JP2017141151A - 複合酸化物、及びその酸素貯蔵能の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも酸素貯蔵能が一層向上した複合酸化物を提供する。【解決手段】本発明は、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有し、且つ貴金属触媒が担持されてなる複合酸化物であって、前記複合酸化物は、980℃で25時間焼成した該複合酸化物にメタノールを吸着させて赤外線吸収スペクトルを測定したとき、1090cm−1以上1110cm−1以下の範囲に観察されるピークの面積IAに対する、1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に観察されるピークの面積IBの比であるIB/IAの値が1.9以上である複合酸化物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、酸化セリウム(CeO)及び酸化ジルコニウム(ZrO)を含有する複合酸化物に関する。また本発明は、該複合酸化物のOSCの評価方法に関する。
自動車やバイク等の内燃機関から排出される排気ガス中にはHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)及びNOx(窒素酸化物)等の有害成分が含まれている。従来、これらの有害成分を浄化して無害化する目的で三元触媒が用いられている。それらの三元触媒の中には、排気ガスの酸素濃度の変動を緩和させてHC、CO及びNOxを効率よく浄化させるためにOSC(酸素貯蔵能:Oxygen Storage Capacity)を有する材料を触媒構成材として使用することが多い。OSCを有する材料として例えばCeO及びZrOを含む複合酸化物が知られている。CeO及びZrOを含む複合酸化物は、周囲の雰囲気によって結晶構造中の酸素を吸放出する能力を有している。
例えば特許文献1には、CeO2の量が45〜70質量%であり、ZrO2の量が20〜45質量%であり、Nd23の量が2〜20質量%であり、La23の量が1〜10質量%であるセリウム−ジルコニウム系複合酸化物からなるキャリアと、該キャリアに担持された金属Pd又はPd酸化物からなる触媒成分とを有する内燃機関排気ガス浄化用触媒材料が記載されている。
特許文献2には、Ce−Zr−La−Y複合酸化物からなるOSC材料が記載されている。このOSC材料は、硝酸セリウム溶液、オキシ硝酸ジルコニウム溶液、硝酸ランタン溶液、及び硝酸イットリウム溶液の混合溶液から共沈物を生成させ、その共沈物を大気中800℃で5時間焼成することで製造される。
特開2010−227739号公報 特開2015−112553号公報
近年、排気ガス規制が厳しくなってきており、内燃機関排気ガス浄化用触媒については、HC、CO及びNOx等の有害成分の浄化が強く求められている。したがって、上述した特許文献1及び2に記載の技術よりも一層性能が向上した排気ガス浄化用触媒材料が要望されている。
したがって本発明の課題は、排気ガス浄化用触媒材料の改良にあり、更に詳細には、酸素貯蔵能が一層向上した複合酸化物を提供することにある。
本発明は、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有してなる複合酸化物であって、
前記複合酸化物は、Y及びPr11を更に含み、
CeOに対するYの質量比が0.08以上0.5未満であり、CeOに対するPr11の質量比が0.08以上であり、かつZrOを50質量%以上含有する複合酸化物を提供するものである。
更に本発明は、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有し、且つ貴金属触媒が担持されてなる複合酸化物であって、
前記複合酸化物は、980℃で25時間焼成した該複合酸化物にメタノールを吸着させて赤外線吸収スペクトルを測定したとき、1090cm−1以上1110cm−1以下の範囲に観察されるピークの面積Iに対する、1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に観察されるピークの面積Iの比であるI/Iの値が1.9以上である複合酸化物を提供するものである。
更に本発明は、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有し、且つ貴金属触媒を非担持である複合酸化物であって、
前記複合酸化物は、980℃で25時間焼成した該複合酸化物にメタノールを吸着させて赤外線吸収スペクトルを測定したとき、1090cm−1以上1110cm−1以下の範囲に観察されるピークの面積Iに対する、1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に観察されるピークの面積Iの比であるI/Iの値が1.1以上である複合酸化物を提供するものである。
更に本発明は、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有する複合酸化物の酸素貯蔵能の評価方法であって、
980℃で25時間焼成した前記複合酸化物にメタノールを吸着させて赤外線吸収スペクトルを測定し、1090cm−1以上1110cm−1以下の範囲に観察されるピークの面積Iに対する、1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に観察されるピークの面積Iの比であるI/Iの値を求め、その値の大小に基づきOSCを評価する、複合酸化物の酸素貯蔵能の評価方法を提供するものである。
本発明によれば、従来よりも酸素貯蔵能、特にOSC速度(酸素吸蔵速度又は酸素放出速度)が一層向上した複合酸化物が提供される。
また本発明によれば、複合酸化物の酸素貯蔵能を簡便に評価できる評価方法を提供することができる。
比較例1及び実施例1〜6の複合酸化物について得られた赤外線吸収スペクトルである。 実施例7〜13の複合酸化物について得られた赤外線吸収スペクトルである。 実施例10の赤外線吸収スペクトルのピーク分離解析により得られた分離ピークである。 実施例12の赤外線吸収スペクトルのピーク分離解析により得られた分離ピークである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態の複合酸化物を説明する。本発明の複合酸化物は、酸化セリウム(CeO)及び酸化ジルコニウム(ZrO)を含有する。複合酸化物は、CeOとして、ZrOとの固溶体を含んでいることが好ましい。しかしながら複合酸化物は、CeOとして、CeO単独相を含んでいてもよい。
複合酸化物における酸化セリウム(CeO)の含有量は、5質量%以上であることが、酸化セリウムによる酸素貯蔵能(酸素吸放出能ともいう)を高めるため好ましい。また複合酸化物におけるCeOの含有量は50質量%以下であることが、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム(Y)及び酸化プラセオジム(Pr11)の含有量を下記の好適な量としやすいために好ましく、またOSC速度を高めるために好ましい。これらの観点から、より好ましくは複合酸化物におけるCeOの含有量は、10質量%以上48質量%以下であり、更に好ましくは25質量%以上45質量%以下である。
複合酸化物における酸化ジルコニウム(ZrO)の含有量の好ましい下限としては、40質量%以上であることが、OSC速度を一層向上させる観点から好ましい。この観点から、複合酸化物における酸化ジルコニウムの含有量は、42質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましい。
複合酸化物は、ZrO、Y及びPr11を特定量で含有することが好ましい。具体的には、複合酸化物は、Y及びPr11を更に含み、CeOに対するYの質量比が0.08以上0.5未満であり、CeOに対するPr11の質量比が0.08以上であり、かつZrOを複合酸化物中50質量%以上含有することが好ましい。複合酸化物がこの特徴を有することにより、複合酸化物の酸素貯蔵能(酸素吸放出能)が非常に優れたものとなる。詳述すると、この特徴を有する複合酸化物は、酸化セリウム―酸化ジルコニウム系複合酸化物において希土類元素の酸化物を添加することによるOSC速度(酸素吸蔵速度又は酸素放出速度)の向上効果を一層高いものとし、かつ、OSC量(酸素吸蔵量又は酸素放出量)を一層高いレベルとすることができる。
複合酸化物において、Yを含有することが好ましく、その場合、CeOに対するYの質量比は0.08以上であると、CeO、ZrO及び必要に応じて好ましく含有されるPr11の存在下で複合酸化物にYを含有させることによるOSC速度の向上効果を一層高いものとすることができるため好ましい。また、CeOに対するYの質量比は0.5未満であると、OSC量を高いレベルとする効果をより一層確実に得ることができるため好ましい。これら観点からCeOに対するYの質量比は0.08以上0.45以下がより好ましく、0.1以上0.4以下が更に好ましい。
さらに、複合酸化物はCeOに対するPr11の質量比が0.08以上であり、かつZrOを50質量%以上含有すると、より一層、OSC量を高め、上述したOSC速度の向上効果及び高いOSC量の維持の効果を一層優れたものとすることができる。Pr11を用いることでこのような効果が得られることは、酸化プラセオジム自体が酸化及び還元による価数変化可能な元素であることが関係しているからである。これにより、Pr11はそれ自体酸素貯蔵能を有するだけでなく、酸化セリウムと相互作用して複合酸化物の酸素貯蔵能力を向上させるものと考えられる。またこのような効果はZrOが一定以上存在する条件で十分発揮されると考えられる。複合酸化物中のZrOの含有量は、80質量%以下であると、複合酸化物中の酸化セリウムの量を一定量として、複合酸化物のOSC量を高くする観点、及びY及びPr11を特定量含有する観点から好ましい。OSC量をさらに高いものとし、かつOSC速度を向上させる効果を更に一層高いものとする観点から、複合酸化物のZrOの含有量は、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがより一層好ましい。
上述したように、複合酸化物は、CeOに対するPr11の質量比が0.08以上であると、複合酸化物のOSC量を高くし、かつOSC速度を高める効果を一層高いものとすることができるため好ましい。また、CeOに対するPr11の質量比は0.5以下とすると、Pr11を含有することによるOSC量を高くし、かつOSC速度を高める効果を一層確実に得ることができるため好ましい。これらの観点からCeOに対するPr11の質量比は0.08以上0.45以下が好ましく、0.1以上0.4以下がより好ましい。
複合酸化物におけるCeO、ZrO、Y及びPr11それぞれの含有量は、複合酸化物をアルカリ溶融等で溶解して得られる溶液中のセリウム、ジルコニウム、イットリウム及びプラセオジムそれぞれの量をICP−AESで測定し、その元素の量から算出できる。
複合酸化物は、CeO、ZrO、Y及びPr11以外の他の成分を含有していても良く、含有していなくても良い。含有している場合は、OSC量を高いものとし、かつOSC速度を向上させる効果をより一層優れたものとする観点から、複合酸化物中のCeO、ZrO、Y及びPr11以外の他の成分(但し複合酸化物に担持される貴金属を除く)の含有量は10質量%以下であることが好ましく、9質量%以下であることがより好ましい。
CeO、ZrO、Y及びPr11以外の他の成分の例としては、Ce、Y及びPr以外の希土類元素の酸化物が挙げられる。Ce、Y及びPr以外の希土類元素の酸化物としては、酸化スカンジウム(Sc)、酸化ランタン(La)、酸化ネオジム(Nd)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ユーロピウム(Eu)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化テルビウム(Tb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、酸化ホルミウム(Ho)、酸化エルビウム(Er)、酸化ツリウム(Tm)、酸化イッテルビウム(Yb)及び酸化ルテチウム(Lu)等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。OSC量を高いレベルに維持しつつOSC速度を一層容易に向上させる観点から、Ce、Y及びPr以外の希土類元素の酸化物としては、これらのうち、La、Nd、Gd、Tb、Er、Ybから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましく、La、Ndを用いることがより一層好ましく、特に、Laを用いることが好ましい。
複合酸化物がLaを含有する場合、CeOに対するLaの質量比が0.03以上0.5未満となるように含まれることが好ましい。このような範囲でLaを含有させることで、複合酸化物の比表面積が熱的に安定し耐熱性が向上し、またOSC速度及びOSC量のバランスも向上する。
複合酸化物は、アルカリ土類金属の酸化物を含有していてもよく、非含有であってもよい。アルカリ土類金属の酸化物の例としては酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)、酸化ラジウム(RaO)が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アルカリ土類金属の酸化物としては、酸化ストロンチウム(SrO)を用いることがOSC速度を向上させながら、炭化水素(HC)をある程度低減しやすいため好ましい。
複合酸化物は、アルカリ土類金属の酸化物及びセリウム以外の希土類元素の酸化物から選ばれる少なくとも1種の合計量が複合酸化物中13質量%以下であることが好ましい。ここでいう合計量とは複合酸化物における、アルカリ土類金属の酸化物及びセリウム以外の希土類元素の酸化物の全ての合計量をいう。従ってこの合計量は、例えば、複合酸化物であってCeO、Y及びPr11以外の希土類元素の酸化物又はアルカリ土類金属の酸化物を非含有である場合は、Y及びPr11の合計量であり、複合酸化物であってCeO、Y及びPr11以外の希土類元素の酸化物及び/又はアルカリ土類金属の酸化物を含有する場合はY及びPr11の量にこれらを合計した総量となる。上記の合計量をこの範囲とすることで、OSC速度の向上及びOSC量の維持という効果をより一層高いものとすることが容易である。この観点から、複合酸化物における、アルカリ土類金属の酸化物及びセリウム以外の希土類元素の酸化物の量の合計は、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上10質量%以下であることがより一層好ましい。上記の合計量は、特に複合酸化物が貴金属を担持している場合に特に好ましい。
また、複合酸化物として、アルカリ土類金属の酸化物及び前記セリウム以外の希土類元素の酸化物を複合酸化物中にそれぞれ10質量%以下含有することも、OSC速度を向上させながら、炭化水素(HC)をある程度低減しやすい観点から好ましい。「アルカリ土類金属の酸化物及び前記セリウム以外の希土類元素の酸化物をそれぞれ10質量%以下含有する」とは、アルカリ土類金属の酸化物を合計で10質量%以下含有し、且つセリウム以外の希土類元素の酸化物を合計で10質量%以下含有することを意味する。上記の効果をより一層高める観点から、複合酸化物がアルカリ土類金属の酸化物とセリウム以外の希土類元素の酸化物を併用する場合、複合酸化物中のアルカリ土類金属の酸化物の含有量は0.1質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上3質量%以下であることがより一層好ましい。同様の観点から、複合酸化物がアルカリ土類金属の酸化物とセリウム以外の希土類元素の酸化物を併用する場合、複合酸化物中のセリウム以外の希土類元素の酸化物は1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上8質量%以下であることがより一層好ましい。
複合酸化物は、これに貴金属が担持されたものであってもよく、貴金属が非担持のものであってもよい。ここでいう貴金属としては、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)等が挙げられる。貴金属を担持する量としては複合酸化物と貴金属の合計量100質量部当たり、貴金属が0.025質量部以上2.5質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上2.0質量部以下であることがより好ましい。貴金属の担持量は、複合酸化物中のCeOの量と同様、複合酸化物をアルカリ溶融等で溶解して得られる溶液中の貴金属の量をICP−AESで測定することにより測定できる。
貴金属非担持の複合酸化物は例えば、水溶性のセリウム塩、ジルコニウム塩、イットリウム塩及びプラセオジム塩としてこれらの硝酸塩を含有する水溶液をpH9.0以上14.0以下に調整して沈殿物を得、該沈殿物を焼成する共沈法の手法により製造できる。焼成は大気雰囲気下において行うことができ、例えば600℃以上1000℃以下、1時間以上24時間以下で行うことができる。
貴金属が担持された複合酸化物を得る方法としては、貴金属含有溶液に貴金属が非担持の複合酸化物を浸漬させた後、乾燥させ、焼成する方法が挙げられる。貴金属溶液の調製に用いる貴金属塩としては、例えば、硝酸塩、アンミン錯体塩、塩化物等を用いる。溶媒としては、水等を用いることができる。焼成は大気雰囲気下で400℃以上800℃以下、1時間以上24時間以下行うことが好ましい。
複合酸化物は、特定の方法により測定した赤外線吸収スペクトルに特徴を有するものであることが好ましい。具体的には、前記特徴とは、複合酸化物にメタノールを吸着させて赤外線吸収スペクトルを測定したときのピークパターンにある。
本発明者は、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有する複合酸化物について高いOSC量及びOSC速度を両立できる構成を鋭意検討した。その結果、複合酸化物を十分酸化した状態における、メタノール吸着後の赤外線吸収スペクトルの特定のピーク面積比が複合酸化物のOSC速度及びOSC量と強い関係を有することを見出した。
特定のピーク面積比とは、赤外線吸収スペクトルにおける、1090cm−1以上1110cm−1以下の範囲に観察されるピークの面積Iに対する、1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に観察されるピークの面積Iの比であるI/Iである。なお、ここでいう特定の波数範囲に観察されるピークとは、該波数範囲に頂点が存在するピークを指す。また、特定の波数範囲に観察されるピークの面積とは、該範囲に頂点を有する該ピークとベースラインとに囲まれる部分全体の面積をいう。従って、あるピークの頂点は特定範囲に存在する一方で裾が特定範囲外にまで広がっている場合、該範囲の外の部分の面積もピーク面積に含まれるものとする。
/Iが一定値以上であることにより、複合酸化物がOSC量を維持しつつ高いOSC速度を示す理由は明確でないが、発明者は以下のように推測している。CeO中、セリウム原子が配位不飽和である部位(配位不飽和サイトともいう)は、配位飽和である部位(配位飽和サイトともいう)よりも、酸素貯蔵の活性が高い。そして、1090cm−1以上1110cm−1以下の範囲に観察されるピークの面積Iは、複合酸化物中のセリウム原子に係る酸素原子による配位飽和の状態を表し、1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に観察されるピークの面積Iは、セリウム原子に係る酸素原子による配位不飽和の状態を示すとみられる。このため、複合酸化物におけるI/Iが一定値以上であることは、複合酸化物中、酸素貯蔵活性が高いセリウム原子が多く存在することを示すと考えられる。
酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含む複合酸化物にメタノールを吸着させると、該複合酸化物中のセリウム原子の配位状態によって、セリウム原子に対するメタノール吸着形態が異なる。そして、メタノール吸着後の該複合酸化物の赤外線吸収スペクトルを測定すると、得られるスペクトルにおいて、メタノール吸着形態の違いを反映した複数のピークが生じる。このため、そのピークの面積比を測定することで、複合酸化物の酸素貯蔵能を評価できると考えられる。酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有する複合酸化物を酸化処理した後にメタノール吸着させた時のメタノール吸着の形態としては、配位飽和サイトへのメタノールの吸着形態は下記TypeIと考えられ、配位不飽和サイトへの吸着形態は下記TypeII又はII’と考えられる。
発明者は、上記特定条件下で測定する赤外線スペクトルにおいて吸着種TypeIに対応するピークが、1090cm−1以上1110cm−1以下の範囲に観察され、吸着種TypeII及びTypeII’に対応するピークが、1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に観察されるものと考えている。TypeIIに対応するピークは、通常、TypeII’に対応するピークよりも高波数側に観察される。
メタノール吸着及び赤外線吸収スペクトルの測定は、複合酸化物を980℃、25時間焼成した後に行う。この焼成は通常、大気中で行われる。焼成後、通常、メタノール吸着前にクリーニング処理を行うことが好ましい。クリーニング処理としては、複合酸化物を配置した容器を真空排気しながら昇温し、昇温後高温において酸化し、その後に再度真空排気する処理が挙げられる。酸化は複合酸化物を酸素と接触させることにより行うことができ、この際の複合酸化物の温度は400℃以上800℃以下とすることが好ましい。メタノール吸着は、通常複合酸化物の温度が室温(30℃)以上300℃以下である条件で行うことが好ましく、この温度範囲において、蒸気状のメタノールを複合酸化物と接触させることが好ましい。複合酸化物と接触させるメタノールガスの圧力は100Pa以上2500Pa以下であることが好ましく、600Pa以上1500Pa以下であることがより好ましい。メタノールガス圧力及び複合酸化物の温度が上記範囲である条件下、吸着時間は1分以上10分以下とすることが好ましい。赤外線吸収スペクトルの測定は、通常室温(30℃)以上600℃以下で行うことができ、後述する実施例に記載の方法で行うことができる。
上記のピークの面積I及びIとは、赤外線吸収スペクトル中、その対応範囲(I:1090cm−1以上1110cm−1以下、I:1050cm−1以上1090cm−1未満)において、一つのピークのみが観察される場合は、その一つのピークの面積であり、また二つ以上ピークが観察される場合は、それら二つのピークの面積の和である。具体的にはピーク面積は、各吸着種に由来するピークを分離して示すピーク分離ソフトを用いて分離したピークに対して測定する。ピーク分離ソフトとしては、例えばサーモサイエンティフィック社製OMNICが挙げられる。従って、特定範囲に二つ以上のピークが観察され、分離前であれば二つのピークの面積が重複している場合、その重複部分の面積を、各分離ピークの面積の和から引いたものとすることは行わない。
具体的には、複合酸化物は、貴金属が担持されてなる複合酸化物である場合、I/Iの値が1.9以上であることが好ましい。このようにすると、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムからなる従来の複合酸化物に対して、OSC量を維持しつつOSC速度を大きく向上させることができる。また、複合酸化物は、貴金属が担持されてなる複合酸化物である場合、I/Iの値が10以下であることが、OSC速度をより一層高いものとし、またOSC量を高く維持する観点から好ましい。この観点から、複合酸化物は、貴金属が担持されてなる複合酸化物である場合、I/Iの値が1.9以上9以下であることが好ましく、1.95以上8以下であることがより好ましい。またこの場合、OSC速度をより一層高いものとし、またOSC量を高く維持する観点から、Iの値は、0.4a.u.cm−1以上0.7a.u.cm−1以下が好ましい。同様の観点から、Iの値は、0.05a.u.cm−1以上0.3a.u.cm−1以下が好ましい。
更に、複合酸化物は、貴金属を非担持である複合酸化物である場合、I/Iの値が1.1以上であることが好ましい。このようにすると、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムからなる従来の複合酸化物に対して、OSC速度を向上させることができる。また、複合酸化物は、貴金属を非担持である複合酸化物である場合、I/Iの値が5以下であることが、OSC速度をより一層高いものとし、またOSC量を高く維持する観点から好ましい。この観点から、複合酸化物は、貴金属を非担持である複合酸化物である場合、I/Iの値が1.1以上4.0以下であることが好ましく、1.2以上3.0以下であることがより好ましい。またこの場合、OSC速度をより一層高いものとし、またOSC量を高く維持する観点から、Iの値は、0.4a.u.cm−1以上0.6a.u.cm−1以下が好ましい。同様の観点からIの値は、0.2a.u.cm−1以上0.4a.u.cm−1以下が好ましい。
複合酸化物は、貴金属を非担持のものよりも貴金属が担持されてなるものの方がOSC及びOSC速度のバランスが良い。貴金属が担持されている複合酸化物は、貴金属が担持されている箇所を起点として酸素の吸放出がより活発となる。
複合酸化物におけるI/Iの値を上記の範囲とする方法としては、複合酸化物に、セリウム以外の希土類元素の酸化物及び/又はアルカリ土類金属の酸化物を含有させ、その含有量及び該希土類元素やアルカリ土類金属の種類を特定のものとする方法が挙げられる。セリウム以外の希土類元素の酸化物及び/又はアルカリ土類金属の酸化物については後述する。
複合酸化物は、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムに加えて、アルカリ土類金属の酸化物及びセリウム以外の希土類元素の酸化物のうちの少なくとも1種を更に含むことが好ましい。このような複合酸化物は、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムからなる複合酸化物に比べてOSC速度を向上させ、且つOSC量を高く維持するという効果をより容易に得られるため好ましい。
複合酸化物は、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムに加えて、アルカリ土類金属の酸化物及びセリウム以外の希土類元素の酸化物のうちの2種以上を更に含むことがより一層好ましい。このような複合酸化物を用いると、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムからなる複合酸化物に比べてOSC速度を向上させ、且つOSC量を高く維持できるという効果を更にすぐれたものとなるため好ましい。ここで、アルカリ土類金属の酸化物及びセリウム以外の希土類元素の酸化物のうちの2種以上とは、アルカリ土類金属の酸化物から選ばれる1種以上及びセリウム以外の希土類元素の酸化物から選ばれる1種以上であってもよく、アルカリ土類金属の酸化物から選ばれる2種以上であってもよく、セリウム以外の希土類元素の酸化物から選ばれる2種以上であってもよい。
アルカリ土類金属の酸化物の具体例及びその好ましいものとしては、上記で挙げたものが挙げられる。
セリウム以外の希土類元素の酸化物としては、酸化イットリウム(Y)、酸化プラセオジム(Pr11)、のほか、Ce、Y及びPr希土類元素の酸化物として上記で挙げたものを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。OSC量を高いレベルに維持しつつOSC速度を一層容易に向上させる観点から、これらのうち、La、Y、Pr11、Nd、Gd、Tb、Er、Ybから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましく、La、Y、Pr11、Ndから選ばれる1種又は2種以上を用いることがより一層好ましく、特に、Y、Pr11、Laから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
なお、上述した、複合酸化物における、アルカリ土類金属の酸化物及びセリウム以外の希土類元素の酸化物から選ばれる少なくとも1種の合計量については、アルカリ土類金属の酸化物及びセリウム以外の希土類元素の酸化物を1種のみ含有する場合はこの1種のみの量となる。
以上説明した複合酸化物は、貴金属が担持されている場合、触媒調製の観点から、平均粒子径(D50)が1μm以上100μm以下であることが好ましく、2μm以上50μm以下であることがより好ましい。また同様の観点から、貴金属非担持の場合、複合酸化物の平均粒子径(D50)は1μm以上100μm以下であることが好ましく、2μm以上50μm以下であることがより好ましい。平均粒子径(D50)はレーザー回折・散乱式粒度分布測定法による積算体積50%粒径であり、例えばレーザー回折粒子径分布測定装置用自動試料供給機(日機装株式会社製「Microtorac SDC」)を用い、サンプル(複合酸化物粉末)を水溶性溶媒に投入し、40%の流速中、40Wの超音波を360秒間照射した後、日機装株式会社又はマイクロトラック社製のマイクロトラックMT3300IIを用いて測定される。測定条件は、粒子屈折率1.5、粒子形状真球形、溶媒屈折率1.3、セットゼロ30秒、測定時間30秒、2回測定の平均値として求める。
以上説明した通り、上記の複合酸化物は、従来の酸化セリウム及び酸化ジルコニウム含有複合酸化物に比べて、OSC速度が向上し、また、OSC量が高レベルに維持されている。このような複合酸化物は、例えばエンジンを加速させて高速定常運転を開始したときの温度である600℃における高いOSCを示す。従って、このような複合酸化物を用いた排気ガス浄化用触媒は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど化石燃料を動力源とする内燃機関の排気ガス浄化触媒として、効率的に有害成分の浄化が可能であり、高い排気ガス浄化性能を発揮することができる。
次いで、本発明の酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有する複合酸化物の酸素貯蔵能の評価方法について説明する。本発明の評価方法は酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有する複合酸化物に係る上記のI/Iの値と、該複合酸化物の酸素貯蔵能(OSC)とに関係があることを見出したことに基づき、そのI/Iの値の大小に基づきOSCを評価することを特徴とする。I/Iの測定方法や複合酸化物に対するメタノール吸着の方法について説明した事項は、すべて本発明の方法に当てはまる。
/Iの値の大小に基づきOSCを評価するとは、固定値に対するI/Iの大小をみるのであってもよく、特定物質や特定組成物のI/Iとの比較による大小をみるのであってもよい。OSCの例としては、上述したOSC速度やOSCの量を挙げることができる。
本発明の評価方法によれば、例えばCO等の有害ガスを用いる方法をとらずとも、簡便に酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有する複合酸化物のOSCを評価でき、また、触媒反応に有効な配位不飽和サイトの量を算出できる利点がある。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔比較例1〕
(1)複合酸化物製造工程
硝酸セリウム及びオキシ硝酸ジルコニウムを、それらを酸化物としたときに表1に示す質量比の組成(CeO:ZrO=40:60)となる比率で含有する水溶液に、沈殿剤として水酸化ナトリウムをpHが12となる量で添加した。得られた沈殿物を濾過、洗浄し、十分に乾燥させ、その後、大気雰囲気下800℃で3時間焼成することによりCeO−ZrO系複合酸化物粉末を得た。
(2)Pd担持工程
硝酸パラジウム(II)水溶液に、(1)で得たCeO−ZrO系複合酸化物粉末を、パラジウムメタルの質量に換算したパラジウム担持濃度が、該複合酸化物粉末とパラジウムメタルの総量を基準にして1質量%となる量比で含浸させた。その後、蒸発乾固後、大気雰囲気中で500℃で5時間の焼成を行い、比較例1のPd担持複合酸化物粉末を得た。
〔実施例1〜13〕
比較例1の「(1)複合酸化物製造工程」において、硝酸セリウム及びオキシ硝酸ジルコニウムを含む水溶液に代えて、表1に記載された金属の硝酸塩を、それら金属を酸化物としたときに表1に記載の質量比となる量で含む水溶液を用いた。この点以外は比較例1と同様にしてPd担持複合酸化物粉末を得た。上記硝酸塩とは、金属がCeである場合は硝酸セリウム、Zrである場合はオキシ硝酸ジルコニウム、Laである場合は硝酸ランタン、Yである場合は硝酸イットリウム、Prである場合は硝酸プラセオジム、Ndである場合は硝酸ネオジム、Srである場合は硝酸ストロンチウムである。実施例1〜13で得られたPd担持複合酸化物粉末の平均粒径を上記方法で測定したところいずれもD50で1μm以上100μm以下の範囲内であった。
得られたPd担持複合酸化物粉末は980℃、大気中で25時間の耐久焼成を行った後、下記の評価を実施した。結果を下記表1に示す。
[評価]
<赤外線吸収スペクトル測定>
約60mgの試料を型30MPa/cmの圧力で成型して試料ディスクを得た。これをin‐situ IRセル内にセットし、次の(a)〜(d)の手順の前処理を行った。
(a)真空排気条件(1×10−2Pa以下)で室温(30℃)から600℃まで昇温速度10℃/分で昇温した後、600℃で30分間、真空排気(1×10−2Pa以下)した。
(b)3.99×10Pa(300Torr)の圧力でOを流通させながら600℃で1時間、酸化処理を行った。
(c)複合酸化物の温度を600℃とした状態で、2時間、真空排気処理(1×10−2Pa以下)を行った。
(d)室温まで冷却した。
以上のようにして前処理した試料ディスクを室温(30℃)条件下、1.33×10Pa(10Torr)の圧力のメタノール蒸気を5分間接触させて、メタノールを吸着させた。その後、室温で排気処理後、室温で、赤外線吸収スペクトルを測定した。測定には、サーモサイエンティフィック社製Nicolet6700FT−IRを用いた。得られたスペクトルを図1及び図2に示す。図1及び図2中、「CZ」は酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有してなる複合酸化物を示し、「La」、「Y」、「Pr」、「Nd」及び「Sr」は表1又は表2における注釈に記載されたものと同様の酸化物を表す。各元素の横に記載された括弧内の数字は、該元素の酸化物の複合酸化物中の含有量(質量%)を表す。
得られたスペクトルについて、ピーク分離ソフト(サーモサイエンティフィック社製OMNIC)を用いて、ピーク分離を行った。分離後のスペクトルにおいて、1090cm−1以上1110cm−1以下の範囲に観察されるピーク(TypeIに対応)の面積を求め、これをピーク面積I(単位:a.u.cm−1(a.u.:arbitrary unitの略))とした。また、各実施例及び比較例においては、1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に2つのピークが観察され、このうち高波数側に位置するピークをTypeIIに対応するピークとし、それよりも低波数側に位置するピークをTypeII’に対応するピークとして、これら2つのピークのピーク面積の合計値を1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に観察されるピーク面積I(単位:a.u.cm−1)とした。得られたI及びIに基づきI/Iを求めた。またピーク分離解析結果の例として実施例10及び実施例12で得られた分離ピークをそれぞれ図3及び図4に示す。
<総OSC量及びOSC速度(%)の測定>
ヘンミ計算尺株式会社製、TPR装置を用いて実施例及び比較例で得られた各複合酸化物粉末のOSCの測定をCOパルス法で行った。OSC測定では、複合酸化物をHe流通下800℃に昇温して40分当該温度を保持する前処理をした後、600℃まで降温させた。そして、600℃を保持した状態でOガスを4パルスに分けて注入し酸化処理をした後、COを含有する試験用ガスを10パルスに分けて注入し、消費されたCOガス総量から600℃における複合酸化物粉末単位質量当たりの総OSC量(μmol/g)を赤外線式ガス濃度測定装置(株式会社島津製作所製、CGT−7000)により求めた。また、1パルス目のCOガス注入に対して消費されたCOガスから算出されるOSC量(μmol/g)の上記の総OSC量(μmol/g)に対する割合をOSC速度(%)として求めた。なお、前記試験用ガスはHeガスにCOガスを25容量%希釈させて調製した。
<T50測定>
実施例及び比較例で得られた各複合酸化物粉末を100mg流通反応装置に充填し、HCを0.04容量%含有する評価用モデルガス500ml/分を昇温速度10℃/分で800℃まで昇温、800℃で30分間流通させ、HC浄化に関するライトオフ温度T50−1stを測定した。T50は、複合酸化物粉末が配置された装置に流入する評価用モデルガス温度を常温から漸次上昇させていき、HC浄化率が50%に達したときの装置入口のガス温度である。その後、40℃まで冷却し再度昇温速度10℃/分で800℃まで昇温、800℃で30分間流通させ、HC浄化に関するライトオフ温度T50−2ndを測定した。T50の値としては、T50−1stは浄化性能の安定性に欠けるため、T50−2ndの値を採用した。全炭化水素量の測定はFID検出器を用い、CO/CO/NOx/O濃度の測定は堀場製作所社製のPG−240を用いて行った。
表1に示すように、実施例1〜13の組成物は、いずれも、比較例1に対して、OSC速度が大きく向上し、また、総OSC量も比較例1と同程度又はそれ以上の高いレベルを維持していることが判る。
〔比較例2〕
上記比較例1において(2)Pd担持工程を行わない以外は、比較例1と同様にして、Pd非担持の複合酸化物粉末を得た。
〔実施例14〜17〕
比較例2の「(1)複合酸化物製造工程」において、硝酸セリウム及びオキシ硝酸ジルコニウムを含む水溶液に代えて、表2に記載された金属の硝酸塩を、これら金属の酸化物が表2に記載の質量比となる量で含む水溶液を用いた。この点以外は比較例2と同様にしてPd非担持複合酸化物粉末を得た。上記の硝酸塩とは、金属がCeである場合は硝酸セリウム、Zrである場合はオキシ硝酸ジルコニウム、Laである場合は硝酸ランタン、Yである場合は硝酸イットリウム、Prである場合は硝酸プラセオジムである。実施例14〜17で得られたPd非担持複合酸化物粉末の平均粒径を上記方法で測定したところいずれも1μm以上100μm以下の範囲内であった。
得られた比較例2及び実施例14〜17のPd非担持複合酸化物粉末について、比較例1及び実施例1〜13のPd複合酸化物粉末と同様に、I、I、I/I、総OSC量及びOSC速度の評価を行った。結果を下記表2に示す。
表2における結果から、貴金属非担持の場合であっても、I/Iを特定値以上とすることで、貴金属が担持されている場合と同様の効果が奏されることが判る。

Claims (10)

  1. 酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有してなる複合酸化物であって、
    前記複合酸化物は、Y及びPr11を更に含み、
    CeOに対するYの質量比が0.08以上0.5未満であり、CeOに対するPr11の質量比が0.08以上であり、かつZrOを複合酸化物中50質量%以上含有する複合酸化物。
  2. 酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有し、且つ貴金属触媒が担持されてなる複合酸化物であって、
    前記複合酸化物は、980℃で25時間焼成した該複合酸化物にメタノールを吸着させて赤外線吸収スペクトルを測定したとき、1090cm−1以上1110cm−1以下の範囲に観察されるピークの面積Iに対する、1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に観察されるピークの面積Iの比であるI/Iの値が1.9以上である複合酸化物。
  3. 酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有し、且つ貴金属触媒を非担持である複合酸化物であって、
    前記複合酸化物は、980℃で25時間焼成した該複合酸化物にメタノールを吸着させて赤外線吸収スペクトルを測定したとき、1090cm−1以上1110cm−1以下の範囲に観察されるピークの面積Iに対する、1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に観察されるピークの面積Iの比であるI/Iの値が1.1以上である複合酸化物。
  4. アルカリ土類金属の酸化物及びセリウム以外の希土類元素の酸化物のうちの少なくとも1種を更に含む請求項2又は3に記載の複合酸化物。
  5. アルカリ土類金属の酸化物及びセリウム以外の希土類元素の酸化物のうちの少なくとも2種を更に含む請求項2又は3に記載の複合酸化物。
  6. 希土類元素の酸化物としてYを含み、
    CeOに対するYの質量比が0.08以上0.5未満である請求項4又は5に記載の複合酸化物。
  7. 希土類元素の酸化物としてPr11を含み、
    CeOに対するPr11の質量比が0.08以上であり、かつ
    ZrOを複合酸化物中50質量%以上含有する請求項4ないし6のいずれか一項に記載の複合酸化物。
  8. 希土類元素の酸化物としてLa23を含むことを特徴とする請求項1、4ないし7のいずれか一項に記載の複合酸化物。
  9. 前記アルカリ土類金属の酸化物及び前記セリウム以外の希土類元素の酸化物から選ばれる少なくとも1種を合計で複合酸化物中13質量%以下含有する請求項1、4ないし8のいずれか一項に記載の複合酸化物。
  10. 酸化セリウム及び酸化ジルコニウムを含有する複合酸化物の酸素貯蔵能の評価方法であって、
    980℃で25時間焼成した前記複合酸化物にメタノールを吸着させて赤外線吸収スペクトルを測定し、1090cm−1以上1110cm−1以下の範囲に観察されるピーク面積Iに対する、1050cm−1以上1090cm−1未満の範囲に観察されるピークの面積Iの比であるI/Iの値を求め、その値の大小に基づきOSCを評価する、複合酸化物の酸素貯蔵能の評価方法。
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