JP2017146334A - 表面にホスホリルコリン基含有親水性ポリマーを有するコンタクトレンズ - Google Patents

表面にホスホリルコリン基含有親水性ポリマーを有するコンタクトレンズ Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性、親水性及び潤滑性を有するコンタクトレンズを提供する。【解決手段】特定の構造を有する親水性ポリマーが共有結合を介してコンタクトレンズ基材と結合しているコンタクトレンズであり、親水性ポリマーとコンタクトレンズ基材が少なくとも一つの共有結合を介して結合している。【選択図】なし

Description

本発明は、表面にホスホリルコリン基含有親水性ポリマーを含むコンタクトレンズおよびホスホリルコリン基含有親水性ポリマーを含むコンタクトレンズ保存液に関する。
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、シリコーンの配合により、従来のハイドロゲルレンズと比較し、飛躍的に高い酸素透過性を有している。そのため、近年コンタクトレンズ市場におけるシェアを伸ばしており、今後ますます普及すると考えられる。しかし、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズはもともと疎水性が強い素材であるため、涙液をはじきやすく、かつ脂質汚れが付着しやすい。よってシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、一般に、表面改質して親水性を改善することが必要である。表面親水性の改善のために様々な方策がとられてきた。例えば、プラズマ処理が、市販のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの生産工程として含まれるものがある。プラズマ処理の利点は、比較的高い親水性とその耐久性にある。しかし、欠点として、潤滑性の低さが挙げられる。
高い設備投資を必要としない方策として、レンズ配合物への湿潤剤の添加がある。この方策の利点はコンタクトレンズの成型前に湿潤剤を添加することで、成型後の表面処理工程を必要としないことにある。しかし、欠点として、レンズ配合物中のシリコーン成分と併用することで透明性を損なう可能性がある。
そこで、さらなる方策として、湿潤剤によるコンタクトレンズ表面のコーティングが挙げられる。湿潤剤としては親水性のポリマーが多く用いられており、とくに両性イオン型の構造を有する2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン{2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルオンモニオ)エチルホスフェート、以下MPCと略記する}を用いた場合に高い親水性と潤滑性が得られることがわかっている。
特許文献1においては、MPCのコポリマーの合成について検討がなされている。しかし、例示されているコポリマーをシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズのコーティングに利用する検討はなされていない。
特許文献2においては、MPCのコポリマーによるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズのコーティングが検討されている。しかし、コーティングはコンタクトレンズに対して共有結合を介して固定化されていないため、耐久性に改善の余地がある。
特許文献3および特許文献4においては、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの表面に共有結合を介して親水性ポリマーを固定化する検討がなされている。しかし、親水性ポリマーにMPCのコポリマーは含まれていない。よって、表面の親水性と潤滑性に改善の余地があると考えられる。
また、近年は瞬目運動による眼瞼結膜縁と眼表面との摩擦の上昇が原因となり眼瞼結膜縁表層の上皮の脱落と変性が起こると考えられているLid−wiper epitheliopathy(LWE)について報告がされている(非特許文献1、非特許文献2)。
眼の疾患として眼瞼結膜縁と眼表面との摩擦によって生じるLWEが注目されている。これにより、表面の親水性と潤滑性の高いコンタクトレンズが必要とされている。
米国特許第6,090,901号明細書 国際公開第2013/074535号 米国特許第6,087,415号明細書 国際公開第2001/074932号
D.R.Korb et al.,2002,CLAO J,28,211−216. D.R.Korb et al.,2005,Eye&Contact Lens,31,2−8.
本発明の課題は、耐久性、親水性及び潤滑性を有するコンタクトレンズを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の構造を有する親水性ポリマーが共有結合を介してコンタクトレンズ基材と結合しているコンタクトレンズによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の〔1〕〜〔5〕である。
〔1〕下記の式(1)で表される単量体及び反応性基を有する単量体を重合した親水性ポリマー(P1)と、シリコーン単量体、シリコーンハイドロゲル単量体若しくはシリコーンゴム単量体及び相補性基を有する単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を含むコンタクトレンズであって、
該親水性ポリマー(P1)と該コンタクトレンズ基材(P2)が下記の式(A−1)〜(C)からなる群から選ばれる少なくとも1つの共有結合を介して結合しているコンタクトレンズ。
式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。
〔2〕前記共有結合が、前記反応性基と前記相補性基との反応により形成された共有結合であって、
前記反応性基が下記の式(I)〜(III)のいずれかで表され、前記相補性基が下記の式(I)または(III)で表される、前記の〔1〕に記載のコンタクトレンズ。
〔3〕コンタクトレンズの製造方法であって、
下記の式(1)で表される単量体及び反応性基を有する単量体を重合した親水性ポリマー(P1)と、シリコーン単量体、シリコーンハイドロゲル単量体若しくはシリコーンゴム単量体及び相補性基を有する単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を接触させる工程を含み、
ここで、該工程において、下記の式(A−1)〜(C)からなる群から選ばれる少なくとも1つの共有結合が形成される、コンタクトレンズの製造方法。
式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。
〔4〕前記共有結合が、前記反応性基と前記相補性基との反応により形成された共有結合であって、
前記反応性基が下記の式(I)〜(III)のいずれかで表され、前記相補性基が下記の式(I)または(III)で表される、前記の〔3〕に記載のコンタクトレンズの製造方法。
〔5〕下記の式(I)〜(III)で表される基のいずれかの反応性基を有しかつ下記式(2)で表される構成単位を有する親水性ポリマー(P1)を含む、コンタクトレンズ保存液。
式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。
本発明のコンタクトレンズは、親水性、潤滑性および耐久性を有する。さらに、本発明のコンタクトレンズ保存液は、該保存液中にコンタクトレンズを浸漬することで、コンタクトレンズの耐乾燥性を改善することができる。
図1は、生理食塩液を用いてのコンタクトレンズの耐乾燥性評価の結果を示すグラフであり、左図は実施例2、右図は比較例2の結果である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のコンタクトレンズに含まれる親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)は、互いに共有結合で固定化されている。より詳しくは、反応性基と相補性基の反応の結果、親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)の間に共有結合が形成されている。
<反応性基と相補性基について>
本発明において、反応性基とは、親水性ポリマー(P1)の重合に用いられる単量体の有する官能基であって、かつ該重合後の親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)との間の共有結合が形成される反応に用いられる官能基である。
また、相補性基とは、コンタクトレンズ基材(P2)の重合に用いられる単量体の有する官能基であって、かつ該重合後のコンタクトレンズ基材(P2)と親水性ポリマー(P1)との間の共有結合が形成される反応に用いられる官能基である。
なお、共有結合形成前の親水性ポリマー(P1)及びコンタクトレンズ基材(P2)は、それぞれ、前記反応性基及び前記相補性基を有している。共有結合形成後のコンタクトレンズに含まれる親水性ポリマー(P1)及びコンタクトレンズ基材(P2)は、それぞれ、前記反応性基及び前記相補性基により該共有結合を形成している点で共有結合形成前とは異なるが、親水性ポリマー(P1)及びコンタクトレンズ基材(P2)は、それぞれ、共有結合形成前と共有結合形成後の両方の状態を含む。
<親水性ポリマー(P1)について>
親水性ポリマー(P1)は、反応性基を有する単量体を下記の式(1)で表される単量体と重合することで得られる。該反応性基は、コンタクトレンズ基材(P2)との間に共有結合が形成されるために導入される。
上記の式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基を示す。
前記反応性基を有する単量体としては、例えば、アミノ基含有単量体、グリシジル基含有単量体およびカルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
アミノ基含有単量体としては、例えば、アミノエチルメタクリレート(2−アミノエチルメタクリレート)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらのアミノ基含有単量体は、単独で用いることができ、また、2種以上を混合して用いることもできる。アミノ基含有単量体の使用量は、親水性ポリマー(P1)の単量体組成物100質量部に対して通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜15質量部である。
グリシジル基含有単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。グリシジル基含有単量体は、単独で用いることができ、また、2種以上を混合して用いることもできる。グリシジル基含有単量体の使用量は、親水性ポリマー(P1)の単量体組成物100質量部に対して通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜15質量部である。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸等が挙げられる。これらのカルボキシル基含有単量体は、単独で用いることができ、また、2種以上を混合して用いることもできる。カルボキシル基含有単量体の使用量は、親水性ポリマー(P1)の単量体組成物100質量部に対して通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜15質量部である。
親水性ポリマー(P1)は、下記の式(2)で表される構成単位(以下「PC構成単位」と略記)を有する。
上記の式(2)において、Rは水素原子またはメチル基を示す。
親水性ポリマー(P1)中のPC構成単位は、コンタクトレンズ表面の親水性および潤滑性を高めるために導入される。
親水性ポリマー(P1)中のPC構成単位は、親水性ポリマー(P1)の重合時に使用されるPC単量体から得られる。PC単量体とその他の単量体の質量比は、7:3〜9.99:0.01の範囲内である。
PC単量体としては、入手性の観点から例えば、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましく、さらに下記の式(3)で表されるMPCが好ましい。
親水性ポリマー(P1)は、PC単量体と、反応性基を有する単量体であるアミノ基含有単量体、グリシジル基含有単量体及び/又はカルボキシル基含有単量体との複数の単量体に基づく構成単位を有する。
親水性ポリマー(P1)中のPC構成単位のモル比率をnA、反応性基を有する単量体に基づく構成単位のモル比率(P1の反応性基の比率)をnBとすると、各構成単位のモル比率nA:nBが100:5〜50である。
親水性ポリマー(P1)は、重量平均分子量5,000〜10,000,000であり、好ましくは100,000〜5,000,000の重合体である。重量平均分子量が5,000未満の場合は、潤滑性向上が見込めないおそれがあり、5,000,000を超える場合は、無菌ろ過が困難となるおそれがある。
親水性ポリマー(P1)は、親水性ポリマー(P1)の単量体組成物をラジカル重合することによって得ることができる。親水性ポリマー(P1)の製造は、例えば、上記親水性ポリマー(P1)の単量体組成物を、ラジカル重合開始剤の存在下、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス置換または雰囲気下においてラジカル重合により行うことができる。重合方法は、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の公知の方法により行うことができる。重合方法は、精製等の観点から溶液重合が好ましい。親水性ポリマー(P1)の精製は、再沈殿法、透析法、限外ろ過法等の公知の精製方法により行うことが出来る。
ラジカル重合開始剤としては、アゾ系ラジカル重合開始剤、有機過酸化物、過硫酸化物等を挙げることができる。
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2'− アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロピル)二塩酸塩、2,2−アゾビス(2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルペルオキシネオデカノエート(パーブチル(登録商標)ND)、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、コハク酸ペルオキシド(=サクシニルペルオキシド)等が挙げられる。
過硫酸化物としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、単独で用いることができ、また、2種以上を混合して用いることもできる。重合開始剤の使用量は、親水性ポリマー(P1)の単量体組成物100質量部に対して通常0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5.0質量部である。
親水性ポリマー(P1)の製造は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、親水性ポリマー(P1)の単量体組成物を溶解し、反応しないものであればいずれでもよく、例えば、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、直鎖または環状のエーテル系溶媒、含窒素系溶媒が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられる。
直鎖または環状のエーテル系溶媒としては、例えば、エチルセルソルブ、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
含窒素系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
好ましくは水またはアルコールまたはこれらの混合溶媒が挙げられる。
<コンタクトレンズ基材(P2)について>
コンタクトレンズ基材(P2)は、相補性基を有する単量体を、シリコーン単量体、シリコーンハイドロゲル単量体またはシリコーンゴム単量体と重合することで得られる。該相補性基は、親水性ポリマー(P1)との間に共有結合が形成されるために導入される。
コンタクトレンズ基材(P2)は、コンタクトレンズの材質がシリコーンハイドロゲルの場合とシリコーンゴムの場合で異なる。
<シリコーン単量体、シリコーンハイドロゲル単量体及びシリコーンゴム単量体について>
本発明において、シリコーン単量体とは、材質がシリコーンのコンタクトレンズを形成するために、コンタクトレンズ基材(P2)の重合に用いる単量体である。
また、シリコーンハイドロゲル単量体とは、材質がシリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズを形成するために、コンタクトレンズ基材(P2)の重合に用いる単量体である。
また、シリコーンゴム単量体とは、材質がシリコーンゴムのコンタクトレンズを形成するために、コンタクトレンズ基材(P2)の重合に用いる単量体である。
<シリコーンハイドロゲルの場合>
シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)に用いるシリコーンハイドロゲル単量体は、コンタクトレンズの酸素透過性を高めることを目的として、例えば以下を例示することができる。
トリメチルシロキシ基を有する(メタ)アクリレート類としては、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
トリメチルシロキシ基を有する(メタ)アクリルアミド類としては、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリルアミド、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル(メタ)アクリルアミド、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
トリメチルシロキシ基を有するメチル(メタ)アクリレート類としては、[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]メチル(メタ)アクリレート、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]メチル(メタ)アクリレート、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
トリメチルシロキシ基を有するメチル(メタ)アクリルアミド類としては、[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]メチル(メタ)アクリルアミド、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]メチル(メタ)アクリルアミド、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
トリメチルシロキシ基を有するスチレン類としては、[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]スチレン、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]スチレン、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]スチレン等が挙げられる。
トリメチルシロキシ基を有するカルバミン酸ビニル類としては、N−[3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル]カルバミン酸ビニル、N−[3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル]カルバミン酸ビニル、N−[3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル]カルバミン酸ビニル等が挙げられる。
これらの中で3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリレート(TRIS)が好ましく挙げられる。これらのシリコーンハイドロゲル単量体の使用量は、シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)の単量体組成物100質量部に対して通常20〜95質量部、好ましくは30〜90質量部である。
シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)が相補性基を得るために使用される相補性基を有する単量体としては、例えば、アミノ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
アミノ基含有単量体としては、例えば、アミノエチルメタクリレート(2−アミノエチルメタクリレート)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらのアミノ基含有単量体は、単独で用いることができ、また、2種以上を混合して用いることもできる。アミノ基含有単量体の使用量は、シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)の単量体組成物100質量部に対して通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜15質量部であり、モル比率では5〜15%が好ましい。
カルボキシル基単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸などが挙げられる。これらのカルボキシル基含有単量体は、単独で用いることができ、また、2種以上を混合して用いることもできる。カルボキシル基含有単量体の使用量は、シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)の単量体組成物100質量部に対して通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜15質量部であり、モル比率では5〜15%が好ましい。
さらに、コンタクトレンズに用いる単量体として一般に用いられるその他の単量体を適宜選択して用いることが出来る。
シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)に用いるその他の単量体は、コンタクトレンズの表面親水性を増強させることを目的として、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等の水溶性単量体が好ましく挙げられる。中でも、コンタクトレンズの表面親水性を増強性の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびN−ビニルピロリドンがより好ましい。これらの単量体の使用量は、シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)の単量体組成物100質量部に対して通常10〜50質量部、好ましくは20〜40質量部である。
シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)に用いるその他の単量体は、コンタクトレンズの柔軟性をコントロールすることを目的として、例えば、ポリアルキレングリコールビス(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリドン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニルピラジンが挙げられる。これらの単量体の使用量は、シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)の単量体組成物100質量部に対して通常10〜50質量部、好ましくは20〜40質量部である。
シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)に用いるその他の単量体は、コンタクトレンズの形状維持性を高めることを目的として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;両末端に炭素−炭素不飽和結合を有するシロキサンマクロモノマーやエチレングリコールジメタクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニルモノマー類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられる。これらの単量体の使用量は、シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)の単量体組成物100質量部に対して通常0.01〜30質量部、好ましくは0.1〜15質量部である。
シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズ基材(P2)は、各単量体を混合し、過酸化物、アゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を適宜添加して作製することができる。熱重合を行う際は、所望の反応温度に対して最適な分解特性を有するものを選択して使用することが出来る。すなわち、10時間半減期温度が40〜120℃の過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、カルボニル化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物もしくは金属塩を挙げることが出来る。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種類以上を混合して用いても良い。好ましくは重合成分100質量部に対して0.05〜2質量部の割合で使用することが好ましい。
<シリコーンゴムの場合>
シリコーンゴムのコンタクトレンズ基材(P2)に用いるシリコーンゴム単量体は、コンタクトレンズの酸素透過性を高めることを目的として、ポリオルガノシロキサンが挙げられる。例えば、重量平均分子量が330の両末端シラノール変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製)が好ましい。このシリコーンゴム単量体の使用量は、シリコーンゴムのコンタクトレンズ基材(P2)の単量体組成物100質量部に対して通常60〜100質量部、好ましくは75〜95質量部であり、モル比率では75〜95%が好ましい。
シリコーンゴムのコンタクトレンズ基材(P2)が相補性基を得るために使用される相補性基を有する単量体としては、例えば、アミノ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
アミノ基含有単量体としては3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。アミノ基含有単量体の使用量は、シリコーンゴムのコンタクトレンズ基材(P2)の単量体組成物100質量部に対して通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜15質量部であり、モル比率では5〜15%が好ましい。
カルボキシル基含有単量体としては3−カルボキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。カルボキシル基含有単量体の使用量は、シリコーンゴムのコンタクトレンズ基材(P2)の単量体組成物100質量部に対して通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜15質量部であり、モル比率では5〜15%が好ましい。
シリコーンゴムのコンタクトレンズ基材(P2)は、各構成単位を混合し、金属アルコキシドに代表される硬化性触媒を適宜添加して作製することができる。金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシドを挙げることが出来る。硬化性触媒は、単独で用いても2種類以上を混合して用いても良い。硬化性触媒はシリコーンゴムのコンタクトレンズ基材(P2)の単量体組成物に対してモル比率では通常20%未満、好ましくは10%未満の割合で使用することが好ましい。
シリコーンゴムのコンタクトレンズ基材(P2)の製造は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、室温で容易に揮発しないものが好ましく、例えば、トルエンが挙げられる。
<親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)との共有結合について>
親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)は、下記の式(A−1)、(A−2)、(B−1)、(B−2)で示されるエポキシエステル結合と、下記の式(C)で示されるアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1つの共有結合を介して結合し、該共有結合は、反応性基と相補性基の反応により形成される。
前記の反応性基は下記の式(I)アミノ基、(II)グリシジル基または(III)カルボキシル基であり、前記の相補性基は下記の式(I)アミノ基または(III)カルボキシル基である。
前記の式(A−1)と(A−2)で示されるエポキシエステル結合は、反応性基が(II)グリシジル基であり、相補性基が(I)アミノ基である場合に混在した状態で得られる。前記の式(B−1)と(B−2)で示されるエポキシエステル結合は、反応性基が(II)グリシジル基であり、相補性基が(III)カルボキシル基である場合に混在した状態で得られる。前記の式(C)で示されるアミド結合は、反応性基が(I)アミノ基であり、相補性基が(III)カルボキシル基である場合と、反応性基が(III)カルボキシル基であり、相補性基が(I)アミノ基である場合に得られる。
親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)との共有結合は、エポキシエステル結合の場合はオートクレーブ処理を行うことで得られ、アミド結合の場合はカップリング剤を用いることで得られる。
エポキシエステル結合の形成は、例えば121℃下で20分間オートクレーブ処理を施すことで得られる。このときに反応を触媒するためにメチルジエタノールアミンを加えてもよい。一般に親水性ポリマー(P1)は生理食塩液に約0.01〜約10質量部、好ましくは0.1〜1.0質量部の濃度に溶解させる。通常、1枚のレンズあたりに使用する溶液の量は、0.1g〜100g、好ましくは0.5〜50g、より好ましくは1g〜10gである。
オートクレーブ後、得られたコンタクトレンズの表面を水または生理食塩液で洗い、副生成物を除く。
カップリング剤としては、例えばカルボジイミドが挙げられる。とくに1−エチルー3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドが好ましい。
カップリング剤は、親水性ポリマー(P1)が溶解する溶媒に溶解させる。好ましくは、水または水性溶液で実施し、好ましくは生理食塩液で実施する。
カップリング剤の使用量は、親水性ポリマー(P1)がコンタクトレンズ基材(P2)に結合するのに充分な量である。一般にカップリング剤は生理食塩液に0.001〜5.0質量部、好ましくは0.1〜1.0質量部の濃度で溶解させる。また、一般に親水性ポリマー(P1)は、生理食塩液に0.01〜10質量部、好ましくは約0.01〜1.0質量部の濃度に溶解させる。通常、1枚のレンズあたりに使用する溶液の量は、0.1〜100g、好ましくは0.5〜50g、より好ましくは1.0〜10gである。
アミド結合の形成は、室温および大気圧で実施できる。好ましい実施形態では、温度は30〜60℃である。親水性ポリマー(P1)とカップリング剤を含む溶液とコンタクトレンズ基材(P2)の接触時間は、好ましくは1分〜24時間、より好ましくは1〜120分、さらに好ましくは1〜60分である。
接触後、得られたコンタクトレンズの表面を水または生理食塩液で洗い、カップリング剤および副生成物を除く。
<コンタクトレンズ保存液>
前記の親水性ポリマー(P1)の水溶液は、親水性ポリマー(P1)を含むコンタクトレンズ保存液とすることができる。親水性ポリマー(P1)を水溶液に溶解させることで、その後、コンタクトレンズを装着すれば、涙液が蒸散しにくくなり、眼瞼結膜縁と眼表面との摩擦の上昇が起こりにくくなり、LWEの発症を抑制できる。さらに、該コンタクトレンズ保存液は、コンタクトレンズの耐乾燥性を改善することができる。前記の親水性ポリマー(P1)は、その保存液に0.1〜5.0質量%の濃度に溶解させるのが好ましい。本発明のコンタクトレンズ保存液に保存するコンタクトレンズは、本発明のコンタクトレンズに限定されない。
なお、水溶液としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等を挙げることができる。水としては、安全性の点から純水、イオン交換水等が好ましい。
以下、本発明について実施例および比較例により、本発明およびその効果を具体的に説明する。
(合成例1)
<反応性基としてアミノ基を有する親水性ポリマー(P1)の調製>
MPC(日油(株)製)79.27g、2−アミノエチルメタクリレート(AeMA、Sigma−Aldrich製)4.94gを蒸留水330.95g((株)大塚製薬製)に溶解させた。この溶液を四つ口フラスコに入れ、30℃にて150rpmで攪拌しながら、窒素を0.4L/minで30分間吹き込んだ。この溶液を65℃に昇温し、2,2'− アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業(株)製)0.60gを添加し、蒸留水5.0gで内壁に付着した2,2'− アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩を洗い流した。窒素の流量を0.2L/minにし、この溶液の温度を70℃に昇温し、120分間保持した。重合反応後、重合液を3リットルのジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間室温で真空乾燥を行い、粉末を得た。
(合成例2)
<反応性基としてカルボキシル基を有する親水性ポリマー(P1)の調製>
MPC(日油(株)製)81.57g、メタクリル酸(MA、キシダ化学(株)製)2.64gを蒸留水330.95g((株)大塚製薬製)に溶解させた。この溶液を四つ口フラスコに入れ、30℃にて150rpmで攪拌しながら、窒素を0.4L/minで30分間吹き込んだ。この溶液を65℃に昇温し、2,2'− アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業(株)製)0.60gを添加し、蒸留水5.0gで内壁に付着した2,2'− アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩を洗い流した。窒素の流量を0.2L/minにし、この溶液の温度を70℃に昇温し、120分間保持した。重合反応後、重合液を3リットルのジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間室温で真空乾燥を行い、粉末を得た。
(合成例3)
<反応性基としてグリシジル基を有する親水性ポリマー(P1)の調製>
MPC(日油(株)製)79.02g、グリシジルメタクリレート(GMA、日油(株)製)5.19gを1−プロパノール436.96g(キシダ化学(株)製)に溶解させた。この溶液を四つ口フラスコに入れ、30℃にて150rpmで攪拌しながら、窒素を0.5L/minで30分間吹き込んだ。この溶液を50℃に昇温し、パーブチル(登録商標)ND(日油(株)製)0.24gを添加した。窒素の流量を0.2L/minにし、この溶液の温度を60℃に昇温し、240分間保持した。重合反応後、重合液を3リットルのジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間室温で真空乾燥を行い、粉末を得た。
<水ブレイクアップ時間(Water Break−up Time)(WBUT)試験方法>
コンタクトレンズの表面の親水性を以下の手順で評価した。コンタクトレンズを保存液から取り出し、付着している保存液をコンタクトレンズ表面から除去するために、200mLの生理食塩液中で3回洗浄した。無風の室内にて、コンタクトレンズをこの生理食塩液から取り出して照明にかざした。水膜が壊れて、コンタクトレンズ表面が露出するのに要する時間(WBUT)を目視により記録した。このWBUTが5秒未満の場合は「0」、5秒以上15秒未満の場合は「1」、15秒以上の場合は「2」のスコアを与えた。
<潤滑性試験方法>
コンタクトレンズの表面の潤滑性を以下の手順で評価した。潤滑性試験の基準として、1Day ACUVUE(登録商標)(ジョンソンエンドジョンソン(株)製)を用いた。コンタクトレンズを保存液から取り出し、15mL遠心チューブに入れた。このチューブに生理食塩液10mLを加え、終夜振とうした。コンタクトレンズを取り出し、人差し指に乗せて潤滑性評価を行った。潤滑性評価は、ブリスターパックから取り出したばかりの1Day ACUVUE(登録商標)を基準(4点)として、潤滑性が向上すれば評価点数を高くなるようにし、潤滑性が低下すれば評価点数が低くなるようにした。評価点数は1〜10点の範囲内で与えた。この評価点が1〜3の場合は「0」、4〜6の場合は「1」、7〜10の場合は「2」のスコアを与えた。
<耐乾燥性の試験方法>
コンタクトレンズの耐乾燥性を以下の手順で評価した。合成例1で合成した親水性ポリマー(P1)を純分で0.1質量%となるように生理食塩液と混合し、これを保存液とした。1Day ACUVUE TruEye(登録商標)(ジョンソンエンドジョンソン(株)製)を該保存液およびブランクとしての生理食塩液のそれぞれに浸漬し、オートクレーブ処理(121℃、20分間)を行った。オートクレーブ処理を行ったコンタクトレンズは、試験開始まで24時間以上、室温で保管した。このレンズを取り出した後、外観をCLチェッカーBA360s(サンコンタクトレンズ(株)製)にて動画を取得し、取り出し直後の画像と15分放置した際の画像を解析した。解析は取り出し直後のコンタクトレンズの大きさを100とし、15分放置した後のコンタクトレンズの大きさを算出した。
<こすり洗いの方法>
コンタクトレンズのこすり洗いは以下の手順で行った。清潔な手でコンタクトレンズを生理食塩液ですすいでから、利き手と反対の手のひらの上にレンズの内側を上にして乗せ、生理食塩液を1mL滴下した。利き手の人差し指の腹をコンタクトレンズの内側に当てて軽く押え、レンズを前後左右に動かして、30回こすった。こすり洗いの前後でWBUT試験及び潤滑性試験を行うことで、コンタクトレンズの耐久性を調べた。
(実施例1−1)
<反応性基としてカルボキシル基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリレート(TRIS)40.00質量部、N−ビニルピロリドン(NVP)25.00質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)25.05質量部、2−アミノエチルメタクリレート(AeMA)9.45質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)0.35質量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15質量部を混合・溶解させた。
この溶液を、ポリプロピレン製の型に流し込み、オーブン内の窒素置換を行った。次いで、100℃で2時間加熱することにより重合した。重合後、型から取り出し、2−プロパノール:イオン交換水=3:1溶液に12時間浸漬させ、さらに、イオン交換水に12時間浸漬して相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を作製した。
得られたコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例2で合成した反応性基としてカルボキシル基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、ここに、カップリング剤として0.01gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを溶解させ、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(C)の共有結合が形成される。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後も15秒以上であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後も7〜10であった。
(実施例1−2)
<反応性基としてアミノ基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリレート(TRIS)40.00質量部、N−ビニルピロリドン(NVP)27.10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)27.15質量部、メタクリル酸(MAA)5.25質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)0.35質量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15質量部を混合・溶解させた。
この溶液を、ポリプロピレン製の型に流し込み、オーブン内の窒素置換を行った。次いで、100℃で2時間加熱することにより重合した。重合後、型から取り出し、2−プロパノール:イオン交換水=3:1溶液に12時間浸漬させ、さらに、イオン交換水に12時間浸漬して相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を作製した。
得られたコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例1で合成した反応性基としてアミノ基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、ここに、カップリング剤として0.01gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを溶解させ、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(C)の共有結合が形成される。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後も15秒以上であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後も7〜10であった。
(実施例1−3)
<反応性基としてグリシジル基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
実施例1−1で作製した相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例3で合成した反応性基としてグリシジル基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、オートクレーブ(121℃、20分間)し、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(A−1)及び/又は(A−2)の共有結合が形成される。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後も15秒以上であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後も7〜10であった。
(実施例1−4)
<反応性基としてグリシジル基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
実施例1−2で作製した相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例3で合成した反応性基としてグリシジル基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、オートクレーブし、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(B−1)及び/又は(B−2)の共有結合が形成される。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後も15秒以上であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後も7〜10であった。
(実施例1−5)
<反応性基としてカルボキシル基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
9.0モルの両末端シラノール変性ポリジメチルシロキサン、1.0モルの3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トルエンで2質量部に希釈したアルミニウムイソプロポキシドを0.1モル滴下し、60℃下で72時間混合した。混合を停止した後に、25℃付近で減圧し、シリコーンゴム組成物中の溶媒を除去した。このシリコーンゴム組成物を型に移し、60℃下で12時間保持した後、120℃下で6時間保持し、シート状のシリコーンゴムを得た。このシリコーンゴムをコンタクトレンズの形状にくりぬき、相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を得た。
得られたコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例2で合成した反応性基としてカルボキシル基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、ここに、カップリング剤として0.01gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを溶解させ、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(C)の共有結合が形成される。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後も15秒以上であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後も7〜10であった。
(実施例1−6)
<反応性基としてアミノ基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
9.0モルの両末端シラノール変性ポリジメチルシロキサン、1.0モルの3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン、トルエンで2質量部に希釈したアルミニウムイソプロポキシドを0.1モル滴下し、60℃下で72時間混合した。混合を停止した後に、25℃付近で減圧し、シリコーンゴム組成物中の溶媒を除去した。このシリコーンゴム組成物を型に移し、60℃下で12時間保持した後、120℃下で6時間保持し、シート状のシリコーンゴムを得た。このシリコーンゴムをコンタクトレンズの形状にくりぬき、相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を得た。
得られたコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例1で合成した反応性基としてアミノ基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、ここに、カップリング剤として0.01gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを溶解させ、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(C)の共有結合が形成される。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後も15秒以上であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後も7〜10であった。
(実施例1−7)
<反応性基としてグリシジル基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
実施例1−5で作製した相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例3で合成した反応性基としてグリシジル基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、オートクレーブし、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(A−1)及び/又は(A−2)の共有結合が形成される。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後も15秒以上であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後も7〜10であった。
(実施例1−8)
<反応性基としてグリシジル基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
実施例1−6で作製した相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例3で合成した反応性基としてグリシジル基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、オートクレーブし、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(B−1)及び/又は(B−2)の共有結合が形成される。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後も15秒以上であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後も7〜10であった。
(比較例1−1)
<ポリアクリル酸と相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
実施例1−1で作製した相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)と、カルボキシル基を有するが、式(2)で表される構成単位を有さない親水性ポリマーであるポリアクリル酸を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、ここに、カップリング剤として0.01gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを溶解させ、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(C)の共有結合が形成される。なお、ホスホリルコリン基を含有しない親水性ポリマーを使用した。このコンタクトレンズのWBUTは5秒以上15秒未満であり、こすり洗い後も5秒以上15秒未満であった。潤滑性は4〜6であり、こすり洗い後も4〜6であった。
(比較例1−2)
<ポリリジンと相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
実施例1−2で作製した相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)と、アミノ基を有するが、式(2)で表される構成単位を有さない親水性ポリマーであるポリリジンを0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、ここに、カップリング剤として0.01gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを溶解させ、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(C)の共有結合が形成される。なお、ホスホリルコリン基を含有しない親水性ポリマーを使用した。このコンタクトレンズのWBUTは5秒以上15秒未満であり、こすり洗い後も5秒以上15秒未満であった。潤滑性は4〜6であり、こすり洗い後も4〜6であった。
(比較例1−3)
<反応性基としてカルボキシル基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたカップリング剤を添加していないコンタクトレンズの製造>
実施例1−1で作製した相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例2で合成した反応性基としてカルボキシル基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。なお、カップリング剤を添加していないため、親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)との間に共有結合が形成されていない。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後は5秒未満であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後は1〜3であった。
(比較例1−4)
<反応性基としてアミノ基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたカップリング剤を添加していないコンタクトレンズの製造>
実施例1−2で作製した相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例1で合成した反応性基としてアミノ基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。なお、カップリング剤を添加していないため、親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)との間に共有結合が形成されていない。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後は5秒未満であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後は1〜3であった。
(比較例1−5)
<反応性基としてグリシジル基を有する親水性ポリマー(P1)とヒドロキシル基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材とを用いたコンタクトレンズの製造>
3−トリス(トリメチルシリル)プロピルメタクリレート40質量部、N−ビニルピロリドン(NVP)30質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)29.5質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)0.35質量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15質量部を混合・溶解させた。
この溶液を、ポリプロピレン製の型に流し込み、オーブン内の窒素置換を行った。次いで、100℃で2時間加熱することにより重合した。重合後、型から取り出し、2−プロパノール:イオン交換水=3:1溶液に12時間浸漬させ、さらに、イオン交換水に12時間浸漬して相補性基の代わりにヒドロキシル基を有する単量体及びシリコーンハイドロゲル単量体を重合したコンタクトレンズ基材を作製した。
前記作製したコンタクトレンズ基材を、合成例3で合成した反応性基としてグリシジル基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、オートクレーブ処理を行い、コンタクトレンズを得た。なお、コンタクトレンズ基材が有する官能基がヒドロキシル基であり、親水性ポリマー(P1)のグリシジル基との間に共有結合が形成されていない。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後は5秒未満であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後は1〜3であった。
(比較例1−6)
<ポリアクリル酸と相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
実施例1−5で作製した相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)と、カルボキシル基を有するが、式(2)で表される構成単位を有さない親水性ポリマーであるポリアクリル酸を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、ここに、カップリング剤として0.01gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを溶解させ、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(C)の共有結合が形成される。なお、ホスホリルコリン基を含有しない親水性ポリマーを使用した。このコンタクトレンズのWBUTは5秒以上15秒未満であり、こすり洗い後も5秒以上15秒未満であった。潤滑性は4〜6であり、こすり洗い後も4〜6であった。
(比較例1−7)
<ポリリジンと相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたコンタクトレンズの製造>
実施例1−6で作製した相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)と、アミノ基を有するが、式(2)で表される構成単位を有さない親水性ポリマーであるポリリジンを0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、ここに、カップリング剤として0.01gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを溶解させ、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。ここでは、式(C)の共有結合が形成される。なお、ホスホリルコリン基を含有しない親水性ポリマーを使用した。このコンタクトレンズのWBUTは5秒以上15秒未満であり、こすり洗い後も5秒以上15秒未満であった。潤滑性は4〜6であり、こすり洗い後も4〜6であった。
(比較例1−8)
<反応性基としてカルボキシル基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたカップリング剤を添加していないコンタクトレンズの製造>
実施例1−5で作製した相補性基としてアミノ基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例2で合成した反応性基としてカルボキシル基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。なお、カップリング剤を添加していないため、親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)との間に共有結合が形成されていない。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後は5秒未満であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後は1〜3であった。
(比較例1−9)
<反応性基としてアミノ基を有する親水性ポリマー(P1)と相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)とを用いたカップリング剤を添加していないコンタクトレンズの製造>
実施例1−6で作製した相補性基としてカルボキシル基を有する単量体及びシリコーンゴム単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を、合成例1で合成した反応性基としてアミノ基を有する親水性ポリマー(P1)を0.1質量部含む生理食塩液5gに浸漬し、40℃下で60分放置し、コンタクトレンズを得た。なお、カップリング剤を添加していないため、親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)との間に共有結合が形成されていない。このコンタクトレンズのWBUTは15秒以上であり、こすり洗い後は5秒未満であった。潤滑性は7〜10であり、こすり洗い後は1〜3であった。
実施例1−1〜1−8の評価結果を表1に示す。実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3、実施例1−4、実施例1−5、実施例1−6、実施例1−7及び実施例1−8では、表面に式(2)で表される構成単位を有する親水性ポリマー(P1)を有し、かつ、親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)との間に共有結合が形成されたコンタクトレンズが優れた親水性、潤滑性及び耐久性を示した。
比較例1−1〜1−9の評価結果を表2に示す。比較例1−1、比較例1−2、比較例1−6及び比較例1−7では、式(2)で表される構成単位を有さない親水性ポリマーを使用したことで、コンタクトレンズの親水性と潤滑性を低下させる結果であった。
比較例1−3、比較例1−4、比較例1−8及び比較例1−9では、アミド結合の形成に必要であるカップリング剤を用いなかった結果、親水性ポリマー(P1)とコンタクトレンズ基材(P2)との間に共有結合が形成されないため、耐久性が低下し、こすり洗い後の親水性と潤滑性を著しく低下させる結果であった。
比較例1−5では、コンタクトレンズ基材が有する官能基がヒドロキシル基であり、親水性ポリマー(P1)のグリシジル基との間に共有結合が形成されないため、耐久性が低下し、こすり洗い後の親水性と潤滑性を著しく低下させる結果であった。
(実施例2)
<本発明のコンタクトレンズ保存液の調製と評価>
合成例1で合成した反応性基としてアミノ基を有する親水性ポリマー(P1)を、純分で0.1質量%となるように生理食塩液と混合し、本発明のコンタクトレンズ保存液を調整した。この保存液を用いて耐乾燥性評価を行った結果、15分後のコンタクトレンズの面積は80.4%に低下していた(N=3、標準偏差は0.0156)。
(比較例2)
生理食塩液を用いて耐乾燥性評価を行った結果、15分後のコンタクトレンズの面積は76.1%に低下していた(N=3、標準偏差は0.0202)。
評価結果を図1に示す。実施例2および比較例2より、式(2)で表される構成単位を有する親水性ポリマー(P1)を保存液に含めることで、コンタクトレンズの耐乾燥性の改善効果を示した。
親水性、潤滑性および耐久性を有するコンタクトレンズを提供することができる。さらに、コンタクトレンズを浸漬することでコンタクトレンズの耐乾燥性を改善する、コンタクトレンズ保存液を提供することができる。

Claims (5)

  1. 下記の式(1)で表される単量体及び反応性基を有する単量体を重合した親水性ポリマー(P1)と、シリコーン単量体、シリコーンハイドロゲル単量体若しくはシリコーンゴム単量体及び相補性基を有する単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を含むコンタクトレンズであって、
    該親水性ポリマー(P1)と該コンタクトレンズ基材(P2)が下記の式(A−1)〜(C)からなる群から選ばれる少なくとも1つの共有結合を介して結合しているコンタクトレンズ。
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
  2. 前記共有結合が、前記反応性基と前記相補性基との反応により形成された共有結合であって、
    前記反応性基が下記の式(I)〜(III)のいずれかで表され、前記相補性基が下記の式(I)または(III)で表される、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
  3. コンタクトレンズの製造方法であって、
    下記の式(1)で表される単量体及び反応性基を有する単量体を重合した親水性ポリマー(P1)と、シリコーン単量体、シリコーンハイドロゲル単量体若しくはシリコーンゴム単量体及び相補性基を有する単量体を重合したコンタクトレンズ基材(P2)を接触させる工程を含み、
    ここで、該工程において、下記の式(A−1)〜(C)からなる群から選ばれる少なくとも1つの共有結合が形成される、コンタクトレンズの製造方法。
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
  4. 前記共有結合が、前記反応性基と前記相補性基との反応により形成された共有結合であって、
    前記反応性基が下記の式(I)〜(III)のいずれかで表され、前記相補性基が下記の式(I)または(III)で表される、請求項3に記載のコンタクトレンズの製造方法。
  5. 下記の式(I)〜(III)で表される基のいずれかの反応性基を有しかつ下記式(2)で表される構成単位を有する親水性ポリマー(P1)を含む、コンタクトレンズ保存液。
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
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