上記の制御装置では、エンジンの運転状態が前記特定運転領域にあるときのノッキングの抑制及び出力トルクの向上を図ることが可能であるものの、燃料噴射をエンジンの回転速度に応じて制御しているため、排気特性が悪化するおそれがある。例えば、エンジンの始動後、暖機が完了する前において、エンジンの回転速度が第1回転域のときに圧縮行程中に燃料噴射が実行されると、その燃料がピストンの頂面や気筒の内面に付着することがある。それらの頂面や内面(以下、これらを併せて適宜、「壁面」という)に付着した燃料は、気化が不十分となることで、局所的に濃度の高い混合気が形成され、その結果、気筒内の燃焼の際にPM(Particulate Matter)及びPN(Particulate Number)が増大することで、排気特性が悪化することがある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、ノッキングの抑制及び出力トルクの向上を確保しながら、良好な排気特性を得ることができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、1燃焼サイクル中の吸気行程及び/又は圧縮行程において燃料噴射弁5から燃料を気筒3a内に直接、噴射する内燃機関3の燃料噴射制御装置1であって、内燃機関の温度を表す機関温度パラメータ(実施形態における(以下、本項において同じ)エンジン水温TW)を検出する機関温度パラメータ検出手段(水温センサ12)と、検出された機関温度パラメータが第1所定値(第1所定温度TWREF1)以上でかつ第2所定値(第2所定温度TWREF2)未満のときに内燃機関を冷間状態と判定し、機関温度パラメータが第2所定値以上でかつ第3所定値(第3所定温度TWREF3)未満のときに内燃機関を完暖状態と判定する機関温度状態判定手段(ECU2)と、内燃機関が圧縮行程において燃料噴射を実行可能な運転領域であって、かつ内燃機関の回転数(エンジン回転数NE)に応じた要求トルクTRQCMDの上限を表すトルク上限ラインLと、トルク上限ラインの下側において内燃機関の回転数が大きいほど要求トルクが小さくなるように設定された所定の境界ライン(第3境界ラインL3)との間に囲まれた運転領域である所定運転領域(運転領域R)にあるか否かを判定する運転領域判定手段(ECU2)と、燃料噴射弁から噴射する燃料の噴射回数及び/又は噴射量を表す噴射パラメータ、並びに燃料の噴射時期を制御する噴射制御手段(ECU2)と、を備え、噴射制御手段は、内燃機関が冷間状態でかつ所定運転領域にあると判定されたときに、内燃機関が完暖状態でかつ所定運転領域にあるときに比べて、圧縮行程における噴射パラメータの値を低減し、内燃機関が完暖状態でかつ所定運転領域にあると判定されたときに、所定運転領域の全体にわたり、内燃機関の要求トルクに応じ、要求トルクが大きいほど、吸気行程に対する圧縮行程の噴射パラメータの値を増加させることを特徴とする。
この構成によれば、内燃機関の温度を表す機関温度パラメータが検出され、その機関温度パラメータが第1所定値以上でかつ第2所定値未満のときに内燃機関が冷間状態と判定される一方、機関温度パラメータが第2所定値以上でかつ第3所定値未満のときに内燃機関が完暖状態と判定される。上記の冷間状態とは、気筒内の温度が比較的低く、例えば排ガスを浄化する触媒の暖機後でかつ内燃機関の暖機完了前の状態であり、一方、完暖状態とは、気筒内の温度が比較的高く、内燃機関の暖機が完了した状態である。また、運転領域判定手段により、内燃機関が圧縮行程において燃料噴射を実行可能な運転領域であって、かつ内燃機関の回転数に応じた要求トルクの上限を表すトルク上限ラインLと、トルク上限ラインの下側において内燃機関の回転数が大きいほど要求トルクが小さくなるように設定された所定の境界ラインとの間に囲まれた運転領域である所定運転領域にあるか否かが判定される。さらに、燃料噴射制御手段により、燃料噴射弁から噴射する燃料の噴射回数及び/又は噴射量を表す噴射パラメータ、並びに噴射時期が制御される。
内燃機関が冷間状態でかつ所定運転領域にあると判定されたときには、完暖状態でかつ所定運転領域にあるときに比べて、圧縮行程における噴射パラメータの値を低減する。具体的には、冷間状態の圧縮行程における燃料の噴射回数及び/又は噴射量を、完暖状態のときよりも低減する。これにより、冷間状態の内燃機関の気筒内において、圧縮行程に噴射される燃料が低減され、その気筒内の壁面に付着するのを抑制することができる。その結果、燃料の壁面付着による燃焼の際のPMやPNの発生を抑制し、良好な排気特性を得ることができる。なお、内燃機関が完暖状態でかつ所定運転領域にあるときに、圧縮行程において噴射される燃料は、気筒内の温度が高いために、その気筒内において壁面付着しても気化しやすく、それにより、PMやPNの発生を抑制して、良好な排気特性を維持することができる。
また、内燃機関が完暖状態でかつ所定運転領域にあると判定されたときには、所定運転領域の全体にわたり、要求トルクに応じ、それが大きいほど、吸気行程に対する圧縮行程の噴射パラメータを増加させる。具体的には、完暖状態の圧縮行程における燃料の噴射回数及び/又は噴射量を、吸気行程のそれらに対し増加させる。これにより、要求トルクが大きいほど高温になりやすい気筒内の混合気の温度を、圧縮行程において噴射される燃料によって効果的に冷却できることで、ノッキングを抑制できるとともに、出力トルクの向上を確保しながら、運転効率を高めることができる。以上により、上記構成の燃料噴射制御装置によれば、ノッキングの抑制、出力トルク及び燃費の向上を確保しながら、良好な排気特性を得ることができる。
請求項2に係る発明は、1燃焼サイクル中の吸気行程及び/又は圧縮行程において燃料噴射弁5から燃料を気筒3a内に直接、噴射する内燃機関3の燃料噴射制御装置1であって、内燃機関の温度を表す機関温度パラメータ(エンジン水温TW)を検出する機関温度パラメータ検出手段(水温センサ12)と、検出された機関温度パラメータが第1所定値(第1所定温度TWREF1)以上でかつ第2所定値(第2所定温度TWREF2)未満のときに内燃機関を冷間状態と判定し、機関温度パラメータが第2所定値以上でかつ第3所定値(第3所定温度TWREF3)未満のときに内燃機関を完暖状態と判定する機関温度状態判定手段(ECU2)と、内燃機関が圧縮行程において燃料噴射を実行可能な運転領域であって、かつ内燃機関の回転数(エンジン回転数NE)に応じた要求トルクTRQCMDの上限を表すトルク上限ラインLと、トルク上限ラインの下側において内燃機関の回転数が大きいほど要求トルクが小さくなるように設定された所定の境界ライン(第3境界ラインL3)との間に囲まれた運転領域である所定運転領域(運転領域R)にあるか否かを判定する運転領域判定手段(ECU2)と、燃料噴射弁から噴射する燃料の噴射回数及び/又は噴射量を表す噴射パラメータ、並びに燃料の噴射時期を制御する噴射制御手段(ECU2)と、を備え、噴射制御手段は、内燃機関が冷間状態でかつ所定運転領域にあると判定されたときに、内燃機関が完暖状態でかつ所定運転領域にあるときに比べて、圧縮行程における噴射パラメータの値を低減し、内燃機関が完暖状態でかつ所定運転領域にあると判定されたときに、所定運転領域の全体にわたり、内燃機関の回転数に応じ、回転数が大きいほど、吸気行程に対する圧縮行程の噴射パラメータの値を増加させることを特徴とする。
この構成によれば、上述した請求項1と同様、検出された機関温度パラメータに応じて、内燃機関が、冷間状態又は完暖状態と判定されるとともに所定運転領域にあるか否かが判定される。また、請求項1と同様、内燃機関が冷間状態でかつ所定運転領域にあると判定されたときには、完暖状態でかつ所定運転領域にあるときに比べて、圧縮行程における噴射パラメータの値を低減することにより、冷間状態の内燃機関の気筒内において、圧縮行程に噴射される燃料が低減され、その気筒内の壁面に付着するのを抑制することができる。その結果、燃料の壁面付着による燃焼の際のPMやPNの発生を抑制し、良好な排気特性を得ることができる。
また、内燃機関が完暖状態でかつ所定運転領域にあると判定されたときには、所定運転領域の全体にわたり、内燃機関の回転数に応じ、それが大きいほど、吸気行程に対する圧縮行程の噴射パラメータを増加させる。具体的には、請求項1と同様、完暖状態の圧縮行程における燃料の噴射回数及び/又は噴射量を、吸気行程のそれらに対し増加させる。これにより、内燃機関の回転数が大きいほど高温になりやすい気筒内の混合気の温度を、圧縮行程において噴射される燃料によって効果的に冷却できることで、ノッキングを抑制できるとともに、出力トルクの向上を確保しながら、運転効率を高めることができる。以上により、請求項1と同様、ノッキングの抑制、出力トルク及び燃費の向上を確保しながら、良好な排気特性を得ることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、機関温度状態判定手段は、検出された機関温度パラメータが第3所定値(第3所定温度TWREF3)以上のときに内燃機関を過暖状態と判定するように構成されており、噴射制御手段は、内燃機関が過暖状態と判定されたときに、内燃機関が完暖状態でかつ所定運転領域にあるときに比べて、圧縮行程における噴射パラメータの値を低減又は噴射時期を進角することを特徴とする。
この構成によれば、機関温度パラメータが第3所定値以上のときに内燃機関が過暖状態と判定される。上記の過暖状態とは、気筒内の温度が非常に高く、例えば内燃機関がオーバーヒート寸前の状態である。内燃機関が過暖状態と判定されたときには、完暖状態でかつ所定運転領域にあるときに比べて、圧縮行程における噴射パラメータの値を低減、又は噴射時期を進角させる。このような噴射制御を行うのは次の理由からである。すなわち、内燃機関が過暖状態と判定されたときには、内燃機関の温度が非常に高いため、圧縮行程において噴射される燃料は、その気化が早く、燃焼室の中央に到達できず、燃料噴射弁寄りの位置に偏ってしまうことがある。この場合には、圧縮行程中の燃料噴射によって混合気の温度を低下させたり、燃料の濃度のばらつきを抑制したりすることが不十分となり、ノッキングの抑制効果が低下するおそれがある。そのため、上記のように、圧縮行程における噴射パラメータの値を低減することにより、圧縮行程における燃焼室内の燃料の偏りや濃度のばらつきを抑制でき、それにより、ノッキングの抑制効果を十分に得ることができる。一方、噴射時期を進角することにより、気筒内の圧力が高まる前に燃料を噴射することが可能となり、それにより、燃焼室内における燃料の偏りや濃度のばらつきを抑制でき、上記と同様、ノッキングの抑制効果を得ることができる。
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、機関温度状態判定手段は、検出された機関温度パラメータが第1所定値(第1所定温度TWREF1)未満のときに内燃機関を低温状態と判定するように構成されており、噴射制御手段は、内燃機関が低温状態と判定されかつ点火時期が圧縮上死点後のときに、内燃機関が冷間状態のときに比べて、圧縮行程における噴射パラメータの値を増加することを特徴とする。
この構成によれば、機関温度パラメータが第1所定値未満のときに内燃機関が低温状態と判定される。上記の低温状態とは、気筒内の温度が低く、例えば、内燃機関の始動時から触媒の暖機前の状態や、ハイブリッド車両において、モータによる走行でかつ内燃機関の運転停止が比較的長時間、継続したときなど、内燃機関の温度が外気温と同程度になった状態などである。内燃機関が低温状態と判定されかつ点火時期が圧縮上死点後のときには、冷間状態のときに比べて、圧縮行程における噴射パラメータの値を増加する。このような噴射制御を行うのは次の理由からである。すなわち、内燃機関が低温状態と判定されたときには、内燃機関の温度が低いため、吸気行程において噴射された混合気の熱エネルギーが内燃機関側に奪われ、その混合気の温度が低下しやすい。加えて、点火時期が圧縮上死点後のときには、上記の混合気を燃焼させる際の燃焼速度が遅くなり、それにより、燃焼が不安定になるおそれがある。そのため、上記のように、圧縮行程における噴射パラメータの値を増加することにより、燃焼室内に設けられる点火プラグ周りの燃料を濃くすることで燃焼を促進し、それにより、混合気の燃焼速度を早めて、燃焼の安定化を図ることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、機関温度状態判定手段は、検出された機関温度パラメータが第1所定値(第1所定温度TWREF1)未満のときに内燃機関を低温状態と判定するように構成されており、噴射制御手段は、内燃機関が低温状態と判定されかつ点火時期が圧縮上死点後のときに、内燃機関の回転数の変動量に応じ、変動量が大きいほど、圧縮行程における噴射パラメータの値を増加することを特徴とする。
この構成によれば、上述した請求項4と同様、機関温度パラメータが第1所定値未満のときに内燃機関が低温状態と判定される。また、内燃機関が低温状態と判定されかつ点火時期が圧縮上死点後のときには、内燃機関の回転数の変動量に応じ、その変動量が大きいほど、圧縮行程における噴射パラメータの値を増加する。前述したように、内燃機関が低温状態と判定されかつ点火時期が圧縮上死点後のときには、混合気の燃焼速度が遅くなることで、燃焼が不安定になるおそれがある。そのため、上記のように、内燃機関の回転数の変動量が大きいほど、圧縮行程における噴射パラメータの値を増加することにより、請求項4と同様の効果、すなわち、混合気の燃焼速度を早めて、燃焼の安定化を図ることができる。
請求項6に係る発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、噴射制御手段は、内燃機関が完暖状態でかつ所定運転領域の運転中に所定の燃料カット条件が成立したときに燃料供給を停止する燃料カットを実行し、燃料カットから燃料供給を再開する際に、機関温度パラメータが第3所定値よりも小さい第4所定値(第4所定温度TWREF4)以下のときには、吸気行程における燃料噴射を実行しかつ圧縮行程における燃料噴射を禁止することを特徴とする。
この構成によれば、内燃機関が完暖状態でかつ所定運転領域の運転中に所定の燃料カット条件が成立したときには、燃料噴射弁から気筒内への燃料供給を停止する燃料カットを実行する。その後、燃料カットから燃料供給を再開する際に、機関温度パラメータが第3所定値よりも小さい第4所定値以下のときには、吸気行程における燃料噴射を実行しかつ圧縮行程における燃料噴射を禁止する。このような噴射制御を行うのは次の理由からである。すなわち、完暖状態で運転中の内燃機関において、燃料カットが実行されると、内燃機関の温度が低下する。機関温度パラメータが、完暖状態を判定する上限値である第3所定値よりも低い第4所定値以下のときに、燃料カット前と同様の燃料噴射、すなわち圧縮行程における燃料噴射を実行すると、気筒内の温度が低下していることで、燃料の気化が不十分となり、排気特性が悪化するおそれがある。そのため、上記のように、燃料噴射を、吸気行程においてのみ実行し、圧縮行程において禁止することにより、排気特性の悪化を抑制することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による燃料噴射制御装置及びこれを適用した内燃機関を概略的に示している。同図に示すように、この燃料噴射制御装置1は、ECU2を備えており、このECU2は、内燃機関(以下「エンジン」という)3の運転状態に応じて、後述する燃料噴射制御処理などの各種の制御処理を実行する。
このエンジン3は、図示しないハイブリッド車両に搭載された直列4気筒型ガソリンエンジンであり、4組の気筒3a及びピストン3b(1組のみ図示)と、クランクシャフト3cなどを備えている。このエンジン3のシリンダヘッドには、燃焼室4に臨むように、燃料噴射弁5及び点火プラグ6が気筒3aごとに取り付けられている。エンジン3の運転中、燃料は、1燃焼サイクル中の吸気行程及び/又は圧縮行程において1回又は複数回、燃料噴射弁5によって気筒3a内に直接噴射される。すなわち、エンジン3は、筒内多段噴射式エンジンとして構成されている。
燃料噴射弁5は、ECU2に接続されており、ECU2によって、その開弁時間である燃料噴射時間と、開弁タイミングである噴射時期が制御される。なお、この燃料噴射弁5の燃料噴射時間は、気筒3a内に噴射される燃料量、すなわち燃料噴射量に相当するものであり、したがって、燃料噴射時間の制御により、燃料噴射弁5からの燃料噴射量が制御される。
また、点火プラグ6もECU2に接続されており、ECU2から点火時期に応じたタイミングで高電圧が加えられることで放電し、それにより、燃焼室4内の混合気を燃焼させる。
また、エンジン3には、クランク角センサ11が設けられている。このクランク角センサ11は、クランクシャフト3cの回転に伴い、いずれもパルス信号であるCRK信号及びTDC信号をECU2に出力する。このCRK信号は、所定クランク角(例えば1°)ごとに、1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、各気筒3aのピストン3bが吸気行程のTDC位置よりも若干、手前側の所定のクランク角位置にあることを表す信号であり、所定クランク角ごとに1パルスが出力される。
また、エンジン3の本体には、例えばサーミスタなどで構成された水温センサ12(機関温度パラメータ検出手段)が取り付けられている。この水温センサ12は、エンジン3のシリンダブロック内を循環する冷却水の温度であるエンジン水温TW(機関温度パラメータ)を検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。
なお、図示は省略するが、本発明の機関温度パラメータ検出手段として、上記の水温センサ12に代えて、又はこれとともに、エンジン3の内部を循環する潤滑油の温度であるエンジンオイル温を検出するオイル温センサを設けることも可能である。
また、ECU2には、アクセル開度センサ13が接続されており、このアクセル開度センサ13は、車両の図示しないアクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセル開度」という)APを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
また、エンジン3の排気通路15には、排ガスを浄化するための触媒16が設けられている。この触媒16は、三元触媒タイプのものであり、その温度が所定の活性化温度よりも高い領域にあるときに活性化し、排ガス中の有害な未燃成分を浄化する。
ECU2は、CPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などから成るマイクロコンピュータで構成されており、前述した各種のセンサ11~13の検出信号に応じて、エンジン3の運転状態を判別するとともに、運転状態に応じて、以下に述べるように、燃料噴射制御処理などを実行する。なお、本実施形態では、ECU2が、本発明の機関温度状態判定手段、運転領域判定手段及び噴射制御手段に相当する。
次に、図2を参照しながら、本実施形態の燃料噴射制御処理について説明する。この燃料噴射制御処理は、TDC信号の発生タイミングに応じて、所定時間ごとに実行される。
同図に示すように、まずステップ1(「S1」と図示。以下同じ)では、機関温度状態判定処理を実行する。この判定処理は、エンジン3の機関温度状態を判定するものであり、具体的には、図3に示すように実行される。同図に示すように、まずステップ11において、本発明の機関温度パラメータとしてのエンジン水温TWが第1所定温度TWREF1(第1所定値)以上であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、エンジン3の機関温度状態を低温状態と判定し、そのことを表すために、低温状態フラグF_LOWTMPを「1」にセットして(ステップ12)、本処理を終了する。なお、図示は省略するが、本処理の終了前に、上記の機関状態を表すフラグ(本例では低温状態フラグF_LOWTMP)以外の機関温度状態を表す他のフラグ(本例では、冷間状態フラグF_COLD、完暖状態フラグF_WARMUP及び過暖状態フラグF_OVERH)は、いずれも「0」にリセットされる(以下、「フラグリセット処理」という)。
前記ステップ11の判別結果がYESのときには、ステップ13に進み、エンジン水温TWが第2所定温度TWREF2(第2所定値)よりも小さいか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、エンジン3の機関温度状態を冷間状態と判定し、そのことを表すために、冷間状態フラグF_COLDを「1」にセットし(ステップ14)、前記フラグリセット処理を実行して、本処理を終了する。
一方、前記ステップ13の判別結果がNOのときには、ステップ15に進み、エンジン水温TWが第3所定温度TWREF3(第3所定値)よりも小さいか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、エンジン3の機関温度状態を完暖状態と判定し、そのことを表すために、完暖状態フラグF_WARMUPを「1」にセットし(ステップ16)、前記フラグリセット処理を実行して、本処理を終了する。
また、前記ステップ15の判別結果がNOで、エンジン水温TWが第3所定温度TWREF3以上のときには、エンジン3の機関温度状態を過暖状態と判定し、そのことを表すために、過暖状態フラグF_OVERHを「1」にセットし(ステップ17)、前記フラグリセット処理を実行して、本処理を終了する。
図4は、エンジン水温、機関温度状態、運転状態及び噴射時期・回数の関係を示している。同図の上段に示すように、上述した機関温度状態判定処理により、エンジン水温TWに応じて、機関温度状態が、低温状態、冷間状態、完暖状態及び過暖状態のいずれかに判定される。前述したように、低温状態とは、気筒3a内の温度が低く、例えばエンジン3の始動から触媒16の暖機前の状態や、ハイブリッド車両において、モータによる走行でかつエンジン3の運転停止が比較的長時間、継続したときなど、エンジン3の温度が外気温と同程度になった状態である。また、冷間状態とは、気筒3a内の温度が比較的低く、触媒16の暖機後でかつエンジン3の暖機完了前の状態であり、完暖状態とは、気筒3a内の温度が比較的高く、エンジン3の暖機が完了した状態である。さらに、過暖状態とは、気筒3a内の温度が非常に高く、エンジン3がオーバーヒート寸前の状態である。
図2に戻り、ステップ1により、エンジン3の機関温度状態を判定した後、今回の燃焼サイクルにおいて噴射すべき総燃料噴射量TOUTを算出する。この総燃料噴射量TOUTは、エンジン回転数NE及びアクセル開度APに応じて、図示しないマップを検索することにより、要求トルクTRQCMDを算出し、この要求トルクTRQCMD及びエンジン回転数NEに応じて、図示しないマップを検索することによって算出される。
次に、ステップ3に進み、低温状態フラグF_LOWTMPが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、エンジン3の機関温度状態が低温状態のときには、低温状態噴射を実行し(ステップ4)、本処理を終了する。この低温状態噴射では、エンジン3の運転状態に応じ、噴射時期及び回数が図4に示すように設定されている。具体的には、エンジン3の始動時には、燃料噴射が圧縮行程において1回実行される(図4では「圧1」と表記)。また、エンジン3の始動後、エンジン回転数NEが所定回転数以上になったアイドリング中には、燃料噴射が吸気行程において1~2回実行される(図4では「吸1~2」と表記)。さらに、エンジン回転数NEの変動量が比較的小さい所定値以下で、触媒16の暖機中には、燃料噴射が吸気行程において2回、圧縮行程において1回実行される(図4では「吸2+圧1」と表記)。
図2に戻り、前記ステップ3の判別結果がNOのときには、ステップ5に進み、冷間状態フラグF_COLDが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESでエンジン3の機関温度状態が冷間状態のときには、冷間状態噴射を実行し(ステップ6)、本処理を終了する。この冷間状態噴射では、図4に示すように、触媒暖機後、車両の走行前の状態(本実施形態では、アクセル開度APが所定値未満で、車両のシフトレバーがDレンジに設定されている状態)のときには、燃料噴射が吸気行程において1~2回実行される(図4では「吸1~2」と表記)。また、アクセル開度APが所定値以上で、車両の走行中には、燃料噴射が吸気行程において2~4回実行される(図4では「吸2~4」と表記)。
図2に戻り、前記ステップ5の判別結果がNOのときには、ステップ7に進み、完暖状態フラグF_WARMUPが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、エンジン3の機関温度状態が完暖状態のときには、完暖状態噴射を実行し(ステップ8)、本処理を終了する。この完暖状態噴射では、図4に示すように、燃料噴射が、エンジン回転数NE及びアクセル開度APに応じて、燃料噴射が吸気行程にのみ1回以上実行され(図4では上段に「吸」と表記)、あるいはそれに加えて圧縮行程においても1回以上実行される(図4では下段に「吸+圧」と表記)。
図2に戻り、前記ステップ7の判別結果がNOのときには、ステップ9に進み、過暖状態噴射を実行し、本処理を終了する。この過暖状態噴射では、図4に示すように、燃料噴射が吸気行程中に1回以上実行され(図4では「吸」と表記)、又は、圧縮行程中に実行される燃料噴射が、完暖状態の場合に比べて進角される(図4では「(圧・進角)」と表記)。
ここで、図5を参照して、図2のステップ6の冷間状態噴射、及びステップ8の完暖状態噴射における具体的な噴射動作について説明する。図5(a)及び(b)はそれぞれ、冷間状態噴射及び完暖状態噴射における噴射イメージマップを示しており、両図はいずれも、エンジン回転数NE及び要求トルクTRQCMDに応じて設定される燃料の噴射時期、噴射量及び噴射回数を、所定の各運転領域ごとに示している。また、このマップにおいて、灰色で表示された矩形部分は、燃料の噴射であって、横幅が噴射量を表し、それらの直ぐ下側に記載された「吸」及び「圧」はそれぞれ、吸気行程及び圧縮行程において噴射されることを示している。なお、両マップではいずれも、上部に台形状に描かれたトルク上限ラインLの下側において、所定の運転領域ごとに設定されている。
まず、図5(a)に示すように、冷間状態噴射では、要求トルクTRQCMDが比較的小さい所定値未満で、第1境界ラインL1の下側の運転領域(図5(a)において「吸1」と表記)においては、吸気行程中に1回のみ、燃料噴射を実行するように設定されている。なお、第1境界ラインL1の右端部から上方に延びる境界ラインよりも右側においては、冷間状態噴射時のエンジン回転数NE及び要求トルクTRQCMDの関係上、エンジン3の運転状態としてとり得ないため、燃料噴射が設定されていない。
また、要求トルクTRQCMDが上記の所定値以上で、第1境界ラインL1の上側の運転領域(図5(a)において「吸分割」と表記)においては、吸気行程中に複数回(2~4回)でかつ要求トルクTRQCMDが大きいほど噴射回数が多くなるよう、燃料噴射を実行するように設定されている。
一方、図5(b)に示すように、完暖状態噴射では、要求トルクTRQCMDが比較的小さい所定値未満で、第2境界ラインL2の下側の運転領域(図5(b)において「吸1」と表記)においては、上記冷間状態噴射と同様、吸気行程中に1回のみ、燃料噴射を実行するように設定されている。また、要求トルクTRQCMDが上記の所定値以上で、第2境界ラインL2と、その上側に位置する第3境界ラインL3との間の運転領域(図5(b)において「吸分割」と表記)においては、吸気行程中に複数回(図5(b)では2回)、燃料噴射を実行するように設定されている。なお、上記の第3境界ラインL3は、エンジン回転数NEが大きいほど、要求トルクTRQCMDが小さくなるように設定されている。
さらに、上記の第3境界ラインL3の上側の運転領域(図5(b)において「吸+圧」と表記)においては、吸気行程中及び圧縮行程中に1回ずつ、燃料噴射を実行するように設定されている。加えて、この運転領域では、要求トルクTRQCMDが大きいほど、また、エンジン回転数NEが大きいほど、吸気行程に対する圧縮行程の噴射量が多くなるように設定されている。
ここで、図5とほぼ同じ図6を参照して、冷間状態と完暖状態における噴射の相違について説明する。図6(b)に示すように、完暖状態噴射では、前記トルク上限ラインLと第3境界ラインL3とで囲まれた所定の運転領域R(所定運転領域)において、前述したように、吸気行程及び圧縮行程中に1回ずつ、燃料噴射が実行される。上記の運転領域Rは、エンジン3の機関温度状態が完暖状態のときに、圧縮行程において燃料噴射を実行可能な運転領域である。
これに対し、図6(a)に示すように、冷間状態噴射では、上記の運転領域Rにおいて、吸気行程中にのみ燃料噴射が実行され、圧縮行程中の燃料噴射が実行されない。つまり、エンジン3が冷間状態でかつ運転領域Rにあると判定されたときには、完暖状態でかつ運転領域Rにあるときに比べて、圧縮行程における噴射回数及び噴射量(噴射パラメータ)がいずれも低減、すなわち、値0に低減される。
このように、運転領域Rにおける冷間状態噴射では、完暖状態噴射に比べて、圧縮行程における噴射回数及び噴射量が低減されるので、噴射燃料が気筒3a内の壁面に付着するのを抑制することができる。その結果、燃料の壁面付着による燃焼の際のPMやPNの発生を抑制し、良好な排気特性を得ることができる。また、運転領域Rにおける完暖状態噴射では、圧縮行程において噴射される燃料は、気筒3a内の温度が高いために、その気筒3a内において壁面付着しても気化しやすく、それにより、PMやPNの発生を抑制して、良好な排気特性を維持することができる。
また、図6(b)に示すように、完暖状態噴射では、上記の運転領域Rにおいて、前述したように、吸気行程及び圧縮行程中に燃料噴射が実行され、要求トルクTRQCMDが大きいほど、また、エンジン回転数NEが大きいほど、吸気行程に対する圧縮行程の噴射量(噴射パラメータ)を増加させる。
これにより、要求トルクTRQCMDやエンジン回転数NEが大きいほど、高温になりやすい気筒3a内の混合気の温度を、圧縮行程において噴射される燃料によって効果的に冷却できることで、ノッキングを抑制することができる。
図7は、所定の実験条件の下、エンジン3が完暖状態でかつ上記運転領域Rにおいて運転されている場合において、燃料噴射を吸気行程中にのみ実行したとき(以下、「吸気行程噴射」という)と、吸気行程及び圧縮行程中に実行したとき(以下、「吸気・圧縮行程噴射」という)の実験結果の一例を示している。なお、本実験では、点火時期を、ノッキングの発生していない圧縮行程の上死点前の所定クランク角度から進角している。また、同図(a)に示すように、本実験では、吸気行程噴射及び吸気・圧縮行程噴射のいずれも、図示平均有効圧力がほぼ同じになるように、すなわち、比較的高い出力トルクが発生するように設定されている。
図7(b)に示すように、最大ノッキング振幅は、点火時期の進角につれて増加するものの、吸気・圧縮行程噴射では、吸気行程噴射に比べて増加割合が小さくなっており、したがって、ノッキングの抑制効果が得られることがわかる。また、同図(c)に示すように、図示燃料消費率については、吸気・圧縮行程噴射では、吸気行程噴射に比べて低下しており、したがって、燃費低減効果が得られることがわかる。さらに、同図(d)に示すように、総燃焼期間については、吸気・圧縮行程噴射では、吸気行程噴射に比べて短くなっており、したがって、排気温低減(高速燃焼)効果が得られることがわかる。
次に、前述した図2のステップ9の過暖状態噴射、すなわちエンジン3の機関温度状態が過暖状態であるときの噴射動作について説明する。前述した図4に示すように、過暖状態噴射では、燃料噴射が吸気行程中に1回以上実行され、又は、圧縮行程中に実行される燃料噴射が、完暖状態の場合に比べて進角される。より具体的には、エンジン3が完暖状態でかつ前記運転領域Rにあるときに比べて、圧縮行程における噴射回数又は噴射量を低減(噴射回数及び噴射量が0の場合を含む)したり、圧縮行程中に燃料噴射を実行する際には、噴射時期を進角したりする。
過暖状態噴射において上記のような噴射制御を行うのは次の理由からである。すなわち、エンジン3が過暖状態であるときには、そのエンジン3の温度が非常に高いため、圧縮行程において噴射される燃料は、その気化が早く、燃焼室4の中央に到達できず、燃料噴射弁5寄りの位置に偏ってしまうことがある。この場合には、圧縮行程中の燃料噴射によって混合気の温度を低下させたり、燃料の濃度のばらつきを抑制したりすることが不十分となり、ノッキングの抑制効果が低下するおそれがある。そのため、上記のように、圧縮行程における燃料噴射の噴射回数や噴射量を低減することにより、圧縮行程における燃焼室4内の燃料の偏りや濃度のばらつきを抑制でき、それにより、ノッキングの抑制効果を十分に得ることができる。一方、圧縮行程中において噴射時期を進角することにより、気筒3a内の圧力が高まる前に燃料を噴射することが可能となり、それにより、燃焼室4内における燃料の偏りや濃度のばらつきを抑制でき、上記と同様、ノッキングの抑制効果を得ることができる。
次に、前述した図2のステップ4の低温状態噴射、すなわちエンジン3の機関温度状態が低温状態であるときの噴射動作であって、特に点火時期が圧縮上死点後である場合について説明する。この場合、前述した図4の触媒暖機時と同様、燃料噴射が吸気行程中に2回、圧縮行程中に1回実行される。より具体的には、エンジン3が冷間状態であるときに比べて、圧縮行程における噴射回数及び/又は噴射量を増加する。またこの場合、エンジン回転数NEの変動量に応じ、その変動量が大きいほど、噴射回数及び/又は噴射量を増加する。
低温状態噴射において上記のような噴射制御を行うのは次の理由からである。すなわち、エンジン3が低温状態であるときには、エンジン3の温度が低いため、吸気行程において噴射された混合気の熱エネルギーがエンジン3側に奪われ、その混合気の温度が低下しやすい。加えて、点火時期が圧縮上死点後のときには、上記の混合気を燃焼させる際の燃焼速度が遅くなり、それにより、燃焼が不安定になるおそれがある。そのため、上記のように、圧縮行程における燃料噴射の噴射回数や噴射量を増加し、加えてエンジン回転数NEの変動量が大きいほど、上記の噴射回数や噴射量を増加することにより、燃焼室4内の点火プラグ6の周りの燃料を濃くすることで燃焼を促進し、それにより、混合気の燃焼速度を早めて、燃焼の安定化を図ることができる。
次に、エンジン3が完暖状態でかつ前記運転領域Rの運転中に燃料カットが実行され、その後に燃料供給を再開する際の噴射動作について説明する。前述した図4及び図6に示すように、エンジン3が完暖状態でかつ運転領域Rの運転中には、燃料噴射が吸気行程及び圧縮行程において実行される。この運転中に、所定の燃料カット条件(例えば、ブレーキペダルが踏まれかつ車速が所定速度以下など)が成立すると、燃料噴射弁5から気筒3aへの燃料供給を停止する燃料カットが実行される。その後、燃料カット条件が不成立になると、燃料供給が再開される。この場合、エンジン水温TWが、前記第3所定温度TWREF3よりも低い第4所定温度TWREF4以下のときには、吸気行程における燃料噴射を実行しかつ圧縮行程における燃料噴射を禁止する。
上記のような噴射制御を行うのは次の理由からである。すなわち、運転領域Rにおける完暖状態噴射では、吸気行程及び圧縮行程中に燃料噴射が実行されており、このエンジン3において燃料カットが実行されると、エンジン3の温度が低下する。エンジン水温TWが、完暖状態の上限温度である第3所定温度TWREF3よりも低い第4所定温度TWREF4以下のときに、燃料カット前と同様の燃料噴射、すなわち、吸気行程に加えて圧縮行程にも燃料噴射を実行すると、気筒3a内の温度が低下していることで、燃料の気化が不十分となり、排気特性が悪化するおそれがある。そのため、上記のように、燃料噴射を、吸気行程においてのみ実行し、圧縮行程において禁止することにより、燃料カット後の燃料供給の再開時に排気特性の悪化を抑制することができる。
なお、上記燃料供給の再開後、エンジン水温TWが第2所定温度TWREF以上でかつエンジン3が運転領域Rにおいて運転されるときに、圧縮行程における燃料噴射の禁止が解除され、圧縮行程における燃料噴射が実行される。
以上詳述したように、本実施形態の燃料噴射制御装置1によれば、エンジン3の機関温度状態を判定し、その判定結果に応じて、燃料噴射を上述したように制御するので、ノッキングの抑制及び出力トルクの向上を確保しながら、良好な排気特性を得ることができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、水温センサ12によって検出されたエンジン水温TWによって、エンジン3の機関運転状態を判定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、エンジン水温TWに代えて、又はこれとともに、前記オイル温センサで検出されるエンジンオイル温を用いて、機関運転状態を判定してもよい。また、実施形態で示した燃料噴射装置1の細部の構成や、図4~6に記載された各機関温度状態の噴射条件などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。