JP2017139322A - デバイス基板の製造方法、及び積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】デバイス基板と支持板とを剥離する際のデバイス基板の割れを防止することができるデバイス基板の製造方法、及び積層体を提供する。【解決手段】デバイス基板の製造方法は、周縁部に面取り部を有するデバイス基板の第1主面と、剥離可能に貼合された支持板とを有する積層体からデバイス基板を製造する方法であって、デバイス基板の面取り部の面取り高さがデバイス基板の厚さ未満となるように、第1主面と対向する第2主面の側から前記デバイス基板を薄板化する薄板化工程、を有する。【選択図】図5
Description
本発明は、デバイス基板の製造方法、及び積層体に関する。
表示パネル、太陽電池、薄膜二次電池、半導体機器等の電子デバイスの薄型化、軽量化が進められている。これらの電子デバイスに用いられる基板(以下、デバイス基板という)の薄型化、軽量化が要望されている。デバイス基板の厚さが薄くなると、デバイス基板のハンドリング性が低下する。
そこで、デバイス基板の第1主面に支持板を剥離可能に貼合し、デバイス基板の第2主面に必要な処理を施した後、デバイス基板から支持板を剥離する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
一般的に、デバイス基板は、その周縁部において、面取り加工が施されている。面取り加工されたデバイス基板と支持板とを剥離可能に貼合した後、デバイス基板の第2主面を研削等することにより、デバイス基板を薄板化する場合がある。デバイス基板を薄板化した後、デバイス基板を支持板から剥離する際に、デバイス基板の割れが発生する問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、デバイス基板の割れや、欠けを防止することができるデバイス基板の製造方法、及び積層体を提供することを目的とする。
本発明の一態様によると、デバイス基板の製造方法は、周縁部に面取り部を有するデバイス基板の第1主面と、剥離可能に貼合された支持板とを有する積層体からデバイス基板を製造する方法であって、前記デバイス基板の前記面取り部の面取り高さが前記デバイス基板の厚さ未満となるように、前記第1主面と対向する第2主面の側から前記デバイス基板を薄板化する薄板化工程、を有する。
本発明の別の態様によると、積層体は、周縁部に面取り部を有し、第1主面と前記第1主面と対向し薄板化面を有する第2主面とを有するデバイス基板と、前記デバイス基板の前記第1主面と剥離可能に貼合される支持板と、を有する積層体であって、前記デバイス基板の前記面取り部の面取り高さが前記デバイス基板の厚さ未満である。
本発明のデバイス基板の製造方法、及び積層体によれば、デバイス基板と支持板とを剥離する際のデバイス基板の割れや、欠けを防止することができる。
以下、添付図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。本発明は以下の実施の形態により説明される。但し、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。ここで、図中、同一の記号で示される部分は、基本的に、同様の機能を有する同様の要素である。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるデバイス基板の製造方法のフローチャートである。図1に示されるように、デバイス基板の製造方法は、周縁部に面取り部を有するデバイス基板の第1主面と、支持板とを剥離可能に貼合する貼合工程(ステップS11)と、デバイス基板の面取り部の面取り高さがデバイス基板の厚さ未満となるように、第1主面と対向する第2主面の側からデバイス基板を薄板化する薄板化工程(ステップS12)と、薄板化されたデバイス基板の第2主面に第2機能層を形成する機能層形成工程(ステップS13)と、第2機能層が形成されたデバイス基板と支持板とを剥離する剥離工程(ステップS14)と、を有することが好ましい。デバイス基板の製造方法は、ステップS11からステップS14の全てのステップを含む必要はなく、少なくとも薄板化工程(ステップS12)を含んでいればよい。
図1は、本発明の第1実施形態におけるデバイス基板の製造方法のフローチャートである。図1に示されるように、デバイス基板の製造方法は、周縁部に面取り部を有するデバイス基板の第1主面と、支持板とを剥離可能に貼合する貼合工程(ステップS11)と、デバイス基板の面取り部の面取り高さがデバイス基板の厚さ未満となるように、第1主面と対向する第2主面の側からデバイス基板を薄板化する薄板化工程(ステップS12)と、薄板化されたデバイス基板の第2主面に第2機能層を形成する機能層形成工程(ステップS13)と、第2機能層が形成されたデバイス基板と支持板とを剥離する剥離工程(ステップS14)と、を有することが好ましい。デバイス基板の製造方法は、ステップS11からステップS14の全てのステップを含む必要はなく、少なくとも薄板化工程(ステップS12)を含んでいればよい。
なお、デバイス基板に剥離可能に貼合された支持板は、デバイス基板の製造工程の途中まで(デバイス基板と支持板とが剥離操作によって剥離されるまで)使用される。デバイス基板と支持板とが剥離された後は、支持板は、デバイス基板の製造工程から除かれ、デバイス基板を構成する部材とはならない。デバイス基板から剥離された支持板は、デバイス基板の製造工程に再利用することができる。
本実施形態に係るデバイス基板の製造方法について、図2乃至図8に基づいて説明する。図2は本発明の第1実施形態におけるデバイス基板の製造方法の工程図である。図3は積層体の平面図である。図4は積層体のA−A線に沿う断面図である。図5は、本実施形態に係る薄板化前と薄板化後のデバイス基板の形状を示す断面図である。図6は、別の実施形態に係る薄板化前と薄板化後のデバイス基板の形状を示す断面図である。図7は、一般的な、薄板化前と薄板化後のデバイス基板の形状を示す断面図である。図8は、別の一般的な、薄板化前と薄板化後のデバイス基板の形状を示す断面図である。
デバイス基板とは、表示パネル、太陽電池、薄膜二次電池、半導体機器等の電子デバイスに用いられる基板を意味する。表示パネルとしては、液晶ディスプレイパネル(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)、及び有機ELディスプレイパネル(OELD:Organic Electro Luminescence Display)を例示できる。
図2(A)に示されるように、デバイス基板10は、第1主面11と、この第1主面11に対向する第2主面12とを有する。デバイス基板10の第1主面11には第1機能層21が形成されている。また、後述するように、デバイス基板10は、その周縁部において、第1主面11と第2主面12の側に形成された面取り部14、15(図4参照)を有している。デバイス基板10の周縁部とは、デバイス基板10の外周の部分を意味する。
薄板化前のデバイス基板10の厚さは、500μm以上800μm以下であることが好ましい。
上述の範囲にすることにより、デバイス基板10の第1主面11に第1機能層21を形成する際において、デバイス基板10のハンドリング性に優れる。
また、上述の範囲にすることにより、後述するデバイス基板10の薄板化において、デバイス基板10を所望の厚さにすることができる。
デバイス基板10としては、半導体基板、ガラス基板、樹脂基板、金属基板、であることが好ましい。
半導体基板としては、特に限定されないが、シリコンウエハ、シリコンカーバイドウエハ、サファイアウエハ、又は化合物半導体ウエハであることが好ましい。化合物半導体ウエハとしては、窒化ガリウムウエハ、ガリウムヒ素ウエハ、リン化インジウムウエハであることが好ましい。
ガラス基板のガラスとしては、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスを例示できる。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40質量%以上90質量%以下のガラスが好ましい。
ガラス基板のガラスは、製造する電子デバイスの種類に適したガラス、その製造工程に適したガラスを選択して採用することが好ましい。たとえば、液晶パネル用のガラス基板には、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)を採用することが好ましい。
樹脂基板の樹脂の種類は、特に限定されない。透明な樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、透明フッ素樹脂、透明ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などが例示される。また、不透明な樹脂としては、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂などが例示される。なお、樹脂基板は、表面に保護層等の機能層が形成されてなるものであってもよい。
第1機能層21は、デバイス基板10に所望の機能を付与する構成物を意味する。第1機能層21は、デバイス基板10を利用する電子デバイスの要求に応じて作製され、第1機能層21としては、例えば、IC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)、カラーフィルタ(Color Filter)であることが好ましい。
上記第1機能層21は、例えば、トランジスタ、配線(アルミニウム配線等)、電極、絶縁膜(シリコン窒化膜等)により構成される。第1機能層21の作製方法は、例えば、フォトリソグラフィ法、エッチング法、イオン注入法、CVD法などが用いられる。
図2(B)に示されるように、デバイス基板10と支持板40とを貼合する際、デバイス基板10の第1機能層21が形成された第1主面11と支持板40とが剥離可能に貼合される。本実施形態では、第1機能層21が第1主面11に形成されたデバイス基板10を示したが、第1機能層21が第1主面11に形成されていないデバイス基板10であってもよい。
支持板40は、デバイス基板10と支持板40とが剥離されるまでの間、デバイス基板10を支持して補強し、後工程におけるデバイス基板10の変形、傷付き、破損などを防止する。
支持板40としては、例えば、ガラス板、セラミックス板、アクリル板、半導体板、化合物半導体板、金属板等であることが好ましい。半導体板としては、シリコンウエハ、シリコンカーバイドウエハ、サファイアウエハであることが好ましい。化合物半導体板としては、窒化ガリウムウエハ、ガリウムヒ素ウエハ、リン化インジウムウエハであることが好ましい。中でも、ガラス板が好ましい。ガラス板の材料は、特に限定されないが、例えばソーダライムガラス、無アルカリガラスなどが好ましい。中でも、デバイス基板10との熱膨張差の小さい無アルカリガラスが好ましい。
支持板40の厚さは、デバイス基板10の種類、厚さ等に応じて適宜設定される。支持板40の厚さは、デバイス基板10よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。支持板40の厚さは、デバイス基板10を補強するため、400μm以上であることが好ましく、熱容量を小さくするため700μm以下であることが好ましい。
支持板40は、デバイス基板10との線膨張係数の差の小さい材料で形成されることが好ましく、デバイス基板10と同一材料で形成されることがより好ましい。
デバイス基板10と支持板40との25℃以上300℃以下における平均線膨張係数(以下、単に「平均線膨張係数」という)の差は、好ましくは700×10−7/℃以下であり、より好ましくは500×10−7/℃以下であり、さらに好ましくは300×10−7/℃以下である。差が大き過ぎると、デバイスの製造工程における加熱冷却時に、後述する積層体50が、デバイス基板10と支持板40とが剥離する可能性がある。デバイス基板10の材料と支持板40の材料が同じ場合、このような問題を生じるおそれがない。
貼合前においては、デバイス基板10、及び支持板40は、各々がフィルム包装、合紙包装等により包装され、デバイス基板10、及び支持板40は互いに非接触の状態で保管される。必要に応じて貼合前にデバイス基板10、及び支持板40に対して洗浄が実施される。デバイス基板10を合紙包装する場合、複数のデバイス基板10と複数の合紙とを交互に配置することが好ましい。同様に、支持板40を合紙包装する場合、複数の支持板40と複数の合紙とを交互に配置することが好ましい。合紙を使用する際には、原料パルプとしてバージンパルプを使用した合紙を使用することが好ましい。
本実施形態では、図2(B)に示される貼合工程において、デバイス基板10の第1主面11と支持板40とが接着層30を介して剥離可能に貼合される。
接着層30と支持板40との間の剥離を防止するため、接着層30と支持板40との間の結合力が、接着層30とデバイス基板10との間の結合力よりも高く設定される。これにより、剥離工程では、接着層30とデバイス基板10との界面が剥離される。接着層30とは、デバイス基板10と支持板40とを一時的にくっつけ、その後デバイス基板10と支持板40とを剥離することができる層を意味する。この接着層30としては、特に限定されることなく、樹脂層、無機膜、プラズマ重合膜等であることが好ましい。
接着層30が樹脂層である場合、樹脂層を構成する樹脂は、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、及びポリイミドシリコーン樹脂を例示できる。いくつかの種類の樹脂を混合して用いることもできる。そのなかでも、耐熱性や剥離性の観点から、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい。
接着層30が樹脂層である場合、接着層30の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1μm以上50μm以下に設定され、より好ましくは2μm以上20μm以下に設定される。接着層30の厚さを1μm以上とすることにより、接着層30とデバイス基板10との間に気泡や異物が混入した場合であっても、接着層30の変形によって、気泡や異物の厚さを吸収できる。一方、接着層30の厚さを50μm以下とすることにより、接着層30の形成時間を短縮でき、更に接着層30の樹脂を必要以上に使用しないため経済的である。
接着層30が樹脂層である場合、樹脂層を構成する樹脂の熱伝導率は0.1(W/m・K)以上であることが好ましく、0.15(W/m・K)以上であることがより好ましい。熱伝導率が0.1(W/m・K)以上であると、第2機能層形成時の加熱プロセスに時間がかかりすぎず、生産効率を低下させるのを抑えることができる。
また、図2(B)では接着層30が1層で構成されているが、接着層30は2層以上で構成することもできる。この場合、接着層30を構成する全ての層の合計の厚さが、接着層30の厚さとなる。また、接着層30が樹脂層である場合、各樹脂層を構成する樹脂の種類は異なっていてもよい。
接着層30が無機膜である場合、無機膜は、各種の無機化合物から形成される。具体的には、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、炭窒化物、珪化物および弗化物からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むのが好ましい。
酸化物、窒化物、酸窒化物としては、例えば、Si、Hf、Zr、Ta、Ti、Y、Nb、Na、Co、Al、Zn、Pb、Mg、Bi、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Er、Sr、Sn、In、CeおよびBaから選ばれる1種類以上の元素の酸化物、窒化物、酸窒化物が挙げられる。より具体的には、酸化チタン(TiO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛スズ(ZTO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムセリウム(ICO)、窒化硅素(Si3N4)、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)、窒化クロム(CrN)、窒化ホウ素(BN)、窒化モリブデン(MoN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ジルコニウム(ZrN)などが挙げられる。
炭化物、炭窒化物としては、例えば、Ti、W、Si、Zr、Nbから選ばれる1種以上の元素の炭化物、炭窒化物が挙げられる。より具体的には、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)、炭化硅素(SiC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭窒化チタン(TiCN)、炭窒化タングステン(WCN)、炭窒化硅素(SiCN)、炭窒化ニオブ(NbCN)、炭窒化ジルコニウム(ZrCN)などが挙げられる。
珪化物としては、例えば、W、Fe、Mn、Mg、Mo、Cr、Ru、Re、Co、Ni、Ta、Ti、Zr、Baから選ばれる1種以上の元素の珪化物が挙げられる。
弗化物としては、例えば、Mg、Y、La、Baから選ばれる1種以上の元素の弗化物が挙げられる。
中でも、デバイス基板の製造工程等において、熱処理前の加工に耐えられる密着性を持ちながら、熱処理による膜特性の変化が少なく再利用が容易である、容易に入手できる等の点で、炭化硅素、酸化インジウムスズおよび酸化インジウムセリウムは、好適に例示される。
無機膜の平均線膨張係数は、支持板40等の形成材料に応じて、適宜、設定すればよい。例えば、支持板40としてガラス板を使用する場合は、その平均線膨張係数は10×10−7/℃以上200×10−7/℃以下が好ましい。この範囲であれば、デバイス基板10との平均線膨張係数の差が小さくなり、高温環境下におけるデバイス基板10と無機膜付き支持板40との位置ずれをより抑制することができる。
無機膜は、前述した無機化合物の少なくとも1種が主成分として含まれているのが好ましい。ここで、主成分とは、これらの総含有量が、無機膜の全量に対して、90質量%以上であることを意味し、98質量%以上であるのが好ましく、99質量%以上であるのがより好ましい。
無機膜の厚さとしては、耐擦傷性の観点からは、5nm以上5000nm以下が好ましく、10nm以上500nm以下がより好ましい。
図2(B)では無機膜が1層で構成されているが、無機膜は2層以上で構成することもできる。この場合、無機膜を構成する全ての層の合計の厚さが、無機膜の厚さとなる。また、この場合、各無機膜が異なる組成であってもよい。
接着層30がプラズマ重合膜である場合、プラズマ重合膜を形成する材料は、CF4、CHF3、C2H6、C3H6、C2H2、CH3F、C4H8等のフルオロカーボンモノマー、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン等のハイドロカーボンモノマー、水素、SF6等があげられる。特に、フルオロカーボンモノマーまたは、ハイドロカーボンモノマーからなるプラズマ重合膜が好ましい。これらは、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
プラズマ重合膜の厚さとしては、耐擦傷性の観点からは、1nm以上100nm以下が好ましく、1nm以上50nm以下がより好ましく、1nm以上10nm以下がさらに好ましい。
なお、接着層30の外形は、支持板40が接着層30の全体を支持できるように、支持板40の外形と同一であるか、支持板40の外形よりも小さいことが好ましい。また、接着層30の外形は、接着層30がデバイス基板10の全体を密着できるように、デバイス基板10の外形と同一であるか、デバイス基板10の外形よりも大きいことが好ましい。
図2(B)に示されるように、本実施形態においては、接着層30を備えているが、接着層30を無くしてデバイス基板10と支持板40とからなる構成としてもよい。この場合には、デバイス基板10と支持板40との間に作用するファンデルワールス力等によってデバイス基板10と支持板40とが剥離可能に貼り付けられる。
支持板40の上に形成された接着層30をデバイス基板10の上に剥離可能に密着させる方法は、公知の方法であってよい。例えば、常圧環境下で接着層30の剥離性の表面にデバイス基板10を重ねた後、ロールやプレスを用いて接着層30とデバイス基板10とを圧着させる方法が挙げられる。ロールやプレスで圧着することにより接着層30とデバイス基板10とがより密着するので好ましい。また、ロールまたはプレスによる圧着により、接着層30とデバイス基板10との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
支持板上に形成した接着層30とデバイス基板10を真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保がより好ましく行われるのでより好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、デバイス基板10のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
図3に示されるように、本実施形態において積層体50は、支持板40とデバイス基板10とを備えている。図4に示されるように、積層体50を構成するデバイス基板10は、その周縁部において、第1主面11と第2主面12の側に面取り部14、15を有している。ここで面取り部14とは、第1主面11と端面16との交差する領域が除去されている部分を意味する。面取り部14、15の形状としては、所定の面取り角度(例えば、45°等)で直線状に除去された形状、又は曲線状(円弧状、楕円状等)に除去された形状を含む。
また、積層体50の支持板40に対して面取り加工が行われ、支持板40に周縁部に面取り部17、18が形成される。本実施形態において、図4に示されるように、支持板40がデバイス基板10より長さLだけ大きいことが好ましい。
その理由は、支持板40を面取り加工する際に、意図しない加工がデバイス基板10に施されるのを抑制するためである。
支持板40がデバイス基板10より大きい場合、デバイス基板10に覆われない一部の接着層30が支持板40上で露出する。この露出している接着層30を除去することができる。
一般的に、積層体50は製造装置(不図示)に位置決めピン等により位置決めされる。積層体50を位置決めする際、位置決めピンがデバイス基板10に接触することを防止でき、デバイス基板10が破損するのを回避することが可能となる。
また、デバイス基板10と支持板40と剥離する工程において、一般的に、デバイス基板10と支持板40と間にナイフ等を挿入し、所定領域に剥離開始部を形成し、この剥離開始部を起点に剥離が行われる。支持板40をデバイス基板10より大きくすることにより、ナイフの挿入が容易となる。
また、剥離工程において、支持板40のデバイス基板10より大きい領域を、突き上げる、又は引掛けることにより、デバイス基板10と支持板40とを容易に剥離することができる。
デバイス基板10、及び支持板40の大きさに応じて、長さLは適宜設定され、長さLは、0.2mm以上3mm以下であることが好ましい。0.2mm以上であれば位置決めピンなどによるデバイス基板10の破損のリスクを低減することができる。3mm以下であれば、プロセス中の支持板変形による、意図せぬ剥離を防止することができる。
次に、図2(C)に示されるように、積層体50を構成するデバイス基板10の第1主面11と対向する第2主面12の側から、デバイス基板10が薄板化される。薄板化とは、厚さを薄くすることを意味し、機械的作用、化学的作用、又はこれらの組み合わせにより厚さを薄くすることを含む。薄板化により形成された面を薄板化面と呼ぶ。本実施形態では、研磨後の第2主面12は、薄板化面に相当する。例えば、薄板化工程においては、公知の研削加工よりデバイス基板10の第2主面12の側が研削され、デバイス基板10の厚さが薄くされる。より具体的には、積層体50の支持板40を吸着固定し、デバイス基板10の第2主面12を砥石により機械的に研削し、厚さが薄くされた所定の厚さのデバイス基板10を得ることができる。さらに、必要に応じて研削された第2主面12を公知の研磨加工を施すことにより、第2主面12を鏡面にすることができる。例えば、研磨剤を供給しながら、研磨クロスにより第2主面12を研磨することで、第2主面12を鏡面にすることができる。デバイス基板10に薄板化面を有する第2主面12が形成される。
次に、本実施形態に係る薄板化後のデバイス基板における、面取り高さとデバイス基板の厚さとの関係について説明する。図5(A)は薄板化前の積層体50の断面形状を示している。図5(A)に示されるように、デバイス基板10の周縁部に面取り部14,15が形成されている。第1主面11の側の面取り部14は、所定の面取り角度θであり、直線状に除去された形状を有している。面取り部14は、所定の面取り高さhとなるように形成されている。ここで面取り高さhとは、面取り部14における第1主面11と垂直な方向の長さであって、第1主面11からの端面16までの距離を意味する。
図5(B)は、薄板化後の積層体50の断面形状を示している。図5(B)に示されるように、薄板化工程においては、デバイス基板10の面取り高さhは、薄板化後のデバイス基板10の厚さt未満となるよう、デバイス基板10が、第2主面12の側から薄板化される。面取り高さhは、薄板化後のデバイス基板10の厚さt未満となるように面取り加工されている。なお、デバイス基板10の厚さtは、50μm以上120μm以下であることが好ましい。デバイス基板10の厚さtを上述範囲とすることにより、電子デバイスの薄型化の要求に対応することができる。デバイス基板10の厚さtは、第1主面11と薄板化された第2主面12との平均距離を意味する。
なお、面取り高さhは、デバイス基板10の種類等に応じて、適宜設定され、例えば、面取り高さhは、薄板化後のデバイス基板10の厚さtの20%以上80%以下であることが好ましい。
図6は別の実施形態に係る薄板化前と薄板化後のデバイス基板の形状を示す断面図である。図6のデバイス基板10の面取り部14は、曲線状に除去された形状を有している。図6(A)は薄板化前の積層体50の断面形状を示し、図6(B)は、薄板化後の積層体50の断面形状を示している。図5と同様に、薄板化工程においては、デバイス基板10の面取り高さhは、薄板化後のデバイス基板10の厚さt未満となるよう、デバイス基板10が、第2主面12の側から薄板化される。面取り高さhは、薄板化後のデバイス基板10の厚さt未満となるように面取り加工されている。
図5及び6においては、デバイス基板10の薄板化後において、デバイス基板10の第2主面12の端部19の角度、すなわち、薄板化面と端面16との角度が90°となる。
次に、2つの一般的な薄板化前と薄板化後のデバイス基板の形状について説明する。図7(A)、図8(A)は、薄板化前の積層体の断面形状を示し、図7(B)、図8(B)は、薄板化後の積層体の断面形状を示している。図7(A)、図8(A)に示されるように、積層体150は支持板140と、支持板140に剥離可能に貼合されたデバイス基板110を有している。デバイス基板110は第1主面111と第2主面112とを有し、デバイス基板110の周縁部において、第1主面111と第2主面112の側に面取り部114、115を有している。図7(A)の面取り部114,115は、所定の面取り角度θであり、直線状に除去された形状を有している。一方、図8(A)の面取り部114,115は、曲線状に除去された形状を有している。図7(A)、図8(A)に示されるように、面取り部114において、例えば、面取り高さhは150μm以上200μm以下に設定されている場合がある。
図7(B)、図8(B)に示されるように、デバイス基板110を薄板化し、デバイス基板110の厚さtを、例えば50μm以上120μm以下にすると、面取り高さhはデバイス基板110の厚さt以上となる。その結果、デバイス基板110の第2主面112の端部119が鋭角な形状となる。発明者らは、端部119が鋭角な形状になると、機械的な強度が低下し、デバイス基板110の端部119に割れ、欠けが発生し、デバイス基板110が損傷を受けることを見出し、本発明をするに至った。
本実施形態の図5、図6においては、端部19の角度、すなわち、薄板化面と端面16との角度を90°とすることで、機械的な強度の低下を回避することができる。なお、90°±10°の範囲においても、一般的な鋭角な端部の形状に比較して、割れ、欠けの発生を抑制できる。
次に、図2(D)に示される、機能層形成工程においては、薄板化されたデバイス基板10の第2主面12に第2機能層22が形成される。
第2機能層22は、第1機能層21と同様に、デバイス基板10に所望の機能を付与する構成物を意味する。第2機能層22は、デバイス基板10を利用する電子デバイスの要求に応じて作製され、第2機能層22としては、例えば、IC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)、カラーフィルタ(Color Filter)であることが好ましい。
上記第2機能層22は、例えば、トランジスタ、配線(アルミニウム配線等)、電極等により構成される。第1機能層21の作製方法は、例えば、フォトリソグラフィ法、エッチング法、イオン注入法、CVD法などが用いられ、有機洗浄等が実施される。
第2機能層22を形成する際、積層体50は190℃を超える温度条件下にある。したがって、積層体50を構成する部材は、耐熱性を有することが好ましく、特に積層体50が、接着層30を含む場合、接着層30が耐熱性を有することが好ましい。
次に、図2(E)に示されるように、積層体50が反転され、剥離装置(不図示)に装着される。剥離装置の吸着手段60により、積層体50のデバイス基板10の第2主面12の側が真空吸着される。好ましくは、デバイス基板10と支持板40との間にナイフ等が挿入され剥離開始部が形成される。剥離開始部を形成することにより、デバイス基板10と支持板40との剥離が容易となる。
剥離装置により実行される剥離工程において、剥離装置により、剥離開始部を起点に、第1主面11から離れる方向に、支持板40を順次撓ませながら、デバイス基板10から剥離される。図2(F)に示されるように、デバイス基板10が製造される。
さらに、デバイス基板10に対して、必要に応じて洗浄、検査、テストパターンにより第1機能層21、及び第2機能層22の評価が行われる。加えて、デバイス基板10は切断され、チップ状に個片化されることがある。
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態におけるデバイス基板の製造方法のフローチャートである。図9に示されるように、デバイス基板の製造方法は、周縁部が面取り加工されたデバイス基板の第1主面と、支持板とを剥離可能に貼合する貼合工程(ステップS21)と、第1主面と対向する第2主面の側からデバイス基板を薄板化する薄板化工程(ステップS22)と、薄板化されたデバイス基板の第2主面に第2機能層を形成する機能層形成工程(ステップS23)と、第2機能層が形成されたデバイス基板の面取り部を第2主面に対して垂直方向から切断して除去する工程(ステップS24)と、面取り部が除去されたデバイス基板と支持板とを剥離する剥離工程(ステップS25)と、を有することが好ましい。デバイス基板の製造方法は、ステップS21からステップS25の全てのステップを含む必要はなく、少なくとも薄板化工程(ステップS22)を含んでいればよい。
図9は、本発明の第2実施形態におけるデバイス基板の製造方法のフローチャートである。図9に示されるように、デバイス基板の製造方法は、周縁部が面取り加工されたデバイス基板の第1主面と、支持板とを剥離可能に貼合する貼合工程(ステップS21)と、第1主面と対向する第2主面の側からデバイス基板を薄板化する薄板化工程(ステップS22)と、薄板化されたデバイス基板の第2主面に第2機能層を形成する機能層形成工程(ステップS23)と、第2機能層が形成されたデバイス基板の面取り部を第2主面に対して垂直方向から切断して除去する工程(ステップS24)と、面取り部が除去されたデバイス基板と支持板とを剥離する剥離工程(ステップS25)と、を有することが好ましい。デバイス基板の製造方法は、ステップS21からステップS25の全てのステップを含む必要はなく、少なくとも薄板化工程(ステップS22)を含んでいればよい。
なお、デバイス基板に剥離可能に貼合された支持板は、デバイス基板の製造工程の途中まで(デバイス基板と支持板とが剥離操作によって剥離されるまで)使用される。デバイス基板と支持板とが剥離された後は、支持板は、デバイス基板の製造工程から除かれ、デバイス基板を構成する部材とはならない。デバイス基板から剥離された支持板は、デバイス基板の製造工程に再利用することができる。
なお、第2実施形態は、第1実施形態と比較すると、薄板化工程において面取り高さが、薄板化後のデバイス基板の厚さ未満であることを限定しないこと、及び面取り部を除去する除去工程を備えること、において相違する。
以下、第2実施形態に図10に基づいて説明する。なお、第1実施形態に示される構成と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。
図10(A)は薄板化前の積層体50の断面形状を示している。図10(A)に示されるように、デバイス基板10の周縁部に面取り部14,15が形成されている。第1主面11の側の面取り部14は、所定の面取り角度θであり、直線状に除去された形状を有している。面取り部14は、所定の面取り高さhとなるように形成されている。
図10(B)に示されるように、デバイス基板110がデバイス基板10の第2主面の側から薄板化される。第2実施形態では、面取り高さhは、薄板化後のデバイス基板10の厚さt未満となることを条件としていない。したがって、図10(B)にしめすよう、面取り高さhはデバイス基板110の厚さt以上であってもよい。その結果、デバイス基板10の第2主面12の端部19は鋭角な形状となる。
次に、第1実施形態で説明したように、第2主面12に第2機能層22が形成される(図2(D)参照)。
図10(B)に示されるように、第2主面12に対して垂直方向(CL1−CL1線に沿って)から切断して、デバイス基板10の面取り部14が除去される。
デバイス基板10の面取り部14を切断する方法は、一般的な方法であってよい。例えば、刃物で切断する方法、レーザ等の高エネルギー線で溶断する方法、デバイス基板10の第2主面12に刃物やレーザ等を用いてスクライブ線を形成し、スクライブ線に沿って割断する方法等が挙げられる。これらの切断方法は、単独でまたは組み合わせて用いられる。このように、切断とは、溶断や割断を含む。
図10(C)に示されるように、デバイス基板10の面取り部14が除去されると、第2主面12の端部19の角度が90°となる。
本実施形態の図10(C)においては、端部19の角度を90°とすることで、機械的な強度の低下を回避することができる。なお、本実施形態において第2主面12に対して垂直方向とは、90°±10°の範囲を含む。第2主面12に対して垂直方向から切断することにより、端部19の角度を90°±10°とすることができる。端部19の角度が90°±10°の範囲においても、一般的な鋭角な場合に比較して、割れ、欠けの発生を抑制できる。
なお、本実施形態では支持板40を切断する場合を説明したが、少なくともデバイス基板10の面取り部14が除去されていればよい。
10,110…デバイス基板、11、111…第1主面、12,112…第2主面、14、114…面取り部、15、115…面取り部、16、116…端面、17…面取り部、18…面取り部、19、119…端部、21…第1機能層、22…第2機能層、30…接着層、40、140…支持板、50…積層体、CL1…切断線
Claims (10)
- 周縁部に面取り部を有するデバイス基板の第1主面と、剥離可能に貼合された支持板とを有する積層体からデバイス基板を製造する方法であって、
前記デバイス基板の前記面取り部の面取り高さが前記デバイス基板の厚さ未満となるように、前記第1主面と対向する第2主面の側から前記デバイス基板を薄板化する薄板化工程、
を有するデバイス基板の製造方法。 - 前記薄板化工程において、薄板化前の前記デバイス基板の厚さが500μm以上800μm以下であり、薄板化後の前記デバイス基板の厚さが50μm以上120μm以下である請求項1に記載のデバイス基板の製造方法。
- 前記積層体は、前記デバイス基板の第1主面と前記支持板とが接着層を介して剥離可能に貼合されている請求項1または2に記載のデバイス基板の製造方法。
- 前記接着層がシリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、無機膜、及びフルオロカーボンまたは、ハイドロカーボンからなるプラズマ重合膜の何れかを含む請求項3に記載のデバイス基板の製造方法。
- 前記デバイス基板は前記第1主面に形成された第1機能層を有する請求項1から4の何れか一に記載のデバイス基板の製造方法。
- 周縁部に面取り部を有し、第1主面と前記第1主面と対向し薄板化面を有する第2主面とを有するデバイス基板と、
前記デバイス基板の前記第1主面と剥離可能に貼合される支持板と、
を有する積層体であって、
前記デバイス基板の前記面取り部の面取り高さが前記デバイス基板の厚さ未満である積層体。 - 前記デバイス基板の厚さが50μm以上120μm以下である請求項6に記載の積層体。
- 前記デバイス基板の第1主面と、前記支持板との間に接着層を有する請求項6又は7に記載の積層体。
- 前記接着層がシリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、無機膜、及びフルオロカーボンまたは、ハイドロカーボンからなるプラズマ重合膜の何れかを含む請求項8に記載の積層体。
- 前記デバイス基板は、前記第1主面に形成された第1機能層、及び/又は前記第2主面に形成された第2機能層を有する請求項6から9の何れか一に記載の積層体。
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