以下、本発明の一実施形態に関して、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.巻取装置
1−1.構成
1−2.動作
1−3.作用および効果
2.変形例
<1.巻取装置>
本発明の一実施形態の巻取装置(以下、単に「巻取装置」とも説明する。)は、媒体Mを巻き取るために用いられる。この巻取装置により、媒体Mは、ロール状となるように巻き取られる。
なお、媒体Mの構成は、特に限定されない。媒体Mの具体的な構成に関しては、後述する(図6および図7参照)。
<1−1.構成>
まず、巻取装置の構成に関して説明する。
[全体の構成]
図1は、本発明の一実施形態の巻取装置である巻取装置10の平面構成を表している。なお、図1では、巻取装置10を横(Y方向)から見た状態を示している。
以下では、巻取装置10が載置される側(図1中の下側)を「下側」または「下方」と説明すると共に、その巻取装置10が載置される側とは反対側(図1中の上側)を「上側」または「上方」と説明する。また、Y方向の寸法を「幅」と説明する。
巻取装置10は、例えば、図1に示したように、装置本体1の一面に、搬送ローラ2と、巻取ローラ3,4と、補助ローラ5,6と、テンションバー7とを備えている。この巻取装置10は、例えば、後述する剥離可能である媒体M(図6および図7参照)を巻き取るために用いられる。なお、図1では、巻取装置10に媒体Mが供給されていない状態を示している。
(装置本体)
装置本体1は、上記した搬送ローラ2などの一連の構成要素を支持する支持部材であると共に、後述するモータなどの他の構成要素を収納する収納部材である。この装置本体1は、例えば、金属材料および高分子化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
(搬送ローラ)
搬送ローラ2は、巻取ローラ3,4に向けて媒体Mを搬送させる搬送手段である。ここでは、搬送ローラ2は、例えば、装置本体1の一面のうちの略中央に配置されている。後述するように、媒体Mは、例えば、外部から巻取装置10に供給される(図8参照)。
この搬送ローラ2は、図1の紙面と交差する方向(Y方向)に延在する円筒状の形状を有しており、その方向に延在する回転軸2P(仮想線)を中心として回転可能である。より具体的には、搬送ローラ2は、例えば、モータの回転力などを利用して回転可能であると共に、後述するトルク制御部23(図3参照)を利用して回転力(トルク)が制御されるローラである。すなわち、搬送ローラ2は、いわゆるアイドルローラである。
(巻取ローラ)
巻取ローラ3,4のそれぞれは、搬送ローラ2により搬送される媒体Mを巻き取る巻取手段である。ここでは、巻取ローラ3は、例えば、搬送ローラ2よりも下方に配置されていると共に、巻取ローラ4は、例えば、搬送ローラ2よりも上方に配置されている。
巻取ローラ3,4のそれぞれは、例えば、搬送ローラ2と同様に円筒状の形状を有しており、モータの回転力などを利用して回転可能である。
(補助ローラ)
補助ローラ5は、巻取ローラ3を用いた媒体Mの巻き取り時において、搬送ローラ2により搬送される媒体Mを巻取ローラ3に向けて搬送させる。この補助ローラ5は、例えば、搬送ローラ2の近傍において、その搬送ローラ2から離間されるように配置されており、補助ローラ6よりも下方に配置されている。また、補助ローラ5は、例えば、搬送ローラ2と同様に円筒状の形状を有しており、媒体Mの搬送に応じて回転可能である。
補助ローラ6は、巻取ローラ4を用いた媒体Mの巻き取り時において、搬送ローラ2により搬送される媒体Mを巻取ローラ4に向けて搬送させる。この補助ローラ6は、例えば、搬送ローラ2の近傍において、その搬送ローラ2から離間されるように配置されており、補助ローラ5よりも上方に配置されている。また、補助ローラ6は、例えば、搬送ローラ2と同様に円筒状の形状を有しており、媒体Mの搬送に応じて回転可能である。
(テンションバー)
テンションバー7は、高さ方向に延在するように装置本体1の一面に設けられたレール8を利用して上下に移動(摺動)可能であり、媒体Mの張力を調整する機能を果たす。このテンションバー7は、例えば、搬送ローラ2と同様に円筒状の形状を有している。なお、テンションバー7の詳細な動作に関しては、後述する。
[主要部の構成]
図2は、図1に示した巻取装置10のうちの主要部の斜視構成を表している。
搬送ローラ2は、例えば、図2に示したように、回転軸2Pの方向(Y方向)に延在する円筒状の形状を有しており、その回転軸2Pを中心として回転することにより媒体Mを搬送させる。
特に、円筒状の形状を有する搬送ローラ2は、回転軸2Pの方向において複数に分割されているため、その回転軸2Pを中心として回転可能である複数の回転部21を含んでいる。
複数の回転部21は、回転軸2Pの方向に配列されており、複数の回転部21のそれぞれは、互いに異なる回転負荷Fを付与されながら、互いに独立して回転可能である。「互いに独立して回転可能である」とは、複数の回転部21が常に一緒に回転するというわけではなく、複数の回転部21のそれぞれが必要に応じて別個に回転可能であることを意味している。
回転部21の数は、2個以上であれば、特に限定されない。ここでは、搬送ローラ2は、例えば、装置本体1に近い側から順に配列された5個の回転部21(21A〜21E)を含んでいる。
なお、複数の回転部21を含む搬送ローラ2の詳細な構成に関しては、後述する(図3〜図5参照)。
補助ローラ5,6のそれぞれは、搬送ローラ2と同様の方向(Y方向)に延在する円筒状の形状を有している。補助ローラ5は、例えば、装置本体1に設けられた開口部1K1に回転可能となるように挿通されていると共に、補助ローラ6は、例えば、装置本体1に設けられた開口部1K2に回転可能となるように挿通されている。
なお、搬送ローラ2および補助ローラ5,6のそれぞれは、装置本体1の一面から離間するように配置されたプレート27により回転可能に支持されている。プレート27の平面形状は、特に限定されないが、例えば、ここでは略台形状である。プレート27の形成材料は、例えば、装置本体1の形成材料と同様である。なお、図1では、プレート27の図示を省略している。
[搬送ローラの詳細な構成]
図3は、図1に示した巻取装置10のうちの主要部の断面構成を表している。図4および図5のそれぞれは、搬送ローラ2のうちの主要部の斜視構成を表している。
(複数の回転部の構成)
搬送ローラ2は、例えば、図3に示したように、装置本体1の表面、すなわち巻取ローラ3,4などが配置されている側の面に配置されている。
なお、図3に示した基準位置Sは、幅方向(Y方向)における媒体Mの一端が位置合わせされる位置を表している。すなわち、巻取装置10を用いて媒体Mが巻き取られる場合には、例えば、媒体Mの幅に関わらずに、基準位置Sに対して媒体Mの一端が位置合わせされる。
この搬送ローラ2は、例えば、図3〜図5に示したように、装置本体1に近い側から順に配列された5個の回転部21(21A〜21E)を含んでいる。装置本体1に設けられた開口部1K3には、シャフト25が回転可能となるように挿通されており、回転部21A〜21Eのそれぞれは、シャフト25により回転可能に支持されている。
回転部21A〜21Eのそれぞれの幅WA〜WEは、特に限定されない。幅WA〜WEは、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。もちろん、幅WA〜WEのうちの一部が互いに同じでもよい。なお、幅WAは、例えば、回転部21Aのうち、媒体Mを搬送させることができる部分の幅であり、いわゆる有効幅である。
中でも、幅WA〜WEのそれぞれは、巻取装置10を用いて巻き取られる媒体Mの幅の種類などに応じて設定されていることが好ましい。具体的には、例えば、媒体Mの幅が5種類(約1インチ、約2インチ、約3インチ、約4インチおよび約5インチ)である場合には、幅WA〜WEのそれぞれは、互いに同じ幅(約1インチ)であればよい。
この場合において、媒体Mを搬送させるために用いられる回転部21の数および種類は、例えば、後述するように、その媒体Mの幅に応じて決定される。
具体的には、媒体Mを搬送させるために用いられる回転部21の数および種類は、例えば、以下の通りである。媒体Mの幅が約1インチである場合には、1個の回転部21(21A)を用いて媒体Mが搬送される。媒体Mの幅が約2インチである場合には、互いに隣り合う2個の回転部21(21A,21B)を用いて媒体Mが搬送される。媒体Mの幅が約3インチである場合には、互いに隣り合う3個の回転部21(21A〜21C)を用いて媒体Mが搬送される。媒体Mの幅が約4インチである場合には、互いに隣り合う4個の回転部21(21A〜21D)を用いて媒体Mが搬送される。媒体Mの幅が約5インチである場合には、互いに隣り合う5個の回転部21(21A〜21E)を用いて媒体Mが搬送される。
回転部21A〜21Eのそれぞれは、上記したように、互いに異なる回転負荷Fを付与されながら、回転軸2Pを中心として回転可能である。ただし、回転部21A〜21Eのそれぞれに付与される回転負荷Fは、回転軸2Pの方向において次第に大きくなるように設定されている。具体的には、回転部21A〜21Eのそれぞれに付与される回転負荷Fに関しては、例えば、回転部21Aに付与される回転負荷F(A)<回転部21Bに付与される回転負荷F(B)<回転部21Cに付与される回転負荷F(C)<回転部21Dに付与される回転負荷F(D)<回転部21Eに付与される回転負荷F(E)という関係が成立している。
すなわち、回転部21Aは、回転負荷F(A)を受けながら回転する。回転部21Bは、回転負荷F(B)を受けながら回転する。回転部21Cは、回転負荷F(C)を受けながら回転する。回転部21Dは、回転負荷F(D)を受けながら回転する。回転部21Eは、回転負荷F(E)を受けながら回転する。この場合には、上記した回転負荷Fの関係から明らかなように、回転部21A〜21Eの順に回転時の抵抗が大きくなるため、回転部21A〜21Eはこの順に回転しにくくなる傾向にある。
搬送ローラ2が5個の回転部21(21A〜21E)を含んでいる場合において、回転部21A〜21Eのそれぞれに付与される回転負荷Fに関して上記した関係(F(A)<F(B)<F(C)<F(D)<F(E))が成立しているのは、媒体Mの幅に応じて、適切な数および種類の回転部21を用いて媒体Mを搬送させるためである。この関係を利用した搬送ローラの詳細な搬送動作に関しては、後述する(図8参照)。
このように回転部21A〜21Eのそれぞれが回転負荷F(A)〜F(E)を付与されながら回転可能であれば、回転部21A〜21Eのそれぞれの構成は、特に限定されない。
ここでは、例えば、回転負荷F(A)〜F(E)を発生させるために、トルク制御部23を用いている。このトルク制御部23の数は、上記した回転部21A〜21Eの数(5個)に応じて、5個である。
具体的には、回転部21Aは、ローラ部22と、トルク制御部23とを含んでいる。
ローラ部22は、略円筒状の形状を有しており、略中央に開口部22Kを有している。ローラ部22の開口部22Kには、シャフト25が挿通されていると共に、そのシャフト25には、回転部21Aのローラ部22がノックピン26を介して固定されている。これにより、回転部21Aのローラ部22は、シャフト25の回転に応じて回転可能である。
このローラ部22は、装置本体1とは反対側に、トルク制御部23を収納するための略円筒状の窪み22M,22Nを有している。窪み22Mは、トルク制御部23の全体が収納される大口径の空間であり、窪み22Nは、そのトルク制御部23の一部が嵌め込まれる小口径の空間である。
ローラ部22の外周面には、例えば、高摩擦部材24が設けられている。この高摩擦部材24は、搬送ローラ2を用いた媒体Mの搬送時において、その媒体Mに対する摩擦力を利用してローラ部22を回転させるために用いられる。高摩擦部材24の形成材料は、媒体Mに対する摩擦力を確保することが可能である材料のうちのいずれか1種類または2種類以上であれば、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系のゴムなどである。
なお、後述する回転部21A(ローラ部22)と媒体Mとの摩擦力μは、例えば、高摩擦部材24の材質および形成範囲(面積)などに応じて任意に制御可能である。
トルク制御部23は、例えば、いわゆるトルクリミッタを含んでいる。トルクリミッタの方式は、特に限定されないが、例えば、永久磁石を用いたマグネット方式および機械(摩擦・抵抗)方式などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。中でも、回転負荷Fを高精度かつ安定に発生させることができる観点から、マグネット方式のトルクリミッタが好ましい。
このトルク制御部23は、例えば、軸受け部23Xと、軸部23Yとを含んでいる。軸受け部23Xは、開口部23XKを有する略筒状の形状を有しており、その軸受け部23Xの開口部23XKには、軸部23Yが回転可能となるように挿通されている。軸部23Yは、開口部23YKを有する略筒状の形状を有しており、その軸部23Yの開口部23YKには、シャフト25が挿通されている。トルク制御部23では、例えば、軸受け部23Xと軸部23Yとの接触面において回転負荷Fが発生する。
トルク制御部23では、軸受け部23Xの開口部23XKに軸部23Yが回転可能となるように挿通された状態において、その軸部23Yの一部が軸受け部23Xよりも装置本体1に近い側に突出している。
トルク制御部23の全体は、上記したように、ローラ部22に設けられた大口径の窪み22Mに収納されていると共に、そのトルク制御部23の一部(突出部分)は、上記したように、ローラ部22に設けられた小口径の窪み22Nに嵌め込まれている。これにより、軸部22Yは、軸受け部23Xにより回転可能に保持されている状態において、ローラ部22に固定されている。
なお、回転部21B〜21Eのそれぞれの構成は、例えば、上記した回転部21Aの構成と同様である。すなわち、回転部21B〜21Eのそれぞれは、ローラ部22と、トルク制御部23(軸受け部23Xおよび軸部23Y)とを含んでいる。
ただし、装置本体1から最も遠い側に位置する回転部21Eのトルク制御部23では、軸受け部23Xがプレート27に固定されている。
なお、装置本体1の裏面、すなわち巻取ローラ3,4などが配置されていない側の面には、例えば、シャフト25を収納するカバー28が設けられており、そのカバー28の内部には、例えば、フォトセンサ29が収納されている。
カバー28の形成材料は、例えば、上記した装置本体1の形成材料と同様である。フォトセンサ29は、例えば、シャフト25の回転などを検出する。
(複数の回転部の連結関係)
回転部21Aのローラ部22は、例えば、図4に示したように、その回転部21Aのトルク制御部23の一部(突出部分)が嵌め込まれる窪み22Nの内部に、1または2以上の突起22Jを有している。突起22Jの数は、特に限定されないが、例えば、ここでは2個である。
また、回転部21Aのトルク制御部23(軸部23Y)は、例えば、図5に示したように、装置本体1に近い側(回転部21Aのローラ部22に近い側)に、1または2以上の窪み23Hを有している。複数の窪み23Hの位置は、上記した複数の突起22Jの位置に対応している。この窪み23Hの数は、特に限定されないが、例えば、ここでは突起22Jの数に対応して、2個である。
回転部21Aのローラ部22に設けられた2個の突起22Jは、その回転部21Aのトルク制御部23(軸部23Y)に設けられた2個の窪み23Hに嵌め込まれている。これにより、回転部21Aの軸部23Yは、その回転部21Aのローラ部22に連結されているため、回転部21Aのローラ部22は、その回転部21Aの軸部23Yと一緒に回転可能である。なお、図4では、回転部21Aのローラ部22とその回転部21Aのトルク制御部23とを互いに離間させた状態を示している。
一方、回転部21Aのトルク制御部23(軸受け部23X)は、例えば、図4に示したように、装置本体1から遠い側(回転部21Bのローラ部22に近い側)に1または2以上の突起23Jを有している。突起23Jの数は、特に限定されないが、例えば、ここでは2個である。
また、回転部21Aに隣り合う回転部21Bのローラ部22は、例えば、図5に示したように、装置本体1に近い側(回転部21Aのトルク制御部23に近い側)に、1又は2以上の窪み22Hを有している。複数の窪み22Hの位置は、上記した複数の突起23Jの位置に対応している。この窪み22Hの数は、特に限定されないが、例えば、ここでは突起21Jの数に対応して、2個である。
回転部21Aのトルク制御部23(軸受け部23X)に設けられた2個の突起23Jは、その回転部21Aに隣り合う回転部21Bのローラ部22に設けられた2個の窪み22Hに嵌め込まれている。これにより、回転部21Aの軸受け部23Xは、その回転部21Aに隣り合う回転部21Bのローラ部22に連結されているため、その回転部21Aの軸受け部23Xは、回転部21Bのローラ部22と一緒に回転可能である。なお、図5では、回転部21Aのトルク制御部23と回転部21Bのローラ部22とを互いに離間させた状態を示している。
このように互いに隣り合う2個の回転部21A,21Bは、それぞれが独立して回転可能となるように回転部21Aのトルク制御部23を介して連結されている。すなわち、回転部21Aのローラ部22および軸部23Yは、シャフト25の回転に応じて回転可能である。一方、回転部21Bのローラ部22は、上記した回転部21Aのローラ部22および軸部23Yの回転に応じて回転部21Aの軸受け部23Xが回転すると、その回転部21Aの軸受け部23Xの回転に応じて回転可能である。
なお、ここでは図示しないが、互いに隣り合う2個の回転部21B,21Cの連結関係、互いに隣り合う2個の回転部21C,21Dの連結関係および互いに隣り合う2個の回転部21D,21Eの連結関係のそれぞれは、上記した互いに隣り合う2個の回転部21A,21Bの連結関係と同様である。
すなわち、2個の回転部21B,21Cでは、回転部21Bのトルク制御部23(軸部23Y)が回転部21Bのローラ部22に連結されていると共に、その回転部21Bのトルク制御部23(軸受け部23X)が回転部21Cのローラ部22に連結されている。この場合には、回転部21Bのローラ部22および軸部23Yは、回転部21Aの軸受け部23Xの回転に応じて回転可能である。一方、回転部21Cのローラ部22は、上記した回転部21Bのローラ部22および軸部23Yの回転に応じて回転部21Bの軸受け部23Xが回転すると、その回転部21Bの軸受け部23Xの回転に応じて回転可能である。これにより、2個の回転部21B,21Cは、それぞれが独立して回転可能となるように回転部21Bのトルク制御部23を介して連結されている。
2個の回転部21C,21Dでは、回転部21Cのトルク制御部23(軸部23Y)が回転部21Cのローラ部22に連結されていると共に、その回転部21Cのトルク制御部(軸受け部23X)が回転部21Dのローラ部22に連結されている。この場合には、回転部21Cのローラ部22および軸部23Yは、回転部21Bの軸受け部23Xの回転に応じて回転可能である。一方、回転部21Dのローラ部22は、上記した回転部21Cのローラ部22および軸部23Yの回転に応じて回転部21Cの軸受け部23Xが回転すると、その回転部21Cの軸受け部23Xの回転に応じて回転可能である。これにより、2個の回転部21C,21Dは、それぞれが独立して回転可能となるように回転部21Cのトルク制御部23を介して連結されている。
2個の回転部21D,21Eでは、回転部21Dのトルク制御部23(軸部23Y)が回転部21Dのローラ部22に連結されていると共に、その回転部21Dのトルク制御部(軸受け部23X)が回転部21Eのローラ部22に連結されている。この場合には、回転部21Dのローラ部22および軸部23Yは、回転部21Cの軸受け部23Xの回転に応じて回転可能である。一方、回転部21Eのローラ部22は、上記した回転部21Dのローラ部22および軸部23Yの回転に応じて回転部21Dの軸受け部23Xが回転すると、その回転部21Dの軸受け部23Xの回転に応じて回転可能である。これにより、2個の回転部21D,21Eは、それぞれが独立して回転可能となるように回転部21Dのトルク制御部23を介して連結されている。ただし、回転部21Eでは、上記したように、軸受け部23Xがプレート27に固定されているため、その軸受け部23Xは回転不能である。
[回転負荷と摩擦力との関係]
この巻取装置10では、搬送ローラ2(回転部21A〜21E)を用いて媒体Mを巻き取るために、回転負荷Fと摩擦力μとの間に、以下で説明する関係が成立している。
上記したように、回転部21A〜21Eのそれぞれは、互いに異なる回転負荷Fを付与されながら回転可能である。すなわち、回転部21A〜21Eのそれぞれに付与される回転負荷F(A)〜F(E)に関しては、F(A)<F(B)<F(C)<F(D)<F(E)という関係が成立している。
一方、搬送ローラ2により媒体Mが搬送される場合には、その媒体Mが搬送ローラ2に接触するため、その媒体Mと搬送ローラ2との間に摩擦力μが発生する。より具体的には、回転部21Aと媒体Mとの間に摩擦力μ(A)が発生する。回転部21Bと媒体Mとの間に摩擦力μ(B)が発生する。回転部21Cと媒体Mとの間に摩擦力μ(C)が発生する。回転部21Dと媒体Mとの間に摩擦力μ(D)が発生する。回転部21Eと媒体Mとの間に摩擦力μ(E)が発生する。
ただし、媒体Mの搬送時において発生する摩擦力μの値は、上記したように、その媒体Mの幅、すなわち媒体Mを巻き取るために用いられる回転部21の数(媒体Mと接触する回転部21の数)に応じて決定される。
具体的には、回転部21の数と摩擦力μの値との関係は、例えば、以下の通りである。1個の回転部21Aを用いて媒体Mが搬送される場合には、摩擦力μ(A)が発生する。2個の回転部21A,21Bを用いて媒体Mが搬送される場合には、摩擦力μ(A)+μ(B)が発生する。3個の回転部21A〜21Cを用いて媒体Mが搬送される場合には、摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)が発生する。4個の回転部21A〜21Dを用いて媒体Mが搬送される場合には、摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)が発生する。5個の回転部21A〜21Eを用いて媒体Mが搬送される場合には、摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)+μ(E)が発生する。
(N個の回転部に関する回転負荷と摩擦力の関係)
上記した回転負荷Fと摩擦力μとの間には、以下の適切な関係が成立している。ここでは、まず、回転負荷Fと摩擦力μとの関係を一般化しながら説明するために、搬送ローラ2がN個の回転部21を含んでいる場合を例に挙げる。
搬送ローラ2は、回転軸2Pの方向に配列されたN個の回転部21を含んでいる。N個の回転部21が配列されていることから明らかなように、そのNの値は、2以上の整数である。ただし、回転部21の数をカウントする場合には、例えば、装置本体1に最も近い側に位置する回転部21を1個目とすると共に、その装置本体1から最も遠い側に位置する回転部21をN個目とする。
N個の回転部21のそれぞれに付与される回転負荷Fは、1個目の回転部21からN個目の回転部21に向かって次第に大きくなるように設定されている。すなわち、N−1個目の回転部21に付与される回転負荷F(N−1)と、N個目の回転部21に付与される回転負荷F(N)とに関しては、F(N−1)<F(N)という関係が成立している。
ここで、媒体Mの幅がN−1個の回転部21の幅の総和に相当するため、搬送ローラ2により媒体Mが搬送される場合には、そのN−1個の回転部21の回転動作を利用して媒体Mが搬送されるとする。この場合には、媒体MとN−1個の回転部21との間に、摩擦力μ(N−1)が発生する。
媒体MとN−1個の回転部21との摩擦力μ(N−1)と、N−1個目の回転部21に付与される回転負荷F(N−1)と、そのN−1個目の回転部21に隣り合うN個目の回転部21に付される回転負荷F(N)との間には、下記の式(1)で表される関係が成立している。この関係は、例えば、N個のトルク制御部23を介してN個の回転部21を互いに連結させると共に、そのN個のトルク制御部23を利用して回転負荷F(N−1),F(N)を発生させることにより、実現されている。
F(N−1)<μ(N−1)<F(N) ・・・(1)
摩擦力μ(N−1)と回転負荷F(N−1),F(N)との間に式(1)に示した関係が成立しているのは、巻取装置10に供給される媒体Mの幅に依存せずに、搬送ローラ2を利用して適正な張力が得られた状態において、媒体Mが搬送されるからである。これにより、媒体Mの幅が変化しても、その幅の変化に起因する影響(張力の変化)を抑制しながら媒体Mが巻取ローラ3,4により巻き取られるため、その媒体Mが均一な巻き取り固さとなるように巻き取られやすくなる。なお、媒体Mが均一な巻き取り固さとなるように巻き取られる詳細な理由に関しては、後述する。
(5個の回転部に関する回転負荷と摩擦力の関係)
上記した5個の回転部21(21A〜21E)に関して、式(1)に示したN個の回転部21に関する関係を適用すると、以下の5つの関係が成立することになる。
第1に、媒体Mの幅が回転部21Aの幅WAに相当するため、その回転部21Aの回転動作を利用して媒体Mが搬送される場合には、下記の式(1−1)で表される関係が成立する。ただし、媒体Mの幅は、幅WAに対して厳密に等しくなければならないわけではなく、その媒体Mの幅は、幅WAに対して多少ずれていてもよい。
すなわち、媒体Mと回転部21Aとの摩擦力μ(A)は、回転部21Aのトルク制御部23が発生させる回転負荷F(A)よりも大きくなると共に、回転部21Bのトルク制御部23が発生させる回転負荷F(B)よりも小さくなる。これにより、回転部21Aを用いて媒体Mが搬送される場合には、互いに隣り合う回転部21A,21Bのうち、回転部21Bが回転不能になると共に、回転部21Aが回転可能になる。この場合には、もちろん、回転部21C〜21Eのそれぞれも回転不能になる。
F(A)<μ(A)<F(B) ・・・(1−1)
第2に、媒体Mの幅が回転部21A,21Bの幅WA,WBの総和に相当するため、その回転部21A,21Bの回転動作を利用して媒体Mが搬送される場合には、上記した式(1−1)に示した関係と共に、下記の式(1−2)で表される関係が成立する。ただし、媒体Mの幅は、幅WA,WBの総和に対して厳密に等しくなければならないわけではなく、その媒体Mの幅は、幅WA,WBの総和に対して多少ずれていてもよい。
すなわち、媒体Mと回転部21A,21Bとの摩擦力μ(A)+μ(B)は、回転部21Bのトルク制御部23が発生させる回転負荷F(B)よりも大きくなると共に、回転部21Cのトルク制御部23が発生させる回転負荷F(C)よりも小さくなる。これにより、回転部21A,21Bを用いて媒体Mが搬送される場合には、互いに隣り合う回転部21A〜21Cのうち、回転部21Cが回転不能になると共に、回転部21A,21Bが回転可能になる。この場合には、もちろん、回転部21D,21Eも回転不能になる。
F(B)<μ(A)+μ(B)<F(C) ・・・(1−2)
第3に、媒体Mの幅が回転部21A〜21Cの幅WA〜WCの総和に相当するため、その回転部21A〜21Cの回転動作を利用して媒体Mが搬送される場合には、上記した式(1−1)および式(1−2)のそれぞれに示した関係と共に、下記の式(1−3)で表される関係が成立する。ただし、媒体Mの幅は、幅WA〜WCの総和に対して厳密に等しくなければならないわけではなく、その媒体Mの幅は、幅WA〜WCの総和に対して多少ずれていてもよい。
すなわち、媒体Mと回転部21A〜21Cとの摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)は、回転部21Cのトルク制御部23が発生させる回転負荷F(C)よりも大きくなると共に、回転部21Dのトルク制御部23が発生させる回転負荷F(D)よりも小さくなる。これにより、回転部21A〜21Cを用いて媒体Mが搬送される場合には、互いに隣り合う回転部21A〜21Dのうち、回転部21Dが回転不能になると共に、回転部21A〜21Cが回転可能になる。この場合には、もちろん、回転部21Eも回転不能になる。
F(C)<μ(A)+μ(B)+μ(C)<F(D) ・・・(1−3)
第4に、媒体Mの幅が回転部21A〜21Dの幅WA〜WDの総和に相当するため、その回転部21A〜21Dの回転動作を利用して媒体Mが搬送される場合には、上記した式(1−1)〜式(1−3)のそれぞれに示した関係と共に、下記の式(1−4)で表される関係が成立する。ただし、媒体Mの幅は、幅WA〜WDの総和に対して厳密に等しくなければならないわけではなく、その媒体Mの幅は、幅WA〜WDの総和に対して多少ずれていてもよい。
すなわち、媒体Mと回転部21A〜21Dとの摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)は、回転部21Dのトルク制御部23が発生させる回転負荷F(D)よりも大きくなると共に、回転部21Eのトルク制御部23が発生させる回転負荷F(E)よりも小さくなる。これにより、回転部21A〜21Dを用いて媒体Mが搬送される場合には、互いに隣り合う回転部21A〜21Eのうち、回転部21Eが回転不能になると共に、回転部21A〜21Dが回転可能になる。
F(D)<μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)<F(E) ・・・(1−4)
なお、媒体Mの幅が回転部21A〜21Eの幅WA〜WEの総和に相当するため、その回転部21A〜21Eの回転動作を利用して媒体Mが搬送される場合には、上記した式(1−1)〜式(1−4)のそれぞれに示した関係と共に、下記の式(1−5)で表される関係が成立する。ただし、媒体Mの幅は、幅WA〜WEの総和に対して厳密に等しくなければならないわけではなく、その媒体Mの幅は、幅WA〜WEの総和に対して多少ずれていてもよい。
すなわち、媒体Mと回転部21A〜21Eとの摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)+μ(E)は、回転部21Eのトルク制御部23が発生させる回転負荷F(E)よりも大きくなる。これにより、回転部21A〜21Eを用いて媒体Mが搬送される場合には、互いに隣り合う回転部21A〜21Eのうち、その回転部21A〜21Eの全てが回転可能になる。
F(E)<μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)+μ(E) ・・・(1−5)
[他の構成]
なお、巻取装置10は、例えば、上記した搬送ローラ2などの一連の構成要素と共に、他の構成要素のうちのいずれか1種類または2種類以上を備えていてもよい。
他の構成要素は、特に限定されないが、例えば、搬送ローラ2および巻取ローラ3,4のそれぞれを回転させるモータの他、テンションバー7などの位置を検出する各種センサなどである。
[媒体の構成]
ここで、巻取装置10に供給される媒体Mの具体的な構成を説明する。
媒体Mの構成は、巻取装置10を用いて巻き取ることが可能な構成であれば、特に限定されない。この媒体Mは、単層でもよいし、多層でもよいし、単層部分と多層部分とを含む複合体でもよい。
また、媒体Mの用途は、何らかの理由により巻取装置10を用いて巻き取ることを要する用途であれば、特に限定されない。
図6は、媒体Mの平面構成を表している。図7は、図6に示したA−A線に沿った媒体Mの断面構成を表している。
ここでは、媒体Mは、例えば、図6および図7に示したように、剥離基材31と、その剥離基材31の一面に剥離可能に接着されたシール基材32とを含んでいる。この媒体Mは、例えば、巻取装置10に供給された際に連続的に搬送されるために、一方向(X方向)に延在する帯状(長尺の短冊状)の平面形状を有している。
剥離基材31は、シール基材32を剥離可能に支持する基材である。シール基材32に隣接される剥離基材31の一面には、例えば、シール基材32を剥離させるための離型層が設けられている。剥離基材31の材質は、特に限定されないが、例えば、紙およびフィルムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
シール基材32は、任意の目的に応じて剥離基材31から剥離される基材である。剥離基材31に隣接されるシール基材32の一面には、例えば、剥離基材31に対する接着性を得るための接着層が設けられている。シール基材32の材質は、特に限定されないが、例えば、紙およびフィルムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
ここで説明する媒体Mは、例えば、ハーフカット処理が施されたシールであり、いわゆるラベル型のシールである。すなわち、シール基材32には、例えば、所望のパターン形状(平面形状)となるように切り込み32Kが設けられている。このため、シール基材32は、例えば、切り込み32Kにより囲まれた領域(ラベル部32X)と、それ以外の領域(非ラベル部32Y)とを含んでいる。このラベル部32Xは、必要に応じて剥離基材31から剥離可能である。
ラベル部32Xの平面形状は、任意の形状のうちのいずれか1種類または2種類以上であれば、特に限定されない。ここでは、全てのラベル部32Xの平面形状は、例えば、4つの角部が丸みを帯びた矩形である。
また、ラベル部32Xの数および配置は、特に限定されない。すなわち、ラベル部32Xの数は、1個でもよいし、2個以上でもよい。また、ラベル部32Xの配置は、規則的でもよいし、ランダムでもよい。ここでは、ラベル部32Xの数は、例えば、複数である。また、複数のラベル部32Xの配置は、例えば、規則的(3列×複数行)である。
<1−2.動作>
次に、巻取装置10の動作に関して説明する。ここでは、上記したラベル型のシールである媒体Mを用いる場合を例に挙げる。
図8は、巻取装置10の動作を説明するために、図1に対応する平面構成を表している。なお、図8では、巻取装置10と共に、その巻取装置10に媒体Mを供給する外部装置40を示している。また、図8では、媒体Mの搬送手順を分かりやすくするために、搬送ローラ2、巻取ローラ3,4および補助ローラ5,6のそれぞれが回転する方向に矢印を付している。
図9は、不要媒体MBの平面構成を表しており、図6に対応している。図10は、必要媒体MAの平面構成を表しており、図6に対応している。なお、図6、図9および図10では、剥離基材31とシール基材32とを識別しやすくするために、そのシール基材32に網掛けを施している。
外部装置40の種類は、巻取装置10に媒体Mを供給可能である装置のうちのいずれか1種類または2種類以上であれば、特に限定されない。この外部装置40は、例えば、ロール状に巻き取られた媒体Mを外部に送出する送出装置でもよい。また、外部装置40は、例えば、ロール状に巻き取られた媒体Mの表面に画像を形成したのち、その画像が形成された媒体Mを外部に供給する画像形成装置(いわゆるプリンタ)でもよい。もちろん、外部装置40は、上記以外の装置でもよい。なお、画像形成装置の画像形成方式は、特に限定されないが、例えば、電子写真方式などである。
[巻取動作の概要]
この巻取装置10では、例えば、図8に示したように、外部装置40から媒体Mが供給されると、その媒体Mは、テンションバー7および搬送ローラ2をこの順に経由することにより、巻取ローラ3,4のそれぞれに向けて搬送される。
具体的には、最初に、媒体Mは、テンションバー7を経由して搬送ローラ2に搬送される。
この場合には、例えば、剥離基材31が下側に配置されると共にシール基材32が上側に配置されるように、外部装置40から巻取装置10に媒体Mが供給される。すなわち、媒体Mが搬送ローラ2まで搬送された際には、剥離基材31が下側(搬送ローラ2に近い側)に位置すると共に、シール基材32が上側(搬送ローラ2から遠い側)に位置する。
また、例えば、媒体Mの搬送途中において、巻取ローラ3の回転数の変化などの条件に応じてテンションバー7が上下に移動するため、その媒体Mの張力が制御される。
すなわち、巻取ローラ3は、例えば、外部装置40から巻取装置10に媒体Mが供給される速度よりも速い速度で回転している。この場合には、媒体Mの張力が高くなるため、その張力の影響を受けてテンションバー7が上方向に移動する。
テンションバー7が最上位置に到達すると、例えば、媒体Mの搬送途中において巻取ローラ3の回転数が減少し、または巻取ローラ3の回転が一時的に停止する。この場合には、外部装置40から巻取装置10に媒体Mが供給され続けるため、テンションバー7が自重を利用して下方向に移動する。
テンションバー7が最下位置に到達すると、例えば、巻取ローラ3の回転数が増加し、または巻取ローラ3の回転が再開される。これにより、媒体Mの張力の影響を受けて、テンションバー7が再び上方向に摺動する。
このように巻取ローラ3の回転数の変化などの条件に応じてテンションバー7が上下に移動するため、高さ方向におけるテンションバー7の位置の変化を利用して、媒体Mの張力が制御される。なお、図8では、テンションバー7が下方向に移動した状態を示している。
上記したテンションバー7を利用した張力の制御動作は、例えば、巻取ローラ4の回転数の変化などの条件に応じても同様に行われる。
続いて、搬送ローラ2に到達した媒体Mは、その搬送ローラ2が反時計回りに回転することにより、補助ローラ6の近傍まで搬送される。
媒体Mが補助ローラ6の近傍に到達すると、その媒体Mが搬送ローラ2と補助ローラ6との間を通過する際に、不要媒体MB(非ラベル部32Y)が必要媒体MA(剥離基材31およびラベル部32X)から剥離される。この不要媒体MBは、補助ローラ6により巻取ローラ4に向けて搬送されるため、その巻取ローラ4により巻き取られる。なお、巻取ローラ4により巻き取られる不要媒体MBの構成は、例えば、図9に示した通りである。
続いて、必要媒体MAは、補助ローラ5により巻取ローラ4に向けて搬送されるため、その巻取ローラ3により巻き取られる。
このように、外部装置40から巻取装置10に媒体Mが供給されると、その巻取装置10により媒体Mの巻取処理が行われる。この巻取処理では、媒体Mのうちの不要媒体MBが補助ローラ6により搬送されるため、その不要媒体MBが巻取ローラ4により巻き取られる。また、媒体Mのうちの必要媒体MAが補助ローラ5により搬送されるため、その必要媒体MAが巻取ローラ4により巻き取られる。これにより、媒体Mから必要媒体MAだけを回収することができる。
[搬送動作の詳細]
特に、巻取装置10では、上記したように、搬送ローラ2が複数の回転部21を含んでいると共に、回転負荷Fと摩擦力μとの間に式(1)に示した関係が成立している。このため、搬送ローラ2により媒体Mが搬送される場合には、その媒体Mの幅に応じて、複数の回転部21のうちの一部または全部が選択的に用いられることにより、媒体Mが搬送される。
複数の回転部21を用いた媒体Mの搬送動作に関する詳細は、以下で説明する通りである。ここでは、例えば、搬送ローラ2が5個の回転部21(21A〜21E)を含む場合を例に挙げる。
(1個の回転部を用いた媒体の搬送動作)
幅WAに相当する幅を有する媒体Mが用いられる場合には、その媒体Mの一端が基準位置Sに位置合わせされることにより、回転部21A〜21Eのうちの回転部21Aに媒体Mが接触する。
この場合には、媒体Mが接触する回転部21Aと、その回転部21Aに隣り合う回転部21Bとに関して、上記した式(1−1)の関係が成立している。すなわち、媒体Mと回転部21Aとの摩擦力μ(A)は、回転部21Aに付与される回転負荷F(A)よりも大きくなると共に、回転部21Bに付与される回転負荷F(B)よりも小さくなる。
これにより、回転部21A〜21Eのうち、回転部21Aが回転可能になると共に、回転部21B〜21Eが回転不能になる。よって、外部装置40から巻取装置10に媒体Mが供給されると共に、モータなどの回転力を利用して巻取ローラ3が回転すると、回転部21A〜21Eのうちの回転部21Aが選択的に用いられることにより、媒体Mが搬送される。
すなわち、媒体Mは回転部21Aに接触するため、その媒体Mと回転部21Aとの間に摩擦力μ(A)が発生する。この摩擦力μ(A)は、回転部21Aに付与される回転負荷F(A)よりも大きいため、媒体Mが回転部21Aに接触しながら巻取ローラ3に向かって移動すると、その媒体Mの移動に応じて回転部21Aが回転する。
一方、媒体Mは回転部21Bに接触しないため、その媒体Mと回転部21Bとの間に摩擦力μ(B)は発生しない。しかも、媒体Mと回転部21Aとの摩擦力μ(A)は、回転部21Bに付与される回転負荷F(B)よりも小さいため、媒体Mが回転部21Aに接触しながら巻取ローラ3,4のそれぞれに向かって移動すると、その媒体Mの移動に応じて回転部21Aは回転できるが、回転部21Bは回転できない。
これらのことから、回転部21A〜21Eのうちの回転部21Aが選択的に回転するため、その回転部21Aの回転動作を利用して媒体Mが搬送される。この場合には、幅WAに相当する媒体Mの幅に応じた適正な摩擦力μ(A)を利用して、搬送ローラ2(回転部21A)と巻取ローラ3との間において媒体Mの張力が適正に制御されるため、その巻取ローラ3により媒体Mが均一な巻き取り固さとなるように巻き取られる。
この場合には、搬送ローラ2と巻取ローラ4との間においても媒体Mの張力が適正に制御されるため、その巻取ローラ4によっても媒体Mが均一な巻き取り固さとなるように巻き取られる。このように巻取ローラ4によっても巻取ローラ3と同様に媒体Mが巻き取られることは、以降においても同様である。
(2個の回転部を用いた媒体の搬送動作)
幅WA,WBの総和に相当する幅を有する媒体Mが用いられる場合には、その媒体Mの一端が基準位置Sに位置合わせされることにより、回転部21A〜21Eのうちの回転部21A,21Bに媒体Mが接触する。
この場合には、媒体Mが接触する回転部21A,21Bと、その回転部21Bに隣り合う回転部21Cとに関して、上記した式(1−1)および式(1−2)の関係が成立している。すなわち、媒体Mと回転部21A,21Bとの摩擦力μ(A)+μ(B)は、回転部21Bに付与される回転負荷F(B)よりも大きくなると共に、回転部21Cに付与される回転負荷F(C)よりも小さくなる。
これにより、回転部21A〜21Eのうち、回転部21A,21Bが回転可能になると共に、回転部21C〜21Eが回転不能になる。よって、外部装置40から巻取装置10に媒体Mが供給されると共に、巻取ローラ3が回転すると、回転部21A〜21Eのうちの回転部21A,21Bが選択的に用いられることにより、媒体Mが搬送される。
すなわち、媒体Mは回転部21A,21Bに接触するため、その媒体Mと回転部21A,21Bとの間に摩擦力μ(A)+μ(B)が発生する。この摩擦力μ(A)+μ(B)は、回転部21Bに付与される回転負荷F(B)よりも大きいため、媒体Mが回転部21A,21Bに接触しながら巻取ローラ3に向かって移動すると、その媒体Mの移動に応じて回転部21Bが回転する。この場合には、当然ながら、摩擦力μ(A)+μ(B)が回転負荷F(A)よりも大きいため、その回転部21Aも回転部21Bと一緒に回転する。
一方、媒体Mは回転部21Cに接触しないため、その媒体Mと回転部21Cとの間に摩擦力μ(C)は発生しない。しかも、媒体Mと回転部21A,21Bとの摩擦力μ(A)+μ(B)は、回転部21Cに付与される回転負荷F(C)よりも小さいため、媒体Mが回転部21A,21Bに接触しながら巻取ローラ3に向かって移動すると、その媒体Mの移動に応じて回転部21Bは回転できるが、回転部21Cは回転できない。
これらのことから、回転部21A〜21Eのうちの回転部21A,21Bが選択的に回転するため、その回転部21A,21Bの回転動作を利用して媒体Mが搬送される。この場合には、幅WA,WBの総和に相当する媒体Mの幅に応じた適正な摩擦力μ(A)+μ(B)を利用して、搬送ローラ2(回転部21A,21B)と巻取ローラ3との間において媒体Mの張力が適正に制御されるため、その巻取ローラ3により媒体Mが均一な巻き取り固さとなるように巻き取られる。
(3個の回転部を用いた媒体の搬送動作)
幅WA〜WCの総和に相当する幅を有する媒体Mが用いられる場合には、その媒体Mの一端が基準位置Sに位置合わせされることにより、回転部21A〜21Eのうちの回転部21A〜21Cに媒体Mが接触する。
この場合には、媒体Mが接触する回転部21A〜21Cと、その回転部21Cに隣り合う回転部21Dとに関して、上記した式(1−1)〜式(1−3)の関係が成立している。すなわち、媒体Mと回転部21A〜21Cとの摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)は、回転部21Cに付与される回転負荷F(C)よりも大きくなると共に、回転部21Dに付与される回転負荷F(D)よりも小さくなる。
これにより、回転部21A〜21Eのうち、回転部21A〜21Cが回転可能になると共に、回転部21D,21Eが回転不能になる。よって、外部装置40から巻取装置10に媒体Mが供給されると共に、巻取ローラ3が回転すると、回転部21A〜21Eのうちの回転部21A〜21Cが選択的に用いられることにより、媒体Mが搬送される。
すなわち、媒体Mは回転部21A〜21Cに接触するため、その媒体Mと回転部21A〜21Cとの間に摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)が発生する。この摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)は、回転部21Cに付与される回転負荷F(C)よりも大きいため、媒体Mが回転部21A〜21Cに接触しながら巻取ローラ3に向かって移動すると、その媒体Mの移動に応じて回転部21Cが回転する。この場合には、当然ながら、摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)が回転負荷F(A),F(B)のそれぞれよりも大きいため、その回転部21A,21Bも回転部21Cと一緒に回転する。
一方、媒体Mは回転部21Dに接触しないため、その媒体Mと回転部21Dとの間に摩擦力μ(D)は発生しない。しかも、媒体Mと回転部21A〜21Cとの摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)は、回転部21Dに付与される回転負荷F(D)よりも小さいため、媒体Mが回転部21A〜21Cに接触しながら巻取ローラ3に向かって移動すると、その媒体Mの移動に応じて回転部21Cは回転できるが、回転部21Dは回転できない。
これらのことから、回転部21A〜21Eのうちの回転部21A〜21Cが選択的に回転するため、その回転部21A〜21Cの回転動作を利用して媒体Mが搬送される。この場合には、幅WA〜WCの総和に相当する媒体Mの幅に応じた適正な摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)を利用して、搬送ローラ2(回転部21A〜21C)と巻取ローラ3との間において媒体Mの張力が適正に制御されるため、その巻取ローラ3により媒体Mが均一な巻き取り固さとなるように巻き取られる。
(4個の回転部を用いた媒体の搬送動作)
幅WA〜WDの総和に相当する幅を有する媒体Mが用いられる場合には、その媒体Mの一端が基準位置Sに位置合わせされることにより、回転部21A〜21Eのうちの回転部21A〜21Dに媒体Mが接触する。
この場合には、媒体Mが接触する回転部21A〜21Dと、その回転部21Dに隣り合う回転部21Eとに関して、上記した式(1−1)〜式(1−4)の関係が成立している。すなわち、媒体Mと回転部21A〜21Dとの摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)は、回転部21Dに付与される回転負荷F(D)よりも大きくなると共に、回転部21Eに付与される回転負荷F(E)よりも小さくなる。
これにより、回転部21A〜21Eのうち、回転部21A〜21Dが回転可能になると共に、回転部21D,21Eが回転不能になる。よって、外部装置40から巻取装置10に媒体Mが供給されると共に、巻取ローラ3が回転すると、回転部21A〜21Eのうちの回転部21A〜21Dが選択的に用いられることにより、媒体Mが搬送される。
すなわち、媒体Mは回転部21A〜21Dに接触するため、その媒体Mと回転部21A〜21Dとの間に摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)が発生する。この摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)は、回転部21Dに付与される回転負荷F(D)よりも大きいため、媒体Mが回転部21A〜21Dに接触しながら巻取ローラ3に向かって移動すると、その媒体Mの移動に応じて回転部21Dが回転する。この場合には、当然ながら、摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)が回転負荷F(A),F(B),F(C)のそれぞれよりも大きいため、その回転部21A〜21Cも回転部21Dと一緒に回転する。
一方、媒体Mは回転部21Eに接触しないため、その媒体Mと回転部21Eとの間に摩擦力μ(E)は発生しない。しかも、媒体Mと回転部21A〜21Dとの摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)は、回転部21Eに付与される回転負荷F(E)よりも小さいため、媒体Mが回転部21A〜21Dに接触しながら巻取ローラ3に向かって移動すると、その媒体Mの移動に応じて回転部21Dは回転できるが、回転部21Eは回転できない。
これらのことから、回転部21A〜21Eのうちの回転部21A〜21Dが選択的に回転するため、その回転部21A〜21Dの回転動作を利用して媒体Mが搬送される。この場合には、幅WA〜WDの総和に相当する媒体Mの幅に応じた適正な摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)を利用して、搬送ローラ2(回転部21A〜21D)と巻取ローラ3との間において媒体Mの張力が適正に制御されるため、その巻取ローラ3により媒体Mが均一な巻き取り固さとなるように巻き取られる。
(5個の回転部を用いた媒体の搬送動作)
幅WA〜WEの総和に相当する幅を有する媒体Mが用いられる場合には、その媒体Mの一端が基準位置Sに位置合わせされることにより、回転部21A〜21Eの全てに媒体Mが接触する。
この場合には、媒体Mが接触する回転部21A〜21Eに関して、上記した式(1−1)〜式(1−5)の関係が成立している。このため、媒体Mと回転部21A〜21Eとの摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)+μ(E)は、回転部21Eに付与される回転負荷F(E)よりも大きくなる。
これにより、回転部21A〜21Eの全てが回転可能になる。よって、外部装置40から巻取装置10に媒体Mが連続的に供給されると共に、巻取ローラ3が回転すると、回転部21A〜21Eの全てが用いられることにより、媒体Mが搬送される。
すなわち、媒体Mは回転部21A〜21Eに接触するため、その媒体Mと回転部21A〜21Eとの間に摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)+μ(E)が発生する。この摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)+μ(E)は、回転部21Eに付与される回転負荷F(E)よりも大きいため、媒体Mが回転部21A〜21Eに接触しながら巻取ローラ3に向かって移動すると、その媒体Mの移動に応じて回転部21Eが回転する。この場合には、当然ながら、摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)+μ(E)は回転負荷F(A),F(B),F(C),F(D)のそれぞれよりも大きいため、その回転部21A〜21Dも回転部21Eと一緒に回転する。
これらのことから、回転部21A〜21Eの全てが回転するため、その回転部21A〜21Eの回転動作を利用して媒体Mが搬送される。この場合には、幅WA〜WEの総和に相当する媒体Mの幅に応じた適正な摩擦力μ(A)+μ(B)+μ(C)+μ(D)+μ(E)を利用して、搬送ローラ2(回転部21A〜21E)と巻取ローラ3との間において媒体Mの張力が適正に制御されるため、その巻取ローラ3により媒体Mが均一な巻き取り固さとなるように巻き取られる。
<1−3.作用および効果>
この巻取装置10によれば、媒体Mを搬送させる搬送ローラ2は、回転軸2Pの方向に配列された複数の回転部21を含んでおり、複数の回転部21のそれぞれは、回転軸2Pの方向において次第に大きくなるように設定された回転負荷Fを受けながら回転する。よって、以下で説明する理由により、優れた巻取性能を得ることができる。
図11は、比較例の巻取装置100の斜視構成を表しており、図2に対応している。巻取装置100は、搬送ローラ2に代えて搬送ローラ50を備えていることを除き、本発明の巻取装置10と同様の構成を有している。この搬送ローラ50は、回転軸2Pの方向において複数に分割されている搬送ローラ2とは異なり、その回転軸2Pの方向において複数に分割されていない。このため、搬送ローラ50は、回転軸2Pの方向に延在する1つの円筒状の形状を有しており、幅Wを有している。
巻取装置100では、図8に示したように、外部装置40から媒体Mが供給されると、搬送ローラ50により媒体Mが巻取ローラ3に向けて搬送される。よって、巻取装置10と同様に、必要基材MAが巻取ローラ3により巻き取られる。
しかしながら、巻取装置100に供給される媒体Mの幅が変化しても、幅Wを有する幅広の搬送ローラ50により媒体Mが搬送される。これに伴い、搬送ローラ50を備えた巻取装置100では、一般的に、搬送ローラ50の幅Wに相当する幅広の媒体Mを適正に搬送させることができるように、その搬送ローラ50と巻取ローラ3との間における媒体Mの張力が設定される。
この場合には、搬送ローラ50の幅Wに相当する幅またはそれに近い幅を有する幅広の媒体Mが用いられる場合には、その搬送ローラ50と巻取ローラ3との間における媒体Mの張力が適正に制御されるため、その媒体Mが巻取ローラ3により均一な巻き取り固さとなるように巻き取られる。
一方、搬送ローラ50の幅Wよりも十分に小さい幅を有する狭幅の媒体Mが用いられる場合には、その搬送ローラ50と巻取ローラ3との間における媒体Mの張力が適正に制御されないため、その媒体Mが巻取ローラ3により均一な巻き取り固さとなるように巻き取られにくくなる。具体的には、張力が強すぎると、媒体Mが巻取ローラ3により過剰な巻き取り固さとなるように巻き取られやすくなると共に、張力が弱すぎると、媒体Mが巻取ローラ3により十分に巻き取られるにくくなる。
この問題は、主に、媒体Mの幅と搬送ローラ50の幅Wとの相違に起因して生じるため、媒体Mの巻取量に応じて巻取ローラ3の回転速度およびトルクなどを制御しただけでは改善することが困難な問題である。
これに対して、巻取装置10では、上記したように、搬送ローラ2が複数の回転部21を含んでおり、回転負荷Fと摩擦力μとの間に式(1)に示した関係が成立している。この場合には、巻取装置10に供給される媒体Mの幅が変化しても、その媒体Mの幅に応じて複数の回転部21のうちの一部または全部が適宜選択されることにより、媒体Mが搬送される。
これにより、幅広の媒体Mが用いられる場合においても、搬送ローラ50と巻取ローラ3との間における媒体Mの張力が適正に制御される。また、狭幅の媒体Mが用いられる場合においても、搬送ローラ50と巻取ローラ3との間における媒体Mの張力が適正に制御される。
しかも、媒体Mを搬送させるために用いられる回転部21の数および種類は、上記したように、複数の回転部21のそれぞれに付与される回転負荷Fの差異を利用して、その媒体Mの幅に応じて自動的に選択される。このため、巻取装置1に供給される媒体Mの幅に応じて、その媒体Mを搬送させるために用いる回転部21の数および種類を人為的または機械的に切り換える必要がない。
これらのことから、媒体Mの幅に依存せずに、搬送ローラ50と巻取ローラ3との間における媒体Mの張力が適正に制御されるため、その媒体Mが巻取ローラ3により均一な巻き取り固さとなるように巻き取られやすくなる。よって、優れた巻取性能を得ることができる。
特に、複数の回転部21のそれぞれに付与される回転負荷Fを発生させるために複数のトルク制御部23(トルクリミッタ)を用いれば、より高い効果を得ることができる。搬送ローラ2と巻取ローラ4との間における張力を適正に制御する観点において、式(1)に示した関係が成立するように回転負荷Fおよび摩擦力μを制御しやすいからである。
また、搬送ローラ2がN個の回転部21を含んでおり、N個の回転部21のそれぞれに付与される回転負荷Fが1個目の回転部21からN個目の回転部21に向かって次第に大きくなる場合を考える。この場合には、媒体MとN−1個の回転部21との摩擦力μ(N−1)と、N−1個目の回転部21に付与される回転負荷F(N−1)と、N個目の回転部21に付与される回転負荷F(N)との間にF(N−1)<μ(N−1)<F(N)という関係が成立していれば、より高い効果を得ることができる。回転部21の数に依存せずに、搬送ローラ2と巻取ローラ4との間における張力が適正に制御されるからである。
<2.変形例>
上記した巻取装置10の構成および動作などは、適宜変更可能である。
(変形例1)
具体的には、例えば、図2および図3では、装置本体1から遠ざかる方向に向かって回転部21A〜21Eがこの順に配列されると共に、その順に回転負荷Fが次第に大きくなるようにした。しかしながら、装置本体1に近づく方向に向かって回転部21A〜21Eがこの順に配列されると共に、その順に回転負荷Fが次第に大きくなるようにしてもよい。この場合においても、装置本体1から遠い側における回転部21Aの端縁の位置となるように基準位置Sを設定することにより、同様の効果を得ることができる。
(変形例2)
また、例えば、図2および図3では、回転部21の数を5個にしたが、その回転部21の数は、2個以上4個以下でもよいし、6個以上でもよい。この場合においても、回転負荷Fと摩擦力μとの間に式(1)に示した関係を成立させることにより、同様の効果を得ることができる。
(変形例3)
なお、図8では、媒体Mとして多層構造を有するラベル型のシール(図6)を用いる場合に関して説明したが、例えば、媒体Mとして単層構造を有する非シールを用いてもよい。この非シールは、例えば、紙およびフィルムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
この場合には、例えば、図8に対応する図12に示したように、巻取ローラ4を用いずに、巻取ローラ3だけを用いて媒体Mを巻き取ればよい。なお、ここでは図示しないが、単層構造を有する媒体Mを用いる場合には、補助ローラ6および巻取ローラ4を省略してもよいし、さらに補助ローラ5を省略してもよい。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
もちろん、単層構造を有する媒体Mを用いる場合には、図8において、巻取ローラ3を用いずに、巻取ローラ4だけを用いて媒体Mを巻き取ってもよい。なお、ここでは図示しないが、単層構造を有する媒体Mを用いる場合には、補助ローラ5および巻取ローラ3を省略してもよいし、さらに補助ローラ6を省略してもよい。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
(変形例4)
この他、図1では、巻取装置10がテンションバー7を備えているが、その巻取装置10はテンションバー7を備えていなくてもよい。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
また、図1では、搬送ローラ2が反時計回りに回転するようにしたが、その搬送ローラ2が時計回りに回転するようにしてもよい。この場合においても、搬送ローラ2が時計回りに回転しながら媒体Mを搬送することができるように、その媒体Mの搬送経路を変更することにより、同様の効果を得ることができる。
また、図8では、外部装置40から巻取装置10に媒体Mが供給されている。しかしながら、外部装置40を用いずに、外部から巻取装置10に媒体Mが供給されてもよい。外部装置40を用いずに巻取装置10に媒体Mを供給する方法は、例えば、手動で巻取装置10に媒体Mを供給する方法などである。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
以上、一実施形態を挙げながら本発明を説明したが、本発明は上記した一実施形態において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。