JP2017149803A - ポリカーボネート樹脂組成物及びそれよりなる成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形品にした際、耐衝撃性に優れ、耐擦傷性が良好であり、初期の光沢度も高く、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する光沢度の減少が少なく、耐光性が良好であり、常に光にさらされた状態でも、良好な光沢を維持できるポリカーボネート樹脂組成物、及びそれよりなる成形品を提供する。【解決手段】特定のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)およびコア・シェル構造からなるエラストマー(B)を含有し、前記エラストマー(B)のシェル部は、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つのモノマーおよびそれら以外のビニル化合物をモノマーとして含む重合体であり、前記ポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形体を耐光性試験した後に、JISK7105に準拠して測定した該成形体の光沢度が85以上であるポリカーボネート樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、植物由来原料であるイソソルビドを用いたポリカーボネート樹脂組成物であって、成形品にした際、耐衝撃性に優れ、初期の光沢度も高く、耐擦傷性が良好であり、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する光沢度変化が少なく、耐光性が良好であり、常に光にさらされた状態でも、良好な光沢を維持できるポリカーボネート樹脂組成物、及びそれよりなる成形品に関するものである。
近年、環境への配慮より植物由来の原料であるイソソルビドに代表されるエーテル基含有ジオールを用いたポリカーボネート樹脂が開発されている(例えば、特許文献1〜2)。
イソソルビドを用いたポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐光性や耐衝撃性に優れることが知られており、自動車内外装部品等への適用も知られている(特許文献3)。
一方、イソソルビドに由来する構成単位を含有するポリカーボネート樹脂と特定の耐衝撃改質剤を含有する樹脂組成物も知られている(特許文献4)。特許文献4には、その耐衝撃改質剤として、コア部にジエン系単量体とビニル系単量体との重合体を用い、シェル部にビニル系単量体を用いたコア・シェル型重合体が挙げられ、実施例では、コアがアクリル酸ブチルおよびブタジエンの少なくとも一方を用い、シェルにメチルメタクリレートを用いたコア・シェル型重合体を耐衝撃改質剤として用いている。
また、イソソルビドに由来する構成単位を含有するポリカーボネート樹脂とシリコーン化合物を含有する樹脂組成物も知られている(特許文献5)。特許文献5には、シリコーン化合物を含有することにより、耐擦傷性を向上することが記載されている。
国際公開WO2004/111106号パンフレット 国際公開WO2007/063823号パンフレット 特開2013−209585号公報 国際公開WO2014/021475号パンフレット 特開2015−199954号公報
近年、大型の自動車内外装部品に適用するに当たっては、耐衝撃性が良好であり、初期の光沢度も高く、高級感、重厚感のある高品質の部品であることを維持するため、成形品にした際、耐衝撃性に優れ、耐擦傷性が良好であり、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する光沢度変化が少なく、耐光性が良好であり、常に光にさらされた状態でも、良好な光沢を維持できるポリカーボネート樹脂組成物、及びそれよりなる成形品が求められるようになってきている。
しかし、特許文献4には、このポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃改質についての記載はあるものの、耐光性試験後でも高い光沢度を有することや耐擦傷性については、改善させるような構成は記載されていない。従って、これらの特性は実用化に際し、さらなる向上を期待されている。
また、特許文献5には、耐衝撃性及び耐擦傷性については記載されている。しかし、耐光性試験後でも高い光沢度を有することや耐衝撃性については、改善させるような構成は
記載されていない。従って、これらの特性は実用化に際し、さらなる向上を期待されている。
本発明の目的は、上記の従来の課題を解決し、成形品にした際、耐衝撃性に優れ、耐擦傷性が良好であり、初期の光沢度も高く、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する光沢度の減少が少なく、耐光性が良好であり、常に光にさらされた状態でも、良好な光沢を維持できるポリカーボネート樹脂組成物、及びそれよりなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、他の物質と擦れ合った際に、目視できるような傷がついていなかったとしても、光沢度が落ちていることが分かり、耐擦傷試験後の光沢度の変化を向上させることで、本発明の目的を達成できることを見い出した。
以下のいずれかのポリカーボネート樹脂組成物が、成形品にした際、耐衝撃性に優れ、初期の光沢度も高く、耐擦傷性が良好であり、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する光沢度変化が少なく、耐光性が良好であり、常に光にさらされた状態でも、良好な光沢を維持できるポリカーボネート樹脂組成物、及びそれよりなる成形品となることを見出し、本発明に到達した。
(イ) 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)およびコア・シェル構造からなるエラストマー(B)を含有し、
前記エラストマー(B)のシェル部は、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つのモノマーおよびそれら以外のビニル化合物をモノマーとして含む重合体であり、
前記ポリカーボネート樹脂組成物から成形された厚さ2mmの成形体をJISD 0205に準拠したブラックパネル温度89℃、相対湿度50%の環境下にて、キセノンアーク灯を用い、波長範囲が300〜400nmの試料面放射強度が75W/mで、珪酸塩ガラスのアウターガラスフィルター及び石英ガラスのインナーフィルターを介して900時間照射処理した後に、JIS K7105に準拠して測定した該成形体の光沢度が85以上であるポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2017149803
(ロ) 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)、コア・シェル構造からなるエラストマー(B)およびアミン化合物(C)を含有し、
アミン化合物(C)は、第二級アミンまたは第三級アミンの少なくとも一つの構造を有する化合物であり、
前記エラストマー(B)のシェル部は、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つのモノマーおよびそれら以外のビニル化合物をモノマーとして含む重合体であるポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2017149803
即ち、本発明の要旨は、下記に存する。
[1] 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)およびコア・シェル構造からなるエラストマー(B)を含有し、
前記エラストマー(B)のシェル部は、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つのモノマーおよびそれら以外のビニル化合物をモノマーとして含む重合体であり、
前記ポリカーボネート樹脂組成物から成形された厚さ2mmの成形体をJISD 0205に準拠したブラックパネル温度89℃、相対湿度50%の環境下にて、キセノンアーク灯を用い、波長範囲が300〜400nmの試料面放射強度が75W/mで、珪酸塩ガラスのアウターガラスフィルター及び石英ガラスのインナーフィルターを介して900時間照射処理した後に、JIS K7105に準拠して測定した該成形体の光沢度が85以上であるポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2017149803
[2] 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)、コア・シェル構造からなるエラストマー(B)およびアミン化合物(C)を含有し、
アミン化合物(C)は、第二級アミンまたは第三級アミンの少なくとも一つの構造を有する化合物であり、
前記エラストマー(B)のシェル部は、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つのモノマーおよびそれら以外のビニル化合物をモノマーとして含む重合体であるポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2017149803
[3] 前記ポリカーボネート樹脂(A)が、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位(a)と、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、及び前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外のエーテル基含有ジヒドロキシ化
合物からなる群より選ばれる1種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位(b)とを含む共重合ポリカーボネート樹脂である[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4] 前記エラストマー(B)のコア部は、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つをモノマーとして含む重合体である[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5] 上記ポリカーボネート樹脂組成物中、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対し、アミン化合物(C)を0.001重量部以上6重量部以下含む[1]乃至[4]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6] リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、及び脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン系化合物を含有する[1]乃至[5]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7] 前記[1]乃至[6]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を含有してなる成形品。
[8] 自動車内装部品又は外装部品である[7]に記載の成形品。
本発明によれば、成形品にした際、耐衝撃性に優れ、耐擦傷性が良好であり、初期の光沢度も高く、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する光沢度の減少が少なく、耐光性が良好であり、常に光にさらされた状態でも、良好な光沢を維持できるポリカーボネート樹脂組成物、及びそれよりなる成形品を得ることができる。また、本発明によれば、例えば、従来表面に塗装されていたような部品であっても、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いることにより、塗装を施すことなく、塗装品と同等の耐擦傷性を付与した部品を、簡便に供給することが可能となる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)(以下、単に「(A)成分」ということもある。)を含有することを特徴としている。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂である。
Figure 2017149803
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、成形性、耐熱性、耐衝撃性、表面硬度、カーボンニ
ュートラルの面から最も好ましい。
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は、環状エーテル構造を有するため、酸素によって徐々に酸化されやすいので、保管や、製造時には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤等を用いたり、窒素雰囲気下で取り扱うことが肝要である。例えば、イソソルビドが酸化されると、蟻酸等の分解物が発生する場合がある。これら分解物を含むイソソルビドをポリカーボネート樹脂の製造原料として使用すると、得られるポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の着色を招く可能性があり、又、物性を著しく劣化させる可能性があるだけではなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られない場合もある。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)以外に、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、及び式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外のエーテル基含有ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる一種以上のジヒドロキシ化合物(以下、「他のジヒドロキシ化合物」と称す場合がある。)に由来する構造単位(b)を含む共重合ポリカーボネート樹脂であることが、ポリカーボネート樹脂(A)の耐衝撃性の面で好ましい。
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、直鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物であっても、分岐鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物であってもよく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオールなどが挙げられる。などが挙げられる。
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノールが挙げられる。
エーテル基含有ジヒドロキシ化合物としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量150〜2000)、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の耐熱性を考えると、他のジヒドロキシ化合物としては、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物が好ましく、脂環式ジヒドロキシ化合物がさらに好ましく、脂環式ジヒドロキシ化合物の中でも、耐熱性と耐衝撃性の面より、シクロブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)における他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)の含有割合は、ポリカーボネート樹脂(A)中の全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位において、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が特に好ましい。また50モル%以下が好ましく、45モル%以下がより好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)中の他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)が少なすぎると耐衝撃性が不足する可能性があり、多すぎると耐熱性が不足する場合がある。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、一般に用いられるポリカーボネート樹脂の製造方法で製造することができ、その製造方法は、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とを反応させる溶融重合法のいずれの方法でもよいが、重合触媒の存在下に、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物を、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。また、溶融重合における重合触媒(エステル交換触媒)としては、公知のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用される。アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、上述のように式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造することができる。より詳細には、エステル交換反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒の存在下でエステル交換反応により溶融重合を行う。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、「触媒」と称する場合がある)としては、例えば長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族又は2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用され、耐光性の点から、特に好ましくは2族金属化合物が使用される。
1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム,カリウム,リチウム,セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩,2カリウム塩,2リチウム塩,2セシウム塩等が挙げられ、中でもセシウム化合物、リチウム化合物が好ましい。
2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられ、中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物が更に好ましい。
塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩,カリウム塩,リチウム塩,カルシウム塩,バリウム塩,マグネシウム塩,あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
上記の中でも、第2族金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を触媒として用いるのが、得られるポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性等の種々の物性を優れたものとするために好ましい。
また、上記ポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとするために、触媒が、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、及びバリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましく、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが特に好ましい。
前記触媒の使用量は、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の場合、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、好ましくは0.1〜300μモル、より好ましくは0.1〜100μモル、さらに好ましくは0.5〜50μモル、特に好ましくは1〜25μモルの範囲内である。
上記の中でも2族金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用
いる場合、金属換算量として、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1μモル以上、更に好ましくは0.5μモル以上、特に好ましくは0.7μモル以上とする。また、上限としては、好ましくは20μモル、更に好ましくは10μモル、特に好ましくは3μモル、最も好ましくは2.0μモルである。
触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネート樹脂(A)を製造するのに必要な重合活性が得られず、充分な破壊エネルギーが得られない可能性がある。一方、触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相が悪化するだけでなく、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、脆性破壊の起因となる場合があり、目標とする品質のポリカーボネート樹脂(A)の製造が困難になる可能性がある。
重合反応の形式は、公知の形式を用いることができ、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
また、本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には、異物の混入を防止するため、フィルターを設置することが望ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として通常100μm以下が好ましい。特に、フィルム用途等で微少な異物の混入を嫌う場合は、40μm以下が好ましく、さらには10μm以下が好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)の押出は、押出後の異物混入を防止するために、好ましくはJIS B 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルーム中で実施することが望ましい。
また、押出されたポリカーボネート樹脂(A)を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上が好ましく、0.35dL/g以上がより好ましい。還元粘度の上限は、通常1.20dL/g以下が好ましく、1.00dL/g以下がより好ましく、0.80dL/g以下が更に好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が低すぎると樹脂組成物としたときの靱性が小さい可能性があり、還元粘度が大きすぎると、電気・電子機器部品や自動車内外装部品を成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。また、成形温度を適正以上に高くしなければならず、色調が悪化する場合がある。
尚、ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート樹脂濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は、90℃以上145℃以下が好ましく、100℃以上135℃以下がより好ましく、特に110℃以上125℃以下が好ましい。ガラス転移温度が90℃未満では耐熱性が不足し、145℃以上では成形時に流動性が不足し、樹脂組成物が製品の末端まで充填されなかったり、ウエルド部での強度が低下したりすることがある。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂(A)として、1種を単独で用いてもよく、他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の種類や共重
合割合、物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
<コア・シェル構造からなるエラストマー(B)>
本発明の第1および第2の態様のポリカーボネート樹脂組成物は、コア・シェル構造からなるエラストマー(B)(以下、単に「(B)成分」ということもある。)を含有することを特徴とする。
なお、上記のコア・シェル構造からなるエラストマー(B)のシェル部は、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つのモノマーおよびそれら以外のビニル化合物をモノマーとして含む重合体である(以下、本発明のエラストマー(B)という場合がある。)。このようなシェル部の組成をとるエラストマーを用いることにより、前記ポリカーボネート樹脂との組み合わせにおいて、特に耐光性、耐衝撃性向上効果を得ることができる。さらに、コア部は、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つをモノマーとして含む重合体であることが耐光性が向上するため、好ましい。
本発明のエラストマー(B)としては、熱可塑性のエラストマーを用いることが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、各種共重合樹脂が用いられるが、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも−10℃以下のものが好ましく、−20℃以下のものがより好ましく、更には−30℃以下のものが好ましい。
より具体的には、本発明のエラストマー(B)としては、例えば、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン)共重合体、MABS(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)共重合体、MAS(メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン)共重合体、アルキルアクリレート・メチルメタクリレート・スチレン共重合体、メチルメタクリレート−アクリル−ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル−シリコーンIPNゴム)共重合体、及び天然ゴム等を用いることができる。
コア部が、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つをモノマーとして含む重合体としては、具体的には、アルキルアクリレート・メチルメタクリレート・スチレン共重合体がある。
例えば、アルキルアクリレート・メチルメタクリレート・スチレン共重合体の具体例としては、特に制限されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
例えば、カネカ社製、商品名カネエースM−590、三菱レイヨン社製、商品名メタブレンメタブレンW−341、W−377、メタブレンW−341、三菱レイヨン社製、商品名アクリペットIR377、IR441、IR491などが挙げられる。
これらの中でも、屈折率が高く、耐熱性が高いことから、カネカ社製、商品名カネエースM−590が最も好ましい。
本発明のエラストマー(B)の平均粒子径は、10〜500nmであることが好ましい。より好ましくは30〜300nmであり、さらに好ましくは50〜200nm、最も好ましくは50〜180nmである。平均粒子径が10nmでは十分な衝撃強度が得られない傾向にある。一方、平均粒子径が500nmを超えると得られる樹脂組成物の透明性が低下する傾向にある。なお、平均粒子径はゴム状重合体、およびグラフト共重合体のラテックス状態で測定する。測定装置として、日機装株式会社製のMICROTRAC UPA150を用いて体積平均粒子径を測定した。
ゴム状重合体のガラス転移温度(Tg)は0℃以下であることが耐衝撃改良の点から好ましい。より好ましくは−20℃以下であり、さらに好ましくは−40℃以下である。
本発明のエラストマー(B)の屈折率が1.495以上1.505以下である。下限値
としては、透明性の点から、1.496以上が好ましく、1.497以上がさらに好ましく、1.498以上が特に好ましい。上限値としては、透明性の点から、1.504以上が好ましく、1.503以上がさらに好ましく、1.502以上が特に好ましい。
また、本発明のエラストマー(B)の屈折率とポリカーボネート(A成分)との屈折率の差が0.010以下であることが好ましい。また、透明性の点から0.008以下がより好ましく、0.006以下がさらに好ましく、0.004以下が特に好ましい。下限値としては、0が好ましい。
(重合方法)
本発明のエラストマー(B)の重合方法として、例えば、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・スチレン共重合物を例に説明する。アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・スチレン共重合物の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれを採用してもよいが、乳化重合、すなわち、乳化グラフト重合が好ましい。具体的には、攪拌機を備えた反応容器に、ラテックスを加え、さらにビニル系単量体、重合開始剤、水を加え、必要に応じて連鎖移動剤や酸化還元剤を仕込み、加熱攪拌すればよい。
ここで使用する重合開始剤、連鎖移動剤、酸化還元剤の種類には特に制限がなく、公知のものが使用できる。また、各原料の反応容器への添加方法についても特に制限がなく、重合開始前の一括添加の他、分割添加してもよい。また、グラフト重合は、一段または二段以上で行われ、各段の単量体組成が同一であっても異なっていてもよく、また、単量体を一括添加しても、連続的に添加しても、あるいはこれらを組み合わせてもよい。
乳化重合法を採用する場合には、公知の重合開始剤、すなわち2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の熱分解型重合開始剤を用いることができる。また、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキサイド等の有機過酸化物、もしくは過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物といった過酸化物と、必要に応じてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、グルコース等の還元剤、および必要に応じて硫酸鉄(II)等の遷移金属塩、更に必要に応じてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム等のキレート剤、さらに必要に応じてピロリン酸ナトリウム等のリン系難燃剤等を併用したレドックス型重合開始剤として使用することもできる。
レドックス型重合開始剤系を用いた場合には、前記過酸化物が実質的に熱分解しない低い温度でも重合を行うことができることから、重合温度を広い範囲で設定できるようになり好ましい。中でもクメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の芳香族環含有過酸化物をレドックス型重合開始剤として用いることが好ましい。前記重合開始剤の使用量、またレドックス型重合開始剤を用いる場合の前記還元剤・遷移金属塩・キレート剤等の使用量は、公知の範囲で用いることができる。
アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・スチレン共重合物(B)を乳化重合により合成する際、重合乳化剤としては、不均化ロジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸のアルカリ金属塩等、あるいはリン酸系化合物のアルカリ金属塩、さらにはスルホン酸や硫酸系化合物のアルカリ金属塩など、従来公知の重合乳化剤を使用することができる。
乳化重合によりアクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・スチレン共重合物を得た場合には、例えば、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・スチレン共重合物のラテックスと塩酸等の酸、あるいは塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ア
ルミニウム、酢酸カルシウムなどの二価以上の金属塩を混合することにより凝固した後に、公知の方法に従って、熱処理・脱水・洗浄・乾燥することにより、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・スチレン共重合物を水性媒体から分離することができる(凝固法ともいう)。または、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、アセトン等の水溶性有機溶剤をラテックスに添加してアクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・スチレン共重合物(B)を析出させ、遠心、または濾過等により溶剤と分離した後、乾燥させ、単離することもできる。別の方法として、本発明に用いる耐衝撃改良剤を含むラテックスにメチルエチルケトン等の若干の水溶性を有する有機溶剤を加えてラテックス中の耐衝撃改良剤成分を有機溶剤層に抽出し、有機溶剤層を分離した後、水などと混合して耐衝撃改良剤成分を析出させる方法等を挙げることができる。また、ラテックスを噴霧乾燥法により直接粉体化することもできる。
本発明の第1および第2の態様のポリカーボネート樹脂組成物においては、ポリカーボネート樹脂組成物中、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対し、前記本発明のエラストマー(B)の含有量が1重量部以上25重量部以下であることが好ましい。
前記本発明のエラストマー(B)の含有量が上述の範囲から外れて少なすぎる場合には、充分な衝撃強度の改質効果が得られず、成形部材が破断するおそれがある。一方、上述の範囲から外れて多すぎる場合には、良好な成形性が損なわれて成形時にヤケが発生したり、透明性が損なわれたりするおそれがある。前記本発明のエラストマー(B)の含有量は、より好ましくは5重量部以上、20重量部以下、さらに好ましくは8重量部以上、15重量部以下である。
前記ポリカーボネート樹脂組成物は、前記ポリカーボネート樹脂と前記本発明のエラストマー(B)とを混合することにより製造することができる。
具体的には、例えばペレット状の前記ポリカーボネート樹脂と、前記本発明のエラストマー(B)とを押出機を用いて混合し、ストランド状に押出し、回転式カッター等でペレット状にカットすることによりポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
<アミン化合物(C)>
本発明の樹脂組成物は、アミン化合物(C)(以下、単に「(C)成分」ということもある。)を含有し、アミン化合物(C)は、第二級アミンまたは第三級アミンの少なくとも一つの構造を有する化合物であることを特徴としている。第二級アミンまたは第三級アミンの少なくとも一つの構造を有する化合物を含むことで、耐光性試験後の光沢度を改良するとともに、耐擦傷性試験前後の光沢度変化率を少なくすることができる。
なお、第二級アミンまたは第三級アミンの少なくとも一つの構造を有する化合物は、第一級アミンよりも塩基性が高いものである。本発明のアミン化合物(C)としては、塩基性が高いほど光に対するポリカーボネートの安定性が向上するとともに、加水分解などの劣化が抑制される。
アミン化合物(C)としては、例えば、光安定剤として入手できるもののうち、第二級アミンまたは第三級アミンの少なくとも一つの構造を有する化合物を用いることができる。
なかでも、成形品としたときに、耐光試験後の平滑性が高くなるため、第二級アミンの構造を有する化合物であることが好ましく、第二級アミンまたは第三級アミンの少なくとも一つの構造は、窒素が環式構造の一部となっている構造を有するものが好ましく、ピペリジン構造を有するものであることがより好ましい。ここで規定するピペリジン構造には、飽和6員環状のアミン構造となっていれば如何なる構造であっても構わず、ピペリジン構造の一部が置換基により置換されているものも含む。該ピペリジン構造が有していてもよい置換基としては、炭素数4以下のアルキル基があげられ、特にはメチル基が好ましい。第二級アミンまたは第三級アミンの少なくとも一つの構造を有する化合物としては、第
二級アミンまたは第三級アミンの少なくとも一つの構造を複数有していることが好ましく、更には、第二級アミンまたは第三級アミンの少なくとも一つの構造がピペリジン構造であり、該ピペリジン構造を複数有する化合物が好ましく、複数のピペリジン構造を有する場合、それらのピペリジン構造がエステル構造により連結されている化合物が好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂(A)とアミン化合物(C)のHoy法にて算出したSP値の差の絶対値が、0以上、15以下が好ましく、より耐ブリードアウト性に優れるため、0以上、12以下がより好ましく、0以上、8以下がさらに好ましく、0以上、6以下が最も好ましい。
また、その融点としては、85℃以上であることが好ましい。耐光試験後の平滑性が高くなることや耐ブリードアウト性に優れるため、90℃以上、300℃以下がより好ましく、100℃以上、250℃以下がさらに好ましく、110℃以上、200℃以下が最も好ましい。
また、末端官能基当量としては、100g/eq以上、500g/eqが好ましく、より少量で耐光性の効果を付与できる点から、100g/eq以上、350g/eq以下がより好ましく、100g/eq以上、300g/eq以下がさらに好ましく、100g/eq以上、300g/eq以下が最も好ましい。
また、その分子量は、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましい。分子量が5000を超えると、成形品としたときに耐光性が十分得られない可能性がある。また分子量は300以上が好ましく、400以上がより好ましい。分子量が300未満では、耐熱性に乏しく、成形時に金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。
そのような融点がアミン化合物(C)としては、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−カルボン酸)1,2,3,4−ブタンテトライル、2,2,6,6−テトラメチル−ピレリジノールとトリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の縮合物、2,2,6,6−テトラメチル−ピレリジノールとメタノールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の縮合物、ビス(1,2,3,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4,4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラメチルエステルと2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ジエタノールとの縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物等が挙げられる。
なかでも、第二級アミンが含まれており、耐光性が良好であるため、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリ
ジル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチル−ピレリジノールとメタノールと1,
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の縮合物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4,4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラメチルエステルと2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ジエタノールとの縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカーボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ジエタノールとの縮合物
ポリカーボネート樹脂組成物中、(A)成分と(B)成分の合計100重量部とした際に、85℃以上かつ第二級アミンの化合物(C)を0.001重量部以上5重量部以下含むことが好ましく、さらに好ましくは0.005重量部以上3重量部以下、特に好ましくは0.01重量部以上1重量部以下である。
85℃以上かつ第二級アミンの化合物(C)の含有量が5重量部より多いと、着色する傾向にあり、着色剤を添加したとしても、例えば深みと清澄感のある漆黒を得難い。一方、0.001重量部未満であると、自動車内外装品としたときに耐光性が十分得られない可能性がある。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、アミン化合物(C)として上記のものの1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、アミン化合物(C)以外のアミン化合物を用いる場合、アミン化合物の組合せとして、長期光安定性の観点から、上記のアミン化合物(C)と第三級アミン構造を有する化合物と組み合わせることが好ましく、アミン化合物(C)が第二級アミンのピペリジン構造を有する化合物であるものと第三級アミンのピペリジン構造を有する化合物と組み合わせることが最も好ましい。
<本発明が効果を奏する理由>
本発明が効果を奏する理由としては、未だ明らかではないが、以下のとおり推察される。
つまり、本発明の成形品は、塩基性のアミン化合物が成形体の表面に存在することにより、成形品表面の易滑性を発現し、耐擦傷性が良好な結果になっているものと推察される。
また、アクリル系のエラストマーとアミン化合物を併用することにより、酸性の触媒失活剤によるエラストマー及びポリカーボネート樹脂の劣化を抑制し、初期の光沢度及び長期間光に暴露された際にも高い光沢度をもつ結果になっているものと推察される。
<添加剤>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、耐擦傷性や原着鮮映性を維持できる範囲において、触媒失活剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、充填剤等を添加することも出来る。
(触媒失活剤)
本発明のポリカーボネート樹脂に、重合反応で用いた触媒を中和し、失活させるために
酸性化合物を添加することで、色調や熱安定性を向上することができる。触媒失活剤として用いられる酸性化合物としては、カルボン酸基やリン酸基、スルホン酸基を有する化合物、又はそれらのエステル体などを用いることができるが、特に下記式(13)又は(14)で表される部分構造を含有するリン系化合物を用いることが好ましい。
Figure 2017149803
Figure 2017149803
前記式(13)又は(14)で表されるリン系化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル等が挙げられる。上記の中でも触媒失活と着色抑制の効果がさらに優れているのは、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステルであり、特に亜リン酸が好ましい。
ホスホン酸としては、ホスホン酸(亜リン酸)、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、デシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、アミノメチルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、プロピルホスホン酸無水物などが挙げられる。
ホスホン酸エステルとしては、ホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチル、ホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ホスホン酸ジラウリル、ホスホン酸ジオレイル、ホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジベンジル、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、エチルホスホン酸ジエチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジプロピル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジエチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ヒドロキシメチルホスホン酸ジエチル、(2−ヒドロキシエチル)ホスホン酸ジメチル、p−メチルベンジルホスホン酸ジエチル、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸tert−ブチル、(4−クロロベンジル)ホスホン酸ジエチル、シアノホスホン酸ジエチル、シアノメチルホスホン酸ジエチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、ジエチルホスホノアセトアルデヒドジエチルアセタール、(メチルチオメチル)ホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。
酸性リン酸エステルとしては、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジビニル、リン酸ジプロピル、リン酸ジブチル、リン酸ビス(ブトキシエチル)、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ジイソトリデシル、リン酸ジオレイル、リン酸ジステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸ジベンジルなどのリン酸ジエステル、又はジエステルとモノエステルの混合物、クロロリン酸ジエチル、リン酸ステアリル亜鉛塩などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
樹脂への前記リン系化合物の添加量が少なすぎると、触媒失活や着色抑制の効果が不十分であり、多すぎるとかえって樹脂が着色してしまったり、特に高温高湿度下での耐久試験において、樹脂が着色しやすくなる。前記リン系化合物の添加量は、重合反応に用いた触媒量に対応した量を添加する。重合反応に用いた触媒の金属1molに対して、前記リン系化合物はリン原子の量として0.5倍mol以上、5倍mol以下が好ましく、さらに0.7倍mol以上、4倍mol以下が好ましく、特に0.8倍mol以上、3倍mol以下が好ましい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては樹脂に使用される一般的な酸化防止剤が使用できるが、酸化安定性、熱安定性、漆黒性等の観点から、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、およびフェノール系酸化防止剤が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に、酸化防止剤を添加する場合、その添加量は、ポリカーボネート樹脂組成物中、(A)成分と(B)成分の合計100重量部とした際に、通常0.001重量部以上が好ましく、より好ましくは0.002重量部以上、更に好ましくは0.005重量部以上であり、通常5重量部以下が好ましく、より好ましくは3重量部以下、更に好ましくは2重量部以下である。
酸化防止剤の添加量が5重量部より多いと、成形時、金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。一方、0.001重量部未満であると、耐候試験に対する十分な改良効果が得られない傾向がある。
<ホスファイト系酸化防止剤>
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
これらの中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<イオウ系酸化防止剤>
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、
2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)等が挙げられる。
これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<フェノール系酸化防止剤>
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等の化合物が挙げられる。
これらの化合物の中でも、炭素数5以上のアルキル基によって1つ以上置換された芳香族モノヒドロキシ化合物が好ましく、具体的には、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が好ましく、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が更に好ましい。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(紫外線吸収剤)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤を含有することができる。具体的には、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。かかる紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましい。
(着色剤(D))
着色剤としては、無機顔料、有機顔料及び有機染料等の有機染顔料が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;等が挙げられる。
有機顔料及び有機染料等の有機染顔料としては、例えば、フタロシアニン系染顔料;アゾ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の縮合多環染顔料;アンスラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、メチン系、キノリン系、複素環系、メチル系の染顔料;等が挙げられる。
これら着色剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記無機顔料、有機顔料及び有機染料等の有機染顔料の中でも、無機顔料が好ましい。無機顔料を着色剤として使用することにより、成形品を屋外等で使用した場合でも鮮映性等を長期間保持することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に着色剤を添加する場合、その添加量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、通常0.05重量部以上5重量部以下であり、好ましくは0.05重量部以上3重量部以下、より好ましくは0.1重量部以上2重量部以下である。
着色剤の添加量が0.05重量部未満では鮮映性のある原着成形品を得難い。一方、5重量部より多いと、成形品の表面粗さが大きくなり、鮮映性のある原着成形品を得難い。
本発明の着色されたポリカーボネート樹脂組成物は、例えば、漆黒調に調色した場合、明度Lは、0.1以上10以下であることが好ましく、特に好ましくは、0.1以上6以下である。
<成形品としたときの耐光性試験後の光沢度>
本発明の第一の態様のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂組成物から成形された厚さ2mmの成形体をJISD 0205に準拠したブラックパネル温度89℃、相対湿度50%の環境下にて、キセノンアーク灯を用い、波長範囲が300〜400nmの試料面放射強度が75W/mで、珪酸塩ガラスのアウターガラスフィルター及び石英ガラスのインナーフィルターを介して900時間照射処理した後に、JIS K7105に準拠して測定した該成形体の光沢度が85以上であることを特徴としている。
上記の光沢度は、鮮鋭性の点から、86以上が好ましく、87以上がさらに好ましい。
なお、この光沢度は、本発明のアミン化合物または紫外線吸収剤を所定量添加することなどで、数値を制御することができる。
(充填剤)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、意匠性を維持できる範囲において、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、酸化チタン、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウィスカー、硫酸バリウム、タルク、マイカ、ワラストナイト等の珪酸カルシウム、カーボンブラック、グラファイト、鉄粉、銅粉、二硫化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素、窒化ケイ素繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、チタン酸カリウム繊維、これらのウィスカー等の無機充填剤や、木粉、竹粉、ヤシ澱粉、コルク粉、パルプ粉などの粉末状有機充填剤;架橋ポリエステル、ポリスチレン、スチレン・アクリル共重合体、尿素樹脂などのバルン状・球状有機充填剤;炭素繊維、合成繊維、天然繊維などの繊維状有機充填剤を添加することもできる。
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記成分を所定の割合で同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。
<成形品>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形品を成形する際、任意の成形法を用いることができるが、射出成形、射出圧縮、射出プレス成形が好適に用いられる。その際
に用いるランナーも、通常のコールドランナー方式だけでなく、ホットランナー方式を用いることも可能である。また、インサート成形、インモールドコーティング成形、二色成形、サンドイッチ成形等も可能である。さらに意匠性を得るために、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形を用いることも可能である。
<用途>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品は、成形品にした際、耐衝撃性に優れ、耐擦傷性が良好であり、初期の光沢度も高く、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する光沢度の減少が少なく、耐光性が良好であり、常に光にさらされた状態でも、良好な光沢を維持できる耐擦傷性に優れ、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する擦れ傷が少ないいため、塗装を施すことなく、従って、塗装のための工程、コストを削減して、製品として様々な部品に適用することができる。しかも、本発明の成形品は、耐衝撃性に優れ、耐擦傷性が良好であり、初期の光沢度も高く、雑巾やティシュ等で拭いた場合に発生する光沢度の減少が少なく、耐光性が良好であり、常に光にさらされた状態でも、良好な光沢を維持できる
このような本発明の成形品の適用用途としては特に制限はないが、自動車内装部品又は外装部品に好適である。
本発明の成形品が適用される自動車用内外装部品としては、例えばフェンダー、バンパー、フェーシャ、ドアパネル、サイドガーニッシュ、ピラー、ラジエータグリル、サイドプロテクター、サイドモール、リアプロテクター、リアモール、各種スポイラー、ボンネット、ルーフパネル、トランクリッド、デタッチャブルトップ、ウインドリフレクター、ミラーハウジング、アウタードアハンドル等の自動車用外装部品、インストルメントパネル、センターコンソールパネル、メーター部品、各種スイッチ類、カーナビケーション部品、カーオーディオビジュアル部品、オートモバイルコンピュータ部品等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[評価方法]
以下において、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
(1)還元粘度の測定
ポリカーボネート樹脂のサンプルを、溶媒として塩化メチレンを用いて溶解し、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間tと溶液の通過時間tから次式(i)より相対粘度ηrelを求め、相対粘度ηrelから次式(ii)より比粘度ηspを求めた。
ηrel=t/t (i)
ηsp=(η−η)/η=ηrel−1 (ii)
比粘度ηspを濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きいことを示している。
(2)漆黒性1(明度L値)
ポリカーボネート樹脂組成物から射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)により100mm×100mm×2mmtのシートを成形した。該シートについて、JIS
K 7105に準拠し、日本電色工業株式会社製 ZE−2000)を使用し、D65
/10光源反射法にてL値を測定した。この値が小さいほど黒色性が高いと言える。なお、本発明では、5以下を合格とした。
(3)漆黒性2(光沢度)
上記(2)におけると同様にして成形したシート(100mm×100mm×2mmt)について、JIS K 7105に準拠し、日本電色工業製分光色差計VG−2000にて光沢度値(Gs60°)を測定した。この値が大きいほど光沢度が高いと言える。なお、本発明では、85以上を合格とした。
(4)摩擦係数
上記(2)におけると同様にして成形したシート(100mm×100mm×2mmt)よりなる試験片1に、予め#1000のサンドペーパーで表面を研磨した鋼板(材質:SK−5、サイズ:40mm×40mm×1mmt)よりなる試験片2を研磨面が試験片1側となるように重ね合わせ、表面性測定機(新東科学株式会社製、形式:トライボギア
TYPE-14FW)を用いて、試験片1上で試験片2を、面圧3.1kPa、移動速度100mm/分で移動させたときの荷重より求めた。静止摩擦係数μsは試験片2の移動開始時の最大荷重を採用し、動摩擦係数μkは移動開始後4秒から6秒の荷重の平均値を採用した。なお、本発明では、以下を合格とした。
・静止摩擦係数μs:0.3以下
・動摩擦係数μk:0.45以下
(5)耐擦傷性
表面性測定機(新東科学株式会社製、形式:トライボギア TYPE-14FW)において、ティシュ(日本製紙クレシア社製フラワーボックス)を3回折り畳んで、摩耗子(底面の投影面積20mm×20mm)に取り付け、上記(2)と同様にして成形したシート(100mm×100mm×2mmt)の表面に荷重9.8N、ストローク50mm、3000mm/分の速度で500往復させた後、(3)と同様にして、傷表面の光沢度を測定し、摩耗試験前後の光沢度変化を評価した。なお、本発明では、5%以下を合格とした。
(6)耐光性試験
上記(2)におけると同様にして成形したシート(100mm×100mm×2mmt)よりなる試験片を半分に切断し、スガ試験機株式会社製7.5kWスーパーキセノンウェザーメータSX75を用い、JISD0205に準拠し、ブラックパネル温度89℃、相対湿度50%の環境下にて、キセノンアーク灯を用い、波長範囲が300〜400nm、試料面放射強度が75W/m2で、珪酸塩ガラスのアウターガラスフィルター及び石英ガラスのインナーフィルターを介して900時間照射処理した後の光沢度を上記(2)と同様にして評価した。なお、本発明では、85以上を合格とした。
(7)耐衝撃性
ポリカーボネート樹脂組成物から射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)により機械物性用ISO試験片を成形した。前記(1)で得られた機械物性用ISO試験片についてISO179(2000年)に準拠してノッチ付シャルピー衝撃試験を実施した。ポリカーボネート樹脂のシャルピー衝撃強度が、向上しているものが本願の効果を有するものである。なお、本発明では、10kJ/m以上を合格とした。
[コア・シェル構造からなるエラストマー(B)]
ポリカーボネート樹脂組成物に配合するコア・シェル構造からなるエラストマー(B)としては、以下のものを用いた。
(B−1):カネエースM−590(アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・スチレン
共重物(コア部:アクリル酸ブチル、シェル部:メタクリル酸メチル、スチレン)、屈折率:1.500)
(B−2):メタブレン SX−005(三菱レイヨン社製、メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・ジメチルシロキサン共重合物(コア部:アクリル酸アルキル・ジメチルシロキサン、シェル部:メタクリル酸アルキル)、平均粒子径:150μm)
[アミン化合物(C)]
ポリカーボネート樹脂組成物に配合するアミン化合物(C)としては、以下のものを用いた。
(C−1):LA−68(ADEKA社製、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラメチルエステル,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールの反応物、SP値18.5、融点95℃)
(C−2):チヌビン770(BASF・ジャパン社製、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、SP値18.8、融点83℃)
※なお、融点に温度の幅があるものについては、最低温度と最高温度の平均値を融点とする。
Figure 2017149803
[着色剤(D)]
ポリカーボネート樹脂組成物の着色剤(D)としては以下のものを用いた。
(D−1):三菱カーボンブラック#960(三菱化学社製)
(D−2):SUMIPLAST BLACK HLG(住化ケムテックス社製)
[製造例1:ポリカーボネート樹脂(A)−1の製造]
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、イソソルビド(ISB)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC)および酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.5/0.5/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005体積%〜0.001体積%)。続いて熱媒で内容物の加温を行った。内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にした。内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を、還流冷却器に導いた。還流冷却器で凝縮した成分を重合反応装置に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
上記重合反応装置でオリゴマー化させた内容物を、一旦大気圧にまで復圧させた後、撹拌翼および上記同様に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温お
よび減圧を開始して、60分で内温220℃、圧力200Paにした。その後、20分かけて内温228℃、圧力133Pa以下にして、所定撹拌動力になった時点で復圧し、重合反応装置出口より溶融状態のポリカーボネート共重合体を得た。
更に3つのベント口および注水設備を供えた二軸押出機に連続的に前記溶融状態のポリカーボネート共重合体を供給し、該ポリカーボネート共重合体100重量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010(BASF・ジャパン株式会社製、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])を0.1重量部、アデカスタブ2112(株式会社ADEKA製、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.05重量部、触媒失活剤として亜リン酸(太平化学産業(株)製、分子量82.0) を6.4×10
重量部及び離型剤としてユニスターE−275(日油株式会社製)0.3重量部を連続的に添加するとともに、二軸押出機に具備された各ベント部にてフェノールなどの低分子量物を減圧脱揮した後、ペレタイザーによりペレット化を行い、ポリカーボネート樹脂(A)−1を得た。ポリカーボネート樹脂(A)−1の還元粘度ηsp/cは0.61dL/gであった。
[実施例1]
製造例1で得られたポリカーボネート樹脂(A)−1を98重量部、シリコーン化合物として(B)−1を1重量部、着色剤としてカーボンブラック0.1重量部を用い、これらを予めブレンドしておき、二軸混練機(日本製鋼所社製、TEX30SST42BW:スクリュー径30mm)を用いて、途中一カ所から真空ポンプで絶対真空圧10〜20kPaに減圧調整しながら、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量30kg/hrでストランド状に押し出し、ストランドカッターを用いてペレット状の樹脂組成物サンプルを得た。
得られたペレット状サンプルを、熱風乾燥機で100℃にて5時間乾燥した後、前述の評価法(2)〜(6)に従って、評価を行い、その結果を表1に表した。
[実施例2]
表1に示す配合としたこと以外は実施例1と同様に押し出し、ペレット状サンプルを得、同様に評価を行って、結果を表1に表した。
[比較例1〜2]
表1に示す配合としたこと以外は実施例1と同様に押し出し、ペレット状サンプルを得、同様に評価を行って、結果を表1に表した。
Figure 2017149803
表1より、ポリカーボネート樹脂(A)とシリコーン化合物(B)を含み、前記式(2)及び(3)を満足する本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性及び耐擦傷性に優れることが分かる。また、融点が85℃以上かつ第二級アミンの化合物(C)を含むことで、耐光性も良好なものとなる。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)およびコア・シェル構造からなるエラストマー(B)を含有し、
    前記エラストマー(B)のシェル部は、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つのモノマーおよびそれら以外のビニル化合物をモノマーとして含む重合体であり、
    前記ポリカーボネート樹脂組成物から成形された厚さ2mmの成形体をJISD 0205に準拠したブラックパネル温度89℃、相対湿度50%の環境下にて、キセノンアーク灯を用い、波長範囲が300〜400nmの試料面放射強度が75W/mで、珪酸塩ガラスのアウターガラスフィルター及び石英ガラスのインナーフィルターを介して900時間照射処理した後に、JIS K7105に準拠して測定した該成形体の光沢度が85以上であるポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2017149803
  2. 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)、コア・シェル構造からなるエラストマー(B)およびアミン化合物(C)を含有し、
    アミン化合物(C)は、第二級アミンまたは第三級アミンの少なくとも一つの構造を有する化合物であり、
    前記エラストマー(B)のシェル部は、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つのモノマーおよびそれら以外のビニル化合物をモノマーとして含む重合体であるポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2017149803
  3. 前記ポリカーボネート樹脂(A)が、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位(a)と、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、及び前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外のエーテル基含有ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる1種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位(b)とを含む共重合ポリカーボネート樹脂である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 前記エラストマー(B)のコア部は、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一つをモノマーとして含む重合体である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 上記ポリカーボネート樹脂組成物中、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対
    し、アミン化合物(C)を0.001重量部以上6重量部以下含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、及び脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン系化合物を含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 前記請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を含有してなる成形品。
  8. 自動車内装部品又は外装部品である請求項7に記載の成形品。
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