<パチンコ機の全体構成>
以下、本発明の実施形態として、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態におけるパチンコ機10の斜視図、図2はパチンコ機10に備えられる遊技盤20の正面図である。
パチンコ機10には、図1に示すように、その中央部分に透明なガラス板11が前後一対に配置された窓部12が設けられ、その窓部12を介して、遊技球が前面側を流下する遊技盤20(図2参照)が遊技者から視認可能とされている。窓部12の下側には、上下2つの球皿13,14が設けられ、この球皿13,14内に遊技球が貯留される。球皿13,14の右側には、発射ハンドル15が設けられ、遊技者が発射ハンドル15を操作すると、上側の球皿13に貯留された遊技球が1球ずつ、遊技盤20の前面側に向けて発射される。
遊技盤20には、図2に示すように、略円形状に外周が区画された内側部分に遊技領域21が形成されている。遊技領域21の中央部および下側部分における左右両側には、センター装飾部材22および複数のサイド装飾部材23が設けられ、それら装飾部材22,23を避けた遊技領域21の全域に多数の遊技釘が立設されている。本実施形態の遊技盤20には、4種類の遊技釘、すなわち、遊技釘100A〜100Cと、釘ユニット200の一部である遊技釘100D(図6参照)とが立設されている。
遊技釘100A〜100Dが設けられる領域には、一般入賞口24、始動入賞口25,26、大当たり時に開放される入賞口を開閉する可変入賞装置27、スルーゲート28等の遊技者にとって特典が付与される入球口が設けられ、それら入球口に遊技球が入球することで賞球が払い出されたり、大当たり等の抽選が行われたりする。遊技盤20は、図2に示すように、その外形を形成する木製の遊技板50を備え、遊技板50の表面側から多数の遊技釘100A〜100Dが打ち込まれて取り付けられている。
遊技板50は、遊技釘100A〜100Dを保持する板状の部材であり、切削加工による単一の木製板材若しくは木製の薄板を複数重ね合わせた合板によって形成されている。遊技板50は、必ずしも木製とする必要はなく、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂製の板材または射出成形品により構成しても良い。
遊技板50には、装飾部材等が取り付けられる貫通穴が設けられ、上記した各種の入賞口24〜26、可変入賞装置27、スルーゲート28等を構成する各部材が取り付けられている。また、遊技板50には、予め形成された下穴53(図3(b)参照)に対して、釘打ち装置によって多数の遊技釘100A〜100Dが打ち込まれて固定されている。なお、必ずしも下穴53を予め設けて遊技釘100A〜100Dを遊技板50に打ち込む必要はなく、表面が平滑な遊技板50に対して遊技釘100A〜100Dを打ち込んでも良いし、遊技板50の表面にわずかな凹みを設け、その凹みに遊技釘100A〜100Dを打ち込んでも良い。また、以下の説明において、下穴53に対して遊技釘100A〜100Dが打ち込まれ、打ち込み前に比べて遊技釘100A〜100Dによって変形し、拡大された状態の穴部を釘穴52と称す。
また、遊技盤20には、遊技板50の左下から右上に亘り滑らかに湾曲して立設される外レール26と、遊技板50の右下から左側中ほどまでに亘り滑らかに湾曲して立設される内レール27とを備えている。外レール26および内レール27は、いずれも、金属製の薄板から構成される。また、内レール27における遊技板50の左側の先端からは、複数の遊技釘100Aが外レール26に沿って遊技板50の左上まで配設されている。
外レール26は、発射装置(図示せず)から、発射ハンドル15の操作量に応じた強度で発射された遊技球を遊技領域21内へ誘導するものである。外レール26と、内レール27または内レール27の先に配列された複数の遊技釘100Aとが平行に対向する間部分には、発射装置から発射された遊技球が通過する発射通路31が形成される。よって、内レール27の先に配列された複数の遊技釘100Aは、遊技領域21と発射通路31とを仕切る仕切り部として機能する。
ここで、パチンコ機10において、遊技領域21と発射通路31との仕切り部を、配列された複数の遊技釘100Aによって構成としたことに係る作用および効果を説明する。
遊技釘100Aは、図3を参照して後述する通り、細長く形成された軸部101A(図3(a))が軸方向(長手方向)に対して垂直な断面が円形の一定形状に形成されている。そのため、内レール27の先に配列された複数の遊技釘100Aは、各遊技釘100Aの軸部101Aの外周形状による起伏を、遊技領域21および発射通路31のそれぞれの側に有する仕切り部を構成する。よって、遊技領域21を流下する遊技球が、遊技領域21の側にて起伏形状に構成された仕切り部(すなわち、配列された複数の遊技釘100A)に接触した場合の挙動は、内レール27のような、滑らかに湾曲して立設される薄板に接触した場合に比べて複雑化されることになる。
近年、センター装飾部材22など、遊技領域21の中央に配設される中央構造体が遊技の興趣向上のために大型化される傾向にある。中央構造体が大型化されると、その分、遊技球を流下可能な領域が限定されることになる。遊技球を流下可能な領域が限定されると、遊技球の流下挙動が単調となり易く、遊技球を流下させて始動入賞口や一般入賞口などに入賞させる遊技の興趣が失われる可能性があった。これに対し、上述したように、複数の遊技釘100Aを遊技領域21に対する仕切り部として配列させることで、当該仕切り部に遊技領域21側から接触した遊技球の挙動が複雑化されるので、中央構造体が大型化されたことで遊技領域が限定される場合であっても、遊技球の流下挙動が単調となり難く、好適な遊技の興趣を提供できる。
また、発射通路31の側においても起伏形状に構成された仕切り部(すなわち、複数の配列された遊技釘100A)は、発射装置から発射された遊技球が遊技領域21に到達せずに発射通路31を逆流する場合において、逆流する遊技球の挙動が当該仕切り部との接触によって複雑化されるため、逆流する遊技球と、発射装置から新たに発射された遊技球との衝突位置が不定になり易くなる。
従来、発射装置から発射された遊技球が遊技領域21に到達せずに発射通路31を逆流した場合、そのように逆流する遊技球が、発射装置から次に発射された遊技球と特定の位置で衝突して遊技領域21側へと弾き飛ばされた後、発射通路31を再度逆流して、発射装置から次に発射された別の遊技球と特定の位置で再度衝突するというサイクルを断ち切ることができず、遊技になかなか復帰できないという問題があった。これに対し、上述したように、遊技領域21と発射通路31とを仕切る仕切り部が、発射通路31の側において起伏形状に構成されたことで、発射通路31を逆流する遊技球と、発射装置から新たに発射された遊技球との衝突位置が不定になり易くなり、それにより、遊技球が発射通路を逆流する事象が発生した後、遊技を早期に復帰させることが可能となる。
また、一般的に、遊技領域21と発射通路31とを仕切る内レール27のようなレールは、金属製の薄板を滑らかに湾曲させながらねじ止めなどによって所定間隔で固定することで遊技板50に立設されているために、使用によって歪み易いという問題があった。遊技領域と発射通路とを仕切るレールが歪んだ場合、遊技領域を流下する遊技球が遊技釘とレールとの間に嵌まり込むなど、適正な遊技が阻害される可能性がある。これに対し、複数の遊技釘100Aから構成された仕切り部は、個々の遊技釘100Aに歪みが生じ難いことから、当該仕切り部について使用による歪みが生じ難く、適正な遊技を長期にわたって提供することができる。
<遊技釘100A>
次に、図3を参照して、基本的な遊技釘である遊技釘100Aに関する構成について説明する。図3(a)は、遊技板50と遊技釘100Aとの固定状態を示す縦断面図である。図3(b)は、遊技釘100Aの先端側の形状を示した部分拡大図であり、図3(c)は、図3(b)のA−A線における遊技釘100Aの断面図である。また、図3(d)は、図3(b)のB−B線における遊技釘100Aの断面図である。なお、図3においては、理解の容易のために、図3(a)には遊技球を実線により併せて示し、図3(b)には下穴53の深さ方向先端側における一部の外形形状を二点鎖線で示し、遊技釘100Aの一部の縦断面の形状を斜線を付して示している。
遊技釘100Aは、図3(a)に示すように、遊技板50に対して一端側が保持され、遊技板50の前面51が向く前方側に突出するようにして遊技板50に取り付けられている。この遊技釘100Aが突出する側が遊技盤20の前面側に設けられる遊技領域に相当し、この前面側を遊技球が流下する。
遊技釘100Aは、図3(a)に示すように、細長く形成された軸部101Aと、軸部101Aの一端側であって遊技板50の前面51側に突出する先端側端部(突端部)にて軸部101Aより太く形成された頭部102とを有している。遊技釘100Aの軸部101Aは、図3(d)に示すように、軸方向(長手方向)に対して垂直な断面が円形の一定形状に形成されている。
遊技釘100Aは、金属製であり、例えば、黄銅(真鍮)によって形成され、線材に対して転造などの圧造加工を施して形成されている。なお、遊技釘100Aは、必ずしも圧造加工によって形成する必要はなく、これに代えて、又は、これに加えて切削加工等の他の加工を用いて形成しても良い。
遊技板50とガラス板11の間を流下する遊技球は、図3(a)に示すように、軸部101Aの一部分であって、抜止部113と頭部102との間にて断面形状が円形の一定形状に形成された当接部114に当接する。遊技釘100Aは、遊技板50の前面51に対して略垂直に取り付けられ、上方から遊技釘100Aに当接した遊技球が遊技板50側に案内され、遊技板50の前面51に沿って遊技球が落下し易く構成されている。なお、遊技釘100Aが遊技板50の前面51に対して略垂直に取り付けられるとは、必ずしも完全に垂直に取り付けられる場合に限らず、僅かに(例えば、5度以内)傾斜を設けて取り付けられても良く、例えば、水平より僅かに上側を向くように傾斜させて取り付けられても良い。
軸部101Aは、頭部102とは反対側となる端部に、先端部111と、螺旋部112と、抜止部113とを備えている。遊技釘100Aは、軸部101Aにおける先端部111側から遊技板50に打ち込まれ、螺旋部112と抜止部113とが遊技板50の厚み内に位置して固定される。遊技板50に固定された遊技釘100Aは、遊技板50の前面51より頭部102と軸部101Aの一部分とが突出し、遊技釘100Aが突出する突出量は、例えば、略18.5mmとされている。
遊技釘100Aは、先端部111が位置する側が打込方向先端側(図3(b)の右側)となり、頭部102に近い側が打込方向後端側となるようにして遊技板50に打ち込み固定される。先端部111は、直径が先端側から次第に増大する略円形状の断面形状を有して先端側に位置する先端側尖形部111aと、先端側尖形部111aより打込方向後端側に形成された先端側直線部111bとを有している。
先端側尖形部111aは、軸部101Aの軸方向に垂直な側面視(図3(b)における紙面垂直方向視)において略三角形状であって、略円錐状に形成されている。先端側直線部111bは、軸部101Aの軸方向(図3(b)の一点鎖線で示す軸部101Aの中心軸線が連続する方向)に沿って直径が略同一であって略円形の断面形状に形成されている。
先端側尖形部111aの先端部分は、軸部101Aの軸方向に垂直な側面視(図3(b)における紙面垂直方向視)において、略25度から30度の範囲内の角度となるように尖った形状に形成され、予め遊技板50に設けられる下穴53の奥底面53aに接触する設定とされている。なお、先端側尖形部111aの先端部分は、側面視において、略90度以下の角度に設定されることが良く、略60度以下の角度に設定されることが好ましく、略40度以下の角度に設定されることが好適である。
ここで、下穴53は、遊技板50の前面51から直径が略同一であって略円形の断面形状を有する形状を主体として形成されている。下穴53の直径は、当接部114の外形よりも略10%から略20%の範囲内で小さく、且つ、先端部111(先端側尖形部111a及び先端側直線部111b)の最大外径よりも僅かに小さく形成され、例えば、略1.5mmに設定されている。下穴53の深さは、遊技釘100Aの打込方向先端側の最先端から抜止部113が形成された打込方向後端側端部までの長さ(例えば、略9mm)より長く、且つ、遊技釘100Aが正規の位置に打ち込まれるまでの打込長さ(例えば、略15mm)より、一定以上(例えば、略2mm以上)短い長さ(例えば、略10mm)に設定されている。
下穴53の奥底面53aは、中心部分が最も深い穴形状となるように断面視略三角形状をなす略円錐状に形成されている。また、下穴53の連続する軸方向に沿った中心軸に対しての奥底面53aの傾斜角度は、遊技釘100Aの先端側尖形部111aにおける中心軸に対しての傾斜角度より大きく設定されている。遊技板50へ遊技釘100Aが打ち込まれた場合には、下穴53の奥底面53aに対して遊技釘100Aの先端側尖形部111aの先端が接触した後、下穴53の奥底面53aの傾斜に沿って遊技釘100Aの先端が下穴53の中央側に案内され易い。このため、下穴53の中心軸に遊技釘100Aの中心軸が一致し易くなり、製造上の遊技釘100Aの打ち込み位置のバラツキを少なくすることができる。
先端側直線部111bは、遊技釘100Aの軸部101Aの連続する方向に沿って外形部分が略直線的に連続する略円柱状に形成されている。先端側直線部111bは、遊技釘100Aが下穴53の連続する方向に沿って軸部101Aが平行に進入するように位置決めするための部位であり、遊技釘100Aの軸部101Aにおける基準直径(遊技釘100Aの軸部101Aにおいて表面が平滑な円柱状の部位の直径であり、当接部114の直径)の半分以上の長さに設定することが好ましく、当該直径以上の長さに設定することが好適である。また、先端側直線部111bは、次第に外形が僅かに大きくなる形状に設定することが好ましく、例えば、先端側直線部111bにおける打込方向先端側(先端側尖形部111aに近い側)の端に比べて、打込方向後端側(螺旋部112に近い側)の端が略2%以上、外形が大きく設定されることが好ましく、略5%以上、外形が大きく設定されることが好適である。なお、先端側直線部111bは、必ずしも設ける必要はなく、先端側尖形部111aに対して打込方向後端側に螺旋部112が連続する形状としても良い。また、先端部111の最大外径は、当接部114の外形よりも略5%から略15%の範囲内で小さく、下穴53の内径よりも僅かに大きく設定されるものであり、例えば、略1.7mmに設定されている。
螺旋部112は、遊技釘100Aが遊技板50に打ち込まれる場合に遊技釘100Aを回転させる部位であり、4条の螺旋状の突条部112aがローレット加工により中心軸から離間する径方向側に突出して形成されたねじ状の外形形状に形成されている。遊技釘100Aが下穴53に打ち込まれた場合には、突条部112aの連続する方向に沿って遊技釘100Aが回転し、この回転によって遊技釘100Aが下穴53の連続する方向に沿って真直に進行し易くなる。これにより、遊技釘100Aの打ち込み位置のバラツキを少なくすることができる。
突条部112aは、図3(c)に示すように、中心軸(図3(c)の点C)に対して半径方向外側に向かって複数箇所において突出している。突条部112aは、軸部101Aの中心軸を中心とする周方向において複数箇所に離間して設けられている。突条部112aの突出先端部分は、図3(b)に示すように、軸部101Aの軸方向に沿って中心軸を中心とした位置が周方向に異なる位置となるようにして連続し、突条部112aが軸部101Aの軸方向に沿って螺旋状に連続する形状とされている。螺旋部112において、突条部112aの先端が位置する外径(最大外径)の大きさは、軸部101Aの軸方向に沿って略同一に設定され、先端部111に比べて大きな外径に設定されている。
ここで、螺旋部112の長さは、当接部114の直径と比較して、同一の長さ以上に設定することが好ましく、当該直径の2倍以上の長さに設定することが好適である。また、螺旋部112は、次第に外形が僅かに大きくなる形状に設定することが好ましく、例えば、螺旋部112における打込方向先端側(先端部111に近い側)の端に比べて、打込方向後端側(抜止部113に近い側)の端が略5%以上に外形が大きく設定されることが好ましく、略10%以上に外形が大きく設定されることが好適である。この螺旋部112における外形の形状変化の程度は、先端側直線部111bにおける外形の形状変化よりも大きな割合に設定することが遊技釘100Aの打ち込み位置のバラツキを少なくする上で好ましい。なお、螺旋部112は、必ずしも設ける必要はなく、先端部111に対して抜止部113が連続する形状としても良い。
また、螺旋部112の突条部112aにおける突出先端側部分の幅Laは、当接部114の直径に対しては略5分の1の長さに設定されている。この突条部112aの幅Laは、当接部114の直径に対して略10分の1から略4分の1の範囲内に設定することが好ましい。また、螺旋部112において突条部112aが連続する方向は、軸部101Aの側面視(図3(b)における紙面垂直方向視)において、軸部101Aの中心軸線に対して、例えば略45度傾いた角度(傾斜角度Ra)に設定されるものであり、傾斜角度Raは、軸部101Aの中心軸線に対して略25度から略60度の範囲内の角度に設定されることが好ましい。
抜止部113は、螺旋部112に対して打込方向後端側に設けられ、螺旋部112の後に遊技板50内に進入し、遊技釘100Aの抜け方向側への移動を阻止する部位である。抜止部113は、軸部101Aの軸方向に沿って2箇所に離間して設けられ、それぞれが軸部101Aの中心軸を中心とする周方向に一定の断面形状を有し、その周方向に沿って環状に連続した形状をしている。
抜止部113のそれぞれは、軸部101Aの外周側に略三角形状に突出し、側面視においては打込方向後端側(頭部102に近い側)の端部が軸部101Aの中心軸に対して径方向に大きく突出している。抜止部113における頭部102に近い側の端部の断面形状(軸部101Aの中心軸を通る平面による縦断面の形状)は、突出先端部分が直角より鋭く尖った鋭角に形成されている(図3(b)の斜線部参照)。遊技釘100Aが遊技板50に打ち込まれた後、抜止部113は、釘穴52の内面に突き刺さるようにして引っ掛かり、遊技釘100Aの抜け方向への移動が阻止される。
当接部114は、図3(a)に示すように、軸部101Aにおける頭部102に近い側の一定の区間に相当する部位であり、断面形状が円形で同一サイズの外周形状をした略円柱状の部位により構成されている。当接部114を一部分とする軸部101Aの一部は、断面形状が一定に形成されており、その外径は、例えば、直径が略1.85mmとされ、螺旋部112及び抜止部113における最大外径より細く設定されている。ここで、螺旋部112及び抜止部113における最大外径とは、軸部101Aの中心軸線から最も離れた突端部分を通過する仮想的な略円筒形状の直径に相当するものであり、各部分の最大部分における外径に相当し、例えば、螺旋部112の最大部分が1.9mm、抜止部113が1.95mmに設定されている。
なお、軸部101Aのうち、当接部114と抜止部113との間であって、遊技板50の前面51に相当する位置(例えば、先端部111側の先端から略13mmの区間)を含む一部分は、当接部114よりショットピーニングや絞り加工等による加工硬化によって当接部114より硬質に構成することが好ましく、これにより、遊技釘100Aの折損に対しての寿命を長く確保し易くすることができる。
上記形状に構成された遊技釘100Aによれば、軸部101Aには、所定の外径として当接部114より大きく突出した部位を形成する突条部分が螺旋状に連続する螺旋部112と、螺旋部112より頭部102側に離間した複数箇所に設けられた2つの抜止部113とが設けられている。このため、遊技釘100Aは、複数の抜止部113が下穴53内に進行することにより、螺旋部112のみによる保持力より大きな保持力を確保し易くすることができる。
<遊技釘100B>
次に、図4を参照して、遊技釘100Bについて説明する。図4(a)は、遊技釘100Bの側面図であり、図4(b)は、図4(a)のD−D線における遊技釘100Bの断面図である。図4(c)は、遊技釘100Bの取り付け態様を説明する図である。なお、図4(c)では、遊技領域21と発射通路31との間に配列された複数の遊技釘100Aと、その近傍に取り付けられた遊技釘100Bとの各々について、軸部101A,101B(より詳細には101Ba)における、各軸部の軸方向(長手方向)に対して垂直な断面を示している。
遊技釘100Bは、軸部101Bの一部形状が軸部101Aと異なる以外は、上述した遊技釘100Aと同様に構成される。つまり、軸部101Bの一端側であって遊技板50の前面51側に突出する先端側端部(突端部)には、遊技釘100Aと同様の頭部102が形成されている。また、軸部101Bは、遊技釘100Aと同様、先端部111と螺旋部112と抜止部113とを、頭部102とは反対側となる端部に備えている。遊技釘100Bは、第1軸部101Baの形状に応じた取り付け向きが設定されていること以外、図3(a)に示した遊技釘100Aと同様にして遊技板50に取り付けられる。
遊技釘100Bは、遊技釘100Aと同様に金属製であり、例えば、黄銅によって形成される。遊技釘100Bは、線材に対して転造などの圧造加工を施して形成されているが、必ずしも圧造加工によって形成する必要はなく、これに代えて、又は、これに加えて切削加工等の他の加工を用いて形成しても良い。なお、遊技釘100Bの第1軸部101Baは、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成した後に、切削加工等によって形成してもよいし、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成するのに先立って切削加工等によって形成してもよい。
また、軸部101Bは、頭部102に近い側に設定された第1軸部101Baと、第1軸部101Baと抜止部113との間に設定された第2軸部101Bbとを備えている。第1軸部101Baは、遊技釘100Bを遊技板50に打ち込んだ場合に、遊技板50より前面側(すなわち、遊技板50に挿入されない位置)であるとともに、当接部114を含む位置に設定される。つまり、遊技板50とガラス板11の間を流下する遊技球は、遊技釘100Bの軸部101Baにおける当接部114に当接する。
第1軸部101Baおよび第2軸部101Bbは、軸方向に対して垂直な断面の形状が異なっている。具体的に、第2軸部101Bbにおける軸方向に対して垂直な断面が、遊技釘100Aの軸部101Aと同様の円形状に形成されているのに対し、第1軸部101Baにおける軸方向に対して垂直な断面は、図4(b)に示すように、第2軸部101Bbにおける軸方向に対して垂直な断面である円と略同一の円を半円にした円弧である円弧部101Ba2と、当該円弧の両端を結ぶ直線部101Ba1とからなる半円形状に形成されている。
第1軸部101Baを有する遊技釘100Bは、図2に示したように、遊技領域21と発射通路31との間を仕切る仕切り部(より詳細には、内レール27の先に配列された複数の遊技釘100A)の近傍に取り付けられる。図4(c)に示すように、遊技釘100Bは、第1軸部101Baにおける直線部101Ba1が、円弧部101Ba2に対して遊技盤20(遊技板50)の上側を向き、かつ、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部から離れるにつれて下降する傾斜となる向き(この例では、遊技盤20における右下方向に延びるような向き)取り付けられる。
ここで、パチンコ機10において、上記形状に構成された遊技釘100Bに係る作用および効果を説明する。
遊技球が当接する部分の断面形状が円形である軸部を有する遊技釘(例えば、遊技釘100A)が、遊技領域21と発射通路31との間を仕切る仕切り部の近傍に取り付けられた場合、断面形状が円形である軸部の形状ゆえに、当該軸部の外周において遊技球と接触する上側の突端となる部分が、遊技機正面視における軸部の軸中心のほぼ真上となって、それにより、軸部と仕切り部との離間距離が遊技機正面視における下側に向けて次第に短くなって軸部と仕切り部との間の空間がポケットのようになって遊技球が嵌まり込んでしまうことがあった。
これに対し、本実施形態のパチンコ機10によれば、当接部114を含む第1軸部101Baの断面形状が半円である遊技釘100Bを用い、かかる遊技釘100Bを図4(c)に示すように取り付けたことで、第1軸部101Baの外周において遊技球と接触する上側の突端となる部分(より詳細には、第1軸部101Baの断面の直線部101Ba1における仕切り部に近い側の端部)が、遊技機正面視における軸部101Bの軸中心(第2軸部101Bbの軸中心)のほぼ真上より仕切り部の側に位置する。これにより、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部(本実施形態では、配列された複数の遊技釘100A)における遊技領域21側と、当接部114を含む第1軸部101Baとの間に、上述のように遊技球が嵌まり込む形状の空間が形成され難い。これにより、遊技領域21を流下する遊技球が、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部と遊技釘との間に嵌まり込み止まってしまうことを抑制できる。
また、図4(c)に示すように、隣接して並ぶ遊技釘100Bは、各第1軸部101Baの直線部101Ba1が、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部から離れるにつれて下降する傾斜面を形成するかのように取り付けられている。これにより、隣接する遊技釘100Bの各第1軸部101Baにおける直線部101Ba1を含む面が、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部の近傍を流下する遊技球を当該仕切り部から離れる方向への移動を促進する経路として機能させることができる。よって、かかる点においても、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部と遊技釘との間に遊技球が嵌まり込む事象を好適に抑制できる。
また、遊技釘100Bが図4(c)に示すように並ぶ構成において、遊技球は直線部101Ba1を含む面に接触して跳ね上がりながら仕切り部から離れる方向へと誘導される。このとき、遊技球の跳ね上がり方向は、主に、直線部101Ba1を含む面の向きに従うので、直線部101Ba1を含む面の向きに応じて跳ね上がり方向を制御することが可能となる。
なお、遊技球を始動入賞口25に誘導する複数の遊技釘(所謂、誘導釘)など、遊技球を所定方向に誘導するために連ねて配置された遊技釘の代替として、遊技釘100Bを用いてもよい。つまり、複数の遊技釘100Bを、第1軸部101Baの直線部101Ba1が、所定方向(例えば、始動入賞口25に向かう方向)に下降傾斜面を形成するかのように並べて取り付けてもよい。この場合も、直線部101Ba1を含む面の向きを制御することで、複数の遊技釘100Bの配列によって所定方向に誘導される遊技球の跳ね上がり方向を制御することができる。よって、例えば、センター装飾部材22の下部に、始動入賞口25への入球が容易である箇所、または、始動入賞口25への入球が困難である箇所のいずれかに遊技球を振り分ける振分部を設けた場合に、当該振分部に遊技球を飛び込ませることができるように直線部101Ba1を含む面の向きを制御することで、複数の遊技釘100Bの配列によって所定方向に誘導される遊技球の一部を当該振分部に飛び込ませることができ、それにより遊技の興趣を向上させることができる。
<遊技釘100C>
次に、図5を参照して、遊技釘100Cについて説明する。図5(a)は、遊技釘100Cの側面図であり、図5(b)は、図5(a)のE−E線における遊技釘100Cの断面図である。
遊技釘100Cは、軸部101Cの一部形状が軸部101Aと異なる以外は、上述した遊技釘100Aと同様に構成される。つまり、軸部101Cの一端側であって遊技板50の前面51側に突出する先端側端部(突端部)には、遊技釘100Aと同様の頭部102が形成されている。また、軸部101Cは、遊技釘100Aと同様、先端部111と螺旋部112と抜止部113とを、頭部102とは反対側となる端部に備えている。遊技釘100Cは、第1軸部101Caの形状に応じた取り付け向きが設定されていること以外、図3(a)に示した遊技釘100Aと同様にして遊技板50に取り付けられる。
遊技釘100Cは、遊技釘100Aと同様に金属製であり、例えば、黄銅によって形成される。遊技釘100Cは、線材に対して転造などの圧造加工を施して形成されているが、必ずしも圧造加工によって形成する必要はなく、これに代えて、又は、これに加えて切削加工等の他の加工を用いて形成しても良い。なお、遊技釘100Cの第1軸部101Caは、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成した後に、切削加工等によって形成してもよいし、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成するのに先立って切削加工等によって形成してもよい。
また、軸部101Cは、頭部102に近い側に設定された第1軸部101Caと、第1軸部101Caと抜止部113との間に設定された第2軸部101Cbとを備えている。第1軸部101Caは、遊技釘100Cを遊技板50に打ち込んだ場合に、遊技板50より前面側(すなわち、遊技板50に挿入されない位置)であるとともに、当接部114を含む位置に設定される。つまり、遊技板50とガラス板11の間を流下する遊技球は、遊技釘100Cの軸部101Caにおける当接部114に当接する。
第1軸部101Caおよび第2軸部101Cbは、軸方向に対して垂直な断面の形状が異なっている。具体的に、第2軸部101Cbにおける軸方向に対して垂直な断面が、遊技釘100Aの軸部101Aと同様の円形状に形成されているのに対し、第1軸部101Caにおける軸方向に対して垂直な断面は、図5(b)に示すように、第2軸部101Cbにおける軸方向に対して垂直な断面である円と略同一の円における半円より小さな部分の円弧と、当該円弧の両端101Ca2,101Ca3からそれぞれ延び、第2軸部101Cbにおける軸方向に対して垂直な断面である円上での交点(頂点101Ca1)で交わる各直線とで囲まれる形状にされている。
第1軸部101Caを有する遊技釘100Cは、図2に示したように、遊技領域21における発射通路31の出口近傍に取り付けられる。このとき、遊技釘100Cは、第1軸部101Caにおける頂点101Ca1が、遊技盤20(遊技板50)の上側を向くような向きに取り付けられる。
ここで、パチンコ機10において、上記形状に構成された遊技釘100Cに係る作用および効果を説明する。
パチンコ機10に対しては、糸を取り付けた遊技球を遊技領域内に発射させることによって不正行為が行われる可能性がある。
これに対し、本実施形態のパチンコ機10によれば、発射通路31の出口近傍に取り付けた遊技釘100Cが、第1軸部101Caにおける頂点101Ca1が上側を向くような向きで取り付けられているので、糸を取り付けた遊技球が発射された場合、当該遊技球は、糸が遊技釘100Cの頂点101Ca1を跨いで、頂点101Ca1を支点とした状態でぶら下がり易い。
このような状態で糸を引っ張ったり緩めたりした場合には、糸は頂点101Ca1の角部によって摩擦されるので、遊技球に取り付けられた糸を角部との摩擦によって切れ易くすることができる。特に、図5(b)に示すように、第1軸部101Caにおける軸方向に対して垂直な断面は、頂点101Ca1の角度が鋭角とされているので、遊技球に取り付けられた糸を切る効果が好適に向上する。
また、遊技釘100Cは、第1軸部101Caの断面形状が単純な円形状でないので、遊技球は、その接触位置(衝突位置)に応じて特徴的に跳ね返ることになる。よって、遊技釘100Cにより跳ね返る遊技球の挙動に対する興趣を向上させることができる。特に、本実施形態では、当接部114を含む第1軸部101Caの断面形状が頂点101Ca1にて折れ曲がった角部を有する形状に構成された遊技釘100Cが、当該角部が遊技盤20の上側を向くような向きで、発射通路31の出口近傍に取り付けられているので、発射通路31から遊技領域21に進入した遊技球について、遊技釘100Cによる跳ね返り挙動を複雑化することができる。よって、発射通路31から遊技領域21に進入した遊技球の挙動を遊技者に楽しませることが可能となる。
<釘ユニット200>
次に、図6を参照して、遊技釘100Dを含む釘ユニット200について説明する。図6(a)は、連結部201の長手方向を見る向きから見た釘ユニット200の側面図である。図6(b)は、図6(a)における矢印G方向に見た遊技釘100Dの側面図であり、図6(c)は、図6(a)のF−F線における遊技釘100Dの断面図である。図6(d)は、図6(a)における矢印H方向に見た連結部201の側面図である。なお、図6(a)には、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合における当該遊技板50の前面51を二点鎖線で示している。
図6(a)に示すように、釘ユニット200は、2本の遊技釘100Dを連結部201により連結したユニットとして構成される。連結部201には、2本の遊技釘100Dの間となる位置に、遊技釘100Dの軸方向に沿って細長く延びる棒状の突出部201aが形成されている。なお、1の釘ユニット200に含まれる突出部201aの数は、図6(a)に示した5つであることに限らず、釘ユニット200を構成する両端の遊技釘100D間の距離に応じた1以上の適宜の数とされる。
突出部201aを有する釘ユニット200は、連ねて配置される(配列された)複数の遊技釘、例えば、図2に示すように、遊技球を始動入賞口25に誘導する複数の遊技釘(所謂、誘導釘)に代えて取り付けることができる。つまり、突出部201aは、連ねて配置される遊技釘の一部を代替する部材として利用できる。よって、両端となる2本の遊技釘100Dの間に適宜の数の突出部201aを設けることで、誘導釘など、連ねて配置される遊技釘の代替となり得る種々のサイズの釘ユニット200を準備することができる。
また、釘ユニット200が必ずしも突出部201aを含む必要はなく、連結部201に突出部201aが形成されていないものであってもよい。例えば、本実施形態では、図2に示すように、上側の始動入賞口25の上方に当該入賞口25の入口として機能する一対の遊技釘(所謂、命釘)を釘ユニット200の形態で取り付けており、かかる一対の遊技釘に対応する釘ユニット200の連結部201には突出部201aが形成されていない。
釘ユニット200を構成する遊技釘100Dは、軸部101Dに溝部155が形成されていること以外は、上述した遊技釘100Aと同様に構成される。つまり、軸部101Dの一端側であって遊技板50の前面51側に突出する先端側端部(突端部)には、遊技釘100Aと同様の頭部102が形成されている。また、軸部101Dは、遊技釘100Aと同様、先端部111と螺旋部112と抜止部113とを、頭部102とは反対側となる端部に備えている。遊技釘100Dは、連結部201の長手方向と、溝部115.116が延びる方向とを一致させるように取り付け向きが設定されていること以外、図3(a)に示した遊技釘100Aと同様にして遊技板50に取り付けられる。
遊技釘100Dは、遊技釘100Aと同様に金属製であり、例えば、黄銅によって形成される。遊技釘100Dは、線材に対して転造などの圧造加工を施して形成されているが、必ずしも圧造加工によって形成する必要はなく、これに代えて、又は、これに加えて切削加工等の他の加工を用いて形成しても良い。なお、遊技釘100Dの軸部101Dにおける溝部115,116は、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成した後に、切削加工等によって形成してもよいし、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成するのに先立って切削加工等によって形成してもよい。
また、軸部101Dには、当接部114より先端部111側であり、かつ、遊技釘100Dが遊技板50に打ち込まれた場合に前面51より前方側の位置に溝部115,116が形成されている。溝部115は、図6(a)および図6(b)に示すように、連結部201が延びる方向(図6(a)における左右方向であり、図6(a)における紙面垂直方向)に軸部101Dを切り欠いて形成された溝である。一方、溝部116は、軸部101の軸方向に対して溝部115の裏側となる位置に、連結部201が延びる方向(長手方向)に軸部101Dを切り欠いて形成された、溝部115と対をなす溝である。
遊技釘100Dの軸部101Dにおいて、一対の溝部115,116が形成された部分は、図6(c)に示すように、溝部115,116が形成されていない部分に比べて、軸方向に垂直な断面が溝部115,116の深さの分だけ薄くなっているので、折曲や折損などの破損を生じ易い。特に、略同方向に延びる一対の溝部115,116が形成されたことで、軸部101Dは、特定方向の負荷に対して方向性をもって、すなわち、軸部101Dに対して垂直であり、溝部115,116に対して垂直な方向の負荷に対して、その負荷の方向に破損し易い。
また、本実施形態では、溝部115,116の形成位置が、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合に、遊技板50の前面51より前方であって、頭部102より前面51に近い位置となるよう設定されている。このように、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合における溝部115,116位置を、頭部102より前面51に近い位置とすることで、頭部102に不正に力を加えて遊技釘を曲げようとした場合に、力を加えられる位置(つまり力点)に対し、溝部115,116が、支点となる遊技板50の前面51に比較的近い位置となるため、溝部115,116に負荷がかかり易く、軸部101Dを溝部115,116において破損させ易い。
特に、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合における溝部115,116の位置を、遊技板50の前面51から前方側に所定長さ(例えば、5ミリ程度)の位置とすることで、軸部101Dが溝部115,116おいて折損した場合であっても、遊技釘100Dは遊技板50の前面51から所定長さだけ出た状態で残されるので、遊技釘100Dを遊技板50から取り外す作業を行い易い。
釘ユニット200を構成する連結部201は、金属製であり、例えば、黄銅によって形成される。連結部201は、切削加工や成型加工などによって、所望の形状に形成される。連結部201には、図6(d)に示すように、その長手方向の両端に、遊技釘100Dを嵌め込み固定するための凹部201bが形成されている。よって、釘ユニット200は、2本の遊技釘100Dをそれぞれ連結部201の凹部201bに嵌め込み固定することで作成される。
凹部201bは、遊技釘100Dを導入する入口となる開口部201b1と、開口部201b1に連設される嵌め込み部201b2とから構成される。開口部201b1は、遊技釘100Dを導入可能な広さに構成され、その広さは嵌め込み部201b2に近づくにつれて狭くなっている。
一方、嵌め込み部201b2は、遊技釘100Dの、当該嵌め込み部201b2に嵌め込まれる部分(本実施形態では、軸部101Dにおける頭部102に近い側の端部)の外径と同程度の内径を有し、開口部201b1から進入した遊技釘100Dを受け入れ可能な程度に開口された半円以上の円弧として形成される。よって、嵌め込み部201b2に嵌め込まれた遊技釘100Dは、当該嵌め込み部201b2に外れ難い状態で固定される。
上述したように、連結部201には、2本の遊技釘100Dの間となる位置に、すなわち、両側に形成された凹部201bの間に、1以上の突出部201aが必要に応じて形成される。突出部201aは、その断面が、軸部101Dの断面と同程度の直径の円形で、略同一サイズの外周形状をした略円柱状の棒状体として構成される。
突出部201aの長さは、図6(a)に示すように、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合に、突出部201aの先端が、遊技板50の前面51に接しない程度(例えば、前面51から前方側に数ミリ程度浮く程度)の長さに設定されている。つまり、両端の遊技釘100Dによって釘ユニット200が遊技板50に取り付けられた場合、突出部201aと前面51との間には若干の隙間が形成される。
ここで、パチンコ機10において、上記構成の釘ユニット200に係る作用および効果を説明する。
パチンコ機100においては、遊技板50に取り付けられている多数の遊技釘の一部が、釘ユニット200の形態で取り付けられているので、釘ユニット200を構成する2本の遊技釘100Dにおける曲げ方向の自由度が、それらの遊技釘100Dを連結する連結部201の存在によって規制される。よって、釘ユニット200については、遊技釘100Dを不正に曲げることが難しくなるため、不正行為を抑制できる。
また、始動入賞口25の上方に設ける一対の遊技釘を釘ユニット200の形態で取り付けることで、一対の遊技釘の間隔が連結部201によって固定されるので、始動入賞口25への入球(進入)が容易となるよう一対の遊技釘の間隔を広げることが困難となる。よって、一対の遊技釘の間隔を広げる不正行為を抑制できる。同様に、一対の遊技釘の間隔を狭める(閉める)ことも困難となる。
釘ユニット200には、遊技板50に取り付けた場合に、その先端が前面51から若干離れた(浮いた)状態となる突出部201aが、両端となる2本の遊技釘100Dの間に形成されている。よって、突出部201aは、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた状態において撓ませることが可能である。
そのため、突出部201aが形成された釘ユニット200を、例えば、図2に示したように、遊技球を始動入賞口25に誘導する複数の遊技釘(所謂、誘導釘)に代えて用いた場合、連結部201に沿って誘導される遊技球が接触(衝突)したことで突出部201aに撓みが生じる。かかる突出部201aの撓みによって、釘ユニット200上を連結部201に沿って誘導される遊技球を弾み易くすることができる。
よって、例えば、センター装飾部材22の下部に、始動入賞口25への入球が容易である箇所、または、始動入賞口25への入球が困難である箇所のいずれかに遊技球を振り分ける振分部を設けた場合に、釘ユニット200により始動入賞口25へと誘導される遊技球の一部を当該振分部に飛び込ませることができ、それにより遊技の興趣を向上させることができる。
また、釘ユニット200では、溝部115が延びる方向と連結部201の長手方向とが一致するように、遊技釘100Dが取り付けられているので、溝部115,116が破損した場合には、釘ユニット200の見た目が大きく変わることになる。よって、遊技釘100Dなどに負荷をかけることで曲げる不正行為を、見た目の変化によって早期に発見でできる。また、このように不正行為が発見され易くなったことで、当該不正の実施が抑制される。
<第2実施形態>
次に、図7を主に参照して、第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態に係るパチンコ機10では、始動入賞口25やスルーゲート28などの入球口の上方に、当該入球口の入口として機能する複数本の遊技釘が遊技板50に打ち込まれている。例えば、始動入賞口25の上方には、始動入賞口25の入口として機能する2本の遊技釘100D(釘ユニット200の一部)が打ち込まれている。
これに対し、第2実施形態に係るパチンコ機10では、入球口の入口として機能する複数本の遊技釘の一部が、遊技板50に打ち込まれることなく、入球口が形成された入球装置に一体化されている。なお、以下の説明において、第1実施形態における構成と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を説明する。
図7(a)は、第1の取り付け態様で取り付けられた、入球装置の1つである一般入賞装置334の正面図であり、図7(b)は、第2の取り付け態様で取り付けられた一般入賞装置334の正面図である。
なお、図7(a)および図7(b)には、一般入賞装置334に設けられているピン401と共に、一般入賞装置334における入球口である一般入賞口324の入口として機能する、一般入賞装置334の近傍に設けられた3本の遊技釘Q1〜Q3を合わせて図示している。遊技釘Q1〜Q3は、例えば、上述した遊技釘100Aである。なお、遊技釘Q1〜Q3は、遊技釘100Aに限らず、遊技釘100B〜100Dのいずれであってもよい。また、遊技釘Q1〜Q3が全て同じ形状の遊技釘でなくてもよい。
一般入賞口324は、第1実施形態の一般入賞口24と同様に機能する入賞口であり、遊技球が入球(通過)したことで、その特典として賞球が払い出される。一般入賞装置334は、一般入賞口324が形成された入賞装置である。一般入賞装置334は、上側に一般入賞口24が形成された本体324aと、本体324aの背面側に連設される台板334bとを備えている。本体324aの内部には、一般入賞口324に連設されて一般入賞口324に入球した(一般入賞口324を通過した)遊技球を遊技板50の背面側に形成される排出経路に送り出すための通路が形成されている。台板334bにおける一般入賞口324の入口側は、遊技球が一般入賞口324にスムーズに進入できるよう、台板334bの外縁側から一般入賞口324に向けてスロープ状に形成されている。
台板334bには、一般入賞装置334を遊技板50に取り付けるためのビス301,302を挿通させるための挿通口が2箇所に形成されている。より詳細には、一般入賞口324を遊技機正面視におけるほぼ真上に向けた状態(すなわち、図7(a)に示す状態)において、当該一般入賞口324の中心を通る上下方向の軸の左側の上部には、ビス301を挿通するための第1の挿通口が形成されている。一方、同状態において、当該一般入賞口324の中心を通る上下方向の軸の右側の下部には、ビス302を挿通するための第2の挿通口が形成されている。
遊技板50には、台板334bの第1の挿通口に通されたビス301を固定するための止め穴54が形成されている。一方、遊技板50には、台板334bの第2の挿通口に通されたビス302を固定するための止め穴として、2箇所の止め穴55,56が準備されている。
よって、第2の挿通口に通されたビス302の固定先が止め穴55であるか、止め穴56であるかに応じて、一般入賞装置334の取り付け向きを変化させることができる。つまり、第2の挿通口に通されたビス302を止め穴55にて固定した場合、一般入賞装置334は、図7(a)に示すように、一般入賞口324が遊技機正面視におけるほぼ真上を向くように取り付けられる。
その一方で、第2の挿通口に通されたビス302を止め穴56にて固定した場合、一般入賞装置334は、図7(a)に示す状態から止め穴54を中心として時計回りに回転された状態で取り付けられる。よって、止め穴56を用いて取り付けられた一般入賞装置334は、図7(b)に示すように、一般入賞口324が遊技機正面視における右上を向くように取り付けられる。
製造時には、止め穴55または止め穴56のうち一方の止め穴に第2の挿通口に通したビス302をねじ止めすることで、一般入賞装置334を遊技板50に取り付ける。このとき、使用しなかった他方の止め穴は樹脂を流し込むことで埋める。このように、第2の挿通口に通されたビス301の固定先として止め穴55または止め穴56を選ぶことで、一般入賞口324の開口向きが異なる遊技機を製造することができる。
なお、止め穴55または止め穴56のうち、一般入賞装置334の取り付けに利用しなかった止め穴は、仮止め部材を用いて仮止めさせる構成であってもよいし、そのまま開放させた状態としてもよい。
台板334bにおける一般入賞口324の右上となる位置には、ピン401が立設されている。ピン401は、上述した遊技釘100Aにおける抜止部113より頭部102側の部分と同様の形状に構成される。つまり、ピン401は、断面形状が円形の一定形状に細長く形成された軸部と、当該軸部の一端側にて軸部より太く形成された頭部とを有する。ピン401は、軸部における頭部とは反対側となる端部が台板334bに固定されている。
上述のように、止め穴55または止め穴56のいずれを使うかに応じて、一般入賞装置334の取り付け向きを変化させることができる。これにより、遊技釘Q1〜Q3に対するピン401の相対位置が変化する。例えば、止め穴56を用いて一般入賞装置334を取り付けた場合(図7(b))には、止め穴55を用いた場合(図7(a))に比べて、遊技釘Q1とピン401との距離が広くなる。遊技釘Q1とピン401との距離が広くなったことで、その分、遊技球は一般入賞口324に入球し易くなる。
止め穴55を用いて一般入賞装置334を取り付けた場合には、遊技釘Q2,Q3の配置によって、左上側から流下する遊技球を遊技釘Q1と遊技釘Q2との間から一般入賞口324に案内する経路しか存在しなかった。これに対し、止め穴56を用いて一般入賞装置334を取り付けた場合には、止め穴55を用いた場合に比べて、遊技釘Q3とピン401との距離が広くなり、それにより、遊技釘Q1と遊技釘Q2との間だけでなく、遊技釘Q3とピン401との間も、右上側から流下する遊技球を一般入賞口324に案内する経路となり得る。よって、一般入賞口324への入口となる箇所が2箇所に増えるので、その点においても、遊技球は一般入賞口324に入球し易くなる。
ここで、上述した第2実施形態の一般入賞装置334が取り付けられたパチンコ機に係る作用及び効果を説明する。
上述したように、一般入賞装置334は、第2の挿通口に通されたビス302の固定先として、止め穴55を用いるか止め穴56を用いるかに応じて、一般入賞口324への入球し易さを変化させることができる。また、図7(a)および図7(b)に示すように、一般入賞装置334の取り付け向きが変化したことで、一般入賞口324に入賞させるために遊技球を打ち込む方向にも変化をもたらすことが可能となる。このように、第2実施形態によれば、止め穴55,56のうち第2の挿通口に通されたビス302の固定先にする止め穴を製造時に選択することで、一般入賞装置334の取り付け態様が異なるパチンコ機10を製造することができる。よって、2種類の異なる遊技性とした2種類の異なる遊技機を簡易的に製造することができる。
また、ピン401は、細長く形成された軸部の一端が台板334bに固定されているので、その取り付け強度は比較的弱い。よって、ピン401は、ピン401を曲げるために不正な負荷がかけられた場合に台板334bから脱落し易い。ピン401は、台板334bに固定されることで一般入賞装置334に一体化された部材であるので、ピン401が脱落した場合には、一般入賞装置334の見た目に変化が生じる。一般入賞装置334のように、遊技球が通過したことで賞球などの特典を付与する入球口(例えば、一般入賞口324)を有する装置は、目立ち易いために見た目の変化に対して敏感となる。よって、一般入賞口324への遊技球の入球(進入)を有利にするべくピン401に対して行われた不正行為を、一般入賞装置334の見た目の変化によって早期に発見できる。また、一般入賞口324への遊技球の入球を有利にするための不正行為が発見され易くなったことで、当該不正の実施が抑制される。
なお、ピン401に対する不正が行い難くなった場合であっても、遊技釘Q1など、ピン401と共に一般入賞口324の入口として機能する他の遊技釘を曲げることで一般入賞口324への遊技球の入球を有利にすることは可能であるが、ピン401を曲げることが難しいために、遊技釘Q1など、他の遊技釘を大きく曲げる必要が生じる。しかしながら、遊技釘が大きく曲げられたことで、遊技釘が曲げられたことを発見し易くなり、その点においても、一般入賞口324への遊技球の入球を有利にするための不正行為を発見し易い。
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、例えば、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記実施形態に対して適用しても良い。
(1)上記各実施形態では、遊技釘100A〜100D、および、釘ユニット200を構成する連結部201の製造方法として、圧造加工および切削加工を主に例示したが、成型加工によって形成してもよい。また、上記各実施形態では、遊技釘100Dと連結部201と別々に形成した後に組み立てる構成としたが、遊技釘100Dと連結部201とが一体化された釘ユニット200を成型加工などによって形成してもよい。
(2)螺旋部112、抜止部113の変形例
上記各実施形態では、遊技釘100A〜100Dは、遊技板50に対しての保持力を確保するための部分として、螺旋部112および抜止部113を備える構成としたが、螺旋部112または抜止部113の一方だけを備える構成であってもよい。また、遊技釘100A〜100Dが、螺旋部112または抜止部113のいずれも備えていない構成であってもよい。
上記各実施形態では、抜止部113として、図3(b)に示す形状を採用したが、遊技板50内に進入して遊技釘100A〜100Dの抜け方向側への移動を阻止可能な形状であれば適宜の形状を採用できる。例えば、抜止部113のような周方向側において一定の形状が連続するものでなく、周方向側に離間した複数の棘状の突起部を抜止部としてもよい。
(3)上記各実施形態では、遊技領域21と発射通路31との仕切り部を、配列された複数の遊技釘100Aによって形成する構成としたが、当該仕切り部を、遊技領域21または発射通路31の側が起伏形状を有する面に形成された板部材から構成してもよい。
また、遊技領域21と発射通路31との仕切り部を、直線部101Ba1を含む面を遊技領域21または発射通路31の側を向けて配列させた複数の遊技釘100Bから形成する構成であってもよい。特に、直線部101Ba1を含む面を発射通路31の側を向けて配列させた場合には、発射通路31の側の起伏が少なくなるので、発射装置から発射された遊技球を好適にガイドして遊技領域21へと進入させることが可能となる。
(4)発射通路31の出口近傍に取り付ける遊技釘の変形例
上記各実施形態では、発射通路31の出口近傍に、遊技釘100Cを、第1軸部101Caにおける頂点101Ca1が上側を向くような向きで取り付けることで、糸を取り付けた遊技球を用いる不正行為を抑制する構成とした。
当該不正行為を抑制する目的で発射通路31の出口近傍に取り付ける遊技釘として、軸方向に対して略垂直など角度を持って延び、開口から軸内部に向けてV字などの先細りする溝部が当接部に形成されている遊技釘を用いる構成としてもよい。かかる遊技釘が、例えば、溝部の開口が上方(例えば、発射通路31とは反対側のやや上向き)を向くように発射通路31の出口近傍に取り付けた場合、糸が取り付けられた遊技球は、糸が溝部の奥に入り込んだ状態で当該遊技釘にぶら下がり易い。そして、溝部の底はV字などの先細りの形状に構成されているので、溝部に入り込んだ糸は、糸を動かすにつれて溝部の底まで入り込んでいく。かかる状態で糸を引っ張ったり緩めたりした場合、糸が溝部の側壁と底部によって摩擦され、当該糸をやがて切断することが可能となる。かかる溝部は、軸方向における断面において開口側から底に向けて曲線を描いていることが好ましい。例えば、溝部の開口が発射通路31とは反対側のやや上向きを向くように遊技釘を取り付けた状態において、軸方向における溝部の断面が、開口部分から上方に緩くカーブした曲線を描いている場合には、溝部に入り込んだ糸が、糸の操作よって取り外されることを困難にすることができる。
(5)上記各実施形態では、遊技釘100B,100Cとして、軸部101B,101Cの一部の断面形状が非円形状である場合について例示した。具体的に、軸部101Bの一部(第1軸部101Ba)の断面形状が、直線部101Ba1と円弧部101Ba2とからなる半円形状である遊技釘100Bと、軸部101Cの一部(第1軸部101Ca)の断面形状が、半円以下の円弧と、当該両端101Ca2,101Ca3からそれぞれ延びる直線とからなる形状である遊技釘100Cとを例示した。
軸部の断面形状としては、上記以外の非円形状であってもよい。例えば、軸部が、当該軸部の断面(つまり、軸部の軸方向に対して垂直な断面)が第1の曲率の円弧に形成された第1の外面と、該第1の外面に接続された、前記断面が第1の曲率より小さな第2の曲率の円弧、直線、または少なくとも1の折れ曲がった角部を有する形に形成された第2の外面とを有する構成としてもよい。当接部を含む軸部の断面形状が非円形状であることで、当該軸部に接触する遊技球が、その接触方向に応じて特徴的に跳ね返ることになるため、遊技釘により跳ね返る遊技球の挙動に対する興趣を向上させることができる。
例えば、遊技釘100Bの第1軸部101Baのように、その断面形状が、直線部101Ba1と、半円の円弧部101Ba2との組み合わせである構成に限らず、半円より小さいまたは大きな円弧部と、当該円弧部の両端を結ぶ直線や、当該円弧部より曲率の小さな円弧とを組み合わせた構成であってもよい。
このとき、遊技釘100Bの軸部101Bにおける直線部101Ba1を含む面が、断面において直線に近い円弧(すなわち、円弧部101Ba2より曲率が小さい円弧)である面に置換された遊技釘を、遊技領域21と発射通路31との間を仕切る仕切り部の近傍に取り付けられる遊技釘として採用してもよい。
また、遊技釘100Cの第1軸部101Caのように、その断面形状が、円弧の両端101Ca2,101Ca3からそれぞれ延びる直線によって1の折れ曲がった角部を有する構成に限らず、円弧の一端101Ca2から他端101Ca3までの間に、2以上の折れ曲がった角部を有する構成としてもよい。また、第1軸部101Caのように、その断面形状における円弧部分が、半円以下の円弧であることに限らず、半円以上の円弧であってもよい。つまり、断面形状に含まれる折れ曲がった角部は、鋭角に限らず鈍角であってもよい。
(6)釘ユニット200の変形例
上記各実施形態では、釘ユニット200が、2本の遊技釘100Dを連結部201により連結したものとして説明したが、釘ユニット200を構成する遊技釘100Dは2本に限定されない。つまり、3本以上の遊技釘100Dが連結部によって連結される構成であってもよい。3本以上の遊技釘100Dが連結部に連結される場合にも、2本の遊技釘100Dの間に突出部201aと同様の突出部が形成されていてもよい。
上記各実施形態では、釘ユニット200では、軸部101Dの軸方向に対して直交する向きに形成された溝部115,116を有する遊技釘100Dが、溝部115,116の延びる方向と連結部201の長手方向とが一致するように取り付けられる構成としたが、遊技釘100Dが、溝部115,116の延びる方向が連結部201の長手方向に対して略直交するように取り付けられる構成であってもよい。かかる構成によれば、連結部201の長手方向に対して直交する向きに対する強度を高めることができる。よって、始動入賞口25の上方に取り付けられた釘ユニット200のように、連結部により連結された2本の遊技釘の間を遊技球が通過する釘ユニットにおいて、釘ユニットを構成する遊技釘が、遊技釘間を通過する遊技球によって破損することを抑制できる。
その一方で、当該変形例の構成によれば、連結部201の長手方向に沿った向きに対する強度が低くなるので、連結部により連結された遊技釘の間隔を広げる負荷によって遊技釘が破損し易くなる。従来から、遊技球が通過したことで賞球や抽選などの特典を付与する入球口(例えば、始動入賞口25)などの上方に取り付けられる一対の遊技釘は、その間隔を広げることで、遊技球の通過を容易にする不正行為の対象となり易い。これに対し、始動入賞口25の上方に取り付けられた釘ユニット200のように、遊技球が通過したことで賞球や抽選などの特典を付与する入球口の入口として機能する一対の遊技釘が連結された釘ユニットについて、軸方向に対して直交する向きに形成された溝部を有する遊技釘を、溝部の延びる方向が連結部の長手方向に対して略直交するように取り付けることで、連結部により連結された一対の遊技釘が、その間隔を広げる負荷により破損され易くなるため、遊技釘間を広げる不正行為を抑制することができる。 上記各実施形態では、釘ユニット200を構成する遊技釘として、溝部115,116を有する遊技釘100Dを用いる構成としたが、遊技釘100Dに代えて、遊技釘100Aを用いる構成としてもよい。また、釘ユニット200を構成する釘部材として、遊技釘100Bや遊技釘100Cを用いる構成としてもよい。遊技釘の間に遊技球を通過させる釘ユニット、例えば、始動入賞口25の上方に配置される一対の遊技釘の代替にする釘ユニット200において、遊技釘として、遊技釘100Bを用い、軸部101Bにおける直線部101Ba1を含む面を内側に向けて配置する構成としてもよい。
上記各実施形態では、釘ユニット200における突出部201aを、細長く延びる棒状に構成したが、細長く延びる板状であってもよい。また、上記各実施形態では、突出部201aの長さを、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合に、突出部201aの先端が、遊技板50の前面51に接しない程度の長さとしたが、遊技板50の前面に接する程度の長さとしてもよい。また、突出部201aを挿入するための穴を遊技板50に形成し、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合に、突出部201aを対応する穴に挿入する構成としてもよい。このとき、穴の外径は、突出部201aの外径より大きくてもよく、突出部201aに対応する穴の外径を十分に大きくすることで、突出部201aに動きの自由度を持たせることができる。これにより、連結部201に沿って誘導される遊技球が突出部201aにて弾み易くなる。
(7)溝部115,116の変形例
上記各実施形態では、溝部115,116を有する遊技釘100Dを、釘ユニット200を構成する遊技釘として用いる構成としたが、単独で遊技板50に取り付ける構成であってもよい。つまり、単独で遊技板50に取り付けられる遊技釘の軸部に、溝部115,116と同様の、軸部を破損可能な溝部が設けられている構成であってもよい。単独で遊技板50に取り付けられる遊技釘に溝部が形成されている場合には、当該遊技釘を、溝部が不正にかけられる負荷の方向に応じた向きとなるよう遊技板50に取り付ける。
上記各実施形態では、軸部101Dの周囲に一対となる2本の溝部115,116が形成される構成としたが、軸部101Dの全周に連なる溝部を形成する構成としてもよい。また、溝部115または溝部116のうち一方を軸部101Dに形成する構成としてもよい。
上記各実施形態では、溝部115,116を、軸部101Dの軸方向に対して直交する向きに延びる溝部としたが、溝部115,116が、軸部101Dの軸方向に対して直交以外の角度を持って延びる溝部であってもよい。
上記各実施形態では、溝部115,116が連結部201が延びる方向(すなわち、遊技球の流下方向に対して略直交する向き)を向くように、遊技釘100Dを取り付ける構成としたが、溝部115,116が遊技球の流下方向に沿った向き(すなわち、遊技機正面視における上下方向)を向くように遊技釘100Dを取り付ける構成としてもよい。かかる構成によれば、遊技板50に取り付けられた遊技釘100の、遊技球の流下方向に沿った向きに対する強度を高めることができる。よって、遊技球が通過したことで賞球や抽選などの特典を付与する入球口(例えば、始動入賞口25)などの上方に取り付けられる一対の遊技釘など、その間を遊技球が流下する遊技釘について、遊技釘が流下する遊技球によって破損することを抑制できる。
その一方で、当該変形例の構成によれば、遊技釘100の、遊技球の流下方向に略直交する向きに対する強度が低くなるので、2本の遊技釘の間隔を広げる負荷によって遊技釘が破損し易くなる。従来から、遊技球が通過したことで賞球や抽選などの特典を付与する入球口(例えば、始動入賞口25)などの上方に取り付けられる一対の遊技釘は、その間隔を広げることで、遊技球の通過を容易にする不正行為の対象となり易い。これに対し、当該一対の遊技釘として、軸方向に対して直交する向きに形成された溝部を有する遊技釘を用い、これらの遊技釘を、溝部の延びる方向が連結部の長手方向に対して略直交するように取り付けることで、入球口などの上方に取り付けられた一対の遊技釘が、その間隔を広げる負荷により破損され易くなるため、遊技釘間を広げる不正行為を抑制することができる。
上記各実施形態では、溝部115,116を、遊技釘100Dを遊技板50に取り付けた場合に、遊技板50の前面51より前方であって、頭部102より前面51に近い位置に設ける構成としたが、溝部115,116を、軸部101Dにおける頭部102に近い側に設ける構成としてもよい。この場合、当接部114より頭部102の側に溝部115,116を設けることが好ましい。溝部115,116が当接部114より頭部102の側に設けられたことで、遊技球との接触によって損傷を受ける可能性が少なくなるので、遊技中に遊技釘100Dが誤って折損される場合を低減しつつ、不正行為を発見し易い機能を付加することができる。
上記各実施形態では、溝部115,116の底の形状を略平面としたが、当該底の形状がV字型や丸みのある形状であってもよい。溝部115,116の底の形状を、V字型や丸みのある形状など、幅狭の形状とすることで、軸部101Dをより破損させ易くできる。また、上記各実施形態では、溝部115,116の側壁部分の形状を直線状としたが、当該側壁部分の形状が曲線であってもよい。
(8)第2実施形態に係る一般入賞装置334の変形例
上記第2実施形態では、一般入賞口324が形成された一般入賞装置334を例示して説明したが、始動入賞口25と同様の始動入賞口が形成された始動入賞装置や、スルーゲート28と同様のスルーゲートが形成された装置などにも同様の構成を適用できる。
上記第2実施形態では、細長く形成された軸部を有するピン401が台板334bに固定される構成としたが、ピン401の代わりに、遊技釘Q1と対になって入口となるように、遊技機正面視において一般入賞口324の右端から上方に延びる所定形状(例えば、遊技機正面視においてピン401に相当する位置が頂点となる山型の形状)の樹脂部分が台板334bと一体になって成形されている構成であってもよい。かかる構成によれば、遊技釘Q1と対になって入口となる樹脂部分を台板334bから動かしたり変形させたりすることができないので、一般入賞口324への遊技球の入球を有利にするための不正行為が困難となる。
上記第2実施形態では、遊技機正面視において一般入賞口324の右上方にてピン401を台板334bに固定する構成としたが、一般入賞口324の左上方にてピン401を台板334bに固定する構成としてもよい。
上記第2実施形態では、一般入賞装置334の台板334bに固定されるピンをピン401のみとしたが、一般入賞口324の入口を構成する複数のピンを台板334bに固定される構成であってもよい。
上記第2実施形態では、一般入賞装置334に対し遊技機正面視における右側に2つの止め穴55,56を設ける構成としたが、3つ以上の止め穴を設ける構成としてもよい。これにより、一般入賞装置の取り付け態様を3種以上にすることができる。また、上記第2実施形態では、一般入賞装置334に対し遊技機正面視における左側に止め穴54を設け、右側に止め穴55,56を設ける構成としたが、一般入賞装置334の右側に1の止め穴を設け、左側に複数の止め穴を設ける構成としてもよい。
(9)遊技釘100A〜100Dの変形例
上記各実施形態では、頭部102が、軸部101A〜101Dの外径(より詳細には、断面が円形状である部分の外周)より大きな外径に(すなわち、太く)構成された遊技釘100A〜100Dを例示したが、頭部102の外径が、軸部101A〜101Dの外径より小さい遊技釘に本発明を適用してもよい。頭部102の外径が、軸部101A〜101Dの外径より小さい遊技釘は、例えば、遊技板50の裏面(すなわち、前面51の裏側にあたる面)側から、前面51側へと貫通させることで遊技板50に取り付けられる構成としてもよい。また、軸部の突端部が頭部を構成し、突端部に外径の異なる部位を有しない遊技釘を用いる構成としてもよい。
(10)本発明は、上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良く、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球等の各種遊技機として実施するようにしても良い。
<上記実施形態から抽出される発明>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
<特徴10>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)と、該遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる遊技釘(遊技釘100A,100B,100C,100D)とを備えた遊技機(パチンコ機10)において、
前記遊技板に取り付けられる前記遊技釘の少なくとも一部は、2本の前記遊技釘間が連結部(連結部201)により連結されている釘ユニット(釘ユニット200)の形態で取り付けられることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、遊技釘の取り付け形態について未だ改良の余地があった。例えば、従来の遊技機において、遊技板に打ち込まれた遊技釘が不正に曲げられてしまうと、設計値とは異なる性能の遊技機になってしまう。
これに対し、特徴10に記載の遊技機であれば、遊技板に取り付けられる遊技釘の少なくとも一部が、遊技釘と遊技釘との間が連結部により連結された釘ユニットの形態で取り付けられているので、遊技釘の曲げ方向の自由度が連結部によって規制される。これにより、遊技釘を不正に曲げることが難しくなるため、遊技釘を曲げる不正行為を抑制できる。
<特徴11>
特徴10に記載の遊技機であって、
前記釘ユニットは、前記連結部により連結された前記2本の遊技釘間に、前記連結部から前記遊技釘と略同方向に延びる中間部材(突出部201a)を含むことを特徴とする遊技機。
特徴11に記載の遊技機であれば、釘ユニットは、連結部により連結された2本の遊技釘間に、当該連結部から遊技釘と略同方向に延びる中間部材を含むので、中間部材の設置状況を変化させることとで2本の遊技釘間の距離が種々の釘ユニットを準備することが可能となる。これにより、例えば、配列された(連ねて配置される)複数の遊技釘を釘ユニットによって代替させることが可能となる。
<特徴12>
特徴11に記載の遊技機であって、
前記中間部材は、前記釘ユニットを前記遊技板に取り付けた場合に、該遊技板側の先端が該遊技板の前面より前方に位置するよう設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴12に記載の遊技機であれば、中間部材は、釘ユニットを遊技板に取り付けた場合に、遊技板側の先端が遊技板の前面より前方に位置するよう設けられているので、釘ユニットを遊技板に取り付けた状態であっても撓むことが可能となる。よって、当該中間部材が設けられた釘ユニットを、遊技球を所定方向に誘導するために当該所定方向に連ねて配置された複数の遊技釘に代えて利用した場合、所定方向に誘導される遊技球が中間部材上にて当該中間部材の撓みによって弾み易くなる。
<特徴20>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)と、該遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる遊技釘(遊技釘100A,100B,100C,100D)とを備えた遊技機(パチンコ機10)において、
入球口(一般入賞口324など)を有し、該入球口を遊技球が通過した場合に所定の特典を付与する入球装置(一般入賞装置334など)と、
該入球装置に一体化して、該入球装置の近傍に取り付けられている前記遊技釘と共に前記入球口への入口を構成する入口構成部(ピン401)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、遊技釘の配置について未だ改良の余地があった。例えば、従来の遊技機において、遊技板に打ち込まれた遊技釘が不正に曲げられてしまうと、設計値とは異なる性能の遊技機になってしまう。不正な曲げによって性能の変化が大きい遊技釘は、例えば、始動入賞装置などの各種入賞装置(入球装置)における入賞口(入球口)の上方に取り付けられ当該入賞口への入口として機能する一対の遊技釘であり、当該一対の遊技釘の間隔を広げることで、入賞装置への遊技球の進入が不正に易化される。
これに対し、特徴20に記載の遊技機であれば、入球装置の近傍に取り付けられている遊技釘と共に、該入球装置における入球口への入口を構成する入口構成部が当該入球装置に一体化されているので、不正を行ったことで入口構成部が破損した場合には、入球装置の見た目が変化するので、当該不正行為を発見し易い。また、入口構成部が入球装置に対して動かないように一体化した場合には、入球口への入口を広げるための不正を入口構成部に施すことが困難となる。よって、入球口への有利にするための不正行為を抑制できる。
<特徴21>
特徴20に記載の遊技機であって、
前記入球装置を前記遊技板に取り付けるための取付部(ビス301を挿通するための第1の挿通口、ビス302を挿通するための第2の挿通口)を備え、
前記取付部は、前記入球装置の、当該入球装置の入球口を遊技機正面視におけるほぼ真上に向けた状態において前記入球口の中心を通る上下方向の軸の左側に設けられた第1取付部と、前記軸の右側に設けられた第2取付部とを含み、
前記第1取付部と前記第2取付部とのうち一方の取付部は、前記遊技板における特定の第1取付位置(止め穴54)に取り付けられ、
前記第1取付部と前記第2取付部とのうち他方の取付部は、前記遊技板における複数の第2取付位置(止め穴55,56)のいずれかに取り付けられることを特徴とする遊技機。
特徴21に記載の遊技機であれば、入球口を遊技機正面視におけるほぼ真上に向けた状態において当該入球口の中心を通る上下方向の軸の左右にそれぞれ設けられた第1取付部と第2取付部のうち、一方の取付部が、遊技板における特定の第1取付位置に取り付けられ、他方の取付部が、複数の第2の取付位置のいずれかに取り付けられるので、取付部を取り付けるために選択した第2の取付位置に応じて、入口構成部の、入口を構成する遊技釘に対する相対位置を変化させることができる。遊技釘に対する入口構成部の相対位置が変化すると、それに伴って、入球口への入口の間隔や当該入口への進入方向が変化するので、入球口への遊技球の入賞を入賞させる遊技に変化をもたらすことができる。これにより、異なる遊技性とした複数種類の遊技機を、取付部を取り付けるための第2の取付位置を選択することで簡易的に製造することができる。
<特徴30>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)を備えた遊技機(パチンコ機10)において、
前記遊技板の前面側には、発射装置から発射された遊技球が通過する発射通路(発射通路31)と、該発射通路から排出された遊技球が流下する遊技領域(遊技領域21)とが形成され、
前記発射通路と前記遊技領域とを仕切る仕切り部(配列された複数の遊技釘100A)を備え、
前記仕切り部は、前記遊技板に対して平行な断面における少なくとも前記遊技領域側が起伏形状に構成されていることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、提供する遊技の興趣について未だ改良の余地があった。例えば、近年、遊技領域の中央に配設される中央構造体(センター装飾部材)が遊技の興趣向上のために大型化され、それに伴い、遊技球が流下する領域が限定される傾向にある。遊技球が流下する領域が限定されたことで、遊技球の流下挙動が単調となり、それによって、遊技球を流下させて入賞口や始動口などに入賞させる遊技の興趣が失われる可能性があった。
これに対し、特徴30に記載の遊技機であれば、発射装置から発射された遊技球が通過する発射通路と、該発射通路から排出された遊技球が流下する遊技領域とを仕切る仕切り部が、遊技板に対して平行な断面における少なくとも遊技領域側が起伏形状に構成されている。これにより、仕切り部に遊技領域側から接触した遊技球の挙動が複雑化されるので、中央構造体が大型化されたことで遊技領域が限定される場合であっても、遊技球の流下挙動が単調となり難く、好適な遊技の興趣を提供できる。
なお、発射通路と遊技領域とを仕切る仕切り部として、発射通路における遊技領域側の壁面を一定の幅で構成する部分としてもよい。
<特徴31>
特徴30に記載の遊技機であって、
前記仕切り部は、前記遊技板に対して平行な断面における前記発射領域側と前記遊技領域側とがともに起伏形状に構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴31に記載の遊技機であれば、仕切り部が、遊技板に対して平行な断面における遊技領域側だけでなく、発射領域側が起伏形状に構成されているので、発射装置から発射された遊技球が遊技領域に到達せずに発射通路を逆流する場合において、逆流する遊技球の挙動が仕切り部との接触によって複雑化されるため、逆流する遊技球と次に発射された遊技球との衝突可能性を低減できる。これにより、遊技球が発射通路を逆流する事象が発生した後、遊技を早期に復帰させることが可能となる。
<特徴32>
特徴30または31に記載の遊技機であって、
前記遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる遊技釘(遊技釘100A,100B,100C,100D)を備え、
前記仕切り部は、複数の前記遊技釘の配列から構成されることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機においては、発射装置から発射された遊技球は、一組のレールにガイドされ、これらのレールの間に形成される発射通路を通って遊技領域に進入する(例えば、特開2008−161638号公報参照)。しかしながら、従来の遊技機においては、発射された遊技球をガイドする一組のレールは、一般的に、金属製の薄板を滑らかに湾曲させながらねじ止めなどによって所定間隔で固定することで遊技板に立設されているので、使用により歪み易いという問題があった。レールが歪んだ場合、遊技領域を流下する遊技球が遊技釘とレールとの間に嵌まり込むなど、適正な遊技が阻害される可能性がある。
特徴32に記載の遊技機であれば、仕切り部は、複数の遊技釘の配列から構成されているので、個々の遊技釘に歪みが生じ難いことから、使用による仕切り部の歪みが生じ難く、適正な遊技を長期にわたって提供することができる。また、遊技釘を仕切り部として流用することができる。
<特徴40>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)と、該遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる遊技釘(遊技釘100B,100C)とを備えた遊技機(パチンコ機10)において、
前記遊技釘は、前記前方側に突出する突端部に設けられる頭部(頭部102)と、該頭部の外径より細く形成された軸部(軸部101B,101C)とを備え、前記遊技板の前面側より前記軸部が挿入されて前記遊技板に取り付けられるものであり、
前記軸部は、該軸部の軸方向に対して垂直な断面が非円形状であり、該断面が第1の曲率の円弧に形成された第1の外面と、該第1の外面に接続された、前記断面が前記第1の曲率より小さな第2の曲率の円弧、直線、または少なくとも1の折れ曲がった角部を有する形に形成された第2の外面とを備えていることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、遊技釘の形状について未だ改良の余地があった。例えば、従来の遊技機では、軸部の断面が略円形である遊技釘が一般的であり、遊技球が接触する(衝突する)位置に応じて特徴的な跳ね返りをすることがなく、興趣に欠けていた。
これに対し、特徴40に記載の遊技機であれば、遊技釘の軸部が、該軸部の軸方向(すなわち、該軸の長手方向)に対して垂直な断面が非円形状であり、該断面が第1の曲率の円弧に形成された第1の外面と、該第1の外面に接続された、前記断面が第1の曲率より小さな第2の曲率の円弧、直線、または少なくとも1の折れ曲がった角部を有する形に形成された第2の外面とを備えている。よって、遊技球が接触する位置に応じて特徴的に跳ね返ることになるため、遊技釘により跳ね返る遊技球の挙動に対する興趣を向上させることができる。
また、軸部の断面が略円形である遊技釘が、遊技領域の周縁に設けられた仕切り部の近傍に取り付けられた場合、遊技領域を流下する遊技球が仕切り部と遊技釘の軸部の外周とにより形成される空間に嵌まり込むことがあった。これに対し、特徴40に記載の遊技機であれば、上記構成される遊技釘を、例えば、第1の外面を、仕切り部に対し当該仕切り部との間に遊技球が嵌まり込まないような向きで仕切り部の近傍に取り付けることで、遊技領域を流下する遊技球が仕切り部と遊技釘の軸部の外周とにより形成される空間に嵌まり込むことを抑制できる。
<特徴41>
特徴40に記載の遊技機であって、
前記遊技板の前面側には、発射装置から発射された遊技球が通過する発射通路(発射通路31)と、該発射通路から排出された遊技球が流下する遊技領域(遊技領域21)とが形成され、
前記発射通路と前記遊技領域との境界において、前記第1の外面が前記発射通路側に向けて配列された複数の前記遊技釘から構成される仕切り部(配列された複数の遊技釘100B)を備えていることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機においては、発射装置から発射された遊技球は、一組のレールにガイドされ、これらのレールの間に形成される発射通路を通って遊技領域に進入する(例えば、特開2008−161638号公報参照)。しかしながら、従来の遊技機においては、発射された遊技球をガイドする一組のレールは、一般的に、金属製の薄板から構成されているため、使用により歪み易いという問題があった。レールが歪んだ場合、それにより適正な遊技が阻害される虞がある。
特徴41に記載の遊技機であれば、仕切り部は、複数の遊技釘の配列から構成されているので、使用による歪みが生じ難く、適正な遊技を長期にわたって提供することができる。また、仕切り部を構成する複数の遊技釘は、第1の外面が発射通路側に向けて配列されているので、発射装置から発射された遊技球を好適にガイドして遊技領域へと進入させることができる。
<特徴42>
特徴40に記載の遊技機であって、
前記遊技板の前面側には、発射装置から発射された遊技球が通過する発射通路(発射通路31)と、該発射通路から排出された遊技球が流下する遊技領域(遊技領域21)とが形成され、
前記遊技釘のうち、前記遊技領域における前記発射通路の出口近傍に取り付けられる遊技釘(遊技釘100C)は、前記軸部の前記第2外面が、鋭角に折れ曲がった角部を有する形状に構成され、該鋭角に折れ曲がった角部を遊技機正面視における上方側に向けて前記遊技板に取り付けられることを特徴とする遊技機。
特徴42に記載の遊技機であれば、鋭角に折れ曲がった角部を有する形状に構成された第2外面を軸部に有する遊技釘が、該鋭角に折れ曲がった角部を遊技機正面視における上方側に向けて発射通路31の出口近傍に取り付けられているので、発射領域から遊技領域に進入した遊技球について、前記第2外面を有する遊技釘による跳ね返り挙動を複雑化することができる。これにより、発射領域から遊技領域に進入した遊技球の挙動を遊技者に楽しませることができる。
なお、発射通路の出口近傍に取り付けられる遊技釘として、遊技領域の入口(発射通路の出口)より高い位置に設けられ、当該入口から進入した遊技球を当該入口から離れた側(具体的には、遊技球の進行方向先端側)にて下方へと流下させることが可能な通路を形成する遊技釘であって当該通路における遊技領域の入口に近い側に配置される遊技釘としてもよく、当該通路を構成する遊技釘が上下方向に複数並んでいる場合は、それらのうち一番上に配置される遊技釘としてもよい。
<特徴50>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)と、該遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる遊技釘(遊技釘100A,100B,100C,100D)とを備えた遊技機(パチンコ機10)において、
前記遊技釘は、前記前方側に突出する突端部に設けられる頭部(頭部102)と、該頭部の外径より細く形成された軸部(軸部101A,101B,101C,101D)とを備え、前記遊技板の前面側より前記軸部が挿入されて前記遊技板に取り付けられるものであり、
前記軸部には、該軸部の軸方向に対して角度を持つ方向に延びる該軸部を破損可能な溝部(溝部115,116)が外周に形成されていることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、遊技釘の形状について未だ改良の余地があった。例えば、従来の遊技機において、遊技板に打ち込まれた遊技釘が不正に曲げられてしまうと、設計値とは異なる性能の遊技機になってしまう。
これに対し、特徴50に記載の遊技機であれば、遊技釘の軸部には、該軸部の軸方向に対して角度を持つ方向に延びる該軸部を破損可能な溝部が外周に形成されているので、遊技釘を曲げるための負荷を与えた場合に、その負荷によって遊技釘の軸部が破損する(例えば、折曲や折損など)可能性が、溝部を設けることで高められる。よって、遊技釘を曲げる不正行為を、軸部の破損といった見た目から発見し易い。また、そのように不正行為が発見し易くなるため、当該不正の実施が抑制される。
<特徴51>
特徴50に記載の遊技機であって、
前記溝部は、
前記軸部を軸方向に対して略垂直な方向に切り欠いた第1の溝部(溝部115)と、
前記軸部の軸方向に対して前記第1の溝部の裏側となる位置に、該第1の溝部と略同方向に切り欠いた第2の溝部(溝部116)とから構成されることを特徴とする遊技機。
特徴51に記載の遊技機であれば、遊技釘の軸部を、特定方向からかけられる負荷に対して方向性をもって、すなわち、第1の溝部または第2の溝部が延びる向きに沿って破損させ易い。よって、負荷がかけられて曲げられる可能性がある遊技釘について、第1の溝部および第2の溝部を負荷がかけられ易い方向に応じて適宜向けて取り付けることで、遊技釘を曲げる不正行為を発見し易い。
<特徴52>
特徴51に記載の遊技機であって、
前記遊技板に取り付けられる前記遊技釘の少なくとも一部は、2本の前記遊技釘間が連結部(連結部201)により連結された釘ユニット(釘ユニット200)の形態で前記遊技板に設けられ、
前記釘ユニットにおいて前記連結部により連結された前記遊技釘は、前記第1の溝部または前記第2の溝部が延びる方向が、前記連結部が延びる方向に沿った方向を向くように配置されていることを特徴とする遊技機。
特徴52に記載の遊技機であれば、第1の溝部または第2の溝部が延びる方向が、釘ユニットにおける連結部が延びる方向に沿った方向を向くように配置されているので、溝部が破損した場合には、釘ユニットの見た目が大きく変わることになる。よって、不正にかけられた負荷によって行われた不正行為を、見た目の変化によって早期に発見でできる。
<特徴53>
特徴50から52のいずれかに記載の遊技機であって、
前記溝部は、前記遊技釘を前記遊技板に取り付けた場合に該遊技板の前面より前方であって、前記頭部より前記遊技板の前面に近い位置に形成されていることを特徴とする遊技機。
特徴53に記載の遊技機であれば、溝部が、遊技釘を遊技板に取り付けた場合に該遊技板の前面より前方であって、遊技釘の頭部より遊技板の前面に近い位置に形成されているので、頭部に不正に力を加えて遊技釘を曲げようとした場合に、力を加えられる位置(つまり力点)に対し、溝部が、支点となる遊技板の前面に比較的近い位置となるため、溝部に負荷がかかり易く、軸部を溝部において破損させ易い。
<特徴54>
特徴53に記載の遊技機であって、
前記溝部は、前記遊技釘を前記遊技板に取り付けた場合に該遊技板の前面から前方に所定長さの位置に形成されていることを特徴とする遊技機。
特徴54に記載の遊技機であれば、溝部は、遊技釘を前記遊技板に取り付けた場合に該遊技板の前面から前方に所定長さの位置に形成されているので、軸部が溝部において折損された場合であっても、遊技釘は遊技板から所定長さだけ出た状態で残されるので、遊技釘を遊技板から取り外す作業を行い易い。
<特徴55>
特徴50から52のいずれかに記載の遊技機であって、
前記溝部は、前記遊技板に取り付けた前記遊技釘において前記遊技板の前面側を流下する遊技球が接触可能な位置より前記頭部の側に形成されていることを特徴とする遊技機。
特徴55に記載の遊技機であれば、溝部が、遊技板に取り付けた遊技釘において当該遊技板の前面側を流下する遊技球が接触可能な位置より頭部の側に形成されるので、遊技球との接触によって損傷を受ける可能性が少ない。よって、遊技中に遊技釘が誤って折損される場合を低減しつつ、不正行為を発見し易い機能を付加することができる。
なお、特徴10〜55に記載のいずれか1つの特徴を他のいずれか又は複数の特徴に組み合わせて適用しても良い。また、特徴10〜55に記載の各遊技機について、遊技釘が頭部と軸部を備えたものであって、前記頭部と前記軸部の構成に代えて、前記遊技釘が、前記遊技板の前方側に突出する突端部に設けられる頭部と、該頭部に連設されて、その外径が該頭部の外径より太い(大径である)略棒状の軸部とを備えるものであってもよい。また、前記遊技釘が、頭部を有する略棒状の軸部を備える構成であってもよい。
以下には、上記した各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。