JP2017137838A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】SS制御によって内燃機関を再始動させた直後において負荷率の変化率が大きい加速が内燃機関に要求された場合において、過渡ノック及び加速ヘジテーションの両方を招くことがない内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】点火時期決定手段70が、理論空燃比より小さい閾値空燃比よりも前記計算空燃比が小さく且つ前記吸気同期量が閾値吸気同期量より大きいという特定条件が成立している場合、前記特定条件が成立していない場合に比べて前記遅角補正量の大きさを小さくする遅角制限制御を実行するように構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、スタートアンドストップ制御を実行する内燃機関の制御装置に関する。
スタートアンドストップ制御(以下、「SS制御」と称する。)を実行可能な内燃機関(以下、「SS制御対応内燃機関」と称する場合がある。)を塔載した車両は周知である。SS制御は、車両が所定の機関運転停止条件を満たしたときに内燃機関の運転を自動的に停止し、且つ、車両が所定の機関運転停止解除条件を満たしたときに内燃機関の運転を自動的に再開する制御である。
一方、内燃機関の加速時に過渡的に発生するノッキング(以下、「過渡ノック」と称する。)を回避するために、所定の条件(過渡ノック発生条件)が成立したときに点火時期を遅角させる点火時期制御も知られている。
特許第4276680号明細書
SS制御対応内燃機関では、SS制御によって運転を停止している間は燃料の噴射が停止される。しかし、運転を停止している間もSS制御対応内燃機関は高温状態を維持する。そのため、SS制御によってSS制御対応内燃機関の運転を停止すると、SS制御対応内燃機関の吸気ポートに対する燃料の付着量であるポートウェット量は少なくなる。従って、仮にSS制御によってSS制御対応内燃機関を再始動させたときに「噴射される燃料の量に対する内燃機関に吸入される空気量の比(以下、「計算空燃比」と称する。)」が理論空燃比となるように燃料噴射量を設定していると、吸気ポートに付着する燃料が少ないことに起因して燃焼室内の混合気の実際の空燃比は理論空燃比よりもリーンになる。この場合、アクセルペダルを踏み込むことにより停止状態のSS制御対応内燃機関を再始動させたときに車両の加速が不十分となる所謂加速ヘジテーションが発生し易い。特に燃料が揮発性の低い重質燃料の場合は、吸気ポートにより多くの燃料が付着するので、加速ヘジテーションが発生し易い。そのため、SS制御対応内燃機関をSS制御によって再始動させるとき(以下、「SS再始動時」と称する場合がある。)には、計算空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量が増量されている。以下、SS再始動時において燃料噴射量を増量する制御を、単に、「燃料増量制御」と称する。
ところで吸気ポートに付着した燃料は吸気ポートの熱によって気化し、気化潜熱によって燃焼室内の混合気の温度を低下させる。従って、SS再始動時に燃料噴射量が増量されると、燃料噴射量が増量されない場合に比べて、燃焼温度が低下する。
さらに、一部のSS制御対応内燃機関では、SS再始動時に吸気同期噴射制御が実行される。吸気同期噴射制御は、吸気弁の開弁期間と燃料噴射が行われている期間とをオーバーラップさせるように、燃料噴射時期(噴射開始時期及び噴射終了時期)を調整する制御である。吸気同期噴射制御を実行すると、噴射された燃料の多くの部分が、空気と混ざり合った混合気となる前に吸気ポート及びシリンダの内面に付着するので、その燃料の気化潜熱によりシリンダ壁面の温度が低下する。そのため、吸気同期噴射制御を実行することにより、燃焼温度を一層低くすることができる。
このように燃料増量制御及び吸気同期噴射制御が実行されると燃焼温度が低下するので、過渡ノックが発生し難くなる。しかしながら、従来の制御装置は、燃料増量制御及び吸気同期噴射制御が実行されているか否かに関わらず、過渡ノックが発生することが予測される過渡ノック発生条件が成立した場合、点火時期を基本点火時期(例えば、MBT)から遅角補正量だけ遅角させている。その結果、特に燃料が重質燃料である場合に燃焼が不安定になり、加速ヘジテーションを招き易くなるという問題があった。なお、過渡ノック発生条件は、内燃機関の負荷の変化率が所定変化率以上であり、前記負荷が所定負荷以上であり、且つ、内燃機関の回転速度が所定回転速度以下である場合に成立する条件である。
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の1つは、SS制御によって内燃機関を再始動させた直後において負荷率の変化率が大きい加速が内燃機関に要求された場合において、過渡ノック及び加速ヘジテーションの両方を招くことがない内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の内燃機関の制御装置(70)は、
内燃機関(10)を塔載した車両が所定の機関運転停止条件を満たしたときに前記内燃機関の運転を停止させ、且つ、前記車両が所定の機関運転停止解除条件を満たしたときに前記内燃機関を再始動させるスタートアンドストップ制御を実行するように構成された内燃機関の制御装置(70)であって、
前記スタートアンドストップ制御による前記内燃機関の再始動時に前記内燃機関の吸気ポート(31)内に噴射される燃料の量である燃料噴射量に対する前記内燃機関に吸入される空気の量の比である計算空燃比が理論空燃比よりも小さいリッチ空燃比となるように燃料噴射量を決定し、その後、前記計算空燃比が徐々に理論空燃比に近づくように前記燃料噴射量を変更する(燃料増量制御を実行する)燃料噴射量制御手段(70)と、
前記スタートアンドストップ制御による前記内燃機関の再始動時点から、前記内燃機関の吸気弁が開いている期間と前記燃料が噴射されている期間とのオーバーラップ期間の長さに相当する吸気同期量が一定値を維持するか又は徐々に減少するように、少なくとも燃料噴射時期を変更する(吸気同期噴射制御を実行する)吸気同期制御手段(70)と、
前記燃料噴射量の燃料を前記燃料噴射時期に前記吸気ポート内に噴射する燃料噴射手段(39)と、
前記内燃機関の負荷及び回転速度に基いて基本点火時期を決定するとともに、前記負荷の変化率が所定変化率以上であり、前記負荷が所定負荷以上であり、且つ、前記回転速度が所定回転速度以下である場合、前記基本点火時期を所定の遅角補正量だけ遅角させることにより最終的な点火時期を決定する点火時期決定手段(70)と、
前記点火時期にて点火を実行する点火手段(38)と、
を有する内燃機関の制御装置において、
前記点火時期決定手段が、
理論空燃比より小さい閾値空燃比よりも前記計算空燃比が小さく且つ前記吸気同期量が閾値吸気同期量より大きいという特定条件が成立している場合、前記特定条件が成立していない場合に比べて前記遅角補正量の大きさを小さくする遅角制限制御を実行する(ステップ650)ように構成されている。
本発明の内燃機関の制御装置によるスタートアンドストップ制御(SS制御)によって、内燃機関が再始動後に燃料増量制御及び吸気同期噴射制御を実行すると、実行しない場合と比べて内燃機関の温度が低下する。
そして、前記負荷の変化率が所定変化率以上であり、前記負荷が所定負荷以上であり、且つ、前記回転速度が所定回転速度以下である場合(即ち、過渡ノックが発生しやすい条件が揃っている場合)であっても、燃料増量制御及び吸気同期噴射制御によって内燃機関の温度が(これらの制御を行わない場合と比べて)十分に低温になった場合は、燃料が重質燃料と軽質燃料のいずれであっても、内燃機関が過渡ノックを発生し難くなることが、発明者の実験によって判明した。即ち、このような状況においては、点火プラグの点火時期の遅角補正量を小さくしても、過渡ノックの発生を抑制可能であることが、発明者の実験によって確認された。
さらに、燃料増量制御が行われ且つ点火プラグの点火時期の遅角補正量が小さめに設定されるので、本発明の内燃機関は遅角制御に起因する加速ヘジテーションを抑制可能である。
前記点火時期制御手段が、
前記特定条件が成立している期間において前記遅角補正量をゼロに設定する(ステップ650)ように構成されてもよい。
このように構成すれば、制御装置による点火手段の点火時期制御がよりシンプルになる。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の一実施形態に係る内燃機関及び制御装置の全体図である。 内燃機関が運転停止状態から運転を再始動したときの高負荷状態にある内燃機関のスロットルバルブ開度、回転速度、機関負荷率、燃料増量制御による燃料噴射量、吸気同期噴射制御時の燃料の噴射期間と吸引弁の開弁期間のオーバーラップ量、点火プラグの点火時期、及び点火時期の遅角補正量の経時変化を表したグラフである。 内燃機関が運転中であるか否かを判定するための処理を示すフローチャートである。 SS制御によって内燃機関の運転が停止させられている状態であるか否かを判定するための処理を示すフローチャートである。 SS制御によって内燃機関を再始動させたときの燃料噴射制御の処理を示すフローチャートである。 SS制御によって内燃機関を再始動させたときの点火時期制御の処理を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置(以下、「本制御装置」と称する。)について説明する。
<構成>
図1は本制御装置が適用される多気筒(例えば4気筒)内燃機関10及び制御装置の概略構成を示している。なお、図1は、ある気筒の断面のみを示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。この内燃機関は、図示しない車両の駆動源としてその車両に搭載されている。
この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、吸気系統40と、排気系統50と、を備えている。吸気系統40は、シリンダブロック部20に燃料(例えばガソリン)と空気とからなる混合気を供給する。排気系統50は、シリンダブロック部20からの排ガスを外部に放出する。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23及びクランク軸24を備えている。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これによりクランク軸24が回転する。シリンダ21、ピストン22のヘッド及びシリンダヘッド部30によって囲まれた空間は燃焼室25を形成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した2つの吸気ポート31(図1では一つのみ図示)、各吸気ポート31をそれぞれ開閉する2つの吸気弁32(図1では一つのみ図示)、及び各吸気弁32をそれらの開弁期間を調整しながら駆動するインテークカムシャフト33を備えている。さらにシリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した2つの排気ポート34(図1では一つのみ図示)、及び各排気ポート34をそれぞれ開閉する2つの排気弁35(図1では一つのみ図示)を備えている。さらにシリンダヘッド部30は、各排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフト36、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグナイタ38、及び吸気ポート31内に設けられたインジェクタ39、を備えている。
吸気系統40は、吸気ポート31の上流側端部に連通したインテークマニホールド41、インテークマニホールド41に連通したサージタンク42、サージタンク42に一端が接続された吸気ダクト43、スロットル弁46及びスロットル弁アクチュエータ46a、を備えている。インテークマニホールド41、サージタンク42及び吸気ダクト43は、内燃機関10の外部から取り込んだ空気を気筒内に導入する吸気通路を形成している。
排気系統50は、各排気ポート34に連通し且つ各排気ポート34とともに排気通路を形成するエキゾーストマニホールドを含む排気管51と、排気管51に配設された三元触媒装置52と、を備えている。
本制御装置は、クランクポジションセンサ63、車輪速センサ65、アクセル開度センサ66、ブレーキ開度センサ68及び電気制御装置70、を備えている。
クランクポジションセンサ63は、クランク軸24が所定角度だけ回転する毎に信号を出力する。この信号は、クランク軸24の1分当たりの回転数を表す内燃機関10の回転速度NEを取得するために使用される。
車輪速センサ65は、車両の各車輪の回転速度を表す信号を出力する。各車輪の回転速度の平均値に基いて車速SPDが取得される。
アクセル開度センサ66は、運転者によって操作されるアクセルペダル67の操作量APを検出し、操作量APを表す信号を出力する。
ブレーキ開度センサ68は、運転者によって操作されるブレーキペダル69の操作量BPを検出し、操作量BPを表す信号を出力する。
電気制御装置70(以下、ECU70と称する)は、互いにバスにより接続されたCPU71、ROM72、RAM73、バックアップRAM74及びインターフェース75等を有するマイクロコンピュータである。ROM72には、CPU71が実行するプログラム、ルックアップテーブル(マップ)、定数等のデータを保持するようにそれらのデータが予め記憶されている。RAM73は、CPU71の指示に応じてデータを一時的に保持する。バックアップRAM74は、内燃機関10が運転状態にあるときのみならず運転状態にないときもデータを保持する。インターフェース75は、ADコンバータを含んでいる。
インターフェース75は、イグニッションスイッチ60、クランクポジションセンサ63、輪速センサ65、アクセル開度センサ66及びブレーキ開度センサ68と接続されている。イグニッションスイッチ60、クランクポジションセンサ63、車輪速センサ65、アクセル開度センサ66及びブレーキ開度センサ68の出力信号はCPU71に対して送信される。さらにインターフェース75は、CPU71の指示に応じて、インテークカムシャフト33、エキゾーストカムシャフト36、イグナイタ38、インジェクタ39、及びスロットル弁アクチュエータ46aに駆動信号(指示信号)を送出する。なお、周知のようにイグニッションスイッチ60は、図示を省略したキーの操作によってOFF位置、ON位置及びアクセサリー位置の何れかに切換えることが可能である。
<作動の概要>
続いて図2を参照しながらECU70のCPU71(以下、「CPU」と称する。)の作動の概要について説明する。
CPUは、イグニッションスイッチ60の操作に基づいて内燃機関10(以下、機関10と称する)の運転を開始した後、SS制御(スタートアンドストップ制御)を実行する。即ち、CPUは、車両が所定の機関運転停止条件(以下、「停止条件」と称する。)を満たしたときに機関10(機関10の運転)を自動的に停止させる。
停止条件は例えば以下の総ての条件が成立したときに成立する。但し、停止条件はこれに限定されない。
(条件1)車速SPDが第1車速閾値SPDHith以下である。
(条件2)ブレーキペダル69の操作量BPが「0」から「0より大きい値」へと変化した。即ち、ブレーキペダル69が操作され、車両が制動中である。
(条件3)アクセルペダル67の操作量APが「0」である。即ち、アクセルペダル67が操作されておらず、加速要求がない。
さらにCPUは、機関10が停止している場合に所定の機関運転停止解除条件(以下、「解除条件」と称する。)が成立したときに上記キーによるイグニッションスイッチ60の操作に基づかずに機関10を自動的に再始動させる。即ち、停止状態にあった図示しないスタータが作動状態に変更され、そのためクランク軸24が回転し、これに伴ってピストン22がシリンダ21内を上下動する。さらに吸気弁32及び排気弁35が開閉動作を開始する。
解除条件は例えば以下の条件の何れか一つが成立したときに成立する。但し、解除条件はこれに限定されない。
(条件4)ブレーキペダル69の操作量BPが「0」である。即ち、ブレーキペダル69が操作されておらず、車両が制動中でない。
(条件5)アクセルペダル67の操作量APが「0」から「0より大きい値」へと変化した。即ち、アクセルペダル67が操作され、加速要求が発生した。
図2のグラフ(a)乃至(g)は、SS制御によって再始動された機関10が再始動直後に高負荷状態となったときの機関10の種々の状態量を示している。(a)乃至(g)の各横軸(t)は時間を表している。この例では、時刻t0においてドライバーによってアクセルペダル67が踏み込まれ、それにより解除条件が成立して機関10が再始動される。そして、時刻t1は、機関10の回転速度NE(以下、「機関回転速度NE」と称する。)がゼロより大きい所定速度(始動判定速度)NEst以上となった時刻である。即ち、時刻t1は、解除条件が成立することにより機関10が再始動されて始動に成功した時刻である。
図2(a)に示すように、ドライバーによってアクセルペダル67が踏み込まれると、CPUからの指令によって開閉するスロットル弁46の開度がゼロ(0)から上昇する。なお、この例では時刻t0付近でアクセルペダル67が踏み込まれ、時刻t5においてアクセルペダル67の踏み込みが終了する。スロットル弁46の開度が大きくなると、これに伴って機関10に設けられたエアフローメータ(図示略)によって検出される吸入空気流量Gaの値も上昇する。
時刻t0以降においてスロットル弁46の開度が相当に大きい値に設定されるため、機関回転速度NEが急上昇する。時刻t5においてアクセルペダル67の踏み込みが終了すると機関回転速度NEは急激に低下し、その後は次にアクセルペダル67が踏み込まれるまで回転速度NEは目標アイドル回転速度に近い大きさとなる。
図2(c)に示すように、機関の負荷を示す負荷率KLは時刻t0以降において時刻t3まで上昇し続け、その後、略一定値になる。なお、負荷率KLは下記(1)式により算出される値である。下式において、Mcは筒内吸入空気量であり、ρは空気密度(単位は(g/l))、Lは機関10の排気量(単位は(l))、「4」は機関10の気筒数である。筒内吸入空気量Mcは、吸入空気量Ga及び機関回転速度NEと、筒内吸入空気量マップ(ルックアップテーブル)とから推定される。

KL=(Mc/(ρ・L/4))・100% …(1)
この例では、時刻t1と時刻t3との間の時点にて、機関10はその負荷率KLが所定負荷率KLthより高い高負荷状態となる。このように時刻t1と時刻t3との間は、負荷率KLの変化率(単位時間当たりの負荷率KLの変化量)が大きくなることによって、負荷率KLが増大する。しかもこの期間(時刻t1の直後)において機関10が高負荷状態となる。従って、特別な対策を採らない場合は、時刻t1の直後から時刻t3の間の期間において過渡ノックが発生し易い。
即ち、
(条件A)負荷(負荷率KL)の変化率(単位時間あたりの変化量)が所定変化率以上であり、
(条件B)負荷(負荷率KL)が所定負荷(所定負荷率KLth)以上であり、且つ、
(条件C)機関回転速度NEが所定回転速度以下である、
場合、過渡ノックが発生し易い。以下、これらの条件が総て成立する場合、「過渡ノック発生条件」が成立すると表現する。
時刻t5においてアクセルペダル67の踏み込みが終了すると負荷率KLは急激に低下する。即ち、時刻t5から所定時間が経過すると、機関10は負荷率KLが所定値以下の低負荷状態となり、時刻t6以降においては次にアクセルペダル67が踏み込まれるまで負荷率KLはほぼ一定値を維持する。
このように時刻t3から時刻t5までの期間及び時刻t6以降の期間は、機関10の負荷率KLの変化率が小さい。また、時刻t5から時刻t6の間の期間において負荷率KLの変化率が大きくなるものの、このとき負荷率KLは減少している。従って、時刻t3より後の期間は、時刻t1から時刻t3の間と比べて過渡ノックが発生し難い。
さらに解除条件が成立したときに、CPUはインジェクタ39を用いて燃料噴射動作を開始する。図2(d)の縦軸はインジェクタ39が噴射する燃料の増量値αを示している。増量値αは「1」以上の値であり、前述した計算空燃比が理論空燃比stoichに一致するために必要とされる基本燃料噴射量Fbに乗算される。即ち、最終的な燃料噴射量Fiは、下記(2)式により算出される。基本燃料噴射量Fbは、筒内吸入空気量Mc及び機関回転速度NEを基本燃料噴射量マップ(ルックアップテーブル)に適用することにより算出される。

Fi=Fb・α …(2)
いま、筒内吸入空気量がMcであるとすると、計算空燃比はMc/(Fb・α)となるので、下記の(3)式が成立する。従って、増量値αが「1」より大きい範囲において大きくなるほど、計算空燃比は理論空燃比stoichに対してよりリッチ(小さい値)になる。

Mc/(Fb・α)=(Mc/Fb)・(1/α)=stoich/α …(3)
図2(d)に示すように、増量値αは時刻t1において「1」より大きい初期値α0に設定され、その後、時間(燃焼サイクルの回数)とともに減衰し、時刻t7にて「0」に達する。即ち、CPUは時刻t1から時刻t7に渡って燃料増量制御を実行する。従って、時刻t1から時刻t7まで、計算空燃比は理論空燃比よりもリッチな空燃比となる。時刻t7において増量値αは「0」になるので、計算空燃比は理論空燃比に一致する。
なお、CPUは、増量値の初期値α0を、時刻t1における機関10の運転状態(例えば、回転速度NE、負荷率KL及び図示を省略した水温センサによって検出される機関10の冷却水の温度)と増量マップ(ルックアップテーブル)とを用いて算出する。そして、CPUは、時刻t1以降においてクランク角が720°回転する毎に一定量ずつ増量値を減少させる。
図2(e)は、インジェクタ39の燃料噴射期間(インジェクタ39の開弁タイミングから閉弁タイミングまでの期間)と吸気弁32の開弁期間(吸気弁32の開弁タイミングから閉弁タイミングまでの期間)との関係を示している。機関10が運転している間、CPUは各気筒の1回の燃焼サイクルに対して1回の燃料噴射を行う。ある燃焼サイクルにおいて燃料噴射期間と吸気弁32の開弁期間とがオーバーラップしている場合、グラフは横軸より下方に位置する。そして両者のオーバーラップ量が長くなる程、グラフは横軸から下方へ大きく離れる。グラフが横軸より下方に位置するときの吸気弁32及びインジェクタ39の動作制御は吸気同期噴射制御と呼ばれる。さらに、燃料噴射期間と吸気弁32の開弁期間とのオーバーラップ量は、便宜上、「吸気同期量」とも称される。
ある燃焼サイクルにおいて燃料噴射期間と吸気弁32の開弁期間とが互いにオーバーラップしていない場合(即ち、吸気弁32の開弁開始時刻よりも先にインジェクタ39が燃料噴射動作を終了する場合)、グラフは横軸より上方に位置する。そして両者の乖離期間が長くなる程、グラフは横軸から上方へ大きく離れる。グラフが横軸より上方に位置するときの吸気弁32及びインジェクタ39の動作制御は吸気非同期噴射制御と呼ばれる。
ある燃焼サイクルにおいて燃料噴射終了時刻と吸気弁32の開弁開始時刻が一致しているとき、グラフは横軸上に位置する。
図示するように、CPUは、時刻t1から時刻t7に渡って吸気同期噴射制御を実行する。具体的には、CPUは、時刻t1から時刻t4までのオーバーラップ量(吸気同期量)を一定に維持し、時刻t4を経過すると時刻t7までオーバーラップ量を徐々に減少させ、時刻t7において吸気同期噴射制御を終了する。
さらに解除条件が成立すると、CPUは点火プラグ37による点火動作を開始する。図2(f)の縦軸は点火時期を示している。この例では時刻t0とほぼ同時に点火動作を開始する。
CPUは、停止解除条件が成立した時点(時刻t0)から機関回転速度NEが始動判定速度NEstに到達する時点(時刻t1)まで、点火時期を冷却水温に応じた値に固定する始動時点火時期制御を実行する。その後、CPUは、下記(4)式に基いて点火時期Aを計算する。なお、点火時期Aは、圧縮上死点を基準にして定められ、点火時期Aが圧縮上死点から進角側に離れるほど大きい値として算出される。

A=Ab+Ak …(4)
(4)式において、Abは基本点火時期である。CPUは、負荷率KL及び機関回転速度NEを基本点火時期マップ(ルックアップテーブル)に適用することにより基本点火時期Abを決定する。一般に、基本点火時期はMBTに設定されている。(4)式において、Akは過渡ノックを回避又は抑制するための遅角補正量である。CPUは、上述した過渡ノック発生条件が成立したとき(即ち、時刻t1の直後)、遅角補正量Akに初期値Ak0を設定し、その後、燃焼サイクルの回数に応じて一定量ずつ減衰させる。CPUは、負荷率KL及び負荷率KLの変化率を遅角補正量マップ(ルックアップテーブル)に適用することにより、初期値Ak0を算出する。なお、遅角補正量Akは負の値(基本点火時期Abを遅角させる値)として規定される。
図2(f)の実線は算出された基本点火時期Abを表している。図2(f)のグラフは縦軸に対して大きくなるほど(上方に向かうほど)より進角したクランク角であることを示す。図2(g)は遅角補正量Akを表している。この図2(g)では、時刻t1において遅角補正量Akの大きさが最大(即ち、初期値Ak0の大きさ)となる。そして燃焼サイクルが更新される毎に一定量ずつ遅角補正量Akは小さくなり、時刻t3(の燃焼サイクル)において遅角補正量Akはゼロとなっている。
従来の制御装置は、SS制御による再始動後においても(4)式に基いて計算される点火時期にて点火を実行している。従って、時刻t1から時刻t3における点火時期は図2(f)の二点鎖線L1に示したように推移する。
しかし、図2(d)及び(e)に示されているように、CPUは、SS制御による再始動後において燃料増量制御及び吸気同期噴射制御を実行する。燃料増量制御及び吸気同期噴射制御は、前述したように、何れも噴射した燃料の気化潜熱により燃焼温度を低下させる。
加えて、図2(d)から明らかなように、時刻t1と時刻t3との間の増量値αは時刻t3の直後から時刻t7までの間の増量値αと比べて大きい。さらに、図2(e)から明らかなように、時刻t1と時刻t3との間の吸気同期量(燃料噴射期間と吸気弁開弁期間とのオーバーラップ量)は、時刻t4以降における吸気同期量と比べて大きい。
従って、時刻t1と時刻t3との間においては、燃料が揮発性の低い重質燃料と揮発性の高い軽質燃料のいずれであっても、点火時期を大きく遅角しなくても過渡ノックが発生しない程度に燃焼温度が十分に低くなる。
さらに、燃料増量制御がなされているから、仮に、燃料が重質燃料であったとしても、燃焼室内の混合気の空燃比がリーンになりすぎることがないので、加速ヘジテーションは発生し難い。なお、当然のことながら、燃料が軽質燃料であるときは、加速ヘジテーションは発生し難い。
そこで、本制御装置のCPUは、SS制御による機関10の再始動後において、上記過渡ノック発生条件が成立したとしても、以下の条件の総てが成立している場合(即ち、「特定条件」が成立している場合)、基本点火時期Abを遅角補正量Akにより遅角しない。その結果、時刻t1から時刻t3における点火時期は図2(f)の実線L2に示したように推移する。
特定条件は、以下の両方の条件が共に成立するとき成立する条件である。
(条件Y)計算空燃比が、理論空燃比より小さい閾値空燃比よりもリッチである(閾値空燃比より小さい)。
(条件Z)吸気同期量(燃料噴射期間と吸気弁開弁期間とのオーバーラップ量)が閾値吸気同期量より大きい。
さらに、SS制御を実行する内燃機関では、SS制御による運転停止期間中も吸気ポート31は相応の高温状態となる。そのため、運転停止期間中に吸気ポート31の(燃料の)ポートウェット量は少なくなる。そのためSS制御を実行する内燃機関では、一般的に燃料増量制御が実行される。換言すると、内燃機関がSS制御を実行する場合は、事実上、燃料増量制御を実行する必要がある。
さらに内燃機関10では、SS制御中の時刻t0から時刻t1の間を除いた期間において、点火プラグ37の点火時期を圧縮上死点に対して僅かに遅角させるか又は進角させている。そのため、燃料が重質燃料の場合であっても、燃料を極度に多く増量することなく加速ヘジテーションの発生を防止できる。従って、燃料が重質燃料の場合も軽質燃料の場合も、燃料増量制御において極度に多量の燃料を噴射する必要はない。
そのため本実施形態の内燃機関10にとっては、燃料増量制御に起因する燃料の増量は、燃費を不必要に悪化させるものではない。
<具体的作動>
続いて、CPUの具体的作動について図3乃至図6のフローチャートを参照しながら説明する。CPUは、イグニッションスイッチ60がOFF位置からON位置に切り替えられてドライバーによる機関10の始動が完了すると、これらのフローチャートにより示されたルーチンを繰り返し実行するようになっている。
所定時間が経過する毎にCPUは図3のステップ300から処理を開始してステップ310に進み、機関10が運転中であるか否かを、自動停止フラグXの値が「0」であるか否かを判定することにより判定する。自動停止フラグXはSS制御によって機関10が自動停止されている場合に「1」に設定される(後述のステップ350を参照。)。
自動停止フラグXの値が「0」である場合(即ち、機関10が運転中である場合)、CPUはステップ310にて「Yes」と判定してステップ320に進み、SS制御開始条件が成立しているか否かを判定する。例えば、図示を省略した水温センサによって検出された機関10の冷却水の温度が所定温度以上であるとの条件がSS制御開始条件として設定される。
SS制御開始条件が成立している場合、CPUはステップ320にて「Yes」と判定してステップ330に進み、上述した停止条件が成立しているか否かを判定する。停止条件が成立している場合、CPUはステップ330にて「Yes」と判定してステップ340に進み、機関10の運転を自動的に停止する。即ち、CPUはイグナイタ38とインジェクタ39への指示信号の送信を停止することにより、点火プラグ37による点火動作及びインジェクタ39による燃料噴射動作を停止させる。換言すると、CPUは上記キーの操作に基づかずに機関10の運転を自動的に停止させる。次に、CPUはステップ350に進み、自動停止フラグXの値を「1」に設定し、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、CPUは、ステップ310、ステップ320及びステップ330の何れかのステップにて「No」と判定した場合、各ステップからステップ395に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
さらに、所定のタイミングになると、CPUは図4のステップ400から処理を開始してステップ410に進み、自動停止フラグXの値が「1」であるか否かを判定する。即ち、CPUは、SS制御によって機関10の運転が停止させられている状態であるか否かを判定する。
自動停止フラグXの値が「1」であると、CPUはステップ410にて「Yes」と判定してステップ420に進み、上述した解除条件が成立しているか否かを判定する。解除条件が成立している場合、CPUはステップ420にて「Yes」と判定してステップ430に進み、自動停止フラグXの値を「0」に設定する。以上のように、自動停止フラグXの値が「0」と「1」との間で切り替えられる。なお、CPUは、ステップ410及びステップ420の何れかのステップにて「No」と判定した場合、各ステップからステップ495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
ところで、CPUは、1燃焼サイクルが経過する毎(720°クランク角が経過する毎)に図5のステップ500から処理を開始してステップ505に進み、自動停止フラグXの値が「0」であるか否かを判定する。自動停止フラグXの値が「0」でない場合、CPUはステップ505からステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、自動停止フラグXの値が「0」である場合、CPUはステップ505にて「Yes」と判定してステップ510に進み、機関回転速度NEが始動判定速度NEst以上であるか否かを判定することにより機関10の始動(SS制御による再始動)が完了しているか否かを判定する。このとき、機関10の始動が完了していなければ、CPUはステップ510にて「No」と判定してステップ520に進み、始動時燃料噴射量制御を実行する。具体的には、CPUは冷却水の温度に基いて決定される量の燃料を、予め定められた燃料噴射時期にて噴射する。その後、CPUは本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUがステップ510の処理を実行する時点において、機関10の始動が完了していると、CPUはステップ510にて「Yes」と判定してステップ515に進み、現時点が始動完了直後の時点であるか否かを判定する。そして、現時点が始動完了直後の時点であるとCPUはステップ515にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ525乃至ステップ550の処理を順に行い、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ525:CPUは、冷却水の温度と増量マップとに基いて燃料増量値の初期値α0を決定し、増量値αをその初期値α0に設定する。
ステップ530:CPUは、冷却水の温度と吸気同期量初期値マップとに基いて吸気同期量の初期値Kd0を決定し、吸気同期量Kdをその初期値Kd0に設定する。
ステップ535:CPUは、筒内吸入空気量Mc及び機関回転速度NEを基本燃料噴射量マップMapFb(Mc,NE)に適用することにより基本燃料噴射量Fbを算出する。
ステップ540:CPUは、上記(2)式に従って、燃料噴射量Fiを算出する。
ステップ545:CPUは、燃料噴射量Fi、吸気同期量Kd及び機関回転速度NEと、それらと燃料噴射開始時期との関係を定めた噴射開始時期マップfと、に基いて燃料噴射開始時期Tstを決定する。
ステップ550:CPUは、燃料噴射開始時期Tstから燃料噴射量Fiの燃料をインジェクタ39から噴射させるための処理を行う。
CPUがステップ515の処理を実行する時点において、始動完了直後でなければ、CPUはステップ515にて「No」と判定し、以下に述べるステップ555乃至ステップ565の処理を順に行うことにより増量値α及び吸気同期量Kdを求め、その後、上述したステップ535乃至ステップ550の処理を行う。
ステップ555:CPUは増量値αの値を一定値dαだけ減少させる。
ステップ560:CPUは増量値αの値を「1」以上に制限する。即ち、ステップ555の処理の結果、増量値αが「1」未満であると、CPUは増量値を「1」に設定する。
ステップ565:CPUは、始動完了直後から所定回数の燃焼サイクルが経過するまで、吸気同期量Kdを初期値Kd0に維持し、その後、1燃焼サイクルが経過する毎に一定量dkだけ減少させる。CPUは、吸気同期量Kdが「0」以下になると、機関10の運転状態情報(例えば、回転速度NE、負荷率KL及び機関10の冷却水の温度)とROM72に記憶させてある吸気非同期量マップ(ルックアップテーブル)とを用いて吸気非同期量を別途算出する。
さらに、1燃焼サイクルが経過する毎(720°クランク角が経過する毎)にCPUは図6のステップ600から処理を開始してステップ605に進み、自動停止フラグXの値が「0」であるか否かを判定する。自動停止フラグXの値が「1」であると、CPUはステップ605にて「No」と判定し、ステップ695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、自動停止フラグXの値が「0」であると、CPUはステップ605にて「Yes」と判定してステップ610に進み、始動が完了しているか否か(機関回転速度NEが始動判定速度NEst以上であるか否か)を判定する。始動が完了していない場合、CPUはステップ610にて「No」と判定してステップ615に進み、周知の始動時点火時期制御を実行する。即ち、CPUは、点火時期を一定の始動時点火時期に設定する。その後、CPUはステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
CPUがステップ610の処理を実行する時点において始動が完了していると、CPUはステップ610にて「Yes」と判定してステップ620に進み、現時点が「上述した過渡ノック発生条件(条件A、B及びCの総て)が成立した直後」であるか否かを判定する。現時点が過渡ノック発生条件成立直後であると、CPUはステップ620にて「Yes」と判定してステップ625に進み、初期値Ak0を上述のように算出し、遅角補正量Akをその初期値Ak0に設定する。なお、初期値Ak0は負の値である。その後、CPUはステップ640に進む。
これに対し、現時点が過渡ノック発生条件成立直後でない場合、CPUはステップ620にて「No」と判定してステップ630に進み、遅角補正量Akを正の一定量dakだけ増大させる。これにより、遅角補正量Akの大きさ(絶対値)は、一定量dakだけ小さくなる。次いで、CPUはステップ635に進み、遅角補正量Akを「0」以下に制限する。即ち、ステップ630の処理の結果、遅角補正量Akが「0」よりも大きいと、CPUは遅角補正量Akを「0」に設定する。従って、過渡ノック発生条件が成立してから十分な時間が経過すると、遅角補正量Akは「0」になる。その後、CPUはステップ640に進む。
CPUは、ステップ640に進むと、燃料噴射量の増量値αが閾値αthより大きいか否かを判定する。換言すると、CPUはステップ640にて、計算空燃比(=理論空燃比stoich/α)が閾値空燃比(=理論空燃比stoich/αth)よりもリッチである(小さい)か否かを判定する。
燃料噴射量の増量値αが閾値αthより大きいと、CPUはステップ640にて「Yes」と判定してステップ645に進み、吸気同期量Kdが閾値吸気同期量Kdthより大きいか否かを判定する。即ち、CPUはステップ640及びステップ645の処理により、上述した特定条件(条件Y及びZの両方)が成立しているか否かを判定している。
吸気同期量Kdが閾値吸気同期量Kdthより大きい場合、特定条件が成立しているので、CPUはステップ645にて「Yes」と判定してステップ650に進み、遅角補正量Akの値を「0」に設定する。従って、特定条件が成立している場合、遅角補正量Akによる点火時期の遅角は禁止される。その後、CPUは以下に述べるステップ655乃至ステップ665の処理を順に行い、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ655:CPUは、負荷率KL及び機関回転速度NEを基本点火時期マップMapAb(KL,NE)に適用することにより基本点火時期Abを決定する。
ステップ660:CPUは、基本点火時期Abを遅角補正量Akの大きさだけ遅角させて、最終的な点火時期Aを決定する。
ステップ665:CPUは、圧縮行程にある点火プラグ37により点火時期Aにて点火が行われるように、点火処理を行う。
一方、CPUは、ステップ640にて「No」と判定した場合、ステップ655に直接進む。同様に、CPUは、ステップ645にて「No」と判定した場合、ステップ655に直接進む。従って、この場合、遅角補正量Akが「0」でなければ、遅角補正量Akだけ点火時期が遅角される。
以上、本発明を上記各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、図2の時刻t1と時刻t3との間において内燃機関10が過渡ノック発生条件を満たすときに、CPUが(ステップ650において)遅角補正量Akに1より小さい係数を掛け、この係数を掛けた値及び基本点火時期Abに基づいて点火プラグ37の点火時期を制御してもよい。
このように内燃機関10を制御した場合も、燃料の揮発性の良し悪しに拘らず、時刻t1と時刻t3との間において内燃機関10が過渡ノック及び加速ヘジテーションを発生するおそれを小さくすることが可能である。
内燃機関10が過渡ノック発生条件を満たす場合の遅角補正量Akをゼロに修正したり、又は、遅角補正量Akに1より小さい係数を掛けたりする期間は、負荷(負荷率KL)の変化率、負荷(負荷率KL)の大きさ、及び機関回転速度NEの大きさに基づいて決定すべきである。
従って、負荷(負荷率KL)の変化率、負荷(負荷率KL)の大きさ、及び機関回転速度NEの大きさが上記実施形態と異なる場合は、時刻t1と時刻t3との間の期間とは完全には一致しない期間において、遅角補正量Akをゼロに修正したり、又は、遅角補正量Akに1より小さい係数を掛けたりしてもよい。
10・・・内燃機関、31・・・吸気ポート、32・・・吸気弁、38・・・イグナイタ、37・・・点火プラグ、39・・・インジェクタ、64・・・ノックセンサ、70・・・電気制御装置(制御装置)、71・・・CPU。

Claims (2)

  1. 内燃機関を塔載した車両が所定の機関運転停止条件を満たしたときに前記内燃機関の運転を停止させ、且つ、前記車両が所定の機関運転停止解除条件を満たしたときに前記内燃機関を再始動させるスタートアンドストップ制御を実行するように構成された内燃機関の制御装置であって、
    前記スタートアンドストップ制御による前記内燃機関の再始動時に前記内燃機関の吸気ポート内に噴射される燃料の量である燃料噴射量に対する前記内燃機関に吸入される空気の量の比である計算空燃比が理論空燃比よりも小さいリッチ空燃比となるように燃料噴射量を決定し、その後、前記計算空燃比が徐々に理論空燃比に近づくように前記燃料噴射量を変更する燃料噴射量制御手段と、
    前記スタートアンドストップ制御による前記内燃機関の再始動時点から、前記内燃機関の吸気弁が開いている期間と前記燃料が噴射されている期間とのオーバーラップ期間の長さに相当する吸気同期量が一定値を維持するか又は徐々に減少するように、少なくとも燃料噴射時期を変更する吸気同期制御手段と、
    前記燃料噴射量の燃料を前記燃料噴射時期に前記吸気ポート内に噴射する燃料噴射手段と、
    前記内燃機関の負荷及び回転速度に基いて基本点火時期を決定するとともに、前記負荷の変化率が所定変化率以上であり、前記負荷が所定負荷以上であり、且つ、前記回転速度が所定回転速度以下である場合、前記基本点火時期を所定の遅角補正量だけ遅角させることにより最終的な点火時期を決定する点火時期決定手段と、
    前記点火時期にて点火を実行する点火手段と、
    を有する内燃機関の制御装置において、
    前記点火時期決定手段が、
    理論空燃比より小さい閾値空燃比よりも前記計算空燃比が小さく且つ前記吸気同期量が閾値吸気同期量より大きいという特定条件が成立している場合、前記特定条件が成立していない場合に比べて前記遅角補正量の大きさを小さくする遅角制限制御を実行するように構成された、
    内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記点火時期制御手段が、
    前記特定条件が成立している期間において前記遅角補正量をゼロに設定するように構成された、
    内燃機関の制御装置。

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