以下、本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図13を参照して説明する。
図11に、縦型の皮剥装置10を示す。この皮剥装置10は、被皮剥物a(図1参照)の皮を剥く皮剥処理を行うものである。なお、被皮剥物aは、例えば皮を有するもので、ジャガイモ、サツマイモ、里芋、ニンジン、玉ねぎ等の球根類が含まれる。
皮剥装置10は、装置本体11、この装置本体11内に組み込まれた皮剥ユニット12、装置本体11の側面に配設された取出ユニット13、および装置本体11の上部に着脱可能に取り付けられた投入シュート14等を備えている。
そして、図11および図12に示すように、装置本体11は、上下方向に軸方向を有していて上下方向に開口する円筒状に形成された胴部17、およびこの胴部17の下部に設けられた複数の脚部18を備えている。
胴部17の周面上部側には、皮剥ユニット12で皮が剥かれた被皮剥物aつまり皮剥処理済みの被皮剥物aを外部に取り出すための本体取出口(図示せず)が形成され、この本体取出口を覆って取出ユニット13が取り付けられている。さらに、胴部17の周面上部側には、皮剥ユニット12への電源の供給・遮断つまり皮剥ユニット12の駆動・停止を操作するスイッチユニット19が取り付けられているとともに、投入シュート14を着脱可能に係止する複数の係止金具20が取り付けられている。
また、図1ないし図3に示すように、皮剥ユニット12は、被皮剥物aが投入される筒状体23、この筒状体23の底部に配設されて上面に被皮剥物aを支持する回転板体24、およびこの回転板体24を回転駆動する駆動機構25等を備えている。筒状体23の内側でかつ回転板体24の上側に、被皮剥物aを収容して皮剥処理をする処理空間部26が形成されている。なお、図2および図3には、皮剥ユニット12とともに、取出ユニット13も一緒に図示している。
皮剥ユニット12の筒状体23は、金属を素材としており、例えばマルテンサイト・フェライト・オーステナイト系のステンレス鋼を素材としている。筒状体23は、上下方向に軸方向を有する有底円筒状に形成されている。筒状体23は、上面開口状の筒状板部28、およびこの筒状板部28の底面側を閉塞するように設けられた底板部29を有している。
筒状板部28には、皮剥ユニット12で皮が剥かれた被皮剥物aつまり皮剥処理済みの被皮剥物aを外部に取り出すための取出口30が形成されている。取出口30は、皮剥ユニット12が組み込まれる装置本体11の本体取出口の内側に配置され、その本体取出口に連通される。また、筒状板部28には筒状体23内に散水する散水口31が設けられ、この散水口31には筒状板部28の外面から突出する給水パイプ32が連通されている。給水パイプ32は、皮剥ユニット12が組み込まれる装置本体11の胴部17から外部に突出され、給水ホース等を接続可能としている。
底板部29の中央部には、駆動機構25によって回転される回転軸33が回転可能に挿通されている。底板部29の周辺部近傍には、被皮剥物aから剥かれた皮を排出するための排出孔34が形成されている。排出孔34には略L字形に屈曲された排出管35が取り付けられている。排出管35の先端側は、皮剥ユニット12が組み込まれる装置本体11の胴部17から外部に突出されている。
さらに、皮剥ユニット12の回転板体24は、金属を素材としており、例えばマルテンサイト・フェライト・オーステナイト系のステンレス鋼を素材としている。回転板体24は、上下方向の回転中心軸線Xを中心として水平方向に回転する。回転板体24の回転中心軸線Xは、筒状体23の軸芯(上下方向中心軸線)を通る線であって、回転軸33の回転中心軸線である。
図1、図4および図5に示すように、回転板体24は、円板状の回転板部37を備えている。回転板部37の裏面である下面の中央部には、回転軸33の上端に着脱可能に連結される連結部38が設けられている。この連結部38が回転軸33に連結された状態では、回転板体24が回転軸33と一体に回転する。回転板部37の下面周辺部には、筒状体23の底板部29上に落下した被皮剥物aから剥かれた皮を排出孔34に掻き出す掻き出し板部39が突設されている。回転板部37の上面中央部には、回転軸33に対する回転板体24の脱着の際に把持される取手部40が設けられている。
回転板部37の上面には、平面部41、およびこの平面部41から突出する攪拌突部42が設けられている。攪拌突部42は、2つで、回転板部37の周方向に180度間隔をおいて位置されている。なお、攪拌突部42は、少なくとも1つあればよいが、2つ以上の複数として回転板部37の周方向に等間隔に位置してもよい。攪拌突部42は、平面視の形状が扇状に形成されているとともに、接線方向(回転方向F)の断面が三角形状に形成されている。攪拌突部42には、回転板体24の回転方向Fに対向して平面状の掬い面43が傾斜状に設けられているとともに、回転方向Fに対して反対側に平面状の傾斜面44が設けられている。回転板部37の上面に対する掬い面43および傾斜面44のそれぞれの傾斜角度は、掬い面43の傾斜角度が傾斜面44の傾斜角度よりも小さい関係にある。
回転板部37と攪拌突部42とは一体でも別体でもよい。別体の場合には、攪拌突部42を回転板部37に溶接等で固着してもよいし、攪拌突部42を回転板部37に対して脱着可能としてもよい。
回転板体24の外周面と筒状体23の筒状板部28との間には、被皮剥物aから剥かれた皮が筒状体23内に散水された水によって下方の底板部29上に排出される隙間45が設けられている。
さらに、図2および図3に示すように、皮剥ユニット12の駆動機構25は、筒状体23の下側に配設されている。筒状体23の下側にモータ46が配設され、モータ46の出力軸47にプーリ48が固着され、回転軸33に動力を伝達する伝達軸49にプーリ50が固着され、これらプーリ48,50に伝達ベルト51が掛け渡されている。そして、駆動機構25は、モータ46の動力を回転軸33に伝達して、回転軸33を回転させる。
また、図1、図2および図4に示すように、回転板部37の上面(平面部41および攪拌突部42の上面)には、被皮剥物aの皮を剥くための複数の目立部53が設けられている。複数の目立部53は、回転板部37の平面部41の略全域、および攪拌突部42の少なくとも掬い面43の略全域に形成されており、さらに攪拌突部42の傾斜面44に形成されていてもよい。なお、図2および図4には、回転板部37の上面に設けられる目立部53のうちの一部のみを示し、残りは図示を省略している。
図6および図7に示すように、目立部53は、回転板部37の上面に対して斜め方向から鏨を打ち込み、回転板部37の素材であるステンレス鋼を塑性変形させることによって形成されている。目立部53には、回転板部37の上面に対して斜め方向から鏨を打ち込む方向である所定の目立方向Aの手前側(上流側)に窪み部54が設けられ、奥側(下流側)に膨出部55が形成されている。
窪み部54は、窪みの幅が目立方向Aへ向けて徐々に広がるように三角形状に形成されているとともに、回転板部37の上面からの窪み量が目立方向Aへ向けて徐々に大きくなっている。窪み量は、窪み部54の幅方向中央で最大となっている。
膨出部55は、目立方向Aの窪み部54の端部側で回転板部37の上面から膨出されている。回転板部37の上面から突出する膨出部55の高さH1は、被皮剥物aがジャガイモの場合、例えば0.3mm程度が好ましい。なお、回転板部37の上面からの膨出部55の突出高さは、被皮剥物aの種類に応じて皮を剥くのに適切となるように設定される。この場合、被皮剥物aの種類毎に適切な目立部53を有する回転板体24を複数種類用意しておくことにより、皮剥処理しようとする被皮剥物aの種類に応じた回転板体24を選択し、交換するようにしてもよい。
膨出部55には、窪み部54に臨む面側に膨出面56が設けられ、窪み部54に対して反対の面側に回転板部37の上面に向けて傾斜する傾斜面57が設けられている。膨出面56は、回転板部37の上面に対する角度αが90°よりも小さく、回転板部37の上面に対して垂直な方向よりも窪み部54上に傾斜(前傾)するように立ち上がり、かつ、回転板部37の上面から山形または三角形状に突出されている。膨出面56の先端側には、窪み部54上に傾斜する角度が膨出面56よりも小さく、つまり、回転板部37の上面に対する角度が膨出面56の角度αよりも大きい先端面56aが形成されている。膨出部55の先端側であって、膨出面56と傾斜面57とでなす角部は、鋭角に設けられている。そして、膨出部55は、被皮剥物aの皮を剥く刃部58である。
ここで、目立部53の寸法関係について説明する。目立方向Aにおける窪み部54の長さL1は、膨出部55の長さL2よりも長く、2倍以上となっている。膨出部55の高さH1は、窪み部54の最大の深さH2よりも大きく、2倍以上となっている。回転板部37の上面に対する膨出部55の膨出面56の角度αは、90°よりも小さく、鋭角になっている。このような寸法関係を満たすことにより、被皮剥物aの皮剥処理に適した目立部53が形成されている。
なお、目立部53の大きさや形状は、鏨の先端形状、鏨の打ち込み強さおよび角度に応じて任意に形成することができる。また、目立部53を形成するステンレス鋼の板の厚みは、あまり薄いと目立部53を形成できないため、0.8mm以上あることが好ましく、一方、厚みの上限については制約がない。
図8に示すように、複数の目立部53は、所定の間隔をあけて配列されている。図8には、複数の目立部53の目立方向Aが同一で、複数の目立部53が縦横方向(或いは斜め方向)に規則的に並ぶ例を示す。なお、複数の目立部53の配列は、複数の目立部53の目立方向Aが異なっていてもよいし、複数の目立部53が縦横方向や斜め方向に対して不規則に並んでいてもよい。例えば、図9に示すように、複数の目立部53を複数列に配列する場合、複数の目立部53の列毎に、目立方向Aが反対向きとなるように異ならせてもよい。
そして、図4に示すように、回転板部37の上面に複数の目立部53が設けられているが、複数の目立部53の目立方向Aの向きは回転板部37の回転方向Fに対して規則的な方向に向けられている。例えば、複数の目立部53の目立方向Aを回転板部37の回転方向Fに対して反対向きに統一して設けている。
なお、複数の目立部53の目立方向Aの向きは回転板部37の回転方向Fに対して不規則な方向に向けてもよい。例えば、目立方向Aを同一とする複数の目立部53を1つの目立部群として、複数の目立部群を回転板部37の上面に設けるようにし、その際、目立部群毎の目立方向Aが回転板部37の回転方向Fに対してランダムな方向に向くように設けてもよい。
さらに、複数の目立部53は、回転板部37の上面に直接設けてもよいし、或いは、図10に示すように、複数の目立部53を設けた複数の目立板60を用いてもよい。なお、図10には、目立板60の上面に設けられる目立部53のうちの一部のみを示し、残りは図示を省略している。
目立板60は、例えば1.5mmのステンレス鋼の板の表面に複数の目立部53を設けたものであり、複数の目立部53の目立方向Aが同一で、複数の目立部53が縦横方向(或いは斜め方向)に規則的に並ぶものとする。この目立板60を複数枚生産し、所定枚数の目立板60を回転板部37に組み合わせて一体化する。すなわち、複数の目立板60を回転板部37のベース板37aの上面に配列し、これら目立板60を例えば溶接によってベース板37aに固着し、一体化する。複数の目立板60を回転板部37のベース板37aの上面に配列する際、回転板部37の平面部41の形状や攪拌突部42の形状に合わせてカットが必要な目立板60についてはカット加工を施す。
この場合にも、全ての目立板60に設けられている目立部53の目立方向Aの向きが回転板部37の回転方向Fに対して規則的な方向に向けられていてもよいし、目立板60毎に目立部53の目立方向Aの向きが回転板部37の回転方向Fに対してランダムな方向に向けられていてもよい。
また、図1、図2、図12および図13に示すように、筒状体23の筒状板部28の内面にも、複数の筒状体目立部63が設けられている。なお、これら各図には、筒状板部28の内面に設けられる筒状体目立部63のうちの一部のみを示し、残りは図示を省略している。
筒状体目立部63は、上述した目立部53と同じ構造であり、目立部53の窪み部54および膨出部55に対応した筒状体窪み部64および筒状体膨出部65を備えている。すなわち、筒状体目立部63は、筒状板部28の内面に沿った所定の目立方向Aへ向けて筒状板部28の内面から徐々に窪む筒状体窪み部64、および目立方向Aの筒状体窪み部64の端部側で筒状板部28の内面から膨出されている筒状体膨出部65をそれぞれ有している。
複数の筒状体目立部63の目立方向Aは、回転板体24の回転方向Fと同じ方向で、筒状板部28の周方向に沿って向けられており、また、複数の筒状体目立部63は、縦横方向(或いは斜め方向)に規則的に配列されている。なお、複数の筒状体目立部63の目立方向Aは、回転板体24の回転方向Fや、筒状板部28の周方向に対してランダムな方向に向けられていてもよく、また、複数の筒状体目立部63は、縦横方向(或いは斜め方向)に対して不規則に配列されていてもよい。
なお、筒状体目立部63は、筒状体23の筒状板部28の内面に直接設けてもよいし、或いは、筒状体23とは別体に設けられていて筒状体23の内側に配置される目立筒の筒状板部の内面に設けてもよい。別体の目立筒を用いる場合には、目立筒を筒状体23の内側に対して着脱可能に構成することにより、例えば被皮剥物aの種類に応じた筒状体目立部63が設けられた目立筒に交換や、筒状体目立部63の消耗に伴う交換ができるようにしてもよい。
また、回転板体24の上面周辺部、および回転板体24に近い筒状体23の位置には、すなわち隙間45に近い回転板体24および筒状体23の位置には、目立部53および筒状体目立部63がそれぞれ設けられていない。
また、図11および図12に示すように、取出ユニット13は、装置本体11の本体取出口を覆って胴部17の外面に取り付けられた取出口枠68、およびこの取出口枠68に開閉可能に設けられた開閉体69を備えている。
取出口枠68は、装置本体11の胴部17に固定される固定部70を有し、この固定部70に本体取出口を通じて筒状体23の取出口30に連通する取出口(図示せず)が形成されている。固定部70の下側からシュート部71が突設されているとともに、固定部70の両側からガイド部72が突設されている。
開閉体69は、固定部70の上部側に連結された軸73を中心として上下方向に回動し、固定部70の取出口を開閉する。開閉体69には、開閉操作部74が回動可能に取り付けられており、この開閉操作部74の両端がガイド部72に設けられたストッパ75に係止されることによって開閉体69が閉塞状態に保持される。
図1に示すように、開閉体69には、この開閉体69の閉鎖時に、筒状体23の取出口30に嵌合されて筒状体23の筒状板部28の内面の一部を構成する開閉板部76が設けられている。開閉板部76は、ステンレス鋼によって形成され、開閉板部76の内面にも筒状体目立部63が形成されている。
また、図11に示すように、投入シュート14は、装置本体11の上端に着脱可能で、係止金具20によって装置本体11に保持される。投入シュート14には、被皮剥物aを筒状体23内に投入するための投入口78が設けられている。
次に、第1の実施の形態の皮剥装置10の動作を説明する。
皮剥作業を行うには、所定量の複数個の被皮剥物aを、投入シュート14の投入口78から皮剥装置10内に投入する。投入口78から投入された被皮剥物aは、回転板体24上に支持されて、筒状体23内に収容される。
給水パイプ32に接続された給水ホースを通じて水を給水し、筒状体23内に散水口31から水を散水させる。スイッチユニット19を操作し、駆動機構25によって回転板体24を回転方向Fに回転させる。
そして、散水口31から水が散水された状態で、回転板体24が回転方向Fに回転すると、被皮剥物aは、筒状体23内において、任意の方向に回転しながら姿勢変更する。
この際、被皮剥物aの皮(表皮)は、回転板体24の目立部53(膨出部55)、および筒状体23(開閉板部76を含む)の筒状体目立部63(筒状体膨出部65)との各接触により、剥き取られる。つまり、被皮剥物aの皮全体が、これら目立部53,63によって剥かれる。また、被皮剥物aは、散水口31から散水される水で洗浄される。
さらに、回転板体24の上面の攪拌突部42によって被皮剥物aが押し上げられ、回転板体24上に被皮剥物aが複数段に重なっている場合に上下の被皮剥物aが入れ替わり、被皮剥物aが攪拌され、筒状体23内の全ての被皮剥物aの皮剥作業が均一に行われる。
そして、被皮剥物aから剥かれて分離した皮は、散水された水によって回転板体24の周辺域に送られ、筒状体23と回転板体24との隙間45から散水された水とともに筒状体23の底板部29上に落下し、排出孔34から排出管35内を通って、装置本体11外に排出される。このとき、回転板体24の上面周辺部、および回転板体24に近い筒状体23の位置には、すなわち隙間45に近い回転板体24および筒状体23の位置には、目立部53および筒状体目立部63がそれぞれ設けられておらず、被皮剥物aから剥かれた皮を散水された水とともに隙間45に対して円滑に排出することができる。
また、皮剥作業の完了後、開閉体69を開状態とすることにより、皮が剥かれた被皮剥物aが開口された取出口からシュート部71上を通って、装置本体11外に取り出される。
また、皮剥作業後の洗浄時には、投入シュート14を外し、回転板体24を筒状体23内から取り出すことにより、筒状体23の内部や、回転板体24を容易に洗浄することができる。回転板体24については、煮沸消毒ができる。
そして、このような皮剥装置10の回転板体24によれば、回転板部37の上面に複数の目立部53を設けているため、効率よく皮剥処理ができ、皮を剥いた被皮剥物aの品質を良好かつ安定させることができる。
すなわち、例えば、回転板部の上面にカーボランダム粒子を接着した従来の回転板体の場合、経年変化や衝撃によりカーボランダム粒子が脱落し、異物混入の不具合が発生するおそれがあるが、本実施の形態の回転板体24は、経年変化や衝撃により目立部53が脱落するようなことがなく、異物混入の不具合の発生を防止できる。
さらに、例えば、回転板部に皮剥用孔部を設けるともにこの皮剥用孔部の縁を切り起こして皮剥用刃部を設けた従来の回転板体の場合に比べて、回転板部37の上面に細かく多数の目立部53を設けることができるとともに、回転板部37に皮剥用孔部がないことで被皮剥物aから剥いた皮が皮剥用孔部に詰まるようなことがなく、効率よく皮剥処理ができる。さらに、回転板部37に皮剥用孔部がないことで、被皮剥物aが皮剥用孔部に入り込んで皮とともに大きく削られてしまうようなことがなく、皮を剥いた被皮剥物aの品質を良好かつ安定させることができる。
しかも、回転板部37に皮剥用孔部がないことで、回転板体24を容易に洗浄することができる。
さらに、目立部53は、回転板部37の上面に沿った所定の目立方向Aへ向けて回転板部37の上面から徐々に窪む窪み部54、および目立方向Aの窪み部54の端部側で回転板部37の上面から膨出されている膨出部55を有する構成であり、効率よく皮剥処理ができ、皮を剥いた被皮剥物aの品質を良好かつ安定させることができる。
また、回転板体24は、錆び等が発生せず、清掃作業も容易であることが望まれることから、ステンレス鋼で形成されるが、硬い材質であるとともに、サイズ的に大きいため、回転板部37の上面に目立部53を直接設けることは、製造が難しく、コストがかかる場合がある。そこで、回転板部37よりも小さい目立板60に目立部53を設け、所定枚数の目立板60を回転板部37に組み合わせて一体化することにより、製造性がよく、安価できる。
また、複数の目立部53の目立方向Aが、回転板体24の回転方向Fに対して規則的な方向に向けられていれば、例えば丸い形状の被皮剥物aの場合に、効率よく皮剥処理ができ、皮を剥いた被皮剥物aの品質を良好かつ安定させることができる。また、複数の目立部53の目立方向Aが、回転板体24の回転方向Fに対して不規則的な方向に向けられていれば、例えば異形の被皮剥物aの場合に、効率よく皮剥処理ができ、皮を剥いた被皮剥物aの品質を良好かつ安定させることができる。
これら複数の目立部53の目立方向Aの配列が異なる複数種類の回転板体24を用意しておくことにより、被皮剥物aの種類に応じた回転板体24を選択し、交換するようにできる。
また、筒状体23の筒状板部28の内面にも複数の筒状体目立部63を設けているため、上述した目立部53の作用効果と同様に、効率よく皮剥処理ができ、皮を剥いた被皮剥物aの品質を良好かつ安定させることができる。
しかも、筒状体23の筒状板部28に皮剥用孔部がないことで、筒状板部28の外側に被皮剥物aから剥いた皮や水が出ることがなく、皮剥装置10の構造を簡単かつ小形化でき、清掃作業も容易にできる。
さらに、筒状体23の筒状板部28に筒状体目立部63を直接設けることにより、皮剥装置10の構造を簡単かつ小形化でき、清掃作業も容易にできる。
また、筒状体23とは別体に設けられていて筒状体23の内側に着脱可能に配置される目立筒を用いてもよい。この別体の目立筒を用いる場合、被皮剥物aの種類に応じて適切に皮を剥くことができる筒状体目立部63が設けられた目立筒を用意し、被皮剥物aの種類に応じた目立筒を選択し、交換するようにしてもよい。
なお、皮剥装置10においては、少なくとも回転板体24に目立部53が設けられていれば、筒状体23の筒状板部28に筒状体目立部63が設けられていなくてもよい。
次に、図14ないし図19に第2の実施の形態を示す。
図14ないし図16に、横型の皮剥装置80を示す。
皮剥装置80は、複数の被皮剥物aが上方から投入される複数、例えば前後2つの処理空間部81を形成する仕切体82と、各処理空間部81の下面にそれぞれ配設され互いに対向する面側が上動するように少なくとも一部である外周面部が互いに異なる方向に回転する対をなす回転筒体83,84とを備えている。つまり、皮剥装置80は、処理空間部81に臨んで互いに同一高さで平行状に配設された細長い円筒状をなす複数本、例えば4本(2対)の回転筒体83,84を備えている。
さらに、皮剥装置80は、前後左右4本の脚部85を有する装置本体86と、この装置本体86に水平方向である前後方向の支軸(支点)87を中心として上下方向に回動可能に設けられ4本の回転筒体83,84を脱着可能に支持する回動フレーム体88とを備えている。
さらに、皮剥装置80は、4本の回転筒体83,84の少なくとも外周面部を回動フレーム体88に対して同期回転させる回転駆動手段89と、4本の回転筒体83,84を水平状態(軸方向が水平方向に沿った状態)および傾斜状態(軸方向が水平方向に対して傾斜する方向に沿った状態)に選択的に一斉に切り換えるための切換操作手段90とを備えている。
そして、4本の回転筒体83,84は、装置本体86に対する回動フレーム体88の上方回動により傾斜状態(排出処理状態)から水平状態(皮剥処理状態)に切り換えられ、装置本体86に対する回動フレーム体88の下方回動により水平状態(皮剥処理状態)から傾斜状態(排出処理状態)に切り換えられる。つまり、回転筒体83,84の各々は、例えば作業者(図示せず)による切換操作手段90の手動操作に基づいて、水平状態および傾斜状態に選択的に切り換え可能となっている。
さらに、両回転筒体83,84の水平状態時(回動フレーム体88の水平状態時)には、少なくとも外周面部が互いに異なる方向に回転する両回転筒体83,84の回転に基づいて、対応する処理空間部81内の被皮剥物aの皮が剥かれる。なお、剥かれて被皮剥物aから分離した皮は、回転筒体83,84の下方に位置する皮排出シュート91によって排出される。
さらに、両回転筒体83,84の傾斜状態時(回動フレーム体88の傾斜状態時)には、少なくとも外周面部が互いに異なる方向に回転する両回転筒体83,84の回転に基づいて、皮剥後の被皮剥物aが処理空間部81内から開口した排出口92を通って処理空間部81外へ排出される。なお、排出された被皮剥物aは、例えば容器(図示せず)内に落下して収納される。
また、仕切体82は、回動フレーム体88の仕切体載置部93に載置され、その回動フレーム体88に対して脱着可能に取り付けられている。なお、回動フレーム体88の仕切体載置部93には、仕切体82の突出板部94に形成された係合孔部95と係脱可能に係合する係合ピン96が立設されている。
仕切体82は、処理空間部81の前後面に互いに離間対向するように配設されその処理空間部81を仕切る対をなす対向仕切板部97と、処理空間部81の右端面に配設されその処理空間部81を仕切る仕切板部98とを有している。なお、処理空間部81の上面は、上方に向かって開口して被皮剥物aを処理空間部81内に投入するための投入用の開口部99となっているが、この開口部99は図示しない取手付きの上蓋にて開閉される。
仕切体82の左端部には、皮が剥かれた皮剥後の被皮剥物aを処理空間部81内から処理空間部81外へ排出するための排出口92が形成されている。そして、この処理空間部81の左端面に位置する排出口92を開閉する開閉体(出口シャッタ)100が、仕切体82の左端部の開閉体取付板部101に取付具102を介して上下方向に回動可能に取り付けられている。取付具102は、開閉体100が排出口92を閉塞する閉状態になるように付勢する付勢手段(例えばバネやゴム等)を有する。開閉体100の上部には取付板部103が折曲形成され、この取付板部103が取付具102に取り付けられている。
そして、回転筒体83,84の水平状態時(仕切体82の水平状態時)には、開閉体100が鉛直姿勢となって排出口92を閉鎖している。この開閉体100の閉状態から、回動フレーム体88が仕切体82とともに支軸87を中心として下方回動すると、図16に示すように、取付板部103が開閉ガイド104に当接し、開閉体100が取付具102の付勢手段(図示せず)の付勢力に抗して上方回動する。その結果、開閉体100が排出口92から離れて排出口92が開口し、開閉体100が開状態となる。このように、開閉体100は、回動フレーム体88の下方回動に連動して上方回動(開動作)することで開状態となり、逆に、回動フレーム体88の上方回動に連動して下方回動(閉動作)することで元の閉状態となる。なお、開閉ガイド104は、装置本体86の内面の所定位置に固定的に取り付けられている。
また、仕切体82および回転筒体83,84等を支持する回動フレーム体88は、切換操作手段90の操作レバー106の回動操作に基づいて、装置本体86内で回動フレーム体88等の自重により、装置本体86の右端側の支軸87を中心として下方回動するようになっている。
操作レバー106は、中間の1箇所で直角に折り曲げられた棒部材にて構成されたもので、水平状の排出口シュート107を有するカバー体108に回動可能に設けられている。カバー体108は、右側面(一側面)および下面のみが開口した箱形状のもので、装置本体86の排出口92側の端部である左端部に固設されている。
操作レバー106には、リンク(図示せず)を介して、回動フレーム体88の仕切体載置部93の先端部に形成されたガイド接触部109を下方から支持する板状の傾斜ガイド110が連結されている。
傾斜ガイド110は、例えばクサビ形状に形成されており、回動フレーム体88の水平状態時(回転筒体83,84の水平状態時)において、水平状に位置する第1ガイド面111と、右下りの傾斜状に位置する第2ガイド面112とを有し、この第2ガイド面112が第1ガイド面111の端部に連続している。
そして、回動フレーム体88の水平状態時には、回動フレーム体88のガイド接触部109の下面が傾斜ガイド110の第1ガイド面111に接触して支持され、回動フレーム体88が水平状態に維持されている。
この回動フレーム体88の水平状態から、例えば作業者が操作レバー106を右方に向けて回動操作すると、図16に示すように、この操作レバー106とともに傾斜ガイド110が回動し、この回動の際にはガイド接触部109が第1ガイド面111および第2ガイド面112に沿って順次スライドすることで回動フレーム体88が水平方向の支軸87を中心として下方回動する。その結果、ガイド接触部109が第2ガイド面112の下端部にて支持され、回動フレーム体88が傾斜状態となる。なお、切換操作手段90は、操作レバー106、リンクおよび傾斜ガイド110等にて構成されている。
また、回転筒体83,84は、金属を素材としており、例えばマルテンサイト・フェライト・オーステナイト系のステンレス鋼を素材としている。回転筒体83,84は、円筒状の回転筒部114、およびこの回転筒部114の両端面を閉塞する端板部115を備えている。なお、端板部115を備えることによって回転筒体83,84の内部が密閉され、剥いた被皮剥物aの皮が回転筒体83,84の内部に入らないようにできるが、端板部115はなくてもよい。
回転筒部114の表面(外周面)には、被皮剥物aの皮を剥くための複数の目立部116が設けられている。なお、図14ないし図16には、回転筒部114の表面に設けられる目立部116のうちの一部のみを示し、残りは図示を省略している。
図17および図18に示すように、目立部116は、回転筒部114の表面に対して斜め方向から鏨を打ち込み、回転筒部114の素材であるステンレス鋼を塑性変形させることによって形成されている。目立部116には、回転筒部114の表面に対して斜め方向から鏨を打ち込む方向である所定の目立方向Aの手前側(上流側)に窪み部117が設けられ、奥側(下流側)に膨出部118が形成されている。
窪み部117は、窪みの幅が目立方向Aへ向けて徐々に広がるように三角形状に形成されているとともに、回転筒部114の表面からの窪み量が目立方向Aへ向けて徐々に大きくなっている。窪み量は、窪み部117の幅方向中央で最大となっている。
膨出部118は、目立方向Aの窪み部117の端部側で回転筒部114の表面から膨出されている。回転筒部114の表面からの膨出部118の突出高さは、被皮剥物aがジャガイモの場合、例えば0.3mm程度が好ましい。なお、回転筒部114の表面からの膨出部118の突出高さは、被皮剥物aの種類に応じて皮を剥くのに適切となるように設定される。この場合、被皮剥物aの種類毎に適切な目立部116を有する回転筒体83,84を複数種類用意しておくことにより、皮剥処理しようとする被皮剥物aの種類に応じた回転筒体83,84を選択し、交換するようにしてもよい。
膨出部118には、窪み部117に臨む面側に膨出面119が設けられ、窪み部117に対して反対の面側に回転筒部114の表面に向けて傾斜する傾斜面120が設けられている。膨出面119は、回転筒部114の表面に対する角度αが90°よりも小さく、回転筒部114の表面に対して垂直な方向よりも窪み部117上に傾斜(前傾)するように立ち上がり、かつ、回転筒部114の表面から山形または三角形状に突出されている。膨出面119の先端側には、窪み部117上に傾斜する角度が膨出面119よりも小さく、つまり、回転筒部114の表面に対する角度が膨出面119の角度αよりも大きい先端面119aが形成されている。膨出部118の先端側であって、膨出面119と傾斜面120とでなす角部は、鋭角に設けられている。そして、膨出部118は、被皮剥物aの皮を剥く刃部121である。
ここで、目立部116の寸法関係について説明する。目立方向Aにおける窪み部117の長さL1は、膨出部118の長さL2よりも長く、2倍以上となっている。膨出部118の高さH1は、窪み部117の最大の深さH2よりも大きく、2倍以上となっている。回転筒部114の上面に対する膨出部118の膨出面119の角度αは、90°よりも小さく、鋭角になっている。このような寸法関係を満たすことにより、被皮剥物aの皮剥処理に適した目立部116が形成されている。
なお、目立部116の大きさや形状は、鏨の先端形状、鏨の打ち込み強さおよび角度に応じて任意に形成することができる。また、目立部116を形成するステンレス鋼の板の厚みは、あまり薄いと目立部116を形成できないため、0.8mm以上あることが好ましく、一方、厚みの上限については制約がない。
複数の目立部116は、回転筒部114の表面に所定の間隔をあけて配列されている。複数の目立部116は、例えば、目立方向Aが同一で、複数の目立部116が縦横方向(或いは斜め方向)に規則的に並んでいる。この場合、複数の目立部116の目立方向Aの向きは、回転筒部114の回転方向Fに対して規則的な方向に向けられており、図19に示すように、回転筒部114の回転方向Fに対して反対向きに統一されている。
なお、複数の目立部116の配列は、複数の目立部116の目立方向Aが異なっていてもよいし、複数の目立部116が縦横方向や斜め方向に対して不規則に並んでいてもよい。また、複数の目立部116の目立方向Aの向きは、回転筒部114の回転方向Fに対して不規則な方向に向けてもよい。例えば、目立方向Aを同一とする複数の目立部116を1つの目立部群として、複数の目立部群を回転筒部114の表面に設けるようにし、その際、目立部群毎の目立方向Aが回転筒部114の回転方向Fに対してランダムな方向に向くように設けてもよい。
さらに、複数の目立部116は、回転筒部114の表面に直接設けてもよいし、或いは、複数の目立部116を設けた複数の目立板(図10に示す目立板60を参照)を回転筒部114に組み合わせて一体化してもよい。この場合、回転筒体83,84の回転筒部114の形状は、円筒状(略円筒状を含む)には限定されず、多角筒状等でもよい。また、目立板は、回転筒部114の表面に固着してもよく、或いは、筒状に設け、軸方向に固着して回転筒部114を構成してもよい。
また、4本の各回転筒体83,84の各々は、回動フレーム体88に対して脱着可能で、軸部(図示せず)を中心として回動フレーム体88に回転可能に支持されている。すなわち、各回転筒体83,84の各々は、上下方向に対して交差する軸(水平方向の軸)を中心として、回動フレーム体88に回転可能に支持されている。
各回転筒体83,84の一端は、回動フレーム体88にそれぞれ回転可能に設けられた駆動軸123に脱着可能に連結されている。各駆動軸123にはプーリ124が固着されており、これら4本の回転筒体83,84の各プーリ124とテンションプーリ125と駆動プーリ126とには、一方向にのみ回行する伝動用のベルト(例えば両面歯付きベルト)127が掛け渡されている。駆動プーリ126は、駆動源であるモータ128の出力軸129に固定されている。そして、モータ128、駆動プーリ126、テンションプーリ125、プーリ124、ベルト127および駆動軸123等にて、回転駆動手段89が構成されている。なお、回転筒体83,84のそれぞれの回転速度とを同じ速度にする場合には各プーリ124の外径を同じ寸法にし、両回転速度を異ならせる場合には各プーリ124の外径を異なる寸法にすればよい。
そして、回転駆動手段89が作動すると、処理空間部81の下方の僅かな隙間を介して互いに離間対向する両回転筒体83,84は、互いに対向する面側が上動するように互いに異なる方向に向かって予め設定された回転速度で回転する。
なお、例えば図示しないが、装置本体86の前面部には操作手段用凹部が形成され、この操作手段用凹部内には複数のスイッチ等からなる操作手段が配設されている。
次に、第2の実施の形態の皮剥装置80の動作を説明する。
被皮剥物aの皮を剥く場合、作業者は、上蓋が開放された開口部99から処理空間部81内に所定量の被皮剥物aを投入する。
このとき、回転筒体83,84は、軸方向が水平方向に一致した所定の水平状態に設定されている。このため、処理空間部81内に投入された所定量の被皮剥物aは、水平状態の回転筒体83,84の回転筒部114によって下方から支持される。
次いで、作業者が上蓋を閉状態にして開口部99を閉鎖し、操作手段の運転ボタンを押すと、回転駆動手段89が作動し、水平状態の各回転筒体83,84が回転して皮剥処理が開始される。
そして、処理空間部81内の被皮剥物aの皮が、回転筒体83,84の目立部116にて削り取られるようにして剥かれる。つまり、回転筒体83,84の目立部116の膨出部118によって被皮剥物aの皮が剥き取られる。このとき、被皮剥物aは、処理空間部81内で回転中の回転筒体83,84上の定位置で転がるようにして、目立部116にてその表面の皮が剥かれる。
そして、剥き取られた皮は、回転筒体83,84の回転に伴って回転筒体83,84の下方に落下し、皮排出シュート91によって排出される。
そして、皮剥作業の開始後、予め設定したタイマ設定時間が経過すると、回転駆動手段89が停止し、回転筒体83,84の回転が一旦停止する。
次いで、図16に示すように、作業者が切換操作手段90の操作レバー106を回動操作すると、回動フレーム体88が回転筒体83,84とともに支軸87を中心として下方回動し、回転筒体83,84が水平状態から傾斜状態に切り換わる。この回動フレーム体88の下方回動に連動して開閉体100が回動して閉状態から開状態となり、その結果、処理空間部81の排出口92が斜め下方に向かって開口する。
そして、回転筒体83,84が傾斜状態になると、回転駆動手段89が作動し、傾斜状態の各回転筒体83,84が回転して排出作業が開始される。
その結果、皮剥後の被皮剥物aは、その自重により回転中の回転筒体83,84上を排出口92側に向かって転がり落ち、排出口92から処理空間部81外に排出された後、図示しない容器内に落下して収納される。
処理空間部81内のすべての被皮剥物aが排出された後、図15に示すように、作業者が切換操作手段90の操作レバー106を元の位置まで回動操作すると、回動フレーム体88が回転筒体83,84とともに支軸87を中心として上方回動し、回転筒体83,84が元の水平状態になる。この回動フレーム体88の上方回動に連動して開閉体100が回動して元の閉状態になる。
そして、回転筒体83,84が水平状態になると、回転駆動手段89が停止して回転筒体83,84の回転が止まる。
次いで、作業者が、上蓋を開状態にしてから次の所定量の被皮剥物aを処理空間部81に投入する等、上記動作の繰り返しにより、皮剥処理および排出処理が交互に行われる。
そして、このような皮剥装置80の回転筒体83,84によれば、回転筒部114の表面に複数の目立部116を設けているため、効率よく皮剥処理ができ、皮を剥いた被皮剥物aの品質を良好かつ安定させることができる。
すなわち、例えば、回転筒部に皮剥用孔部を設けるとともにこの皮剥用孔部の縁を切り起こして皮剥用刃部を設けた従来の回転筒体の場合に比べて、回転筒部114の表面に細かく多数の目立部116を設けることができるとともに、回転筒部114に皮剥用孔部がないことで被皮剥物aから剥いた皮が皮剥用孔部に詰まるようなことがなく、効率よく皮剥処理ができる。さらに、回転筒部114に皮剥用孔部がないことで、被皮剥物aが皮剥用孔部に入り込んで皮とともに大きく削られてしまうようなことがなく、皮を剥いた被皮剥物aの品質を良好かつ安定させることができる。
しかも、皮剥用孔部を設けた従来の回転筒体の場合、被皮剥物aから剥いた皮が皮剥用孔部から回転筒体の内側に入って徐々に溜まっていくため、回転筒体が重くなって駆動系に負荷がかかり、回転筒体が偏心回転して振動や騒音が発生しやすくなる。そのため、回転筒体を装置本体から取り外し、回転筒体の内側に溜まった皮を取り出す皮取出作業が必要となり、この皮取出作業を頻繁に行わなければならず、皮剥作業の効率の低下を招くことになる。それに対して、本実施の形態の回転筒体83,84は、回転筒部114に皮剥用孔部がないことで、被皮剥物aから剥いた皮が回転筒部114の内側に入ったり溜まることがなく、皮取出作業を削減でき、皮剥作業効率を向上できる。
しかも、回転筒部114に皮剥用孔部がないことで、回転筒体83,84を容易に洗浄することができる。
さらに、目立部116は、回転筒部114の表面に沿った所定の目立方向Aへ向けて回転筒部114の表面から徐々に窪む窪み部117、および目立方向Aの窪み部117の端部側で回転筒部114の表面から膨出されている膨出部118を有する構成であり、回転筒部114に一体形成されているため、目立部116が簡単に脱落するようなことがなく、異物混入の不具合の発生を防止できる。
また、回転筒体83,84は、錆び等が発生せず、清掃作業も容易であることが望まれることから、ステンレス鋼で形成されるが、硬い材質であるとともに、サイズ的に大きいため、回転筒部114の表面に目立部116を直接設けることは、製造が難しく、コストがかかる場合がある。そこで、回転筒部114よりも小さい目立板に目立部116を設け、所定数の目立板を回転筒部114に組み合わせて一体化することにより、製造性がよく、安価できる。
また、複数の目立部116の目立方向Aが、回転筒体83,84の回転方向Fに対して規則的な方向に向けられていれば、例えば丸い形状の被皮剥物aの場合に、効率よく皮剥処理ができ、皮を剥いた被皮剥物aの品質を良好かつ安定させることができる。また、複数の目立部116の目立方向Aが、回転筒体83,84の回転方向Fに対して不規則的な方向に向けられていれば、例えば異形の被皮剥物aの場合に、効率よく皮剥処理ができ、皮を剥いた被皮剥物aの品質を良好かつ安定させることができる。
これら複数の目立部116の目立方向Aの配列が異なる複数種類の回転筒体83,84を用意しておくことにより、被皮剥物aの種類に応じた回転筒体83,84を選択し、交換するようにできる。
なお、皮剥装置80は、2対で4本の回転筒体83,84を備えた構成には限定されず、例えば1対で2本の回転筒体83,84を1つのみの処理空間部81の下面に配設した構成や、3対以上の回転筒体83,84を対応する各処理空間部81の下面に配設した構成等でもよい。
また、回転筒体83,84の回転筒部114の形状は、円筒状(略円筒状を含む)には限定されず、多角筒状等でもよい。