図1は、車両に設けられるストッパ取付構造10を示す。ストッパ取付構造10は、不図示のサスペンション部材の過剰な動きを受け止めるために車体側に設けられ、フレーム12、取付部材14、ストッパ部材16、第1U字部材18および第2U字部材を備える。
ストッパ取付構造10に受け止められるサスペンション部材は、車軸懸架式のサスペンション装置であればアクスルであり、独立懸架式のサスペンション装置であればロアアームである。車軸懸架式のアクスルは、車輪が段差を乗り上げた際に上方に移動して、車体側のフレーム12に接近する。このとき、過剰にアクスルがフレーム12に接近した場合、ストッパ取付構造10のストッパ部材16がアクスルに当接して、車体側のフレーム12とアクスルとの衝突を防ぐ。
フレーム12は、車幅方向および車両前後方向に延在し、車両の骨格を形成する。フレーム12は、2つの部材を溶接して、断面矩形状に形成される。
取付部材14は、ストッパ部材16をフレーム12に取り付けるために設けられる。取付部材14は、一対の取付部14a、支持部14bおよび側部14cを有する。一対の取付部14aは、板状でフレーム12の下側の固定面にネジ部材により固定される。
支持部14bは、平板状で一対の取付部14aの間に位置し、フレーム12の固定面に離れて対向する。側部14cは、取付部14aから起立し対向部14bに連なって、取付部14aおよび支持部14bを連結する。支持部14bおよび側部14cは、取付部14aから突出するように形成される。
ストッパ部材16は、ゴム製で弾性を有し、柱状に形成され、先端部に湾曲面を有する。ストッパ部材16の座面16aは、取付部材14の支持部14bの下側の支持面に加硫接着される。ストッパ部材16は、支持部14bから下方に突出し、フレーム12から離れる方向に突出する。ストッパ部材16はサスペンション部材の過剰な動きを和らげる。
取付部材14の支持部14bはフレーム12と離れており、ストッパ部材16から入力される荷重に対してストッパ取付構造10の耐荷重を向上するため、第1U字部材18および第2U字部材(不図示)が、取付部材14とフレーム12の間に設けられる。第1U字部材18および第2U字部材は、取付部材14とフレーム12に当接して、ストッパ部材16に入力された荷重を受け、ストッパ取付構造10の剛性を高める。
図2(a)は、図1に示すストッパ取付構造10の線分A−Aの断面を示し、図2(b)は、図1に示すストッパ取付構造10の線分B−Bの断面を示す。図2(a)に示すX方向はフレーム12の幅方向であり、Y方向は上下方向である。フレーム12の長手方向は、幅方向および上下方向に直交する。
図2(a)に示すように、フレーム12は、第1部材26および第2部材28を結合して断面矩形状に形成される。第1部材26および第2部材28は、レールのように長手状である。
第1部材26および第2部材28は、それぞれ断面が略U字状に形成され、開口を閉じるように溶接により結合される。第1部材26の第1固定面26aおよび第2部材28の第2固定面28aが部分的に重なって、フレーム12の下面を構成する。図2(b)に示すように、溶接の結果、第1部材26および第2部材28の下側の位置に、溶接ビード24が残る。溶接ビード24は、フレーム12の長手方向に沿って延在する。なお、溶接ビード24は、フレーム12の長手方向に沿って形成されるが、ネジ部材22が設けられる位置には形成されない。
溶接ビード24は、幅方向においてフレーム12の下面の略中央の位置に設けられる。第1U字部材18および第2U字部材20は、溶接ビード24を避けてフレーム12に当接させる。ここで、比較技術のストッパ取付構造について新たな図面を参照して説明する。
図3は、比較技術のストッパ取付構造100について説明するための図である。図3(a)に示す比較技術のストッパ取付構造100では、図2(b)に示すストッパ取付構造10と比べて、フレーム112の形状および溶接ビード124の位置が異なる。
ストッパ部材16は、取付部材14によりフレーム112に固定される。フレーム112と取付部材14との間には、ブラケット118が設けられており、ストッパ部材16に入力される荷重を受ける。
図3(a)に示すように、フレーム112は、第1部材126および第2部材128を結合して断面矩形状に形成される。フレーム112の下面は、ほぼ第2部材128の固定面128aで形成され、平らである。溶接ビード124は、幅方向においてフレーム112の端部に位置し、ブラケット118が第2部材128の固定面128aに当接する面が確保されている。このように、第1部材126および第2部材128を幅方向の端で溶接すると、波形、幅および高さの均一性などの溶接の品質が安定しづらい。そこで、実施例のフレーム12では、幅方向において略中央の位置でフレーム12の溶接をし、溶接の品質を安定させる。
図3(b)に示すように、図2(b)に示す実施例のフレーム12を比較技術に適用すると、フレーム12の下面の略中央の位置にある溶接ビード24がブラケット118のフレーム112への当接を阻害する。
図2(b)に戻る。第1U字部材18および第2U字部材20は、溶接ビード24を挟んで離れて配置されており、溶接ビード24を避けつつもフレーム12の下面に接触する面が確保されている。
第1U字部材18および第2U字部材20は、フレーム12の第1固定面26aおよび第2固定面28a(これらを区別しない場合は「固定面」という)と、取付部材14の支持部14bとの間に設けられる。第1U字部材18および第2U字部材20は、幅方向の外向きに開口するように配置され、溶接作業を容易にしている。
第1U字部材18は、第1壁部18a、第2壁部18bおよび第3壁部18cを有して、断面が略U字形状に形成される。第1壁部18aおよび第2壁部18bは、対向して略平行である。第3壁部18cは、第1壁部18aおよび第2壁部18bを連結する。
第2U字部材20は、第1壁部20a、第2壁部20bおよび第3壁部20cを有して、断面が略U字形状に形成される。第1壁部20aおよび第2壁部20bは、対向して略平行である。第3壁部20cは、第1壁部20aおよび第2壁部20bを連結する。
第1U字部材18の第1壁部18aは、フレーム12の第1固定面26aに当接し、第2U字部材20の第1壁部20aは、フレーム12の第2固定面28aに当接する。第1U字部材18の第1壁部18aおよび第2U字部材20の第1壁部20aは、溶接ビード24を挟んで離れて位置する。これにより、第1U字部材18および第2U字部材20をフレーム12に当接させつつ、溶接ビード24を形成する隙間を確保できる。第1壁部18aおよび第1壁部20aは、固定されなくてよいが、溶接でフレーム12の第1固定面26aおよび第2固定面28aに固定されてよく、ネジ部材で固定されてもよい。
第1U字部材18の第2壁部18bおよび第2U字部材20の第2壁部20bは、取付部材14の支持部14bの対向面に溶接される。第2壁部18bおよび第2壁部20bは、取付部材14をフレーム12に取り付ける前に、取付部材14に溶接により固定される。第1U字部材18の第3壁部18cおよび第2U字部材20の第3壁部20cは、離れて対向し、略平行に配置される。
フレーム12の第1固定面26aおよび第2固定面28aは、重なっているため段差を有するが、第3壁部18cおよび第3壁部20cの高さを変えて、第1U字部材18を第1固定面26aに、第2U字部材20を第2固定面28aに当接させることで、段差に対応できる。
ストッパ部材16は、左輪に近い位置および右輪に近い位置にそれぞれ配置される。左右輪の両方が段差に乗り上げた場合は、アクスルはストッパ部材16に鉛直方向に当接し、左右輪の一方が段差に乗り上げた場合は、アクスルはストッパ部材16に斜め方向に当接する。このように異なる方向からストッパ部材16に荷重が入力される。異なる方向の荷重に対して、ストッパ取付構造10の最適な剛性を設定するため、第1U字部材18および第2U字部材20の板厚や材質などを異ならせることができるため、設計を容易にできる。
なお実施例はあくまでも例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施例では第1U字部材18および第2U字部材20を幅方向外向きに開口するように配置する態様を示したが、この態様に限られない。例えば、第1U字部材18および第2U字部材20を幅方向内向きに開口するように配置されてよい。つまり、第3壁部18cおよび第3壁部20cが、第1壁部18a、第2壁部18b、第1壁部20aおよび第3壁部20cの幅方向外側に位置する。