JP2017139167A - 放電灯駆動装置、光源装置、プロジェクター、および放電灯駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】放電灯の寿命を向上できる放電灯駆動装置を提供する。【解決手段】本発明の放電灯駆動装置の一つの態様は、第1電極および第2電極を有する放電灯に駆動電流を供給する放電灯駆動部と、放電灯駆動部を制御する制御部と、を備え、制御部は、単位期間を繰り返すように放電灯駆動部を制御し、単位期間は、第1電極が陽極となる第1極性の直流電流が放電灯に供給される第1直流期間および第2電極が陽極となる第2極性の直流電流が放電灯に供給される第2直流期間を含む直流期間と、第1直流期間と第2直流期間との間に設けられ、交流電流が放電灯に供給される交流期間と、を有し、制御部は、直流期間の長さを時間的に変化させることを特徴とする。【選択図】図8
Description
本発明は、放電灯駆動装置、光源装置、プロジェクター、および放電灯駆動方法に関する。
交流ランプ電流のパルス幅を変調し、正パルスのパルス幅と負パルスのパルス幅との間のパルス幅比率を変調させる方法が知られている(例えば、特許文献1)。
ところで、ランプが劣化してランプ電圧が低下すると、電極が溶融しにくくなるため、電極先端の突起が細くなり、放電灯の劣化が加速的に進行する問題が知られている。このような問題に対して、例えば、上記のような方法では、パルス幅比率を大きくして電極の溶融量を増加させることが考えられる。
しかし、その場合、陽極となる側の電極先端の突起の溶融量が向上される一方で、陰極となる側の電極の温度は低下するため、陰極となる側の電極先端の形状が変形しやすい。そのため、放電灯の寿命を十分に向上できない場合があった。
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて成されたものであって、放電灯の寿命を向上できる放電灯駆動装置、そのような放電灯駆動装置を備える光源装置、およびそのような光源装置を備えるプロジェクターを提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、放電灯の寿命を向上できる放電灯駆動方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の放電灯駆動装置の一つの態様は、第1電極および第2電極を有する放電灯に駆動電流を供給する放電灯駆動部と、前記放電灯駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、単位期間を繰り返すように前記放電灯駆動部を制御し、前記単位期間は、前記第1電極が陽極となる第1極性の直流電流が前記放電灯に供給される第1直流期間および前記第2電極が陽極となる第2極性の直流電流が前記放電灯に供給される第2直流期間を含む直流期間と、前記第1直流期間と前記第2直流期間との間に設けられ、交流電流が前記放電灯に供給される交流期間と、を有し、前記制御部は、前記直流期間の長さを時間的に変化させることを特徴とする。
本発明の放電灯駆動装置の一つの態様によれば、繰り返し設けられる単位期間において、直流期間の長さが時間的に変化する。そのため、直流期間の長さが比較的大きい単位期間では、直流期間によって第1電極に加えられる熱負荷を大きくでき、突起の溶融量を増加させることができる。一方、直流期間の長さが比較的小さい単位期間では、直流期間によって第1電極に加えられる熱負荷を小さくでき、放電位置(アーク位置)を安定化できる。これにより、直流期間の長さが比較的小さい単位期間では、突起の形成を促進することができる。
また、本発明の放電灯駆動装置の一つの態様によれば、繰り返し設けられる単位期間には、極性が反対の第1直流期間および第2直流期間が設けられる。そのため、第1電極の突起および第2電極の突起の両方を太く成長させることができ、突起の形状を共に安定して維持することができる。したがって、本発明の放電灯駆動装置の一つの態様によれば、放電灯の寿命を向上させることができる。
前記制御部は、前記直流期間の長さが時間的に増減を繰り返すように前記直流期間の長さを変化させる構成としてもよい。
この構成によれば、突起をより安定して維持できる。
この構成によれば、突起をより安定して維持できる。
前記交流期間は、前記放電灯に供給される交流電流の周波数が互いに異なる複数の期間を有する構成としてもよい。
この構成によれば、突起をより成長させやすい。
この構成によれば、突起をより成長させやすい。
前記放電灯の電極間電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、前記制御部は、前記電極間電圧に基づいて、前記直流期間の長さを変化させる構成としてもよい。
この構成によれば、放電灯が劣化した場合においても、電極を好適に溶融することができる。
前記制御部は、前記電極間電圧が第1電圧よりも小さい場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さを大きくし、前記電極間電圧が前記第1電圧以上の場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さを小さくする構成としてもよい。
この構成によれば、放電灯の劣化に応じて、適切に電極に加えられる熱負荷を変化させることができ、放電灯の寿命をより向上できる。
この構成によれば、放電灯の劣化に応じて、適切に電極に加えられる熱負荷を変化させることができ、放電灯の寿命をより向上できる。
前記放電灯の電極間電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、前記制御部は、前記単位期間が繰り返される区間が設けられるように前記放電灯駆動部を制御し、前記区間は、前記単位期間における前記直流期間の長さが互いに異なる複数の区間を含み、前記制御部は、前記電極間電圧が第2電圧よりも小さい場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さが比較的大きい前記区間に含まれる前記単位期間の数を多くし、前記電極間電圧が前記第2電圧以上の場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さが比較的大きい前記区間に含まれる前記単位期間の数を少なくする構成としてもよい。
この構成によれば、放電灯の劣化に応じて、適切に電極に加えられる熱負荷を変化させることができ、放電灯の寿命をより向上できる。
この構成によれば、放電灯の劣化に応じて、適切に電極に加えられる熱負荷を変化させることができ、放電灯の寿命をより向上できる。
前記制御部は、前記電極間電圧が第3電圧よりも小さい場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さが比較的小さい前記区間に含まれる前記単位期間の数を少なくし、前記電極間電圧が前記第3電圧以上の場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さが比較的小さい前記区間に含まれる前記単位期間の数を多くする構成としてもよい。
この構成によれば、放電灯の劣化に応じて、適切に電極に加えられる熱負荷による刺激を変化させることができ、放電灯の寿命をより向上できる。
この構成によれば、放電灯の劣化に応じて、適切に電極に加えられる熱負荷による刺激を変化させることができ、放電灯の寿命をより向上できる。
前記放電灯の電極間電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、前記制御部は、前記電極間電圧が大きくなるのに従って、前記交流期間において前記放電灯に供給される交流電流の周波数を高くする構成としてもよい。
この構成によれば、突起を長く成長させやすく、放電灯の劣化をより抑制することができる。
この構成によれば、突起を長く成長させやすく、放電灯の劣化をより抑制することができる。
前記制御部は、前記直流期間の長さが大きいほど、前記交流期間において前記放電灯に供給される交流電流の周波数を低くする構成としてもよい。
この構成によれば、より好適に突起を成長させやすい。
この構成によれば、より好適に突起を成長させやすい。
前記単位期間は、複数の前記第1直流期間と、前記第1直流期間同士の間に設けられ、前記第2極性の直流電流が前記放電灯に供給される第1反対極性期間と、を有する第1片寄期間と、複数の前記第2直流期間と、前記第2直流期間同士の間に設けられ、前記第1極性の直流電流が前記放電灯に供給される第2反対極性期間と、を有する第2片寄期間と、を有し、前記第1反対極性期間の長さは、前記第1直流期間の長さよりも小さく、かつ、0.5msよりも小さく、前記第2反対極性期間の長さは、前記第2直流期間の長さよりも小さく、かつ、0.5msよりも小さい構成としてもよい。
この構成によれば、単位期間における第1直流期間の長さの合計を大きくして、第1電極に加えられる熱負荷を大きくしつつ、第2電極の温度が低下し過ぎることを抑制できる。
この構成によれば、単位期間における第1直流期間の長さの合計を大きくして、第1電極に加えられる熱負荷を大きくしつつ、第2電極の温度が低下し過ぎることを抑制できる。
前記放電灯の電極間電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、前記制御部は、前記電極間電圧が第4電圧よりも小さい場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記単位期間に含まれる前記第1直流期間の数を多くし、前記電極間電圧が前記第4電圧以上の場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記単位期間に含まれる前記第1直流期間の数を少なくする構成としてもよい。
この構成によれば、放電灯の劣化に応じて、適切に電極に加えられる熱負荷を変化させることができ、放電灯の寿命をより向上できる。
この構成によれば、放電灯の劣化に応じて、適切に電極に加えられる熱負荷を変化させることができ、放電灯の寿命をより向上できる。
本発明の光源装置の一つの態様は、光を射出する前記放電灯と、上記の放電灯駆動装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の光源装置の一つの態様によれば、上記の放電灯駆動装置を備えるため、放電灯の寿命を向上できる。
本発明のプロジェクターの一つの態様は、上記の光源装置と、前記光源装置から射出される光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学系と、を備えることを特徴とする。
本発明のプロジェクターの一つの態様によれば、上記の光源装置を備えるため、放電灯の寿命を向上できる。
本発明の放電灯駆動方法の一つの態様は、第1電極および第2電極を有する放電灯に駆動電流を供給して、前記放電灯を駆動する放電灯駆動方法であって、前記第1電極が陽極となる第1極性の直流電流が前記放電灯に供給される第1直流期間および前記第2電極が陽極となる第2極性の直流電流が前記放電灯に供給される第2直流期間を含む直流期間と、前記第1直流期間と前記第2直流期間との間に設けられ、交流電流が前記放電灯に供給される交流期間と、を有する単位期間を繰り返すように前記放電灯に駆動電流を供給し、前記直流期間の長さを時間的に変化させることを特徴とする。
本発明の放電灯駆動方法の一つの態様によれば、上述したのと同様にして、放電灯の寿命を向上できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るプロジェクターについて説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター500は、光源装置200と、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、3つの液晶ライトバルブ(光変調装置)330R,330G,330Bと、クロスダイクロイックプリズム340と、投射光学系350と、を備えている。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター500は、光源装置200と、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、3つの液晶ライトバルブ(光変調装置)330R,330G,330Bと、クロスダイクロイックプリズム340と、投射光学系350と、を備えている。
光源装置200から射出された光は、平行化レンズ305を通過して照明光学系310に入射する。平行化レンズ305は、光源装置200からの光を平行化する。
照明光学系310は、光源装置200から射出される光の照度を、液晶ライトバルブ330R,330G,330B上において均一化するように調整する。さらに、照明光学系310は、光源装置200から射出される光の偏光方向を一方向に揃える。その理由は、光源装置200から射出される光を液晶ライトバルブ330R,330G,330Bで有効に利用するためである。
照度分布と偏光方向とが調整された光は、色分離光学系320に入射する。色分離光学系320は、入射光を赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)の3つの色光に分離する。3つの色光は、各色光に対応付けられた液晶ライトバルブ330R,330G,330Bにより、映像信号に応じてそれぞれ変調される。液晶ライトバルブ330R,330G,330Bは、後述する液晶パネル560R,560G,560Bと、偏光板(図示せず)と、を備えている。偏光板は、液晶パネル560R,560G,560Bのそれぞれの光入射側および光射出側に配置される。
変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム340により合成される。合成光は投射光学系350に入射する。投射光学系350は、入射光をスクリーン700(図3参照)に投射する。これにより、スクリーン700上に映像が表示される。なお、平行化レンズ305、照明光学系310、色分離光学系320、クロスダイクロイックプリズム340、投射光学系350の各々の構成としては、周知の構成を採用することができる。
図2は、光源装置200の構成を示す断面図である。光源装置200は、光源ユニット210と、放電灯点灯装置(放電灯駆動装置)10と、を備えている。図2には、光源ユニット210の断面図が示されている。光源ユニット210は、主反射鏡112と、放電灯90と、副反射鏡113と、を備えている。
放電灯点灯装置10は、放電灯90に駆動電流Iを供給して放電灯90を点灯させる。主反射鏡112は、放電灯90から放出された光を照射方向Dに向けて反射する。照射方向Dは、放電灯90の光軸AXと平行である。
放電灯90の形状は、照射方向Dに沿って延びる棒状である。放電灯90の一方の端部を第1端部90e1とし、放電灯90の他方の端部を第2端部90e2とする。放電灯90の材料は、例えば、石英ガラス等の透光性材料である。放電灯90の中央部は球状に膨らんでおり、その内部は放電空間91である。放電空間91には、希ガス、金属ハロゲン化合物等を含む放電媒体であるガスが封入されている。
放電空間91には、第1電極92および第2電極93の先端が突出している。第1電極92は、放電空間91の第1端部90e1側に配置されている。第2電極93は、放電空間91の第2端部90e2側に配置されている。第1電極92および第2電極93の形状は、光軸AXに沿って延びる棒状である。放電空間91には、第1電極92および第2電極93の電極先端部が、所定距離だけ離れて対向するように配置されている。第1電極92および第2電極93の材料は、例えば、タングステン等の金属である。
放電灯90の第1端部90e1に、第1端子536が設けられている。第1端子536と第1電極92とは、放電灯90の内部を貫通する導電性部材534により電気的に接続されている。同様に、放電灯90の第2端部90e2に、第2端子546が設けられている。第2端子546と第2電極93とは、放電灯90の内部を貫通する導電性部材544により電気的に接続されている。第1端子536および第2端子546の材料は、例えば、タングステン等の金属である。導電性部材534,544の材料としては、例えば、モリブデン箔が利用される。
第1端子536および第2端子546は、放電灯点灯装置10に接続されている。放電灯点灯装置10は、第1端子536および第2端子546に、放電灯90を駆動するための駆動電流Iを供給する。その結果、第1電極92および第2電極93の間でアーク放電が起きる。アーク放電により発生した光(放電光)は、破線の矢印で示すように、放電位置から全方向に向かって放射される。
主反射鏡112は、固定部材114により、放電灯90の第1端部90e1に固定されている。主反射鏡112は、放電光のうち、照射方向Dと反対側に向かって進む光を照射方向Dに向かって反射する。主反射鏡112の反射面(放電灯90側の面)の形状は、放電光を照射方向Dに向かって反射できる範囲内において、特に限定されず、例えば、回転楕円形状であっても、回転放物線形状であってもよい。例えば、主反射鏡112の反射面の形状を回転放物線形状とした場合、主反射鏡112は、放電光を光軸AXに略平行な光に変換することができる。これにより、平行化レンズ305を省略することができる。
副反射鏡113は、固定部材522により、放電灯90の第2端部90e2側に固定されている。副反射鏡113の反射面(放電灯90側の面)の形状は、放電空間91の第2端部90e2側の部分を囲む球面形状である。副反射鏡113は、放電光のうち、主反射鏡112が配置された側と反対側に向かって進む光を主反射鏡112に向かって反射する。これにより、放電空間91から放射される光の利用効率を高めることができる。
固定部材114,522の材料は、放電灯90からの発熱に耐え得る耐熱材料である範囲内において、特に限定されず、例えば、無機接着剤である。主反射鏡112および副反射鏡113と放電灯90との配置を固定する方法としては、主反射鏡112および副反射鏡113を放電灯90に固定する方法に限らず、任意の方法を採用できる。例えば、放電灯90と主反射鏡112とを、独立にプロジェクター500の筐体(図示せず)に固定してもよい。副反射鏡113についても同様である。
以下、プロジェクター500の回路構成について説明する。
図3は、本実施形態のプロジェクター500の回路構成の一例を示す図である。プロジェクター500は、図1に示した光学系の他、画像信号変換部510と、直流電源装置80と、液晶パネル560R,560G,560Bと、画像処理装置570と、CPU(Central Processing Unit)580と、を備えている。
図3は、本実施形態のプロジェクター500の回路構成の一例を示す図である。プロジェクター500は、図1に示した光学系の他、画像信号変換部510と、直流電源装置80と、液晶パネル560R,560G,560Bと、画像処理装置570と、CPU(Central Processing Unit)580と、を備えている。
画像信号変換部510は、外部から入力された画像信号502(輝度−色差信号やアナログRGB信号など)を所定のワード長のデジタルRGB信号に変換して画像信号512R,512G,512Bを生成し、画像処理装置570に供給する。
画像処理装置570は、3つの画像信号512R,512G,512Bに対してそれぞれ画像処理を行う。画像処理装置570は、液晶パネル560R,560G,560Bをそれぞれ駆動するための駆動信号572R,572G,572Bを液晶パネル560R,560G,560Bに供給する。
直流電源装置80は、外部の交流電源600から供給される交流電圧を一定の直流電圧に変換する。直流電源装置80は、トランス(図示しないが、直流電源装置80に含まれる)の2次側にある画像信号変換部510、画像処理装置570およびトランスの1次側にある放電灯点灯装置10に直流電圧を供給する。
放電灯点灯装置10は、起動時に放電灯90の電極間に高電圧を発生し、絶縁破壊を生じさせて放電路を形成する。以後、放電灯点灯装置10は、放電灯90が放電を維持するための駆動電流Iを供給する。
液晶パネル560R,560G,560Bは、前述した液晶ライトバルブ330R,330G,330Bにそれぞれ備えられている。液晶パネル560R,560G,560Bは、それぞれ駆動信号572R,572G,572Bに基づいて、前述した光学系を介して各液晶パネル560R,560G,560Bに入射される色光の透過率(輝度)を変調する。
CPU580は、プロジェクター500の点灯開始から消灯に至るまでの各種の動作を制御する。例えば、図3の例では、通信信号582を介して点灯命令や消灯命令を放電灯点灯装置10に出力する。CPU580は、放電灯点灯装置10から通信信号584を介して放電灯90の点灯情報を受け取る。
以下、放電灯点灯装置10の構成について説明する。
図4は、放電灯点灯装置10の回路構成の一例を示す図である。
放電灯点灯装置10は、図4に示すように、電力制御回路20と、極性反転回路30と、制御部40と、動作検出部60と、イグナイター回路70と、を備えている。
図4は、放電灯点灯装置10の回路構成の一例を示す図である。
放電灯点灯装置10は、図4に示すように、電力制御回路20と、極性反転回路30と、制御部40と、動作検出部60と、イグナイター回路70と、を備えている。
電力制御回路20は、放電灯90に供給する駆動電力Wdを生成する。本実施形態においては、電力制御回路20は、直流電源装置80からの電圧を入力とし、入力電圧を降圧して直流電流Idを出力するダウンチョッパー回路で構成されている。
電力制御回路20は、スイッチ素子21、ダイオード22、コイル23およびコンデンサー24を含んで構成される。スイッチ素子21は、例えば、トランジスターで構成される。本実施形態においては、スイッチ素子21の一端は直流電源装置80の正電圧側に接続され、他端はダイオード22のカソード端子およびコイル23の一端に接続されている。
コイル23の他端にコンデンサー24の一端が接続され、コンデンサー24の他端はダイオード22のアノード端子および直流電源装置80の負電圧側に接続されている。スイッチ素子21の制御端子には、後述する制御部40から電流制御信号が入力されてスイッチ素子21のON/OFFが制御される。電流制御信号には、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号が用いられてもよい。
スイッチ素子21がONすると、コイル23に電流が流れ、コイル23にエネルギーが蓄えられる。その後、スイッチ素子21がOFFすると、コイル23に蓄えられたエネルギーがコンデンサー24とダイオード22とを通る経路で放出される。その結果、スイッチ素子21がONする時間の割合に応じた直流電流Idが発生する。
極性反転回路30は、電力制御回路20から入力される直流電流Idを所定のタイミングで極性反転させる。これにより、極性反転回路30は、制御された時間だけ継続する直流である駆動電流I、もしくは、任意の周波数fを持つ交流である駆動電流Iを生成し、出力する。本実施形態において、極性反転回路30は、インバーターブリッジ回路(フルブリッジ回路)で構成されている。
極性反転回路30は、例えば、トランジスターなどで構成される第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33、および第4のスイッチ素子34を含んでいる。極性反転回路30は、直列接続された第1のスイッチ素子31および第2のスイッチ素子32と、直列接続された第3のスイッチ素子33および第4のスイッチ素子34と、が互いに並列接続された構成を有する。第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33、および第4のスイッチ素子34の制御端子には、それぞれ制御部40から極性反転制御信号が入力される。この極性反転制御信号に基づいて、第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33および第4のスイッチ素子34のON/OFF動作が制御される。
極性反転回路30においては、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34と、第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33と、を交互にON/OFFさせる動作が繰り返される。これにより、電力制御回路20から出力される直流電流Idの極性が交互に反転する。極性反転回路30は、第1のスイッチ素子31と第2のスイッチ素子32との共通接続点、および第3のスイッチ素子33と第4のスイッチ素子34との共通接続点から、制御された時間だけ同一極性状態を継続する直流である駆動電流I、もしくは制御された周波数fをもつ交流である駆動電流Iを生成し、出力する。
すなわち、極性反転回路30は、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34がONのときには第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33がOFFであり、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34がOFFのときには第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33がONであるように制御される。したがって、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34がONのときには、コンデンサー24の一端から第1のスイッチ素子31、放電灯90、第4のスイッチ素子34の順に流れる駆動電流Iが発生する。第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33がONのときには、コンデンサー24の一端から第3のスイッチ素子33、放電灯90、第2のスイッチ素子32の順に流れる駆動電流Iが発生する。
本実施形態において、電力制御回路20と極性反転回路30とを合わせた部分が放電灯駆動部230に対応する。すなわち、放電灯駆動部230は、放電灯90を駆動する駆動電流Iを放電灯90に供給する。
制御部40は、放電灯駆動部230を制御する。図4の例では、制御部40は、電力制御回路20および極性反転回路30を制御することにより、駆動電流Iが同一極性を継続する保持時間、駆動電流Iの電流値(駆動電力Wdの電力値)、周波数f等のパラメーターを制御する。制御部40は、極性反転回路30に対して、駆動電流Iの極性反転タイミングにより、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの周波数f等を制御する極性反転制御を行う。制御部40は、電力制御回路20に対して、出力される直流電流Idの電流値を制御する電流制御を行う。
制御部40の構成は、特に限定されない。本実施形態においては、制御部40は、システムコントローラー41、電力制御回路コントローラー42、および極性反転回路コントローラー43を含んで構成されている。なお、制御部40は、その一部または全てを半導体集積回路で構成してもよい。
システムコントローラー41は、電力制御回路コントローラー42および極性反転回路コントローラー43を制御することにより、電力制御回路20および極性反転回路30を制御する。システムコントローラー41は、動作検出部60が検出したランプ電圧(電極間電圧)Vlaおよび駆動電流Iに基づき、電力制御回路コントローラー42および極性反転回路コントローラー43を制御してもよい。
本実施形態においては、システムコントローラー41には、記憶部44が接続されている。
システムコントローラー41は、記憶部44に格納された情報に基づき、電力制御回路20および極性反転回路30を制御してもよい。記憶部44には、例えば、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの電流値、周波数f、波形、変調パターン等の駆動パラメーターに関する情報が格納されていてもよい。
システムコントローラー41は、記憶部44に格納された情報に基づき、電力制御回路20および極性反転回路30を制御してもよい。記憶部44には、例えば、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの電流値、周波数f、波形、変調パターン等の駆動パラメーターに関する情報が格納されていてもよい。
電力制御回路コントローラー42は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、電力制御回路20へ電流制御信号を出力することにより、電力制御回路20を制御する。
極性反転回路コントローラー43は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、極性反転回路30へ極性反転制御信号を出力することにより、極性反転回路30を制御する。
制御部40は、専用回路を用いて実現され、上述した制御や後述する処理の各種制御を行うようにすることができる。これに対して、制御部40は、例えば、CPUが記憶部44に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、これらの処理の各種制御を行うようにすることもできる。
図5は、制御部40の他の構成例について説明するための図である。図5に示すように、制御部40は、制御プログラムにより、電力制御回路20を制御する電流制御手段40−1、極性反転回路30を制御する極性反転制御手段40−2として機能するように構成されてもよい。
図4に示した例では、制御部40は、放電灯点灯装置10の一部として構成されている。これに対して、制御部40の機能の一部をCPU580が担うように構成されていてもよい。
動作検出部60は、本実施形態においては、放電灯90のランプ電圧Vlaを検出して制御部40にランプ電圧情報を出力する電圧検出部を含む。また、動作検出部60は、駆動電流Iを検出して制御部40に駆動電流情報を出力する電流検出部などを含んでいてもよい。本実施形態においては、動作検出部60は、第1の抵抗61、第2の抵抗62および第3の抵抗63を含んで構成されている。
本実施形態において、動作検出部60の電圧検出部は、放電灯90と並列に、互いに直列接続された第1の抵抗61および第2の抵抗62で分圧した電圧によりランプ電圧Vlaを検出する。また、本実施形態において、電流検出部は、放電灯90に直列に接続された第3の抵抗63に発生する電圧により駆動電流Iを検出する。
イグナイター回路70は、放電灯90の点灯開始時にのみ動作する。イグナイター回路70は、放電灯90の点灯開始時に放電灯90の電極間(第1電極92と第2電極93との間)を絶縁破壊して放電路を形成するために必要な高電圧(放電灯90の通常点灯時よりも高い電圧)を、放電灯90の電極間(第1電極92と第2電極93との間)に供給する。本実施形態においては、イグナイター回路70は、放電灯90と並列に接続されている。
図6Aおよび図6Bには、第1電極92および第2電極93の先端部分が示されている。第1電極92および第2電極93の先端にはそれぞれ突起552p,562pが形成されている。
第1電極92と第2電極93の間で生じる放電は、主として突起552pと突起562pとの間で生じる。本実施形態のように突起552p,562pがある場合には、突起が無い場合と比べて、第1電極92および第2電極93における放電位置(アーク位置)の移動を抑えることができる。
図6Aは、第1電極92が陽極として動作し、第2電極93が陰極として動作する第1極性状態を示している。第1極性状態では、放電により、第2電極93(陰極)から第1電極92(陽極)へ電子が移動する。陰極(第2電極93)からは電子が放出される。陰極(第2電極93)から放出された電子は陽極(第1電極92)の先端に衝突する。この衝突によって熱が生じ、陽極(第1電極92)の先端(突起552p)の温度が上昇する。
図6Bは、第1電極92が陰極として動作し、第2電極93が陽極として動作する第2極性状態を示している。第2極性状態では、第1極性状態とは逆に、第1電極92から第2電極93へ電子が移動する。その結果、第2電極93の先端(突起562p)の温度が上昇する。
このように、放電灯90に駆動電流Iが供給されることで、電子が衝突する陽極の温度は上昇する。一方、電子を放出する陰極は、陽極に向けて電子を放出している間、温度は低下する。
第1電極92と第2電極93との電極間距離は、突起552p,562pの劣化とともに大きくなる。突起552p,562pが損耗するためである。電極間距離が大きくなると、第1電極92と第2電極93との間の抵抗が大きくなるため、ランプ電圧Vlaが大きくなる。したがって、ランプ電圧Vlaを参照することによって、電極間距離の変化、すなわち、放電灯90の劣化度合いを検出することができる。
なお、第1電極92と第2電極93とは、同様の構成であるため、以下の説明においては、代表して第1電極92についてのみ説明する場合がある。また、第1電極92の先端の突起552pと第2電極93の先端の突起562pとは、同様の構成であるため、以下の説明においては、代表して突起552pについてのみ説明する場合がある。
次に、制御部40による放電灯駆動部230の制御について説明する。図7は、本実施形態の放電灯90に駆動電流Iが供給される期間の変化を示す図である。図7において、縦軸は直流期間DCの長さtdを示しており、横軸は時間Tを示している。図8は、本実施形態の駆動電流Iの一例を示す図である。図8において、縦軸は駆動電流Iを示しており、横軸は時間Tを示している。駆動電流Iは、第1極性状態である場合を正とし、第2極性状態となる場合を負として示している。
図7に示すように、本実施形態において制御部40は、第1区間(区間)PAと、第2区間(区間)PBと、第3区間(区間)PCと、が設けられるように放電灯駆動部230を制御する。図8に示すように、第1区間PAは、単位期間Uが複数繰り返されて構成される。すなわち、制御部40は、単位期間Uが繰り返される第1区間PAが設けられるように放電灯駆動部230を制御する。
単位期間Uは、直流期間DCと、交流期間ACと、を有する。直流期間DCは、第1直流期間DC1および第2直流期間DC2を含む。図8の例では、単位期間Uは、交流期間ACと、第1直流期間DC1と、交流期間ACと、第2直流期間DC2と、がこの順に設けられて構成される。
第1直流期間DC1は、第1電極92が陽極となる第1極性の直流電流が放電灯90に供給される期間である。図8の例では、第1直流期間DC1においては、一定の電流値Im1を有する駆動電流Iが放電灯90に供給される。
第2直流期間DC2は、第2電極93が陽極となる第2極性の直流電流が放電灯90に供給される期間である。図8の例では、第2直流期間DC2においては、一定の電流値−Im1を有する駆動電流Iが放電灯90に供給される。すなわち、第2直流期間DC2においては、第1直流期間DC1と反対極性の直流電流が放電灯90に供給される。本実施形態において、第1直流期間DC1の長さtd1と第2直流期間DC2の長さtd2とは、同じである。なお、第1直流期間DC1の長さtd1と第2直流期間DC2の長さtd2とは、互いに異なっていてもよい。
交流期間ACは、交流電流が放電灯90に供給される期間である。図8の例では、交流期間ACにおいては、電流値Im1と電流値−Im1との間で極性が複数回反転される矩形波の駆動電流Iが放電灯90に供給される。交流期間ACは、第1直流期間DC1と第2直流期間DC2との間に設けられる。図8の例では、交流期間ACは、単位期間Uごとに2つずつ設けられる。交流期間ACの長さtaは、例えば、第1直流期間DC1の長さtd1よりも大きい。なお、交流期間ACの長さtaは、例えば、第1直流期間DC1の長さtd1より小さくてもよいし、同じであってもよい。
本実施形態において交流期間ACは、第1交流期間AC1と、第2交流期間AC2と、第3交流期間AC3と、を有する。第1交流期間AC1と第2交流期間AC2と第3交流期間AC3とは、放電灯90に供給される駆動電流Iの周波数fが互いに異なる。すなわち、本実施形態において交流期間ACは、放電灯90に供給される交流電流の周波数fが互いに異なる複数の期間を有する。
図8の例では、放電灯90に供給される交流電流の周波数fは、第1交流期間AC1、第3交流期間AC3、第2交流期間AC2の順に高くなる。第1交流期間AC1の長さta1と、第2交流期間AC2の長さta2と、第3交流期間AC3の長さta3とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
図示は省略するが、第2区間PBおよび第3区間PCは、第1区間PAと同様に、単位期間Uが複数繰り返されて構成される。各区間に含まれる単位期間Uの数は、例えば、同じである。第2区間PBおよび第3区間PCは、第1区間PAに対して、直流期間DCの長さtdが異なる。すなわち、本実施形態において区間は、単位期間Uにおける直流期間DCの長さtdが互いに異なる複数の区間を含む。直流期間DCの長さtdは、第1直流期間DC1の長さtd1と第2直流期間DC2の長さtd2とを足し合わせた長さである。本実施形態において、例えば、図7および図8に示されるように、第1区間PAの単位期間Uにおける第1直流期間DC1の長さtd1と第2直流期間DC2の長さtd2とを足し合わせた長さである直流期間DCの長さtdは、tdaである。
図7に示すように、各区間は所定のパターンに沿って連続して設けられる。各区間は、単位期間Uが複数繰り返されて構成されるため、各区間が連続して設けられることで、直流期間DCの長さtdが異なる単位期間Uが複数ずつ連続して設けられる。すなわち、制御部40は、単位期間Uを繰り返すように放電灯駆動部230を制御し、直流期間DCの長さを時間的に変化させる。
第1区間PAにおける直流期間DCの長さtdは、tdaである。第2区間PBにおける直流期間DCの長さtdは、tdbである。第3区間PCにおける直流期間DCの長さtdは、tdcである。tda、tdb、tdcは、この順に大きくなる。すなわち、直流期間DCの長さtdは、第1区間PA、第2区間PB、第3区間PCの順に大きくなる。
本実施形態では、第1直流期間DC1の長さtd1と第2直流期間DC2の長さtd2とは互いに同じであるため、第1直流期間DC1の長さtd1および第2直流期間DC2の長さtd2についても、それぞれ第1区間PA、第2区間PB、第3区間PCの順に大きくなる。
各区間の各単位期間Uに含まれる直流期間DCの長さtdは、例えば、1つの区間内で同じである。すなわち、第1区間PAに含まれる単位期間Uにおいては、直流期間DCの長さtdはいずれの単位期間Uにおいても同じであり、tdaである。第2区間PBに含まれる単位期間Uにおいては、直流期間DCの長さtdはいずれの単位期間Uにおいても同じであり、tdbである。第3区間PCに含まれる単位期間Uにおいては、直流期間DCの長さtdはいずれの単位期間Uにおいても同じであり、tdcである。
第2区間PBにおける交流期間ACの長さta、および第3区間PCにおける交流期間ACの長さtaは、例えば、第1区間PAにおける交流期間ACの長さtaと同じである。これは、第1交流期間AC1から第3交流期間AC3のそれぞれについても同様である。
交流期間ACの長さtaが同じで、直流期間DCの長さtdが異なるため、各区間の長さは互いに異なる。すなわち、第1区間PAの長さtpaと、第2区間PBの長さtpbと、第3区間PCの長さtpcとは、例えば、互いに異なり、この順に大きくなる。また、各区間においては、直流割合Rdが異なる。直流割合Rdは、単位期間Uの長さtu1に対する直流期間DCの長さtdの割合である。
図7の縦軸は、直流割合Rdについても示している。図7に示すように、第1区間PAの単位期間Uにおける直流割合Rdの値は、RdAである。第2区間PBの単位期間Uにおける直流割合Rdの値は、RdBである。第3区間PCの単位期間Uにおける直流割合Rdの値は、RdCである。RdA、RdB、RdCは、この順に大きくなる。すなわち、直流割合Rdは、第1区間PA、第2区間PB、第3区間PCの順に大きくなる。
第2区間PBのその他の点は、第1区間PAと同様である。第3区間PCのその他の点は、第1区間PAと同様である。
第1区間PA、第2区間PB、および第3区間PCは、直流期間DCの長さtdが時間的に増減するように設けられる。すなわち、図7の例では、第1区間PA、第2区間PB、第3区間PCの順に直流期間DCの長さtdが増加するように各区間が設けられた後、第2区間PB、第1区間PAの順に直流期間DCの長さtdが減少するように各区間が設けられるようなパターンを周期的に繰り返す。すなわち、制御部40は、直流期間DCの長さtdが時間的に増減を繰り返すように直流期間DCの長さtdを変化させる。また、本実施形態においては、第1区間PA、第2区間PB、および第3区間PCは、直流割合Rdが時間的に増減するように設けられる。
上述した制御部40による制御は、放電灯駆動方法としても表現できる。すなわち、本実施形態の放電灯駆動方法の一つの態様は、第1電極92および第2電極93を有する放電灯90に駆動電流Iを供給して、放電灯90を駆動する放電灯駆動方法であって、第1電極92が陽極となる第1極性の直流電流が放電灯90に供給される第1直流期間DC1および第2電極93が陽極となる第2極性の直流電流が放電灯90に供給される第2直流期間DC2を含む直流期間DCと、第1直流期間DC1と第2直流期間DC2との間に設けられ、交流電流が放電灯90に供給される交流期間ACと、を有する単位期間Uを繰り返すように放電灯90に駆動電流Iを供給し、直流期間DCの長さtdを時間的に変化させることを特徴とする。
本実施形態によれば、繰り返し設けられる単位期間Uにおいて、直流期間DCの長さtdが時間的に変化する。そのため、直流期間DCの長さtdが比較的大きい単位期間Uでは、直流期間DCによって第1電極92に加えられる熱負荷を大きくでき、突起552pの溶融量を増加させることができる。一方、直流期間DCの長さtdが比較的小さい単位期間Uでは、直流期間DCによって第1電極92に加えられる熱負荷を小さくでき、放電位置(アーク位置)を安定化できる。これにより、直流期間DCの長さtdが比較的小さい単位期間Uでは、突起552pの形成を促進することができる。
具体的には、第3区間PCの単位期間Uでは、直流期間DCの長さtdが比較的大きいため、突起552pの溶融量を増加させることができる。第1区間PAの単位期間Uでは、直流期間DCの長さtdが比較的小さいため、突起552pの形成を促進することができる。このように、第1電極92に加えられる熱負荷を時間的に変動させることで、突起552pの溶融と形成とを好適に行うことができ、突起552pを太く成長させることができる。これにより、突起552pの形状を安定して維持することができる。
また、陽極となる第1電極が加熱される際においては、陰極となる第2電極の温度は低下する。そのため、第1電極を偏って加熱した場合には、第2電極の温度が低下して、その後第2電極を加熱しても突起を好適に成長できない場合がある。この場合、第2電極が変形することで、放電位置(アーク位置)が不安定となり、フリッカーが生じる場合があった。また、第2電極が細く小さくなりやすく、比較的大きい熱負荷を加えられた際に消失して、飛散したタングステンが放電灯の内壁に付着して黒化が生じる場合があった。また、放電灯から射出される光が拡散して、プロジェクターの光学系によってケラレる光が増加してプロジェクターの照度が低下する場合があった。以上により、放電灯の寿命が低下する場合があった。
これに対して、本実施形態によれば、繰り返し設けられる単位期間Uには、極性が互いに異なる第1直流期間DC1および第2直流期間DC2が設けられる。そのため、第1電極92の突起552pおよび第2電極93の突起562pの両方を太く成長させることができ、突起552p,562pの形状を共に安定して維持することができる。これにより、フリッカーおよび黒化の発生、およびプロジェクター500の照度低下を抑制することができる。その結果、本実施形態によれば、放電灯90の寿命を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、直流期間DCの長さtdは時間的に増減する。そのため、突起552pの溶融と形成とを交互に行うことができ、突起552pをより太く成長させることができ、突起552pの形状を安定して維持しやすい。これにより、放電灯90の寿命をより向上できる。
また、図7の例では、第1電極92に加えられる熱負荷が比較的小さい第1区間PAと、第1電極92に加えられる熱負荷が比較的大きい第3区間PCとが、第2区間PBを挟んで交互に設けられることで、直流期間DCの長さtdが時間的に変化する。第2区間PBにおいて第1電極92に加えられる熱負荷は、第1区間PAにおいて第1電極92に加えられる熱負荷よりも大きく、第3区間PCにおいて第1電極92に加えられる熱負荷よりも小さい。そのため、第1区間PAと第3区間PCとの間で区間が変化する間において、突起552pの溶融量を徐々に変化させることができ、突起552pを滑らかに形成することができる。これにより、第1電極92の本体と突起552pとの境界を滑らかにでき、第1電極92の本体に強固に根付いた頑丈な突起552pを形成することができる。したがって、放電灯90の寿命をより向上できる。
また、本実施形態によれば、交流期間ACは、周波数fが異なる複数の期間を有する。そのため、交流期間ACにおいて、第1電極92に加えられる熱負荷を変化させることができる。これにより、交流期間ACにおいて第1電極92に加えられる熱負荷による刺激を大きくでき、突起552pをより成長させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、以下に説明する他の構成を採用してもよい。以下の説明において上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
上記説明においては、直流期間DCの長さtdは、1つの区間内においてはいずれの単位期間Uにおいても一定であるものとしたが、これに限られない。1つの区間内において、単位期間Uごと、あるいは一部の単位期間Uにおいて、直流期間DCの長さtdが異なってもよい。
また、第1区間PA、第2区間PB、および第3区間PCを設けずに、単位期間Uを複数繰り返す構成としてもよい。この場合、直流期間DCの長さtdを単位期間Uが設けられるごとに変化させてもよい。図9は、単位期間Uの設けられた数Nと直流期間DCの長さtdとの関係の一例を示すグラフである。図9において、縦軸は、直流期間DCの長さtdを示しており、横軸は、単位期間Uの設けられた数Nを示している。
図9に示すように、例えば、初めに設けられた単位期間U(N=1)において、直流期間DCの長さtdが最小値tminの場合、単位期間UがN1個設けられるまでの間、直流期間DCの長さtdは、単位期間Uが設けられるごとに大きくなる。N1個目の単位期間において、直流期間DCの長さtdは、最大値tmaxとなる。その後、単位期間UがN2(N2>N1)個設けられるまでの間、単位期間Uが設けられるごとに直流期間DCの長さtdが小さくなる。N2個目の単位期間Uにおいて、直流期間DCの長さtdは、最小値tminとなる。その後、N2個目からN3(N3>N2)個目までの間、直流期間DCの長さtdは再び大きくなり、N3個目からN4(N4>N3)個目までの間、直流期間DCの長さtdは再び小さくなる。以下、同様のパターンに沿って、直流期間DCの長さtdは増減する。
このように、単位期間Uが設けられるごとに直流期間DCの長さtdが変化することで、突起552pの溶融量をより徐々に変化させることができる。そのため、突起552pの形状をより滑らかにでき、頑丈な突起552pを形成できる。これにより、放電灯90の寿命をより向上できる。
図9の例では、直流期間DCの長さtdは、増減する範囲のそれぞれにおいて、単位期間Uの設けられた数Nに対して線型に変化する構成としたが、これに限られない。直流期間DCの長さtdは、増減する範囲のそれぞれにおいて、単位期間Uの設けられた数Nに対して非線型に変化してもよい。
また、制御部40は、ランプ電圧Vlaに基づいて、各区間のパラメーターを変化させてもよい。例えば、制御部40は、ランプ電圧Vlaに基づいて、直流期間DCの長さtdを変化させてもよい。そのため、放電灯90の劣化に応じて、第1電極92に加えられる熱負荷を変化させることができる。これにより、突起552pの形状を好適に維持することができる。
具体的には、この構成では、例えば、制御部40は、ランプ電圧Vlaが第1電圧Vla1よりも小さい場合には、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って直流期間DCの長さtdを大きくする。また、制御部40は、ランプ電圧Vlaが第1電圧Vla1以上の場合には、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って直流期間DCの長さtdを小さくする。
放電灯90の劣化がある程度進行すると、第1電極92の突起552pは溶融しにくくなる。そのため、放電灯90が劣化するのに応じて、第1電極92に加えられる熱負荷を大きくすることが好ましい。
一方、放電灯90の劣化がさらに進行すると、突起552pが細くなりやすいため、第1電極92に加えられる熱負荷が大きいと、突起552pが消失する虞がある。そのため、放電灯90の劣化がある程度以上に進行した後は、第1電極92に加えられる熱負荷を小さくすることが好ましい。
これに対して、上述した構成によれば、ランプ電圧Vlaが第1電圧Vla1よりも小さい範囲では、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って直流期間DCの長さtdが大きくなる。そのため、放電灯90の劣化に応じて、単位期間Uにおいて第1電極92に加えられる熱負荷を大きくできる。これにより、放電灯90が劣化した場合であっても、第1電極92を好適に溶融させることができる。
また一方で、上述した構成によれば、ランプ電圧Vlaが第1電圧Vla1よりも大きい範囲では、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って直流期間DCの長さtdが小さくなる。そのため、放電灯90の劣化が比較的大きく進行した場合に、第1電極92に加えられる熱負荷を小さくでき、突起552pが消失することを抑制できる。その結果、放電灯90の劣化が比較的大きく進行した場合であっても、突起552pの形状を安定して維持しやすい。
表1に、ランプ電圧Vlaの変化による第1直流期間DC1の長さtd1の変化の一例を示す。表1では第1直流期間DC1の長さtd1についてのみ示しているが、例えば、第2直流期間DC2の長さtd2についても、第1直流期間DC1の長さtd1と同じ値となる。
表1において、第1電圧Vla1は、85Vである。第2区間PBおよび第3区間PCにおいて、第1直流期間DC1の長さtd1は、ランプ電圧Vlaが85V未満の範囲では、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って段階的に大きくなり、ランプ電圧Vlaが85V以上の範囲では、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って段階的に小さくなる。
第3区間PCにおける第1直流期間DC1の長さtd1の、最小値と最大値との間の変化幅は、第2区間PBにおける第1直流期間DC1の長さtd1の変化幅よりも大きい。このように、第1電極92に加えられる熱負荷が比較的大きい第3区間PCにおいて、直流期間DCの長さtdの変化幅を大きくすることで、放電灯90が劣化した場合に、第1電極92に加えられる熱負荷をより大きくしやすい。そのため、突起552pをより溶融させることができる。また、放電灯90の劣化が比較的大きく進行した場合には、第1電極92に加えられる熱負荷を好適に下げることができ、突起552pの消失をより抑制することができる。
また、表1の例では、第1区間PAにおける第1直流期間DC1の長さtd1は、ランプ電圧Vlaの変化によらず一定である。そのため、第1区間PAと第3区間PCとの間で区間が変化した場合の第1電極92に加えられる熱負荷の差を、ランプ電圧Vlaの変化に応じて、より大きく変化させることができる。すなわち、ランプ電圧Vlaがある程度まで劣化する間においては、第1電極92に加えられる熱負荷の差をより大きくして、第1電極92に加えられる刺激をより大きくできる。これにより、放電灯90が劣化した場合に、突起552pをより溶融させることができる。
また、表1では、第2区間PBにおける第1直流期間DC1の長さtd1は、第3区間PCにおける第1直流期間DC1の長さtd1の変化幅よりも小さい変化幅で変化する。これにより、ランプ電圧Vlaの変化によって、第1区間PAにおける第1直流期間DC1の長さtd1と第3区間PCにおける第1直流期間DC1の長さtd1との差が変化した場合であっても、第2区間PBにおける突起552pの溶融量を、第1区間PAにおける突起552pの溶融量と第3区間PCにおける突起552pの溶融量との中間としやすい。したがって、突起552pの溶融量を徐々に変化させることができる。これにより、ランプ電圧Vlaが変化した場合であっても、第1電極92の本体に強固に根付いた頑丈な突起552pを形成することができ、放電灯90の寿命をより向上できる。
また、制御部40は、ランプ電圧Vlaに基づいて、各区間に含まれる単位期間Uの数を変化させてもよい。この構成では、例えば、制御部40は、ランプ電圧Vlaが第2電圧Vla2よりも小さい場合には、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って直流期間DCの長さtdが比較的大きい区間(第3区間PC)に含まれる単位期間Uの数を多くする。また、制御部40は、ランプ電圧Vlaが第2電圧Vla2以上の場合には、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って直流期間DCの長さtdが比較的大きい区間(第3区間PC)に含まれる単位期間Uの数を少なくする。
この構成によれば、放電灯90が劣化するのに伴って、第1区間PAと第2区間PBと第3区間PCとを合わせた全区間における直流期間DCの割合を大きくすることができる。これにより、放電灯90が劣化した場合に、突起552pの溶融量を向上させることができる。また、この構成によれば、放電灯90の劣化が比較的大きく進行した場合には、第1電極92に加えられる熱負荷を好適に下げることができ、突起552pの消失を抑制することができる。
また、制御部40は、ランプ電圧Vlaが第3電圧Vla3よりも小さい場合には、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って直流期間DCの長さtdが比較的小さい区間(第1区間PA)に含まれる単位期間Uの数を少なくする。また、制御部40は、ランプ電圧Vlaが第3電圧Vla3以上の場合には、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って直流期間DCの長さtdが比較的小さい区間(第1区間PA)に含まれる単位期間Uの数を多くする。
この構成によれば、放電灯90の劣化に伴って、第1区間PAと第2区間PBと第3区間PCとを合わせた全区間における直流期間DCの割合の、最小値と最大値との間の変化幅を大きくできる。そのため、放電灯90がある程度劣化した場合に、第1電極92に加えられる熱負荷による刺激を大きくして突起552pをより成長させることができる。また、放電灯90の劣化が比較的大きく進行した場合には、比較的熱負荷の小さい第1区間PAの単位期間Uの割合が大きくなるため、第1電極92に加えられる熱負荷を好適に小さくでき、突起552pの消失をより抑制することができる。
また、上述した構成では、各単位期間Uに含まれる直流期間DCごとの長さtdを変化させずに、各区間に含まれる単位期間Uの数を変化させることで、各区間全体における直流期間DCの長さtdの合計を変化させる。そのため、単位期間Uの構成を変えずに、ランプ電圧Vlaの変化に応じて、第1電極92に加えられる熱負荷を変化させることができる。これにより、放電灯駆動部230の制御を簡便にできる。
なお、本明細書において、「直流期間の長さが時間的に変化する」とは、各単位期間Uに含まれる直流期間DCの長さtdが時間的に変化することと、各区間における直流期間DCの長さtdの合計が時間的に変化することと、単位期間Uにおける直流期間DCの割合(直流割合Rd)が時間的に変化することと、を含む。また、各単位期間Uに含まれる直流期間DCの長さtdが時間的に変化する場合においては、第1直流期間DC1の長さtd1および第2直流期間DC2の長さtd2のうちのいずれか一方のみが時間的に変化してもよい。
表2にランプ電圧Vlaに応じた各区間の単位期間Uの数の変化の一例を示す。
表2において、第2電圧Vla2は、90Vであり、第3電圧Vla3は、75Vである。表2では、第2区間PBに含まれる単位期間Uの数もランプ電圧Vlaの変化に伴って変化する。表2では、ランプ電圧Vlaが55V以上、65V未満の範囲においては、単位期間Uの数は、第1区間PA、第2区間PB、第3区間PCの順で少なくなる。また、ランプ電圧Vlaが70V以上、100V未満の範囲においては、単位期間Uの数は、第1区間PA、第2区間PB、第3区間PCの順で多くなる。ランプ電圧Vlaが65V以上、70V未満の範囲、および100V以上、130V未満の範囲においては、単位期間Uの数は、各区間において同じである。
表2においては、第1直流期間DC1の平均長さについても示している。第1直流期間DC1の平均長さは、第1区間PAと第2区間PBと第3区間PCとを合わせた区間における第1直流期間DC1の長さtd1の総和を、第1区間PAと第2区間PBと第3区間PCとを合わせた区間に含まれる単位期間Uの総数で割った値である。
表2において、第1直流期間DC1の平均長さは、ランプ電圧Vlaが85V未満の範囲では、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って段階的に大きくなる。第1直流期間DC1の平均長さは、ランプ電圧Vlaが85V以上の範囲では、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って段階的に小さくなる。このように、表2のように各区間に含まれる単位期間Uの数を変化させることで、表1に示した第1直流期間DC1の長さtdを変化させた場合と同等に、第1電極92に加えられる熱負荷を変化させることができる。
また、制御部40は、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って、交流期間ACにおいて放電灯90に供給される交流電流の周波数fを高くしてもよい。この構成によれば、放電灯90が劣化した場合に、放電位置(アーク位置)をより安定させることができ、突起552pが偏平化することを抑制できる。これにより、突起552pを長く成長させやすく、放電灯90の劣化をより抑制することができる。交流期間ACにおける周波数fの変化の一例を表3に示す。
表3の例では、ランプ電圧Vlaが55V以上、80未満の範囲、および80V以上、95V未満の範囲においては、周波数fは、第1交流期間AC1、第3交流期間AC3、第2交流期間AC2の順に高くなる。一方、ランプ電圧Vlaが95V以上、130V未満の範囲においては、周波数fは、第1交流期間AC1、第2交流期間AC2、第3交流期間AC3の順に高くなる。すなわち、表3の例では、ランプ電圧Vlaが大きくなった場合に、第3交流期間AC3の周波数fが、第2交流期間AC2の周波数fよりも大きくなる。これにより、交流期間ACにおける周波数fの変化の仕方が、ランプ電圧Vlaの変化とともに変化し、第1電極92に加えられる熱負荷による刺激をより大きくすることができる。
また、制御部40は、直流期間DCの長さtdが大きいほど、交流期間ACにおいて放電灯90に供給される交流電流の周波数fを低くしてもよい。この構成によれば、第1電極92に加えられる熱負荷が大きい区間ほど、交流期間ACの周波数fを低くすることができる。これにより、第3区間PCでは、直流期間DCに加えて、交流期間ACによって第1電極92に加えられる熱負荷も大きくすることができる。したがって、第3区間PCにおいて、突起552pの溶融量をより向上させることができる。また、第1区間PAでは、交流期間ACの周波数fが高くなることで、より突起552pの形成を促進することができる。以上のように、この構成によれば、突起552pの溶融と形成とをより効果的に行うことができ、突起552pをより太く成長させることができる。これにより、突起552pの形状を安定して維持することができ、結果として放電灯90の寿命をより向上できる。各区間における周波数fの一例を表4に示す。
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態の第1区間PA、第2区間PBおよび第3区間PCの代わりに、図7に示す第1区間(区間)PD、第2区間(区間)PE、第3区間(区間)PFが設けられる。第1区間PDは、複数の第1単位期間(単位期間)U1が連続して構成されている。第1単位期間U1の構成は、第1実施形態の単位期間Uと同様の構成である。第1区間PDの構成は、第1実施形態の第1区間PAと同様の構成である。
本実施形態では、第1実施形態の第1区間PA、第2区間PBおよび第3区間PCの代わりに、図7に示す第1区間(区間)PD、第2区間(区間)PE、第3区間(区間)PFが設けられる。第1区間PDは、複数の第1単位期間(単位期間)U1が連続して構成されている。第1単位期間U1の構成は、第1実施形態の単位期間Uと同様の構成である。第1区間PDの構成は、第1実施形態の第1区間PAと同様の構成である。
図10は、第2区間PEを示す図である。図10において、縦軸は駆動電流Iを示し、横軸は時間Tを示している。図10に示すように、第2区間PEは、複数の第2単位期間(単位期間)U2が連続して構成されている。第2単位期間U2は、交流期間ACと、第1片寄期間BP1と、第2片寄期間BP2と、を有する。図10の例では、第2単位期間U2は、交流期間AC、第1片寄期間BP1、交流期間AC、第2片寄期間BP2がこの順に設けられて構成される。
第1片寄期間BP1は、複数の第1直流期間DC1、および第1反対極性期間CP1を有する。図10の例では、第1直流期間DC1は、第1片寄期間BP1ごとに2つずつ設けられる。
第1反対極性期間CP1は、第1直流期間DC1同士の間に設けられ、第2極性の直流電流が放電灯90に供給される期間である。すなわち、第1反対極性期間CP1では、第1直流期間DC1において放電灯90に供給される直流電流と反対の極性を有する直流電流が放電灯90に供給される。第1反対極性期間CP1の長さtc1は、第1直流期間DC1の長さtd1よりも小さく、かつ、0.5msよりも小さい。図10の例では、第1反対極性期間CP1は、第1片寄期間BP1ごとに1つずつ設けられる。
第2片寄期間BP2は、複数の第2直流期間DC2、および第2反対極性期間CP2を有する。図10の例では、第2直流期間DC2は、第2片寄期間BP2ごとに2つずつ設けられる。本実施形態において第2片寄期間BP2の構成は、極性が反転している点を除いて、第1片寄期間BP1と同様の構成である。
第2反対極性期間CP2は、第2直流期間DC2同士の間に設けられ、第1極性の直流電流が放電灯90に供給される期間である。すなわち、第2反対極性期間CP2では、第2直流期間DC2において放電灯90に供給される直流電流と反対の極性を有する直流電流が放電灯90に供給される。第2反対極性期間CP2の長さtc2は、第2直流期間DC2の長さtd2よりも小さく、かつ、0.5msよりも小さい。図10の例では、第2反対極性期間CP2は、第2片寄期間BP2ごとに1つずつ設けられる。
図11は、第3区間PFを示す図である。図11において、縦軸は駆動電流Iを示し、横軸は時間Tを示している。図11に示すように、第3区間PFは、複数の第3単位期間(単位期間)U3が連続して構成されている。第3単位期間U3は、交流期間ACと、第1片寄期間BP3と、第2片寄期間BP4と、を有する。図11の例では、第3単位期間U3は、交流期間AC、第1片寄期間BP3、交流期間AC、第2片寄期間BP4がこの順に設けられて構成される。
第1片寄期間BP3は、3つの第1直流期間DC1と、2つの第1反対極性期間CP1と、で構成される。第2片寄期間BP4は、3つの第2直流期間DC2と、2つの第2反対極性期間CP2と、で構成される。第3区間PFにおける第1片寄期間BP3の長さtb3は、第2区間PEにおける第1片寄期間BP1の長さtb1よりも大きい。第3区間PFにおける第2片寄期間BP4の長さtb4は、第2区間PEにおける第2片寄期間BP2の長さtb2よりも大きい。これにより、第3単位期間U3の長さtu3は、第2単位期間U2の長さtu2よりも大きい。
本実施形態において、上記の第1実施形態と同様に、第1区間PD、第2区間PE、および第3区間PFは、直流期間DCの長さtd、すなわち各単位期間Uにおける第1直流期間DC1の長さtd1と第2直流期間DC2の長さtd2とを足し合わせた長さが時間的に増減するように設けられる。図7に示されるように、第1区間PD、第2区間PE、第3区間PFの順に直流期間DCの長さtdが増加するように各区間が設けられた後、第2区間PE、第1区間PDの順に直流期間DCの長さtdが減少するように各区間が設けられるようなパターンを周期的に繰り返す。すなわち、制御部40は、直流期間DCの長さtdが時間的に増減を繰り返すように直流期間DCの長さtdを変化させる。従って、突起552pの溶融と形成とを交互に行うことができ、突起552pをより太く成長させることができ、突起552pの形状を安定して維持しやすい。これにより、放電灯90の寿命をより向上できる。
また、例えば、区間内における第1直流期間DC1の長さtd1を所定値以上に大きくすると、第1直流期間DC1において陰極となる第2電極93の温度が低下し過ぎる場合がある。この場合、温度が低下した第2電極93を加熱して溶融させる際に、第2電極93の温度を高くしにくく、第2電極93の突起562pを溶融させにくい場合がある。これにより、第2電極93が変形して、フリッカーおよび黒化が生じやすくなる。また、プロジェクター500の照度が低下する場合がある。これにより、放電灯90の寿命を好適に向上できない場合がある。
これに対して、本実施形態によれば、複数の第1直流期間DC1の間に第1反対極性期間CP1が設けられる。第1反対極性期間CP1においては、第2電極93が陽極となるため、第2電極93が加熱される。これにより、複数の第1直流期間DC1によって直流期間DCの長さtdを大きくして突起552pの溶融量を向上させつつ、第2電極93の温度が低下し過ぎることを抑制できる。したがって、第2電極93の変形を抑制でき、フリッカーおよび黒化の発生、およびプロジェクター500の照度低下を抑制することができる。その結果、本実施形態によれば、放電灯90の寿命をより向上させることができる。これは、第2片寄期間BP2についても同様である。
なお、上記説明においては、第1単位期間U1に含まれる第1直流期間DC1の数を1とし、第2単位期間U2に含まれる第1直流期間DC1の数を2とし、第3単位期間U3に含まれる第1直流期間DC1の数を3としたが、これに限られない。第1単位期間U1から第3単位期間U3において、含まれる第1直流期間DC1の数は、特に限定されず、4つ以上であってもよい。また、例えば、第1単位期間U1において、2つ以上の第1直流期間DC1を設けて片寄期間が設けられる構成としてもよい。
また、制御部40は、ランプ電圧Vlaに基づいて、第1単位期間U1から第3単位期間U3にそれぞれ含まれる第1直流期間DC1の数を変化させてもよい。具体的には、例えば、制御部40は、ランプ電圧Vlaが第4電圧Vla4よりも小さい場合には、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って第2単位期間U2に含まれる第1直流期間DC1の数を多くする。また、制御部40は、ランプ電圧Vlaが第4電圧Vla4以上の場合には、ランプ電圧Vlaが大きくなるのに従って第2単位期間U2に含まれる第1直流期間DC1の数を少なくする。制御部40は、第2直流期間DC2の数についても、第1直流期間DC1と同様に制御する。また、制御部40は、第3単位期間U3についても同様に制御する。
この構成によれば、第1直流期間DC1の数が多くなるほど、直流期間DCの長さtdを大きくできるため、放電灯90が劣化した場合に、突起552pの溶融量を向上させることができる。また、この構成によれば、放電灯90の劣化が比較的大きく進行した場合には、第1電極92に加えられる熱負荷を好適に下げることができ、突起552pの消失を抑制することができる。また、第1直流期間DC1の数が多くなった場合でも、各第1直流期間DC1同士の間に、第1反対極性期間CP1が設けられることで、第2電極93の温度が低下し過ぎることを好適に抑制できる。
各区間の各単位期間に含まれる第1直流期間DC1の数の一例を表5に示す。
表5の例では、第1区間PDにおける第1単位期間U1においては、片寄期間が設けられず、第1実施形態と同様に1つの第1直流期間DC1が設けられる。なお、例えば、第1区間PDおよび第2区間PEにおいて片寄期間が設けられない構成として、第3区間PFのみにおいて片寄期間が設けられる構成としてもよい。
また、第1単位期間U1、第2単位期間U2、および第3単位期間U3において設けられる第1直流期間DC1の長さtd1は、単位期間ごとに異なっていてもよい。
上記説明した各実施形態においては、区間の数は3つとしたが、これに限られず、区間の数は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、交流期間ACに含まれる周波数fが異なる期間は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、交流期間ACにおいては周波数fが変化しなくてもよい。また、第1電圧Vla1、第2電圧Vla2、第3電圧Vla3、および第4電圧Vla4は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
なお、上記実施形態において述べた各構成は、矛盾しない範囲内において、相互に組み合わせることができる。
また、上述の実施形態において、透過型のプロジェクターに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型のプロジェクターにも適用することも可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを意味する。「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味する。なお、光変調装置は、液晶パネル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
また、上述の実施形態において、3つの液晶パネル560R,560G,560B(液晶ライトバルブ330R,330G,330B)を用いたプロジェクター500の例を挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクター、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも適用可能である。
10…放電灯点灯装置(放電灯駆動装置)、40…制御部、90…放電灯、92…第1電極、93…第2電極、200…光源装置、230…放電灯駆動部、330R,330G,330B…液晶ライトバルブ(光変調装置)、350…投射光学系、500…プロジェクター、502,512R,512G,512B…画像信号、AC…交流期間、BP1,BP3…第1片寄期間、BP2,BP4…第2片寄期間、CP1…第1反対極性期間、CP2…第2反対極性期間、DC…直流期間、DC1…第1直流期間、DC2…第2直流期間、f…周波数、I…駆動電流、PA,PD…第1区間(区間)、PB,PE…第2区間(区間)、PC,PF…第3区間(区間)、U…単位期間、U1…第1単位期間(単位期間)、U2…第2単位期間(単位期間)、U3…第3単位期間(単位期間)、Vla…ランプ電圧(電極間電圧)、Vla1…第1電圧、Vla2…第2電圧、Vla3…第3電圧、Vla4…第4電圧
Claims (14)
- 第1電極および第2電極を有する放電灯に駆動電流を供給する放電灯駆動部と、
前記放電灯駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、単位期間を繰り返すように前記放電灯駆動部を制御し、
前記単位期間は、
前記第1電極が陽極となる第1極性の直流電流が前記放電灯に供給される第1直流期間および前記第2電極が陽極となる第2極性の直流電流が前記放電灯に供給される第2直流期間を含む直流期間と、
前記第1直流期間と前記第2直流期間との間に設けられ、交流電流が前記放電灯に供給される交流期間と、
を有し、
前記制御部は、前記直流期間の長さを時間的に変化させることを特徴とする放電灯駆動装置。 - 前記制御部は、前記直流期間の長さが時間的に増減を繰り返すように前記直流期間の長さを変化させる、請求項1に記載の放電灯駆動装置。
- 前記交流期間は、前記放電灯に供給される交流電流の周波数が互いに異なる複数の期間を有する、請求項1または2に記載の放電灯駆動装置。
- 前記放電灯の電極間電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記電極間電圧に基づいて、前記直流期間の長さを変化させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の放電灯駆動装置。 - 前記制御部は、
前記電極間電圧が第1電圧よりも小さい場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さを大きくし、
前記電極間電圧が前記第1電圧以上の場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さを小さくする、請求項4に記載の放電灯駆動装置。 - 前記放電灯の電極間電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記単位期間が繰り返される区間が設けられるように前記放電灯駆動部を制御し、
前記区間は、前記単位期間における前記直流期間の長さが互いに異なる複数の区間を含み、
前記制御部は、
前記電極間電圧が第2電圧よりも小さい場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さが比較的大きい前記区間に含まれる前記単位期間の数を多くし、
前記電極間電圧が前記第2電圧以上の場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さが比較的大きい前記区間に含まれる前記単位期間の数を少なくする、請求項1から5のいずれか一項に記載の放電灯駆動装置。 - 前記制御部は、
前記電極間電圧が第3電圧よりも小さい場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さが比較的小さい前記区間に含まれる前記単位期間の数を少なくし、
前記電極間電圧が前記第3電圧以上の場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記直流期間の長さが比較的小さい前記区間に含まれる前記単位期間の数を多くする、請求項6に記載の放電灯駆動装置。 - 前記放電灯の電極間電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記電極間電圧が大きくなるのに従って、前記交流期間において前記放電灯に供給される交流電流の周波数を高くする、請求項1から7のいずれか一項に記載の放電灯駆動装置。 - 前記制御部は、前記直流期間の長さが大きいほど、前記交流期間において前記放電灯に供給される交流電流の周波数を低くする、請求項1から8のいずれか一項に記載の放電灯駆動装置。
- 前記単位期間は、
複数の前記第1直流期間と、前記第1直流期間同士の間に設けられ、前記第2極性の直流電流が前記放電灯に供給される第1反対極性期間と、を有する第1片寄期間と、
複数の前記第2直流期間と、前記第2直流期間同士の間に設けられ、前記第1極性の直流電流が前記放電灯に供給される第2反対極性期間と、を有する第2片寄期間と、
を有し、
前記第1反対極性期間の長さは、前記第1直流期間の長さよりも小さく、かつ、0.5msよりも小さく、
前記第2反対極性期間の長さは、前記第2直流期間の長さよりも小さく、かつ、0.5msよりも小さい、請求項1から9のいずれか一項に記載の放電灯駆動装置。 - 前記放電灯の電極間電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、
前記制御部は、
前記電極間電圧が第4電圧よりも小さい場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記単位期間に含まれる前記第1直流期間の数を多くし、
前記電極間電圧が前記第4電圧以上の場合には、前記電極間電圧が大きくなるのに従って前記単位期間に含まれる前記第1直流期間の数を少なくする、請求項10に記載の放電灯駆動装置。 - 光を射出する前記放電灯と、
請求項1から11のいずれか一項に記載の放電灯駆動装置と、
を備えることを特徴とする光源装置。 - 請求項12に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学系と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。 - 第1電極および第2電極を有する放電灯に駆動電流を供給して、前記放電灯を駆動する放電灯駆動方法であって、
前記第1電極が陽極となる第1極性の直流電流が前記放電灯に供給される第1直流期間および前記第2電極が陽極となる第2極性の直流電流が前記放電灯に供給される第2直流期間を含む直流期間と、
前記第1直流期間と前記第2直流期間との間に設けられ、交流電流が前記放電灯に供給される交流期間と、
を有する単位期間を繰り返すように前記放電灯に駆動電流を供給し、
前記直流期間の長さを時間的に変化させることを特徴とする放電灯駆動方法。
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