JP2017129802A - ホログラム構造体 - Google Patents
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Abstract
Description
ホログラムの使用方法としては、ホログラムに対して参照光を透過または反射させることで、光像として再生する方法が知られている。
例えば、特許文献1では、レーザー反射型ホログラムで反射した回折光をスクリーンに投影することで再生された光像を用いて、真贋判定を行うことが記載されている。
このようなホログラム構造体によれば、例えば、点光源をホログラム形成領域上に配置した状態で、ホログラム形成領域を正面から平面視した場合にのみ、ホログラム形成領域内に光像を観察可能となる。このため、上記ホログラム構造体は、例えば、点光源を配置した場合のみ光像が観察可能となることを知っている者のみが観察可能とすることができる等、偽造防止性および意匠性に優れたものとなる。
また、上記ホログラム構造体は、点光源をホログラム形成領域上に配置することで、ホログラム形成領域内に、ホログラム形成領域の正面から観察可能な光像を再生することができる。このため、上記ホログラム構造体は、光像を投影するスクリーン等を別途準備することなく、真贋判定および意匠性の発現等を容易に行うことができる。
一方で、上記ホログラム構造体は、ホログラム形成領域をその正面から平面視することで容易に光像が観察可能であることで、偽造防止性が不十分となる場合や、意匠性が不十分となる場合もある。
また、上記光像は、上記反射型ホログラム形成領域に対して点光源とは異なる方向からのみ観察可能な第1光像を含むものであることにより、偽造防止性および意匠性に優れたものとなる。
本発明のホログラム構造体は、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する、位相型フーリエ変換ホログラムが記録された反射型ホログラム形成領域を有するホログラム層と、上記ホログラム層の上記反射型ホログラム形成領域の凹凸表面に接するように形成された蒸着層と、を有し、上記光像が、上記反射型ホログラム形成領域に対して点光源とは異なる方向からのみ観察可能な第1光像を含むことを特徴とするものである。
図1は、本発明のホログラム構造体の一例を示す概略平面図であり、図2は、図1のA−A線断面図である。図1および図2に示すように、本発明のホログラム構造体10は、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する、位相型フーリエ変換ホログラムが記録された反射型ホログラム形成領域11を有するホログラム層1と、上記ホログラム層1の上記反射型ホログラム形成領域11の凹凸表面1aに接するように形成された蒸着層2と、を有し、上記光像が、上記反射型ホログラム形成領域11に対して点光源とは異なる方向からのみ観察可能な第1光像を含むものである。
なお、この例では、ホログラム層1の蒸着層2とは反対側の表面に透明基材3が積層する例を示すものである。
また、図1は説明の容易のため、透明基材の記載を省略するものである。また、図1では、破線で囲まれた領域がホログラム形成領域11である。
また、上記光像は、上記ホログラム形成領域に対して点光源とは異なる方向からのみ観察可能な第1光像を含むものである。
例えば、図3(a)に例示するように、点光源21をホログラム形成領域11の中心点から垂直方向に配置した際に、点光源21と同一方向からホログラム形成領域11を観察する観察者31aは、ホログラム形成領域11内に光像を観察することができない(図3(b))が、図3(a)において点光源とは異なる方向からホログラム形成領域11を観察する観察者31bは、ホログラム形成領域11内に第1光像12の画像である「1」を観察可能とすることができる(図3(c))。
さらに、光像が、上記反射型ホログラム形成領域に対して点光源と同一方向から観察可能な第2光像を有するものである場合には、図4(a)に例示するように、点光源21をホログラム形成領域11の中心点から垂直方向に配置した際に、点光源21と同一方向からホログラム形成領域11を観察する観察者31aは、ホログラム形成領域11内に第2光像13の画像である「OK」のみを観察することができ(図4(b))、図4(a)において点光源21とは異なる方向からホログラム形成領域11を観察する観察者31bは、ホログラム形成領域11内に第1光像12の画像である「1」のみを観察可能とすることができる(図4(c))。
また、上記ホログラム構造体は、点光源とは異なる方向からのみ観察可能な第1光像により意外性を観察者に与えることができる。したがって、上記ホログラム構造体は、意匠性に優れたものとなる。
さらに、点光源からの光照射を受けているときのみ光像を再生できることから、上記ホログラム構造体は、偽造防止性および意匠性に優れたものとなる。
このため、例えば、ホログラム形成領域が小さい場合であっても、ホログラム層を介して光像を効果的に再生することができ、偽造防止性および意匠性を高めることができるのである。
以下、本発明のホログラム構造体における各構成について説明する。
本発明におけるホログラム層は、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する、位相型フーリエ変換ホログラムが記録された反射型ホログラム形成領域を有するものである。
上記光像は、少なくとも第1光像を含むものである。
上記第1光像は、上記反射型ホログラム形成領域に対して点光源とは異なる方向からのみ観察可能なものである。
ここで、点光源とは異なる方向とは、ホログラム形成領域の中心点と第1光像を観察可能な方向とを結ぶ方向が、ホログラム形成領域の中心点と点光源とを結ぶ方向(以下、単に点光源と同一方向または点光源方向と称する場合がある。)とは異なることをいうものである。
したがって、上記反射型ホログラム形成領域に対して点光源とは異なる方向からのみ観察可能であるとは、例えば、点光源をホログラム形成領域の中心点から垂直方向に配置した際には、ホログラム形成領域の中心点から垂直方向とは異なる方向からのみ観察可能であるが、ホログラム形成領域の中心点から垂直方向の方向からは観察することができないものとすることができる。
つまり、第1光像は、点光源をホログラム形成領域の中心点から垂直方向に配置した場合には、反射型ホログラム形成領域を平面視した際に、点光源と観察者とが重ならない状態でのみ観察されるものである。
また、点光源方向とは異なる方向とは、具体的には、上記ホログラム形成領域の中心点において、上記点光源方向と、反射型ホログラム形成領域に対する仰角が1°以上異なる方向とすることができる。
つまり、点光源をホログラム形成領域の中心点から垂直方向に配置した際に、上記ホログラム形成領域の中心点を通過する第1光像が観察可能な方向の反射型ホログラム形成領域に対する仰角(以下、単に第1光像の仰角と称する場合がある。)としては、89°以下とすることができ、15°〜85°の範囲内であることが好ましく、なかでも25°〜80°の範囲内であることが好ましい。上記第1光像の仰角が上記範囲内であることにより、本発明のホログラム構造体は、例えば、点光源方向とは異なる方向からのみ反射型ホログラム形成領域内に第1光像を観察可能とすることが容易となるからである。また、本発明のホログラム構造体は、例えば、ホログラム形成領域の凹凸表面、例えば、格子ピッチ等の形成が容易なものとなるからである。
なお、点光源をホログラム形成領域の中心点から垂直方向に配置するとは、点光源とホログラム形成領域の中心点とを結ぶ直線と、ホログラム形成領域表面との間の角度である仰角(例えば図3(a)中のθ0)が90°となるように配置することをいうものである。
また、既に説明した図3(a)では、第1光像の仰角は、例えば、既に説明した図3(a)中のθ1をいうものである。
さらに、ホログラム形成領域の中心点とは、ホログラム形成領域が正方形、長方形等の矩形の場合には、2本の対角線の交点である。
なお、異なる方向から観察可能であるとは、それぞれの第1光像の画像のみをそれぞれ別方向から観察可能であることをいうものである。
また、光像が異なる仰角から観察可能な2以上の第1光像を含む例としては、例えば、図6(a)に例示するように、点光源をホログラム形成領域の中心点から垂直方向に配置した際に、点光源方向であるホログラム形成領域の中心点から垂直方向とは異なる方向から観察する第1の観察者31bが図6(b)に示される第1光像12aの画像である「1」のみを観察可能であり、図6(a)において第1の観察者31bとは同一の方位角であり、かつ、異なる仰角から観察する第2の観察者31cが、図6(c)に示されるように第1光像12bの画像「2」のみを観察可能であるものとすることができる。
なお、図5(b)は、図5(a)の第1の観察者31bおよび第3の観察者31dを通過する方向での概略断面図を示すものである。また、図5において、第1〜第4の観察者31b〜eは、いずれも、ホログラム形成領域11に対して所定の仰角をとる方向から観察するものである。
なお、方位角とは、例えば、ホログラム形成領域を平面視した際に、ホログラム形成領域の中心点と、観察者とホログラム層とが平面視上重なる位置と、を結ぶ直線のホログラム形成領域表面における上記中心点からの方向をいうものである。
例えば、第1の観察者31bの方位角を0°とすると、図5(a)および(b)において、第2〜第4の観察者31c〜31eの方位角は、それぞれ90°、180°、270°となる。
なお、それぞれの画像のみを観察可能な方位角の差は、上記方位角の差の最小値をいうものである。例えば、ホログラム形成領域を平面視した際に、ホログラム形成領域内の点光源位置を通過する任意の方位角を0°とした場合に、1つ目の第1光像のみ観察可能な方位角が30°〜60°の範囲内であり、2つ目の第1光像のみ観察可能な方位角が90°〜150°の範囲内である場合、上記方位角の差の最小値は、30°となる。
なお、それぞれの画像のみを観察可能な仰角の差は、上記仰角の差の最小値をいうものである。例えば、1つ目の第1光像のみ観察可能な仰角が60°〜80°の範囲内であり、2つ目の第1光像のみ観察可能な仰角が30°〜50°の範囲内である場合、上記仰角の差の最小値は、10°となる。
上記光像は、少なくとも第1光像を含むものであればよいが、上記反射型ホログラム形成領域に対して点光源と同一方向から観察可能な第2光像を含むものであることが好ましい。上記ホログラム構造体は、第1光像および第2光像を用いることで、偽造防止性および意匠性により優れたものとなるからである。
このような第2光像を観察可能なホログラム構造体としては、例えば、既に説明した図4および図6を挙げることができる。図4および図6では、ホログラム構造体10が、点光源方向から観察する観察者31aにより第2光像13の画像である「OK」を観察可能な例を示すものである(図4(b)および図6(d))。
ここで、上記反射型ホログラム形成領域に対して点光源と同一方向から観察可能であるとは、例えば、点光源をホログラム形成領域の中心点から垂直方向に配置した際には、点光源方向であるホログラム形成領域の中心点から垂直方向の方向から観察可能であることをいうものである。
また、点光源方向から観察可能であるとは、少なくとも点光源方向から観察可能であることであり、第1光像のみおよび第2光像のみをそれぞれ別方向から観察可能なものであれば、点光源方向とは異なる方向からも観察可能なものであってもよい。
上記第2光像のみを観察可能な方向、すなわち、第2光像と共に第1光像を同時に観察できない方向の反射型ホログラム形成領域に対する仰角としては、例えば、60°以上であることが好ましく、なかでも70°以上であることが好ましく、特に、80°以上であることが好ましい。上記仰角が上述の範囲内であることにより、本発明のホログラム構造体は、第1光像および第2光像を別角度でそれぞれ観察可能とすることが容易となるからである。
なお、第2光像のみを観察可能な方向の反射型ホログラム形成領域に対する仰角は、例えば、既に説明した図3(a)中のθ2とすることができる。
第1光像の形成方法、すなわち第1光像を含む光像を再生可能なホログラム形成領域の形成方法としては、例えば、本発明のホログラム構造体のホログラム形成領域よりも面積の広い仮想ホログラム形成領域において原画像の全体を点光源方向から観察可能に格子ピッチを設計し、次いで、設計により得られた格子ピッチで仮想ホログラム形成領域よりも面積の狭いホログラム形成領域を形成する方法を挙げることができる。
より具体的には、図7(a)に例示するように、幅L2の仮想ホログラム形成領域22に対して、仮想ホログラム形成領域22の中心点から垂直方向に所定の距離L3の位置に点光源21が配置され、仮想ホログラム形成領域22の中心点から垂直方向に所定の距離L4の位置から仮想ホログラム形成領域22を観察する場合、観察者31aが、図7(b)に例示するように仮想ホログラム形成領域22内に原画像の全体を観察可能とするように、以下の式(1)が成り立つ格子ピッチを設計する。
次いで、設計により得られた格子ピッチで、幅L2より狭い幅L1のホログラム形成領域を形成する。より具体的には、図7(b)に示すように、「OK」の画像のみが観察され、「1」の画像が含まれないものとなる幅L1で、ホログラム形成領域を形成する方法を挙げることができる。
P=nλ/(sinθa+sinθb) (1)
なお、λは回折光の波長、Pは凹凸表面の格子ピッチ、θaは光源からホログラム形成領域の端部まで到達するための入射角、θbはホログラム形成領域の端部からの回折光が観察者に到達するための回折角、nは回折の次数である。
一方、図8(a)に示すように、点光源方向とは異なる方向から観察する観察者31bは、図8(c)に例示するように、ホログラム形成領域11内に、光像を観察することができないものとすることができる。
さらに、例えば、図9(b)に例示する原画像を、幅L2の仮想ホログラム形成領域22内にその全体が表示されるように格子ピッチを設計した上で、幅L1でホログラム形成領域を形成した場合には、既に説明した図6に示すように、異なる仰角から第1光像の画像である「1」および「2」をそれぞれ観察可能とすることができる。
上記光像は、点光源をホログラム層の蒸着層とは反対側の表面上に配置して、観察されるものである。
このような点光源の反射型ホログラム形成領域との距離としては、本発明のホログラム構造体の種類および用途等に応じて適宜設定できるものである。
上記点光源の反射型ホログラム形成領域との距離としては、例えば、ホログラム構造体またはこれを有する物品を観察者が手で掴んで第1光像を観察容易とする観点からは、1cm〜50cmの範囲内とすることができ、5cm〜30cmの範囲内であることが好ましく、なかでも、5cm〜20cmの範囲内であることが好ましい。
第1光像の観察者の反射型ホログラム形成領域との距離としては、本発明のホログラム構造体の種類および用途等に応じて適宜設定できるものである。
このような第1光像の反射型ホログラム形成領域との距離としては、例えば、ホログラム構造体またはこれを有する物品を観察者が手で掴んで第1光像を観察容易とする観点からは、5cm〜70cmの範囲内とすることができ、10cm〜50cmの範囲内であることが好ましく、なかでも、20cm〜50cmの範囲内であることが好ましい。
なお、点光源の反射型ホログラム形成領域との距離および第1光像の観察者の反射型ホログラム形成領域との距離としては、それぞれ点光源および観察者と反射型ホログラム形成領域の中心点との距離とすることができ、具体的には、図3および図7中のL3およびL4の距離とすることができる。
このような第1光像の観察方法としては、点光源をホログラム形成領域の中心点から垂直方向に配置して観察する方法に限定されず、点光源方向のホログラム形成領域に対する仰角(以下、単に点光源方向の仰角と称する場合がある。)を90°未満となる方向に点光源を配置して観察する方法であってもよい。
例えば、図10(a)に例示するように、既に説明した図4のホログラム構造体10のように、点光源21をホログラム形成領域11の中心点から垂直方向に配置した際に、点光源方向、すなわち、ホログラム形成領域11の中心点から垂直方向とは異なる方向からのみ第1光像12を観察可能なホログラム構造体10について、点光源21を点光源方向の仰角が90°未満となる方向に配置して観察する場合、点光源21と同一方向からホログラム形成領域11を観察する観察者31bは、ホログラム形成領域11内に第2光像13の画像である「OK」のみを観察することができ(図10(b))、図10(a)において点光源21とは異なる方向からホログラム形成領域11を観察する観察者31aは、ホログラム形成領域11内に第1光像12の画像である「1」のみを観察可能とすることができる(図10(c))。
なお、図10(a)は、第1光像12の画像を観察する観察者31aがホログラム形成領域11の中心点から垂直方向の方向(θ1が90°)から観察する例を示すものである。
また、図10(a)において第2光像13の画像を観察する観察者31bは、既に説明した図4において第1光像12の画像を観察する観察者31bとは180°方位角が異なる方向から観察する例を示すものである。
反射型ホログラム形成領域は、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する、位相型フーリエ変換ホログラムが記録された領域である。
上記ホログラム層は、ホログラム形成領域の凹凸表面を構成する凹凸形状の高低差により、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する、すなわちフーリエ変換レンズとして機能するものである。このような機能により、任意の点光源から入射する光が所定の複数の方向に回折され所定のイメージが光像として形成されるものである。なお、上述の機能のことを「フーリエ変換レンズ機能」と称する場合がある。
上記ホログラム形成領域は、反射型であり、点光源をホログラム層の蒸着層とは反対側の面側である観察面側に配置して、観察面側からホログラム層を平面視した際に、ホログラム形成領域内に光像を再生可能なものである。
上記平面視サイズは、例えば、ホログラム構造体またはこれを有する物品を観察者が手で掴んで第1光像を観察容易とする観点からは、2mm角以上とすることができ、なかでも、5mm角以上30mm角以下の範囲内であることが好ましく、特に、10mm角以上20mm角以下の範囲内であることが好ましい。上記平面視サイズが上述のサイズであることにより、本発明のホログラム構造体は、小さな視点移動で第1光像を観察できる等、第1光像を観察容易とすることができるからである。
なお、ホログラム形成領域の平面視サイズが5mm角以上であるとは、上記ホログラム形成領域が、5mm角の正方形の範囲を少なくとも含む平面視形状であることをいうものである。したがって、ホログラム形成領域が長方形状である場合には、その短辺の長さが5mm以上であることをいうものであり、ホログラム形成領域が正方形状である場合には、その1辺の長さが5mm以上であることをいうものである。
また、例えば、第1光像の観察可能な方位角を、ホログラム形成領域の中心点から、長方形状の長辺に平行な方向とすることで、大きく視点移動をしないと、第1光像を観察できないことを知っている者のみが、第1光像を観察可能とすることが容易だからである。
なお、図11中の「1」は、単一、または大判ホログラム領域においてそれぞれ発現される第1光像12の画像である。
上記平面視サイズは、0.25mm角以上5mm角以下の範囲内であることが好ましい。上記平面視サイズが上述の範囲内であることにより、上記ホログラム構造体は、ホログラム形成領域内への光像の再生が容易なものとなるからである。
なお、上記平面視サイズは、上記ホログラムセルを含むことができる最小の正方形の大きさをいうものである。したがって、ホログラムセルが1辺1mmの正方形である場合の平面視サイズは1mm角となる。また、ホログラムセルの平面視形状が直径1mmの円形状である場合の平面視サイズは1mm角となる。
このような凹凸表面のホログラム形成領域へ形成方法としては、点光源から入射した光を所望の光像へ変換可能な凹凸表面を形成可能な方法であればよく、一般的なフーリエ変換ホログラムの形成方法を用いることができる。
上記形成方法は、具体的には、フーリエ変換像に対応した凹凸パターンを有するマスター原版を形成し、PET等の基材上に形成した紫外線硬化樹脂等の樹脂材料の塗膜に当該原版の凹凸パターンを転写することでホログラム形成領域の凹凸表面を形成する方法を挙げることができる。
また、マスター原版の凹凸パターンの転写を1回のみ行うことにより、ホログラム形成領域として、1つのホログラムセルからなる単一ホログラム領域を形成することができる。そして、マスター原版の凹凸パターンの転写を複数回行うことにより、ホログラム形成領域として、複数のホログラムセルが配列された所望の大きさの大判ホログラム形成領域を有するホログラム層を形成することができる。
電子線描画用データとして上記フーリエ変換後のデータを二値化したものを用いた場合には、上記凹凸表面の凹凸形状は、図12(a)に示すように2段の凹凸形状となり、四値化したものを用いた場合には、図12(b)に示すように4段の凹凸形状となる。
本発明においては、上記フーリエ変換像のデータの多値化が、四値以上に多値化するもの、すなわち、上記凹凸形状が4段以上の凹凸形状であることが好ましい。複雑な形状の光像を再生可能となるからである。また、ホログラム形成領域内に第1光像を大面積で表示可能となるからである。
具体的には、上記格子ピッチは、1.0μm〜80.0μmの範囲内であることが好ましい。上記格子ピッチが上述の範囲内であることにより、上記ホログラム構造体は、ホログラム形成領域内への光像の再生の容易なものとなるからである。
なお、格子ピッチは、例えば、図12中のPで示される幅をいうものである。
また、仮想ホログラム形成領域が1辺の幅L2が15mmの正方形状であり、L3が1990mm、L4が2000mmであり、波長550nmの光である場合、sinθb=0.00374であり、sinθa=0.00377と計算され、上記格子ピッチPは、最短で73236nmと計算される。
さらに、仮想ホログラム形成領域が1辺の幅L2が10mmの正方形状であり、L3が60mm、L4が60mmであり、波長550nmの光である場合、sinθb=0.083であり、sinθa=0.083と計算され、上記格子ピッチPは、最短で3313nmと計算される。
上記面積比率は1未満であればよく、例えば、1/3以上とすることができる。
なお、深さは、例えば、図12中のDで示されるものである。
上記ホログラム形成領域は、点光源から入射した光を上記光像へ変換可能なホログラムセルのみが配置されるものであってもよいが、点光源から入射した光を上記光像へ変換可能なホログラムセルと、上記ホログラムセルと同一平面上に形成され、平面視上パターン状に配置されることにより回折格子図柄を描画する回折格子セルと、が配置されているものであってもよい。
ホログラム形成領域に、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する、位相型フーリエ変換ホログラムが記録されたホログラムセルと、回折格子図柄を描画する回折格子セルとが配置されていることにより、上記ホログラム形成領域内に上記光像および上記回折格子図柄の両者を再生することができる。
例えば、反射型ホログラム形成領域が反射型セルと回折格子セルとを有する場合には、反射型ホログラム形成領域内に上記光像および上記回折格子図柄の両者を再生することができる。
また、上記ホログラム構造体は、ホログラム形成領域内に、点光源からの光の入射前に、回折格子図柄を再生可能であり、点光源からの光の入射時には上記光像を再生可能となる。このため、上記ホログラム構造体は、ホログラム形成領域には回折格子図柄が記録され、光像が記録されていないものであると装うことができ、情報の秘匿性に優れたものとすることもできる。
したがって、上記光像および上記回折格子図柄を組み合わせることにより、ホログラム構造体は、偽造防止性および意匠性に優れたものとなるからである。
図13(a)は、ホログラム形成領域11にホログラムセル11aおよび回折格子セル15aの両者を有する場合のホログラム構造体の一例を示す概略平面図であり、図13(b)は、図13(a)のB−B線断面図である。
図13では、回折格子図柄15が「F」の文字である例を示すものである。
ここで、回折格子図柄は、平面視上パターン状に配置された回折格子セルにより描画された図柄であり、原図柄を例えば碁盤目状の微細セルに分割し、分割された微細セルを回折格子セルに置き換えて描画されたものである。
既に説明した図13は、回折格子セル15aが「F」の文字のパターン状に配置されることにより回折格子図柄15を描画する例を示すものであり、上記回折格子図柄15に対して参照光を照射することで、上記ホログラム形成領域11内に回折格子図柄15として「F」の文字が再生される。
なお、図14(a)、(c)および(e)は、それぞれ、光像再生前の状態を示し、図14(b)、(d)および(f)は、それぞれ光像再生時の状態を示すものである。より具体的には、図14(b)、(d)および(f)は、光像として第1光像12の再生時の状態を示すものである。
また、図14(a)および(b)では、回折格子図柄15は、ホログラム形成領域11内の光像の再生箇所を指し示す矢印である。図14(c)および(d)では、回折格子図柄15は、楕円の一部であり、光像により示される楕円の他の部分と組み合わせて1つの楕円を表示可能なものである。図14(e)および(f)では、回折格子図柄15は、文字列「ホンモノ」の一部であり、光像により示される文字列「ホンモノ」の他の部分と組み合わせて1つの意味のある文字列「ホンモノ」を表示可能なものである。
上記回折格子図柄が平面回折格子図柄であることにより、平面回折格子図柄と上記光像とを組み合わせることが可能となることで、ホログラム構造体は偽造防止性および意匠性に優れたものとなるからである。また、平面回折格子図柄は高輝度なものとすることが容易であり、視認性に優れた回折格子図柄を再生できるからである。
上記回折格子図柄が立体回折格子図柄であることにより、立体回折格子図柄と光像とを組み合わせることが可能となることで、ホログラム構造体は偽造防止性および意匠性に優れたものとなるからである。
上記回折格子図柄は、平面回折格子図柄または立体回折格子図柄であってもよく、両者を組み合わせたものであってもよい。
また、回折光の振幅を同程度とする方法としては、特許第4984938号公報に記載されるように、回折格子セルの回折格子が形成されている領域(以下、単に回折格子形成領域と称する場合がある。)の面積を同程度とする方法が挙げられる。すなわち、平面回折格子図柄は、回折格子形成領域の面積が同程度の回折格子セルを敷き詰めることで描画されたものとすることができる。また、同程度の回折格子形成領域の面積として、どの程度の回折格子形成領域の面積の回折格子セルを用いるかについては、平面回折格子図柄が再生可能なものであればよく、再生される平面回折格子図柄のサイズ、カラー表示の有無等に応じて適宜設定されるものである。
より具体的には、図13(a)では、「F」の文字が回折格子セルを幅方向に3個配置した描画線により描画されている(例えば、15a1、15a2および15a3)。この場合、描画線の幅方向の端部側に配置される回折格子セル15a1および15a3より、中央部側に配置される回折格子セル15a2を回折光の振幅が大きい回折格子セルとすることで、参照光を照射した際に「F」の文字が立体的に浮かび上がるように再生することが可能となる。
また、回折光の振幅を端部側より中央部側を大きくする方法としては、特許第4984938号公報に記載されるように、端部側より中央部側に回折格子形成領域の面積が広い回折格子セルを配置する方法を挙げることができる。すなわち、立体回折格子図柄は、回折格子図柄の端部側より中央部側に回折格子形成領域の面積が広い回折格子セルが配置されたものとすることができる。
例えば、図13(a)中の回折格子セル15a1〜15a3の拡大図である図15に例示するように、描画線の幅方向の端部側に配置される回折格子セル15a1および15a3より、中央部側に配置される回折格子セル15a2を、回折格子形成領域15bの面積が広い回折格子セルとすることができる。
上記ホログラム形成領域内の上記ホログラムセルの合計面積に対する上記回折格子セルの合計面積の割合(回折格子セルの合計面積/ホログラムセルの合計面積)は、光像および回折格子図柄の両者を鮮明に再生できるものであれば特に限定されるものではないが、上記回折格子図柄が平面回折格子図柄である場合には、1/4〜3/2の範囲内であることが好ましく、なかでも、1/2〜1の範囲内であることが好ましく、特に、5/8〜7/8の範囲内であることが好ましい。上記面積の割合が上述の範囲内であることにより、ホログラム構造体は、光像および平面回折格子図柄の両者の視認性に優れたものとなるからである。
また、上記合計面積割合は、上記回折格子図柄が立体回折格子図柄である場合には、1/3〜4の範囲内であることが好ましく、なかでも、2/3〜3の範囲内であることが好ましく、特に、1〜2の範囲内であることが好ましい。上記面積の割合が上述の範囲内であることにより、ホログラム構造体は、光像および立体回折格子図柄の両者の視認性に優れたものとなるからである。
例えば、格子ピッチをそれぞれ1.2μm程度、1.0μm程度および0.8μm程度とすることで、それぞれ波長600nm用(赤色用)、500nm用(緑色用)、400nm(青色用)の光を回折するものとすること等が可能となり、カラー画像を再生可能なものとすることができる。
また、さらに格子角度および格子密度により様々な図柄を表現可能なものとすることができる。
上記参照光としては、具体的には、可視光を含む光を用いることができる。
例えば、参照光は、上記ホログラム層のホログラムセルに記録された光像の再生に用いられる点光源と同一とすることができる。
上記参照光の光源は、点光源に限らず、太陽光等の平行光等であってもよい。
上記ホログラム構造体は、例えば、上記点光源以外の光源からの参照光が照射される明所に配置することで回折格子図柄を再生でき、さらにその明所において、上記点光源をホログラム形成領域上に配置することで光像も再生可能となる。
上記ホログラム層を構成する材料としては、ホログラム形成領域において上述したフーリエ変換レンズ機能を発現するための凹凸形状を形成でき、かつ、所定の屈折率を示すものであれば特に限定されない。上記ホログラム層を構成する材料が示す屈折率としては、特に限定されるもではなく、本発明のホログラム構造体の用途に応じて適宜設定が可能である。
また、上記屈折率の基準となる波長も特に限定されず、400nm〜750nmの範囲内から適宜選択すればよい。中でも本発明においては、波長555nmにおける屈折率が1.3〜2.0の範囲内であることが好ましく、特に1.33〜1.8の範囲内であることが好ましい。ここで、上記屈折率は分光エリプソメーターにより測定することができる。
なお、上記ホログラム層の膜厚は、具体的には、既に説明した図2のaで示される距離である。
また、ホログラム層の平面視上の大きさ等については、本発明のホログラム構造体の用途に応じて適宜設定することができる。
上記ホログラム層において上記各領域が占める割合については、特に限定されるものでは無く、用途に応じて適宜選択することができる。
本発明における蒸着層は、ホログラム層のホログラム形成領域の凹凸表面に接するように形成されるものである。
上記蒸着層が透明性を有する透明蒸着層である場合には、ホログラム構造体は、平面視した際にホログラム形成領域が光沢を有しないものとなる。このため、上記ホログラム構造体は、上記ホログラム形成領域が隠ぺいされたものとなり、上記ホログラム構造体は、偽造防止性および意匠性に優れたものとなる。
一方、上記蒸着層が反射性を有する反射性蒸着層である場合には、ホログラム構造体は、ホログラム形成領域内に鮮明に光像を再生可能となる。このため、上記ホログラム構造体は、偽造防止性および意匠性に優れたものとなる。
なお、上記光透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定した値である。
また、上記透明蒸着層を形成可能な材料としては、例えば、上記金属の酸化物を挙げることができる。
上記材料は、単独でまたは2以上の材料を組み合わせたものも用いることができる。
なお、上記蒸着層の厚みは、具体的には、既に説明した図2のbで示される距離である。
本発明のホログラム構造体は、ホログラム層および蒸着層を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであってもよい。
本発明のホログラム構造体は、上記ホログラム層の蒸着層とは反対側の表面に形成された透明基材を有するものであってもよい。透明基材を有することにより、本発明のホログラム構造体の熱的または機械的強度を高めることができるからである。
例えば、透明基材は、後述する層間接着層を介してホログラム層表面に接着されたものとすることができる。
上記添加剤としては、例えば、分散剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
本発明のホログラム構造体は、上記光像と組み合わせて用いられる画像を表示する画像表示層を有することが好ましい。
上記画像表示層が表示する画像と、上記ホログラム形成領域内に再生される光像とを組み合わせることが可能となり、上記ホログラム構造体は、偽造防止性および意匠性に優れたものとなるからである。
上記画像としては、具体的には、本発明のホログラム構造体の用途等に応じて、適宜設定することができ、例えば、パターン、線画、文字、図形、記号等のみならず、単に全面が着色された態様も含むものである。
また、上記光像と組み合わせることで偽造防止性および意匠性をより向上できる画像としては、例えば図16(a)および(b)に例示するように、上記ホログラム形成領域の形成箇所を指し示す矢印、上記形成箇所を囲む枠、上記形成箇所であることを示す文字等のホログラム形成領域の認識に用いられる画像、図16(c)および(d)に例示するように上記光像が図形の一部を表わすものである場合に、図形の他の部分を表わす画像、図16(e)および(f)に例示するように上記光像が文字列または数列の一部を表わす画像である場合に、文字列または数列の他の部分を表わす画像、上記光像が太陽を表わす画像である場合に、太陽の周囲に配置される雲や空等の背景を表わす画像等の上記ホログラム形成領域内に再生される光像との組み合わせで1つの統一感のある画像を形成する画像等を挙げることができる。
なお、図16(a)、(c)および(e)は、それぞれ、光像再生前の状態を示し、図16(b)、(d)および(f)は、それぞれ光像再生時の状態を示すものである。より具体的には、図16(b)、(d)および(f)は、光像として第1光像12の再生時の状態を示すものである。
また、図16(a)および(b)では、画像16は、ホログラム形成領域11の形成箇所を指し示す矢印であり、ホログラム形成領域11内に光像として「ホンモノ」を表わす文字列を再生可能なものである。図16(c)および(d)では、画像16は、楕円の一部であり、光像により示される楕円の他の部分と組み合わせて1つの楕円を表示可能なものである。図16(e)および(f)では、画像16は、文字列「ホンモノ」の一部であり、光像16により示される文字列「ホンモノ」の他の部分と組み合わせて1つの意味のある文字列「ホンモノ」を表示可能なものである。
上記印刷層は、様々な色およびパターンの画像を容易に描画できる。上記第2ホログラム層は、参照光を照射した場合にのみ画像を表示できる。このため、上記印刷層等は、偽造防止性および意匠性に優れたホログラム構造体を容易に形成できるからである。
上記画像表示層は、1種類のみであってもよく、2種類以上を組み合わせて用いるものであってもよい。例えば、画像表示層は、複数の印刷層を含むもの、印刷層および第2ホログラム層を含むもの等とすることができる。
以下、印刷層および第2ホログラム層について説明する。
上記印刷層は、着色材および樹脂材料を有するものである。
上記樹脂材料としては、例えばポリカーボネート類、ポリエステル類、セルロース誘導体、ノルボルネン系樹脂、ポリ塩化ビニル類、ポリ酢酸ビニル類、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリプロピレン系類、ポリエチレン系類、スチレン系類等の樹脂を用いることができる。
上記着色材としては、印刷層として一般的に用いられるものを使用でき、無機顔料および有機顔料等の顔料、酸性染料、直接染料、分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料、および昇華性色素等の染料等を挙げることができる。
また、上記着色材としては、紫外線または赤外線を吸収することにより蛍光を発する紫外線発光材料および赤外線発光材料等の蛍光発光材料、偏光コレステリック高分子液晶顔料、ガラスビーズなど反射鏡となる粒子も用いることができる。
上記印刷層の形成方法、すなわち、印刷方法としては、一般的な印刷層の形成方法と同様の方法を用いることができる。上記印刷方法としては、具体的には、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等の各種印刷法を挙げることができる。
また、上記印刷層に用いられるインクとしては、一般的な印刷層の形成に用いられるものを使用でき、上記樹脂材料および着色材を溶媒中に分散または溶解したものを用いることができる。
上記印刷層は、上記ホログラム形成領域と平面視上重なるものであってもよいが、通常、重ならないものである。
図17(a)は、上記印刷層4が、透明基材3のホログラム層1とは反対側の表面上に形成される例を示すものである。
上記第2ホログラム層は、平面視上パターン状に配置された回折格子セルにより描画された回折格子図柄を有し、参照光を照射することにより、回折格子セルが配置されたパターン形状の図柄が再生されるものである。
このような回折格子図柄、回折格子セルおよび参照光については上記「1.ホログラム層」に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
このような材料としては、上記「1.ホログラム層」の項に記載のホログラム層の構成材料と同様とすることができる。
図17(b)は、第2ホログラム層6および第2ホログラム層6の回折格子図柄の凹凸表面に接するように形成される第2蒸着層7が、ホログラム層1の凹凸表面上に、ホログラム形成領域11と平面視上重ならないように形成される例を示すものであり、蒸着層2および層間接着層5を介して形成されるものである。
また、図17(c)は、第2ホログラム層6がホログラム層1と同一平面上に配置される例を示すものである。また、図17(c)では、第2ホログラム層6およびホログラム層1が一体として形成され、さらに、第2ホログラム層6の回折格子の凹凸形状形成面が、ホログラム層1の凹凸表面の形成面と同一である例を示すものである。
このような第2蒸着層としては、第2ホログラム層を反射型として機能可能とすることができるものであれば特に限定されるものではなく、反射型ホログラムに一般的に用いられるものとすることができる。具体的には、上記第2蒸着層は、上記「2.蒸着層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
なお、既に説明した図17(b)は、ホログラム構造体10が、第2ホログラム層6のホログラム層1とは反対側の表面に第2ホログラム層の凹凸表面に接するように形成された第2蒸着層7を有する例を示すものである。また、図17(c)は、第2ホログラム層6の回折格子図柄の凹凸表面に接するように形成された第2蒸着層7が、蒸着層2と一体として形成される例を示すものである。
本発明のホログラム構造体は、各構成間を接着する層間接着層を有するものであってもよい。
なお、層間接着層については、ホログラム構造体に一般的に用いられるものを使用することができ、上記透明基材およびホログラム層等を構成する材料に応じて適宜選択されるものである。
上記層間接着層としては、例えば、2液硬化型接着剤層、紫外線硬化型接着剤層、熱硬化型接着剤層、熱溶融型接着剤層等の公知の接着剤層を用いることができる。
上記層間接着層の厚みについては、接着する構成の大きさ等により適宜設定されるものである。
本発明のホログラム構造体は、蒸着層のホログラム層とは反対側の表面に形成された接着層を有していてもよい。接着層を有することにより、上記ホログラム構造体は被着体に容易に貼付可能となるからである。
なお、上記接着層は、上記層間接着層と同様に2液硬化型接着剤層、紫外線硬化型接着剤層、熱硬化型接着剤層、熱溶融型接着剤層等の接着剤層であってもよい。
上記接着層が粘着剤層である場合、本発明のホログラム構造体を所望の部材に強固に貼りあわせることができ、被着体からホログラム構造体が剥がれにくいものとすることが可能となる。
また、上記接着層が再剥離密着層である場合、再剥離密着層と被着体との間に空気が入らないよう密着させることにより、本発明のホログラム構造体を所望の部材に貼りあわせることができる。このような再剥離密着層は、被着体に粘着剤等による跡を残すことなく容易に密着および剥離を繰り返し行うことが可能であり、被着体へのダメージを抑えることができる。
また、本発明のホログラム構造体は、上述した接着層上に剥離シートが配置されていてもよい。本発明のホログラム構造体を接着層を介して所望の被着体に貼り合せる直前に、剥離シートと接着層とを剥離して使用することが可能となる。これにより、接着層と被着体との間に異物が付着することを防止できる。
上記剥離シートの厚さは、本発明のホログラム構造体の種類や用途等に応じて適宜選択される。
さらに、本発明のホログラム構造体は、上記透明基材上や上記ホログラム層の非ホログラム形成領域上に紫外線吸収層や赤外線吸収層、反射防止層等を有していてもよい。この様な層を有することにより、上記ホログラム構造体に紫外線吸収機能や赤外線吸収機能、反射防止機能等を付与することができ、本発明のホログラム構造体を各種フィルタ等としても用いることが可能となる。
なお、これらの層については、一般的に用いられるものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明のホログラム構造体は、ホログラム構造体を被着体に接着して使用するものであってもよく、被着体に接着せずに使用するものであってもよい。
また、上記被着体に接着せずに使用する態様としては、上記ホログラム構造体が、情報記録媒体として用いられる態様(第4使用態様)等を挙げることができる。
本発明のホログラム構造体の第1使用態様は、上記蒸着層の上記ホログラム層とは反対側の表面に形成された接着層を有し、ホログラムシールとして用いられるものである。
なお、図18(a)中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、この例においては、ホログラム構造体10は、接着層31の蒸着層2とは反対側の表面に剥離シート32を有するものである。
このような本態様のホログラム構造体の具体的な用途としては、チケット、ブランド品、製品の品質管理番号ラベル等に貼り付けて、点光源をホログラム形成領域上に配置することでホログラム形成領域内に再生される光像を用いて真贋判定を行う用途、意匠性を付与する用途等を挙げることができる。
なお、接着層については、上記「3.その他の構成」の項に記載の内容と同様とすることができる。
また、必要に応じて、上記「3.その他の構成」の項に記載のその他の構成等を有するものであってもよい。
本発明のホログラム構造体の第2使用態様は、上記蒸着層の上記ホログラム層とは反対側の表面に形成されたヒートシール層と、上記ホログラム層の上記蒸着層とは反対側の表面に形成された剥離容易層と、上記剥離容易層の上記ホログラム層とは反対側の表面に形成された剥離用基材と、を有し、ホログラム転写箔として用いられるものである。
なお、図18(b)中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、この例においては、ホログラム構造体10は、ヒートシール層33の蒸着層2とは反対側の表面に剥離シート32を有するものである。
また、ホログラム層の蒸着層とは反対側に剥離層を介して剥離用基材が形成されていることにより、被着体に貼付する前にホログラム構造体が損傷することを防ぐことができる。
このような本態様のホログラム構造体の具体的な用途としては、チケット、ブランド品、製品の品質管理番号ラベル等に所望のパターン形状で転写して、点光源をホログラム形成領域上に配置することでホログラム形成領域内に再生される光像を用いて真贋判定を行う用途、意匠性を付与する用途等を挙げることができる。
以下、本態様のホログラム構造体の各構成について詳細に説明する。
上記ヒートシール層としては、例えば、特開2014−16422号公報等に記載の熱可塑性樹脂を含むヒートシール層を用いることができる。
また、上記剥離用基材は、本態様のホログラム構造体を被着体に接着した後にホログラム構造体から剥離されるものである。
このような剥離用基材としては、透明性を有するものであってもよく、遮光性を有するものであってもよい。
上記剥離用基材を構成する材料および膜厚としては、例えば、上記「3.その他の構成」の項に記載の透明基材と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
このような剥離容易層としては、上記「3.その他の構成」の項に記載の再剥離密着層を用いることができる。
本発明のホログラム構造体の第3使用態様は、上記蒸着層の上記ホログラム層とは反対側の表面に形成されたヒートシール層と、上記ヒートシール層の上記蒸着層とは反対側の表面に形成された紙基材と、上記紙基材の上記ヒートシール層とは反対側の表面に形成された接着層と、上記接着層の上記紙基材とは反対側の表面に形成された剥離シートと、を有し、ラベルとして用いられるものである。
なお、図18(c)中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、蒸着層のホログラム層とは反対側に紙基材を有することにより、本態様のホログラム構造体は、紙基材の蒸着層およびホログラム層が形成された側の表面に、例えば印刷層等を容易に形成できる。
このような本態様のホログラム構造体の具体的な用途としては、工業製品の品質管理番号ラベル等を挙げることができ、ホログラム形成領域内に再生される光像を用いて真贋判定を行う用途、意匠性を付与する用途等を挙げることができる。
以下、本態様のホログラム構造体の各構成について詳細に説明する。
なお、ヒートシール層については、上記「(2)第2使用態様」の項に記載のヒートシール層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、接着層および剥離シートについては、上記「3.その他の層」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記紙基材の厚みとしては、例えば、50μm〜200μmの範囲内とすることができる。
なお、図19は、リール状に形成された上記ホログラム構造体を有するラベルの一部を表す概略平面図である。図19においては、X方向をホログラム構造体の幅方向とし、Y方向をホログラム構造体の長手方向(巻き取り方向)とするものである。
なお、このような印刷層については、上記「3.その他の構成」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明のホログラム構造体の第4使用態様は、上記ホログラム構造体が、情報記録媒体として用いられるものである。
なお、図18(d)中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本態様のホログラム構造体の具体的な用途としては、例えば、クレジットカード、キャッシュカード、ポイントカード等のカード、社員証、運転免許所等の身分証明書、通帳、パスポート等を挙げることができる。
上記表面側保護層は、ホログラム層の蒸着層とは反対側の表面に形成され、ホログラム層を保護するものであり、少なくとも、上記ホログラム形成領域と平面視上重なる領域が透明性を有するものが用いられる。
上記裏面側保護層は、蒸着層のホログラム層とは反対側の表面に形成され、ホログラム層および蒸着層を保護するものである。
上記中間基材は、ホログラム層および表面側保護層の間に形成され、ホログラム層、表面側保護層および裏面側保護層を支持するものであり、少なくとも、上記ホログラム形成領域と平面視上重なる領域が透明性を有するものが用いられる。なお、中間基材は透明基材と兼用されるものであってもよい。
このような表面側保護層、裏面側保護層および中間基材の構成材料および膜厚については、例えば、上記「3.その他の構成」の項に記載の透明基材と同様とすることができる。より具体的には、表面側保護層および裏面側保護層の構成材料としてポリカーボネートを用いることができ、中間基材の構成材料としてポリエチレンテレフタレートを用いることができる。
また、表面側保護層、裏面側保護層および中間基材の形成箇所としては、ホログラム層等を保護できるものであればよいが、ホログラム層および蒸着層の全面を覆うものとすることができる。
上記情報記録層としては、印刷により情報が記録された印刷層、磁気等により情報が記録された磁気層、集積回路(IC)チップを含むICチップ層等を挙げることができる。
上記その他の構成としては、アンテナを含むアンテナ層等の機能層を含むことができる。
これらの情報記録層および機能層等の形成箇所としては、ホログラム形成領域内での光像の再生および視認を妨げない位置であれば特に限定されるものではなく、例えば、ホログラム層の蒸着層とは反対側の表面上、ホログラム層と同一平面上、蒸着層のホログラム層とは反対側の表面上等とすることができる。
本発明のホログラム構造体の製造方法は、上記各構成を含むホログラム構造体を精度良く製造できる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的なホログラム構造体の形成方法と同様の方法を用いることができる。
上記製造方法としては、具体的には、透明基材を準備し、ホログラム層および蒸着層をこの順で形成する方法を挙げることができる。
本発明のホログラム構造体の用途としては、偽造防止用途に用いられるものとすることができ、クレジットカード、キャッシュカード等のカード等を含む情報記録媒体を挙げることができる。
また、ホログラム構造体を他の被着体に接着可能な接着層を有するものとし、被着体に貼付可能なホログラム構造体シール等として用いられるものであってもよい。
さらに、ホログラム構造体として、ヒートシール層を有するものとし、被着体に転写可能なホログラム構造体転写箔等として用いられるものであってもよい。
さらにまた、ホログラム構造体として、紙基材および接着層を有するものとし、被着体に貼付可能なラベル等として用いられるものであってもよい。
<原版およびホログラム構造体の形成>
合成石英の基板上に表面低反射クロム薄膜が積層されたフォトマスクブランク板のクロム薄膜上に、ドライエッチング用レジストをスピンナーにより回転塗布した。ドライエッチング用レジストとしては日本ゼオン(株)製ZEP7000を使用し、400nmの厚みとなるように形成した。このレジスト層に対し、電子線描画装置(MEBES4500:ETEC社製)を用い、仮想ホログラム形成領域のサイズを10mm角の領域として、この仮想ホログラム形成領域内で、既に説明した図7(b)の原画像の全体を観察できるように、事前に計算機で作成したパターンを露光し、レジスト樹脂の露光部分を易溶化した。その後、現像液を噴霧し(スプレー現像)して易溶化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
なお、パターンの格子ピッチは、最短で3313nmとした。
続いて、形成されたレジストパターンを利用して、ドライエッチングによりレジストで被覆されていない部分のクロム薄膜をエッチング除去し、石英基板を露出させた。次いで、露出した石英基板をエッチングし、石英基板に凹部を形成した。その後、レジスト薄膜を溶解除去することにより、石英基板がエッチングされて生じた凹部と、石英基板およびクロム薄膜がエッチングされずに残存している凸部とを有する原版を得た。また、原版のサイズ、すなわち、ホログラムセルのサイズを0.25mmとした。
厚み0.5mmのポリカーボネートシート(透明基材)に、ホログラム層形成用組成物(UV硬化性アクリレート樹脂:屈折率1.52 測定波長633nm)を滴下し、上記組成物の塗膜を形成した。次いで、上記塗膜上に凹凸を有する原版を積置し、押圧した。次に、活性放射線を照射して上記塗膜を硬化させた後剥離させ、原版の凹凸型を反転させた凹凸表面を有するホログラムセルを形成した。その後、原版の積置、押圧、硬化および剥離を繰り返し、ホログラムセルが敷き詰められた5mm角のホログラム形成領域を有する厚さ2μmのホログラム層を形成した。
ホログラム構造体のホログラム層表面から60mmの位置であり、ホログラム形成領域の中心点と平面視上重なる位置に点光源を配置し、ホログラム層表面から60mm離れた点光源方向から観察したところ、5mm角のホログラム形成領域内にフーリエ変換された所定の第2光像の画像「OK」を視認性良く観察することができた。
また、点光源の位置を変えず、観察者のホログラム形成領域の観察方向を、ホログラム形成領域の点光源位置からの距離を同一とし、点光源位置であるホログラム形成領域の中心点を通過し、ホログラム形成領域に対する仰角が60°となる方向から観察したところ、第2光像の画像「OK」は観察されず、第1光像の画像である「1」のみを観察することができた。
1a … 凹凸表面
2 … 蒸着層
3 … 透明基材
4 … 印刷層
5 … 層間接着層
6 … 第2ホログラム層
7 … 第2蒸着層
10 … ホログラム構造体
11 … ホログラム形成領域
11a … ホログラムセル
12 … 第1光像
13 … 第2光像
15 … 回折格子図柄
15a … 回折格子セル
32 … 剥離シート
33 … ヒートシール層
34 … 剥離容易層
35 … 剥離用基材
36 … 紙基材
37 … 裏面側保護層
38 … 表面側保護層
Claims (7)
- 点光源から入射した光を所望の光像へ変換する、位相型フーリエ変換ホログラムが記録された反射型ホログラム形成領域を有するホログラム層と、
前記ホログラム層の前記反射型ホログラム形成領域の凹凸表面に接するように形成された蒸着層と、
を有し、
前記光像が、前記反射型ホログラム形成領域に対して点光源とは異なる方向からのみ観察可能な第1光像を含むことを特徴とするホログラム構造体。 - 前記光像が、前記反射型ホログラム形成領域に対して点光源と同一方向から観察可能な第2光像を含むことを特徴とする請求項1に記載のホログラム構造体。
- 前記ホログラム層の前記反射型ホログラム形成領域には、点光源から入射した光を前記光像へ変換可能なホログラムセルと、前記ホログラムセルと同一平面上に形成され、平面視上パターン状に配置されることにより回折格子図柄を描画する回折格子セルと、が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホログラム構造体。
- 前記回折格子図柄が、平面的に図柄を再生可能な平面回折格子図柄であることを特徴とする請求項3に記載のホログラム構造体。
- 前記回折格子図柄が、立体的に図柄を再生可能な立体回折格子図柄であることを特徴とする請求項3に記載のホログラム構造体。
- 前記蒸着層の前記ホログラム層とは反対側の表面に形成されたヒートシール層と、
前記ホログラム層の前記蒸着層とは反対側の表面に形成された剥離容易層と、
前記剥離容易層の前記ホログラム層とは反対側の表面に形成された剥離用基材と、
を有し、
ホログラム転写箔として用いられることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のホログラム構造体。 - 前記蒸着層の前記ホログラム層とは反対側の表面に形成されたヒートシール層と、
前記ヒートシール層の前記蒸着層とは反対側の表面に形成された紙基材と、
前記紙基材の前記ヒートシール層とは反対側の表面に形成された接着層と、
前記接着層の前記紙基材とは反対側の表面に形成された剥離シートと、
を有し、
ラベルとして用いられることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のホログラム構造体。
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