JP2017136963A - 車両用二次電池の制御マップの更新方法 - Google Patents

車両用二次電池の制御マップの更新方法 Download PDF

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Abstract

【課題】制御マップの適切な更新【解決手段】ここで提案される車両用二次電池の制御マップの更新方法は、記憶された制御マップM1に基づいて車両用二次電池を制御する制御装置において、制御マップM1を更新する方法であり、以下の工程A〜工程Dの処理を含んでいる。ここで工程Aは、車両用二次電池の使用情報を記憶する工程である。工程Bは、工程Aで記憶された車両用二次電池の使用情報に基づいて、車両用二次電池の状態に応じた制御マップM2を得る工程である。工程Cは、制御マップM2と制御マップM1とを比べて更新の要否を判定する工程である。工程Dは、工程Cで更新が必要と判断された場合に、制御マップM1を更新する工程である。【選択図】図4

Description

本発明は、車両用二次電池を制御する際に用いられる制御マップの更新方法に関する。
例えば、特開2013―226916号公報には、ハイブリッド車両に搭載された蓄電池の容量劣化を検出し、検出された容量劣化の度合いに応じて蓄電器の充放電を制御する制御マップを切り替える技術が開示されている。具体的には、段落0045において、累積使用時間に基づいて、制御マップを更新することが説明されている。更新される制御マップは、累積使用時間に応じて車両用二次電池が劣化していることを前提としている。更新される制御マップによれば、累積使用時間が大きくなるにつれて車両用二次電池が使用されるSOC領域が制限される。
特開2013―226916号公報
ところで、ハイブリッド車両は、容量が同じ車両用二次電池が使用される場合には、使用されるSOC領域が広ければ広いほど、エンジンの負担が減り、燃費が向上しうる。上述のように、制御マップが更新されると車両用二次電池の使用が制限される。その分、エンジンの負担が大きくなり、燃費が悪くなる。また、ハイブリッド車両の使用状況は、ユーザーによってばらつく。例えば、同じ車両用二次電池が用いられている場合であっても、累積使用時間に対する車両用二次電池の劣化状況は車両ごとに異なる。予め定められた累積使用時間が経過した後でも、制御マップを更新しなければならないほどに、車両用二次電池の劣化が進んでいない場合もある。予め定められた累積使用時間に応じて一律に制御マップを更新する運用は、車両用二次電池の劣化が進んでいない場合には、車両用二次電池の使用が必要以上に制限されることになり、車両の燃費を悪くすることになる。
ここで提案される車両用二次電池の制御マップの更新方法は、以下の工程A〜Dを含んでいる。
工程Aは、車両用二次電池の使用情報を記憶する工程である。
工程Bは、工程Aで記憶された車両用二次電池の使用情報に基づいて、車両用二次電池の状態に応じた制御マップM2を得る工程である。
工程Cは、制御マップM2と制御マップM1とを比べて更新の要否を判定する工程である。
工程Dは、工程Cで更新が必要と判断された場合に、制御マップM1を更新する工程である。
かかる制御マップの更新方法によれば、記憶された制御マップM1に基づいて車両用二次電池を制御する制御装置において、車両用二次電池の劣化の程度を考慮して制御マップM1を適切に更新できる。
図1は、ここで提案される車両用二次電池の制御マップの更新方法を具現化する装置構成を示す概念図である。 図2は、制御マップM1の構成例を示す概略図である。 図3は、車両用二次電池100の正極と負極の単極の電位の変位を示す模式図である。 図4は、ここで提案される車両用二次電池100の制御マップの更新方法のフローチャートである。 図5は、電流と電圧の挙動を示す模式図である。
以下、ここで提案される車両用二次電池の制御マップの更新方法についての一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。
図1は、ここで提案される車両用二次電池の制御マップの更新方法を具現化する装置構成を示す概念図である。図2は、制御マップM1の構成例を示す概略図である。
車両10は、図1に示すように、搭載された車両用二次電池100を制御する制御装置220を有している。例えば、ブレーキが踏まれたり、アクセルが緩められたりして車両10が減速した際の減速のエネルギや、エンジンの動力の一部が、電気エネルギが変換されて、車両用二次電池100に充電(入力)される。車両用二次電池100は、発進時や加速時などにおいて、制御装置220からの要求に応じて放電(出力)し、電気モータを介して車両10の駆動を補助する。
制御装置220は、記憶部F1と、記憶部F2と、記憶部F3と、処理部F4とを備えている。なお、制御装置220は、典型的にはコンピュータであり、データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROMと、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAMと、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置(記憶媒体)とを備えているとよい。このような制御装置220は、例えば、車両10に搭載されるECU200(電子制御装置)の一部として具現化されうる。
図示は省略するが、車両用二次電池100には、温度計、電圧計および電流計が取り付けられている。温度計、電圧計および電流計は、制御装置220に電気的に接続されているとよい。制御装置220は温度計、電圧計および電流計から車両用二次電池100についてのデータを得るとよい。
記憶部F1は、車両用二次電池の使用情報を記憶する。つまり、温度計、電圧計および電流計から車両用二次電池100についてのデータが、測定された時間とともに随時に記憶部F1に記憶される。記憶部F2は、制御マップM1を記憶している。ここで、制御マップM1は、車両用二次電池100に対応して予め用意される。記憶部F3は、制御マップM1を用いた車両用二次電池を制御する制御プログラムを記憶している。処理部F4は、記憶部F3に記憶された制御プログラムに沿って制御処理を実行する。
ここで、記憶部F2に記憶される制御マップM1は、例えば、図2に示すように、制御開始時のSOCと、温度と、時間と、出力または入力可能な電力(W)との関係が記憶されているとよい。SOCは、State of Chargeの略であり、「充電状態」あるいは「残容量」などと称される。図2に示す例では、制御マップM1として、例えば、縦軸に温度を設定し、横軸に時間が設定された複数のマトリクスが、制御開始時のSOCごとに用意されている。かかる複数のマトリックスからなる制御マップM1は、放電制御用と充電制御用とに分けて用意されているとよい。ここで、車両用二次電池100のSOCは、例えば、電圧を基に把握されうる。
ここで「制御開始時のSOCごと」は、例えば、SOC0%からSOC100%の間で例えば、SOC10%ごとに、複数のマトリックスを用意するとよい。用意されたマトリックスの縦軸には、例えば、−30℃、−10℃、0℃、25℃、40℃のように予め定められた温度が設定されているとよい。横軸には、1秒、2秒、3秒・・・のように予め定められた時間が設定されているとよい。そして、各マトリックスには、それぞれ当該制御開始時のSOCと、縦軸で示された温度において、横軸で示された時間連続して出力(放電)または入力(充電)可能な電力(W)が記憶されているとよい。例えば、SOCが高い場合には、入力可能な電力が小さく抑えられる。SOCが低い場合には、出力可能な電力が小さく抑えられる。また、温度が低い場合には、大きな電流が流れないように入力および出力可能な電力が小さく抑えられる。このような制御マップM1は、CPマップ(Constant Power Map)とも称されうる。なお、制御マップM1の構成は、上記構成例に限定されない。
記憶部F3は、制御マップM1を用いた車両用二次電池を制御する制御プログラムを記憶している。ここで、記憶された制御プログラムによれば、例えば、車両用二次電池100に対する出力や入力の要求に対して、制御開始時の電圧と温度とに基づいて、制御マップM1を参照して出力や入力の可否が判断される。
例えば、発進時や加速時に、電気モータを介して車両10が駆動力を得る場合、車両用二次電池100から放電させる必要がある。この際、ECU(電子制御ユニット)から制御装置220に出力要求が生じる。車両用二次電池100の放電制御では、このようなECU(電子制御ユニット)からの出力要求に対して、制御開始時の電圧と温度とに基づいて、制御マップM1(具体的には当該電圧と温度とが該当するマトリックス)が参照されて出力可能な電力が導き出される。そして、導き出された電力と出力要求とを比較して、出力の可否を判定する。
また、ブレーキ時やアクセルを緩めて減速する時などは、回生エネルギが得られる。この際、ECUから制御装置220に入力要求が生じる。車両用二次電池100の入力制御では、このようなECU200からの入力要求に対して、制御開始時の車両用二次電池100の温度やSOC(電圧)を基に制御マップM1が参照されて車両用二次電池100に入力可能な電力が導き出される。そして、導き出された電力と入力要求とが比較されて、入力の可否が判定される。これによって、導き出された電力を超える放電や充電が行なわれないように車両用二次電池100が制御される。
制御装置220は、制御マップM1を参照して、出力可能な電力や入力可能な電力を導き出す。この際、制御マップM1の各マトリックスで規定された条件の間の条件では、マトリックスで規定されている条件を基に補間して、出力可能な電力または入力可能な電力が導き出されるようにプログラムされている。
ところで、車両用二次電池100は、予め定められた制御マップM1に従って予め定められたSOC領域で使用される。しかしながら、車両用二次電池100は、使用によって性能が劣化していく。車両用途では、通常は、車両用二次電池100を制御する制御装置220のプログラムは頻繁に変更されない。このため、車両用二次電池100の制御マップM1は、相当の期間変更されずに使用される。例えば、車両出荷時に予め定められた長期の使用および相当程度の走行距離において、車両用二次電池100の性能が一定水準以上に維持されるように、初期の制御マップM1が用意されるとよい。例えば、予め定められた年数(例えば、10年や15年など)および相当程度の走行距離(15万kmや20万kmなど)を予め定めて、これに相当する耐久試験を行う。かかる耐久試験を基に、さらに安全率を考慮して、車両用二次電池100の性能が所定の水準以上に維持されるように、初期の制御マップM1が用意されるとよい。
このような制御マップM1は、例えば、車両用二次電池100に応じた電気化学1Dモデルを基に作成することができる。ここで電気化学1Dモデルは、電極設計値と、物性とに基づいて構築されている。そして、温度と充放電パターンなどの試験条件に基づいて、電流と電圧の挙動、内部抵抗の内訳、正極と負極間の分布(塩濃度分布、SOC分布、反応電流密度、温度分布)などが計算によって得られる。また、かかる電気化学1Dモデルに基づくシミュレーションに基づき、予め定められたプログラムに沿って制御マップM1が導き出される。ここで、「電極設計値」は、電池の設計に応じて定まり、例えば、正極活物質層の膜厚、目付、多孔度、活物質粒径、電極面積、電解液初期塩濃度などが挙げられる。物性には、開回路電圧(正極開回路電位+負極開回路電位+容量ずれ)、交換電流密度(反応抵抗)、電極電子伝導度、活物質内拡散係数、屈曲度(電極、セパレータ)、電解液拡散係数、電解液伝導率、輸率などが挙げられる。車両用二次電池100と同型の試験用電池に対して試験を行なうことによって定められる。試験条件に対する計算は、単位時間(Δt)での変化を収束計算する。この際、Li量収支、電気量収支、正負極電位などの計算を逐次実施する。電気化学1Dモデルを具体的にどのように構築するか、および、電気化学1Dモデルから制御マップM1を導き出すプログラムをどのように構築するかは、種々変更が可能である。このような電気化学的なシミュレーション手法には公知の方法を採用できる。公知のシミュレーション手法は、例えば、日本国特許5506814号の特許公報の段落0020〜0023に開示されている。
車両用二次電池100が劣化すると、車両用二次電池100の物性が変化して、対応する電気化学1Dモデルが変化する。本発明者の知見では、電気化学1Dモデルの物性のうち「正極開回路電位」、「負極開回路電位」、各種の「拡散係数」および「導電率」は、車両用二次電池100が劣化しても大きな変更はない。これらは、車両用二次電池100の初期の値を継続して採用できる。また、車両用二次電池100の物性のうち「容量ずれ」と「反応抵抗」は、車両用二次電池100が劣化すると、それに応じて変化する。
ここで、図3は、車両用二次電池100の正極と負極の単極の電位の変位を示す模式図である。図3では、車両用二次電池100の初期状態における、充電および放電に対する正極単極の電位の変位P(OCP+)と負極単極の電位の変位Q(OCP−)とが実線で示されている。正極単極の電位と負極単極の電位との差分Sは、電池電圧に相当する。また、図3では、車両用二次電池100が使用によって劣化した後の、正極単極の電位の変位P1と負極単極の電位の変位Q1は破線で示されている。劣化後の正極単極の電位の変位P1は、初期の正極単極の電位の変位Pが充電および放電の電流量に対して縮んだようになる。同様に、劣化後の負極単極の電位の変位Q1は、初期の負極単極の電位の変位Qが充電および放電の電流量に対して縮んだようになる。つまり、劣化によって正極単体の容量および負極単体の容量はそれぞれ減少する。このように、劣化による正極単体の容量と負極単体の容量が減少する量Px、Qxを「容量ずれ」と称されうる。なお、電気化学1Dモデルを具体的にどのように構築するかによって、「容量ずれ」の具体的な定義は異なりうる。例えば、正極の単極の電位と負極の単極の電位との相対的なずれを「容量ずれ」と定義してもよい。
車両用二次電池100の物性のうち「容量ずれ」と「反応抵抗」を変化させることで、変化させた「容量ずれ」と「反応抵抗」に応じた劣化後の車両用二次電池100の電気化学1Dモデルが得られる。例えば、予め行なわれた耐久試験の結果を基に、当該耐久試験に基づく累積使用年数と、それに応じた「容量ずれ」および「反応抵抗」との関係が見出される。また、「容量ずれ」と「反応抵抗」を用いることによって、当該「容量ずれ」と「反応抵抗」に応じた累積使用年数が経過した車両用二次電池100の電気化学1Dモデルが導き出される。かかる電気化学1Dモデルからは、当該累積使用年数が経過した車両用二次電池100に応じた制御マップが得られる。
このように電気化学1Dモデルを用いて、予め定められた累積使用年数が経過した車両用二次電池100に応じた制御マップM1が得られる。得られた制御マップM1は、制御装置220の記憶部F2に記憶させるとよい。この場合、制御マップM1は、予め定められた累積使用年数と相当する走行距離に応じて車両用二次電池100の劣化が考慮されている。このため、初期の車両用二次電池100に対しては、出力(放電)または入力(充電)可能な電力(W)が低く見積もられる。このような制御マップM1を用意することによって、余裕をもって車両用二次電池100を用いることができる。このため、当初に考慮した累積使用年数に相当する長期の使用に対して車両用二次電池100の性能を適切に維持することができる。
また実際には、車両用二次電池100が想定よりも劣化する場合がある。このため、制御装置220において、車両用二次電池100の入出力性能を適宜に検知する。そして、検知された入出力性能に基づいて、車両用二次電池100が想定よりも劣化していると判断される場合には、制御マップM1における出力(放電)または入力(充電)可能な電力(W)を低く抑えてもよい。例えば、想定よりも車両用二次電池100が劣化していると判断される場合に、制御マップM1で導き出される出力(放電)または入力(充電)可能な電力(W)が低く抑えられるように補正するプログラムを組み込んでもよい。これによって、車両用二次電池100が想定以上に劣化した場合でも、過度に出力または入力されないように車両用二次電池100を制御できる。
ところで、当初想定された期間および相当程度の走行距離を超えて使用される場合には、望ましくは、車両用二次電池100の劣化度合いに応じて、制御マップM1を適切に修正することが望ましい。車両用途では、ユーザーによる車両の使用頻度や、使用される温度環境が異なり、個々の車両において使用状況が異なる。例えば、10年を超えた車両間では走行距離が異なり、車両用二次電池100の劣化度合いは大きく異なりうる。このため、累積使用期間が、例えば、10年を超えた場合、想定よりも車両用二次電池100が劣化していない場合もあれば、想定以上に車両用二次電池100が劣化している場合もある。
図4は、ここで提案される車両用二次電池100の制御マップの更新方法のフローチャートである。ここで提案される車両用二次電池100の制御マップの更新方法は、以下の工程A〜Dを含んでいる。
工程Aは、車両用二次電池100の使用情報を記憶する工程である。
工程Bは、工程Aで記憶された車両用二次電池100の使用情報に基づいて、車両用二次電池100の状態に応じた制御マップM2を得る工程である。
工程Cは、制御マップM2と制御マップM1とを比べて更新の要否を判定する工程である。
工程Dは、工程Cで更新が必要と判断された場合に、制御マップM1を更新する工程である。
ここで、車両用二次電池100の制御マップの更新方法を具現化する装置構成は、図1が適宜に参照される。
工程Aでは、車両用二次電池100の使用情報として、例えば、車両用二次電池100が使用された際の温度、SOC、電流および電圧を随時に記憶するとよい。ここで、車両用二次電池100が使用された際の温度とSOCは、ある単位期間の制御における、使用開始時の温度とSOCとが記憶されるとよい。電流および電圧は、使用時に単位時間ごとに測定された測定値が記憶される。かかる工程Aでは、車両用二次電池100の使用情報として、車両用二次電池100に取り付けられた温度計、電圧計および電流計(図示省略)で測定された測定値が、制御装置220の記憶部F1に、測定された時間の情報とともに随時記憶されるとよい。図5は、電流と電圧の挙動を示す模式図である。工程Aの記憶は、車両に搭載された制御装置220に記憶されることが想定されている。ここで、工程Aでは、車両用二次電池100の使用情報として、工程Bで使用されるのに必要な情報が記憶されていればよい。例えば、直近の何回かの車両用二次電池100の使用時における情報が記憶されているとよく、出荷時からの全ての情報は必ずしも必要としない。直近の何回かの車両用二次電池100の使用時における情報が随時書き換えられて記憶部F1に記憶されるとよい。
工程Bでは、実使用により劣化した車両用二次電池100の状態に応じた制御マップM2が得られる。制御マップM2は、工程Aで記憶された車両用二次電池100の使用情報、例えば、図5で示されているような、実使用における電流と電圧の挙動を得る。そして、初期の車両用二次電池100の電気化学1Dモデルを基に、「容量ずれ」と「反応抵抗」とを仮想的に変えて「電流と電圧の挙動」を計算する。このように「容量ずれ」と「反応抵抗」とを仮想的に変えつつ計算された「電流と電圧の挙動」と、実使用で測定された電流と電圧の挙動とが最も適合する「容量ずれ」と「反応抵抗」とを探索する。次に、探索によって取得された「容量ずれ」と「反応抵抗」とに基づいて、電気化学1Dモデルを得る。そして、得られた電気化学1Dモデルに基づいて車両用二次電池100の現状に応じた制御マップM2を得る。
工程Cでは、例えば、工程Bにおいて得られた車両用二次電池100の現状に応じた制御マップM2の各マトリクスと、制御装置220に記憶されている制御マップM1の各マトリクスとを比べる。例えば、図4のフローチャートで示されているように、工程Cにおいて、制御マップM2が、いずれか1つの条件でも、制御マップM1よりも車両用二次電池100の入力または出力を制限する(M1>M2)場合(Y)には、制御装置220に記憶されている制御マップM1を使い続けることが推奨されない。例えば、制御装置220の記憶部F2に記憶されている制御マップM1の各マトリクスに記録された電力値が、制御マップM2のマトリクスに記録された対応する電力値よりも、1つでも大きい場合(Y)には、制御装置220に記憶されている制御マップM1を使い続けることは推奨されない。このような場合には、制御マップM1の更新が「必要」と判定される。
また、工程Cにおいて、制御マップM2が、全ての条件で、制御マップM1よりも車両用二次電池100の入力または出力を制限しない(M1≦M2)場合(N)には、制御マップM1をそのまま使い続けてよい。この場合、制御マップM1の更新が「不要」と判定される。このように工程Cで、制御マップM1の更新が「不要」と判定された場合には、制御装置220の記憶部F1に記憶された制御マップM1を変更せずにそのまま維持するとよい。
図4に示すように、工程Cで、制御マップM1の更新が「必要」と判定された場合(Y)には、工程Dにおいて制御マップM1が更新される。工程Dでは、制御マップM1を、例えば、工程Bにおいて得られた車両用二次電池100の現状に応じた制御マップM2に更新してもよい。また、工程Dでは、車両用二次電池100の使用情報を基に、車両用二次電池100の現状よりも劣化が進むことを想定して、新たな制御マップを用意してもよい。また、現状の累積使用期間に応じた劣化が考慮された電気化学1Dモデルを得て、当該電気化学1Dモデルに基づいて、現状の累積使用期間に応じた新たな制御マップを用意してもよい。そして、工程Dでは、工程Cで、制御マップM1の更新が「必要」と判定された場合に、このように用意された新たな制御マップに、制御装置220の記憶部F2に記憶された制御マップM1を更新する。このように、工程Dで更新された制御マップM1は、劣化が進んだ車両用二次電池100に対して出力(放電)または入力(充電)可能な電力(W)を適切に低く抑え、過度な出力(放電)または入力(充電)を抑制するものであるとよい。
上述した車両用二次電池の制御マップの更新方法では、例えば、電気化学1Dモデルを利用する工程Bの計算負荷が大きい。車載された演算装置に、かかる工程Bの演算を賄わせる場合、車載するコンピュータの処理速度を上げる必要があるなど、車載装置のコストが高くなる。また、制御装置220に記憶された初期の制御マップM1は、例えば、初期の車両用二次電池100に対して、10年程度の所要の使用年数に耐えうるように設計されている。このため、制御マップM1は、頻繁に更新される必要はない。本発明者は、例えば、車検時のように車両が定期的に整備される際に、車載装置を外部端末に接続し、外部端末によって工程Bや工程Cなどの処理が行なわれるとよいと考えている。例えば、車両整備の際、図1のように、車両用二次電池100の制御装置220は、整備事業者(例えば、車両を販売した販売店)の端末320(外部端末1)に接続される。整備事業者の端末320は、例えば、インターネットのような通信回線を通じてメーカーの端末340(外部端末2)に接続される。
そして、整備事業者の端末320は、制御装置220の記憶部F1から車両用二次電池100の使用情報を吸い上げる。整備事業者の端末320は、吸い上げた車両用二次電池100の使用情報をさらにメーカーの端末340に送信する。そして、メーカーの端末は、受信した車両用二次電池100の使用情報に基づいて、当該車両用二次電池100の電気化学1Dモデルを得る。そして、得られた電気化学1Dモデルに基づいて、車両用二次電池100に劣化の程度に応じた制御マップM2を算出する(工程B)。メーカーの端末340は、制御マップM2と、車両用二次電池100に記憶されている制御マップM1とを比べて、制御マップM1の更新の要否を判定する(工程C)。そして、制御マップM1の更新が必要と判定された場合には、制御マップM1を新たな制御マップ(例えば、車両用二次電池100に劣化の程度に応じて算出された制御マップM2)に更新する(工程D)。
この場合、メーカーの端末340は、制御マップM2を算出する演算部F41と、制御マップM1の更新が必要か否かを判定する判定部F42と、更新する新たな制御マップを作成する演算部F43とを備えているとよい。判定部F42で制御マップM1の更新が必要と判定された場合には、演算部F43で新たな制御マップが作成される。そして、メーカーの端末340から整備事業者の端末320に新たな制御マップが送信され、整備事業者の端末320を通じて車載された制御装置220の制御マップM1を新たな制御マップに書き換えるとよい。この場合、整備事業者の端末320は、例えば、車載された制御装置220とデータを送受信する処理部F21と、メーカーの端末340とデータを送受信する処理部F22と、車載された制御装置220の制御マップM1を、新たな制御マップに書き換える処理部F23とを備えているとよい。
このように車両用二次電池の制御マップの更新方法では、車両用二次電池100の劣化の程度を考慮して制御マップM1を適切に更新できる。また、制御マップM1を更新するか否かの判定についての計算は、計算負荷が大きい。かかる計算負荷が大きい計算を外部端末で行なうことによって、車両に搭載するECUの計算負荷を軽減することができる。また、かかる車両用二次電池の制御マップの更新方法を、メーカー側の端末のような外部端末で実行させることによって、制御装置220に記憶された制御マップM1を、整備時における最新のメーカー側の知見を基に更新することができる。このため、最新の知見を基にして車両を出荷したときよりも適切な制御マップを適宜にユーザーに提供できる。また、メーカーの端末340において、各車両に搭載された制御装置220に記憶されている制御マップM1を管理することができ、メーカー側で車両用二次電池100の制御マップを一元的に管理することができる。
以上、ここで提案される車両用二次電池の制御マップの更新方法を種々説明した。ここで提案される車両用二次電池の制御マップの更新方法は、特に言及されない限りにおいて、上述した実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。
10 車両
100 車両用二次電池
200 ECU
220 制御装置
320 整備事業者の端末
340 メーカーの端末

Claims (1)

  1. 記憶された制御マップM1に基づいて車両用二次電池を制御する制御装置において、制御マップM1を更新する方法であって、
    前記車両用二次電池の使用情報を記憶する工程Aと、
    工程Aで記憶された前記車両用二次電池の使用情報に基づいて、前記車両用二次電池の状態に応じた制御マップM2を得る工程Bと、
    前記制御マップM2と前記制御マップM1とを比べて更新の要否を判定する工程Cと、
    前記工程Cで更新が必要と判断された場合に、前記制御マップM1を更新する工程Dと
    を含む、車両用二次電池の制御マップの更新方法。
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