JP2017159504A - 積層体、積層体の製造方法、単位積層体の製造方法、及びデバイス基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】接着層付き支持板を効率的に提供することができる積層体、積層体の製造方法、単位積層体の製造方法、及びデバイス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】積層体は、支持面と裏面とを有する支持板の前記支持面に配置された接着層を有する接着層付き支持板と、対向する2つの主面を有する複数の第1被覆部材であって、何れかの主面が前記接着層に剥離可能に貼合された第1被覆部材と、を有する。積層体は、支持面と裏面とを有する支持板の前記支持面に配置された接着層を有する接着層付き支持板を準備し、複数の第1被覆部材と前記接着層とを剥離可能に貼合することにより製造される。
【選択図】図2
【解決手段】積層体は、支持面と裏面とを有する支持板の前記支持面に配置された接着層を有する接着層付き支持板と、対向する2つの主面を有する複数の第1被覆部材であって、何れかの主面が前記接着層に剥離可能に貼合された第1被覆部材と、を有する。積層体は、支持面と裏面とを有する支持板の前記支持面に配置された接着層を有する接着層付き支持板を準備し、複数の第1被覆部材と前記接着層とを剥離可能に貼合することにより製造される。
【選択図】図2
Description
本発明は、積層体、積層体の製造方法、単位積層体の製造方法、及びデバイス基板の製造方法に関する。
表示パネル、太陽電池、薄膜二次電池、半導体機器等の電子デバイスの薄型化、軽量化が進められている。これらの電子デバイスに用いられる基板(以下、デバイス基板という)の薄型化、軽量化が要望されている。デバイス基板の厚さが薄くなると、デバイス基板のハンドリング性が低下する。
そこで、デバイス基板と支持板とを樹脂層により剥離可能に貼合し、次にデバイス基板に必要な処理を施した後、デバイス基板から支持板を剥離する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
一般的に、接着層付きの積層体を作製する際、デバイス基板、及び/又は支持板に接着層を形成し、デバイス基板と支持板とを、接着層を介して貼合する方法が用いられている。一方、半導体分野では、円形加工された支持板に対し、スピンコート等で接着層を形成し、接着層の形成された支持板とデバイス基板(例えば、円形のウエハ)とを、接着層を介して貼合する方法が用いられている。
ウエハのサイズ、形状に加工された支持板にスピンコート等で接着層を形成する方法は枚葉式により塗布、硬化等を行う方法であるため、生産効率に劣る問題がある。また、接着層の塗布、硬化を、デバイス基板を作製する半導体メーカーが実施していることもあり、半導体メーカーにとって工程負荷となっていた。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、接着層付き支持板を効率的に提供することができる積層体、積層体の製造方法、単位積層体の製造方法、及びデバイス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様によると、積層体は、支持面と裏面とを有する支持板の前記支持面に配置された接着層を有する接着層付き支持板と、対向する2つの主面を有する複数の第1被覆部材であって、前記複数の第1被覆部材の何れかの前記主面が前記接着層に剥離可能に貼合された被覆部材と、を有する。
本発明の別の態様によると、積層体の製造方法は、支持面と裏面とを有する支持板の前記支持面に配置された接着層を有する接着層付き支持板を準備する工程と、対向する2つの主面を有する複数の第1被覆部材の何れかの前記主面と前記接着層とを剥離可能に貼合する工程と、を有する。
本発明の別の態様によると、単位積層体の製造方法は、上述の積層体の製造方法により積層体を製造する工程と、前記積層体を前記第1被覆部材ごとに個片化する工程と、を有する。
本発明の別の態様によると、デバイス基板の製造方法は、第1主面と第2主面とを有するデバイス基板を準備する工程と、支持面と裏面とを有する支持板の前記支持面に配置された接着層を有する接着層付き支持板と、対向する2つの主面を有する被覆部材の何れかの前記主面が前記接着層に剥離可能に貼合された第1被覆部材とを有する単位積層体から第1被覆部材を剥離する工程と、前記デバイス基板の前記第1主面と前記接着層付き前記支持板の前記接着層とを剥離可能に貼合する工程と、前記デバイス基板から前記接着層付き前記支持板を剥離する工程と、を有する。
本発明の積層体、積層体の製造方法、単位積層体の製造方法、及びデバイス基板の製造方法によれば、接着層付き支持板を効率的に提供することができる。
以下、添付図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。本発明は以下の実施の形態により説明される。但し、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。ここで、図中、同一の記号で示される部分は、基本的に、同様の機能を有する同様の要素である。
<積層体>
図1は、本実施形態の積層体の平面図であり、図2は、図1のA−A線に沿った断面図である。積層体10は、支持面21と裏面22とを有する支持板20の支持面21に配置された接着層40を有する接着層40付き支持板20と、対向する2つの主面(第1主面31と第2主面32)を有する複数の第1被覆部材30とを備える。第1被覆部材30の何れかの主面(第1主面31又は第2主面32)が接着層40に剥離可能に貼合される。
図1は、本実施形態の積層体の平面図であり、図2は、図1のA−A線に沿った断面図である。積層体10は、支持面21と裏面22とを有する支持板20の支持面21に配置された接着層40を有する接着層40付き支持板20と、対向する2つの主面(第1主面31と第2主面32)を有する複数の第1被覆部材30とを備える。第1被覆部材30の何れかの主面(第1主面31又は第2主面32)が接着層40に剥離可能に貼合される。
積層体10は、接着層40付き支持板20と、接着層40に剥離可能に貼合された複数の第1被覆部材30とにより構成されている。この積層体10を個片化することにより、後述する単位積層体60(図5参照)を容易に得ることができる。
(接着層付き支持板)
(支持板)
支持板20とは、後述するデバイス基板50(図10参照)と剥離可能に貼合され、デバイス基板50からが剥離されるまでの間、デバイス基板50を支持して補強し、デバイス基板50の変形、傷付き、破損などを防止するための部材を意味する。
(支持板)
支持板20とは、後述するデバイス基板50(図10参照)と剥離可能に貼合され、デバイス基板50からが剥離されるまでの間、デバイス基板50を支持して補強し、デバイス基板50の変形、傷付き、破損などを防止するための部材を意味する。
図2に示されるように、支持板20は、支持面21と、この支持面21に対向する裏面22と、支持面21と裏面22とをつなぐ端面23とを有している。後述するようにデバイス基板50と支持板20とは接着層40を介して支持面21の側で貼合されるので、支持面21は平坦面で構成されていることが好ましい。
支持板20の厚さは、デバイス基板50の種類、厚さ等に応じて適宜設定される。支持板20の厚さは、デバイス基板50よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。支持板20の厚さは、デバイス基板50を補強するため、400μm以上であることが好ましく、熱容量を小さくするため700μm以下であることが好ましい。
平面視において、支持板20は、直線で構成される三角形、矩形等を含む多角形の形状、曲線で構成される円形、楕円形等の曲線形状、又はこれらの組み合わせの形状にすることができる。支持板20が複数の第1被覆部材30を貼合することができる大きさの支持面21を有している限り、支持板20の形状、及び大きさは、特に限定されない。
支持板20としては、例えば、ガラス板、セラミックス板、アクリル板、半導体板、化合物半導体板、金属板等であることが好ましい。半導体板としては、シリコンウエハ、シリコンカーバイドウエハ、サファイアウエハであることが好ましい。化合物半導体板としては、窒化ガリウムウエハ、ガリウムヒ素ウエハ、リン化インジウムウエハであることが好ましい。中でも、ガラス板が好ましい。ガラス板の材料は、特に限定されないが、例えばソーダライムガラス、無アルカリガラスなどが好ましい。中でも、デバイス基板50との熱膨張差の小さい無アルカリガラスが好ましい。
支持板20は、デバイス基板50との線膨張係数の差の小さい材料で形成されることが好ましく、デバイス基板50と同一材料で形成されることがより好ましい。
デバイス基板50と支持板20との25℃以上300℃以下における平均線膨張係数(以下、単に「平均線膨張係数」という)の差は、好ましくは700×10−7/℃以下であり、より好ましくは500×10−7/℃以下であり、さらに好ましくは300×10−7/℃以下である。差が大き過ぎると、例えば、デバイス基板の製造工程における加熱冷却時に、デバイス基板50と支持板20とが剥離する可能性がある。デバイス基板50の材料と支持板20の材料とが同じ場合、このような問題を生じるおそれが少ない。
(接着層)
本実施形態では支持板20の支持面21に接着層40が配置され、これにより接着層40付き支持板20が構成される。
本実施形態では支持板20の支持面21に接着層40が配置され、これにより接着層40付き支持板20が構成される。
接着層40とは、デバイス基板50と支持板20とを一時的にくっつけ、その後においてデバイス基板50と支持板20とを剥離することができる層を意味する。この接着層40としては、特に限定されることなく、樹脂層、無機膜、プラズマ重合膜等であることが好ましい。
本実施形態では、支持板20の支持面21の全面に接着層40が配置されている。支持面21の全面とは、支持面21の外周に沿って接着層40が一部配置されていない領域が形成される場合、または、支持面21の上に接着層40が一部配置されていない領域が形成されない場合も含む。接着層40を支持面21の全面に配置することにより、複数の第1被覆部材30を接着層40に対して容易に配列することができる。
但し、接着層40を支持板20の支持面21の全面に配置させる必要はない。例えば、支持面21上の第1被覆部材30が貼合される領域に対し、それより少し大きい領域に接着層40を支持面21の上に配置することもできる。接着層40を第1被覆部材30の配列に合わせて、支持面21の上に格子状に配置することができる。また、支持面21の上で第1被覆部材30が貼合される領域に対し、その領域より小さめで厚く接着層40を配置することもできる。第1被覆部材30を支持板20に押圧しながら貼合させることにより、接着層40を第1被覆部材30と支持板20との間に押し広げることができる。
接着層40が樹脂層である場合、樹脂層を構成する樹脂は、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、及びポリイミドシリコーン樹脂を例示できる。いくつかの種類の樹脂を混合して用いることもできる。その中でも、耐熱性や剥離性の観点から、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい。
接着層40が樹脂層である場合、接着層40の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1μm以上100μm以下に設定され、より好ましくは2μm以上50μm以下、さらに好ましくは3μm以上30μm以下に設定される。接着層40の厚さを1μm以上とすることにより、接着層40とデバイス基板50との間に気泡や異物が混入した場合であっても、接着層40の変形によって、気泡や異物の厚さを吸収できる。一方、接着層40の厚さを100μm以下とすることにより、接着層40の形成時間を短縮でき、更に接着層40の樹脂を必要以上に使用しないため経済的である。
接着層40が樹脂層である場合、樹脂層を構成する樹脂の熱伝導率は0.1(W/m・K)以上であることが好ましく、0.15(W/m・K)以上であることがより好ましい。熱伝導率が0.1(W/m・K)以上であると、後述する第2機能層を形成する際の加熱プロセスに時間がかかりすぎず、生産効率が低下することを抑えることができる。
また、図2では接着層40が1層で構成されているが、接着層40は2層以上で構成することもできる。この場合、接着層40を構成する全ての層の合計の厚さが、接着層40の厚さになる。また、接着層40が樹脂層である場合、各樹脂層を構成する樹脂の種類は異なっていてもよい。
接着層40が無機膜である場合、無機膜は、各種の無機化合物から形成される。具体的には、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、炭窒化物、珪化物および弗化物からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むのが好ましい。
酸化物、窒化物、酸窒化物としては、例えば、Si、Hf、Zr、Ta、Ti、Y、Nb、Na、Co、Al、Zn、Pb、Mg、Bi、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Er、Sr、Sn、In、CeおよびBaから選ばれる1種類以上の元素の酸化物、窒化物、酸窒化物が挙げられる。より具体的には、酸化チタン(TiO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛スズ(ZTO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムセリウム(ICO)、窒化硅素(Si3N4)、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)、窒化クロム(CrN)、窒化ホウ素(BN)、窒化モリブデン(MoN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ジルコニウム(ZrN)などが挙げられる。
炭化物、炭窒化物としては、例えば、Ti、W、Si、Zr、Nbから選ばれる1種以上の元素の炭化物、炭窒化物が挙げられる。より具体的には、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)、炭化硅素(SiC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭窒化チタン(TiCN)、炭窒化タングステン(WCN)、炭窒化硅素(SiCN)、炭窒化ニオブ(NbCN)、炭窒化ジルコニウム(ZrCN)などが挙げられる。
珪化物としては、例えば、W、Fe、Mn、Mg、Mo、Cr、Ru、Re、Co、Ni、Ta、Ti、Zr、Baから選ばれる1種以上の元素の珪化物が挙げられる。
弗化物としては、例えば、Mg、Y、La、Baから選ばれる1種以上の元素の弗化物が挙げられる。
中でも、デバイス基板の製造工程等において、熱処理前の加工に耐えられる密着性を持ちながら、熱処理による膜特性の変化が少なく再利用が容易である、容易に入手できる等の点で、炭化硅素、酸化インジウムスズおよび酸化インジウムセリウムは、好適に例示される。
無機膜の平均線膨張係数は、支持板20等の形成材料に応じて、適宜、設定すればよい。例えば、支持板20としてガラス板を使用する場合は、その平均線膨張係数は10×10−7/℃以上200×10−7/℃以下が好ましい。この範囲であれば、デバイス基板50との平均線膨張係数の差が小さくなり、高温環境下におけるデバイス基板50と無機膜付き支持板20との位置ずれをより抑制することができる。
無機膜は、前述した無機化合物の少なくとも1種が主成分として含まれているのが好ましい。ここで、主成分とは、これらの総含有量が、無機膜の全量に対して、90質量%以上であることを意味し、98質量%以上であるのが好ましく、99質量%以上であるのがより好ましい。
無機膜の厚さとしては、耐擦傷性の観点からは、5nm以上5000nm以下が好ましく、10nm以上500nm以下がより好ましい。
図2では接着層40である無機膜が1層で構成されているが、無機膜は2層以上で構成することもできる。この場合、無機膜を構成する全ての層の合計の厚さが、無機膜の厚さになる。また、この場合、各無機膜が異なる組成であってもよい。
接着層40がプラズマ重合膜である場合、プラズマ重合膜を形成する材料は、CF4、CHF3、C2H6、C3H6、C2H2、CH3F、C4H8等のフルオロカーボンモノマー、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン等のハイドロカーボンモノマー、水素、SF6等があげられる。特に、フルオロカーボンモノマーまたは、ハイドロカーボンモノマーからなるプラズマ重合膜が好ましい。これらは、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
プラズマ重合膜の厚さとしては、耐擦傷性の観点からは、1nm以上100nm以下が好ましく、1nm以上50nm以下がより好ましく、1nm以上10nm以下がさらに好ましい。
(被覆部材)
第1被覆部材30とは、接着層40付き支持板20とデバイス基板50とが剥離可能に貼合されるまでの間、接着層40を保護する部材であって、接着層40から剥離できる部材を意味する。
第1被覆部材30とは、接着層40付き支持板20とデバイス基板50とが剥離可能に貼合されるまでの間、接着層40を保護する部材であって、接着層40から剥離できる部材を意味する。
図2に示されるように、第1被覆部材30は2つの主面、即ち第1主面31と、この第1主面31に対向する第2主面32とを有し、さらに第1主面31と第2主面とをつなぐ端面33を有している。
第1被覆部材30の厚さは、1μm以上3mm以下であることが好ましく、5μm以上1mm以下であることがより好ましく、10μm以上500μm以下であることがさらに好ましい。第1被覆部材30の厚さを1μm以上の範囲とすることにより、接着層40を保護することができる。また、3mm以下の範囲にすることにより、第1被覆部材30を必要以上に使用しないため経済的である。
平面視において、第1被覆部材30は、直線で構成される三角形、矩形等を含む多角形の形状、曲線で構成される円形、楕円形等の曲線形状、又はこれらの組み合わせの形状とすることができる。第1被覆部材30は上述したようにデバイス基板50に貼合されるまでの間、接着層40を保護するものである。したがって、第1被覆部材30の大きさデバイス基板50を考慮して適宜決定される。第1被覆部材30とデバイス基板50と同じ大きさであってもよいし、第1被覆部材30、又はデバイス基板50の何れかかが大きくてもよい。
第1被覆部材30としては、樹脂板、樹脂フィルム、又は紙等の材料で構成されていることが好ましい。
第1被覆部材30が樹脂板である場合、樹脂板を構成する樹脂について、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、塩化ビニル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、アクリル等であることが好ましい。剥離による静電気帯電を防止するため、導電性材料、もしくは、帯電防止となっている制電材料などが、より好ましい。樹脂板は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、塩化ビニル、PET、アクリル等の樹脂板からなる基材と、この基材の上に形成された離型剤(シリコーン系、又は非シリコーン系)とから構成される場合でもよい。剥離による静電気帯電を防止するため、導電性材料、もしくは、帯電防止となっている制電材料などが、より好ましい。なお、樹脂板は硬質性を有するので、第1被覆部材30は、その周縁部において、第1主面31と第2主面32の側に面取り部34、35を有していることが好ましい。第1被覆部材30の周縁部とは、第1被覆部材30の外周の部分を意味する。
ここで面取り部34、35とは、第1主面31又は第2主面32と端面33との交差する領域が除去されている部分を意味する。面取り部34、35の形状としては、所定の面取り角度(例えば、45°等)で直線状に除去された形状、又は曲線状(円弧状、楕円状等)に除去された形状を含む。
第1被覆部材30が樹脂フィルムである場合、樹脂フィルムを構成する樹脂について、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、塩化ビニル、PET、アクリル等であることが好ましい。剥離による静電気帯電を防止するため、導電性材料、もしくは、帯電防止となっている制電材料などが、より好ましい。また、樹脂フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、塩化ビニル、PET、アクリル等の樹脂フィルムからなる基材と、この基材の上に形成された離型剤(シリコーン系、又は非シリコーン系)とから構成される場合でもよい。剥離による静電気帯電を防止するため、導電性材料、もしくは、帯電防止となっている制電材料などが、より好ましい。
第1被覆部材30が紙である場合、上質紙、グラシン紙等の紙からなる基材と、この基材の上に形成された離型剤(シリコーン系、又は非シリコーン系)とから構成される場合でもよい。
なお、樹脂フィルム及び紙の場合、軟質性を有するので、面取り部34、35は必ずしも必要ではない。樹脂フィルム及び紙に異物が存在すると、積層後に気泡の原因となる。このため、異物、特に2μm以上のものが存在しないことが好ましい。
(積層体の製造方法)
次に積層体の製造方法について、図3を参照して説明する。図3(A)に示されるように、支持面21と裏面22とを有する支持板20を準備する。必要に応じて、支持板20の支持面21が洗浄される。
次に積層体の製造方法について、図3を参照して説明する。図3(A)に示されるように、支持面21と裏面22とを有する支持板20を準備する。必要に応じて、支持板20の支持面21が洗浄される。
次に、図3(B)に示されるように、支持面21の上に接着層40が配置される。接着層40が樹脂層である場合、接着層40を支持面21に配置する方法として、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法等が挙げられる。このような方法の中から、接着層40の種類に応じて適宜選択することができる。中でもダイコート法が大面積の支持面21に対して、樹脂層を平滑に配置可能であるので好ましい。
また、接着層40を、例えばシート状に形成し、シート状の接着層40を支持面21の上に配置することができる。また、接着層40がプラズマ重合膜である場合、プラズマ重合装置により支持面21に接着層40を配置することができる。プラズマ重合装置は、例えば、チャンバーと、支持板20の裏面22を支持する第1電極と、第1電極に対向する第2電極と、電極間に高周波を印加する電源回路と、チャンバーにガスを供給する供給装置と、チャンバー内のガスを排気する排気装置等から構成される。
図3(A),(B)を経ることにより、接着層40付き支持板20が準備される。
次に、図3(C)に示されるように、第1主面31と第2主面32とを有する複数の第1被覆部材30の第1主面31と支持板20の支持面21とが、接着層40により剥離可能に貼合される。
支持面21の上の接着層40と第1被覆部材30とを剥離可能に貼合させる方法は、公知の方法であってよい。例えば、常圧環境下で接着層40の剥離性表面に第1被覆部材30を重ねた後、ロールやプレスを用いて接着層40と第1被覆部材30とを圧着させる方法が挙げられる。ロールやプレスで圧着することにより接着層40と第1被覆部材30とがより密着するので好ましい。また、ロールまたはプレスによる圧着により、接着層40と第1被覆部材30との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
支持面21の上に配置された接着層40と第1被覆部材30とを真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保がより好ましく行われるのでより好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、第1被覆部材30のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
接着層40を第1被覆部材30の上に剥離可能に貼合させる際には、接着層40、及び第1被覆部材30の互いに接触する側の面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で貼合することが好ましい。接着層40は変形するので、接着層40が厚い場合には、接着層40と第1被覆部材30との間に異物が混入しても、第1被覆部材30の表面の平坦性に影響を与えることはないが、クリーン度が高いほどその平坦性は良好になるので好ましい。
接着層40の上に複数の第1被覆部材30を配列する場合、本実施形態では図1に示されるように、複数の第1被覆部材30が格子状に配列されている。格子状の配列とは、複数の第1被覆部材30が平行な複数の列をなして配列されるとともに、隣接する最も近い第1被覆部材30同士が、平行する複数の列に直交する方向に配列されている状態をいう。但し、配列は特に限定されず、複数の第1被覆部材30を千鳥状の配列にすることもできる。千鳥状の配列とは、複数の第1被覆部材30が平行な複数の列をなして配列されるとともに、隣接する最も近い第1被覆部材30同士が、平行する複数の列に直交する方向には配列されていない状態をいう。
配列は特に限定されないが、第1被覆部材30が存在しない余白部分を、一番小さくできる観点で格子状の配列が好ましい。
また、図1に示されるように、第1被覆部材30が直線部36を有している場合、第1被覆部材30の直線部36を一直線状に位置させるように、複数の第1被覆部材30を配列させることが好ましい。後述するように、積層体10は第1被覆部材30ごとに個片化される。その際、円形に切断されることが好ましい。複数の第1被覆部材30の直線部36が一直線状に配列されている場合、切断装置等を直線的に移動できるので、容易に切断できる。
なお、全ての第1被覆部材30の直線部36が、同じ一直線状に配列される必要はない。例えば、図1に示されるように、第1被覆部材30が縦4×横3(支持板20の長手方向を縦、短手方向を横とした場合)で配列される場合、横方向に3個の第1被覆部材30の直線部36が同じ一直線状に配列される。直線部36が同じ一直線状に配列され3個を一単位とする第1被覆部材30が縦方向に4個配列されていてもよい。
第1被覆部材30の直線部36を一直線状に位置させる態様において、図1に示される格子状の配列だけでなく、千鳥状の配列に適用することができる。
貼合前において、支持板20、及び第1被覆部材30は、互いに非接触の状態で保管されることが好ましい。また、接触梱包を必要とする場合には、支持板20、及び第1被覆部材30は、各々がフィルム包装、合紙包装等により包装されることが好ましい。合紙を使用する際には、原料パルプとしてバージンパルプを使用した合紙を使用することが好ましい。
複数の第1被覆部材30を接着層40に貼合する際、複数の第1被覆部材30は、上述するように格子状の配列、千鳥状の配列等とされ、支持板20に対して位置合わせされ貼合される。
その位置合わせを容易にするため、例えば、複数の第1被覆部材30をホルダーに配置し、次いでホルダーと支持板20とを位置合わせし、最後に複数の第1被覆部材30と支持板20とを貼合することができる。
次に、ホルダーを利用して位置合わせをし、複数の第1被覆部材30と支持板20とを貼合する実施形態について説明する。以下に、本実施形態を具体的に説明するが、これらの例によって限定されるものではない。
支持板20としては、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦880mm、横680mm、板厚0.5mm、線膨張係数38×10−7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。
初めに、板厚0.5mmの支持板20を純水洗浄した後、さらにUV洗浄して清浄化した。
次に、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(数平均分子量:2000、アルケニル基の数:2個以上)(100質量部)と、ハイドロジェンポリシロキサン(数平均分子量:2000、ハイドロシリル基の数:2個以上)(15質量部)とを配合した。なお、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン中のアルケニル基と、ハイドロジェンポリシロキサン中のハイドロシリル基との混合モル比(ハイドロシリル基のモル数/アルケニル基のモル数)は、0.9/1であった。さらに、触媒(白金触媒)を、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンおよびハイドロジェンポリシロキサンの合計質量に対し、300ppm添加した。この液を、硬化性樹脂組成物Xとする。この硬化性樹脂組成物Xを、ダイコーターを用いて支持板20の支持面21に塗布して、未硬化のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンおよびハイドロジェンポリシロキサンを含む層を支持板20の上に設けた。
次に、230℃で、10分間、大気中で加熱硬化して、支持板20の支持面21に厚さ10μmのシリコーン樹脂層を接着層40として形成した。なお、シリコーン樹脂層の平坦性は、良好であった。
第1被覆部材30は、円形に加工された制電塩化ビニル板(板厚0.5mm、直径150mmのウエハーサイズ(オリフラ付き、JEITA規格))を用いた。
第1被覆部材30のホルダーとして、制電塩化ビニル板(縦900mm、横700mm、板厚1mm)に、上記JEITA規格のウエハが収まるように、ウエハーサイズより直径で1mm大きい深さ0.5mmの窪みを設けた。この窪みは、縦に5枚、横に4枚、格子配置に、合計20個を作成した。なお、この板は貫通穴を持つ板厚0.5mmの板と、板厚0.5mmの平板を接着させることで作製したが、板厚1mmの板から、深さ0.5mmの窪みを削ることで作成しても構わない。
このホルダーの上に、第1被覆部材30の第1主面31をホルダーと非接触になる状態で置き、このホルダーと支持板20を、室温下で真空プレスにより貼り合わせた。
貼合後に、ホルダーを支持板20から剥離し、支持板20と第1被覆部材30からなる積層体を作成した。
(単位積層体の製造方法)
次に、単位積層体の製造方法について、図4を参照して説明する。図4は積層体10に切断線CLを加えた平面図である。
次に、単位積層体の製造方法について、図4を参照して説明する。図4は積層体10に切断線CLを加えた平面図である。
図4に示されるように、接着層40付き支持板20と、接着層40に剥離可能に貼合された複数の第1被覆部材30と、を有する積層体10が製造され、準備される。次いで、第1被覆部材30ごとに、切断線CLに沿って、支持板20が切断され、積層体10が個片化され、後述する単位積層体60(図5参照)が製造される。
支持板20を切断する方法は、一般的な方法であってよい。例えば、刃物で切断する方法、レーザ等の高エネルギー線で溶断する方法、支持板20の支持面21に刃物やレーザ等を用いてスクライブ線を形成し、スクライブ線に沿って割断する方法等が挙げられる。これらの切断方法は、単独でまたは組み合わせて用いられる。このように、切断とは、溶断や割断を含む。スクライブ線に沿って割断する方法の場合には、容易に割断できるように図4に記載の切断線CL以外のスクライブ線を追加してもよい。
切断方法は、支持板20、接着層40の種類や厚さ等に応じても適宜選択される。例えば、支持板20がガラス板からなる場合、支持面21にスクライブ線を形成し、その後、支持板20を曲げ変形してスクライブ線に沿って割断する方法が好適である。支持面21には接着層40が配置されているが、接着層40の厚さが厚くないので容易に割断することができる。
図5は積層体を個片化することにより製造された単位積層体の断面図である。単位積層体60は、支持面21と裏面22とを有する個片化された支持板20と支持面21に配置された接着層40とから構成される接着層40付き支持板20、及び接着層40に第1主面31が剥離可能に貼合された第1被覆部材30を備えている。
ここで単位積層体60とは、1個の接着層40付き支持板20に対し、1個の第1被覆部材30が接着層40により剥離可能に貼合されている構造物を意味する。なお、単位積層体60を構成する接着層40付き支持板20と第1被覆部材30とは、積層体10を構成する接着層40付き支持板20と第1被覆部材30と基本的に同じである。
図5に示されるように、個片化された支持板20は、支持面21及び裏面22と端面33との交差する領域、いわゆる角部において、面取り部が形成されていない。単位積層体60の製造方法は、さらに面取り工程を有していることが好ましい。単位積層体60を面取り加工することにより、耐衝撃性、及び安全性を高めることができる。
次に面取工程を含む2種類の単位積層体の製造方法について説明する。第1の方法は、単位積層体60を構成する支持板20の角部を面取り加工する面取工程を有する単位積層体60の製造方法である。
図6に示されるように、単位積層体60の支持板20は、その角部において面取り加工され、面取り部24、25を有している。なお、第1被覆部材30は、支持板20に貼合される前に面取り加工が行われ、第1主面31と端面33、第2主面と端面33との間に面取り部34,35を有している場合がある。
支持板20の角部を面取り加工する方法は、一般的な方法であってよい。例えば、グラインダー等の面取り機を用いる方法が挙げられる。面取り部24、25の形状としては、所定の面取り角度(例えば、45°等)で直線状に除去された形状、又は曲線状(円弧状、楕円状等)に除去された形状を含でいる。支持板20を面取り加工する際、接着層40を削る面取り加工であってもよいし、接着層40を削らない面取り加工であってもよい。面取り部24,25の寸法、及び形状は、支持板20の種類や厚さ等に応じて適宜選択される。
次に、第2の方法は、単位積層体60を構成する支持板20、及び第1被覆部材30を面取り加工する面取工程を有する単位積層体60の製造方法である。
図7に示されるように、単位積層体60の支持板20、及び第1被覆部材30が面取り加工され、単位積層体60に面取り部61、62が形成される。面取り部61、62の形状としては、所定の面取り角度(例えば、45°等)で直線状に除去された形状、又は曲線状(円弧状、楕円状等)に除去された形状を含む。
単位積層体60の第1被覆部材30、及び支持板20の角部を面取り加工する方法は、一般的な方法であってよい。例えば、グラインダー等の面取り機を用いる方法が挙げられる。面取り部61、62の形状としては、所定の面取り角度(例えば、45°等)で直線状に除去された形状、又は曲線状(円弧状、楕円状等)に除去された形状を含でいる。面取り部の直線部分と、支持板20の裏面22、又は第1被覆部材30の第2主面32とのなす角度を意味する。
単位積層体60の面取り部61、62の寸法、及び形状は、接着層40付き支持板20、及び第1被覆部材30の種類や厚さ等に応じて適宜選択される。例えば、面取り部61、62が円弧状である場合、支持板20の側の面取り部61の曲率半径と、第1被覆部材30の面取り部62の曲率半径とが同一であってもよいし、異なっていてもよい。面取り部61、62の形状が直線状に除去された形状である場合、面取り部61の面取り角度と面取り部62の面取り角度とが、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
単位積層体60を製造した後、単位積層体60から第1被覆部材30を剥離し、第2被覆部材130を接着層40に剥離可能に貼合することができる。図8は、第1被覆部材30とは第2被覆部材130を接着層40に剥離可能に貼合した単位積層体60を示す。図8(A)は単位積層体60の平面図であり、図8(B)はB−B線に沿った断面図である。
図8に示されるように、第2被覆部材130は、第1被覆部材30と大きさ、及び厚さが異なっている。第2被覆部材130は、支持板20の支持面21に比較して大きな面積を有している。第2被覆部材130を支持板20より大きくすることにより、第2被覆部材130の一部が支持板20からはみ出す。第2被覆部材130のはみ出し部132を把持することにより、第2被覆部材130を接着層40から容易に剥離することができる。本実施形態では、はみ出し部132は、支持板20に対してほぼ全周からはみ出しているが、これに限定されることなく、支持板20に対し一部だけはみ出す場合でもよい。
第2被覆部材130は、第1被覆部材30と同様の厚さ、形状、大きさ、材料等で構成することもできる。第2被覆部材130は、第1被覆部材30に比較して、デバイス基板50を製造することが容易になる機能を備えることが好ましい。
(デバイス基板の製造方法)
次に、デバイス基板の製造方法について、図9、10、及び11を参照して説明する。図9は、デバイス基板の製造方法のフローチャートであり、図10、及び11は、デバイス基板の製造方法の工程図である。
次に、デバイス基板の製造方法について、図9、10、及び11を参照して説明する。図9は、デバイス基板の製造方法のフローチャートであり、図10、及び11は、デバイス基板の製造方法の工程図である。
図9に示されるように、本実施形態のデバイス基板の製造方法は、デバイス基板を準備するデバイス基板準備工程(ステップS11)と、単位積層体から被覆部材を剥離する被覆部材剥離工程(ステップS12)と、デバイス基板と接着層付き支持板とを剥離可能に貼合する貼合工程(ステップS13)と、デバイス基板を第2主面の側から薄板化する薄板化工程(ステップS14)と、デバイス基板の第2主面に第2機能層を形成する機能層形成工程(ステップS15)と、デバイス基板から支持板を剥離する支持板剥離工程(ステップS16)と、を有することが好ましい。デバイス基板の製造方法は、ステップS11からステップS16までの全てのステップを含む必要はなく、少なくともデバイス基板準備工程(ステップS11)と、被覆部材剥離(ステップS12)と、貼合工程(ステップS13)と、剥離工程(ステップS16)と、を含んでいればよい。
デバイス基板準備工程(ステップS11)では、図10(A)に示されるように、デバイス基板50が準備される。
デバイス基板50とは、表示パネル、太陽電池、薄膜二次電池、半導体機器等の電子デバイスに用いられる基板を意味する。表示パネルとしては、液晶ディスプレイパネル(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)、及び有機ELディスプレイパネル(OELD:Organic Electro Luminescence Display)を例示できる。
図10(A)に示されるように、デバイス基板50は、第1主面51と、この第1主面51に対向する第2主面52と、第1主面51と第2主面52とをつなぐ端面53とを有している。デバイス基板50は、その周縁部において、第1主面51と第2主面52の側に形成された面取り部54、55を有していることが好ましい。デバイス基板50の周縁部とは、デバイス基板50の外周の部分を意味する。
ここで面取り部54、55とは、第1主面51又は第2主面52と端面53との交差する領域が除去されている部分を意味し、面取り部54、55の形状としては、所定の面取り角度(例えば、45°等)で直線状に除去された形状、又は曲線状(円弧状、楕円状等)に除去された形状を含でいる。
デバイス基板50の厚さは、50μm以上1000μm以下であることが好ましく、
100μm以上900μm以下であることがより好ましく、150μm以上800μm以下であることがさらに好ましい。上述の範囲にすることにより、デバイス基板50を支持板20に貼合する前において、デバイス基板50のハンドリング性が良好となる。また、上述の範囲にすることにより、デバイス基板50の薄板化において、デバイス基板50を所望の厚さにすることができる。
100μm以上900μm以下であることがより好ましく、150μm以上800μm以下であることがさらに好ましい。上述の範囲にすることにより、デバイス基板50を支持板20に貼合する前において、デバイス基板50のハンドリング性が良好となる。また、上述の範囲にすることにより、デバイス基板50の薄板化において、デバイス基板50を所望の厚さにすることができる。
平面視において、デバイス基板50は、直線で構成される三角形、矩形等を含む多角形の形状、曲線で構成される円形、楕円形等の曲線形状、又はこれらの組み合わせの形状にすることができる。
デバイス基板50としては、半導体基板、ガラス基板、樹脂基板、金属基板、であることが好ましい。
半導体基板としては、特に限定されないが、シリコンウエハ、シリコンカーバイドウエハ、サファイアウエハ、又は化合物半導体ウエハであることが好ましい。化合物半導体ウエハとしては、窒化ガリウムウエハ、ガリウムヒ素ウエハ、リン化インジウムウエハであることが好ましい。
本実施形態では、平面視において、デバイス基板50は、曲線と直線とを組み合わせた形状を有している。曲線と直線の組み合わせ形状として、オリエンテーションフラット付きの半導体基板を例示することができる。オリエンテーションフラットとは、結晶方位を特定するため、円形の半導体基板の外周の一部を直線状に切り取った切欠き部のことを意味する。結晶方位を特定するため、オリエンテーションフラットに代えて、V字型の切れ込みであるノッチをデバイス基板50の外周に形成することができる。
ガラス基板のガラスとしては、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスを例示できる。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40質量%以上90質量%以下のガラスが好ましい。
ガラス基板のガラスは、製造する電子デバイスの種類に適したガラス、その製造工程に適したガラスを選択して採用することが好ましい。たとえば、液晶パネル用のガラス基板には、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)を採用することが好ましい。
樹脂基板の樹脂の種類は、特に限定されない。透明な樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、透明フッ素樹脂、透明ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などが例示される。また、不透明な樹脂としては、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂などが例示される。
デバイス基板50の第1主面51及び/又は第2主面52に、機能層が形成されていることが好ましい。本実施形態では、図10(A)に示されるように、デバイス基板50の第1主面51に、第1機能層71が形成され、第2主面52に機能層は形成されていない。
デバイス基板50は、これに限定されることなく、第2主面52に第2機能層が形成され第1主面51に機能層は形成されていない場合、第1主面51及び第2主面52の何れにも機能層が形成されていない場合、第1主面51及び第2主面52の何れにも機能層が形成されている場合でもよい。
ここで機能層とは、第1主面51及び/又は第2主面52に形成され、デバイス基板50に所望の機能を付与する構成物を意味する。機能層は、デバイス基板50を利用する電子デバイスの要求に応じて作製される。機能層としては、IC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)、カラーフィルタ(Color Filter)、保護層等であることが好ましい。
機能層は、例えば、トランジスタ、配線(金属配線等)、電極、絶縁膜(シリコン窒化膜等)により構成される。機能層の作製方法は、例えば、フォトリソグラフィ法、エッチング法、イオン注入法、CVD法など公知の方法を適用することができる。
また、デバイス基板50の第1主面51に凹凸を有する場合には、例えば、塗布平坦化材料などを用いて、平坦化しておくことが好ましい。これは、接着層40とデバイス基板50との密着性を向上させる、または、接着層40とデバイス基板50との界面に各種プロセス液などが浸入することを防止するためである。
第1機能層71は、デバイス基板50が支持板20に貼合される前にデバイス基板50の第1主面51に形成することができる。第2機能層は、デバイス基板50が支持板20に貼合される前、及び後にデバイス基板50の第2主面52に形成することができる。なお、デバイス基板50が支持板20に貼合された後に、第2機能層が形成される場合、薄板化工程の前後のいずれにおいて第2機能層が形成されてよい。
被覆部材剥離工程(ステップS12)では、図10(B)に示される単位積層体60が準備される。単位積層体60から被覆部材(第1被覆部材30又は第2被覆部材130)が剥離される。単位積層体60は、支持面21と裏面22とを有する支持板20の支持面21に配置された接着層40を有する接着層40付き支持板20と、対向する2つの主面(第1主面31と第2主面32)を有し、何れかの主面が接着層40に剥離可能に貼合される第1被覆部材30とを備える。
この単位積層体60から被覆部材を剥離し、接着層40を露出させる。単位積層体60から被覆部材を剥離する方法として、公知の方法を適用することができる。例えば、(1)被覆部材の第2主面32に粘着テープ等を貼り付けて、粘着テープ等を引き上げることにより、被覆部材を接着層40から剥離する方法、また、(2)被覆部材のはみ出し部を把持し、はみ出し部を引き上げることにより被覆部材を接着層40から剥離する方法等を例示することができる。
被覆部材には、単位積層体60を製造する際に用いられる第1被覆部材30、及び第2被覆部材130が含まれる。
被覆部材剥離工程(ステップS12)において、例えば、単位積層体60が、半導体メーカーに提供される。半導体メーカーでは、被覆部材を単位積層体60から剥離することにより、接着層40付き支持板20を容易に得ることができる。半導体メーカーは、接着層40付き支持板20を得るための塗布、硬化工程等の負荷を減らすことができる。
貼合工程(ステップS13)では、図10(C)に示されるように、デバイス基板50と接着層40付き支持板20とが剥離可能に貼合される。
接着層40とデバイス基板50とを剥離可能に貼合させる方法は、公知の方法であってよい。例えば、常圧環境下で接着層40の剥離性表面にデバイス基板50を重ねた後、ロールやプレスを用いて接着層40とデバイス基板50とを圧着させる方法が挙げられる。ロールやプレスで圧着することにより接着層40とデバイス基板50とがより密着するので好ましい。また、ロールまたはプレスによる圧着により、接着層40とデバイス基板50との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
接着層40とデバイス基板50を真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保がより好ましく行われるのでより好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、デバイス基板50のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
接着層40をデバイス基板50の上に剥離可能に貼合させる際には、接着層40、及びデバイス基板50の互いに接触する側の面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが好ましい。接着層40は変形するので、接着層40が厚い場合には、接着層40とデバイス基板50との間に異物が混入しても、デバイス基板50の表面の平坦性に影響を与えることはないが、クリーン度が高いほどその平坦性は良好となるので好ましい。
図11(D)に示される薄板化工程(ステップS14)では、接着層40に貼合されたデバイス基板50の第2主面52の側から、デバイス基板50が薄板化される。薄板化とは、厚さを薄くすることを意味し、機械的作用、化学的作用、又はこれらの組み合わせにより厚さを薄くすることを含む。薄板化により形成された面を薄板化面と呼ぶ。本実施形態では、研磨後の第2主面52は、薄板化面に相当する。例えば、薄板化工程(ステップS14)においては、公知の研削加工よりデバイス基板50の第2主面52の側が研削され、デバイス基板50の厚さが薄くされる。より具体的には、デバイス基板50に貼合された支持板20を吸着固定し、デバイス基板50の第2主面52を砥石により機械的に研削することにより、厚さが薄くされた所定の厚さのデバイス基板50を得ることができる。さらに、必要に応じて研削された第2主面52を公知の研磨加工を施すことにより、第2主面52を鏡面にすることができる。例えば、研磨剤を供給しながら、研磨クロスにより第2主面52を研磨することにより、第2主面52を鏡面にすることができる。デバイス基板50に薄板化面を有する第2主面52が形成される。
薄板化工程(ステップS14)を経ることにより、デバイス基板50は50μm以上120μm以下の厚さに薄板化される。薄板化工程においては、デバイス基板50の面取り高さhが、薄板化後のデバイス基板50の厚さt未満になることが好ましい。面取り高さhとは、面取り部54における第1主面51と垂直な方向の長さであって、第1主面51からの端面53までの距離を意味する。面取り高さhは、薄板化後のデバイス基板50の厚さtの20%以上80%以下であることが好ましい。
面取り高さhをデバイス基板50の厚さt未満にすることにより、第2主面52の端部の角度、すなわち、薄板化面と端面53との角度を90°にすることができ、機械的な強度の低下を回避することができる。なお、端部の角度が90°±10°の範囲においても、一般的な鋭角な端部の形状に比較して、機械的な強度の低下を回避できるので、割れ、欠けの発生を抑制できる。
図11(E)に示される機能層形成工程(ステップS15)では、薄板化されたデバイス基板50の第2主面52(薄板化面)に第2機能層72が形成される。上述したように、第2機能層72としては、IC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)、カラーフィルタ(Color Filter)、保護層等であることが好ましい。
第2機能層72は、例えば、トランジスタ、配線(アルミニウム配線等)、電極、により構成される。機能層の作製方法は、例えば、フォトリソグラフィ法、エッチング法、イオン注入法、CVD法など公知の方法を適用することができる。
なお、第2機能層72を形成する際、接着層40付き支持板20は、190℃を超える温度条件下に置かれる場合がある。したがって、接着層40付き支持板20、及びデバイス基板50は、耐熱性を有することが好ましく、特に、接着層40が耐熱性を有することが好ましい。
図11(F)に示される支持板剥離工程(ステップS16)では、デバイス基板50から接着層40付き支持板20が剥離される。デバイス基板50に貼合された接着層40付き支持板20が剥離装置(不図示)に装着される。剥離装置の吸着手段70により、デバイス基板50の第2主面52の側が真空吸着される。剥離を開始する前に、支持板20とデバイス基板50との間にナイフ等を挿入し、剥離開始部を形成することが好ましい。剥離開始部を形成することにより、接着層40付き支持板20とデバイス基板50との剥離が容易になる。
支持板剥離工程(ステップS16)において、剥離装置により、剥離開始部を起点に、第1主面51から離れる方向に、支持板20を順次撓ませながら、デバイス基板50から剥離される。
図11(G)に示されるように、デバイス基板50が製造される。さらに、デバイス基板50に対して、必要に応じて洗浄、検査、テストパターンにより第2機能層72の評価が行われる場合がある。加えて、デバイス基板50が切断され、チップ状に個片化されることがある。
10…積層体、20…支持板、21…支持面、22…裏面、23…端面、24、25…面取り部、30…第1被覆部材、31…第1主面、32…第2主面、33…端面、34、35…面取り部、36…直線部、40…接着層、50…デバイス基板、51…第1主面、52…第2主面、53…端面、54、55…面取り部、60…単位積層体、61、62…面取り部、70…吸着手段、71…第1機能層、72…第2機能層、130…第2被覆部材、132…はみ出し部
Claims (16)
- 支持面と裏面とを有する支持板の前記支持面に配置された接着層を有する接着層付き支持板と、
対向する2つの主面を有する複数の第1被覆部材であって、前記複数の第1被覆部材の何れかの前記主面が前記接着層に剥離可能に貼合された被覆部材と、
を有する積層体。 - 前記接着層が前記支持面の全面に配置される請求項1に記載の積層体。
- 前記複数の第1被覆部材が前記支持板の上で格子状に配列される請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記複数の第1被覆部材のそれぞれが直線部を有し、前記複数の第1被覆部材が、前記直線部が一直線状になる位置に配列される請求項1から3の何れか一項に記載の積層体。
- 前記接着層がシリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、無機膜、及びフルオロカーボンまたは、ハイドロカーボンからなるプラズマ重合膜の何れかを含む請求項1から4の何れか一項に記載の積層体。
- 支持面と裏面とを有する支持板の前記支持面に配置された接着層を有する接着層付き支持板を準備する工程と、
対向する2つの主面を有する複数の第1被覆部材の何れかの前記主面と前記接着層とを剥離可能に貼合する工程と、
を有する積層体の製造方法。 - 前記貼合する工程において、前記複数の第1被覆部材をホルダーに配置し、前記ホルダーと前記支持板とを位置合わせすることを含む請求項6に記載の積層体の製造方法。
- 請求項6又は7に記載の積層体の製造方法により積層体を製造する工程と、
前記積層体を前記第1被覆部材ごとに個片化する工程と、
を有する単位積層体の製造方法。 - 前記個片化された積層体の少なくとも前記支持板を面取り加工する面取工程を有する請求項8に記載の単位積層体の製造方法。
- 前記個片化された積層体の前記被覆部材、及び前記支持板を面取り加工する面取工程を有する請求項8に記載の単位積層体の製造方法。
- 前記単位積層体から前記被覆部材を剥離する工程と、
第2被覆部材と前記接着層とを剥離可能に貼合する工程と、
を有する請求項8から10の何れか一項に記載の単位積層体の製造方法。 - 前記第2被覆部材は、前記支持板からはみ出したはみ出し部を有する請求項11に記載の単位積層体の製造方法。
- 第1主面と第2主面とを有するデバイス基板を準備する工程と、
支持面と裏面とを有する支持板の前記支持面に配置された接着層を有する接着層付き支持板と、対向する2つの主面を有する被覆部材の何れかの前記主面が前記接着層に剥離可能に貼合された被覆部材とを有する単位積層体から被覆部材を剥離する工程と、
前記デバイス基板の前記第1主面と前記接着層付き前記支持板の前記接着層とを剥離可能に貼合する工程と、
前記デバイス基板から前記接着層付き支持板を剥離する工程と、
を有するデバイス基板の製造方法。 - 前記貼合する工程と前記接着層付き支持板を剥離する工程との間に、前記デバイス基板を第2主面の側から薄板化する工程を有する請求項13に記載のデバイス基板の製造方法。
- 前記貼合する工程と前記接着層付き支持板を剥離する工程との間に、前記デバイス基板の第2主面に第2機能層を形成する工程を有する請求項13に記載のデバイス基板の製造方法。
- 前記貼合する工程と前記接着層付き支持板を剥離する工程との間に、前記デバイス基板を第2主面の側から薄板化する工程と、前記薄板化されたデバイス基板の第2主面に第2機能層を形成する工程と、を有する請求項13に記載のデバイス基板の製造方法。
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