JP2017145433A - 銅の表面処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蟻の巣状腐食を抑制できる、銅の表面処理方法を提供する。【解決手段】リン含有銅である銅の表面に、リン酸および炭素数1〜3のカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸を接触させる表面処理工程aと、上記酸を接触させた上記リン含有銅の表面に、腐食抑制剤を接触させる表面処理工程bと、を備える銅の表面処理方法。【選択図】なし

Description

本発明は、銅の表面処理方法に関する。
従来、銅系材料の腐食抑制剤(腐食防止剤)として、1,2,3−ベンゾトリアゾール(BTA)等が使用されている(例えば、特許文献1の段落[0035])。
特開2008−179664号公報
エアコン等の熱交換器には銅管が多用されており、この銅管に、蟻の巣状腐食と呼ばれる異常腐食が発生する場合がある。蟻の巣状腐食は、開口部が数十ミクロン程度と小さく、その腐食形態はランダムに延びた多数のトンネル形状であり、腐食速度が速く、環境中に存在するギ酸や酢酸などのカルボン酸が原因物質の1種と考えられている。
蟻の巣状腐食が発生した銅管は、耐久性等に問題が生じる可能性がある。
本発明者が、銅系材料の腐食抑制剤として使用されているベンゾトリアゾールの溶液を銅管の表面に塗布したところ、はじきが生じて塗布ムラができてしまい、その結果、部分的に、蟻の巣状腐食が発生する場合があった。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、蟻の巣状腐食を抑制できる、銅の表面処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した。その結果、リン脱酸銅などのリン含有銅において蟻の巣状腐食が特に発生しやすく、リン含有銅の表面付近に存在するリン(固溶リン)が蟻の巣状腐食の発生起点であること等を明らかにした。そして、蟻の巣状腐食の発生起点となるリンを選択的(優先的)に溶解させ、次いで、この溶解により形成される凹部に腐食抑制剤を充填させることで、蟻の巣状腐食を抑制できるようになることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供する。
[1]リン含有銅である銅の表面に、リン酸および炭素数1〜3のカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸を接触させる表面処理工程aと、上記酸を接触させた上記リン含有銅の表面に、腐食抑制剤を接触させる表面処理工程bと、を備える銅の表面処理方法。
[2]上記表面処理工程aが、上記酸を含有する酸水溶液中に、上記リン含有銅を浸漬して、放置する工程である、上記[1]に記載の銅の表面処理方法。
[3]上記表面処理工程aが、上記酸を含有する酸水溶液中に、上記リン含有銅を浸漬して、定電位または定電流を印加する工程である、上記[1]に記載の銅の表面処理方法。
[4]上記酸がリン酸である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の銅の表面処理方法。
[5]上記表面処理工程aにおいて−0.04V(vs.SSE)以下の定電位を印加する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の銅の表面処理方法。
[6]上記腐食抑制剤を接触させた上記リン含有銅を乾燥する乾燥工程bを、上記表面処理工程bの後に備え、上記乾燥工程bにおける乾燥温度が、上記腐食抑制剤の融点以上であって沸点未満の温度である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の表面処理方法。
本発明によれば、蟻の巣状腐食を抑制できる、銅の表面処理方法を提供できる。
耐食性試験前後における、実施例5のBTA処理銅管および比較例2の銅管を示す写真である。 耐食性試験後における、実施例5のBTA処理銅管および比較例2の銅管の表面および断面を示すSEM写真である。
[銅の表面処理方法]
本発明の銅の表面処理方法(以下、単に「本発明の表面処理方法」ともいう。)は、リン含有銅である銅の表面に、リン酸および炭素数1〜3のカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸を接触させる表面処理工程aと、上記酸を接触させた上記リン含有銅の表面に、腐食抑制剤を接触させる表面処理工程bと、を備える銅の表面処理方法である。
本発明の表面処理方法により得られる銅(以下、便宜的に「本発明の表面処理銅」ともいう。)においては、蟻の巣状腐食の発生起点である、リン含有銅の表面付近に存在するリンが溶解除去されて凹部となっており、かつ、この凹部に腐食抑制剤が充填されているため、例えばギ酸や酢酸などが存在する環境中に曝露した場合であっても、蟻の巣状腐食の発生および進行が抑制される。
このような本明細の表面処理銅は、例えば、エアコン等の熱交換器に多用される銅管として、好適に用いられる。
以下では、本発明の表面処理方法が備える各工程について説明する。
〔表面処理工程a〕
表面処理工程aは、リン含有銅である銅の表面に、リン酸および炭素数1〜3のカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸を接触させる工程である。
<銅(リン含有銅)>
処理対象となる銅は、リン含有銅である。リン含有銅の具体例としては、リン脱酸銅が挙げられる。リン脱酸銅とは、溶解させた銅にリンを添加して、酸素をPなどの酸化物として取り除いた銅であり、この銅には、添加したリンが僅かに残留して固溶している。リン含有銅(リン脱酸銅)におけるリンの含有量は特に限定されない。
<酸>
表面処理工程aで使用される酸は、リン酸および炭素数1〜3のカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸である。
リン酸は、化学式HPOで表されるリン酸(オルトリン酸)のほか、化学式Hで表される二リン酸(ピロリン酸))などのリン酸類も含む。ただし、本明細書において、単に「リン酸」と称する場合は、特に断りのない限り、化学式HPOで表されるリン酸(オルトリン酸)を意味するものとする。
炭素数1〜3のカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの炭素数1〜3のモノカルボン酸が挙げられ、なかでも、ギ酸および酢酸からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらの酸のうち、リン含有銅に残留した場合に腐食を発生させる可能性という観点から見ると、カルボン酸よりもリン酸を使用することが好ましい。
(酸水溶液)
これらの酸は、例えば、水溶媒に溶かした水溶液(酸水溶液)の態様で、使用される。
酸水溶液がリン酸水溶液である場合、リン酸の含有量は、例えば、1〜20質量%であり、5〜15質量%が好ましい。なお、リン酸水溶液において、リン酸の含有量が5質量%の場合にpHが約1.1を示す。
また、酸水溶液がカルボン酸水溶液である場合、カルボン酸の含有量は、例えば、10〜500質量ppmであり、50〜200質量ppmが好ましい。
なお、酸水溶液を使用する際の温度は、特に限定されず、例えば、10〜80℃であり、20〜60℃が好ましい。
<リン含有銅と酸との接触>
表面処理工程aでは、リン含有銅の表面に酸を接触させる。これにより、蟻の巣状腐食の発生起点である、リン含有銅の表面付近に存在するリンを、銅よりも優先的に溶解させて、リン含有銅の表面に凹部(以下、「溶解凹部」ともいう。)を形成する。
リン含有銅の表面に酸を接触させる態様(方法)は、特に限定されず、例えば、以下に説明する態様(方法)が挙げられる。
(浸漬法)
浸漬法では、酸を含有する酸水溶液中に、リン含有銅を浸漬して、放置する。
浸漬時間(放置時間)は、例えば、6〜48時間であり、12〜32時間が好ましい。
(定電位法または定電流法)
定電位法または定電流法では、酸を含有する酸水溶液中に、リン含有銅を浸漬して、定電位または定電流を印加する。より具体的には例えば、作用電極としてのリン含有銅と、これとは別の白金電極などの対極(補助電極)とを、酸水溶液中に浸漬して、電極反応を行なわせる。この際、参照電極(基準電極)を用いて3電極式の電解セルとしてもよい。
参照電極としては、特に限定されず、従来公知の参照電極を使用でき、例えば、飽和塩化カリウム水溶液中の銀−塩化銀(Ag/AgCl)電極を使用できる。本明細書では、この銀−塩化銀電極を基準として測定される電位を「V(vs.SSE)」と表記する。
定電位の場合、電極に印加する電位を、例えば−0.04V(vs.SSE)以下とする。この電位は、リン酸水溶液を使用する場合においては、蟻の巣状腐食の発生を抑制する効果がより優れるという理由から、好ましい。なお、電位の下限は特に限定されないが、例えば、−1.0V(vs.SSE)以上である。
また、定電流の場合、電極に印加する電流は、例えば、0.1〜10mA/cmであり、0.5〜4mA/cmが好ましい。
なお、定電位または定電流を印加する時間は、例えば、6〜48時間であり、12〜32時間が好ましい。
〔乾燥工程a〕
本発明の表面処理方法は、表面処理工程aにおいて酸を接触させたリン含有銅を乾燥する乾燥工程aを、表面処理工程aと後述する表面処理工程bとの間に備えていてもよい。
乾燥温度は、特に限定されない。もっとも、酸としてカルボン酸を使用した場合において、リン含有銅に接触させたカルボン酸が残留することを回避する観点からは、カルボン酸の沸点(例えば、ギ酸:100.8℃、酢酸:117.8℃)よりも高い温度で乾燥することが好ましい。具体的には、乾燥温度は、120℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。乾燥温度の上限は特に限定されないが、例えば、250℃以下である。
乾燥時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜2時間である。
なお、酸としてリン酸を使用する場合は、乾燥温度は、カルボン酸を使用する場合の温度よりも低くてもよいし、乾燥工程aそのものを省略してもよい。
〔表面処理工程b〕
表面処理工程bは、表面処理工程aにおいて酸を接触させたリン含有銅(すなわち、溶解凹部が形成されたリン含有銅)の表面に、腐食抑制剤を接触させる工程である。
<腐食抑制剤>
腐食抑制剤としては、特に限定されず、銅系材料の腐食抑制剤として従来公知の化合物を使用でき、具体的には、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール(BTA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2−メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、6−(フェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール(PTD)、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール(TBZ)、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジゾール(DMTDA)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、BTAが好適に用いられる。
腐食抑制剤は、水および/またはアルコール(例えば、メタノール、エタノール)等の溶媒に溶かした溶液の態様で使用される。
溶液における腐食抑制剤の含有量は、例えば、0.01〜15質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
<リン含有銅と腐食抑制剤との接触>
溶解凹部が形成されたリン含有銅の表面に、腐食抑制剤を接触させることで、溶解凹部の内部に、腐食抑制剤が侵入して充填される。
このとき、例えば、腐食抑制剤を含有する溶液中に、リン含有銅を浸漬して放置する。
浸漬時間(放置時間)は、特に限定されないが、例えば、0.5〜5分間であり、0.5〜2分間が好ましい。
〔乾燥工程b〕
本発明の表面処理方法は、表面処理工程bにおいて腐食抑制剤を接触させたリン含有銅を乾燥する乾燥工程bを、表面処理工程bの後に備えていてもよい。
乾燥温度は、腐食抑制剤の融点以上の温度であることが好ましい。これにより、溶解凹部の内部への腐食抑制剤の侵入および充填が促進される。乾燥温度の上限については、腐食抑制剤の沸点未満の温度で乾燥することが好ましい。
具体的には、例えば、腐食抑制剤としてBTA(融点:96〜99℃、沸点:201〜204℃)を使用する場合、乾燥温度は、100〜200℃が好ましい。
なお、乾燥時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜2時間である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<供試材>
以下の実施例1〜6および比較例1〜2では、銅管(リン含有銅)として市販のリン脱酸銅管(JIS C1220、長さ15mm×厚さ0.5mm、直径15.5mm、Cu:≧99.90質量%、P:0.015〜0.040質量%)を長手方向に2分割したものを用いた。前処理としてエタノールで脱脂し、脂分を除去しておいた。
また、ギ酸として特級ギ酸(98質量%、HCOOH、和光純薬工業社製)を、リン酸としてオルトリン酸(85質量%、HPO、和光純薬工業社製)を、水としてイオン交換水を用いた。
更に、腐食抑制剤として、1,2,3−ベンゾトリアゾール(98質量%、C、和光純薬工業社製、以下「BTA」と表記)を用いた。なお、BTAは、少量のメタノール(99.5質量%、和光純薬工業社製)で溶かした後、水を添加してBTA水溶液として用いた。このとき、溶媒の質量比(メタノール/水)は、10/90とした。
<実施例1>
大気開放下の100質量ppmのギ酸水溶液(25℃)中に、銅管を浸漬し、そのまま24時間放置した(表面処理工程a)。その後、銅管をギ酸水溶液から取り出して、120℃で1時間の乾燥を行なった(乾燥工程a)。
次いで、銅管を、1質量%のBTA水溶液に浸漬し、1分間放置した(表面処理工程b)。その後、銅管をBTA水溶液から取り出して、100℃で1時間の乾燥を行なった(乾燥工程b)。
このような工程を経て得た銅管を、以下、「BTA処理銅管」と呼ぶ(以下、同様)。
<実施例2>
大気開放下の100質量ppmのギ酸水溶液(25℃)中に、銅管を浸漬し、−0.04V(vs.SSE)の定電位を印加して、24時間放置した(表面処理工程a)。このとき、電気化学測定システムHZ−7000(北斗電工社製)を用い、対極として白金電極を用い、参照電極として飽和塩化カリウム水溶液中のAg/AgCl電極を用いた。その後、銅管をギ酸水溶液から取り出して、120℃で1時間の乾燥を行なった(乾燥工程a)。
次いで、銅管を、1質量%のBTA水溶液に浸漬し、1分間放置した(表面処理工程b)。その後、銅管をBTA水溶液から取り出して、100℃で1時間の乾燥を行なった(乾燥工程b)。
このような工程を経て、BTA処理銅管を得た。
<実施例3>
大気開放下の100質量ppmのギ酸水溶液(25℃)中に、銅管を浸漬し、1mA/cmの定電流を印加して、24時間放置した(表面処理工程a)。このとき、電気化学測定システムHZ−7000(北斗電工社製)を用い、対極として白金電極を用い、参照電極として飽和塩化カリウム水溶液中のAg/AgCl電極を用いた。その後、銅管をギ酸水溶液から取り出して、120℃で1時間の乾燥を行なった(乾燥工程a)。
次いで、銅管を、1質量%のBTA水溶液に浸漬し、1分間放置した(表面処理工程b)。その後、銅管をBTA水溶液から取り出して、100℃で1時間の乾燥を行なった(乾燥工程b)。
このような工程を経て、BTA処理銅管を得た。
<実施例4>
表面処理工程aにおいて、100質量ppmのギ酸水溶液(25℃)に代えて、5質量%のリン酸水溶液(25℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして、BTA処理銅管を得た。
<実施例5>
表面処理工程aにおいて、100質量ppmのギ酸水溶液(25℃)に代えて、5質量%のリン酸水溶液(25℃)を使用した以外は、実施例2と同様にして、BTA処理銅管を得た。
<実施例6>
表面処理工程aにおいて、100質量ppmのギ酸水溶液(25℃)に代えて、5質量%のリン酸水溶液(25℃)を使用した以外は、実施例3と同様にして、BTA処理銅管を得た。
なお、実施例1〜6において、ギ酸水溶液またはリン酸水溶液から取り出した銅管を、BTA水溶液に浸漬する前に、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子社製、JSM−6060)を用いて表面観察を行なったところ、リンの選択溶解を示唆する1μm以下の小さな溶解後が多数確認された。
<比較例1>
銅管を、1質量%のBTA水溶液に浸漬し、1分間放置した(表面処理工程b)。その後、銅管をBTA水溶液から取り出して、100℃で1時間の乾燥を行ない(乾燥工程b)、BTA処理銅管を得た。すなわち、比較例1では、表面処理工程aを経ないで、BTA処理銅管を得た。
<比較例2>
そのままの銅管を、比較例2の銅管とした。
<評価>
(耐食性)
実施例1〜6および比較例1のBTA処理銅管、ならびに、比較例2の銅管を、1000質量ppmのギ酸水溶液を約100mL含む密封容器内に、1ヶ月間放置する試験(耐食性試験)を行ない、その試験後、表面観察を行なって蟻の巣状腐食の発生の有無を確認し、下記基準で評価を行なった。「◎」または「○」であれば、蟻の巣状腐食が抑制されたものとして評価できる。なお、表面観察には、光学顕微鏡およびSEM(日本電子社製、JSM−6060)を用いた。
「◎」:銅管の全表面にわたって、蟻の巣状腐食の発生が観察されなかった。
「○」:銅管の表面のごく一部に、蟻の巣状腐食が観察された。
「△」:銅管の表面に、部分的に、蟻の巣状腐食が観察された。
「×」:銅管の全表面に蟻の巣状腐食が観察された。
(生産性)
実施例1〜6および比較例1〜2について、BTA処理銅管(銅管)を得る際の生産性を下記基準で評価した。生産性の観点からは「◎」または「○」であることが好ましい。
「◎」:表面処理工程aおよび表面処理工程bをどちらも経なかった。
「○」:表面処理工程aが浸漬法であった、または、表面処理工程aを経なかった。
「△」:表面処理工程aが定電位法または定電流法であった。
上記表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜6のBTA処理銅管は、比較例1のBTA処理銅管および比較例2の銅管と比較して、蟻の巣状腐食の発生を抑制する効果に優れていた。
ここで、実施例1〜6および比較例1〜2のうち、代表的に、実施例5のBTA処理銅管および比較例2の銅管の表面観察結果を、図1および図2に示す。
図1は、耐食性試験前後における、実施例5のBTA処理銅管および比較例2の銅管を示す写真である。図1に示すように、比較例2の銅管は、試験前は光沢を有しているが、試験後には光沢を失い、蟻の巣状腐食の発生を示唆する灰紫色を呈した。これに対して、実施例5のBTA処理銅管は、試験前の光沢を、試験後においても維持していた。
図2は、耐食性試験後における、実施例5のBTA処理銅管および比較例2の銅管の表面および断面を示すSEM写真である。図2に示すSEM写真では、比較例2の銅管の断面には蟻の巣状腐食が観察されたが、実施例5のBTA処理銅管の断面には蟻の巣状腐食が観察されなかった。

Claims (6)

  1. リン含有銅である銅の表面に、リン酸および炭素数1〜3のカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸を接触させる表面処理工程aと、
    前記酸を接触させた前記リン含有銅の表面に、腐食抑制剤を接触させる表面処理工程bと、を備える銅の表面処理方法。
  2. 前記表面処理工程aが、前記酸を含有する酸水溶液中に、前記リン含有銅を浸漬して、放置する工程である、請求項1に記載の銅の表面処理方法。
  3. 前記表面処理工程aが、前記酸を含有する酸水溶液中に、前記リン含有銅を浸漬して、定電位または定電流を印加する工程である、請求項1に記載の銅の表面処理方法。
  4. 前記酸がリン酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅の表面処理方法。
  5. 前記表面処理工程aにおいて−0.04V(vs.SSE)以下の定電位を印加する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅の表面処理方法。
  6. 前記腐食抑制剤を接触させた前記リン含有銅を乾燥する乾燥工程bを、前記表面処理工程bの後に備え、
    前記乾燥工程bにおける乾燥温度が、前記腐食抑制剤の融点以上であって沸点未満の温度である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理方法。
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