JP2017135248A - 電磁波シールドフィルム及びプリント配線基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性粒子として金属粒子を用いた場合と比較して、コストを低減することができ、導電性接着剤層の導電性をより均一化することができ、且つ、生産性(作業性)を向上することが可能な電磁波シールドフィルム、及びそれを用いたプリント配線基板を提供する。【解決手段】支持基材と、前記支持基材の一方の面に配置された金属蒸着膜と、前記金属蒸着膜上に配置された、有機バインダ、黒鉛粒子、及びカーボンブラック粒子を含む導電性接着剤層と、を有する電磁波シールドフィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、電磁波シールドフィルム及びそれを用いたプリント配線基板に関する。
近年、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の通信機器、及びその他の電子機器に使用される配線基板としては、製品の薄型化及び性能向上に伴い、薄型で複雑な形状加工が可能なフレキシブルプリント配線基板が主流となっている。その一方で、フレキシブルプリント配線基板を含む電子部品は高密度化しており、電子部品から発生する電磁波により、誤作動、通信時間遅延等の障害が起こるリスクが増大している。このため、フレキシブルプリント配線基板においては、通常、電磁波に対する対策が講じられている。
一般に、フレキシブルプリント配線基板の電磁波対策は、電磁波シールドフィルムを用いて行われる。電磁波シールドフィルムは、例えば、金属蒸着フィルムの金属蒸着面に、導電性粒子として金属粒子を含有する導電性接着剤を塗工し、導電性接着剤層を形成したものである(例えば、特許文献1参照)。フレキシブルプリント配線基板の片面又は両面に電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層を配置し、熱圧着することにより、電磁波対策を図ることができる。なお、電磁波シールドフィルムに導電性接着剤を使用する理由は、電磁波シールドフィルムをフレキシブルプリント配線基板に熱圧着する際に、フレキシブルプリント配線基板のグランド(アース)回路との接続が可能となり、電磁波シールド性能を発揮させることができるためである。
ところで、特許文献1等の既存の電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層には、導電性粒子として金属粒子が含まれている。金属粒子としては、導電性を考慮し、銀粒子、又は汎用の金属粒子に銀をメッキした金属粒子が使用されることが多い。
しかし、銀粒子は非常に高価であり、最終製品のコスト上昇に連動してしまう。また、金属粒子に銀を用いた場合には、高温高湿下でマイグレーションによる不具合が発生することが知られている。金属粒子に銀を用いず、汎用の銅粒子を使用することも考えられるが、経時変化による酸化の影響が大きく、導電性の低下が大きくなる。
また、金属粒子は一般に高比重であるため、導電性接着剤層の厚みを薄くするために導電性接着剤を低粘度化すると、導電性接着剤中で金属粒子が沈降し易い。金属粒子が沈降した状態で導電性接着剤を塗工すると、得られる導電性接着剤層の導電性が不均一になる問題が生じる。この問題を避けるため、導電性接着剤の塗工前に導電性接着剤を再混合すると、生産性(作業性)の低下に繋がってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、導電性粒子として金属粒子を用いた場合と比較して、コストを低減することができ、導電性接着剤層の導電性をより均一化することができ、且つ、生産性(作業性)を向上することが可能な電磁波シールドフィルム、及びそれを用いたプリント配線基板を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 支持基材と、前記支持基材の一方の面に配置された金属蒸着膜と、前記金属蒸着膜上に配置された、有機バインダ、黒鉛粒子、及びカーボンブラック粒子を含む導電性接着剤層と、を有する電磁波シールドフィルム。
<1> 支持基材と、前記支持基材の一方の面に配置された金属蒸着膜と、前記金属蒸着膜上に配置された、有機バインダ、黒鉛粒子、及びカーボンブラック粒子を含む導電性接着剤層と、を有する電磁波シールドフィルム。
<2> 前記有機バインダが、(メタ)アクリル樹脂及び変性(メタ)アクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である<1>に記載の電磁波シールドフィルム。
<3> 前記導電性接着剤層における前記黒鉛粒子の含有量と、前記カーボンブラック粒子の含有量との質量比(黒鉛粒子/カーボンブラック粒子)が、40/60〜90/10である<1>又は<2>に記載の電磁波シールドフィルム。
<4> 前記黒鉛粒子の平均粒径が、2μm〜20μmである<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
<5> 前記カーボンブラック粒子の平均粒径が、20nm〜100nmである<1>〜<4>のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
<6> 前記黒鉛粒子の形状が、不定形、球状、鱗状、鱗片状、及び紐状からなる群より選択される少なくとも1種である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
<7> 前記黒鉛粒子及び前記カーボンブラック粒子の純度が、99質量%以上である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
<8> 前記導電性接着剤層における前記有機バインダの含有量と、前記黒鉛粒子及び前記カーボンブラック粒子の合計の含有量との質量比(有機バインダ/(黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子の合計))が、50/50〜90/10である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
<9> 前記導電性接着剤層の平均厚みが、5μm〜50μmである<1>〜<8>のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
<10> 前記金属蒸着膜がアルミニウム蒸着膜である<1>〜<9>のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
<11> 前記導電性接着剤層の前記金属蒸着膜とは反対側の面に配置された保護材を更に有する<1>〜<10>のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
<12> <1>〜<11>のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムを備えるプリント配線基板。
本発明によれば、導電性粒子として金属粒子を用いた場合と比較して、コストを低減することができ、導電性接着剤層の導電性をより均一化することができ、且つ、生産性(作業性)を向上することが可能な電磁波シールドフィルム、及びそれを用いたプリント配線基板を提供することができる。
以下、本実施形態の電磁波シールドフィルム及びそれを用いたプリント配線基板の一例について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「(メタ)アクリル樹脂」との語は、アクリル樹脂又はメタクリル樹脂を示す。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「(メタ)アクリル樹脂」との語は、アクリル樹脂又はメタクリル樹脂を示す。
≪電磁波シールドフィルム≫
本実施形態の電磁波シールドフィルムは、支持基材と、前記支持基材の一方の面に配置された金属蒸着膜と、前記金属蒸着膜上に配置された、有機バインダ、黒鉛粒子、及びカーボンブラック粒子を含む導電性接着剤層と、を有する。以下、電磁波シールドフィルムの各構成要素について詳細に説明する。
本実施形態の電磁波シールドフィルムは、支持基材と、前記支持基材の一方の面に配置された金属蒸着膜と、前記金属蒸着膜上に配置された、有機バインダ、黒鉛粒子、及びカーボンブラック粒子を含む導電性接着剤層と、を有する。以下、電磁波シールドフィルムの各構成要素について詳細に説明する。
<支持基材>
支持基材としては、例えば、プラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル樹脂:ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂などが挙げられる。支持基材は、無延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムであってもよい。また、支持基材は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。これらのプラスチックフィルムの中でも、耐熱性、透明性等の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリプロピレンフィルムが好ましい。
支持基材としては、例えば、プラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル樹脂:ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂などが挙げられる。支持基材は、無延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムであってもよい。また、支持基材は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。これらのプラスチックフィルムの中でも、耐熱性、透明性等の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリプロピレンフィルムが好ましい。
<金属蒸着膜>
金属蒸着膜は、支持基材の一方の表面に配置される。金属蒸着膜の材質としては、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等が挙げられる。耐酸化性、コスト等の観点から、金属蒸着膜としては、アルミニウム蒸着膜が好ましい。
金属蒸着膜は、支持基材の一方の表面に配置される。金属蒸着膜の材質としては、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等が挙げられる。耐酸化性、コスト等の観点から、金属蒸着膜としては、アルミニウム蒸着膜が好ましい。
片面に金属蒸着膜が配置された支持基材は、市販品としても入手することができる。例えば、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの市販品としては、ML PET#12、ML PET−C#12(以上、三井化学東セロ(株))、VM−PET1510(#12)、VM−PET1310(#12)(以上、東レフィルム加工(株))、ヒタパックス VM−PET(日立エーアイシー(株))等が挙げられる。また、アルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムの市販品としては、ヒタパックス F−66、F−77(以上、日立エーアイシー(株))等が挙げられる。
<導電性接着剤層>
導電性接着剤層は、有機バインダと、導電性粒子である黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子とを含み、金属蒸着膜上に配置される。導電性接着剤層は、例えば、導電性接着剤を金属蒸着膜上に塗工することにより、形成することができる。
導電性接着剤層は、有機バインダと、導電性粒子である黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子とを含み、金属蒸着膜上に配置される。導電性接着剤層は、例えば、導電性接着剤を金属蒸着膜上に塗工することにより、形成することができる。
[導電性接着剤]
導電性接着剤は、有機バインダ、黒鉛粒子、及びカーボンブラック粒子を含有する。導電性接着剤は、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。以下、導電性接着剤に含有される成分について説明する。
導電性接着剤は、有機バインダ、黒鉛粒子、及びカーボンブラック粒子を含有する。導電性接着剤は、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。以下、導電性接着剤に含有される成分について説明する。
(有機バインダ)
有機バインダは、特に制限されず、導電性接着剤に使用されてきた公知の有機バインダを用いることができる。有機バインダの中でも、導電性粒子の結着効果に優れ、塗工性が良好であり、導電性接着剤層を形成した際に接着性及び弾性を示すものが好ましい。
有機バインダは、特に制限されず、導電性接着剤に使用されてきた公知の有機バインダを用いることができる。有機バインダの中でも、導電性粒子の結着効果に優れ、塗工性が良好であり、導電性接着剤層を形成した際に接着性及び弾性を示すものが好ましい。
有機バインダとしては、(メタ)アクリル樹脂、変性(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの有機バインダは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機バインダは、揮発成分を含まない無溶剤形であってもよく、溶剤に希釈した溶剤形であってもよい。希釈する場合の溶剤は特に制限されず、キシレン、トルエン、アルコール溶剤、ケトン溶剤等の一般的な溶剤を使用することができる。また、環境及び安全性を考慮して、専用シンナーを使用してもよい。
有機バインダには、必要に応じて、架橋剤等の添加剤が併用される。
有機バインダには、必要に応じて、架橋剤等の添加剤が併用される。
有機バインダの中でも、コスト、接着性、低弾性、及び作業性(導電性粒子の分散混合性、塗工性、乾燥性等)の観点から、(メタ)アクリル樹脂及び変性(メタ)アクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。変性(メタ)アクリル樹脂としては、エポキシ変性(メタ)アクリル樹脂、ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂及び変性(メタ)アクリル樹脂の性状は、導電性粒子との混合性、金属蒸着膜への塗工性の観点から、液状タイプであることが好ましい。また、金属蒸着膜とプリント配線基板との接着性の観点から、無溶剤形の(メタ)アクリル樹脂又は変性(メタ)アクリル樹脂、或いは低沸点有機溶剤で希釈した低温での乾燥性に優れる(メタ)アクリル樹脂又は変性(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂及び変性(メタ)アクリル樹脂の好ましい市販品としては、3030シリーズ((株)スリーボンド)、エクセロールシリーズ(亜細亜工業(株))、アクリデイック A−1300、A−1370、A−1371、A−166、A−165(以上、DIC(株))、ハイボン 8753(日立化成ポリマー(株))等が挙げられる。
(導電性粒子)
導電性接着剤は、導電性粒子として、黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子を含有する。黒鉛粒子とカーボンブラック粒子とを併用することにより、導電性接着剤の導電性及び塗工性を向上させることが可能となる。
導電性接着剤は、導電性粒子として、黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子を含有する。黒鉛粒子とカーボンブラック粒子とを併用することにより、導電性接着剤の導電性及び塗工性を向上させることが可能となる。
黒鉛粒子は、特に制限されず、人造黒鉛であっても天然黒鉛であってもよい。また、黒鉛粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。黒鉛粒子を2種以上併用する態様としては、例えば、同じ形状で平均粒径が異なる黒鉛粒子を2種以上用いる場合、平均粒径が同じで形状の異なる黒鉛粒子を2種以上用いる場合、並びに平均粒径及び形状の異なる黒鉛粒子を2種以上用いる場合が挙げられる。
黒鉛粒子の形状は、特に制限されず、不定形、球状、鱗状、鱗片状、及び紐状からなる群より選択される少なくとも1種とすることができる。その中でも、導電性及び有機バインダとの混合性の観点から、鱗状の黒鉛粒子が好ましい。鱗状の黒鉛粒子は、例えば、球状の黒鉛粒子に比べて、黒鉛粒子同士の接触面積が大きくなり、導電性が高まる傾向にある。また、鱗状の黒鉛粒子は、例えば、紐状の黒鉛粒子に比べて、導電性接着剤の粘度上昇を抑えられる傾向にある。
黒鉛粒子の平均粒径は、例えば、2μm〜20μmであってもよい。黒鉛粒子の平均粒径が2μm以上であると、黒鉛粒子同士の接触確率が高くなり、導電性が向上する傾向にある。また、黒鉛粒子の平均粒径が20μm以下であると、得られる導電性接着剤層の凸凹が抑えられ、プリント配線基板への接着性が向上する傾向にある。
なお、黒鉛粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度分布測定装置により測定される体積基準の粒度分布において、小径側からの積算が50%となるときの粒径(D50)である。
なお、黒鉛粒子の平均粒径は、レーザー回折粒度分布測定装置により測定される体積基準の粒度分布において、小径側からの積算が50%となるときの粒径(D50)である。
黒鉛粒子としては、市販品を使用することもできる。鱗状黒鉛粒子の市販品としては、UF−2(純度:99質量%、平均粒径:5.2μm)、BF−3A(純度:99質量%以上、平均粒径:3.0μm)、BF−8A(純度:99質量%以上、平均粒径:8.0μm)、BF−20A(純度:99質量%以上、平均粒径:20μm)(以上、富士黒鉛工業(株))等が挙げられる。
カーボンブラック粒子としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック等が挙げられ、いずれの製造方法によって得られるものであってもよい。カーボンブラック粒子は、造粒によって得られる造粒物であってもよい。また、カーボンブラック粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。カーボンブラック粒子を2種以上併用する態様としては、例えば、同じ種類で平均粒径が異なるカーボンブラック粒子を2種以上用いる場合、平均粒径が同じで種類の異なるカーボンブラック粒子を2種以上用いる場合、並びに平均粒径及び種類の異なるカーボンブラック粒子を2種以上用いる場合が挙げられる。
カーボンブラック粒子の平均粒径は、例えば、20nm〜100nmであってもよい。カーボンブラック粒子の平均粒径は、黒鉛粒子と同様に、レーザー回折粒度分布測定装置により測定することができる。
カーボンブラック粒子としては、市販品を使用することもできる。カーボンブラック粒子の市販品としては、#3030B(純度:99質量%以上、平均粒径:55nm)、#3050B(純度:99質量%以上、平均粒径:50nm)、#3230B(純度:99質量%以上、平均粒径:23nm)、#3400B(純度:99質量%以上、平均粒径:21nm)(以上、三菱化学(株))、EC 300J(純度:99質量%以上、平均粒径:39.5nm)、EC 600JD(純度:99質量%以上、平均粒径:34nm)(以上、ライオン(株))、トーカブラック #5500(純度:99質量%以上、平均粒径:25nm)、#4500(純度:99質量%以上、平均粒径:40nm)、#4400(純度:99質量%以上、平均粒径:38nm)、#4300(純度:99質量%以上、平均粒径:55nm)(以上、東海カーボン(株))等が挙げられる。
黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子は、導電性の観点から、純度(炭素分)が高いものが好ましい。黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子の純度は、例えば、99質量%以上であってもよい。
導電性接着剤における黒鉛粒子の含有量と、カーボンブラック粒子の含有量との質量比(黒鉛粒子/カーボンブラック粒子)は、例えば、40/60〜90/10であってもよい。質量比(黒鉛粒子/カーボンブラック粒子)が40/60以上であると、導電性接着剤の粘度上昇が抑えられ、導電性接着剤の混合均一性が高まる傾向にある。また、質量比(黒鉛粒子/カーボンブラック粒子)が90/10以下であると、導電性粒子間の空隙が少なくなり、導電性が向上する傾向にある。
導電性接着剤における有機バインダの含有量と、黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子の合計の含有量との質量比(有機バインダ/(黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子の合計))は、例えば、50/50〜90/10であってもよい。質量比(有機バインダ/(黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子の合計))が50/50以上であると、有機バインダによる結着効果が充分に得られ、接着剤が向上する傾向にある。また、質量比(有機バインダ/(黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子の合計))が90/10以下であると、充分な導電性が得られる傾向にある。
(分散剤)
導電性接着剤は、有機バインダと導電性粒子との混合性を高めるため、分散剤を含有することが好ましい。
分散剤の種類は、特に限定されない。カーボンブラック粒子は導電性接着剤中で再凝集しやすい傾向にあるため、分散剤としては、カーボンブラック粒子の分散に効果のある分散剤が好ましい。分散剤の好ましい市販品としては、BYK−9076、BYK−9077(以上、ビックケミー・ジャパン(株))等が挙げられる。
導電性接着剤は、有機バインダと導電性粒子との混合性を高めるため、分散剤を含有することが好ましい。
分散剤の種類は、特に限定されない。カーボンブラック粒子は導電性接着剤中で再凝集しやすい傾向にあるため、分散剤としては、カーボンブラック粒子の分散に効果のある分散剤が好ましい。分散剤の好ましい市販品としては、BYK−9076、BYK−9077(以上、ビックケミー・ジャパン(株))等が挙げられる。
導電性接着剤が分散剤を含有する場合、分散剤の含有量は、黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子の合計の含有量に対して、例えば、10質量%〜50質量%であってもよい。分散剤の含有量が10質量%以上であると、カーボンブラック粒子の再凝集が抑えられる傾向にあり、分散剤の含有量が50質量%以下であると、有機バインダの結着効果、並びに導電性接着剤の硬化性及び耐熱性が良好になる傾向にある。
[導電性接着剤の調製方法]
導電性接着剤を調製する際の各成分の配合順序は特に制限されない。導電性粒子の分散均一性を高める観点からは、有機バインダ(溶剤で希釈されている場合を含む)に分散剤を添加して混合した後、導電性粒子を添加して混合することが好ましい。
混合に用いる混合機は特に制限されない。カーボンブラック粒子の分散均一性を高める観点からは、ホモジナイザーを使用して混合することが好ましい。ホモジナイザーとしては、PT4000、PT10−35GT(以上、(株)セントラル科学貿易)等が挙げられる。
導電性接着剤を調製する際の各成分の配合順序は特に制限されない。導電性粒子の分散均一性を高める観点からは、有機バインダ(溶剤で希釈されている場合を含む)に分散剤を添加して混合した後、導電性粒子を添加して混合することが好ましい。
混合に用いる混合機は特に制限されない。カーボンブラック粒子の分散均一性を高める観点からは、ホモジナイザーを使用して混合することが好ましい。ホモジナイザーとしては、PT4000、PT10−35GT(以上、(株)セントラル科学貿易)等が挙げられる。
なお、凝集物を再分散させるため、導電性接着剤を使用する直前に、目開きが50μm〜100μm程度のメッシュを通過させてもよい。
[導電性接着剤層の形成方法]
導電性接着剤を金属蒸着膜上に塗工して導電性接着剤層を形成する方法は、特に制限されない。塗工方法としては、バーコート法、ダイコート法、ブレードコート法等が挙げられる。
導電性接着剤の塗工後には、必要に応じて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、導電性接着剤の組成に応じて適宜設定することができる。
導電性接着剤を金属蒸着膜上に塗工して導電性接着剤層を形成する方法は、特に制限されない。塗工方法としては、バーコート法、ダイコート法、ブレードコート法等が挙げられる。
導電性接着剤の塗工後には、必要に応じて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、導電性接着剤の組成に応じて適宜設定することができる。
なお、コストの観点から、導電性接着剤層の形成方法としては、塗工膜厚が可変の塗工装置を用いて、ロール巻きした金属蒸着フィルムに導電性接着剤を連続塗工し、続いて連続的に乾燥する方法が好ましい。
導電性接着剤層の厚みは、特に制限されない。導電性接着剤層の平均厚みは、例えば、5μm〜50μmであってもよい。なお、導電性接着剤層の平均厚みは、任意の10箇所における厚みの平均値とする。
<保護材>
本実施形態の電磁波シールドフィルムは、導電性接着剤層の金属蒸着膜とは反対側の面に配置された保護材を更に有していてもよい。電磁波シールドフィルムが保護材を有することにより、導電性接着剤層への塵の付着及び導電性接着剤層同士の接着を抑制することができる。
本実施形態の電磁波シールドフィルムは、導電性接着剤層の金属蒸着膜とは反対側の面に配置された保護材を更に有していてもよい。電磁波シールドフィルムが保護材を有することにより、導電性接着剤層への塵の付着及び導電性接着剤層同士の接着を抑制することができる。
保護材としては、特に制限されず、一般的な離型紙又は離型フィルムを用いることができる。
導電性接着剤層に保護材を配置する方法は、特に制限されない。例えば、ロール状にした保護材を用意しておき、導電性接着剤を連続塗工し、乾燥する最後の工程で、導電性接着剤の塗工面に連続的に保護材をラミネートする方法が挙げられる。
導電性接着剤層に保護材を配置する方法は、特に制限されない。例えば、ロール状にした保護材を用意しておき、導電性接着剤を連続塗工し、乾燥する最後の工程で、導電性接着剤の塗工面に連続的に保護材をラミネートする方法が挙げられる。
≪プリント配線基板≫
本実施形態のプリント配線基板は、前述した本実施形態の電磁波シールドフィルムを備えるものである。本実施形態のプリント配線基板は、例えば、本実施形態の電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層をプリント配線基板の片面又は両面に貼り合わせ、加熱及び加圧することにより得ることができる。加熱及び加圧の条件は、特に制限されない。
本実施形態のプリント配線基板は、前述した本実施形態の電磁波シールドフィルムを備えるものである。本実施形態のプリント配線基板は、例えば、本実施形態の電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層をプリント配線基板の片面又は両面に貼り合わせ、加熱及び加圧することにより得ることができる。加熱及び加圧の条件は、特に制限されない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
(1)導電性接着剤の調製
有機バインダとして、アクリル樹脂(ハイボン8753、日立化成ポリマー(株))を、専用シンナーにて樹脂固形分20%に調整したものを使用した。上記の有機バインダ40g(樹脂固形分8g)に、分散剤(BYK−9076、ビックケミー・ジャパン(株))を0.4g添加し、ホモジナイザー(PT4000、(株)セントラル科学貿易)を用いて1分間混合することにより、配合物Aを得た。
(1)導電性接着剤の調製
有機バインダとして、アクリル樹脂(ハイボン8753、日立化成ポリマー(株))を、専用シンナーにて樹脂固形分20%に調整したものを使用した。上記の有機バインダ40g(樹脂固形分8g)に、分散剤(BYK−9076、ビックケミー・ジャパン(株))を0.4g添加し、ホモジナイザー(PT4000、(株)セントラル科学貿易)を用いて1分間混合することにより、配合物Aを得た。
次いで、鱗状黒鉛粒子(UF−2、純度:99%、平均粒径:5.2μm、富士黒鉛工業(株))80部と、ケッチェンブラック粒子(EC 600JD、純度:99%以上、平均粒径:34nm、ライオン(株))20部とを乾式混合した導電性粒子2.0gを、上記の配合物Aに配合し、ホモジナイザー(PT4000、(株)セントラル科学貿易)を用いて10分間混合した。得られた混合物を目開き75μmのメッシュに通し、導電性接着剤を調製した。
(2)アルミニウム蒸着PETフィルムへの導電性接着剤の塗工
A4サイズ(210mm×297mm)にカットしたアルミニウム蒸着PETフィルム(ヒタパックス VM−PET、厚み:25μm、アルミニウム蒸着膜の厚み:0.05μm、日立エーアイシー(株))を、アルミニウム蒸着面を上にして、歪みのないように接着テープを用いてガラス板に貼り付けた。
A4サイズ(210mm×297mm)にカットしたアルミニウム蒸着PETフィルム(ヒタパックス VM−PET、厚み:25μm、アルミニウム蒸着膜の厚み:0.05μm、日立エーアイシー(株))を、アルミニウム蒸着面を上にして、歪みのないように接着テープを用いてガラス板に貼り付けた。
塗工ギャップを90μmに設定した塗工用アプリケーター(YBA型ベーカーアプリケーター、ヨシミツ精機(株))を、アルミニウム蒸着PETフィルムを貼り付けたガラス板上に載せ、アプリケーターの有効塗工幅(75mm)に合わせて、実施例1(1)で調製した導電性接着剤をスポイトにて流し込んだ。そして、アプリケーターの両隅を持ってゆっくりと移動させ、アルミニウム蒸着PETフィルムのアルミニウム蒸着面に導電性接着剤を塗工し、導電性接着剤層を形成した。
(3)導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルムの作製
実施例1(2)で作製した塗工物をそのまま室温(25℃)にて10分間放置した後、80℃に昇温した乾燥機内で20分間熱処理を行い、導電性接着剤に含まれる溶剤を除去した。熱処理後、塵の付着がないように冷却用の箱に入れ、1時間室温にて冷却し、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を得た。導電性接着剤層の厚みは15μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
実施例1(2)で作製した塗工物をそのまま室温(25℃)にて10分間放置した後、80℃に昇温した乾燥機内で20分間熱処理を行い、導電性接着剤に含まれる溶剤を除去した。熱処理後、塵の付着がないように冷却用の箱に入れ、1時間室温にて冷却し、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を得た。導電性接着剤層の厚みは15μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
[実施例2]
実施例1(1)において、鱗状黒鉛粒子(UF−2、純度:99%、平均粒径:5.2μm、富士黒鉛工業(株))70部と、ケッチェンブラック粒子(EC 600JD、純度:99%以上、平均粒径:34nm、ライオン(株))30部とを乾式混合した導電性粒子を用いたほかは、実施例1と同様にして、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を作製した。導電性接着剤層の厚みは18μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
実施例1(1)において、鱗状黒鉛粒子(UF−2、純度:99%、平均粒径:5.2μm、富士黒鉛工業(株))70部と、ケッチェンブラック粒子(EC 600JD、純度:99%以上、平均粒径:34nm、ライオン(株))30部とを乾式混合した導電性粒子を用いたほかは、実施例1と同様にして、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を作製した。導電性接着剤層の厚みは18μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
[実施例3]
(1)導電性接着剤の調製
有機バインダとして、アクリル樹脂(ハイボン8753、日立化成ポリマー(株))を、専用シンナーにて樹脂固形分20%に調整したものを使用した。上記の有機バインダ35g(樹脂固形分7g)に、分散剤(BYK−9076、ビックケミー・ジャパン(株))を0.6g添加し、ホモジナイザー(PT4000、(株)セントラル科学貿易)を用いて1分間混合することにより、配合物Bを得た。
(1)導電性接着剤の調製
有機バインダとして、アクリル樹脂(ハイボン8753、日立化成ポリマー(株))を、専用シンナーにて樹脂固形分20%に調整したものを使用した。上記の有機バインダ35g(樹脂固形分7g)に、分散剤(BYK−9076、ビックケミー・ジャパン(株))を0.6g添加し、ホモジナイザー(PT4000、(株)セントラル科学貿易)を用いて1分間混合することにより、配合物Bを得た。
次いで、鱗状黒鉛粒子(UF−2、純度:99%、平均粒径:5.2μm、富士黒鉛工業(株))80部と、ケッチェンブラック粒子(EC 600JD、純度:99%以上、平均粒径:34nm、ライオン(株))20部とを乾式混合した導電性粒子3.0gを、上記の配合物Bに配合し、ホモジナイザー(PT4000、(株)セントラル科学貿易)を用いて10分間混合した。得られた混合物を目開き75μmのメッシュに通し、凝集物を再分させることにより、導電性接着剤を調製した。
(2)アルミニウム蒸着PETフィルムへの導電性接着剤の塗工
実施例3(1)で調製した導電性接着剤を用い、塗工用アプリケーターの塗工ギャップを80μmに設定したほかは、実施例1(2)と同様にして、塗工物を得た。
実施例3(1)で調製した導電性接着剤を用い、塗工用アプリケーターの塗工ギャップを80μmに設定したほかは、実施例1(2)と同様にして、塗工物を得た。
(3)導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルムの作製
実施例3(2)で得た塗工物を用いたほかは、実施例1(3)と同様にして、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を得た。導電性接着剤層の厚みは17μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
実施例3(2)で得た塗工物を用いたほかは、実施例1(3)と同様にして、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を得た。導電性接着剤層の厚みは17μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
[実施例4]
実施例3(1)において、鱗状黒鉛粒子(UF−2、純度:99%、平均粒径:5.2μm、富士黒鉛工業(株))70部と、ケッチェンブラック粒子(EC 600JD、純度:99%以上、平均粒径:34nm、ライオン(株))30部とを乾式混合した導電性粒子を用いたほかは、実施例3と同様にして、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を作製した。導電性接着剤層の厚みは16μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
実施例3(1)において、鱗状黒鉛粒子(UF−2、純度:99%、平均粒径:5.2μm、富士黒鉛工業(株))70部と、ケッチェンブラック粒子(EC 600JD、純度:99%以上、平均粒径:34nm、ライオン(株))30部とを乾式混合した導電性粒子を用いたほかは、実施例3と同様にして、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を作製した。導電性接着剤層の厚みは16μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
[比較例1]
実施例1(1)において、導電性粒子として鱗状黒鉛粒子(UF−2、純度:99%、平均粒径:5.2μm、富士黒鉛工業(株))のみを用いたほかは、実施例1と同様にして、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を作製した。導電性接着剤層の厚みは18μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
実施例1(1)において、導電性粒子として鱗状黒鉛粒子(UF−2、純度:99%、平均粒径:5.2μm、富士黒鉛工業(株))のみを用いたほかは、実施例1と同様にして、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を作製した。導電性接着剤層の厚みは18μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
[比較例2]
実施例3(1)において、導電性粒子として鱗状黒鉛粒子(UF−2、純度:99%、平均粒径:5.2μm、富士黒鉛工業(株))のみを用いたほかは、実施例3と同様にして、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を作製した。導電性接着剤層の厚みは19μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
実施例3(1)において、導電性粒子として鱗状黒鉛粒子(UF−2、純度:99%、平均粒径:5.2μm、富士黒鉛工業(株))のみを用いたほかは、実施例3と同様にして、導電性接着剤層付きアルミニウム蒸着PETフィルム(電磁波シールドフィルム)を作製した。導電性接着剤層の厚みは19μmであり、導電性接着剤層の表面は充分な粘着性を示した。
[参考例1]
導電性接着剤を塗工しないアルミニウム蒸着PETフィルム(ヒタパックス VM−PET、厚み:25μm、アルミニウム蒸着膜の厚み:0.05μm、日立エーアイシー(株))を電磁波シールドフィルムとして準備した。
導電性接着剤を塗工しないアルミニウム蒸着PETフィルム(ヒタパックス VM−PET、厚み:25μm、アルミニウム蒸着膜の厚み:0.05μm、日立エーアイシー(株))を電磁波シールドフィルムとして準備した。
[評価]
以下のように、導電性接着剤の比抵抗、導電性接着剤の接着性、電磁波シールドフィルムのシールド性に関して評価を行った。結果を表1〜表3に示す。なお、参考例1の電磁波シールドフィルムは導電性接着剤を塗工していないため、シールド性に関してのみ評価を行った。
以下のように、導電性接着剤の比抵抗、導電性接着剤の接着性、電磁波シールドフィルムのシールド性に関して評価を行った。結果を表1〜表3に示す。なお、参考例1の電磁波シールドフィルムは導電性接着剤を塗工していないため、シールド性に関してのみ評価を行った。
(導電性接着剤の比抵抗)
実施例1〜4及び比較例1〜2で調製した導電性接着剤を厚み23μmのPETフィルムに塗工し、フィルム幅30mm、長さ100mmの測定用試料を作製した。上記測定用試料を用い、電流0.1Aを通電したときの10mm間の抵抗を測定し、比抵抗値を求めた。
実施例1〜4及び比較例1〜2で調製した導電性接着剤を厚み23μmのPETフィルムに塗工し、フィルム幅30mm、長さ100mmの測定用試料を作製した。上記測定用試料を用い、電流0.1Aを通電したときの10mm間の抵抗を測定し、比抵抗値を求めた。
(導電性接着剤の接着性)
プリント配線基板の代替として、幅20mmのポリイミド(PI)片面粘着フィルム(360UL、日東電工(株))を使用し、PIフィルムと導電性接着剤との接着性を簡易的に確認した。
プリント配線基板の代替として、幅20mmのポリイミド(PI)片面粘着フィルム(360UL、日東電工(株))を使用し、PIフィルムと導電性接着剤との接着性を簡易的に確認した。
具体的には、まず、PI片面粘着フィルム(20mm×20mm)の粘着面をガラス板に貼り付けた。次いで、実施例1〜4及び比較例1〜2の電磁波シールドフィルムを切断加工(20mm×60mm)し、導電性接着剤層の20mm×20mmの領域をPIフィルムに仮付けした。残分となる導電性接着剤層の20mm×40mmの領域には、アルミニウム箔を貼り付けて、引き剥がし部とした。次いで、仮付けした電磁波シールドフィルムを完全に接着させるため、鏡板状態に研磨加工した接着部加圧用板(20mm×20mm×3mm)を電磁波シールドフィルムの仮付け部上(PETフィルム面)に載せ、卓上テストプレス機を使用し、1枚毎に、熱盤温度80℃、圧力0.5kg/cm2、15分間の条件で加熱及び加圧した。
その後、電磁波シールドフィルムの引き剥がし部を持って電磁波シールドフィルムをPIフィルムから引き剥がし、PIフィルム上に残存した導電性接着剤の付着量を目視により確認した。そして、導電性接着剤の付着量が多いものを「A」、導電性接着剤の付着量が中程度であるものを「B」、導電性接着剤の付着量が少ないものを「C」として、接着性を評価した。
(シールド性)
実施例1〜4、比較例1〜2、及び参考例1の電磁波シールドフィルムについて、KEC関西電子工業振興センターで開発されたKEC法を用いて、測定周波数10MHz、100MHz、及び1000MHzにおける電界及び磁界のシールド性を測定した。KEC法によるシールド性は、吸収性及び反射性により電磁波を遮断する程度を表す値として測定される。なお、測定には、千葉県産業支援技術研究所の装置を使用した。
実施例1〜4、比較例1〜2、及び参考例1の電磁波シールドフィルムについて、KEC関西電子工業振興センターで開発されたKEC法を用いて、測定周波数10MHz、100MHz、及び1000MHzにおける電界及び磁界のシールド性を測定した。KEC法によるシールド性は、吸収性及び反射性により電磁波を遮断する程度を表す値として測定される。なお、測定には、千葉県産業支援技術研究所の装置を使用した。
表1〜表3から分かるように、実施例1〜4で調製した黒鉛粒子とカーボンブラック粒子とを含む導電性接着剤は、比較例1〜2で調製した黒鉛粒子のみを含む導電性接着剤に比べて、比抵抗値が低く導電性に優れ、且つ、接着性にも優れていた。また、実施例1〜4の電磁波シールドフィルムは、比較例1〜2の電磁波シールドフィルムに比べて、特に低周波数域(100MHz以下)における電界シールド性に優れており、導電性接着剤層を有しない参考例1の電磁波シールドフィルムと同程度の電磁界シールド特性を示した。
Claims (12)
- 支持基材と、前記支持基材の一方の面に配置された金属蒸着膜と、前記金属蒸着膜上に配置された、有機バインダ、黒鉛粒子、及びカーボンブラック粒子を含む導電性接着剤層と、を有する電磁波シールドフィルム。
- 前記有機バインダが、(メタ)アクリル樹脂及び変性(メタ)アクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記導電性接着剤層における前記黒鉛粒子の含有量と、前記カーボンブラック粒子の含有量との質量比(黒鉛粒子/カーボンブラック粒子)が、40/60〜90/10である請求項1又は請求項2に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記黒鉛粒子の平均粒径が、2μm〜20μmである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記カーボンブラック粒子の平均粒径が、20nm〜100nmである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記黒鉛粒子の形状が、不定形、球状、鱗状、鱗片状、及び紐状からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記黒鉛粒子及び前記カーボンブラック粒子の純度が、99質量%以上である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記導電性接着剤層における前記有機バインダの含有量と、前記黒鉛粒子及び前記カーボンブラック粒子の合計の含有量との質量比(有機バインダ/(黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子の合計))が、50/50〜90/10である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記導電性接着剤層の平均厚みが、5μm〜50μmである請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記金属蒸着膜がアルミニウム蒸着膜である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記導電性接着剤層の前記金属蒸着膜とは反対側の面に配置された保護材を更に有する請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
- 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムを備えるプリント配線基板。
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JP2016013641A JP2017135248A (ja) | 2016-01-27 | 2016-01-27 | 電磁波シールドフィルム及びプリント配線基板 |
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JP2021086948A (ja) * | 2019-11-28 | 2021-06-03 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 電磁波シールドシート、および電磁波シールド性配線回路基板 |
-
2016
- 2016-01-27 JP JP2016013641A patent/JP2017135248A/ja active Pending
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JP7400406B2 (ja) | 2019-11-28 | 2023-12-19 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 電磁波シールドシート、および電磁波シールド性配線回路基板 |
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