JP6581270B2 - 磁性コアの製造方法 - Google Patents

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本発明は磁性コアおよびその製造方法に関し、特に高周波焼入装置の加熱コイル部に取り付けられる鉄系軟質磁性コアおよびその製造方法に関する。
磁性コアは、コイルの背面に取り付けてワークに磁力線を集中させパワーを増強し誘導加熱を促進させる効果や、反対にコイルの前面に取り付けて磁力線を遮蔽(シールド)し焼入れ不要部位の加熱を防ぐ効果があり、高周波焼入装置の加熱コイルには欠かせない部品となっている。
例えば、高周波焼入するワークの形状が複雑で焼入深さを調整する必要がある場合は、取り付けるコアの形状、サイズ、数量、方向、位置などを変更することにより誘導加熱の状態を変化させることができ、ワークの焼入深さを制御することが可能となる。このコア材料には、(1)周波数特性が良好なこと、すなわち周波数の変化に伴うインダクタンスの変化が少ないこと、(2)飽和磁束密度が高いこと、(3)比透磁率が高いこと、(4)鉄損が小さいこと、などの磁気特性が必要となる。
また、多様なワークの形状に対応するため、コア部品も多品種少量生産となることが多く、1つ1つ切削対応にて生産されることが多い。このため、強度が高く切削性に富んだ材料が求められている。
粉末冶金法により製造される磁性コアは、原料ロスが少なく量産性に優れるため、高周波焼入装置の加熱コイルに用いられる磁性コアとして多用されている。例えば、高周波焼入コイル用磁性コアとして、磁性粉をフッ素樹脂で固着した製品や、センダスト粉をフェノール樹脂で固着した製品などが使用されているが、それらの材料強度は比較的低く、薄肉切削時の割れ発生や、コイル取付け時の破損等の問題があった。
上記問題を解決するために、樹脂被膜を粒子表面に形成させた鉄系軟磁性体粉末を圧縮成形後に熱硬化させる磁性コアを本出願人は提案している(特許文献1)。この磁性コアは、経済性、磁気特性、および材料強度に優れた、高周波焼入装置の加熱コイル部に取り付けられる汎用性の高い磁性コアである。
特開2014−72482号公報
高周波焼入装置の加熱コイル部に取り付けられる磁性コアには、加熱コイルの形状や磁性コアの取付け形態から、体積固有抵抗値として105Ω・cm程度の電気絶縁性が求められる場合がある。
しかしながら、特許文献1に記載の磁性コアは、汎用性に優れているが電気絶縁性に関しては不十分であるため、使用用途によっては磁性コアを介して電気的短絡、発熱を生じ、磁性コアの耐久性を著しく低下させる場合がある。このため、絶縁性を求められる用途には、展開が困難であるという問題があった。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、磁性コア、特に高周波焼入装置の加熱コイル部等に取り付けられる軟質磁性コアとして、特許文献1に記載の磁性コアの長所を活かしつつ、絶縁性を付与させた磁性コアおよびその製造方法の提供を目的とする。
本発明の磁性コアは、樹脂被膜が粒子表面に形成された鉄系軟磁性体粉末を圧縮成形後に熱硬化させて製造される磁性コアである。上記鉄系軟磁性体粉末は、粉末粒子の表面が無機絶縁被膜処理された鉄系軟磁性体粉末であり、上記樹脂被膜が熱硬化性樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合することにより形成される未硬化樹脂被膜であり、上記圧縮成形が金型を用いる圧縮成形体の製造であり、上記熱硬化が上記熱硬化性樹脂の熱硬化開始温度以上の温度で熱硬化させることを特徴とする。
無機絶縁被膜処理された鉄系軟磁性体粉末は、篩目開き106μmの篩を通過し、同25μmの篩を通過しない粒子であることを特徴とする。また、この鉄系軟磁性体粉末の粒子表面に形成される樹脂被膜が潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂であることを特徴とする。特に該潜在性硬化剤がジシアンジアミドであり、この潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂の軟化温度が100〜120℃であることを特徴とする。上記鉄系軟磁性体粉末と上記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂との合計量に対して、上記鉄系軟磁性体粉末が95〜99質量%、上記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂が1〜5質量%配合されていることを特徴とする。
本発明の磁性コアは、高周波焼入コイルに使用される磁性コアであることを特徴とする。
上記本発明に係る磁性コアの製造方法は、上記粉末粒子の表面が無機絶縁被膜処理された鉄系軟磁性体粉末と上記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂とを該エポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合する混合工程と、上記混合工程により生成した凝集ケーキを室温で粉砕して複合磁性粉末を得る粉砕工程と、上記複合磁性粉末を金型を用いて圧縮成形体とする圧縮成形工程と、上記エポキシ樹脂の熱硬化開始温度以上の温度で上記圧縮成形体を熱硬化させる硬化工程を含むことを特徴とする。特に上記圧縮成形工程が98〜294MPaの成形圧力で成形されることを特徴とする。また、上記硬化工程が硬化温度170〜190℃で、不活性ガス雰囲気中で硬化されることを特徴とする。
本発明の磁性コアは、特許文献1に記載の磁性コアに比較して、体積固有抵抗で表した電気絶縁性が105Ω・cmに向上した。
磁性コアおよび高周波コイルの配置関係を示す図である。 磁性コアの斜視図である。 複合磁性粉末粒子の断面図である。 製造工程図である。
等速自在継手の外側継手部材は、円柱状の素材から冷間鍛造などの鍛造過程を経て製造され、その後、高周波焼き入れされる。この高周波焼き入れは、外側継手部材のカップ部分の内外面および軸部において高周波焼き入れの焼き入れ度を調整するために、高周波コイルの前面もしくは背面に磁性コアを配置して実施されることが多い。
磁性コアおよび高周波コイルの配置関係を図1に示す。図1(a)は環状または矩形状コイルの枠内に磁性コアを嵌め込んで使用する形態の場合を示す図であり、図1(b)はコイルの一端に磁性コアを取付けて使用する形態の場合を示す図である。
図1(a)および図1(b)に示すように、コイル2は電気抵抗の低い銅のパイプや板などで構成され、加熱効率の向上や加熱部位の調整のために、磁束を制御する磁性コア1が配置されている。この磁性コア1はコイル電流3aが流れることで発生する磁束をワークへ集中させたり、反対に遮蔽させたりすることで誘導加熱の状態を変化させることができる。図1(a)の場合、絶縁耐力の低い磁性コア1を使用すると、磁性コア1内を介して漏洩電流3bが流れ、磁性コア1が絶縁破壊を起して溶損・短絡するなど、磁性コア1の耐久性が著しく低下することがある。これに対して、図1(b)の場合、磁性コア1を介しての電気の短絡は起こらないため、高い絶縁耐力は必ずしも必要とされない。
絶縁耐力を向上させるために、磁性コアの原料となる磁性粉表面を絶縁材料で被覆することにより、体積固有抵抗の大きい磁性コアとすることが考えられた。有機絶縁材料または無機材料をそれぞれ単独で被覆したが体積固有抵抗は大きく向上しなかった。しかしながら、有機絶縁材料と無機材料とを複層にすることで、それぞれ単独層の場合に比較して、10万倍以上の体積固有抵抗の向上がみられた。本発明はこのような知見に基づくものである。
磁性コアの斜視図の一例を図2に、原料となる複合磁性粉末粒子の断面図を図3に示す。磁性コア1は、複合磁性粉末粒子4を圧縮成形・加熱硬化させて得られる。複合磁性粉末粒子4は、鉄系軟磁性体粉末粒子4aの表面に無機絶縁被膜4bが被覆され、さらにこの無機絶縁被膜4b表面に未硬化の樹脂被膜4cが被覆されている。磁性コア1は、複合磁性粉末粒子4を圧縮成形し、その後に樹脂被膜4cを熱硬化させて製造される。その後に必要に応じて、切削加工、バレル加工および防錆処理などの後処理を行なう。高周波コイルの形状、大きさ、場所等により、配置される磁性コアの形状等も適宜変更できる。図2に示す磁性コア1は、環状または矩形状コイルの枠内に嵌め込んで使用される磁性コアの例である。
本発明に使用できる鉄系軟磁性体粉末としては、純鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−窒素系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−炭素系合金、鉄−ホウ素系合金、鉄−コバルト系合金、鉄−リン系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金および鉄−アルミニウム−シリコン系合金(センダスト合金)などの粉末を用いることができる。
上記鉄系軟磁性体粉末の中でも、純鉄が好ましく、特に粉末冶金に用いられている還元鉄粉またはアトマイズ鉄粉が好ましい。より好ましくは得られる磁性コアの機械的特性が優れる還元鉄粉である。還元鉄粉は、製鉄工場で発生する酸化鉄などをコークス等で還元し、次に水素雰囲気で熱処理して製造される鉄粉であり、粒子内に空孔を有している。また、アトマイズ鉄粉は、溶けた鋼を高圧水で粉化・冷却し、その後水素雰囲気で熱処理して製造される鉄粉であり、粒子内に空孔がない。還元鉄粉の断面写真は表面に凹凸が多く見られ、この凹凸が圧環強度を低下させていると考えられる。
鉄系軟磁性体粉末粒子の表面は無機絶縁体で被覆されている。無機絶縁材料の種類に特に限定はなく、従来から圧粉磁心において用いられているものを使用することができる。好ましい絶縁材料の例としては、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム等のリン酸金属塩、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の金属酸化物が挙げられる。また、その他の鉱物を用いることもできる。無機絶縁材料としては1種類の材料を用いてもよいし、2種類以上の材料を併用してもよい。無機絶縁体で被覆されている鉄系軟磁性体粉末の市販品としては、ヘガネス社製商品名;Somaloyが挙げられる。
上記表面が無機絶縁被膜処理された鉄系軟磁性体粉末は、篩目開きが106μmの篩を通過し、同25μmの篩を通過しない粒子であることが好ましい。好ましい範囲は、90μmを通過し、38μmを通過しない粒子である。25μmを通過する微粉は、鉄粒子表面への樹脂被膜の形成が困難になり、106μm不通過の鉄粉は鉄損が大きくなる。
本発明に使用できるエポキシ樹脂は、接着用エポキシ樹脂として使用できる樹脂であって軟化温度が100〜120℃の樹脂が好ましい。例えば、室温では固体であるが、50〜60℃でペースト状になり、130〜140℃で流動性になり、さらに加熱を続けると硬化反応が始まるエポキシ樹脂であれば使用できる。この硬化反応は120℃付近でも始まるが、実用的な硬化時間、例えば2時間以内で硬化反応が終了する温度としては170〜190℃であることが好ましい。この温度範囲であると、硬化時間は45〜80分である。
エポキシ樹脂の樹脂成分としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、アクリルエポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリフェノールフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂の硬化剤成分は潜在性エポキシ硬化剤である。潜在性エポキシ硬化剤を用いることにより、軟化温度を100〜120℃に、また硬化温度を170〜190℃に設定することができ、無機絶縁被膜処理された鉄粉粉末への有機絶縁性塗膜の形成と、その後の圧縮成形および熱硬化を行なうことができる。
潜在性エポキシ硬化剤としては、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素−アミン錯体、有機酸ヒドラジド等が挙げられる。これらの中で、上記硬化条件に適合するジシアンジアミドが好ましい。
また、潜在性エポキシ硬化剤と共に、三級アミン、イミダゾール、芳香族アミンなどの硬化促進剤を含むことができる。
本発明で使用できる上記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂は、160℃で2時間、170℃で80分、180℃で55分、190℃で45分、200℃で30分の硬化条件となるように潜在性硬化剤を配合する。
表面が無機絶縁被膜処理された鉄系軟磁性体粉末とエポキシ樹脂の配合割合は、これらの合計量に対して、鉄系軟磁性体粉末が95〜99質量%、潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂が1〜5質量%である。エポキシ樹脂が1質量%未満であると、絶縁被膜の形成が困難であり、5質量%を超えると磁気特性の低下と樹脂リッチな粗大な凝集体が発生するからである。
本発明の磁性コアは、上記表面が無機絶縁被膜処理された鉄系軟磁性体粉末と、上記エポキシ樹脂とを100〜120℃の温度で乾式混合することで、鉄系軟磁性体粉末表面に形成された無機絶縁被膜上に未硬化樹脂被膜を形成する。この未硬化樹脂被膜も絶縁被膜であり、熱硬化後は無機絶縁被膜と樹脂被膜との複合絶縁被膜となる。被膜の絶縁性が著しく向上するので、電気絶縁性を要求される分野での磁気コアとして利用できる。
絶縁被膜が表面に形成された鉄系軟磁性体粉末は、金型を用いる圧縮成形により成形体となし、その後エポキシ樹脂の熱硬化開始温度以上の温度で熱硬化させることで一体化された磁性コアが得られる。
本発明の磁性コアは、電気絶縁性に優れているとともに、磁気特性および圧環強度などの機械的特性に優れている。また、成形したのち切削加工性に優れている。このため、薄型の磁性コア、特殊形状の磁性コアを容易に製造できる。そのため、等速自在継手の外側継手部材等に利用できる。
上記磁性コアの製造方法を図4により説明する。図4は製造工程図である。
上述した無機絶縁被膜が表面に形成された鉄系軟磁性体粉末と、上述した潜在性硬化剤が既に配合されているエポキシ樹脂とをそれぞれ準備する。鉄系軟磁性体粉末は予め分級機により篩目開き106μmの篩を通過し、25μmの篩を通過しない粒子に調整されている。
混合工程により、無機絶縁鉄系軟磁性体粉末とエポキシ樹脂とを該エポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合する。この混合工程においては、最初に無機絶縁鉄系軟磁性体粉末とエポキシ樹脂とを室温で十分にブレンダー等を用いて混合する。次に、混合された混合物をニーダー等の混合機に投入してエポキシ樹脂の軟化温度(100〜120℃)にて加熱混合する。この加熱混合の工程により、無機絶縁鉄系軟磁性体粉末の表面にエポキシ樹脂の絶縁被膜が形成される。この段階ではエポキシ樹脂は未硬化である。
ニーダー等の混合機を用いて加熱混合された内容物は、凝集したケーキ状となっている。粉砕工程は、この凝集ケーキを室温で粉砕して篩分けすることにより、表面にエポキシ樹脂の絶縁膜が形成された複合磁性粉末を得る工程である。粉砕はヘンシェルミキサーが好ましく、篩分けは60メッシュ(250μm)の篩を通過する粒子とすることが好ましい。
圧縮成形工程において使用される金型は98〜294MPaの成形圧力を印加できる金型であればよい。成形圧力が98MPa未満では磁気特性や強度が低く、294MPaを超えるとエポキシ樹脂が金型内壁に固着したり、樹脂被膜の破壊により絶縁性が低下するからである。
金型より取り出された成形品は、170〜190℃の温度で、45〜80分加熱硬化される。170℃未満では硬化に長時間かかり、190℃を超えると劣化が始まるからである。加熱硬化は、窒素雰囲気で行なうことが好ましい。
加熱硬化後、必要に応じて、切削加工、バレル加工、防錆処理などを行ない磁性コアが得られる。
実施例1
粒子表面が無機絶縁被膜で覆われた鉄粉粒子97.0gと、硬化剤としてジシアンジアミドを含むエポキシ樹脂粉末3.0gとをブレンダーにて室温で10分間混合した。使用した鉄粉粒子は篩目開き106μmの篩を通過し、25μmの篩を通過しない粒子を使用した。混合物をニーダーに投入して110℃で15分間加熱混練した。ニーダーより凝集したケーキを取り出して冷却した後、粉砕機で粉砕した。次いで金型を用いて200MPaの成形圧力で圧縮成形した。圧縮成形品を金型より取り出し、180℃の温度で1時間窒素雰囲気で硬化させた。さらに切削加工を施し磁性コアを製造した。
また、磁気特性測定用トロイダル状の試験片を上記条件で作製し磁気特性を測定した。試験片は、内径7.6mmφ、外径12.6mmφ、厚さ5.7mmの平円筒状の磁性コアとし、この磁性コアに一次側巻線および二次側巻線を巻回してトロイダル状の供試試験片を得た。一次側巻線に直流を通電して磁化力(A/m)を変化させたときの二次側巻線の磁束密度を測定して飽和磁束密度を測定した。また、上記磁性コアにそれぞれインダクタンスが10μHとなるように巻線の巻回数を調製し、1kHzにおけるインダクタンスを100%として、周波数を変化させたときのインダクタンスおよび比透磁率を測定した。上記磁性コアを用いて表1に示す条件で鉄損および温度特性(インダクタンス変化率)を測定した。さらに、上記磁性コアの圧環強度を測定した。測定は、磁性コアに、その直径方向の荷重を破壊が生じるまで連続して加え、破壊したときの荷重を測定した。測定結果を表1に示す。
また、表面硬さ、体積抵抗、表面抵抗、密度測定用として10mm×25mm×3mm厚さの試験片を作製した。表面硬さはロックウェル硬さ試験法により、体積抵抗および表面抵抗は四探針法により、密度は水中法により、それぞれ測定した。測定結果を表1に示す。
比較例1
鉄粉粒子として粒子表面が無機絶縁被膜で覆われていない以外は、実施例1と同様の鉄粉粒子を用いて、実施例1と同様の方法で磁性コアを製造した。実施例1と同様の方法で評価した結果を表1に示す。
比較例2
実施例1で用いた、粒子表面が無機絶縁被膜で覆われた鉄粉粒子を金型を用いて900MPaの成形圧力で圧縮成形した。圧縮成形品を金型より取り出し、530℃の温度で20分間空気雰囲気で熱処理した。さらに切削加工を施し磁性コアを製造した。実施例1と同様の方法で評価した結果を表1に示す。
比較例3および比較例4
鉄粉をポリテトラフルオロエチレンで固着した磁性コア(比較例3)、センダスト粉をフェノール樹脂で固着した磁性コア(比較例4)を上記試験片と同一の形状として、実施例1と同一の評価を行なった。切削加工の工程で、比較例3および比較例4の磁性コアは機械的強度が弱く、薄肉部の切削可能では割れ、クラックが発生した。結果を表1に示す。
Figure 0006581270
実施例1の磁性コアは、比較例1および比較例2の磁性コアに比較して、電気絶縁性が105倍以上向上した。
本発明の磁性コアは、経済性、磁気特性および材料強度に優れているとともに、体積固有抵抗、表面抵抗などの電気特性に優れているので、汎用の磁性コアとして利用できる。特に、環状または矩形状コイルの枠内に磁性コアを嵌め込んで使用する磁性コアに特に有効に利用できる。また、複雑な形状を必要とされる、例えば高周波焼入装置の加熱コイル部に取り付けられる軟質磁性コアとして利用できる。
1 磁性コア
2 コイル
3 電流
4 複合磁性粉末粒子

Claims (3)

  1. 磁性コアの製造方法であって、
    前記磁性コアは、高周波焼入装置における高周波焼入コイルの枠内に嵌め込んで使用される磁性コアであり、
    前記製造方法は、粉末粒子の表面が無機絶縁被膜処理された鉄系軟磁性体粉末と潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂とを、該エポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合することにより、前記鉄系軟磁性体粉末の表面に前記エポキシ樹脂の未硬化樹脂被膜を形成し、該未硬化樹脂被膜が形成された前記鉄系軟磁性体粉末を、金型を用いて98〜294MPaの成形圧力で圧縮成形して圧縮成形体とし、前記エポキシ樹脂の熱硬化開始温度以上の温度で前記圧縮成形体を熱硬化させる方法であり、
    前記粉末粒子の表面が無機絶縁被膜処理された鉄系軟磁性体粉末は、篩目開き106μmの篩を通過し、同25μmの篩を通過しない粒子であることを特徴とする磁性コアの製造方法
  2. 前記潜在性硬化剤がジシアンジアミドであり、この潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂の軟化温度が100〜120℃であることを特徴とする請求項1記載の磁性コアの製造方法
  3. 前記鉄系軟磁性体粉末と前記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂との合計量に対して、前記鉄系軟磁性体粉末が95〜99質量%、前記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂が1〜5質量%配合されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の磁性コアの製造方法
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