JP2017130683A - 磁性コア - Google Patents

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Abstract

【課題】原料コストを上昇させることなく生産性を向上させ、必要とされる磁気特性および機械特性を有する磁性コアおよびその製造方法を提供する。【解決手段】樹脂被膜が粒子表面に形成された鉄系軟磁性体粉末を圧縮成形後に熱硬化させて製造され、樹脂被膜が潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合することにより形成される未硬化樹脂被膜であり、圧縮成形が金型を用いる圧縮成形体の製造であり、熱硬化が潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂の熱硬化開始温度以上の温度で熱硬化させる。【選択図】図1

Description

本発明は磁性コアおよびその製造方法に関し、特に高周波焼入装置の加熱コイル部に取り付けられる鉄系軟質磁性コアおよびその製造方法に関する。
磁性コアは、コイルの背面に取り付けてワークに磁力線を集中させパワーを増強し誘導加熱を促進させる効果や、反対にコイルの前面に取り付けて磁力線を遮蔽(シールド)し焼入れ不要部位の加熱を防ぐ効果があり、高周波焼入装置の加熱コイルには欠かせない部品となっている。
例えば、高周波焼入するワークの形状が複雑で焼入深さを調整する必要がある場合は、取り付けるコアの形状、サイズ、数量、方向、位置などを変更することにより誘導加熱の状態を変化させることができ、ワークの焼入深さを制御することが可能となる。このコア材料には、(1)周波数特性が良好なこと、すなわち周波数の変化に伴うインダクタンスの変化が少ないこと、(2)飽和磁束密度が高いこと、(3)比透磁率が高いこと、(4)鉄損が小さいこと、などの磁気特性が必要となる。
また、多様なワークの形状に対応するため、コア部品も多品種少量生産となることが多く、1つ1つ切削対応にて生産されることが多い。このため、強度が高く切削性に富んだ材料が求められている。
粉末冶金法により製造される磁性コアは、原料ロスが少なく量産性に優れるため、高周波焼入装置の加熱コイルに用いられる磁性コアとして多用されている。
従来、高周波焼入コイル用磁性コアとしては、例えば、鉄粉をフッ素樹脂で固着したフラクストロールA(Fluxtrol社製商品名)や、センダスト粉をフェノール樹脂で固着したポリアイアン(NECトーキン(株)社製商品名)などが使用されているが、それらの材料強度は比較的低く、薄肉切削時の割れ発生や、コイル取付け時の破損等の問題があった。
一方、電動機またはリアクトルを対象用途とした磁性コアとして、純鉄粉の表面に予め絶縁被膜を有す磁性粉末とシリコン樹脂粉末を混合して、所定の温度雰囲気下で樹脂粉末をゲル化して加圧成形(温間成形)する圧粉磁心の製造方法が知られている(特許文献1)。
また、還元鉄粉末に該粉末の多孔度を余り減じない程度に熱硬化性エポキシを混和被覆した後に、加圧成形、硬化および含油の工程による鉄系含油軸受の製造方法が知られている(特許文献2)。
特開2008−270539号公報 特公昭32−5052号公報
特許文献1に記載の方法では、純鉄粉の表面に予め絶縁被膜を有す高価な原料鉄粉を使用する必要があり、さらに生産性の落ちる温間成形を用いて樹脂粉末をゲル化して加圧成形するため、原料コスト上昇と生産性の低下および設備費用がかかるという問題がある。
特許文献2に記載の鉄系含油軸受の場合、還元鉄粉末への絶縁が十分でなく、磁性コアとしての磁気特性を得ることが困難である。
さらに、磁性コアを高周波焼入コイル用として使用する場合、従来使用されている磁性コアは、その材料強度が低く、薄肉切削時の割れ発生や、コイル取付け時の破損等が生じるという問題がある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、原料コストを上昇させることなく生産性を向上させ、磁性コア、特に高周波焼入装置の加熱コイル部等に取り付けられる軟質磁性コアに必要とされる磁気特性および機械特性を有する磁性コアおよびその製造方法の提供を目的とする。
本発明の磁性コアは、樹脂被膜が粒子表面に形成された鉄系軟磁性体粉末を圧縮成形後に熱硬化させて製造され、上記樹脂被膜が潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合することにより形成される未硬化樹脂被膜であり、上記圧縮成形が金型を用いる圧縮成形体の製造であり、上記熱硬化が上記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂の熱硬化開始温度以上の温度で熱硬化させることを特徴とする。
上記鉄系軟磁性体粉末が還元鉄粉末であることを特徴とする。また、上記鉄系軟磁性体粉末は、タイラー篩番号で80メッシュ(以下、単に80メッシュという)を通過し、同325メッシュを通過しない粒子であることを特徴とする。
エポキシ樹脂に含まれる潜在性硬化剤がジシアンジアミドであり、この潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂の軟化温度が100〜120℃であることを特徴とする。
また、上記鉄系軟磁性体粉末と潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂との合計量に対して、上記鉄系軟磁性体粉末が95〜99質量%、上記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂が1〜5質量%配合されていることを特徴とする。
本発明の磁性コアは高周波焼入コイルに使用される磁性コアであることを特徴とする。
上記本発明に係る磁性コアの製造方法は、上記鉄系軟磁性体粉末と上記エポキシ樹脂とを該エポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合する混合工程と、上記混合工程により生成した凝集ケーキを室温で粉砕して複合磁性粉末を得る粉砕工程と、上記複合磁性粉末を金型を用いて圧縮成形体とする圧縮成形工程と、上記エポキシ樹脂の熱硬化開始温度以上の温度で上記圧縮成形体を熱硬化させる硬化工程を含むことを特徴とする。特に上記圧縮成形工程が200〜500MPaの成形圧力で成形されることを特徴とする。また、上記硬化工程が硬化温度170〜190℃で硬化されることを特徴とする。また、上記硬化工程が窒素雰囲気中で硬化されることを特徴とする。
本発明の磁性コアは、潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂の未硬化樹脂被膜が粒子表面に形成された鉄系軟磁性体粉末を圧縮成形後に熱硬化させて製造される磁性コアであるので、鉄系軟磁性体粉末と樹脂粉末とを単純混合して得られる磁性コアに比較して、比重の異なる鉄粉と樹脂粉末の偏析を低減し、圧縮成形時の圧縮性を向上させることができ、その結果、磁性コアの密度を向上させることができる。
また、鉄系軟磁性体粉末表面に形成されたエポキシ樹脂の絶縁被膜により鉄粉の素地が接触する頻度を低減し、磁気特性となる周波数特性を向上させることができる。
さらに鉄系軟磁性体粉の表面に形成されたエポキシ樹脂の熱硬化により材料強度向上に寄与し、圧環強度などの磁性コアの機械的強度を大幅に向上させることができる。また、窒素雰囲気中における硬化処理により酸化を低減し、飽和磁束密度や比透磁率などの磁気特性の低減を抑制する。
本発明の磁性コアは、粉末冶金法によるニアネットシェイプによって材料歩留り向上、工数削減、生産性向上およびコスト低減が実現でき、高周波焼入コイルに好ましく使用できる。
磁性コアの斜視図である。 直流B−H特性図である。 インダクタンス変化率を示す図である。 比透磁率を示す図である。 鉄損を示す図である。 鉄粉の違いによる圧環強度を示す図である。 硬化雰囲気による圧環強度を示す図である。 製造工程図である。
等速自在継手の外側継手部材は、円柱状の素材から冷間鍛造などの鍛造過程を経て製造され、その後、高周波焼き入れされる。この高周波焼き入れは、外側継手部材のカップ部分の内外面および軸部において高周波焼き入れの焼き入れ度を調整するために、高周波コイルの前面もしくは背面に磁性コアを配置して実施されることが多い。
磁性コアの一例を図1に示す。図1は磁性コアの斜視図である。磁性コア1は、樹脂被膜が粒子表面に形成された鉄系軟磁性体粉末を圧縮成形し、その後に熱硬化させて製造される。その後に必要に応じて、切削加工、バレル加工および防錆処理などの後処理を行なう。高周波コイルの形状、大きさ、場所等により、配置される磁性コアの形状等も適宜変更できる。図1に示す磁性コア1は、エポキシ樹脂粉末と鉄系軟磁性体粉末との圧縮成形体2がコの字型になっており、このコの字型の凹み部3が高周波コイルの前面もしくは背面に配置される。
本発明に使用できる鉄系軟磁性体粉末としては、純鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−窒素系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−炭素系合金、鉄−ホウ素系合金、鉄−コバルト系合金、鉄−リン系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金および鉄−アルミニウム−シリコン系合金(センダスト合金)などの粉末を用いることができる。
上記鉄系軟磁性体粉末の中でも、純鉄が好ましく、特に粉末冶金に用いられている還元鉄粉またはアトマイズ鉄粉が好ましい。より好ましくは得られる磁性コアの機械的特性が優れる還元鉄粉である。還元鉄粉は、製鉄工場で発生する酸化鉄などをコークス等で還元し、次に水素雰囲気で熱処理して製造される鉄粉であり、粒子内に空孔を有している。また、アトマイズ鉄粉は、溶けた鋼を高圧水で粉化・冷却し、その後水素雰囲気で熱処理して製造される鉄粉であり、粒子内に空孔がない。還元鉄粉の断面写真は表面に凹凸が多く見られ、この凹凸が図6に示す圧環強度に影響していると考えられる。
これら鉄系軟磁性体粉末は、80メッシュを通過し、325メッシュを通過しない粒子であることが好ましい。80メッシュは篩目開きが177μmであり、また325メッシュは44μmである。そのため鉄系軟磁性体粉末の粒子径の範囲は44μm〜177μmである。好ましい範囲は、100メッシュ(149μm)を通過し、250メッシュ(63μm)を通過しない粒子である。325メッシュを通過する微粉は、鉄粒子表面への樹脂被膜の形成が困難になり、80メッシュ不通過の鉄粉は鉄損が大きくなる。
還元鉄粉とアトマイズ鉄粉との比較、および還元鉄粉の粒子径による特性比較を検討した結果を図2〜図7に示す。
還元鉄粉として、(1)100メッシュを通過して325メッシュを通過しない鉄粉粒子(以下、還元鉄粉という)と、(2)325メッシュを通過する鉄粉粒子(以下、還元鉄粉(微粉)という)と、(3)100メッシュを通過して325メッシュを通過しないアトマイズ鉄粉粒子(以下、アトマイズ鉄粉という)とを準備する。
次に、これら(1)〜(3)の鉄粉97.3質量%に潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂粉末2.7質量%を配合して、ニーダーを用いて110℃で加熱混練後、粉砕して複合磁性粉末を製造した。この複合磁性粉末を金型を用いて400MPaの成形圧力で圧縮成形し、180℃の温度で1時間窒素雰囲気で硬化させて、さらに切削加工を施し、内径7.6mmφ、外径12.6mmφ、厚さ5.7mmの平円筒状の磁性コアを得た。この磁性コアに一次側巻線および二次側巻線を巻回してトロイダル状の供試試験片を得た。一次側巻線に直流を通電して磁化力(A/m)を変化させたときの二次側巻線の磁束密度を測定して直流B−H特性を測定した。結果を図2に示す。
直流B−H特性は、還元鉄粉およびアトマイズ鉄粉で同等であり、還元鉄粉(微粉)が低下した。還元鉄粉(微粉)の場合、樹脂被膜が均一に形成し難いため、圧縮成形時の圧縮性に劣り、磁性コアの密度が低くなるためと考えられる。
上記還元鉄粉、アトマイズ鉄粉および還元鉄粉(微粉)を用いた磁性コアにそれぞれインダクタンスが10μHとなるように巻線の巻回数を調製し、1kHzにおけるインダクタンスを100%として、周波数を変化させたときのインダクタンスおよび比透磁率を測定した。結果を図3および図4に示す。
図3に示すインダクタンス変化率は3者とも同等であった。図4に示す比透磁率は、還元鉄粉およびアトマイズ鉄粉は同等であったが、還元鉄粉(微粉)の比透磁率は低下した。これは絶縁被膜が均一に形成していないことや、微粉末のため圧縮性が劣り、密度が低くなったことによると考えられる。
上記磁性コアを用いて鉄損を測定した。結果を図5に示す。図5に示すように、鉄損は、還元鉄粉とアトマイズ鉄粉での差はほとんど見られなかった。還元鉄粉(微粉)は僅かに鉄損が大きくなった。鉄粉単体では微粉を使った方が一般的に鉄損(渦電流損)は小さくなるが、図5においては逆転した。この理由は、還元鉄粉(微粉)の場合は樹脂被膜が均一に形成しにくいため、絶縁被膜されていない部分が粒子集合体(見かけ上の粗粉)となって作用したものと考えられる。
上記磁性コアの圧環強度を測定した。測定は、磁性コアに、その直径方向の荷重を破壊が生じるまで連続して加え、破壊したときの荷重を測定した。結果を図6および図7に示す。なお、図7は、圧縮成形後の硬化条件を180℃の温度で1時間窒素雰囲気で硬化させた場合と、同温度および時間にて空気雰囲気で硬化させた場合との比較を表している。
図6に示すように、還元鉄粉を用いた磁性コアがアトマイズ鉄粉を用いた磁性コアよりも10%程度圧環強度が高くなる。還元鉄粉の方がアトマイズ鉄粉よりも粉末同士の絡みが生じるためと考えられる。還元鉄粉(微粉)の磁性コアが最も圧環強度が低かった。これは、樹脂被膜が均一に形成しにくいため、鉄素地が接触する頻度が高まり、鉄粉同士が接着されてない箇所が多く存在するためと考えられる。
図7に示すように、窒素雰囲気で硬化させた磁性コアの圧環強度が優れていた。これは一部露出している鉄粉表面の酸化が抑えられるためと考えられる。
以上の結果、本願発明に好ましく使用できる鉄粉としては、80メッシュの篩を通過し、325メッシュの篩を通過しない還元鉄粉である分かった。
本発明に使用できるエポキシ樹脂は、接着用エポキシ樹脂として使用できる樹脂であって軟化温度が100〜120℃の樹脂が好ましい。例えば、室温では固体であるが、50〜60℃でペースト状になり、130〜140℃で流動性になり、さらに加熱を続けると硬化反応が始まるエポキシ樹脂であれば使用できる。この硬化反応は120℃付近でも始まるが、実用的な硬化時間、例えば2時間以内で硬化反応が終了する温度としては170〜190℃であることが好ましい。この温度範囲であると、硬化時間は45〜80分である。
エポキシ樹脂の樹脂成分としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、アクリルエポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリフェノールフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂の硬化剤成分は潜在性エポキシ硬化剤である。潜在性エポキシ硬化剤を用いることにより、軟化温度を100〜120℃に、また硬化温度を170〜190℃に設定することができ、鉄粉粉末への絶縁性塗膜の形成と、その後の圧縮成形および熱硬化を行なうことができる。
潜在性エポキシ硬化剤としては、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素−アミン錯体、有機酸ヒドラジド等が挙げられる。これらの中で、上記硬化条件に適合するジシアンジアミドが好ましい。
また、潜在性エポキシ硬化剤と共に、三級アミン、イミダゾール、芳香族アミンなどの硬化促進剤を含むことができる。
本発明で使用できる上記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂は、160℃で2時間、170℃で80分、180℃で55分、190℃で45分、200℃で30分の硬化条件となるように潜在性硬化剤を配合する。
鉄系軟磁性体粉末とエポキシ樹脂の配合割合は、これらの合計量に対して、鉄系軟磁性体粉末が95〜99質量%、潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂が1〜5質量%である。エポキシ樹脂が1質量%未満であると、絶縁被膜の形成が困難であり、5質量%を超えると磁気特性の低下と樹脂リッチな粗大な凝集体が発生するからである。
本発明の磁性コアは、上記鉄系軟磁性体粉末と、上記エポキシ樹脂とを100〜120℃の温度で乾式混合することで、鉄系軟磁性体粉末表面に未硬化樹脂被膜を形成する。この未硬化樹脂被膜は絶縁被膜であり、熱硬化後も絶縁被膜である。被膜の絶縁性が維持されるので、磁気コアとしての磁気特性が向上する。
絶縁被膜が表面に形成された鉄系軟磁性体粉末は、金型を用いる圧縮成形により成形体となし、その後エポキシ樹脂の熱硬化開始温度以上の温度で熱硬化させることで一体化された磁性コアが得られる。
本発明の磁性コアは、磁気特性および圧環強度などの機械的特性に優れている。また、成形したのち切削加工性に優れている。このため、薄型の磁性コア、特殊形状の磁性コアを容易に製造できる。そのため、等速自在継手の外側継手部材等に利用できる。
上記磁性コアの製造方法を図8により説明する。図8は製造工程図である。
上述した鉄系軟磁性体粉末と、上述した潜在性硬化剤が既に配合されているエポキシ樹脂とをそれぞれ準備する。鉄系軟磁性体粉末は予め分級機により80メッシュの篩を通過し、325メッシュの篩を通過しない粒子に調整されている。
混合工程により、鉄系軟磁性体粉末とエポキシ樹脂とを該エポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合する。この混合工程においては、最初に鉄系軟磁性体粉末とエポキシ樹脂とを室温で十分にブレンダー等を用いて混合する。次に、混合された混合物をニーダー等の混合機に投入してエポキシ樹脂の軟化温度(100〜120℃)にて加熱混合する。この加熱混合の工程により、鉄系軟磁性体粉末の表面にエポキシ樹脂の絶縁被膜が形成される。この段階ではエポキシ樹脂は未硬化である。
ニーダー等の混合機を用いて加熱混合された内容物は、凝集したケーキ状となっている。粉砕工程は、この凝集ケーキを室温で粉砕して篩分けすることにより、表面にエポキシ樹脂の絶縁膜が形成された複合磁性粉末を得る工程である。粉砕はヘンシェルミキサーが好ましく、篩分けは60メッシュ通過分の粒度とすることが好ましい。
圧縮成形工程において使用される金型は200〜500MPaの成形圧力を印加できる金型であればよい。成形圧力が200MPa未満では磁気特性や強度が低く、500MPaを超えるとエポキシ樹脂が金型内壁に固着するからである。
金型より取り出された成形品は、170〜190℃の温度で、45〜80分加熱硬化される。170℃未満では硬化に長時間かかり、190℃を超えると劣化が始まるからである。加熱硬化は、窒素雰囲気で行なうことが好ましい。
加熱硬化後、必要に応じて、切削加工、バレル加工、防錆処理などを行ない磁性コアが得られる。
実施例1、比較例1および比較例2
100メッシュを通過して250メッシュを通過しない鉄粉粒子97.3gと、硬化剤としてジシアンジアミドを含むエポキシ樹脂粉末2.7gとをブレンダーにて室温で10分間混合した。この混合物をニーダーに投入して110℃で15分間加熱混練した。ニーダーより凝集したケーキを取り出して冷却した後、粉砕機で粉砕した。次いで金型を用いて400MPaの成形圧力で圧縮成形した。圧縮成形品を金型より取り出し、180℃の温度で1時間窒素雰囲気で硬化させた。さらに切削加工を施し磁性コアを製造した。
また、上述した磁気特性測定用トロイダル状の試験片を作製し、磁気特性を上述した方法で測定した。また、表面硬さ、体積抵抗、表面抵抗測定用として10mm×25mm×3mm厚さの試験片を作製した。測定結果を表1に示す。
なお、鉄粉をポリテトラフルオロエチレンで固着した磁性コア(比較例1)、センダスト粉をフェノール樹脂で固着した磁性コア(比較例2)を上記試験片と同一の形状として、実施例1と同一の評価を行なった。切削加工の工程で、比較例1および比較例2の磁性コアは機械的強度が弱く、薄肉部の切削可能では割れ、クラックが発生した。結果を表1に示す。
本発明の磁性コアは、経済性、磁気特性および材料強度に優れているので、汎用の磁性コアとして利用できる。また、複雑な形状を必要とされる、例えば高周波焼入装置の加熱コイル部に取り付けられる軟質磁性コアとして利用できる。
1 磁性コア
2 圧縮成形体
3 凹み部

Claims (10)

  1. 樹脂被膜が粒子表面に形成された鉄系軟磁性体粉末を圧縮成形後に熱硬化させて製造される磁性コアであって、
    前記樹脂被膜が潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合することにより形成される未硬化樹脂被膜であり、
    前記圧縮成形が金型を用いる圧縮成形体の製造であり、
    前記熱硬化が前記エポキシ樹脂の熱硬化開始温度以上の温度で熱硬化させることを特徴とする磁性コア。
  2. 前記鉄系軟磁性体粉末が還元鉄粉末であることを特徴とする請求項1記載の磁性コア。
  3. 前記鉄系軟磁性体粉末は、タイラー篩番号で80メッシュを通過し、同325メッシュを通過しない粒子であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の磁性コア。
  4. 前記潜在性硬化剤がジシアンジアミドであり、この潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂の軟化温度が100〜120℃であることを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3記載の磁性コア。
  5. 前記鉄系軟磁性体粉末と前記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂との合計量に対して、前記鉄系軟磁性体粉末が95〜99質量%、前記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂が1〜5質量%配合されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載の磁性コア。
  6. 前記磁性コアが高周波焼入コイルに使用される磁性コアであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項記載の磁性コア。
  7. 請求項1記載の磁性コアの製造方法であって、
    前記鉄系軟磁性体粉末と前記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂とを該エポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合する混合工程と、
    前記混合工程により生成した凝集ケーキを室温で粉砕して複合磁性粉末を得る粉砕工程と、
    前記複合磁性粉末を金型を用いて圧縮成形体とする圧縮成形工程と、
    前記エポキシ樹脂の熱硬化開始温度以上の温度で前記圧縮成形体を熱硬化させる硬化工程を含むことを特徴とする磁性コアの製造方法。
  8. 前記圧縮成形工程が200〜500MPaの成形圧力で成形されることを特徴とする請求項7記載の磁性コアの製造方法。
  9. 前記硬化工程が硬化温度170〜190℃で硬化されることを特徴とする請求項7または請求項8記載の磁性コアの製造方法。
  10. 前記硬化工程が窒素雰囲気中で硬化されることを特徴とする請求項9記載の磁性コアの製造方法。
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