JP2017133125A - 複合紡績糸およびそれを用いてなる繊維構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、2以上の異なる短繊維が混在してなる複合紡績糸において、少なくとも一種の短繊維が植物繊維であり、染色差の変化によって豊かな意匠性を有すると同時に、前記の植物繊維が有する独自の風合いを含む、複数の好ましい風合いを有する複合紡績糸と繊維構造物を提供する。
【解決手段】
本発明の複合紡績糸は、2以上の異なる短繊維が混在してなる複合紡績糸であって、少なくとも一種の短繊維が植物繊維であり、前記の複合紡績糸の縦列方向に断続的に前記の異なる短繊維の混率が切替っている複合紡績糸である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紡績糸の縦列方向に断続的に異なる短繊維の混率が切替る複合紡績糸、およびその複合紡績糸を用いてなる繊維構造物に関するものであり、詳しくは、染色変化が豊かな意匠性を有すると同時に、複合紡績糸でありながら植物繊維の有する風合いが損なわれずに発揮され、さらには同一繊維構造物内で複数の好ましい風合いが発揮される複合紡績糸とその複合紡績糸からなる繊維構造物に関するものである。
従来から、2種以上の短繊維を混ぜ合わせて糸等の複合紡績糸を製造する方法としては、混打綿工程で原綿(短繊維)を混ぜ合わせる方法や、練条工程や粗紡工程でスライバーを混ぜ合わせる方法、精紡工程で粗糸を混ぜ合わせる方法、および、でき上がった単糸を撚糸工程で撚り合わせる方法など、多種に渡って行われてきた。
従来のこれらの方法で製造された複合紡績糸は、短繊維同士が均一にされていることから、それぞれの短繊維の特徴が複合紡績糸の縦列方向に常に一定であるため、この複合紡績糸を用いてなる繊維構造物は、物性や機能性なども一定で品位も安定しており、一般的に好まれて使用されている。
他方、短繊維を均一に混ぜることを好まない用途もあり、代表的なものとして杢糸が挙げられる。杢糸は異色に染色された短繊維(原綿)や異染色の短繊維を10質量%以下と低い率にすることにより、混打綿における分散性の悪さから、短繊維が均一にされずに杢糸となる。しかしながら、この方法では、先染め短繊維(原綿)を使用する場合には、工場内での異繊維が混入する危険性が高いという課題がある。また、この方法により製造される複合紡績糸は、短繊維の混率の変化が乏しいため、杢の見え方が平凡であるという課題もあるため、その他の方法が種々検討されている。
そのような中、連続した幹糸に不連続に部分的に貼り付けられた形態のパッチ糸からなる複合糸(特許文献1参照。)、繊維Aと繊維Bの比率が0.1<A/B<1.5となるよう混用率を調整する複合紡績糸(特許文献2参照。)、および、繊維束の供給速度を変化させることにより2本の繊維束のうち、1本が外周に露出したり中心に入ったりする複合糸(特許文献3参照。)などが提案されている。
これらの方法によって、複合紡績糸の混率変化は大きくなる傾向にあるが、未だその変化は乏しく、杢の見え方は依然として平凡かつ単調である。また、特に複合紡績糸の構成繊維として植物繊維を用いる場合には、植物繊維が複合紡績糸の内部に閉じ込められることにより、植物繊維が有する独自の好ましい風合いが十分に発揮されずにいるという課題がある。
またその他の方法として、2種類以上の糸状を使用して生地をつくる交織や交編による繊維構造物があり、特殊な生地設計によって植物繊維が有する風合いを部分的に発揮することが可能となる場合があるが、生産管理が難しいという課題がある。
特開2005−213707号公報 特開平7−278981号公報 特開2000−303271号公報
そこで本発明の目的は、上記課題を解決すべく、2以上の短繊維が混在する複合紡績糸において、少なくとも一種の短繊維に植物繊維を用いることにより、染色差の変化によって豊かな意匠性を有すると同時に、前記の植物繊維が有する独自の風合いを含む、複数の好ましい風合いを有する複合紡績糸と、その複合紡績糸からなる繊維構造物を提供することにある。
本発明は、前記の課題を解決せんとするものであって、本発明の複合紡績糸は、2以上の短繊維が混在する複合紡績糸であって、少なくとも一種の短繊維が植物繊維であり、前記の複合紡績糸の縦列方向に断続的に前記の短繊維の混率が切替ることを特徴とする複合紡績糸である。
本発明の複合紡績糸の好ましい態様によれば、前記のいずれかの短繊維が、前記の複合紡績糸の縦列方向に断続的存在しない部分を有することである。
本発明においては、前記の複合紡績糸を用いて、織編物等繊維構造物を製造することができる。
本発明によれば、植物繊維が有する独自の風合いを含む、複数の好ましい風合いを有する複合紡績糸であって、それらの染色差の変化によって豊かな意匠性を有する複合紡績糸と、前記の複合紡績糸が有する特性を具えた繊維構造物が得られる。
次に、本発明の複合紡績糸の縦列方向に断続的に短繊維の混率が切替る複合紡績糸と繊維構造物の形態について説明する。
本発明の複合紡績糸は、2種以上の短繊維が混在する複合紡績糸であって、少なくとも一種の短繊維が植物繊維であり、前記の複合紡績糸の縦列方向に断続的に前記の異なる短繊維の混率が切替っている複合紡績糸である。
本発明の複合紡績糸には、植物繊維を含む2以上の短繊維が混在している。ここで記載される2種以上の短繊維とは、素材はもちろんのこと、同素材でも繊維長や単繊維繊度、または断面形状が異なるものや染色差が異なるものも一種の短繊維として数えられる。すなわち、例えば、同じ素材であるポリエステル繊維でも、断面形状が異なる丸断面と三角断面であれば2類の繊維であり、単繊維繊度も1.0dtexと2.0dtexであれば、2類の繊維である。また、原綿(短繊維)染色した黒色ポリエステル繊維と原綿(短繊維)染色していない白色ポリエステル繊維も2類の短繊維として数えられる。
ここで記載される2種以上の短繊維について、例えば、それらの短繊維を順に短繊維Aと、短繊維Bとすると、本発明の複合紡績糸に使用される少なくとも一種の短繊維Aは植物繊維であって、ここで記載される植物繊維とは、木綿、麻およびヤシなどが挙げれるが、特にソフトな風合いを重視する用途では木綿の使用が好ましく、シャリ感が好まれる用途では、麻の使用が好ましい。
また、本発明に用いる植物繊維の単繊維の直径は、複合紡績糸の製造安定性から好ましくは5〜50μmの植物繊維の入手が容易であり、汎用品として好ましく使用され、単繊維の直径が10〜40μmからなる短繊維が、複合紡績糸を容易に構成し易いという点から好ましく使用される。
本発明に使用する木綿は、特に、マイクロネヤ繊度の平均繊度が1.5〜6.0μg/2.54cmであることが好ましく、マイクロネヤ繊度の平均繊度が2.5〜4.5μg/2.54cmであることがより好ましい。
さらなる複合紡績糸の製造安定性から、植物繊維に合成繊維を混用して短繊維Bや短繊維Cとして使用しても好ましい様態である。
また、本発明の複合紡績糸に使用される植物繊維の繊維長は、合成繊維の繊維長に合わせることが品質の良い複合紡績糸を得るための好適な手段となり、平均繊維長は10〜65mmの植物繊維の入手が容易であり、複合紡績糸の製造安定性から、平均繊維長はより好ましくは20〜50mmである。
本発明の複合紡績糸を構成する素材は、本発明の複合紡績糸に使用される少なくとも一種の短繊維Aは植物繊維である必要があるが、他方の短繊維は、植物繊維を使用してもよく、目的や用途により、通常のあらゆる合成繊維はもとより、アセテート等のセルロース系繊維、再生セルロース系繊維および動物繊維なども容易に適用することができる。
また、複合紡績糸における植物繊維の割合は、質量%で10%〜90%の範囲であることが好ましいが、用途に応じて適宜選ぶことができる。例えば、植物繊維が有する風合いを特に重視する用途であれば、50%〜90%の範囲であることが好ましく、合成繊維が有する風合いを特に重視する用途であれば、10%〜50%の範囲であることが好ましい。
本発明の複合紡績糸の糸番手は、5〜120番手(綿式)の範囲であることが好ましいが、用途に応じて適宜選ぶことができる。例えば、衣料用の織編物であれば、7〜100番手(綿式)が好ましく、カーペットなどのパイル織物であれば、10〜30番手(綿式)が好ましく用いられる。また、糸番手は用途に応じて複合紡績糸の縦列方向で変更することはできるが、複合紡績糸の縦列方向に一定である方が繊維構造物の品位が良くなる。
本発明の複合紡績糸のヨリ係数は、2.0〜5.0の範囲であることが好ましいが、用途に応じて適宜選ぶことができる。また、ヨリ係数は一定である必要はなく、用途に応じて複合紡績糸の縦列方向に変更させることができる。
本発明の複合紡績糸は、用途に応じてスラブ糸にすることができる。スラブ糸の太さや長さは、用途に応じて変更することができる。
本発明において、複合紡績糸の縦列方向に断続的に異なる短繊維の混率が切替るとは、用途や目的に応じて短繊維の混率が切り替わるものであるが、それぞれの異なる短繊維が50質量%未満の部分を有することが好ましく、さらには、それぞれの短繊維が存在しない部分を有すること、即ち、他の短繊維のみで形成される部分を有することが更に好ましい態様である。これは、それぞれの短繊維の特徴がより発揮されるためである。
短繊維の質量%は、採取するサンプルを複合紡績糸の長さで10mmとすること以外は、JIS L1030−2(2012年版)に準じて測定され、複合紡績糸の断面を電子顕微鏡もしくはマイクロスコープで写真を撮影し、それぞれの数を数え、またそれぞれの短繊維の単繊維繊度をJIS法(合成繊維であればJIS L1015(2010年版))で求め、比重を掛けて求めることができる。また、一方の短繊維が存在しない部分とは、複合紡績糸や繊維構造物から分解された複合紡績糸の断面写真や、断面を構成する繊維の染色性によって、それぞれの短繊維の有無が評価される。
長さが200mmの複合紡績糸5本を用意し、その複合紡績糸を端から20mmでカットし、その複合紡績糸の断面を電子顕微鏡もしくはマイクロスコープで写真を撮影し、それぞれの複合紡績糸の存在を確認する。カットした端からまた20mmでカットし、同方法で、短繊維の存在を確認する。これを繰り返し、長さ200mmの複合紡績糸で10回、断面写真で短繊維の存在を確認する。同方法で残った4本の複合紡績糸を評価し、合計50回の評価を行い、短繊維の存在有無を確認する。50回の中で1回でも一方の短繊維が存在しないことが確認される場合、本発明のそれぞれの短繊維が存在しない部分を有する複合紡績糸とする。
次に、本発明の複合紡績糸は、必要に応じてフィラメント糸と複合させることができる。また、複合紡績糸の形態も、リング紡績糸でも良く、空気紡績糸や結束紡績糸でも構わない。
本発明の複合紡績糸を得る方法としては、例えば、練条機やギル機などの練条工程で、2種類のスライバーを用意し、クリールを単独で駆動させ2種類のスライバーを縦列方向に断続的に切替える方法で作製したスライバーを必要に応じて粗糸にしてリング精紡機や空気精紡機や結束紡績機などに仕掛けて糸を得る方法や、精紡工程で2本の粗糸をそれぞれミドルローラーとバックローラーから供給し、独立したエプロン機構とドラフトローラー駆動により紡績糸を縦列方向に断続的に切替えるモザイクヤーンシステム(株式会社豊田自動織機製)を有する精紡機を用いて、複合紡績糸を得る方法が挙げられる。
ある短繊維が連続して存在する長さは、40mm〜1500mmの範囲が好ましく、更に好ましくは50mm〜1000mmの範囲である。この長さが40mm未満であれば、編物の場合はループがあるため、外観変化に乏しくなる場合がある。また、この長さが1500mmを超えると、同じ短繊維が長く連続するため、変化に乏しい繊維構造物となる場合がある。
次に、本発明の複合紡績糸と、この複合紡績糸を使用した繊維構造物について、具体的に説明する。
本発明の複合紡績糸を使用してなる繊維構造物は、パイル織物を含めた織物や編物などその用途によって選択することができる。
例えば、本発明の複合紡績糸を織物に用いる場合は、織物の経糸および/または緯糸として使用することができ、通常の製織工程で織物を製織することができる。また、本発明の複合紡績糸を編物に用いる場合は、通常の丸編みや経編工程で編成することができる。
製織編工程は、一般的に使用される工程が適用され、織機および編機の種類は特に限定されない。また、織編物の組織や密度は、求められる風合いや物性および機能性により選択される。
得られた生機は、使用される素材によって選別されるが、一般的な染色工程や、条件で染色仕上げ加工され、最終の仕上げにより織編物となる。また、必要に応じて染色した原綿や製織編工程前の紡績糸で染色することもできる。
また、本発明の複合紡績糸は、この複合紡績糸を繊維構造物の一部に使うこともできるし、繊維構造物の全体に使用することもでき、その用途や目的に沿って決めることができる。
本発明の複合紡績糸からなる繊維構造物は、2以上の短繊維が存在する複合紡績糸であって、少なくとも一種の短繊維が植物繊維であり、前記の複合紡績糸の縦列方向に断続的に前記の短繊維の混率が切替っている複合紡績糸を用いることにより、同一の繊維構造物内で複数の好ましい風合いを有することを特徴としている。
繊維構造物の風合いを表すと考えられる特性値には、MIU(平均摩擦係数)がある。MIUは、カトーテック株式会社製の自動化表面試験機(KES−FB4−AUTO−A)により測定される。測定には、人間の指をシミュレートし、平滑な表面を有する0.5mm径のピアノ線を平面上に10本並べた形状の接触子を用いている(接触子の荷重は50gf、送り速さは1.0mm/秒)。測定は、タテとヨコの2方向で各3回行い、その平均値をMIUとし、その測定を計3回行う。
MIUは、値が大きい場合には、生地表面はざらざらして手指に引っかかり易くなり、値が小さい場合には、生地表面は滑りやすく手指に引っかかり難くなる。また、MIUの最小値と最大値の差を△MIUとすると、△MIUの値が小さい場合には、繊維構造物の風合いが均一であり、値が大きい場合には、繊維構造物が複数の風合いを有することを表す。
植物繊維が有する好ましい風合いが認識される範囲として、本測定によるMIUの最小値が0.10〜0.30の範囲であることが好ましい。また、複数の風合いを有する繊維構造物として、衣料用に求められる範囲の風合いであれば、△MIUが0.01〜0.10の範囲であることが好ましい。
後述する実施例1に示される、本発明によるポリエステル繊維と木綿の複合紡績糸からなる織物では、MIUの最小値は0.176で、最大値は0.234であり、△MIUは0.058である。
本発明の複合紡績からなる織物は、△MIUが0.0058と大きく、MIUが最小値を示す部分では、木綿が有する肌触りのよいしっとりとした風合いが得られ、MIUが最大値を示す部分では、ポリエステル繊維が有する清涼感が得られる。すなわち、植物繊維が有する風合いが十分に発揮され、かつ、同一織物内で複数の好ましい風合いが得られる従来にない織物である。
また、後述する比較例1に示されるポリエステル繊維と木綿の従来技術による複合紡績糸からなる織物では、MIUの平均値が0.0178であり、木綿が有する風合いが得られない。さらに、MIUの最大値と最小値の差が0.0008と非常に小さく、風合いの変化が乏しい。
本発明の複合紡績糸と繊維構造物は、主に衣料用途の場合にその性能が十分に発揮され、例えばシャツやジャケットに使用する場合には、木綿が有するソフトな風合いと、ポリエステル繊維が有する清涼感とを両立する、従来にない風合いを有する衣料の製造を可能にする。
次に、本発明の複合紡績糸について実施例などに基づいて更に具体的に説明する。本発明における測定方法および評価方法は、次のとおりである。
(1)短繊維の存在しない箇所:
織物から分解した糸の断面写真から、それぞれの短繊維の有無を評価した。
織物の緯糸方向に幅に200mmと、経糸方向に10mmの大きさにカットしサンプルを作製する。そのサンプルからヨコ糸を5本抜き取る。その際、5本は複合紡績糸の長さ方向で200mmあると共に、織物になっている際にヨコ糸として並びあった糸とする。糸を端から20mmでカットし、その複合紡績糸の断面をマイクロスコープを用いて20倍で写真を撮影し、それぞれの短繊維の存在を確認した。カットされた端から又20mmでカットし、同方法で、短繊維の存在を確認し、これを繰り返し、長さ200mmの糸で10回、断面写真で短繊維の存在を確認した。同方法で残った4本の糸を評価し、合計50回の評価を行い、短繊維の存在しない箇所を確認した。50回の中で1回でも存在しないことが確認される場合、本発明のそれぞれの短繊維が存在しない部分を有する複合紡績糸とする。
(2)織物の外観評価:
織物の外観評価について、杢糸の見え方の評価として織物の外観評価を、次のとおりの3段階で級判定を行った。
3級:異なる色調の部分がそれぞれ独立している。
2級:異なる色調がそれぞれ独立している部分が存在するが、色が混ざっている部分も存在する。
1級:色が混ざって、杢糸ではない。
(3)繊維構造物表面の摩擦係数(MIU):
MIUは、カトーテック株式会社製の自動化表面試験機(KES−FB4−AUTO−A)により測定される。測定には、人間の指をシミュレートし、平滑な表面を有する0.5mm径のピアノ線を平面上に10本並べた形状の接触子を用いている(接触子の荷重は50gf、送り速さは1.0mm/秒)。測定は、タテとヨコの2方向で各3回行い、その平均値をMIUとし、その測定を計3回行う。
(実施例1)
短繊維Aとして、単繊維繊度が1.45dtexで、繊維長が38mmのポリエステル短繊維(東レ株式会社製、原綿タイプT403)を準備し、短繊維Bとして、単繊維繊度が1.9dtexで、平均繊維長が25mmの木綿を準備した。
短繊維Aを100%使用し、通常の紡績工程を経て、200ゲレン/30ydの粗糸(A)を作製した。また、短繊維Bを100%使用し、通常の紡績工程を経て、200ゲレン/30ydの粗糸(B)を作製した。それぞれの粗糸(A)と(B)を、株式会社豊田自動織機製のモザイクヤーンシステムを有する精紡機で、粗糸(A)をミドルローラーから、粗糸(B)をバックローラーからそれぞれ供給し、表1に示す条件によって綿方式の番手で7‘Sの複合紡績糸を得た。糸切れの発生は少なく、紡績性は良好であった。
得られた複合紡績糸をタテ糸とヨコ糸に用い、通常のレピア織機を用いて、織組織を平織りとし、織密度をタテ136本/2.54cm、ヨコ72本/2.54cmとした織物を得た。本複合紡績糸は、表1に示す精紡条件のとおり、条件(1)、条件(2)の順で繰り返し糸を紡出するため、紡績糸のうち、条件(1)で紡出される領域は、木綿混率0%で長さは100mmである。また、条件(2)で紡出される領域は、木綿混率100%で長さは400mmである。本複合紡績糸は、条件(1)と条件(2)を交互に繰り返して紡出することで、縦列方向に断続的に混率が切替るため、得られた織物を染色工程で木綿のみ染色して得られた織物は、未着色部と着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化し、未着色部と着色部の変化が大きく、独自の官能評価3級の織物であった。また、MIUの最小値は0.176で木綿の風合いが十分に発揮され、かつ△MIUが0.0058であり、複数の好ましい風合いを有する織物であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
精紡機の条件を表1に示す条件にしたこと以外は、実施例1と同じ方法によって、織物を得た。得られた織物は、未着色部と着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化し、未着色部と着色部の変化が大きく、独自の官能評価3級の織物であった。また、MIUの最小値は0.177で木綿の風合いが十分に発揮され、かつ△MIUは0.059であり、複数の好ましい風合いを有する織物であった。結果を表1に示す。
(実施例3)
短繊維Aとして、単繊維繊度が1.0dtexで、繊維長が38mmのポリエステル短繊維(東レ株式会社製、原綿タイプT401)を準備し、精紡機の条件を表1に示す条件にしたこと以外は、実施例1と同じ方法によって、織物を得た。得られた織物は、未着色部と着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化し、未着色部と着色部の変化が大きく、独自の官能評価3級の織物であった。また、MIUの最小値は0.179で木綿の風合いが十分に発揮され、かつ△MIUは0.024あり、複数の好ましい風合いを有する織物であった。結果を表1に示す。
(実施例4)
短繊維Aとして、単繊維繊度が1.0dtexで、繊維長が38mmのポリエステル短繊維(東レ株式会社製、原綿タイプT401)を準備し、短繊維Bとして、単繊維繊度が1.45dtexで、繊維長が38mmのポリエステル短繊維(東レ株式会社製、原綿タイプT403)を準備し、短繊維Cとして単繊維繊度が1.9dtexで、繊維長が25mmの木綿にし、精紡機の条件を表1に示す条件にしたこと以外は、実施例1と同じ方法によって、織物を得た。得られた織物は、未着色部と着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化し、未着色部と着色部の変化が大きく、独自の官能評価3級の織物であった。また、MIUの最小値は0.180で木綿の風合いがに発揮され、かつ△MIUは0.031であり、複数の好ましい風合いを有する織物であった。結果を表1に示す。
Figure 2017133125
(比較例1)
短繊維Aとして、単繊維繊度が1.45dtexで、繊維長が38mmのポリエステル短繊維(東レ株式会社製、原綿タイプT403)を準備し、短繊維Bとして、単繊維繊度が1.9dtexで、平均繊維長が25mmの木綿を準備した。
短繊維Aを65質量%、短繊維Bを35質量%使用し、混打綿工程で通常の混綿をした後、通常の紡績工程を経て、200ゲレン/30ydの粗糸(A)を作製した。その粗糸を通常のリング精紡機に仕掛け、綿方式の番手で20‘Sの複合紡績糸を得た。この複合紡績糸も糸切れの発生は少なく、紡績性は良好であった。得られた複合紡績糸をタテ糸とヨコ糸に用い、実施例1と同じ方法によって織物を得た。
得られた織物は、未着色部と着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化せず、独自の官能評価2級の未着色部と着色部の外観変化の少ない織物であった。また、MIUの最小値は0.238で木綿の風合いが十分に発揮されず、△MIUは0.007であり、風合いに変化のない織物であった。結果を表2に示す。
(比較例2)
短繊維Aを95質量%、また短繊維Bを5質量%使用したこと以外は、比較例1と同じ方法によって、織物を得た。
得られた織物は、未着色部と着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化せず、独自の官能評価2級の未着色部と着色部の外観変化の少ない織物であった。また、MIUの最小値は0.241で木綿の風合いが十分に発揮されず、△MIUは0.006であり、風合いに変化のない織物であった。結果を表2に示す。
(比較例3)
短繊維Aとして、単繊維繊度が1.45dtexで、繊維長が38mmのポリエステル短繊維(東レ株式会社製、原綿タイプT403)を準備し、短繊維Bとして、単繊維繊度が1.9dtexで、平均繊維長が25mmの木綿を準備した。
短繊維Aを100質量%使用し、通常の紡績工程を経て、200ゲレン/30ydの粗糸(A)を作製した。また、短繊維Bを100質量%使用し、通常の紡績工程を経て、200ゲレン/30ydの粗糸(B)を作製した。その粗糸(A)と粗糸(B)を通常のリング精紡機に仕掛け、サイロ紡績によって綿方式の番手で20‘Sの複合紡績糸を得た。この複合紡績糸を実施例1と同じ方法によって、織物を得た。
得られた織物は、未着色部と着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化せず、独自の官能評価1級の未着色部と着色部の外観変化の少ない織物であった。また、MIUの最小値は0.220で木綿の風合いが十分に発揮されず、△MIUは0.008であり、風合いに変化のない織物であった。結果を表2に示す。
(比較例4)
短繊維Aとして、単繊維繊度が1.45dtexで、繊維長が38mmのポリエステル短繊維(東レ株式会社製、原綿タイプT403)を準備した。この短繊維Aを100質量%使用し、通常の紡績工程を経て、200ゲレン/30ydの粗糸を作製した。この粗糸を、通常のリング精紡機で表2に示す条件によって綿方式の番手で45‘Sの複合紡績糸を得た。この複合紡績糸を実施例1と同じ方法によって、織物を得た。
得られた織物は、杢調ではなく、独自の官能評価1級の織物であった。また、MIUの最小値は0.220で木綿の風合いが十分に発揮されず、△MIUは0.008であり、風合いに変化のない織物であった。結果を表2に示す。
(比較例5)
短繊維Aとして、単繊維繊度が1.9dtexで、平均繊維長が25mmの木綿を準備したこと以外は、比較例4と同じ方法によって、織物を得た。
得られた織物は、杢調ではなく、独自の官能評価1級の織物であった。また、MIUの最小値は0.175で木綿の風合いが発揮されるが、△MIUは0.005であり、風合いに変化のない織物であった。結果を表2に示す。
Figure 2017133125

Claims (3)

  1. 2以上の異なる短繊維が混在してなる複合紡績糸であって、少なくとも一種の短繊維が植物繊維であり、前記複合紡績糸の縦列方向に断続的に前記の異なる短繊維の混率が切替ることを特徴とする複合紡績糸。
  2. いずれかの短繊維が、前記複合紡績糸の縦列方向に断続的存在しない部分を有する請求項1記載の複合紡績糸。
  3. 請求項1または2記載の複合紡績糸を用いてなる繊維構造物。
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