JP2017141329A - マイクロコートイソシアネート粒子およびその製造方法、マイクロコートイソシアネート粒子と水を含む分散体、硬化性樹脂組成物、ならびに樹脂硬化物の製造方法 - Google Patents

マイクロコートイソシアネート粒子およびその製造方法、マイクロコートイソシアネート粒子と水を含む分散体、硬化性樹脂組成物、ならびに樹脂硬化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むマイクロコート層とイソシアネート化合物を含む内部とを有するマイクロコートイソシアネート粒子の容易な製造方法を提供する。【解決手段】1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を含む核粒子を水で湿潤させる工程と、水で湿潤した核粒子の表面において、イソシアネート化合物の一部を水または第1の化合物と反応させて、ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むマイクロコート層を有するマイクロコートイソシアネート粒子を生成させる工程と、を有する、マイクロコートイソシアネート粒子の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、主に、マイクロコートイソシアネート粒子およびこれを含む硬化性樹脂組成物の簡易な製造方法に関する。
イソシアネート化合物は、反応性が非常に高く、アルコールまたはアミンと接触すると直ちに反応してウレタン結合またはウレア結合を生成する。また、イソシアネート化合物は加水分解によりアミンを生成するため、湿気を避けて保存する必要がある。
そこで、イソシアネート化合物の反応性を制御するために、イソシアネート化合物をマイクロカプセル化することが提案されている(特許文献1)。
特開平5−255652号公報
しかし、非常に反応性の高いイソシアネート化合物をマイクロカプセル化することは、実際には非常に困難である。特許文献1でも、ワックス中に材料を分散させるという発想が示されている程度である。また、イソシアネート化合物をマイクロカプセル化できたとしても、所望の貯蔵安定性を満たすことは困難である。
本発明の一態様は、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を含む核粒子を水で湿潤させる工程と、前記水で湿潤した前記核粒子の表面において、前記イソシアネート化合物の一部を前記水または第1化合物と反応させて、ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むマイクロコート層を有するマイクロコートイソシアネート粒子を生成させる工程と、を有する、マイクロコートイソシアネート粒子の製造方法に関する。
本発明の別の態様は、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を含む核粒子を水で湿潤させる工程と、前記水で湿潤した前記核粒子の表面において、前記イソシアネート化合物の一部を前記水または第1化合物と反応させて、ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むマイクロコート層を有するマイクロコートイソシアネート粒子を生成させる工程と、前記マイクロコートイソシアネート粒子を生成させた後、前記水を室温で液状の第2の化合物で置換するとともに、前記マイクロコートイソシアネート粒子を前記第2の化合物で湿潤させる工程と有し、前記第2の化合物が、前記イソシアネート化合物と反応してウレア結合、ウレタン結合またはチオウレタン結合を生成させる反応性官能基を1分子中に2つ以上有する、マイクロコートイソシアネート粒子もしくは硬化性樹脂組成物の製造方法に関する。
本発明の更に別の態様は、ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を80質量%以上含むマイクロコート層と、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を80質量%以上含む内部と、を有する、マイクロコートイソシアネート粒子に関し、更に、上記のマイクロコートイソシアネート粒子と水とを含む分散体にも関する。
本発明の更に別の態様は、上記のマイクロコートイソシアネート粒子と、前記イソシアネート化合物と反応してウレア結合、ウレタン結合またはチオウレタン結合を生成させる反応性官能基を1分子中に2つ以上有する硬化剤と、を含む硬化性樹脂組成物に関する。
本発明の更に別の態様は、上記の硬化性樹脂組成物に、熱、圧力、剪断力および超音波よりなる群から選択される少なくとも1つを付与して硬化させる、樹脂硬化物の製造方法に関する。
本発明に係る製造方法によれば、加熱時の発泡や環境汚染の原因となり得る有機溶剤、硬化後に接着性などの物性の低下を引き起こすワックス、界面活性剤などの余計な成分を使用することなく、ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種でマイクロコートされたマイクロコートイソシアネート粒子を容易に製造することができるとともに、これを含む硬化性樹脂組成物を容易に得ることができる。マイクロコートイソシアネート粒子は、ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上含むマイクロコート層と、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上含む内部と、を具備する。本発明に係る硬化性樹脂組成物は、優れた貯蔵安定性を有するため、一液型の硬化性樹脂組成物として用いることができる。
本発明の実施形態に係るマイクロコートイソシアネート粒子の製造方法および硬化性樹脂組成物の製造方法を説明するための工程図である。
本発明に係るマイクロコートイソシアネート粒子の製造方法は、(i)1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を含む核粒子を水で湿潤させる工程と、(ii)水で湿潤した核粒子の表面において、イソシアネート化合物の一部を水または第1の化合物と反応させて、ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むマイクロコート層を有するマイクロコートイソシアネート粒子を生成させる工程とを有する。
ここで、マイクロコートする(micro-coatもしくはmicro-coating)とは、核粒子の表面を核粒子とは異なる材料で被覆することをいう。マイクロコートにより核粒子の表面物性(特に反応性)は大きく変化する。本実施形態においては、例えば、核粒子に含まれるイソシアネート化合物の総量が有するイソシアネート基のうち、好ましくは核粒子の表層部に存在する1〜20モル%、更に好ましくは1〜10モル%を水または第1の化合物と反応させることを、核粒子をマイクロコートするという。マイクロコート層(micro-coat layer)とは、核粒子とは異なる材料で形成された核粒子を覆う表層をいう。
また、マイクロコートイソシアネート粒子(micro-coated isocyanate particles)とは、マイクロコート層を有するイソシアネート粒子もしくはマイクロコート層を有するマイクロコートイソシアネート粒子と同義であり、核粒子であるイソシアネート粒子をマイクロコートすることで得られる粒子をいう。マイクロコートイソシアネート粒子は、その内部に未反応のイソシアネート化合物を内包している。未反応のイソシアネート化合物がマイクロコート層(表層)で覆われることで、外部との接触が制限され、貯蔵時の反応性が制御される。
1分子中に2つ以上(例えば2〜4個、好ましくは2〜3個)のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物の種類は、水中で核粒子の形状を維持できる限り、特に限定されないが、作業性の点から35℃で固体であることが好ましい。このようなイソシアネート化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、o−トリジンジイソシアネート(TODI)(4,4´−ジイソシアナト−3,3´−ジメチルビフェニル)、1,5−ジイソシアナトナフタレン、トリレン−2,6−ジイシシアネートなどが挙げられる。ただし、イソシアネート化合物は、特に限定されるものではない。イソシアネート化合物は、35℃より高い融点を有することが望ましい。MDIとしては、例えば、4,4´−MDI(モノメリックMDI)が挙げられる。
イソシアネート化合物は、水に対して反応性を有するが、固体のイソシアネート化合物の表面は疎水性であり、水を内部に浸透させることもないため、水に分散させることができる。イソシアネート化合物を含む核粒子を溶解させずに安定な状態に維持しながら表面をマイクロコートするためには、核粒子の表面を十分に水で覆う必要がある。水で湿潤した核粒子は、微量であれば水以外の液状成分(溶媒等)を含んでもよいが、液状成分の95質量%以上は水であることが望ましく、99質量%以上が水であることがより望ましい。核粒子を含む水分散体を調製する場合、95質量%以上が水である分散媒を用いることが望ましい。
以下、マイクロコートイソシアネート粒子の製造方法および硬化性樹脂組成物の製造方法の一例について説明する。
まず、イソシアネート化合物を含む核粒子の水分散体を調製する(S1)。核粒子を水に分散させる工程は、乾式法で粉体化されたイソシアネート化合物を水と混合する工程でもよく、湿式法でイソシアネート化合物を粉体化する工程でもよい。
乾式法では、空気中でイソシアネート化合物を粉体化した後、粉体化されたイソシアネート化合物を水と混合することにより核粒子の水分散体(もしくは水で湿潤した核粒子)が調製される。イソシアネート化合物は、例えば塊状のイソシアネート化合物を融解させた後、空気中に噴霧して冷却し、粒子状に固化させるスプレークーリングにより粉体化してもよく、ジェットミルによって塊状のイソシアネート化合物を粉砕して粉体化してもよい。
湿式法は、湿式粉砕機を用いて水中でイソシアネート化合物を粉砕するとともに水中に分散させる方法である。この場合、湿式粉砕機のベッセルから取り出した水分散体をそのまま、水で湿潤した核粒子として用いることができる。湿式粉砕機としては、ボールミル、ビーズミルなどを用いてもよく、これらのミルとは異なる機構を有する装置を用いてもよい。中でも、自転と公転を繰り返しながらベッセル内で高速回転する粉砕リングを具備する粉砕装置(株式会社奈良機械製作所のマイクロス(登録商標))を用いることが好ましい。この装置では、強い圧縮力とせん断力がイソシアネート化合物の粉砕と分散に利用される。
イソシアネート化合物を含む核粒子は、イソシアネート化合物以外の添加剤を含んでもよいが、核粒子に含まれる添加剤の割合は、例えば20質量%未満であり、10質量%未満が望ましく、5質量%未満がより望ましく、1質量%未満が更に望ましい。添加剤としては、イソシアネート化合物の結晶化を促進する成分(結晶核剤など)、接着性向上剤(後述するシランカップリング剤、反応触媒など)などが挙げられる。添加剤は、粉体化する前のイソシアネート化合物に添加しておけばよい。
次に、ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むマイクロコート層を有するマイクロコートイソシアネート粒子を生成させる(S2)。
イソシアネート化合物を含む核粒子は、水中では準安定状態にある。このままの状態で放置するか、攪拌を続けると、水と核粒子の表面に露出するイソシアネート基とが式(1a)を経て式(1b)のように反応する。その結果、ポリウレアを含むマイクロコート層を有するマイクロコートイソシアネート粒子が生成する。
Figure 2017141329
核粒子の表面は、疎水性を有するため、イソシアネート化合物と水との反応には比較的長い時間を要する。よって、製造効率を高める観点からは、水分散体もしくは水で湿潤した核粒子にイソシアネート基と反応する第1の化合物を添加することが望ましい。
第1の化合物は、イソシアネート化合物と反応して、ウレア結合、ウレタン結合またはチオウレタン結合を生成させる反応性官能基を1分子中に2つ以上有する。第1の化合物が1分子中に有する2つ以上の反応性官能基は、同じでもよく、それぞれが異なってもよい。第1の化合物が1分子中に有する2つ以上の反応性官能基は、それぞれ独立に、1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基またはメルカプト基であることが好ましい。
第1の化合物は、核粒子の表面でイソシアネート基と速やかに反応することで、ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を生成する。これにより、ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むマイクロコート層を有するマイクロコートイソシアネート粒子が生成する。ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンは、いずれもマイクロコート層に内包された未反応のイソシアネート化合物の反応を抑制するのに十分な化学的安定性と強度とを有している。
第1の化合物は、マイクロコートイソシアネート粒子を得るために反応性官能基を1分子中に2つ以上有する必要があり、より良好な化学的安定性と強度を得るためには反応性官能基を1分子中に3つ以上有することが好ましい。また、イソシアネート化合物を含む核粒子の表面にマイクロコート層を形成する反応は水中で行なわれるため、第1の化合物は、水に溶解する必要がある。ただし、第1の化合物は、単独では、液状または固体のいずれであってもよい。
第1の化合物には、1分子中に2つ以上の1級または2級アミノ基を有する第1のアミノ化合物、1分子中に2つ以上の水酸基を有する第1のヒドロキシ化合物、1分子中に1つ以上の1級または2級アミノ基と1つ以上の水酸基とを有する第1のアミノヒドロキシ化合物、1分子中に2つ以上のメルカプト基を有する第1のメルカプト化合物、1分子中に1つ以上の1級または2級アミノ基と1つ以上のメルカプト基とを有する第1のアミノメルカプト化合物および1分子中に1つ以上の水酸基と1つ以上のメルカプト基とを有する第1のヒドロキシメルカプト化合物よりなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。
第1の化合物は、液体でもよく、固体でもよいが、水にある程度溶解することが必要である。水に溶解した第1の化合物は、核粒子の表面に露出するイソシアネート基と速やかに反応することができるため、マイクロコート層が速やかに形成される。第1のアミノ化合物を用いると、ポリウレアを含むマイクロコート層が形成され、第1のヒドロキシ化合物を用いると、ポリウレタンを含むマイクロコート層が形成され、第1のメルカプト化合物を用いると、ポリチオウレタンを含むマイクロコート層が形成される。また、例えば、第1のアミノ化合物と第1のヒドロキシ化合物とを併用し、もしくは第1のアミノヒドロキシ化合物を用いると、ポリウレアとポリウレタンとの複合物を含むマイクロコート層が形成される。その他の組み合わせによれば、ポリウレアとポリチオウレタンとの複合物、ポリウレタンとポリチオウレタンとの複合物、またはポリウレアとポリウレタンとポリチオウレタンとの複合物を含むマイクロコート層を形成することもできる。
第1のアミノ化合物、第1のアミノヒドロキシ化合物および第1のアミノメルカプト化合物のアミノ基は、イソシアネート基と式(2)のように反応する。第1のヒドロキシ化合物、第1のアミノヒドロキシ化合物および第1のヒドロキシメルカプト化合物の水酸基は、イソシアネート基と式(3)のように反応する。第1のメルカプト化合物、第1のアミノメルカプト化合物および第1のヒドロキシメルカプト化合物のメルカプト基は、イソシアネート基と式(4)のように反応する。
Figure 2017141329
Figure 2017141329
Figure 2017141329
マイクロコート層を形成するのに必要な第1の化合物の量は、特に限定されないが、水に溶解する第1の化合物の濃度が高くなり過ぎると、核粒子が溶解する可能性がある。核粒子の溶解を防止するために、水に溶解させる第1の化合物の濃度は、20質量%以下に制御することが望ましく、10質量%以下に制御することが更に望ましい。また、マイクロコートの際に消費される(マイクロコート層の形成に用いられる)イソシアネート化合物の量は、核粒子の7質量%〜10質量%に制御することが望ましい。ただし、マイクロコートの際に消費されるイソシアネート化合物の量は、用途によって適宜選択すればよい。
第1のアミノ化合物としては、ジアミン、トリアミンなどのアミノ基を2つ以上、更には3つ以上有するポリアミンを用いることが好ましい。アミノ基は、反応性を考慮すると1級または2級のアミノ基であることが望ましい。1分子中に含まれるアミノ基は全て同じでもよく、異なってもよい。例えば1分子中に1級アミノ基と2級アミノ基とが存在してもよい。第1のアミノ化合物の具体例としては、ポリエーテルジアミン、ポリエーテルトリアミン、ポリアリルアミン、芳香族ジアミン、脂肪族アミン、脂環式アミンなどが挙げられる。良好な水溶性を確保する観点から、ポリエーテルアミンは、ポリエチレンオキサイド鎖、ポリプロピレンオキサイド鎖などを有することが望ましい。第1のアミノ化合物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
第1のヒドロキシ化合物としては、アルコール性またはフェノール性の水酸基を2つ以上、更には3つ以上有するポリオール(ジオール、トリオールなど)を用いることが好ましい。ポリオールは、アルコール性とフェノール性の両方の水酸基を有してもよい。良好な水溶性を確保する観点から、第1のヒドロキシ化合物は、ポリグリセリン鎖、ポリエチレンオキサイド鎖、ポリプロピレンオキサイド鎖などを有することが望ましい。第1のヒドロキシ化合物の具体例としては、グリセリン、ポリグリセリン、ポリグリセリルアルキルエーテル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、多官能フェノール、脂環式アルコールなどが挙げられる。第1のヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
第1のアミノヒドロキシ化合物としては、ヒドロキシエチルアミン、N,N−ジヒドロキシエチルアミンなどが挙げられる。第1のアミノヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
第1のメルカプト化合物としては、チオグリコール酸エステル、β‐メルカプトプロピオン酸エステルなどが好ましい。チオグリコール酸エステルとしては、ブタンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレートなどが挙げられる。β‐メルカプトプロピオン酸エステルとしては、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタジエンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリスヒドロキシエチルイソシアネートのβ‐メルカプトプロピオン酸エステル(THEIC−BMPA)などが挙げられる。第1のメルカプト化合物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
第1のアミノメルカプト化合物としては、アリルアミンとペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレートとのモル比1:1のエン・チオール付加物などが挙げられる。
第1のヒドロキシメルカプト化合物としては、アリルアルコールとペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレートとのモル比1:1のエン・チオール付加物などが挙げられる
ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むマイクロコート層は、核粒子の水分散体もしくは水で湿潤した核粒子に第1の化合物を混合してから、例えば30〜420分間で生成する。その間、水と核粒子の温度は、核粒子に含まれるイソシアネート化合物の融点よりも十分に低い温度に維持される。このとき核粒子の表面に露出していたイソシアネート基の大半は反応するが、一部が未反応で残されていてもよい。すなわち、マイクロコートはこの時点では不完全であってもよい。
次に、マイクロコート層が形成されたマイクロコートイソシアネート粒子(以下、マイクロコート粒子とも称する。)を水および未反応の第1の化合物から分離し、回収する(S3)。
例えば、吸引濾過により、マイクロコート粒子と水と第1の化合物との混合液を濾過すればよい。ただし、分離の方法は特に限定されない。濾別されたマイクロコート粒子は、水で湿潤した状態のままで次の置換工程に供される。濾別後にマイクロコート粒子を乾燥させると、マイクロコート粒子同士が凝集してしまう。凝集を抑制するためには、マイクロコート粒子を乾燥させずに、水による湿潤状態を維持する必要がある。
次に、水で湿潤したマイクロコート粒子と第2の化合物とを混合し、水を第2の化合物で置換する工程を行なう(S4)。
置換工程では、水で湿潤したマイクロコート粒子と残留する第1の化合物との混合物を、液状の第2の化合物と混合する。第2の化合物は、イソシアネート基と反応してウレア結合、ウレタン結合およびチオウレタン結合よりなる群から選択される少なくとも1種を生成させる反応性官能基を1分子中に2つ以上有する。このとき、マイクロコート粒子は、既にポリウレア、ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含むマイクロコート層で覆われているため、イソシアネート基と反応性官能基との激しい反応は進行しない。一方、核粒子の表面に残留していたイソシアネート基については、高濃度の第2の化合物と接触したときに速やかに反応し、より強固なマイクロコート層を形成する。その後、マイクロコート粒子と第2の化合物との混合液からマイクロコート粒子を分離し、回収する。この工程により、第2の化合物で湿潤した状態のマイクロコート粒子が得られる(S5)。
置換工程により、第2の化合物で湿潤したマイクロコート粒子に含まれる水分量は、例えば50ppm以下、更には30ppm以下にまで低減される。
マイクロコート粒子に含まれる水分量は、カールフィッシャー水分計(微量水分測定装置) CA−21型(株式会社三菱化学アナリテック社製)により測定することができる。
第2の化合物は、例えば、1分子中に2つ以上の1級または2級アミノ基を有する第2のアミノ化合物、1分子中に2つ以上の水酸基を有する第2のヒドロキシ化合物、1分子中に1つ以上の1級または2級アミノ基と1つ以上の水酸基とを有する第2のアミノヒドロキシ化合物、1分子中に2つ以上のメルカプト基を有する第2のメルカプト化合物、1分子中に1つ以上の1級または2級アミノ基と1つ以上のメルカプト基とを有する第2のアミノメルカプト化合物および1分子中に1つ以上の水酸基と1つ以上のメルカプト基とを有する第2のヒドロキシメルカプト化合物よりなる群から選択される少なくとも1種であり、液状であればよい。第2の化合物は、低粘度であるほど好ましい。第2の化合物を核粒子に用いたイソシアネート化合物の融点より10℃以上低温で加熱して低粘度化させてもよい。
第2の化合物は、第1の化合物と同じでもよく、異なってもよい。第2の化合物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。第2のアミノ化合物、第2のヒドロキシ化合物、第2のアミノヒドロキシ化合物、第2のメルカプト化合物、第2のアミノメルカプト化合物および第2のヒドロキシメルカプト化合物の具体例としては、それぞれ第1のアミノ化合物、第1のヒドロキシ化合物、第1のアミノヒドロキシ化合物、第1のメルカプト化合物、第1のアミノメルカプト化合物および第1のヒドロキシメルカプト化合物として例示したもののうち、置換工程を行う際に液状である化合物が挙げられる。作業性の点からは、例えば、室温(例えば、25℃)で液状の化合物が第2の化合物として好ましい。
置換工程で第2の化合物を用いることで、マイクロコート粒子を湿潤状態に保ったままマイクロコート粒子から水を除去することが可能になる。水を第2の化合物で置換するためには、第2の化合物は水との相溶性を示す液状の化合物である必要がある。また、マイクロコート粒子と第2の化合物との混合物からマイクロコート粒子を分離回収する際の作業性を考慮すると、第2の化合物は低粘度であることが好ましい。
第2の化合物の一部は、マイクロコート粒子とともに第3の化合物と混合され、後述の硬化性樹脂組成物に含まれることとなる。硬化性樹脂組成物を硬化させる過程では、熱や圧力、剪断力、超音波によりマイクロコート粒子に内包された核粒子が溶融することでイソシアネート化合物がマイクロコート層の外部に溶出し、外部の第2および第3の化合物と反応する。
マイクロコート粒子は、1分子中に2つ以上の(未反応の)イソシアネート基を有するイソシアネート化合物を内包している。一方、第2の化合物は、イソシアネート化合物を含む樹脂組成物においてイソシアネート化合物の硬化剤として使用される化合物である。よって、第2の化合物で湿潤した状態のマイクロコート粒子は、硬化剤に対して過剰量のイソシアネート化合物を含む硬化性樹脂組成物でもある。第2の化合物で湿潤した状態のマイクロコート粒子に硬化剤を添加して、イソシアネート化合物と硬化剤との量的バランスを制御することにより、良好な物性を有する硬化物を与える硬化性樹脂組成物を得ることができる(S6)。
ここで、マイクロコート粒子の平均粒子径は、1μm〜100μmが好ましく、1μm〜50μmがより好ましい。マイクロコート粒子が小さいほど、硬化性樹脂組成物を硬化させるときに、イソシアネート化合物と硬化剤とが均一に混じり合い易く、均一な組織を有する硬化物を生成することができる。また、マイクロコート粒子の平均粒子径を1μm以上とすることで、マイクロコート粒子に含まれるマイクロコート層の割合を少量に制限することができる。マイクロコート層に含まれるポリウレア、ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、既に官能基を消失しており、硬化性樹脂組成物を硬化させる際には反応しない。したがって、マイクロコート粒子に含まれるマイクロコート層の割合は小さいことが望ましい。
ここで、平均粒子径とは、体積基準の粒度分布におけるメディアン径であり、累積体積が50%になる粒子径を意味する。このような平均粒子径は、レーザー回折散乱式の粒度分布測定装置 マイクロトラックBlueRaytrac(マイクロトラック・ベル社製)により測定することができる。
核粒子に含まれるイソシアネート化合物の総量が有するイソシアネート基のうち、マイクロコートの際に水または第1の化合物と反応させるイソシアネート基の割合は、20モル%以下に制御することが望ましく、1〜20モル%、更には1〜7モル%に制御することがより望ましい。核粒子に含まれるイソシアネート基のうち、マイクロコートの際に消費されたイソシアネート基の割合は、熱分析により測定することができる。具体的には、熱重量−示差熱分析装置 7200AS−3T(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いることで、未反応イソシアネートと、反応により生成したポリウレア、ポリウレタンまたはポリチオウレタンとの割合を測定することができる。
なお、水に分散した状態のマイクロコート粒子の分散体は、貯蔵可能であり、流通に適している。よって、必要なときに任意の場所で水と分離して、硬化性樹脂組成物の原料に用いることができる。
上記工程を経て調製された硬化性樹脂組成物は、マイクロコート粒子と、硬化剤とを含んでおり、硬化剤の少なくとも一部は第2の化合物の残留物である。
硬化剤の残部は、イソシアネート化合物と硬化剤との量的バランスを制御するために添加される第3の化合物である。第3の化合物は、マイクロコート粒子の内部の未反応イソシアネート化合物と反応してポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を生成させる反応性官能基を有すればよい。硬化性樹脂組成物には、各種の添加剤を添加することができる。添加剤としては、各種無機または有機充填剤、反応を促進する触媒(反応触媒)、シランカップリング剤、レオロジー調整剤、消泡剤、接着性向上剤、可塑剤、応力緩和剤などが挙げられる。
良好な貯蔵安定性を得る観点から、硬化性樹脂組成物は各種溶媒を含まないことが好ましい。その場合、第3の化合物は液状であることが好ましく、作業性の観点から、室温(25℃)で液状であることが好ましい。
第3の化合物は、例えば、反応性官能基として1分子中に2つ以上の1級または2級アミノ基を有する第3のアミノ化合物、1分子中に反応性官能基として2つ以上の水酸基を有する第3のヒドロキシ化合物、1分子中に1つ以上の1級または2級アミノ基と1つ以上の水酸基とを有する第3のアミノヒドロキシ化合物、1分子中に2つ以上のメルカプト基を有する第3のメルカプト化合物、1分子中に1つ以上の1級または2級アミノ基と1つ以上のメルカプト基とを有する第3のアミノメルカプト化合物および1分子中に1つ以上の水酸基と1つ以上のメルカプト基とを有する第3のヒドロキシメルカプト化合物よりなる群から選択される少なくとも1種である。このとき、硬化性樹脂組成物中のイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の総数と、第2の化合物および第3の化合物の合計が有する反応性官能基の総数とのモル比は、例えば1:0.3〜1:1.2が望ましく、1:0.4〜1:1.1がより望ましく、1:0.5〜1:1が最も望ましい。
第3の化合物は、第1の化合物および/または第2の化合物と同じでもよく、異なってもよい。第3の化合物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。第3の化合物としては、既に第1の化合物および/または第2の化合物として述べたものの他に、メラミン、トリメルカプトトリアジンなどが挙げられる。
硬化性樹脂組成物は、熱、圧力、剪断力および超音波よりなる群から選択される少なくとも1つを付与することで硬化し、硬化物を生成する。よって、硬化性樹脂組成物は、例えば超音波溶着による電子部品実装、フリップチップ実装などに用いる接着剤として有用である。ただし、硬化性樹脂組成物の用途は特に限定されない。
硬化性樹脂組成物を硬化させる過程では、マイクロコート粒子に内包されたイソシアネート化合物がマイクロコート層の外部に溶出する。このとき、マイクロコート粒子の近傍に存在する第2および第3の化合物の反応性官能基の数が多すぎると、溶出したイソシアネート化合物が速やかに第2および第3の化合物と反応するため、反応物のモビリティーが低下する。その結果、イソシアネート化合物が拡散せず、第2および第3の化合物と十分に混合されないまま硬化反応が進み、均一な硬化物が生成しない可能性がある。そのため、第2および第3の化合物が有する反応性官能基の数は、1分子中に2〜4つであることが好ましく、2または3つであることがより好ましく、2つであることが最も好ましい。
なお、第3の化合物は、第2の化合物のように低粘度である必要はなく、水との相溶性を有する必要もなく、第3の化合物の選択の幅は広い。
以下、本発明の実施形態を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
(i)核粒子を水に分散させる工程(S1)
分散媒には純水を用いた。核粒子には室温で固体のモノメリックMDI(融点40℃)を用いた。スプレークーリング法により造粒したメディアン径50μmのモノメリックMDI100gを純水650gに分散させた。
(ii)マイクロコート粒子の生成、回収(S2、3)
次に、核粒子と水とを含む分散体に、モノメリックMDIの100質量部あたりポリアリルアミン(第1の化合物)の量が45質量部となるように、ポリアリルアミン(平均分子量15,000)の15質量%水溶液(PAA−15、ニットーボーメディカル株式会社製)を投入し、35℃で240分間攪拌して、水中で核粒子の表面に露出するイソシアネート基をポリアリルアミンと反応させた。こうして、ポリウレアを含むマイクロコート層を有するマイクロコート粒子を生成させた。その後、吸引濾過により、未反応のポリアリルアミンと水とを除去し、水で湿潤したマイクロコート粒子(メディアン径50μm)を得た。
(iii)置換工程(S4、5)
次に、水で湿潤したマイクロコート粒子に、室温で液体のポリエーテルジアミン(第2の化合物)(JFD−400、ハンツマン社製、ポリプロピレンオキサイド鎖を有する1級ジアミン)を適量混合し、吸引濾過して、ポリエーテルジアミンで湿潤したマイクロコート粒子を得た。このとき、ポリエーテルジアミン(第2の化合物)で湿潤したマイクロコート粒子の水分量は35ppmであった。
また、出発物質である核粒子に含まれていたイソシアネート基の総量のうち、第1の化合物と反応してポリウレアに変換されたイソシアネート基の割合は2.2モル%であった。
(iv)硬化性樹脂組成物の調製(S6)
マイクロコート粒子に対し、出発物質であるモノメリックMDIの100質量部あたり80質量部のJFD−400(第3の化合物)を混合して、一液型の硬化性樹脂組成物(接着剤A1)を調製した。
《実施例2》
硬化性樹脂組成物の調製(S6)において、出発物質であるモノメリックMDIの100質量部あたり40質量部のJFD−400(第3の化合物)と、40質量部の室温で液体のポリエーテルトリアミン(第3の化合物)(JFT−403、ハンツマン社製、ポリプロピレンオキサイド鎖を有する1級トリアミンを混合したこと以外、実施例1と同様にして、一液型の接着剤A2を調製した。
《実施例3》
硬化性樹脂組成物の調製(S6)において、出発物質であるモノメリックMDIの100質量部あたり40質量部のJFD−400(第3の化合物)と、40質量部のポリエーテルジオール(第3の化合物)(PP−400、三洋化成工業株式会社製、平均分子量400のポリプロピレングリコール)を混合したこと以外、実施例1と同様にして、一液型の接着剤A3を調製した。
《実施例4》
(i)核粒子を水に分散させる工程(S1)
分散媒には純水を用いた。核粒子には室温で固体のo−トリジンジイソシアネート(TODI)(融点72℃)を用いた。110gのTODIと、純水990gとを、株式会社奈良機械製作所製のマイクロス(MIC−1型)のベッセルに投入し、室温で攪拌条件を1200rpm/20分、8℃に設定して、TODIを湿式法で粉砕し、メディアン径9μmのイソシアネート化合物の核粒子を水に分散させた。次に、実施例1と同様に、マイクロコート粒子(メディアン径9μm)の生成と回収(S2、3)を行い、更に置換工程(S4、5)をおこなった。次に、硬化性樹脂組成物の調製(S6)において、マイクロコート粒子に対し、出発物質であるTODIの100質量部あたり80質量部のPP−400(第3の化合物)を混合し、一液型の接着剤A4を調製した。
《実施例5》
硬化性樹脂組成物の調製(S6)において、出発物質であるTODIの100質量部あたり40質量部のJFD−400(第3の化合物)と、40質量部の芳香族1級ジアミン(第3の化合物)(JERキュア W、三菱化学株式会社製)を混合したこと以外、実施例4と同様にして、一液型の接着剤A5を調製した。
《実施例6》
硬化性樹脂組成物の調製(S6)において、出発物質であるTODIの100質量部あたり40質量部のJFD−400(第3の化合物)と、40質量部のPP−400(第3の化合物)を混合したこと以外、実施例4と同様にして、一液型の接着剤A6を調製した。
《実施例7》
硬化性樹脂組成物の調製(S6)において、出発物質であるモノメリックMDIの100質量部あたり60質量部のJFD−400(第3の化合物)と、8質量部のメラミン(第3の化合物)を混合したこと以外、実施例1と同様にして、一液型の接着剤A7を調製した。
《実施例8》
スプレークーリング法により造粒したメディアン径50μmのモノメリックMDIの100質量部を純水650質量部に分散させ、35℃で24時間撹拌し、水中で核粒子の表面に露出するイソシアネート基を水と反応させた。こうして、ポリウレアを含むマイクロコート層を有するマイクロコート粒子を生成させた。その後、吸引濾過により、水を除去し、水で湿潤したマイクロコート粒子を得た。このようにして得られたマイクロコート粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、一液型の接着剤A8を調製した。
《比較例1》
スプレークーリング法により造粒したマイクロコートされていないメディアン径50μmのモノメリックMDIの100質量部に対し、JFD−400(第3の化合物)80質量部を混合して接着剤B1を調製した。
《比較例2》
スプレークーリング法により造粒したマイクロコートされていないメディアン径60μmのTODIの100質量部に対し、JFD−400(第3の化合物)80質量部を混合して接着剤B2を調製した。
[評価1]
各接着剤の貯蔵安定性(30℃での増粘性)を評価した。具体的には、ブルックフィールドRVT型粘度計を用いて、接着剤の30℃で1時間放置後の粘度と、30℃で10時間放置後の粘度とを測定した。1時間後に対する10時間後の粘度の上昇率が20%未満の場合は◎、20%以上100%未満の場合は○、100%以上200%未満の場合は△、200%以上の場合は×とした。結果を表1に示す。
[評価2]
各接着剤をオーブンで加熱硬化させたときの接着強度1をJIS K6850記載の試験方法に準拠して測定した。接着剤は220℃で5分間加熱して硬化させた。試験片にはJIS G3141に規定されるFe製の試験片(冷間圧延鋼板(SPCC)、長さ125mm×幅25mm×厚さ1.6mm)を用いた。結果を表1に示す。
[評価3]
各接着剤を超音波融着装置により硬化させたときの接着強度2をJIS K6850記載の試験方法に準拠して測定した。超音波融着装置には精電舎電子工業株式会社製のSONOPET J JP80Sを用い、0.25MPaの圧力とともに超音波を接合領域に5秒間印加して接着剤を硬化させた。試験片には評価1と同じ冷間圧延鋼板を用いた。結果を表1に示す。
なお、表1における各接着剤の組成を示す数値は、質量部を表している。
表1には、マイクロコート粒子または核粒子のメディアン径と、核粒子に含まれていたイソシアネート基のうちマイクロコート層に変換されたイソシアネート基の割合も示す。
Figure 2017141329
表1より、実施例の接着剤では、いずれも粘度の上昇率が小さく、かつ、十分な接着強度が得られることがわかる。このことは、マイクロコート層が接着剤の貯蔵安定性を高めるのに有効に作用する一方で、接着剤の硬化を阻害されないことを示している。なお、比較例の接着剤は、いずれも硬化剤とイソシアネートとを混合した後、直ぐに硬化が進行したため、評価を行なうことが不可能であった。
本発明に係る製造方法によれば、イソシアネート化合物を容易にマイクロコートすることができるとともに、マイクロコート粒子の安定性も優れている。よって、非常に反応性の高いイソシアネート化合物と硬化剤との一液化が可能である。

Claims (11)

  1. 1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を含む核粒子を水で湿潤させる工程と、
    前記水で湿潤した前記核粒子の表面において、前記イソシアネート化合物の一部を前記水または第1の化合物と反応させて、ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を含むマイクロコート層を有するマイクロコートイソシアネート粒子を生成させる工程と、を有する、マイクロコートイソシアネート粒子の製造方法。
  2. 前記第1の化合物が、前記イソシアネート化合物と反応してウレア結合、ウレタン結合またはチオウレタン結合を生成させる反応性官能基を1分子中に2つ以上有する、請求項1に記載のマイクロコートイソシアネート粒子の製造方法。
  3. 前記マイクロコートイソシアネート粒子を生成させた後、前記水を液状の第2の化合物で置換するとともに、前記マイクロコートイソシアネート粒子を前記第2の化合物で湿潤させる工程、を更に有し、
    前記第2の化合物が、前記イソシアネート化合物と反応してウレア結合、ウレタン結合またはチオウレタン結合を生成させる反応性官能基を1分子中に2つ以上有する、請求項1または2に記載のマイクロコートイソシアネート粒子の製造方法。
  4. 前記水の前記第2の化合物への置換が、前記水で湿潤した状態の前記マイクロコートイソシアネート粒子に前記第2の化合物を混合する工程を含む、請求項3に記載のマイクロコートイソシアネート粒子の製造方法。
  5. 前記第2の化合物で湿潤させた前記マイクロコートイソシアネート粒子に含まれる水分量が、50ppm以下である、請求項3または4に記載のマイクロコートイソシアネート粒子の製造方法。
  6. ポリウレア、ポリウレタンおよびポリチオウレタンよりなる群から選択される少なくとも1種を80質量%以上含むマイクロコート層と、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を80質量%以上含む内部と、を有する、マイクロコートイソシアネート粒子。
  7. 平均粒子径が1〜100μmである、請求項6に記載のマイクロコートイソシアネート粒子。
  8. 請求項6または7に記載のマイクロコートイソシアネート粒子と、水と、を含む、分散体。
  9. 請求項6または7に記載のマイクロコートイソシアネート粒子と、前記イソシアネート化合物と反応してウレア結合、ウレタン結合またはチオウレタン結合を生成させる反応性官能基を1分子中に2つ以上有する硬化剤と、を含む、硬化性樹脂組成物。
  10. 前記イソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基の総数と、前記硬化剤に含まれる前記反応性官能基の総数とのモル比が、1:0.3〜1:1.2である、請求項9に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項9または10に記載の硬化性樹脂組成物に、熱、圧力、剪断力および超音波よりなる群から選択される少なくとも1つを付与して硬化させる、樹脂硬化物の製造方法。
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