JP2017140818A - 樹脂積層体、建築部材、および、樹脂積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、真空蒸着法、スパッタリング、イオンスプレーコーティング等の物理的気相成長法や、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等の化学気相成長法により、ハードコート層(硬化性樹脂層)を表面に形成する方法もあるが、これらの方法でも基材とハードコート層との密着性に問題が生じる場合や、形成時にクラックが生じたり使用中にハードコート層が剥離したりする問題があった。
また、別の方法として、基材とハードコート層との間にアクリル系、ポリエステル系等の接着層を設ける方法やシランカップリング剤を使用する方法、基材にコロナ処理、プラズマ処理等による表面処理を施してハードコート層を設ける方法も知られている。例えば、特許文献2には、透光性樹脂基材の表面に接着層を介してハードコート層を形成した透光性ハードコート樹脂成形体であって、接着層にはハードコート層を形成するハードコート剤がハードコート層側ほど多く含有されているか、ハードコート層から透光性樹脂基材に向かって漸減する構成とした透光性ハードコート樹脂成形体が開示されている。
(1)熱可塑性樹脂組成物aを主成分とする樹脂層A、熱可塑性樹脂組成物bを主成分とする樹脂層B、および硬化性樹脂組成物cから形成される樹脂層Cの少なくとも三層をこの順に積層してなる樹脂積層体において、JIS K 7244に準拠し、周波数10Hz、上記熱可塑性樹脂組成物bのガラス転移温度Tg(b)−20℃の条件で行われる動的粘弾性引張法により測定される、上記熱可塑性樹脂組成物aの貯蔵弾性率E´(a)と上記熱可塑性樹脂組成物bの貯蔵弾性率E´(b)とが以下の関係式(I)を満たす、樹脂積層体。
E´(b)>E´(a) ・・・(I)
(2)上記熱可塑性樹脂組成物aのガラス転移温度Tg(a)と上記ガラス転移温度Tg(b)とが以下の関係式(II)を満たす、(1)に記載の樹脂積層体。
Tg(b)>Tg(a) ・・・(II)
(3)上記貯蔵弾性率E´(b)が2×108Pa以上である、(1)または(2)に記載の樹脂積層体。
(4)上記樹脂層Bの厚みが10〜100μmである、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(5)上記ガラス転移温度Tg(a)と上記ガラス転移温度Tg(b)とが以下の関係式(III)を満たす、(2)〜(4)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
Tg(b)−60℃≦Tg(a)≦Tg(b)−20℃ ・・・(III)
(6)上記熱可塑性樹脂組成物aおよび上記熱可塑性樹脂組成物bが、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(7)上記ガラス転移温度Tg(a)が100〜130℃である、(2)〜(6)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(8)上記熱可塑性樹脂組成物aが、ポリカーボネート系樹脂とPCTG樹脂との混合物を主成分とする、(1)〜(7)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(9)上記樹脂層Aの上記樹脂層Bが積層されていない側の面に、熱可塑性樹脂組成物dを主成分とする樹脂層Dを積層してなる、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(10)上記ガラス転移温度Tg(a)と上記熱可塑性樹脂組成物dのガラス転移温度Tg(d)とが以下の関係式(IV)を満たす、(9)に記載の樹脂積層体。
Tg(d)>Tg(a) ・・・(IV)
(11)JIS K 7244に準拠し、周波数10Hz、上記ガラス転移温度Tg(d)−20℃の条件で行われる動的粘弾性引張法により測定される、上記貯蔵弾性率E´(a)と上記熱可塑性樹脂組成物dの貯蔵弾性率E´(d)とが以下の関係式(V)を満たす、(9)または(10)に記載の樹脂積層体。
E´(d)>E´(a) ・・・(V)
(12)上記樹脂層Aの上記樹脂層Bが積層されていない側の面に、熱可塑性樹脂組成物eを主成分とする樹脂層Eおよび熱可塑性樹脂組成物dを主成分とする樹脂層Dをこの順に積層してなる、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(13)上記ガラス転移温度Tg(a)と上記熱可塑性樹脂組成物eのガラス転移温度Tg(e)とが以下の関係式(VI)を満たす、(12)に記載の樹脂積層体。
Tg(e)>Tg(a) ・・・(VI)
(14)JIS K 7244に準拠し、周波数10Hz、上記熱可塑性樹脂組成物eのガラス転移温度Tg(e)−20℃の条件で行われる動的粘弾性引張法により測定される、上記貯蔵弾性率E´(a)と上記熱可塑性樹脂組成物eの貯蔵弾性率E´(e)とが以下の関係式(VII)を満たす、(12)または(13)に記載の樹脂積層体。
E´(e)>E´(a) ・・・(VII)
(15)上記熱可塑性樹脂組成物dおよび上記熱可塑性樹脂組成物eが、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする、(12)〜(14)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(16)上記硬化性樹脂組成物cが光硬化性である、(1)〜(15)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(17)上記硬化性樹脂組成物cが、シリコン変性アクリル樹脂を30質量%以上70質量%以下、コロイダルシリカを5質量%以上30質量%以下およびウレタン(メタ)アクリレートを10質量%以上50質量%以下含む、(1)〜(16)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(18)上記熱可塑性樹脂組成物bが、紫外線吸収剤および/またはヒンダードアミン系光安定剤を、熱可塑性樹脂成分100質量部に対し1〜15質量部含有する、(1)〜(17)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(19)上記硬化性樹脂組成物cが、紫外線吸収剤および/またはヒンダードアミン系光安定剤を、該硬化性樹脂組成物c中に1〜10質量%含有する、(1)〜(18)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(20)上記樹脂層C側表面の水接触角が95°以上であり、かつ、超促進耐候性試験に300時間供した後の上記水接触角が85°以上である、(1)〜(19)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(21)ラミネートフィルムに用いる、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
(22)(1)〜(21)のいずれか一項に記載の樹脂積層体を有する建築部材。
(23)上記樹脂層Aおよび上記樹脂層Bを積層する第1工程と、上記樹脂層Bに上記樹脂層Cを積層する第2工程と、上記樹脂層Dを形成する第3工程と、上記樹脂層Aの上記樹脂層Bが積層されていない側の面が上記樹脂層Dに接するように上記樹脂層Aに上記樹脂層Dを積層し熱接着する第4工程と、を上記順に有すること特徴とする、(9)に記載の積層体の製造方法。
(24)上記樹脂層Aおよび上記樹脂層Bを積層する第1工程と、上記樹脂層Bに上記樹脂層Cを積層する第2工程と、上記樹脂層Dおよび上記樹脂層Eを積層する第3工程と、上記樹脂層Aの上記樹脂層Bが積層されていない側の面が上記樹脂層Eに接するように上記樹脂層Aに上記樹脂層Eを積層し熱接着する第4工程と、を上記順に有すること特徴とする、(12)に記載の積層体の製造方法。
(1)UV照射工程(照射強度:75mW/cm2、温度:53℃、湿度:50%、シャワー3秒/59分)6時間
(2)結露工程(温度:60℃、湿度:90%)4時間
(3)休止工程2時間
超促進耐候性試験後における各種特性の劣化の度合いは、高温度環境などの過酷な環境下で長期使用できることの指標となる。
また、本発明で言う「主成分」とは、質量比率が50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であることを意味する。
以下に、樹脂積層体を構成する樹脂層A、樹脂層Bおよび樹脂層Cについて順に説明する。
本発明における樹脂層Aは、熱可塑性樹脂組成物aを主成分とする。樹脂層Aを有することにより、樹脂層Bおよび樹脂層Cと、樹脂層Aの樹脂層Bが積層されていない側に積層される層との接着性が良好となる。
(i)trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とtrans−/cis−1,4−シクロヘキサンジメタノールとの重縮合物等の脂環式ポリエステル樹脂とポリカーボネート系樹脂とを含む樹脂組成物
(ii)ポリカプロラクトン等のカプロラクトン系重合体とポリカーボネート系樹脂とを含む樹脂組成物
(iii)ビスフェノールCを原料とするポリカーボネート系樹脂(C−PC樹脂)を含む樹脂組成物。好ましくはC−PC樹脂とビスフェノールAを原料とするポリカーボネート系樹脂(A−PC樹脂)との混合物を含む樹脂組成物
(iv)ビスフェノールCとビスフェノールAとの共重合体を含む樹脂組成物
(v)反可塑剤として知られているオルトターフェニルやメタターフェニル等のターフェニル化合物および/またはビフェニル化合物を含むポリカーボネート系樹脂組成物
(vi)(縮合)リン酸エステル化合物を含むポリカーボネート系樹脂組成物
等が、好ましく挙げられる。
また、樹脂層Aには、本発明の目的を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤、耐衝撃性改質剤、増粘剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含有することができる。
本発明の樹脂積層体は、樹脂層Aと後述する樹脂層Cとの間に、熱可塑性樹脂組成物bを主成分とする樹脂層Bを有する。樹脂層Bを設けることにより、樹脂層Aと樹脂層Cとの弾性率差が原因で、樹脂層Cにクラックが発生することを容易に抑制できる。
熱可塑性樹脂組成物bはポリカーボネート系樹脂を主成分とすることが好ましい。熱可塑性樹脂組成物bに用いるポリカーボネート系樹脂としては、樹脂層Aに用いるポリカーボネート系樹脂と同様のものを使用することができるが、後述する関係式(I)〜(III)を満たし易くするものとして、例えば、三菱エンジニアリングプラスチック社製「ノバレックスM7027U」「ノバレックスM7027U−15X」等が挙げられる。樹脂層Bに含まれる熱可塑性樹脂組成物bの含有量は、樹脂層Bに含まれる全樹脂成分の合計を100質量%として、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、95質量%以上であることが最も好ましい。熱可塑性樹脂組成物bの含有量が上記範囲にあることにより、樹脂積層体製造時の張力条件等の製造条件を過度に調整することが不要で樹脂層Cでのクラック発生を容易に抑制でき、さらに、樹脂層Bに十分な耐衝撃性を付与することができる。
本発明において、JIS K 7244に準拠し、周波数10Hz、上記熱可塑性樹脂組成物bのガラス転移温度Tg(b)−20℃の条件で行われる動的粘弾性引張法により測定される、上記熱可塑性樹脂組成物aの貯蔵弾性率E´(a)と上記熱可塑性樹脂組成物bの貯蔵弾性率E´(b)とが以下の関係式(I)を満たすことが重要である。
E´(b)>E´(a) ・・・(I)
Tg(b)>Tg(a) ・・・(II)
Tg(b)−60℃≦Tg(a)≦Tg(b)−20℃ ・・・(III)
本発明における樹脂層Cは、樹脂積層体に優れた耐擦傷性を付与する役割を果たす。樹脂層Cの耐擦傷性について、#0000のスチールウールを用いて荷重1000gfで擦ったときに、増加ヘイズ値が30%以下となることが好ましい。
樹脂層Cは硬化性樹脂組成物cから形成されるものである。本発明に用いる硬化性樹脂組成物cは光硬化性であることが好ましく、例えば、電子線、放射線、紫外線などのエネルギー線を照射することにより硬化することが好ましい。中でも紫外線硬化性であることがより好ましい。
本発明の好ましい形態に用いられるシリコン変性アクリル樹脂は、特に制限されるものではないが、ポリシロキサン構造と(メタ)アクリル基とを含む化合物を含有するものが好ましく、かつグラフト共重合体であることがより好ましい。
成分(1)は、有機溶剤に可溶であるものが好ましく、例えば、水酸基を有しかつ有機溶剤に可溶なる硬化性基含有アクリル系(共)重合体とイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体とを反応させることによって得ることができる。
水酸基を有しかつ有機溶剤に可溶なる硬化性基含有アクリル系(共)重合体は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
イソシアネート基を有するラジカル重合性単量体は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
成分(2)は、直鎖状ポリシロキサン鎖の片末端にラジカル重合性不飽和結合部分を含むものであれば、特に制限はない。好ましくは、下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で示される単量体を用いることができる。
一般式(2)中、R7は水素原子、メチル基であることが好ましい。R8、R9、R10、R11は、それぞれ独立してメチル基、フェニル基であることが好ましい。R12はメチル基、ブチル基、フェニル基であることが好ましい。pは好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくは3である。また、qは好ましくは10以上の整数であり、より好ましくは30以上の整数である。
成分(2)は単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
成分(3)としては、片末端ラジカル重合性アルコキシポリアルキレングリコールが好ましく、下記一般式(3)で示されるものがより好ましい。
成分(3)は単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
成分(4)の具体例としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、またはビニルトルエン等のスチレン系単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートまたはベンジル(メタ)アクリレート等の炭化水素基をもつ(メタ)アクリレート系単量体、上記の(メタ)アクリレート系単量体の水素原子をフッ素原子、塩素原子または臭素原子等で置換した(メタ)アクリレート系単量体、酢酸ビニル、安息香酸ビニルまたは分岐状モノカルボン酸のビニルエステル等のビニルエステル系単量体、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル等のアクリロニトリル系単量体、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテルまたはシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドまたはジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体等が挙げられ、中でも、成分(1)〜(3)との共重合性および耐候性の観点から、上記の(メタ)アクリレート系単量体およびスチレン系単量体が好ましく、(メタ)アクリレート系単量体がより好ましい。
成分(4)としては、上記の単量体を単独で用いても、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いられるコロイダルシリカは、耐擦傷性を向上させ、かつ硬化性樹脂組成物cから形成される樹脂層の透明性を阻害しにくい。このようなコロイダルシリカとしては従来公知のコロイダルシリカから適宜選択して用いることが可能である。コロイダルシリカの粒子径としては、平均1次粒子径が5〜1000nmのものを用いることが好ましく、8〜100nmのものがより好ましく、10〜50nmのものが更に好ましく、10〜30nmのものが特に好ましい。平均1次粒子径が1000nm以下のコロイダルシリカを用いると透明性が低下しにくい。また、用いるコロイダルシリカの平均1次粒子径は一種類である必要はなく、異なる平均1次粒子径のコロイダルシリカを混合して用いることも可能である。なお、コロイダルシリカの平均1次粒子径は、BET法により測定される比表面積から求められる粒子径の算術平均値をいう。
コロイダルシリカ中のシリカ(SiO2)含有量は、10〜60質量%であることが好ましく、15〜50質量%であることがより好ましく、20〜45質量%であることがさらに好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物cは、さらに、光硬化性樹脂を含有していることが好ましい。光硬化性樹脂の好ましい例としては、(メタ)アクリレート化合物、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、カルボキシル基変性エポキシ(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、共重合系アクリレート等の(メタ)アクリレート系化合物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂等のエポキシ系化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられ、中でも(メタ)アクリレート系化合物が好ましく、ウレタン(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。これらの光硬化性樹脂は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数の化合物を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物cは、耐候性向上のために紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン系等のトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オギザニリド系、マロン酸エステル系等の有機紫外線吸収剤、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物がより好ましい。その含有量は、硬化性樹脂組成物c100質量部に対して10質量部以下、好ましくは1質量部以上、5質量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲の下限値未満の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が上記範囲の上限値を超える場合は、硬化阻害や熱加工時にブリードを引き起こす可能性があり好ましくない。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物cは、耐候性向上のために光安定剤を含有することも好ましい。光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾエート系化合物などが挙げられ、ヒンダードアミン系化合物が好ましい。その含有量は、硬化性樹脂組成物c100質量部に対して10質量部以下、好ましくは1質量部以上、5質量部以下である。光安定剤の含有量が上記範囲の下限値未満の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、光安定剤の含有量が上記範囲の上限値を超える場合は、硬化阻害や熱化工時にブリードを引き起こす可能性があり好ましくない。なお、光安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
ピペリジン構造を有する化合物としては、中でも、分子中に2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を有する化合物が好ましい。
具体的には、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、ビス[(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル]2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、N,N´−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N´−ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジル−1、6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物等が挙げられる。
さらに、本発明の樹脂積層体において、上記樹脂層Aの上記樹脂層Bが積層されていない側の面に、熱可塑性樹脂組成物dを主成分とする樹脂層Dが積層されて用いられる態様も好ましい。熱可塑性樹脂組成物dはポリカーボネート系樹脂を主成分とすることが好ましい。樹脂層Dは樹脂積層体に優れた耐衝撃性を付与する役割を果たす。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物aのガラス転移温度Tg(a)と熱可塑性樹脂組成物dのガラス転移温度Tg(d)とが以下の関係式(IV)を満たすことが好ましい。
Tg(d)>Tg(a) ・・・(IV)
E´(d)>E´(a) ・・・(V)
さらに、本発明の樹脂積層体において、上記樹脂層Aの上記樹脂層Bが積層されていない側の面に、熱可塑性樹脂組成物eを主成分とする樹脂層Eおよび上記樹脂層Dがこの順に積層されていてもよい。
熱可塑性樹脂組成物eはポリカーボネート系樹脂を主成分とすることが好ましい。樹脂層Eは樹脂積層体に優れた耐衝撃性を付与する役割を果たす。ポリカーボネート系樹脂としては、樹脂層BおよびDに用いるポリカーボネート系樹脂と同様のものを使用することができるが、後述する関係式(VI)および(VII)を満たし易くするものとして、例えば、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製「ユーピロンE−2000FN」を用いることができる。樹脂層Eに含まれる熱可塑性樹脂組成物eの含有量は、樹脂層Eに含まれる全樹脂成分の合計を100質量%として、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが最も好ましい。熱可塑性樹脂組成物eの含有量が上記範囲にあることにより、樹脂層Eに十分な耐衝撃性を付与することができる。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物aのガラス転移温度Tg(a)と熱可塑性樹脂組成物eのガラス転移温度Tg(e)とが以下の関係式(VI)を満たすことが好ましい。
Tg(e)>Tg(a) ・・・(VI)
E´(e)>E´(a) ・・・(VII)
本発明の樹脂積層体は、上記樹脂層A、樹脂層Bおよび樹脂層Cの少なくとも三層をこの順に積層してなるものであり、樹脂層Aの樹脂層Bが積層されていない側の面に上記樹脂層Dを積層してなる少なくとも4層構成、または、樹脂層Aの樹脂層Bが積層されていない側の面に上記樹脂層Dおよび樹脂層Eをこの順に積層してなる少なくとも5層構成であってもよい。なお、本発明の樹脂積層体は、上記少なくとも三層を有する平板状の樹脂積層体をプレス成形、真空成形、圧空成形等の熱成形により成形した成形体であってもよい。
上記した樹脂積層体を製造する方法については特に限定されないが、好ましい製造方法について、以下説明する。
上記樹脂層A、樹脂層Bおよび樹脂層Cの少なくとも三層をこの順に積層してなり、樹脂層Aの樹脂層Bが積層されていない側の面に上記樹脂層Dを積層してなる樹脂積層体D/A/B/Cは、上記樹脂層Aおよび上記樹脂層Bを積層する第1工程と、上記樹脂層Bに上記樹脂層Cを積層する第2工程と、上記樹脂層Dを形成する第3工程と、上記樹脂層Aの上記樹脂層Bが積層されていない側の面が上記樹脂層Dに接するように上記樹脂層Aに上記樹脂層Dを積層し熱接着する第4工程と、を上記順に有すること特徴とする樹脂積層体の製造方法により製造される。
樹脂層Bとの積層方法としては、公知の方法が使用される。例えば、グラビアコート法、カバーフィルムを使用するラミネート方式、ナチュラルコート法、リバースコート法、カンマコーター法、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバー法、エクストルージョン法、カーテンコート法等が挙げられる。樹脂層Bの厚みや、樹脂層Cの厚みなどに応じて適当なものを選択することができる。
上記樹脂層A、樹脂層Bおよび樹脂層Cの少なくとも三層をこの順に積層してなり、樹脂層Aの樹脂層Bが積層されていない側の面に上記樹脂層Dおよび樹脂層Eをこの順に積層してなる樹脂積層体D/E/A/B/Cは、上記樹脂層Aおよび上記樹脂層Bを積層する第1工程と、上記樹脂層Bに前記樹脂層Cを積層する第2工程と、上記樹脂層Dおよび上記樹脂層Eを積層する第3工程と、上記樹脂層Aの上記樹脂層Bが積層されていない側の面が上記樹脂層Eに接するように上記樹脂層Aに上記樹脂層Eを積層し熱接着する第4工程と、を上記順に有すること特徴とする樹脂積層体の製造方法により製造される。
上記製造方法により製造される本発明の樹脂積層体は、樹脂層Cの最表層におけるケイ素(Si)含有量が特定の範囲であるものが好ましい。樹脂層Cの最表層におけるケイ素含有量は、2〜20atom%であることが好ましく、3〜15atom%であることがより好ましく、5〜13atom%であることがさらに好ましい。
また、樹脂層Cの最表層におけるケイ素含有量(S1)と樹脂層Cの表層におけるケイ素含有量(S2)との比(S1/S2)が、1より大きく10以下であることが好ましく、1.5以上8以下であることがより好ましく、2以上6以下であることがさらに好ましい。すなわち、樹脂層Cの最表面におけるケイ素含有量が、それより内側の表層におけるケイ素含有量よりも大きいことが好ましい。このようなケイ素含有量となるように樹脂層Cを積層することにより、防汚性、耐候性により優れる樹脂積層体とすることが可能となる。
なお、本発明において、樹脂層Cの最表層のケイ素含有量は、X線光電子分光法(ESCA)を用い、定法に従い測定することができる。また、樹脂層Cの表層のケイ素含有量とは、ESCA分析においてアルゴンイオンエッチングを90秒施した後の表層のケイ素含有量をいい、定法に従い測定することができる。具体的には、実施例に記載の方法により測定する。
本発明においては、特に、硬化性樹脂組成物cがシリコン変性アクリル樹脂を30質量%以上70質量%以下、コロイダルシリカを5質量%以上30質量%以下およびウレタン(メタ)アクリレートを10質量%以上50質量%以下含むものである場合に、特定の(最)表層ケイ素含有量であることの上記メリットが大きい。
また、シリコン変性アクリル樹脂中のシリコン含有量や樹脂種、シリコン変性アクリル樹脂の配合量を調整することによっても可能である。
<実施例1>
樹脂層A/Bの積層体の製造:
樹脂層Aに使用する熱可塑性樹脂組成物aとして、ポリカーボネート系樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製「ユーピロンH−3000」)とPCTG樹脂(SK Chemicals社製「SKYGREEN J2003」)とを質量比30/70で混合し、熱可塑性樹脂組成物aの混合物A−1を得た。さらに、樹脂層Bに使用する熱可塑性樹脂組成物bとして、ポリカーボネート系樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製「ノバレックスM7027U−15X」)100質量部に対し紫外線吸収剤(BASF社製「Tinuvin1577」)を4質量部配合し、熱可塑性樹脂組成物bの混合物B−1を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物aの混合物A−1と熱可塑性樹脂組成物bの混合物B−1とをそれぞれ押出機に供給し、熱可塑性樹脂組成物aは240℃、熱可塑性樹脂組成物bは280℃で溶融混練した後、280℃で加熱されたTダイに共押出し、樹脂層Aにはエンボス加工を施し、冷却固化して、樹脂層Aが10μm、樹脂層Bが40μmの積層体を得た。なお、熱可塑性樹脂組成物aのガラス転移温度は108℃、貯蔵弾性率は138℃において1.5×106Pa、128℃において4.0×106Pa、118℃において7.0×106Paであった。また、熱可塑性樹脂組成物bのガラス転移温度は148℃、貯蔵弾性率は128℃において1.7×109Paであった。
樹脂層Cに用いる硬化性樹脂組成物cとして、ウレタンアクリレート(三菱レイヨン(株)製「ダイヤビームMH−3881A」)42質量部に、シリコン変性アクリル樹脂((株)T&K TOKA製「ZX−201」)40質量部、光開始剤(BASF(株)製「IRGACURE184」)0.6質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(BASF(株)製「TINUVIN479」)4質量部、ヒンダードアミン系光安定剤(BASF(株)製「TINUVIN123」)4質量部、およびコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製「PGM AC−2140Y」、平均一次粒子径13nm、SiO2含有量42質量%)10質量部を加え、固形分濃度が30%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)にて希釈して、硬化性樹脂組成物cを得た。得られた硬化性樹脂組成物cをバーコーターにて上記で得られた樹脂層A/Bの積層体の樹脂層B上に塗布し、90℃のオーブンで1分間乾燥した後、照射強度が1600mJ/cm2になるように露光し、樹脂層Bにドライ膜厚5μmの樹脂層Cを積層させた。
樹脂層Dに使用する熱可塑性樹脂組成物dとして、ポリカーボネート樹脂「ノバレックスM7027U−15X」100質量部を使用した。樹脂層Eに使用する熱可塑性樹脂組成物eとして、ポリカーボネート系樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製「ユーピロンE2000−FN」)100質量部に対し紫外線吸収剤「Tinuvin1577」を4質量部配合した混合物を使用した。上記樹脂層Dの原料D−1と樹脂層Eの原料E−1とを、それぞれ押出機のホッパーに投入し、温度280℃で溶融し、次いでギアポンプを通してTダイ250℃を用いて共押出した後、鏡面金属ロールとポリシング装置を通過させシート状に賦形させて、樹脂層Dが2mm、樹脂層Eが40μmの基材として用いる積層体を得た。なお、ポリカーボネート系樹脂dのガラス転移温度は158℃、138℃における貯蔵弾性率は1.6×109Pa、熱可塑性樹脂組成物eのガラス転移温度は148℃、128℃における貯蔵弾性率は1.6×109Paであった。
上記記載の方法で得られた樹脂層A/B/Cの積層体と、樹脂層D/Eの基材積層体とを、樹脂層Aの樹脂層Bが積層されていない側の面が基材積層体の樹脂層Eに接するように、ラミネート張力20kgfの条件で、樹脂層Aに樹脂層Eを積層し熱ラミネートして、実施例1に係る樹脂積層体を作製した。なお、樹脂層Cの最表層におけるケイ素含有量(S1)は6.8atom%、表層におけるケイ素含有量(S2)は1.7atom%、S1/S2は3.9であった。
樹脂層A〜Cの構成材料及び厚みを、表2および3に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜7に係る樹脂積層体D/E/A/B/Cを製造した。
なお、実施例5の樹脂層A、および、実施例4、5の樹脂層Bには、ポリカーボネート系樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチック社製「ノバレックスM7027U」を用いた。
樹脂層D/E/A/Cの積層体の製造:
熱可塑性樹脂組成物aを主成分とする樹脂層Aとして、上記熱可塑性樹脂組成物aの混合物A−1を押出機に供給し、押出機において、240℃で溶融混練した後、200℃で加熱されたTダイに押出し、冷却固化して、厚み50μmの樹脂層Aを得た。
次いで、実施例1と同様の方法で樹脂層A上に樹脂層Cを積層させ、樹脂層A/Cの積層体を得た。続いて、実施例1と同様の方法で、樹脂層Dに樹脂層Eを積層、熱ラミネートして、比較例1に係る樹脂積層体を作製した。
樹脂層A、Cの構成材料を、表3に記載のように変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2〜5に係る樹脂積層体D/E/A/Cを製造した。
<ガラス転移温度>
樹脂層A、B、D、Eに用いる原材料について、アイティー計測制御社製動的粘弾性測定装置「itk DVA−200」を用い、0℃から測定可能な温度範囲において、昇温速度3℃/min、周波数10Hzの条件で動的粘弾性引張測定を行い、得られたtanδのピーク温度を求め、ガラス転移温度とした。結果を表2に示す。
樹脂層A、B、D、Eに用いる原材料の動的粘弾性引張法による貯蔵弾性率は、アイティー計測制御社製動的粘弾性測定装置「itk DVA−200」を用い、JIS K7244に準拠し、周波数10Hz、それぞれ所定の温度条件(熱可塑性樹脂組成物aについては、熱可塑性樹脂組成物b、dおよびeのガラス転移温度−20℃、熱可塑性樹脂組成物b、d、eについてはそれぞれ熱可塑性樹脂組成物b、d、eのガラス転移温度−20℃)で測定した。結果を表2に示す。
樹脂層Cの最表層および表層のケイ素含有量の測定は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製「Kアルファ」を用い、C1s、O1s、Si2p、N1s、F1sに対応するピーク面積から元素組成を算出することにより求めた。なお、表層における定性・定量分析は、アルゴンガスにて90秒エッチングを行った後に実施した。
上記記載の方法で得られた実施例1〜7に係る樹脂積層体D/E/A/B/C又は比較例1〜5に係る樹脂積層体D/E/A/Cの樹脂層Cの表面を目視観察し、樹脂層Cのクラック有無を確認した。クラックが発生していないものを「○」とし、クラックが発生したものを「×」とした。結果を表3に示す。
上記記載の方法で得られた樹脂積層体について、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH5000)にてヘイズ値を測定し、初期性能としての透明性の評価を行った。ヘイズ値が5%未満の場合を「○」、5%以上20%未満の場合を「△」、20%以上の場合を「×」とした。結果を表3に示す。
上記記載の方法で得られた樹脂積層体の樹脂層C側の表面を、#0000のスチールウールを用いて荷重1000gfで擦った後、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH5000)にてヘイズ値を測定し、初期性能としての耐擦傷性の評価を行った。増加ヘイズ値(Δヘイズ)が30%以下の場合を「○」、30%より大きく40%未満の場合を「△」、40%以上の場合を「×」とした。結果を表3に示す。
水接触角:
上記記載の方法で得られた樹脂積層体の樹脂層C側の水接触角を、接触角計(協和界面科学(株)製、Drop Master500)を用いて測定し、初期性能としての防汚性の評価を行った。水接触角が95°以上のものが、防汚性に優れているといえる。結果を表3に示す。
油接触角:
上記記載の方法で得られた樹脂積層体の樹脂層C側の油接触角を、接触角計(協和界面科学(株)製、Drop Master500)を用いて測定し、初期性能としての防汚性の評価を行った。油接触角が40°以上のものが、防汚性に優れているといえる。結果を表3に示す。
上記記載の方法で得られた樹脂積層体について、JIS K5600−5−6記載の方法により、熱ラミネート性を評価した。樹脂層Aが剥離しない場合を「○」、樹脂層Aが剥離した場合を「×」とした。結果を表3に示す。
上記記載の方法で得られた樹脂積層体に対し、超促進耐候性試験機(岩崎電気(株)製「アイ スーパーUVテスターSUV−151W」)を用いて、以下の3工程を1サイクルとする促進耐候性試験を行った。
(1)UV照射工程(照射強度:75mW/cm2、温度:53℃、湿度:50%、シャワー3秒/59分)6時間
(2)結露工程(温度:60℃、湿度:90%)4時間
(3)休止工程2時間
試験時間300時間後に、耐擦傷性、防汚性および外観の評価を、以下に示す方法で行った。
上記と同様の方法により、超促進耐候性試験後の樹脂層Cの表面を目視観察し、樹脂層Cのクラック有無を確認した。結果を表3に示す。
上記と同様の方法により、超促進耐候性試験後の透明性の評価を行った。結果を表3に示す。
上記の超促進耐候性試験実施前後の樹脂積層体について、スガ試験機社製分光測色計「SC−T」を用い、透過方式にてJIS K7105に準拠し、C光源透過法にてイエローインデックス(YI)値を測定した。超促進耐候性試験実施前後のYI値の差を、下記式に基づきΔYIとして求めた。
ΔYI=(超促進耐候性試験実施後のYI値−超促進耐候性試験実施前のYI値)
ΔYIが3未満の場合を「○」、3以上5未満の場合を「△」、5以上の場合を「×」とした。結果を表3に示す。
上記と同様の方法により、超促進耐候性試験後の耐擦傷性の評価を行った。結果を表3に示す。
上記と同様の方法により、超促進耐候性試験後の接触角を測定し、超促進耐候性試験後の防汚性の評価を行った。超促進耐候性試験後の水接触角が85°以上であれば、耐候性に優れていると言える。結果を表3に示す。
超促進耐候性試験後の積層体を目視観察し、樹脂層Cの剥離について、発生しなかったものを「○」とし、発生したものを「×」とした。結果を表3に示す。
一方、樹脂層Bがない樹脂層A/Cの積層体を用いて熱ラミネートした比較例1〜5に係る樹脂積層体は、いずれも樹脂層Cにクラックが発生していた。また、比較例3に係る樹脂積層体は超促進耐候性試験後に水接触角が85°を下回り、樹脂層Cの剥離が発生し、耐候性に劣るものであった。比較例4に係る樹脂積層体は初期性能としての耐擦傷性に劣り、超促進耐候性試験後に樹脂層Cの剥離が発生しており、耐候性に劣るものであった。比較例5に係る樹脂積層体は初期性能としての耐擦傷性に劣り、超促進耐候性試験後に樹脂層Cの剥離が発生しており、耐候性にも劣るものであった。
Claims (24)
- 熱可塑性樹脂組成物aを主成分とする樹脂層A、熱可塑性樹脂組成物bを主成分とする樹脂層B、および硬化性樹脂組成物cから形成される樹脂層Cの少なくとも三層をこの順に積層してなる樹脂積層体において、
JIS K 7244に準拠し、周波数10Hz、前記熱可塑性樹脂組成物bのガラス転移温度Tg(b)−20℃の条件で行われる動的粘弾性引張法により測定される、前記熱可塑性樹脂組成物aの貯蔵弾性率E´(a)と前記熱可塑性樹脂組成物bの貯蔵弾性率E´(b)とが以下の関係式(I)を満たす、樹脂積層体。
E´(b)>E´(a) ・・・(I) - 前記熱可塑性樹脂組成物aのガラス転移温度Tg(a)と前記ガラス転移温度Tg(b)とが以下の関係式(II)を満たす、請求項1に記載の樹脂積層体。
Tg(b)>Tg(a) ・・・(II) - 前記貯蔵弾性率E´(b)が2×108Pa以上である、請求項1または2に記載の樹脂積層体。
- 前記樹脂層Bの厚みが10〜100μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 前記ガラス転移温度Tg(a)と前記ガラス転移温度Tg(b)とが以下の関係式(III)を満たす、請求項2〜4のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
Tg(b)−60℃≦Tg(a)≦Tg(b)−20℃ ・・・(III) - 前記熱可塑性樹脂組成物aおよび前記熱可塑性樹脂組成物bが、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 前記ガラス転移温度Tg(a)が100〜130℃である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 前記熱可塑性樹脂組成物aが、ポリカーボネート系樹脂とPCTG樹脂との混合物を主成分とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 前記樹脂層Aの前記樹脂層Bが積層されていない側の面に、熱可塑性樹脂組成物dを主成分とする樹脂層Dを積層してなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 前記ガラス転移温度Tg(a)と前記熱可塑性樹脂組成物dのガラス転移温度Tg(d)とが以下の関係式(IV)を満たす、請求項9に記載の樹脂積層体。
Tg(d)>Tg(a) ・・・(IV) - JIS K 7244に準拠し、周波数10Hz、前記ガラス転移温度Tg(d)−20℃の条件で行われる動的粘弾性引張法により測定される、前記貯蔵弾性率E´(a)と前記熱可塑性樹脂組成物dの貯蔵弾性率E´(d)とが以下の関係式(V)を満たす、請求項9または10に記載の樹脂積層体。
E´(d)>E´(a) ・・・(V) - 前記樹脂層Aの前記樹脂層Bが積層されていない側の面に、熱可塑性樹脂組成物eを主成分とする樹脂層Eおよび熱可塑性樹脂組成物dを主成分とする樹脂層Dをこの順に積層してなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 前記ガラス転移温度Tg(a)と前記熱可塑性樹脂組成物eのガラス転移温度Tg(e)とが以下の関係式(VI)を満たす、請求項12に記載の樹脂積層体。
Tg(e)>Tg(a) ・・・(VI) - JIS K 7244に準拠し、周波数10Hz、前記熱可塑性樹脂組成物eのガラス転移温度Tg(e)−20℃の条件で行われる動的粘弾性引張法により測定される、前記貯蔵弾性率E´(a)と前記熱可塑性樹脂組成物eの貯蔵弾性率E´(e)とが以下の関係式(VII)を満たす、請求項12または13に記載の樹脂積層体。
E´(e)>E´(a) ・・・(VII) - 前記熱可塑性樹脂組成物dおよび前記熱可塑性樹脂組成物eが、ポリカーボネート系樹脂を主成分とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 前記硬化性樹脂組成物cが光硬化性である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 前記硬化性樹脂組成物cが、シリコン変性アクリル樹脂を30質量%以上70質量%以下、コロイダルシリカを5質量%以上30質量%以下およびウレタン(メタ)アクリレートを10質量%以上50質量%以下含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 前記熱可塑性樹脂組成物bが、紫外線吸収剤および/またはヒンダードアミン系光安定剤を、熱可塑性樹脂成分100質量部に対し1〜15質量部含有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 前記硬化性樹脂組成物cが、紫外線吸収剤および/またはヒンダードアミン系光安定剤を、該硬化性樹脂組成物c中に1〜10質量%含有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 前記樹脂層C側表面の水接触角が95°以上であり、かつ、
超促進耐候性試験に300時間供した後の前記水接触角が85°以上である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の樹脂積層体。 - ラミネートフィルムに用いる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 請求項1〜21のいずれか一項に記載の樹脂積層体を有する建築部材。
- 前記樹脂層Aおよび前記樹脂層Bを積層する第1工程と、
前記樹脂層Bに前記樹脂層Cを積層する第2工程と、
前記樹脂層Dを形成する第3工程と、
前記樹脂層Aの前記樹脂層Bが積層されていない側の面が前記樹脂層Dに接するように前記樹脂層Aに前記樹脂層Dを積層し熱接着する第4工程と、
を上記順に有すること特徴とする、請求項9に記載の樹脂積層体の製造方法。 - 前記樹脂層Aおよび前記樹脂層Bを積層する第1工程と、
前記樹脂層Bに前記樹脂層Cを積層する第2工程と、
前記樹脂層Dおよび前記樹脂層Eを積層する第3工程と、
前記樹脂層Aの前記樹脂層Bが積層されていない側の面が前記樹脂層Eに接するように前記樹脂層Aに前記樹脂層Eを積層し熱接着する第4工程と、
を上記順に有すること特徴とする、請求項12に記載の樹脂積層体の製造方法。
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