている場合があるが、この場合、血管保持子21
を処置シース2から突出させ、血管保持子21の剥離部5
1を皮下脂肪73に突き刺して血管61から剥離させた
り、処置シース2の全体をトロッカー1の案内管6内で
周方向に回動することにより、血管保持子21を回動し
て側枝72から皮下脂肪73を剥離することができる。
このときの様子は、図14に示すようにモニター76に
モニター画像として表示されるため、術者はモニター画
像によって血管保持子21の姿勢を確認でき、血管61
及び側枝72に損傷を与えることがない。 腔内69の皮下脂肪73を排除しながら処置シース2を
腔内69に押し進め、目的とする側枝72に血管保持子
21をアプローチする。このときも血管保持子21の円
弧凹面49を血管61の上面に当て、血管61の上面を
滑らせて前進させることができ、血管61に損傷を与え
ることがない。 また、図15(a)〜(c)は、血管保持子21によっ
て側枝72を保持する手技を示す。血管保持子21は第
1のテーパ面52aを有し、これと連続して第2のテー
パ面54に形成されているため、血管保持子21を前進
させると、まず、第1のテーパ面52aに側枝72が接触
する。
【0029】さらに血管保持子21を前進させると、第
1のテーパ面52aから第2のテーパ面52bに接触し
たのち、側枝72が引っ掛け部55に滑り落ちて引っ掛
かる。従って、血管保持子21の前進操作によって簡単に
側枝72を保持できる。側枝72の途中に血管保持子2
1の引っ掛け部55を引っ掛けて血管保持子21を手前
側に引くと、図16に示すように、側枝72にテンション
が加わり、側枝72の切断位置を血管61から離れた位
置、つまり側枝72を長く確保できる。図17は側枝72
を血管保持子21の引っ掛け部55に引っ掛けた状態の
モニター画像であり、術者はモニター画像によって側枝
72を保持したことを確認できる。 次に、バイポーラカッター18を前進させ、血管保持子2
1で保持した側枝72にバイポーラカッター18をアプ
ローチする。このとき、図18のモニター画像に示すよ
うに、バイポーラカッター18が血管61に接触しない
ように血管保持子21によって血管61をバイポーラカ
ッター18から離れる方向に退避させることができる。
【0030】図19(a)〜(c)は、側枝72をバイ
ポーラカッター18によって切断する手技を示す。バイ
ポーラカッター18の先端部にはV溝41が設けられて
いるため、バイポーラカッター18を側枝72に向かっ
て前進させると、側枝72はV溝41によってその底部
方向に引き寄せられる。従って、図20(a)に示すよう
に、側枝72はカット電極43に接触し、また、血管上
結合組織71又は側枝72に体側電極42に接触する。 術者がモニター画像によって側枝72がカット電極43
に接触し、血管上結合組織71又は側枝72に体側電極
42が接触したことを確認した後、術者が高周波発生装
置56のフットスイッチ80を操作して高周波電流を通
電する。すると、血管上結合組織71又は側枝72の体
側電極42に接触している領域は凝固され、側枝72は
カット電極43によって切断される。従って、図20
(b)に示すように、血管61が側枝72によって血管
上結合組織71に結合されていた部分は側枝72の切断
によって切り離される。 なお、採取した血管61を心臓のバイパスとして使用す
る際には、血管61の途中から分岐された側枝72の全
てを糸等によって結紮するため、糸の結び代を長くする
ことが必要であるが、バイポーラカッター18が血管6
1に接触しないようにバイポーラカッター18から離れ
た位置にある血管保持子21によって血管61をバイポ
ーラカッター18から離れる方向に退避させることがで
きるため、側枝72の糸の結び代を長く確保できる。 側枝72を切断した後、図21に示すように、血管保持子
21を血管61の下側に通して持ち上げ、モニター画像
によって側枝72が完全に切断処置されているか否かを
確認する。
【0031】さらに、腔内69をモニター画像によって
観察しながら次の側枝72に血管保持子21をアプロー
チし、バイポーラカッター18とともに再び前述と同様
の手技を繰り返し、側枝72を切断して血管61を血管
上結合組織71から切り離す。
【0032】硬性鏡4は処置シース2の軸心部に配置さ
れているため、腔内69の周囲組織から最も離れた位置
にあり、対物レンズ面4aに血液、粘膜や皮下脂肪73
等の付着物81が付着し難い構成であるが、前述のよう
に側枝72を切断する手技を繰り返すと、硬性鏡4の対
物レンズ面4aに血液、粘膜や皮下脂肪73等の付着物
81が付着し、硬性鏡4による視野が妨げられることが
ある。このような場合、操作部カバー11を把持したま
ま、手指によってワイパー操作部28をトーションコイ
ルばね29の付勢力に抗して回動させると、図22に示
すように、ワイパーロッド25を介してワイパー24が
回動し、ワイパーゴム26の掻き取り部26aによって
対物レンズ面4aに付着している血液、粘膜や皮下脂肪
73等の付着物81を掻き取ることができる。
【0033】ワイパー24はトーションコイルばね29
によって付勢されているため、ワイパー操作部28から
手指を離すと、対物レンズ面4aから退避する方向に復
帰する。従って、前述した操作を数回繰り返すことによ
り、対物レンズ面4aにこびり付いて落ち難い皮下脂肪
73等の付着物81であってもきれいに掻き取ることが
できる。また、ワイパー操作部28から手指を離すと、
ワイパー24は対物レンズ面4aから退避する方向に復
帰するため、ワイパー24が硬性鏡4の視野を妨げるこ
とはない。 前述したように、側枝72を切断して血管61を血管上
結合組織71から切り離す手技を繰り返し、鼠頸部63
まで進んだところで、側枝72の切断を終了する。そし
て、血管61の真上の鼠頸部63にメス等によって皮切
部を形成し、この皮切部から血管61を外部に引き出し
て血管61を切断し、血管61の両切断端末を糸によっ
て結紮する。 次に、膝62の皮切部64から足首に向かう血管61の
採取手技を行って最終的に1本の血管(約60cm)を
採取する。手技方法は前述した膝62から鼠頸部63ま
での血管61を採取する方法と基本的に同様であり、説
明を省略する。 採取した血管61には切断された複数本の側枝72が分
岐されているが、側枝72は十分な長さの結び代が確保
されているため、側枝72を糸によって結紮する際にも
結紮し易いという効果がある。 前記実施の形態によれば、側枝を切断する高周波処置具
としてバイポーラカッターを用いたが、モノポーラカッ
ターでもよく、超音波処置具あるいは機械的に切断する
カッターでもよい。 前述した構成によれば、次のような構成が得られる。 (付記1)皮切部より腔内に挿入可能なシース本体に、
少なくとも内視鏡、血管保持手段及び血管切断手段を挿
通し、前記腔内の採取対象血管を採取する内視鏡的血管
採取用処置シースであって、前記シース本体に挿通され
た前記内視鏡を挟んで前記血管保持手段と血管切断手段
とを略対称的に配置したことを特徴とする内視鏡的血管
採取用処置シース。 (付記2)前記内視鏡は、前記シース本体の軸心部に配
置され、前記血管保持手段と血管切断手段は、前記シー
ス本体の外周部に偏心して配置されていることを特徴と
する付記1記載の内視鏡的血管採取用処置シース。
【0034】(付記3)前記シース本体は、その軸心部
に前記内視鏡を挿通する内視鏡チャンネルを有している
ことを特徴とする付記1記載の内視鏡的血管採取用処置
シース。 (付記4)前記血管切断手段は、高周波処置具からな
り、シース本体の先端から軸方向に突出させる動作と高
周波電流を通電させる動作によって血管を切断すること
を特徴とする付記1記載の内視鏡的血管採取用処置シー
ス。 (付記5)前記血管保持手段は、シース本体の先端から
軸方向に突出する血管保持子を備え、この血管保持子は
血管を引っ掛ける引っ掛け部を有していることを特徴と
する付記1記載の内視鏡的血管採取用処置シース。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、シース本体に内視鏡を挟んで血管保持手段と血管切
断手段とを略対称的に配置することにより、血管保持手
段と血管切断手段との間の距離を最大限に大きく取れる
ため、血管と側枝の切断位置との距離を十分に確保で
き、側枝を結紮する際の結び代を十分に確保できるとと
もに、側枝を切断する際の操作性を向上できる。また、
内視鏡をシース本体の軸心部に配置することにより、腔
内組織から最も離れた位置に対物レンズ面が位置し、粘
膜、血液、皮下脂肪が対物レンズ面に付着し難く、内視鏡
の視野を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す血管採取装置
の側面図。
【図2】同実施形態を示し、硬性鏡を挿通した状態の処
置シースの縦断側面図。
【図3】同実施形態を示し、硬性鏡を挿通した状態の処
置シースの縦断平面図。
【図4】同実施形態を示し、処置シースの先端部の正面
図。
【図5】同実施形態のバイポーラカッターを示し、
(a)は上面図、(b)は縦断側面図、(c)は下面図。
【図6】同実施形態の血管保持子を示し、(a)は上面
図、(b)は縦断側面図、(c)は正面図。
【図7】同実施形態を示し、(a)は血管採取装置の処
置シースの斜視図、(b)は先端部の斜視図。
【図8】同実施形態を示し、下肢に皮切部を形成した状
態の図。
【図9】同実施形態を示し、下肢の皮切部にトロッカー
を装着し、トロッカーを案内として腔内にダイセクター
を挿入した状態の断面図。
【図10】同実施形態のモニター画像を示す図。
【図11】同実施形態を示し、トロッカーを案内として
腔内に処置シースを挿入した状態の全体構成図。
【図12】同実施形態を示し、腔内に処置シースを挿入
した状態の断面図。
【図13】同実施形態を示し、腔内の処置状態の断面
図。
【図14】同実施形態のモニター画像を示す図。
【図15】同実施形態を示し、(a)〜(c)は血管保
持子の作用を示す斜視図。
【図16】同実施形態を示し、処置状態の腔内断面図。
【図17】同実施形態のモニター画像を示す図。
【図18】同実施形態のモニター画像を示す図。
【図19】同実施形態を示し、(a)〜(c)はバイポ
ーラカッターの作用を示す平面図。
【図20】同実施形態を示し、(a)(b)はバイポー
ラカッターの作用を示す腔内断面図。
【図21】同実施形態を示し、処置状態の腔内断面図。
【図22】同実施形態を示し、処置シースの先端部の斜
視図。
【図23】下肢に皮切部を形成した状態の図。
【図24】図23のX−X線に沿う断面図。
【符号の説明】
1…トロッカー 2…処置シース 4…硬性鏡 18…バイポーラカッター 19…カッター操作部 21…血管保持子 22…保持子操作部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 23/24 A61B 17/39 310 (72)発明者 小賀坂 高宏 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 Fターム(参考) 2H040 DA02 DA51 DA56 4C060 AA10 KK03 KK10 KK12 MM25 4C061 AA24 DD01 FF43 GG14 GG15 GG26 GG27 HH56

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 皮切部より腔内に挿入可能なシース本体
    に、少なくとも内視鏡、血管保持手段及び血管切断手段
    を挿通し、前記腔内の採取対象血管を採取する内視鏡的
    血管採取用処置シースであって、 前記シース本体に挿通された前記内視鏡を挟んで前記血
    管保持手段と血管切断手段とを略対称的に配置したこと
    を特徴とする内視鏡的血管採取用処置シース。
  2. 【請求項2】 前記内視鏡は、前記シース本体の軸心部
    に配置され、前記血管保持手段と血管切断手段が、前記
    シース本体の外周部に偏心して配置されていることを特
    徴とする請求項1記載の内視鏡的血管採取用処置シー
    ス。
JP2001401938A 2001-12-27 2001-12-28 内視鏡的血管採取用処置シース Pending JP2003199747A (ja)

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JP2016529961A (ja) * 2013-07-17 2016-09-29 ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ネブラスカ ロボット外科的デバイス、システムおよび関連する方法

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