JP2017132053A - 構造体の製造方法 - Google Patents

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一正 海読
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美速 今村
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智恵子 今井
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Abstract

【課題】簡素な設備構成と工程により、樹脂部材が金属管に取り付けられた構造体を製造することが可能な構造体の製造方法を提供する。【解決手段】金属管2の外周に樹脂部材が設けられた構造体を製造する。樹脂部材を成形するキャビティ13を有する拡管金型11を、金属管2の樹脂部材を成形する位置の外周に配置する拡管金型配置工程と、金属管2を拡管させ、キャビティ13の両脇側で金属管2の外周面を拡管金型11に圧着させた一対の拡管部6を形成する拡管工程と、金属管2と拡管金型11とを、拡管金型11と拡管部6とが圧着された状態で樹脂成形金型31に配置する樹脂成形金型配置工程と、キャビティ内に、溶融した樹脂Rを充填する樹脂充填工程と、樹脂Rが硬化した後に、金属管2及び拡管金型11を樹脂成形金型31から取り外し、拡管金型11から金属管2を取り外す脱型工程とを含む。【選択図】図6

Description

本発明は、構造体の製造方法に関する。
自動車の部品には、コストや溶接等の施工性の観点から鋼部材が多く用いられている。近年、燃費性能を向上させる要求から、自動車の部品は、鋼部材の一部を軽量な部材で置き換える試みがなされており、パネル部材やフレーム部材にも軽量化部材を適用することが検討されている。
例えば、自動車のインストルメントパネル内に設けられるレインフォースについても、アルミニウム部材で構成されている。この管状のビーム部材であるレインフォースにおいては、その外周にブラケット部材を配置した状態でビーム部材を拡径させて、ビーム部材にブラケット部材を固着することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
上記のようなビーム部材に取り付けるブラケット部材としては、アルミニウム鋳物や鋼部材等の金属部材が多い。しかし、より軽量化するためにブラケット部材を樹脂部材とすることも検討されている。このような樹脂部材であるブラケット部材は、ビーム部材と接着剤を使用して接合されるか、ブラケット部材の一部を変形させてビーム部材に係合させてビーム部材に固定される(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−51972号公報 特開2010−51978号公報
ところで、既に成形された樹脂製ブラケット部材を、その一部を変形させてビーム部材に取り付ける特許文献2の技術では、ブラケット部材を加熱しながらビーム部材に取り付ける工程が必要となる。そのために、製造設備が複雑となり、製造工数が増加する問題があった。
本発明は、樹脂部材が金属管に設けられた構造体を、簡素な設備構成と工程により製造できる構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は下記構成からなる。
金属管の外周に樹脂部材が設けられた構造体の製造方法であって、
前記樹脂部材を成形するキャビティを有する拡管金型を、前記金属管の前記樹脂部材を成形する位置の外周に配置する拡管金型配置工程と、
前記金属管を拡管させ、前記キャビティの両脇側で前記金属管の外周面を前記拡管金型に圧着させた一対の拡管部を形成する拡管工程と、
前記金属管と前記拡管金型とを、前記拡管金型と前記拡管部とが圧着された状態で樹脂成形金型に配置する樹脂成形金型配置工程と、
前記キャビティ内に、溶融した樹脂を充填する樹脂充填工程と、
前記樹脂が硬化した後に、前記金属管及び前記拡管金型を前記樹脂成形金型から取り外し、前記拡管金型から前記金属管を取り外す脱型工程と、
を含むことを特徴とする構造体の製造方法。
また、金属管の外周に樹脂部材が設けられた構造体の製造方法であって、
前記樹脂部材を成形するキャビティを有する樹脂成形金型を、前記金属管の前記樹脂部材を成形する位置の外周に配置する樹脂金型配置工程と、
前記金属管を拡管させ、前記キャビティの両脇側で前記金属管の外周面を前記樹脂成形金型に圧着させた一対の拡管部を形成する拡管工程と、
前記キャビティ内に、溶融した樹脂を充填する樹脂充填工程と、
前記樹脂が硬化した後に、前記樹脂成形金型から前記金属管を取り外す脱型工程と、
を含むことを特徴とする構造体の製造方法であってもよい。
また、前記金属管は、前記樹脂部材を形成する位置に外周面と内周面とを連通する貫通孔が形成され、前記樹脂充填工程において、前記キャビティ内に充填される樹脂を、前記貫通孔を通じて前記金属管の内周側に回り込ませてもよい。
また、前記金属管は、非磁性体であってもよい。
また、前記拡管工程において、前記金属管の内径部にコイルを配置し、前記コイルに通電して発生する電磁力によって前記金属管を拡管する電磁成形を行うことであってもよい。
本発明によれば、金属管に樹脂部材が取り付けられた構造体を、簡素な設備構成と工程により製造できる。
構造体の一例であるレインフォースの斜視図である。 拡管金型配置工程における拡管金型の軸方向断面図である。 拡管工程における金型の拡管前の軸方向断面図である。 拡管工程における金型の拡管後の軸方向断面図である。 樹脂成形金型配置工程における金型の樹脂充填前の軸方向断面図である。 樹脂充填工程における金型の樹脂充填後の軸方向断面図である。 脱型工程におけるレインフォースの軸方向一部断面図である。 変形例における樹脂充填後の金型の軸方向断面図である。 変形例における拡管後の金型の軸方向一部拡大断面図である。 変形例におけるレインフォースのブラケット装着位置の軸方向垂直断面図である。 金型配置工程及び拡管工程における拡管前の金型の軸方向断面図である。 拡管工程における拡管後の金型の軸方向断面図である。 樹脂充填工程における樹脂充填後の金型の軸方向断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の製造方法>
ここでは、構造体として自動車等の車両のインストルメントパネル内に設けられるレインフォースを一例として説明するが、これに限らない。
図1はレインフォースの斜視図である。
レインフォース100は、金属管であるビーム部材2と、このビーム部材2の外周に設けられたブラケット部材3とを有する。ビーム部材2は、長尺円筒状に形成される。このビーム部材2には、レインフォース100を車両のボディに固定するための固定部材4と、レインフォース100にステアリングを支持させる支持部材5とが固定される。
ビーム部材2は、非磁性体の金属管であり、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる押出材である。ブラケット部材3は、例えば、インストルメントパネルを構成する部材等に固定される。ブラケット部材3は、樹脂から形成されたもので、ビーム部材2の外周に一体的に設けられる。ビーム部材2は、ブラケット部材3の装着箇所が、径方向外方へ拡径された拡管部6とされる。
次に、ビーム部材2の外周に樹脂材料からなるブラケット部材3が設けられた上記構造のレインフォース100の製造方法を、その工程毎に説明する。
(拡管金型配置工程)
図2は拡管金型配置工程における拡管金型の軸方向断面図である。
同図に示すように、まず、拡管部6(図1参照)を成形する前のビーム部材2を用意し、このビーム部材2の外周に拡管金型11を配置する。拡管金型11は、ビーム部材2のブラケット部材3(図1参照)を取り付ける装着位置を覆って配置される。
割型からなる拡管金型11は、拡径前のビーム部材2より大径の挿通孔12と、軸断面の内周側が解放され、外周側が閉塞された円環状のキャビティ13と、を有する。拡管金型11には、キャビティ13と外部とを連通する連通路14が形成される。
この拡管金型11は、例えば、挿通孔12の軸線を通る面で半割りにされた一対の型を互いに突き合わせることで形成される。これら一対の型により画成される挿通孔12にビーム部材2が挿通された状態になるよう、ビーム部材2の外周に拡管金型11を配置する。このとき、ビーム部材2には、ブラケット部材3が取り付けられるブラケット装着位置に、拡管金型11のキャビティ13を配置させる。
(拡管工程)
次に、外周に拡管金型11を配置させたビーム部材2を、電磁成形によって拡管して拡管部6を形成する。これにより、このビーム部材2の外周面を拡管金型11に圧着させる。なお、この拡管工程におけるビーム部材2の拡管手段としては、電磁成形によるものが好ましいが、電磁成形に限らず、液圧成形方式や機械成形方式等でも良い。ここでは、電磁成形によってビーム部材2を拡管する場合を例示して説明する。
図3は拡管工程における拡管金型の拡管前の軸方向断面図、図4は拡管工程における拡管金型の拡管後の軸方向断面図である。
ビーム部材2を電磁成形によって拡管させるには、まず、図3に示すように、コイル21を有するコイル部材20をビーム部材2の内部に挿入し、コイル部材20のコイル21を拡管させる箇所に配置させる。コイル21は、ボビン部21aと導体素線21bとを備える。ボビン部21aは絶縁性樹脂を棒状に形成したもので、このボビン部21aの周囲に導体素線21bが巻回して配置される。導体素線21bは、矩形又は正方形の断面形状を有し、その周囲は絶縁性材料21cで覆われている。そして、このコイル部材20をビーム部材2の内部に挿入した状態で、コイル21に瞬間的に大電流を流して電磁力を発生させる。すると、ビーム部材2は、コイル21の配置箇所において径方向外方へ均等に拡がる塑性変形が生じ、その結果、ビーム部材2に拡管部6が形成される。
拡管工程においては、図4に示すように、ビーム部材2の外周面が拡管金型11の挿通孔12の内周面に押し付けられ、ビーム部材2の外周面と拡管金型11の挿通孔12の内周面とが圧着された状態となる。このときのビーム部材2の外周面を圧着させる範囲は、コイル21の長手方向における導体素線21bの巻回範囲や巻回位置を調整することで変更できる。本構成においては、拡管金型11の対面位置にのみ導体素線21bを設けることで、前述したビーム部材2におけるブラケット装着位置での拡管を抑制する。
上記のように、導体素線21bが巻回されていない非巻回部21dを有するコイル21を用い、このコイル21の非巻回部21dを、ブラケット装着位置に配置して電磁成形する。すると、非巻回部21dでのビーム部材2の拡管が抑制され、ビーム部材2に凹部2aが形成されることになる。
ここで、液圧成形によって拡管工程を行う場合及び機械成形によって拡管工程を行う場合について説明する。
液圧成形によって拡管工程を行う場合、まず、拡管前のビーム部材2を拡管金型11の挿通孔12に挿通させ、ビーム部材2の両端をシールする。次いで、ビーム部材2の内部に水等の液体を充填し、ビーム部材2に内圧を付与する。すると、ビーム部材2は、液体の圧力によって拡管し、その外周面が拡管金型11の挿通孔12の内周面に押し付けられ、これにより、ビーム部材2には、その軸方向の所定位置に拡管金型11が圧着される。なお、液圧成形で拡管させる場合、ビーム部材2は、その軸方向にわたって拡管されることとなる。
また、機械成形によって拡管工程を行う場合、まず、拡管前のビーム部材2を拡管金型11の挿通孔12に挿通させる。次いで、周方向に複数に分割(例えば、3分割)された分割体(マンドレル)をビーム部材2の内部における拡管させる所定位置に配置し、分割体の配置の中心に先細りの楔を挿し込む。すると、各分割体が径方向外方へ変位することで、ビーム部材2が分割体で径方向外方へ押圧されて拡管し、その外周面が拡管金型11挿通孔12の内周面に押し付けられ、これにより、ビーム部材2には、その軸方向の所定位置に拡管金型11が圧着される。
(樹脂成形金型配置工程)
図5は樹脂成形金型配置工程における金型の樹脂充填前の軸方向断面図である。
図5に示すように、ビーム部材2からコイル部材20を抜き取り、このビーム部材2に圧着した拡管金型11を射出成形機の樹脂成形金型31にセットする。樹脂成形金型31は、第1金型32と第2金型33とを有し、これらの第1金型32及び第2金型33には、拡管金型11が収容可能な収容凹部34,35が形成される。第1金型32には、ゲート孔36が形成される。このゲート孔36は、収容凹部34に収容された拡管金型11の連通路14と連通される。また、第1金型32には、ゲート孔36に、溶融した樹脂Rを射出供給するノズル37が接続される。
(樹脂充填工程)
図6は樹脂充填工程における金型の樹脂充填後の軸方向断面図である。
上記のように、拡管金型11を樹脂成形金型31の収容凹部34,35内にセットした後、ノズル37から溶融した樹脂Rを射出させる。すると、図6に示すように、ノズル37から送り出された樹脂Rが、ゲート孔36、連通路14を通り、拡管金型11のキャビティ13内に送り込まれる。これにより、キャビティ13に樹脂Rが充填される。このとき、ビーム部材2は、拡管部6の外周面が拡管金型11の挿通孔12の内周面に圧着されているため、充填された樹脂Rが拡管部6の外周面と挿通孔12の内周面との間に入り込むことはない。
(脱型工程)
図7は脱型工程におけるレインフォースの軸方向一部断面図である。
図6に示すキャビティ13に充填した樹脂Rの硬化後に、樹脂成形金型31から拡管金型11を取り出し、更にビーム部材2から拡管金型11を取り外す。すると、図7に示すように、樹脂製のブラケット部材3がビーム部材2の拡径した部分を跨いで形成されたレインフォース100が得られる。ブラケット部材3は、その一部がビーム部材2の外周面に形成された凹部2aに入り込んで係合した状態となっているので、ビーム部材2に対して強固に固着される。
このように、本構成の構造体によれば、ビーム部材2を拡管させて拡管金型11に圧着させ、更に拡管金型11とビーム部材2により画成されるキャビティ13に樹脂Rを充填して硬化させることで、容易にビーム部材2の外周にブラケット部材3を形成できる。
したがって、ブラケット部材3を加熱しながら変形させ、ビーム部材2に取り付けるような煩雑な作業を不要にでき、製造設備を簡略化して、しかも簡単な工程でブラケット部材3をビーム部材2に取り付けできる。
また、単にビーム部材2の外周面に拡管金型11を配置してキャビティ13内に樹脂Rを充填する通常のインサート成形でブラケット部材3を成形する場合では、ビーム部材2と拡管金型11との隙間に樹脂Rが入り込み、バリとなって拡管金型11の外側に流出する。この結果、キャビティ13内に樹脂Rが充填されずに欠落部分ができるか、キャビティ13内に樹脂が充填されたとしても、バリを除去する除去作業が別途必要となる。
これに対して、本構成によれば、ブラケット部材3を成形する前に、ビーム部材2を拡管させて拡管金型11に圧着させるので、ビーム部材2と拡管金型11との隙間が殆どなくなる。そのため、単にビーム部材2の外周に拡管金型11を配置させてキャビティ13に樹脂Rを充填する場合と比較して、バリの発生を抑えつつキャビティ13内に樹脂を充填することができる。
また、ビーム部材2として、アルミニウム又はアルミニウム合金等の非磁性体の金属管を用いることで、電磁成形によって誘導電流が発生し、この誘導電流と電磁場との相互作用によってビーム部材2を容易に拡管させることができる。
なお、前述したように、ビーム部材2の拡管手段としては、電磁成形によるものが好ましいが、電磁成形に限らず、液圧成形方式や機械成形方式等でも良い。
特に、拡管工程において、電磁成形によりビーム部材2を拡管させる場合では、例えば、ビーム部材2の内部に充填した液体の圧力によってビーム部材2を拡管させる液圧成形方式(ハイドロフォーム方式)と比較して、液体の漏れを防ぐためのシール構造及び成形後の液体の処理作業を不要にできる。しかも、ビーム部材2の拡管位置や拡管範囲を容易に調整できる。また、周方向に分割された複数の分割体をビーム部材2の内部に配置し、分割体の配置中心に楔を挿し込むことで分割体を径方向外方へ押し広げる機械成形方式(メカニカル方式)と比較して、周方向により均等な拡管が行える。また、拡管後に潤滑油汚れを洗浄する洗浄作業等を行う必要もない。
なお、ブラケット部材3の樹脂Rは、ビーム部材2の外周に設ける以外にも、内周側に回り込ませてもよい。この場合、図8に示すように、ビーム部材2のブラケット装着位置に貫通孔2bを形成し、ビーム部材2の内部に中子41を配置させておく。
この状態で、樹脂充填工程でキャビティ13内へ溶融した樹脂Rを充填し、この樹脂Rを、貫通孔2bを通じてビーム部材2の内周側に回り込ませる。すると、このビーム部材2の内周側に回り込んだ樹脂Rがビーム部材2と中子41との間に充填される。
このように、ビーム部材2の内周側に樹脂Rを回り込ませれば、ブラケット部材3の樹脂Rによるビーム部材2への固定強度を高められる。
また、図9に示すように、拡管金型11には、その挿通孔12の内周面に、周方向に連続する溝部12aを形成してもよい。このような溝部12aを形成しておけば、拡管時にビーム部材2の外周面が溝部12aに入り込み、キャビティ13に充填される樹脂Rが、ビーム部材2と拡管金型11との隙間へ入り込むことを、より確実に防止できる。
更に、図10に示すように、ビーム部材2のブラケット装着位置の外周面を、周方向に沿って凹凸形状に形成してもよい。このようにビーム部材2の外周面を凹凸形状とすれば、ブラケット部材3がビーム部材2の外周面の凹凸に係合することで、ブラケット部材3がビーム部材2の周方向への回り止めが図られる。
<第2の製造方法>
次に、第2の製造方法ついて説明する。なお、上記した第1の製造方法の場合と同一の構成部分については、同一の符号を付与することで、その説明を省略又は簡単化する。
図11は金型配置工程及び拡管工程における拡管前の金型の軸方向断面図である。
本構成においては、前述の拡管金型11を用いず、樹脂成形金型51を用いる。樹脂成形金型51は、拡管前のビーム部材2よりも大径の挿通孔62を有する。また、樹脂成形金型51は、内周側が開放され、外周側が閉塞された円環状のキャビティ63を有する。この樹脂成形金型51は、第1金型52と第2金型53とを有する。第1金型52には、ゲート孔56が形成される。このゲート孔56はキャビティ63に連通される。また、第1金型52には、ゲート孔56に、溶融した樹脂Rを射出供給する射出成形機のノズル37が接続される。
次に、この樹脂成形金型51を用いて、ビーム部材2の外周に樹脂材料からなるブラケット部材3が設けられたレインフォース100の他の製造方法を、その工程毎に説明する。
(樹脂金型配置工程)
図11に示すように、拡管部6を成形する前のビーム部材2を用意し、このビーム部材2を挿通孔62に通してビーム部材2の外周に樹脂成形金型51を配置する。樹脂成形金型51は、ビーム部材2におけるブラケット部材3を取り付けるブラケット装着位置を覆うように配置する。そして、ビーム部材2におけるブラケット装着位置に樹脂成形金型51のキャビティ63を配置させる。また、ビーム部材2の内部にコイル21を有するコイル部材20を挿入し、拡管させる箇所にコイル21を配置させる。
(拡管工程)
図12は拡管工程における拡管後の金型の軸方向断面図である。なお、この拡管工程におけるビーム部材2の拡管手段としても、電磁成形によるものが好ましいが、電磁成形に限らず、液圧成形方式や機械成形方式等でも良い。ここでは、電磁成形によってビーム部材2を拡管する場合を例示して説明する。
拡管させる箇所に配置させたコイル21に瞬間的に大電流を流して電磁力を発生させる。すると、ビーム部材2は、コイル21の配置箇所が径方向外方へ均等に拡がり、拡管部6が形成される。これにより、図12に示すように、ビーム部材2は、その外周面が樹脂成形金型51の挿通孔62の内周面に押し付けられて圧着した状態となる。
(樹脂充填工程)
図13は樹脂充填工程における樹脂充填後の金型の軸方向断面図である。
次に、ノズル37から溶融した樹脂Rを射出させる。すると、図13に示すように、ノズル37から送り出された樹脂Rが、樹脂成形金型51の第1金型52のゲート孔56へ送り込まれ、ゲート孔56を通じてキャビティ63内に送り込まれる。これにより、キャビティ63には樹脂Rが充填される。このとき、ビーム部材2は、拡管部6の外周面が樹脂成形金型51の挿通孔62の内周面に圧着されている。したがって、キャビティ63に充填された樹脂Rが拡管部6の外周面と挿通孔62の内周面との間へ入り込むことはない。
(脱型工程)
キャビティ63に充填した樹脂Rが硬化した後、樹脂成形金型51からビーム部材2を取り出す。また、ビーム部材2からコイル部材20を抜き取る。すると、樹脂製のブラケット部材3がビーム部材2に取り付けられたレインフォース100が得られる(図7参照)。
このように、第2の製造方法の場合も、ビーム部材2を拡管させて圧着させた樹脂成形金型51のキャビティ63に樹脂Rを充填し、硬化させることで、容易にビーム部材2の外周にブラケット部材3が取り付けられたレインフォース100を製造できる。
特に、第2の製造方法によれば、樹脂成形金型51を用いることで、ビーム部材2を拡管させるための金型と、ブラケット部材3を射出成形で成形するための金型とが共通化される。これにより、製造設備を簡略化でき、作業工数も削減できる。
なお、上記の構造体の製造方法では、ビーム部材2として、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属管を用いたが、ビーム部材2は、電磁成形以外の方法で拡管する場合は、他の金属管であってもよく、また、非磁性体に限らない。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 金属管の外周に樹脂部材が設けられた構造体の製造方法であって、
前記樹脂部材を成形するキャビティを有する拡管金型を、前記金属管の前記樹脂部材を成形する位置の外周に配置する拡管金型配置工程と、
前記金属管を拡管させ、前記キャビティの両脇側で前記金属管の外周面を前記拡管金型に圧着させた一対の拡管部を形成する拡管工程と、
前記金属管と前記拡管金型とを、前記拡管金型と前記拡管部とが圧着された状態で樹脂成形金型に配置する樹脂成形金型配置工程と、
前記キャビティ内に、溶融した樹脂を充填する樹脂充填工程と、
前記樹脂が硬化した後に、前記金属管及び前記拡管金型を前記樹脂成形金型から取り外し、前記拡管金型から前記金属管を取り外す脱型工程と、
を含むことを特徴とする構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、金属管を拡管させて圧着させた拡管金型のキャビティに樹脂を充填し、硬化させることで、容易に金属管の外周に樹脂部材が設けられた構造体を製造できる。したがって、樹脂製のブラケット部材を加熱しながら変形させて、金属管に取り付けるといった煩雑な作業を不要にでき、簡素な設備構成と工程により、樹脂部材が金属管に設けられた構造体を製造できる。
しかも、樹脂部材を成形する前に金属管を拡管させて金型に圧着させるので、単に金属管の外周に金型を配置させてキャビティに溶融樹脂を充填する場合と比較して、キャビティに充填した溶融樹脂が金属管と金型との隙間へ入り込むことが抑制される。したがって、隙間へ入り込む樹脂によるバリの発生を抑えつつ、キャビティ内に樹脂を充填することができる。
(2) 金属管の外周に樹脂部材が設けられた構造体の製造方法であって、
前記樹脂部材を成形するキャビティを有する樹脂成形金型を、前記金属管の前記樹脂部材を成形する位置の外周に配置する樹脂金型配置工程と、
前記金属管を拡管させ、前記キャビティの両脇側で前記金属管の外周面を前記樹脂成形金型に圧着させた一対の拡管部を形成する拡管工程と、
前記キャビティ内に、溶融した樹脂を充填する樹脂充填工程と、
前記樹脂が硬化した後に、前記樹脂成形金型から前記金属管を取り外す脱型工程と、
を含むことを特徴とする構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、樹脂成形金型を用いることで、金属管を拡管させるための金型と樹脂部材を射出成形で成形するための金型とを共通化させることができ、設備費及び作業の削減を図ることができる。
(3) 前記金属管は、前記樹脂部材を形成する位置に外周面と内周面とを連通する貫通孔が形成され、
前記樹脂充填工程において、前記キャビティ内に充填される樹脂を、前記貫通孔を通じて前記金属管の内周側に回り込ませることを特徴とする(1)又は(2)に記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、貫通孔を通して金属管の内周側に回り込ませた樹脂によって金属管に対する樹脂部材の固定強度を大幅に高めることができる。
(4) 前記金属管は、非磁性体であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、金属管として、非磁性体の金属管を用いることで、電磁成形によって金属管を容易に拡管させることができる。
(5) 前記拡管工程において、前記金属管の内径部にコイルを配置し、前記コイルに通電して発生する電磁力によって前記金属管を拡管する電磁成形を行うことを特徴とする(4)に記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、電磁成形によって金属管を拡管させるので、例えば、金属管の内部に充填した液体や気体の圧力によって金属管を拡管させる液圧成形やブロー成形と比較し、液体や気体の漏れを防ぐためのシール構造及び成形後の液体や気体の処理作業を不要にでき、しかも、金属管の拡管位置や拡管範囲を容易に調整できる。また、周方向に分割された複数の分割体を金属管の内部に配置し、分割体の配置の中心に楔を挿し込むことで分割体を径方向外方へ広げて金属管を内部から押し広げる機械成形(メカニカル方式)と比較し、均等に拡管することができ、また、拡管後に潤滑油を洗浄する洗浄作業等を行う必要もない。
2 ビーム部材(金属管)
2b 貫通孔
3 ブラケット部材(樹脂部材)
11 拡管金型
13,63 キャビティ
21 コイル
31, 51 樹脂成形金型
100 レインフォース(構造体)
R 樹脂

Claims (5)

  1. 金属管の外周に樹脂部材が設けられた構造体の製造方法であって、
    前記樹脂部材を成形するキャビティを有する拡管金型を、前記金属管の前記樹脂部材を成形する位置の外周に配置する拡管金型配置工程と、
    前記金属管を拡管させ、前記キャビティの両脇側で前記金属管の外周面を前記拡管金型に圧着させた一対の拡管部を形成する拡管工程と、
    前記金属管と前記拡管金型とを、前記拡管金型と前記拡管部とが圧着された状態で樹脂成形金型に配置する樹脂成形金型配置工程と、
    前記キャビティ内に、溶融した樹脂を充填する樹脂充填工程と、
    前記樹脂が硬化した後に、前記金属管及び前記拡管金型を前記樹脂成形金型から取り外し、前記拡管金型から前記金属管を取り外す脱型工程と、
    を含むことを特徴とする構造体の製造方法。
  2. 金属管の外周に樹脂部材が設けられた構造体の製造方法であって、
    前記樹脂部材を成形するキャビティを有する樹脂成形金型を、前記金属管の前記樹脂部材を成形する位置の外周に配置する樹脂金型配置工程と、
    前記金属管を拡管させ、前記キャビティの両脇側で前記金属管の外周面を前記樹脂成形金型に圧着させた一対の拡管部を形成する拡管工程と、
    前記キャビティ内に、溶融した樹脂を充填する樹脂充填工程と、
    前記樹脂が硬化した後に、前記樹脂成形金型から前記金属管を取り外す脱型工程と、
    を含むことを特徴とする構造体の製造方法。
  3. 前記金属管は、前記樹脂部材を形成する位置に外周面と内周面とを連通する貫通孔が形成され、
    前記樹脂充填工程において、前記キャビティ内に充填される樹脂を、前記貫通孔を通じて前記金属管の内周側に回り込ませることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の構造体の製造方法。
  4. 前記金属管は、非磁性体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の構造体の製造方法。
  5. 前記拡管工程において、前記金属管の内径部にコイルを配置し、前記コイルに通電して発生する電磁力によって前記金属管を拡管する電磁成形を行うことを特徴とする請求項4に記載の構造体の製造方法。
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