[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係るウェビング巻取装置10が後方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、車両前方(車両前後方向一方)を矢印FRで示し、上方を矢印UPで示している。
本実施形態に係るウェビング巻取装置10は、車両に設置されており、ウェビング巻取装置10の前方、一側方及び上方は、それぞれ車幅方向外方、車両前方及び上方に向けられている。
図1に示す如く、ウェビング巻取装置10は、支持部材としての断面U字形板状のフレーム12を備えており、フレーム12には、後方の背板(図示省略)と、一側方の脚板12Aと、他側方の脚板12Bと、が設けられている。フレーム12は、背板において、車体に固定されており、これにより、ウェビング巻取装置10が車両に設置されている。
フレーム12の脚板12Aと脚板12Bとの間には、略円筒状のスプール14が回転可能に支持されており、スプール14の脚板12B側の端部は、脚板12Bの円状の貫通孔12Dを貫通している。スプール14には、長尺帯状のウェビング16が長手方向基端側から巻取られており、スプール14が巻取方向(図5の矢印A参照)へ回転されることで、スプール14にウェビング16が巻取られると共に、スプール14からウェビング16が引出されることで、スプール14が引出方向(図5の矢印B参照)へ回転される。また、スプール14からウェビング16が引出されることで、車両の座席に着座した乗員にウェビング16が装着される。
スプール14には、第2抵抗機構としての第2フォースリミッタ機構18が設けられている。
第2フォースリミッタ機構18には、エネルギー吸収部材としての金属製で略円柱状のトーションシャフト20が設けられており、トーションシャフト20は、スプール14内に同軸上に配置されている。トーションシャフト20の脚板12B側の他端20Bは、スプール14に一体回転可能に結合されており、これにより、トーションシャフト20がスプール14と一体回転可能にされている。また、トーションシャフト20の脚板12A側の一端20Aは、スプール14の脚板12A側に突出されて、脚板12Aの略円状の貫通孔12Cを貫通している。
トーションシャフト20は、所謂プログレッシブトーションシャフトにされており、トーションシャフト20は、変形されるに従い硬度が増加する材料により形成されている。このため、トーションシャフト20が、一端20Aに対し他端20Bを回転されて、一端20Aと他端20Bとの間の円柱状のシャフト本体20Cを捩れ変形される際には、トーションシャフト20の捩れ角度が大きくなるに従い、トーションシャフト20の耐捩れ荷重が連続して(滑らかに)増加される。例えば、トーションシャフト20の捩れ角度に比例してトーションシャフト20の耐捩れ荷重が増加されてもよく、また、トーションシャフト20に作用される捩れ変形荷重の上昇率以上に高い比率でトーションシャフト20の耐捩れ荷重が増加されてもよい。
トーションシャフト20は、棒状の母材により形成されており、母材は、機械構造用炭素鋼鋼材や冷間圧造用炭素鋼等であって、炭素が0.08%から0.18%の範囲で含まれた鉄鋼材料(炭素鋼)により形成されている。母材がトーションシャフト20に加工される際には、母材が、冷間加工による伸線工程によって外径寸法を所定の大きさになるまで縮径された後に、冷間鍛造工程によって成形される。そして、母材が、所定のねじ孔等を形成された後に、焼鈍等の熱処理を施される。
また、トーションシャフト20のシャフト本体20Cの結晶粒は、表層部分(外周面側)が中心軸線部分に比し大きい。さらに、シャフト本体20Cの表層部分及び中心軸線部分をそれぞれ200倍の倍率で顕微鏡観察して、「JIS G 0552(1988)」の「5.2の切断法」に基づいて結晶粒数を算出すると、シャフト本体20Cの表層部分と中心軸線部分との結晶粒数の差が30以上にされている。このため、シャフト本体20Cが降伏応力を表層部分において低くされると共に中心軸線部分において高くされることで、トーションシャフト20が捩れ変形される際には、シャフト本体20Cへの応力が上降伏点に到達した後にも、トーションシャフト20の耐捩れ荷重が増加される。
スプール14の脚板12A側には、規制部材としての略円柱状のロックベース22が同軸上に設けられている。ロックベース22のスプール14側の部分には、小径部22Aが同軸上に設けられており、小径部22Aは、スプール14内に同軸上に挿入されている。ロックベース22の脚板12A側の部分には、大径部22Bが同軸上に設けられており、大径部22Bは、脚板12Aの貫通孔12Cに同軸上に挿入されている。ロックベース22には、トーションシャフト20の一端20Aが同軸上にかつ一体回転可能に結合されており、これにより、ロックベース22がスプール14及びトーションシャフト20と一体回転可能にされている。また、ロックベース22の大径部22Bには、規制部としてのロックプレート24が移動可能に設けられている。
フレーム12の脚板12A外側には、規制手段としてのセンサ機構26が設けられており、センサ機構26は、ロックベース22のロックプレート24に連絡されている。車両の衝突時(車両の緊急時である車両の急減速時又はウェビング16のスプール14からの急激な引出し時、所定の機会)には、センサ機構26が作動されて、ロックプレート24が移動されることで、ロックプレート24が脚板12Aの貫通孔12Cのラチェット歯(内歯)に噛合されて、ロックベース22の引出方向への回転が規制(ロック)される(ロックベース22の巻取方向への回転は許容される)。
また、ロックベース22の引出方向への回転が規制された状態で、乗員からウェビング16を介してスプール14にトーションシャフト20の耐捩れ荷重以上の引出方向への荷重が作用された際には、トーションシャフト20が捩れ変形されることで、トーションシャフト20の他端20Bの引出方向への回転が許容されて、スプール14のロックベース22に対する引出方向への回転が許容される。
フレーム12の脚板12B外側には、巻取機構としてのプリテンショナ機構28が設けられており、車両の衝突時(車両の緊急時である車両の衝突が検出された時、所定の機会)には、プリテンショナ機構28が作動されて、瞬時に発生された高圧のガスの圧力によりスプール14が急激に巻取方向に回転される。
フレーム12の脚板12B外側には、付勢機構30が設けられており、付勢機構30は、トーションシャフト20又はスプール14に連結されて、スプール14を巻取方向に付勢している。
フレーム12の脚板12A内側には、第1抵抗機構としての第1フォースリミッタ機構32が設けられている。
第1フォースリミッタ機構32には、作動機構としてのクラッチ機構34が設けられており、クラッチ機構34は、スプール14の脚板12A側部分に配置されると共に、ロックベース22に連絡されている。上述の如く、スプール14のロックベース22に対する引出方向への回転の許容が開始された際には、クラッチ機構34が作動される。
フレーム12の脚板12A内側には、作動ギヤとしての金属製で断面L字形円環状のクラッチギヤ36が回転可能に支持されており、クラッチギヤ36は、スプール14の脚板12A側部分の外周において、スプール14と同軸上に配置されている。クラッチ機構34が作動された際には、クラッチ機構34がクラッチギヤ36の内周に係合されて、クラッチギヤ36がスプール14と一体に引出方向に回転可能にされる。
フレーム12の脚板12A内側には、クラッチギヤ36の上側において、中間ギヤとしての増速ギヤ38が回転可能に支持されており、増速ギヤ38の軸方向は、クラッチギヤ36の軸方向と平行に配置されている。増速ギヤ38には、小径ギヤ38Aと大径ギヤ38Bとが同軸上にかつ一体に設けられており、小径ギヤ38Aの外周には、クラッチギヤ36の外周側部分の外周が噛合されている。このため、クラッチギヤ36が引出方向に回転されることで、増速ギヤ38(小径ギヤ38A及び大径ギヤ38B)が回転される。
クラッチギヤ36の内周側部分の外周側には、慣性体としての断面L字形円環状のフライホイール40が同軸上にかつ回転可能に支持されており、フライホイール40の内周側部分の外周には、増速ギヤ38の大径ギヤ38Bの外周が噛合されている。このため、クラッチギヤ36が引出方向に回転されて、増速ギヤ38が回転されることで、フライホイール40が引出方向に回転されると共に、フライホイール40の回転速度(回転角速度)がスプール14の回転速度(回転角速度)に対し増速される。
次に、本実施形態の作用を説明する。
以上の構成のウェビング巻取装置10では、スプール14からウェビング16が引出されて、乗員にウェビング16が装着される。また、付勢機構30の付勢力により、スプール14が巻取方向に回転されて、ウェビング16がスプール14に巻取られることで、乗員に装着されたウェビング16の弛みが除去される。
ところで、車両の衝突時(特に前面衝突時)には、車両の減速により乗員に慣性力が作用される。さらに、車両の減速加速度(衝突速度)及び乗員の体格の少なくとも1つが大きくなるに従い、乗員に作用される慣性力が大きくなって、乗員によるウェビング16のスプール14からの引出荷重が大きくなる。
また、車両の衝突時には、第2フォースリミッタ機構18において、センサ機構26が作動されて、ロックベース22のロックプレート24が脚板12Aの貫通孔12Cのラチェット歯に噛合されることで、ロックベース22の引出方向への回転が規制されて、トーションシャフト20を介してスプール14の引出方向への回転が制限される。これにより、ウェビング16のスプール14からの引出しが制限されることで、ウェビング16によって乗員が拘束される。
さらに、車両の衝突時には、プリテンショナ機構28が作動されることで、スプール14が急激に巻取方向に回転される。このため、ウェビング16がスプール14に急激に巻取られることで、ウェビング16による乗員の拘束力が増加される。
上述の如くロックベース22の引出方向への回転が規制された状態で、乗員によるウェビング16のスプール14からの引出荷重(スプール14の引出方向への回転荷重)がトーションシャフト20の耐捩れ荷重以上である際には、トーションシャフト20が捩れ変形されて、スプール14のロックベース22に対する引出方向への回転が許容される。
スプール14のロックベース22に対する引出方向への回転の許容が開始された際には、第1フォースリミッタ機構32において、クラッチ機構34が作動されてクラッチギヤ36の内周に係合されることで、クラッチギヤ36がスプール14と一体に引出方向に回転されて、増速ギヤ38(小径ギヤ38A及び大径ギヤ38B)を介してフライホイール40が引出方向に増速回転される。このため、フライホイール40に巻取方向への慣性力が作用されると共に、フライホイール40に作用される巻取方向への慣性力が増速ギヤ38、クラッチギヤ36及びクラッチ機構34を介してスプール14に作用される。
これにより、乗員によるウェビング16のスプール14からの引出荷重がフライホイール40に作用される慣性力による荷重(第1抵抗荷重、以下「第1フォースリミッタ荷重」という)とトーションシャフト20の耐捩れ荷重(図2及び図3のf2参照、第2抵抗荷重、以下「第2フォースリミッタ荷重」という)との合計であるフォースリミッタ荷重(図2及び図3のf参照)以上である際に、ウェビング16のスプール14からの引出しが許容されることで、乗員の運動エネルギーがフライホイール40に作用される慣性力とトーションシャフト20の捩れ変形とによって吸収されて、乗員が保護される。
ここで、ウェビング16のスプール14からの引出加速度が増加するに従い、フライホイール40に作用される慣性力が増加されて、フライホイール40によりスプール14に作用される第1フォースリミッタ荷重が増加される。さらに、トーションシャフト20の捩れ角度が増加されて、ウェビング16のスプール14からの引出量が増加されるに従い、トーションシャフト20の耐捩れ荷重が増加されて、トーションシャフト20によりスプール14に作用される第2フォースリミッタ荷重が増加される。
このため、図2に示す如く、乗員によるウェビング16のスプール14からの引出荷重が小さい場合(車両の減速加速度が小さい場合や乗員の体格が小さい場合)には、ウェビング16のスプール14からの引出加速度が小さくされて、フライホイール40による第1フォースリミッタ荷重が小さくされると共に、ウェビング16のスプール14からの引出量が小さくされて、トーションシャフト20による第2フォースリミッタ荷重が小さくされる。このため、乗員にウェビング16から作用されるフォースリミッタ荷重を低くできる。
一方、図3に示す如く、乗員によるウェビング16のスプール14からの引出荷重が大きい場合(車両の減速加速度が大きい場合や乗員の体格が大きい場合)には、前半において、ウェビング16のスプール14からの引出量が小さくされて、トーションシャフト20による第2フォースリミッタ荷重が小さくされても、ウェビング16のスプール14からの引出加速度が大きくされて、フライホイール40による第1フォースリミッタ荷重が大きくされる。しかも、後半において、仮に、ウェビング16のスプール14からの引出加速度が小さくされて、フライホイール40による第1フォースリミッタ荷重が小さくされても、ウェビング16のスプール14からの引出量が大きくされて、トーションシャフト20による第2フォースリミッタ荷重が大きくされる。このため、乗員にウェビング16から作用されるフォースリミッタ荷重を高くでき、乗員の慣性力による移動量を低減できる。
以上により、乗員にウェビング16から作用されるフォースリミッタ荷重を車両の減速加速度及び乗員の体格に対応させることができ、乗員を適切に保護できる。
また、第1フォースリミッタ機構32では、スプール14の引出方向への回転がクラッチ機構34、クラッチギヤ36及び増速ギヤ38を介してフライホイール40に伝達されて、フライホイール40がスプール14に慣性力を作用させる。このため、ウェビング16のスプール14からの引出加速度が増加するに従い、フライホイール40の慣性力を増加させることができ、第1フォースリミッタ荷重を増加させることができる。
さらに、ウェビング16のスプール14からの引出量が増加するに従い、トーションシャフト20による第2フォースリミッタ荷重が連続して(滑らかに)増加される。このため、フライホイール40による第1フォースリミッタ荷重が連続して(滑らかに)減少しても、フォースリミッタ荷重を維持できる。
[第2実施形態]
図4には、本発明の第2実施形態に係るウェビング巻取装置50が後方から見た断面図にて示されている。さらに、図5には、ウェビング巻取装置50の主要部が分解斜視図にて示されており、図6には、ウェビング巻取装置50の主要部が一側方から見た断面図にて示されている。
本実施形態に係るウェビング巻取装置50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
本実施形態に係るウェビング巻取装置50では、第2フォースリミッタ機構18において、トーションシャフト20は、所謂プログレッシブトーションシャフトにされておらず、トーションシャフト20の捩れ角度が大きくなっても、トーションシャフト20の耐捩れ荷重が維持される。
図4〜図6に示す如く、スプール14とロックベース22との間には、第2抵抗機構としての第3フォースリミッタ機構52が設けられている。
第3フォースリミッタ機構52には、移動部材としての円環板状のリング54が設けられており、リング54は、ロックベース22の小径部22Aの外周において、スプール14とロックベース22の大径部22Bとの間に同軸上にかつ回転可能に支持されている。
リング54には、係合部としての回転突起54Aが一体に設けられており、回転突起54Aは、リング54の径方向内側に突出されている。ロックベース22の小径部22Aには、被係合部としての規制突起22Cが一体に設けられており、規制突起22Cは、回転突起54Aの巻取方向側において、小径部22Aの径方向外側に突出されると共に、ロックベース22の大径部22Bと一体にされている。
リング54には、エネルギー吸収部材としての金属製で長尺棒状のワイヤ56の基端が係止されており、ワイヤ56は、リング54からスプール14側に延出されている。
スプール14の周壁には、円状の挿入孔58が形成されており、挿入孔58は、スプール14の軸方向に平行に延伸されると共に、スプール14のリング54側に開放されている。挿入孔58には、ワイヤ56が挿入されており、リング54は、ワイヤ56を介してスプール14と一体回転可能にされている。
ところで、車両の衝突時に、第2フォースリミッタ機構18において、ロックベース22の引出方向への回転が規制された状態で、乗員によるウェビング16のスプール14からの引出荷重(スプール14の引出方向への回転荷重)がトーションシャフト20の耐捩れ荷重以上である際には、トーションシャフト20が捩れ変形されて、スプール14のロックベース22に対する引出方向への回転が許容される。
スプール14のロックベース22に対する引出方向への回転の許容が開始された際には、第1フォースリミッタ機構32において、クラッチ機構34が作動されてクラッチギヤ36の内周に係合されることで、クラッチギヤ36がスプール14と一体に引出方向に回転されて、増速ギヤ38(小径ギヤ38A及び大径ギヤ38B)を介してフライホイール40が引出方向に増速回転される。このため、フライホイール40に巻取方向への慣性力が作用されると共に、フライホイール40に作用される巻取方向への慣性力が増速ギヤ38、クラッチギヤ36及びクラッチ機構34を介してスプール14に作用される。
これにより、乗員によるウェビング16のスプール14からの引出荷重がフライホイール40に作用される慣性力による荷重(第1抵抗荷重、以下「第1フォースリミッタ荷重」という)とトーションシャフト20の耐捩れ荷重(図7及び図8のf2参照、以下「第2フォースリミッタ荷重」という)との合計であるフォースリミッタ荷重(図7及び図8のf参照)以上である際に、ウェビング16のスプール14からの引出しが許容されることで、乗員の運動エネルギーがフライホイール40に作用される慣性力とトーションシャフト20の捩れ変形とによって吸収されて、乗員が保護される。
また、スプール14のロックベース22に対する引出方向への回転が許容されて、第3フォースリミッタ機構52において、リング54がスプール14と一体に引出方向に略1周回転されることで、リング54の回転突起54Aがロックベース22の規制突起22Cに当接されて、リング54の引出方向への回転が規制(ロック)される。このため、ワイヤ56に作用される荷重がワイヤ56の耐変形荷重以上である際には、ワイヤ56がスプール14の挿入孔58から引出されつつ挿入孔58のリング54側端において変形(しごき変形)されることで、スプール14のリング54に対する引出方向への回転が許容される。
これにより、乗員によるウェビング16のスプール14からの引出荷重がフライホイール40に作用される慣性力による荷重(第1フォースリミッタ荷重)とトーションシャフト20の耐捩れ荷重(第2フォースリミッタ荷重)とワイヤ56の耐変形荷重(図7及び図8のf3参照、第2抵抗荷重、以下「第3フォースリミッタ荷重」という)との合計であるフォースリミッタ荷重(図8のf参照)以上である際に、ウェビング16のスプール14からの引出しが許容されることで、乗員の運動エネルギーがフライホイール40に作用される慣性力とトーションシャフト20の捩れ変形とワイヤ56の変形とによって吸収されて、乗員が保護される。
ここで、ウェビング16のスプール14からの引出加速度が増加するに従い、フライホイール40に作用される慣性力が増加されて、フライホイール40によりスプール14に作用される第1フォースリミッタ荷重が増加される。さらに、トーションシャフト20の捩れ角度が増加されて、ウェビング16のスプール14からの引出量が増加された後に、ワイヤ56による第3フォースリミッタ荷重がスプール14に作用される。
このため、図7に示す如く、乗員によるウェビング16のスプール14からの引出荷重が小さい場合(車両の減速加速度が小さい場合や乗員の体格が小さい場合)には、ウェビング16のスプール14からの引出加速度が小さくされて、フライホイール40による第1フォースリミッタ荷重が小さくされると共に、ウェビング16のスプール14からの引出量が小さくされて、ワイヤ56による第3フォースリミッタ荷重がスプール14に作用されない。このため、乗員にウェビング16から作用されるフォースリミッタ荷重を低くできる。
一方、図8に示す如く、乗員によるウェビング16のスプール14からの引出荷重が大きい場合(車両の減速加速度が大きい場合や乗員の体格が大きい場合)には、前半において、ウェビング16のスプール14からの引出量が小さくされて、ワイヤ56による第3フォースリミッタ荷重がスプール14に作用されなくても、ウェビング16のスプール14からの引出加速度が大きくされて、フライホイール40による第1フォースリミッタ荷重が大きくされる。しかも、後半において、仮に、ウェビング16のスプール14からの引出加速度が小さくされて、フライホイール40による第1フォースリミッタ荷重が小さくされても、ウェビング16のスプール14からの引出量が大きくされて、ワイヤ56による第3フォースリミッタ荷重がスプール14に作用される。このため、乗員にウェビング16から作用されるフォースリミッタ荷重を高くでき、乗員の慣性力による移動量を低減できる。
以上により、乗員にウェビング16から作用されるフォースリミッタ荷重を車両の減速加速度及び乗員の体格に対応させることができ、乗員を適切に保護できる。
また、第1フォースリミッタ機構32では、スプール14の引出方向への回転がクラッチ機構34、クラッチギヤ36及び増速ギヤ38を介してフライホイール40に伝達されて、フライホイール40がスプール14に慣性力を作用させる。このため、ウェビング16のスプール14からの引出加速度が増加するに従い、フライホイール40の慣性力を増加させることができ、第1フォースリミッタ荷重を増加させることができる。
さらに、ウェビング16のスプール14からの引出量が増加された後に、ワイヤ56による第3フォースリミッタ荷重がスプール14に急激に作用される。このため、フライホイール40による第1フォースリミッタ荷重が急激に減少しても、フォースリミッタ荷重を維持できる。
なお、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、スプール14が引出方向に加速回転される際及びスプール14が引出方向に減速回転される際にクラッチ機構34がスプール14をフライホイール40に接続する。しかしながら、スプール14が引出方向に加速回転される際にクラッチ機構34がスプール14をフライホイール40に接続する一方、スプール14が引出方向に減速回転される際にはクラッチ機構34がスプール14をフライホイール40に接続しなくてもよい。