JP2017131865A - 積層体の製造方法、積層体、活性エネルギー線硬化型組成物、インク、インク収容容器、及び、2次元又は次元の像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
最近では、産業用途として、加工を施す基材に対しても、活性エネルギー線硬化型インクを用いて加飾印刷を施す用途が増加している。高延伸な加工に対応しうる高硬度な加飾が求められているが、高延伸かつ高硬度を両立することは難しい。
粒子を添加する方法ではある一定以上の粒子を添加しなければ、硬度の発現は難しく、特許文献4では20%〜60%、より好ましくは30〜50%添加することを推奨している。
(測定方法1)
前記第一の活性エネルギー線硬化物上に前記第二の活性エネルギー線硬化物を形成し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により得られる前記第二の活性エネルギー線硬化物の断面画像について粒子面積を求め、前記第二の活性エネルギー線硬化物全体の面積に対する粒子面積比率を粒子密度とする。
(測定方法2)
ポリエチレンテレフタレート(PET)基材上に前記第二の活性エネルギー線硬化物を形成し、TEM観察により得られる前記第二の活性エネルギー線硬化物の断面画像について粒子面積を求め、前記第二の活性エネルギー線硬化物全体の面積に対する粒子面積比率を粒子密度とする。
本発明の積層体の製造方法は、後述する第一の活性エネルギー線硬化物上に、後述する活性エネルギー線硬化型組成物を積層させて硬化させ、第二の活性エネルギー線硬化物を形成する。これにより、これまで困難であった、高延伸、高硬度かつ透明な積層体(硬化物とも称することがある)を提供することが可能となり、特に無溶剤系インクジェットインクにおいて困難であった無機粒子の高密度化を硬化物表面において実現するものである。
従来、インクジェットでは高濃度の無機粒子(例えばシリカ粒子)分散体を吐出するのが難しいために、吐出後に無機粒子を高濃度にすることは困難であった。これに対し本発明では、上述のように、無機粒子の高密度化を硬化物表面において実現することが可能となる。
第一の活性エネルギー線硬化物は、180℃延伸性が100%以上である活性エネルギー線硬化型インクの硬化物である。
第一の活性エネルギー線硬化物は、延伸性が高く、低架橋密度であることが好ましく、無機粒子を含有する第二の活性エネルギー線硬化型組成物を当該硬化物上に塗工した場合、液体である分散媒を吸収し、未硬化のインク層(第二の活性エネルギー線硬化物)での無機粒子の密度を上げることができる。
第二の活性エネルギー線硬化型組成物を形成するための活性エネルギー線硬化型組成物は、重合性化合物、無機粒子を含み、必要に応じて、色材や重合開始剤、重合禁止剤等を含むことができる。
なお、以下、特に断りのない限り、単に「活性エネルギー線硬化型組成物」と表記した場合、第二の活性エネルギー線硬化型組成物を形成するための活性エネルギー線硬化型組成物を表すものとする。
延伸性のある前記第一の活性エネルギー線硬化物に対して、活性エネルギー線硬化型組成物を塗工すると、無機粒子を含有する膜が形成される。このとき、活性エネルギー線硬化型組成物における重合性化合物が第一の活性エネルギー線硬化物に浸透し、これにより第二の活性エネルギー線硬化物における無機粒子の密度が上がる。第二の活性エネルギー線硬化物における無機粒子の密度が上がることにより、第一の活性エネルギー線硬化物により延伸性を維持しつつ、高密度の無機粒子の膜により高硬度を得ることができ、従来からの課題であった延伸性と硬度の両立を得ることができる。
(測定方法1)
前記第一の活性エネルギー線硬化物上に前記第二の活性エネルギー線硬化物を形成し、TEM観察により得られる前記第二の活性エネルギー線硬化物の断面画像について粒子面積を求め、全体の面積に対する粒子面積比率を粒子密度とする。
(測定方法2)
ポリエチレンテレフタレート(PET)基材上に前記第二の活性エネルギー線硬化物を形成し、TEM観察により得られる前記第二の活性エネルギー線硬化物の断面画像について粒子面積を求め、全体の面積に対する粒子面積比率を粒子密度とする。なお、本実施形態においてPETは、東洋紡社製E5100を用いている。また、上記測定方法において、断面画像については粒子解析ソフトを用いて粒子面積を求めている。
粒子密度を高密度化する方法、1.5倍以上にする方法としては、適宜変更することが可能であるが、例えば、第一の活性エネルギー線硬化物の延伸性を上げる(すなわち多官能モノマーの添加を減らし架橋密度を下げる)方法、浸透時間(吐出してから硬化させるまでの時間)を延長する方法、活性エネルギー線硬化型組成物の粘度を下げる方法、活性エネルギー線硬化型組成物の吐出量を減らす方法、第一の活性エネルギー線硬化物と活性エネルギー線硬化型組成物の親和性を上げる方法等が挙げられる。
また、第二の活性エネルギー線硬化物を形成するための活性エネルギー線硬化型組成物中のバインダー成分が、第一の活性エネルギー線硬化物に浸透するという観点から、第一の活性エネルギー線硬化物の厚さは第二の活性エネルギー線硬化物の厚さよりも大きいことが好ましい。
前記重合性化合物は、活性エネルギー線(紫外線、電子線等)により重合反応を生起し、硬化する化合物であり、本発明においては、延伸性のために単官能モノマーを重合性化合物全量に対し、80質量%以上含むことが好ましい。また、その他モノマーとして、多官能モノマーや重合性オリゴマーを含んでいてもよい。
単官能モノマーが主成分であることで重合生成物のポリマー鎖の網掛け構造が少なくなり、延伸性が得られる。
単官能モノマーであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、t−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートなどが挙げられる。
その他モノマーとして、多官能モノマーを含むことができる。多官能モノマーの含有量としては、延伸性を大きく阻害しない程度であることが好ましく、多官能モノマーの官能基数や分子量にもよるが、重合性化合物に対して15質量%以下、さらには10質量%以下が好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、平均一次粒径70nm未満の無機粒子を含む。前記活性エネルギー線硬化型組成物に対し、固形分比で10〜30質量%含むことが好ましく、さらには15〜25質量%含むことが好ましい。少なすぎると粒子添加による硬度上昇の効果が少なくなり、多すぎると粘度が高くなりすぎる。
また、平均一次粒径は70nm未満であることが好ましく、さらには30nm以上50nm以下であることが好ましい。平均一次粒径が小さいほど高い透明性が得られるが、小さいほど粘度が高くなりやすい。平均一次粒径70nm未満の無機粒子を上記の所定量含有することで、作製した積層体において良好な透明性が得られる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤は、十分な硬化速度を得るために、組成物の総質量(100質量%)に対し、5〜20質量%含まれることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1〜20質量%であることが好ましい。なお、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。 分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じてその他の公知の成分を含んでもよい。その他成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤などが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述のように、無機粒子及び重合性化合物を含み、前記無機粒子は、平均一次粒径70nm未満であり、前記活性エネルギー線硬化型組成物に対して固形分比で10〜30質量%含有され、前記重合性化合物は、単官能モノマーを前記重合性化合物に対して80質量%以上含み、180℃の延伸性が100%以上である活性エネルギー線硬化物に塗工されるとともに、インクジェット塗工されるものである。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調整手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性化合物、無機粒子、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて無機粒子あるいは顔料分散液を調製し、当該無機粒子あるいは顔料分散液にさらに重合性化合物、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調整することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、25℃における粘度が15〜40mPa・sが好ましく、20〜40mPa・sがより好ましい。また、20℃から65℃の範囲における粘度が5〜15mPa・sがより好ましく、6〜12mPa・sが特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34'×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃〜65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM−150IIIを用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。また、図2や図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
本発明の積層体は、上述した第一の活性エネルギー線硬化物と、該第一の活性エネルギー線硬化物上に第二の活性エネルギー線硬化物とが順次、積層されてなる。本発明の積層体は180℃の延伸性が100%以上であり、積層体における第二の活性エネルギー線硬化物は、平均一次粒径70nm未満の無機粒子を含み、前記積層体の断面を観察したときに、前記第二の活性エネルギー線硬化物に対する前記無機粒子の面積比率が30%以上であるとともに、インクジェット塗工により形成されたものである。
本発明の組成物収容容器(インク収容容器)は、活性エネルギー線硬化型組成物が収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物がインク用途である場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、または容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
像の形成方法は、少なくとも、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像の形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。さらに、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、本発明に係る別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。図2の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型組成物を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型組成物とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれら各組成物を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型組成物を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型組成物を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、図2では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
なお、以下、第一のエネルギー線硬化物を形成するための組成物を第一のインクと称し、第二のエネルギー線硬化物を形成するための組成物を第二のインクと称して説明する。
<第一の活性エネルギー線硬化物の作製>
下記配合比にて、第一のインクを作製し、ポリカーボネート基材(パンライトPC−1151)上に、GEN4ヘッド(リコープリンティングシステムズ社製)搭載のインクジェット吐出装置を用い、一滴当たり7plになるように吐出し、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により、UV−A領域(波長350nm以上400nm以下)に相当する波長域において積算光量1,000mJ/cm2の活性エネルギー線照射を行い、膜厚約15μmとなるように第一の活性エネルギー線硬化物を作製した。
アクリロイルモルホリン:45質量%
ベンジルアクリレート:38質量%
1,9−ノナンジオールジアクリレート:2質量%
2官能ウレタンアクリレート(分子量10000):8質量%
Irgacure379:7質量%
アクリロイルモルホリン:44質量%
ベンジルアクリレート:37質量%
1,9−ノナンジオールジアクリレート:4質量%
2官能ウレタンアクリレート(分子量10000):8質量%
Irgacure379:7質量%
アクリロイルモルホリン:36質量%
ベンジルアクリレート:29質量%
1,9−ノナンジオールジアクリレート:20質量%
2官能ウレタンアクリレート(分子量10000):8質量%
Irgacure379:7質量%
分散媒とシリカ粒子(固形分として)を表1の割合で配合することにより、第二のインクを得た。なお、シリカ粒子としては、市販のシリカゾルを用い、シリカの分散媒であるMEK(メチルエチルケトン)は、アクリロイルモルホリンとの溶媒置換により取り除いた。すなわち、シリカ分散液に揮発性の低いアクリロイルモルホリンを加えた後、エバポレーターを用いて除いた。
アクリロイルモルホリン:53質量%
ベンジルアクリレート:38質量%
1,9−ノナンジオールジアクリレート:2質量%
Irgacure379:7質量%
・分散媒(2)
アクリロイルモルホリン:40質量%
ベンジルアクリレート:29質量%
1,9−ノナンジオールジアクリレート:24質量%
Irgacure379:7質量%
(1)MEK−ST−40(日産化学工業)(平均粒子径10〜15nm[BET法])
(2)MEK−ST−L(日産化学工業)(平均粒子径40〜50nm[BET法])
(3)MEK−ST−ZL(日産化学工業)(平均粒子径70〜100nm[BET法])
第一の活性エネルギー線硬化物上に、第二のインクをGEN4ヘッド(リコープリンティングシステムズ社製)搭載のインクジェット吐出装置を用い、一滴当たり7plになるように吐出し、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により、UV−A領域(波長350nm以上400nm以下)に相当する波長域において積算光量1000mJ/cm2の活性エネルギー線照射を行い、積層体の膜厚が約20μm(約15μm+追加約5μm)となるように、積層体を作製した。
<延伸性>
延伸性は180℃破断伸び(引張り試験)で評価した。作製した積層体について、引張り試験機(オートグラフ AGS−5kNX、株式会社島津製作所製)を用い、引張り速度:20mm/min、温度180℃、サンプル:JIS K6251 ダンベル状(6号)の条件で測定し、(引張り試験後の長さ−引張り試験前の長さ)/(引張り試験前の長さ)の比で延伸性を表した。前記延伸性は100%以上がより好ましい。
なお、延伸性は第一の活性エネルギー線硬化物を作製した時点で測定を行い、また積層体を作製した時点で測定を行った。
作製した積層体の断面をTEM観察し、粒子解析ソフトにて第二の活性エネルギー線硬化物中の無機粒子の面積比率を算出した。これを積層体における面積比率(粒子密度)とした。得られた値について、下記のように評価した。面積比率については30%以上が好ましい。
[評価基準]
◎:50%以上
○:40%以上50%未満
●:30%以上40%未満
△:20%以上30%未満
×:20%未満
なお、上記得られた断面画像において、上記積層体では滴の形跡が見られ、インクジェットによって硬化物が形成されていることが確認できた。
ヘーズは、JIS−K−7136に準拠して、NDH4000(日本電色工業社製)を用いて測定した。
得られた積層体のフィルム2枚を積層体面が向かい合わせになるように重ね、60℃オーブンにて500g/cm2の圧力をかけながら、10時間保持した後、剥がしたときの剥がれ方を観察した。
[評価基準]
○:積層体が基材フィルムから剥離しない。
×:積層体が基材フィルムから剥離する。
鉛筆硬度試験は、JIS K5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)に準じて行った。装置としては、COTEC株式会社製ひっかき鉛筆硬度 TQC WWテスター(荷重750g専用)を用い、鉛筆は塗面に対して角度45°、荷重750gで押すように取り付ける。0.5〜1mm/sの速度で試験を行った。H、Fを合格とし、HBを不合格とした。
実施例2と比較例3を比べると比較例3では、第二のインク中でのシリカ粒子含有量を大きくしているが、含有量が大きい比較例3ではインクジェット吐出ができなかった。
実施例4と比較例1ではそれぞれ一次粒径の異なる粒子を用いているが、比較例1では70〜100nmの粒子を用いており透明性が低かった。
比較例4では元々の第二のインク中での粒子含有量が少ないため、第一の活性エネルギー線硬化物に浸透が起こるが、インクジェットによるプロセスの時間の範囲では耐ブロッキング性や硬度が発現するまでは粒子密度が上昇しなかった。
比較例5では、第二のインクをコーティングしていないために(第二の活性エネルギー線硬化物を作製していないために)、耐ブロッキング性や硬度が低かった。
比較例6では、単官能モノマーの含有量が少ないため、積層体の延伸性が低かった。
3 可動ステージ
4 活性エネルギー線
5 活性エネルギー線硬化型組成物
6 硬化層
21 供給ロール
22 被記録媒体
23a、23b、23c、23d 各色印刷ユニット
24a、24b、24c、24d 光源
25 加工ユニット
26 印刷物巻取りロール
30 造形物用吐出ヘッドユニット
31、32 支持体用吐出ヘッドユニット
33、34 紫外線照射手段
35 立体造形物
36 支持体積層部
37 造形物支持基板
38 ステージ
39 像形成装置
Claims (8)
- 180℃の延伸性が100%以上である第一の活性エネルギー線硬化物を形成する工程と、前記第一の活性エネルギー線硬化物上に活性エネルギー線硬化型組成物をインクジェット塗工し、硬化させて第二の活性エネルギー線硬化物を形成する工程と、を有する積層体の製造方法であって、
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、無機粒子及び重合性化合物を含み、
前記無機粒子は、平均一次粒径70nm未満であり、前記活性エネルギー線硬化型組成物に対して固形分比で10〜30質量%含有され、
前記重合性化合物は、単官能モノマーを前記重合性化合物に対して80質量%以上含み、
前記第二の活性エネルギー線硬化物における下記測定方法1で求められる粒子密度の値は、前記活性エネルギー線硬化型組成物における下記測定方法2で求められる粒子密度の値よりも大きいことを特徴とする積層体の製造方法。
(測定方法1)
前記第一の活性エネルギー線硬化物上に前記第二の活性エネルギー線硬化物を形成し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により得られる前記第二の活性エネルギー線硬化物の断面画像について粒子面積を求め、前記第二の活性エネルギー線硬化物全体の面積に対する粒子面積比率を粒子密度とする。
(測定方法2)
ポリエチレンテレフタレート(PET)基材上に前記第二の活性エネルギー線硬化物を形成し、TEM観察により得られる前記第二の活性エネルギー線硬化物の断面画像について粒子面積を求め、前記第二の活性エネルギー線硬化物全体の面積に対する粒子面積比率を粒子密度とする。 - 前記第二の活性エネルギー線硬化物中の粒子密度は、前記活性エネルギー線硬化型組成物中の粒子密度の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 前記無機粒子がシリカ粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
- 第一の活性エネルギー線硬化物と、該第一の活性エネルギー線硬化物上に第二の活性エネルギー線硬化物とが順次、積層されてなる積層体であって、
前記積層体は180℃の延伸性が100%以上であり、
前記第二の活性エネルギー線硬化物は、平均一次粒径70nm未満の無機粒子を含み、前記積層体の断面を観察したときに、前記第二の活性エネルギー線硬化物に対する前記無機粒子の面積比率が30%以上であるとともに、インクジェット塗工により形成されたものであることを特徴とする積層体。 - 無機粒子及び重合性化合物を含む活性エネルギー線硬化型組成物であって、
前記無機粒子は、平均一次粒径70nm未満であり、前記活性エネルギー線硬化型組成物に対して固形分比で10〜30質量%含有され、
前記重合性化合物は、単官能モノマーを前記重合性化合物に対して80質量%以上含み、
180℃の延伸性が100%以上である活性エネルギー線硬化物に塗工されるとともに、インクジェット塗工されることを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。 - 請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型組成物からなることを特徴とするインク。
- 請求項6に記載のインクが収容されたことを特徴とするインク収容容器。
- 請求項6に記載のインクが収容された収容部と、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、を備えることを特徴とする2次元又は次元の像形成装置。
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