<システム構成>
本発明の実施の形態における服薬支援システム1は、図1のシステム全体構成図に示すように、服薬支援端末2、薬剤ディスペンサ装置3、患者携帯端末4、データサーバ5、センタ端末6、病院端末7及び薬局端末8を含んで構成される。
服薬支援端末2は、患者宅に設置され、適切な時刻に患者に対して服薬を促す端末である。薬剤ディスペンサ装置3は、服薬支援端末2からの指示に基づき、適切な薬剤を患者に対して排出する装置である。患者携帯端末4は、患者によって携帯される端末であり、外出時において患者が薬剤を服用した旨を入力するための端末である。データサーバ5はデータセンタに設置され、各種情報を記録する装置である。センタ端末6は管理センタに設置されており、病院端末7は病院等の医療機関に設置されており、薬局端末8は調剤薬局に設置されている。
服薬支援システム1を構成する各装置は、通信ネットワークNによって接続されており、装置間で各種の情報が送受信される。通信ネットワークNとして、インターネット、携帯電話会社の通信網、電話回線、等が用いられる。また、通信ネットワークNは、有線接続により実現されてもよいし、無線接続により実現されてもよい。
服薬支援端末2と薬剤ディスペンサ装置3は、赤外線通信やブルートゥース(登録商標)等の近距離通信を用いて接続してもよい。また、本実施の形態では、服薬支援端末2と薬剤ディスペンサ装置3が別々の装置により構成されているが、それらは一体化されてもよい。
以下、図1及び図2を参照して、服薬支援システム1の各構成について詳しく説明する。
<薬剤ディスペンサ装置3>
薬剤ディスペンサ装置3は、患者宅に設置され、医師によって処方された薬剤を収納しており、適宜、適切かつ適量の薬剤を患者に対して提供する。本実施の形態では、薬剤ディスペンサ装置3は、服薬支援端末2からの指示に従って、患者に対して薬剤を提供する。薬剤ディスペンサ装置3は、図2の機能ブロック図に示すように、薬剤収納部31、薬剤排出部32及び通信部33を含んで構成される。なお、薬剤ディスペンサ装置3は、本実施の形態における装置に限定されるものではなく、適宜、服用1回分の薬剤を患者に提供し、提供した薬剤名、薬剤の量及び提供した時刻を把握できるものであればよい。
薬剤収納部31は、医師から処方された薬剤を収納する。本実施の形態では、薬剤収納部31は、一例として、所定期間分(例えば2週間分)の薬剤を収納する。例えば、服用1回分の薬剤を1個のケースに予め収納しておき、所定期間分に相当するケースを薬剤収納部31に収納しておく。以下、服用1回分の薬剤がケースに収納されたものを「薬剤カートリッジ」と称することとする。例えば、朝服用する薬剤、昼服用する薬剤、及び、夜服用する薬剤がそれぞれ処方された場合、42個の薬剤カートリッジ(2週間分×朝・昼・夜の3回分=42個)が薬剤収納部31に収納される。
本実施の形態では、服用するタイミングが早い薬剤カートリッジから順に、高さ方向に積層されて薬剤収納部31に収納される。薬剤ディスペンサ装置3は、服薬支援端末2から薬剤を排出する旨の指示を受けると、後述する薬剤排出部32にて、積層順の下から1つ目の薬剤カートリッジを装置外へ排出する。これにより、適切な服用順に服用1回分の薬剤が患者に提供される。
なお、薬剤ディスペンサ装置3は、本実施の形態における装置に限られない。例えば、薬剤カートリッジにRFIDを取り付けておき、そのRFIDから読み取った薬剤カートリッジの識別情報(例えばID)を参照して、適切な薬剤が収納された薬剤カートリッジを選択して排出する装置が用いられてもよい。別の例として、薬剤カートリッジを使用せずに、薬剤ディスペンサ装置3内で服用1回分の薬剤を配分して装置外に排出してもよい。
薬剤排出部32は、薬剤収納部31に収納されている薬剤の中から、適宜、服用1回分の薬剤を薬剤ディスペンサ装置3外に排出する。本実施の形態では、服薬支援端末2からの指示に従って制御が開始され、薬剤収納部31から薬剤が排出される。
薬剤ディスペンサ装置3には、薬剤を排出したことを検出するセンサが設置されていてもよい。また、薬剤の排出を検出するセンサではなく、提供した薬剤を患者が取り出したことを検出するセンサが、薬剤ディスペンサ装置3に設置されていてもよい。なお、薬剤の排出や取り出しを検出するセンサは、公知のセンサを用いればよい。薬剤ディスペンサ装置3は、薬剤の排出や取り出しが検出された場合、検出した時刻を排出時刻として、通信部33を介して、服薬支援端末2に送信する。
また、本実施の形態では、服薬予定時刻になっても排出する旨の指示が与えられなかった場合、薬剤ディスペンサ装置3は、排出される予定であった薬剤カートリッジ(不服用になって廃棄指示の対象となる薬剤カートリッジ)を、装置内に設けられた廃棄スペースに収納する。これにより、薬剤収納部31の薬剤カートリッジの積層順が正常化される。つまり、服用順に薬剤カートリッジが積層される。
通信部33は、外部の装置との間で各種情報の送受信を行う。通信部33は、服薬支援端末2とのみ接続してもよいし、通信ネットワークNを介して服薬支援システム1を構成する各装置と接続して、情報を送受信してもよい。
<服薬支援端末2>
服薬支援端末2は、患者宅に設置され、患者に対して適切な時間に服薬を促し、患者からの薬剤の排出操作を受け付ける端末である。服薬支援端末2は、例えば、タブレット端末、スマートフォン又は携帯電話等である。
服薬支援端末2は、患者が身体に不調を感じた際に、患者の症状を示す症状情報を入力する機能を有している。これにより、服薬支援端末2は、患者の症状を症状情報として取得する。なお、患者の症状が「患者の状態」の一例に相当し、症状情報が「状態情報」の一例に相当する。服薬支援端末2は、患者によって入力された症状情報と、当該症状の入力時刻を示す情報を、管理センタのセンタ端末6に送信する。なお、入力時刻が「取得時刻」の一例に相当する。また、服薬支援端末2は、他の装置との間で通話する機能を有している。
服薬支援端末2は、図2の機能ブロック図に示すように、患者からの入力を受け付ける入力部21、入力された症状を示す症状情報を取得する症状取得部22、各種情報を記憶する記憶部23、排出操作部24、外出排出操作部25、表示部26及び通信部27を含んで構成される。
入力部21は、患者が服薬支援端末に症状を入力する際に操作する入力ボタンである。入力部21は、患者の音声を入力するマイクであってもよい。
症状取得部22は、入力部21の入力結果から症状に関するキーワードを取得する。本実施の形態では、症状取得部22は、入力ボタン(入力部21)の操作に基づいて、症状に関するキーワードを取得する。なお、キーワードは、予め、後述する症状キーワードテーブルに登録されている。具体的には、患者は、症状キーワードテーブルに基づいて表示部26に表示される症状の候補群の中から、入力ボタン(入力部21)を操作してキーワードを選択し、症状取得部22は、患者によって選択されたキーワードを取得する。そして、症状取得部22は、取得したキーワードと当該キーワードが入力された時刻(「入力時刻」と称する)とを関連付けて、通信部27を介して、後述するセンタ端末6の対応レベル判定部61に送信する。
なお、入力部21としてマイクが用いられる場合、症状取得部22は、音声認識によってキーワードを取得する。具体的には、症状取得部22は、マイク(入力部21)に入力された音声データから特徴を抽出し、抽出した特徴を、予め記憶された症状に関連するキーワードの音声特徴(当該音声特徴は例えば症状キーワードテーブルに記憶されている)と比較し、抽出した特徴に類似する音声特徴に対応するキーワードを取得する。
症状取得部22によって取得されたキーワード、及び、当該キーワードが入力された時刻(入力時刻)とともに、音声データもそれらに関連付けて、後述するセンタ端末6の対応レベル判定部61に送信してもよい。また、音声データの入力は、何らかの操作(例えば入力ボタンの操作)をトリガにして実行されてもよいし、患者の日常会話を集音できるよう常時実行されてもよい。
なお、症状取得部22は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MCU(Micro Control Unit)等の少なくとも1つのプロセッサ及びその周辺回路を含んで構成される。
記憶部23は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ、ハードディスク等のメモリ装置によって構成される。記憶部23は、服薬支援端末2において各処理を実行するためのプログラム、設定データや生成されたデータ等の各種データを記憶する。例えば、記憶部23は、症状キーワードテーブル、服薬スケジュール情報テーブル及び服薬履歴情報テーブルを記憶する。以下、これらのテーブルについて詳しく説明する。
症状キーワードテーブルは、図3に示すように、予め用意された症状に関するキーワードの一覧である。なお、キーワードを音声認識によって取得する場合、その音声特徴もあわせて症状キーワードテーブルに登録される。症状キーワードテーブルは、患者の病名に合わせて用意されてもよいし、患者毎に用意されてもよい。この場合、患者を識別するための患者IDが症状キーワードテーブルに対応付けられる。別の例として、症状キーワードテーブルは、病名によらず複数の患者に対して共通のテーブルであってもよい。症状キーワードテーブルはデータサーバ5に記憶されて、データサーバ5から服薬支援端末2にダウンロードされるようにしてもよい。
服薬スケジュール情報テーブルは、図4に示すように、患者が服用する薬剤名と服薬予定時刻とが関連付けられた情報である。服薬スケジュール情報テーブルは患者毎に用意され、患者IDに対応付けられて記憶部23に予め記憶されている。服薬スケジュール情報テーブルはデータサーバ5に記憶されて、データサーバ5から服薬支援端末2にダウンロードされるようにしてもよい。
なお、薬剤ディスペンサ装置3を用いる場合、服薬スケジュール情報テーブルを用いる必要があるが、薬剤ディスペンサ装置3を用いない場合、服薬スケジュール情報テーブルを用いなくてもよい。また、薬剤ディスペンサ装置3を用いない場合であっても、患者に服薬タイミングを通知する等の用途に、服薬スケジュール情報テーブルを用いてもよい。
服薬スケジュール情報テーブルについて具体例を挙げて説明する。薬剤Aは、12月1日から服用を開始した薬剤であり、毎日8時(朝)に服用する薬である。薬剤Bは、12月1日から服用を開始した薬剤であり、毎日8時(朝)、12時(昼)、18時(夜)に服用する薬剤である。薬剤Cは、12月8日から服用を開始した薬剤であり、毎日8時(朝)に服用する薬剤である。薬剤Dは、12月8日から服用を開始した薬剤であり、毎日8時(朝)に服用する薬剤である。なお、12月16日において薬剤Cの服用が予定されていないのは、後述するように対応レベルが「3」になって、副作用の再発を防ぐために、薬剤Cの服用が12月8日に中止になったためである。
服薬履歴情報テーブルは、図5に示すように、服薬予定時刻と、薬剤ディスペンサ装置3によって排出された薬剤の名称(薬剤名)と、服用状態と、排出時刻と、薬剤の服用時刻と、が関連付けられた情報である。排出時刻は、薬剤ディスペンサ装置3から薬剤が排出された時刻、又は、患者が薬剤ディスペンサ装置3から薬剤を取り出した時刻である。服薬履歴情報テーブルは患者毎に生成され、患者IDに対応付けられる。
後述する排出操作部24の指示により薬剤ディスペンサ装置3から薬剤が排出された場合、服用状態が「通常」に設定され、薬剤の排出時刻が服用時刻として服薬履歴情報テーブルに登録される。後述する外出排出操作部25の指示により薬剤ディスペンサ装置3から薬剤が排出された場合、服用状態が「外出」に設定され、患者携帯端末4にて入力された服用時刻が服薬履歴情報テーブルに登録される。服薬予定時刻において薬剤が排出されなかった場合、服用状態が「不服用」に設定され、排出時刻と服用時刻は登録されない。
なお、本実施の形態においては、薬剤ディスペンサ装置3は必須の構成ではない、例えば、患者が服薬支援端末2や患者携帯端末4を操作して服用した薬剤の名称(薬剤名)や服用時刻を入力し、その入力された情報を用いて、服薬履歴情報テーブルを生成すればよい。このとき、例えば、患者から服用時刻と薬剤名の入力があった場合に服用状態を「通常」に設定し、入力された情報を服薬履歴情報テーブルに登録する。また、患者から服用時刻と薬剤名の入力がない場合、「不服用」とし、さらに患者から「外出用に持ち出す」旨の入力があった場合は「外出」と設定すればよい。
服薬履歴情報テーブルについて具体例を挙げて説明する。12月1日において、薬剤B(昼用)は9時52分に外出用として持ち出され、外出先で12時36分に服用された(つまり、患者携帯端末4にて服用した旨が入力された)。12月8日において、薬剤B(夜用)は、不服用になった。それ以外は、服用時刻と薬剤ディスペンサ装置3の排出時刻とが一致している。12月16日において、薬剤Cの服用がないのは、上述したとおり、12月8日にその服用が中止になったためである。なお、服用が中止になった薬剤Cを自動的に廃棄スペースに収納するように制御してもよいし、利用者等によって、薬剤収納部31から薬剤Cを取り除くようにしてもよい。
なお、服薬履歴情報テーブルは、図5に示したものに限らず、他の情報が記憶されていてもよい。例えば、上記以外の情報として、提供された薬剤の量、患者の症状、薬剤を服用したことにより患者の症状が改善したことを示す情報、等が服薬履歴情報テーブルに記憶されてもよい。
図2に戻って、服薬支援端末2について説明する。
排出操作部24は、患者が服薬予定時刻において、その時刻に服用する薬剤を取得するために操作する操作部である。排出操作部24は、例えば、排出操作ボタンと排出操作制御手段とを含んで構成される。
排出操作ボタンは、タッチパネル式のモニタ等の表示部26に表示されたアイコンであってもよいし、物理的なボタンであってもよい。
排出操作制御手段によって服薬スケジュール情報テーブル(図4参照)が参照され、服薬予定時刻が到来すると、排出操作ボタンの操作が可能となる。例えば、服薬予定時刻から所定時間が経過するまでの間、排出操作ボタンの操作が可能となる。または、服薬予定時刻が到来すると、排出操作制御手段は、薬剤ディスペンサ装置3の薬剤排出部32が制御可能な状態になるように、通信部27を介して、薬剤排出部32に指示を出力してもよい。
患者によって排出操作ボタンが操作されると、排出操作制御手段は、薬剤ディスペンサ装置3から薬剤が排出されるように、薬剤ディスペンサ装置3の薬剤排出部32に指示を出力する。
排出操作制御手段は、排出操作ボタンが操作されたとき、薬剤を排出した時刻(排出時刻)と、排出した薬剤の名称(薬剤名)を服薬履歴情報テーブルに登録する。また、排出操作制御手段は、排出時刻を「服用時刻」とし、その服用時刻と服用状態「通常」を服用履歴情報テーブルに登録する。ここで、薬剤名については、記憶部23に記憶されている服薬スケジュール情報テーブルを参照することにより取得される。
服薬予定時刻から所定時間(例えば30分)が経過しても排出操作ボタンが操作されない場合、排出操作制御手段は、服薬スケジュール情報テーブルを参照し、排出されなかった薬剤の名称(薬剤名)と対応付けて服用状態「不服用」を服薬履歴情報テーブルに登録する。そして、排出操作制御手段は、薬剤ディスペンサ装置3の薬剤排出部32を制御する。具体的には、排出操作制御手段は、通信部27を介して薬剤ディスペンサ装置3の薬剤排出部32に廃棄指示を出力する。
なお、薬剤ディスペンサ装置3の薬剤排出部32において、薬剤の排出が行われたことや排出された薬剤を患者が取り出したことをセンサによって検出し、排出操作制御手段は、当該検出結果を取得して、記憶部23に記憶されている服薬履歴情報テーブルに、排出時刻や取り出し時刻を「服用時刻」として、排出された薬剤の名称(薬剤名)と対応付けて登録するようにしてもよい。
外出排出操作部25は、患者が外出先で服用する薬剤を事前に入手するために操作する操作部である。外出排出操作部25は、例えば、外出排出操作ボタンと外出排出操作制御手段とを含んで構成される。
外出搬出操作ボタンは、服薬予定時刻になる前であっても操作可能なボタンである。外出排出操作ボタンは、タッチパネル式のモニタ等の表示部26に表示されたアイコンであってもよいし、物理的なボタンであってもよい。患者によって外出排出操作ボタンが操作されると、外出排出制御手段は、薬剤ディスペンサ装置3から薬剤が排出されるように、薬剤ディスペンサ装置3の薬剤排出部32に指示を出力する。
また、外出排出操作制御手段は、外出排出操作ボタンが操作されると、薬剤ディスペンサ装置3から排出された薬剤の名称(薬剤名)と、外出排出操作ボタンが操作された時刻を服薬履歴情報テーブルに登録する。ここで、薬剤名については、記憶部23に記憶されている服薬スケジュール情報テーブルを参照することにより取得される。また、外出排出操作制御手段は、服用状態「外出」を服薬履歴情報テーブルに登録する。
また、外出排出操作によって薬剤が薬剤ディスペンサ装置3から排出された場合、外出排出制御手段は、記憶部23に記憶されている服薬スケジュール情報テーブルを参照し、通信部27を介して、患者携帯端末4に対して、当該薬剤の服薬予定時刻等の情報を含んだ通知指示信号を送信する。通知指示信号を受信した患者携帯端末4は、当該薬剤の服薬予定時刻が到来すると表示部42に服薬を促す通知を表示する。それによって薬剤を服用した患者が患者携帯端末4を操作して当該薬剤を服用した旨を入力すると、外出排出操作制御手段は、当該服用した旨の信号と、当該服用した旨が入力された時刻(手動入力された服用時刻)と、を患者携帯端末4から取得し、当該時刻を「服用時刻」として、外出操作によって排出された薬剤の名称(薬剤名)と対応付けて服薬履歴情報テーブルに登録する。
また、外出排出操作制御手段は、服薬予定時刻から所定時間(例えば30分)が経過しても患者携帯端末4から「服用した旨」の信号を受信しなかった場合、服用スケジュール情報テーブルを参照し、外出排出操作にて排出された薬剤の名称(薬剤名)と対応付けて服用状態「不服用」を服薬履歴情報テーブルに登録する。
また、外出排出操作が行われた場合には、患者携帯端末4にて服用時刻を手動入力する態様に限らず、外出排出操作制御手段は、服用スケジュール情報テーブル中の服薬予定時刻を取得し、その服薬予定時刻を服用時刻として服薬履歴情報テーブルに登録するようにしてもよい。
服薬履歴情報テーブルは、データサーバ5に送信されて記憶される。後述する対応レベル判定部61は、データサーバ5に記憶されている服薬履歴情報テーブルを参照することになる。
表示部26は、服薬を促す通知等、患者に提供する各種情報を表示するモニタと、当該モニタへの表示を制御する表示制御手段と、を含んで構成される。なお、モニタは、タッチパネル方式のモニタであってもよい。
表示制御手段は、服薬支援システム1の各装置からガイダンス情報を受信すると、その内容をモニタに表示させる。表示制御手段は、例えば、後述する対応レベルに応じたガイダンス情報を表示させる。
また、表示制御手段は、記憶部23に記憶されている服薬スケジュール情報テーブルを参照し、服薬予定時刻になると、患者に対して服薬を促す通知をモニタに表示させる。なお、服薬支援端末2にスピーカーを設置し、服薬を促す音をスピーカーから発生させるようにしてもよい。
また、服薬を促す通知が表示された後に、排出操作部24にて排出操作が行われない場合、表示制御手段は、所定時間の間(例えば30分間)、服薬を促す通知を繰り返し表示してもよい。
通信部27は、外部の装置(例えば、薬剤ディスペンサ装置3、患者携帯端末4及びセンタ端末6等、服薬支援システム1を構成する各装置)との間で、各種情報を送受信する。
<患者携帯端末4>
患者携帯端末4は、患者が外出したときに所持し、薬剤を服用した旨を入力する端末である。患者携帯端末4は、例えば、タブレット端末、スマートフォン又は携帯電話等である。服薬支援端末2が持ち運び可能な端末の場合、患者携帯端末4を服薬支援端末2に組み込んでもよい。また、患者携帯端末4は、他の装置との間で通話する機能を有している。
患者携帯端末4は、図2の機能ブロック図に示すように、入力部41、表示部42、服用時刻出力部43、記憶部44及び通信部45を含んで構成される。
入力部41は、患者が患者携帯端末4を操作するために用いる物理的なボタンである。入力部41は、例えば、患者が外出用に持ち出した薬剤を服用した旨を入力するために用いられる。なお、表示部42としてタッチパネル式モニタが用いられる場合、入力部41と表示部42は一体化されていてもよい。
また、入力部41は、服薬支援端末2のように症状を入力する機能を有していてもよい。この場合、患者携帯端末4は、服薬支援端末2と同様に症状取得部を有し、記憶部44には症状キーワードテーブルが記憶される。患者携帯端末4は、取得したキーワードと当該キーワードの入力時刻とを関連付けて、通信部45を介して、後述するセンタ端末6の対応レベル判定部61に送信すればよい。
表示部42は、患者に対して薬剤の服用を促す通知等を表示するモニタと、当該モニタへの表示を制御する表示制御手段と、を含んで構成される。
表示制御手段は、通信部45を介して服薬支援端末2の外出排出操作制御手段(外出排出操作部25)から通知指示信号を受信すると、当該通知指示信号に基づき、服薬予定時刻が到来すると患者に対して薬剤の服用を促す通知をモニタに表示させる。なお、患者携帯端末4にスピーカーを設置し、服薬を促す音をスピーカーから発生させるようにしてもよい。
また、表示制御手段は、通信部45を介して、服薬支援システム1を構成する各装置からガイダンス情報を取得し、そのガイダンス情報をモニタに表示させるようにしてもよい。例えば、表示制御手段は、対応レベルに応じたガイダンス情報をモニタに表示する。
服用時刻出力部43は、CPU、DSP、MCU等の少なくとも1つのプロセッサ及びその周辺回路を含んで構成される。服用時刻出力部43は、入力部41が操作されて薬剤を服用した旨が入力されると、通信部45を介して、服薬支援端末2に対して「服薬した旨」を示す情報と「手動入力された服用時刻(服薬した旨が入力された時刻)」を送信する。このとき、服薬支援端末2において、手動入力された服用時刻が服薬履歴情報テーブル中の他の情報に対応付けられるように、服用時刻出力部43は、通信部45を介して、服用した薬剤の名称(薬剤名)や服薬予定時刻等の情報も付加して、服薬支援端末2に送信する。また、対応付けを容易にするために、服薬履歴の項目をIDで管理してもよい。
記憶部44は、服薬支援端末2から送信された通知指示信号に含まれる情報を記憶する。記憶部44は、例えば、通知が必要な薬剤名と、その服薬予定時刻を記憶する。また、記憶部44は、服用した旨が患者によって入力された時刻を、通知指示信号に含まれている通知が必要な薬剤名に対応付けて記憶する。なお、患者携帯端末4は、服薬スケジュール情報テーブルを取得して記憶部44に記憶しておき、通知を行う際に、服薬スケジュール情報テーブルを参照するようにしてもよい。
通信部45は、外部の装置(例えば服薬支援システム1を構成する各装置)との間で、各種情報を送受信する。
<データサーバ5>
データサーバ5は、図1のシステム全体構成図に示すように、データセンタに設置される。
データセンタは、1又は複数の装置を含んで構成されており、服薬支援システム1を構成する各装置から各種情報を受信してデータサーバ5に記憶したり、記憶した情報を要求に応じて各装置に送信したりする。これにより、データサーバ5に記憶される情報は、通信ネットワークNを介して、服薬支援システム1を構成する各装置間で共有されることになる。
データサーバ5は、服薬支援端末2にて生成された服薬履歴情報テーブルを記憶する。このとき、患者毎の服薬履歴情報テーブルが患者IDによって管理される。データサーバ5は、更新された服薬履歴情報テーブルを服薬支援端末2から受け取ると、その服薬履歴情報テーブルに対応付けられている患者IDと同一の患者IDが対応付けられている服薬履歴情報テーブルを更新する。
また、データサーバ5は、服薬履歴情報テーブル以外にも、後述する対応レベル判定部61で使用されるデータを記憶する。具体的には、データサーバ5は、対応レベル判定部61で使用されるデータとして、対応レベルテーブル、薬剤症状対応テーブル、起点時刻テーブル、及び、判定結果テーブルを記憶する。
以下、対応レベル判定部61で使用されるデータについて説明する。
対応レベルテーブルは、図6に示すように、症状の入力回数(入力頻度)と対応レベルとが関連付けられた情報である。また、頻度スコアと対応レベルとが関連付けられている。対応レベルテーブルは予め用意されてデータサーバ5に記憶されている。
本実施の形態では、複数の異なる対応レベルが対応レベルテーブルに登録されている。各対応レベルは、患者に対して適用される処理の緊急性に対応している。症状の入力頻度(入力回数)が所定値(所定回数)以上の場合、入力頻度が当該所定値未満の場合と比べて、対応レベルが細かく設定されている。入力頻度が所定値以上の場合、頻度スコアに応じて対応レベルが設定される。この場合、頻度スコアが高くなるほど、高い対応レベルが設定される。
例えば、入力回数が「1」の場合、対応レベルは「1」である。入力回数が「2」以上の場合、入力回数が「1」の場合と比べて、頻度スコアに応じて対応レベルが細かく設定される。具体的には、頻度スコアが「1」以下の場合、対応レベルは「2」であり、頻度スコアが「1」以上の場合、対応レベルは「3」である。これらは予め対応付けられて記憶されている。
なお、入力回数によらず、頻度スコアの値も参照して対応レベルを対応付けるようにしてもよい。例えば、入力回数が「1」の場合であっても、頻度スコアの値を参照して「1」以外の対応レベルを対応付けるようにしてもよい。
薬剤症状対応テーブルは、図7に示すように、症状に関するキーワードと、当該症状に関連する薬剤の名称(薬剤名)と、が関連付けられた情報である。症状と薬剤名との関連付けは、患者が薬剤を服用したことにより現れ得る症状(副作用に相当する症状)に基づいて行われる。
また、本実施の形態では、副作用だけではなく、薬剤の効果がないために現れ得る症状(薬剤で抑制できなかった症状)を「不奏功症状」として、薬剤症状対応テーブルに更に関連付けてもよい。例えば、薬剤E,Fは「不奏功症状」が関連付けられている。例えば、薬剤Eは、「浮腫」を治療する薬剤であるが、薬の効果がないために「むくみ」という浮腫の症状が抑制されずに発現する場合がある。そのため、薬剤症状対応テーブルには、薬剤Eについて、「むくみ」という症状キーワードが関連付けられている。
薬剤症状対応テーブルは、予め用意されて記憶部23に記憶される。薬剤症状対応テーブルは、患者の病名に合わせて用意されてもよいし、患者毎に用意されてもよい。この場合、患者IDが薬剤症状対応テーブルに対応付けられる。別の例として、薬剤症状対応テーブルは、病名によらずに複数の患者に対して共通のテーブルであってもよい。
また、薬剤症状対応テーブルにおいては、薬剤名とキーワードとの組毎に、所定の重み付けがなされたスコア値が予め設定されている。迅速な対応(緊急性の高い対応)が求められている症状には、高いスコア値(最高値は「1」)が設定されている。症状として致命的ではなく、緊急性の低い症状には、低いスコア値が設定されている。
また、薬剤名とキーワードには、監視期間が設定されている。監視期間は、その薬剤に関連する副作用等の症状が頻出する期間であり、監視開始点から監視終了点に亘る期間として定義される。監視開始点と監視終了点は、それぞれ、起点から予め定めた期間が経過したときの時刻として定義される。起点には、直近服薬点と服薬開始点の二種類がある。直近服薬点は、現時点から過去に遡って一番最近の服薬時点である。服薬開始時点は、一連の服薬(同一薬剤が連続して服薬されている)期間の最初の服薬時点である。ここでいう一連の服薬とは、それほど間をあけずに繰り返し服薬されている状態のことであり、例えば、所定期間(例えば1週間)以上の間をあけた服薬は、一連の服薬に該当せず、当該所定期間以上の間をあけない服薬は、一連の服薬に該当する。
また、「監視開始点」に含まれている「期間」は、監視開始時刻を示している。その「期間」に記述されている符号「D」は「日」を示しており、符号「H」は「時間」を示している。例えば、起点が「直近服薬点」であり、期間が「0」の場合、監視開始時刻は直近服薬点の時刻である。起点が「直近服薬点」であり、期間が「2H」の場合、監視開始時刻は、直近服薬点から2時間後の時刻である。起点が「服薬開始点」であり、期間が「0」の場合、監視開始時刻は服薬開始点の時刻である。起点が「服薬開始点」であり、期間が「3D」の場合、監視開始時刻は、服薬開始点から3日後の時刻である。
同様に、「監視終了点」に含まれている「期間」は、監視終了時刻を示している。符号「M」は「月」を示している。例えば、起点が「直近服薬点」であり、期間が「6H」の場合、監視終了時刻は、直近服薬点から6時間後の時刻である。起点が「直近服薬点」であり、期間が「3D」の場合、監視終了時刻は、直近服薬点から3日後の時刻である。
例えば、薬剤Aと症状「皮膚にぶつぶつ」とに対応付けられている監視開始時刻「直近服薬点(期間0)」から監視終了時刻「直近服薬点(期間6H)」までの監視期間は、アレルギー反応、ショック症状、薬理作用の過剰発現を監視するための期間である。薬剤Aと症状「気持ち悪い」とに対応付けられている監視開始時刻「服薬開始点(期間0)」から監視終了時刻「直近服薬点(期間3D)」までの監視期間は、薬の成分が体内に存在する間に発現する副作用を監視するための期間である。薬剤Aと症状「口が痛い」とに対応付けられている監視開始時刻「服薬開始点(期間3D)」から監視終了時刻「直近服薬点(期間14D)」までの監視期間は、服用後にある程度の期間をおいてから発現する副作用を監視するための期間である。また、薬剤Fと症状「下痢」とに対応付けられている「不奏功」を監視する期間は、薬の成分が体内に存在する間に、本来の症状が発現してしまっているか否かを監視するための期間である。これ以外にも、監視開始時刻「服薬開始点(期間0)」から服薬終了時刻「服薬開始点(期間14D)」までの期間のように監視期間を設けることで、副作用の症状が発現するが、慣れることによって発現しなくなる状況を監視することもできる。
なお、監視期間の長さは一例に過ぎず、図7に示されている例に限定されるものではない。
起点時刻テーブルは、上記の薬剤症状対応テーブルにおける監視期間の監視開始点と監視終了点を計算するための起点となる時刻を示す情報である。起点時刻テーブルにおいては、図8に示すように、薬剤毎に、一連の服薬の最初の服用時刻が「服薬開始点時刻」として登録され、現時点から遡って一番最近の服用時刻が「直近服薬点時刻」として登録されている。
本実施の形態では、後述する対応レベル判定部61が、服薬履歴情報テーブルに基づいて起点時刻テーブルを生成及び更新する。例えば、起点時刻テーブルは、服用時刻が更新される度に、服薬履歴情報テーブルに基づいて適宜更新される。
判定結果テーブルは、図9に示すように、薬剤名と当該薬剤に関連する症状について、算出された頻度スコアと対応レベルとを保持する情報である。また、薬剤名と症状には、対応レベルの更新時刻や対応済みであるか否かを示す情報も対応付けられている。判定結果テーブルは、後述する対応レベル判定部61によって更新される。対応済みか否かを示す情報は、監視員等がセンタ端末6を操作して手動で入力すればよい。また、対応レベルの更新時刻の他に、最新の症状の入力時刻を対応付けるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、頻度スコアは、外来受信時に、発症した症状を医師が確認した時点でリセットされてもよいし、監視終了時から所定時間が経過した時点で自動的にリセットされてもよい。
<センタ端末6>
センタ端末6は、図1のシステム全体構成図に示すように、管理センタに設置される。
管理センタでは、患者への服薬支援を集中的に管理する。管理センタには、医学知識を有する監視員が常駐しており、その監視員が、患者からの各種相談に対応し、病院や調剤薬局等と連携して、適切な対応をとる。
センタ端末6は、服薬支援システム1を構成する各装置と通信ネットワークNを介して接続されており、各種データや対応に関する指示のやり取りを実行する。
また、管理センタにおいて、電話回線を通じて、患者、医師、薬剤師等と連絡を取ることも可能である。患者や病院等への連絡先は、例えば、データセンタのデータサーバ5等で管理されている。
本実施の形態では、センタ端末6は、対応レベル判定部61、対応レベル出力部62、表示部63及び通信部64を含んで構成される。
対応レベル判定部61は、服薬支援端末2や患者携帯端末4にて症状が入力されると、当該症状に対する対応レベルを判定する。対応レベル判定部61は、例えば、図6に示されている対応レベルテーブルを参照し、症状の入力回数に応じて対応レベルを決定する。対応レベル判定部61は、CPU、DSP、MCU等の少なくとも1つのプロセッサ及びその周辺回路を含んで構成される。
本実施の形態では、対応レベル判定部61は、症状の入力が1回目のときは、対応レベルを「1」に設定し、2回目以降は、その入力頻度に応じて算出した頻度スコアに応じて対応レベルを求める。なお、入力が1回目であっても、頻度スコアを参照して対応レベルを求めるようにしてもよい。
対応レベルは、症状が入力される度に更新される。まず、初回の症状の入力が発生すると、対応レベル判定部61は、薬剤症状対応テーブルを参照し、当該薬剤に対応する薬剤名を取得し、判定結果テーブルに、当該症状と薬剤名を登録する。そして、対応レベル判定部61は、薬剤症状対応テーブル中のスコア値を参照し、今回の分の頻度スコアの値を算出し、判定結果テーブルに登録する。その後、頻度スコアと対応レベルは、同じ症状が入力される度に更新される。
対応レベル判定部61は、頻度スコアを算出する際に、薬剤症状対応テーブルと起点時刻テーブルを参照し、症状と薬剤名とに対応する監視期間中の入力頻度に基づいて頻度スコアを求める。具体的には、対応レベル判定部61は、患者によって入力された症状に関するキーワードを取得すると、薬剤症状対応テーブルを参照し、取得した症状(キーワード)に対応する薬剤名を取得する。そして、対応レベル判定部61は、薬剤症状対応テーブルを参照し、症状と薬剤名とに対応する監視期間の監視開始点と監視終了点を特定し、更に、起点時刻テーブルを参照して、監視期間を求めるために必要な起点時刻(当該薬剤名に対応する服薬開始点時刻、直近服薬点時刻)を取得する。
症状の入力時刻が監視期間内である場合、対応レベル判定部61は、薬剤症状対応テーブル中のスコア値(薬剤と症状とに対応するスコア値)を加算して判定結果テーブルに登録する。この処理は、症状が入力される度に繰り返すことにより、判定結果テーブル中の頻度スコアが更新されていく。一方、症状の入力時刻が監視期間外である場合、対応レベル判定部61は、薬剤症状対応テーブル中のスコア値を加算しない。
症状の入力が2回目以降の場合、対応レベル判定部61は、対応レベルテーブルを参照し、スコア値を加算することで得られた頻度スコアに対応する対応レベルを特定し、判定結果テーブル中の対応レベルを、その特定した対応レベルに更新する。
なお、症状の入力が1回目の場合であっても、対応レベル判定部61は、対応レベルテーブルを参照し、スコア値を加算することで得られた頻度スコアに対応する対応レベルを特定し、判定結果テーブル中の対応レベルを、その特定した対応レベルに更新するようにしてもよい。
なお、監視期間を設定せずに、症状の入力回数(頻度)に基づいて頻度スコアの算出や対応レベルを決定するようにしてもよい。
症状が入力されてから所定時間が経過した場合、対応レベル判定部61は、その入力に対応するスコア値を頻度スコアから減算してもよい。これにより、所定時間以上過去の時点で入力された症状については除外され、所定時間内に入力された症状のみを対象として対応レベルが決定される。
本実施の形態では、対応レベル判定部61はセンタ端末6に設けられているが、この例に限らず、対応レベル判定部61は、服薬支援端末2に設けられてもよいし、服薬支援システム1を構成する他の装置に設けられてもよい。
以下、図9を参照して、判定結果テーブルについて詳しく説明する。
薬剤Aについて「気持ち悪い」という症状が患者によって入力されている。入力時刻は、12月2日の10時7分である。頻度スコアは「1/2」であり、その値は「1」以下であるため、対応レベル1が付与されている。その後、薬剤Aについて同じ症状「気持ち悪いが入力されていないため、対応レベルは「1」に維持されている。また、対応レベル1に基づいた患者への対応が行われているので、対応状況は「対応済み」に設定されている。
薬剤Aについて「口が痛い」という症状が患者によって入力されている。入力時刻は12月16日10時15分である。頻度スコアが「1」になったため、対応レベル3が付与されている。図7に示す例では、薬剤Aと症状「口が痛い」との組み合わせには、スコア値「1/4」が対応付けられている。従って、監視期間内に薬剤Aについて「口が痛い」という症状が4回入力されると、頻度スコアは「1」になり、対応レベルは「3」になる。図9に示す例では、12月16日の10時15分において、監視期間内に4回目の入力が発生し、これにより対応レベル3が付与されている。すなわち、薬剤Aと症状「口が痛い」との組み合わせについては、対応レベルが「1」から「2」に変更され、更に「3」に変更されている。また、対応レベル3に基づいた患者への対応が行われているので、対応状況は「対応済み」に設定されている。
薬剤Cについて「鼻血」という症状が患者によって入力されている。入力時刻は12月8日の14時5分である。頻度スコアが「1」になったため、対応レベル3が付与されている。図7に示す例では、薬剤Cと症状「鼻血」との組み合わせには、スコア値「1/2」が対応付けられている。従って、監視期間内に薬剤Cについて「鼻血」という症状が2回入力されると、頻度スコアは「1」になり、対応レベルは「3」になる。図9に示す例では、12月8日の14時5分において、監視期間内に2回目の入力が発生し、これにより対応レベル3が付与されている。すなわち、薬剤Cと症状「鼻血」との組み合わせについては、対応レベルが「1」から「3」に変更されている。また、対応レベル3に基づいた患者への対応が行われたので、対応状況は「対応済み」に設定されている。
薬剤Dについて「不安」という症状が患者によって入力されている。頻度スコアは「3/8」である。図7に示す例では、薬剤Dと症状「不安」との組み合わせには、スコア値「1/8」が対応付けられている。従って、監視期間内に薬剤Dについて「不安」という症状が3回入力されると、頻度スコアは「3/8」になる。図9に示す例では、12月10日の11時10分において、監視期間内に2回目の入力が発生し、これにより頻度スコアは「2/8」になり、対応レベルが「1」から「2」に変更されている。その後、3回目の入力が発生して、頻度スコアが「3/8」になったが、頻度スコアが「1」以下であるため、対応レベルは「2」に維持される。また、対応レベルが「1」から「2」になった時点で、患者への対応が行われているので、対応状況は「対応済み」に設定されている。
対応レベル出力部62は、対応レベル判定部61によって判定された対応レベルに応じて、服薬支援システム1を構成する各装置に対して所定の出力を行う。対応レベル出力部62は、例えば、対応レベルが高くなるほど、緊急性の高い出力を行う。対応レベル出力部62は、CPU、DSP、MCU等の少なくとも1つのプロセッサ及びその周辺回路を含んで構成される。なお、対応レベル出力部62は「出力手段」の一例に相当する。
対応レベル出力部62は、新たに対応レベルが付与されたときや対応レベルが更新されたときに、判定結果テーブルを参照して対応レベルに応じた出力を行う。対応レベル出力部62は、例えば、患者ID、症状、薬剤名及び対応レベルについて、表示部63に通知を表示させる。また、対応レベル出力部62は、通信部64を介して、これらの情報を他の装置に送信してもよい。管理センタの監視員や、医師、薬剤師は、通知された対応レベルを参照して、それぞれが共通の判断材料を基に連携して、患者に対して適切な対応を行う。
また、対応レベルに応じた出力先や出力内容を予め設定しておき、それらを記憶部に記憶しておいてもよい。そして、新たに対応レベルが付与されたときや対応レベルが更新されたときに、対応レベル出力部62は、記憶部に記憶されている情報を参照して、対応レベルに応じた出力を行う。例えば、対応レベルが「1」であると判定された場合、「患者に対して(患者宅の電話、服薬支援端末2、患者携帯端末4等に)電話をかける」という内容が出力される。対応レベルが「2」であると判定された場合、「服薬支援端末2や患者携帯端末4に対して、症状の説明等のガイダンス情報を表示する」という内容が出力される。対応レベルが「3」であると判定された場合、「服薬支援端末2や患者携帯端末4に対して、次回の薬剤の服用を待機するように示したガイダンス情報を表示する」という内容を出力される。また、対応レベル出力部62は、薬剤ディスペンサ装置3にて当該薬剤の排出処理が禁止されるように、服薬支援端末2を介して薬剤ディスペンサ装置3を制御してもよい。また、対応レベル出力部62は、医師や薬剤師に対して電話をかけて、管理センタの監視員、医師、薬剤師が、患者への対応について相談する場(例えばテレビ電話会議)を設定してもよい。以上のように、対応レベルが高くなるほど、緊急性の高い処理が適用される。
なお、対応レベルが更新されたときに限らず、症状が入力されて判定結果テーブルが更新される度に、上記のような対応が行われるようにしてもよい。
表示部63は、各種情報を表示するモニタと、当該モニタへの表示を制御する表示制御手段と、を含んで構成される。例えば、モニタには、患者によって入力された症状とその対応レベルが表示される。
モニタに表示された情報を確認した管理センタの監視員は、対応レベルに応じた処理を行う。例えば、対応レベルが「1」の場合、監視員は患者へ電話連絡する。対応レベルが「2」の場合、監視員は、服薬支援端末2や患者携帯端末4に対して、「しばらく横になって様子を見ましょう」等の症状に関するガイダンス情報が送信されるように、センタ端末6を操作する。対応レベルが「3」の場合、監視員は、センタ端末6を操作して、服薬支援端末2に「服薬を中止する」旨を表示させ、医師及び調剤薬局に緊急通報を行う。このような対応を、上述した対応レベル出力部62が自動で行ってもよい。
通信部64は、外部の装置(例えば服薬支援システム1を構成する各装置)との間で、各種情報を送受信する。
<病院端末7>
病院端末7は、図1のシステム全体構成図に示すように、病院に設置される。病院端末7は、各種情報を表示し、医師がそれらの情報を確認するための端末である。病院端末7は、表示部71と通信部72とを含んで構成される。
表示部71は、各種情報を表示するモニタと、当該モニタへの表示を制御する表示制御手段と、を含んで構成される。例えば、モニタには、患者によって入力された症状とその対応レベルが表示される。モニタに表示された情報を確認した医師は、対応レベルを参照して、患者に対して適切な対応を行う。
通信部72は、外部の装置(例えば服薬支援システム1を構成する各装置)との間で、各種情報を送受信する。
<薬局端末8>
薬局端末8は、図1のシステム全体構成図に示すように、調剤薬局に設置される。薬局端末8は、各種情報を表示し、薬剤師がそれらの情報を確認するための端末である。薬局端末8は、表示部81と通信部82とを含んで構成される。
表示部81は、各種情報を表示するモニタと、当該モニタへの表示を制御する表示制御手段と、を含んで構成される。例えば、モニタには、患者によって入力された症状とその対応レベルが表示される。モニタに表示された情報を確認した薬剤師は、対応レベルを参照して、患者に対して適切な対応を行う。
通信部82は、外部の装置(例えば服薬支援システム1を構成する各装置)との間で、各種情報を送受信する。
以下、本実施の形態における服薬支援システム1の動作について説明する。まず、図10を参照して、服薬履歴情報テーブルの生成処理について説明する。
服薬支援端末2は、記憶部23に予め記憶されている服薬スケジュール情報テーブルを参照し、服薬予定時刻が到来したか否かを判定する(S101)。服薬予定時刻が到来した場合(S101,YES)、服薬支援端末2は、服薬を促す通知を表示部26に表示する(S102)。このとき、排出操作部24は、操作が可能な状態になる。
その後、患者が排出操作部24を利用して排出操作を行った場合(S104,YES)、通信部27を介して、服薬支援端末2から薬剤ディスペンサ装置3に排出指示信号が送信され、薬剤ディスペンサ装置3から所定の薬剤が排出される(S105)。そして、服薬支援端末2は、薬剤ディスペンサ装置3にて排出された薬剤の名称(薬剤名)を、記憶部23に記憶されている服薬履歴情報テーブルに記憶するとともに、排出操作を行った時刻を服用時刻として服薬履歴情報テーブルに記憶する(S106)。また、服薬支援端末2は、服用状態を「通常」として服薬履歴情報テーブルに記憶する(S106)。
一方、患者によって排出操作が行われない場合(S104,NO)、服薬支援端末2は、服薬予定時刻から所定時間(例えば30分)が経過するまで、表示部26において服薬を促す表示を繰り返す(S107,NO)。
服薬予定時刻から所定時間が経過した場合(S107,YES)、服薬支援端末2は、排出する予定の薬剤の名称(薬剤名)を、記憶部23に記憶されている服薬履歴情報テーブルに記憶するとともに、服用状態を「不服用」として服薬履歴情報テーブルに記憶する(S108)。また、服薬支援端末2は、薬剤ディスペンサ装置3に対して、廃棄指示信号を送信する。
患者が外出排出操作部25を利用して外出排出操作を行った場合(S103,YES)、通信部27を介して、服薬支援端末2から薬剤ディスペンサ装置3に対して信号が送信され、薬剤ディスペンサ装置3から所定の薬剤が排出される(S109)。そして、服薬支援端末2は、排出された薬剤の名称(薬剤名)と、外出排出操作を行った時刻、及び、服用状態「外出」を、記憶部23に記憶されている服薬履歴情報テーブルに記憶する(S110)。
それと同時に、服薬支援端末2は、通信部27を介して、患者携帯端末4に対して、外出用に排出した薬剤の服薬予定時刻を含む通知指示信号を送信する(S111)。これにより、患者携帯端末4では、当該通知指示信号に含まれる服薬予定時刻が記憶部44に記憶され、服薬予定時刻が到来すると、服薬を促す通知が表示部42に表示される。
患者が、外出時に持ち出した薬剤を服用し、患者携帯端末4の入力部41を操作して当該薬剤を服用した旨を入力した場合(S112,YES)、患者携帯端末4は、患者が薬剤を服用した旨を入力した時刻を、薬剤名に対応付けて記憶し、通信部45を介して、それらの情報を服薬支援端末2に送信する。服薬支援端末2は、当該情報を受信すると、患者によって入力された時刻を、服薬履歴情報テーブルにおいて服薬情報が「外出」となっている薬剤名の服用時刻として記憶する(S113)。
また、服薬支援端末2は、服薬予定時刻から所定時間(例えば30分)が経過しても、患者携帯端末4から服用をした旨の信号を受信しなかった場合(S112,NO、S114,YES)、排出された薬剤名と対応付けて、服用状態を「不服用」として服薬履歴情報テーブルに記憶する(S115)。
次に、図11を参照して、スコア加算処理及び通報処理について説明する。
服薬支援端末2にて、気になる症状が患者によって入力された場合(S201,YES)、センタ端末6の対応レベル判定部61は、薬剤症状対応テーブルを参照し、入力された症状に対応する薬剤名を取得する(S202)。
対応レベル判定部61は、薬剤症状対応テーブルと服薬履歴情報テーブルを参照し、監視期間を設定する(S203)。監視期間の設定処理については、図12を参照して、後で詳しく説明する。
対応レベル判定部61は、判定結果テーブルを参照し、上記症状の入力が初回であるか否かを判定する(S204)。
上記症状の入力が初回の場合(S204,YES)、対応レベル判定部61は、症状と薬剤名を判定結果テーブルに登録する(S205)。
症状の入力時刻がステップS203で設定された監視期間内の場合(S206,YES)、対応レベル判定部61は、薬剤症状対応テーブルを参照することにより、薬剤名と症状とに対応するスコア値を取得して頻度スコアを算出し、その頻度スコアを判定結果テーブルに登録する(S207)。
症状の入力時刻が監視期間外の場合(S206,NO)、対応レベル判定部61は、値「0」を頻度スコアとして判定結果テーブルに登録する(S208)。
そして、対応レベル判定部61は、対応レベル「1」を判定結果テーブルに登録する(S209)。
一方、上記症状の入力が初回ではなかった場合(S204,NO)、対応レベル判定部61は、同じ薬剤名及び症状について、判定結果テーブルを更新する。症状の入力時刻がステップS203で設定された監視期間内の場合(S210,YES)、対応レベル判定部61は、薬剤症状対応テーブルのスコア値を参照することにより、薬剤名と症状とに対応するスコア値を取得し、そのスコア値を判定結果テーブル中の頻度スコアに加算する(S211)。症状の入力時刻が監視期間外の場合(S210,NO)、頻度スコアの加算は行われない。
そして、対応レベル判定部61は、判定結果テーブルを参照し、頻度スコアが所定値(例えば「1」)以上であるか否かを判定する(S212)。
頻度スコアが所定値未満の場合(S212,NO)、対応レベル判定部61は、対応レベル「2」を判定結果テーブルに登録する(S213)。
頻度スコアが所定値以上の場合(S212,YES)、対応レベル判定部61は、対応レベル「3」を判定結果テーブルに登録する(S214)。
対応レベルが判定されると、処理はステップS201に戻る。
対応レベルが付与されるときに、対応レベル出力部62は、判定結果テーブルを参照しており、対応レベルが前回までの値と異なる場合、更新された対応レベルに応じた出力を行う。これにより、対応レベルに応じた処理が患者に対して適用される。
次に、図12を参照して、監視期間の設定処理について説明する。
服薬支援端末2にて症状が入力されると、センタ端末6の対応レベル判定部61は、薬剤症状対応テーブルから監視開始点の「起点」と「期間」を示す情報を取得する(S301)。起点の値が「直近服薬点」の場合(S302,「直近服薬点」)、対応レベル判定部61は、起点時刻テーブルから「直近服薬点時刻」を取得し(S303)、監視開始点の「期間」を「直近服薬点時刻」に加算し、その加算によって得られた時刻を「監視開始時刻」として設定する(S305)。起点の値が「服薬開始点」の場合(S302,「服薬開始点」)、対応レベル判定部61は、起点時刻テーブルから「服薬開始点時刻」を取得し(S304)、監視開始点の「期間」を「服薬開始点時刻」に加算し、その加算によって得られた時刻を「監視開始時刻」として設定する(S305)。「直近服薬点時刻」及び「服薬開始点時刻」の更新処理については後で詳しく説明する。
次に、対応レベル判定部61は、薬剤症状対応テーブルから監視終了点の「起点」と「期間」を示す情報を取得する(S306)。起点の値が「直近服薬点」の場合(S307,「直近服薬点」)、対応レベル判定部61は、起点時刻テーブルから「直近服薬点時刻」を取得し(S308)、監視終了点の「期間」を「直近服薬点時刻」に加算し、その加算によって得られた時刻を「監視終了時刻」として設定する(S310)。起点の値が「服薬開始点」の場合(S307,「服薬開始点」)、対応レベル判定部61は、起点時刻テーブルから「服薬開始点時刻」を取得し(S309)、監視終了点の「期間」を「服薬開始点時刻」に加算し、その加算によって得られた時刻を「監視終了時刻」として設定する(S310)。
対応レベル判定部61は、「監視開始時刻」と「監視終了時刻」とによって定まる期間(監視開始時刻から監視終了時刻までの期間)を監視期間として設定する(S311)。
次に、図13を参照して、服薬開始点時刻及び直近服薬点時刻の更新処理について説明する。
服薬が行われると、センタ端末6の対応レベル判定部61は、服薬履歴情報テーブルを参照し、服用時刻が更新されたか否かを判定する(S401)。服用時刻が更新された場合(S401,YES)、対応レベル判定部61は、更新された薬剤名と服用時刻を取得し(S402)、起点時刻テーブル中の直近服薬点時刻を、取得した服用時刻に更新する(S403)。
次に、対応レベル判定部61は、服薬履歴情報テーブルを参照し、更新された薬剤名と服薬開始点時刻を取得する(S404)。この服薬開始点時刻が初期値の場合(S405,YES)、対応レベル判定部61は、起点時刻テーブル中の服薬開始点時刻を、取得した服用時刻に更新する(S407)。
服薬開始点時刻が初期値ではない場合(S405,NO)において、服薬開始点時刻が、取得した服用時刻よりも所定期間(例えば1週間)以上過去の時刻であった場合(S406,YES)、対応レベル判定部61は、起点時刻テーブル中の服薬開始点時刻を、取得した服用時刻に更新する(S407)。つまり、その服薬開始点時刻は、患者が今回服用した薬剤の処方とは別の処方についての服薬開始点時刻に相当するため、対応レベル判定部61は、起点時刻テーブル中の服薬開始点時刻を、取得した服用時刻に更新する。服薬開始点時刻が、取得した服用時刻よりも所定期間以上過去の時刻ではない場合(S406,NO)、対応レベル判定部61は、起点時刻テーブル中の服薬開始点時刻を維持する。
以上のように、本実施の形態における服薬支援システム1によると、症状の入力回数(頻度)に応じて対応レベルが設定され、その対応レベルに応じた処理が患者に適用される。すなわち、患者から様々なタイミングで多種多様な症状が報告されても、対応レベルに応じた状況確認や通知、医療関係者間の連携等が行われるので、患者にとって、患者に症状が現れたタイミングで気兼ねなく医療関係者に症状を報告することができ、その症状に対する適切な対応を迅速に受けることが可能となる。また、報告を受けた医療関係者は、対応レベルという共通の指標(判断基準)に従って、患者から報告された多種多様な症状への対応を迅速に決定することが可能となる。服薬支援システム1は、管理センタのスタッフ、病院の医師及び調剤薬局の薬剤師が、一丸となって協力して患者の服薬を支援するために用いられるシステムである。個々の医療関係者毎に異なる判断基準が存在している場合、症状への対応が医療関係者毎に異なってしまうことがあるため、服薬支援システム1を円滑かつ迅速に機能させることが困難となる。本実施の形態によると、対応レベルという共通の指標が用いられているので、医療関係者毎に対応がばらつくことがなく、服薬支援システム1を円滑かつ迅速に機能させることが可能となる。
また、薬剤と症状とに応じた監視期間を設け、その監視期間中の入力頻度に基づいて対応レベルを設定することにより、薬剤との関連性の低い症状を除外し、薬剤との関連性の高い症状を考慮して対応レベルを設定することが可能となる。これにより、薬剤との関連性の高い症状に対して的確に対応することが可能となる。
なお、患者によって入力される症状は、薬剤の服用に応じた症状に限定されるものではなく、薬剤の服用に基づかない症状であってもよい。この場合、対応レベル判定部61は、同一の症状についての入力の回数が1回の場合、対応レベルを「1」に設定し、同一の症状についての入力の回数が2回以上の場合、症状に対応するスコア値の加算処理によって求められた頻度スコアに応じて、対応レベルを「2」又は「3」に設定する。このように、薬剤の服用に基づかない症状が患者によって入力された場合であっても、患者にとって、症状が現れたタイミングで気兼ねなく医療関係者に症状を報告することができ、その症状に対する適切な対応を迅速に受けることが可能となる。