<パチンコ機の全体構成>
以下、本発明の実施形態として、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態におけるパチンコ機10の斜視図、図2はパチンコ機10に備えられる遊技盤20の正面図である。
パチンコ機10には、図1に示すように、その中央部分に透明なガラス板11が前後一対に配置された窓部12が設けられ、その窓部12を介して、遊技球が前面側を流下する遊技盤20(図2参照)が遊技者から視認可能とされている。窓部12の下側には、上下2つの球皿13,14が設けられ、この球皿13,14内に遊技球が貯留される。球皿13,14の右側には、発射ハンドル15が設けられ、遊技者が発射ハンドル15を操作すると、上側の球皿13に貯留された遊技球が1球ずつ、遊技盤20の前面側に向けて発射される。
遊技盤20には、図2に示すように、略円形状に外周が区画された内側部分に遊技領域21が形成されている。遊技領域21の中央部および下側部分における左右両側には、センター装飾部材22および複数のサイド装飾部材23が設けられ、それら装飾部材22,23を避けた遊技領域21の全域に多数の遊技釘が立設されている。本実施形態の遊技盤20には、4種類の遊技釘、すなわち、遊技釘100A〜100Cと、釘ユニット200の一部である遊技釘100D(図6参照)とが立設されている。
遊技釘100A〜100Dが設けられる領域には、一般入賞口24、始動入賞口25,26、大当たり時に開放される入賞口を開閉する可変入賞装置27、スルーゲート28等の遊技者にとって特典が付与される入球口が設けられ、それら入球口に遊技球が入球することで賞球が払い出されたり、大当たり等の抽選が行われたりする。遊技盤20は、図2に示すように、その外形を形成する木製の遊技板50を備え、遊技板50の表面側から多数の遊技釘100A〜100Dが打ち込まれて取り付けられている。
遊技板50は、遊技釘100A〜100Dを保持する板状の部材であり、切削加工による単一の木製板材若しくは木製の薄板を複数重ね合わせた合板によって形成されている。遊技板50は、必ずしも木製とする必要はなく、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂製の板材または射出成形品により構成しても良い。
遊技板50には、装飾部材等が取り付けられる貫通穴が設けられ、上記した各種の入賞口24〜26、可変入賞装置27、スルーゲート28等を構成する各部材が取り付けられている。また、遊技板50には、予め形成された下穴53(図3(b)参照)に対して、釘打ち装置によって多数の遊技釘100A〜100Dが打ち込まれて固定されている。なお、必ずしも下穴53を予め設けて遊技釘100A〜100Dを遊技板50に打ち込む必要はなく、表面が平滑な遊技板50に対して遊技釘100A〜100Dを打ち込んでも良いし、遊技板50の表面にわずかな凹みを設け、その凹みに遊技釘100A〜100Dを打ち込んでも良い。また、以下の説明において、下穴53に対して遊技釘100A〜100Dが打ち込まれ、打ち込み前に比べて遊技釘100A〜100Dによって変形し、拡大された状態の穴部を釘穴52と称す。
また、遊技盤20は、遊技板50の左下から右上に亘り滑らかに湾曲して立設される外レール29aと、遊技板50の右下から左側中ほどまでに亘り滑らかに湾曲して立設される内レール29bとを備えている。外レール29aおよび内レール29bは、いずれも、金属製の薄板から構成される。また、内レール29bにおける遊技板50の左側の先端からは、複数の遊技釘100Aが外レール29aに沿って遊技板50の左上まで配設されている。
外レール29aは、発射装置(図示せず)から、発射ハンドル15の操作量に応じた強度で発射された遊技球を遊技領域21内へ誘導するものである。外レール29aと、内レール29bまたは内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100Aとが平行に対向する間部分には、発射装置から発射された遊技球が通過する発射通路31が形成される。よって、内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100Aは、遊技領域21と発射通路31とを仕切る仕切り部として機能する。
ここで、パチンコ機10において、遊技領域21と発射通路31との仕切り部を、配列された複数の遊技釘100Aによって構成としたことに係る作用および効果を説明する。
遊技釘100Aは、図3を参照して後述する通り、細長く形成された軸部101A(図3(a))が軸方向(長手方向)に対して垂直な断面が円形の一定形状に形成されている。そのため、内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100Aは、各遊技釘100Aの軸部101Aの外周形状による起伏を、遊技領域21および発射通路31のそれぞれの側に有する仕切り部を構成する。よって、遊技領域21を流下する遊技球が、遊技領域21の側にて起伏形状に構成された仕切り部(すなわち、配列された複数の遊技釘100A)に接触した場合の挙動は、内レール29bのような、滑らかに湾曲して立設される薄板に接触した場合に比べて複雑化されることになる。
近年、センター装飾部材22など、遊技領域21の中央に配設される中央構造体が遊技の興趣向上のために大型化される傾向にある。中央構造体が大型化されると、その分、遊技球を流下可能な領域が限定されることになる。遊技球を流下可能な領域が限定されると、遊技球の流下挙動が単調となり易く、遊技球を流下させて始動入賞口や一般入賞口などに入賞させる遊技の興趣が失われる可能性があった。これに対し、上述したように、複数の遊技釘100Aを遊技領域21に対する仕切り部として配列させることで、当該仕切り部に遊技領域21側から接触した遊技球の挙動が複雑化されるので、中央構造体が大型化されたことで遊技領域が限定される場合であっても、遊技球の流下挙動が単調となり難く、好適な遊技の興趣を提供できる。
また、発射通路31の側においても起伏形状に構成された仕切り部(すなわち、複数の配列された遊技釘100A)は、発射装置から発射された遊技球が遊技領域21に到達せずに発射通路31を逆流する場合において、逆流する遊技球の挙動が当該仕切り部との接触によって複雑化されるため、逆流する遊技球と、発射装置から新たに発射された遊技球との衝突位置が不定になり易くなる。
従来、発射装置から発射された遊技球が遊技領域21に到達せずに発射通路31を逆流した場合、そのように逆流する遊技球が、発射装置から次に発射された遊技球と特定の位置で衝突して遊技領域21側へと弾き飛ばされた後、発射通路31を再度逆流して、発射装置から次に発射された別の遊技球と特定の位置で再度衝突するというサイクルを断ち切ることができず、遊技になかなか復帰できないという問題があった。これに対し、上述したように、遊技領域21と発射通路31とを仕切る仕切り部が、発射通路31の側において起伏形状に構成されたことで、発射通路31を逆流する遊技球と、発射装置から新たに発射された遊技球との衝突位置が不定になり易くなり、それにより、遊技球が発射通路を逆流する事象が発生した後、遊技を早期に復帰させることが可能となる。
また、一般的に、遊技領域21と発射通路31とを仕切る内レール29bのようなレールは、金属製の薄板を滑らかに湾曲させながらねじ止めなどによって所定間隔で固定することで遊技板50に立設されているために、使用によって歪み易いという問題があった。遊技領域と発射通路とを仕切るレールが歪んだ場合、遊技領域を流下する遊技球が遊技釘とレールとの間に嵌まり込むなど、適正な遊技が阻害される可能性がある。これに対し、複数の遊技釘100Aから構成された仕切り部は、個々の遊技釘100Aに歪みが生じ難いことから、当該仕切り部について使用による歪みが生じ難く、適正な遊技を長期にわたって提供することができる。
また、遊技盤20は、内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100Aの先端側(すなわち、内レール29bから最も離れた遊技釘100Aの側)に取着された戻り球防止機構32を備えている。戻り球防止機構32は、発射通路31から遊技領域21内へ一旦放出された遊技球が発射通路31に戻ることを防止する。
<遊技釘100A>
次に、図3を参照して、基本的な遊技釘である遊技釘100Aに関する構成について説明する。図3(a)は、遊技板50と遊技釘100Aとの固定状態を示す縦断面図である。図3(b)は、遊技釘100Aの先端側の形状を示した部分拡大図であり、図3(c)は、図3(b)のA−A線における遊技釘100Aの断面図である。また、図3(d)は、図3(b)のB−B線における遊技釘100Aの断面図である。なお、図3においては、理解の容易のために、図3(a)には遊技球を実線により併せて示し、図3(b)には下穴53の深さ方向先端側における一部の外形形状を二点鎖線で示し、遊技釘100Aの一部の縦断面の形状を斜線を付して示している。
遊技釘100Aは、図3(a)に示すように、遊技板50に対して一端側が保持され、遊技板50の前面51が向く前方側に突出するようにして遊技板50に取り付けられている。この遊技釘100Aが突出する側が遊技盤20の前面側に設けられる遊技領域に相当し、この前面側を遊技球が流下する。
遊技釘100Aは、図3(a)に示すように、細長く形成された軸部101Aと、軸部101Aの一端側であって遊技板50の前面51側に突出する先端側端部(突端部)にて軸部101Aより太く形成された頭部102とを有している。遊技釘100Aの軸部101Aは、図3(d)に示すように、軸方向(長手方向)に対して垂直な断面が円形の一定形状に形成されている。
遊技釘100Aは、金属製であり、例えば、黄銅(真鍮)によって形成され、線材に対して転造などの圧造加工を施して形成されている。なお、遊技釘100Aは、必ずしも圧造加工によって形成する必要はなく、これに代えて、又は、これに加えて切削加工等の他の加工を用いて形成しても良い。
遊技板50とガラス板11の間を流下する遊技球は、図3(a)に示すように、軸部101Aの一部分であって、抜止部113と頭部102との間にて断面形状が円形の一定形状に形成された当接部114に当接する。遊技釘100Aは、遊技板50の前面51に対して略垂直に取り付けられ、上方から遊技釘100Aに当接した遊技球が遊技板50側に案内され、遊技板50の前面51に沿って遊技球が落下し易く構成されている。なお、遊技釘100Aが遊技板50の前面51に対して略垂直に取り付けられるとは、必ずしも完全に垂直に取り付けられる場合に限らず、僅かに(例えば、5度以内)傾斜を設けて取り付けられても良く、例えば、水平より僅かに上側を向くように傾斜させて取り付けられても良い。
軸部101Aは、頭部102とは反対側となる端部に、先端部111と、螺旋部112と、抜止部113とを備えている。遊技釘100Aは、軸部101Aにおける先端部111側から遊技板50に打ち込まれ、螺旋部112と抜止部113とが遊技板50の厚み内に位置して固定される。遊技板50に固定された遊技釘100Aは、遊技板50の前面51より頭部102と軸部101Aの一部分とが突出し、遊技釘100Aが突出する突出量は、例えば、略18.5mmとされている。
遊技釘100Aは、先端部111が位置する側が打込方向先端側(図3(b)の右側)となり、頭部102に近い側が打込方向後端側となるようにして遊技板50に打ち込み固定される。先端部111は、直径が先端側から次第に増大する略円形状の断面形状を有して先端側に位置する先端側尖形部111aと、先端側尖形部111aより打込方向後端側に形成された先端側直線部111bとを有している。
先端側尖形部111aは、軸部101Aの軸方向に垂直な側面視(図3(b)における紙面垂直方向視)において略三角形状であって、略円錐状に形成されている。先端側直線部111bは、軸部101Aの軸方向(図3(b)の一点鎖線で示す軸部101Aの中心軸線が連続する方向)に沿って直径が略同一であって略円形の断面形状に形成されている。
先端側尖形部111aの先端部分は、軸部101Aの軸方向に垂直な側面視(図3(b)における紙面垂直方向視)において、略25度から30度の範囲内の角度となるように尖った形状に形成され、予め遊技板50に設けられる下穴53の奥底面53aに接触する設定とされている。なお、先端側尖形部111aの先端部分は、側面視において、略90度以下の角度に設定されることが良く、略60度以下の角度に設定されることが好ましく、略40度以下の角度に設定されることが好適である。
ここで、下穴53は、遊技板50の前面51から直径が略同一であって略円形の断面形状を有する形状を主体として形成されている。下穴53の直径は、当接部114の外形よりも略10%から略20%の範囲内で小さく、且つ、先端部111(先端側尖形部111a及び先端側直線部111b)の最大外径よりも僅かに小さく形成され、例えば、略1.5mmに設定されている。下穴53の深さは、遊技釘100Aの打込方向先端側の最先端から抜止部113が形成された打込方向後端側端部までの長さ(例えば、略9mm)より長く、且つ、遊技釘100Aが正規の位置に打ち込まれるまでの打込長さ(例えば、略15mm)より、一定以上(例えば、略2mm以上)短い長さ(例えば、略10mm)に設定されている。
下穴53の奥底面53aは、中心部分が最も深い穴形状となるように断面視略三角形状をなす略円錐状に形成されている。また、下穴53の連続する軸方向に沿った中心軸に対しての奥底面53aの傾斜角度は、遊技釘100Aの先端側尖形部111aにおける中心軸に対しての傾斜角度より大きく設定されている。遊技板50へ遊技釘100Aが打ち込まれた場合には、下穴53の奥底面53aに対して遊技釘100Aの先端側尖形部111aの先端が接触した後、下穴53の奥底面53aの傾斜に沿って遊技釘100Aの先端が下穴53の中央側に案内され易い。このため、下穴53の中心軸に遊技釘100Aの中心軸が一致し易くなり、製造上の遊技釘100Aの打ち込み位置のバラツキを少なくすることができる。
先端側直線部111bは、遊技釘100Aの軸部101Aの連続する方向に沿って外形部分が略直線的に連続する略円柱状に形成されている。先端側直線部111bは、遊技釘100Aが下穴53の連続する方向に沿って軸部101Aが平行に進入するように位置決めするための部位であり、遊技釘100Aの軸部101Aにおける基準直径(遊技釘100Aの軸部101Aにおいて表面が平滑な円柱状の部位の直径であり、当接部114の直径)の半分以上の長さに設定することが好ましく、当該直径以上の長さに設定することが好適である。また、先端側直線部111bは、次第に外形が僅かに大きくなる形状に設定することが好ましく、例えば、先端側直線部111bにおける打込方向先端側(先端側尖形部111aに近い側)の端に比べて、打込方向後端側(螺旋部112に近い側)の端が略2%以上、外形が大きく設定されることが好ましく、略5%以上、外形が大きく設定されることが好適である。なお、先端側直線部111bは、必ずしも設ける必要はなく、先端側尖形部111aに対して打込方向後端側に螺旋部112が連続する形状としても良い。また、先端部111の最大外径は、当接部114の外形よりも略5%から略15%の範囲内で小さく、下穴53の内径よりも僅かに大きく設定されるものであり、例えば、略1.7mmに設定されている。
螺旋部112は、遊技釘100Aが遊技板50に打ち込まれる場合に遊技釘100Aを回転させる部位であり、4条の螺旋状の突条部112aがローレット加工により中心軸から離間する径方向側に突出して形成されたねじ状の外形形状に形成されている。遊技釘100Aが下穴53に打ち込まれた場合には、突条部112aの連続する方向に沿って遊技釘100Aが回転し、この回転によって遊技釘100Aが下穴53の連続する方向に沿って真直に進行し易くなる。これにより、遊技釘100Aの打ち込み位置のバラツキを少なくすることができる。
突条部112aは、図3(c)に示すように、中心軸(図3(c)の点C)に対して半径方向外側に向かって複数箇所において突出している。突条部112aは、軸部101Aの中心軸を中心とする周方向において複数箇所に離間して設けられている。突条部112aの突出先端部分は、図3(b)に示すように、軸部101Aの軸方向に沿って中心軸を中心とした位置が周方向に異なる位置となるようにして連続し、突条部112aが軸部101Aの軸方向に沿って螺旋状に連続する形状とされている。螺旋部112において、突条部112aの先端が位置する外径(最大外径)の大きさは、軸部101Aの軸方向に沿って略同一に設定され、先端部111に比べて大きな外径に設定されている。
ここで、螺旋部112の長さは、当接部114の直径と比較して、同一の長さ以上に設定することが好ましく、当該直径の2倍以上の長さに設定することが好適である。また、螺旋部112は、次第に外形が僅かに大きくなる形状に設定することが好ましく、例えば、螺旋部112における打込方向先端側(先端部111に近い側)の端に比べて、打込方向後端側(抜止部113に近い側)の端が略5%以上に外形が大きく設定されることが好ましく、略10%以上に外形が大きく設定されることが好適である。この螺旋部112における外形の形状変化の程度は、先端側直線部111bにおける外形の形状変化よりも大きな割合に設定することが遊技釘100Aの打ち込み位置のバラツキを少なくする上で好ましい。なお、螺旋部112は、必ずしも設ける必要はなく、先端部111に対して抜止部113が連続する形状としても良い。
また、螺旋部112の突条部112aにおける突出先端側部分の幅Laは、当接部114の直径に対しては略5分の1の長さに設定されている。この突条部112aの幅Laは、当接部114の直径に対して略10分の1から略4分の1の範囲内に設定することが好ましい。また、螺旋部112において突条部112aが連続する方向は、軸部101Aの側面視(図3(b)における紙面垂直方向視)において、軸部101Aの中心軸線に対して、例えば略45度傾いた角度(傾斜角度Ra)に設定されるものであり、傾斜角度Raは、軸部101Aの中心軸線に対して略25度から略60度の範囲内の角度に設定されることが好ましい。
抜止部113は、螺旋部112に対して打込方向後端側に設けられ、螺旋部112の後に遊技板50内に進入し、遊技釘100Aの抜け方向側への移動を阻止する部位である。抜止部113は、軸部101Aの軸方向に沿って2箇所に離間して設けられ、それぞれが軸部101Aの中心軸を中心とする周方向に一定の断面形状を有し、その周方向に沿って環状に連続した形状をしている。
抜止部113のそれぞれは、軸部101Aの外周側に略三角形状に突出し、側面視においては打込方向後端側(頭部102に近い側)の端部が軸部101Aの中心軸に対して径方向に大きく突出している。抜止部113における頭部102に近い側の端部の断面形状(軸部101Aの中心軸を通る平面による縦断面の形状)は、突出先端部分が直角より鋭く尖った鋭角に形成されている(図3(b)の斜線部参照)。遊技釘100Aが遊技板50に打ち込まれた後、抜止部113は、釘穴52の内面に突き刺さるようにして引っ掛かり、遊技釘100Aの抜け方向への移動が阻止される。
当接部114は、図3(a)に示すように、軸部101Aにおける頭部102に近い側の一定の区間に相当する部位であり、断面形状が円形で同一サイズの外周形状をした略円柱状の部位により構成されている。当接部114を一部分とする軸部101Aの一部は、断面形状が一定に形成されており、その外径は、例えば、直径が略1.85mmとされ、螺旋部112及び抜止部113における最大外径より細く設定されている。ここで、螺旋部112及び抜止部113における最大外径とは、軸部101Aの中心軸線から最も離れた突端部分を通過する仮想的な略円筒形状の直径に相当するものであり、各部分の最大部分における外径に相当し、例えば、螺旋部112の最大部分が1.9mm、抜止部113が1.95mmに設定されている。
なお、軸部101Aのうち、当接部114と抜止部113との間であって、遊技板50の前面51に相当する位置(例えば、先端部111側の先端から略13mmの区間)を含む一部分は、当接部114よりショットピーニングや絞り加工等による加工硬化によって当接部114より硬質に構成することが好ましく、これにより、遊技釘100Aの折損に対しての寿命を長く確保し易くすることができる。
上記形状に構成された遊技釘100Aによれば、軸部101Aには、所定の外径として当接部114より大きく突出した部位を形成する突条部分が螺旋状に連続する螺旋部112と、螺旋部112より頭部102側に離間した複数箇所に設けられた2つの抜止部113とが設けられている。このため、遊技釘100Aは、複数の抜止部113が下穴53内に進行することにより、螺旋部112のみによる保持力より大きな保持力を確保し易くすることができる。
<遊技釘100B>
次に、図4を参照して、遊技釘100Bについて説明する。図4(a)は、遊技釘100Bの側面図であり、図4(b)は、図4(a)のD−D線における遊技釘100Bの断面図である。図4(c)は、遊技釘100Bの取り付け態様を説明する図である。なお、図4(c)では、遊技領域21と発射通路31との間に配列された複数の遊技釘100Aと、その近傍に取り付けられた遊技釘100Bとの各々について、軸部101A,101B(より詳細には101Ba)における、各軸部の軸方向(長手方向)に対して垂直な断面を示している。
遊技釘100Bは、軸部101Bの一部形状が軸部101Aと異なる以外は、上述した遊技釘100Aと同様に構成される。つまり、軸部101Bの一端側であって遊技板50の前面51側に突出する先端側端部(突端部)には、遊技釘100Aと同様の頭部102が形成されている。また、軸部101Bは、遊技釘100Aと同様、先端部111と螺旋部112と抜止部113とを、頭部102とは反対側となる端部に備えている。遊技釘100Bは、第1軸部101Baの形状に応じた取り付け向きが設定されていること以外、図3(a)に示した遊技釘100Aと同様にして遊技板50に取り付けられる。
遊技釘100Bは、遊技釘100Aと同様に金属製であり、例えば、黄銅によって形成される。遊技釘100Bは、線材に対して転造などの圧造加工を施して形成されているが、必ずしも圧造加工によって形成する必要はなく、これに代えて、又は、これに加えて切削加工等の他の加工を用いて形成しても良い。なお、遊技釘100Bの第1軸部101Baは、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成した後に、切削加工等によって形成してもよいし、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成するのに先立って切削加工等によって形成してもよい。
また、軸部101Bは、頭部102に近い側に設定された第1軸部101Baと、第1軸部101Baと抜止部113との間に設定された第2軸部101Bbとを備えている。第1軸部101Baは、遊技釘100Bを遊技板50に打ち込んだ場合に、遊技板50より前面側(すなわち、遊技板50に挿入されない位置)であるとともに、当接部114を含む位置に設定される。つまり、遊技板50とガラス板11の間を流下する遊技球は、遊技釘100Bの軸部101Baにおける当接部114に当接する。
第1軸部101Baおよび第2軸部101Bbは、軸方向に対して垂直な断面の形状が異なっている。具体的に、第2軸部101Bbにおける軸方向に対して垂直な断面が、遊技釘100Aの軸部101Aと同様の円形状に形成されているのに対し、第1軸部101Baにおける軸方向に対して垂直な断面は、図4(b)に示すように、第2軸部101Bbにおける軸方向に対して垂直な断面である円と略同一の円を半円にした円弧である円弧部101Ba2と、当該円弧の両端を結ぶ直線部101Ba1とからなる半円形状に形成されている。
第1軸部101Baを有する遊技釘100Bは、図2に示したように、遊技領域21と発射通路31との間を仕切る仕切り部(より詳細には、内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100A)の近傍に取り付けられる。図4(c)に示すように、遊技釘100Bは、第1軸部101Baにおける直線部101Ba1が、円弧部101Ba2に対して遊技盤20(遊技板50)の上側を向き、かつ、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部から離れるにつれて下降する傾斜となる向き(この例では、遊技盤20における右下方向に延びるような向き)取り付けられる。
ここで、パチンコ機10において、上記形状に構成された遊技釘100Bに係る作用および効果を説明する。
遊技球が当接する部分の断面形状が円形である軸部を有する遊技釘(例えば、遊技釘100A)が、遊技領域21と発射通路31との間を仕切る仕切り部の近傍に取り付けられた場合、断面形状が円形である軸部の形状ゆえに、当該軸部の外周において遊技球と接触する上側の突端となる部分が、遊技機正面視における軸部の軸中心のほぼ真上となって、それにより、軸部と仕切り部との離間距離が遊技機正面視における下側に向けて次第に短くなって軸部と仕切り部との間の空間がポケットのようになって遊技球が嵌まり込んでしまうことがあった。
これに対し、本実施形態のパチンコ機10によれば、当接部114を含む第1軸部101Baの断面形状が半円である遊技釘100Bを用い、かかる遊技釘100Bを図4(c)に示すように取り付けたことで、第1軸部101Baの外周において遊技球と接触する上側の突端となる部分(より詳細には、第1軸部101Baの断面の直線部101Ba1における仕切り部に近い側の端部)が、遊技機正面視における軸部101Bの軸中心(第2軸部101Bbの軸中心)のほぼ真上より仕切り部の側に位置する。これにより、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部(本実施形態では、配列された複数の遊技釘100A)における遊技領域21側と、当接部114を含む第1軸部101Baとの間に、上述のように遊技球が嵌まり込む形状の空間が形成され難い。これにより、遊技領域21を流下する遊技球が、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部と遊技釘との間に嵌まり込み止まってしまうことを抑制できる。
また、図4(c)に示すように、隣接して並ぶ遊技釘100Bは、各第1軸部101Baの直線部101Ba1が、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部から離れるにつれて下降する傾斜面を形成するかのように取り付けられている。これにより、隣接する遊技釘100Bの各第1軸部101Baにおける直線部101Ba1を含む面が、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部の近傍を流下する遊技球を当該仕切り部から離れる方向への移動を促進する経路として機能させることができる。よって、かかる点においても、遊技領域21と発射通路31との間の仕切り部と遊技釘との間に遊技球が嵌まり込む事象を好適に抑制できる。
また、遊技釘100Bが図4(c)に示すように並ぶ構成において、遊技球は直線部101Ba1を含む面に接触して跳ね上がりながら仕切り部から離れる方向へと誘導される。このとき、遊技球の跳ね上がり方向は、主に、直線部101Ba1を含む面の向きに従うので、直線部101Ba1を含む面の向きに応じて跳ね上がり方向を制御することが可能となる。
なお、遊技球を始動入賞口25に誘導する複数の遊技釘(所謂、誘導釘)など、遊技球を所定方向に誘導するために連ねて配置された遊技釘の代替として、遊技釘100Bを用いてもよい。つまり、複数の遊技釘100Bを、第1軸部101Baの直線部101Ba1が、所定方向(例えば、始動入賞口25に向かう方向)に下降傾斜面を形成するかのように並べて取り付けてもよい。この場合も、直線部101Ba1を含む面の向きを制御することで、複数の遊技釘100Bの配列によって所定方向に誘導される遊技球の跳ね上がり方向を制御することができる。よって、例えば、センター装飾部材22の下部に、始動入賞口25への入球が容易である箇所、または、始動入賞口25への入球が困難である箇所のいずれかに遊技球を振り分ける振分部を設けた場合に、当該振分部に遊技球を飛び込ませることができるように直線部101Ba1を含む面の向きを制御することで、複数の遊技釘100Bの配列によって所定方向に誘導される遊技球の一部を当該振分部に飛び込ませることができ、それにより遊技の興趣を向上させることができる。
<遊技釘100C>
次に、図5を参照して、遊技釘100Cについて説明する。図5(a)は、遊技釘100Cの側面図であり、図5(b)は、図5(a)のE−E線における遊技釘100Cの断面図である。
遊技釘100Cは、軸部101Cの一部形状が軸部101Aと異なる以外は、上述した遊技釘100Aと同様に構成される。つまり、軸部101Cの一端側であって遊技板50の前面51側に突出する先端側端部(突端部)には、遊技釘100Aと同様の頭部102が形成されている。また、軸部101Cは、遊技釘100Aと同様、先端部111と螺旋部112と抜止部113とを、頭部102とは反対側となる端部に備えている。遊技釘100Cは、第1軸部101Caの形状に応じた取り付け向きが設定されていること以外、図3(a)に示した遊技釘100Aと同様にして遊技板50に取り付けられる。
遊技釘100Cは、遊技釘100Aと同様に金属製であり、例えば、黄銅によって形成される。遊技釘100Cは、線材に対して転造などの圧造加工を施して形成されているが、必ずしも圧造加工によって形成する必要はなく、これに代えて、又は、これに加えて切削加工等の他の加工を用いて形成しても良い。なお、遊技釘100Cの第1軸部101Caは、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成した後に、切削加工等によって形成してもよいし、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成するのに先立って切削加工等によって形成してもよい。
また、軸部101Cは、頭部102に近い側に設定された第1軸部101Caと、第1軸部101Caと抜止部113との間に設定された第2軸部101Cbとを備えている。第1軸部101Caは、遊技釘100Cを遊技板50に打ち込んだ場合に、遊技板50より前面側(すなわち、遊技板50に挿入されない位置)であるとともに、当接部114を含む位置に設定される。つまり、遊技板50とガラス板11の間を流下する遊技球は、遊技釘100Cの軸部101Caにおける当接部114に当接する。
第1軸部101Caおよび第2軸部101Cbは、軸方向に対して垂直な断面の形状が異なっている。具体的に、第2軸部101Cbにおける軸方向に対して垂直な断面が、遊技釘100Aの軸部101Aと同様の円形状に形成されているのに対し、第1軸部101Caにおける軸方向に対して垂直な断面は、図5(b)に示すように、第2軸部101Cbにおける軸方向に対して垂直な断面である円と略同一の円における半円より小さな部分の円弧と、当該円弧の両端101Ca2,101Ca3からそれぞれ延び、第2軸部101Cbにおける軸方向に対して垂直な断面である円上での交点(頂点101Ca1)で交わる各直線とで囲まれる形状にされている。
第1軸部101Caを有する遊技釘100Cは、図2に示したように、遊技領域21における発射通路31の出口近傍に取り付けられる。このとき、遊技釘100Cは、第1軸部101Caにおける頂点101Ca1が、遊技盤20(遊技板50)の上側を向くような向きに取り付けられる。
ここで、パチンコ機10において、上記形状に構成された遊技釘100Cに係る作用および効果を説明する。
パチンコ機10に対しては、糸を取り付けた遊技球を遊技領域内に発射させることによって不正行為が行われる可能性がある。
これに対し、本実施形態のパチンコ機10によれば、発射通路31の出口近傍に取り付けた遊技釘100Cが、第1軸部101Caにおける頂点101Ca1が上側を向くような向きで取り付けられているので、糸を取り付けた遊技球が発射された場合、当該遊技球は、糸が遊技釘100Cの頂点101Ca1を跨いで、頂点101Ca1を支点とした状態でぶら下がり易い。
このような状態で糸を引っ張ったり緩めたりした場合には、糸は頂点101Ca1の角部によって摩擦されるので、遊技球に取り付けられた糸を角部との摩擦によって切れ易くすることができる。特に、図5(b)に示すように、第1軸部101Caにおける軸方向に対して垂直な断面は、頂点101Ca1の角度が鋭角とされているので、遊技球に取り付けられた糸を切る効果が好適に向上する。
また、遊技釘100Cは、第1軸部101Caの断面形状が単純な円形状でないので、遊技球は、その接触位置(衝突位置)に応じて特徴的に跳ね返ることになる。よって、遊技釘100Cにより跳ね返る遊技球の挙動に対する興趣を向上させることができる。特に、本実施形態では、当接部114を含む第1軸部101Caの断面形状が頂点101Ca1にて折れ曲がった角部を有する形状に構成された遊技釘100Cが、当該角部が遊技盤20の上側を向くような向きで、発射通路31の出口近傍に取り付けられているので、発射通路31から遊技領域21に進入した遊技球について、遊技釘100Cによる跳ね返り挙動を複雑化することができる。よって、発射通路31から遊技領域21に進入した遊技球の挙動を遊技者に楽しませることが可能となる。
<釘ユニット200>
次に、図6を参照して、遊技釘100Dを含む釘ユニット200について説明する。図6(a)は、連結部201の長手方向を見る向きから見た釘ユニット200の側面図である。図6(b)は、図6(a)における矢印G方向に見た遊技釘100Dの側面図であり、図6(c)は、図6(a)のF−F線における遊技釘100Dの断面図である。図6(d)は、図6(a)における矢印H方向に見た連結部201の側面図である。なお、図6(a)には、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合における当該遊技板50の前面51を二点鎖線で示している。
図6(a)に示すように、釘ユニット200は、2本の遊技釘100Dを連結部201により連結したユニットとして構成される。連結部201には、2本の遊技釘100Dの間となる位置に、遊技釘100Dの軸方向に沿って細長く延びる棒状の突出部201aが形成されている。なお、1の釘ユニット200に含まれる突出部201aの数は、図6(a)に示した5つであることに限らず、釘ユニット200を構成する両端の遊技釘100D間の距離に応じた1以上の適宜の数とされる。
突出部201aを有する釘ユニット200は、連ねて配置される(配列された)複数の遊技釘、例えば、図2に示すように、遊技球を始動入賞口25に誘導する複数の遊技釘(所謂、誘導釘)に代えて取り付けることができる。つまり、突出部201aは、連ねて配置される遊技釘の一部を代替する部材として利用できる。よって、両端となる2本の遊技釘100Dの間に適宜の数の突出部201aを設けることで、誘導釘など、連ねて配置される遊技釘の代替となり得る種々のサイズの釘ユニット200を準備することができる。
また、釘ユニット200が必ずしも突出部201aを含む必要はなく、連結部201に突出部201aが形成されていないものであってもよい。例えば、本実施形態では、図2に示すように、上側の始動入賞口25の上方に当該入賞口25の入口として機能する一対の遊技釘(所謂、命釘)を釘ユニット200の形態で取り付けており、かかる一対の遊技釘に対応する釘ユニット200の連結部201には突出部201aが形成されていない。
釘ユニット200を構成する遊技釘100Dは、軸部101Dに溝部155が形成されていること以外は、上述した遊技釘100Aと同様に構成される。つまり、軸部101Dの一端側であって遊技板50の前面51側に突出する先端側端部(突端部)には、遊技釘100Aと同様の頭部102が形成されている。また、軸部101Dは、遊技釘100Aと同様、先端部111と螺旋部112と抜止部113とを、頭部102とは反対側となる端部に備えている。遊技釘100Dは、連結部201の長手方向と、溝部115.116が延びる方向とを一致させるように取り付け向きが設定されていること以外、図3(a)に示した遊技釘100Aと同様にして遊技板50に取り付けられる。
遊技釘100Dは、遊技釘100Aと同様に金属製であり、例えば、黄銅によって形成される。遊技釘100Dは、線材に対して転造などの圧造加工を施して形成されているが、必ずしも圧造加工によって形成する必要はなく、これに代えて、又は、これに加えて切削加工等の他の加工を用いて形成しても良い。なお、遊技釘100Dの軸部101Dにおける溝部115,116は、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成した後に、切削加工等によって形成してもよいし、圧造加工によって先端部111、螺旋部112、および抜止部113などを形成するのに先立って切削加工等によって形成してもよい。
また、軸部101Dには、当接部114より先端部111側であり、かつ、遊技釘100Dが遊技板50に打ち込まれた場合に前面51より前方側の位置に溝部115,116が形成されている。溝部115は、図6(a)および図6(b)に示すように、連結部201が延びる方向(図6(a)における左右方向であり、図6(a)における紙面垂直方向)に軸部101Dを切り欠いて形成された溝である。一方、溝部116は、軸部101の軸方向に対して溝部115の裏側となる位置に、連結部201が延びる方向(長手方向)に軸部101Dを切り欠いて形成された、溝部115と対をなす溝である。
遊技釘100Dの軸部101Dにおいて、一対の溝部115,116が形成された部分は、図6(c)に示すように、溝部115,116が形成されていない部分に比べて、軸方向に垂直な断面が溝部115,116の深さの分だけ薄くなっているので、折曲や折損などの破損を生じ易い。特に、略同方向に延びる一対の溝部115,116が形成されたことで、軸部101Dは、特定方向の負荷に対して方向性をもって、すなわち、軸部101Dに対して垂直であり、溝部115,116に対して垂直な方向の負荷に対して、その負荷の方向に破損し易い。
また、本実施形態では、溝部115,116の形成位置が、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合に、遊技板50の前面51より前方であって、頭部102より前面51に近い位置となるよう設定されている。このように、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合における溝部115,116位置を、頭部102より前面51に近い位置とすることで、頭部102に不正に力を加えて遊技釘を曲げようとした場合に、力を加えられる位置(つまり力点)に対し、溝部115,116が、支点となる遊技板50の前面51に比較的近い位置となるため、溝部115,116に負荷がかかり易く、軸部101Dを溝部115,116において破損させ易い。
特に、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合における溝部115,116の位置を、遊技板50の前面51から前方側に所定長さ(例えば、5ミリ程度)の位置とすることで、軸部101Dが溝部115,116おいて折損した場合であっても、遊技釘100Dは遊技板50の前面51から所定長さだけ出た状態で残されるので、遊技釘100Dを遊技板50から取り外す作業を行い易い。
釘ユニット200を構成する連結部201は、金属製であり、例えば、黄銅によって形成される。連結部201は、切削加工や成型加工などによって、所望の形状に形成される。連結部201には、図6(d)に示すように、その長手方向の両端に、遊技釘100Dを嵌め込み固定するための凹部201bが形成されている。よって、釘ユニット200は、2本の遊技釘100Dをそれぞれ連結部201の凹部201bに嵌め込み固定することで作成される。
凹部201bは、遊技釘100Dを導入する入口となる開口部201b1と、開口部201b1に連設される嵌め込み部201b2とから構成される。開口部201b1は、遊技釘100Dを導入可能な広さに構成され、その広さは嵌め込み部201b2に近づくにつれて狭くなっている。
一方、嵌め込み部201b2は、遊技釘100Dの、当該嵌め込み部201b2に嵌め込まれる部分(本実施形態では、軸部101Dにおける頭部102に近い側の端部)の外径と同程度の内径を有し、開口部201b1から進入した遊技釘100Dを受け入れ可能な程度に開口された半円以上の円弧として形成される。よって、嵌め込み部201b2に嵌め込まれた遊技釘100Dは、当該嵌め込み部201b2に外れ難い状態で固定される。
上述したように、連結部201には、2本の遊技釘100Dの間となる位置に、すなわち、両側に形成された凹部201bの間に、1以上の突出部201aが必要に応じて形成される。突出部201aは、その断面が、軸部101Dの断面と同程度の直径の円形で、略同一サイズの外周形状をした略円柱状の棒状体として構成される。
突出部201aの長さは、図6(a)に示すように、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合に、突出部201aの先端が、遊技板50の前面51に接しない程度(例えば、前面51から前方側に数ミリ程度浮く程度)の長さに設定されている。つまり、両端の遊技釘100Dによって釘ユニット200が遊技板50に取り付けられた場合、突出部201aと前面51との間には若干の隙間が形成される。
ここで、パチンコ機10において、上記構成の釘ユニット200に係る作用および効果を説明する。
パチンコ機10においては、遊技板50に取り付けられている多数の遊技釘の一部が、釘ユニット200の形態で取り付けられているので、釘ユニット200を構成する2本の遊技釘100Dにおける曲げ方向の自由度が、それらの遊技釘100Dを連結する連結部201の存在によって規制される。よって、釘ユニット200については、遊技釘100Dを不正に曲げることが難しくなるため、不正行為を抑制できる。
また、始動入賞口25の上方に設ける一対の遊技釘を釘ユニット200の形態で取り付けることで、一対の遊技釘の間隔が連結部201によって固定されるので、始動入賞口25への入球(進入)が容易となるよう一対の遊技釘の間隔を広げることが困難となる。よって、一対の遊技釘の間隔を広げる不正行為を抑制できる。同様に、一対の遊技釘の間隔を狭める(閉める)ことも困難となる。
釘ユニット200には、遊技板50に取り付けた場合に、その先端が前面51から若干離れた(浮いた)状態となる突出部201aが、両端となる2本の遊技釘100Dの間に形成されている。よって、突出部201aは、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた状態において撓ませることが可能である。
そのため、突出部201aが形成された釘ユニット200を、例えば、図2に示したように、遊技球を始動入賞口25に誘導する複数の遊技釘(所謂、誘導釘)に代えて用いた場合、連結部201に沿って誘導される遊技球が接触(衝突)したことで突出部201aに撓みが生じる。かかる突出部201aの撓みによって、釘ユニット200上を連結部201に沿って誘導される遊技球を弾み易くすることができる。
よって、例えば、センター装飾部材22の下部に、始動入賞口25への入球が容易である箇所、または、始動入賞口25への入球が困難である箇所のいずれかに遊技球を振り分ける振分部を設けた場合に、釘ユニット200により始動入賞口25へと誘導される遊技球の一部を当該振分部に飛び込ませることができ、それにより遊技の興趣を向上させることができる。
また、釘ユニット200では、溝部115が延びる方向と連結部201の長手方向とが一致するように、遊技釘100Dが取り付けられているので、溝部115,116が破損した場合には、釘ユニット200の見た目が大きく変わることになる。よって、遊技釘100Dなどに負荷をかけることで曲げる不正行為を、見た目の変化によって早期に発見でできる。また、このように不正行為が発見され易くなったことで、当該不正の実施が抑制される。
<第2実施形態>
次に、図7を主に参照して、第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態に係るパチンコ機10では、始動入賞口25やスルーゲート28などの入球口の上方に、当該入球口の入口として機能する複数本の遊技釘が遊技板50に打ち込まれている。例えば、始動入賞口25の上方には、始動入賞口25の入口として機能する2本の遊技釘100D(釘ユニット200の一部)が打ち込まれている。
これに対し、第2実施形態に係るパチンコ機10では、入球口の入口として機能する複数本の遊技釘の一部が、遊技板50に打ち込まれることなく、入球口が形成された入球装置に一体化されている。なお、以下の説明において、第1実施形態における構成と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を説明する。
図7(a)は、第1の取り付け態様で取り付けられた、入球装置の1つである一般入賞装置334の正面図であり、図7(b)は、第2の取り付け態様で取り付けられた一般入賞装置334の正面図である。
なお、図7(a)および図7(b)には、一般入賞装置334に設けられているピン401と共に、一般入賞装置334における入球口である一般入賞口324の入口として機能する、一般入賞装置334の近傍に設けられた3本の遊技釘Q1〜Q3を合わせて図示している。遊技釘Q1〜Q3は、例えば、上述した遊技釘100Aである。なお、遊技釘Q1〜Q3は、遊技釘100Aに限らず、遊技釘100B〜100Dのいずれであってもよい。また、遊技釘Q1〜Q3が全て同じ形状の遊技釘でなくてもよい。
一般入賞口324は、第1実施形態の一般入賞口24と同様に機能する入賞口であり、遊技球が入球(通過)したことで、その特典として賞球が払い出される。一般入賞装置334は、一般入賞口324が形成された入賞装置である。一般入賞装置334は、上側に一般入賞口24が形成された本体324aと、本体324aの背面側に連設される台板334bとを備えている。本体324aの内部には、一般入賞口324に連設されて一般入賞口324に入球した(一般入賞口324を通過した)遊技球を遊技板50の背面側に形成される排出経路に送り出すための通路が形成されている。台板334bにおける一般入賞口324の入口側は、遊技球が一般入賞口324にスムーズに進入できるよう、台板334bの外縁側から一般入賞口324に向けてスロープ状に形成されている。
台板334bには、一般入賞装置334を遊技板50に取り付けるためのビス301,302を挿通させるための挿通口が2箇所に形成されている。より詳細には、一般入賞口324を遊技機正面視におけるほぼ真上に向けた状態(すなわち、図7(a)に示す状態)において、当該一般入賞口324の中心を通る上下方向の軸の左側の上部には、ビス301を挿通するための第1の挿通口が形成されている。一方、同状態において、当該一般入賞口324の中心を通る上下方向の軸の右側の下部には、ビス302を挿通するための第2の挿通口が形成されている。
遊技板50には、台板334bの第1の挿通口に通されたビス301を固定するための止め穴54が形成されている。一方、遊技板50には、台板334bの第2の挿通口に通されたビス302を固定するための止め穴として、2箇所の止め穴55,56が準備されている。
よって、第2の挿通口に通されたビス302の固定先が止め穴55であるか、止め穴56であるかに応じて、一般入賞装置334の取り付け向きを変化させることができる。つまり、第2の挿通口に通されたビス302を止め穴55にて固定した場合、一般入賞装置334は、図7(a)に示すように、一般入賞口324が遊技機正面視におけるほぼ真上を向くように取り付けられる。
その一方で、第2の挿通口に通されたビス302を止め穴56にて固定した場合、一般入賞装置334は、図7(a)に示す状態から止め穴54を中心として時計回りに回転された状態で取り付けられる。よって、止め穴56を用いて取り付けられた一般入賞装置334は、図7(b)に示すように、一般入賞口324が遊技機正面視における右上を向くように取り付けられる。
製造時には、止め穴55または止め穴56のうち一方の止め穴に第2の挿通口に通したビス302をねじ止めすることで、一般入賞装置334を遊技板50に取り付ける。このとき、使用しなかった他方の止め穴は樹脂を流し込むことで埋める。このように、第2の挿通口に通されたビス301の固定先として止め穴55または止め穴56を選ぶことで、一般入賞口324の開口向きが異なる遊技機を製造することができる。
なお、止め穴55または止め穴56のうち、一般入賞装置334の取り付けに利用しなかった止め穴は、仮止め部材を用いて仮止めさせる構成であってもよいし、そのまま開放させた状態としてもよい。
台板334bにおける一般入賞口324の右上となる位置には、ピン401が立設されている。ピン401は、上述した遊技釘100Aにおける抜止部113より頭部102側の部分と同様の形状に構成される。つまり、ピン401は、断面形状が円形の一定形状に細長く形成された軸部と、当該軸部の一端側にて軸部より太く形成された頭部とを有する。ピン401は、軸部における頭部とは反対側となる端部が台板334bに固定されている。
上述のように、止め穴55または止め穴56のいずれを使うかに応じて、一般入賞装置334の取り付け向きを変化させることができる。これにより、遊技釘Q1〜Q3に対するピン401の相対位置が変化する。例えば、止め穴56を用いて一般入賞装置334を取り付けた場合(図7(b))には、止め穴55を用いた場合(図7(a))に比べて、遊技釘Q1とピン401との距離が広くなる。遊技釘Q1とピン401との距離が広くなったことで、その分、遊技球は一般入賞口324に入球し易くなる。
止め穴55を用いて一般入賞装置334を取り付けた場合には、遊技釘Q2,Q3の配置によって、左上側から流下する遊技球を遊技釘Q1と遊技釘Q2との間から一般入賞口324に案内する経路しか存在しなかった。これに対し、止め穴56を用いて一般入賞装置334を取り付けた場合には、止め穴55を用いた場合に比べて、遊技釘Q3とピン401との距離が広くなり、それにより、遊技釘Q1と遊技釘Q2との間だけでなく、遊技釘Q3とピン401との間も、右上側から流下する遊技球を一般入賞口324に案内する経路となり得る。よって、一般入賞口324への入口となる箇所が2箇所に増えるので、その点においても、遊技球は一般入賞口324に入球し易くなる。
ここで、上述した第2実施形態の一般入賞装置334が取り付けられたパチンコ機に係る作用及び効果を説明する。
上述したように、一般入賞装置334は、第2の挿通口に通されたビス302の固定先として、止め穴55を用いるか止め穴56を用いるかに応じて、一般入賞口324への入球し易さを変化させることができる。また、図7(a)および図7(b)に示すように、一般入賞装置334の取り付け向きが変化したことで、一般入賞口324に入賞させるために遊技球を打ち込む方向にも変化をもたらすことが可能となる。このように、第2実施形態によれば、止め穴55,56のうち第2の挿通口に通されたビス302の固定先にする止め穴を製造時に選択することで、一般入賞装置334の取り付け態様が異なるパチンコ機10を製造することができる。よって、2種類の異なる遊技性とした2種類の異なる遊技機を簡易的に製造することができる。
また、ピン401は、細長く形成された軸部の一端が台板334bに固定されているので、その取り付け強度は比較的弱い。よって、ピン401は、ピン401を曲げるために不正な負荷がかけられた場合に台板334bから脱落し易い。ピン401は、台板334bに固定されることで一般入賞装置334に一体化された部材であるので、ピン401が脱落した場合には、一般入賞装置334の見た目に変化が生じる。一般入賞装置334のように、遊技球が通過したことで賞球などの特典を付与する入球口(例えば、一般入賞口324)を有する装置は、目立ち易いために見た目の変化に対して敏感となる。よって、一般入賞口324への遊技球の入球(進入)を有利にするべくピン401に対して行われた不正行為を、一般入賞装置334の見た目の変化によって早期に発見できる。また、一般入賞口324への遊技球の入球を有利にするための不正行為が発見され易くなったことで、当該不正の実施が抑制される。
なお、ピン401に対する不正が行い難くなった場合であっても、遊技釘Q1など、ピン401と共に一般入賞口324の入口として機能する他の遊技釘を曲げることで一般入賞口324への遊技球の入球を有利にすることは可能であるが、ピン401を曲げることが難しいために、遊技釘Q1など、他の遊技釘を大きく曲げる必要が生じる。しかしながら、遊技釘が大きく曲げられたことで、遊技釘が曲げられたことを発見し易くなり、その点においても、一般入賞口324への遊技球の入球を有利にするための不正行為を発見し易い。
<第3実施形態>
次に、図8を主に参照して、第3実施形態について説明する。上述した第1実施形態に係るパチンコ機10では、始動入賞口25の入口として機能する一対の遊技釘(遊技釘100D)を釘ユニット200の形態で取り付け、それにより、当該入口として機能する遊技釘100Dに対する不正な曲げを抑制する構成とした。
これに対し、第3実施形態に係るパチンコ機10では、始動入賞口の入口として機能する一対の遊技釘に対し、各遊技釘における前方端部の周囲を釘カバーで囲う(覆う)ことで、これら一対の遊技釘に対する不正な曲げを抑制する。第1,第2実施形態における構成と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、上記各実施形態と異なる部分を説明する。
図8(a)は、始動入賞装置535の正面図であり、図8(b)は、図8(a)のJ−J線における始動入賞装置535の断面図である。なお、図8には、始動入賞装置535の上方に設けられ、始動入賞口525の入口として機能する一対の遊技釘Q4,Q5を合わせて図示している。
図8に示す例において、一対の遊技釘Q4,Q5は、上述した遊技釘100Aである。なお、遊技釘Q4,Q5は、遊技釘100Aに限らず、遊技釘100B〜100Dのいずれであってもよい。また、遊技釘Q4,Q5の両方が同じ形状の遊技釘でなくてもよい。
始動入賞装置535は、始動入賞口525が形成された樹脂製の入賞装置である。なお、始動入賞装置535は、少なくとも収容部535b1の前面側が、遊技釘Q4,Q5が視認可能となるよう透明に構成される。収容部535b1の前面側は、半透明であってもよい。始動入賞装置535は、始動入賞装置535の本体をなす本体部535aと、遊技機正面視における本体部535aの上方に連設された釘カバー部535bとを備えている。
本体部535aは、遊技機正面視における上面と背面(遊技板50を向く面)が開放された箱状に構成される。本体部535aの外周壁には、始動入賞装置535を遊技板50に取り付けるための取付部535a2が設けられている。図8に示す例では、取付部535a2は、遊技機正面視における本体部535aの左右両側の外周壁535a3と、底側の外周壁535a4との3箇所にそれぞれ設けられている。
取付部535a2は、ビス501を挿通可能な挿通口を有する。始動入賞装置535は、本体部535aが取付部535a2の挿通口に挿通されたビス501によって遊技板50に固定されることで、遊技板50に取り付けられる。
本体部535aにおける遊技機正面視における前側の外周壁535a5と、底側の外周壁535a4と、左右の外周壁535a3とにより囲まれる空間(以下、「本体部535aの内部空間」と称す)の一部が、本体部535aの上方の開口から始動入賞装置535に進入した遊技球を、遊技板50の背面(前面51の裏側となる面)側に形成される排出経路(図示せず)に案内する球通路として機能する。
より詳細には、左右の外周壁535a3の各内壁には、外周壁535a3の上端から下方向に延びるリブ535a6と、リブ535a6の下端に連設されて外周壁535a3の遊技板50側の端まで延びるリブ535a7とが立設されている。始動入賞装置535内に進入した遊技球は、左右両側に形成された各リブ535a6と、外周壁535a5の内壁と、遊技板50の前面51との間に形成される空間によって、本体部535aの内部空間の底面まで下方に案内された後、当該内部空間の底面と左右両側に形成された各リブ535a7とによって排出経路に通じる遊技板50の貫通孔まで案内される。
つまり、始動入賞装置535の球通路は、本体部535aの内部空間内において、一対の遊技釘Q4,Q5の間を通過した遊技球が、上述のように排出経路に通じる遊技板50の貫通孔まで案内される経路である。なお、左右両側に形成された各リブ535a6,535a7は、球通路の外縁を形成する機能を果たすとともに、球通路を通過する遊技球を整流する機能を果たす。
球通路における上端、すなわち、遊技球が一対の遊技釘Q4,Q5の間を通過した後、必ず排出経路に案内されるようになる境界位置での開口が、始動入賞口525となる。始動入賞口525は、第1実施形態の始動入賞口25と同様に機能する入球口である。つまり、始動入賞口525は、遊技球が入球(通過)したことで、その特典として、大当たり等の抽選が行われるとともに賞球の払い出しが行われる入球口である。
釘カバー部535bは、始動入賞装置535の上方に設けられた一対の遊技釘Q4,Q5の各頭部102の周囲を囲う(覆う)釘カバーとして機能する部分である。以下では、便宜的に、遊技釘Q4の頭部102の周囲を囲う釘カバー部535bを、釘カバー部535bAと称し、遊技釘Q5の頭部102の周囲を囲う釘カバー部535bを、釘カバー部535bBと称することがある。
遊技釘Q4の頭部102の周囲を囲う釘カバー部535bAは、本体部535aの前面側の外周壁535a3における左端側の上端に連設される。一方、遊技釘Q5の頭部102の周囲を囲う釘カバー部535bBは、本体部535aの前面側の外周壁535a3における右端側の上端に連設される。なお、釘カバー部535b(535bA,535bB)の前面側は、例えば、図8(b)に示すように、本体部535aの前面側の外周壁535a3の前面と面一の平面とされている。
釘カバー部535bA,535bBの各裏面(取り付け状態において遊技板50に対向する面)には、それぞれ、遊技釘Q4または遊技釘Q5の頭部102の最大外径よりやや大きい円形に開口され、当該頭部102を前方から収容可能な深さに凹んだ収容部535b1が形成されている。よって、始動入賞装置535がビス501により遊技板50に取り付けられた(すなわち、固定された)状態において、釘カバー部535bA,535bBは、それぞれ、各収容部535b1が遊技釘Q4または遊技釘Q5の頭部102の周囲(より詳細には、頭部102の前面側、および、頭部102における軸部101Aの中心軸線に交差する方向側)を囲う。
釘カバー部535b(535bA,535bB)は、遊技板50に固定された始動入賞装置535と一体化されているので、釘カバー部535bによって、遊技釘Q4,Q5の各頭部102の周囲、特に、遊技釘Q4,Q5における前面51より前方側の端部である各頭部102の軸部101Aの中心軸線の周囲方向(以下、「軸中心周り」と称す)が囲われたことで、遊技釘Q4,Q5の各頭部102が軸中心周りのどの方向に動くことも一定の範囲内に制限して規制することができる。よって、釘カバー部535bで囲われた遊技釘Q4,Q5に対し、遊技釘Q4,Q5を曲げようとして不正な負荷が与えられたとしても、遊技釘Q4,Q5は当初の立設状態を保持することができる。
特に、一対の遊技釘Q4,Q5は、始動入賞口525の入口として機能する遊技釘であるので、始動入賞口525への入球(進入)を有利にするために、遊技釘Q4と遊技釘Q5との間隔を広げようとする不正行為の対象となる可能性が高い。これに対し,遊技釘Q4,Q5を釘カバー部535bで囲うことで、遊技釘Q4と遊技釘Q5との間隔(すなわち、遊技釘Q4と遊技釘Q5との間を通過する遊技球の通過方向に対して直交する方向の長さ)を広げることが困難となる。これにより、始動入賞口525への入球(進入)が容易となるよう一対の遊技釘Q4,Q5の間隔を広げる不正行為を抑制できる。同様に、一対の遊技釘Q4,Q5の間隔を狭める(閉める)ことも困難となる。
また、釘カバー部535bA,535bBは、いずれも、本体部535aに連設されているので、釘カバー部535bAと釘カバー部535bBとの間隔を変更することは不可能である。よって、釘カバー部535bA,535bBの各収容部535b1によって頭部102の周囲が囲われた一対の遊技釘Q4,Q5は、その間隔を広げることが困難となる。よって、始動入賞口525への入球(進入)が容易となるよう一対の遊技釘Q4,Q5の間隔を広げる不正行為を抑制できる。同様に、一対の遊技釘Q4,Q5の間隔を狭める(閉める)ことも困難となる。
釘カバー部535bA,535bBは、図8(a)に示すように、遊技機正面視における上方側の上側縁端部535b2が、略半円の円弧形状に構成される。より詳細には、上側縁端部535b2は、円形に開口された収容部535b1と同心円状の円における略半円部分の円弧形状に構成される。つまり、上側縁端部535b2は、収容部535b1に収容された遊技釘Q4,Q5における軸部101Aの軸中心に略一致する位置を中心とする、当該頭部102の最大外径より大きな径の円における略半円部分の円弧形状に構成される。
釘カバー部535b(535bA,535bB)の上側縁端部535b2は、上述のように、遊技釘Q4,Q5の頭部102の最大外径より大きい径であるものの、遊技釘Q4,Q5の軸中心に略一致する位置を中心とする円における略半円部分の円弧形状であるので、遊技釘Q4,Q5が釘カバー部535bにより囲われたときの遊技板50とガラス板11の間を流下する遊技球の流下挙動を、遊技釘Q4,Q5が釘カバー部535bにより囲われず頭部102が露出しているときの流下挙動に似せることができる。よって、遊技釘Q4,Q5に対し釘カバー部535bを取り付けた場合であっても、遊技球の流下挙動に関して遊技者が感じる違和感を好ましい程度に抑制することができる。
また、収容部535b1は、遊技釘Q4,Q5の頭部102に対して大きく形成されているので、遊技釘Q4,Q5の当接部114に遊技球が当接して、遊技釘Q4,Q5が振動した場合に、収容部535b1内で頭部102を変位可能とすることができる。よって、釘カバー部535bを設けても、遊技釘Q4,Q5が釘カバー部535bにより囲われず頭部102が露出しているときの流下挙動に似せることができる。
なお、図8(a)に示す例では、上側縁端部535b2を、遊技釘Q4,Q5の軸中心に略一致する位置を中心とする円における略半円の円弧形状としたが、円弧の大きさは、遊技釘Q4,Q5が釘カバー部535bにより囲われたときの遊技板50とガラス板11の間を流下する遊技球の流下挙動と、遊技釘Q4,Q5が釘カバー部535bにより囲われることなく露出しているときの流下挙動との類似性が所定のレベルで保たれる程度であれば、半円より小さい円弧(例えば、中心角120度の円弧)であっても、半円よりも大きい円弧(例えば、中心角270度の円弧)であってもよい。なお、上側縁端部535b2には、上流側から流下する遊技球が接触するので、上側縁端部535b2は半円以上の円弧であることが好ましい。
また、上側縁端部535b2を、遊技釘Q4,Q5の軸中心に略一致する位置を中心とする円の円弧とすることに限らず、遊技釘Q4,Q5の軸中心に対し、遊技機正面視における上側または下側に偏心した位置を中心とする円の円弧としてもよい。なお、遊技球の流下挙動を似せるという観点からすると、上側縁端部535b2は、遊技釘Q4,Q5の軸中心に略一致する位置を中心とする円の円弧であることが好ましい。また、上側縁端部535b2は、遊技釘Q4,Q5の軸中心を通る遊技機正面視における上下方向の仮想的な線分に対して左右対称な円弧であることに限らず、当該上下方向の仮想的な線分に対して非対称な円弧であってもよい。
ここで、上述した第3実施形態の始動入賞装置535が取り付けられたパチンコ機10に係る作用及び効果を説明する。
第3実施形態のパチンコ機10によれば、遊技釘Q4,Q5の頭部102の軸中心周りの外方が、遊技板50に固定された始動入賞装置535と一体化された釘カバー部535b(535bA,535bB)の収容部535b1によって囲われるので、遊技釘Q4,Q5は、遊技釘Q4,Q5を曲げようとして不正な負荷が軸中心周りのいずれの方向から与えられたとしても、当初の立設状態を保持することができる。これにより、例えば、遊技釘Q4と遊技釘Q5との間隔を広げることが困難となるので、始動入賞口525への入球(進入)が容易となるよう一対の遊技釘Q4,Q5の間隔を広げる不正行為を抑制できる。
また、釘カバー部535bは、ビス501により遊技板50に固定された本体部535aに連設されている。よって、釘カバー部535b(535bA,535bB)は、釘カバー部535bを支持する本体部535aを介して間接的に遊技板50に固定されたことになるので、遊技釘Q4,Q5に対する取り付け状態を保持することができる。これにより、釘カバー部535bが誤って外れたり、遊技釘Q4,Q5に対する取り付け位置がずれたりなどの事象の発生が抑制されるので、遊技釘Q4,Q5が意図しない方向に曲げられることを抑制できる。
また、釘カバー部535bは、遊技釘Q4,Q5の前方端部としての頭部102に対して遊技者側に相当する前側を覆う構成としているので、遊技者側から見て遊技釘の前方端部が釘カバー部535bに覆われ、不正行為を行おうとするものに対して、前方端部に対して力を加える不正が困難であることを認識させることができる。
第3実施形態に係る上記説明では、遊技釘Q4,Q5の前方端部(より詳細には、頭部102)の周囲を囲う釘カバーとして、始動入賞装置535に一体化された釘カバー部535bを例示した。つまり、上記例示した釘カバー部535bは、ビス501により遊技板50に固定された本体部535aに支持されることで、遊技釘Q4,Q5に対して取り付けられるものであった。
遊技釘Q4,Q5の前方端部の周囲を囲う釘カバーは、上記例示した釘カバー部535bのように、本体部535aにより支持されることで、遊技釘Q4,Q5に対する取り付け状態が保持されるものに限らず、単独で遊技釘Q4,Q5に対する取り付け状態を保持するものであってもよい。
図9(a)は、第3実施形態に係る別例の釘カバー550の正面図であり、図9(b)は、図9(a)のK−K線における釘カバー550の断面図である。釘カバー550は、上記例示した釘カバー部535bと同様、始動入賞口525の上方に設けられた一対の遊技釘Q4,Q5の各頭部102aの周囲を囲う樹脂製の釘カバーである。
図9(a)に示すように、釘カバー550は、遊技釘Q4,Q5の各頭部102の周囲を囲う(覆う)ための2つのカバー部550aと、これらカバー部550aを連結する連結部550bとから構成される。なお、以下では、便宜的に、遊技釘Q4の頭部102の周囲を囲うカバー部550aを、カバー部550aAと称し、遊技釘Q5の頭部102の周囲を囲うカバー部550aを、カバー部550aBと称することがある。
カバー部550aA,550aBの各裏面(取り付け状態において遊技板50に対向する面)には、それぞれ、遊技釘Q4,Q5の各頭部102を収容可能な凹みからなる収容部550a1と、頭部102を遊技機正面視における釘カバー550の下側縁端から収容部550a1へと案内するための案内部550a2とが形成されている。
収容部550a1は、上記例示した釘カバー部535bの収容部535b1と同様、遊技釘Q4または遊技釘Q5の頭部102の最大外径よりやや大きい円形に開口され、当該頭部102を前方から収容可能な深さを有する凹部である。案内部550a2は、釘カバー550の下側縁端と収容部535b1とを連通させる溝部であり、その幅は収容部550a1の開口の直径に等しく、その深さは収容部550a1の深さに等しく構成される。
図9に示す釘カバー550によれば、遊技釘Q4,Q5の各頭部102は、各カバー部550a(550aA,550aB)の案内部550a2における下側の開放から、案内部550a2により収容部550a1へと案内され、収容部550a1に収容される。遊技釘Q4,Q5の各頭部102がそれぞれカバー部550aA,550aBに収容されたことで、遊技釘Q4,Q5に対する釘カバー550の取り付けが完了する。
釘カバー550が遊技釘Q4,Q5に対して取り付けられた状態において、カバー部550aA,550aBは、それぞれ、各収容部550a1が遊技釘Q4または遊技釘Q5の頭部102の周囲(より詳細には、頭部102の前面側、および、頭部102における軸部101Aの中心軸線に交差する方向側)を囲う。
カバー部550aA,550aBは連結部550bにより連結されているので、収容部550a1によって頭部102の周囲が囲われた一対の遊技釘Q4,Q5は、その間隔を広げることが困難となる。よって、始動入賞口525への入球(進入)が容易となるよう一対の遊技釘Q4,Q5の間隔を広げる不正行為を抑制できる。同様に、一対の遊技釘Q4,Q5の間隔を狭める(閉める)ことも困難となる。
釘カバー550のカバー部550a(550aA,550aB)は、図9(a)に示すように、上記例示した釘カバー部535bと同様、遊技機正面視における上方側の上側縁端部550a3が、略半円の円弧形状に構成される。より詳細には、上側縁端部550a3は、円形に開口された収容部550a1と同心円状の円における略半円部分の円弧形状に構成される。これにより、遊技釘Q4,Q5が釘カバー550により囲われたときの遊技板50とガラス板11の間を流下する遊技球の流下挙動を、遊技釘Q4,Q5が釘カバー550により囲われることなく露出しているときの流下挙動に似せることができる。よって、遊技釘Q4,Q5に対し釘カバー550を取り付けた場合であっても、遊技球の流下挙動に関して遊技者が感じる違和感を好ましい程度に抑制することができる。
上述した釘カバー550によれば、単独で遊技釘Q4,Q5に対する取り付け状態を保持できるので、釘カバーを支持するための本体部535aのような支持部材の有無を考慮することなく、釘カバー550を、遊技領域21の立設された種々の遊技釘に対して取り付けることが可能である。
なお、釘カバー550の前面側にガラス板11に対して接着性または粘着性の層を設け、当該層を介することで、ガラス板11に対する釘カバー550の位置を固定する構成としてもよい。
上述したように、遊技釘Q4,Q5の各頭部102の周囲、特に、遊技釘Q4,Q5における前面51より前方側の端部である各頭部102の軸中心周りが囲われているので、ガラス板11に対する釘カバー550の位置が固定された場合には、遊技釘Q4,Q5の各頭部102が軸中心周りのどの方向に動くことも規制することができる。
これにより、釘カバー部535bで囲われた遊技釘Q4,Q5に対し、遊技釘Q4,Q5を曲げようとして不正な負荷が与えられたとしても、遊技釘Q4,Q5は当初の立設状態を保持することができる。よって、ガラス板11に対する釘カバー550の位置を固定可能な釘カバー550を、所定方向に遊技球を誘導するべく連ねて配置された複数の遊技釘に取り付けることで、遊技釘を曲げて遊技球の誘導方向を不正に変化させる不正行為を抑制できる。
例えば、遊技球を始動入賞口525に誘導する複数の遊技釘(所謂、誘導釘)は、始動入賞口525への入球(進入)が有利となるよう、上方または下方(すなわち、それら複数の遊技釘の配列による遊技球の誘導方向に対して交差する方向)に不正に曲げられる対象となり易い。これに対し,かかる複数の遊技釘を釘カバー550で囲うことで、当該遊技釘を上方または下方に曲げることが困難となるため、始動入賞口525への入球(進入)が容易となるように遊技球の誘導方向を不正に変化させる不正行為を抑制することができる。
図9に示す釘カバー550は、2つのカバー部550a(550aA,550aB)が、連結部550bにより連設されるものであったが、3つ以上のカバー部550aを有し、隣接するカバー部550aが連結部550bにより連結されるものであってもよい。つまり、釘カバー550は、3本以上の遊技釘を囲うことが可能な構成であってもよい。また、釘カバー550がガラス板11または遊技板50に固定されている場合には、1つのカバー部550aのみを有し、1本の遊技釘を囲う構成であってもよい。
<第4実施形態>
次に、図10および図11を主に参照して、第4実施形態について説明する。本実施形態に係るパチンコ機10もまた、上述した第3実施形態と同様、始動入賞口の入口として機能する一対の遊技釘に対し、各遊技釘における前方端部の周囲を釘カバーで囲うことで、これら一対の遊技釘に対する不正な曲げを抑制できるものである。なお、以下の説明において、第1〜第3実施形態における構成と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、上記各実施形態と異なる部分を説明する。
図10(a)は、始動入賞装置635の正面図であり、図10(b)は、図10(a)のL−L線における始動入賞装置635の断面図である。図10(c)は、図10(a)のM−M線における始動入賞装置635の断面図である。なお、図10には、始動入賞装置635の上方に設けられ、始動入賞口625の入口として機能する一対の遊技釘Q6,Q7を合わせて図示している。
図10に示す例において、一対の遊技釘Q6,Q7は、上述した遊技釘100Aである。なお、遊技釘Q6,Q7は、遊技釘100Aに限らず、遊技釘100B〜100Dのいずれであってもよい。また、遊技釘Q6,Q7の両方が同じ形状の遊技釘でなくてもよい。
始動入賞装置635は、始動入賞口625が形成された樹脂製の入賞装置である。なお、始動入賞装置635は、少なくとも収容部635c1の前面側が、遊技釘Q6,Q7が視認可能となるよう透明に構成される。収容部635c1の前面側は、半透明であってもよい。
始動入賞装置635は、遊技機正面視における前面側に設けられる板状の前板部635aと、前板部635aを支持する前板支持部635bと、遊技機正面視における前板部635aの上方に連設された釘カバー部635cとを備えている。
前板支持部635bの外周壁には、前板支持部635bを遊技板50に取り付けるための取付部635b1が設けられている。図10に示す例では、取付部635b1は、遊技機正面視における前板支持部635bの左右両側の外周壁635b2と、底側の外周壁635b3との3箇所にそれぞれ設けられている。取付部635b1は、ビス601を挿通可能な挿通口を有する。始動入賞装置635は、前板支持部635bが取付部635b1の挿通口に挿通されたビス601によって遊技板50に固定されることで、遊技板50に取り付けられる。
前板支持部635bにおける遊技機正面視における前側の外周壁635b4の内側(遊技板50を向く側)には、前板部635aを収容する収容空間635b5が形成されている。遊技機正面視における収容空間635b5の後側には、前板部635aと、外周壁635b2と、外周壁635b3とで囲まれる空間635b6が形成される。空間635b6の一部は、遊技機正面視における上方の開口から始動入賞装置635に進入した遊技球を、遊技板50の背面(前面51の裏側となる面)側に形成される排出経路(図示せず)に案内する球通路として機能する。
より詳細には、左右の外周壁635b2の各内壁には、外周壁635b2の上端から下方向に延びるリブ635b7と、リブ635b7の下端に連設されて外周壁635b2の遊技板50側の端まで延びるリブ635b8とが立設されている。
一方、前板部635aの裏面(すなわち、収容空間635b5に収容された状態において遊技板50に対向する側の面)にも、上下方向に延びるリブ635a1が立設されており、前板部635aが収容空間635b5に収容された状態において、始動入賞装置635内に進入した遊技球は、左右両側に形成された各リブ635b7と、前板部635aの裏面に形成されたリブ635a1と、遊技板50の前面51との間に形成される空間によって外周壁635b3の内壁(すなわち、空間635b6の底面)に接するまで下方に案内された後、左右両側に形成された各リブ635b8によって排出経路に通じる遊技板50の貫通孔まで案内される。
つまり、始動入賞装置635の球通路は、空間635b6内において、一対の遊技釘Q6,Q7の間を通過した遊技球が、上述のように排出経路に通じる遊技板50の貫通孔まで案内される経路である。なお、左右両側に形成された各リブ635b7,635b8、および、前板部635aの裏面に形成されたリブ635a1は、球通路の外縁を形成する機能を果たすとともに、球通路を通過する遊技球を整流する機能を果たす。
球通路における上端、すなわち、遊技球が一対の遊技釘Q6,Q7の間を通過した後、必ず排出経路に案内されるようになる境界位置での開口が、始動入賞口625となる。始動入賞口625は、第1実施形態の始動入賞口25と同様に機能する入球口である。つまり、始動入賞口625は、遊技球が入球(通過)したことで、その特典として、大当たり等の抽選が行われるとともに賞球の払い出しが行われる入球口である。
前板部635aは、遊技機正面視における上方側の開放部分から収容空間635b5に挿入され、釘カバー部635cが前板支持部635bより上側に突出した状態で収容空間635b5に収容される。収容空間635b5に収容された前板部635aは、パチンコ機10の製造時において、前板支持部635bに対する相対位置が最終的に固定されるまでの間は、前板支持部635bに対して遊技機正面視における上または下方向に移動させることができ、それにより、前板支持部635bに対する相対位置を変化させることができる。詳細は後述するが、本実施形態のパチンコ機10は、前板支持部635bに対する前板部635aの相対位置を変化させることで、始動入賞口625の入口として機能する一対の遊技釘Q6,Q7を好適な位置に位置決めできるよう構成される。
収容空間635b5と空間635b6との間には、これらの空間を仕切る仕切り壁635b9が、外周壁635b3の内側(すなわち、収容空間635b5および空間635b6の底側)から立設されている。仕切り壁635b9は、収容空間635b5および空間635b6の底から、前板支持部635bに対する前板部635aの上または下方向への移動に関して設定された所定高さまでの部分では、左側の外周壁635b2から右側の外周壁635b2まで連続して渡っており、それより上方では、左側の外周壁635b2に接続する部分と、右側の外周壁635b2に接続する部分とが、中央で分離した形状に構成される。
仕切り壁635b9の、前板部635aの裏面側に対向する面の上端側には、断面鋸歯状の係合部635b10が形成されている。一方、前板部635aの裏面には、係合部635b10に対応した位置に、係合部635b10の対となる断面鋸歯状の係合部635a2が形成されている。
前板部635aが収容空間635b5に収容された状態において、前板部635aの係合部635a2は、仕切り壁635b9の係合部635b10に係合される。よって、パチンコ機10の製造時において前板支持部635bに対する相対位置を変化させることで好適な前板部635aの位置が決められた場合、その後に前板部635aの位置が最終的に固定されるまでの間、好適とされた前板部635aの位置を、係合部635a2と係合部635b10との係合によって仮保持することができる。これにより、好適とされた位置にて前板部635aを作業者の手で保持し続けるなどの手間を防ぐことができる。
前板支持部635bにおける外周壁635b4には、前板部635aを収容する収容空間635b5の底面よりやや上方となる位置に、当該収容空間635b5に通じる貫通孔635b11が形成されている。パチンコ機10の製造時において、前板支持部635bに対する前板部635aの相対位置が好適化された場合、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂を貫通孔635b11から注入し、収容空間635b5の下方側の、外周壁635b2,635b3,635b4と仕切り壁635b9とにより囲まれた空間のうち、前板部635aの下端より下方の空間を樹脂で埋めるとともに、前板部635aとその周りを囲う外周壁635b4などの各壁との境界部分に樹脂を浸入させて硬化させることで、好適化された前板部635aの位置を最終的に固定することができる。
釘カバー部635cは、始動入賞装置635の上方に設けられた一対の遊技釘Q6,Q7の各頭部102の周囲を囲う(覆う)釘カバーとして機能する部分である。以下では、便宜的に、遊技釘Q6の頭部102の周囲を覆う釘カバー部635cを、釘カバー部635cAと称し、遊技釘Q7の頭部102の周囲を覆う釘カバー部635cを、釘カバー部635cBと称することがある。
遊技釘Q6の頭部102の周囲を覆う釘カバー部635cAは、前板部635aの左端側の上端に連設される。一方、遊技釘Q7の頭部102の周囲を覆う釘カバー部635cBは、前板部635aの右端側の上端に連設される。なお、釘カバー部635c(635cA,635cB)の前面側は、例えば、図10(b)に示すように、前板部635aの前面と面一の平面とされている。
図10(a)に示すように、釘カバー部635c(635cA,635cB)は、遊技機正面視における上方側の上側縁端部635c2が、第3実施形態の上側縁端部535b2と同様、略半円の円弧形状に構成される。これにより、上述した第3実施形態の釘カバー部535b(535bA,535bB)と同様、遊技釘Q6,Q7に対し釘カバー部635cを取り付けた場合であっても、遊技球の流下挙動に関して遊技者が感じる違和感を好ましい程度に抑制することができる。
釘カバー部635cA,635cBの各裏面(取り付け状態において遊技板50に対向する面)には、それぞれ、遊技釘Q6または遊技釘Q7の頭部102を収容可能に凹んだ収容部635c1が形成されている。
より詳細には、収容部635c1における、釘カバー部635c(635cA,635cB)の裏面側の開口は、上方から下方に向けて緩やかに狭まり(つまり、上下方向の単位長さに対する左右方向の変化量が、前記単位長さより短い)、下端にて、遊技釘Q6または遊技釘Q7の頭部102の最大外径よりやや大きい幅となる形状に構成される。また、収容部635c1は、遊技釘Q6または遊技釘Q7の頭部102を前方から収容可能な深さに構成される。
収容部635c1は、上方側が開放されている。よって、始動入賞装置635がビス601で遊技板50に取り付けられた後、前板部635aを上方にスライドさせることで、遊技釘Q6,Q7の各頭部102を、それぞれ対応する釘カバー部635c(635cA,635cB)の収容部635c1に収容することができる。
よって、始動入賞装置635がビス601で遊技板50に取り付けられた(すなわち、固定された)状態において、釘カバー部635cA,635cBは、それぞれ、各収容部635c1が遊技釘Q6または遊技釘Q7の頭部102の周囲(より詳細には、頭部102の前面側、および、頭部102における軸部101Aの中心軸線に交差する方向のうち左右および下側)を囲う。このように、遊技釘Q6または遊技釘Q7の頭部102の周囲が収容部635c1の内壁によって覆われるので、当該内壁が邪魔となって遊技釘Q6,Q7を曲げる不正行為を行い難くすることができる。
なお、釘カバー部635cのうち、遊技釘Q6に対する釘カバー部635cAの収容部635c1は、始動入賞装置635が遊技板50に取り付けられた状態において、遊技釘Q6の頭部102が、遊技機正面視における右上から左下へと、重力方向の単位長さに対する左右方向の変化量が前記単位長さより十分に短くなるような傾きで延びる内壁Z1の側に近接または接触するよう設計されている。以下、「内壁Z1の傾き」とは、内壁Z1の長手方向の重力方向に対する傾きを示す。つまり、本実施形態において、内壁Z1の傾きは、「遊技機正面視における右上から左下へ向かう(延びる)傾き」を示す。内壁Z1の傾きの大きさは、「重力方向の単位長さに対する左右方向の変化量が前記単位長さより十分に短くなるような傾きの大きさ」である。この「傾きの大きさ」としては、20度以下としてもよく、10度以下であることが好ましく、8度以下であることが好適である。
一方、遊技釘Q6に対する釘カバー部635cBの収容部635c1は、始動入賞装置635が遊技板50に取り付けられた状態において、遊技釘Q7の頭部102が、遊技機正面視における左上から右下へと、重力方向の単位長さに対する左右方向の変化量が前記単位長さより十分に短くなるような傾きで延びる内壁Z2の側に近接または接触するよう設計されている。以下、「内壁Z2の傾き」とは、内壁Z2の長手方向の重力方向に対する傾きを示す。つまり、本実施形態において、内壁Z2の傾きは、「遊技機正面視における左上から右下へ向かう(延びる)傾き」を示す。内壁Z2の傾きの大きさは、「重力方向の単位長さに対する左右方向の変化量が前記単位長さより十分に短くなるような傾きの大きさ」である。
より詳細には、釘カバー部635cA,635cBの各収容部635c1は、係合部635a2と係合部635b10とが係合する範囲内で前板部635aを移動させた場合に、遊技釘Q6または遊技釘Q7の頭部102が、当該範囲内の少なくとも一部において内壁Z1または内壁Z2に接触するよう設計されている。本実施形態のパチンコ機10では、その製造時において、収容部635c1が上述のように設計された釘カバー部635cを利用することで、遊技釘Q6,Q7を適切に位置決めできるよう構成されている。
ここで、図11を参照して、釘カバー部635c(635cA,635cB)を利用した遊技釘Q6,Q7の位置決めについて説明する。図11は、遊技板50に平行な面で切断した釘カバー部635cA付近の断面図である。より詳細には、図11(a)は、前板支持部635bに対する前板部635aの位置が所定位置にあるときの断面図であり、図11(b)は、前板部635aを図11(a)の状態から上方にスライドさせたときの断面図である。
遊技釘Q6を収容する収容部635c1の内壁Z1は、その傾きが、遊技機正面視における右上から左下へ向かう傾きとされているので、遊技釘Q6が内壁Z1に接した状態で、前板部635aを上方にスライド(すなわち、ビス601により固定された前板支持部635bに対して相対的に上方に移動)させた場合には、遊技釘Q6は、内壁Z1によって遊技機正面視における左上方向に押圧される。
なお、内壁Z1の傾きは、その大きさが、重力方向の単位長さに対する左右方向の変化量が前記単位長さより十分に短くなるような大きさに設定されているので、上方向への押圧は無視できる程度となり、遊技釘Q6は,実質的に左方向に押圧される。以下では、前板部635aを上方にスライドさせたことに伴う、収容部635c1の内壁Z1による遊技釘Q6の押圧方向を、実質的な押圧方向である左方向であるとして説明する。
つまり、前板部635aが、遊技釘Q6の頭部102が収容部635c1の下側の内壁Z0から高さH1の位置で内壁Z1に接した状態(すなわち、図11(a)に示す状態)から、上方にスライドされて、頭部102が内壁Z0から高さH2(H1<H2)の位置で内壁Z1に接した状態(すなわち、図11(b)に示す状態)とされた場合、遊技釘Q6は、内壁Z1によって左方向に押圧される。
同様に、遊技釘Q7を収容する収容部635c1の内壁Z2は、その傾きが、遊技機正面視における左上から右下へ向かう傾きであるので、遊技釘Q7が内壁Z2に接した状態で、前板部635aを上方にスライドさせた場合には、遊技釘Q7は、内壁Z2によって遊技機正面視における右上方向に押圧される。
なお、内壁Z2の傾きは、その大きさが、重力方向の単位長さに対する左右方向の変化量が前記単位長さより十分に短くなるような大きさに設定されているので、上方向への押圧は無視できる程度となり、遊技釘Q7は,実質的に右方向に押圧される。以下では、前板部635aを上方にスライドさせたことに伴う、収容部635c1の内壁Z2による遊技釘Q7の押圧方向を、実質的な押圧方向である右方向であるとして説明する。
よって、本実施形態のパチンコ機10によれば、始動入賞装置635がビス601で遊技板50に取り付けられた状態において、前板部635aを上方にスライドさせた場合、遊技釘Q6および遊技釘Q7は、それぞれ、遊技機正面視における左方向および右方向へ押圧されるので、遊技釘Q6および遊技釘Q7を、それぞれ左方向および右方向に動かすことができる。これにより、遊技釘Q6と遊技釘Q7との間隔(より詳細には、各遊技釘Q6,Q7における遊技球が当接する当接部114の間隔)を広げることができる。
従って、パチンコ機10の製造時に、遊技釘Q6,Q7が遊技板50に打ち付けられた後で、これら遊技釘Q6,Q7の間隔を好適な広さ(すなわち、設計許容範囲内の間隔)に調整することができる。上述したように、遊技釘Q6,Q7の間隔が好適な広さとなるよう、前板部635aの位置が調整された後は、硬化性樹脂を貫通孔635b11から注入することで、前板部635aの位置が調整後の好適な位置にて最終的に固定される。これにより、遊技釘Q6,Q7の間隔が適切に調整された後に前板部635aが移動され、それにより、遊技釘Q6,Q7の間隔が不適切な広さとなることを抑制できる。
なお、前板部635aは、上方側にスライド可能に構成されたが、その初期位置に相当する下端にあるときには、遊技釘Q6,Q7の頭部102の少なくとも一部が遊技機正面側から見えるように可動可能な範囲を設定することが好ましく、全部が見えるように設定することが好適である。これにより、始動入賞装置635を遊技板50に取り付けた状態でも、前板部635aを最下端に位置させて遊技釘Q6,Q7の頭部102を前方側から手作業で調整してから、前板部635aを上方にスライドさせて微調整を行うことができる。
ここで、上述した第4実施形態の始動入賞装置635が取り付けられたパチンコ機10に係る作用及び効果を説明する。
第4実施形態のパチンコ機10によれば、収容部635c1における内壁Z1,Z2の傾きの大きさが、重力方向の単位長さに対する左右方向の変化量が前記単位長さより十分に短くなるような大きさとされているので、前板部635aが上方にスライドされると、遊技釘Q6,Q7がそれぞれ左方および右方に動かされる。よって、前板部635aを上方にスライドさせることで、遊技釘Q6,Q7の間隔を広げることができる。
従来のパチンコ機においては、遊技釘は遊技板への取り付け時において位置ずれが生じることがあり、遊技釘に位置ずれが生じた場合には、遊技機の性能が設計値と異なる可能性がある。例えば、始動入賞口625のような始動入賞口の上方に設けられ、当該始動入賞口への入口として機能する一対の遊技釘に位置ずれが生じた場合、一対の遊技釘間の距離が設計値通りとならず、それによって、始動入賞口に進入する(入賞する)遊技球の進入確率が設計値と異なる状況が生じることがある。
これに対し、第4実施形態のパチンコ機10によれば、製造時に、前板部635aを上方にスライドさせ(すなわち、遊技釘Q6,Q7に対して釘カバー部635cを上方に移動させ)、それにより、遊技釘Q6,Q7の間隔を調整することで、当該間隔が好適な広さ(すなわち、設計許容範囲内の間隔)となるよう、遊技釘Q6,Q7を位置決めすることができる。よって、パチンコ機10の製造時に、設計基準値(設計中央値)に合わない間隔で取りつけられていた遊技釘Q6,Q7が、設計基準値に近づくように位置決めされたことで、多数台のパチンコ機10を製造した場合であっても、それらを設計基準値に近い性能を有するパチンコ機として出荷することができる。
また、前板部635aは、始動入賞装置635の一部として、前板支持部635bに対する相対位置が好適に決められた後も、その位置にて最終的な固定を行うことで、取り外されることなく残すことができる。よって、遊技釘Q6,Q7の位置決めに利用した部材を、当該位置決め後に取り外す必要がなく、取り外す処理や取り外し後の処理に要する手間を省くことができる。
また、前板部635aは、係合部635a2が、係合部635b10により誘導されながら上方または下方にスライドさせることができる。これにより、遊技釘Q6,Q7に対する前板部635aの移動方向は、係合部635a2および係合部635b10によって規制されるので、前板部635aのスライドによる遊技釘Q6,Q7が動く方向を一定的にすることができる。これにより、遊技釘Q6,Q7の位置決めに対する汎用性を高めることができる。
また、収容部635c1は、その内壁が、遊技釘Q6,Q7の頭部102の周囲(より詳細には、頭部102の前面側、および、頭部102における軸部101Aの中心軸線に交差する方向のうち左右および下側)を囲っているので、当該内壁が邪魔となって遊技釘Q6,Q7を曲げる不正行為を行い難くすることができる。このように、釘カバー部635c(635cA,635cB)は、遊技釘Q6,Q7に対する不正な曲げ行為を抑制する機能と、遊技釘Q6,Q7を適切に位置決めできる機能との両方を有する。
また、収容部635c1が設けられる前板部635aを上方にスライドさせて遊技釘Q6,Q7の頭部102を収容部635c1の内部に収容する構成であるので、遊技釘Q6,Q7の頭部102の位置が設計許容範囲から大きく外れている場合には、スライド操作をしても収容部635c1に遊技釘Q6,Q7の頭部102が収容されずに、周辺部分に干渉することとなる。このため、前板部635aを設計許容範囲内に達するまでスライドさせることができなかったり、そのスライド操作によって前板部635aの一部が遊技釘Q6,Q7の頭部102と干渉して破損し易い。よって、前板部635aのスライド操作によって設計許容範囲から遊技釘Q6,Q7の頭部102が外れていることを検出し易くすることができる。
なお、第4実施形態に係る上記説明では、遊技釘Q6,Q7として、遊技釘100Aを例示したが、遊技釘100Dを用い、溝部115,116の長手方向が曲げたい方向に対して直交するように遊技板50に取り付けることで、収容部635c1の内壁Z1,Z2による押圧で遊技釘Q6,Q7が曲がり易くなるので、前板部635aのスライドによる遊技釘Q6,Q7の調整を行い易くできる。
<第5実施形態>
次に、図12および図13を主に参照して、第5実施形態について説明する。上述した第4実施形態に係るパチンコ機10では、前板部635aを前板支持部635bに対して遊技機正面視における上下方向に移動させることで、始動入賞口625の上方に設けられた一対の遊技釘Q6,Q7を好適に位置決めする構成とした。
これに対し、第5実施形態に係るパチンコ機10では、遊技板50に固定された前板支持部に対し、前板部を遊技機正面視における前後方向に移動させることで、始動入賞口の上方に設けられた一対の遊技釘の位置決めを図る。なお、以下の説明において、第1〜第4実施形態における構成と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、上記各実施形態と異なる部分を説明する。
図12(a)は、始動入賞装置735の正面図であり、図12(b)は、図12(a)のN−N線における始動入賞装置735の断面図である。図12(c)は、図12(a)のP−P線における始動入賞装置735の断面図である。なお、図12では,始動入賞装置735以外の部品を必要に応じて図示している。
始動入賞装置735は、始動入賞口725が形成された樹脂製の入賞装置である。なお、始動入賞装置735は、少なくとも収容部735c1の前面側が、遊技釘Q8,Q9が視認可能となるよう透明に構成される。収容部735c1の前面側は、半透明であってもよい。
始動入賞装置735の上方には、始動入賞口725の入口として機能する一対の遊技釘Q8,Q9が設けられている。なお、本実施形態において、一対の遊技釘Q8,Q9は、上述した遊技釘100Aである。なお、遊技釘Q8,Q9は、遊技釘100Aに限らず、遊技釘100B〜100Dのいずれであってもよい。また、遊技釘Q8,Q9の両方が同じ形状の遊技釘でなくてもよい。
始動入賞装置735は、本体部735aと、本体部735aを支持する本体支持部735bと、本体部735aに連設された釘カバー部735cとを備えている。本体部735aは、始動入賞装置535の本体をなす部分であり、遊技機正面視の前方に位置する前板735a1と、本体部735aの底壁を構成する底壁735a2と、本体部735aの左右の側壁を構成する側壁735a3とを備えている。
前板735a1と、底壁735a2と、左右の側壁735a3とで囲まれる空間(以下、「本体部735aの内部空間」と称す)の一部が、本体部735aの上方の開口から始動入賞装置735に進入した遊技球を、遊技板50の背面(前面51の裏側となる面)側に形成される排出経路(図示せず)に案内する球通路として機能する。
より詳細には、左右の側壁735a3の各内壁には、側壁735a3の上端から下方向に延びるリブ735a5と、リブ735a5の下端に連設されて側壁735a3の遊技板50側の端まで延びるリブ735a6とが立設されている。また、底壁735a2の内壁(すなわち、本体部735aの内部空間の底面)には、本体部735aの内部空間における遊技機正面視における左右方向の略中央に、前板735a1の裏面側から遊技板50側の端まで延びるリブ735a7が立設されている。始動入賞装置735内に進入した遊技球は、左右両側に形成された各リブ735a5と、前板735a1の裏面と、遊技板50の前面51との間に形成される空間によって、底側のリブ735a7に接するまで下方に案内された後、リブ735a7と左右両側に形成された各リブ735a6とによって排出経路に通じる遊技板50の貫通孔まで案内される。
つまり、始動入賞装置735の球通路は、本体部735aの内部空間内において、一対の遊技釘Q8,Q9の間を通過した遊技球が、上述のように排出経路に通じる遊技板50の貫通孔まで案内される経路である。なお、左右両側に形成された各リブ735a5,735a6、および、底側のリブ735a7は、球通路の外縁を形成する機能を果たすとともに、球通路を通過する遊技球を整流する機能を果たす。
球通路における上端、すなわち、遊技球が一対の遊技釘Q8,Q9の間を通過した後、必ず排出経路に案内されるようになる境界位置での開口が、始動入賞口725となる。始動入賞口725は、第1実施形態の始動入賞口25と同様に機能する入球口である。つまり、始動入賞口725は、遊技球が入球(通過)したことで、その特典として、大当たり等の抽選が行われるとともに賞球の払い出しが行われる入球口である。
本体支持部735bは、上面が開放された断面コの字状に構成され、図12(b)に示すように、その後端側が前面51から遊技板50に入り込んだ形で取り付けられる。本体支持部735bの外周壁には、本体支持部735bを遊技板50に取り付けるための取付部735b1が設けられている。図12に示す例では、取付部735b1は、遊技機正面視における本体支持部735bの左右両側の外周壁735b2と、底側の外周壁735b3との3箇所にそれぞれ設けられている。取付部735b1は、ビス701を挿通可能な挿通口を有する。始動入賞装置735は、本体支持部735bが取付部735b1の挿通口に挿通されたビス701によって遊技板50に固定されることで、遊技板50に取り付けられる。
本体支持部735bにおける外周壁735b2,735b3の内側には、本体部735aを収容する収容空間が形成される。よって、本体支持部735bは、収容空間に収容された本体部735aを下方から支える。
本体支持部735bには、左右両側の各外周壁735b2の上側端部から、外周壁735b2の内壁より内側に突出する突出部735b5が設けられている。突出部735b5は、収容空間に収容された本体部735aが上側から脱落しないようストッパの役割を果たす。
本体部735aは、遊技機正面視における前方側の開放部分から収容空間に挿入され、前板735a1が本体支持部735bより前方に突出した状態で収容空間に収容される。収容空間に収容された本体部735aの後端側は、前面51から遊技板50に入り込んでいる。収容空間に収容された本体部735aは、パチンコ機10の製造時において、本体支持部735bに対する相対位置が最終的に固定されるまでの間は、本体支持部735bに対して遊技機正面視における前方または後方向に移動させることができ、それにより、本体支持部735bに対する相対位置を変化させることができる。
詳細は後述するが、本実施形態のパチンコ機10は、本体支持部735bに対する本体部735aの相対位置を変化させることで、始動入賞口725の入口として機能する一対の遊技釘Q8,Q9を好適な位置に位置決めできるよう構成される。
本体支持部735bの底側の外周壁735b3における後端側の内壁には、断面鋸歯状の係合部735b6が形成されている。一方、本体部735aの底壁735a2には、係合部735b6に対応した位置に、係合部735b6の対となる断面鋸歯状の係合部735a8が形成されている。
本体部735aが収容空間に収容された状態において、本体部735aの係合部735a8は、本体支持部735bの係合部735b6に係合される。よって、パチンコ機10の製造時において、本体支持部735bに対する相対位置を変化させることで好適な本体部735aの位置が決められた場合、その後に本体部735aの位置が最終的に固定されるまでの間、好適とされた本体部735aの位置を、係合部735a8と係合部735b6との係合によって仮保持することができる。これにより、好適とされた位置にて本体部735aを作業者の手で保持し続けるなどの手間を防ぐことができる。
本体支持部735bにおける左右の外周壁735b2にそれぞれ設けられた突出部735b5には、当該突出部735b5の上面から下面まで貫通する貫通孔735b7が形成されている。よって、図12(c)に示すように、本体部735aが収容空間に収容された状態において、貫通孔735b7を上面側から臨む底には、側壁735a3と外周壁735b2との境界部分が露出している。
これにより、パチンコ機10の製造時において、本体支持部735bに対する本体部735aの相対位置が好適化された場合、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂を貫通孔735b7から注入し、側壁735a3と外周壁735b2との境界部分に樹脂を浸入させて硬化させることで、好適化された本体部735aの位置を最終的に固定することができる。
釘カバー部735cは、始動入賞装置735の上方に設けられた一対の遊技釘Q8,Q9の各頭部102の周囲を囲う(覆う)釘カバーとして機能する部分である。以下では、便宜的に、遊技釘Q8の頭部102の周囲を覆う釘カバー部735cを、釘カバー部735cAと称し、遊技釘Q8の頭部102の周囲を覆う釘カバー部735cを、釘カバー部735cBと称することがある。
遊技釘Q8の頭部102の周囲を覆う釘カバー部735cAは、本体部735aにおける前板735a1の左端側の上端に連設される。一方、遊技釘Q9の頭部102の周囲を覆う釘カバー部735cBは、前板735a1右端側の上端に連設される。なお、釘カバー部735c(735cA,735cB)の前面側は、例えば、図12(b)に示すように、前板735a1の前面と面一の平面とされている。
図12(a)に示すように、釘カバー部735c(735cA,735cB)は、上端を含む縁端部735c2が、遊技板50に対して平行な断面が円形である収容部735c1と同心円状の円の円弧形状に構成される。第3実施形態の上側縁端部535b2が略半円の円弧形状であったのに対し、縁端部735c2を構成する円弧は半円以上の円弧であるが、縁端部735c2は、上側縁端部535b2と同様の効果を奏する。つまり、遊技釘Q8,Q9に対し、かかる縁端部735c2を有する釘カバー部735cを取り付けた場合であっても、遊技球の流下挙動に関して遊技者が感じる違和感を好ましい程度に抑制することができる。
釘カバー部735cA,735cBの各裏面(取り付け状態において遊技板50に対向する面)には、それぞれ、遊技釘Q8または遊技釘Q9の頭部102を収容可能に凹んだ収容部735c1が形成されている。より詳細には、収容部735c1は、収容部735c1の底面を上面とし、収容部735c1の開口を底面とする円錐台の形状に構成される。
収容部735c1の開口および底面の各中心を通る断面のうち、円錐台の斜面部に相当する直線は、図12(c)に示すように、収容部735c1の開口側から底面に向けて緩やかに狭まる(つまり、収容部735c1の開口側から底面に向かう単位長さに対する、当該向きに直交する向きの変化量が、前記単位長さより短い)形状に構成される。また、収容部735c1は、遊技釘Q7または遊技釘Q8の頭部102を前方から収容可能な深さに構成される。
始動入賞装置735をビス701で遊技板50に取り付けることで、遊技釘Q8,Q9の各頭部102が、それぞれ対応する釘カバー部735c(735cA,735cB)の収容部735c1の開口から挿入され、それにより、各頭部102を収容部735c1に収容することができる。
よって、始動入賞装置735がビス701で遊技板50に取り付けられた(すなわち、固定された)状態において、釘カバー部735cA,735cBは、それぞれ、各収容部735c1が遊技釘Q8または遊技釘Q9の頭部102の周囲(より詳細には、頭部102の前面側、および、頭部102における軸部101Aの中心軸線に交差する方向側)を囲う。このように、遊技釘Q8または遊技釘Q9の頭部102の周囲が収容部735c1の内壁によって囲われるので、当該内壁が邪魔となって遊技釘Q8,Q9を曲げる不正行為を行い難くすることができる。
なお、釘カバー部735cのうち、遊技釘Q8に対する釘カバー部735cAの収容部735c1は、始動入賞装置735が遊技板50に取り付けられた状態において、遊技釘Q8の頭部102が、遊技機正面視における右側(すなわち、対となる遊技釘Q9に近い側)の内壁に近接または接触するよう設計されている。
一方、遊技釘Q9に対する釘カバー部735cBの収容部735c1は、始動入賞装置735が遊技板50に取り付けられた状態において、遊技釘Q9の頭部102が、遊技機正面視における左側(すなわち、対となる遊技釘Q8に近い側)の内壁に近接または接触するよう設計されている。
より詳細には、釘カバー部735cA,735cBの各収容部735c1は、係合部735a8と係合部735b6とが係合する範囲内で本体部735aを移動させた場合に、遊技釘Q8,Q9の頭部102が、当該範囲内の少なくとも一部において、対になる遊技釘に近い側の内壁に接触するよう設計されている。本実施形態のパチンコ機10では、その製造時において、収容部735c1が上述のように設計された釘カバー部735cを利用することで、遊技釘Q8,Q9を適切に位置決めできるよう構成されている。
ここで、図13を参照して、釘カバー部735c(735cA,735cB)を利用した遊技釘Q8,Q9の位置決めについて説明する。図13は、図12(c)における、釘カバー部735cA付近の拡大断面図である。図13において、実線で示した釘カバー部735cAは、本体支持部735bに対して本体部735aが所定位置にある場合を示す。一方、二点鎖線は、上記所定位置の本体部735aを後方にスライドさせたときの収容部735c1の位置を示す。
収容部735c1は、収容部735c1の開口側から底面に向けて狭まる円錐台形状に構成されるので、遊技釘Q8が、収容部735c1の内壁における遊技釘Q9に近い側(図13における右側)にて接した状態で、本体部735aを後方にスライド(すなわち、ビス701により固定された本体支持部735bに対して相対的に後方に移動)させた場合には、遊技釘Q8は、当該遊技釘Q8が接触する内壁によって遊技機正面視における左後方向に押圧される。
このとき、収容部735c1の内壁が、上述したように、開口側から底面に向けて緩やかに狭まる形状であることから、後方向への押圧は無視できる程度となり、遊技釘Q8は,実質的に左方向に押圧される。以下では、本体部735aを後方にスライドさせたことに伴う、収容部735c1の内壁による遊技釘Q8の押圧方向を、実質的な押圧方向である左方向であるとして説明する。つまり、本体部735aが、遊技釘Q8の頭部102が収容部735c1に接した状態で、本体部735aが後方にスライドされた場合、遊技釘Q8は、図13に示すように、収容部735c1の内壁によって左方向に押圧される。
同様に、遊技釘Q9が、収容部735c1の内壁における遊技釘Q8に近い側にて接した状態で、本体部735aを後方にスライドさせた場合には、遊技釘Q9は、当該遊技釘Q9が接触する内壁によって遊技機正面視における右後方向に押圧される。このとき、上述した遊技釘Q8の場合と同様の理由で、後方向への押圧は無視できる程度であるので、遊技釘Q9は,実質的に右方向に押圧される。以下では、本体部735aを後方にスライドさせたことに伴う、収容部735c1の内壁による遊技釘Q9の押圧方向を、実質的な押圧方向である右方向であるとして説明する。
よって、始動入賞装置735がビス701で遊技板50に取り付けられた状態において、本体部735aを後方にスライドさせた場合、遊技釘Q8および遊技釘Q9は、それぞれ、遊技機正面視における左方向および右方向へ押圧されるので、遊技釘Q8および遊技釘Q9を、それぞれ左方向および右方向に動かすことができる。これにより、遊技釘Q8と遊技釘Q9との間隔(より詳細には、各遊技釘Q8,Q9における遊技球が当接する当接部114の間隔)を広げることができる。
従って、パチンコ機10の製造時に、遊技釘Q8,Q9が遊技板50に打ち付けられた後で、これら遊技釘Q8,Q9の間隔を好適な広さ(すなわち、設計許容範囲内の間隔)に調整することができる。上述したように、遊技釘Q8,Q9の間隔が好適な広さとなるよう、本体部735aの位置が調整された後は、硬化性樹脂を貫通孔735b7から注入することで、本体部735aの位置が調整後の好適な位置にて最終的に固定される。これにより、遊技釘Q8,Q9の間隔が適切に調整された後に本体部735aが移動され、それにより、遊技釘Q8,Q9の間隔が不適切な広さとなることを抑制できる。
ここで、上述した第5実施形態の始動入賞装置735が取り付けられたパチンコ機10に係る作用及び効果を説明する。
第5実施形態のパチンコ機10によれば、収容部735c1が、開口側から底面に向けて緩やかに狭まる円錐台形状とされるので、本体部735aを後方にスライドさせ(すなわち、遊技釘Q8,Q9に対して釘カバー部735cを後方に移動させ)、それにより、遊技釘Q8,Q9がそれぞれ左方および右方に動かされる。よって、本体部735aを後方にスライドさせることで、遊技釘Q8,Q9の間隔を広げることができる。
よって、製造時に、本体部735aを後方にスライドさせて遊技釘Q8,Q9の間隔を調整することで、当該間隔が好適な広さ(すなわち、設計許容範囲内の間隔)となるよう、遊技釘Q8,Q9を位置決めすることができる。よって、パチンコ機10の製造時に、設計許容範囲外の間隔で取りつけられていた遊技釘Q8,Q9が、設計許容範囲内の間隔となるよう位置決めされたことで、パチンコ機10を、設計許容範囲内の性能を有するパチンコ機として出荷することができる。
また、本体部735aは、始動入賞装置735の一部として、本体支持部735bに対する相対位置が好適に決められた後も、その位置にて最終的な固定を行うことで、取り外されることなく残すことができる。よって、遊技釘Q8,Q9の位置決めに利用した部材を、当該位置決め後に取り外す必要がなく、取り外す処理や取り外し後の処理に要する手間を省くことができる。
また、本体部735aは、係合部735a8が、係合部735b6により誘導されながら前方または後方にスライドさせることができる。これにより、遊技釘Q8,Q9に対する本体部735aの移動方向は、係合部735a8および係合部735b6によって規制されるので、本体部735aのスライドによる遊技釘Q8,Q9が動く方向を一定的にすることができる。これにより、遊技釘Q8,Q9の位置決めに対する汎用性を高めることができる。
また、収容部735c1は、その内壁が、遊技釘Q8または遊技釘Q9の頭部102の周囲(より詳細には、頭部102の前面側、および、頭部102における軸部101Aの中心軸線に交差する方向側)を囲う。このように、釘カバー部735c(735cA,735cB)は、遊技釘Q8,Q9に対する不正な曲げ行為を抑制する機能と、遊技釘Q8,Q9を適切に位置決めできる機能との両方を有する。
また、本体部735aは、本体支持部735bに対して遊技機正面視における前方または後方向に移動されるものであるので、本体支持部735bに対する本体部735aの相対位置がいずれであるかにかかわらず、本体部735a(より詳細には、始動入賞装置735)の、遊技機正面視における遊技板50上での配置に変化がないので、遊技板50の全体的な見栄えが大きく変わらず、遊技者に違和感を与えることを抑制できる。よって、遊技者に違和感を与えずに設計許容範囲内の性能となるよう遊技釘Q8,Q9を位置決めすることができる。
また、収容部735c1が設けられる本体部735aを後方にスライドさせて遊技釘Q8,Q9の頭部102を収容部635c1の内部に収容する構成であるので、遊技釘Q8,Q9の頭部102の位置が設計許容範囲から大きく外れている場合には、スライド操作をしても収容部735c1に遊技釘Q8,Q9の頭部102が収容されずに、周辺部分に干渉することとなる。このため、本体部735aを設計許容範囲内に達するまでスライドさせることができなかったり、そのスライド操作によって本体部735aの一部が遊技釘Q8,Q9の頭部102と干渉して破損し易い。よって、本体部735aのスライド操作によって設計許容範囲から遊技釘Q8,Q9の頭部102が外れていることを検出し易くすることができる。
なお、第5実施形態に係る上記説明では、遊技釘Q8,Q9として、遊技釘100Aを例示したが、遊技釘100Dを用い、溝部115,116の長手方向が曲げたい方向に対して直交するように遊技板50に取り付けることで、収容部735c1の内壁による押圧で遊技釘Q8,Q9が曲がり易くなるので、本体部735aのスライドによる遊技釘Q8,Q9の調整を行い易くできる。
<第6実施形態>
次に、図14から図19を主に参照して、第6実施形態について説明する。上述した第1実施形態に係るパチンコ機10では、発射通路31の出口近傍に、遊技釘100Cを、第1軸部101Caにおける頂点101Ca1が上側を向くような向きで取り付けることで、糸を取り付けた遊技球を用いる不正行為を抑制する構成とした。
これに対し、第6実施形態に係るパチンコ機10では、戻り球防止機構800を用いて、糸を取り付けた遊技球を用いる不正行為を抑制する。なお、以下の説明において、第1〜第5実施形態における構成と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、上記各実施形態と異なる部分を説明する。
まず、図14から図16を参照して、戻り球防止機構800における主な構造的構成について説明する。図14は、遊技盤20(遊技板50)における戻り球防止機構800付近の拡大正面図である。なお、図14においては、非作動状態におけるゲート部材810を実線で示す一方で、最大の作動状態におけるゲート部材810を一点鎖線で示す。また、図14においては、2つの遊技球P1,P2を合わせて図示している。一方、図15は、戻り球防止機構800の分解斜視図である。
また、図16は、ゲート部材810が非作動状態にあるときの戻り球防止機構800を遊技機正面視における左方向から見た側面図である。なお、図16においては、遊技盤20(遊技板50)に取り付けられた状態の戻り球防止機構800を図示しており、ガラス板11や、内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100Aのうち、戻り球防止機構800の近傍に位置する遊技釘100Aを合わせて図示している。また、図16においては、開閉部811aおよび突出部811eの機能を説明する上での参考として、遊技球に取り付けられた糸850や遊技球Pを合わせて図示している。
戻り球防止機構800は、上述した戻り球防止機構32と同様、内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100Aの先端側に取り付けられ、発射通路31から遊技領域21内へ一旦放出された遊技球が発射通路31に戻ることを防止するものである。戻り球防止機構800は、発射通路31の出口の広さを変動させる板状の開閉部811aを有するゲート部材810と、そのゲート部材810を回動可能に支持する支持部材820とを主に備えている。
まず、戻り球防止機構800におけるゲート部材810について説明する。ゲート部材810は、図15に示すように、ポリアセタール樹脂などの樹脂を射出成形した樹脂体811と、その樹脂体811の錘部811bに付設された錘812とから構成される。
樹脂体811の中心部には、貫通形成された円筒状の軸穴811cが設けられている。軸穴811cには、遊技板50の側から前方(すなわち、ガラス板11の側)に向けて突設される支点ピン822の軸部822aが挿通され、それにより、ゲート部材810は、支点ピン822により回動可能に支持される。
樹脂体811において、軸穴811cには、薄板状に形成された開閉部811aが延設されている。開閉部811aは、根元側(すなわち、支点ピン822が挿通される軸穴811cの側)が、内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100Aの先端側に配置される。
開閉部811aは、ゲート部材810(開閉部811a)が非作動状態にあるときの位置である初期位置(図14の実線で示す位置)において、根元側から先端(図15に示す先端811a1)側に向かうにつれて、遊技領域21の側に向かい、外レール29aからの距離が次第に短くなるよう配置される。このとき、開閉部811aの先端811a1(図15参照)から外レール29aまでの距離(すなわち、先端811a1から外レール29aに対して下ろした垂線の長さ)は、遊技球の直径より短い。
つまり、開閉部811aは、初期位置において、発射通路31の出口付近に、遊技球の直径より狭い部分が創出されるよう配置される。よって、開閉部811aが初期位置にある場合、発射通路31を通って遊技領域21側へ向かう遊技球(例えば、図14に示す遊技球P1)は、開閉部811aにおける発射通路31側の面に当接(衝突)する。
遊技領域21側へ向かって上側へと発射通路31を進行する遊技球が、開閉部811aに当接した場合、当該遊技球が遊技領域21側へと進むにつれ、開閉部811aが遊技球によって遊技領域21側へと押す。これにより、ゲート部材810は、支点ピン822を軸として、開閉部811aが遊技領域21側に移動するように、すなわち、図14における時計回り方向に回動(作動)する。
遊技領域21側に向かう遊技球によってゲート部材810が作動されると、開閉部811aは、遊技球が遊技領域21側へと進むにつれて、当該遊技球によって遊技領域21側へと押し退けられ、それにより、開閉部811aの先端811a1から外レール29aまでの距離が次第に広げられる。なお、以下の説明では、先端811a1から外レール29aまでの距離が次第に広がるよう動く、開閉部811aの動作を「開閉部811aの開放」と称することがある。
開閉部811aが遊技球によって押し退けられて開放される過程において、開閉部811aが、当該開閉部811aと外レール29aとの間を遊技球が通過可能な状態まで開放されると、開閉部811aを押し退けていた遊技球は、開閉部811aと外レール29aとの間(より詳細には、先端811a1と外レール29aとの間)を通り抜け、それにより、例えば、図14に示す遊技球P2のように遊技領域21側に進入する。
なお、以下において、遊技領域21側に向かって発射通路31を進む遊技球が開閉部811aと外レール29aとの間を通過可能な開閉部811aの状態を「第1状態」と称す。当該「第1状態」は、発射通路31側から遊技領域21側への遊技球の進入を許容する開閉部811aの状態(詳細には、その遊技球の進入を許容する場合に開閉部811aが非作動状態から一定量動作した状態)とも言える。
ここで、糸850が取り付けられている遊技球(例えば、後述する図17に示す遊技球P3)が発射装置から発射され、ゲート部材810の開閉部811aを押し退けて発射通路31側から遊技領域21側に進入した場合、当該遊技球に取り付けられた糸850は、当該遊技球の軌跡に連動して、開閉部811aの先端811a1側を、発射通路31の側(図16における紙面手前側)から遊技領域21の側(図16における紙面奥側)に跨ぐ。
開閉部811aには、その先端811a1(すなわち、軸穴811cから離れる側の端)の側に、薄板状の開閉部811aにおける面側から見て、当該開閉部811aの根元側(又は、遊技領域21内へ進入する遊技球の進行方向とは逆側)に向かって狭まる略V字状の切欠き部811a2が形成されている。本実施形態の樹脂体811には、3つの切欠き部811a2が開閉部811aに形成されている。よって、糸850が、開閉部811aの先端811a1における切欠き部811a2の形成位置を跨いだ場合、切欠き部811a2には、発射通路31の側から遊技領域21の側に(すなわち、支点ピン822の軸方向に対して交差する向きに)渡る糸850が受け入れられる。
開閉部811aを押し退けて遊技領域21に進入した遊技球は、その自重によって遊技領域21を流下するので、開閉部811aの先端811a1を跨いだ糸850は、当該糸850が取り付けられた遊技球によって下方に引っ張られ、切欠き部811a2における略V字の底側(すなわち、開閉部811aの根元に向かう側)に向かって入り込んでいく。
詳細は後述するが、遊技球に取り付けられた糸850が切欠き部811a2に入り込んだ場合(詳細には、切欠き部811a2に対して糸850が摺動しない場合であって相対移動が制限された場合)、当該糸850が開閉部811aを遊技領域21側に引っ張り、それにより、開閉部811aを最大に開放された状態(または、それに近い状態)に維持することができる。
その一方で、糸850が、先端811a1における切欠き部811a2が形成されていない位置を跨ぐ場合、当該糸850は、図16に示すように、先端811a1に当接する。糸850は、当該糸850が取り付けられた遊技球によって下方に引っ張られるため、先端811a1に引っ掛かった状態となる。
なお、遊技球に取り付けられた糸850が開閉部811aの先端811a1側を跨ぐ状況では、当該遊技球は、開閉部811aを押し退けて遊技領域21に進入しているので、ゲート部材810が非作動状態にない(すなわち、開閉部811aが初期位置にない)と考えられる。
しかしながら、遊技機正面視における左方向から見た開閉部811aの形状の差異は、ゲート部材810が非作動状態である場合と、ゲート部材810が作動状態である場合(すなわち、開閉部811aが初期位置より開放されている場合)とで、糸850と開閉部811aとの位置関係を説明する上で無視できるほど小さい。よって、以下の説明では、糸850と開閉部811aとの位置関係について、ゲート部材810が非作動状態にない場合を示す図16を参照して説明する。
開閉部811aの先端811a1は、図16に示すように、遊技機正面視における後方側(すなわち、遊技板50に近い側)から前方側(すなわち、ガラス板11に近い側)に向かうにつれて、開閉部811aの根元側(すなわち、支点ピン822が挿通される軸穴811cの側)に次第に近づく傾斜に形成される。なお、遊技盤20(遊技板50)に取り付けられている戻り球防止機構800において、上記「開閉部811aの根元側に次第に近づく傾斜」は、下降傾斜に相当する。
このように、開閉部811aの先端811a1は、前方側に向かうにつれて下降傾斜するよう構成されるので、後方側(すなわち、遊技板50に近い側)から各切欠き部811a2の形成位置に向かう傾斜は、いずれも、前方に隣接する切欠き部811a2に向けて下降する(つまり、開閉部811aの根元側に近づく)傾斜となる。
かかる先端811a1の傾斜によれば、先端811a1を発射通路31の側から遊技領域21の側に跨ぐ(先端811a1に引っ掛かった)糸850を、当該糸850より傾斜の下流側に位置する切欠き部811a2の方へ誘導することができる。これにより、糸850が開閉部811aの先端811a1を跨いだ場合に、当該糸850を切欠き部811a2に入り込み易くすることができる。
特に、発射装置から発射される遊技球に糸850が取り付けられている場合、不正行為者が、上側の球皿13から出ている糸850を引っ張ったり緩めたりすることで、当該糸850が取り付けられた遊技球を意図的に操ると、開閉部811aの先端811a1を跨ぐ糸850に対しては、前方側(すなわち、ガラス板11の側)に引く力が働き易い。上述したように、後方側から各切欠き部811a2の形成位置に向かう傾斜は、いずれも、前方に隣接する切欠き部811a2に向けて下降する傾斜(下降傾斜)に構成されるので、先端811a1を跨ぐ糸850を、好適に切欠き部811a2に誘導することができる。
また、開閉部811aの先端811a1における、最も前方側に位置する切欠き部811a2より前方側の傾斜も、前方になるにつれて下降傾斜する。よって、開閉部811aの先端811a1を跨ぐ糸850が、当該先端811a1の傾斜に沿って前方に誘導されたものの、糸850が切欠き部811a2に入らなかった場合には、先端811a1における前方側の端(すなわち、ガラス板11側の端)を越え、開閉部811aにおける前方側の端辺811a3とガラス板11との隙間861に入るよう誘導される。
隙間861に入った糸850(例えば、図16における糸850A)は、隙間861内を、端辺811a3が延びる方向(すなわち、開閉部811aの根元側に向かう方向)に沿って下方に誘導される。ここで、開閉部811aにおける端辺811a3は、図16に示すように、遊技機正面視における左方向(すなわち、図16の紙面手前側)から見て、支点ピン822における前方側先端(すなわち、ガラス板11側の先端)より前方側に位置する。よって、隙間861を下方に誘導された糸850(850A)は、支点ピン822に引っ掛かることなく、支点ピン822よりさらに下方側に移動し易くすることができる。
図15に示すように、樹脂体811において、軸穴811cには、その軸穴811cに対し開閉部811aとは逆側となる位置に錘部811bが延設されている。錘部811bは、ゲート部材810が遊技球によって作動して開放された開閉部811aを、初期位置(図14の実線で示す位置)の側に復帰させる付勢力を発生する部位として機能する。
錘部811bは、その先端(すなわち、軸穴811cから離れる側の端)側に、遊技機正面視における後方側(すなわち、支持部材820を向く側)から前方側に向けて穿設された錘取付穴811dが設けられている。錘取付穴811dは、円柱状の錘812を圧入可能な円筒状に形成される。錘取付穴811dには、樹脂体811の材料より比重の重い材料(例えば、鉄などの金属)からなる錘812が圧入される。これにより、錘部811bに錘812が付設される。
錘部811bに錘812が付設されたことで、当該錘部811bは、開閉部811aを初期位置に復帰させるために好適な付勢力を、樹脂体811の材料のみで錘部811bを構成する場合に比べて小さいサイズで実現することができる。これにより、他の部品のレイアウト領域を拡大して遊技領域21の設計自由度を高めることができる。特に、錘812が錘部811bの先端側に付設されているので、より好適に付勢力を発生させることができる。
開閉部811aは、遊技領域21側へ向かう遊技球によって遊技領域21側に押し退けられたことで第1状態に移行した後、その遊技球が遊技領域21側に進入したことで開閉部811aを押し退ける力が働かなくなった場合に、錘部811bにより発生される付勢力によって初期位置の側に向かって回動する。
詳細は後述するが、錘部811bは、取付基部821aに立設された壁部821bの突出部821b1によって、当該突出部821b1に当接する位置より遊技領域21側(すなわち、図14における反時計回り方向)に回動することが規制されている。これにより、錘部811bにより発生される付勢力によって開閉部811aが初期位置の側に回動された場合に、当該開閉部811aが初期位置を超えて発射通路31側(すなわち、図14における反時計回り方向)に回動されることを抑制できる。よって、錘部811bにより発生される付勢力によって開閉部811a初期位置に復帰させることができる。
初期位置に復帰した開閉部811aは、当該初期位置を超えて発射通路31側に回動できないので、当該開閉部811aに対し、遊技球が遊技領域21の側から当接(衝突)したとしても、当該遊技球は、開閉部811aが壁となって発射通路31の側に進入することができない。これにより、戻り球防止機構800は、発射通路31から遊技領域21内へ一旦放出された遊技球が発射通路31に戻ることを防止できるのである。
なお、以下において、初期位置の開閉部811aのように、遊技領域21側から発射通路31側への遊技球の進入を規制する開閉部811aの状態を「第2状態」と称す。開閉部811aは、遊技領域21側から発射通路31側に向かう遊技球によって作動して第1状態に切り替えられるとともに、錘部811bにより発生される付勢力によって初期位置に復帰することで第2状態に切り替えられる。
図15に示すように、樹脂体811において、錘部811bの先端には、錘部811bにおける前後方向の幅に対して細長く形成された突出部811eが延設されている。本実施形態の樹脂体811には、2つの突出部811eが前後方向に並べて設けられている。かかる突出部811eは、図14に示すように、錘部811bに対し、発射通路31側に折れ曲がるように延びている。
突出部811eは、開閉部811aが初期位置(図14の実線で示す位置)にある場合、外レール29aとの間隔が遊技球Pの直径より大きく設定され、具体的には、内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100Aより発射通路31側に突出しないよう配置される。よって、開閉部811aが初期位置にある場合、突出部811eは、発射通路31内における遊技球の進行を阻害しない。
また、図16に示すように、開閉部811aが初期位置にある場合には、突出部811eの先端(すなわち、錘部811bから離れる側の端)と、内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100Aのうち、最も遊技領域21側の遊技釘100A(より詳細には、遊技釘100Aの軸部101Aであり、当該遊技釘100Aを発射通路先端の遊技釘100Aとも称す)との離間距離が、遊技球Pの直径より短く設定されている。よって、開閉部811aが初期位置にある場合に、発射通路31を通過する遊技球が、突出部811eと遊技釘100Aとの間を擦り抜けて遊技領域21側へと進入することを抑制できる。また、突出部811eの先端と、発射通路先端の遊技釘100Aとの離間距離は、突出部811e付近まで進行した遊技球が勢いを失って発射通路31を逆流する場合に、突出部811eに下側を支持された状態から発射通路先端の遊技釘100Aに下側を支持されて発射通路31に沿って誘導される距離に設定されている。
図16に示すように、遊技機正面視における前後方向に並ぶ2つの突出部811eは、その間隔が遊技球Pの直径より狭くなるよう設定されている。また、各突出部811eから遊技板50またはガラス板11までの間隔もまた、遊技球Pの直径より狭くなるよう設定されている。よって、発射通路31を通過する遊技球が、突出部811eの間、または、突出部811eと遊技板50もしくはガラス板11との間を擦り抜けて遊技領域21側へと進入することを抑制できる。
開閉部811aが初期位置にある場合、突出部811eは、図14の実線で示すように、その先端側が、内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100A(より詳細には、遊技釘100Aの軸部101A)における発射通路31側の並びに沿って配置され、突出部811eにおける発射通路31側の面は、発射通路31が延びる方向に対して比較的緩やかな傾斜で発射通路31から離れる方向に傾斜する。よって、突出部811eは、その発射通路31側の面が、発射通路31を遊技領域21に向かって進行する遊技球を、遊技領域21へ向けて案内する案内部として機能し得る。
突出部811eは、開閉部811aが開放される過程において、開閉部811aの開放動作に伴い作動する。具体的に、突出部811eは、開閉部811aの開放量が増えるにつれて、発射通路31の内側(内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100Aの側)から外側(すなわち、発射通路31における外レール29aの側)に向けて次第に突出する。よって、遊技機正面視における前方側から見て、突出部811eが発射通路31に重なる領域は、開閉部811aに連動し、開閉部811aの開放量が増えるにつれて次第に増える。
突出部811eが発射通路31の内側から外側に向けて突出する過程(すなわち、外レール29aに近づく方向側に移動する過程)において、突出部811eが、当該突出部811eと外レール29aとの間を遊技球が擦り抜け不可能な状態まで突出する(すなわち、外レール29aに近づく)と、発射通路31を遊技領域21側に向かって進行する遊技球は、突出部811eに当接(衝突)し、それにより、突出部811eの先端と外レール29aとの間を通過することができなくなる。なお、突出部811eは、錘部811bに対し、発射通路31側に折れ曲がるように延びているので、ゲート部材810(錘部811b)の少ない回動量で、外レール29aとの間を遊技球が擦り抜け不可能な状態まで突出することが可能である。
また、上述のように、錘部811bから延設された2つの突出部811eは、前後方向に、上述した間隔となるよう配置されているので、遊技球が突出部811eの先端と外レール29aとの間を通過できない状況において、その遊技球は、突出部811eの間、または、突出部811eと遊技板50もしくはガラス板11との間を擦り抜けて遊技領域21側に進入することもできない。
よって、突出部811eが、当該突出部811eと外レール29aとの間を遊技球が擦り抜け不可能な状態まで突出すると、それ以降、発射通路31を遊技領域21側に向かって進行する遊技球は、突出部811eによって、遊技領域21側への進入が阻止される。つまり、発射通路31を通過する遊技球が遊技領域21側に進入することを阻止できる機能を有する。
以下の説明において、発射通路31の内側から徐々に突出する突出部811eにおいて、当該突出部811eと外レール29aとの間を遊技球が擦り抜け不可能にする、突出部811eの位置、すなわち、遊技球の遊技領域21側への進入を阻止可能な突出部811eの位置を「阻止位置」と称することがある。
ここで、例えば、開閉部811aが最大に開放された状態(すなわち、ゲート部材810が最大に作動した状態)において、突出部811eは、図14の一点鎖線で示すように、発射通路31の内側から当該発射通路31の幅方向の略半分程度の位置まで突出する。このとき、突出部811eの先端(すなわち、錘部811bから離れる側の端)から外レール29aまでの距離は遊技球の直径より狭く、遊技球は突出部811eと外レール29aとの間を擦り抜けることができない。よって、開閉部811aが最大に開放された状態において、突出部811eは阻止位置に配置されている。
なお、突出部811eを阻止位置に配置させることが可能な開閉部811aの状態は、必ずしも最大に開放された状態に限らず、最大よりも小さな開放状態にて突出部811eが阻止位置に配置されても良いが、少なくとも第1状態の開閉部811aに対しては、突出部811eが阻止位置に配置されることが好ましい。また、開閉部811aが第1状態にない場合(すなわち、遊技球が発射通路31側から遊技領域21側に進入できない状態にある場合)の一部において、突出部811eが阻止位置に配置されてもよい。
詳細は後述するが、本実施形態の戻り球防止機構800によれば、突出部811eによって遊技領域21側への進行が阻止されることを利用して、糸が取り付けられた遊技球を用いた不正行為を抑制することができる。
なお、突出部811eが阻止位置をとる状態において、突出部811eの先端(すなわち、錘部811bから離れる側の端)と、内レール29bの先に配列された複数の遊技釘100Aのうち、最も遊技領域21側の遊技釘100A(より詳細には、遊技釘100Aの軸部101A)との離間距離は、遊技球Pの直径より短くなるよう設定されている。よって、発射通路31を通過する遊技球が、突出部811eと遊技釘100Aとの間を擦り抜けて遊技領域21側へと進入することはない。
また、発射装置による遊技球の発射間隔は一般的に略0.6秒であり、ゲート部材810が遊技球によって作動して開放された開閉部811aが錘部811bの付勢力によって初期位置に復帰されるまでの間隔は0.6秒より短いため、問題なく遊技が進行する場合において、発射装置から発射された遊技球が突出部811eに当接(衝突)することはない。
図16に示すように、突出部811eは、切欠き部811a2の形成位置に対し、前後方向(図16における左右方向)にずれた位置に設けられている。これにより、遊技球に取り付けられた糸が切欠き部811a2に受け入れられた(すなわち、切欠き部811a2に糸が入り込んだ)場合に、例えば、一点鎖線Sで示すように、当該糸における発射通路31側(図16における紙面手前側)の部分を突出部811eに当接し難くすることができる。
詳細は後述するが、本実施形態の戻り球防止機構800によれば、遊技球に取り付けられた糸が切欠き部811a2に糸が入り込むことで、開閉部811aを、最大に開放された状態(または、それに近い状態)に維持させることができる。しかしながら、開閉部811aを跨ぐ糸のうち発射通路31側の部分が、突出部811eを発射通路31側から遊技領域21側へ押し戻され、それにより、突出部811eによる遊技球の阻止機能が失われて、遊技の継続が可能になる状況が生じ得る。
これに対し、突出部811eを、切欠き部811a2の形成位置に対し、前後方向にずらして設けたことで、糸による突出部811eの押し戻しが生じ難く、突出部811eによる遊技球の阻止機能が失われる状況を、好適に抑制できる。
次に、戻り球防止機構800における支持部材820について説明する。支持部材820は、図15に示すように、遊技板50の前面51に沿った板状の取付基部821aを有するベース部材821と、ベース部材821に対し遊技機正面視における前方側(図14における紙面手前側)に向けて突設される支点ピン822とから構成される。
ベース部材821は、ポリカーボネートなどの樹脂からなり、板状に形成された取付基部821aと、取付基部821aから略コの字状の断面形状で突出する壁部821bと、遊技機正面視における壁部821bの下前側から突出する糸受け部821cとを備えている。
取付基部821aの上下2箇所には、ビス831を挿通可能な挿通口821a1が形成されている。戻り球防止機構800は、ベース部材821が取付基部821aの挿通口821a1に挿通されたビス831によって遊技板50に固定されることで、遊技板50に取り付けられる。
また、取付基部821aの中央部には、支点ピン822の先端に形成されたねじ部822bがねじ込まれる支点穴821a2が穿設されている。ゲート部材810の軸穴811cに挿通された支点ピン822のねじ部822bを支点穴821a2にねじ込むことで、ゲート部材810を、支点穴821a2の縁と、支点ピン822の頭部822cとの間に、支点ピン822に対して回動可能に支持することができる。
なお、必ずしも支点ピン822によってゲート部材810を回動可能に支持する必要はなく、他の構成としても良い。例えば、遊技板50に先端部が固定される軸部材によってゲート部材810を回動可能に支持してもよい。また、支点ピン822の先端部についても、ねじ部を有さずに、取付基部821a又は遊技板50に打ち込み固定される尖った先端部を有する釘状の支点ピンとしても良い。
ベース部材821の壁部821bは、図14に示すように、ゲート部材810を向く側の壁面が、遊技機正面視においてゲート部材810の錘部811bの外形に沿った形状に形成されている。壁部821bは、錘部811bより遊技領域21側に位置し、錘部811bと遊技領域21とを区画する壁として機能する。つまり、遊技領域21内に一旦進入した遊技球は、遊技釘100Aや遊技釘100Cなどに衝突したことで錘部811bの方向へ向かったとしても、壁部821bが壁となって、その遊技球が錘部811bに衝突(当接)することはない。
遊技球が遊技領域21側から錘部811bに当接することがあれば、錘部811bが発射通路31側(すなわち、図14における時計回り方向)に回動し、その結果として、開閉部811aが開放されるという状況が生じ得るが、戻り球防止機構800は、壁部821bを設けたことで、発射通路31を通過する遊技球とは無関係に(すなわち、意図しない状況下で)開閉部811aが開放されることを抑制できる。
また、壁部821bにおけるゲート部材810を向く側の壁面を錘部811bの外形に倣う形状とすることで、壁部821bを錘部811bに近接させて設けることができ、それにより、壁部821bが遊技領域21側に突出する範囲を小さく抑えることができる。よって、遊技領域21が戻り球防止機構800の設置によって狭められることを抑制できるので、遊技領域21における他の部品をレイアウトするための領域が広がり、遊技盤20の設計自由度を高めることができる。
なお、壁部821bは、必ずしも支持部材820(ベース部材821)に形成する必要はなく、錘部811bの外形に倣う部分を有するものであれば、他の部材で形成してもよい。例えば、錘部811bの外形に倣って複数の釘部材(例えば、遊技釘100A)を遊技板50に立設させることで形成してもよい。また、壁部821bは、必ずしも、錘部811bの外形に倣う部分を有するものとする必要はなく、ゲート部材810の錘部811bに遊技領域21側から遊技球が当接しない大きさ及び形状であれば他の大きさ及び形状に構成しても良い。また、壁部821bは、ゲート部材810の突出部811eにも、遊技領域21側から遊技球が当接しない大きさ及び形状に構成されることが好ましく、これにより、発射通路31を通過する遊技球とは無関係に(すなわち、意図しない状況下で)開閉部811aが開放されることを好適に抑制できる。
壁部821bには、図15に示すように、ゲート部材810を向く側の壁面における支点穴821a2の下方に、前後方向の筋状に突出する突出部821b1が形成されている。突出部821b1は、ゲート部材810の錘部811bが、突出部821b1に当接する位置より遊技領域21側(すなわち、図14における反時計回り方向)に回動(移動)することを規制する規制部として機能する部位である。
よって、初期位置にある開閉部811aに対し、遊技領域21側から遊技球が衝突(当接)することがあったとしても、開閉部811aが発射通路31側(すなわち、図14における反時計回り方向)に回動されることはない。これにより、錘部811bによる付勢力によって初期位置に復帰した開閉部811aに対し、遊技球が遊技領域21の側から当接(衝突)したとしても、当該遊技球は、開閉部811aが壁となって発射通路31の側に進入することができない。よって、戻り球防止機構800によれば、発射通路31から遊技領域21内へ一旦放出された遊技球が発射通路31に戻ることを防止することができる。
なお、突出部821b1のような、ゲート部材810の錘部811bの遊技領域21側への回動を規制する規制部は、必ずしも壁部821bと一体的に設ける必要はなく、壁部821bとは別に形成された遊技釘100Aなどを、壁部821bと錘部811bとの間となるよう配設することで、錘部811bの遊技領域21側への回動を規制するように構成してもよい。
糸受け部821cは、図16に示すように、その上端側に、ゲート部材810の側を向く傾斜面821c1を備えている。傾斜面821c1は、後方側(すなわち、ゲート部材810に近づく側)に向かって下降傾斜する。そのため、ゲート部材810における錘部811bの前面811b1との間には、遊技機正面視における左右方向(すなわち、発射通路31側および遊技領域21側)が開放されて、下側になるにつれて幅(すなわち、傾斜面821c1と前面811b1との離間距離)が狭まる空間862が創出される。
図16に示すように、糸受け部821cは、遊技機正面視における左方向から見て、傾斜面821c1におけるガラス板11側の端が、開閉部811aにおける前方側の端辺811a3より前方側、すなわち、ガラス板11に近い側に位置する。これにより、隙間861を通って下方に誘導された糸850は、糸受け部821cの傾斜面821c1に到達し易くなるため、図16に示す糸850Bのように空間862内へと案内され易い。
空間862の入口部における前後方向の幅(すなわち、傾斜面821c1におけるガラス板11側の端と錘部811bの前面811b1との離間距離)は、切欠き部811a2の入口部の幅に比べて広く構成される。よって、切欠き部811a2の入口部より太い糸850であっても空間862に受け入れることが可能となる。
これにより、切欠き部811a2を細く形成したとしても、切欠き部811a2に受け入れられない太さの糸を空間862に受け入れることができる。よって、開閉部811aにおいて切欠き部811a2が占める面積を少なくできるので、遊技球が随時当接(衝突)するために高い強度が必要とされる開閉部811aを、切欠き部811a2の形成によっても好適な強度に保つことができる。
糸受け部821cの前面とガラス板11との間に形成される隙間は、切欠き部811a2の入口部(先端811a1側)の幅程度またはそれ以下であることが好ましい。これにより、糸850の太さが太く、切欠き部811a2に受け入れられなかった場合に、そのような糸850が糸受け部821cの前面とガラス板11との隙間を擦り抜けることを抑制することができる。よって、隙間861を通って下方に誘導された糸850を、好適に空間862内に入り込ませることができる。
なお、糸受け部821cの前面とガラス板11との間に形成される隙間は、その幅が狭いほど、遊技球に取り付けられた糸850が、糸受け部821cの前面とガラス板11との隙間を擦り抜けることを好適に抑制できる。特に、糸受け部821cの前面とガラス板11との間に隙間が形成されない、すなわち、糸受け部821cの前面がガラス板11に当接する構成とすることで、隙間861を通って下方に誘導された糸850を、確実に空間862内に入り込ませることが可能となる。
また、糸受け部821cの上方側であって、ガラス板11と開閉部811a(特に、開閉部811aの先端811a1)との隙間は、遊技領域21側から発射通路31への遊技球の進入を阻止可能な範囲内(例えば、遊技球の半径より小さい範囲内)において大きく構成されるようにすることが好ましく、これにより、遊技球に取り付けられた糸850がガラス板11から離れて糸受け部821cに進入し易い。例えば、開閉部811aにおける前方側の端辺811a3は、ガラス板11から遊技球の直径の4分の1以上に離間して配置することが好ましい。一方、開閉部811aにおける後方側の端辺(図16における開閉部811aの左側の縁部分)は、遊技板50の前面51との間に糸が進入しないように狭く構成されることが好ましい。すなわち、開閉部811a(特に、開閉部811aの先端811a1)における前方側のガラス板11との隙間は、開閉部811a(特に、開閉部811aの先端811a1)の後方側における遊技板50の前面51との隙間より大きく構成されることが好ましい。また、開閉部811aの先端811a1より下側にてガラス板11におけるゲート部材810側を向く面に、遊技球に取り付けられた糸850をゲート部材810側に誘導する誘導用部材を取り付けても良く、例えば、支点ピン822の前側に、隙間を隔てて突出部材としてガラス板11側から次第に小さくなる断面を有する形状(例えば、円錐台形)の突出部を設けても良く、これにより、糸受け部821cに遊技球を更に進入し易くすることができる。
ここで、詳細は後述するが、遊技球に取り付けられた糸が、空間862(すなわち、糸受け部821cの傾斜面821c1と前面811b1との間)に入り込んだ場合には、当該糸がゲート部材810(開閉部811a)の回動を抑制し、それにより、それ以降に発射装置から発射される遊技球の遊技領域21側への進入を抑制できる。
支持部材820の支点ピン822は、ゲート部材810を挿通支持する軸部822aと、軸部822aの一端側に連設されるねじ部822bと、軸部822aの他端側に軸部822aより大きな外形に形成される頭部822cとを備えている。ねじ部822bは、ベース部材821の支点穴821a2にねじ込まれる螺旋状のねじ山を有し、頭部822cは、ドライバーなどの工具を差し込むための十字の溝が設けられている。
支点ピン822は、ねじ部822bの側から、座金840および軸穴811cに挿通した状態で、工具を用いて頭部822cを回転させ、ねじ部822bをベース部材821の支点穴821a2にねじ込むことでベース部材821に固定される。これにより、ゲート部材810が、支点ピン822に対して回動可能に支持される。
なお、ゲート部材810の固定は、必ずしも、工具を用いてねじ込み固定する支点ピン822に限定されるものではない。例えば、ベース部材821の取付基部821aに回転軸を一体的に形成し、その回転軸にゲート部材810を回動可能に支持させ、回転軸の先端にCリングやナットなどの固定具を取着することで、ゲート部材810を支持部材820に固定する構成であってもよい。また、支点ピン822は、必ずしも、ベース部材821に固定されるものである必要はなく、遊技板50(遊技盤20)の前面51に直接ねじ込まれるものであってもよい。すなわち、ゲート部材810が、ベース部材821を介すことなく、遊技板50(遊技盤20)に直接支持される構成であってもよい。
次に、図17から図19を参照して、本実施形態の戻り球防止機構800が取り付けられたパチンコ機に係る作用及び効果を説明する。まず、図17を参照して、ゲート部材810に切欠き部811a2および突出部811eを設けたことによる、糸を取り付けた遊技球を用いる不正行為の抑制機能について説明する。
図17は、遊技球P3に取り付けられた糸850が開閉部811aの切欠き部811a2に入り込んだ状態における、戻り球防止機構800付近の模式的な拡大正面図である。なお、図17では、図面の見易さを重視して、支持部材820における取付基部821aの図示を省略している。
図17に示すように、発射装置から発射された遊技球P3が、開閉部811aを遊技領域21側に押し退けて、発射通路31側から遊技領域21側へと進入した場合に、当該遊技球P3に取り付けられた糸850が、開閉部811aの先端811a1(図17では付番を省略)における切欠き部811a2(図17では付番を省略)の形成位置を跨いだ場合、切欠き部811a2には、発射通路31の側から遊技領域21の側に(すなわち、支点ピン822の軸方向に対して交差する向きに)渡る糸850が入り込む。
糸850が開閉部811aの先端811a1に形成された切欠き部811a2に入り込んだ場合、当該糸850が遊技球P3により下方に引かれることで、糸850は、切欠き部811a2における略V字の底側(すなわち、開閉部811aの根元に向かう側)に向かって入り込んでいく。
糸850が切欠き部811a2に食い込むことで、糸850と切欠き部811a2との間に生じる摩擦力を含む抵抗力が大きくなるため、開閉部811aは、遊技球P3に引かれる糸850によって遊技領域21側へと引っ張られる。これにより、開閉部811aの先端811a1側が、糸850によって遊技領域21側へと押される状況が生じ、それにより、開閉部811aは、回動軸である支点ピン822周りに遊技領域21側(すなわち、図17における時計回り方向)に回動される。よって、開閉部811aは、壁部821bに当接するまで遊技領域21側に回動し、最大に開放された状態(または、それに近い状態)で維持される。なお、切欠き部811a2は、略V字の形状に構成されるので、受け入れ可能な太さであれば、種々の太さの糸850に対応できる。
開閉部811aが最大に開放されている場合、上述したように、突出部811eは、阻止位置に配置されるので、その後に発射装置から発射された遊技球は、遊技球P4のように、突出部811eに当接(衝突)し、それにより、遊技領域21側に進入することが阻止される。
本実施形態の戻り球防止機構800によれば、開閉部811aが最大に開放された状態において阻止位置に配置される突出部811eと、開閉部811aが最大に開放された状態で維持されることを可能にする切欠き部811a2とを設けたことで、不正な遊技球P3に取り付けられた糸850によって、阻止位置にある突出部811eの状態を維持させることができ、それにより、遊技球P3より後に発射装置から発射される遊技球が遊技領域21側に進入することを阻止することができる。
よって、不正行為者が、糸850が取り付けられた遊技球P3を用いて不正を行おうとしたとしても、それ以降に発射される遊技球(例えば、遊技球P4)を遊技領域21に進入させることができないので、不正な遊技球P3を用いて不正に遊技球を獲得するといった不正行為を抑制することができる。
次に、図18および図19を参照して、支持部材820に糸受け部821cを設けたことによる、糸を取り付けた遊技球を用いる不正行為の抑制機能について説明する。図18および図19は、遊技球P3に取り付けられた糸850が糸受け部821cに入り込んだ状態における、戻り球防止機構800付近の模式的な拡大正面図である。なお、図18および図19では、図面の見易さを重視して、支持部材820における取付基部821aの図示を省略している。
図18および図19に示すように、発射装置から発射された遊技球P3が、開閉部811aを遊技領域21側に押し退けて発射通路31側から遊技領域21側へと進入した場合に、当該遊技球P3に取り付けられた糸850が、糸受け部821cの傾斜面821c1(図18および図19では付番を省略)と前面811b1との間に形成される空間862(図18および図19では付番を省略)に入り込んだ場合、糸850が遊技球P3により下方に引かれることで、糸850は、空間862を下側へと入り込んでいく。
ここで、例えば、図18に示すように、糸850が遊技球P3により下方に引かれることで、当該糸850が、糸受け部821cの傾斜面821c1と前面811b1との間に狭持された(嵌まり込んだ)場合、くさび状に糸850を作用させて、糸850と錘部811bの前面811b1との間には大きな摩擦力が生じ易くなるため、錘部811bの回動(上下方向の移動)が抑制される。
錘部811bの回動が抑制された場合には、開閉部811aの回動も抑制されることになるため、遊技球P3の後に発射装置から発射された遊技球P4は、開閉部811aを第1状態に切り替えることが困難となる。よって、糸850が不正に取り付けられた遊技球P3の後に発射装置から発射される遊技球を、遊技領域21側に進入することを阻止することができる。
なお、遊技球P3に取り付けられた糸850が、糸受け部821cの傾斜面821c1と前面811b1との間に狭持されたものの、遊技球P3が糸850を引く衝撃によって、開閉部811aが遊技領域21側へと回動され、それにより、開閉部811aが第1状態をとる可能性がある。また、後続の遊技球P4が開閉部811aに当接することで開閉部811aが遊技領域21側へと回動されて第1状態をとる可能性もある。
しかしながら、かかる場合、糸850が糸受け部821cの傾斜面821c1の上を経由して錘部812bの下側(詳細には、錘部812bと壁部821bとの間)に入り込む。この壁部821bにおける下側の先端部は、例えば、突出部811eが阻止位置に配置される高さにおける錘部812bの下端の高さまで発射通路31側及び上側に突出(連続)し、これにより、壁部821bと錘部812bとの間に挟まれた糸850によって錘部812bを上昇させて突出部811eが阻止位置に配置可能に構成されている。また、糸受け部821cの傾斜面821c1は、壁部821bの上側に向かう誘導面を構成し、錘部812bと壁部821bとの間に糸850を誘導する糸誘導部として機能する。このため、錘部811bは、糸850によって遊技領域21側(すなわち、図19における反時計回り方向)への回動が規制され、それにより、開閉部811aが第1状態のまま維持される。
その結果、突出部811eが阻止位置で維持されるので、遊技球P3の後に発射装置から発射された遊技球P4は、突出部811eによって、遊技領域21側への進入が阻止される。よって、かかる場合も、糸850が不正に取り付けられた遊技球P3の後に発射装置から発射される遊技球を、遊技領域21側に進入することを阻止することができる。
本実施形態の戻り球防止機構800によれば、錘部811bの前面811b1との間で、不正な遊技球P3に取り付けられた糸850を狭持可能な傾斜面821c1を有する糸受け部821cを設けたことで、開閉部811aの回動を抑制することができる。これにより、遊技球P3より後に発射装置から発射された遊技球が開閉部811aを押し退けられない状況や、遊技球P3より後に発射装置から発射された遊技球が突出部811eに当接する状況が創出されるので、遊技球P3より後に発射装置から発射される遊技球が遊技領域21側に進入することを阻止することができる。
本実施形態において、空間862は、上述したように、下側になるにつれて幅(すなわち、傾斜面821c1と前面811b1との離間距離)が狭まる形状であるので、受け入れ可能な太さであれば、種々の太さの糸850に対応できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、例えば、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記実施形態に対して適用しても良い。
(1)上記各実施形態では、遊技釘100A〜100D、および、釘ユニット200を構成する連結部201の製造方法として、圧造加工および切削加工を主に例示したが、成型加工によって形成してもよい。また、上記各実施形態では、遊技釘100Dと連結部201と別々に形成した後に組み立てる構成としたが、遊技釘100Dと連結部201とが一体化された釘ユニット200を成型加工などによって形成してもよい。
(2)螺旋部112、抜止部113の変形例
上記各実施形態では、遊技釘100A〜100Dは、遊技板50に対しての保持力を確保するための部分として、螺旋部112および抜止部113を備える構成としたが、螺旋部112または抜止部113の一方だけを備える構成であってもよい。また、遊技釘100A〜100Dが、螺旋部112または抜止部113のいずれも備えていない構成であってもよい。
上記各実施形態では、抜止部113として、図3(b)に示す形状を採用したが、遊技板50内に進入して遊技釘100A〜100Dの抜け方向側への移動を阻止可能な形状であれば適宜の形状を採用できる。例えば、抜止部113のような周方向側において一定の形状が連続するものでなく、周方向側に離間した複数の棘状の突起部を抜止部としてもよい。
(3)上記各実施形態では、遊技領域21と発射通路31との仕切り部を、配列された複数の遊技釘100Aによって形成する構成としたが、当該仕切り部を、遊技領域21または発射通路31の側が起伏形状を有する面に形成された板部材から構成してもよい。
また、遊技領域21と発射通路31との仕切り部を、直線部101Ba1を含む面を遊技領域21または発射通路31の側を向けて配列させた複数の遊技釘100Bから形成する構成であってもよい。特に、直線部101Ba1を含む面を発射通路31の側を向けて配列させた場合には、発射通路31の側の起伏が少なくなるので、発射装置から発射された遊技球を好適にガイドして遊技領域21へと進入させることが可能となる。
(4)発射通路31の出口近傍に取り付ける遊技釘の変形例
上記各実施形態では、発射通路31の出口近傍に、遊技釘100Cを、第1軸部101Caにおける頂点101Ca1が上側を向くような向きで取り付けることで、糸を取り付けた遊技球を用いる不正行為を抑制する構成とした。
当該不正行為を抑制する目的で発射通路31の出口近傍に取り付ける遊技釘として、軸方向に対して略垂直など角度を持って延び、開口から軸内部に向けてV字などの先細りする溝部が当接部に形成されている遊技釘を用いる構成としてもよい。かかる遊技釘が、例えば、溝部の開口が上方(例えば、発射通路31とは反対側のやや上向き)を向くように発射通路31の出口近傍に取り付けた場合、糸が取り付けられた遊技球は、糸が溝部の奥に入り込んだ状態で当該遊技釘にぶら下がり易い。そして、溝部の底はV字などの先細りの形状に構成されているので、溝部に入り込んだ糸は、糸を動かすにつれて溝部の底まで入り込んでいく。かかる状態で糸を引っ張ったり緩めたりした場合、糸が溝部の側壁と底部によって摩擦され、当該糸をやがて切断することが可能となる。かかる溝部は、軸方向における断面において開口側から底に向けて曲線を描いていることが好ましい。例えば、溝部の開口が発射通路31とは反対側のやや上向きを向くように遊技釘を取り付けた状態において、軸方向における溝部の断面が、開口部分から上方に緩くカーブした曲線を描いている場合には、溝部に入り込んだ糸が、糸の操作よって取り外されることを困難にすることができる。
(5)上記各実施形態では、遊技釘100B,100Cとして、軸部101B,101Cの一部の断面形状が非円形状である場合について例示した。具体的に、軸部101Bの一部(第1軸部101Ba)の断面形状が、直線部101Ba1と円弧部101Ba2とからなる半円形状である遊技釘100Bと、軸部101Cの一部(第1軸部101Ca)の断面形状が、半円以下の円弧と、当該両端101Ca2,101Ca3からそれぞれ延びる直線とからなる形状である遊技釘100Cとを例示した。
軸部の断面形状としては、上記以外の非円形状であってもよい。例えば、軸部が、当該軸部の断面(つまり、軸部の軸方向に対して垂直な断面)が第1の曲率の円弧に形成された第1の外面と、該第1の外面に接続された、前記断面が第1の曲率より小さな第2の曲率の円弧、直線、または少なくとも1の折れ曲がった角部を有する形に形成された第2の外面とを有する構成としてもよい。当接部を含む軸部の断面形状が非円形状であることで、当該軸部に接触する遊技球が、その接触方向に応じて特徴的に跳ね返ることになるため、遊技釘により跳ね返る遊技球の挙動に対する興趣を向上させることができる。
例えば、遊技釘100Bの第1軸部101Baのように、その断面形状が、直線部101Ba1と、半円の円弧部101Ba2との組み合わせである構成に限らず、半円より小さいまたは大きな円弧部と、当該円弧部の両端を結ぶ直線や、当該円弧部より曲率の小さな円弧とを組み合わせた構成であってもよい。
このとき、遊技釘100Bの軸部101Bにおける直線部101Ba1を含む面が、断面において直線に近い円弧(すなわち、円弧部101Ba2より曲率が小さい円弧)である面に置換された遊技釘を、遊技領域21と発射通路31との間を仕切る仕切り部の近傍に取り付けられる遊技釘として採用してもよい。
また、遊技釘100Cの第1軸部101Caのように、その断面形状が、円弧の両端101Ca2,101Ca3からそれぞれ延びる直線によって1の折れ曲がった角部を有する構成に限らず、円弧の一端101Ca2から他端101Ca3までの間に、2以上の折れ曲がった角部を有する構成としてもよい。また、第1軸部101Caのように、その断面形状における円弧部分が、半円以下の円弧であることに限らず、半円以上の円弧であってもよい。つまり、断面形状に含まれる折れ曲がった角部は、鋭角に限らず鈍角であってもよい。
(6)釘ユニット200の変形例
上記各実施形態では、釘ユニット200が、2本の遊技釘100Dを連結部201により連結したものとして説明したが、釘ユニット200を構成する遊技釘100Dは2本に限定されない。つまり、3本以上の遊技釘100Dが連結部によって連結される構成であってもよい。3本以上の遊技釘100Dが連結部に連結される場合にも、2本の遊技釘100Dの間に突出部201aと同様の突出部が形成されていてもよい。
上記各実施形態では、釘ユニット200では、軸部101Dの軸方向に対して直交する向きに形成された溝部115,116を有する遊技釘100Dが、溝部115,116の延びる方向と連結部201の長手方向とが一致するように取り付けられる構成としたが、遊技釘100Dが、溝部115,116の延びる方向が連結部201の長手方向に対して略直交するように取り付けられる構成であってもよい。かかる構成によれば、連結部201の長手方向に対して直交する向きに対する強度を高めることができる。よって、始動入賞口25の上方に取り付けられた釘ユニット200のように、連結部により連結された2本の遊技釘の間を遊技球が通過する釘ユニットにおいて、釘ユニットを構成する遊技釘が、遊技釘間を通過する遊技球によって破損することを抑制できる。
その一方で、当該変形例の構成によれば、連結部201の長手方向に沿った向きに対する強度が低くなるので、連結部により連結された遊技釘の間隔を広げる負荷によって遊技釘が破損し易くなる。従来から、遊技球が通過したことで賞球や抽選などの特典を付与する入球口(例えば、始動入賞口25)などの上方に取り付けられる一対の遊技釘は、その間隔を広げることで、遊技球の通過を容易にする不正行為の対象となり易い。これに対し、始動入賞口25の上方に取り付けられた釘ユニット200のように、遊技球が通過したことで賞球や抽選などの特典を付与する入球口の入口として機能する一対の遊技釘が連結された釘ユニットについて、軸方向に対して直交する向きに形成された溝部を有する遊技釘を、溝部の延びる方向が連結部の長手方向に対して略直交するように取り付けることで、連結部により連結された一対の遊技釘が、その間隔を広げる負荷により破損され易くなるため、遊技釘間を広げる不正行為を抑制することができる。 上記各実施形態では、釘ユニット200を構成する遊技釘として、溝部115,116を有する遊技釘100Dを用いる構成としたが、遊技釘100Dに代えて、遊技釘100Aを用いる構成としてもよい。また、釘ユニット200を構成する釘部材として、遊技釘100Bや遊技釘100Cを用いる構成としてもよい。遊技釘の間に遊技球を通過させる釘ユニット、例えば、始動入賞口25の上方に配置される一対の遊技釘の代替にする釘ユニット200において、遊技釘として、遊技釘100Bを用い、軸部101Bにおける直線部101Ba1を含む面を内側に向けて配置する構成としてもよい。
上記各実施形態では、釘ユニット200における突出部201aを、細長く延びる棒状に構成したが、細長く延びる板状であってもよい。また、上記各実施形態では、突出部201aの長さを、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合に、突出部201aの先端が、遊技板50の前面51に接しない程度の長さとしたが、遊技板50の前面に接する程度の長さとしてもよい。また、突出部201aを挿入するための穴を遊技板50に形成し、釘ユニット200を遊技板50に取り付けた場合に、突出部201aを対応する穴に挿入する構成としてもよい。このとき、穴の外径は、突出部201aの外径より大きくてもよく、突出部201aに対応する穴の外径を十分に大きくすることで、突出部201aに動きの自由度を持たせることができる。これにより、連結部201に沿って誘導される遊技球が突出部201aにて弾み易くなる。
(7)溝部115,116の変形例
上記各実施形態では、溝部115,116を有する遊技釘100Dを、釘ユニット200を構成する遊技釘として用いる構成としたが、単独で遊技板50に取り付ける構成であってもよい。つまり、単独で遊技板50に取り付けられる遊技釘の軸部に、溝部115,116と同様の、軸部を破損可能な溝部が設けられている構成であってもよい。単独で遊技板50に取り付けられる遊技釘に溝部が形成されている場合には、当該遊技釘を、溝部が不正にかけられる負荷の方向に応じた向きとなるよう遊技板50に取り付ける。
上記各実施形態では、軸部101Dの周囲に一対となる2本の溝部115,116が形成される構成としたが、軸部101Dの全周に連なる溝部を形成する構成としてもよい。また、溝部115または溝部116のうち一方を軸部101Dに形成する構成としてもよい。
上記各実施形態では、溝部115,116を、軸部101Dの軸方向に対して直交する向きに延びる溝部としたが、溝部115,116が、軸部101Dの軸方向に対して直交以外の角度を持って延びる溝部であってもよい。
上記各実施形態では、溝部115,116が連結部201が延びる方向(すなわち、遊技球の流下方向に対して略直交する向き)を向くように、遊技釘100Dを取り付ける構成としたが、溝部115,116が遊技球の流下方向に沿った向き(すなわち、遊技機正面視における上下方向)を向くように遊技釘100Dを取り付ける構成としてもよい。かかる構成によれば、遊技板50に取り付けられた遊技釘100の、遊技球の流下方向に沿った向きに対する強度を高めることができる。よって、遊技球が通過したことで賞球や抽選などの特典を付与する入球口(例えば、始動入賞口25)などの上方に取り付けられる一対の遊技釘など、その間を遊技球が流下する遊技釘について、遊技釘が流下する遊技球によって破損することを抑制できる。
その一方で、当該変形例の構成によれば、遊技釘100の、遊技球の流下方向に略直交する向きに対する強度が低くなるので、2本の遊技釘の間隔を広げる負荷によって遊技釘が破損し易くなる。従来から、遊技球が通過したことで賞球や抽選などの特典を付与する入球口(例えば、始動入賞口25)などの上方に取り付けられる一対の遊技釘は、その間隔を広げることで、遊技球の通過を容易にする不正行為の対象となり易い。これに対し、当該一対の遊技釘として、軸方向に対して直交する向きに形成された溝部を有する遊技釘を用い、これらの遊技釘を、溝部の延びる方向が連結部の長手方向に対して略直交するように取り付けることで、入球口などの上方に取り付けられた一対の遊技釘が、その間隔を広げる負荷により破損され易くなるため、遊技釘間を広げる不正行為を抑制することができる。
上記各実施形態では、溝部115,116を、遊技釘100Dを遊技板50に取り付けた場合に、遊技板50の前面51より前方であって、頭部102より前面51に近い位置に設ける構成としたが、溝部115,116を、軸部101Dにおける頭部102に近い側に設ける構成としてもよい。この場合、当接部114より頭部102の側に溝部115,116を設けることが好ましい。溝部115,116が当接部114より頭部102の側に設けられたことで、遊技球との接触によって損傷を受ける可能性が少なくなるので、遊技中に遊技釘100Dが誤って折損される場合を低減しつつ、不正行為を発見し易い機能を付加することができる。
上記各実施形態では、溝部115,116の底の形状を略平面としたが、当該底の形状がV字型や丸みのある形状であってもよい。溝部115,116の底の形状を、V字型や丸みのある形状など、幅狭の形状とすることで、軸部101Dをより破損させ易くできる。また、上記各実施形態では、溝部115,116の側壁部分の形状を直線状としたが、当該側壁部分の形状が曲線であってもよい。
(8)第2実施形態に係る一般入賞装置334の変形例
上記第2実施形態では、一般入賞口324が形成された一般入賞装置334を例示して説明したが、始動入賞口25と同様の始動入賞口が形成された始動入賞装置や、スルーゲート28と同様のスルーゲートが形成された装置などにも同様の構成を適用できる。
上記第2実施形態では、細長く形成された軸部を有するピン401が台板334bに固定される構成としたが、ピン401の代わりに、遊技釘Q1と対になって入口となるように、遊技機正面視において一般入賞口324の右端から上方に延びる所定形状(例えば、遊技機正面視においてピン401に相当する位置が頂点となる山型の形状)の樹脂部分が台板334bと一体になって成形されている構成であってもよい。かかる構成によれば、遊技釘Q1と対になって入口となる樹脂部分を台板334bから動かしたり変形させたりすることができないので、一般入賞口324への遊技球の入球を有利にするための不正行為が困難となる。
上記第2実施形態では、遊技機正面視において一般入賞口324の右上方にてピン401を台板334bに固定する構成としたが、一般入賞口324の左上方にてピン401を台板334bに固定する構成としてもよい。
上記第2実施形態では、一般入賞装置334の台板334bに固定されるピンをピン401のみとしたが、一般入賞口324の入口を構成する複数のピンを台板334bに固定される構成であってもよい。
上記第2実施形態では、一般入賞装置334に対し遊技機正面視における右側に2つの止め穴55,56を設ける構成としたが、3つ以上の止め穴を設ける構成としてもよい。これにより、一般入賞装置の取り付け態様を3種以上にすることができる。また、上記第2実施形態では、一般入賞装置334に対し遊技機正面視における左側に止め穴54を設け、右側に止め穴55,56を設ける構成としたが、一般入賞装置334の右側に1の止め穴を設け、左側に複数の止め穴を設ける構成としてもよい。
(9)遊技釘100A〜100Dの変形例
上記各実施形態では、頭部102が、軸部101A〜101Dの外径(より詳細には、断面が円形状である部分の外周)より大きな外径に(すなわち、太く)構成された遊技釘100A〜100Dを例示したが、頭部102の外径が、軸部101A〜101Dの外径より小さい遊技釘に本発明を適用してもよい。頭部102の外径が、軸部101A〜101Dの外径より小さい遊技釘は、例えば、遊技板50の裏面(すなわち、前面51の裏側にあたる面)側から、前面51側へと貫通させることで遊技板50に取り付けられる構成としてもよい。また、軸部の突端部が頭部を構成し、突端部に外径の異なる部位を有しない遊技釘を用いる構成としてもよい。
(10)釘カバーの変形例
上記第3から第5実施形態では、釘カバー(例えば、釘カバー部535b)を取り付ける対象の遊技釘として、始動入賞口の入口として機能する一対の遊技釘を例示したが、本発明の釘カバーは、遊技板50に打ち込まれた適宜の遊技釘に適用可能である。なお、本発明の釘カバーを、2本の遊技釘に対して取り付けられるものに限らず、3本以上の遊技釘や単独の遊技釘に対して取り付ける構成としてもよい。
上記第3から第5実施形態において、釘カバーを遊技板50に対して支持部材(例えば、釘カバー部535bを支持する本体部535aなど)を介して間接的に固定される場合を例示したが、釘カバーに脚部を設け、釘カバーを脚部によって直接的に遊技板50に固定する構成としてもよい。
釘カバーが、遊技板50またはガラス板11に対して、直接的に、または、釘カバーを支持する支持部材(例えば、釘カバー部535bを支持する本体部535aなど)を介して間接的に固定される(すなわち、取り付けの対象とする遊技釘に対する取り付け状態が固定される)構成とすることで、釘カバーの収容部に収容された遊技釘が不正に曲げられることを抑制できる。
これにより、例えば、本発明の釘カバーを、遊技球を始動入賞口に誘導するべく連ねて配列された複数の遊技釘(所謂、誘導釘)のうち、一部または全ての遊技釘に対して取り付けることで、誘導釘を上方または下方に曲げることで、遊技球を始動入賞口に誘導し易くする不正行為を好適に抑制できる。つまり、本発明の釘カバーによれば、誘導釘を構成する遊技釘や、始動入賞口の入口として機能する一対の遊技釘のように、始動入賞口に通じる通路の少なくとも一部を構成する遊技釘を、始動入賞口への入球が有利となるよう不正に曲げる行為を好適に抑制することができる。
また、本発明の釘カバーを取り付ける対象にする遊技釘は、始動入賞口の入口として機能する一対の遊技釘のように、始動入賞口525など始動入賞口に通じる通路の少なくとも一部を構成する遊技釘に限らず、始動入賞口以外の、遊技球が通過したことで賞球や抽選などの特典を付与する有利領域(例えば、一般入賞口24やスルーゲート28など)に通じる通路の少なくとも一部を構成する遊技釘を対象としてもよい。
上記第3から第5実施形態では、釘カバー部535bなどの釘カバーは、透明又は半透明に構成されたが、不透明にしてもよい。ただし、遊技者から遊技釘の頭部が視認可能としておくことは好ましく、これにより、遊技釘によって構成される遊技球の通路を遊技者が確認可能とすることができる。
上記第3から第5実施形態では、釘カバー部535bなどの釘カバーは、収容部(収容部535b1など)の遊技機正面視における前面側が開放されておらず、収容部に収容された遊技釘の頭部が遊技機正面視における前面側に露出しない構成としたが、収容部の遊技機正面視における前面側が開放された構成であってもよい。
上記第3から第5実施形態では、釘カバーの収容部は、遊技釘の頭部の軸中心周りの周囲の少なくとも一部を覆う(囲う)内壁を有する構成としたが、遊技釘の曲げを規制したい方向に壁が形成されるものであってもよい。例えば、始動入賞口の入口として機能する一対の遊技釘に対して取り付ける釘カバーが、当該一対の遊技釘の頭部に対して、当該頭部より外側(すなわち、対となる遊技釘がある側とは反対側)に壁が形成されている場合、一対の遊技釘の間隔が広げられることを抑制できる。
上記第3から第5実施形態では、釘カバーの収容部の深さは、遊技釘の頭部を収容可能な深さとしたが、軸部の一部も収容される構成であってもよい。また、必ずしも、頭部が全て収容される深さでなくてもよく、頭部の先端側の一部のみが収容される深さとしてもよいし、遊技釘の頭部の軸中心周りの周囲が全く収容されず前側(頭部の先端側)のみを覆うように(例えば、深さのない平板状の構成)としてもよい。
上記第3から第5実施形態では、釘カバーに収容される遊技釘として、頭部の外径が軸部の外径より大きい遊技釘100Aを例示したが、本発明の釘カバーを、頭部の外径が軸部の外径より小さい(小径の)遊技釘に対して適用してもよい。
頭部の外径が軸部の外径より小さい遊技釘を対象とする場合、釘カバーにおける上端を含む縁端部(上側縁端部535b2や縁端部735c2など)が、収容部に収容された遊技釘における軸部の軸中心に略一致する位置を中心とする、当該遊技釘の軸部の外径より大きな径の円の円弧形状とすることができる。かかる場合、軸部の外径より小さい外径の頭部を有する遊技釘が用いられているにもかかわらず、釘カバーにおける上端を含む縁端部が、遊技釘100Aの頭部102のような、軸部の外径より大きい外径の頭部を模倣し、それにより、軸部の外径より大きい外径の頭部を有する遊技釘が取り付けられているかのような状況を擬似的に提供することができる。
上記第3から第5実施形態では、釘カバーにおける上端を含む縁端部(上側縁端部535b2や縁端部735c2など)が、円弧形状である場合について例示したが、円形に近い多角形状など、他の形状であってもよい。
上記第3から第5実施形態では、釘カバーにおける前面側が平面である場合について例示したが、球面形状であってもよい。例えば、釘カバーにおける前面側が、当該釘カバーの上端を含む縁端部の円弧を含む球面形状(例えば、四半球の球面形状)であってもよい。
上記第4実施形態では、前板部635aを上方にスライドさせた場合に、遊技釘Q6,Q7が、収容部635c1の内壁Z1,Z2の傾きによって、左または右方向に動かされる構成としたが、内壁Z1,Z2の傾きをそれぞれ左右反転させた傾きとし、それにより、前板部635aを下方にスライドさせることで、遊技釘Q6,Q7が左または右方向に動く構成としてもよい。
また、収容部635c1の内壁Z1,Z2に対向する側の内壁(すなわち、遊技釘Q6,Q7が接することのない側の内壁)の傾きとしては、前板部635aを上方または下方にスライドさせた場合に、遊技釘Q6,Q7が左または右方向に動く種々の傾きを採用できる。例えば、収容部635c1の内壁Z1,Z2に対向する側の内壁の傾きを、収容部63内壁Z1,Z2の傾きと平行な傾きとしてもよい。
また、収容部635c1の内壁Z1,Z2の傾きの大きさを、重力方向の単位長さに対する左右方向の変化量が前記単位長さより十分に短くなるような傾きの大きさとすることで、前板部635aを上方にスライドさせた場合に、遊技釘Q6,Q7が左または右方向に動く構成としたが、遊技釘Q6,Q7を動かしたい方向は、内壁Z1,Z2の傾きの大きさに応じて変更可能である。
また、上記第5実施形態では、収容部735c1を、底面側より開口側の方が大きい円錐台形状としたことで、本体部735aを前方にスライドさせた場合に、遊技釘Q8,Q9が、左または右方向に動かされる構成とした。これに代えて、収容部735c1を、開口側より底面側の方が大きい円錐台形状とし、それにより、本体部735aを後方にスライドさせた場合に、遊技釘Q8,Q9が、左または右方向に動かされる構成としてもよい。また、収容部635c1を円錐台形状とせず、本体部735aを前方または後方にスライドさせた場合に、遊技釘Q8,Q9が、左または右方向に動く種々の形状を採用できる。
また、円錐台形状である収容部735c1の内壁が開口側から底面に向けて緩やかに狭まる形状とされたことで本体部735aを後方にスライドさせた場合に、遊技釘Q8,Q9が左または右方向に動く構成としたが、遊技釘Q8,Q9を動かしたい方向は、円錐台の斜面の傾きに応じて変更可能である。
上記第5実施形態では、本体支持部735bにより支持される(すなわち、本体支持部735bの収容空間に収容された)本体部735aは、その後端側が前面51から遊技板50に入り込んだ状態で前方または後方にスライドされる構成としたが、本体部735aの底壁735a2および側壁735a3を前後方向に伸縮可能な構成(例えば、蛇腹に構成)して、後端を前面51に接続する構成としてもよい。
上記第4および第5実施形態では、硬化性樹脂を用いることで、前板部635aまたは本体部735aの位置を最終的に固定する構成としたが、ピンなどの固定部材を用いて、最終的な位置固定を図る構成としてもよい。
上記第4および第5実施形態では、釘カバー部635c,735cは、遊技釘Q6,Q7,Q8,Q9に対する不正な曲げ行為を抑制する機能と、遊技釘Q6,Q7,Q8,Q9を適切に位置決めできる機能との両方を有する構成としたが、遊技釘を適切に位置決めできる機能を有さない構成としてもよい。つまり、釘カバー部635c,735cにおいて、前板部635aまたは本体部735aをスライドさせても、遊技釘Q5,Q6,Q7,Q8,Q9が、収容部635c1,735c1の内壁に接触しない構成であってもよい。
上記第4および第5実施形態において、釘カバー部635c,735cと、前板部635aまたは前板735a1との接続部分に破損可能な破損部を設ける構成としてもよい。破損部としては、例えば、釘カバー部635c,735cと、前板部635aまたは前板735a1との接続部分の厚みを薄くしてもよいし、当該接続部における幅を狭くしてもよい。かかる破損部を設けることで、遊技釘Q6,Q7,Q8,Q9が設計許容範囲から大きく外れている場合に、前板部635aまたは本体部735aをスライドさせたとき、遊技釘Q6,Q7,Q8,Q9が、収容部635c1,735c1の外で釘カバー部635c,735cに接触し、それによってかかる負荷で破損する部位を破損部に限定し易くすることができる。それにより、遊技釘Q6,Q7,Q8,Q9が、釘カバー部635c,735cにより調整できないほどに設計許容範囲から大きく外れていることを作業者に判り易く報せることができる。また、前板部635aまたは本体部735aが不正にスライドされた場合にも、その不正を破損部の破損によって報せることが可能となり、不正有無の確認が必要な箇所を限定して容易に確認作業を行うことができる。
(11)戻り球防止機構800の変形例
上記第6実施形態では、戻り球防止機構800が、糸を取り付けた遊技球を用いる不正行為を抑制する構成として、切欠き部811a2に糸を引っ掛けることで突出部811eを阻止位置に維持させる構成と、空間862に入り込んだ糸に基づいて、開閉部811aの回動を制限する構成と、空間862を経由して錘部811bの下側に入り込んだ糸に基づいて突出部811eを阻止位置に維持させる構成とが含まれる構成としたが、いずれか1つの構成のみであってもよいし、いずれか2つの組合せであっても良い。いずれかの構成のみであっても、糸を取り付けた遊技球を用いる不正行為を抑制することができ、2つ以上の組合せによって更に好適に不正行為を抑制することができる。
上記第6実施形態では、阻止位置に配置された突出部811eは、遊技球に取り付けられた糸が切欠き部811a2に引っ掛かることで、阻止位置に維持される構成としたが、突出部811eを阻止位置に維持する構成としては、必ずしも、上記構成に限定されない。
例えば、ゲート部材810の回動を、当該ゲート部材810に固着された回動軸をモータやソレノイドなどの動力源によって回動させることで行うものとし、遊技球に不正に取り付けられた糸が検出された場合には、回動軸を回動させる動力を停止することで、突出部811eを阻止位置に維持させる構成としてもよい。このように、切欠き部811a2を用いることなく、突出部811eを阻止位置に維持させる場合には、開閉部811aが最大に開放された状態(または、それに近い状態)でゲート部材810の回動が停止されなくても、突出部811eが阻止位置となる所定の位置で停止できればよい。
なお、遊技球に不正に取り付けられた糸を検出する手段としては、例えば、遊技球に取り付けられた糸が接触または近接したことで当該糸を検出可能な検出部(例えば、接触センサや近接センサなど)が例示される。かかる検出部は、切欠き部811a2の内側や、開閉部811aにおける前方側の端辺811a3や、開閉部811aにおける後方側の端辺に設ければよい。なお、検出部を開閉部811aに設ける場合、少なくとも、先端811a1における後方側の端(すなわち、遊技板50側の端)の付近が、当該後方側の端に向けて下降傾斜する構成であることが好ましい。
上記第6実施形態では、開閉部811aが開放されることで、すなわち、第2状態から第1状態に対応した側へ動作することで、阻止位置(遊技球の遊技領域21側への進入を阻止可能にする位置)に配置される部材として、ゲート部材810の突出部811eを例示したが、上記場合に阻止位置に配置される部材としては、必ずしも、開閉部811aに連動して動作する突出部811eに限定されない。
例えば、発射通路31における戻り球防止機構800より下流側に、遊技盤20(遊技板50)側から前方に突出可能であり、かつ、突出した場合に遊技球の遊技領域21側への進入を阻止可能にするソレノイドを設け、開閉部811aが初期位置にあるときには、遊技盤20内にソレノイドを収容し、開閉部811aが開放されることで第1状態となった場合に、当該ソレノイドを前方に突出させる(つまり、阻止位置に配置する)構成としてもよい。
あるいは、遊技盤20(遊技板50)側から前方に突出可能なソレノイドを、戻り球防止機構800より遊技領域21側の、突出した場合に戻り球防止機構800から遊技領域21側に向かう遊技球を発射通路31側に押し戻す位置に設け、開閉部811aが初期位置にあるときには、遊技盤20内にソレノイドを収容し、遊技球が開閉部811aを押し退けて遊技領域21側に進入した場合に、当該ソレノイドを前方に突出させる(つまり、阻止位置に配置する)構成としてもよい。
なお、上記のような構成において、遊技球に不正に取り付けられた糸が検出された場合に、前方に突出したソレノイドをロックさせることで、突出部811eが阻止位置にて維持された場合と同様、その後に発射装置から発射される遊技球の遊技領域21側への進入を阻止することができる。
上記第6実施形態では、開閉部811aの先端811a1に形成される切欠き部811a2を略V字状に構成したが、遊技球に取り付けられた糸を支点ピン822の軸方向に対して交差する向きに開閉部811aを跨ぐことが可能な形状であれば、切欠き部811a2の形状は略V字状であることに限られる必要はない。なお、遊技球に取り付けられた糸を受け入れ易くするため、入口側(開閉部811aの先端811a1側)を広めに形成し、糸との摩擦力が生じやすいよう、底側(開閉部811aの根元側)を狭く形成することが好ましい。また、切欠き部811a2にゴムなどの弾性変形可能な部位(例えば、弾性体の薄板)を取り付けることで、受け入れた糸を挟みやすいように構成してもよい。
上記第6実施形態では、3つの切欠き部811a2を開閉部811aの先端811a1に形成する構成としたが、切欠き部811a2の数は、1つまたは2つでもよいし、4つ以上であってもよい。また、切欠き部811a2の配置は、開閉部811aの前方側または後方側に偏っていてもよい。このとき、先端811a1の傾きにおける下流側となる位置に切欠き部811a2を設けると、切欠き部811a2が、遊技球に取り付けられた糸を受け入れやすくなるので好ましい。
上記第6実施形態では、開閉部811aの先端811a1は、前方側に向かうにつれて直線的に下降傾斜するよう構成したが、下降傾斜の形状は曲線であってもよい。
上記第6実施形態では、開閉部811aの先端811a1は、前方側に向かうにつれて下降傾斜するよう構成したが、先端811a1に形成された切欠き部811a2に向けて下降傾斜するよう形成してもよい。つまり、隣接する切欠き部811a2の間には、これらの間における中央側の頂点から、各切欠き部811a2に向かう下降傾斜が形成される構成としてもよい。なお、開閉部811aの先端811a1における、少なくとも一方の端に向かう傾斜は下降傾斜であることが好ましい。
上記第6実施形態では、糸受け部821c(傾斜面821c1)を錘部811bの前方側に配置し、遊技球に取り付けられた糸を、糸受け部821cの傾斜面821c1と錘部811bの前面811b1との間に狭持させる構成としたが、必ずしも、遊技球に取り付けられた糸を狭持するための糸受け部は、錘部811bの前方に配置される必要はない。
例えば、支点ピン822に挿通可能な開口が略中央に形成された皿状部材を、ゲート部材810と座金840との間に、底方向をゲート部材810に向けて配置されるように支点ピン822に挿通させることで、隙間861を通って下方に誘導された糸を、開閉部811aと皿状部材との間に受け入れることができる。これにより、遊技球に取り付けられた糸と開閉部811aとの間に摩擦力を生じさせることができ、それにより、ゲート部材810(開閉部811a)の回動を抑制することが可能となる。
上記第6実施形態では、遊技球に取り付けられた糸と、糸受け部821cの傾斜面821c1と錘部811bの前面811b1との間に狭持させることで生じた摩擦力を利用して、ゲート部材810(開閉部811a)の回動を抑制し、それにより、例えば、開閉部811aが第1状態に移行することを抑制する構成としたが、ゲート部材810の回動を抑制するための摩擦力を発生させる部位としては、必ずしも、開閉部811aに連動して動作する錘部811bに限定されない。
例えば、錘部811bと同様、開閉部811aに連動して動作する突出部811eとの間に遊技球に取り付けられた糸を狭持可能な糸受け部を設け、該糸受け部と突出部811eとの間に遊技球に取り付けられた糸を狭持させてもよい。また、突出部811eのように、錘部811bや突出部811eのように、開閉部811aの回動に連動して支点ピン22周りを回動する部位に限らず、開閉部811aの回動に連動して上下または左右方向に動作する部位または部材がある場合には、当該部位または部材との間に遊技球に取り付けられた糸を狭持可能な糸受け部を設ける構成としてもよい。
上記第6実施形態では、糸受け部821cの傾斜面821c1と錘部811bの前面811b1との間に狭持させることで、ゲート部材810(開閉部811a)の回動を抑制し、それにより、例えば、開閉部811aが第1状態に移行することを抑制する構成としたが、ゲート部材810の回動を抑制する構成としては、必ずしも、上記構成に限定されない。
例えば、ゲート部材810の回動を、当該ゲート部材810に固着された回動軸をモータやソレノイドなどの動力源によって回動させることで行うものとし、遊技球に不正に取り付けられた糸が検出された場合には、回動軸を回動させる動力を停止することで、ゲート部材810(開閉部811a)の回動を抑制する構成としてもよい。
なお、遊技球に不正に取り付けられた糸を検出する手段としては、例えば、遊技球に取り付けられた糸が接触または近接したことで当該糸を検出可能な検出部(例えば、接触センサや近接センサなど)が例示される。かかる検出部は、切欠き部811a2の内側や、開閉部811aにおける前方側の端辺811a3や、開閉部811aにおける後方側の端辺に設ければよい。なお、検出部を開閉部811aに設ける場合、少なくとも、先端811a1における後方側の端(すなわち、遊技板50側の端)の付近が、当該後方側の端に向けて下降傾斜する構成であることが好ましい。
上記第6実施形態では、阻止位置に配置された突出部811eが、遊技球に取り付けられた糸が切欠き部811a2に引っ掛かることで、阻止位置に維持される構成としたが、突出部811eを阻止位置に維持する構成としては、必ずしも、上記構成に限定されない。
例えば、ゲート部材810の回動を、当該ゲート部材810に固着された回動軸をモータやソレノイドなどの動力源によって回動させることで行うものとし、遊技球に不正に取り付けられた糸が検出された場合には、回動軸を回動させる動力を停止することで、突出部811eを阻止位置に維持させる構成としてもよい。
なお、遊技球に不正に取り付けられた糸を検出する手段としては、例えば、遊技球に取り付けられた糸を検出可能な検出部(例えば、接触センサや近接センサなど)が例示される。かかる検出部は、切欠き部811a2の内側や、開閉部811aにおける前方側の端辺811a3や、開閉部811aにおける後方側の端辺に設ければよい。
上記第6実施形態では、内レール29bの先には、複数の遊技釘100Aが配列されているため、戻り球防止機構800は、それら複数の遊技釘100Aの先端側に取り付けられる構成であった。複数の遊技釘100Aに代えて、内レール29bが延長されている場合には、内レール29bの先端側に戻り球防止機構800を取り付ける構成としてもよい。内レール29bの先端側に戻り球防止機構800を取り付ける場合、突出部811eの形状に沿って内レール29bを切欠くことで、発射通路31を通過する遊技球が、突出部811eと内レール29bとの間を擦り抜けて遊技領域21側へと進入することを好適に抑制できる。
上記第6実施形態では、錘812が、錘部811bの先端側に遊技機正面視における前後方向に付設される構成としたが、突出部811eに錘812を付設する構成としてもよい。つまり、突出部811eが、錘部811bとしての機能を果たす構成としてもよい。突出部811eに錘812を付設することで、開閉部811aを初期位置に復帰させるための付勢力をより好適に発生することができる。また、上記第6実施形態では、錘部811bに錘812を付設する構成としたが、錘812を付設することなく、錘部811bを樹脂体811の材料のみで構成してもよいし、また、錘部811bを必ずしも設ける必要はなく、バネなどの付勢力によって開閉部811aを初期位置に復帰させても良い。
上記第6実施形態では、突出部811eが阻止位置に配置された状態で発射通路31から遊技領域21側へ遊技球が進行不能にして当該遊技球を遊技者側に戻す構成としたが、突出部811eに当接した遊技球が別の通路へ進行して遊技者側に戻らない構成としても良く、例えば、不正行為を行った場合に所持していた遊技球が遊技領域21に進入することなくアウト口に進行する構成としても良い。例えば、外レール29a又は遊技板50の前面51に、阻止位置に配置された突出部811eに対して発射通路31を進行した遊技球が接触した場合に、当該遊技球が反射して進行することとなる方向側に開口する、アウト口としての通路の入口を形成しても良く、これにより、不正行為が行われた場合においてペナルティを付加し、不正行為を好適に抑制することができる。
また、ゲート部材810の回動を検出する動作検出手段(例えば、接触センサや近接センサなどによってゲート部材810が非作動位置から移動していることを検出する検出装置)を設け、非作動位置からの移動が一定時間以上継続した場合に、異常状態に対応した制御を行うものとしても良く、この異常状態に対応した制御として、入賞口への入賞を無効とする入賞無効制御を実施しても良いし、これに代えて、又はこれに加えて、遊技球を発射不能にする発射不能制御を行っても良い。
なお、遊技球に不正に取り付けられた糸を検出する手段としては、例えば、遊技球に取り付けられた糸が接触または近接したことで当該糸を検出可能な検出部が例示される。
(12)本発明は、上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良く、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球等の各種遊技機として実施するようにしても良い。
<上記実施形態から抽出される発明>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
<特徴10>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)と、該遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる遊技釘(遊技釘100A,100B,100C,100D)とを備えた遊技機(パチンコ機10)において、
前記遊技板に取り付けられる前記遊技釘の少なくとも一部は、2本の前記遊技釘間が連結部(連結部201)により連結されている釘ユニット(釘ユニット200)の形態で取り付けられることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、遊技釘の取り付け形態について未だ改良の余地があった。例えば、従来の遊技機において、遊技板に打ち込まれた遊技釘が不正に曲げられてしまうと、設計値とは異なる性能の遊技機になってしまう。
これに対し、特徴10に記載の遊技機であれば、遊技板に取り付けられる遊技釘の少なくとも一部が、遊技釘と遊技釘との間が連結部により連結された釘ユニットの形態で取り付けられているので、遊技釘の曲げ方向の自由度が連結部によって規制される。これにより、遊技釘を不正に曲げることが難しくなるため、遊技釘を曲げる不正行為を抑制できる。
<特徴11>
特徴10に記載の遊技機であって、
前記釘ユニットは、前記連結部により連結された前記2本の遊技釘間に、前記連結部から前記遊技釘と略同方向に延びる中間部材(突出部201a)を含むことを特徴とする遊技機。
特徴11に記載の遊技機であれば、釘ユニットは、連結部により連結された2本の遊技釘間に、当該連結部から遊技釘と略同方向に延びる中間部材を含むので、中間部材の設置状況を変化させることとで2本の遊技釘間の距離が種々の釘ユニットを準備することが可能となる。これにより、例えば、配列された(連ねて配置される)複数の遊技釘を釘ユニットによって代替させることが可能となる。
<特徴12>
特徴11に記載の遊技機であって、
前記中間部材は、前記釘ユニットを前記遊技板に取り付けた場合に、該遊技板側の先端が該遊技板の前面より前方に位置するよう設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴12に記載の遊技機であれば、中間部材は、釘ユニットを遊技板に取り付けた場合に、遊技板側の先端が遊技板の前面より前方に位置するよう設けられているので、釘ユニットを遊技板に取り付けた状態であっても撓むことが可能となる。よって、当該中間部材が設けられた釘ユニットを、遊技球を所定方向に誘導するために当該所定方向に連ねて配置された複数の遊技釘に代えて利用した場合、所定方向に誘導される遊技球が中間部材上にて当該中間部材の撓みによって弾み易くなる。
<特徴20>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)と、該遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる遊技釘(遊技釘100A,100B,100C,100D)とを備えた遊技機(パチンコ機10)において、
入球口(一般入賞口324など)を有し、該入球口を遊技球が通過した場合に所定の特典を付与する入球装置(一般入賞装置334など)と、
該入球装置に一体化して、該入球装置の近傍に取り付けられている前記遊技釘と共に前記入球口への入口を構成する入口構成部(ピン401)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、遊技釘の配置について未だ改良の余地があった。例えば、従来の遊技機において、遊技板に打ち込まれた遊技釘が不正に曲げられてしまうと、設計値とは異なる性能の遊技機になってしまう。不正な曲げによって性能の変化が大きい遊技釘は、例えば、始動入賞装置などの各種入賞装置(入球装置)における入賞口(入球口)の上方に取り付けられ当該入賞口への入口として機能する一対の遊技釘であり、当該一対の遊技釘の間隔を広げることで、入賞装置への遊技球の進入が不正に易化される。
これに対し、特徴20に記載の遊技機であれば、入球装置の近傍に取り付けられている遊技釘と共に、該入球装置における入球口への入口を構成する入口構成部が当該入球装置に一体化されているので、不正を行ったことで入口構成部が破損した場合には、入球装置の見た目が変化するので、当該不正行為を発見し易い。また、入口構成部が入球装置に対して動かないように一体化した場合には、入球口への入口を広げるための不正を入口構成部に施すことが困難となる。よって、入球口への有利にするための不正行為を抑制できる。
<特徴21>
特徴20に記載の遊技機であって、
前記入球装置を前記遊技板に取り付けるための取付部(ビス301を挿通するための第1の挿通口、ビス302を挿通するための第2の挿通口)を備え、
前記取付部は、前記入球装置の、当該入球装置の入球口を遊技機正面視におけるほぼ真上に向けた状態において前記入球口の中心を通る上下方向の軸の左側に設けられた第1取付部と、前記軸の右側に設けられた第2取付部とを含み、
前記第1取付部と前記第2取付部とのうち一方の取付部は、前記遊技板における特定の第1取付位置(止め穴54)に取り付けられ、
前記第1取付部と前記第2取付部とのうち他方の取付部は、前記遊技板における複数の第2取付位置(止め穴55,56)のいずれかに取り付けられることを特徴とする遊技機。
特徴21に記載の遊技機であれば、入球口を遊技機正面視におけるほぼ真上に向けた状態において当該入球口の中心を通る上下方向の軸の左右にそれぞれ設けられた第1取付部と第2取付部のうち、一方の取付部が、遊技板における特定の第1取付位置に取り付けられ、他方の取付部が、複数の第2の取付位置のいずれかに取り付けられるので、取付部を取り付けるために選択した第2の取付位置に応じて、入口構成部の、入口を構成する遊技釘に対する相対位置を変化させることができる。遊技釘に対する入口構成部の相対位置が変化すると、それに伴って、入球口への入口の間隔や当該入口への進入方向が変化するので、入球口への遊技球の入賞を入賞させる遊技に変化をもたらすことができる。これにより、異なる遊技性とした複数種類の遊技機を、取付部を取り付けるための第2の取付位置を選択することで簡易的に製造することができる。
<特徴30>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)を備えた遊技機(パチンコ機10)において、
前記遊技板の前面側には、発射装置から発射された遊技球が通過する発射通路(発射通路31)と、該発射通路から排出された遊技球が流下する遊技領域(遊技領域21)とが形成され、
前記発射通路と前記遊技領域とを仕切る仕切り部(配列された複数の遊技釘100A)を備え、
前記仕切り部は、前記遊技板に対して平行な断面における少なくとも前記遊技領域側が起伏形状に構成されていることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、提供する遊技の興趣について未だ改良の余地があった。例えば、近年、遊技領域の中央に配設される中央構造体(センター装飾部材)が遊技の興趣向上のために大型化され、それに伴い、遊技球が流下する領域が限定される傾向にある。遊技球が流下する領域が限定されたことで、遊技球の流下挙動が単調となり、それによって、遊技球を流下させて入賞口や始動口などに入賞させる遊技の興趣が失われる可能性があった。
これに対し、特徴30に記載の遊技機であれば、発射装置から発射された遊技球が通過する発射通路と、該発射通路から排出された遊技球が流下する遊技領域とを仕切る仕切り部が、遊技板に対して平行な断面における少なくとも遊技領域側が起伏形状に構成されている。これにより、仕切り部に遊技領域側から接触した遊技球の挙動が複雑化されるので、中央構造体が大型化されたことで遊技領域が限定される場合であっても、遊技球の流下挙動が単調となり難く、好適な遊技の興趣を提供できる。
なお、発射通路と遊技領域とを仕切る仕切り部として、発射通路における遊技領域側の壁面を一定の幅で構成する部分としてもよい。
<特徴31>
特徴30に記載の遊技機であって、
前記仕切り部は、前記遊技板に対して平行な断面における前記発射領域側と前記遊技領域側とがともに起伏形状に構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴31に記載の遊技機であれば、仕切り部が、遊技板に対して平行な断面における遊技領域側だけでなく、発射領域側が起伏形状に構成されているので、発射装置から発射された遊技球が遊技領域に到達せずに発射通路を逆流する場合において、逆流する遊技球の挙動が仕切り部との接触によって複雑化されるため、逆流する遊技球と次に発射された遊技球との衝突可能性を低減できる。これにより、遊技球が発射通路を逆流する事象が発生した後、遊技を早期に復帰させることが可能となる。
<特徴32>
特徴30または31に記載の遊技機であって、
前記遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる遊技釘(遊技釘100A,100B,100C,100D)を備え、
前記仕切り部は、複数の前記遊技釘の配列から構成されることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機においては、発射装置から発射された遊技球は、一組のレールにガイドされ、これらのレールの間に形成される発射通路を通って遊技領域に進入する(例えば、特開2008−161638号公報参照)。しかしながら、従来の遊技機においては、発射された遊技球をガイドする一組のレールは、一般的に、金属製の薄板を滑らかに湾曲させながらねじ止めなどによって所定間隔で固定することで遊技板に立設されているので、使用により歪み易いという問題があった。レールが歪んだ場合、遊技領域を流下する遊技球が遊技釘とレールとの間に嵌まり込むなど、適正な遊技が阻害される可能性がある。
特徴32に記載の遊技機であれば、仕切り部は、複数の遊技釘の配列から構成されているので、個々の遊技釘に歪みが生じ難いことから、使用による仕切り部の歪みが生じ難く、適正な遊技を長期にわたって提供することができる。また、遊技釘を仕切り部として流用することができる。
<特徴40>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)と、該遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる遊技釘(遊技釘100B,100C)とを備えた遊技機(パチンコ機10)において、
前記遊技釘は、前記前方側に突出する突端部に設けられる頭部(頭部102)と、該頭部の外径より細く形成された軸部(軸部101B,101C)とを備え、前記遊技板の前面側より前記軸部が挿入されて前記遊技板に取り付けられるものであり、
前記軸部は、該軸部の軸方向に対して垂直な断面が非円形状であり、該断面が第1の曲率の円弧に形成された第1の外面と、該第1の外面に接続された、前記断面が前記第1の曲率より小さな第2の曲率の円弧、直線、または少なくとも1の折れ曲がった角部を有する形に形成された第2の外面とを備えていることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、遊技釘の形状について未だ改良の余地があった。例えば、従来の遊技機では、軸部の断面が略円形である遊技釘が一般的であり、遊技球が接触する(衝突する)位置に応じて特徴的な跳ね返りをすることがなく、興趣に欠けていた。
これに対し、特徴40に記載の遊技機であれば、遊技釘の軸部が、該軸部の軸方向(すなわち、該軸の長手方向)に対して垂直な断面が非円形状であり、該断面が第1の曲率の円弧に形成された第1の外面と、該第1の外面に接続された、前記断面が第1の曲率より小さな第2の曲率の円弧、直線、または少なくとも1の折れ曲がった角部を有する形に形成された第2の外面とを備えている。よって、遊技球が接触する位置に応じて特徴的に跳ね返ることになるため、遊技釘により跳ね返る遊技球の挙動に対する興趣を向上させることができる。
また、軸部の断面が略円形である遊技釘が、遊技領域の周縁に設けられた仕切り部の近傍に取り付けられた場合、遊技領域を流下する遊技球が仕切り部と遊技釘の軸部の外周とにより形成される空間に嵌まり込むことがあった。これに対し、特徴40に記載の遊技機であれば、上記構成される遊技釘を、例えば、第1の外面を、仕切り部に対し当該仕切り部との間に遊技球が嵌まり込まないような向きで仕切り部の近傍に取り付けることで、遊技領域を流下する遊技球が仕切り部と遊技釘の軸部の外周とにより形成される空間に嵌まり込むことを抑制できる。
<特徴41>
特徴40に記載の遊技機であって、
前記遊技板の前面側には、発射装置から発射された遊技球が通過する発射通路(発射通路31)と、該発射通路から排出された遊技球が流下する遊技領域(遊技領域21)とが形成され、
前記発射通路と前記遊技領域との境界において、前記第1の外面が前記発射通路側に向けて配列された複数の前記遊技釘から構成される仕切り部(配列された複数の遊技釘100B)を備えていることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機においては、発射装置から発射された遊技球は、一組のレールにガイドされ、これらのレールの間に形成される発射通路を通って遊技領域に進入する(例えば、特開2008−161638号公報参照)。しかしながら、従来の遊技機においては、発射された遊技球をガイドする一組のレールは、一般的に、金属製の薄板から構成されているため、使用により歪み易いという問題があった。レールが歪んだ場合、それにより適正な遊技が阻害される虞がある。
特徴41に記載の遊技機であれば、仕切り部は、複数の遊技釘の配列から構成されているので、使用による歪みが生じ難く、適正な遊技を長期にわたって提供することができる。また、仕切り部を構成する複数の遊技釘は、第1の外面が発射通路側に向けて配列されているので、発射装置から発射された遊技球を好適にガイドして遊技領域へと進入させることができる。
<特徴42>
特徴40に記載の遊技機であって、
前記遊技板の前面側には、発射装置から発射された遊技球が通過する発射通路(発射通路31)と、該発射通路から排出された遊技球が流下する遊技領域(遊技領域21)とが形成され、
前記遊技釘のうち、前記遊技領域における前記発射通路の出口近傍に取り付けられる遊技釘(遊技釘100C)は、前記軸部の前記第2外面が、鋭角に折れ曲がった角部を有する形状に構成され、該鋭角に折れ曲がった角部を遊技機正面視における上方側に向けて前記遊技板に取り付けられることを特徴とする遊技機。
特徴42に記載の遊技機であれば、鋭角に折れ曲がった角部を有する形状に構成された第2外面を軸部に有する遊技釘が、該鋭角に折れ曲がった角部を遊技機正面視における上方側に向けて発射通路31の出口近傍に取り付けられているので、発射領域から遊技領域に進入した遊技球について、前記第2外面を有する遊技釘による跳ね返り挙動を複雑化することができる。これにより、発射領域から遊技領域に進入した遊技球の挙動を遊技者に楽しませることができる。
なお、発射通路の出口近傍に取り付けられる遊技釘として、遊技領域の入口(発射通路の出口)より高い位置に設けられ、当該入口から進入した遊技球を当該入口から離れた側(具体的には、遊技球の進行方向先端側)にて下方へと流下させることが可能な通路を形成する遊技釘であって当該通路における遊技領域の入口に近い側に配置される遊技釘としてもよく、当該通路を構成する遊技釘が上下方向に複数並んでいる場合は、それらのうち一番上に配置される遊技釘としてもよい。
<特徴50>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)と、該遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる遊技釘(遊技釘100A,100B,100C,100D)とを備えた遊技機(パチンコ機10)において、
前記遊技釘は、前記前方側に突出する突端部に設けられる頭部(頭部102)と、該頭部の外径より細く形成された軸部(軸部101A,101B,101C,101D)とを備え、前記遊技板の前面側より前記軸部が挿入されて前記遊技板に取り付けられるものであり、
前記軸部には、該軸部の軸方向に対して角度を持つ方向に延びる該軸部を破損可能な溝部(溝部115,116)が外周に形成されていることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、遊技釘の形状について未だ改良の余地があった。例えば、従来の遊技機において、遊技板に打ち込まれた遊技釘が不正に曲げられてしまうと、設計値とは異なる性能の遊技機になってしまう。
これに対し、特徴50に記載の遊技機であれば、遊技釘の軸部には、該軸部の軸方向に対して角度を持つ方向に延びる該軸部を破損可能な溝部が外周に形成されているので、遊技釘を曲げるための負荷を与えた場合に、その負荷によって遊技釘の軸部が破損する(例えば、折曲や折損など)可能性が、溝部を設けることで高められる。よって、遊技釘を曲げる不正行為を、軸部の破損といった見た目から発見し易い。また、そのように不正行為が発見し易くなるため、当該不正の実施が抑制される。
<特徴51>
特徴50に記載の遊技機であって、
前記溝部は、
前記軸部を軸方向に対して略垂直な方向に切り欠いた第1の溝部(溝部115)と、
前記軸部の軸方向に対して前記第1の溝部の裏側となる位置に、該第1の溝部と略同方向に切り欠いた第2の溝部(溝部116)とから構成されることを特徴とする遊技機。
特徴51に記載の遊技機であれば、遊技釘の軸部を、特定方向からかけられる負荷に対して方向性をもって、すなわち、第1の溝部または第2の溝部が延びる向きに沿って破損させ易い。よって、負荷がかけられて曲げられる可能性がある遊技釘について、第1の溝部および第2の溝部を負荷がかけられ易い方向に応じて適宜向けて取り付けることで、遊技釘を曲げる不正行為を発見し易い。
<特徴52>
特徴51に記載の遊技機であって、
前記遊技板に取り付けられる前記遊技釘の少なくとも一部は、2本の前記遊技釘間が連結部(連結部201)により連結された釘ユニット(釘ユニット200)の形態で前記遊技板に設けられ、
前記釘ユニットにおいて前記連結部により連結された前記遊技釘は、前記第1の溝部または前記第2の溝部が延びる方向が、前記連結部が延びる方向に沿った方向を向くように配置されていることを特徴とする遊技機。
特徴52に記載の遊技機であれば、第1の溝部または第2の溝部が延びる方向が、釘ユニットにおける連結部が延びる方向に沿った方向を向くように配置されているので、溝部が破損した場合には、釘ユニットの見た目が大きく変わることになる。よって、不正にかけられた負荷によって行われた不正行為を、見た目の変化によって早期に発見でできる。
<特徴53>
特徴50から52のいずれかに記載の遊技機であって、
前記溝部は、前記遊技釘を前記遊技板に取り付けた場合に該遊技板の前面より前方であって、前記頭部より前記遊技板の前面に近い位置に形成されていることを特徴とする遊技機。
特徴53に記載の遊技機であれば、溝部が、遊技釘を遊技板に取り付けた場合に該遊技板の前面より前方であって、遊技釘の頭部より遊技板の前面に近い位置に形成されているので、頭部に不正に力を加えて遊技釘を曲げようとした場合に、力を加えられる位置(つまり力点)に対し、溝部が、支点となる遊技板の前面に比較的近い位置となるため、溝部に負荷がかかり易く、軸部を溝部において破損させ易い。
<特徴54>
特徴53に記載の遊技機であって、
前記溝部は、前記遊技釘を前記遊技板に取り付けた場合に該遊技板の前面から前方に所定長さの位置に形成されていることを特徴とする遊技機。
特徴54に記載の遊技機であれば、溝部は、遊技釘を前記遊技板に取り付けた場合に該遊技板の前面から前方に所定長さの位置に形成されているので、軸部が溝部において折損された場合であっても、遊技釘は遊技板から所定長さだけ出た状態で残されるので、遊技釘を遊技板から取り外す作業を行い易い。
<特徴55>
特徴50から52のいずれかに記載の遊技機であって、
前記溝部は、前記遊技板に取り付けた前記遊技釘において前記遊技板の前面側を流下する遊技球が接触可能な位置より前記頭部の側に形成されていることを特徴とする遊技機。
特徴55に記載の遊技機であれば、溝部が、遊技板に取り付けた遊技釘において当該遊技板の前面側を流下する遊技球が接触可能な位置より頭部の側に形成されるので、遊技球との接触によって損傷を受ける可能性が少ない。よって、遊技中に遊技釘が誤って折損される場合を低減しつつ、不正行為を発見し易い機能を付加することができる。
<特徴60>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)と、該遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる複数の遊技釘(遊技釘100A,100B,100C,100D)とを備えた遊技機(パチンコ機10)において、
遊技球が通過した場合に所定の特典を付与する特定領域(始動入賞口525,625,725)と、
前記複数の遊技釘のうち、前記特定領域に通じる通路の少なくとも一部を構成する特定釘に対して取り付ける釘カバー(釘カバー部535b,635c,735c)と、
を備え、
前記釘カバーは、前記特定釘における前記前方側の端部である前方端部の周囲のうち、少なくとも遊技球の通過方向に対して交差する所定部分の外方に配置される壁部(収容部535b1,635c1,735c1の内壁)を備えていることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、遊技板に取り付けた遊技釘に関し、未だ改良の余地があった。例えば、従来の遊技機において、遊技板に打ち込まれた遊技釘が不正に曲げられてしまうと、設計値とは異なる性能の遊技機になってしまう。
これに対し、特徴60に記載の遊技機であれば、複数の遊技釘のうち所定の特定釘に対して取り付ける釘カバーには、特定釘における前方端部の周囲のうち、少なくとも遊技球の通過方向に対して交差する所定部分の外方に配置される壁部を有しているので、特定釘の前方端部を当該壁部が配置された方向に動かすことが困難となる。よって、特定釘に釘カバーを取り付けることで、当該特定釘が、少なくとも遊技球の通過方向に対して交差する向きに不正に曲げられることを抑制することができる。
ここで、例えば、始動入賞口などの各種特定領域の上方に取り付けられた、当該特定領域へ遊技球を導く通路の一部であり当該特定領域への入口として機能する一対の遊技釘に対し、当該一対の遊技釘の間隔を不正に広げ、それにより、特定領域への遊技球の進入を有利にさせる不正行為が存在していた。これに対し、特徴60に記載の遊技機であれば、例えば、特定領域の上方に取り付けられた一対の遊技釘を特定釘として、当該一対の遊技釘の間隔を広げる方向(つまり、遊技球の通過方向に対して交差する方向)の外に壁部が配置されたことで、当該一対の遊技釘の間隔を広げることが困難となり、それにより、その間隔を不正に広げる行為を抑制することができる。
また、始動入賞口などの各種特定領域へと遊技球を導く通路として並べられた複数の遊技釘に対し、それら複数の遊技釘の一部または全てを遊技機正面視における上方または下方に曲げることで遊技球を導く経路を変更させ、それにより、特定領域への遊技球の進入を不正に有利にさせることが考えられる。これに対し、特徴60に記載の遊技機であれば、特定領域へと遊技球を導く通路として並べられた複数の遊技釘の少なくとも一部を特定釘として、当該特定釘を遊技機正面視における上方または下方(つまり、特定領域である入賞口に通じる通路を通過する遊技球の通過方向に対して交差する方向)に壁部が配置されたことで、壁部が配置された方向に特定釘を曲げることが困難となり、それにより、上記不正行為を抑制することができる。
なお、特徴60に記載の釘カバーとして、少なくとも遊技球の通過方向に対して交差する所定部分の外方に配置される壁部を有する構成に代えて、又は、当該壁部を有する構成に加えて、前方端部に対して遊技者側の少なくとも一部を覆う壁部を有する釘カバーとしてもよく、これにより、遊技者側から見て遊技釘の前方端部が釘カバーに覆われるので、不正行為を行おうとするものに対して、前方端部に対して力を加える不正が困難であることを認識させることができる。
<特徴61>
特徴60に記載の遊技機であって、
前記遊技板の前面側を視認可能に覆う被覆部材(ガラス板11)を備え、
前記釘カバーは、前記遊技板または前記被覆部材に直接的に、あるいは、前記遊技板または前記被覆部材に固定された支持部材を介して間接的に取り付けられることで、前記特定釘に対する取り付け状態が保持されることを特徴とする遊技機。
特徴61に記載の遊技機であれば、釘カバーは、特定釘に対する取り付け状態が保持されるよう、直接的または間接的に遊技板または被覆部材に取り付けられているので、釘カバーが誤って外れたり、特定釘に対する取り付け位置がずれたりなどの事象の発生が抑制されるので、特定釘が意図しない方向に曲げられることを抑制できる。
<特徴62>
特徴60または61に記載の遊技機であって、
前記特定釘は、前記前方端部とは反対側の端部が前記遊技板に取り付けられ、前記前方端部へと略棒状に延びる軸部(軸部101A)と、該軸部の前記前方端部側に連設される頭部(頭部102)とを備え、
前記釘カバーは、該釘カバーの取付状態において、前記頭部より遊技機正面視の上方側の外形が、前記軸部の軸中心に応じた位置を中心とする、前記頭部の外径より大きな径の略円弧形状に構成される部位を有することを特徴とする遊技機。
特徴62に記載の遊技機であれば、釘カバーは、その取付状態において、遊技釘の頭部より遊技機正面視の上方側の外形が、遊技釘の軸部の軸中心に応じた位置を中心とする、前記頭部の外径より大きな径の円弧形状に構成されるので、遊技釘が釘カバーにより覆われた状態における遊技球の流下挙動を、当該遊技釘の頭部が釘カバーにより覆われることなく露出しているときの流下挙動に似せることができる。よって、遊技釘に対し釘カバーを取り付けた場合であっても、遊技球の流下挙動に関して遊技者が感じる違和感を抑制することができる。
<特徴63>
特徴60から62のいずれかに記載の遊技機であって、
前記特定釘は、前記前方端部とは反対側の端部が前記遊技板に取り付けられ、前記前方端部へと略棒状に延びる軸部と、該軸部の前記前方端部側に連設され、該軸部の外径より小径の外径を有する頭部とを備え、
前記釘カバーは、該釘カバーの取付状態において、前記頭部より遊技機正面視の上方側の外形が、前記軸部の軸中心に応じた位置を中心とする、前記軸部の外径より大きな径の略円弧形状に構成される部位を有することを特徴とする遊技機。
特徴63に記載の遊技機であれば、頭部の外径が軸部の外径より小径に構成された遊技釘を用いた場合であっても、釘カバーの上方側の形状によって、軸部の外径より大きな外径の頭部であるかのように模倣することができる。これにより、頭部の外径が軸部の外径より大径に構成された遊技釘が取り付けられているかのような状況を擬似的に提供することができる。
<特徴64>
特徴63または64に記載の遊技機であって、
前記釘カバーが複数本の前記特定釘に対して取り付けられる場合、前記釘カバーは、該釘カバーの取り付け状態において、前記円弧形状の部分より遊技機正面視における下方側にて隣接する前記特定釘間が連結されていることを特徴とする遊技機。
特徴64に記載の遊技機であれば、釘カバーの取り付けによって隣接する特定釘が連結されているので、それら隣接する特定釘の間隔を変更することが困難になる。これにより、遊技釘間の間隔を変更することで有利な状況を不正に創り出す不正行為を抑制できる。
<特徴70>
遊技球が前面側を流下する遊技板(遊技板50)と、該遊技板の前面が向く前方側に突出するようにして取り付けられる複数の遊技釘(遊技釘100A,100B,100C,100D)とを備えた遊技機(パチンコ機10)において、
遊技球が通過した場合に所定の特典を付与する特定領域(始動入賞口525,625,725)と、
前記複数の遊技釘のうち、前記特定領域に通じる通路の少なくとも一部を構成する特定釘について、該特定釘における前記前方側の端部である前方端部を収容する収容部を有し、前記収容部に収容された前記特定釘が所定の許容範囲から外れる場合に、該特定釘に対する相対位置を変化させることで該特定釘を前記許容範囲内に位置決めできる位置決め部材(前板部635aおよび釘カバー部635c,本体部735aおよび釘カバー部735c)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口と、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘が設けられている。多数の遊技釘は、遊技盤の外形を形成する遊技板に打ち込まれて固定される(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、遊技釘の取り付けに関し、未だ改良の余地があった。例えば、遊技釘は遊技板への取り付け時において位置ずれが生じることがあり、遊技釘に位置ずれが生じた場合には、遊技機の性能が設計値と異なる可能性がある。特に、始動入賞口などの各種特定領域へ遊技球を導く通路を構成する遊技釘に位置ずれが生じた場合には、その可能性が高まる。例えば、特定領域の上方に取り付けられて当該特定領域への入口として機能する一対の遊技釘に位置ずれが生じた場合、一対の遊技釘間の距離が設計値通りとならず、それによって、特定領域に進入する遊技球の進入確率が設計値と異なる状況が生じることがある。
これに対し、特徴70に記載の遊技機であれば、複数の遊技釘のうち、特定領域に通じる通路の少なくとも一部を構成する特定釘について、位置決め部材の収容部に前方端部を収容し、当該特定釘が所定の許容範囲から外れる場合には当該特定釘に対する位置決め部材の相対位置を変化させることで、当該特定釘を前記許容範囲内に位置決めすることができる。よって、設計基準値に近い遊技機を製造し易くすることができる。
<特徴71>
特徴70に記載の遊技機であって、
前記位置決め部材は、被誘導部(係合部635a2,735a8)を備え、
遊技板に対する固定的な位置に設けられ、前記特定釘に対する前記位置決め部材の相対位置が変化するよう前記被誘導部を誘導する誘導部(係合部635b10,735b6)と、
前記特定釘が位置決めされた場合に前記位置決め部材の位置を固定する固定部(貫通孔635b11,735b7)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴71に記載の遊技機であれば、位置決め部材は、当該位置決め部の被誘導部が、遊技板に対する固定的な位置に設けられた誘導部によって誘導されることで特定釘に対する相対位置を変化させることができる。よって、特定釘に対する位置決め部材の移動方向を規制することができる。これにより、位置決め部材による特定釘の位置決めを一定的にすることができ、特定釘の位置決めに対する汎用性を高めることができる。そして、特定釘が位置決めされた場合には、固定部によって位置決め部材の位置を固定させることができるので、特定釘の位置決めを行った後に、位置決め部材を取り外す手間を省くことができる。
<特徴72>
特徴71に記載の遊技機であって、
前記誘導部および前記被誘導部は、前記位置決め部材を遊技機正面視における前方または後方に誘導するものであることを特徴とする遊技機。
特徴72に記載の遊技機であれば、位置決め部材は、誘導部および被誘導部によって、遊技機正面視における前方または後方に誘導される。よって、特定釘に対する位置決め部材の相対位置を変化させても、遊技機正面視における遊技板上での位置決め部材の配置に変化がないので、遊技板の全体的な見栄えが大きく変わらず、遊技者に違和感を与えることを抑制できる。よって、遊技者に違和感を与えずに設計基準値に近い性能となるよう遊技釘を位置決めすることができる。
<特徴73>
特徴70から72のいずれかに記載の遊技機であって、
前記位置決め部材の前記収容部は、該収容部に収容された前記特定釘と接触可能な壁部(収容部635c1,735c1の内壁)を備え、
前記壁部は、前記収容部に収容された前記特定釘に対する前記位置決め部材の相対位置を変化させたときに前記特定釘との接触が保たれる所定区間において、前記特定釘における前方端部の位置を、該所定区間の終点での前記特定釘における前方端部の位置を、該所定区間の始点における前記前方端部の位置に比べて遊技球の通過方向に対して交差する側に位置させる形状に構成されることを特徴とする遊技機。
特徴73に記載の遊技機であれば、特定釘は、当該特定釘に対する位置決め部材の相対位置を変化させた場合に、当該特定釘が接触する収容部の壁部の形状に従い、その位置を遊技球の通過方向に対して交差する側に位置決めすることができる。よって、壁部の形状を利用した簡易な方法で特定釘の位置決めを行うことができる。
<特徴74>
特徴70から73のいずれかに記載の遊技機であって、
前記収容部は、該収容部に収容された前記特定釘について、該特定釘における前記前方側の端部である前方端部の周囲のうち、少なくとも一部分を囲う形状に構成されることを特徴とする遊技機。
特徴74に記載の遊技機であれば、収容部は、当該収容部に収容された特定釘について、その特定釘における前方端部の周囲のうち、少なくとも一部分を囲う(覆う)形状に構成されるので、特定釘が収容部により囲われた方向に曲げられることを抑制できる。これにより、特定釘を曲げることで遊技機の性能を設計値と異ならせる不正行為を抑制できる。
<特徴80>
遊技球を発射する発射手段(発射装置)と、
該発射手段により発射された遊技球を、遊技球が流下する遊技領域へ向けて案内する案内通路部(発射通路31)と、
該案内通路部と前記遊技領域との間に設けられ、前記発射手段により発射された遊技球の前記案内通路部から前記遊技領域への進入を許容する許容状態(第1状態)と、前記遊技領域から前記案内通路部側への遊技球の進入を規制する規制状態(第2状態)とを切り替え可能に動作する可動部(開閉部811a)と、
該可動部が前記許容状態に切り替えられたことで前記案内通路部から前記遊技領域に進入した遊技球に取着された糸状部材が接触または接近したことに基づいて、その後に前記可動部が前記許容状態に切り替わることを抑制する抑制手段(糸受け部821c)と、
を備えていることを特徴とする遊技機(パチンコ機10)。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口や、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘などが設けられている(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、未だ改良の余地があった。例えば、従来の遊技機では、遊技球に細い糸を取り付け、糸の一部を保持した状態で遊技球を遊技領域内に発射し、その糸を操作することで不正に入賞が発生させられ、不正に遊技球を獲得されるといった不正行為が行われる可能性があった。
これに対し、特徴80に記載の遊技機であれば、発射手段により発射された遊技球を遊技領域へ向けて案内する案内通路部と遊技領域との間には、発射手段により発射された遊技球の、案内通路部から遊技領域への進入を許容する許容状態と、遊技領域から案内通路部側への遊技球の進入を規制する規制状態とを切り替え可能に動作する可動部が設けられている。
該可動部が許容状態に切り替えられたことで案内通路部から遊技領域に進入した遊技球に糸状部材が取着されている場合、該糸状部材が抑制手段に接触または接近したことに基づき、該抑制手段によって、その後における可動部の許容状態への切り替えが抑制される。可動部の許容状態への切り替えが抑制されたことで、その後に発射手段により発射される遊技球が遊技領域へ進入することが難しくなるため、不正な遊技球の獲得を抑制できる。このように、特徴80に記載の遊技機であれば、糸状部材が取着された遊技球を用いて不正に遊技球を獲得するといった不正行為を抑制できる。
<特徴81>
特徴80に記載の遊技機であって、
前記可動部は、遊技機正面視における前後方向に延びる回動軸(支点ピン822)によって回動可能に支持され
前記可動部の回動に連動して遊技機正面視における上下方向に位置が変動する連動部(錘部811b)を備え、
前記抑制手段は、遊技機正面視における前記可動部または前記連動部の前または後方側に、前記案内通路部側から前記遊技領域側に渡る前記糸状部材を遊技機正面視における上方側から受け入れ可能に、かつ、前記可動部または前記連動部とともに前記糸状部材を狭持可能に、前記可動部または前記連動部に対して離間して設けられた糸保持部(糸受け部821c)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴81に記載の遊技機であれば、可動部、または、可動部の回動に連動して遊技機正面視における上下方向に位置が変動する連動部の、遊技機正面視における前または後方側には糸保持部が設けられている。具体的に、糸保持部は、案内通路部側から遊技領域側に渡る糸状部材を遊技機正面視における上方側から受け入れ可能に、かつ、可動部または連動部とともに糸状部材を狭持可能に、可動部または連動部に対して離間して設けられている。
よって、案内通路部によって上側へと案内されて遊技領域に進入した遊技球に糸状部材が取着されている場合に、糸保持部が、案内通路部側から遊技領域側に渡る糸状部材を上方側から受け入れ、該糸状部材を可動部または連動部とともに狭持した場合、糸状部材が糸保持部と可動部または連動部との間に狭持されたことで、糸保持部との摩擦によって可動部または連動部が動き難い状態を創出できる。つまり、かかる場合、可動部が動き難い状態を直接的または間接的に創出できる。ここで、可動部は、遊技球が案内通路部から遊技領域に進入したことに伴い規制状態に切り替えられることから、案内通路部側から遊技領域側に渡る糸状部材が糸保持部において狭持された状況において、可動部は、規制状態において動き難い状態とされ、これにより、許容状態に切り替わることが抑制される。
<特徴82>
特徴81に記載の遊技機であって、
前記糸保持部は、前記可動部または前記連動部に対する離間距離が遊技機正面視における下方になるにつれて狭くなるよう形成されることを特徴とする遊技機。
特徴82に記載の遊技機であれば、糸保持部は、可動部または連動部に対する離間距離が遊技機正面視における下方になるにつれて狭くなるよう形成されているので、種々の太さの糸状部材を可動部または連動部との間に狭持することができる。よって、種々の太さの糸状部材に対して適用可能となるため、糸状部材が取着された遊技球を用いる不正行為を好適に抑制できる。
<特徴83>
特徴81または82に記載の遊技機であって、
前記可動部は、前記回動軸から離れる側の端部に、前記糸保持部が設けられた側に向かうにつれて該糸保持部の側に近づくよう前記回動軸の側へ傾斜する第1糸誘導部(先端811a1)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴83に記載の遊技機であれば、可動部には、該可動部を回動可能に支持する回動軸から離れる側の端部に、糸保持部が設けられた側に向かうにつれて該糸保持部の側に近づくよう回動軸の側に傾斜する第1糸誘導部が設けられているので、案内通路部から遊技領域に進入した遊技球に取着された糸状部材が第1糸誘導部を跨いだ場合に、該糸状部材が第1糸誘導部の傾斜によって糸保持部が設けられた側へと誘導される。これにより、糸部材が糸保持部に受け入れられ易くなるので、糸状部材が取着された遊技球を用いる不正行為を好適に抑制できる。
<特徴84>
特徴83に記載の遊技機であって、
前記連動部は、前記回動軸に対し前記可動部とは逆側に位置して、該可動部とともに前記回動軸周りに回動し、
前記糸保持部は、前記連動部の前方側に、該連動部とともに前記糸状部材を狭持可能に設けられ、
前記可動部は、前記第1糸誘導部における前方側の端から前記回動軸の側に延び、前記糸状部材を前記第1糸誘導部における前方側の端から前記回動軸の側へ向けて誘導する第2誘導部(端辺811a3)を備え、
前記第2誘導部は、少なくとも前記回動軸の側の端が、該回動軸における前方側の先端より前方側に位置することを特徴とする遊技機。
特徴84に記載の遊技機であれば、可動部には、第1糸誘導部における前方側の端から回動軸の側に延びる第2誘導部が設けられているので、発射通部を遊技領域へ向けて案内される遊技球に取着されている糸状部材は、可動部の第1誘導部により、糸保持部が設けられた前方側に案内された後、可動部の第2誘導部により、第1糸誘導部における前方側の端から回動軸の側へ向けて誘導される。
第2誘導部は、少なくとも回動軸の側の端が、該回動軸における前方側の先端より前方側に位置するよう構成されているので、第2誘導部により回動軸の側に誘導された糸状部材が回動部に引っ掛かることを抑制できる。これにより、第2誘導部により誘導される糸状部材が、回動軸を越えて、該回動軸に対して可動部とは逆側に位置する連動部の前方側に設けられた糸保持部に到達し易くなるので、糸保持部に受け入れられ易く、糸状部材が取着された遊技球を用いる不正行為を好適に抑制できる。
<特徴85>
特徴83または84に記載の遊技機であって、
前記遊技領域、前記案内通路部、および前記可動部の前方に配置された板状部材(ガラス板11)を備え、
前記連動部は、前記回動軸に対し可動部とは逆側に位置して、前記可動部とともに前記回動軸周りに回動し、
前記糸保持部は、前記連動部の前方側、かつ、前記板状部材の後方側に設けられ、
前記可動部は、前記第1糸誘導部における前方側の端から前記回動軸の側に延び、前記糸状部材を前記第1糸誘導部における前方側の端から前記回動軸の側へ向けて誘導する第2誘導部(端辺811a3)を備え、
前記糸保持部における前記糸状部材を受け入れる側の端と前記板状部材との離間距離は、前記第2誘導部における少なくとも前記回動軸の側の端と前記板状部材との離間距離より狭いことを特徴とする遊技機。
特徴85に記載の遊技機であれば、第1糸誘導部における前方側の端から回動軸の側に延びる第2誘導部が設けられているので、発射通部を遊技領域へ向けて案内される遊技球に取着されている糸状部材は、可動部の第1誘導部により、糸保持部が設けられた前方側に案内された後、可動部の第2誘導部により、第1糸誘導部における前方側の端から回動軸の側へ向けて誘導される。
糸保持部における糸状部材を受け入れる側の端と、糸保持部の前方に配置された板状部材との離間距離は、第2誘導部における少なくとも回動軸の側の端と板状部材との離間距離より狭いので、回動軸に対して可動部とは逆側に位置する連動部の前方側に設けられた糸保持部は、第2誘導部により誘導される糸状部材を受け入れ易い。よって、糸状部材が取着された遊技球を用いる不正行為を好適に抑制できる。
なお、特徴85において、「前記糸保持部における前記糸状部材を受け入れる側の端と前記板状部材との離間距離」は、ゼロ、すなわち、糸保持部における糸状部材を受け入れる側の端が、板状部材に接している場合を含んでもよい。糸保持部における糸状部材を受け入れる側の端が板状部材に接している場合には、第2誘導部により誘導される糸状部材が、糸保持部と板状部材との間に形成された隙間に入り、それによって、糸保持部に受け入れられなくなることを抑制できる。
<特徴90>
遊技球を発射する発射手段(発射装置)と、
該発射手段により発射された遊技球を、遊技球が流下する遊技領域へ向けて案内する案内通路部(発射通路31)と、
該案内通路部と前記遊技領域との間に設けられ、前記発射手段により発射された遊技球の前記案内通路部から前記遊技領域への進入を許容する許容状態(第1状態)と、前記遊技領域から前記案内通路部側への遊技球の進入を規制する規制状態(第2状態)とを切り替え可能に動作する可動部(開閉部811a)と、
該可動部が前記規制状態から前記許容状態に対応した側へ動作した場合に、前記発射手段により発射された遊技球の前記案内通路部から前記遊技領域側への進行を阻止可能な阻止位置に配置される進入阻止部(突出部811e)と、
該進入阻止部が前記阻止位置に配置された状態を、前記案内通路部から前記遊技領域に進入した遊技球に取着された前記糸状部材に基づいて維持可能な阻止状態維持手段(切欠き部811a2)と、
を備えていることを特徴とする遊技機(パチンコ機10)。
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。パチンコ機は、例えば、遊技球が流下する遊技領域を形成する遊技盤を備え、遊技領域には、遊技球が入賞した場合に遊技球が払い出される入賞口や、その入賞口へ遊技球を導く通路と入賞口に入賞しないでアウト口へ導く通路とを形成する多数の遊技釘などが設けられている(例えば、特開2008−161638号公報参照)。
しかしながら、従来の遊技機においては、未だ改良の余地があった。例えば、従来の遊技機では、遊技球に細い糸を取り付け、糸の一部を保持した状態で遊技球を遊技領域内に発射し、その糸を操作することで不正に入賞が発生させられ、不正に遊技球を獲得されるといった不正行為が行われる可能性があった。
これに対し、特徴90に記載の遊技機であれば、発射手段により発射された遊技球を遊技領域へ向けて案内する案内通路部と遊技領域との間には、発射手段により発射された遊技球の、案内通路部から遊技領域への進入を許容する許容状態と、遊技領域から案内通路部側への遊技球の進入を規制する規制状態とを切り替え可能に動作する可動部が設けられている。
該可動部が規制状態から許容状態に対応した側へ動作した場合、進入阻止部が、発射手段により発射された遊技球の、案内通路部から遊技領域側への進行を阻止可能な阻止位置に配置される。進入阻止部が阻止位置に配置された状態は、阻止状態維持手段によって、案内通路部から遊技領域に進入した遊技球に取着された糸状部材に基づいて維持可能である。
よって、進入阻止部が阻止位置に配置された状態が阻止状態維持手段によって維持された場合には、その後に発射装置から発射された遊技球が遊技球に進入できず、不正な遊技球の獲得を抑制できる。このように、特徴90に記載の遊技機であれば、糸状部材が取着された遊技球を用いて不正に遊技球を獲得するといった不正行為を抑制できる。
<特徴91>
特徴90に記載の遊技機であって、
前記可動部は、遊技機正面視における前後方向に延びる回動軸(支点ピン822)によって回動可能に支持され、発射手段により発射された遊技球が前記案内通路部から前記遊技領域へ進入する場合に前記回動軸周りを前記遊技領域側に回動して前記許容状態に切り替えられるとともに、遊技球が前記案内通路部から前記遊技領域に進入したことに伴い前記回動軸周りを前記案内通路側に回動して前記規制状態に切り替えられ、
前記進入阻止部は、前記回動軸に対し前記可動部とは逆側に位置して、前記可動部が前記規制状態から前記許容状態に対応した側へ回動した場合に、前記可動部とともに前記回動軸周りに回動して、遊技機正面視における前方側から見て前記案内通路部の少なくとも一部に重なる前記阻止位置に配置され、
前記阻止状態維持手段は、前記可動部における前記回動軸から離れる側の端部に、該端部の側から、前記回動軸に対して交差する向きに前記可動部を跨いで前記案内通路部側から前記遊技領域側に渡る糸状部材を受け入れ可能に形成された糸受け部(切欠き部811a2)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴91に記載の遊技機であれば、阻止状態維持手段は、可動部における回動軸から離れる側の端部に設けられた糸受け部を備えている。該糸受け部は、可動部における回動軸から離れる側の端部の側から、回動軸に対して交差する向きに可動部を跨いで案内通路部側から遊技領域側に渡る糸状部材を受け入れ可能に形成される。
よって、可動部が許容状態となって案内通路から遊技領域に進入した遊技球に糸状部材が取着されている場合に、糸受け部が、回動軸に対して交差する向きに可動部を跨いで案内通路部側から遊技領域側に渡る糸状部材を受け入れた場合、遊技領域を流下する遊技球によって引かれた糸状部材が、許容状態にある可動部を遊技領域側へと引っ張る、または、当該可動部を遊技領域側へ押さえ込み、それにより、可動部を許容状態のまま維持することができる。
進入阻止部は、可動部が規制状態から許容状態に対応した側へ回動した場合に、可動部とともに回動軸周りに回動し、遊技機正面視における前方側から見て案内通路部の少なくとも一部に重なる阻止位置に配置される。よって、糸受け部に受け入れられた糸状部材によって可動部が許容状態に維持されたことで、進入阻止部を阻止位置のまま維持することができ、それにより、糸状部材が取着された遊技球を用いて不正に遊技球を獲得するといった不正行為を抑制できる。
<特徴92>
特徴91に記載の遊技機であって、
前記糸受け部は、前記回動軸の側に向かうにつれて幅が狭くなる切欠き部であることを特徴とする遊技機。
特徴92に記載の遊技機であれば、糸受け部は、回動軸の側に向かうにつれて幅が狭くなる切欠き部であるので、糸受け部の入口側では糸状部材を受け入れ易く、遊技球の自重によって回動軸の側に入り込むことで、糸状部材は、糸受け部に狭持され、それにより、糸受け部との間に生じる摩擦力によって可動部を遊技領域側へと好適に引っ張ることが可能となる。また、回動軸の側に向かうにつれて幅が狭くなる形状であるので、種々の太さの糸状部材を可動部または連動部との間に狭持することができる。よって、種々の太さの糸状部材に対して適用することが可能となる。
<特徴93>
特徴91または92に記載の遊技機であって、
前記可動部における前記回動軸から離れる側の端部に、前記糸受け部の形成位置に向かうにつれて前記回動軸の側に近づくよう傾斜するよう形成された糸誘導部(先端811a1)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴93に記載の遊技機であれば、可動部には、該可動部を回動可能に支持する回動軸から離れる側の端部に、糸受け部の形成位置に向かうにつれて回動軸の側に近づくよう傾斜する糸誘導部が形成されているので、案内通路部から遊技領域に進入した遊技球に取着された糸状部材が糸誘導部を跨いだ場合に、該糸状部材が糸誘導部の傾斜によって糸受け部へと誘導される。これにより、糸状部材が糸受け部に入り込み易くなるので、糸状部材が取着された遊技球を用いる不正行為を好適に抑制できる。
<特徴94>
特徴91から93のいずれかに記載の遊技機であって、
前記進入阻止部は、前記可動部における遊技機正面視の前後方向の幅より狭く形成され、
前記糸受け部は、前記阻止手段に対して遊技機正面視における前後方向にずれた位置に形成されることを特徴とする遊技機。
特徴94に記載の遊技機であれば、阻止手段は、可動部における遊技機正面視の前後方向の幅より狭く形成されており、糸受け部は、阻止手段に対して遊技機正面視における前後方向にずれた位置に形成されている。よって、糸受け部に入り込んだ糸状部材が阻止手段に接触することを抑制できる。そのため、糸状部材における案内通路部の側が引っ張るなど操作されたとしても、糸状部材が阻止手段に触れて該阻止手段を可動部が許容状態になるよう押し戻されることが好適に抑制されるので、進入阻止部による、遊技領域への遊技球の進入阻止を好適に維持することができる。
なお、特徴10〜94に記載のいずれか1つの特徴を他のいずれか又は複数の特徴に組み合わせて適用しても良い。また、特徴10〜55に記載の各遊技機について、遊技釘が頭部と軸部を備えたものであって、前記頭部と前記軸部の構成に代えて、前記遊技釘が、前記遊技板の前方側に突出する突端部に設けられる頭部と、該頭部に連設されて、その外径が該頭部の外径より太い(大径である)略棒状の軸部とを備えるものであってもよい。また、前記遊技釘が、頭部を有する略棒状の軸部を備える構成であってもよい。
以下には、上記した各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。