JP2017141279A - 網膜色素変性症(rp)を治療するための薬剤の製造のための化合物の使用 - Google Patents

網膜色素変性症(rp)を治療するための薬剤の製造のための化合物の使用 Download PDF

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Abstract

【課題】眼疾患の治療及び/又は防止に使用される化合物と組成物、及びそれらの使用方法の提供。【解決手段】乾性の成人黄斑疾患などの眼に蓄積する有毒な視覚サイクル生成物の産生によって生じる又はそれに関連する眼疾患、並びに、変異オプシンタンパク質のミスフォールディング及び/又はオプシンタンパク質の誤局在化によって生じる又はこれらに関連する症状を治療するのに有用な、6−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミドで例示される特定の構造を有する化合物。化合物単独の又は別の治療剤と組み合わせた組成物、それらを用いる治療法、及び薬剤の合成法の提供。【選択図】なし

Description

本出願は、2011年11月30日出願の米国仮特許出願第61/565009号の優先権を主張し、当該出願の開示事項は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
本発明は、眼疾患の治療及び/又は防止に使用される化合物と組成物、及びこうした化合物及び/又は組成物の使用方法に関する。
視力低下又は全体的視力損失は、眼の前部及び/又は眼の後部における組織又は構造の機能障害によって生じる多くの眼の疾病又は疾患に起因することがある。前部における機能障害の結果として生じるものには、視覚サイクルの異常が含まれることが多い。視覚サイクル(「レチノイドサイクル」と称することも多い)は、一連の光駆動及び/又は酵素触媒反応を含み、タンパク質のオプシンとレチノイド物質の11−シスレチナールの間の共有結合によって感光性発色団(「ロドプシン」と称す)が形成され、次いで光に曝されると、11−シスレチナールがオールトランスレチナールに変化し、これは次に11−シスレチナールに再生され、再びオプシンと相互作用することができる。このサイクルの障害により、多くの視覚的眼科的問題が起こり得る。現在、これらの問題の少なくとも一部は、タンパク質のオプシンなどの不適切なタンパク質フォールディング(折り畳み)によるものであることが分かっている。
哺乳類の眼における主な明暗の光受容体は桿体細胞であり、この桿体細胞は、光を感じることができるタンパク質分子を含有する折り畳まれた膜を含み、主なものはオプシンである。哺乳類細胞の中にある別なタンパク質と同様に、オプシンは、細胞質の小胞体の中(即ち、リボソームの上)に合成された後、桿体細胞の細胞膜に導かれる。ある場合には、オプシンタンパク質の遺伝子欠陥や突然変異などにより、オプシンは不適切な折り畳みを示し、桿体細胞の膜の中に適切に入り込まなかったり、あるいは入り込んだ後に11−シスレチナールと適切に反応してネイティブロドプシンを形成できない、といった構造を形成することがある。別な場合には、動物をかなり悩ます中程度から重度の視覚障害がもたらされる。
不適切なオプシンフォールディングに関連する疾病や状態の中には、網膜色素変性症(RP)があり、これは推定で100万〜200万人が世界中で発症している進行性の眼神経変性疾患(又は疾患グループ)である。RPにおいては、網膜の光受容細胞が損傷又は破壊され、周辺視野が低下した後(即ち、視野狭窄)、部分的又はほぼ全面的に失明する。
米国人における最も一般的な異常は、オプシン遺伝子の突然変異によって生じるもので、オプシンのポリペプチド鎖における第23アミノ酸のヒスチジン残基(別名「P23H」)によるプロリン残基の置換の結果として起きるものである。この結果、不安定な形態のタンパク質が生成してミスフォールディングとなり、細胞表面に運ばれずに細胞質の中で集合する。多くの別なタンパク質構造疾患(PCD)と同様に、常染色体優性RPと関連する臨床的に共通するP23H変異体はミスフォールドされ、細胞内に存続する。ミスフォールドされたタンパク質の集合は、光受容体の損傷と細胞死をもたらすと考えられる。
最近の研究では、疾病に関連するミスフォールド変異タンパク質を安定化させる小分子
を特定している。これらの一部は、「化学シャペロン」と称され、タンパク質を非特異的に安定化する。これらの例には、グリセロールとトリメチルアミンオキシドが挙げられる。これらは、眼疾患の治療に非常に望ましいものではない、というのもこうした治療は、通常、大量の投与を必要とし、中毒性副作用を起こし得るためである。「薬理的シャペロン」と称される別な薬剤(天然リガンドと基質類似体を含む)は、特定部位に結合することによってタンパク質を安定化させる作用を行い、Gタンパク質共役受容体などの多くのミスフォールドタンパク質について特定されている。オプシンは、Gタンパク質共役受容体の1つの例であり、その古典的な薬理的シャペロンは、レチノイド類と称される化合物の部類を含む。このように、ある特定のレチノイド化合物は、変異オプシンタンパク質を安定化させることが実証されている(例えば、米国特許公開第2004−0242704号、ノルウェツ等著,J.Biol.Chem.,279(16):16278−16284(2004)を参照)。
視覚サイクルは、一連の酵素触媒反応を含み、通常は光インパルスによって開始され、それにより、11−シスレチナールに共有結合したオプシンタンパク質からなるロドプシンの視覚発色団がオールトランスアイソマーに変化し、これが次に活性ロドプシンから遊離して、オプシンとオールトランスレチナール生成物を形成する。視覚サイクルのこの部分は、眼網膜の桿体細胞の外側部分で生じる。このサイクルの次の部分は、網膜色素上皮(RPE)で生じる。このサイクルの構成成分は、脱水素酵素や異性化酵素などの種々の酵素と同時に、RPEと桿体細胞の間に物質を搬送するための輸送タンパク質を含む。
視覚サイクルの結果として、視覚サイクル生成物と称される種々の産物が生成する。これらの1つが、ロドプシンの11−シスレチナール部分に当接する光インパルスの直接的結果として桿体細胞に生成するオールトランスレチナールである。オールトランスレチナールは、活性ロドプシンから遊離した後、再生して11−シスレチナールに戻ることができ、あるいは、オールトランスレチナールのさらなる分子及びホスファチジルエタノールアミン分子と反応して、N−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミン(「A2E」と称す)を生成することができ、これは、その後桿体細胞や網膜色素上皮(RPE)に集まることができるオレンジ発光フルオロフォアである。A2Eが蓄積すると(視覚サイクルの通常の結果として)、リポフスチンにも変化することができ、リポフスチンは、湿性又は乾性の老化による黄斑変性(ARMD)のような眼疾患などのいくつかの異常に関係する有毒な物質である。A2Eは、RPEに対して害があることも実証されており、乾性のARMDにも関連する。
有毒な視覚サイクル生成物の蓄積は、生理的過程の正常部分であるため、すべての哺乳類とりわけすべての人間は、生きている中のある範囲にわたって、こうした蓄積をすることが起こり得る。しかしながら、特に網膜などの眼の外科的手術の際、例えば、白内障手術の終局付近や新レンズ移植の際には、長時間にわたって強い光が必要であり、それが視覚サイクルの自然生成物の蓄積させることから、これらの自然プロセス以外のプロセスが有毒であり得る。さらに、まぶしい光の刺激の結果としての過度のロドプシン活性化は、AP−1転写因子依存メカニズムを経て光受容細胞アポトーシスを引き起こすことがある。こうしたことから、外科的プロセスの前、途中、又はその後に(又は、これらの任意の組み合わせ)投与することができ、ロドプシン活性化を抑制する効果を有すると同時に、さもなければ蓄積して眼とりわけ網膜に有毒となり得る視覚サイクル生成物の産生を低減させる薬剤に対するニーズが存在している。
本発明は、かかる状態を完全に防止できないにせよ、かかる状態の治療及び/又は寛解のためにオプシン又は変異型オプシンに非共有結合する小分子を提供することにより、こうしたニーズに応えるものである。重要なことは、こうした薬剤が、天然レチノイドではなく、このため、変異型オプシンが合成される及び/又はさもなければ視覚サイクル生成
物が蓄積する桿体細胞への入口が厳密にはコントロールされないことである。したがって、こうした薬剤は、基本的に、細胞膜への変異オプシンの適切な折り曲げや輸送を促進する、あるいは、ひいては有毒な代謝産物をもたらし得るオールトランスレチナールのような視覚サイクル生成物の過度の蓄積に結び付くロドプシン活性化を防止するために、必要により用量設定することができる。こうした化合物は、オプシンのレチナール結合ポケットを縛ることにより、オールトランスレチナールを低減するために11−シスレチナールと競合し、過度のオールトランスレチナールの蓄積を防ぐことができる。即ち、本発明によって提供される化合物は、眼の中に11−シスレチナールが産生する酵素プロセスを直接的に抑制するのではないという長所を有する(即ち、レチナールの変性に寄与しない)。その代わり、オールトランスレチナールの生成が制限され、それによってA2Eの生成が低下する。最終的に、オプシンと結合してロドプシンを生成する11−シスレチナールの能力を制限することにより、とりわけ眼科手術の際のようなまぶしい光の刺激によって生じるロドプシン活性化もまた減少させ、起こり得る光細胞死を防止する。
光受容細胞の視覚色素タンパク質(オプシン)の誤局在化は、種々の眼系疾患や通常の老化によっても起こり得る。両者の場合において、誤局在化したオプシンの蓄積は、光受容細胞の生存能の低下をもたらす。時間とともに、この誤局在化したオプシンの蓄積は、桿体細胞と錐体細胞の死、網膜変性、及び視力低下をもたらす。本発明は、誤局在化したオプシンタンパク質に対して可逆的に及び/又は非共有結合的に結合し、適切な細胞内プロセシングとそのオプシンタンパク質の輸送を促進するオプシン結合物質に、誤局在化したオプシンタンパク質を接触させることにより、光受容細胞内の誤局在化したオプシンを修正する方法を提供することによって、この問題を解決する。この誤局在化の修正は、光受容細胞のストレスを軽減し、種々の視力疾患における生存能低下と死による光受容細胞の減少、通常の老化に伴う薄明かり視力や桿体系周辺視力の低下、中央の錐体系視力の低下、及び暗視力の低下を防止する。
1つの局面において、本発明は、式(1)の構造を有する化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物、並びにこれらの化合物の組成物を提供するものであり、
Figure 2017141279
ここで、A、R、R、及びX−Yは、別の箇所で規定する通りである。
関連する局面において、本発明は、オプシンタンパク質に本願で特定する化合物を接触させ、その接触がない場合に比較して視覚サイクル生成物の生成を抑制することを含む、視覚サイクル生成物の生成又は蓄積を抑制する方法に関する。
さらなる局面において、本発明は、哺乳類の眼の手術の際にロドプシン再生を防ぐことによって眼科手術に伴う光毒性を低減する、及び/又は光活性化の間にロドプシン生成を部分的に防止することによって有毒な視覚サイクル生成物の生成を防止する又は遅らせる方法に関し、それによって、湿性又は乾性のARMDのような視覚性生成物の蓄積に伴う眼症状の治療を提供する。
さらに別の局面において、本発明は、変異したオプシンタンパク質の適切な折り曲げと
輸送を修正する方法に関し、変異したオプシンタンパク質に、接触がない場合に比較してタンパク質の適切な三次元構造を安定化させる化合物を接触させることを含み、ここで、その化合物は、式(1)の構造を有し、その化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物及び水和物も含まれる。
1つの態様において、リガンドが、オプシンに対して可逆的又は非共有結合的に、選択的に結合する。別の態様において、リガンドが、オプシンタンパク質の11−シスレチナール結合ポケット又はその近くに結合する。さらに別の態様において、リガンドの存在下で11−シスレチナールがオプシンタンパク質に接触したとき、リガンドは、オプシンタンパク質に対する11−シスレチナールの共有結合を抑制する又は遅らせるように、オプシンタンパク質に結合する。さらに別の態様において、リガンドは、オプシンタンパク質のレチナール結合ポケットのオプシンに結合する、又はオプシンのレチナール結合ポケットに対する11−シスレチナールの結合を分断する。さらに別の態様において、リガンドは、オプシンタンパク質に対する11−シスレチナールの有結合を抑制するように、オプシンタンパク質に結合する。さらに別の態様において、哺乳類は人間である。
さらに別の態様において、湿性又は乾性のARMDの進行の遅延又は中断が、視覚サイクル生成物、例えば、リポフスチン又はN−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミン(A2E)のようなオールトランスレチナールから生成する視覚サイクル生成物のレベルの低下に関与する。さらに別の態様において、RPの進行の遅延又は中断が、変異したオプシンの折り曲げの修正に関与する。別の態様において、投与は、局所投与、局部投与(例えば、眼球内又は眼周囲の注射、又はインプラント)、又は全身投与(例えば、経口、注射)である。さらに別の態様において、光毒性は、眼科措置(例えば、眼科手術)に関与する。さらに別の態様において、投与は、眼科手術の前、途中、又はその後に行われる。
光受容細胞の視覚色素タンパク質(オプシン)の誤局在化は、種々の眼系疾患や通常の老化によっても起こり得る。こうした場合において、誤局在化したオプシンの蓄積は、光受容細胞の生存能の低下をもたらす。時間とともに、この誤局在化したオプシンの蓄積は、桿体細胞と錐体細胞の死、網膜変性、及び視力低下をもたらす。1つの局面において、本発明は、光受容細胞内の誤局在化したオプシンを修正する方法を提供し、この方法は、誤局在化したオプシンタンパク質に対して可逆的に及び/又は非共有結合的に結合し、適切な細胞内プロセシングとそのオプシンタンパク質の輸送を促進するオプシン結合物質に、その誤局在化したオプシンタンパク質を接触させることを含む。この誤局在化の修正は、光受容細胞のストレスを軽減し、種々の視力疾患における生存能低下と死による光受容細胞の減少、通常の老化に伴う薄明かり視力や桿体系周辺視力の低下、中央の錐体系視力の低下、及び暗視力の低下を防止する。
種々の態様において、眼タンパク質の誤局在化疾病は、湿性又は乾性の黄斑変性症、網膜色素変性症、網膜又は黄斑ジストロフィー、スタルガルト病、ソルスビージストロフィー、常染色優性ドルーゼ、ベストジストロフィー、黄斑ジストロフィーが関わるペリフェリン変異、優位型スタルガルト病、ノースカロライナ黄斑ジストロフィー、光毒性、網膜色素変性症、老化による通常の視力低下、及び老化による通常の暗視力低下、の任意の1種又はそれ以上である。
さらに別の態様において、本方法は、哺乳類好ましくは人間に、プロテアソーム阻害剤、自己貪食阻害剤、リソソーム阻害剤、ERからゴルジへのタンパク質輸送の阻害剤、HSP90シャペロン阻害剤、熱ショック応答活性剤、グリコシダーゼ阻害剤、及びヒストン脱アセチル化酵素阻害剤から選択された少なくとも1種の付加的薬剤の有効量を投与することをさらに含む。さらに別の態様において、オプシン結合性リガンドと付加的薬剤は
同時に投与される。
さらに別の態様において、オプシン結合性リガンドと付加的薬剤は、長期放出を与える組成物の中にそれぞれ取り込まれる。別の態様において、組成物は、ミクロスフェア、ナノスフェア、ナノエマルジョン、又はインプラントの一部である。別の態様において、組成物は、ミネラルサプリメント、少なくとも1種のステロイドのような抗炎症剤(例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベータメタゾン、ベダメタゾン、及びデキサメタゾンの1種又はそれ以上)、又は少なくとも1種の酸化防止剤の例えばビタミンA、ビタミンC、及びビタミンEを投与することをさらに含む。種々の態様において、オプシン結合性リガンド、抗炎症剤、及び/又は酸化防止剤は同時に投与される。
媒体(DMSO)のみの存在下での色素生成に対する、変異タンパク質産生の際に20μMのβ−イオノンで処理したP23Hオプシンからのレチナールでの処理後の500nm吸収色素の再生の増加を示す。
−定義−
本開示の全体を通して使用する以下の用語は、特段の記載がない限り、以下の意味を有するものと理解されたい。
光受容細胞の視覚色素タンパク質(例えば、オプシンとりわけヒトのオプシン)の「誤局在化」は、正常な又は適切な細胞部位には見られない合成タンパク質を意味する。
「薬理的シャペロン」は、タンパク質の折り畳み又は構造を変える仕方でタンパク質(通常は、誤って折り畳まれた又は折り畳まれていないタンパク質)と相互作用する小分子量の化合物を示す。こうした相互作用は、タンパク質の細胞内運命に様々な結果を与えることができ、限定されるものではないが、機能タンパク質の高い安定性や高いレベル、非機能タンパク質の高い安定性や高いレベル、又は機能もしくは非機能タンパク質の低い安定性や低いレベルをもたらすことができる。
「生産的シャペロン」は、タンパク質と相互作用すると増加したレベルの機能性タンパク質をもたらす薬理的シャペロンを示す。
「非生産的、破滅的、又は破壊的シャペロン」は、タンパク質(通常は、誤って折り畳まれた又は折り畳まれていないタンパク質)と相互作用して、この相互作用が、機能又は非機能タンパク質の低下した安定性及び/又は低下したレベルをもたらす薬理的シャペロンを示す。
「プロテアソーム阻害剤」は、ユビキチン化タンパク質の分解のようなプロテアソーム活性を低下させる化合物を意味する。
「自己貪食阻害剤」は、成分が位置する細胞によって細胞成分の分解を低下させる化合物を意味する。
「リソソーム阻害剤」は、リソソームによる巨大分子の細胞内消化を低下させる化合物を意味する。1つの態様において、リソソーム阻害剤は、リソソームのタンパク質分解活性を減少させる。
「ERゴルジタンパク質輸送の阻害剤」は、ER(小胞体)からゴルジ又はゴルジからERへのタンパク質の輸送を低下させる化合物を意味する。
「HSP90シャペロン阻害剤」は、熱ショックタンパク質90(HSP90)のシャペロン活性を低下させる化合物を意味する。1つの態様において、この阻害剤は、HSP90のATP/ADPポケットに対するタンパク質の結合を変化させる。
「熱ショック応答活性剤」は、熱ショック経過成分のシャペロン活性又は発現を高める化合物を意味する。熱ショック経過成分には、限定されるものではないが、HSP100、HSP90、HSP70、HASP60、HSP40、及び小さなHSPファミリーメンバーが挙げられる。
「グリコシダーゼ阻害剤」は、グリコシド結合を切断する酵素の活性を低下させる化合物を意味する。
「ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤」は、ヒストンを脱アセチル化する酵素の活性を低下させる化合物を意味する。
「低下させる」又は「増加させる」は、それぞれ負又は正の変化を意味する。特定の態様において、この変化は、オプシン結合性リガンドの存在なしに生成されたタンパク質の初期レベルの少なくとも約10%、25%、50%、75%、又は100%である。
本願における用語「野生型構造」は、そのアミノ酸配列の変異がないタンパク質の三次元構造又は形状を示す。オプシンについて、本用語は、変異表示P23H(N末端から出発して残基23でプロリンがヒスチジンに置換されたことを意味する)のようなミスファイリングを生じる変異のないタンパク質を意味する。「野生型構造」のオプシンは、限定されるものではないが、レチノイド結合、視覚サイクル機能、及び光受容膜への挿入などのオプシンの生物学的機能が可能である。
「薬剤」は、小さな化合物(「化合物」とも称する)、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又はこれらの断片を意味する。化合物と薬剤の用語は、特定の薬剤又は化合物について特に記載がなければ、互換可能に使用される。
タンパク質の「構造を修正する」は、野生型タンパク質に関連する少なくとも1種の生物活性を有する構造をタンパク質が取るように誘導することを意味する。
「誤って折り畳まれた(ミスフォールディングされた)オプシンタンパク質」は、その三次構造が野生型タンパク質の構造と異なるタンパク質を意味し、例えば、誤って折り畳まれたタンパク質は、野生型タンパク質に関連する1種又はそれ以上の生物活性が欠落している。
「選択的に結合する」は、オプシンのような本発明のポリペプチドを認識して結合する化合物を意味するが、この化合物は、あるサンプル、例えば、生物サンプル中のとりわけオプシンではないポリペプチドのような他の分子を、実質的に認識して結合することはない。
「有効量」又は「治療的有効量」は、細胞、組織、器官、又は患者に生理的効果を発揮するのに十分な薬剤のレベルを意味する。本願での用語は、所望の結果を達成するため、本発明の方法に効果のある十分な量である。
「薬理的シャペロン」は、接触すると、その分子が存在しない場合よりも、野生型タンパク質のようにはるかに高い作用と機能をするといった、変異タンパク質がタンパク質の適正な折り畳みを促進して安定化することができる分子を意味する。
「対照」は標準状態を意味する。例えば、本発明の薬剤に接触した細胞をその薬剤に接触していない対応する細胞と比較する場合、後者が「対照」又は「対照の」細胞である。
「治療する」は、疾患、好ましくは、RP、AMD、及び/又は光毒性のような眼疾患の発生又は進行を低下、抑制、減衰、減退、停止、又は安定化させることを意味する。
「防止する」は、対象者が、症状、疾患、又は障害、好ましくは、RP、AMD、及び/又は光毒性のような眼疾患を発生する危険を低下させることを意味する。
「結合を競合する」は、本発明の化合物と内因性リガンドが、標的に同時に結合できないことを意味する。競合的結合を測定する評価は、当該技術分野で公知であり、本発明の化合物と内因性リガンドの結合の用量依存的阻害の測定が挙げられ、例えば、t1/2の測定による。
「薬学的に許容される塩」は、本発明の1つの化合物の酸性基又は塩基性基から形成される塩である。代表的な塩には、限定されるものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、過クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パルトテン酸塩、酸性酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカル酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタスルホン酸塩、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、及びパモエート(即ち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩が挙げられる。
また、用語「薬学的に許容される塩」は、カルボン酸官能基のような酸性官能基を有する本発明の化合物と、薬学的に許容される無機又は有機塩基から調製された塩を示す。適切な塩基には、限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、及びリチウムのようなアルカリ金属の水酸化物;カルシウムやマグネシウムのようなアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムや亜鉛のような他の金属の水酸化物;アンモニア;非置換又はヒドロキシ置換されたモノ、ジ、もしくはトリアルキルアミンのような有機アミン類;ジシクロヘキシルアニン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル−N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ−、ビス−、もしくはトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン)、例えば、モノ−、ビス−、もしくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)−アミン、2−ヒドロキシ−t−ブチルアミン、もしくはトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)アミン、例えば、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、もしくはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン;N−メチル−D−グルカミン;及びアルギニンのようなアミノ酸類などが挙げられる。
また、用語「薬学的に許容される塩」は、本願で開示の化合物から調製された塩を指称し、例えば、アミノ酸官能基のような塩基性官能基を有する実施例1の化合物、及び薬学的に許容される無機又は有機酸の塩が挙げられる。適切な酸には、限定されるものではないが、硫酸水素、クエン酸、酢酸、シュウ酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硝酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルカル酸、糖酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、メタスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホ
ン酸が挙げられる。
本願における用語「薬学的に許容される賦形剤」は、1つ又はそれ以上の適合性のある固体又は液体のチラー、又はヒトに投与するのに適する希釈剤もしくはカプセル化物質を意味する。用語「賦形剤」には、薬学的組成物に添加して、化合物の投与をさらに容易にする不活性物質が含まれる。賦形剤の例には、限定されるものではないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類とデンプン類、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
用語「担体」は、天然又は合成の、活性成分と組み合わされて投与を容易にする有機又は無機成分を示す。
用語「非経口」には、皮下、くも膜下腔内、静脈内、筋肉内、腹腔内、又は点滴が挙げられる。
用語「視覚サイクル生成物」は、視覚サイクルの1つ又はそれ以上の反応の自然生成物として生成した化学物質を示す(反応サイクルは、オプシンタンパク質が11−シスレチナールと結合してロドプシンを形成し、これが光インパルスを受けて11−シスレチナールをオールトランスレチナールに変化させた後、分子から遊離してオプシンタンパク質を再生し、次いで新たな11−シスレチナールの結合によりロドプシンを再生する)。こうした視覚サイクル生成物には、限定されるものではないが、オールトランスレチナール、リポフスチン、及びA2Eが挙げられる。
用語「光毒性」は、視覚サイクル生成物の産生及び/又は蓄積に伴う、関与する、又はそれによって生じる、視力を冒す状態を示す。視覚サイクル生成物には、限定されるものではないが、オールトランスレチナール、リポフスチン、及びA2Eが挙げられる。1つの特定の態様において、光毒性は、多量の光又は非常に高い光強度に関係し、例えば、網膜の外科手術の際に起きる。
用語「オプシン」は、オプシンタンパク質、好ましくは哺乳類のオプシンタンパク質、最も好ましくはヒトのオプシンタンパク質を示す。1つの態様において、オプシンタンパク質は、野生型の(即ち、生理的に活性な)構造である。生理的活性の1つの評価方法は、11−シスレチナールに結合して活性ロドプシンを生成するオプシンの性能を分析することである。したがって、通常は誤って折り畳まれたP23H変異体のような変異オプシンは、11−シスレチナールに結合する能力が低く、ロドプシンを少ししか又は全く生成しない。変異オプシンの構造が修正されると(例えば、薬理的シャペロンに結合して)、オプシンは、その構造が非変異オプシンの構造と同じ又は実質的に同じであるように、桿体細胞膜に正しく挿入される。このことは、変異オプシンが11−シスレチナールと結合して活性ロドプシンを形成することを可能にする。したがって、本発明の方法は、視覚サイクル生成物の生成を抑える作用をする。
「アルキル」は、別な化学基と置換され得る炭素原子の連続した非環状鎖を示す。これは、枝分かれしても枝分かれしていなくても、置換されても置換されていなくてもよい。
「低級アルキル」は、1〜10の炭素原子、好ましくは1〜8の炭素原子、より好ましくは1〜6の炭素原子を含む分岐鎖又は直鎖の非環式アルキル基を示す。低級アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソアミル、ヘキシル、及びオクチルが挙げられる。
「ヒドロキシ」は−OHを示す。「オキシ」は−O−を示す。「オキソ」は=Oを示す。
「有機酸」は、少なくとも1つの炭素原子と、塩基性基にプロトンを放出することができる1つ又はそれ以上の官能基を有する化合物を示す。有機酸は、好ましくは、カルボキシル、スルホン酸、又はリン酸の部分を有する。有機酸の例には、酢酸、安息香酸、クエン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸、タウロコール酸、クロルドロニック酸、グリホスフェート、及びメドロン酸が挙げられる。
「無機酸」は、少なくとも1つの炭素原子を有さずに、塩基性基にプロトンを放出することができる化合物を示す。無機酸の例には、塩酸、硫酸、硝酸、及びリン酸が挙げられる。
「有機塩基」は、酸性基からプロトンを受容することができる1つ又はそれ以上の官能基を有する炭素含有化合物を示す。有機塩基は、好ましくは、アミン基を含む。有機塩基の例には、トリエチルアミン、ベンジルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、イミダゾール、ピリジン、及びピリリジンが挙げられる。
「独立して選択された」基は、全て同じ置換を呈しなくてもよい同じ構造に存在する基である。例えば、2つの置換基がNORと示されて、各々のRが、H、メチル、エチル等から独立して選択されると記載されている場合、1つのRがメチルのときは、もう1つのRはメチルでもよいが、H又はエチル(又は別な記載の置換)でもよいことを意味する。
本発明の方法に使用されるある化合物は、1つ又はそれ以上のキラル中心を有することができ、このためエナンチオマー型又はジアステレオマー型で存在することができる。本発明の範囲は、本質的にすべての異性体の使用に及ぶものであり、さらに、シスとトランスの異性体の混合物、ジアステレオマーの混合物、エナンチオマー(光学異性体)のラセミ混合物にも及ぶものである。さらに、周知の技術を用いて種々の形態を分離することもでき、本発明のいくつかの態様は、所与のエナンチオマー又はジアステレオマーの高純度又は高濃度の種類であることもできる。
「薬学的組成物」は、本願で記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の1つ又はそれ以上と、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤のような別の化学成分との混合物を示す。薬学的組成物の目的は、生命体に対する化合物の投与を容易にすることである。
本願における用語「薬学的に許容される担体」は、目的とする薬剤を1つの器官又は体の一部から別の器官又は体の一部に搬送又は輸送するのに関与する、液体又は固体フィラー、希釈剤、賦形剤、溶媒、又は封入材料などの薬学的に許容される物質、組成物、又は媒体を意味する。各々の担体は、製剤の別な成分と適合し、患者に有害ではないという意味で「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体として機能を果たし得る物質の例には、乳糖、ブドウ糖、及びサッカロースのような糖類;コーンスターチやポテトスターチのようなデンプン類;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースのようなセルロース及びその誘導体;粉末状トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバターや座薬ワックスのような賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブオイル、コーンオイル、及び大豆油のようなオイル類;プロピレングリコールなどのグリコール類;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール類;オレイン酸エチルやラウリン酸エチルのようなエステル類;寒天;水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;発熱性物質除去蒸留水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコー
ル;リン酸緩衝液;並びに、薬学的製剤に採用される別な非毒性の適合性物質が挙げられる。生理的に許容される担体は、生命体に大きな炎症を起こさせたり、投与される化合物の生物活性や特性を損なうものではならない。
「溶媒和物」は、溶質(例えば、メタロプロテアーゼ阻害剤)と溶媒(例えば、水)の組み合わせによって生じる複合体である。「ホーニング等著、The Van Nostrand Chemist’s Dictionary、650頁(1953)」を参照されたい。
用語「光学異性体」、「幾何異性体」(例、シス及び/又はトランス異性体)、「立体異性体」、及び「ジアステレオマー」は、定説の意味を有する(例えば、「Hawley’s Condensed Chemical Dictionary、第11版」を参照されたい)。本発明の化合物の特定の保護形態や他の誘導体の説明は、限定的なものではない。別の有用な保護のための基、塩の形態、プロドラッグ等の適用は、当業者の能力の範囲内である。
「プロドラッグ」は、活性又は十分な活性の薬理作用のある物質になる前に、代謝過程による化学的変化を受けなければならない形態の薬剤である。プロドラッグは、消化もしくは吸収される又は別の投与される形態で、活性が無い又は少ない。例えば、プロドラッグは、消化器系でバクテリアによって分解され、それらの少なくとも1つが薬剤として活性な生成物になる。あるいは、静脈注射などによって全身投与された後、代謝されて1種又はそれ以上の分子になることでもよい。
[発明の詳細な説明]
本発明によると、特定の小分子リガンドが、オプシンタンパク質に非共有結合的に可逆的に結合し、オプシンのレチナール結合ポケットに対する11−シスレチナールの結合を抑制できることが見出された。レチナール結合に対するこうした妨害は、オールトランスレチナールのような視覚サイクル生成物の産生を抑制し、それによって、リポフスチンやA2Eのような化合物の産生を阻害し、これらの物質の蓄積から生じ得る毒性の危険や発生の低下をもたらす。薬理的シャペロンとして作用するこうした化合物は、RPに伴う変異オプシンの適正な折り畳みと輸送を促進することもできる。さらに、11−シスレチナール結合とロドプシン生成を抑制することにより、とりわけ網膜手術の際のまぶしい光に網膜を曝すことによって生じるロドプシンの過度の蓄積と結果的な活性化による光細胞の死を低減する。
特定の合成レチノイド類(レチノール(ビタミンAアルコール)に構造的に関係する化合物)は、オプシンに結合することが報告されている。本発明の態様において、非レチノイドの小分子(約1000ダルトン未満、800未満、600未満、500未満、400未満、又は約300ダルトン未満の分子量を有する化合物)は、オプシンに結合することが見出されている。
本発明は、視覚サイクル生成物の生成とこうした生成物のインビボにおける蓄積に伴う有毒性を低減し、過度なロドプシン活性化に伴う細胞自然死事象の可能性を低減すると同時に、RPに伴う変異オプシンタンパク質の異常なプロセシングと輸送による桿体細胞の死を防止するのに有用な組成物と方法を特徴とする。
光受容細胞の視覚色素タンパク質(オプシン)の誤局在化は、種々の眼系疾患や通常の老化によっても起こり得る。こうした場合において、誤局在化したオプシンの蓄積は、光受容細胞の生存能の低下をもたらす。時間とともに、この誤局在化したオプシンの蓄積は、桿体細胞と錐体細胞の死、網膜変性、及び視力低下をもたらす。
1つの局面において、本発明は、誤局在化したオプシンタンパク質に対して可逆的に及び/又は非共有結合的に結合するオプシン結合性薬剤に、誤局在化したオプシンタンパク質を接触させることを含み、それによってオプシンタンパク質の正しい細胞内のプロセシングと輸送を促進する、光受容細胞内の誤局在化したオプシンを修正する方法を提供する。こうしたオプシン結合性薬剤は、「生産的シャペロン」と称される。
こうした誤局在化の修正は、光受容細胞のストレスを軽減し、種々の視力疾患における生存能低下と死による光受容細胞の減少、通常の老化に伴う薄明かり視力や桿体系周辺視力の低下、中央の錐体系視力の低下、及び暗視力の低下を防止する。
本発明のもう1つの局面において、オプシン結合性薬剤は、誤局在化したオプシンタンパク質の分解を促進する。このタイプのオプシン結合性薬剤は、「非生産的」、「破滅的」、又は「破壊的シャペロン」と称される。
こうした薬剤による誤局在化したオプシンの分解促進は、誤局在化したタンパク質の量を減少させ、それによって、光受容細胞のストレスを軽減し、視力疾患における光受容細胞の生存能低下と死を防止すると同時に、通常の老化に伴う薄明かり視力や桿体系周辺視力の低下、中央の錐体系視力の低下、及び暗視力の低下を防止する。
上述の態様において、眼タンパク質の誤局在化疾病は、湿性又は乾性の黄斑変性症、網膜色素変性症、網膜又は黄斑ジストロフィー、スタルガルト病、ソルスビージストロフィー、常染色優性ドルーゼ、ベストジストロフィー、黄斑ジストロフィーが関わるペリフェリン変異、優位型スタルガルト病、ノースカロライナ黄斑ジストロフィー、光毒性、網膜色素変性症、老化による通常の視力低下、及び老化による通常の暗視力低下、の1種又はそれ以上である。
オプシン、視力に関与するGPCR(Gンパク質共役受容体)は容易に再生し、11−シスレチナールとともに視覚色素ロドプシンを生成する。この色素は、11−シスレチナールのアルデヒド基とオプシンのL−リジンのε−アミノ基の間のプロトン化シッフ塩基の形成によって生成される(マツモト、ヨシザワ著、ネイチャー、1975年12月11日、258(5535):523−6)。
即ち、本発明は、野生型の変異オプシンと結合し、11−シスレチナールと競合してオプシンと結合してロドプシンを形成するのを防止し、それにより11−シスレチナール及びその他の視覚サイクル生成物の形成を阻害する、小分子化合物の組成物と使用方法を提供する。
1つの態様において、本発明は、式(1)のオプシン結合性リガンド、及びその薬学的に許容される塩を提供し、
Figure 2017141279
ここで、Aは、1)又は2)であり、
Figure 2017141279
とRは、独立して、1)水素、2)−CH、又は3)−CHCHであり;
は、1)水素、2)−CH、3)−CHCH、又は4)重陽子であり;
は、1)水素、2)−CH、又は3)重陽子であり;
とRは、それぞれ独立して、1)水素、又は2)−CHであり;
Tは、1)CH、2)CHCH、又は3)無しであり;
とRは、それぞれ独立して、1)水素、2)ヒドロキシル、又は3)低級アルキルであり;
とRは、統合するとオキソ(=O)であり;
X−Yは、1)−N(CONH)−CH−、又は2)−CH−N(CONH)−である。
好ましい態様において、本化合物は、式(1)の構造を有し、RはヒドロキシでRは水素又は低級アルキルであり、RとRは、それぞれ独立して、メチル又はエチルであり、RとRは、それぞれ水素又はメチルから選択され、より好ましくは、RはヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRの双方がメチルであり、RとRの双方が水素であり、Rは水素又はメチルであり、最も好ましくは、R、R、及びRは、それぞれメチルであり、Rはヒドロキシで、Rは水素又はメチルであり、RとRの双方が水素であり、X−Yは−N(CONH)−CH−である。
特定の態様において、式(1)のオプシン結合性化合物は、下記の化合物(その薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物を含む)である(化合物の各々の番号は、それらが調製された実施例の番号に対応する):
6−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物1);
6−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物2);
6−((S)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物3);
6−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物4);
6−((R)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物5)

7−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物6);
7−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物7);
6−(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物8);
6−(ヒドロキシ(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物9);
6−(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物10);
6−(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物11);
6−((7,7−ジメチル−1−シクロヘプテニル)(ヒドロキシ)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物12);
6−((R)−1−ヒドロキシ−1−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)エチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物13);及び
6−(ヒドロキシ(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物14)。
いずれの化合物の名称も、ケムバイオドロー11.0.1を用いて導き出し、キラルなアルデヒド類又はケトン類に付加して得られる生成物の新たなキラル中心の立体化学は、不斉誘導のクラム則に基づいて命名した(クラム、エルハフェツ著、J.Am.Chem.Soc.74:5828−5835(1952))。
本発明の化合物及び該化合物を用いる方法の特に好ましい例は、化合物2、3、及び5、並びに、これらの薬学的に許容される全ての塩、溶媒和物、及び水和物からなる群の1つ又はそれ以上から選択された化合物を含む。
また、本発明は、式(1)の化合物(その薬学的に許容される塩、水和物及び溶媒和物を含む)の治療的有効量を含む治療組成物を提供する。
Figure 2017141279
ここで、Aは、1)又は2)であり、
Figure 2017141279
とRは、独立して、1)水素、2)−CH、又は3)−CHCHであり;
は、1)水素、2)−CH、3)−CHCH、又は4)重陽子であり;
は、1)水素、2)−CH、又は3)重陽子であり;
とRは、それぞれ独立して、1)水素、又は2)−CHであり;
Tは、1)CH、2)CHCH、又は3)無しであり;
とRは、それぞれ独立して、1)水素、2)ヒドロキシル、又は3)低級アルキルであり;
とRは、統合するとオキソ(=O)であり;
X−Yは、1)−N(CONH)−CH−、又は2)−CH−N(CONH)−である。
好ましい態様において、本発明の化合物と組成物は式(1)の態様を含み、ここで、RはヒドロキシでRは水素又は低級アルキルであり、RとRは、それぞれ独立して、メチル又はエチルであり、RとRは水素又はメチルであり、RとRはそれぞれ独立してメチル又はエチルである又はこれらの組み合わせである。1つのこうした好ましい態様において、RはヒドロキシでRは水素又は低級アルキルであり、RとRは、それぞれ独立して、メチル又はエチルであり、RとRは水素又はメチルである。
好ましい態様において、本発明の化合物と組成物は式(1)の態様を含み、ここで、RはヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRはそれぞれメチルであり、RとRはそれぞれ水素であり、Rは水素又はメチルであり、又はこれらの組み合わせである。1つのこうした好ましい態様において、RはヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRはそれぞれメチルであり、RとRはそれぞれ水素であり、Rは水素又はメチルである。
好ましい態様において、本発明の化合物と組成物は式(1)の態様を含み、ここで、R、R、及びRはそれぞれメチルであり、RはヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRはそれぞれ水素であり、X−Yは−N(CONH)−CH−である。1つのこうした好ましい態様において、R、R、及びRはメチルであり、RはヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRの双方が水素であり、X−Yは−N(CONH)−CH−である。
もう1つの好ましい態様において、本発明は、以下より成る群から選択された化合物(そのすべての薬学的に許容される塩、水和物、又は、溶媒和物を含む)の治療的有効量を含む組成物を提供する。
6−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物1);
6−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物2);
6−((S)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物3);
6−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物4);
6−((R)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物5);
7−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物6);
7−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物7);
6−(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物8);
6−(ヒドロキシ(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物9);
6−(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物10);
6−(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物11);
6−((7,7−ジメチル−1−シクロヘプテニル)(ヒドロキシ)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物12);
6−((R)−1−ヒドロキシ−1−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)エチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物13);
6−(ヒドロキシ(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物14);
さらに好ましい態様において、本発明は、化合物2、3、及び5、並びにこれらのすべての薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物からなる群より選択された化合物の治療的有効量を含む組成物を提供する。
本発明のもう1つの態様は、オプシン結合性化合物のオプシン結合性リガンド代謝体を提供する。これらの代謝体には、限定されるものではないが、オプシン結合性化合物及びオプシン化合物の、分解生成物、加水分解生成物、グルクロニド付加物など、及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。
本発明のもう1つの態様は、本発明の新規な化合物の製造プロセス、及びそのプロセスに有用な中間物を提供する。反応は、試薬に適合する溶媒中で行われ、使用される材料は変化をもたらすのに適するものである。有機合成の当業者は、分子に存在する官能性が提案の化学変換に調和しなければならないことを理解する。このことは、場合により、合成工程の順序、必要な保護基、及び脱保護条件について専門家の判断が必要と考えられる。
出発物質の置換基が、記載のある方法に必要なある反応条件と適合しないことがあり得るが、代替の方法や反応条件に適合する置換基は、当業者は容易に理解されると考えられる。合成工程の間の不都合な反応からチオール、アミノ、及びアルコール基を保護するための、硫黄、窒素、及び酸素保護基の使用はよく知られており、多くの保護基が知られ、例えば、「グリーン、ウッツ著、有機合成の保護基、第3版、ジョンウイリー・アンド・ソンズ、ニューヨーク(1999)」に記載されている。
1つ又はそれ以上の不斉炭素原子を有する本発明の化合物は、光学的純粋エナンチオマー、純粋ジアステレオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、エナンチオマーのラセミ混合物、ジアステレオマーのラセミ化合物、又はジアステレオマーのラセミ化合物の混合物として存在することができる。こうした異性体とそれらの混合物は、いずれも本発明の範囲に含まれるものと理解すべきである。
本願に記載の化学反応は、一般に、本発明の化合物を調製するのに最も広い適用法に関して開示している。場合により、この記載の反応は、開示範囲に含まれる個々の化合物には適応しないことがあり得る。こうしたことが起こる化合物は、当業者に容易に認識されると考えられる。こうした場合はいずれも、当業者に知られる通常の改良によって反応を首尾よく行うことができ、例えば、妨害する基の適切な保護、別の通常試薬に交換、反応条件の一般的改良、又は本願に開示の別な反応又はその他の通常の反応が、本発明の対応する化合物の調製に適用可能と考えられる。いずれの調製方法においても、出発物質はいずれも公知であるか、又は公知の出発物質から容易に調製することができる。
−本発明の方法−
本発明は、有毒な視覚サイクル生成物の生成を低減するために式(1)の化合物の使用方法を提供するものであり、オプシンタンパク質に可逆的に結合する小分子リガンドにオプシンタンパク質を接触させて結合ポケットに結合する11−シスレチナールを抑制することを含み、それによって、湿性又は乾性のARMDに関与する有毒な視覚サイクル生成物の生成を抑制し、まぶしい光の刺激によって生じる過度のロドプシン活性に伴う光細胞アポトーシスを低減させる。
また、本発明は、哺乳類における光毒性の治療、防止、又は危険低下のために式(1)の化合物を使用する方法を提供するものであり、視覚サイクル生成物又は自然死光細胞の生成又は蓄積に関連する眼疾患を発症する恐れのある哺乳類に投与することを含む。
また、本発明は、哺乳類における光毒性の治療、防止、又は危険低下のために式(1)の化合物を使用する方法を提供するものであり、視覚サイクル生成物又は自然死光細胞の生成又は蓄積に関連する眼疾患を発症する恐れのある哺乳類に、例えば、その哺乳類の眼に存在するオプシンタンパク質に可逆的に結合する(例えば、レチナール結合性ポケット又はその近くに)小分子リガンドの有効量を投与して、結合ポケットに結合する11−シスレチナールを抑制することを含み、それによって、光毒性と光細胞アポトーシスを低減させる。
また、本発明は、哺乳類におけるRPの治療、防止、又は危険低下のために式(1)の化合物を使用する方法を提供するものであり、変異オプシンの不適正な折り畳みや輸送に関連するRPの恐れのある哺乳類に、例えば、その哺乳類の眼に存在するオプシンタンパク質に可逆的に結合する(例えば、レチナール結合性ポケット又はその近くに)小分子リガンドの有効量を投与して、結合ポケットに結合する11−シスレチナールを抑制することを含み、それによって、RPによって生じる視力低下を低減させる。
こうした特定の例の方法において、11−シスレチナールがオプシンタンパク質に接触
し、小分子リガンドが存在する及び/又は哺乳類がヒトの場合、小分子リガンドは、オプシンに対する結合に選択的であり、及び/又は小分子リガンドは、そのオプシンタンパク質のレチナール結合性ポケットのオプシンに結合し、及び/又は小分子リガンドは、そのオプシンタンパク質に対する11−シスレチナールの共有結合を阻害するようにそのオプシンタンパク質に結合する。
1つの態様において、本発明は、式(1)の化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物及び水和物を含む)とオプシンタンパク質とを接触させることを含む、視覚サイクル生成物の形成又は蓄積を阻害する方法を提供する。
Figure 2017141279
ここで、Aは、1)又は2)であり、
Figure 2017141279
とRは、独立して、1)水素、2)−CH、又は3)−CHCHであり;
は、1)水素、2)−CH、3)−CHCH、又は4)重陽子であり;
は、1)水素、2)−CH、又は3)重陽子であり;
とRは、それぞれ独立して、1)水素、又は2)−CHであり;
Tは、1)CH、2)CHCH、又は3)無しであり;
とRは、それぞれ独立して、1)水素、2)ヒドロキシル、又は3)低級アルキルであり;
とRは、統合するとオキソ(=O)であり;
X−Yは、1)−N(CONH)−CH−、又は2)−CH−N(CONH)−である;
本方法の好ましい態様において、該視覚サイクル生成物は有毒な視覚サイクル生成物であり、例えば、該有毒な視覚サイクル生成物は、リポフスチン又はN−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミン(A2E)である。
もう1つの態様において、本発明は、式(1)の化合物の有効量を対象に投与することを含む眼疾患又はその恐れのある対象の治療又は予防方法を提供し、式(1)に関し、その構成基についての限定は上述の通りであり、すべての薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物が含まれる。
上記の好ましい態様は、該化合物が水素結合によって該オプシンタンパク質に結合することによるような、該化合物が該オプシンタンパク質の誤局在化を低減させる方法を含む。別の好ましい態様は、該オプシンタンパク質が、とりわけ錐体細胞又は桿体細胞のような細胞に存在することを含み、例えば、該細胞が哺乳類の眼に存在する。
上記方法の好ましい態様において、該眼疾患が、眼のタンパク質の誤局在化疾患であり、例えば、湿性又は乾性の老化による黄斑変性症(ARMD)、網膜色素変性症(RP)、網膜又は黄斑ジストロフィー、スタルガルト病、ソルスビージストロフィー、常染色優性ドルーゼ、ベストジストロフィー、黄斑ジストロフィーが関わるペリフェリン変異、優位型スタルガルト病、ノースカロライナ黄斑ジストロフィー、光毒性、老化による通常の視力低下、及び老化による通常の夜間視力低下からなる群より選択された1つである。
最も好ましい態様において、該眼疾患が網膜色素変性症(RP)であり、とりわけ該RPは、異常なオプシンフォールディングによって引き起こされる。
本発明の方法の好ましい態様において、本発明の方法に使用される化合物と組成物は式(1)の態様を含み、ここで、RはヒドロキシでRは水素又は低級アルキルであり、RとRは、それぞれ独立して、メチル又はエチルであり、RとRは水素又はメチルであり、あるいはこれらの組み合わせである。1つのこうした好ましい態様において、RはヒドロキシでRは水素又は低級アルキルであり、RとRは、それぞれ独立して、メチル又はエチルであり、RとRは水素又はメチルである。
本発明の方法の好ましい態様において、本発明の方法に使用される化合物と組成物は式(1)の態様を含み、ここで、RはヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRはそれぞれメチルであり、RとRはそれぞれ水素であり、Rは水素又はメチルであり、又はこれらの組み合わせである。1つのこうした好ましい態様において、RはヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRはそれぞれメチルであり、RとRはそれぞれ水素であり、Rは水素又はメチルである。
本発明の方法の好ましい態様において、本発明の方法に使用される化合物と組成物は式(1)の態様を含み、ここで、R、R、及びRはそれぞれメチルであり、RはヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRはそれぞれ水素であり、X−Yは−N(CONH)−CH−である。1つのこうした好ましい態様において、R、R、及びRはメチルであり、RはヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRの双方が水素であり、X−Yは−N(CONH)−CH−である。
1つの態様において、本発明は、下記より成る群から選択された化合物(そのすべての薬学的に許容される塩、溶媒和物、又は水和物を含む)とオプシンタンパク質とを接触させることを含む、視覚サイクル生成物の形成又は蓄積を阻害する方法を提供する。
6−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物1);
6−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物2);
6−((S)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル
)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物3);
6−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物4);
6−((R)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物5);
7−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物6);
7−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物7);
6−(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物8);
6−(ヒドロキシ(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物9);
6−(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物10);
6−(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物11);
6−((7,7−ジメチル−1−シクロヘプテニル)(ヒドロキシ)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物12);
6−((R)−1−ヒドロキシ−1−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)エチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物13);
6−(ヒドロキシ(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物14);
もう1つの好ましい態様において、本発明は、下記より成る群から選択された化合物(このすべての薬学的に許容される塩、溶媒和物、又は水和物を含む)の有効量を対象に投与することを含み、眼疾病を患う又はその恐れのある対象の治療又は予防方法を提供する。
6−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物1);
6−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物2);
6−((S)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物3);
6−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物4);
6−((R)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物5);
7−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物6);
7−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物7);
6−(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物8);
6−(ヒドロキシ(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテニル)メチル)−3,
4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物9);
6−(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物10);
6−(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物11);
6−((7,7−ジメチル−1−シクロヘプテニル)(ヒドロキシ)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物12);
6−((R)−1−ヒドロキシ−1−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)エチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物13);
6−(ヒドロキシ(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物14);
最も好ましい態様において、本発明は、視覚サイクル生成物の形成又は蓄積を阻害する方法を提供し、化合物2、3、及び5、並びにこれらのすべての薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物からなる群より選択された化合物をオプシンタンパク質に接触させることを含む。
もう1つの特に好ましい態様において、本発明は、眼疾病を患う又はその恐れのある対象の治療又は予防方法を提供し、化合物2、3、及び5、並びにこれらのすべての薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物からなる群より選択された化合物の有効量を対象に投与することを含む。
上記の方法にしたがうと、光毒性が、眼科措置例えば眼科手術に関与する。該薬剤は、眼科手術の前、途中、又はその後に投与することができる(又はこれらの時間の1回又はそれ以上)。
本発明の方法の特定の態様において、生来のオプシンタンパク質が、桿体細胞のような細胞、好ましくは哺乳類のより好ましくはヒトの細胞に存在する。特定の態様において、本発明の小分子リガンドは、オプシンの結合性ポケットにおける11−シスレチナールの結合を阻害して視覚サイクルを遅延させ、それによってオールトランスレチナール、又はリポフスチンもしくはN−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミン(A2E)のようなそれから生成される有毒な視覚サイクル生成物の生成を抑制する。あるいは、ロドプシン生成の抑制により、過度のロドプシン活性の結果として光細胞アポトーシスが低減又は防止される。さらに、RPに関連する変異オプシンタンパク質の不適正な折り畳み及び輸送が軽減される。
本発明の方法において、投与は、好ましくは、局所性投与(例えば、洗眼剤とともに)又は全身投与(経口、眼内注射、又は眼周囲の注射など)である。好ましい例として、治療される眼疾患は、例えば、網膜又は白内障の手術のような眼科手術による光毒性である。
また、薬学的に許容される担体中に、式(1)の化合物の有効量を含む眼科用組成物が包含され、この薬剤は、オプシンタンパク質に可逆的に結合して(例えば、レチナール結合性ポケット又はその近くに)そのポケットに11−シスレチナールが結合するのを阻害し、好ましくは、オプシンタンパク質に選択的な小分子リガンドが選択される。
本発明は、さらに、哺乳類の眼における光毒性を低減する小分子リガンドを特定するための選別法を提供するものであり、本方法は、
(a)11−シスレチナールが存在し、生来のオプシンタンパク質に対するテスト化合
物と11−シスレチナールの結合を促進する条件下で、生来のオプシンタンパク質をテスト化合物に接触させ、
(b)テスト化合物が存在しないときの速度に対する、ロドプシン生成速度の可逆的低下を測定する、
ことを含み、それによって、哺乳類の眼における光毒性を低減する小分子リガンドとしてのテスト化合物を特定する。好ましい態様において、そのテスト化合物は、本願に開示の化合物と構造的に関係する。
式(1)の化合物は、ミネラルサプリメントや抗炎症薬などの別な薬剤、例えば、コルチコステロイドのようなステロイド及び/又は酸化防止剤とともに投与してもよい。こうした投与に有用なコルチコステロイド類は、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベータメタゾン、ベクロメタゾン、及びデキサメタゾンからなる群より選択されるものが挙げられる。有用な酸化防止剤には、ビタミンA、ビタミンC、又はビタミンEが挙げられる。
また、本発明は、式(1)の化合物に加え、プロテアソーム阻害剤、自食作用阻害剤、リソソーム阻害剤、ERからゴルギへのタンパク質輸送の阻害剤、Hsp90シャペロン阻害剤、熱ショック応答活性剤、グリコシダーゼ阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤からなる群より選択された少なくとも1種の付加的薬剤を用いることにより光毒性を低減することを意図するものであり、小分子のオプシン結合性化合物と付加的化合物は、患者を治療するのに十分な量で、同時に又は相互に14日以内に投与される。
本発明の方法の特定の例において、式(1)の化合物と付加的化合物は、相互に10日以内に、相互に5日以内に、相互に24時間以内に投与され、好ましくは同時に投与される。1つの例において、小分子のオプシン結合性化合物と付加的化合物は、眼に直接投与される。この投与は、眼球内又はガラス質内であることができる。別の例において、小分子のオプシン結合性化合物と付加的化合物は、長期間の放出を与える組成物の中に含めることができ、例えば、その組成物を、ミクロスフェア、ナノスフェア、ナノエマルジョン、又はインプラントの一部にする。
上述のように、式(1)の化合物は、本発明の方法に使用され、単独で又は1種又はそれ以上の付加的化合物と組み合わせて使用し、例えば、眼の外科的処置による光毒性のような過度のロドプシン活性化に伴う症状を治療又は予防するのに有用である。1つの態様において、本発明の式(1)の化合物は、付加的な活性化合物なしに投与される。もう1つの態様において、本発明の式(1)の化合物は、もう1つの活性化合物と組み合わせて使用される(例えば、本願に記載のように)。さらにもう1つの例示の態様において、式(1)の化合物は、プロテアソーム阻害剤のMG132、自食作用阻害剤の3−メチルアデニン、リソソーム阻害剤の塩化アンモニウム、ER−ゴルギ輸送阻害剤のブレフェルジンA、Hsp90シャペロン阻害剤のゲルダナマイシン、熱ショック応答活性剤のセタストロール、グリコシダーゼ阻害剤、及びヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のスクリプトエイドと組み合わせて投与し、過度のロドプシン活性化による視覚サイクル生成物や細胞アポトーシスの生成を抑えるために使用することができる。
上述のように、式(1)の化合物は、本発明の方法に使用され、単独で又は1種又はそれ以上の付加的化合物と組み合わせて使用し、RPに由来する桿体細胞死に伴う変異オプシンタンパク質の異常なプロセシングと輸送を治療又は予防するのに有用である。1つの態様において、本発明の式(1)の化合物は、付加的な活性化合物なしに投与される。もう1つの態様において、本発明の式(1)の化合物は、もう1つの活性化合物と組み合わせて使用される(例えば、本願に記載のように)。さらにもう1つの例示の態様において、式(1)の化合物は、プロテアソーム阻害剤のMG132、自食作用阻害剤の3−メチ
ルアデニン、リソソーム阻害剤の塩化アンモニウム、ER−ゴルギ輸送阻害剤のブレフェルジンA、Hsp90シャペロン阻害剤のゲルダナマイシン、熱ショック応答活性剤のセタストロール、グリコシダーゼ阻害剤、及びヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のスクリプトエイドと組み合わせて投与し、RPに伴う桿体細胞死と結果的な失明を抑制又は防止するために使用することができる。
上述のように、式(1)の化合物は、本発明の方法に使用され、単独で又は1種又はそれ以上の付加的化合物と組み合わせて使用し、リポフスチンやA2Eのようなオールトランスレチナールに起因する有毒な視覚サイクル生成物の産生と蓄積に伴う症状、例えば、湿性又は乾性のARMDに伴う失明を治療又は予防するのに有用である。1つの態様において、本発明の式(1)の化合物は、付加的な活性化合物なしに投与される。もう1つの態様において、本発明の式(1)の化合物は、もう1つの活性化合物と組み合わせて使用される(例えば、本願に記載のように)。さらにもう1つの例示の態様において、式(1)の化合物は、プロテアソーム阻害剤のMG132、自食作用阻害剤の3−メチルアデニン、リソソーム阻害剤の塩化アンモニウム、ER−ゴルギ輸送阻害剤のブレフェルジンA、Hsp90シャペロン阻害剤のゲルダナマイシン、熱ショック応答活性剤のセタストロール、グリコシダーゼ阻害剤、及びヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のスクリプトエイドと組み合わせて投与し、ARMDに由来する有毒な視覚サイクル生成物の代謝体と光細胞死の生成を抑制するために使用することができる。
本発明の典型的な競合アッセイにおいて、オプシンタンパク質のレチナール結合性ポケットを縛る化合物が探索される。即ち、このアッセイは、11−シスレチナール又は9−シスレチナールのロドプシン又はイソロドプシンの形成と競合する又は妨げる小分子のオプシン結合性化合物(桿体細胞を入れる量について網膜により緊密に規制されないもの)を特定するために探索する。時間とともに、11−シスレチナールのみが存在するときの速度よりも、ロドプシン生成速度を遅くすると考えられる。1つの態様において、このアッセイは、11−シスレチナールの存在下で行われ、例えば、ロドプシンに特徴的な500nmのピークの増加率を測定することにより、ロドプシンの生成速度が、レチナール結合性ポケットに対する競合を測定する仕方で求められる。このアッセイには、ロドプシンの抗体は必要ない。有用な化合物は、テスト化合物が存在しないときに11−シスレチナールの存在下で観察された値の少なくとも約1/2から1/5のロドプシン生成速度を示すと考えられる。
本発明の方法の特定の態様において、誤って折り畳まれたオプシンタンパク質は、そのアミノ酸配列に変異を含み、例えば、T17M、P347S、R135W、P23Hの変異の1つであり、好ましくは、P23Hの変異である。
好ましくは、本発明のいずれの方法においても、オプシン結合性薬剤は、そのレチナール結合性ポケットでオプシンに結合する。
1つの局面において、本発明は、視覚サイクル生成物の生成又は蓄積を抑制する方法を提供し、オプシンタンパク質を、そのオプシンタンパク質の水和を低減させる化合物に接触させることを含み、好ましくは、その化合物は、オプシンへの結合について、1つ又はそれ以上の水分子と競合する。こうした方法の特定の態様において、その化合物は、例えば、水素結合を介してオプシンタンパク質と化学的に結合する。
オプシン結合性ポケットにおける水和を低減する手段としての本願に開示の化合物の使用は、こうした方法の好ましい態様と考えるべきであるが、ロドプシン生成の抑制による視覚サイクル生成物の生成の抑制は、こうした視覚サイクル生成物の生成とりわけリポフスチン及び/又はA2Eの産生を低減させる本発明の一般的方法であり、水和の抑制によ
る眼疾患の治療は、本発明の一般目標であって、必ずしも本願に開示の化合物の使用にのみ範囲を限定されるものではなく、本発明の方法に役立ってオプシンのレチナール結合性ポケットの水和(即ち、水の結合)を低減する限り、別の公知又は未公知の化合物の使用を含むものである。
留意すべきは、本発明の方法に使用する本願に開示の化合物が、オプシンのレチナール結合性ポケットにおける水和の低減に機能しなくても、本発明の方法の1つ又はそれ以上において、依然として機能し得ることである。例えば、式(1)の化合物は、タンパク質のアロステリック部位に結合することができ、それによって、水和を必ずしも低減することなくレチナールをレチナール結合性部位から排除するが、依然として、結合性ポケットからレチナールを排除するおかげでリポフスチン及び/又はA2Eのような視覚サイクル生成物の生成を抑制し、即ち、非共有結合的に視覚サイクルの活性を減少させる。
本発明の組成物と方法の態様において、オプシン結合性薬剤(例えば、非レチノイド結合性薬剤)は、オプシンに対する結合に選択的である。こうした選択性は、その薬剤が別なタンパク質と同時にオプシンにも結合するが、オプシンに対する結合が少なくとも選択的であり、オプシンに結合する結合定数(又は解離定数)が、レチナール類似体のようなレチノイド類にも結合する別なタンパク質への結合についての平均値よりも低い、といった排他性を必要とすると解釈すべきでない。好ましくは、オプシン結合性薬剤は、オプシンに非共有的に結合する非レチノイドのオプシン結合性薬剤である。好ましくは、オプシン結合性薬剤は、生来リガンドの11−シスレチナールが普通に結合するオプシンのレチナール結合性ポケット又はその付近に結合する。理論に束縛される意図はないが、1つの態様において、結合性ポケットは、レチナールと本発明の薬剤の両方ではない一方を受け入れる。したがって、本発明の薬剤がレチナール結合性ポケット又はその付近に結合する場合、11−シスレチナールのような別のレチノイド類はオプシンに結合できない。誤って折り畳まれたオプシン分子のレチナール結合性ポケットの内側の本発明の薬剤の結合は、オプシン分子の生来又は野生型構造の直接的形成又は正しく折り畳まれたオプシンタンパク質の安定化に役立ち、それによって、新たな正しく折り畳まれたオプシンの桿体細胞膜への挿入を促進する。ここでも理論に束縛される意図はないが、この挿入は、オプシンの野生型構造の維持を助長することができ、オプシン結合性薬剤は、結合性ポケットの外に自由に拡散し、すると直ぐに、そのポケットは、レチナールが感光性ロドプシンを形成する結合に利用可能となる。
本発明の別な方法は、低下した光受容体機能を引き起こす誤って折り畳まれたオプシンタンパク質を含む哺乳類の眼の光受容体機能を回復する手段を提供するものであり、その誤って折り畳まれたオプシンタンパク質を、レチナール結合性ポケット又はその付近に可逆的に結合する(例えば、非共有的に結合)オプシン結合性薬剤(例えば、非レチノイド)に接触させることを含む。別の態様において、誤って折り畳まれたオプシンタンパク質に対するオプシン結合性薬剤の結合は、その結合性ポケットに結合する11−シスレチナールと競合する。望ましくは、オプシン結合性薬剤の結合は、その誤って折り畳まれたオプシンタンパク質の生来の構造を回復させる。
好ましい態様において、哺乳類の眼はヒトの眼である。付加的な態様において、前記接触は、低下した光受容体機能を特徴とする症状のような眼疾患に悩む哺乳類に、前記オプシン結合性薬剤(例えば、非レチノイド系)を投与することによって生じる。種々の態様において、前記症状は、湿性又は乾性の黄斑変性症、糖尿病RP、網膜又は黄斑ジストロフィー、スタルガルト病、ソルスビージストロフィー、常染色優性ドルーゼ、ベストジストロフィー、黄斑ジストロフィーが関わるペリフェリン変異、優位型スタルガルト病、ノースカロライナ黄斑ジストロフィー、光毒性(例えば、網膜手術による)、又は網膜色素変性症である。前記投与は、局所性投与又は全身投与であることができ、全身投与には、
経口投与、眼内注射、又は眼周囲注射が挙げられる。局所性投与は、例えば、適切な薬学的担体に本発明の薬剤の有効量を含む点眼薬を挙げることができる。
もう1つの態様において、本発明はさらに、変異オプシンタンパク質を安定化させる方法を提供するものであり、その変異オプシンタンパク質に非共有的に可逆的に結合する(例えば、レチナール結合性ポケット又はその付近に)非レチノイド系オプシン結合性薬剤を、その変異オプシンタンパク質に接触させてその結合性ポケットのレチノイド結合を防ぎ、それによって、その変異オプシンタンパク質を安定化させる。
本発明はさらに、哺乳類の眼における光受容体機能の低下を寛解させる方法を提供するものであり、11−シスレチナールに対して低い親和性を有する変異オプシンタンパク質を患う哺乳類に、非レチノイド系のようなオプシン結合性薬剤の有効量を投与して、そのオプシン結合性薬剤をその変異オプシンのレチナール結合性ポケットに可逆的(例えば、非共有結合的)に結合させ、それによって、哺乳類の眼における光受容体機能の低下を寛解させる。1つの態様において、前記接触は、低い光受容体機能を患う哺乳類にオプシン結合性薬剤を投与することによって生じ、ここで、前記投与は、局所性投与又は全身投与であることができ、全身投与には、経口投与、眼内注射、又は眼周囲注射が挙げられ、局所性投与には、本発明の薬剤を含む点眼薬が挙げられる。こうした光受容体機能の低下は、部分喪失又は完全喪失であり、部分喪失の場合、1%低下から99%低下のどの程度でもよい。また、こうした喪失は、変異がP23H変異であるようなオプシンのミスフォールディングを生じる変異の存在によるものでもよい。もう1つの態様において、オプシン結合性薬剤は、オプシンタンパク質の誤局在化に関連する眼疾患を寛解させるために投与される。1つの態様において、本発明は、眼の光受容体細胞(例えば、桿体又は錐体細胞)に存在するオプシンの少なくとも一部が誤局在化した、老化による乾性の黄斑変性症を有する患者の治療を提供する。誤局在化したタンパク質は、その機能が視力に必要な光受容体細胞の膜の中に挿入することができない。誤局在化したオプシンタンパク質を有する患者へのオプシン結合性薬剤の投与は、オプシンの局在化を少なくとも部分的に救助する。したがって、本発明は、オプシンの誤局在化に関連する眼疾患の予防もしくは治療又はその症状の寛解に有用である。
本発明は、限定されるものではないが、ヒト患者などの対象における、湿性又は乾性の黄斑変性症、網膜色素変性、網膜又は黄斑ジストロフィー、スタルガルト病、ソルスビージストロフィー、常染色優性ドルーゼ、ベストジストロフィー、黄斑ジストロフィーが関わるペリフェリン変異、優位型スタルガルト病、ノースカロライナ黄斑ジストロフィー、光毒性(例えば、網膜手術による)、又は網膜色素変性症などの眼疾患を治療又は予防する方法を提供するものであり、オプシン結合性薬剤、例えば、本発明のスクリーニング検定の1種又はそれ以上でテストしたときに有益な活性を示す薬剤の治療的有効量を用いて、上記の症状の1種、又は誤って折り畳まれたもしくは誤局在化したオプシンタンパク質の発現に関係する別な眼疾患を患う又は発症の恐れのある患者に投与することを含む。
こうした方法は、患者に、プロテアソーム阻害剤、自食作用阻害剤、リソソーム阻害剤、ERからゴルギへのタンパク質輸送の阻害剤、Hsp90シャペロン阻害剤、熱ショック応答活性剤、グリコシダーゼ阻害剤、及びヒストン脱アセチル化酵素阻害剤からなる群より選択された少なくとも1種の付加的薬剤を投与することをさらに含むことができ、ここで、オプシン結合性化合物と付加的化合物は、患者を治療するのに十分な量で、同時に又は相互に14日以内に投与される。
ここでも同様に、患者はタンパク質の折り畳みを侵す変異を有してよく、その変異は、例えば、オプシンタンパク質におけるミスフォールディングを引き起こすP23H変異のような本願に記載の変異のいずれかであってよい。別の態様において、患者はオプシンタ
ンパク質の誤局在化に関連する眼疾患を有する。誤局在化したオプシンは、光受容体細胞(例えば、桿体又は錐体細胞)の膜の中に入り込むことができない。一般に、局在化におけるこの欠陥は、患者の眼細胞に存在するオプシンの一部にのみ影響すると考えられる。
本発明の方法の特定の例において、オプシン結合性化合物と付加的化合物は、相互に10日以内、より好ましくは相互に5日以内、さらに好ましくは相互に24時間以内、最も好ましくは同時に投与される。1つの例において、オプシン結合性化合物と付加的化合物は、眼に直接投与される。こうした投与は、眼球内であることができる。別の例において、オプシン結合性化合物と付加的化合物は、それぞれ長期間の放出を与える組成物の中に含めることができ、例えば、その組成物が、ミクロスフェア、ナノスフェア、又はナノエマルジョンの一部である。1つの例において、その組成物は、長期間の放出をもたらす薬剤搬送デバイスによって投与される。また、こうした方法は、本発明の薬剤とともにビタミンAサプリメントを投与することもできる。
上述のように、本発明の方法に有用なオプシン結合性薬剤は、湿性又は乾性の黄斑変性症、網膜色素変性、網膜又は黄斑ジストロフィー、スタルガルト病、ソルスビージストロフィー、常染色優性ドルーゼ、ベストジストロフィー、黄斑ジストロフィーが関わるペリフェリン変異、優位型スタルガルト病、ノースカロライナ黄斑ジストロフィー、光毒性(例えば、網膜手術による)、網膜色素変性症、又は他の誤って折り畳まれたもしくは誤局在化したオプシンタンパク質の発現に関連する眼疾患に関係する症状を治療又は予防するために、単独又は1種もしくはそれ以上の付加的化合物と組み合わせた使用に適用可能である。1つの態様において、本発明のオプシン結合性化合物(例えば、オプシンに共有結合しないレチノイド系又は非レチノイド系)は、こうした症状を有する又は発症する恐れがあると特定された患者に投与される。所望により、オプシン結合性化合物は、別の治療薬とともに投与される。もう1つの態様において、本発明の非レチノイド系のオプシン結合性化合物は、合成レチノイド(例えば、米国特許公開第2004−0242704号に開示)及び随意の別な活性化合物(例えば、本願に記載)と組み合わせて使用される。さらにもう1つの例示の態様において、オプシン結合性化合物は、プロテアソーム阻害剤のMG132、自食作用阻害剤の3−メチルアデニン、塩化アンモニウムのようなリソソーム阻害剤、ER−ゴルギ輸送阻害剤のブレフェルジンA、Hsp90シャペロン阻害剤のゲルダナマイシン、熱ショック応答活性剤のセタストロール、グリコシダーゼ阻害剤、及び/又はヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のスクリプトエイド、又は11−シスレチナールに作用してロドプシンの生成を可能にする生化学的機能構造の変異P23Hオプシンタンパク質を安定化させることができる別な薬剤と組み合わせて投与される。
特定の態様において、オプシン結合性化合物は、約1000ダルトン未満、800未満、600未満、500未満、400未満、又は約300ダルトン未満の分子量を有する非高分子(例えば、本発明の方法での使用について本願に開示のような小分子)の化合物である。ある態様において、本発明の化合物は、未処理の対照の細胞又はタンパク質に比較し、安定に折り畳まれた及び/又は複雑な変異タンパク質の量を(例えば、細胞から又は細胞中)、少なくとも10%、15%、20%、25%、50%、75%、又は100%にわたって増加する。
−プロテアソーム阻害剤−
26Sプロテアソームは、ユビキチン化タンパク質を短鎖ペプチドに切断する多触媒プロテアーゼである。MG−132は、使用し得るプロテアソーム阻害剤の1つである。MG−132は、光毒性及び他の視覚サイクル生成物の蓄積に関係する眼疾患(例えば、オールトランスレチナール、A2E、リポフスチン)、タンパク質凝集、又はタンパク質ミスフォールディングの治療に特に有用である。本発明の方法において併用されるその他のプロテアソーム阻害剤には、ラクトシスチン(LC)、クラスト−ラクトシスチン−ベー
タ−ラクトン、PSI(N−カルボベンゾイル−Ile−Glu−(OtBu)−Ala−Leu−CHO)、MG−132(N−カルボベンゾイル−Leu−Leu−Leu−CHO)、MG−115(N−カルボベンゾイル−Leu−Leu−Nva−CHO)、MG−101(N−Acetyl−Leu−Leu−norLeu−CHO)、ALLM(N-Acetyl−Leu−Leu−Met−CHO)、N−カルボベンゾイル−Gl
y−Pro−Phe−Ieu−CHO、N−カルボベンゾイル−Gly−Pro−Ala−Phe−CHO、N−カルボベンゾイル−Leu−Leu−Phe−CHO、並びにこれらの塩及び類似体が挙げられる。その他のプロテアソーム阻害剤及び用途は、米国特許第6492333号に記載されている。
−自食作用阻害剤−
自食作用は、細胞質における細胞成分の分解についての進化的保存メカニズムであり、飢餓細胞における細胞生存メカニズムとして有用である。自食作用の際、細胞質片が細胞膜に包まれ、最終的にリソソームと融合する自己貪食空胞を形成し、内容物が分解される。自食作用阻害剤は、本発明のオプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物と併用することができる。本発明の方法において併用される自食作用阻害剤には、限定されるものではないが、3−メチルアデニン、3−メチルアデノシン、アデノシン、オカダ酸、N−メルカプトプリンリボシド(N−MPR)、アミノチオール化アデノシン類似体、5−アミノ−4−イミダゾールカルボキシアミドリボシド(AICAR)、バフィロマイシンA1、並びにこれらの塩及び類似体が挙げられる。
−リソソーム阻害剤−
リソソームは、細胞タンパク質分解の主要な箇所である。受容体が介在する飲食作用又は飲作用による細胞侵入タンパク質の分解、及び原形質膜タンパク質の分解は、リソソームで起きる。塩化アンモニウム、ロイペプチン、トランス−エポキシサクシニル−L−ロイシルアミド−(4−グアニジノ)ブタン、L−メチオニンメチルエステル、メチルアミン、クロロキノン、並びにこれらの塩及び類似体などのリソソーム阻害剤が、本発明のオプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物と組み合わせて使用される。
−HSP90シャペロン阻害剤−
熱ショックタンパク90(Hsp90)は、細胞のシグナリング、増殖、及び生存に関連するタンパク質のシャペロニングに応答し、多くのタンパク質の構造的安定性と機能にとって極めて重要である。HSP−90阻害剤は、本発明の方法において、オプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物と組み合わせて使用される。HSP−90阻害剤には、Hsp90にとりわけ結合し、その機能を変化させ、基質タンパク質のタンパク質分解を促進するゲルダナマイシンと17−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)が挙げられる。その他のHSP−90阻害剤には、限定されるものではないが、ラディシコール、ノボビオシン、及びHsp90のATP/ADPポケットに結合する任意のHsp90阻害剤が挙げられる。
−熱ショック応答活性剤−
セラストロール、キノンメチドトリテルペンは、ヒトの熱ショック応答を活性化する。本発明の方法におけるオプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物と組み合わせて、セラストロール又は他の熱ショック応答活性剤は、PCDの治療に有用である。熱ショック応答活性剤には、限定されるものではないが、セラストロール、セラストロールメチルエステル、ジヒドロセラストロールジアセテート、セラストロールブチルエステル、ジヒドロセラストロール、及びこれらの塩又は類似体が挙げられる。
−ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤−
遺伝子発現の規制には、動的なアセチル化と脱アセチル化によるヒストンの翻訳後修飾
などのいくつかのメカニズムが介在する。可逆的なアセチル化と脱アセチル化のプロセスに応答する酵素は、それぞれヒストン・アセチルトランスフェラーゼ(HAT)とヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)である。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤には、スクリプトエイド、APHA化合物8、アピシジン、酪酸ナトリウム、(−)−デプデシン、サーチノール、トリクロスタチンA、及びこれらの塩又は類似体が挙げられる。こうした阻害剤は、本願で開示の方法における本発明の化合物と併用することができる。
−グリコシダーゼ阻害剤−
グリコシダーゼ阻害剤は、本発明のオプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物と組み合わせて使用されると、本発明の方法に有用な一群の化合物である。カスタノスペルミン、植物群から分離されるポリヒドロキシアルカロイドは、酵素のグリコシド加水分解を阻害する。カスタノスペルミンとその誘導体は、光毒性、又はRPのような眼のタンパク質構造疾病の治療に特に有用である。また、本発明の方法に有用なグリコシダーゼ阻害剤は、オーストラリン塩酸塩、6−アセトアミド−デオキシ−6−デオキシ−カスタノスペルミン(ヘキソスアミン酵素の強力な阻害剤)、デオキシフコノジリマイシン塩酸塩(DFJ7)、デオキシノジリマイシン(DNJ)(グリコシダーゼI・IIを阻害する)、デオキシガラクトノジリマイシン塩酸塩(DGJ)(α−D−ガラクトシダーゼを阻害する)、デオキシマンノジリマイシン塩酸塩(DM1)、2R,5R−ビス(ヒドロキシメチル)−3R,4R−ジヒドロキシピロリジン(DMDP)(2,5−ジデオキシ−2,5−イミノ−D−マンニトールとしても知られる)、1,4−ジデオキシ−1,4−イミノ−D−マンニトール塩酸塩、(3R,4R,5R,6R)−3,4,5,6−テトラヒドロキシアゼパン塩酸塩(b−N−アセチルグルコサミニダーゼを阻害する)、1,5−ジデオキシ−1,5−イミノ−キシリトール(β−グリコシダーゼを阻害する)、及びキフネンシン(マンノシダーゼ1の阻害剤)である。また、オプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物と組み合わせて有用なものは、N−ブチルデオキシノジリマイシン(EDNJ)、N−ノニルDNJ(NDND)、N−ヘキシルDNJ(I5TDNJ)、N−メチルデオキシノジリマイシン(MDNJ)、及び当該技術で公知のその他のグリコシダーゼ阻害剤である。グリコシダーゼ阻害剤類は、例えば、インダストリアル・リサーチ・リミティッド(ウェリントン、ニュージーランド州)から市販されていり、それらの使用方法は、例えば、米国特許第4894388号、同5043273号、同5103008号、同5844102号、及び同6831176号、並びに米国特許公開第2002−0006909号に記載されている。
−薬学的組成物−
本発明は、薬学的に許容される担体とともにある化合物を含む医薬品であって、その化合物が、11−シスレチナールから形成されるオールトランスレチナールその他の生成物のような視覚サイクル生成物の阻害を提供することを特徴とする。こうした医薬品は、治療と予防の双方の用途を有する。1つの態様において、本医薬組成物は、オプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物(例えば、実施例1の方法を用いて特定される化合物)又はその薬学的に許容される塩を含み、所望により、プロテアソーム阻害剤、自食作用阻害剤、リソソーム阻害剤、ERからゴルギへのタンパク質輸送の阻害剤、Hsp90シャペロン阻害剤、熱ショック応答活性剤、グリコシダーゼ阻害剤、又はヒストン脱アセチル化酵素阻害である少なくとも1種の付加的化合物が組み合わされる。オプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物は、好ましくは、天然又は合成のレチノイドではない。オプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物と付加的化合物は、一緒に又は別個に処方される。本発明の化合物は、医薬組成物の一部として投与してもよい。非経口組成物は、無菌であって、患者の投与に適する単位の重量又は体積で、オプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物の治療的有効量を含むべきである。本発明の組成物又は組み合わせは、各々の化合物が個々の投与量で存在するパック医薬品の一部であることもできる。
用語「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、又はその他の問題や面倒な事態なしにヒトや動物の組織と接触させる使用に適して妥当な利益/危険の比に則した、本発明の化合物、その化合物を含む組成物、及び/又は投薬形態を示す。
予防又は治療上の投与に使用される本発明の非経口医薬組成物は、除菌されるべきである。除菌は、除菌濾過膜を通した濾過(例えば、0.2μmの膜)、又はその他の当業者に公知の任意の手段によって達成することができる。治療上のオプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物の組成物は、一般に、滅菌した使用箇所を有する容器、例えば、皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有する静脈注射用溶液のバッグ又は小ビンに入れられる。本組成物は、通常、ユニット又は多数用量の容器、例えば、シールしたアンプル又は小ビンの中に、水溶液又は再構成用凍結乾燥製剤として貯蔵される。本組成物は、所望により、薬学的に許容される賦形剤と混合することができる。
また、本医薬組成物の成分は、本発明の分子と、望まれる薬学的効能を実質的に損なう相互作用がない仕方で、互いに混合することができる。
本発明の化合物は、薬学的に許容される賦形剤の中に含有させることができる。賦形剤は、好ましくは、等張性と化学的安定性を高める物質などの少量の添加物を含む。こうした物質は、採用される用量と濃度で被投与者に非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、及びその他の有機酸又はその塩のような緩衝剤;並びに、トリス−ヒドロキシメチルアミノメタン(TRIS)、重炭酸塩、炭酸塩、及びその他の有機塩基とその塩;アスコルビン酸のような酸化防止剤;低分子量(例えば、約10残基未満)のポリペプチド、例えば、ポリアルギニン、ポリリジン、ポリグルタミン酸塩、及びポリアスパラギン酸塩;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びポリエチレングリコール(PEG)のような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジン、又はアルギニンのようなアミノ酸;単糖類、二糖類、及びその他のセルロース含有炭水化物又はその誘導体、グルコース、マンノース、サッカロース、デキシトリン、又は硫酸化した炭水化物誘導体、例えば、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、又は硫酸デキストラン;多価金属イオン、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、及びマンガンイオンなどの二価金属イオン;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)のようなキレート剤;マンニトール又はソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムやアンモニウムのような対イオン;及び/又はポリソルベート又はポリオキサマーのようなノニオン系界面活性剤が挙げられる。その他の添加剤として、抗菌剤、不活性ガス・流体、栄養補給剤(即ち、リンガーデキストロース)、電解質補給剤が挙げられ、これらは通常の量で存在することができる。
上述のように、本組成物は、有効な量で投与することができる。有効な量は、投与の仕方、治療される特定の条件、及び望まれる結果によって決まると考えられる。また、症状の段階、患者の年齢と物理的状態、併用両方の性質、及び場合により、開業医によく知られる同様な因子にも依存することがある。治療への適用のためには、医療的に望ましい結果を得るのに十分な量である。
外科手術などによる光毒性を患う又はその発症の恐れのある対象者に関し、有効量は、11−シスレチナール、リポフスチン、又はA2Eのような視覚サイクル生成物の生成と蓄積の速度と範囲を抑えると同時に、過度のロドプシン活性による光細胞アポトーシスを防止するのに十分な量である。ここで、本発明の化合物は、1日あたり約0.01mg/kgから1日あたり約1000mg/kgまでと考えられる。約50〜約2000mg/kgの範囲の用量が適切であると予想される。静脈内投与などのある投与形態では、比較
的少ない用量となると考えられる。対象者における応答が、最初に与えられた用量では不十分な場合、より多い用量(あるいは、いろいろなより局部的な搬送ルートによる効果的なより多い用量)が、患者の耐容性が許容する範囲で採用されることができる。本発明の組成物の適切な体系的レベルを達成するため、1日あたり複数回の用量が考慮される。
種々の投与ルートが利用可能である。本発明の方法は、一般的に言えば、医学的に許容される任意の投与形態を用いて行うことができ、この投与形態は、臨床的に受け入れられない悪影響を引き起さない活性化合物の有効レベルを生み出す任意の形態を意味する。1つの態様において、本発明の組成物は、眼球内に投与される。別の形態の投与には、経口、直腸、局所、口内、膣内、脳槽内、脳室内、気管内、鼻、経皮、インプラントの中又は上、又は非経口ルートが挙げられる。本発明の化合物を含む組成物は、硝子体内の体液のような生理液に添加することができる。CNS投与に関し、手術又は注射による破壊、CNS血管系内皮細胞間の接着を一時的に開ける薬剤、細胞を通る転位置を促進する化合物など、血液脳関門を越える治療移送を促進するため、種々の技術が利用可能である。患者と投与スケジュールの便利性から、予防的治療には経口投与が好ましい。
本発明の医薬組成物は、投与により対象者に悪影響を引き起こさなければ、所望により、血漿タンパク質、プロテアーゼ、及び他の生物由来物質の1種又はそれ以上の付加的タンパク質をさらに含有することができる。適切なタンパク質又は生物由来物質は、当業者に公知で利用可能な精製法によってヒト又は哺乳類の血漿から得ることができ、例えば、標準的組換えDNA技術によって導入されたヒト又は哺乳類の血漿タンパク質を発現する遺伝子を含む遺伝子組み換え型組織の培養物、ウイルス、酵母、バクテリア等の上清、抽出物、溶解物から、あるいは、標準的トランスジェニック技術によって導入されたヒト血漿タンパク質を発現する遺伝子を含む流体(例えば、血液、乳液、リンパ液、尿等)又は遺伝子導入動物から得ることができる。
本発明の医薬組成物は、製剤のpHが約5.0〜約8.0の範囲の生理的pH(例えば、6.0、6.5、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.8)を示すように、pHを所定レベルに維持する1種又はそれ以上のpH緩衝化合物を含むことができる。水系の液体製剤に使用されるpH緩衝化合物は、アミノ酸又はアミノ酸混合物、例えば、ヒスチジン又はアミノ酸混合物のヒスチジンとグリシンであることができる。あるいは、pH緩衝化合物は、好ましくは、製剤のpHを約5.0〜約8.0のような所定レベルに維持し、カルシウムイオンをキレート化しない薬剤である。こうしたpH緩衝化合物の代表的な例には、限定されるものではないが、イミダゾールイオンやアセテートイオンが挙げられる。pH緩衝化合物は、製剤pHを所定レベルに維持するのに適する任意の量で存在することができる。
また、本発明の医薬組成物は、1種又はそれ以上の浸透圧調整剤、即ち、製剤の浸透圧特性(例えば、緊張力、オスモル濃度、及び/又は浸透圧)を非投与者個人の血液流と血液細胞に受け入れられるレベルに調整する化合物を含むことができる。浸透圧調整剤は、カルシウムイオンをキレート化しない薬剤であることができる。浸透圧調整剤は、製剤の浸透圧特性を調整する当業者に知られる又は入手可能な任意の化合物であることができる。当業者は、本発明の製剤に使用される所与の浸透圧調整剤の安定性を実験的に決めることができる。適切なタイプの浸透圧調整剤の代表的な例には、限定されるものではないが、塩化ナトリウムや酢酸ナトリウムのような塩;サッカロース、ブドウ糖、及びマンニトールのような糖類;グリシンのようなアミノ酸;これらの薬剤及び/又は薬剤種の1種又はそれ以上の混合物が挙げられる。浸透圧調整剤は、製剤の浸透圧特性を調整するのに十分な任意の濃度で存在することができる。
本発明のオプシン結合性化合物又はオプシン安定化化合物を含む組成物は、カルシウム
イオン、マグネシウムイオン、及び/又はマンガンイオンなどの多価金属イオンを含むことができる。組成物の安定化を助長し、被投与者に悪影響を及ぼさない任意の多価金属イオンを使用することができる。当業者は、これらの2つの基準に基づき、公知の金属イオンの原料から、適切な金属イオンを実験的に決定し、無機塩や有機塩を含めることができる。
本発明の医薬組成物は、非水系液体の製剤であることもできる。含められる活性剤に安定性を与えるならば、任意の適切な非水系液体を採用することができる。好ましくは、非水系液体は親水性の液体である。適切な非水系液体の代表的な例には、グリセロール;ジメチルスルホキシド(DMSO);ポリジメチルシロキサン(PMS);エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)200、PEG300、及びPEG400のようなエチレングリコール類;及びジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)425、PPG725、PPG1000、PEG2000、PEG3000、及びPEG4000のようなプロピレングリコール類が挙げられる。
また、本発明の医薬組成物は、水系/非水系の液体製剤を混合されることもできる。混合する水系/非水系の液体製剤が、含められる化合物に安定性を与えるならば、上述のような任意の適切な非水系液体製剤を、上述のような任意の適切な水系液体製剤とともに使用することができる。好ましくは、こうした製剤の非水系液体は親水性液体である。適切な非水系液体の代表的な例には、グリセロール、DMSO;EMS;PEG200、PEG300、及びPEG400のようなエチレングリコール類;並びにPPG425、PPG725、PEG1000、PEG2000、PEG3000、及びPEG4000のようなプロピレングリコール類が挙げられる。適切な安定した製剤は、凍結又は非凍結の液体状態での活性剤の貯蔵を可能にすることができる。安定した液体の製剤は、少なくとも−70℃の温度で貯蔵することができるが、組成物の特性に応じて、0℃以上、又は約0℃〜約42℃のより高い温度で貯蔵することもできる。当業者は一般に認識しているが、タンパク質とポリペプチドは、pHや温度の変化、及び治療効能に影響し得るその他の非常に多数の因子変化に敏感である。
特定の態様において、肺エアロゾルによる望ましい投与ルートが可能である。ポリペプチド類を含有するエアロゾル搬送システムの調製技術は、当業者によく知られている。一般に、こうしたシステムは、パラトープ結合能力のような抗体の生物学的特性を有意に損なわない成分を使用すべきである(例えば、シアラとキュティ著、「エアロゾル」、レミントンの薬学18版、1990年、1694〜1712頁;参照して取り入れられる)。当業者は、過度の実験に頼ることなく、ポリペプチドのエアロゾルを製造するための種々のパラメータと条件を容易に修正することができる。
別の搬送システムには、持続放出型、遅延放出型、又は徐放型の搬送システムが挙げられる。こうしたシステムは、本発明の組成物の反復投与を回避することができ、被投与者と医者の便宜を高めることができる。多くの型式の放出搬送システムが利用可能であり、当業者に知られている。それらには、ポリマーを基本にしたシステムが挙げられ、例えば、ポリラクチド(米国特許第3773919号、欧州特許第58481号)、ポリ(ラクチド−グリコリド)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、例えば、ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133988号)、L−グルタミン酸とγ−エチル−L−グルタミン酸塩のコポリマー(シドマンKR等著、バイオポリマー22:547〜556頁)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、又はエチレンビニルアセテート(ランガー等著、J.Biomed.Mater.Res.15:267−277;ランガー著、B.Chem.Tech.12:98−105)、及びポリ無水物などのポリマーである。
別の例の持続放出型組成物には、フィルムやマイクロカプセルなどの付形物の形態の半透過性ポリマーマトリックスが挙げられる。また、搬送システムには、非ポリマー系システムが挙げられ、コレステロール、コレステロールエステル、及び脂肪酸などのステロール類又はモノ−、ジー、トリ−グリセリドなどの中性脂肪を含む脂質類;生物学的に誘導された生物吸収性ヒドロゲル(即ち、キチンヒドロゲル又はキトサンヒドロゲル)などのヒドロゲル放出システム;シラスティックシステム;ペプチドベースのシステム;ワックスコーティング;通常のバインダーと賦形剤を用いた圧縮錠剤、部分充填インプラントなど非ポリマー系である。特定の例には、限定されるものではないが、(a)米国特許第4452775号、同4667014号、同4748034号、及び同5239660号の13.5.に記載のような薬剤がマトリックス中にある形態で含められたエアロゾル的システム、及び(b)米国特許第3832253号や同3854480号に記載のような、コントロールされた速度でポリマーから活性成分が浸透する分散的システムが挙げられる。
本発明の方法と組成物に使用可能な別なタイプの搬送システムは、コロイド分散システムである。コロイド分散システムには、水中油型のエマルジョン、ミセル、混合ミセル、又はリポソームを含む脂質ベースのシステムが挙げられる。リポソームは、人工の膜容器であり、インビボ又はインビトロの搬送ベクトルとして有用である。0.2〜4.0μmのサイズ範囲の大きめの単層容器(LUV)は、水系内部に大きめのマクロ分子を封入し、生物学的に活性な形態で細胞を搬送することができる(Fraley,R.、Papahadjopoulos,D.著、Trends Biochem.Sci.6:77−80)。
リポソームは、モノクローナル抗体、糖、糖脂質、又はタンパク質などの特定のリガンドにリポソームをカップリングさせることによって、特定の組織を標的にさせることができる。リポソームは、例えば、LIPOFECTIN(登録商標)やLIPOFECTACE(登録商標)としてギブコBRLから市販されており、これらは、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−塩化トリメチルアンモニウム(DOTMA)や臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB)のようなカチオン系脂質から形成される。リポソームの製造方法は、当該技術分野でよく知られており、例えば、DE3218121;エプステイン等著、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82:3688−3692(1985);K.Hwang等著、Proc.Natl,Acad.Sci.(USA)77:4030−4034(1980);EP52322;EP36676;EP88046;EP143949;EP142641;日本特許出願83−118008;米国特許第4485045号と同4544545号;及びEP102324などの多くの刊行物に記載されている。また、リポソームは、「グレゴリアジス.G著、Trends Biotechnol.3:235−241」に総説されている。
別なタイプの媒体は、哺乳類の被投与対象に移植するのに適する生物適合性の微粒子又はインプラントである。この方法において有用な生体内分解性インプラントの例は、PCT国際出願PCT/US/03307(公開番号WO95/24929、発明の名称:ポリマーの遺伝子搬送システム)に記載されている。PCT/US/0307は、適切なプロモータの支配下で外来遺伝子と接触するための生物適合性、好ましくは、生物分解性のポリマーマトリックスを記載している。このポリマーマトリックスは、外来遺伝子又は被投与の遺伝子生成物の持続放出を達成するために使用することができる。
ポリマーマトリックスは、好ましくは、ミクロスフェア(薬剤が固体ポリマーマトリックスの全体に分散)又はマイクロカプセル(薬剤が高分子シェルの芯に保存)のような微
粒子の形態である。上記の薬剤含有ポリマーのマイクロカプセルは、例えば、米国特許第5075109に記載されている。薬剤を含有する別な形態のポリマーマトリックスには、フィルム、コーティング、ゲル、インプラント、及びステントが挙げられる。ポリマーマトリックスのデバイスのサイズと組成は、マトリックスが導入される組織の好適な放出動力学をもたらすように選択される。また、ポリマーマトリックスのサイズは、使用される搬送方法にしたがって選択される。好ましくは、エアロゾルのルートが使用される場合、ポリマーマトリックス組成物が、界面活性剤の媒体に包囲される。ポリマーマトリックス組成物は、双方の望ましい分解速度を有するように選択され、かつ移動の有効性をさらに高めるように生体接着の材料から形成されることができる。また、マトリックス組成物は、分解するのではなく、長期間によって拡散により遊離するように選択することもできる。また、搬送システムは、局部的な部位特異搬送に適する生物適合性ミクロスフェアからなることもできる。こうしたミクロスフェアは、チッカリング.D.B等著、Biotechnot.Bioeng,52:96−101;マチオウィッツ.B.等著、ネイチャー386:410−414;に記載されている。
非生物分解性と生物分解性の双方のポリマーマトリックスを、本発明の組成物を非投与対象に搬送するのに使用することができる。こうしたポリマーは、天然又は合成のポリマーであることができる。ポリマーは、放出が望まれる時間の長さに基づいて選択され、一般に、数時間から1年又はそれ以上の程度である。典型的に、数時間と3〜12箇月の間にわたる期間の放出が最も望ましい。ポリマーは、所望により、水中でその重量の約90%にも及ぶ吸収が可能なヒドロゲルの形態であり、さらに多価イオン又は他のポリマーと随意に架橋される。
生物分解性搬送システムを形成するのに使用可能な合成ポリマーの例には、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリグリコロイド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びこれらのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシエチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリ(ビニルピロリドン)、乳酸とグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリ(ブチン酸)、ポリ(バレリアン酸)、及びポリ(ラクチド−コカプロラクトン)、並びに、アルギン酸塩やデキストランとセルロース、コラーゲン、これらの化学的誘導体(置換基、化学基の付加、例えば、アルキル、アルキレン、水酸化、酸化、及び当業者によって一般的に行われる改質)を含む他の多糖類のような天然ポリマー、アルブミンその他の親水性タンパク質、ゼインその他のポリアミン類と疎水性タンパク質、これらのコポリマーと混合物が挙げられる。一般に、これらの物質は、インビボにおける酵素加水分解又は水との接触、又は表面もしくは全体のエロージョンによって分解する。
−眼に搬送する方法−
本発明の組成物は、光毒性、とりわけ眼の外科手術に関係する光毒性のような眼の疾患又は症状の治療に特に適する。
1つのアプローチにおいて、本発明の組成物は、眼のガラス質に直接移植するのに適する眼系デバイスを通して投与される。本発明の組成物は、例えば、米国特許第5672659号や同5595760号に記載の持続放出組成物として提供することができる。こうしたデバイスは、有害な局所的又は全身的副作用なしに、眼を治療するための種々の組成物の持続した制御された放出を提供することが見出されている。眼に搬送する本方法の目的は、インプラントの持続を長くする目的で、サイズを最小限にしながら、眼球内デバイス又はインプラントに含められる薬剤の量を最大限にすることである。例えば、米国特許第5378475号、同6375972号、及び同6756058号、並びに、米国特許公開第2005−0096290号及び同2005−01269448号を参照されたい。こうしたインプラントは、生物分解性及び/又は生物適合性インプラント、又は非生物分解性インプラントであることができる。
生物分解性の眼球インプラントは、例えば、米国特許公開第2005−0048099号に記載されている。インプラントは、活性薬剤に対して透過性又は不透過性であることができ、眼房の前部又は後部などの眼房内に挿入することができ、あるいは、強膜、経脈絡膜スペース、又はガラス質外側の無血管新生化領域に移植することができる。さらには、本発明の組成物の貯蔵所として作用するコンタクトレンズを、薬剤搬送のために使用することもできる。
好ましい態様において、インプラントは、眼球内スペースや眼黄斑などの所望の治療箇所への薬剤の経膜拡散を可能にするように、強膜のような血管のない領域に配置することができる。また、経膜拡散の箇所は、好ましくは、黄斑の近くである。本発明の組成物を搬送するためのインプラントの例には、限定されるものではないが、米国特許第3416530号、同3828777号、同4014335号、同4300557号、同4327725号、同4853224号、同4946450号、同4997652号、同5147647号、同164188号、同5178635号、同5300114号、同5322691号、同5403901号、同5443505号、同5466466号、同5476511号、同5516522号、同5632984号、同5679666号、同5710165号、同5725493号、同5743274号、同5766242号、同5766619号、同5770592号、同5773019号、同5824072号、同5824073号、同5830173号、同5836935号、同5869079号、同5902598号、同5904144号、同5916584号、同6001386号、同6074661号、同6110485号、同6126687号、同6146.366号、同6251090号、同6299895号、並びにWO01/30323及びWO01/28474に記載のデバイスが挙げられ、これらはいずれも参照して取り入れられる。
例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:
持続放出薬剤搬送システムであって、所望の局部又は全身の生理的又は薬理的効果を得る有効量の薬剤を入れた内側リザーバー、薬剤の通過に対して不透過性であり、第1端部と第2端部を有し、内側リザーバーの少なくとも一部を覆い、自重を支持可能なサイズと材料で形成された内側チューブ、内側チューブの第1端部に配置され、内側チューブの第1端部を通ってリザーバーの外に出る薬剤の通過を防止する不透過性膜、及び内側チューブの第2端部に配置され、内側チューブの第2端部を通ってリザーバーの外に出る薬剤の拡散を可能にする透過性膜、を含んでなる持続放出薬剤搬送システム;
本発明の化合物を眼のセグメントに投与する方法であって、眼のガラス質に本発明の化合物を搬送する持続放出デバイス又は眼のセグメントに本発明の化合物を投与するための
移植可能な持続放出デバイスをインプラントする工程を含む方法;
持続放出薬剤搬送デバイスであって、a)診断効果を得るのに有効な又は所望の局部又は全身の生理的又は薬理的効果を得るのに有効な少なくとも1種の第1薬剤の治療的有効量を含む薬物コア、b)薬物コアを入れる内部区画を包囲・画定して薬剤の通過に基本的に不透過性である少なくとも1つの単位カップであって、その開口上端の少なくともある部分の周りに少なくとも1つの凹溝を有する開口上端を備えた単位カップ、c)薬剤の通過に透過性である透過性プラグであって、単位カップの開口上端に配置され、その溝は、透過性プラグと相互作用して適所に保持し、開口上端を閉じ、透過性プラグを通って単位カップの開口上端の外の薬物コアの外に薬剤が通過するのを可能にする透過性プラグ、及びd)診断効果を得るのに有効な又は所望の局部又は全身の生理的又は薬理的効果を得るのに有効な少なくとも1種の第2薬剤、を含んでなる持続放出薬剤搬送デバイス;
又は、所望の溶解性とポリマーコーティング層を有する薬剤の有効量を含む内側コアを含んでなり、ポリマーコーティング層が内側コアを完全に覆う、持続放出薬剤搬送デバイス。
眼に搬送する別なアプローチは、リポソームを使用して、本発明の化合物を眼、好ましくは、網膜色素上皮細胞及び/又はブルッフ膜を標的にする。例えば、上記の仕方で本化合物をリポソームと複合し、この化合物とリポソームの複合物を、所望の眼組織又は細胞に本化合物を導く静脈注射を用い、光毒性のような眼疾患を有する患者に注射する。また、網膜色素上皮細胞又はブルッフ膜の近くにこのリポソーム複合物を直接注射することは、複合物の標的化にいくつかの形態の眼PCDを与えることもできる。特定の態様において、本化合物は、眼球内の徐放によって投与される(VITRASERT又はENVISION)。特定の態様において、本化合物は、後部、後部テノン嚢内注射によって送達される。もう1つの特定の態様において、本発明の組成物を含むマイクロエマルジョン粒子が、眼組織に送達され、ブルッフ膜、網膜色素上皮細胞、又は両方から脂質を取り上げる。
ナノ粒子は、血中半減期を長くすることによってカプセル化薬物の効能を改良することが実証されているコロイド状担体系である。ポリアルキルシアノアクリレート(PACA)ナノ粒子は、臨床開発におけるポリマーのコロイド状薬物搬送システムであり、ステラ等著、J.Pharm.Sci.,2000、89:頁1452〜1464;ブリガー等著、Tnt.J.Pharm.,2001、214:頁37〜42;カルボ等著、Pharm.Res.,2001、18:頁1157〜1166;及び、リー等著、Biol.Pharm.Bull.,2001、24:頁662〜665、に記載されている。ポリ(乳酸)(PLA)とポリ(乳酸−グリコリド共重合体)(PLGA)のコポリマーなどの生物分解性ポリ水酸基酸は、生物医学用途で広範囲に使用されており、特定の臨床的応用について、FDAの承認を得ている。また、PEG−PLGAナノ粒子は、(i)カプセル化される薬剤が、全担体系の妥当に高い重量分率(装填率)を有する、(ii)カプセル化プロセスの第1工程で使用される薬剤の量が、妥当に高いレベルで最終的担体に取り入れられる(封入効率)、(iii)担体が、凝集することなく凍結乾燥されて再構成される性能を有する、(iv)担体が生物分解性である、(v)担体系のサイズが小さい、及び(vi)担体が粒子の残留性を高める、などの多くの担体としての特徴を有する。
ナノ粒子は、当該技術で公知の実質的に任意の生物分解性シェルを用いて合成される。1つの態様において、ポリ(乳酸)(PLA)又はポリ(乳酸−グリコリド共重合体)(PLGA)のようなポリマーが使用される。こうしたポリマーは、生物適合性で生物分解性であり、ナノ粒子の光化学的効果や循環寿命を望ましく高める改質の影響を受けやすい。1つの態様において、ポリマーは、粒子の負電荷を増加させて負帯電の核酸アプタマーとの相互作用を制限する末端カルボン酸基(COOH)で改質される。また、流動する粒子の半減期と安定性をやはり高めるポリエチレングリコール(PEG)でナノ粒子を改質
することもできる。あるいは、アミン改質アプターに共有結合させるため、COOH基をN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)に変化させる。
本発明の組成物と方法に有用な生物適合性ポリマーには、限定されるものではないが、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリグリコロイド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びこれらのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシエチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好ましい態様において、本発明のナノ粒子はPEG−PLGAポリマーを含む。
本発明の組成物は、局所に送達されることもできる。局所送達に関し、本組成物は、眼送達について認可された任意の薬学的に許容された賦形剤とともに提供される。好ましくは、本組成物は、眼の表面に滴状に送達される。いくつかの用途に関し、本組成物の送達は、角膜を通る眼の内部への化合物の拡散によって決まる。
当業者は光毒性その他の眼疾患(例えば、RP)を治療するための本発明の化合物を用いる治療計画を素直に決め得ると認識するものと考えられる。これは、実験的な問題ではなく、医療分野で日常的に行われている最適化の1つである。ヌードマウスにおけるインビボの研究は、投与量と搬送計画の最適化を始める出発点を与えることが多い。注入頻度は、いくつかのマウスでの研究で行われているように、最初は1週間に1回と考えられる。ここで、この頻度は、最初の臨床試験で得られた結果と特定の患者の要請に応じて1日から2週間又は1月ごとのように、適切に調整することができる。
ヒトの投与量は、最初は、マウスで用いられた化合物の量から外挿によって決めることができ、これは動物モデルに比較してヒトの投与量を調整するという当業者が常套手段として認識しているものである。ある態様について、投与量は、体重1kgあたり化合物約1mgから体重1kgあたり化合物約5000mgまで、体重1kgあたり化合物約5mgから体重1kgあたり化合物約4000mgまで、体重1kgあたり化合物約10mgから体重1kgあたり化合物約3000mgまで、体重1kgあたり化合物約50mgから体重1kgあたり化合物約2000mgまで、体重1kgあたり化合物約100mgから体重1kgあたり化合物約1000mgまで、又は体重1kgあたり化合物約150m
gから体重1kgあたり化合物約500mgまで変わり得ると考えられる。別の態様において、この投与量は、体重1kgあたり約1、5、10、25、50,75、100、150、10200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2500、3000、3500、4000、4500、又は5000mgであることができる。別の態様において、少なめの用量を使用しうるとも考えられ、例えば、体重1kgあたり約5mg〜約20mgの範囲の化合物であることもできる。別の態様において、用量は、体重1kgあたり約8、10、12、14、16、15、又は18mgであることもできる。もちろん、この投与量は、最初の臨床試験の結果と特定の患者の要請に応じて、治療プロトコールでよく行われているように、下方又は上方に調整することもできる。
−スクリーニング検定−
本発明における有用な化合物は、11−シスレチナール結合性ポケットの中又はその付近で生来又は変異オプシンタンパク質に可逆的に結合する式(1)の化合物である。これらの小分子オプシン結合から生成する非漂白性又は遅漂白性の色素ロドプシンは、例えば、視覚サイクル生成物の蓄積と同時に過度のロドプシン刺激によるアポトーシス光細胞死に関連する光毒性を防止することができると考えられる。こうした結合は、通常、レチノイド類とりわけ11−シスレチナールの結合性ポケットに対する結合を予防しないにせよ抑制し、それによって、オールトランスレチナールのような視覚サイクル生成物の生成を抑制することができる。こうした化合物を特定するスクリーニング検定を行うには、いくつもの方法が利用可能である。1つのアプローチにおいて、オプシンタンパク質を、11−シスレチナール又はレチノイド類似体の存在下で、非レチノイド系の候補化合物又はテスト化合物に接触させ、発色団の生成速度又は収率を測定する。所望により、オプシンに対する非レチノイドの結合をキャラクタライズする。好ましくは、オプシンに対する非レチノイドの結合は、非共有結合で可逆的である。即ち、非レチノイドによるレドプシン生成の抑制は、成功したテスト化合物の識別を示す。例えば、固有波長(例えば、ロドプシンでは498nm)でタンパク質の吸収を測定することにより、又は任意の標準的方法を用いてタンパク質の生物活性(例えば、リガンドに関係する酵素活性)の向上を測定することにより、ロドプシン量の増加を分析する。有用な化合物は、少なくとも約10%、15%、又は20%、好ましくは25%、50%、又は75%、最も好ましくは90%以下、さらには100%にわたって、11−シスレチナールの結合(及びロドプシンの形成)を抑制する。
あるいは、本発明の方法に有用な化合物の効能は、テスト化合物の投与の前、途中、又は後に高輝度の光源に哺乳類の眼を曝し、次いで高輝度の光源に暴露した結果として生成した視覚サイクル生成物(例えば、オールトランスレチナール、A2E、又はリポフスチン)の量を測定することによっても判断することができ、ここで、本発明の化合物は、その暴露に関係する視覚サイクル生成物の量を低下させていると考えられる。
要するに、本発明のスクリーニング法によって特定される好ましいテスト化合物は、非レチノイド系であり、オプシンに選択的であり、オプシンタンパク質に可逆的で非共有結合性の状態で結合する。また、そうしないとリポフスチンの増加となる遺伝子導入動物への添加は、その哺乳類の眼におけるリポフスチンの生成速度の低下又は蓄積の減少をもたらす。本発明の方法によって特定される化合物は、ヒト患者のような対象における光毒性その他の眼疾患の治療に有用である。
光毒性、並びに、AMD、及び網膜色素変性症に効果のある本発明の組成物は、所望により、上述のさらなる治療と組み合わせることができる。
以下に非限定的な実施例をさらに記載し、当業者による本発明の利用に供する。
実施例1:6−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
実施例1a:イソキノリン−6−イル(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メタノール
ドライなテトラヒドロフラン(2mL)中の6−ブロモイソキノリン(274mg、1.3ミリモル)の溶液を−78℃のn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、0.8mL、1.3ミリモル)の溶液に滴下によって添加し、この温度で30分間にわたって撹拌した。次いで、ドライなテトラヒドロフラン(1.5mL)中の2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−カルバルデヒド(100mg、0.66ミリモル)を添加し、−78℃での撹拌を1時間にわたって継続した後、反応物を室温までゆっくりと温めた。この混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、酢酸エチルで有機物を抽出した。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た(131mg、収率:71%)。R0.5(2:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ9.22(s,1H),8.50(d,J=5.6Hz,1H),7.92(d,J=8.4Hz,2H),7.65(d,J=6.4Hz,2H),5.55(s,1H),2.00(t,J=6.0Hz,2H),1.74−1.56(m,5H),1.33(s,3H),1.24(s,3H),1.17(s,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z282(M+H).
実施例1b:イソキノリン−6−イル(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メタノン
0℃のジクロロメタン(5mL)中の実施例1aの生成物(130mg、0.46ミリモル)の溶液にデス・マーチン試薬(529mg、1.25ミリモル)を添加し、反応物を30分間にわたって撹拌した。次いで、この混合物を石油エーテルで希釈して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た(96mg、収率:74%)。R0.4(5:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ9.34(s,1H),8.62(d,J=5.6Hz,1H),8.37(s,1H),8.16(dd,J=8.4Hz,J=1.6Hz,1H),8.06(d,J=8.8Hz,1H),7.79(d,J=6.0Hz,1H),2.15(t,J=6.4Hz,2H),1.84−1.79(m,2H),1.63−1.60(m,2H),1.47(s,3H),1.07(s,6H)ppm.
実施例1c:(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル)(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メタノン
酢酸(2mL)中の実施例1bの生成物(87mg、0.31ミリモル)に二酸化白金(14mg)を添加し、この反応物を水素雰囲気下の室温で3時間にわたって撹拌した。この混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶かし、重炭酸ナトリウム飽和水溶液を用いてpH=8に調整し、水層を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た(76.5mg、収率:86%)。R0.5(10:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.70(s,1H),7.66(d,J=8.0Hz,1H),7.08(d,J=7.6Hz,1H),4.08(s,2H),3.18(t,J=6.0Hz,2H),2.89(t,J=5.8Hz,2H),2.0
8(t,J=6.4Hz,2H),1.78−1.74(m,2H),1.56−1.53(m,2H),1.43(s,3H),1.03(s,6H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z284(M+H).
実施例1:6−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
ジクロロメタン(2mL)中の実施例1cの生成物(30mg、0.11ミリモル)の溶液にトリエチルアミン(43mg、0.42ミリモル)とイソシアナトトリメチルシラン(38mg、0.33ミリモル)を添加し、この反応混合物を室温で2日間にわたって撹拌した。この混合物をジクロロメタンで希釈した後、水、塩化アンモニウム飽和水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を調製用TLCによって精製し、白色固体として表題化合物を得た(23mg、収率:67%)。Mp=86.4−87.6℃;R0.6(10:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.77(s,1H),7.73(d,J=7.6Hz,1H),7.21(d,J=8.0Hz,1H),4.64(s,2H),4.52(bs,2H),3.64(t,J=5.8Hz,2H),2.97(t,J=5.8Hz,2H),2.08(t,J=6.4Hz,2H),1.78−1.76(m,2H),1.57−1.54(m,2H),1.43(s,3H),1.03(s,6H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z327(M+H).
実施例2:6−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
0℃のテトラヒドロフラン(2mL)中の実施例1の生成物(32mg、0.098ミリモル)の溶液に水素化アルミニウムリチウム(22mg、0.588ミリモル)を添加した。反応物を室温まで温め、1時間にわたって撹拌した。この混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、有機物を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機相を重炭酸ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、白色固体として表題化合物を得た(20mg、収率:62%)。Mp=88.3−89.0℃;R0.55(10:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.26(s,1H),7.20(d,J=8.0Hz,1H),7.06(d,J=8.0Hz,1H),5.38(d,J=4.4Hz,1H),4.56(s,2H),4.50(bs,2H),3.63(t,J=6.0Hz,2H),2.89(t,J=5.8Hz,2H),1.99(t,J=6.0Hz,2H),1.83(d,J=5.2Hz,1H),1.68−1.64(m,2H),1.56−1.52(m,2H),1.40(s,3H),1.19(s,3H),1.05(s,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z329(M+H).
実施例3:6−((S)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
実施例3a:(S)−3,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエニルアセテート
凝縮器を備えた50mLの丸底フラスコに無水酢酸(6.1mL、64.8ミリモル)、酢酸カリウム(0.51g、5.18ミリモル)、及びトリエチルアミン(4.5mL、32.4ミリモル)を仕込んだ。この撹拌混合物に(S)−3,7−ジメチル−6−オクテナール(5.0g、32.4ミリモル)をゆっくり添加した。この反応混合物を7.5時間にわたって120℃に加熱した。室温まで冷却した後、この反応混合物を水(25mL)に注ぎ入れ、トルエン(10mL)で抽出した。有機層を炭酸ナトリウム飽和水溶液(25mL×2)とブライン(25mL)で洗浄した。この物質を50mLの丸底フラスコに移し、分液漏斗をトルエン(1mL)で洗浄した。トルエン(11ml)(15.
7g)中の表題化合物の溶液を次の工程に直接使用した。マススペクトル(ESI+ve)m/z187(M+H).
実施例3b:(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルバルデヒド
トルエン(11ml)(15.7g)中の実施例3aの粗生成物(6.36g、32.4ミリモル)の溶液に85%リン酸(12mL)を加えた。この混合物を4時間にわたって100℃に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、トルエン(12mL)を水(24mL)とともに加え、層分離させた。水層をトルエン(12mL×2)で抽出した。一緒にした有機層を重炭酸ナトリウム飽和水溶液(50mL×2)とブライン(50mL×2)で洗浄した。減圧下での濃縮と蒸留(沸点65〜70℃)により、無色オイル(2.51g、収率:50%)としてエピマーの9:1混合物としての表題化合物を得た。HNMR(400MHz,CDCl)(主要)δ9.63(d,J=5.2Hz,1H),2.03−1.91(m,1H),1.83−1.75(m,1H),1.64−1.60(m,1H),1.54−1.48(m,1H),1.40−1.35(m,1H),1.24−1.14(m,1H),1.02(s,3H),0.97(s,3H),0.95−0.84(m,2H),0.81(d,J=6.4Hz,3H)ppm.[α] 24=+5.20°(c=1.00,ジクロロメタン).
実施例3c:(S)−イソキノリン−6−イル((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メタノール
−78℃のドライなテトラヒドロフラン(20mL)中の6−ブロモイソキノリン(2.08g,10ミリモル)の溶液をn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、6.25mL、10ミリモル)に滴下によって添加し、−78℃で15分間にわたって撹拌した。テトラヒドロフラン(5mL)中の実施例3bの生成物(770mg、5ミリモル)を添加し、−78℃で30分間にわたって撹拌した後、室温までゆっくりと温め、さらに2時間にわたって撹拌した。この混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、有機物を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによる残留物の精製により、黄色固体を得た。この固体を、石油エーテルと酢酸エチルから再結晶させ、白色固体として表題化合物を得た(778mg、収率:55%)。R=0.4(2:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ9.20(s,1H),8.49(d,J=5.6Hz,1H),7.93−7.90(m,2H),7.64−7.60(m,2H),5.28(d,J=5.6Hz,1H),2.02(d,J=5.6Hz,1H),1.91−1.88(m,1H),1.56−1.47(m,4H),1.37−1.26(m,2H),1.23(s,3H),1.12(s,3H),1.01−0.93(m,1H),0.56(d,J=6.4Hz,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z284(M+H).
実施例3d:(S)−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル)((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メタノール
酢酸(10mL)中の実施例3cの生成物(150mg、0.53ミリモル)に二酸化白金(14mg)を添加し、水素雰囲気下(174psi)の室温で1時間にわたって撹拌した。この混合物を濾過し、炭酸ナトリウム飽和水溶液を用いて濾液をpH=10に調整した。有機物を酢酸エチルを用いて抽出し、一緒にした有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。中性アルミナ上のカラムクロマトグラフィーによる残留物の精製により、表題化合物を得た(115mg、収率:75%)。R0.5(10:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.14−7.10(m,2H),6.94(d,J=8.0Hz,1H),5.05(s,1H),3.99(s,2H),3.14(t,J=6.0Hz,2H),2.80(t,J=5.8Hz,2H),1.85−1.78(m,1H),1.6
7−1.60(m,2H),1.51−1.39(m,4H),1.32−1.24(m,2H),1.13(s,3H),1.06(s,3H),1.00−0.89(m,1H),0.61(d,J=6.4Hz,3H)ppm.
実施例3:6−((S)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
ジクロロメタン(5mL)中の実施例3dの生成物(114mg、0.4ミリモル)の溶液にトリエチルアミン(162mg、1.6ミリモル)とイソシアナトトリメチルシラン(138mg、1.2ミリモル)を添加した。この反応混合物を室温で終夜にわたって撹拌した。この混合物をジクロロメタンで希釈し、水、塩化アンモニウム飽和水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を調製用TLCによって精製し、白色固体として表題化合物を得た(93mg、収率:71%)。Mp=99.1−100.6℃;R0.5(15:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.23(d,J=8.0Hz,1H),7.19(s,1H),7.07(d,J=8.0Hz,1H),5.08(d,J=5.2Hz,1H),4.55(s,2H),4.53(s,2H),3.63(t,J=5.8Hz,2H),2.89(t,J=5.8Hz,2H),1.84−1.81(m,1H),1.76(d,J=6.0Hz,1H),1.50−1.40(m,4H),1.32−1.24(m,1H),1.14(s,3H),1.06(s,3H),0.98−0.93(m,1H),0.60(d,J=6.4Hz,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z331(M+H);[α] 25=+7.41°(c=0.54,ジクロロメタン).
実施例4:6−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
0℃のジクロロメタン(2mL)中の実施例3の生成物(80mg、0.24ミリモル)の溶液にデス・マーチン試薬(154mg、0.36ミリモル)を添加し、この反応物を1時間にわたって撹拌した。この混合物を炭酸ナトリウム飽和水溶液でクエンチし、ジクロロメタンを用いて有機物を抽出した。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。調製用薄層クロマトグラフィ(調製用TLC)で残留物を精製し、白色固体として表題化合物を得た(42mg、収率:53%)。Mp=89.1−90.0℃;R0.4(20:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.80(d,J=8.0Hz,1H),7.77(s,1H),7.22(d,J=8.0Hz,1H),4.63(s,2H),4.54(s,2H),3.65(t,J=5.8Hz,2H),3.01−2.96(m,3H),2.09−2.06(m,1H),1.79(dd,J=13.2Hz,J=3.2Hz,1H),1.58−1.54(m,2H),1.45−1.41(m,1H),1.34−1.25(m,1H),1.04−1.00(m,1H),0.98(s,3H),0.77(s,3H),0.74(d,J=6.4Hz,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z329(M+H);[α] 26.6=−5.33°(c=0.15,ジクロロメタン).
実施例5:6−((R)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
0℃のテトラヒドロフラン(2mL)中の実施例4の生成物(32mg、0.1ミリモル)の溶液に水素化アルミニウムリチウム(23mg、0.6ミリモル)を添加し、この反応物を1時間にわたって撹拌した。この混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、有機物を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機相を重炭酸ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。調製用TLCで残留物を精製し、白色固体として表題化合物とそのエピマー(7.7:1)を得た(
17mg、収率:48%)。Mp=77.6−78.5℃;R0.5(15:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)(主異性体)δ7.24−7.22(m,2H),7.07(d,J=8.0Hz,1H),5.23(s,1H),4.56(s,2H),4.51(bs,2H),3.63(t,J=5.8Hz,2H),2.89(t,J=5.8Hz,2H),1.90−1.84(m,1H),1.76−1.67(m,2H),1.47−1.37(m,3H),1.21−1.10(m,2H),1.06(d,J=6.0Hz,3H),1.03(s,3H),0.41(s,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z331(M+H);[α] 26.6=+21.0°(c=0.21,ジクロロメタン).
実施例6:7−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
実施例6a:イソキノリン−7−イル(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メタノール
テトラヒドロフラン(15mL)中の7−ブロモイソキノリン(958mg、4.6ミリモル)の溶液を、−78℃のn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、2.87mL、4.6ミリモル)に滴下によって添加し、−78℃で30分間にわたって撹拌した。次いで、テトラヒドロフラン(2mL)中の2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−カルバルデヒド(350mg、2.3ミリモル)を添加し、この反応物を−78℃で1時間にわたって撹拌した後、室温まで温めた。この反応物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、酢酸エチルで有機物を抽出した。有機相を重炭酸ナトリウム飽和水溶液とブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって残留物を精製し、表題化合物を得た(794mg、収率:100%)。R0.5(2:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ9.24(s,1H),8.49(d,J=5.6Hz,1H),8.04(s,1H),7.78(s,2H),7.64(d,J=5.6Hz,1H),5.56(s,1H),2.05−2.00(m,2H),1.70−1.56(m,4H),1.35(s,3H),1.24(s,3H),1.16(s,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z282(M+H).
実施例6b:イソキノリン−7−イル(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メタノン
0℃のジクロロメタン(15mL)中の実施例6aの生成物にデス・マーチン試薬(1.8g、4.2ミリモル)を加え、この反応物を1時間にわたって撹拌した。この混合物を石油エーテルで希釈し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た(610mg、収率:77%)。R0.4(5:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ9.40(s,1H),8.64(d,J=6.0Hz,1H),8.53(s,1H),8.29(dd,J=8.8Hz,J=1.6Hz,1H),7.91(d,J=8.4Hz,1H),7.72(d,J=6.0Hz,1H),2.16(t,J=6.4Hz,2H),1.85−1.82(m,2H),1.63−1.61(m,2H),1.48(s,3H),1.08(s,6H)ppm.
実施例6c:(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メタノン
酢酸(2mL)中の実施例6bの生成物(350mg、1.25ミリモル)に二酸化白金(35mg)を添加し、この反応物を室温の水素雰囲気下で4時間にわたって撹拌した。この混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶かし、重炭酸ナトリウム飽和水溶液を用いてpH=8に調整した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシ
リカゲルカラムのクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た(206mg、収率:58%)。R0.5(10:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.67(d,J=7.6Hz,1H),7.62(s,1H),7.16(d,J=8.0Hz,1H),4.08(s,2H),3.18(t,J=6.0Hz,2H),2.87(t,J=6.0Hz,2H),2.07(t,J=6.4Hz,2H),1.78−1.74(m,2H),1.53−1.50(m,2H),1.43(s,3H),1.02(s,6H)ppm.
実施例6:7−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
ジクロロメタン(10mL)中の実施例6cの生成物(204mg、0.72ミリモル)の溶液にトリエチルアミン(291mg、2.88ミリモル)とイソシアナトトリメチルシラン(249mg、2.16ミリモル)を添加し、この反応混合物を室温で終夜にわたって撹拌した後、追加のトリエチルアミン(291mg、2.88ミリモル)とイソシアナトトリメチルシラン(249mg、2.16ミリモル)を添加し、撹拌を5時間にわたって継続した。この混合物をジクロロメタンで希釈し、水、塩化アンモニウム飽和水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、及びブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムの上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、白色固体として表題化合物を得た(160mg、収率:68%)。Mp=92.5−93.6℃;R0.4(15:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.75(d,J=8.0Hz,1H),7.73(s,1H),7.24(d,J=8.0Hz,1H),4.63(s,2H),4.55(bs,2H),3.66(t,J=6.0Hz,2H),2.95(t,J=5.6Hz,2H),2.08(t,J=6.4Hz,2H),1.79−1.76(m,2H),1.56−1.54(m,2H),1.43(s,3H),1.02(s,6H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z327(M+H).
実施例7:7−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
0℃のテトラヒドロフラン(2mL)中の実施例6の生成物(73.4mg、0.22ミリモル)の溶液に水素化アルミニウムリチウム(51mg、1.35ミリモル)を添加し、この反応物を0℃で2時間にわたって撹拌した。この混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、有機物を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機相を重炭酸ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を調製用TLCで精製し、白色固体として表題化合物を得た(44mg、収率:59%)。Mp=88.2−89.5℃;R0.3(15:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.24−7.20(m,2H),7.10(d,J=7.6Hz,1H),5.37(s,1H),4.56(s,2H),4.54(s,2H),3.63(t,J=6.0Hz,2H),2.88(t,J=5.8Hz,2H),1.99(t,J=6.0Hz,2H),1.82(s,1H),1.68−1.64(m,2H),1.56−1.52(m,2H),1.39(s,3H),1.18(s,3H),1.04(s,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z311(M−HO+H).
実施例8:6−(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
実施例8a:エチル1−メチル−2−オキソシクロペンタンカルボキシレート
ドライなアセトン(200mL)中のドライな炭酸カリウム(16.64g、120.4ミリモル)のアルゴン下の撹拌懸濁液に、エチル2−オキソシクロペンタンカルボキシレート(9.40g、60.2ミリモル)と次いでヨウ化メチル(7.5mL、120.
4ミリモル)を添加した。この反応物を3時間にわたって加熱還流した後、別のヨウ化メチル(7.5mL、120.4ミリモル)を添加し、この反応物を終夜にわたって還流した。この反応混合物を冷却した後、シリカゲルのパッドを通して濾過し、その固体をアセトンで洗浄した(100mL×3)。有機相を減圧下で濃縮し、残留物をアセトン(200mL)に分散させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し(溶離剤:石油エーテル/酢酸エチル=100/1→50/1)、無色液体として表題化合物を得た(8.35g,収率:82%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ4.22−4.10(m,2H),2.57−2.40(m,2H),2.36−2.27(m,1H),2.11−2.00(m,1H),1.98−1.83(m,2H),1.31(s,3H),1.25(t,J=7.0Hz,3H)ppm.
実施例8b:エチル1,3,3−トリメチル−2−オキソシクロペンタンカルボキシレート
−60℃の無水テトラヒドロフラン(200mL)中のカリウムt−ブトキシド(16.53g、147.3ミリモル)の溶液に、無水テトラヒドロフラン(20mL)中の実施例8aの生成物(8.35g、49.1ミリモル)の溶液を、アルゴン下で15分間にわたって滴下によって添加した。この反応混合物を−30℃まで2時間かけて徐々に温め、その後反応物を−60℃まで冷却し、ヨウ化メチル(18.4mL,294.6ミリモル)を滴下によって添加した。次いで、この反応物を室温まで徐々に温め、終夜にわたって撹拌した。この混合物を、冷却された塩化アンモニウム飽和水溶液(600mL)に注ぎ入れた後、有機物をジエチルエーテルで抽出した(250mL×4)。一緒にした有機相をブラインで洗浄し(600mL),無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル/酢酸エチル=50/1)で精製し、淡黄色液体として表題化合物を得た(7.22g、収率:74%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ4.20−4.09(m,2H),2.49−2.41(m,1H),1.98−1.88(m,1H),1.86−1.77(m,2H),1.32(s,3H),1.24(t,J=7.0Hz,3H),1.15(s,3H),1.09(s,3H)ppm.
実施例8c:カリウム1,3,3−トリメチル−2−オキソシクロペンタンカルボキシレート
メタノール(34mL)中の実施例8bの生成物(6.72g、33.9ミリモル)の撹拌溶液に、冷却した水酸化カリウム水溶液(1.0M、68mL、68ミリモル)を添加した。次いで、この反応物を室温で終夜にわたって撹拌した。この物質を次の工程に直接使用した。
実施例8d:2,2,5−トリメチルシクロペンタノン
実施例8cの生成物(7.4g、約35.7ミリモル)のメタノールと水の溶液を、濃塩酸を用いてpH=1の酸性にした後、1時間にわたって加熱還流した。この反応混合物を冷却した後、水(70mL)で希釈し、有機物をジエチルエーテルで抽出した(80mL×4)。一緒にした有機相をブライン(160mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮し、若干の溶媒で汚染された淡黄色液体として表題化合物を得た(4.93g,純度:約85%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ2.26−2.09(m,2H),1.85−1.79(m,1H),1.72−1.64(m,1H),1.54−1.45(m,1H),1.12(d,J=6.8Hz,3H),1.08(s,3H),0.98(s,3H)ppm.
実施例8e:2,2,5−トリメチル−1−トリロメチルシリロキシ)シクロペンタンカルボニトリル
室温のジクロロメタン(120mL)中の実施例8dの生成物(4.93g、約85%純度、約33.2ミリモル)の溶液に、ヨウ化亜鉛(265mg、0.83ミリモル)と次いでトリメチルシランカルボニトリル(4.29g、43.2ミリモル)を添加した。この反応物を室温で4時間にわたって撹拌した。この反応物を減圧下で濃縮し、得られた物質を軽石油エーテル(250mL)に分散させた。次いで、この混合物をシリカゲルのパッドを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、無色液体として表題化合物を得た(6.33g、収率:84%、ジアステレオマー比:4:1)。HNMR(400MHz,CDCl)(主異性体)δ2.30−2.20(m,1H),1.94−1.82(m,1H),1.72−1.50(m,2H),1.38−1.26(m,1H),1.18(d,J=6.8Hz,3H),1.17(s,3H),0.96(s,3H),0.24(s,9H)ppm.
実施例8f:1−ヒドロキシ−2,2,5−トリメチルシクロペンタンカルボニトリル
室温のテトラヒドロフラン(56mL)中の実施例8eの生成物(6.33g、28.1ミリモル)の撹拌溶液に、10%塩酸水溶液(84mL)を添加した。この反応物を4時間にわたって45℃に加熱した。この反応混合物を減圧下で濃縮してテトラヒドロフランを除去し、酢酸エチルを用いて水系残留物を抽出した(80mL×4)。一緒にした有機相をブラインで洗浄し(160mL)、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル/酢酸エチル=100/1→5/1)によって残留物を精製し、ジアステレオマーの混合物としての白色固体として表題化合物を得た(3.82g,収率:89%)。HNMR(400MHz,CDCl)(主異性体)δ2.34(s,1H),2.33−2.24(m,1H),2.01−1.92(m,1H),1.72−1.59(m,2H),1.41−1.31(m,1H),1.24(d,J=6.8Hz,3H),1.23(s,3H),1.04(s,3H)ppm;HNMR(400MHz,CDCl)(少量異性体)δ2.61−2.51(m,1H),2.29(s,1H),2.01−1.91(m,1H),1.80−1.72(m,1H),1.58−1.51(m,1H),1.47−1.38(m,1H),1.16−1.14(m,9H)ppm.
実施例8g:2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテンカルボニル
塩化チオニル(6mL)中の実施例8fの生成物(1.54g、10.0ミリモル)を、密封容器中で終夜にわたって84℃に加熱した。この反応混合物を冷却した後、氷水(100mL)の中に注ぎ入れた。ジエチルエーテルを用いて有機物を抽出した(80mL×4)。一緒にした有機相を重炭酸ナトリウム飽和水溶液(160mL×2)とブライン(160mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮し、茶色オイルとして表題化合物を得た(1.20g、収率:89%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ2.45(t,J=7.4Hz,2H),1.96(s,3H),1.80(t,J=7.4Hz,2H),1.17(s,6H)ppm.
実施例8h:2,5,5−トリメチルシクロペンテン−1−カルバルデヒド
−78℃の無水ジクロロメタン(30mL)中の実施例8gの生成物(600mg、4.44ミリモル)の撹拌溶液に、アルゴン下で水素化ジイソブチルアルミニウム(ヘキサン中1.0M、8.9mL,8.9ミリモル)を添加した。この反応物を2時間にわたって−78℃に維持した。この混合物をジエチルエーテル(150mL)で希釈し、含水硫酸ナトリウムを添加してクエンチした。次いで、この混合物を30分間にわたって撹拌し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル/酢酸エチル=50/1→20/1)によって精製し、淡黄色液体として表題化合物を得た(420mg,収率:68%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ9.98(s,1H),2.45(t,J=7.4Hz,2H),2.10(s,3H),1.67(t,J=7.4Hz,2H),1.22(s,6H)ppm.
実施例8i:イソキノリン−6−イル(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテニル)メタノール
テトラヒドロフラン(10mL)中の6−ブロモイソキノリン(603mg、2.9ミリモル)の溶液を、−78℃のn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、1.8mL、2.9ミリモル)に滴下によって添加し、−78℃で1時間にわたって撹拌した。次いで、テトラヒドロフラン(2mL)の8hの生成物(200mg、1.45ミリモル)を添加し、−78℃で1時間にわたって撹拌した、この反応物を室温までゆっくり温めた。この混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、有機物を酢酸エチルで抽出した。有機相を重炭酸ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た(344mg、収率:89%)。R0.5(2:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ9.22(s,1H),8.51(d,J=5.6Hz,1H),7.98(s,1H),7.90(d,J=8.8Hz,1H),7.67(d,J=6.0Hz,1H),7.54(d,J=8.4Hz,1H),5.65(s,1H),2.30(t,J=7.2Hz,2H),1.69(t,J=6.8Hz,2H),1.63(s,3H),1.17(s,3H),0.93(s,3H)ppm.
実施例8j:イソキノリン−6−イル(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテニル)メタノン
0℃のジクロロメタン(20mL)中の実施例8iの生成物にデス・マーチン試薬(818mg、1.92ミリモル)を添加し、この反応物を0℃で2時間にわたって撹拌した。この混合物に石油エーテルを添加し、次いで濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た(240mg、収率:70%)。R0.7(2:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ9.36(s,1H),8.63(d,J=5.6Hz,1H),8.23(s,1H),8.03(dd,J=8.4Hz,J=1.2Hz,2H),7.80(d,J=6.0Hz,1H),2.50(t,J=7.2Hz,2H),1.86(t,J=7.2Hz,2H),1.48(s,3H),1.28(s,6H)ppm.
実施例8k:(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル)(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテニル)メタノン
酢酸(5mL)中の実施例8jの生成物(240mg、0.94ミリモル)に二酸化白金(50mg)を添加し、この反応物を室温の水素雰囲気下で4時間にわたって撹拌した。この混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶かし、重炭酸ナトリウム飽和水溶液を用いてpH=8に調整した。水層を酢酸エチルで抽出し、一緒にした有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た(108mg、収率:43%)。R0.5(10:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.58(s,1H),7.57(d,J=6.4Hz,1H),7.07(d,J=8.0Hz,1H),4.06(s,2H),3.16(t,J=6.0Hz,2H),2.85(t,J=6.0Hz,2H),2.43(t,J=6.8Hz,2H),1.80(t,J=7.6Hz,2H),1.50(s,3H),1.21(s,6H)ppm.
実施例8:6−(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
ジクロロメタン(10mL)中の実施例8kの生成物(108mg、0.4ミリモル)
の溶液にトリエチルアミン(162mg、1.6ミリモル)とイソシアナトトリメチルシラン(138mg、1.2ミリモル)を添加し、この反応混合物を室温で終夜にわたって撹拌した。この混合物をジクロロメタンで希釈し、有機相を水、塩化アンモニウム飽和水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、白色固体として表題化合物を得た(104mg、収率:83%)。Mp=40.1−41.4℃;R0.3(15:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.64(d,J=4.4Hz,2H),7.20(d,J=8.4Hz,1H),4.64(s,2H),4.57(s,2H),3.64(t,J=6.0Hz,2H),2.96(t,J=6.0Hz,2H),2.44(t,J=6.8Hz,2H),1.80(t,J=7.2Hz,2H),1.50(s,3H),1.21(s,6H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z313(M+H).
実施例9:6−(ヒドロキシ(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
0℃のテトラヒドロフラン(2mL)中の実施例8の生成物(49mg,0.16ミリモル)の溶液に水素化アルミニウムリチウム(36mg、0.94ミリモル)を添加し、この反応物を0℃で2時間にわたって撹拌した。この混合物を含水硫酸ナトリウムを用いてクエンチした後、反応混合物を濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物を酢酸エチルに溶かした。有機相を塩化アンモニウム飽和水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を調製用TLCによって精製し、白色固体として表題化合物を得た(27mg、収率:55%)。Mp=68.6−69.6℃;R0.5(10:1)ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.24(s,1H),7.21(d,J=8.0Hz,1H),7.07(d,J=8.0Hz,1H),5.42(d,J=2.8Hz,1H),4.56(s,2H),4.51(s,2H),3.63(t,J=5.6Hz,2H),2.89(t,J=6.0Hz,2H),2.28(t,J=7.2Hz,2H),1.72(d,J=4.0Hz,1H),1.68−1.64(m,5H),1.06(s,3H),0.97(s,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z315(M+H).
実施例10:6−(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
実施例10a:1,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセノール
−78℃の無水ジエチルエーテル(400mL)中の4,4−ジメチル−2−シクロへキセノン(40.0g,322ミリモル)の撹拌溶液に、メチルリチウムのエーテル溶液を添加した(1.6Mの220mL)。得られた溶液を室温まで温め、18時間にわたって撹拌した。水(200mL)の添加によってこの反応物をクエンチした。相が分離し、水層をジエチルエーテルで抽出した(2×200mL)。一緒にした有機相を水で洗浄し(2×200mL)、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮し、透明な淡黄色固体として表題化合物を得た(41g、収率:90%)。R0.5(5:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ5.46(d,J=10.0Hz,1H),5.43(d,J=10.0Hz,1H),1.73−1.70(m,2H),1.59−1.56(m,1H),1.50−1.45(m,1H),1.27(s,3H),1.01(s,3H),0.95(s,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z123(M−HO+H).
実施例10b:3,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセノン
室温のジクロロメタン(840mL)中のクロロクロム酸ピリジニウム(123g、5
70ミリモル)の撹拌スラリーに、ジクロロメタン(280mL)中の実施例10aの生成物(40.0g、285ミリモル)の溶液を一度に添加した。得られた暗赤色の混合物を18時間にわたって撹拌した後、濾過し、沈殿物をジエチルエーテル(200mL)で洗浄した。濾液を、5%水酸化ナトリウム水溶液(2×200mL)、5%塩酸水溶液(200mL)、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(2×50mL)で連続的に洗浄し、無水硫酸マグネシウムの上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、無色液体として表題化合物を得た(14g、収率:35%)。R0.4(5:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ5.77(s,1H),2.29(t,J=6.0Hz,2H),1.93(s,3H),1.80(d,J=6.0Hz,3H),1.09(s,6H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z139(M+H).
実施例10c:2,2,5,5−テトラメチルシクロヘキサノン
撹拌棒を備えた乾燥した250mLの丸底フラスコにヨウ化第一銅(6.9g、36.2ミリモル)を添加し、セプタムを用いてアルゴン下でシールした。このフラスコを真空ポンプで排気し、アルゴンでパージした。このプロセスを3回繰り返した。このフラスコに無水テトラヒドロフラン(75mL)を注入し、スラリーを−78℃まで冷やし、その時点でメチルリチウム(45mL、72ミリモル)を滴下によって添加した。この混合物を均質になるまで温めた後、−78℃まで再度冷却し、注射器を通して三弗化硼素エーテラート(8.9mL、72ミリモル)を添加した。実施例10bの生成物(5.0g、36.2ミリモル)をそのまま添加し、反応混合物を1.5時間にわたって撹拌した。10%水酸化アンモニウム水溶液/90%塩化アンモニウム水溶液(250mL)の溶液でこの反応物をクエンチした。有機物を酢酸エチル(250mL)で抽出し、有機層を重炭酸ナトリウム飽和水溶液(50mL×2)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥・濃縮して3.5gの無色オイルが得られ、これをシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、無色固体として表題化合物を得た(1.5g,収率:26%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ2.21(s,2H),1.69−1.65(m,2H),1.61−1.57(m,2H),1.09(s,6H),0.94(s,6H);13CNMR(101MHz,CDCl)δ216.36,51.32,44.00,36.89,36.62,34.69,28.5,25.15ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z155(M+H).
実施例10d:2,2,5,5−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)シクロヘキサンカルボニトリル
ジクロロメタン(100mL)中の実施例10cの生成物(2.7g、17.5mol)の混合物にヨウ化亜鉛(140mg、0.44ミリモル)とトリメチルシランカルボニトリル(2.27g、22.8ミリモル)を添加し、この反応物を室温で終夜にわたって撹拌した。有機相を水(20mL)とブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮し、黄色固体として表題化合物を得た(3.8g、収率:86%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ1.81−1.65(m,3H),1.36−1.30(m,3H),1.11(s,3H),1.00(s,6H),0.98(s,3H),0.24(s,9H)ppm.
実施例10e:1−ヒドロキシ−2,2,5,5−テトラメチルシクロヘキサンカルボニトリル
テトラヒドロフラン(29mL)中の実施例10dの生成物(3.8g、15.0mol)の混合物に10%塩酸(75mL)を添加し、この反応物を44℃で5時間にわたって撹拌した。この反応物を減圧下で濃縮し、残留物をジエチルエーテルで希釈した。有機相を水(20mL)とブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって残留物を精製し、
無色オイルとして表題化合物を得た(2.22g、収率:82%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ2.21(s,1H),1.87(d,J=14.4Hz,1H),1.72(d,J=14.4Hz,1H),1.66−1.60(m,1H),1.42−1.34(m,3H),1.17(s,3H),1.06(s,3H),1.05(s,3H),1.04(s,3H)ppm.
実施例10f:3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキセン−1−カルボニトリル
ピリジン(40mL)中の実施例10eの生成物(2.22g,12.3ミリモル)の混合物に塩化チオニル(4.4mL、61.3ミリモル)を添加し、この反応物を室温で2時間にわたって撹拌した。5Nの塩酸を用いてこの反応物をpH=1の酸性にした後、氷水(20mL)の中に注ぎ入れた。この水性混合物を酢酸エチルで抽出し(20ml×3)、有機相を水(20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、無色オイルとして表題化合物を得た(600mg、収率:30%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ6.23(s,1H),1.56(t,J=2.8Hz,2H),1.56−1.43(m,4H),1.16(s,6H),1.03(s,6H)ppm.
実施例10g:3,6,6−テトラメチルシクロヘキセン−1−カルバルデヒド
−78℃のドライなジクロロメタン(12.5mL)中の実施例10fの生成物(500mg、3.07ミリモル)の混合物に水素化ジイソブチルアルミニウム(6.5mL、6.14ミリモル)を添加し、この反応物を室温まで温め、約2.5時間にわたって撹拌した。含水硫酸ナトリウムを添加し、反応物をクエンチした。この反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって残留物を精製し、無色オイルとして表題化合物を得た(360mg、収率:71%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ9.31(s,1H),6.33(s,1H),1.55−1.49(m,4H),1.20(s,6H),1.10(s,6H)ppm.
実施例10h:イソキノリン−6−イル(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセニル)メタノール
テトラヒドロフラン(8mL)中の6−ブロモイソキノリン(416mg、2ミリモル)の溶液を−78℃のn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、1.25mL、2ミリモル)に滴下によって添加し、この反応物を30分間にわたって撹拌した。テトラヒドロフラン(2mL)中の実施例10gの生成物(150mg、1ミリモル)の溶液を添加し、この反応物を−78℃で1時間にわたって撹拌した後、室温までゆっくりと温めた。塩化アンモニウム飽和水溶液を添加してこの混合物をクエンチし、この混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を重炭酸ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって残留物を精製し、表題化合物を得た(167.3mg、収率:63%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ9.22(s,1H),8.52(d,J=6.0Hz,2H),7.96(d,J=8.8Hz,2H),7.49(d,J=8.4Hz,1H),5.49(s,1H),5.32(d,J=15.2Hz,1H),1.63−1.44(m,4H),1.21(s,3H),1.01(s,3H),0.97(s,3H),0.91(s,3H)ppm.
実施例10i:イソキノリン−6−イル(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセニル)メタノン
室温のジクロロメタン(10mL)中の実施例10hの生成物(167.3mg、0.57ミリモル)に重炭酸ナトリウム(50mg)とデス・マーチン試薬(365mg、0.85ミリモル)を添加し、この反応物を室温で終夜にわたって撹拌した。この混合物を
減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって残留物を精製し、無色オイルとして表題化合物を得た(130mg、収率:78%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ9.32(s,1H),8.61(d,J=6.0Hz,1H),8.09(s,1H),8.02(d,J=8.4Hz,1H),7.91(d,J=8.4Hz,1H),7.73(d,J=6.0Hz,1H),5.91(s,1H),1.66−1.59(m,4H),1.31(s,6H),1.07(s,6H)ppm.
実施例10j:(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル)(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセニル)メタノン
酢酸(2mL)中の実施例10iの生成物(130mg、0.47ミリモル)に二酸化白金(20mg)を添加し、この反応混合物を水素雰囲気下で3時間にわたって撹拌した。この混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって残留物を精製し、表題化合物を得た(59mg、収率:42%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ7.50(s,1H),7.49(d,J=8.0Hz,1H),7.06(d,J=8.0Hz,1H),5.77(s,1H),4.11(s,2H),3.21(t,J=5.6Hz,2H),2.90(t,J=5.6Hz,2H),2.32(s,1H),1.58(s,4H),1.24(s,6H),1.05(s,6H)ppm.
実施例10:6−(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
ジクロロメタン(5mL)中の実施例10jの生成物(59mg、0.2ミリモル)の溶液にトリエチルアミン(110mg、1.0ミリモル)とイソシアナトトリメチルシラン(94mg、0.8ミリモル)を添加し、室温で終夜にわたって撹拌した。この混合物をジクロロメタンで希釈し、水、塩化アンモニウム飽和水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって残留物を精製し、白色固体として表題化合物を得た(47mg、収率:69%)。Mp=78.6−79.7℃;R0.3(10:1ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.56(s,1H),7.53(d,J=8.0Hz,2H),7.17(d,J=7.6Hz,1H),5.79(s,1H),4.63(s,2H),4.52(s,2H),3.64(t,J=6.0Hz,2H),2.94(t,J=6.0Hz,2H),1.59(s,4H),1.24(s,6H),1.06(s,6H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z341(M+H).
実施例11:6−(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
実施例11a:(E)−(2,2−ジメチルシクロヘプチリデン)メタノール
0℃のトルエン(90mL)中の粉末状ナトリウム・メトキシド(3.0g、56.16ミリモル)の撹拌混合物に、シクロヘプタノン(6.0g、53.49ミリモル)とギ酸エチル(7.92g,106.98ミリモル)を添加した。この混合物を室温まで温め、終夜にわたって撹拌した。氷水(70mL)を添加し、有機相が分離した。この有機相を5%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し(30mL×2)、一緒にした水相を2N塩酸を用いてpH=2の酸性にした後、酢酸エチルで抽出した(120mL×3)。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル/酢酸エチル=80/1)によって残留物を精製し、無色オイルとして表題化合物を得た(4.26g、収率:57%)。R=0.6(20:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz
,CDCl)δ14.68(d,J=9.2Hz,1H),7.63(d,J=9.2Hz,1H),2.55−2.52(m,2H),2.26−2.24(m,2H),1.76−1.58(m,6H)ppm.
実施例11b:(E)−2−(イソプロポキシメチレン)シクロヘプタノン
アセトン(100mL)中の粉末状炭酸カリウム(6.3g、45.48ミリモル)の懸濁液に実施例11aの生成物(4.26g、30.19ミリモル)と2−ヨードプロパン(3.8mL、37.49ミリモル)を添加した。この混合物を終夜にわたって還流した。この反応物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(90mL)に溶かし、有機相を5%水酸化ナトリウム水溶液(60mL×2)とブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮し、淡黄色オイルとして表題化合物を得た(5.6g、収率:95%)。R=0.5(20:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.38(s,1H),4.22−4.16(m,1H),2.56−2.53(m,2H),2.41−2.39(m,2H),1.77−1.57(m,6H),1.29(d,J=6.0Hz,6H)ppm.
実施例11c:(E)−7−(イソプロポキシメチレン)−2,2−ジメチルシクロヘプタノン
0℃の無水テトラヒドロフラン(140mL)中のカリウムt−ブトキシド(10.3g、92.18ミリモル)の混合物に、アルゴン下で実施例11bの生成物(5.6g、30.49ミリモル)と次いでヨウ化メチル(9.56mL、153.62ミリモル)を添加した。この混合物を室温で4.5時間にわたって撹拌した。この混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した後、残留物を酢酸エチル(60mL)に溶かした。有機相を5%水酸化ナトリウム水溶液(60mL×2)とブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル/酢酸エチル=70/1)によって残留物を精製し、無色オイルとして表題化合物を得た(3.82g、収率:59%)。R=0.6(20:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.15(s,1H),4.21−4.15(m,1H),2.91−2.86(m,1H),2.75−2.70(m,1H),1.98−1.90(m,4H),1.68−1.54(m,2H),1.18(d,J=6.8Hz,6H),1.06(d,J=6.8Hz,3H).
実施例11d:2,2−ジメチルシクロヘプタノン
エタノール(6mL)中の11cの生成物(620mg、3.44ミリモル)の溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液(水6g中の水酸化ナトリウム1.45g)を添加した。得られた混合物を9時間にわたって加熱還流した。この反応混合物に水(5mL)を添加し、軽石油エーテルを用いて反応物を抽出した。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル/酢酸エチル=60/1)によって残留物を精製し、無色オイルとして所望の化合物を得た。R=0.7(20:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ2.54−2.51(m,2H),1.67−1.61(m,4H),1.50−1.49(m,2H),1.33−1.24(m,2H),1.08(s,6H).
実施例11e:2,2−ジメチル−1−(トリメチルシリロキシ)シクロヘプタンカルボニトリル
室温のジクロロメタン(15ml)中の実施例11dの生成物(500mg、3.57ミリモル)の溶液にヨウ化亜鉛(22.8mg、0.071ミリモル)と続いてトリメチルシランカルボニトリル(460.6g、4.62ミリモル)を添加した。この反応物を室温で2時間にわたって撹拌した。石油エーテルを添加し、この反応混合物を濾過し、追
加の石油エーテルを用いて固体を洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、赤色オイルとして表題化合物を得た(700mg、収率:82%)。R=0.9(20:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ1.98(t,J=5.0Hz,2H),1.65−1.54(m,8H),1.11(s,3H),1.01(s,3H),0.24(s,9H)ppm.
実施例11f:ヒドロキシ−2,2−ジメチルシクロヘプタンカルボニトリル
テトラヒドロフラン(8mL)中の実施例11eの生成物(700mg、2.92ミリモル)の溶液に10%塩酸(12mL)を添加した。この反応物を室温で終夜にわたって撹拌した。次いで、この反応混合物を水(10ml)で希釈し、有機物を酢酸エチルで抽出した(20mL×3)。一緒にした有機相をブラインで洗浄し(40mL),無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル/酢酸エチル=50/1)によって残留物を精製し、無色オイルとして表題化合物を得た(430mg、収率:88%)。R=0.3(20:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ2.16(s,1H),2.01−1.98(m,2H),1.73−1.50(m,8H),1.17(s,3H),1.05(s,3H)ppm.
実施例11g:7,7−ジメチル−1−シクロヘプテンカルボニトリル
ピリジン(17.5mL)中の実施例11fの生成物(420mg、2.51ミリモル)の混合物に塩化チオニル(0.91mL、12.56ミリモル)を添加した。この反応物を室温で2時間にわたって撹拌した。6Nの塩酸を用いてこの反応混合物をpH=1の酸性にした後、有機物を酢酸エチルで抽出した(20mL×3)。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル/酢酸エチル=70/1)によって残留物を精製し、無色オイルとして表題化合物を得た(210mg、収率:56%)。R=0.6(20:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ6.60(t,J=6.2Hz,2H),2.33−2.29(m,2H),1.78−1.72(m,2H),1.67−1.62(m,4H),1.23(s,6H)ppm.
実施例11h:7,7−ジメチルシクロヘプテン−1−カルバルデヒド
−78℃のアルゴン下の無水ジクロロメタン(15mL)中の実施例11の生成物(274mg、1.84ミリモル)の撹拌溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウム(ヘキサン中1.0M、3.7mL,3.7ミリモル)を注射器により滴下によって添加した。この反応物を−78℃で2時間にわたって撹拌した後、ジエチルエーテル(30mL)で希釈し、テトラヒドロフラン/水(3mL、5/1)を滴下によって添加してクエンチした。得られた混合物を室温まで温め、30分間にわたって撹拌した。この反応物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:軽石油エーテル/酢酸エチル=30/1)によって残留物を精製し、無色液体として表題化合物を得た(214mg、純度:約83%)。R=0.6(20:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ9.27(s,1H),6.63(t,J=6.0Hz,1H),2.49−2.44(m,2H),1.77−1.72(m,4H),1.67−1.64(m,2H),1.25(s,6H)ppm.
実施例11i:(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテニル)(イソキノリン−6−イル)メタノール
テトラヒドロフラン(8mL)中の6−ブロモイソキノリン(416mg、2ミリモル)の溶液を、−78℃のn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、1.25mL、2ミリモル)に滴下によって添加し、−78℃で30分間にわたって撹拌した。次いで、テト
ラヒドロフラン(2mL)中の実施例11hの生成物(150mg、1ミリモル)を添加し、この反応物を−78℃で1時間にわたって撹拌した後、室温までゆっくりと温めた。この混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、有機物を酢酸エチルで抽出した。有機相を重炭酸ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって残留物を精製し、表題化合物を得た(124mg、収率:45%)。R=0.3(2:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ9.22(s,1H),8.52(d,J=6.0Hz,1H),7.92(s,1H),7.90(d,J=8.8Hz,1H),7.66(d,J=5.6Hz,1H),7.50(d,J=9.2Hz,1H),5.74(t,J=6.4Hz,1H),5.54(s,1H),2.20−2.15(m,2H),1.81−1.55(m,6H),1.25(s,3H),1.14(s,3H)ppm.
実施例11j:(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテニル)(イソキノリン−6−イル)メタノン
0℃のジクロロメタン(5mL)中の実施例11iの生成物にデス・マーチン試薬(280mg、0.66ミリモル)を添加し、この反応物を0℃で1時間にわたって撹拌した。この反応混合物を石油エーテルに添加して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって残留物を精製し、表題化合物を得た(104mg、収率:85%)。R=0.4(5:1=石油エーテル/酢酸エチル);HNMR(400MHz,CDCl)δ9.33(s,1H),8.62(d,J=5.6Hz,1H),8.25(s,1H),8.08−8.02(m,2H),7.78(d,J=6.0Hz,1H),5.99(t,J=6.0Hz,1H),2.37−2.33(m,2H),1.90−1.72(m,6H),1.28(s,6H)ppm.
実施例11k:(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテニル)(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル)メタノン
室温の酢酸(2mL)中の実施例11jの生成物(104mg、0.37ミリモル)に二酸化白金(20mg)を添加し、この反応物を水素雰囲気下で3時間にわたって撹拌した。この混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶かし、炭酸ナトリウム飽和水溶液を用いてpH=8に調整した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって残留物を精製し、表題化合物を得た(79mg、収率:75%)。R0.5(10:1=ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.58(s,1H),7.61(s,1H),7.60(d,J=6.8Hz,1H),7.06(d,J=8.0Hz,1H),5.83(t,J=6.0Hz,1H),4.06(s,2H),3.16(t,J=6.0Hz,2H),2.86(t,J=6.0Hz,2H),2.30(dd,J=12.0Hz,J=6.4Hz,2H),1.85−1.80(m,2H),1.73−1.69(m,4H),1.21(s,6H)ppm.
実施例11:6−(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
ジクロロメタン(5mL)中の実施例11k(77mg、0.27ミリモル)の溶液にトリエチルアミン(110mg、1.09ミリモル)とイソシアナトトリメチルシラン(94mg、0.82ミリモル)を添加し、この反応物を室温で終夜にわたって撹拌した。この混合物をジクロロメタンで希釈し、有機相を塩化アンモニウム飽和水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を調製用TLCによって精製し、白色固体として表題化合物を得た(67mg、収率:75%)。R0.6(10:1)ジクロロメタン/メタノール);HN
MR(400MHz,CDCl)δ7.68(d,J=4.4Hz,2H),7.19(d,J=8.4Hz,1H),5.85(t,J=6.0Hz,1H),4.63(s,2H),4.56(s,2H),3.64(t,J=6.0Hz,2H),2.96(t,J=5.6Hz,2H),2.31(dd,J=11.6Hz,J=6.0Hz,2H),1.85−1.81(m,2H),1.72−1.70(m,4H),1.22(s,6H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z327(M+H).
実施例12:6−((7,7−ジメチル−1−シクロヘプテニル)(ヒドロキシ)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
0℃のテトラヒドロフラン(2mL)中の実施例11の生成物(59mg、0.18ミリモル)の溶液に水素化アルミニウムリチウム(41mg、1.08ミリモル)を添加し、この反応物を0℃で1.5時間にわたって撹拌した。この混合物を含水硫酸ナトリウムでクエンチした後、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物を酢酸エチルに溶かし、有機相を塩化アンモニウム飽和水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を調製用TLCによって精製し、白色固体として表題化合物を得た(19mg、収率:32%)。R0.5(10:1)ジクロロメタン/メタノール;HNMR(400MHz,CDCl)δ7.19(d,J=5.2Hz,2H),7.08(d,J=8.4Hz,1H),5.87(t,J=6.4Hz,1H),5.32(s,1H),4.56(s,2H),4.53(s,2H),3.63(t,J=5.6Hz,2H),2.89(t,J=6.0Hz,2H),2.22(dd,J=11.6Hz,J=6.4Hz,2H),1.77−1.72(m,2H),1.65(d,J=4.0Hz,1H),1.61−1.58(m,4H),1.18(s,3H),1.00(s,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z329(M+H).
実施例13:6−((R)−1−ヒドロキシ−1−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)エチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
実施例13a:イソキノリン−6−イル((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メタノン
0℃のジクロロメタン(8mL)中の実施例3cの生成物(200mg、0.71ミリモル)の溶液にデス・マーチン試薬(450mg、1.06ミリモル)を添加し、この反応物を1時間にわたって撹拌した。この混合物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液でクエンチし、有機物を酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって残留物を精製し、表題化合物を得た(189mg、収率:95%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ9.33(s,1H),8.63(d,J=6.0Hz,1H),8.40(s,1H),8.16−8.14(m,1H),8.05(d,J=8.8Hz,1H),7.81(d,J=5.6Hz,1H),3.17(d,J=10.8Hz,1H),2.11−2.04(m,1H),1.86−1.82(m,1H),1.68−1.40(m,4H),1.36−1.11(m,1H),1.02(s,3H),0.81(d,J=6.8Hz,3H),0.79(s,3H).
実施例13b:(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル)((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メタノン
酢酸(2mL)中の実施例13aの生成物(178mg、0.63ミリモル)の溶液に二酸化白金(25mg)を添加し、この反応物を水素雰囲気下の室温で4時間にわたって撹拌した。この混合物をジクロロメタン(40mL)で希釈し、1NのNaOH(35mL)を用いて塩基性にし、有機相を分離させた。水層をジクロロメタン(30mL)で抽出した。一緒にした有機相をブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で
乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィー(溶離剤:ジクロロメタン/メタノール=50/1→10/1)によって残留物を精製し、暗褐色オイルとして表題化合物を得た(130mg、収率:72%)。HNMR(400MHz,CDCl)δ7.76(d,J=8.4Hz,1H),7.73(s,1H),7.13(d,J=8.4Hz,1H),4.18(s,2H),3.28(t,J=6.2Hz,2H),3.01(t,J=6.2Hz,2H),2.11−2.02(m,1H),1.81−1.77(m,1H),1.61−1.54(m,2H),1.44−1.41(m,1H),1.34−1.24(m,3H),1.10−0.98(m,4H),0.77(s,3H),0.74(d,J=6.4Hz,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z286(M+H).
実施例13c:(R)−1−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル)((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)エタノール
−78℃のアルゴン下の無水テトラヒドロフラン(6mL)中の実施例13bの生成物(95mg、0.33ミリモル)の撹拌溶液に、メチルリチウム(ジエチルエーテル中1.6M)(1.04mL、1.66ミリモル)を添加した。この反応物を−78℃で1時間にわたって撹拌した後、反応物を徐々に室温まで温め、撹拌を終夜にわたって継続した。反応物を塩化アンモニウム飽和水溶液(25mL)でクエンチし、有機物を酢酸エチルで抽出した(25mL×3)。一緒にした有機相をブラインで洗浄し(40ml)、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィー(溶離剤:ジクロロメタン/メタノール=50/1→5/1)によって残留物を精製し、不純物を含む30gの黄色オイルとして表題化合物が得られ、これを次の工程に直接使用した。マススペクトル(ESI+ve)m/z302(M+H).
実施例13:6−((R)−1−ヒドロキシ−1−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)エチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
ジクロロメタン(2mL)中の実施例13cの粗生成物の化合物(28mg、0.1ミリモル)の溶液にトリエチルアミン(55mg、0.5ミリモル)とイソシアナトトリメチルシラン(47mg、0.4ミリモル)を添加した。この反応物を室温で終夜にわたって撹拌した。この混合物をジクロロメタンで希釈し、水、塩化アンモニウム飽和水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、及びブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムの上で乾燥し、減圧下で濃縮し、黄色オイルとして表題化合物を得た(15mg)。マススペクトル(LCESI+ve)m/z345(M+H).
実施例14:6−(ヒドロキシ(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド
0℃のドライなテトラヒドロフラン(3mL)中の実施例10の生成物(6.9mg、0.02ミリモル)の溶液に水素化アルミニウムリチウム(7.8mg、0.2ミリモル)を添加し、この反応混合物を室温までゆっくりと温め、1時間にわたって撹拌した。この反応混合物を含水硫酸ナトリウムでクエンチし、15分間にわたって撹拌し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、表題化合物を得た。R0.2(10:1ジクロロメタン/メタノール);HNMR(400MHz,CDCl)δ7.18(d,J=8.4Hz,2H),7.07(d,J=7.6Hz,1H),5.49(s,1H),5.26(s,1H),4.56(s,2H),4.50(s,2H),3.62(t,J=6.0Hz,2H),2.89(d,J=6.0Hz,2H),1.60(s,4H),1.16(s,3H),1.00(s,3H),0.98(s,3H),0.85(s,3H)ppm;マススペクトル(ESI+ve)m/z343(M+H).
−生物系の例−
本発明を実施するにおいて、特定の緩衝剤、媒体、試薬、細胞、培養条件などについての言及は、当然ながら限定されることを意図するものではなく、本説明を述べた特定の文脈において当業者が興味又は価値を認識すると考えられるものに関連する全てを包含すると理解すべきである。例えば、1つの緩衝系又は培地を別なものに代えることができ、理想的ではなくても、それでも同様な結果が達成できることが多い。当業者は、過度な実験なしに、本願に開示の方法と手順を用い、目的に対して最適にする代替が実施可能なシステムと方法について、十分な知識を有するものと考えられる。
本発明を、以下の非限定的例についてより詳細に説明する。これらの特定の方法と例は、本発明を本願に記載の態様に何ら限定するものではなく、別の態様や用途は、当然ながら当業者に示唆を与え得ると理解すべきである。
−試薬−
モノクローナル抗ロドプシン1D4抗体は、ブリティッシュコロンビア大学から購入することができる。
−株細胞と培養条件−
オプシンタンパク質を発現する安定な株細胞は、Flp−lnT−Rex系を用いて産生した。安定な細胞は、5%CO存在下の37℃で、10体積%のウシ胎仔血清、抗生物質/抗真菌の溶液、5μ/mLのブラストサイジンとハイグロマイシンで補充したDMEM高グルコース培地の中で成長させた。すべての実験について、細胞は集密に達するのを許容し、培地交換後に1μg/mLのテトラサイクリンでオプシンを産生させた後、化合物を添加した。プレートは、48時間にわたって培養した後、細胞を収集した。
−SDS−PAGEとウエスタンブロット法−
タンパク質はSDS−PAGEゲル上に分離し、「ノルウェツ等著、J.Biol.Chem.279,16278−16284(2004)」の記載のようにしてウエスタンブロット法に供した。
黄斑変性症の治療における本発明の化合物のインビボ効率は、当該技術でよく知られる種々のテストによって実証することができる。例えば、この症状の全体的診断、あるいは眼の中のA2E、リポフスチン、又はドルーゼのような有毒な視覚サイクル生成物の蓄積を示すといった黄斑変性症の診断に基づいてヒト患者を選択する。式(1)のような本発明の化合物が試験グループに投与され、同時にPBSやDMSOのようなプラセボが対照グループに投与され、この対照グループは、試験グループよりも大きい又は若干小さくてもよい。テスト化合物が、一回だけ又は順次に(例えば、毎週又は毎日)、あるいは別なある所定スケジュールで投与される。
テスト化合物の投与は、通常、経口又は非経口の手段で、黄斑変性症の発生及び/又は再発を遅延させるのに有効な量で行われる。有効な投与量は、一般に、約1〜5000mg/kgの範囲、又は10〜2000mg/kgの範囲である。投与は、1日あたり複数の用量であってもよい。
黄斑変性症の進行を遅らせるテスト化合物の効力は、眼科視力の向上で測定され、例えば、早期治療糖尿病RP研究(ETDRS)チャート(ライトハウス、ロングアイランド、NY)を使用する。効力を追跡・評価する別の手段は、患者の眼において、N−レチニリデン−ホスファチジルエタノールアミン、ジヒドロ−N−レチニリデン−N−レチニル−ホスファチジルエタノールアミン、N−レチニリデン−N−レチニル−ホスファチジルエタノールアミン、ジヒドロ−N−レチニリデン−N−レチニル−エタノールアミン、及び/又はN−レチニリデン−ホスファチジルエタノールアミンのような指示薬の自己蛍光
又は吸収スペクトルを測定・監視することによる。自己蛍光は、種々の型式の装置を用いて監視し、例えば、共焦点レーザー走査検眼鏡による。
網膜色素上皮(RPE)におけるリポフスチンの蓄積は、網膜の種々の変性疾患において観察される共通の病理学的特徴である。リポフスチン顆粒内に存在する有害なビタミンAに由来する蛍光色素分子(A2E)は、RPEと光受容細胞の死に関連している。こうした実験は、動物モデルを採用することができ、血清ビタミンA(レチノール)の減少に伴う治療法の効果を評価する促進されたリポフスチン蓄積を証拠とする。スタルガルト病遺伝子(ABCA4)におけるヌル変異を持つマウスに対するテスト化合物の投与は、血清レチノールとレチノール結合タンパク質の低下、及びRPEにおけるA2Eとリポフスチン自己蛍光の蓄積の阻止を生み出す。
テスト動物は、リポフスチンのような毒性色素の堆積低下におけるテスト化合物の効能試験に利用可能である。例えば、こうした毒性生成物の高い産生を示すマウスが生み出されている。こうしたマウスは刊行物に記載されており、(例えば、ウイダー等、米国特許公開第2006−0167088号参照)、その価値と有用性は、当業者によく知られている。
光毒性に対して保護する本発明の化合物の効果の実証は、当該技術でよく知られる方法によって首尾よく行われる(例えば、シーウイング等著、PNAS、98巻、頁1835〜40、2001年、参照)。
−生物系の実施例1−
−ロドプシン生成と再生−
P23H細胞は、高グルコース、ブラストサイジン(5μg/mL)、及びハイグロマイシン(100μg/mL)を含むDMEM中の10cmプレートで集密度まで成長させた。この細胞は、テトラサイクリン(1μg/mL)を用いて培養し、DMSO(媒体)又は異なる濃度のテスト化合物(0.3μM、1μM、3μM、10μM、30μM、及び80μM)のいずれかで処理した。24時間後、培地を除去し、化合物とともに新しい培地をプレートに添加した。β−イオノン(20μM)を実験の陽性対照として使用した。最初の処理から48時間後に細胞を回収した。以降の手順はいずれも、暗赤色灯の下で行った(>660nm)。細胞は、PBSを用いて2回洗浄し、9−シス−レチナール(20μM)を含む1mLのPBS中で室温にて1時間にわたって培養した。再生の後、細胞は、PBSを用いて洗浄し、1%のn−ドデシル−β−マルトシドと溶解用のプロテアーゼ阻害剤(ロシュ社)を含むPBS中で4℃にて1時間にわたって培養した。細胞溶解物は、卓上型ベックマン超遠心分離機で36000Gにて10分間にわたって遠心分離した。上澄を除去し、全てのサンプル中のタンパク質を推定した(DCタンパク質アッセイ、バイオラド社)。同じ量(5μg)のタンパク質を、先に調製した1D4結合臭化シアン活性化のセファロース4Bビーズの上に、4℃で1時間にわたって負荷した。即ち、セファロース4Bビーズを、オプシンのC終端を認識する1D4抗体で抱合した。ビーズは、いずれも0.1%のn−ドデシル−β−Dマルトシドを含む、PBSで3回及びリン酸ナトリウム緩衝剤(10mM、pH6.0)を用いて2回にわたり、十分に洗浄した。タンパク質は、オプシンタンパク質のC終端に対応する合成9アミノ酸ペプチドを含むリン酸ナトリウムの中に溶出させた。溶出したロドプシンは、1nmの増分で250〜650nmのUVから可視光の範囲を走査する分光光度計で分析した。
表1は、β−イオノン(対照化合物1)とテスト化合物の結果を含み、480〜500nmの吸光度がDMSO標準に対する折り畳みの増加として表わされる。図1は、生物系の実施例1における対照化合物1を用いたスペクトル結果を示す。
Figure 2017141279
−別の実験−
上述した説明から、種々の使用や状態に適合するように本願に記載の本発明に変化や変更を加え得ることは明らかであろう。そうした態様もまた特許請求の範囲に含まれる。
本願における可変要素として列挙した定義に関する説明には、列挙した要素の1つの要素又は組み合わせ(又はサブコンビネーション)としての可変要素の定義が含まれる。本願におけるある態様の説明には、1つの態様又は別な態様もしくはその一部との組み合わせの態様が含まれる。
本明細書において引用した特許や刊行物はいずれも、個々の独立した特許や刊行物が具体的に個々に参照して取り入れられると明示されている場合と同等の程度で、本願においても参照して取り入れられる。

Claims (79)

  1. 式(1)の構造を有する化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物を含む)。
    Figure 2017141279
    ここで、Aは、1)又は2)であり、
    Figure 2017141279
    とRは、独立して、1)水素、2)−CH、又は3)−CHCHであり;
    は、1)水素、2)−CH、3)−CHCH、又は4)重陽子であり;
    は、1)水素、2)−CH、又は3)重陽子であり;
    とRは、それぞれ独立して、1)水素、又は2)−CHであり;
    Tは、1)CH、2)CHCH、又は3)無しであり;
    とRは、それぞれ独立して、1)水素、2)ヒドロキシル、又は3)低級アルキルであり;
    とRは、統合するとオキソ(=O)であり;
    X−Yは、1)−N(CONH)−CH−、又は2)−CH−N(CONH)−である。
  2. はヒドロキシでRは水素又は低級アルキルである請求項1に記載の化合物。
  3. とRは、それぞれ独立してメチル又はエチルである請求項1に記載の化合物。
  4. とRは、それぞれ独立して水素又はメチルである請求項1に記載の化合物。
  5. とRは、それぞれ独立してメチル又はエチルである請求項2に記載の化合物。
  6. とRは、それぞれ独立して水素又はメチルである請求項2に記載の化合物。
  7. とRは、それぞれ独立して水素又はメチルである請求項3に記載の化合物。
  8. はヒドロキシでRは水素又は低級アルキルであり、RとRはそれぞれ独立してメチル又はエチルであり、RとRは水素又はメチルである請求項1に記載の化合物。
  9. はヒドロキシでRは水素又はメチルである請求項1に記載の化合物。
  10. とRは、それぞれメチルである請求項1に記載の化合物。
  11. とRは、それぞれ水素である請求項1に記載の化合物。
  12. は、水素又はメチルである請求項1に記載の化合物。
  13. とRは、それぞれメチルである請求項9に記載の化合物。
  14. とRは、それぞれ水素である請求項9に記載の化合物。
  15. は、水素又はメチルである請求項9に記載の化合物。
  16. とRは、それぞれ水素である請求項10に記載の化合物。
  17. は、水素又はメチルである請求項10に記載の化合物。
  18. は、水素又はメチルである請求項11に記載の化合物。
  19. はヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRはそれぞれメチルであり、RとRはそれぞれ水素であり、Rは水素又はメチルである請求項1に記載の化合物。
  20. 、R、及びRは、それぞれメチルである請求項1に記載の化合物。
  21. はヒドロキシでRは水素又はメチルである請求項1に記載の化合物。
  22. とRは、それぞれ水素である請求項1に記載の化合物。
  23. X−Yは、−N(CONH)−CH−である請求項1に記載の化合物。
  24. はヒドロキシでRは水素又はメチルである請求項20に記載の化合物。
  25. とRは、それぞれ水素である請求項20に記載の化合物。
  26. X−Yは、−N(CONH)−CH−である請求項20に記載の化合物。
  27. とRは、それぞれ水素である請求項21に記載の化合物。
  28. X−Yは、−N(CONH)−CH−である請求項21に記載の化合物。
  29. X−Yは、−N(CONH)−CH−である請求項22に記載の化合物。
  30. 、R、及びRはそれぞれメチルであり、RはヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRは両方とも水素であり、X−Yは−N(CONH)−CH−である請求項1に記載の化合物。
  31. 式(1)の化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物を含む)の治療的有効量を含む組成物。
    Figure 2017141279
    ここで、Aは、1)又は2)であり、
    Figure 2017141279
    とRは、独立して、1)水素、2)−CH、又は3)−CHCHであり;
    は、1)水素、2)−CH、3)−CHCH、又は4)重陽子であり;
    は、1)水素、2)−CH、又は3)重陽子であり;
    とRは、それぞれ独立して、1)水素、又は2)−CHであり;
    Tは、1)CH、2)CHCH、又は3)無しであり;
    とRは、それぞれ独立して、1)水素、2)ヒドロキシル、又は3)低級アルキルであり;
    とRは、統合するとオキソ(=O)であり;
    X−Yは、1)−N(CONH)−CH−、又は2)−CH−N(CONH)−である。
  32. はヒドロキシでRは水素又は低級アルキルである請求項31に記載の組成物。
  33. とRは、それぞれ独立してメチル又はエチルである請求項31に記載の組成物。
  34. とRは、それぞれ独立して水素又はメチルである請求項31に記載の組成物。
  35. とRは、それぞれ独立してメチル又はエチルである請求項32に記載の組成物。
  36. とRは、それぞれ独立して水素又はメチルである請求項32に記載の組成物。
  37. とRは、それぞれ独立して水素又はメチルである請求項33に記載の組成物。
  38. はヒドロキシでRは水素又は低級アルキルであり、RとRはそれぞれ独立してメチル又はエチルであり、RとRは水素又はメチルである請求項31に記載の組成物。
  39. はヒドロキシでRは水素又はメチルである請求項31に記載の組成物。
  40. とRは、それぞれメチルである請求項31に記載の組成物。
  41. とRは、それぞれ水素である請求項31に記載の組成物。
  42. は、水素又はメチルである請求項31に記載の組成物。
  43. とRは、それぞれメチルである請求項39に記載の組成物。
  44. とRは、それぞれ水素である請求項39に記載の組成物。
  45. は、水素又はメチルである請求項39に記載の組成物。
  46. とRは、それぞれ水素である請求項40に記載の組成物。
  47. は、水素又はメチルである請求項40に記載の組成物。
  48. は、水素又はメチルである請求項41に記載の組成物。
  49. はヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRはそれぞれメチルであり、RとRはそれぞれ水素であり、Rは水素又はメチルである請求項31に記載の組成物。
  50. 、R、及びRは、それぞれメチルである請求項31に記載の組成物。
  51. はヒドロキシでRは水素又はメチルである請求項31に記載の組成物。
  52. とRは、それぞれ水素である請求項31に記載の組成物。
  53. X−Yは、−N(CONH)−CH−である請求項31に記載の組成物。
  54. はヒドロキシでRは水素又はメチルである請求項50に記載の化合物。
  55. とRは、それぞれ水素である請求項50に記載の化合物。
  56. X−Yは、−N(CONH)−CH−である請求項50に記載の組成物。
  57. とRは、それぞれ水素である請求項51に記載の組成物。
  58. X−Yは、−N(CONH)−CH−である請求項51に記載の組成物。
  59. X−Yは、−N(CONH)−CH−である請求項52に記載の組成物。
  60. 、R、及びRはそれぞれメチルであり、RはヒドロキシでRは水素又はメチルであり、RとRは両方とも水素であり、X−Yは−N(CONH)−CH−である請求項3に記載の組成物。
  61. オプシンタンパク質と式(1)の化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物を含む)とを接触させることを含む、視覚サイクル生成物の形成又は蓄積を阻害する方法。
    Figure 2017141279
    ここで、Aは、1)又は2)であり、
    Figure 2017141279
    とRは、独立して、1)水素、2)−CH、又は3)−CHCHであり;
    は、1)水素、2)−CH、3)−CHCH、又は4)重陽子であり;
    は、1)水素、2)−CH、又は3)重陽子であり;
    とRは、それぞれ独立して、1)水素、又は2)−CHであり;
    Tは、1)CH、2)CHCH、又は3)無しであり;
    とRは、それぞれ独立して、1)水素、2)ヒドロキシル、又は3)低級アルキルであり;
    とRは、統合するとオキソ(=O)であり;
    X−Yは、1)−N(CONH)−CH−、又は2)−CH−N(CONH)−である。
  62. 該視覚サイクル生成物が有毒な視覚サイクル生成物である請求項61に記載の方法。
  63. 該有毒な視覚サイクル生成物が、リポフスチン又はN−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミン(A2E)である請求項62に記載の方法。
  64. 該化合物が該オプシンタンパク質の誤局在化を低減する請求項61に記載の方法。
  65. 該化合物が該オプシンタンパク質に水素結合によって結合する請求項64に記載の方法。
  66. 該オプシンタンパク質が細胞に存在する請求項61に記載の方法。
  67. 該細胞が錐体細胞又は桿体細胞である請求項66に記載の方法。
  68. 該細胞が哺乳類の眼に存在する請求項66に記載の方法。
  69. 式(1)の化合物(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物を含む)の有効量を対象に投与することを含む、眼疾患又はその恐れのある対象の治療又は予防方法。
    Figure 2017141279
    ここで、Aは、1)又は2)であり、
    Figure 2017141279
    とRは、独立して、1)水素、2)−CH、又は3)−CHCHであり;
    は、1)水素、2)−CH、3)−CHCH、又は4)重陽子であり;
    は、1)水素、2)−CH、又は3)重陽子であり;
    とRは、それぞれ独立して、1)水素、又は2)−CHであり;
    Tは、1)CH、2)CHCH、又は3)無しであり;
    とRは、それぞれ独立して、1)水素、2)ヒドロキシル、又は3)低級アルキルであり;
    とRは、統合するとオキソ(=O)であり;
    X−Yは、1)−N(CONH)−CH−、又は2)−CH−N(CONH
    −である。
  70. 該眼疾患が、眼のタンパク質の誤局在化疾患である請求項69に記載の方法。
  71. 該眼疾患が、湿性又は乾性の老化による黄斑変性症(ARMD)、網膜色素変性症(RP)、網膜又は黄斑ジストロフィー、スタルガルト病、ソルスビージストロフィー、常染色優性ドルーゼ、ベストジストロフィー、黄斑ジストロフィーが関わるペリフェリン変異、優位型スタルガルト病、ノースカロライナ黄斑ジストロフィー、光毒性、老化による通常の視力低下、及び老化による通常の夜間視力低下からなる群より選択される請求項69に記載の方法。
  72. 該眼疾患が網膜色素変性症(RP)である請求項71に記載の方法。
  73. 該RPが異常なオプシンフォールディングによって引き起こされる請求項72に記載の方法。
  74. オプシンタンパク質に、化合物2、3、及び5からなる群から選択された化合物(その薬学的に許容される全ての塩、溶媒和物、及び水和物を含む)を接触させることを含む、視覚サイクル生成物の形成又は蓄積を阻害する方法。
  75. 化合物2、3、及び5からなる群から選択された化合物(その薬学的に許容される全ての塩、溶媒和物、及び水和物を含む)の有効量を対象に投与することを含む、眼疾患又はその恐れのある対象の治療又は予防方法。
  76. 化合物2、3、及び5からなる群から選択された化合物(その薬学的に許容される全ての塩、溶媒和物、及び水和物を含む)の治療的有効量を含む組成物。
  77. オプシンタンパク質と下記より成る群から選択された化合物(その薬学的に許容される全ての塩、溶媒和物、又は水和物を含む)とを接触させることを含む、視覚サイクル生成物の形成又は蓄積を阻害する方法。
    6−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物1);
    6−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物2);
    6−((S)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物3);
    6−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物4);
    6−((R)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物5);
    7−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物6);
    7−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物7);
    6−(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物8);
    6−(ヒドロキシ(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物9);
    6−(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物10);
    6−(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物11);
    6−((7,7−ジメチル−1−シクロヘプテニル)(ヒドロキシ)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物12);
    6−((R)−1−ヒドロキシ−1−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)エチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物13);
    6−(ヒドロキシ(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物14)。
  78. 下記より成る群から選択された化合物(その薬学的に許容される全ての塩、溶媒和物、又は水和物を含む)の有効量を対象に投与することを含む、眼疾患又はその恐れのある対象の治療又は予防方法。
    6−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物1);
    6−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物2);
    6−((S)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物3);
    6−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物4);
    6−((R)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物5);
    7−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物6);
    7−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物7);
    6−(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物8);
    6−(ヒドロキシ(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物9);
    6−(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物10);
    6−(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物11);
    6−((7,7−ジメチル−1−シクロヘプテニル)(ヒドロキシ)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物12);
    6−((R)−1−ヒドロキシ−1−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)エチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物13);
    6−(ヒドロキシ(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物14)。
  79. 下記より成る群から選択された化合物(その薬学的に許容される全ての塩、溶媒和物、又は水和物を含む)の治療的有効量を含む組成物。
    6−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロ
    イソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物1);
    6−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物2);
    6−((S)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物3);
    6−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物4);
    6−((R)−ヒドロキシ((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物5);
    7−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物6);
    7−(ヒドロキシ(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物7);
    6−(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物8);
    6−(ヒドロキシ(2,5,5−トリメチル−1−シクロペンテニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物9);
    6−(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物10);
    6−(7,7−ジメチル−1−シクロヘプテンカルボニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物11);
    6−((7,7−ジメチル−1−シクロヘプテニル)(ヒドロキシ)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物12);
    6−((R)−1−ヒドロキシ−1−((1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)エチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物13);
    6−(ヒドロキシ(3,3,6,6−テトラメチル−1−シクロヘキセニル)メチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボキサミド(化合物14)。
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